JP2009069647A - 静電荷像現像用トナー、静電荷像現像用現像剤、静電荷像現像用現像剤カートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置および画像形成方法 - Google Patents

静電荷像現像用トナー、静電荷像現像用現像剤、静電荷像現像用現像剤カートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置および画像形成方法 Download PDF

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康浩 有馬
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則之 水谷
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Abstract

【課題】クリーニングブレードへの固着が起こり難い静電荷像現像用トナーを提供すること。
【解決手段】ポリエステル樹脂と、Sn元素とを含むトナー母粒子を有し、前記トナー母粒子中のSn元素の含有量が、1.5質量%以上6.0質量%以下の範囲内であることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
【選択図】なし

Description

本発明は、複写機等の電子写真方式を利用した画像の形成に用いられる静電荷像現像用トナー、並びに、これを用いた静電荷像現像用現像剤、静電荷像現像用現像剤カートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置および画像形成方法に関する。
電子写真法を利用した画像形成方法としては、多数の方法が知られている(特許文献1参照)。
電子写真法による画像の形成は、一般的には、次のように実施される。まず、光導電性物質を利用した感光体(静電潜像保持体)表面に、種々の手段により電気的に静電潜像を形成する。続いて、形成された静電潜像をトナーを用いて現像してトナー像を形成する。その後、トナー像を、場合により中間転写体を介して、紙等の記録媒体表面に転写する。そして、記録媒体表面に転写されたトナー像を、加熱、加圧、加熱加圧あるいは溶剤蒸気等により定着することにより、記録媒体表面に画像を形成する。また、感光体表面に残ったトナーは、必要に応じて種々の方法によりクリーニングされ、再びトナー像の現像に利用される。
電子写真法による画像の形成に用いられるトナーとしては、従来より、溶融混練粉砕法により製造されたものが知られている。
しかし、高画質化や、省エネルギー化のために低温での定着にも容易に対応できるなどの観点からは、結着樹脂としてポリエステル樹脂を用い、乳化凝集法を利用して作製されたトナーが広く用いられるようになってきている(例えば、特許文献2〜5参照)。
このトナーは、一般的には、以下のプロセスを経て作製される。まず、乳化重合、強制乳化、転相乳化法等を利用してポリエステル樹脂を含む樹脂粒子分散液を調整すると共に、溶媒に着色剤を分散した着色剤分散液などのその他の分散液を作製する。次に、これら分散液を混合した原料分散液中で、トナー粒径に相当する凝集粒子を形成する。続いて、この凝集粒子を加熱することによって融合させてトナーを作製する。
また、トナー用の結着樹脂としては、スチレン・アクリル系樹脂や上述したポリエステル樹脂などが代表的な結着樹脂として知られている。ここで、ポリエステル樹脂の重合には、Sn元素やTi元素などを含む化合物が、触媒として用いられることが知られている。
この触媒に起因するSn元素やTi元素は最終的にトナー中に残留するが、これらの金属元素の含有量を制御することにより、トナーの諸特性を改善することが試みられている。
例えば、耐破砕性と帯電環境安定性との両立ならびに低温定着性と耐熱保管性との両立を達成し、環境安全性にも優れたトナーを得るために、コアシェル構造を有し、シェル層がポリエステル樹脂からなり、且つ、トナー中のスズ含有量が0.027質量%以下であるトナーが提案されている(特許文献6参照)
この技術では、スズ化合物触媒の使用量を抑えて得られたポリエステル樹脂を使用することにより、上述した効果が達成されるとされている。
特公昭42―23910号公報 特開昭63―282752号公報 特開平6―25043942号公報 特公昭56−13943号公報 特公昭62−39428号公報 特開2005−77881号公報
一方、結着樹脂としてポリエステル樹脂を用いて乳化凝集法により作製したトナーは、結着樹脂としてスチレン・アクリル系樹脂を用いたトナーと比較して、一般的に現像性には優れるもののクリーニング性には劣る傾向がある。これに加えて、トナー像を転写した後に静電潜像保持体表面に残留する残留トナーをクリーニングブレードによりクリーニングする場合、トナーがクリーニングブレードへ固着して、クリーニング性の低下を引き起こし易い傾向にある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、クリーニングブレードへの固着が起こり難い、クリーニング性の低下の生じにくい静電荷像現像用トナー、並びに、これを用いた静電荷像現像用現像剤、静電荷像現像用現像剤カートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置および画像形成方法を提供することを課題とする。
上記課題は以下の本発明により達成される。すなわち、
請求項1に係わる発明は、
ポリエステル樹脂と、Sn元素とを含むトナー母粒子を有し、
前記トナー母粒子中のSn元素の含有量が、1.5質量%以上6.0質量%以下の範囲内であることを特徴とする静電荷像現像用トナーである。
請求項2に係わる発明は、
前記ポリエステル樹脂を含む粒径1μm以下の粒子の存在割合が、トナー母粒子に対して1.0質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナーである。
請求項3に係わる発明は、
前記トナー母粒子中のSn元素の含有量が、2.0質量%以上6.0質量%以下の範囲内であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の静電荷像現像用トナーである。
請求項4に係わる発明は、
前記トナー母粒子中のSn元素の含有量が、4.0質量%以上6.0質量%以下の範囲内であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナーである。
請求項5に係わる発明は、
請求項1〜4のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナーを含むことを特徴とする静電荷像現像用現像剤である。
請求項6に係わる発明は、
一方向に回転する静電潜像保持体と、
前記静電潜像保持体表面を帯電する帯電手段と、
帯電された前記静電潜像保持体表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
請求項1〜4のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナーを含む現像剤を収納すると共に前記静電潜像保持体表面に形成された静電潜像に前記静電荷像現像用現像剤を供給してトナー像を形成するトナー像形成手段と、
前記トナー像を前記静電潜像保持体表面から記録媒体に転写する転写手段と、
前記静電潜像保持体表面と接触して配置され、且つ、前記トナー像を前記記録媒体に転写した後の前記静電潜像保持体表面をクリーニングするクリーニングブレードと、
前記記録媒体に転写された前記トナー像を定着する定着手段とを有することを特徴とする画像形成装置である。
請求項7に係わる発明は、
前記クリーニングブレードの前記静電潜像保持体表面に対する押圧力が、0.2g/cm以上2.0g/cm以下の範囲内であることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置である。
請求項8に係わる発明は、
前記トナー像形成手段が、
請求項3または4に記載の静電荷像現像用トナーを含む現像剤を収納すると共に、
前記静電潜像保持体表面に、一方向に回転しながら前記現像剤を供給する現像剤搬送部材を有することを特徴とする請求項6または請求項7に記載の画像形成装置である。
請求項9に係わる発明は、
前記トナー像形成手段が、
請求項4に記載の静電荷像現像用トナーを含む現像剤を収納すると共に、
前記静電潜像保持体表面に、一方向に回転しながら前記現像剤を供給する現像剤搬送部材と、
該現像剤搬送部材表面からの距離が0.2mm以上20mm以下の間隔を保つように前記現像剤搬送部材表面に対向配置された現像剤規制部材とを有することを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置である。
請求項10に係わる発明は、
前記現像剤搬送部材の周速が、300mm/s以上600mm/s以下の範囲内であることを特徴とする請求項8または請求項9に記載の画像形成装置である。
請求項11に係わる発明は、
一方向に回転する静電潜像保持体と、前記静電潜像保持体表面に形成された静電潜像を現像剤により現像して前記静電潜像保持体表面にトナー像を形成するトナー像形成手段と、前記トナー像を前記静電潜像保持体表面から記録媒体に転写する転写手段と、前記静電潜像保持体表面と接触して配置され、且つ、前記トナー像を前記記録媒体に転写した後の前記静電潜像保持体表面をクリーニングするクリーニングブレードと、
を備えた画像形成装置に対して脱着可能であり、
前記トナー像形成手段に供給するための現像剤を収納し、
前記現像剤が請求項1〜4のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナーを含むことを特徴とする静電荷像現像用現像剤カートリッジである。
請求項12に係わる発明は、
画像形成装置に対して脱着可能であり、
一方向に回転する静電潜像保持体と、現像剤を収納すると共に前記静電潜像保持体表面に形成された静電潜像に前記現像剤を供給してトナー像を形成するトナー像形成手段と、前記静電潜像保持体表面と接触して配置され、且つ、前記トナー像を前記記録媒体に転写した後の前記静電潜像保持体表面をクリーニングするクリーニングブレードと、を備え、
前記現像剤が請求項1〜4のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナーを含むことを特徴とするプロセスカートリッジである。
請求項13に係わる発明は、
一方向に回転する静電潜像保持体表面を帯電する帯電工程と、帯電された前記静電潜像保持体表面に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、請求項1〜4のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナーを含む現像剤により前記静電潜像保持体表面に形成された前記静電潜像を現像してトナー像を形成する現像工程と、前記トナー像を前記静電潜像保持体表面から記録媒体に転写する転写工程と、前記静電潜像保持体表面と接触して配置されたクリーニングブレードにより、前記トナー像を前記記録媒体に転写した後の前記静電潜像保持体表面をクリーニングするクリーニング工程と、前記記録媒体に転写された前記トナー像を定着する定着工程とを有することを特徴とする画像形成方法である。
以上に説明したように請求項1に記載の発明によれば、クリーニングブレードへの固着が起こり難い静電荷像現像用トナーを提供することができる。
請求項2に記載の発明によれば、クリーニングブレードへの固着がより起こり難い静電荷像現像用トナーを提供することができる。
請求項3に記載の発明によれば、トナー潰れの発生を抑制できる静電荷像現像用トナーを提供することができる。
請求項4に記載の発明によれば、トナー潰れの発生をより抑制できる静電荷像現像用トナーを提供することができる。
請求項5に記載の発明によれば、トナー成分のクリーニングブレードへの固着が起こり難い静電荷像現像用現像剤を提供することができる。
請求項6に記載の発明によれば、長期に渡ってクリーニング不良に起因する画像欠陥の発生を抑制できる画像形成装置を提供することができる。
請求項7に記載の発明によれば、長期に渡ってクリーニング不良に起因する画像欠陥の発生を抑制できると共に、静電潜像保持体表面の磨耗も抑制できる画像形成装置を提供することができる。
請求項8に記載の発明によれば、トナーに対して機械的ストレスの加わり易い現像機を用いても長期に渡ってクリーニング不良に起因する画像欠陥の発生を抑制できる画像形成装置を提供することができる。
請求項9に記載の発明によれば、トナー潰れの抑制に加え、現像機内での凝集物発生を抑制可能な画像形成装置を提供することができる。
請求項10に記載の発明によれば、高速で画像を形成しても長期に渡ってクリーニング不良に起因する画像欠陥の発生を抑制できる画像形成装置を提供することができる。
請求項11に記載の発明によれば、長期に渡ってクリーニング不良に起因する画像欠陥の発生を抑制できる静電荷像現像用現像剤カートリッジを提供することができる。
請求項12に記載の発明によれば、長期に渡ってクリーニング不良に起因する画像欠陥の発生を抑制できるプロセスカートリッジを提供することができる。
請求項13に記載の発明によれば、長期に渡ってクリーニング不良に起因する画像欠陥の発生を抑制できる画像形成方法を提供することができる。
<静電荷像現像用トナー>
本発明の静電荷像現像用トナー(以下、「トナー」と略す場合がある)は、ポリエステル樹脂と、Sn元素とを含むトナー母粒子(但し、「トナー母粒子」とは、外添剤を用いる場合において、外添剤を除く成分(すなわち、トナー粒子そのもの)を意味する。)を有し、前記トナー母粒子中のSn元素の含有量が、1.5質量%以上6.0質量%以下の範囲内であることを特徴とする。
ここで、「Sn元素の含有量」とは、より正確には、ポリエステル樹脂の重合に利用される錫化合物触媒に含まれるようなイオン性のSn元素に起因する含有量を意味し、酸化錫などの共有結合性のSn元素に起因する成分は除かれる。
また、Sn元素の含有量の測定は、トナーにSnを添加してモデルサンプルを作製し、蛍光X線強度と添加量に関する検量線を作成し、そのSnの強度からトナー中のSn含有量を求めることができる。
なお、モデルサンプルの作製は、Snを含まない市販のトナー(富士ゼロックス社製、商品名:DocuCentre−II C3300、シアントナー)を加熱して溶解した溶融物に、イオン性のSn元素を含む化合物として塩化スズ(IV)溶液を添加して加熱混練し、体積平均粒径が8μm程度となるように粉砕処理した。なお、ここで、モデルサンプルの作製に際しては、モデルサンプル中のイオン性のSn元素を含む化合物の添加量を1.0、2.0、4.0、6.0、8.0質量%として、5種類のモデルサンプルを作成した。そして、これら5種類のモデルサンプルを用いて検量線を作成した。
トナー母粒子中のSn元素の含有量は、上述したように1.5質量%以上6.0質量%以下の範囲内であることが必要である。
