[オレンジトナー]
本発明のオレンジトナーは、結着樹脂と着色剤とを含み、その他必要に応じて、離型剤やその他の成分を含み、さらに必要に応じて外添剤が添加されてなる。
本発明のオレンジトナーについて、まず、外添剤を除くいわゆるトナー粒子の成分ごとに詳細に説明し、その製造方法、さらに外添剤を添加したトナー(以下、単に「外添トナー」という場合がある。)、及びトナー粒子乃至外添トナーの物性について言及する。
<着色剤>
本発明のオレンジトナーは、着色剤としてC.I.(Color Index)ピグメントオレンジ71を用いることが特徴の1つである。C.I.ピグメントオレンジ71は発色性が良好で、色味的にはレッドトナーの顔料として適している。しかし、ポリエステル樹脂との相溶性があまり良くないため、製造中に凝集し易い。
顔料が凝集した状態でトナーを製造した場合、顔料がトナー表面に露出しやすく、特に低湿度環境下で帯電上昇を起こし易い。湿度の変動に基づく帯電特性の変動は、同時に画像濃度の変動を招来する。すなわち、C.I.ピグメントオレンジ71を着色剤として用い、ポリエステル樹脂を結着樹脂とするトナーを製造した場合、画像濃度の環境依存性(湿度に応じて画像濃度が変動する)が高くなりやすい。
本発明においては、結着樹脂として、ドデセニルコハク酸構造を構成単位として含むポリエステル樹脂を用いることで、C.I.ピグメントオレンジ71の相溶性を改善し、凝集しにくくすることでトナーの帯電特性の環境依存性を抑制している。
本発明のオレンジトナーにおいて、着色剤には、C.I.ピグメントオレンジ71以外に、使用目的に応じて、他の顔料や染料、体質顔料等を混合使用しても構わない。ただし、2種以上の着色剤を混合した場合、色が濁る可能性があり、また、あまりにも他の着色剤の割合が大きくなり過ぎると、C.I.ピグメントオレンジ71の優れた発色性の利益を享受することができなくなってくるため、C.I.ピグメントオレンジ71の割合としては、着色剤全体の60質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、その全てがC.I.ピグメントオレンジ71であることが最も好ましい。
混合使用可能な体質顔料としては、バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイト等が挙げられる。
また、混合使用可能な染料としては、塩基性、酸性、分散、直接染料等の各種染料、例えば、ニグロシン、メチレンブルー、ローズベンガル、キノリンイエロー、ウルトラマリンブルー等が挙げられる。また、これら染料を単独で、もしくは混合して、さらには固溶体の状態で使用してもよい。湿式製法で使用する場合、染料は水相へ抜けやすいため、油溶性染料が好ましい。また、染料を化学的に疎水化処理する、ポリマーでカプセル化するなどの処理を施してから使用することが好ましい。
本発明のオレンジトナー中のC.I.ピグメントオレンジ71の配合量としては、トナーの全質量(外添剤を除く、いわゆるトナー粒子の質量を指す。以下「トナーの全質量」といった場合に同様。)に対して、5質量%以上18質量%以下の範囲であることが要求され、6質量%以上15質量%以下の範囲がより好ましく、7質量%以上12質量%以下の範囲がさらに好ましい。含有量が少な過ぎると色濃度が薄くなり十分な発色が得られなくなる場合があり、含有量が多過ぎると、濃度が高過ぎて低画像濃度部で色が濃くなり過ぎてしまう場合がある。
本発明のオレンジトナー中の顔料の分散径としては、30nm以上300nm以下の範囲が好ましく、60nm以上200nm以下の範囲がより好ましい。分散径が小さ過ぎると、著しく増粘する場合があり、大き過ぎると、トナー表面に顔料が露出し帯電性が悪化する場合がある。
<結着樹脂>
本発明のオレンジトナーは、結着樹脂として、ドデセニルコハク酸構造を構成単位として含むポリエステル樹脂を含むものである。
(ドデセニルコハク酸構造)
「ドデセニルコハク酸構造」とは、ドデセニルコハク酸における2個のカルボキシル基の水素が取れた状態の構成単位であり、下記構造式で示されるものである。
C12H23で表される官能基がドデセニル基であり、炭素数12の直鎖構造中に、炭素−炭素間二重結合を1つ含む。当該二重結合の位置は特定されず、何れの位置でも構わない。
ドデセニルコハク酸構造は、後述するポリエステル樹脂の骨格中に組み込まれる状態で共重合単位として存在する。共重合割合としては、ポリエステル樹脂のアルコール由来構成単位に対して3mol%〜30mol%範囲であることが好ましく、5mol%〜25mol%範囲であることがより好ましく、7mol%〜20mol%範囲であることがさらに好ましい。ドデセニルコハク酸構造の割合が少な過ぎると着色剤の分散性が悪化する点で好ましくなく、多過ぎると樹脂が茶褐色に着色する点で好ましくない。
ドデセニルコハク酸構造は、ポリエステル樹脂の合成の際にポリエステル樹脂の合成原料と共にドデセニルコハク酸またはその無水物を存在させておくことで共重合させて、ポリエステル樹脂の骨格中に組み込めばよい。
(ポリエステル樹脂)
本発明のオレンジトナーの結着樹脂としては、主として、又はその全てがドデセニルコハク酸構造を構成単位として含むポリエステル樹脂(以下、単に「特定のポリエステル樹脂」という場合がある。)からなる。全結着樹脂中、特定のポリエステル樹脂の配合割合としては、60質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、その全てが特定のポリエステル樹脂であることが最も好ましい。特定のポリエステル樹脂の割合が少な過ぎると、ポリエステル樹脂特有の性質を十分に享受し得ない可能性がある。
結着樹脂としてポリエステル樹脂以外に使用可能な樹脂としては、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレン等のモノオレフィン;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル;アクリル酸メチル、アクリル酸フェニル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;等の単独重合体またはそれらの共重合体等の非晶性樹脂が挙げられる。これらの中でも特に代表的な結着樹脂としては、例えばポリスチレン、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリスチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。さらに、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド、変性ロジン等を挙げることができる。
また、結着樹脂としては、上記の通り、結晶性を持つ結晶性樹脂を含むことが好ましく、結晶性樹脂および上記非晶性樹脂を含んでもよい。非結晶性の特定のポリエステル樹脂と結晶性樹脂とが結着樹脂であることが好ましい。
結晶性樹脂を含む場合のトナー結着樹脂中の結晶性樹脂の含有量としては、1質量%以上20質量%以下の範囲が好ましく、1質量%以上10質量%以下の範囲がより好ましく、2質量%以上8質量%以下の範囲がより好ましい。結晶性樹脂の含有量が少な過ぎると、定着時の結晶性樹脂による吸熱が不十分となり結晶性樹脂を用いた効果が得られない場合があり、20質量%を超えるとトナー中の結晶性樹脂のドメインが大きくなり、また、ドメインの数が増えるため、形成した画像の透明性が悪化する場合がある。
トナーの結着樹脂中の結晶性樹脂の含有量は、以下のような方法で算出する。
まず、トナーをメチルエチルケトン(MEK)に常温(20℃以上25℃以下)で溶解させる。これは、例えばトナー中に結晶性ポリエステルと非晶性樹脂とが含まれる場合、常温ではMEK中にほとんど非晶性樹脂のみが溶解するからである。したがって、MEK可溶分中には非晶性樹脂が含まれることとなるため、前記溶解後、遠心分離により分離した上澄み液から非晶性樹脂が得られ、一方遠心分離後の固形分を65℃で60分間加熱してMEKに溶解しこれを60℃でガラスろ過器でろ過することにより、ろ過分から結晶性ポリエステルが得られる。この操作でろ過中に温度が下がると結晶性樹脂が析出してしまうため温度が下がらないように手早く、かつ、保温した状態で操作する。こうして得られた結晶性ポリエステルの量を測定することにより結晶性樹脂の含有量が求められる。
本実施形態において、「結晶性樹脂」の「結晶性」とは、樹脂の示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱量変化ではなく、昇温段階において明確な吸熱ピークを有すると共に、降温段階において明確な発熱ピークを有することを指す。具体的には、島津製作所社製の示差走査熱量計(装置名:DSC−60型)を用いた示差走査熱量測定(DSC)において、0℃から150℃まで10℃/minで昇温し、150℃で5分間保持したのち、0℃まで−10℃/minで降温し、0℃で5分間保持した後、再度150℃まで10℃/minで昇温したときの、2度目の昇温スペクトルにおいて、オンセット点から吸熱ピークのピークトップまでの温度が15℃以内であるときに「明確な」吸熱ピークであるとする。一方、降温した時のオンセット点から発熱ピークのピークトップまでの温度が15℃以内であり、発熱量が25J/g以上であるときに「明確な」発熱ピークであるとする。
また、シャープメルト性の観点から、前記オンセット点から吸熱ピークのピークトップまでの温度は、15℃以内であることが好ましく、10℃以内であることがより好ましい。DSC曲線におけるベースラインの平坦部の任意の点、および、ベースラインから立ち下がりピークトップまでのスペクトル曲線を微分した値が最大になる点(スペクトルの傾きが一番立っている点)の両点間における接線の交点を「オンセット点」とする。また、吸熱ピークは、トナーとしたときに、40℃以上50℃以下の幅を有するピークを示す場合がある。
一方、結着樹脂として用いる「非晶性樹脂」とは、前記結晶性樹脂に該当しない樹脂を指す。具体的には、島津製作所社製の示差走査熱量計(装置名:DSC−60型)を用いた示差走査熱量測定(DSC)において、10℃/minの昇温速度で昇温したときのオンセット点から吸熱ピークのピークトップまでの温度が15℃を超えるとき、あるいは明確な吸熱ピークが認められないとき、あるいは降温時に明確な発熱ピークが認められないときに「非晶性」であるとする。また、DSC曲線における「オンセット点」の求め方は、上記「結晶性樹脂」の場合と同様である。