含有量が1.5質量%未満の場合には、トナー成分のクリーニングブレードへの固着が起こる。このため、結果的に静電潜像保持体表面のクリーニング性が悪化して、画像欠陥の発生を招くことになる。このため、クリーニング性向上の観点からは、含有量は大きいほど好ましい。
しかし、Sn元素の含有量が多すぎる場合には、樹脂粒子分散液を調整するために必要なポリエステル樹脂の親水性−疎水性のバランスが崩れてしまう。このため、樹脂粒子分散液が調整できず、結果的にトナーを作製できなくなる。このような実用上の理由から、Sn元素の含有量は6.0質量%以下であることが必要である。
なお、含有量が1.5質量%未満の場合において、トナー成分のクリーニングブレードへの固着が起こる正確な理由は不明であるが、本発明者らは、以下の通りであると推定している。
まず、詳細は後述するが、本発明のトナーは、転相乳化法を利用してポリエステル樹脂を含む樹脂粒子を分散させた樹脂粒子分散液に、必要に応じてその他のトナーを構成する各種材料を分散させた分散液を混合した原料分散液中で、凝集粒子を形成する凝集粒子形成工程と、凝集粒子を融合する融合工程とを経て作製される。また、樹脂粒子中には、イオン性のSn元素が含まれる。このSn元素は、通常は、ポリエステル樹脂の重合時に用いられるSn元素を含む触媒化合物に起因するものであるが、これに限定されるものではない。例えば、ポリエステル樹脂を合成後、樹脂粒子分散液の調整前に、Sn元素を含む化合物とポリエステル樹脂とを混合してもよい。
ここで、樹脂粒子分散液の調整には、強制乳化法も原理的には利用可能である。しかし、強制乳化法は、樹脂粒子の粒度分布が広がりやすい。それゆえ、結果としてこのような粒度分布を持つ樹脂粒子を用いてトナーを作製すると、凝集粒子形成工程や融合工程において凝集が不均一となるため、トナーの粒度分布も非常に広がってしまう。従って、本発明では強制乳化法よりも樹脂粒子の粒度分布をより小径側の範囲に制御することが容易な転相乳化法が利用される。
しかし、転送乳化法を利用して樹脂粒子分散液を調整した場合、樹脂粒子分散液中に粒径が約100nm前後程度以下と推定される粒径の小さい樹脂粒子が発生し易い傾向にある。粒径の小さい樹脂粒子が発生しやすい理由としては、以下のように推定される。
まず、ポリエステル樹脂は一般的に酸成分とアルコール成分との重縮合反応により合成される。この際、未反応の酸・アルコール成分の単量体が樹脂中に残留することになる。このような残留成分のうち酸成分の単量体は官能基としてカルボン酸を有しており、極性が高く親水性も高い。このため、転相乳化時に樹脂中に残留する残留酸成分は水相側へ移動し、樹脂粒子表面に近傍に存在しやすい傾向にある。そして、樹脂粒子表面に残留酸成分が付着すると、樹脂粒子表面の界面エネルギーが増加し親水性が向上する。この結果、樹脂粒子の表面積の減少が促進され、粒径の小さい樹脂粒子が発生すると推定される。
一方、粒径の小さい樹脂粒子は、溶液中での分散安定性が低いことから凝集粒子形成工程や融合工程において自己凝集を起こし、目標とするトナー粒径(一般的には5.0μm〜10.0μm程度)よりも粒径の小さい粒子(推定粒径は約1μm前後程度以下)を生成しやすい。
そして、一連の工程を経て現像剤を作製した場合、トナー粒径よりも粒径の小さい粒子(以下、「微小粒子」と略す場合がある)は、トナー母粒子に外添剤を添加する際の機械的衝撃力によって、現像剤中においては、外添剤と異なりトナー粒径前後の粒径を有する粒子(以下、「通常粒子」と称す場合がある)からは分離した状態で存在する傾向にある。
これに加えて、微小粒子は、通常粒子と比較して非静電的付着力が大きいため、現像性の点では通常粒子と余り差異が無いものの、転写性には劣ることになる。このため、静電潜像保持体表面に多数の微小粒子が転写されずに残留する傾向にある。
それゆえ、これらの転写されずに静電潜像保持体表面に残留した多数の微小粒子は、転写され難いために、何度もクリーニングブレードに接触することとなり、結果としてクリーニングブレードに固着してしまうものと考えられる。
なお、上述した知見に基づけば、トナー中に含まれる、ポリエステル樹脂を含む粒径1μm以下の粒子の存在割合が、1.0質量%以下であることが好ましく、0.8質量%以下であることが好ましく、存在割合は0質量%に近ければ近いほどよい。
ポリエステル樹脂を含む粒径1μm以下の粒子の存在割合が1.0質量%を超える場合には、微小粒子の割合が増加するため、クリーニングブレードへの固着が発生し易くなる場合がある。
ポリエステル樹脂を含む粒径1μm以下の粒子の存在割合とは、トナー中に存在する全粒子(外添剤が外添されている場合は外添剤粒子も含む)中における割合を意味する。
ここで、ポリエステル樹脂を含む粒径1μm以下の粒子の存在割合は、以下の手順で測定した値を意味する。
なお、ポリエステル樹脂を含む粒径1μm以下の粒子の存在割合は、1μm未満の粒子の体積平均粒径測定分布から求めることができる。体積平均粒径の測定機器の具体例としては、レーザー回析式粒度分布測定装置(堀場製作所製、LA−700)が挙げられる。
現像剤を界面活性剤を添加したイオン交換水に超音波でビーカー内に分散させた後、磁性体(通常の磁石)をビーカー底辺から近づけることによりキャリア成分を分離する。上澄みを別容器に移し、遠心分離することにより、沈殿となるトナー成分と上澄みに含有される外添剤成分を分離する。この沈殿物を上記の粒度分布測定装置にて測定することにより、1μm以下の粒子の存在割合を求めることができる。
一方、トナー母粒子中のSn元素の含有量が増加するに伴い、(1)トナー製造時における微小粒子の発生量をより抑制すると共に、(2)トナーの機械的強度をより向上させることができるものと考えられる。このような作用効果が得られる正確な理由は不明であるが、本発明者らは、以下の通りであると推定している。
(1)トナー製造時における微小粒子の発生量の抑制について
トナー母粒子中のSn元素の含有量が増加した場合、ポリエステル樹脂の合成時に反応できなかった残留酸成分とSn元素との錯体形成がより一層促進されると考えられる。
それゆえ、転相乳化により樹脂粒子分散液を調整する際に、樹脂粒子表面付着する残留酸成分が減少する。このため、樹脂粒子表面の界面エネルギーが増加して親水性が向上するのを抑制できる。従って、残留酸成分の付着に起因する樹脂粒子の表面積の減少が抑制され、粒径の小さい樹脂粒子が発生が抑制されると推定される。
以上のことから、凝集粒子形成工程や融合工程における粒径の小さい樹脂粒子の自己凝集に起因して発生する微小粒子の発生量も抑制されると考えられる。
(2)トナー機械的強度の向上について
トナー母粒子にはイオン性のSn元素が含まれるため、Sn元素の含有量が増加するに従い、粘性が増加しトナー母粒子の機械的強度も向上するものと考えられる。これは、Sn元素がトナー母粒子マトリックス中でイオン架橋の形成に寄与するためと考えられる。
一方、ポリエステル樹脂よりも弾性の低い離型剤がトナー母粒子中に偏在して含まれるような場合には、特に短時間での応力歪みに対する機械的強度が低下する傾向にある。しかし、トナー母粒子中のSn元素の含有量が増加すれば、このような問題も解消できる。この理由は以下の通りであると推定される。
まず、凝集粒子形成工程では、原料分散液中に分散する粒径が同程度の粒子同士が凝集を繰り返すことにより凝集粒子が成長すると考えられている。このため、粒径の小さい樹脂粒子が多量に発生して樹脂粒子の粒度分布が広がった場合、離型剤粒子の粒径とは大きく異なる樹脂粒子の数量が相対的に増加することになる。さらに、離型剤粒子自体の分散安定性が樹脂粒子よりも低いことに助長され、凝集粒子形成工程では離型剤粒子同士の自己凝集が発生しやすい状態になっていると推定される。
このような状態で、トナーを作製するとトナー母粒子中に離型剤の凝集塊が形成され、離型剤がトナー母粒子中で偏在することになると考えられる。
しかし、トナー母粒子中のSn元素の含有量が増加すれば、既述したように粒径の小さい樹脂粒子の発生が抑制されて、樹脂粒子の粒度分布も狭くなる。このため、トナー母粒子中での離型剤の偏在が抑制されることになると推定される。
以上に説明したように、トナー母粒子中のSn元素の含有量が増加するに伴い、(1)トナー製造時における微小粒子の発生量をより抑制すると共に、(2)トナーの機械的強度をより向上させることができる。
このため、画像形成装置内において、トナーに機械的ストレスが加わっても、通常粒子と比べて破壊されやすい微小粒子が減少すると共に、トナー自体の機械的強度が向上するため、トナー潰れが起こり難くなるものといえる。そして結果的に、トナー潰れに起因する画像形成装置内の汚染を抑制すると共に、画像欠陥の発生も抑制できるものと考えられる。
なお、画像形成装置内において、トナーに対して強い機械的ストレスが加わる場所は現像機内である。ここで、現像機が、静電潜像保持体表面に、現像剤を供給する現像剤搬送部材と、この現像剤搬送部材表面に一定の微小な隙間を形成するように対向配置された現像剤規制部材とを有する場合、現像剤搬送部材の周囲や、現像剤搬送部材と現像剤規制部材との隙間において、トナーに対して強い機械的ストレスが加わる。
そして、トナーに加わる機械的ストレスは、現像剤搬送部材の周囲よりも現像剤搬送部材と現像剤規制部材との隙間の方がより強く、また、前者は、トナーに対して長期間に渡って機械的ストレスが加わるが、後者は、トナーに対して短時間に強い機械的ストレスが加わる。
それゆえ、現像剤搬送部材の周囲におけるトナー潰れを抑制するためには、トナー母粒子中のSn元素の含有量は2質量%以上であることが好ましく、現像剤搬送部材の周囲におけるトナー潰れのみならず、現像剤搬送部材と現像剤規制部材との隙間におけるトナー潰れを抑制するためには、トナー母粒子中のSn元素の含有量は4質量%以上であることが好ましい。
また、上述したように、トナー母粒子中に離型剤が含まれる場合には、離型剤が含まれない場合と比べてトナー潰れが発生し易い傾向にある。しかし、トナー母粒子中のSn元素の含有量は4質量%以上であれば、このようなトナー潰れの発生をより効果的に抑制できる。
以上のことから、トナー母粒子中のSn元素の含有量を好ましくは2質量%以上、より好ましくは4質量%以上とすることにより、トナー潰れの発生を抑制して、トナー潰れに起因する装置内の汚染や、画像欠陥の発生を抑制することができる。
また、トナー母粒子中に離型剤が含まれる場合は、上述したように、トナー母粒子中での離型剤の偏在によりトナーの機械的強度が低下するためトナー潰れが発生し易くなる。しかし、トナー母粒子中のSn元素の含有量を4質量%以上とすれば、トナー母粒子中での離型剤の偏在が抑制されて、トナーの機械的強度の低下も抑制できるため、トナー潰れが発生し難くなる。
−結着樹脂−
以下、本発明のトナーを構成する各種材料について詳細に説明する。
まず、本発明のトナーには、結着樹脂として、ポリエステル樹脂が用いられ、必要に応じて、ポリエステル樹脂以外のその他の結着樹脂(例えば、スチレンアクリル系樹脂)なども併用してもよい。但し、その他の結着樹脂を併用する場合、全結着樹脂に占めるポリエステル樹脂の割合は、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましい。
ポリエステル樹脂としては、結晶性ポリエステル樹脂および非結晶性ポリエステル樹脂から選択されるいずれか一方のみを用いてもよく、双方を組み合わせて用いてもよい。なお、トナーに低温定着性を付与する場合は、結晶性ポリエステル樹脂を用いることが好ましい。
また、低温定着特性やトナー強度等の各種特性をバランスさせる観点から、結着樹脂として、シャープメルト性を有する結晶性ポリエステル樹脂と非結晶性樹脂とを併用することも好ましい。
この場合には、これらの結着樹脂の融点やガラス転移温度が45〜110℃の範囲内であることが好ましく、60〜90℃の範囲内であることがより好ましい。
2種類の結着樹脂の混合割合は、結晶性ポリエステル樹脂の融点と非結晶性樹脂のガラス転移温度との関係を考慮して選択することができる。なお、一般的には含有量が多い成分の熱的溶融特性が支配的となるため、低温定着性を阻害しない樹脂成分を選択することが重要である。
この融点はJIS K−7121に基いて入力補償示差走査熱量測定の融解ピーク温度として求めることができる。なお、結晶性樹脂には、複数の融解ピークを示す場合があるが、この場合は、最大のピークをもって融点とみなす。
−結晶性ポリエステル樹脂−
ポリエステル樹脂は多価カルボン酸成分と多価アルコール成分とから合成される。なお、本発明においては、ポリエステル樹脂として市販品を使用してもよいし、適宜合成したものを使用してもよい。以下に、結晶性ポリエステル樹脂の合成に好適な多価カルボン酸成分および多価アルコール成分について説明する。
多価カルボン酸成分としては、例えば、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、マロン酸、メサコニン酸等の二塩基酸等の芳香族ジカルボン酸、などが挙げられ、さらに、これらの無水物やこれらの低級アルキルエステルも挙げられるがこの限りではない。
3価以上のカルボン酸としては、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸等、及びこれらの無水物やこれらの低級アルキルエステルなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、多価カルボン酸成分としては、前述の脂肪族ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸の他に、スルホン酸基を持つジカルボン酸成分が含まれていることが好ましい。前記スルホン酸基を持つジカルボン酸は、顔料等の着色剤の分散を良好にできる点で有効である。また、樹脂全体を水に乳化或いは懸濁して、樹脂粒子を作製する際に、スルホン酸基があれば、後述するように、界面活性剤を使用しないで、乳化或いは懸濁が可能である。
このようにスルホン基を持つジカルボン酸としては、例えば、2−スルホテレフタル酸ナトリウム塩、5−スルホイソフタル酸ナトリウム塩、スルホコハク酸ナトリウム塩等が挙げられるが、これらに限定されない。また、これらの低級アルキルエステル、酸無水物等も挙げられる。これらスルホン酸基を有する2価以上のカルボン酸成分は、ポリエステルを構成する全カルボン酸成分に対して1〜15モル%の範囲が好ましく、2〜10モル%の範囲がより好ましい。
含有量が1モル%よりも少ないと樹脂粒子の経時安定性が悪くなる場合がある。一方、含有量が15モル%を超えると、結晶性ポリエステル樹脂の場合はその結晶性が低下する場合がある。また、結着樹脂として結晶性ポリエステル樹脂を用いる場合は、凝集後、粒子が融合する工程に悪影響を与え、トナー粒径の調整が難しくなるという不具合が生じる場合がある。