結晶性樹脂としては、具体的には、結晶性ポリエステル樹脂、結晶性ビニル系樹脂等が挙げられるが、定着時の紙への接着性や帯電性、および好ましい範囲での融解温度調整の観点から結晶性ポリエステル樹脂が好ましい。また、適度な融解温度をもつ脂肪族系の結晶性ポリエステル樹脂がより好ましい。
結晶性ビニル系樹脂としては、(メタ)アクリル酸アミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸セチル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸オレイル、(メタ)アクリル酸ベヘニル等の長鎖アルキル、アルケニルの(メタ)アクリル酸エステルを用いたビニル系樹脂等が挙げられる。なお、本明細書において、”(メタ)アクリル”なる記述は、”アクリル”および”メタクリル”のいずれをも含むことを意味するものである。
(結晶性ポリエステル樹脂)
結晶性ポリエステル樹脂は、2価の酸(ジカルボン酸)成分と2価のアルコール(ジオール)成分とから合成されるものであり、「結晶性ポリエステル樹脂」とは、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピークを有するものを指す。また、結晶性ポリエステル樹脂の主鎖に対して他成分を共重合したポリマーの場合、他成分が50質量%以下の場合、この共重合体も結晶性ポリエステル樹脂と呼ぶ。
前記結晶性ポリエステル樹脂において、酸由来構成単位となる為の酸としては、種々のジカルボン酸が挙げられるが、前記酸由来構成単位としてのジカルボン酸は、1種に限定されず、2種以上のジカルボン酸由来構成単位を含んでもよい。また、前記ジカルボン酸は、乳化凝集法における乳化性を良好にする為、スルホン酸基を含ませることがある。
なお、前記「酸由来構成単位」とは、ポリエステル樹脂の合成前には酸成分であった構成部位を指し、後述する「アルコール由来構成単位」とは、ポリエステル樹脂の合成前にはアルコール成分であった構成部位を指す。
前記ジカルボン酸としては、脂肪族ジカルボン酸が望ましく特に直鎖型のカルボン酸が好適である。直鎖型のカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼリン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオール、など、或いはその低級アルキルエステルや酸無水物が挙げられる。
中でも、炭素数6以上10以下のものが好ましい。結晶性を高めるためには、これら直鎖型のジカルボン酸を、酸由来構成単位の95構成モル%以上用いることが好ましく、98構成モル%以上用いることがより好ましい。尚、「構成モル%」とは、ポリエステル樹脂における各構成単位(酸由来構成単位、アルコール由来構成単位)をそれぞれ1単位(モル)したときの百分率を指す。
前記酸由来構成単位としては、前記の脂肪族ジカルボン酸由来構成単位のほか、スルホン酸基を持つジカルボン酸由来構成単位等の構成成分を含むこともできる。
前記結晶性ポリエステル樹脂において、アルコール由来構成単位となる為のアルコールとしては、脂肪族ジアルコールが望ましく、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9―ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ドデカンジオール、1,12−ウンデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオールなどが挙げられる。中でも炭素数2以上10以下のものが好ましい。結晶性を高めるためには、これら直鎖型のジアルコールを、アルコール由来構成単位の95モル%以上用いることが好ましく、98モル%以上用いることがより好ましい。
その他の2価のジアルコールとしては、例えば、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ビスフェノールAのエチレンオキシド及び/またはプロピレンオキシド付加物、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコールなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、必要に応じて、酸価や水酸基価の調整等の目的で、酢酸、安息香酸等の1価の酸、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等の1価のアルコール、ベンゼントリカルボン酸、ナフタレントリカルボン酸等、およびこれらの無水物やこれらの低級アルキルエステル、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなど3価のアルコールも併用することができる。
その他のモノマーとしては、特に限定は無く、従来公知の2価のカルボン酸と、2価のアルコールがある。これらのモノマー成分の具体例としては、2価のカルボン酸としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の二塩基酸、およびこれらの無水物やこれらの低級アルキルエステルなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
結晶性ポリエステル樹脂は、前記のモノマー成分の中から任意の組合せで、従来公知の方法を用いて合成することができ、エステル交換法や直接重縮合法等を単独で、または組み合せて用いることができる。
具体的には、重合温度140℃以上270℃以下で行うことができ、必要に応じて反応系内を減圧にし、縮合の際に発生する水やアルコールを除去しながら反応させる。モノマーが、反応温度下で溶解または相溶しない場合は、高沸点の溶剤を溶解補助溶剤として加え溶解させてもよい。重縮合反応においては、溶解補助溶剤を留去しながら行う。共重合反応において相溶性の悪いモノマーが存在する場合は、あらかじめ相溶性の悪いモノマーと、そのモノマーと重縮合予定の酸またはアルコールとを縮合させておいてから主成分と共に重縮合させるとよい。
前記酸成分とアルコール成分とを反応させる際のモル比(酸成分/アルコール成分)としては、反応条件等によっても異なるため、一概には言えないが、直接重縮合の場合、通常0.9/1.0乃至1.0/0.9である。エステル交換反応の場合は、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノールなど真空下で脱留可能なモノマーを過剰に用いる場合がある。
結晶性ポリエステル樹脂の製造の際に使用可能な触媒は、酢酸チタン、プロピオン酸チタン、ヘキサン酸チタン、オクタン酸チタンなどの脂肪族モノカルボン酸チタン、シュウ酸チタン、コハク酸チタン、マレイン酸チタン、アジピン酸チタン、セバシン酸チタンなどの脂肪族ジカルボン酸チタン、ヘキサントリカルボン酸チタン、イソオクタントリカルボン酸などの脂肪族トリカルボン酸チタン、オクタンテトラカルボン酸チタン、デカンテトラカルボン酸チタンなどの脂肪族ポリカルボン酸チタン、などの脂肪族カルボン酸チタン類、安息香酸チタンなどの芳香族モノカルボン酸チタン、フタル酸チタン、テレフタル酸チタン、イソフタル酸チタン、ナフタレンジカルボン酸チタン、ビフェニルジカルボン酸チタン、アントラセンジカルボン酸チタンなどの芳香族ジカルボン酸チタン;トリメリット酸チタン、ナフタレントリカルボン酸チタンなどの芳香族トリカルボン酸チタン;ベンゼンテトラカルボン酸チタン、ナフタレンテトラカルボン酸チタンなどの芳香族テトラカルボン酸チタン;などの芳香族カルボン酸チタン類、脂肪族カルボン酸チタン類や芳香族カルボン酸チタン類のチタニル化合物類およびそのアルカリ金属塩類、ジクロロチタン、トリクロロチタン、テトラクロロチタン、テトラブロモチタンなどのハロゲン化チタン類、テトラブトキシチタン(チタンテトラブドキサイド)、テトラオクトキシチタン、テトラステアリロキシチタンなどのテトラアルコキシチタン類、チタンアセチルアセトナート、チタンジイソプロポキシドビスアセチルアセトナート、チタントリエタノールアミネート、などのチタン含有触媒である。
ただし、触媒としては該チタン含有触媒、もしくは、無機スズ系触媒を主として用い、その他の触媒を混合して用いてもよい。その他の触媒としては、前記非晶性ポリエステル樹脂に準じたものを用いることができる。
上記触媒は、重合の際に前記モノマー成分(ドデセニルコハク酸を除く。)100質量部に対して0.02質量部以上1.0質量部以下の範囲で加えることが望ましい。ただし、前記触媒を混合して用いる場合、チタン含有触媒の含有量は70質量%以上とすることが望ましく、すべてチタン含有触媒であることがより望ましい。
結晶性ポリエステル樹脂の融解温度は、50℃以上120℃以下の範囲が望ましく、より好適には60℃以上110℃以下の範囲である。さらに、後述する通り、オレンジトナーに炭化水素系ワックスを添加する場合には、該炭化水素系ワックスの融解温度よりも低いことが望ましい。
結晶性ポリエステル樹脂の分子量としては、テトラヒドロフラン(THF)可溶分のGPC法による分子量測定で、質量平均分子量(Mw)が5000以上100000以下の範囲であることが望ましく、より好適には10000以上50000以下の範囲であり、数平均分子量(Mn)は2000以上30000以下の範囲であることが望ましく、より好適には5000以上15000以下の範囲である。分子量分布Mw/Mnは1.5以上20以下の範囲であることが望ましく、更に好適には2以上5以下の範囲である。分子量を測定する際、結晶性樹脂はTHFへの溶解性を高めるため、70℃の湯浴中で加熱溶解することが好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂は、その酸価が4mgKOH/g以上20mgKOH/g以下の範囲であることが望ましく、6mgKOH/g以上15mgKOH/g以下の範囲であることがより望ましい。また、水酸基価は3mgKOH/g以上30mgKOH/g以下の範囲であることが望ましく、5mgKOH/g以上15mgKOH/g以下の範囲であることがより望ましい。
(離型剤)
本発明のオレンジトナーには、離型剤を含有させることが好ましい。用いられる離型剤としては、ASTMD3418−8に準拠して測定されたDSC曲線における主体極大吸熱ピークが60℃以上120℃以下にあり、かつ140℃において1mPas以上50mPas以下の溶融粘度を有する物質であることが望ましい。
前記離型剤は示差走査熱量計により測定されるDSC曲線で吸熱開始温度は40℃以上であることが望ましく、より好適には50℃以上である。吸熱開始温度はワックスを構成する分子量分布のうち、低分子量のものやその構造のもつ極性基の種類、量で変動する。
一般に高分子量化すれば融解温度とともに吸熱開始温度も上昇するが、このやり方ではワックス(離型剤)本来の低溶融温度と、低粘度を損なってしまう。よってワックスの分子量分布のうち、これら低分子量のものだけを選別して除くことが有効であるが、その方法として、分子蒸留、溶剤分別、ガスクロマトグラフ分別等の方法が挙げられる。
DSCの測定については前述の通りである。
前記離型剤の溶融粘度は、E型粘度計によって測定される。測定に際しては、オイル循環型恒温槽の備えられたE型粘度計(東京計器製)を用いる。測定には、コーン角1.34度を有したコーンプレート/カップの組み合わせのプレートを用いる。カップ内に試料を投入し、循環装置の温度を140℃にセットし、空の測定カップとコーンを測定装置にセットし、オイルを循環させながら恒温に保つ。温度が安定したところで測定カップ内に資料を1g入れ、コーンを静止状態で10分間静置させる。安定後、コーンを回転させ測定を行う。コーンの回転速度は60rpmとする。測定は3回行い、その平均値を溶融粘度ηとする。
前記離型剤の具体例としては、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、ポリブテンワックス、パラフィンワックス等の炭化水素系ワックス、加熱により軟化点を示すシリコーン類、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド類や、カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等の植物系ワックス、ミツロウ等の動物系ワックス、脂肪酸エステル、モンタン酸エステルなどのエステル系ワックス、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の鉱物系・石油系ワックス、およびそれらの変性物などを挙げることができる。
本発明においては、融解温度が60℃以上100℃未満の炭化水素系ワックスを用いることが好ましい。特に、前記結着樹脂として結晶性ポリエステル樹脂を用いた場合に炭化水素系ワックスを併用すると、着色剤としてのC.I.ピグメントオレンジ71との相溶性が向上し、C.I.ピグメントオレンジ71の凝集をさらに抑制することができる。このとき、前記結晶性ポリエステル樹脂の融解温度より前記炭化水素系ワックスの融解温度が高ければ、定着時に前記結晶性ポリエステル樹脂が先に融解して、アモルファスポリエステル樹脂と相溶し、溶解パラメーターが低下したところへ炭化水素系ワックスが融解するため、炭化水素系ワックスのドメインの形成を抑制することができ、同時にC.I.ピグメントオレンジ71のドメイン形成をも抑制することができるため、発色性をより向上させることができる。
この態様における結晶性ポリエステル樹脂の結着樹脂中の割合としては、結着樹脂成分中1質量%以上10質量%以下とすることが好ましく、2質量%以上8質量%以下とすることがより好ましい。結晶性ポリエステル樹脂の割合が大き過ぎると、結晶性樹脂自体のドメインが形成されるため発色性が低下し、逆に少な過ぎると、アモルファスポリエステルと相溶した時の溶解パラメーターの低下量が小さく、ワックス及びC.I.ピグメントオレンジ71のドメイン形成を抑制できず、発色性が向上しないため、それぞれ好ましくない。
離型剤の添加量は、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上15質量部以下が好ましく、3質量部以上10質量部以下がより好ましい。離型剤の添加量が少な過ぎると離型剤添加の効果が発揮されないことがあり、一方、多過ぎると、極端に流動性が悪化すると共に帯電分布が非常に広くなることがある。
(その他の成分)
本発明のオレンジトナーには、必要に応じて無機もしくは有機の粒子を添加することができる。
添加可能な無機粒子としては、シリカ、疎水化処理シリカ、アルミナ、酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸三カルシウム、コロイダルシリカ、アルミナ処理コロイダルシリカ、カチオン表面処理コロイダルシリカ、アニオン表面処理コロイダルシリカなどが挙げられ、これらを単独で用いることもしくは併用することができ、中でもコロイダルシリカを用いることが望ましい。その粒径は、5nm以上100nm以下であることが好適である。また、粒径の異なる粒子を併用することも可能である。前記粒子はトナー製造の際、直接添加することもできるが、あらかじめ超音波分散機などを用いて水など水溶性媒体へ分散されたものを用いることが好ましい。分散においては、イオン性界面活性剤や高分子酸、高分子塩基などを用いて分散性を向上させることもできる。
その他、トナーには帯電制御剤などの公知の材料を添加してもよい。その際に添加される材料の個数平均粒径としては、1μm以下であることが望ましく、0.01μm以上1μm以下であるのがより好適である。かかる個数平均粒径は、例えばマイクロトラックなどを用いて測定することができる。
<トナー粒子の製造>
本発明のオレンジトナーの製造方法は、一般に使用されている混練粉砕法や湿式造粒法等を利用すればよい。ここで、湿式造粒法としては、懸濁重合法、乳化重合法、乳化重合凝集法、ソープフリー乳化重合法、非水分散重合法、in−situ重合法、界面重合法、乳化分散造粒法、凝集・合一法等が挙げられる。中でも、結晶性樹脂をトナーに内包する観点では、湿式造粒法が好ましい。
前記湿式造粒法としては、公知の溶融懸濁法、乳化凝集法、溶解懸濁法等の方法が好適に挙げられる。以下、乳化凝集法を例に説明する。
乳化凝集法は、樹脂粒子(以下、「乳化液」と称する場合がある)を分散させた分散液中で凝集粒子を形成し凝集粒子分散液を調製する工程(凝集工程)と、前記凝集粒子分散液を加熱して、凝集粒子を融合する工程(融合工程)を含む製造方法である。また、凝集工程の前に、凝集粒子を分散する(分散工程)や、凝集工程および融合工程間に、凝集粒子分散液中に、粒子を分散させた粒子分散液を添加混合して前記凝集粒子に粒子を付着させて付着粒子を形成する工程(付着工程)を設けたものであってもよい。前記付着工程では、前記凝集工程で調製された凝集粒子分散液中に、前記粒子分散液を添加混合して、前記凝集粒子に前記粒子を付着させて付着粒子を形成するが、添加される粒子は、凝集粒子に凝集粒子から見て新たに追加される粒子に該当するので、「追加粒子」と称する場合がある。
前記追加粒子としては、前記樹脂粒子の他に離型剤粒子、着色剤粒子等を単独もしくは複数組み合わせたものであってもよい。前記粒子分散液を追加混合する方法としては、特に制限はなく、例えば徐々に連続的に行ってもよいし、複数回に分割して段階的に行ってもよい。前記付着工程を設けることにより、擬似的なシェル構造を形成することができる。
上記トナーにおいては、前記追加粒子を添加する操作によって、コアシェル構造を形成することが望ましい。前記追記粒子の主成分となる結着樹脂が、シェル層用樹脂である。この方法を用いれば、融合工程において、温度、攪拌数、pHなどの調整により、トナー形状制御を簡単に行うことができる。
前記乳化凝集法においては、結晶性ポリエステル樹脂分散液が用いられ、また併せて非晶性ポリエステル樹脂分散液を用いることが好ましい。尚、結晶性ポリエステル樹脂分散液、及び、非晶性ポリエステル樹脂を乳化し乳化粒子(液滴)を形成する乳化工程を含むことがより好ましい。
前記乳化工程においては、前記非晶性ポリエステル樹脂の乳化粒子(液滴)は、水系媒体と、非晶性ポリエステル樹脂および必要に応じて着色剤を含む混合液(ポリマー液)と、を混合した溶液に、剪断力を与えることにより形成される。その際、非晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度以上の温度に加熱することで、ポリマー液の粘性を下げて乳化粒子を形成することができる。また、分散剤を使用することもできる。以下、かかる乳化粒子の分散液のことを、「非晶性ポリエステル樹脂分散液」という場合がある。
前記乳化粒子を形成する際に用いる乳化機としては、例えば、ホモジナイザー、ホモミキサー、加圧ニーダー、エクストルーダー、メディア分散機等が挙げられる。前記ポリエステル樹脂の乳化粒子(液滴)の大きさとしては、その平均粒子径(体積平均粒径)で0.010μm以上0.5μm以下が望ましく、0.05μm以上0.3μm以下がより望ましい。なお、樹脂粒子の体積平均粒径は、ドップラー散乱型粒度分布測定装置(日機装社製、マイクロトラックUPA9340)で測定した。
また、乳化時の樹脂の溶融粘度が高いと所望の粒径まで小さくならないため、大気圧以上に加圧可能な乳化装置を用いて温度を上げ、樹脂粘度を下げた状態で乳化することで、所望の粒径の非晶性ポリエステル樹脂分散液を得ることができる。
前記乳化工程においては、樹脂の粘度を下げる目的で、あらかじめ樹脂に溶剤を添加しておいても構わない。使用される溶剤としては、ポリエステル樹脂を溶解させるものであれば特に限定はないが、テトラヒドロフラン(THF)、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトンなどのケトン系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレンなどのベンゼン系溶剤などを用いることができ、酢酸エチルやメチルエチルケトンなどのエステル系およびケトン系溶剤を用いることが好ましい。
また、エタノールやイソプロピルアルコールなどのアルコール系溶剤を、水もしくは樹脂に直接添加してもよい。また、塩化ナトリウム、塩化カリウムなどの塩や、アンモニアなどを添加してもよい。この中ではアンモニアが好ましく用いられる。