さらに、前述の脂肪族ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸の他に、2重結合を持つジカルボン酸成分を含有することがより好ましい。2重結合を持つジカルボン酸は、2重結合を介して、ラジカル的に架橋結合させ得る点で定着時のホットオフセットを防ぐ為に好適に用いることができる。このようなジカルボン酸としては、例えばマレイン酸、フマル酸、3−ヘキセンジオイック酸、3−オクテンジオイック酸等が挙げられるが、これらに限定されない。また、これらの低級エステル、酸無水物等も挙げられる。これらの中でもコストの点で、フマル酸、マレイン酸等が挙げられる。
多価アルコール成分としては、脂肪族ジオールが好ましく、主鎖部分の炭素数が7〜20である直鎖型脂肪族ジオールがより好ましい。前記脂肪族ジオールが分岐型では、ポリエステル樹脂の結晶性が低下し、融点が降下してしまう為、耐トナーブロッキング性、画像保存性、及び低温定着性が悪化してしまう場合がある。また、炭素数が7未満であると、芳香族ジカルボン酸と縮重合させる場合、融点が高くなり、低温定着が困難となることがある一方、20を超えると実用上の材料の入手が困難となり易い。前記炭素数としては14以下であることがより好ましい。
結晶性ポリエステルの合成に好適に用いられる脂肪族ジオールとしては、具体的には、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,14−エイコサンデカンジオールなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのうち、入手容易性を考慮すると1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールが好ましい。
3価以上のアルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
多価アルコール成分のうち、脂肪族ジオール成の含有量が80モル%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。前記脂肪族ジオール成分の含有量が80モル%未満では、ポリエステル樹脂の結晶性が低下し、融点が降下する為、耐トナーブロッキング性、画像保存性及び、低温定着性が悪化してしまう場合がある。
なお、必要に応じて、酸価や水酸基価の調製等の目的で、酢酸、安息香酸等の1価の酸や、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等の1価のアルコールも使用することができる。
結晶性ポリエステル樹脂のような『結晶性』とは、示差走査熱量測定において、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピークを有することを指し、具体的には、昇温速度10℃/minで測定した際の吸熱ピークの半値幅が6℃以内であることを意味する。一方、半値幅が6℃を超える樹脂や、明確な吸熱ピークが認められない樹脂は、非結晶性樹脂を意味するが、本発明において用いられる非結晶性樹脂としては、明確な吸熱ピークが認められない樹脂を用いることが好ましい。
また、前記のような「結晶性ポリエステル樹脂」は、その構成成分が100%ポリエステル構造からなるポリマー以外にも、ポリエステルを構成する成分と他の成分とを共に重合してなるポリマー(共重合体)も意味する。但し、後者の場合には、ポリマー(共重合体)を構成するポリエステル以外の他の構成成分が50質量%以下である。
ポリエステル樹脂の酸価(樹脂1gを中和するに必要なKOHのmg数)は、所望の分子量分布を得やすいことや、乳化分散法によるトナー粒子の造粒性を確保しやすいことや、得られるトナーの環境安定性(温度・湿度が変化した時の帯電性の安定性)を良好なものに保持しやすいことなどから、1〜30mgKOH/gであることが好ましい。ポリエステル樹脂の酸価は、原料の多価カルボン酸と多価アルコールの配合比と反応率により、ポリエステルの末端のカルボキシル基を制御することによって調整することができる。あるいは多価カルボン酸成分として無水トリメリット酸を使用することによってポリエステルの主鎖中にカルボキシル基を有するものが得られる。
−非結晶性樹脂−
本発明のトナーに用いることができる非結晶性樹脂としては、例えば、従来公知の熱可塑性結着樹脂などが挙げられ、具体的には、スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類の単独重合体又は共重合体(スチレン系樹脂);アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のビニル基を有するエステル類の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂);アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル類の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂);ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂);ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂);エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類の単独重合体又は共重合体(オレフィン系樹脂);エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂等の非ビニル縮合系樹脂、及びこれらの非ビニル縮合系樹脂とビニル系モノマーとのグラフト重合体などが挙げられる。
これらの樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの樹脂の中でもビニル系樹脂やポリエステル樹脂が特に好ましい。
ビニル系樹脂の場合、イオン性界面活性剤などを用いて乳化重合やシード重合により樹脂粒子分散液を容易に調製することができる点で有利である。前記ビニル系モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、ケイ皮酸、フマル酸、ビニルスルフォン酸、エチレンイミン、ビニルピリジン、ビニルアミンなどのビニル系高分子酸やビニル系高分子塩基の原料となるモノマー挙げられる。
一方、本発明のトナーにおいて、非結晶性分子としてポリエステル樹脂を用いる場合には、樹脂の酸価の調整やイオン性界面活性剤などを用いて乳化分散することにより、樹脂粒子分散液を容易に調製することができる点で有利である。乳化分散に用いる非結晶性のポリエステル樹脂は多価カルボン酸と多価アルコールとを脱水縮合して合成される。
多価カルボン酸の例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸、などの芳香族カルボン酸類、無水マレイン酸、フマル酸、コハク酸、アルケニル無水コハク酸、アジピン酸などの脂肪族カルボン酸類、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式カルボン酸類が挙げられる。これらの多価カルボン酸を1種又は2種以上用いることができる。これら多価カルボン酸の中、芳香族カルボン酸を使用することが好ましく、また良好なる定着性を確保するために架橋構造あるいは分岐構造をとるためにジカルボン酸とともに3価以上のカルボン酸(トリメリット酸やその酸無水物等)を併用することが好ましい。
多価アルコールの例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、などの脂肪族ジオール類、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールAなどの脂環式ジオール類、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物などの芳香族ジオール類が挙げられる。これら多価アルコールの1種又は2種以上用いることができる。これら多価アルコールの中、芳香族ジオール類、脂環式ジオール類が好ましく、このうち芳香族ジオールがより好ましい。また良好なる定着性を確保するため、架橋構造あるいは分岐構造をとるためにジオールとともに3価以上の多価アルコール(グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール)を併用してもよい。
なお、多価カルボン酸と多価アルコールとの重縮合によって得られたポリエステル樹脂に、さらにモノカルボン酸、および/またはモノアルコールを加えて、重合末端のヒドロキシル基、および/またはカルボキシル基をエステル化し、ポリエステル樹脂の酸価を調整しても良い。モノカルボン酸としては酢酸、無水酢酸、安息香酸、トリクロル酢酸、トリフルオロ酢酸、無水プロピオン酸等を挙げることができ、モノアルコールとしてはメタノール、エタノール、プロパノール、オクタノール、2−エチルヘキサノール、トリフルオロエタノール、トリクロロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、フェノールなどを挙げることができる。
本発明に用いられるポリエステル樹脂は上記多価アルコールと多価カルボン酸を常法に従って縮合反応させることによって製造することができる。例えば、上記多価アルコールと多価カルボン酸、必要に応じて触媒を入れ、温度計、撹拌器、流下式コンデンサを備えた反応容器に配合し、不活性ガス(窒素ガス等)の存在下、150〜250℃で加熱し、副生する低分子化合物を連続的に反応系外に除去し、所定の酸価に達した時点で反応を停止させ、冷却し、目的とする反応物を取得することによって製造することができる。
−触媒−
本発明のトナーに用いられるポリエステル樹脂の重合には、Sn元素を含む触媒(錫化合物触媒)を用いることが特に好ましい。錫化合物触媒を用いることにより、トナーを作製した際に、トナー母粒子中にSn元素を含有させることができる。
錫化合物触媒としては、多価アルコールと多価カルボン酸との重縮合反応を促進できるものであれば特に制限されないが、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキサイド等の有機金属等が挙げられる。
なお、錫化合物触媒の使用量は、トナー母粒子中におけるSn元素の含有量が1.5質量%以上6.0質量%以下の範囲内となるように、ポリエステル樹脂の合成段階において選択される。
一般的には、全モノマー成分の総量に対して錫化合物触媒の添加量を0.1〜5質量%の範囲内とすることが好ましく、0.5〜4.0質量%の範囲内とすることがより好ましい。錫化合物触媒の添加量が0.1質量%未満の場合は、トナー母粒子中に十分な量のSn元素を存在させることができなくなる場合がある。また、錫化合物触媒の添加量が5質量%を超える場合には加熱混合中にポリエステル樹脂の分解反応が起こりやすくなる。
なお、ポリエステル樹脂の合成のみを目的として錫化合物触媒を用いる場合、通常、結着樹脂としてポリエステル樹脂を主成分とする従来のトナー母粒子中のSn元素の含有量は1質量%〜1.2質量%前後の範囲である。しかし、本発明では、単なる樹脂の合成のみならず、トナーを作製した場合に、微小粒子の発生を抑制したり、更にはこれに加えてトナーの機械的強度も向上させる目的で錫化合物触媒の使用量を増量させ、結果として、トナー母粒子中のSn元素の含有量を従来よりもより増加させている。
一方、本発明者らは、トナーを作製した場合に、微小粒子の発生を抑制したり、更にはこれに加えてトナーの機械的強度も向上させる上では、ポリエステル樹脂の合成に用いる触媒としてSn元素と同様の価数を取りえるなどの観点からTi元素を含む触媒(チタン化合物触媒)も有効であると考え、鋭意検討した。しかしながら、Ti元素はSn元素と比べて、トナー母粒子中での含有量が増えてくるとトナーを着色させ易いため、所望の色調が得られにくい。このため、本発明者らは、錫化合物触媒を選択した。
なお、トナーの着色などが起こらない範囲であれば、錫化合物触媒と共に、チタン化合物触媒などのその他の触媒を併用してもよい。
他の触媒としては、多価アルコールと多価カルボン酸との重縮合反応を促進できるものであれば特に制限されず、全ての有機および無機系触媒が使用可能である。例えば、チタンアルコラートならびにアルカリおよびアルカリ土類金属アルコキシドのような金属アルコラートを併用することができる。
−着色剤−
本発明のトナーには、透明トナーなどの特殊な用途で利用される場合を除き、通常、着色剤が含まれる。
着色剤としては、公知の着色剤であれば特に限定されないが、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック、ベンガラ、紺青、酸化チタン等の無機顔料、ファストイエロー、ジスアゾイエロー、ピラゾロンレッド、キレートレッド、ブリリアントカーミン、パラブラウン等のアゾ顔料、銅フタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン顔料、フラバントロンイエロー、ジブロモアントロンオレンジ、ペリレンレッド、キナクリドンレッド、ジオキサジンバイオレット等の縮合多環系顔料が挙げられる。
また、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーマネントオレンジGTR、ピラロゾンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、デュポンオイルレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ローズベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオクサレート、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・57:1、C.I.ピグメント・イエロー12、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3などの種々の顔料などを例示することができ、これらを1種または2種以上を併せて使用することができる。
また、必要に応じて表面処理された着色剤を使用したり、顔料分散剤を併用することも有効である。着色剤の種類を適宜選択することにより、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、ブラックトナー等を得ることができる。
着色剤の含有量としては、結着樹脂100質量部に対して、1〜30質量部が好ましく、1〜20質量%とすることがより好ましく、1〜10質量%とすることが更に好ましく、2〜10質量%とすることが特に好ましく、2〜7質量%とすることが最も好ましい。なお、着色剤の含有量は、定着後における画像表面の平滑性を損なわない範囲でできるだけ多い方が好ましい。着色剤の含有量を多くすると、同じ濃度の画像を得る際、画像の厚みを薄くすることができ、オフセットの防止の点で有利である。
−離型剤−
本発明のトナーには、必要に応じて離型剤を用いることができる。離型剤としては、公知の離型剤であれば特に限定されないが、例えば、カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等の天然ワックス、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン、サゾールワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス、パラフィンワックス、モンタンワックス等の合成或いは鉱物・石油系ワックス、脂肪酸エステル、モンタン酸エステル等のエステル系ワックスなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。また、これらの離型剤は、1種単独で用いても良く、2種以上併用しても良い。
離型剤の融点は、保存性の観点から、60℃以上であることが好ましく、70℃以上であることがより好ましい。また、低温での耐オフセット性の観点から、110℃以下であることが好ましく、100℃以下であることがより好ましい。さらには、高温での耐オフセット性の観点から、融点が100℃以上の離型剤を併用して用いることもできる。
離型剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、1〜30質量部の範囲内であることが好ましく、2〜20質量部の範囲内であることがより好ましい。離型剤の含有量が1質量部未満であると離型剤を添加する効果が不十分となり、高温でのホットオフセットを引き起こす場合がある。一方、含有量が30質量部を超えると、帯電性に悪影響を及ぼす他、トナーの機械的強度が低下する為、現像機内でのストレスで破壊されやすくなり、キャリア汚染などを引き起こす場合がある。また、カラートナーとして用いた場合、定着画像中に離型剤のドメインが残留し易くなりるため、OHPを用いて画像を形成した場合、OHPの透明性が悪化する場合がある。
−その他の添加剤−
本発明のトナーには、必要に応じて帯電制御剤、無機粉体(無機粒子)、有機粒子等の種々の内添剤や外添剤を添加することができる。
−内添剤−
内添剤としては、主に湿式法により添加を行うことができ、フェライト、マグネタイト、還元鉄、コバルト、ニッケル、マンガン等の金属、合金、またはこれら金属を含む化合物などの磁性体等が挙げられる。
帯電制御剤としては、例えば4級アンモニウム塩化合物、ニグロシン系化合物、アルミ、鉄、クロムなどの錯体からなる染料、トリフェニルメタン系顔料などが挙げられる。
また、無機粉体は主にトナーの粘弾性調整を目的として添加され、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、燐酸カルシウム、酸化セリウム等の下記に詳細に列挙するような通常、トナー表面の外添剤として使用されるすべての無機粒子が挙げられる。
なお、帯電制御剤としては、凝集粒子形成工程や融合工程の安定性に影響するイオン強度の制御と廃水汚染減少の点で、水に溶解しにくい素材のものが好ましい。
−乾式外添剤−
トナー母粒子表面に乾式法により添加される外添剤としては、無機粒子や有機粒子が挙げられる。
無機粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、塩化セリウム、ベンガラ、酸化クロム、酸化セリウム、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素等が挙げられる。中でも、シリカ粒子や酸化チタン粒子が好ましく、疎水化処理された粒子が特に好ましい。
無機粒子は、一般に流動性を向上させる目的で使用される。前記無機粒子の1次粒径としては、1〜200nmが好ましく、その添加量としては、トナー100質量部に対して、0.01〜20質量部が好ましい。
また、有機粒子は、一般にクリーニング性や転写性を向上させる目的で使用される。有機粒子としては、例えば、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリフッ化ビニリデン等が挙げられる。
−トナーの諸物性−
トナーの融点は、特に限定されるものではないが、45〜110℃の範囲内であることが好ましく、60〜90℃の範囲内であることがより好ましい。
融点が、トナーの保存時や画像とした後に曝される一般的な高温環境下の下限温度に相当する45℃未満であると、ブロッキングを起こしやすくなる場合がある。トナーは、融点を境にして急激に粘度が低下するために、融点以上の温度環境下で保存されるとブロッキングを起こしてしまうためである。一方、融点が110℃を超える場合には、低温定着が困難となる場合がある。
この融点はJIS K−7121に基いて入力補償示差走査熱量測定の融解ピーク温度として求めることができる。
本発明のトナーの体積平均粒径としては、1〜20μmが好ましく、2〜8μmがより好ましく、また、個数平均粒径としては、1〜20μmが好ましく、2〜8μmがより好ましい。
ここで、体積平均粒径および個数平均粒径は、マルチサイザーII(ベックマン−コールター社製)を用い、電解液はISOTON−II(ベックマン−コールター社製)を使用して測定することができる。
測定に際しては、分散剤として界面活性剤、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの5質量%水溶液2ml中に測定試料を0.5mg以上50mg以下の範囲で加える。これを電解液100ml乃至150mlの中に添加する。
試料を懸濁した電解液は超音波分散器で1分間分散処理を行い、前記マルチサイザーII型により、アパーチャー径として100μmアパーチャーを用いて2μm以上50μm以下の範囲の粒径の粒子の粒度分布を測定する。なお、サンプリングする粒子数は50000個である。
このようにして測定される粒度分布を基にして分割された粒度範囲(チャネル)に対して体積、数をそれぞれ小径側から累積分布を描いて、累積16%となる粒径を累積体積平均粒径D16v、累積数平均粒径D16p、累積50%となる粒径を累積体積平均粒径50v、累積数平均粒径D50p、累積84%となる粒径を累積体積平均粒径D84v、累積数平均粒径D84pと定義する。
ここで、体積平均粒径は累積体積平均粒径50vとして求められ、個数平均粒径は累積数平均粒径D50pとして求められる。
−トナーの製造方法−
本発明のトナーは乳化凝集法を利用して作製される。ここで、トナーの作製に際しては、トナーを構成する各材料を水系分散液に分散させた分散液(樹脂粒子分散液等)を準備する(乳化工程)。続いて、樹脂粒子分散液や、その他必要に応じて用いられる各種の分散液(着色剤分散液や離型剤分散液等)を混合して原料分散液を準備する。
次に、原料分散液中で、凝集粒子を形成する凝集粒子形成工程と、凝集粒子を融合する融合工程とを経て、トナー母粒子を得る。なお、コア層と、このコア層を被覆するシェル層とからなるいわゆるコアシェル構造型のトナーを作製する場合には、凝集粒子形成工程を終えた後の原料分散液に、樹脂粒子分散液を添加して(トナー化した際にコア層となる)凝集粒子表面に樹脂粒子を付着させて(トナー化した際にシェル層となる)被覆層を形成する被覆層形成工程を実施し、その後に融合工程を実施する。なお、被覆層形成工程に用いる樹脂成分は、コア層を構成する樹脂成分と同一であっても異なっていてもよいが、通常は、非結晶性樹脂が用いられる。
以下、各工程について詳細に説明する。
−乳化工程−
凝集粒子形成工程に用いる原料分散液を準備するために、乳化工程では、トナーを構成する主要な材料を、水系媒体中に分散させた乳化分散液を調整する。以下、樹脂粒子分散液や、そのた必要に応じて用いられる着色剤分散液、離型剤分散液等について説明する。
−樹脂粒子分散液−
樹脂粒子分散液中に分散する樹脂粒子の体積平均粒径は、好ましくは0.01〜1μmであり、より好ましくは0.03〜0.8μmであり、更に好ましくは0.03〜0.6μmであるのが好ましい。
樹脂粒子の体積平均粒径が1μmを越えると、最終的に得られるトナーの粒径分布が広くなったり、遊離粒子の発生が生じ、性能や信頼性の低下を招き易くなる場合がある。一方、体積平均粒径が上記範囲内にであれば前記欠点がない上、トナー間の組成偏在が減少し、トナー中の分散が良好となり、性能や信頼性のバラツキが小さくなる点で有利である。
なお、樹脂粒子等、原料分散液中に含まれる粒子の体積平均粒径は、レーザー回析式粒度分布測定装置(堀場製作所製、LA−700)で測定することができる。
樹脂粒子分散液やその他の分散液に用いられる分散媒としては、水系媒体が好ましい。 前記水系媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水、アルコール類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。本発明においては、前記水系媒体に界面活性剤を添加混合しておくのが好ましい。
界面活性剤としては特に限定されるものでは無いが、例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン系界面活性剤などが挙げられる。これらの中でもアニオン界面活性剤、カチオン系界面活性剤が好ましい。前記非イオン系界面活性剤は、前記アニオン界面活性剤又はカチオン系界面活性剤と併用されるのが好ましい。前記界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、前記アニオン界面活性剤の具体例としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウムなどが挙げられる。また、前記カチオン界面活性剤の具体例としては、アルキルベンゼンジメチルアンモニウムクロライド、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルアンモニウムクロライドなどが挙げられる。これらの中でもアニオン界面活性剤、カチオン系界面活性剤等のイオン性界面活性剤が好ましい。
樹脂粒子が、ポリエステル樹脂である場合、中和によりアニオン型となり得る官能基を含有した自己水分散性をもっており、親水性となり得る官能基の一部又は全部が塩基で中和された、水性媒体の作用下で安定した水分散体を形成できる。
ポリエステル樹脂において中和により親水性基と成り得る官能基はカルボキシル基やスルフォン基等の酸性基である為、中和剤としては例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、アンモニア等の無機塩基や、ジエチルアミン、トリエチルアミン、イソプロピルアミンなどの有機塩基が挙げられる。
なお、ポリエステル樹脂と共に、ポリエステル樹脂以外の結着樹脂を場合、この結着樹脂の樹脂粒子分散液は、後述する離型剤分散液の場合と同様に、樹脂溶液及び又はそれと混合する水性媒体に、イオン性界面活性剤、高分子酸、高分子塩基等の高分子電解質と共に分散した後、結着樹脂の融点以上に加熱して、ホモジナイザーや圧力吐出型分散機を用いて強い剪断力を加えることにより作製することが好ましい。
この場合、容易に樹脂粒子の体積平均粒径を0.5μm以下とすることができる。このイオン性界面活性剤や高分子電解質を用いる場合には、その水性媒体中における濃度は、0.5〜5質量%程度になるようにするのが適当である。
一方、ポリエステル樹脂を用いて樹脂粒子分散液を調整する場合は、転相乳化法を利用する。なお、ポリエステル樹脂以外の結着樹脂を用いて樹脂粒子分散液を調整する場合にも転相乳化法を利用してもよい。
転相乳化法とは、分散すべき樹脂を、その樹脂が可溶な疎水性有機溶剤中に溶解せしめ、有機連続相(O相)に塩基を加えて、中和したのち、水媒体(W相)を投入することによって、W/OからO/Wへの、樹脂の変換(いわゆる転相)が行われて不連続相化し、樹脂を、水媒体中に粒子状に分散安定化する方法である。
この転相乳化に用いられる有機溶剤としては例えば、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、sec−アミルアルコール、tert−アミルアルコール、1−エチル−1−プロパノール、2−メチル−1−ブタノール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール等のアルコール類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸−sec−ブチル、酢酸−3−メトキシブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、シュウ酸ジメチル、シュウ酸ジエチル、コハク酸ジメチル、コハク酸ジエチル、炭酸ジエチル、炭酸ジメチル等のエステル類、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル等のグリコール誘導体、さらには、3−メトキシ−3−メチルブタノール、3−メトキシブタノール、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジアセトンアルコール、アセト酢酸エチル等を例示することができる。これらの溶剤は単一でも、また2種以上を併用しても使用できる。
転相乳化に用いる有機溶媒の溶媒量に関しては、樹脂の物性により所望の分散粒径を得るための溶媒量が異なるため、一概に決定することは困難である。しかし、本発明においては、錫化合物触媒の樹脂中の含有量が通常のポリエステル樹脂に対して多量であるため、樹脂重量に対する溶媒量は比較的多いことが好ましい。溶媒量が少ない場合には乳化性が不十分となり、樹脂粒子の粒径の大径化や粒度分布のブロード化等が発生する場合がある。
結着樹脂を水中に分散させる場合、必要に応じて樹脂中のカルボキシル基の一部または全部を中和剤によって中和することが好ましい。中和剤としては、例えば水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の無機アルカリ、アンモニア、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリエチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノ−nプロピルアミン、ジメチルn−プロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−アミノエチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N,Nージメチルプロパノールアミン等のアミン類等が挙げられ、これらから選ばれるところの1種または2種以上を使用することができる。これらの中和剤を添加することによって、乳化時pHを中性近傍に調節し、得られるポリエステル樹脂分散液の加水分解を防ぐことができる。