さらに、分散剤を添加してもよい。前記分散剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性高分子;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オクタデシル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム等のアニオン性界面活性剤;ラウリルアミンアセテート、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド等のカチオン性界面活性剤;ラウリルジメチルアミンオキサイド等の両性イオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン等のノニオン性界面活性剤等の界面活性剤;リン酸三カルシウム、水酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム等の無機化合物等が挙げられる。これらの中では、アニオン性界面活性剤が好適に用いられる。
前記分散剤の使用量としては、前記結着樹脂100質量部に対して、0.01質量部以上20質量部以下が好ましい。しかし、分散剤は帯電性に影響を与える場合が多いため、ポリエステル樹脂主鎖の親水性、末端の酸価、水酸基価の量などにより、乳化性が確保できるときには、できる限り添加しないほうがよい。
なお、前記乳化工程において、前記非晶性ポリエステル樹脂に、スルホン酸基を有するジカルボン酸を共重合させて(即ち、酸由来構成単位中に、スルホン酸基を持つジカルボン酸由来構成単位が好適量含まれる)おいてもよい。添加量は酸由来構成単位中10モル%以下であることが好ましいが、ポリエステル樹脂主鎖の親水性、末端の酸価、水酸基価の量などにより、乳化性が確保できるときには、できる限り添加しないほうがよい。
また、前記乳化粒子の形成に転相乳化法を用いてもよい。転相乳化法は、非晶性ポリエステル樹脂を溶剤に溶解させ、必要に応じて中和剤や分散安定剤を添加して、攪拌下にて、水系媒体を滴下して、乳化粒子を得た後、樹脂分散液中の溶媒を除去して、乳化液を得る方法である。このとき、中和剤や分散安定剤の投入順は変更してもよい。
樹脂を溶解させる溶剤としては、例えば、蟻酸エステル類、酢酸エステル類、酪酸エステル類、ケトン類、エーテル類、ベンゼン類、ハロゲン化炭素類が挙げられる。具体的には、蟻酸、酢酸、酪酸等のメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル等エステル類、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルプロピルケトン(MPK)、メチルイソプロピルケトン(MIPK)、メチルブチルケトン(MBK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)等のメチルケトン類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル等のエーテル類、トルエン、キシレン、ベンゼン等の複素環置換体類、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン等のハロゲン化炭素類などを単独であるいは2種以上組合せて用いることが可能である。中でも、低沸点溶媒の酢酸エステル類やメチルケトン類、エーテル類が通常好ましく用いられ、特に、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸、酢酸エチル、酢酸ブチルが好ましい。これら溶剤は、樹脂粒子中に残存しないよう揮発性の比較的高いものを用いることが望ましい。これら溶剤の使用量は、樹脂量に対して20質量%以上200質量%以下、より好適には30質量%以上100質量%以下が選択される。
前記水系媒体としては、基本的にはイオン交換水が用いられるが、油滴を破壊しない程度に水溶性溶剤を含んでも構わない。水溶性溶剤としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノール、1−ペンタノール等の短炭素鎖アルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等のエチレングリコールモノアルキルエーテル類;エーテル類、ジオール類、THF、アセトン等が挙げられ、エタノール、2−プロパノールが好ましく用いられる。
これらの水溶性溶剤の使用量は、樹脂量に対して0質量%以上100質量%以下、より好適には5質量%以上60質量%以下が選択される。また、水溶性溶剤は添加されるイオン交換水に混合するだけでなく、樹脂溶解液中に添加して使用しても構わない。
また、必要に応じて非晶性ポリエステル樹脂溶液および水性成分に分散剤を添加してもよい。前記分散剤としては、水性成分中で親水性コロイドを形成するもので、特にヒドロキシメチルセルローズ、ヒドロキシエチルセルローズ、ヒドロキシプロピルセルローズ等のセルローズ誘導体;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸塩、ポリメタクリル酸塩等の合成高分子類、ゼラチン、アラビアゴム、寒天等の分散安定化剤が挙げられる。
また、シリカ、酸化チタン、アルミナ、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸バリウム等の固体微粉末も用いることができる。これらの分散安定化剤は通常、水性成分中の濃度が0質量%以上20質量%以下、望ましくは0質量%以上10質量%以下となるよう添加される。
前記分散剤としては、界面活性剤も用いられる。前記界面活性剤の例としては、後述する着色剤分散液に用いられるものに準じたものを使用することができる。例えば、サポニンなどの天然界面活性成分の他に、アルキルアミン塩酸・酢酸塩類、4級アンモニウム塩類、グリセリン類等のカチオン系界面活性剤、脂肪酸石けん類、硫酸エステル類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、スルホン酸塩類、リン酸、リン酸エステル、スルホコハク酸塩類等のアニオン系界面活性剤などが挙げられ、アニオン界面活性剤、非イオン性界面活性剤が好ましく用いられる。前記乳化液のpHを調整するために、中和剤を添加してもよい。前記中和剤としては、硝酸、塩酸、水酸化ナトリウム、アンモニアなど一般の酸、アルカリを用いることができる。
前記乳化液から溶剤を除去する方法としては、乳化液を15℃以上70℃以下で溶剤を揮発させる方法、これに減圧を組み合わせる方法が好ましく用いられる。
本発明においては、粒度分布や粒径制御性の観点から、転相乳化法により乳化した後、加熱下で減圧して溶剤を除去する方法を用いることが好ましい。また、トナーに用いる場合は、帯電性への影響の観点から、分散剤や界面活性剤はできるだけ用いずに、ポリエステル樹脂主鎖の親水性、末端の酸価、水酸基価の量などにより、乳化性を制御することが好ましい。
前記着色剤や離型剤の分散方法としては、例えば、高圧式ホモジナイザー、回転せん断型ホモジナイザー、超音波分散機、高圧衝撃式分散機や、メディアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミルなどの一般的な分散方法を使用することができ、なんら制限されるものではない。
必要に応じて、界面活性剤を使用してこれら着色剤の水分散液を調製したり、分散剤を使用してこれら着色剤の有機溶剤分散液を調製したりすることもできる。以下、かかる着色剤、離型剤の分散液のことを、「着色剤分散液」「離型剤分散液」という場合がある。
着色剤分散液や離型剤分散液に用いられる分散剤は、一般的には界面活性剤である。界面活性剤としては、例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン系界面活性剤等が好適にあげられる。これらの中でもイオン性界面活性剤が好ましく、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤がより好ましい。前記非イオン系界面活性剤は、前記アニオン界面活性剤またはカチオン界面活性剤と併用してもよい。また、離型剤分散液など、他の分散液に用いられる分散剤と同極性であることが好ましい。
前記アニオン界面活性剤の具体例としては、ラウリン酸カリウム、オレイン酸ナトリウム等の脂肪酸セッケン類;オクチルサルフェート、ラウリルサルフェート等の硫酸エステル類;ラウリルスルホネート、ドデシルスルホネート、ドデシルベンゼンスルホネート等のアルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ナフタレンスルホネートホルマリン縮合物、モノオクチルスルホサクシネート、ジオクチルスルホサクシネート等のスルホン酸塩類;ラウリルホスフェート、イソプロピルホスフェート等のリン酸エステル類;ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム等のジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、スルホコハク酸ラウリル2ナトリウム、ポリオキシエチレンスルホコハク酸ラウリル2ナトリウム等のスルホコハク酸塩類等が挙げられる。中でも、ドデシルベンゼンスルホネートやその分岐体などのアルキルベンゼンスルホネート系化合物が好ましい。
前記カチオン界面活性剤の具体例としては、ラウリルアミン塩酸塩、ステアリルアミン塩酸塩等のアミン塩類;ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジラウリルジメチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩類等が挙げられる。
前記非イオン性界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等のアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のアルキルフェニルエーテル類;ポリオキシエチレンラウレート、ポリオキシエチレンステアレート、ポリオキシエチレンオレート等のアルキルエステル類;ポリオキシエチレンラウリルアミノエーテル、ポリオキシエチレンステアリルアミノエーテル、ポリオキシエチレンオレイルアミノエーテル等のアルキルアミン類;ポリオキシエチレンラウリン酸アミド、ポリオキシエチレンステアリン酸アミド等のアルキルアミド類;ポリオキシエチレンヒマシ油エーテル、ポリオキシエチレンナタネ油エーテル等の植物油エーテル類;ラウリン酸ジエタノールアミド、ステアリン酸ジエタノールアミド、オレイン酸ジエタノールアミド等のアルカノールアミド類;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート等のソルビタンエステルエーテル類等が挙げられる。