また、この転相乳化時も分散粒子の安定化や水系媒体の増粘防止を目的として、分散剤を添加してもよい。該分散剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸ナトリウムの等の水溶性高分子、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オクタデシル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム等のアニオン性界面活性剤、ラウリルアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド等のカチオン性界面活性剤、ラウリルジメチルアミンオキサイド等の両性イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン等のノニオン性界面活性剤等の界面活性剤、リン酸三カルシウム、水酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム等の無機化合物等が挙げられる。これらの分散剤は、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用してもよい。分散剤は、結着樹脂100質量部に対して、0.01〜20質量部添加することが好ましい。
転相乳化時の乳化温度は、有機溶剤の沸点以下でかつ、結着樹脂の融点あるいはガラス転移点以上であることが望ましい。乳化温度が結着樹脂の融点あるいはガラス転移点未満の場合、樹脂粒子分散液を調整することが困難となる。なお、有機溶剤の沸点以上で乳化する場合は、加圧密閉された装置で乳化を行えば良い。
樹脂粒子分散液に含まれる樹脂粒子の含有量は通常、5〜50質量%が好ましく10〜40質量%がより好ましい。含有量が前記範囲外にあると、樹脂粒子の粒度分布が広がり、特性が悪化する場合がある。
−着色剤分散液−
着色剤分散液を調整する際の着色剤の分散方法としては、任意の方法、例えば回転せん断型ホモジナイザーや、メディアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミルなどの一般的な分散方法を使用することができ、なんら制限されるものではない。必要に応じて、界面活性剤を使用してこれら着色剤の水分散液を調製したり、分散剤を使用してこれら着色剤の有機溶剤分散液を調製したりすることもできる。分散に用いる界面活性剤や分散剤としては、結着樹脂を分散させる際に用い得る分散剤と同様のものを用いることができる。
また、原料分散液を調整する際に、着色剤分散液は、その他の粒子を分散させた分散液と共に一度に混合してもよいし、分割して多段回で添加混合してもよい。
着色剤分散液に含まれる着色剤粒子の含有量は通常、5〜50質量%が好ましく10〜40質量%がより好ましい。含有量が前記範囲外にあると、着色剤粒子の粒度分布が広がり、特性が悪化する場合がある。
−離型剤分散液−
離型剤分散液は、ポリエステル樹脂以外の結着樹脂を乳化分散する場合と同様、離型剤を水中にイオン性界面活性剤等と共に分散し、離型剤の融点以上に加熱し、ホモジナイザーや圧力吐出型分散機を用いて強い剪断力を印加することにより調整することができる。これにより、体積平均粒径が1μm以下の離型剤粒子を分散させることができる。また、離型剤分散液における分散媒としては、結着樹脂に用いる分散媒と同様のものを用いることができる。
なお、結着樹脂や着色剤等を分散媒と混合して、乳化分散させる装置としては、公知のものが利用でき、例えばホモミキサー(特殊機化工業株式会社)、あるいはスラッシャー(三井鉱山株式会社)、キャビトロン(株式会社ユーロテック)、マイクロフルイダイザー(みずほ工業株式会社)、マントン・ゴーリンホミジナイザー(ゴーリン社)、ナノマイザー(ナノマイザー株式会社)、スタティックミキサー(ノリタケカンパニー)などの連続式乳化分散機等が利用できる。
なお、目的に応じて、結着樹脂分散液に、既述したような離型剤、内添剤、帯電制御剤、無機粉体等のその他の成分が分散させておいても良い。
また、結着樹脂、着色剤、離型剤以外のその他の成分の分散液を調整する場合、この分散液中に分散する粒子の体積平均粒径としては、通常1μm以下であることが好ましく、0.01〜0.5μmであることがより好ましい。体積平均粒径が1μmを超えると、最終的に得られるトナーの粒径分布が広くなったり、遊離粒子の発生が生じ、性能や信頼性の低下を招きやすくなる場合がある。一方、体積平均粒径が前記範囲内にあると前記欠点がない上、トナー間の偏在が減少し、トナー中の分散が良好となり性能や信頼性のばらつきが小さくなる点で有利である。
−凝集粒子形成工程−
凝集粒子形成工程においては、樹脂粒子分散液の他に、通常は着色剤分散液を加え、必要に応じて添加されるその他の分散液(例えば、離型剤を分散させた離型剤分散液等)を少なくとも混合して得られた原料分散液に対して、凝集剤を更に添加して加熱し、これらの粒子を凝集させた凝集粒子を形成する。なお、樹脂粒子が結晶性ポリエステル等の結晶性樹脂である場合には、結晶性樹脂の融点付近の温度で、且つ、融点以下の温度にて加熱し、これらの粒子を凝集させた凝集粒子を形成する。
凝集粒子の形成は、回転せん断型ホモジナイザーで攪拌下、室温で凝集剤を添加し、原料分散液のpHを酸性にすることによってなされる。また、加熱による急凝集を抑える為に、室温で攪拌混合している段階でpH調整を行ない、必要に応じて分散安定剤を添加することが好ましい。
凝集粒子形成工程に用いられる凝集剤は、原料分散液に添加される分散剤として用いる界面活性剤と逆極性の界面活性剤、すなわち無機金属塩の他、2価以上の金属錯体を好適に用いることができる。特に、金属錯体を用いた場合には界面活性剤の使用量を低減でき、帯電特性が向上するため特に好ましい。
また、凝集剤の金属イオンと錯体もしくは類似の結合を形成する添加剤を必要に応じて用いることができる。この添加剤としては、キレート剤が好適に用いられる。
ここで、無機金属塩としては、例えば、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムなどの金属塩、および、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、多硫化カルシウム等の無機金属塩重合体などが挙げられる。その中でも特に、アルミニウム塩およびその重合体が好適である。よりシャープな粒度分布を得るためには、無機金属塩の価数が1価より2価、2価より3価、3価より4価の方が、また、同じ価数であっても重合タイプの無機金属塩重合体の方が、より適している。
また、キレート剤としては、水溶性のキレート剤を用いることが好ましい。非水溶性のキレート剤では、原料分散液中への分散性に乏しく、トナー中において凝集剤に起因する金属イオンの捕捉が充分になされなくなる場合がある。
キレート剤としては、公知の水溶性キレート剤であれば特に限定されないが、例えば、酒石酸、クエン酸、グルコン酸などのオキシカルボン酸、イミノジ酸(IDA)、ニトリロトリ酢酸(NTA)、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)などを好適に用いることができる。
キレート剤の添加量としては、結着樹脂100質量部に対して0.01から5.0質量部の範囲内であることが好ましく、0.1〜3.0質量部であることがより好ましい。キレート剤の添加量が0.01質量部未満であるとキレート剤添加の効果が発現しなくなる場合がある。一方、5.0質量部を超えると、帯電性に悪影響を及ぼす他、トナーの粘弾性も劇的に変化するため、低温定着性や画像光沢性に悪影響を与える場合がある。
なお、キレート剤は、凝集粒子形成工程や被覆層形成工程の実施中や実施前後において添加されるものであるが、添加に際して原料分散液の温度調整は必要なく、室温のまま加えてもよいし、凝集粒子形成工程や被覆層形成工程での槽内温度に調節した上で加えてもどちらでもよい。
−被覆層形成工程−
凝集粒子形成工程を経た後には、必要であれば被覆層形成工程を実施してもよい。被覆層形成工程では、上記した凝集粒子形成工程を経て形成された凝集粒子の表面に、被覆層形成用の樹脂粒子を付着させることにより被覆層を形成する。これにより、いわゆるコアシェル構造を有するトナーを得ることができる。
被覆層の形成は、凝集粒子形成工程において凝集粒子(コア粒子)を形成した原料分散液中に、通常、非結晶性樹脂粒子を含む樹脂粒子分散液を追添加することにより行うことができる。
なお、被覆層形成工程を終えた後は、融合工程が実施されるが、被覆層形成工程と融合工程とを交互に繰り返し実施することにより、被覆層を多段階に分けて形成することもできる。
−融合工程−
凝集粒子形成工程、あるいは、凝集粒子形成工程および被覆層形成工程を経た後に実施される融合工程は、これらの工程を経て形成された凝集粒子を含む懸濁液のpHを6.5〜8.5程度の範囲にすることにより、凝集の進行を停止させる。
そして、凝集の進行を停止させた後、加熱を行うことにより凝集粒子を融合させる。なお、結着樹脂として結晶性樹脂を用いている場合には、結着樹脂の融点以上の温度で加熱を行うことにより凝集粒子を融合させる。
−洗浄、乾燥工程等−
凝集粒子の融合工程を終了した後、任意の洗浄工程、固液分離工程、乾燥工程を経て所望のトナー粒子を得るが、洗浄工程は塩酸、硫酸、硝酸等の強酸の水溶液でトナー母粒子に付着した分散剤を除去後、ろ液が中性になるまでイオン交換水などで十分に洗浄することが望ましい。また、固液分離工程には特に制限はないが、生産性の点から吸引濾過、加圧濾過等が好適である。さらに、乾燥工程も特に制限はないが、生産性の点から凍結乾燥、フラッシュジェット乾燥、流動乾燥、振動型流動乾燥等が好ましく用いられる。
乾燥工程では、通常の振動型流動乾燥法、スプレードライ法、凍結乾燥法、フラッシュジェット法など、任意の方法を採用することができる。この際、トナー母粒子の乾燥後の含水分率が1.0質量%以下に調整することが好ましく、0.5%以下に調整することがより好ましい。
また、乾燥後のトナー母粒子には、既述したような種々の外添剤を必要に応じて添加することができる。
<静電荷像現像用現像剤>
本発明の静電荷像現像用現像剤(以下、「現像剤」と称す)は、本発明のトナーを含むものであれば特に限定されず一成分現像剤あるいは二成分現像剤のいずれであってもよい。二成分現像剤として用いる場合にはトナーと、キャリアとを混合して使用することができる。
二成分現像剤に使用し得るキャリアとしては、特に制限はなく、公知のキャリアを用いることができる。例えば酸化鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物や、これら芯材表面に樹脂被覆層を有する樹脂コートキャリア、磁性分散型キャリア等を挙げることができる。またマトリックス樹脂に導電材料などが分散された樹脂分散型キャリアであってもよい。
キャリアに使用される被覆樹脂・マトリックス樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、オルガノシロキサン結合からなるストレートシリコーン樹脂またはその変性品、フッ素樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
導電材料としては、金、銀、銅といった金属やカーボンブラック、更に酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム、酸化スズ、カーボンブラック等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
またキャリアの芯材としては、鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物、ガラスビーズ等が挙げられるが、キャリアを磁気ブラシ法に用いるためには、磁性材料であることが好ましい。
キャリアの芯材の体積平均粒径としては、一般的には10〜500μmであり、好ましくは30〜100μmである。
またキャリアの芯材の表面に樹脂被覆するには、前記被覆樹脂、および必要に応じて各種添加剤を適当な溶媒に溶解した被覆層形成用溶液により被覆する方法が挙げられる。溶媒としては、特に限定されるものではなく、使用する被覆樹脂、塗布適性等を勘案して適宜選択すればよい。
具体的な樹脂被覆方法としては、キャリアの芯材を被覆層形成用溶液中に浸漬する浸漬法、被覆層形成用溶液をキャリアの芯材表面に噴霧するスプレー法、キャリアの芯材を流動エアーにより浮遊させた状態で被覆層形成用溶液を噴霧する流動床法、ニーダーコーター中でキャリアの芯材と被覆層形成溶液とを混合し、溶剤を除去するニーダーコーター法が挙げられる。
前記二成分現像剤における本発明のトナーと上記キャリアとの混合比(重量比)としては、トナー:キャリア=1:100〜30:100程度の範囲であり、3:100〜20:100程度の範囲がより好ましい。
<画像形成方法>
本発明の現像剤は、公知の電子写真方式の画像形成方法に利用できるが、特に静電潜像保持体のクリーニング手段としてクリーニングブレードを用いた画像形成方法において利用することが好適である。
画像形成方法は、具体的には、一方向に回転する静電潜像保持体表面を帯電する帯電工程と、帯電された前記静電潜像保持体表面に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、本発明の現像剤により前記静電潜像保持体表面に形成された前記静電潜像を現像してトナー像を形成する現像工程と、前記トナー像を前記静電潜像保持体表面から記録媒体に転写する転写工程と、前記静電潜像保持体表面と接触して配置されたクリーニングブレードにより、前記トナー像を前記記録媒体に転写した後の前記静電潜像保持体表面をクリーニングするクリーニング工程と、前記記録媒体に転写された前記トナー像を定着する定着工程とを有することが好ましい。
加えて、上述した工程以外にも必要に応じて転写後の静電潜像保持体表面を除電する除電工程等の公知の工程が含まれていてもよい。また、転写工程は、静電潜像保持体から中間転写体を介して記録媒体へとトナー像を転写するいわゆる中間転写方式であってもよい。なお、トナー像の現像に際しては、通常は、現像剤を収納すると共に、静電潜像保持体表面に、一方向に回転しながら前記現像剤を供給する現像剤搬送部材と、現像剤搬送部材表面と微小な隙間を形成するように保つように現像剤搬送部材表面に対向配置された現像剤規制部材とを有する現像機(トナー像形成手段)が利用される。
本発明の画像形成方法を利用すれば、クリーニングブレードへの固着を抑制できるため、長期に渡ってクリーニング不良に起因する画像欠陥の発生を抑制できる。
なお、トナー像の現像に際しては、公知のトナー像現像手段(現像機)が利用できるが、現像機としては、例えば、現像剤を収納すると共に、静電潜像保持体表面に、一方向に回転しながら前記現像剤を供給する現像剤搬送部材と、現像剤搬送部材表面と微小な隙間を形成するように保つように現像剤搬送部材表面に対向配置された現像剤規制部材とを有する現像機(トナー像形成手段)を利用することができる。
上述したような現像剤搬送部材と現像剤規制部材とを少なくとも備えた現像機の使用を前提とした場合、現像剤に用いるトナーのトナー母粒子中のSn元素の含有量が2質量%以上であれば、トナー潰れに起因する画像形成装置内の汚染(特に現像剤搬送部材の周囲におけるトナー潰れに起因する汚染)や画像欠陥の発生を抑制できる。