用いられる分散剤の添加量は、着色剤や離型剤に対して、2質量%以上10質量%以下であることが望ましく、5質量%以上30質量%以下であることがより好適である。
用いられる水系分散媒は、蒸留水、イオン交換水など、金属イオンなどの不純物が少ないものであることが好ましく、さらにアルコールなどを添加することもできる。また、ポリビニルアルコールやセルローズ系ポリマーなどを添加することもできるが、トナー中に残留しないように、でき得る限り使用しないほうがよい。
また、前記種々の添加剤の分散液を作製する手段としては、特に制限はないが、例えば、回転剪断型ホモジナイザーやメデイアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミルなど、その他、着色剤分散液や離型剤分散液の作製に用いたものに準じた装置など、それ自体公知の分散装置が挙げられ、最適なものを選択して用いることができる。
前記凝集工程においては、凝集粒子を形成させるために、凝集剤を用いることが好ましい。用いられる凝集剤は、前記分散剤に用いる界面活性剤と逆極性の界面活性剤や、一般の無機金属化合物(無機金属塩)またはその重合体が挙げられる。無機金属塩を構成する金属元素は周期律表(長周期律表)における2A、3A、4A、5A、6A、7A、8、1B、2B、3B族に属する2価以上の電荷を有するものであり、樹脂粒子の凝集系においてイオンの形で溶解するものであればよい。
使用可能な無機金属塩としては、具体的には、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムなどの金属塩、および、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、多硫化カルシウム等の無機金属塩重合体等を挙げることができ、その中でも特に、アルミニウム塩およびその重合体が好適である。一般的に、よりシャープな粒度分布を得るためには、無機金属塩の価数が1価より2価、2価より3価以上で、同じ価数であっても重合タイプの無機金属塩重合体の方がより適している。
これら凝集剤の添加量は、凝集剤の種類や価数によって変動するが、おおむね、0.05質量%以上0.1質量%以下の範囲である。前記凝集剤は、トナー化の工程中に、水系媒体中に流出したり、粗粉を形成するなどにより、添加したもの全てがトナー中に残留するわけではない。特にトナー化の工程で、樹脂中の溶剤量が多い場合には、溶剤と凝集剤とが相互作用して、水系媒体中に流出しやすいため、残溶剤量に合わせて調節する必要がある。
前記融合工程においては、凝集工程に準じた攪拌下で、凝集体の懸濁液のpHを5以上10以下の範囲にすることにより、凝集の進行を止め、樹脂のガラス転移温度(Tg)以上の温度あるいは結晶性樹脂の融解温度以上の温度(以下、ガラス転移温度及び融解温度のことを合わせて単に「Tg等」と表記する。)で加熱を行うことにより凝集粒子を融合させ合一させる。また、加熱の時間としては、所望の合一が為される程度行えばよく、0.2時間以上10時間以下行えばよい。その後、樹脂のTg等以下まで降温して、粒子を固化する際、降温速度によって粒子形状および表面性が変化する。0.5℃/分以上の速度で、より好適には1.0℃/分以上の速度で樹脂のTg等以下まで降温するのが好ましい。
また、樹脂のTg等以上の温度で熱しながら、凝集工程に準じてpHや凝集剤の添加により粒子を成長させ、所望の粒径になったところで融合工程の場合に準じて、0.5℃/分の速度で樹脂のTg等以下まで降温して、固化と同時に粒子成長を停止させれば、凝集工程と融合工程とを同時に行うことができるため、工程の簡略化の面では好ましいが、前述のコアシェル構造を作ることが難しくなる場合がある。
融合工程を終了した後は、粒子を洗浄し乾燥してトナー粒子を得る。尚、イオン交換水で置換洗浄を施すことが好ましく、洗浄度合いはろ液の電気伝導度でモニターするのが一般的であり、最終的に、電気伝導度が25μS/cm以下となるようにすることが好ましい。洗浄の際、酸やアルカリでイオンを中和する工程を含んでもよく、酸による処理はpHを6.0以下に、アルカリによる処理はpHを8.0以上にすることが好ましい。
また、洗浄後の固液分離は、特に制限はないが、生産性の点から吸引濾過、フィルタープレスなどの加圧濾過等が好ましく用いられる。さらに、乾燥も、特に方法に制限はないが、生産性の点から凍結乾燥、フラッシュジェット乾燥、流動乾燥、振動型流動乾燥等が好ましく用いられ、最終的なトナーの水分率は1質量%以下、より好適には0.7質量%以下になるように乾燥する。
<外添トナー>
上記のようにして得られたトナー粒子には、流動性助剤、クリーニング助剤、研磨剤等として、無機粒子および有機粒子を外添剤として外添混合することができる。
外添可能な無機粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸三カルシウム、酸化セリウム等の通常トナー表面の外添剤として使用される総ての粒子が挙げられる。これらの無機粒子は、その表面が疎水化されたものであることが好ましい。
外添可能な有機粒子としては、例えば、スチレン系重合体、(メタ)アクリル系重合体、エチレン系重合体などのビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂等の通常トナー表面の外添剤として使用される総ての粒子が挙げられる。
これらの外添剤は、その1次粒径が0.01μm以上0.5μm以下であることが好ましい。さらに、滑剤を添加することもできる。滑剤として、例えばエチレンビスステアリル酸アミド、オレイン酸アミド等の脂肪酸アミド、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムなどの脂肪酸金属塩ユニリンなどの高級アルコールなどが挙げられる。その1次粒径は、0.5μm以上8.0μm以下のものが好ましい。
また、前記無機粒子の中から2種以上の径の物を使用し、該無機粒子の1種は30nm以上200nm以下の、さらに好適には30nm以上180nm以下の平均1次粒子径を有することが好ましい。
具体的には、シリカ、アルミナ、酸化チタンが好ましく、特に、疎水化されたシリカを必須成分として添加することが好ましい。特にシリカと酸化チタンを併用すること、もしくは、粒径の異なるシリカを併用することが好ましい。また、粒径80nm以上500nm以下の有機粒子を併用することも好ましい。外添剤を疎水化処理する疎水化剤としては公知の材料が挙げられ、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤、ジルコニウム系カップリング剤等のカップリング剤、シリコーンオイルやポリマーコーティング処理などが挙げられる。
前記外添剤は、V型ブレンダー、サンプルミル或いはヘンシェルミキサーなどで機械的衝撃力を加えられてトナー表面に付着または固着させられる。
<オレンジトナーの物性>
(イオン種の量的制御)
本発明のオレンジトナー(トナー粒子)は、Naイオン(Na+)量及びNH4イオン(NH4 +)量が適切に制御されていることが望ましい。
イオンがトナー中に過剰に残存すると帯電量は低下する。特に、高湿度下での帯電量がより大きく低下するため、帯電特性の環境依存性(湿度依存性)が高くなる。ポリエステル樹脂は、末端のカルボキシル基の影響で帯電特性の環境依存性が高くなりやすく、水中で製造されたトナーは特にその影響が拡大される。
そこで、イオン種の組み合わせを適切に量的制御することによって、帯電特性の環境依存性を改善することが好ましい。具体的には、以下の通りの量的制御を為すことが好ましい。
測定対象となるトナー(外添トナーではなく、いわゆるトナー粒子)0.5gを秤量し、これを30±1℃のイオン交換水100g中に投入し、超音波により30分間分散した後ろ過し、そのろ液をイオンクロマトグラフ法で分析した際に検出されるNaイオン量及びNH4イオン量が、下記式(a)〜(c)の関係を満たすように制御する。
0.05mg/l≦(Naイオン量)≦0.3mg/l ・・・(a)
0.3mg/l≦(NH4イオン量)≦1.0mg/l ・・・(b)
1.0≦(NH4イオン量)/(Naイオン量)≦5.0 ・・・(c)
Naイオンは強塩基であり水分子との相互作用が強いため、全体の帯電量を抑制する効果が得られるが、多過ぎると帯電量が低下し過ぎる。一方、NH4イオンは弱塩基であり樹脂のカルボン酸との相互作用が強いため、低湿度下でのカルボン酸の働きを抑制することができ、特に低湿度下での帯電上昇を抑制することができる。このような働きは、カルボン酸だけでなく、ポリエステル主鎖のエステル結合基などの極性基においても、同様な効果が得られていると考えられるが、相互作用力がカルボン酸に比べ弱いため、効果も弱いものと推測している。
上記式(a)〜(c)は、それぞれ下記式(a’)〜(c’)であることがより好ましい。
0.05mg/l≦(Naイオン量)≦0.2mg/l ・・・(a’)
0.07mg/l≦(NH4イオン量)≦0.5mg/l ・・・(b’)
1.4≦(NH4イオン量)/(Naイオン量)≦3.2 ・・・(c’)
以上のようにトナー中のイオン量を制御するには、樹脂分散液を調製する段階で添加する方法、トナー製造中に添加する方法、トナー製造後に添加処理する方法などがあるが、以下の方法が好ましい。
NH4 +量は、樹脂カルボン酸と相互作用していることが重要である。強塩基であるNaが先に存在した状態でNH4 +を添加しても、すでにカルボン酸とNaが相互作用状態にあり、本発明の効果を得ることができない。従って、NH4 +は、樹脂分散液製造段階で添加することが必要である。
トナー中の存在量は、樹脂分散液製造時のNH3添加量で制御することができる。使用する材料はアンモニア水溶液であることが好ましい。また、カルボン酸と相互作用しているNH4 +を、pHによって外すこともできる。例えば、乳化液に酸を添加しpHを下げることで、カルボン酸−NH4 +相互作用を、カルボン酸−H+に置換することで、トナー中の残留量を減らすことができる。これば、トナー製造時に行っても同様に制御することができる。
また、NH4 +は全てがカルボン酸と相互作用しているわけではなく、一部はエステル基などの極性基と相互作用して、トナー中に残留している。このような残量NH4 +は、比較的揮発しやすく、トナー乾燥時に真空状態にすることにより、残留量を制御することもできる。
一方、Na+量は、トナー製造時の添加量で制御する。しかし、Na+量が少なすぎるとトナーの粒径制御性が悪化する場合があり、トナー製造時のNa+添加量を多くし、トナー製造後に硝酸や塩酸などの酸でpHを調整することで、Na+量を制御することができる。使用する材料は、水酸化ナトリウム、Na中和された界面活性剤などがあるが、水酸化ナトリウムであることが好ましい。
(粒径及び粒度特性)
本発明のオレンジトナーは、その体積平均粒径(外添トナーを除く、いわゆるトナー粒子の粒径。この項において同様。)が4μm以上9μm以下の範囲であることが望ましく、より望ましくは4.5μm以上8.5μm以下の範囲であり、さらに望ましくは5μm以上8μm以下の範囲である。粒径が大き過ぎると高精細画像を再現することが困難になり、逆に粒径が小さ過ぎると逆極性トナーが生じて地汚れや色抜け等画質に影響を与える懸念があり、それぞれ好ましくない。勿論、それぞれのデメリットが克服できる場合や、それらデメリットが問題とならない場合には、上記範囲を外れた粒径の物であっても構わない。
また、本発明のオレンジトナーは、下記の方法により測定される粒度分布について、分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、体積及び個数、それぞれに小径側から累積分布を描き、体積について累積16%となる粒径を体積D16v%、累積50%となる粒径を体積D50v%、累積84%となる粒径を体積D84v%と定義したときに、(D84v%/D16v%)1/2より算出される体積平均粒度分布指標(GSDv)が、1.15以上1.30以下であることが好ましく、1.15以上1.25以下であることがより好ましい。
上記体積平均粒子径等の測定は、マルチサイザーII(ベックマン−コールター社製)を用いて、100μmのアパーチャー径で行うことができる。この際、測定はトナーを電解質水溶液(アイソトン水溶液)に分散させ(濃度:1質量%)、界面活性剤(商品名:コンタミノン)を添加し、超音波分散器により300秒以上分散させた後に行った。
また、粒度分布については、マルチサイザーIIを用いて測定される粒度分布を基にして分割された粒度範囲(分割数:1.59μm以上64.0μm以下までを16チャンネルに、logスケールで0.1間隔となるように分割する。具体的には、チャンネル1が1.59μm以上2.00μm未満、チャンネル2が2.00μm以上2.52μm未満、チャンネル3が2.52μm以上3.175μm未満・・・、とし、左側の下限数値のlog値が(log1.59=)0.2、(log2.0=)0.3、(log2.52=)0.4、・・・、1.7となるように分割した。)に対して、体積、数をそれぞれ小粒径側から累積分布を引いて、累積16%となる粒径を体積D16v、数D16p、累積50%となる粒径を体積D50v(体積平均粒径)、数D50p、累積84%となる粒径を体積D84v、数D84pと定義した。
また、上記トナーは、形状係数SF1が110以上145以下の範囲の球形状であることが好ましい。形状がこの範囲の球形状であることにより、転写効率、画像の緻密性が向上し、高画質な画像形成を行うことができる。
上記形状係数SF1は110以上140以下の範囲であることがより好ましい。
ここで上記形状係数SF1は、下記式(II)により求められる。
SF1=(ML2/A)×(π/4)×100 ・・・式(II)
上記式(II)中、MLはトナー粒子の絶対最大長、Aはトナー粒子の投影面積を各々示す。
形状係数SF1は、顕微鏡画像または走査型電子顕微鏡(SEM)画像を、画像解析装置で解析することによって数値化され、例えば、以下のようにして算出することができる。すなわち、スライドガラス表面に散布したトナー粒子の光学顕微鏡像を、ビデオカメラを通じてルーゼックス画像解析装置に取り込み、100個以上のトナー粒子について、その最大長と投影面積を求め、上記式(II)によって計算し、その平均値を求めることにより得られる。
トナーの形状係数SF1が110より小さい、または140を超えると、長期にわたって、優れた帯電性、クリーニング性、転写性が得られないことがある。
最近では、簡便に測定が可能であることから、シスメックス株式会社製のFPIA−3000を用いて形状係数を測定する場合が多い。FPIA−3000は、4000個程度の粒子像を光学的に測定し、粒子1個ずつの投影画像を画像解析する。具体的には、まず、粒子1個の投影画像から周囲長を算出する(粒子像の周囲長)。次に、その投影画像の面積を算出し、その面積と同面積を持つ円を仮定し、その円の円周を算出する(円相当径から求めた円の円周長)。円形度は、円形度=円相当径から求めた円の円周長/粒子像の周囲長、として算出され、数値が1.0に近いほど球形を表す。この円形度が、0.945以上0.990以下であることが好ましく、0.950以上0.975以下であることがより好ましい。円形度が0.950以下であると転写効率が低下し、0.975以上であるとクリーニング性が低下することがある。
なお、装置間誤差があるものの、形状係数SF1の110は、概ねFPIA−3000の円形度0.990に相当する。また、形状係数SF1の140は、概ねFPIA−3000の円形度0.945に相当する。
[オレンジ現像剤]
以上説明した本発明のオレンジトナーは、そのまま一成分現像剤として、あるいはキャリアと混合されて二成分現像剤として用いられる。
使用可能なキャリアとしては、特に制限は無いが、樹脂で被膜されたキャリア(一般に、「コートキャリア」「樹脂被膜キャリア」等と称される。)であることが望ましく、窒素含有樹脂で被膜されたキャリアであることがさらに好適である。被服に適した窒素含有樹脂としては、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアクリルアミド、アクリロニトリル等を含むアクリル系樹脂、ウレア、ウレタン、メラミン、グアナミン、アニリン等を含むアミノ樹脂、またアミド樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられ、これらの共重合樹脂でも構わない。これらの中でも、特にウレア樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、アミド樹脂が好ましい。
キャリアの被膜樹脂としては、前記窒素含有樹脂の中から2種以上を組み合わせて使用してもよいし、前記窒素含有樹脂と窒素を含有しない樹脂とを組み合わせて使用してもよい。また、前記窒素含有樹脂を粒子状にし、窒素を含有しない樹脂中に分散して使用してもよい。
一般に、キャリアには、適度な電気抵抗値を有することが機能上求められ、具体的には109Ωcm以上1014Ωcm以下の電気抵抗値であることが望ましい。例えば、鉄粉キャリアのように電気抵抗値が106Ωcmと低い場合には、絶縁性(体積抵抗率が1014Ωcm以上)の樹脂を被覆し、樹脂被覆層中に導電性粉末を分散させることが望ましい。
導電性粉末の具体例としては、金、銀、銅等の金属;カーボンブラック;酸化チタン、酸化亜鉛等の半導電性酸化物;酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム粉末等の表面を酸化スズやカーボンブラック、金属で覆ったもの;等が挙げられる。この中でもカーボンブラックが好ましい。
上記樹脂被膜層を、キャリア芯材の表面に形成する方法としては、例えば、キャリア芯材の粉末を被膜層形成用溶液中に浸漬する浸漬法、被膜層形成用溶液をキャリア芯材の表面に噴霧するスプレー法、キャリア芯材を流動エアーにより浮遊させた状態で被膜層形成用溶液を噴霧する流動床法、ニーダーコーター中でキャリア芯材と被膜層形成用溶液とを混合し溶剤を除去するニーダーコーター法、被膜樹脂を粒子化し被膜樹脂の融解温度以上でキャリア芯材とニーダーコーター中で混合し冷却して被覆させるパウダーコート法等が挙げられるが、ニーダーコーター法およびパウダーコート法が特に好ましい。
キャリアの製造には、加熱型ニーダー、加熱型ヘンシェルミキサー、UMミキサーなどを使用すればよく、前記被膜樹脂の量によっては、加熱型流動転動床、加熱型キルンなどを使用してもよい。
上記方法により形成される樹脂被膜層の平均膜厚は、通常0.1μm以上10μm以下、より好適には0.2μm以上5μm以下の範囲である。
キャリアに用いられる芯材(キャリア芯材)としては、特に制限はなく、鉄、鋼、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物、ガラスビーズ等が挙げられるが、特に磁気ブラシ法を用いる場合には、磁性金属が望ましい。キャリア芯材の個数平均粒径としては、一般的には10μm以上100μm以下が好ましく、20μm以上80μm以下がより好ましい。
前記二成分現像剤における本発明のオレンジトナーと上記キャリアとの混合比としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択すればよいが、質量比でトナー:キャリア=1:100〜30:100程度の範囲が好ましく、3:100〜20:100程度の範囲がより好ましい。
[画像形成装置、トナー収容容器、プロセスカートリッジ]
まず、本発明のオレンジトナーを用いた本発明の画像形成装置を説明し、その後に当該画像形成装置に搭載される本発明のトナー収容容器に言及し、別途プロセスカートリッジについて説明する。なお、以下の画像形成装置並びにトナー収容容器及びプロセスカートリッジは一例であって、本発明は、これらの例に限定されるものではない。
<画像形成装置>
本発明の画像形成装置は、表面に形成された静電潜像を保持し得る静電潜像保持体と、該静電潜像保持体表面を帯電する帯電手段と、帯電された前記静電潜像保持体表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、本発明のオレンジ現像剤を収容すると共に前記静電潜像保持体表面に形成された静電潜像に前記トナーを供給してトナー像を形成するトナー像形成手段と、前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に転写された転写像を定着する定着手段と、を備えることを特徴とするものである。