さらに、現像剤に用いるトナーのトナー母粒子中のSn元素の含有量が4質量%以上であれば、トナー潰れに起因する画像形成装置内の汚染(特に、現像剤搬送部材の周囲のみならず、現像剤搬送部材と現像剤規制部材との隙間におけるトナー潰れに起因する汚染)や画像欠陥の発生をより一層抑制できる。
<静電荷像現像用現像剤用カートリッジ、画像形成装置、及びプロセスカートリッジ>
また、本発明の現像剤は、公知の静電荷像現像用現像剤用カートリッジ、画像形成装置、及びプロセスカートリッジに利用できる。
なお、本発明の静電荷像現像用現像剤カートリッジ(以下、「カートリッジ」と略す場合がある)は、
一方向に回転する静電潜像保持体と、前記静電潜像保持体表面に形成された静電潜像を現像剤により現像して前記静電潜像保持体表面にトナー像を形成するトナー像形成手段と、前記トナー像を前記静電潜像保持体表面から記録媒体に転写する転写手段と、前記静電潜像保持体表面と接触して配置され、且つ、前記トナー像を前記記録媒体に転写した後の前記静電潜像保持体表面をクリーニングするクリーニングブレードと、を備えた画像形成装置に対して脱着可能であり、前記トナー像形成手段に供給するための現像剤を収納するものである。なお、現像剤としては本発明の現像剤が用いられる。
ここで本発明のカートリッジは、本発明の現像剤を収納するカートリッジであっても良いし、キャリアを単独で収納するカートリッジと本発明のトナーを単独で収納するカートリッジとを別体としたものであってもよい。
また、本発明の現像剤は、公知の電子写真方式の画像形成装置であれば特に制限なく利用できるが、特に静電潜像保持体のクリーニング手段としてクリーニングブレードを備えた画像形成装置において利用することが特に好ましい。
このような画像形成装置としては、具体的には、一方向に回転する静電潜像保持体と、前記静電潜像保持体表面を帯電する帯電手段と、帯電された前記静電潜像保持体表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、本発明の現像剤を収納すると共に前記静電潜像保持体表面に形成された静電潜像に前記静電荷像現像用現像剤を供給してトナー像を形成するトナー像形成手段と、前記トナー像を前記静電潜像保持体表面から記録媒体に転写する転写手段と、前記静電潜像保持体表面と接触して配置され、且つ、前記トナー像を前記記録媒体に転写した後の前記静電潜像保持体表面をクリーニングするクリーニングブレードと、前記記録媒体に転写された前記トナー像を定着する定着手段とを有するものであることが好ましい。
なお、本発明の画像形成装置は、その他必要に応じて除電手段等を含んでいていても良い。
本発明のプロセスカートリッジは、画像形成装置に対して脱着可能であり、一方向に回転する静電潜像保持体と、本発明の現像剤を収納すると共に前記静電潜像保持体表面に形成された静電潜像に前記現像剤を供給してトナー像を形成するトナー像形成手段と、前記静電潜像保持体表面と接触して配置され、且つ、前記トナー像を前記記録媒体に転写した後の前記静電潜像保持体表面をクリーニングするクリーニングブレードと、を備えたものである。なお、必要に応じて、帯電手段や、除電手段等から選択される少なくとも一種を備えることが更に好ましい。
なお、本発明のトナーは、クリーニングブレードへの固着が抑制できることから、既述したように、静電潜像保持体表面のクリーニングにクリーニングブレードを利用する画像形成方法や、画像形成装置、プロセスカートリッジに用いられることが好適である。これに加えて、従来のポリエステル樹脂とSn元素とを含むトナーと比べて、クリーニングブレードを静電潜像保持体表面に強く押し当てなくても優れたクリーニング性を確保することが容易であるため、結果として、クリーニング性を確保しつつ、静電潜像保持体表面の磨耗を抑制し、その寿命をより延長することが容易である。
それゆえ、クリーニングブレードの静電潜像保持体表面に対する押圧力は、0.2g/mm以上2.0g/mm以下の範囲内であることが好ましく、0.2g/mm以上1.5g/mm以下の範囲内であることがより好ましい。
押圧力が、0.2g/mm未満の場合には、押圧力が不足し過ぎてクリーニング不良が発生してしまう場合がある。また、押圧力が、2.0g/mmを超える場合には、静電潜像保持体表面の磨耗が促進され、その寿命を従来よりも延長することが困難となる場合がある。
また、トナーの現像に用いられるトナー像現像手段(現像機)としては、公知の構成を有するものが利用できる。しかし、本発明のトナーは、トナー母粒子中におけるSn元素の含有量が増加するほど(特に含有量が2質量%以上において)、トナーの機械的強度が向上してトナー潰れの発生が抑制できるため、トナーに対する機械的ストレスが加わり易い構成の現像機中で用いられることが好適である。
このような構成を有する現像機としては、例えば、現像剤を収納すると共に、静電潜像保持体表面に、一方向に回転しながら前記現像剤を供給する現像剤搬送部材と、現像剤搬送部材表面と微小な隙間を形成するように保つように現像剤搬送部材表面に対向配置された現像剤規制部材とを有する現像機が挙げられる。
このような構成を有する現像機において、現像剤搬送部材表面と現像剤規制部材との距離が20mm以下の場合は、理由は定かではないものの外添剤をトナー表面から脱離させることなくトナー表面に露出している離型剤成分が剥離し現像機内において凝集塊を発生しにくいというメリットがあるが、その反面極めて強い機械的ストレスが現像剤に加わり、トナー潰れが発生しやすくなる傾向にある。しかし、機械的強度のより優れた本発明のトナー(トナー母粒子中のSn含有量が4.0質量%以上6.0質量%以下のトナー)を用いれば、上述したメリットを享受できる一方で、トナー潰れの発生を抑制できる。
なお、現像剤搬送部材表面と現像剤規制部材との距離は20mm以下であることが好ましく、15mm以下であることがより好ましいが、小さすぎる場合は、トナー潰れが発生して装置内の汚染や画像欠陥が発生してしまう場合がある。このため現像剤搬送部材表面と現像剤規制部材との距離の下限値は、実用上は0.2mm以上であることが好ましい。
また、高速化という観点からは、現像剤搬送部材の周速は大きければ大きいほど好ましいが、現像剤搬送部材の周速増加に伴い、トナー潰れが発生しやすくなる傾向にある。しかし、機械的強度のより優れた本発明のトナー(トナー母粒子中のSn含有量が4.0質量%以上6.0質量%以下のトナー)を用いれば、高速化を達成できる一方で、トナー潰れの発生を抑制できる。
この観点からは、現像剤搬送部材の周速は300mm/s以上が好ましく、400mm/s以上がより好ましい。周速が300mm/s未満では高速な画像形成が困難となる場合がある。なお、高速化達成の観点からは現像剤搬送部材の周速は大きいほど好ましいが、大きすぎると、本発明のトナー(トナー母粒子中のSn含有量が4.0質量%以上6.0質量%以下のトナー)を用いてもトナー潰れが発生する場合がある。このため、現像剤搬送部材の周速は実用上600mm/s以下であることが好ましい。
以下、本発明のカートリッジ、画像形成装置、及びプロセスカートリッジの具体例について、図面を用いて具体的に説明する。
図1は、本発明の画像形成装置の好適な一実施形態(第一実施形態)の基本構成を概略的に示す断面図である。図1に示す画像形成装置は、本発明のカートリッジを備えた構成となっている。
図1に示す画像形成装置10は、静電潜像保持体12、帯電手段14、静電潜像形成手段16、トナー像形成手段18、転写手段20、クリーニング手段22、除電手段24、定着手段26、カートリッジ28を備える。
なお、トナー像形成手段18中に収納される現像剤およびカートリッジ28中に収納される補給用現像剤は、本発明の現像剤である。
また図1は便宜上、本発明の現像剤を収納したトナー像形成手段18およびカートリッジ28を一つずつ備えた構成のみを図示しているが、例えばカラー画像形成装置の場合などは、画像形成装置に応じた数のトナー像形成手段18およびカートリッジ28を備えた構成をとることも可能である。
図1示す画像形成装置は、カートリッジ28の着脱が可能な構成を有する画像形成装置であり、カートリッジ28は、現像剤供給管30を通してトナー像形成手段18に接続されている。よって画像形成を行う際は、カートリッジ28の中に収納されている本発明の現像剤が、現像剤供給菅30を通してトナー像形成手段18に供給されることにより、長期間にわたり、本発明の現像剤を用いた画像を形成することができる。また、カートリッジ28の中に収納されている現像剤が少なくなった場合には、このカートリッジ28を交換することができる。
静電潜像保持体12の周囲には、静電潜像保持体12の回転方向(矢印A方向)に沿って順に、静電潜像保持体12表面を帯電させる帯電手段14、画像情報に応じて静電潜像保持体12表面に静電潜像を形成させる静電潜像形成手段16、形成された静電潜像に本発明の現像剤を供給するトナー像形成手段18、静電潜像保持体12表面に接触し静電潜像保持体12の矢印A方向への回転に伴い矢印B方向に従動回転することができるドラム状の転写手段20、静電潜像保持体12表面に接触するクリーニング手段22、静電潜像保持体12表面を除電する除電手段24が配置されている。
静電潜像保持体12と転写手段20との間隙は、矢印C方向と反対側から不図示の搬送手段により矢印C方向に搬送される記録媒体50が挿通可能である。静電潜像保持体12の矢印C方向側には加熱源(不図示)を内蔵した定着手段26が配置され、定着手段26には圧接部32が設けられている。また、静電潜像保持体12と転写手段20との間隙を通過した記録媒体50は、この圧接部32を矢印C方向へと挿通可能である。
静電潜像保持体12としては、例えば感光体または誘電記録体等が使用できる。
感光体としては例えば、単層構造の感光体または多層構造の感光体等を用いることができる。また感光体の材質としては、セレンやアモルファスシリコン等の無機感光体や、有機感光体等が考えられる。
帯電手段14としては、例えば、導電性または半導電性のローラー、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触帯電装置、コロナ放電を利用したコロトロン帯電やスコロトロン帯電などの非接触型の帯電装置等、公知の手段を使用することができる。
静電潜像形成手段16としては、例えば、露光手段の他に、トナー像を記録媒体表面の所望の位置に形成しうる信号を形成できる、従来公知のいずれの手段を使うこともできる。
露光手段としては、例えば、半導体レーザー及び走査装置の組み合わせ、光学系からなるレーザー走査書き込み装置、あるいは、LEDヘッドなど、従来公知の露光手段を使用することができる。均一で、解像度の高い露光像を作るという好ましい態様を実現させるためには、レーザー走査書き込み装置またはLEDヘッドを使うことが好ましい。
転写手段20としては、具体的には例えば、電圧を印加した導電性または半導電性のローラー、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等を用いて、静電潜像保持体12と記録媒体50との間に電界を作り、帯電したトナーの粒子からなるトナー像を転写する手段や、コロナ放電を利用したコロトロン帯電器やスコロトロン帯電器などで記録媒体50の裏面をコロナ帯電して、帯電したトナーの粒子からなるトナー像を転写する手段など、従来公知の手段を使用することができる。
また転写手段20として、二次転写手段を用いることもできる。すなわち、図示しないが二次転写手段は、トナー像を一旦中間転写体に転写した後、中間転写体から記録媒体50にトナー像を二次転写する手段である。
ここで、クリーニング手段22としてはクリーニングブレードが用いられる。また、除電手段24としては例えば、タングステンランプ、LEDなどが挙げられる。
定着手段26としては、例えば加熱ロールと加圧ロールとからなる加熱加圧によりトナー像を定着する熱定着器や、フラッシュランプ等による光照射によりトナー像を加熱して定着する光定着器などが利用できる。
加熱ロールまたは加圧ロール等のロール表面を形成する材料は、トナーを付着させない目的で、例えばトナーに対して離型性の優れた材料、シリコ−ンゴムやフッ素系樹脂などであることが好ましい。
記録媒体50としては、特に制限はなく、普通紙や光沢紙等をはじめとする従来公知のものが利用できる。また記録媒体は、基材と基材上に形成された受像層を有するものを利用することもできる。
次に、画像形成装置10を用いた画像形成について説明する。まず、静電潜像保持体12の矢印A方向への回転に伴い、帯電手段14により静電潜像保持体12表面を帯電し、帯電された静電潜像保持体12表面に静電潜像形成手段16により画像情報に応じた静電潜像を形成し、この静電潜像が形成された静電潜像保持体12表面に、静電潜像の色情報に応じてトナー像形成手段18から本発明の現像剤Pを供給することによりトナー像を形成する。
次に、静電潜像保持体12表面に形成されたトナー像は、静電潜像保持体12の矢印A方向への回転に伴い、静電潜像保持体12と転写手段20との接触部に移動する。この際、接触部を、記録媒体50が、不図示の用紙搬送ロールにより矢印C方向に挿通され、静電潜像保持体12と転写手段20との間に印加された電圧により、静電潜像保持体12表面に形成されたトナー像が接触部にて記録媒体50表面に転写される。
トナー像を転写手段20に転写した後の静電潜像保持体12の表面は、クリーニング手段22のクリーニングブレードによって残留しているトナーが除去され、除電手段24により除電される。
このようにしてトナー像がその表面に転写された記録媒体50は、定着手段26の圧接部32に搬送され、圧接部32を通過する際に、内蔵された加熱源(不図示)によってその圧接部32の表面が加熱された定着手段26によって加熱される。この際、トナー像が記録媒体50表面に定着されることにより画像が形成される。
図2は、本発明の画像形成装置の他の好適な一実施形態(第二実施形態)の基本構成を概略的に示す断面図である。図2に示す画像形成装置は、本発明のプロセスカートリッジを備えた構成となっている。
図2に示す画像形成装置200は、画像形成装置本体(図示せず)に脱着可能に配設されるプロセスカートリッジ210と、静電潜像形成手段216と、転写手段220と、定着手段226とを備えている。
プロセスカートリッジ210は、静電潜像形成のための開口部211Aが設けられた筐体211内に静電潜像保持体212と共に、その周囲に帯電手段214、トナー像形成手段218、及びクリーニングブレードを有するクリーニング手段222を取り付けレール(図示せず)により組み合わせて一体化したものである。
一方、静電潜像形成手段216は、プロセスカートリッジ210の筐体211の開口部211Aから静電潜像保持体212に静電潜像形成可能な位置に配置されている。また、転写手段220は静電潜像保持体212に対向する位置に配置されている。
静電潜像保持体212、帯電手段214、静電潜像形成手段216、トナー像形成手段218、転写手段220、クリーニング手段222、定着手段226、及び記録媒体250における個々の詳細については、上記図1の画像形成装置10における静電潜像保持体12、帯電手段14、静電潜像形成手段16、トナー像形成手段18、転写手段20、クリーニング手段22、定着手段26、及び記録媒体50と同様である。
また図2の画像形成装置200を用いた画像形成についても、上記図1の画像形成装置10を用いた画像形成と同様である。
図3は、本発明の画像形成装置内に配置された現像機の好適な一実施形態の基本構成を概略的に示す断面図である。ここで、図中、400は現像機、410は筐体、412は現像剤搬送部材、414は現像剤規制部材、416は開口部、500は静電潜像保持体を現す。
図3に示される現像機400は、静電潜像保持体500に対面する位置に開口部416を設けた筐体410と、筐体410内の開口部416側に静電潜像保持体500と微小な隙間を形成するように静電潜像保持体500に対向して配置された現像剤搬送部材412と、上端部が筐体410の上面内壁に固定され下端部が現像剤搬送部材412の頂上部と微小な隙間を形成するように現像剤搬送部材412に対向して配置された現像剤規制部材414とを備えた構成を有するものである。なお、説明の都合上、現像機400内のその他の部材(例えば、現像剤攪拌機など)や、現像機400内に収納された現像剤については記載を省略してある。
ここで、現像工程におけるトナー像の形成は、以下のように行われる。まず、現像剤搬送部材412の矢印B方向(図中反時計周り方向)への回転によって、現像剤が、現像剤搬送部材412と現像剤規制部材414との隙間まで搬送され、この隙間を通過する際に、現像剤が隙間に対応する厚みを有する層となるよに厚みが均一化される。
そして、現像剤搬送部材412上で層状にされた現像剤は、現像剤搬送部材412の回転により、矢印A方向(図中時計周り方向)に回転する静電潜像保持体500と対向する位置にまで搬送される。この際、静電潜像保持体500と現像剤搬送部材412との間に形成された電場勾配によって現像剤中のトナーが現像剤搬送部材412から静電潜像保持体500へと静電的に移動し、帯電手段(不図示)により帯電された後、画像情報に応じたレーザー光等の照射によって静電潜像保持体500に形成された静電潜像に対応するように、静電潜像保持体500表面にトナー像が形成される。
以下に、本発明を実施例を挙げてより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
なお、以下の説明において、結着樹脂の重量平均分子量は以下の条件で測定したものである。
GPCは「HLC−8120GPC、SC−8020(東ソー(株)社製)装置」を用い、カラムは「TSKgel、SuperHM−H(東ソー(株)社製6.0mmID×15cm)」を2本用い、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いた。実験条件としては、試料濃度0.5%、流速0.6ml/min、サンプル注入量10μl、測定温度40℃、IR検出器を用いて実験を行った。ま た、検量線は東ソー社製「polystylene標準試料TSK standard」:「A−500」、「F−1」、「F−10」、「F−80」、「F−380」、「A−2500」、「F−4」、「F−40」、「F−128」、「F−700」の10サンプルから作製した。
−結晶性樹脂粒子分散液(1)の調製−
加熱乾燥した三口フラスコに、1,10−ドデカン二酸225質量部、1,9−ノナンジオール160質量部、触媒としてジブチル錫オキサイド0.8質量部とを入れ、その後減圧操作により、三口フラスコ内の空気を窒素に置換して不活性雰囲気下として、機械攪拌により180℃、5時間攪拌し、且つ還流して反応を進行させた。反応の間、反応系内において生成した水を留去した。その後、減圧下において、230℃まで徐々に昇温し、2時間攪拌して粘稠な状態となったところでGPCにて分子量を確認し、重量平均分子量が29000になったところで、減圧蒸留を停止し結晶性ポリエステル樹脂を得た。
ついで、この結晶性ポリエステル樹脂100質量部と、メチルエチルケトン40質量部、イソプロピルアルコール30質量部をセパラブルフラスコに入れ、これを75℃で充分混合、溶解した後、10質量%アンモニア水溶液を6.0質量部滴下した。
加熱温度を60℃に下げ、攪拌しながらイオン交換水を送液ポンプを用いて送液速度6g/minで滴下し、液が均一に白濁したのち、送液速度25g/minに上げ、総液量が400質量部になったところで、イオン交換水の滴下を止めた。その後、減圧下で溶媒を除去を行い、結晶性樹脂粒子分散液(1を得た。得られた結晶性樹脂粒子の体積平均粒径は168nm、樹脂粒子の固形分濃度は11.5質量%であった。
−結晶性樹脂粒子分散液(2)の調製−
結晶性樹脂粒子分散液(1)の調整において、触媒であるジブチル錫オキサイドを1.4質量部とした以外は全て同様の操作を実施し、結晶性樹脂粒子分散液(2)を得た。
−結晶性樹脂粒子分散液(3)の調製−
結晶性樹脂粒子分散液(1)の調整において、触媒であるジブチル錫オキサイドを0.6質量部とした以外は全て同様の操作を実施し、結晶性樹脂粒子分散液(3)を得た。
−結晶性樹脂粒子分散液(4)の調製−
結晶性樹脂粒子分散液(1)の調整において、触媒であるジブチル錫オキサイドを1.6質量部とした以外は全て同様の操作を実施し、結晶性樹脂粒子分散液(4)を得た。
−結晶性樹脂粒子分散液(5)の調整−
結晶性樹脂粒子分散液(1)の調整において、触媒であるジブチル錫オキサイドの代わりにジブチル錫ジラウレートとした以外は全て同様の操作を実施し、結晶性樹脂粒子分散液(5)を得た。
−結晶性樹脂粒子分散液(6)の調整−
結晶性樹脂粒子分散液(2)の調整において、触媒であるジブチル錫オキサイドの代わりにジブチル錫ジラウレートとした以外は全て同様の操作を実施し、結晶性樹脂粒子分散液(6)を得た。
−結晶性樹脂粒子分散液(7)の調整−
結晶性樹脂粒子分散液(3)の調整において、触媒であるジブチル錫オキサイドの代わりにジブチル錫ジラウレートとした以外は全て同様の操作を実施し、結晶性樹脂粒子分散液(7)を得た。
−結晶性樹脂粒子分散液(8)の調整−
結晶性樹脂粒子分散液(4)の調整において、触媒であるジブチル錫オキサイドの代わりにジブチル錫ジラウレートとした以外は全て同様の操作を実施し、結晶性樹脂粒子分散液(8)を得た。
−非結晶性樹脂粒子分散液(1)の調製−
ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物320質量部、テレフタル酸120質量部、フマル酸15質量部、ドデセニルコハク酸60質量部、ジブチル錫オキサイド0.8質量部を加熱乾燥した三口フラスコに入れた後、減圧操作により容器内の空気を減圧し、さらに窒素ガスにより不活性雰囲気下とし、機械攪拌にて180℃で5時間還流を行った。
その後、フラスコ内に生成した水を減圧蒸留にて留去しながら、240℃まで徐々に昇温を行った。さらに240℃で3時間脱水縮合反応を継続し、粘稠な状態となったところでGPCにて分子量を確認し、重量平均分子量32000になったところで、減圧蒸留を停止し非結晶性ポリエステル樹脂を得た。
ついで、この非結晶性ポリエステル樹脂100質量部と、メチルエチルケトン50質量部と、イソプロピルアルコール30質量部、10質量%アンモニア水溶液5質量部とをセパラブルフラスコに入れ、充分に混合して溶解した後、40℃で加熱攪拌しながら、イオン交換水を送液ポンプを用いて送液速度8g/minで滴下した。
フラスコ内の溶液が均一に白濁した後、送液速度25g/minに上げて転相させ、送液量が135質量部になったところで滴下を止めた。その後減圧下で溶剤除去を行い、非結晶性樹脂粒子分散液(1)を得た。得られたポリエステル樹脂粒子の体積平均粒径は156nm、樹脂粒子の固形分濃度は38質量%であった。
−非結晶性樹脂粒子分散液(2)の調製−
非結晶性樹脂粒子分散液(1)の調製において、ジブチル錫オキサイドの添加量を1.4質量部とした以外は同様の操作を実施し、非結晶性樹脂粒子分散液(2)を得た。
−非結晶性樹脂粒子分散液(3)の調製−
非結晶性樹脂粒子分散液(1)の調製において、ジブチル錫オキサイドの添加量を0.6質量部とした以外は同様の操作を実施し、非結晶性樹脂粒子分散液(3)を得た。
−非結晶性樹脂粒子分散液(4)の調製−
非結晶性樹脂粒子分散液(1)の調製において、ジブチル錫オキサイドの添加量を1.6質量部とした以外は同様の操作を実施し、非結晶性樹脂粒子分散液(4)を得た。
−非結晶性樹脂粒子分散液(5)の調製−
非結晶性樹脂粒子分散液(1)の調製において、ジブチル錫オキサイドの代わりにジブチル錫ジラウレートを用いた以外は同様の操作を実施し、非結晶性樹脂粒子分散液(5)を得た。
−非結晶性樹脂粒子分散液(6)の調製−
非結晶性樹脂粒子分散液(2)の調製において、ジブチル錫オキサイドの代わりにジブチル錫ジラウレートを用いた以外は同様の操作を実施し、非結晶性樹脂粒子分散液(6)を得た。
−非結晶性樹脂粒子分散液(7)の調製−
非結晶性樹脂粒子分散液(3)の調製において、ジブチル錫オキサイドの代わりにジブチル錫ジラウレートを用いた以外は同様の操作を実施し、非結晶性樹脂粒子分散液(7)を得た。
−非結晶性樹脂粒子分散液(8)の調製−
非結晶性樹脂粒子分散液(4)の調製において、ジブチル錫オキサイドの代わりにジブチル錫ジラウレートを用いた以外は同様の操作を実施し、非結晶性樹脂粒子分散液(8)を得た。
−離型剤分散液(1)の調製−
・エステルワックスWEP5(日本油脂(株)製):500質量部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株):ネオゲンRK):50質量部
・イオン交換水:2000質量部
以上を110℃に加熱して、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザ(ゴ−リン社)で分散処理し、平均粒径が0.24μmである離型剤を分散させてなる離型剤分散液(1)(離型剤濃度:23質量%)を調製した。
−着色剤分散液(1)の調製−
・シアン顔料(大日精化(株)製、Pigment Blue 15:3(銅フタロシアニン)):100質量部
・アニオン界面活性剤(第一工業製薬社製:ネオゲンR):15質量部
・イオン交換水:900質量部
以上を混合し、溶解し、高圧衝撃式分散機アルティマイザー((株)スギノマシン製、HJP30006)を用いて約1時間分散して着色剤(シアン顔料)を分散させてなる着色剤分散液(1)を調製した。
着色剤分散液(1における着色剤(シアン顔料)の平均粒径は、0.13μm、着色剤粒子濃度は25質量%であった。
<実施例1>
−トナー1の作製−
・結晶性樹脂粒子分散液(1):152質量部
・非結晶性樹脂粒子分散液(1):129質量部
・着色剤分散液(1):28質量部
・アニオン性界面活性剤(dowfax2A1、20質量%水溶液):8質量部
・離型剤分散液(1):60質量部
pHメーター、攪拌羽、温度計を具備した重合釜に、上記原料のうち、結晶性樹脂粒子分散液(1)、非結晶性樹脂粒子分散液(1)、アニオン性界面活性剤及びイオン交換水340質量部を入れ、150rpmで15分間攪拌した。
続いて、着色剤分散液(1)および離型剤分散液(1)を加え混合した後、この原料混合物に0.3Mの硝酸水溶液を加えて、pHを4.2に調製した原料分散液を得た。
ついで、原料分散液をUltraturraxにより3000rpmでせん断力を加えながら、凝集剤として硫酸アルミニウムを1質量%含む硝酸水溶液を27質量部滴下した。この凝集剤滴下の途中で、原料分散液の粘度が急激に増大するので、粘度上昇した時点で、滴下速度を緩め、凝集剤が一箇所に偏らないようにした。凝集剤の滴下が終了したら、さらに回転数5000rpmに上げて5分間攪拌した。
ついで原料分散液をマントルヒーターにて30℃に加温しながら350〜600rpmで攪拌した。30分攪拌後、コールターカウンター[TA−II]型(アパーチャー径:50μm;コールター社製)を用いて一次粒径が安定に形成するのを確認した後、凝集粒子を成長させるために0.1℃/分で42℃まで昇温した。凝集粒子の成長はコールターカウンターを用いて随時確認しつつ、その凝集速度によって、適宜凝集温度や攪拌の回転数を調整した。
一方、凝集粒子表面に被覆層を形成するために、非結晶性樹脂粒子分散液(1)110質量部に、イオン交換水30質量部、アニオン性界面活性剤(dowfax2A1 20%水溶液)4.2質量部及び、を加えて混合し、予めpH3.3に調製した溶液を準備した。
凝集粒子の体積平均粒径が5.2μmに成長したところで、予め調製した被覆層形成用の溶液を加え、攪拌しながら10分間保持した。その後、被覆層を形成した凝集粒子の成長を停止させるために、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)を前記重合釜に入っている分散液の総量に対し1.5pph添加した後、1モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を加え、原料分散液のpHを7.5に制御した。
ついで、凝集粒子を融合させるために、pHを7.5に調整しながら昇温速度1℃/minで85℃まで昇温した。85℃に達してからも、融合を進めるためにpHを7.5に調整し、光学顕微鏡で凝集粒子が融合したのを確認した後、粒径の成長を停止させる為に、氷水を注入して降温速度10℃/分で急冷した。
その後、得られた粒子を洗浄する目的で、目開き15μmメッシュで一度篩分した。続いて、固形分に対しておよそ10倍量のイオン交換水(30℃)を加え、20分攪拌した後、一旦濾過を行った。さらにろ紙上に残った固形分をスラリーに分散して、30℃のイオン交換水で4回繰り返し洗浄を行い、乾燥させ、体積平均粒径5.8μmのトナー母粒子1を得た。
その後、得られたトナー母粒子100質量部に対して、気相法シリカ(日本アエロジル社製、R972)1部をヘンシェルミキサー(25m/sで10分)で混合して外添し、トナー1を得た。
<実施例2>
−トナー2の作製−
トナー1の作製において、結晶性樹脂粒子分散液(1)の代わりに結晶性樹脂粒子分散液(2)、非結晶性樹脂粒子分散液(1)の代わりに非結晶性樹脂粒子分散液(2)を用いた他は同様の作業を行い、体積平均粒径5.8μmのトナー2を得た。
<実施例3>
−トナー3の作製−
トナー1の作製において結晶性樹脂粒子分散液(1)を用いず、非結晶性樹脂粒子分散液(1)を228質量部用いた以外は同様の作業を行い、体積平均粒径6.0μmのトナー3を得た。
<実施例4>
−トナー4の作製−
トナー3の作製において非結晶性樹脂粒子分散液(1)の代わりに非結晶性樹脂粒子分散液(2)を用いた以外は同様の作業を行い、体積平均粒径6.1μmのトナー4を得た。
<実施例5>
−トナー5の作製−
トナー1の作製において、結晶性樹脂粒子分散液(1)の代わりに結晶性樹脂粒子分散液(5)、非結晶性樹脂粒子分散液(1)の代わりに非結晶性樹脂粒子分散液(5)を用いた他は同様の作業を行い、体積平均粒径5.8μmのトナー5を得た。
<実施例6>
−トナー6の作製−