本実施形態では、転写手段として、中間転写部材を介して転写する中間転写方式の物が例示されており、現像されたトナー像を中間転写部材に一次転写する一次転写手段と、中間転写部材に転写されたトナー像を記録材に二次転写する二次転写手段と、を有する。さらに、本実施形態に係る画像形成装置は、一次転写手段による転写後の静電潜像保持体表面に残存したトナーを除去するクリーニング手段を含む。
本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図を図1に示す。画像形成装置200は、静電潜像保持体201、帯電手段である帯電器202、静電潜像形成手段である像書込装置203、トナー像形成手段であるロータリー現像装置204、一次転写手段(転写手段)である一次転写ロール205、クリーニングブレードによるクリーニング手段であるクリーニング装置206、記録用紙(記録媒体)Pに対して複数色のトナー像が積層され、一括して転写させる中間転写部材である中間転写体207、一次転写ロール205と共に中間転写体207を張架支持する3つの支持ロール208,209,210、二次転写手段(転写手段)である二次転写ロール211、二次転写後の記録用紙Pを搬送する搬送ベルト212、搬送ベルト212により搬送されてきた記録用紙Pを2つの加熱ロール213及び加圧ロール214で挟み込み、熱と圧力でトナー像を定着する定着装置(定着手段)215等を備えて構成されている。
静電潜像保持体201は、全体としてドラム状に形成されたもので、その外周面(ドラム表面)に感光層を有している。この静電潜像保持体201は図1の矢印C方向に回転可能に設けられている。帯電器202は、静電潜像保持体201の表面を一様に帯電するものである。像書込装置203は、帯電器202によって一様に帯電された静電潜像保持体201に像様の光Xを照射することにより、静電潜像を形成するものである。
ロータリー現像装置204は、それぞれイエロー用、マゼンタ用、シアン用、ブラック用、オレンジ用のトナーを収容する5つ現像器204Y,204M,204C,204K,204Rを有するものである。本装置では、画像形成のための現像剤にトナーを用いることから、現像器204Yにはイエロートナー、現像器204Mにはマゼンタトナー、現像器204Cにはシアントナー、現像器204Kにはブラックトナー、現像器204Rにはレッドトナーがそれぞれ収容されることになる。本実施形態では、現像器204Rに収容されるレッドトナーとして、本発明のオレンジトナーを用いる。
このロータリー現像装置204は、上記5つの現像器204R,204Y,204M,204C,204Kが順に静電潜像保持体201と近接、対向するように回転駆動することにより、それぞれの色に対応する静電潜像にトナーを転移してトナー像を形成するものである。
ここで、必要とする画像に応じて、ロータリー現像装置204内の現像器204R以外の現像器を部分的に除去してもよい。例えば、現像器204Y、現像器204M、現像器204C、現像器204Rといった4つの現像器からなるロータリー現像装置であってもよい。また、これら現像器をブルー、グリーン等の所望する色の現像剤を収容した現像器に変換して使用してもよい。
一次転写ロール205は、静電潜像保持体201との間で中間転写体207を挟持しつつ、静電潜像保持体201表面に形成されたトナー像をエンドレスベルト状の中間転写体207の外周面に転写(一次転写)するものである。クリーニング装置206は、転写後に静電潜像保持体201表面に残ったトナー等をクリーニング(除去)するものである。中間転写体207は、その内周面が複数の支持ロール208,209,210及び一次転写ロール205によって張架され、矢印D方向およびその逆方向に周回可能に支持されている。二次転写ロール211は、図示しない用紙搬送手段によって矢印E方向に搬送される記録用紙(記録媒体)Pを支持ロール210との間で挟持しつつ、中間転写体207外周面に転写されたトナー像を記録用紙Pに転写(二次転写)するものである。
画像形成装置200は、順次、静電潜像保持体201表面にトナー像を形成して中間転写体207外周面に重ねて転写するものであり、次のように動作する。すなわち、まず、静電潜像保持体201が回転駆動され、帯電器202によって静電潜像保持体201の表面が一様に帯電された(帯電工程)後、その静電潜像保持体201に像書込装置203による像光が照射されて静電潜像が形成される。
(潜像形成工程)。
この静電潜像は例えばレッド用の現像器204Rによって現像された(現像工程)後、そのトナー像が一次転写ロール205によって中間転写体207外周面に転写される(一次転写工程)。このとき中間転写体207に転写されずに静電潜像保持体201表面に残ったオレンジトナー等は、クリーニング装置206によりクリーニングされる。
また、オレンジ色のトナー像が、外周面に形成された中間転写体207は、該外周面にオレンジ色のトナー像を保持したまま、一旦矢印D方向と逆方向に周回移動(この時、静電潜像保持体201と中間転写体207とが離間するように構成されている。)し、次の例えばイエロー色のトナー像が、オレンジ色のトナー像の上に積層されて転写される位置に備えられる。
以降、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各トナーについても、上記同様に帯電器202による帯電、像書込装置203による像光の照射、各現像器204Y,204M,204C,204Kによるトナー像の形成、中間転写体207外周面へのトナー像の転写が順次、繰り返される。
本実施形態では、例えばレッドの画像を形成する場合、現像工程と一次転写工程とを経て中間転写体207上に形成されたレッドトナー像上に、現像器204Yによって静電潜像保持体201上に形成されたイエロートナー像が、一次転写工程において配置されるように転写され、次にそのイエロートナー像上に、現像器204Mによって静電潜像保持体201上に形成されたマゼンタトナー像が、一次転写工程において配置されるように転写される。
こうして中間転写体207外周面に対する3色のトナー像の転写が終了すると、このトナー像は二次転写ロール211により一括して記録用紙Pに転写される(二次転写工程)。これにより、記録用紙Pの画像形成面には、画像形成面から順にマゼンタトナー像、イエロートナー像、オレンジトナー像が積層された記録画像が得られる。二次転写ロール211によってトナー像が記録用紙P表面に転写された後に、定着装置215によって転写されたトナー像が加熱定着される(定着工程)。
以下、図1の画像形成装置200における帯電手段、静電潜像保持体、静電潜像形成手段、トナー像形成手段、転写手段、中間転写部材、クリーニング手段、定着手段および記録媒体について説明する。
(帯電手段)
帯電手段である帯電器202としては、例えば、コロトロンなどの帯電器が用いられるが、導電性または半導電性の帯電ロールを用いてもよい。導電性または半導電性の帯電ロールを用いた接触型帯電器は、静電潜像保持体201に対し、直流電流を印加するか、交流電流を重畳させて印加してもよい。例えばこのような帯電器202により、静電潜像保持体201との接触部近傍の微小空間で放電を発生させることにより静電潜像保持体201表面を帯電させる。
帯電手段によって静電潜像保持体201の表面は、通常、−300V以上−1000V以下に帯電される。また、前記の導電性または半導電性の帯電ロールは単層構造あるいは多重構造でもよい。さらに、帯電ロールの表面をクリーニングする機構を設けてもよい。
(静電潜像保持体)
静電潜像保持体201は、潜像(静電荷像)が形成される機能を有する。静電潜像保持体としては、電子写真感光体が好適なものとして挙げられる。静電潜像保持体201は、円筒状の導電性の基体外周面に有機感光層等を含む感光層が形成されてなる。この感光層は一般的に、基体表面に必要に応じて下引き層が形成され、さらに電荷発生物質を含む電荷発生層と、電荷輸送物質を含む電荷輸送層とがこの順序で形成されたものである。電荷発生層と電荷輸送層の積層順序は逆であってもよい。
これらは、電荷発生物質と電荷輸送物質とを別個の層(電荷発生層、電荷輸送層)に含有させて積層した積層型感光体であるが、電荷発生物質及び電荷輸送物質の両方を同一の層に含む単層型感光体であってもよく、好ましくは積層型感光体である。また、下引き層と感光層との間に中間層を有していてもよい。また、有機感光層に限らずアモルファスシリコン感光膜等他の種類の感光層を使用してもよい。
(静電潜像形成手段)
静電潜像形成手段である像書込装置203としては、特に制限はなく、例えば、静電潜像保持体表面に、半導体レーザ光、LED光、液晶シャッター光等の光源を、所望の像様に露光する光学系機器等が挙げられる。
(トナー像形成手段)
トナー像形成手段は、静電潜像保持体上に形成された潜像をトナーを含むトナー像形成剤により現像してトナー像を形成する機能を有する。そのようなトナー像形成手段としては、上述の機能を有している限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択すればよいが、例えば、静電荷像現像用のトナーをブラシ、ローラ等を用いて静電潜像保持体201に付着させる機能を有する公知の現像器等が挙げられる。現像の際、静電潜像保持体201には、通常直流電圧が使用されるが、更に交流電圧を重畳させて使用してもよい。
(転写手段)
転写手段(本実施形態においては、一次転写手段及び二次転写手段の双方を指す。)としては、例えば、記録媒体の裏側からトナー像のトナーとは逆極性の電荷を与え、静電気力によりトナー像を記録媒体表面に転写するもの、あるいは記録媒体の裏面に直接接触して転写する導電性または半導電性のロール等を用いた転写ロールおよび転写ロール押圧装置を用いればよい。
転写ロールには、静電潜像保持体に付与する転写電流として、直流電流を印加してもよいし、交流電流を重畳させて印加してもよい。転写ロールは、帯電すべき画像領域幅、転写帯電器の形状、開口幅、プロセススピード(周速)等に応じて、各種条件乃至諸元を適宜設定すればよい。また、低コスト化のため、転写ロールとして単層の発泡ロール等が好適に用いられる。
(中間転写部材)