トナー1の作製において、結晶性樹脂粒子分散液(1)の代わりに結晶性樹脂粒子分散液(6)、非結晶性樹脂粒子分散液(1)の代わりに非結晶性樹脂粒子分散液(6)を用いた他は同様の作業を行い、体積平均粒径5.8μmのトナー6を得た。
<実施例7>
−トナー7の作製−
トナー1の作製において結晶性樹脂粒子分散液(1)を用いず、非結晶性樹脂粒子分散液(5)を228質量部用いた以外は同様の作業を行い、体積平均粒径6.0μmのトナー7を得た。
<実施例8>
−トナー8の作製−
トナー1の作製において結晶性樹脂粒子分散液(1)を用いず、非結晶性樹脂粒子分散液(6)を228質量部用いた以外は同様の作業を行い、体積平均粒径6.0μmのトナー8を得た。
<比較例1>
−トナー9の作製−
トナー1の作製において、結晶性樹脂粒子分散液(1)の代わりに結晶性樹脂粒子分散液(3)、非結晶性樹脂粒子分散液(1)の代わりに非結晶性樹脂粒子分散液(3)を用いた他は同様の作業を行い、体積平均粒径5.8μmのトナー9を得た。
<比較例2>
−トナー10の作製−
トナー1の作製において、結晶性樹脂粒子分散液(1)の代わりに結晶性樹脂粒子分散液(4)、非結晶性樹脂粒子分散液(1)の代わりに非結晶性樹脂粒子分散液(4)を用いた他は同様の作業を行い、体積平均粒径5.8μmのトナー10を得た。
<比較例3>
−トナー11の作製−
トナー1の作製において結晶性樹脂粒子分散液(1)を用いず、非結晶性樹脂粒子分散液(3)を228質量部用いた以外は同様の作業を行い、体積平均粒径6.0μmのトナー11を得た。
<比較例4>
−トナー12の作製−
トナー1の作製において結晶性樹脂粒子分散液(1)を用いず、非結晶性樹脂粒子分散液(4)を228質量部用いた以外は同様の作業を行い、体積平均粒径6.1μmのトナー12を得た。
<比較例5>
−トナー13の作製−
トナー1の作製において非結晶性樹脂粒子分散液(1)を用いず、結晶性樹脂粒子分散液(3)を228質量部用いたこと、融合工程でのpHを9.0としたこと以外は同様の作業を行い、体積平均粒径6.0μmのトナー13を得た。
<比較例6>
−トナー14の作製−
トナー1の作製において非結晶性樹脂粒子分散液(1)を用いず、結晶性樹脂粒子分散液(4)を228質量部用いた以外、融合工程でのpHを9.0としたこと以外は同様の作業を行い、体積平均粒径5.9μmのトナー14を得た。
<比較例7>
−トナー15の作製−
トナー1の作製において、結晶性樹脂粒子分散液(1)の代わりに結晶性樹脂粒子分散液(7)、非結晶性樹脂粒子分散液(1)の代わりに非結晶性樹脂粒子分散液(7)を用いた他は同様の作業を行い、体積平均粒径5.8μmのトナー15を得た。
<比較例8>
−トナー16の作製−
トナー1の作製において、結晶性樹脂粒子分散液(1)の代わりに結晶性樹脂粒子分散液(8)、非結晶性樹脂粒子分散液(1)の代わりに非結晶性樹脂粒子分散液(8)を用いた他は同様の作業を行い、体積平均粒径5.8μmのトナー16を得た。
<比較例9>
−トナー17の作製−
トナー1の作製において結晶性樹脂粒子分散液(1)を用いず、非結晶性樹脂粒子分散液(7)を228質量部用いた以外は同様の作業を行い、体積平均粒径6.0μmのトナー17を得た。
<比較例10>
−トナー18の作製−
トナー1の作製において結晶性樹脂粒子分散液(1)を用いず、非結晶性樹脂粒子分散液(8)を228質量部用いた以外は同様の作業を行い、体積平均粒径6.1μmのトナー18を得た。
<比較例11>
−トナー19の作製−
トナー1の作製において非結晶性樹脂粒子分散液(1)を用いず、結晶性樹脂粒子分散液(7)を228質量部用いた以外、融合工程でのpHを9.0としたこと以外は同様の作業を行い、体積平均粒径6.0μmのトナー19を得た。
<比較例12>
−トナー20の作製−
トナー1の作製において非結晶性樹脂粒子分散液(1)を用いず、結晶性樹脂粒子分散液(7)を228質量部用いた以外、融合工程でのpHを9.0としたこと以外は同様の作業を行い、体積平均粒径5.9μmのトナー20を得た。
<現像剤の調整>
トナー1〜20をそれぞれ8重量部とフェライト粒子を樹脂で被覆したキャリア(平均粒径35μm)100重量部とを混合して二成分現像剤を調製した。
<評価>
テストには画像形成装置として市販の電子写真複写機(富士ゼロックス社製 Docucentre Color a450)を用いた。この画像形成装置は、静電潜像保持体(感光体)のクリーニング手段としてクリーニングブレードを備えており、また、現像機は静電潜像保持体表面に、現像剤を供給する現像剤搬送部材と、この現像剤搬送部材表面に一定の微小な隙間を形成するように対向配置された現像剤規制部材と備えたものである。
続いて、この画像形成装置に得られた現像剤をセットした後、高温高湿下環境下(温度28℃、湿度85%)にて、A4サイズの用紙(富士ゼロックスオフィスサプライ社製、J紙)を用いて、用紙の全面に画像(画像密度100%)を連続10000枚形成した。
なお、画像形成時の定着温度は180℃に設定した。また、現像剤搬送部材と現像剤規制部材との間隔、現像剤搬送部材の周速、クリーニングブレードの押圧力については、必要に応じて適宜変更した。
続いて、クリーニング性、現像剤搬送部材におけるトナー潰れ、現像剤規制部材におけるトナー潰れ、装置内汚染、画質、感光体磨耗量について評価した。結果を、表1〜表3に示す。
Figure 2009069647
Figure 2009069647
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なお、表1〜表3中に示すクリーニング性、現像剤搬送部材におけるトナー潰れ、現像剤規制部材におけるトナー潰れ、装置内汚染、画質、感光体磨耗量の評価方法および評価基準は以下の通りである。
<クリーニング性の評価>
クリーニング性の評価は、画像形成テスト終了から1時間後に、クリーニングブレードを目視観察することにより実施した。評価基準は以下の通りである。
◎:クリーニングブレードへのトナーの固着は確認できず、実使用上問題無いレベル
○:クリーニングブレードへのトナーの固着が軽微に発生しているが、実使用の欠陥にはならないレベル。
△:クリーニングブレードへのトナーの固着が容易に確認でき、実使用上問題がある。
×:クリーニングブレードへのトナーの固着が著しい。
<現像剤搬送部材におけるトナー潰れ>
現像剤搬送部材におけるトナー潰れは、画像形成テスト終了から1時間後に、現像剤搬送部材の周囲(但し、現像剤規制部材近傍を除く)のトナーの潰れ具合を目視観察することにより実施した。評価基準は以下の通りである。
◎:現像剤搬送部材の周囲におけるトナー潰れは確認できない。
○:現像剤搬送部材の周囲におけるトナー潰れが軽微に発生しているのが確認される。
△:現像剤搬送部材の周囲におけるトナー潰れが容易に確認でき、実使用上問題がある。
×:現像剤搬送部材の周囲におけるトナー潰れが著しい。
<現像剤規制部材におけるトナー潰れ>
現像剤規制部材におけるトナー潰れは、画像形成テスト終了から1時間後に、現像剤規制部材の周囲のトナーの潰れ具合を目視観察することにより実施した。評価基準は以下の通りである。
◎:現像剤規制部材の周囲におけるトナー潰れは確認できない。
○:現像剤規制部材の周囲におけるトナー潰れが軽微に発生しているのが確認される。
△:現像剤規制部材の周囲におけるトナー潰れが容易に確認でき、実使用上問題がある。
×:現像剤規制部材の周囲におけるトナー潰れが著しい。
<画質>
画質は、画像形成テスト終了直前(10000枚目前後)に得られた印刷物を目視観察することにより評価した。評価基準は以下の通りである。
G1:画像欠損も非画像部への飛散も確認できない
G2:画像欠損も非画像部への飛散も若干みられるが、実使用上は許容される
G3:画像欠損も非画像部への飛散も確認でき、実使用上許容できない
G4:画像欠損も非画像部への飛散も著しく、実使用上明らかに許容できない
<感光体磨耗量>
感光体磨耗量は、試験前と試験後の感光体の膜厚を渦電流式の膜厚計で計測しその差分にて算出し、感光体1000cycle当りの感光体磨耗量として算出した。評価基準は以下の通りである。
◎:感光体磨耗量が20nm以下。
○:感光体磨耗量が20nmを超え100nm以下。
△:感光体磨耗量が100nmを超え150nm以下。
×:感光体磨耗量が150nmを超える。
本発明の画像形成装置の好適な一実施形態(第一実施形態)の基本構成を概略的に示す断面図である。 本発明の画像形成装置の他の好適な一実施形態(第二実施形態)の基本構成を概略的に示す断面図である。 本発明の画像形成装置内に配置された現像機の好適な一実施形態の基本構成を概略的に示す断面図である。
符号の説明
10、200 画像形成装置
12、212 静電潜像保持体
14、214 帯電手段
16、216 静電潜像形成手段
18、218 トナー像形成手段
20、220 転写手段
26、226 定着手段
28 カートリッジ
210 プロセスカートリッジ
400 現像機
410 筐体
412 現像剤搬送部材
414 現像剤規制部材
416 開口部
500 静電潜像保持体

Claims (13)

  1. ポリエステル樹脂と、Sn元素とを含むトナー母粒子を有し、
    前記トナー母粒子中のSn元素の含有量が、1.5質量%以上6.0質量%以下の範囲内であることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
  2. 前記ポリエステル樹脂を含む粒径1μm以下の粒子の存在割合が、トナー母粒子に対し1.0質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
  3. 前記トナー母粒子中のSn元素の含有量が、2.0質量%以上6.0質量%以下の範囲内であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の静電荷像現像用トナー。
  4. 前記トナー母粒子中のSn元素の含有量が、4.0質量%以上6.0質量%以下の範囲内であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナー。
  5. 請求項1〜4のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナーを含むことを特徴とする静電荷像現像用現像剤。
  6. 一方向に回転する静電潜像保持体と、
    前記静電潜像保持体表面を帯電する帯電手段と、
    帯電された前記静電潜像保持体表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
    請求項1〜4のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナーを含む現像剤を収納すると共に前記静電潜像保持体表面に形成された静電潜像に前記静電荷像現像用現像剤を供給してトナー像を形成するトナー像形成手段と、
    前記トナー像を前記静電潜像保持体表面から記録媒体に転写する転写手段と、
    前記静電潜像保持体表面と接触して配置され、且つ、前記トナー像を前記記録媒体に転写した後の前記静電潜像保持体表面をクリーニングするクリーニングブレードと、
    前記記録媒体に転写された前記トナー像を定着する定着手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
  7. 前記クリーニングブレードの前記静電潜像保持体表面に対する押圧力が、0.2g/cm以上2g/cm以下の範囲内であることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
  8. 前記トナー像形成手段が、
    請求項3または4に記載の静電荷像現像用トナーを含む現像剤を収納すると共に、
    前記静電潜像保持体表面に、一方向に回転しながら前記現像剤を供給する現像剤搬送部材を有することを特徴とする請求項6または請求項7に記載の画像形成装置。
  9. 前記トナー像形成手段が、
    請求項4に記載の静電荷像現像用トナーを含む現像剤を収納すると共に、
    前記静電潜像保持体表面に、一方向に回転しながら前記現像剤を供給する現像剤搬送部材と、
    該現像剤搬送部材表面からの距離が0.2mm以上20mm以下の間隔を保つように前記現像剤搬送部材表面に対向配置された現像剤規制部材とを有することを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
  10. 前記現像剤搬送部材の周速が、300mm/s以上600mm/s以下の範囲内であることを特徴とする請求項8または請求項9に記載の画像形成装置。
  11. 一方向に回転する静電潜像保持体と、前記静電潜像保持体表面に形成された静電潜像を現像剤により現像して前記静電潜像保持体表面にトナー像を形成するトナー像形成手段と、前記トナー像を前記静電潜像保持体表面から記録媒体に転写する転写手段と、前記静電潜像保持体表面と接触して配置され、且つ、前記トナー像を前記記録媒体に転写した後の前記静電潜像保持体表面をクリーニングするクリーニングブレードと、
    を備えた画像形成装置に対して脱着可能であり、
    前記トナー像形成手段に供給するための現像剤を収納し、
    前記現像剤が請求項1〜4のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナーを含むことを特徴とする静電荷像現像用現像剤カートリッジ。
  12. 画像形成装置に対して脱着可能であり、
    一方向に回転する静電潜像保持体と、現像剤を収納すると共に前記静電潜像保持体表面に形成された静電潜像に前記現像剤を供給してトナー像を形成するトナー像形成手段と、前記静電潜像保持体表面と接触して配置され、且つ、前記トナー像を前記記録媒体に転写した後の前記静電潜像保持体表面をクリーニングするクリーニングブレードと、を備え、
    前記現像剤が請求項1〜4のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナーを含むことを特徴とするプロセスカートリッジ。
  13. 一方向に回転する静電潜像保持体表面を帯電する帯電工程と、帯電された前記静電潜像保持体表面に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、請求項1〜4のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナーを含む現像剤により前記静電潜像保持体表面に形成された前記静電潜像を現像してトナー像を形成する現像工程と、前記トナー像を前記静電潜像保持体表面から記録媒体に転写する転写工程と、前記静電潜像保持体表面と接触して配置されたクリーニングブレードにより、前記トナー像を前記記録媒体に転写した後の前記静電潜像保持体表面をクリーニングするクリーニング工程と、前記記録媒体に転写された前記トナー像を定着する定着工程とを有することを特徴とする画像形成方法。
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