中間転写部材としては、公知の中間転写部材を用いればよい。中間転写部材に用いられる材料としては、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリアルキレンフタレート、PC/ポリアルキレンテレフタレート(PAT)のブレンド材料、エチレンテトラフロロエチレン共重合体(ETFE)/PC、ETFE/PAT、PC/PATのブレンド材料等が挙げられるが、機械的強度の観点から熱硬化ポリイミド樹脂を用いた中間転写ベルトが好ましい。
(クリーニング手段)
クリーニング手段については、静電潜像保持体上の残留トナーを清掃するものであれば、ブレードクリーニング方式、ブラシクリーニング方式、ロールクリーニング方式を採用したもの等、適宜選定して差し支えない。これらの中でもクリーニングブレードを用いることが好ましい。また、クリーニングブレードの材質としてはウレタンゴム、ネオプレンゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。中でも、耐摩耗性に優れていることから、特にポリウレタン弾性体を用いることが好ましい。
なお、転写効率の高いトナーを使用する場合には、クリーニング手段を使用しない態様であっても構わない。
(定着手段)
定着手段(定着装置)としては、記録媒体に転写されたトナー像を加熱、加圧あるいは加熱加圧等より定着するものである。本実施形態のような2ロール方式の他、加熱側または加圧側がベルト状で他方がロール状のベルト−ロールニップ方式、加熱側及び加圧側の双方ともベルト状の2ベルト方式等が挙げられる。ベルトについては、複数のロールでベルトを張架する方式の他、ベルトを張架せずに用いるフリーベルト方式も挙げられる。本発明においては、何れの方式の定着装置であっても構わない。
(記録媒体)
トナー像を転写されて最終的な記録画像が形成される記録媒体(記録用紙)としては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンタ等に使用される普通紙、OHPシート等が挙げられる。定着後における画像表面の平滑性をさらに向上させるには、記録媒体の表面もできるだけ平滑であることが好ましく、例えば、普通紙の表面を樹脂等でコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙等を好適に使用される。
本実施形態において、普通紙としては、例えば、JIS−P−8119で測定される平滑度が15から80秒の範囲のもの、かつ、JIS−P−8124で測定される坪量が80g/m2以下のものなどが挙げられる。コート紙としては、紙基材の一方の面に塗被層を有し、かつ、平滑度が150秒以上1000秒以下の範囲のものなどが挙げられる。
以上、好ましい実施形態を挙げて本発明の画像形成装置を詳細に説明したが、本発明は以上の実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では色数分の現像器を有するロータリー現像装置204によって、1つの静電潜像保持体201に各色の潜像を形成して、その都度中間転写体207に転写する構成の装置を例示しているが、色数分の静電潜像保持体、帯電手段、トナー像形成手段、クリーニング手段等を有する各色ユニットを中間転写媒体に対向させて並列に配置(物理的に直線状でなくても構わない。)して、それぞれのユニットで形成された各色のトナー像を中間転写媒体に一次転写して順次積層し、一括して記録媒体に二次転写する、一般的にタンデム方式と呼ばれる画像形成装置を用いてもよい。
また、本発明の画像形成装置は、上記実施形態で説明した各構成要素に加えて、その他従来公知の、或いは公知ではない各種構成を付加することができ、その付加によってもなお本発明の画像形成装置の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。例えば、クリーニング手段の後工程として、除電手段を設けることもできる。なお、除電手段については、プロセスカートリッジの項において概説する。
その他、当業者は、従来公知の知見に従い、本発明の画像形成装置を適宜改変することができる。かかる改変によってもなお本発明の画像形成装置の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
<トナー収容容器>
本発明において、トナー収容容器とは、表面に形成された静電潜像を保持し得る静電潜像保持体と、該静電潜像保持体表面に保持された静電潜像をトナーにより現像して前記静電潜像保持体表面にトナー像を形成するトナー像形成手段と、前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、を備えた画像形成装置に対して脱着可能であり、前記トナー像形成手段に供給するための本発明のオレンジトナーを収容してなることを特徴とするものであり、一般的には「トナーカートリッジ」と称されるものである。
すなわち、図1に示した実施形態においては、現像器204Rに供給するための本発明のオレンジトナーを収容してなるものがトナー収容容器であり、適当な容器にオレンジトナーが収容されたものである(不図示)。そのような容器の形状や材質は特に限定されないが、一般にポリスチレンやポリプロピレン、ポリカーボネートあるいはABS樹脂といったプラスチック材料からなる。
<プロセスカートリッジ>
本発明において、「プロセスカートリッジ」とは、画像形成装置における構成要素の内の2つ以上を一体的に備え、メンテナンスや補修、消耗品の定期交換等の目的で、画像形成装置本体から脱着可能に構成されている構成要素の集合体を意味する。本発明においては、画像形成装置における構成要素の内、静電潜像保持体及びトナー像形成手段を含み、他の構成要素は任意である。
図2は、本発明のプロセスカートリッジの好適な一例の基本構成を概略的に示す模式断面図である。図2に示すプロセスカートリッジ300においては、静電潜像保持体307とともに、帯電器(帯電手段)308、現像装置(トナー像形成手段)311及びクリーニング装置(クリーニング手段)313を含み、外装には露光のための開口部318及び除電露光のための開口部317が設けられ、さらに取付レール316が取り付けられて、これらが一体化してなるものである。なお、現像装置311には、先に述べた本発明のオレンジ現像剤が収容されている。
このプロセスカートリッジ300は、転写装置312と、定着装置315と、図示しない他の構成部分とからなる画像形成装置本体に対して着脱自在になっており、画像形成装置本体とともに画像形成装置を構成する。
静電潜像保持体307、帯電器(帯電手段)308及びクリーニング装置(クリーニング手段)313としては、既に画像形成装置の実施形態の項で説明しているため、詳細は割愛するが、プロセスカートリッジ300においても同様の物を用いることができる。
静電潜像保持体307表面に現像されたトナー像を記録紙500に転写する転写装置312についても、画像形成装置の実施形態の項で、一次転写手段及び二次転写手段の双方をまとめて「転写手段」として説明した内容が、プロセスカートリッジ300においてもそのまま当てはまるため、詳細は割愛する。
不図示の除電装置(光除電装置)としては、例えば、タングステンランプ、LED等が挙げられ、光除電プロセスに用いる光質としては、例えば、タングステンランプ等の白色光、LED光等の赤色光等が挙げられる。該光除電プロセスにおける照射光強度としては、通常、静電潜像保持体の半減露光感度を示す光量の数倍乃至30倍程度になるよう出力設定される。
本例のプロセスカートリッジ300においては、開口部317からこのような光除電装置からの光が取り込まれ、静電潜像保持体307表面が除電される。
一方、不図示の露光装置(露光手段)からの像様の露光光は、本例のプロセスカートリッジ300において、開口部318から取り込まれ、静電潜像保持体307表面に照射されて静電潜像が形成される。
図2で示すプロセスカートリッジ300では、静電潜像保持体307及び現像装置311とともに、帯電器308、クリーニング装置313、露光のための開口部318、及び、除電露光のための開口部317を備えているが、本発明においては、これら装置等は選択的に組み合わせることが可能である。本発明のプロセスカートリッジは、静電潜像保持体及び現像装置311等の現像像形成手段を必須構成とし、他の構成は任意的要素である。
このような本発明のプロセスカートリッジは、先に述べた画像形成装置(好ましくは、いわゆるタンデム方式の画像形成装置)に装着されるものであり、本発明に基づく優れた作用・効果を奏するオレンジ現像剤を収容していることにより、色及び画像の高い再現性が得られると共に、画像濃度の環境依存性が抑制されたものとなる。
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、単に「部」「%」とあるのは全て質量基準である。
<イオン含有量の測定方法>
トナー中のNaイオン量及びNH4イオン量は、以下のようにして測定した。
まず、測定対象となるトナー(外添トナーではなく、いわゆるトナー粒子)0.5gを秤量し、トナー固形分量に対し20%に相当する0.1gのノニオン系界面活性剤(三洋化成社製ノニポール10)を添加したイオン交換水100gに分散させ、30±1℃に制御された恒温槽で超音波分散器にて30分間分散した。
超音波震盪後の液を、吸引ろ過により固液分離して固形トナーを除去し、得られたろ液を、イオンクロマトグラフ法で測定した。当該イオンクロマトグラフ法には、日本ダイオネクス(株)製ICS−2000を用い、以下の条件で分析した。
陽イオン分離カラム:日本ダイオネクス(株)製、IonPacCS12A
陽イオンガードカラム:日本ダイオネクス(株)製、IonPacCG12A
溶離液:メタンスルフォン酸20mM
流速:1ml/min
温度:35℃
検出法:電気伝導度法(サプレッサ式)
<酸価の測定>
酸価AVは、JIS K0070に従って、中和滴定法により測定した。即ち、適当量の試料を分取し、溶剤(ジエチルエーテル/エタノール混合液)100ml、及び、指示薬(フェノールフタレイン溶液)数滴を加え、水浴上で試料が完全に溶けるまで充分に振り混ぜる。これに、0.1mol/l水酸化カリウムエタノール溶液で滴定し、指示薬の薄い紅色が30秒間続いた時を終点とした。
酸価をA、試料量をS(g)、滴定に用いた0.1mol/l水酸化カリウムエタノール溶液をB(ml)、fを0.1mol/l水酸化カリウムエタノール溶液のファクターとした時、A=(B×f×5.611)/Sとして算出した。
<ガラス転移温度及び融解温度の測定方法>
ガラス転移温度及び融解温度は、ASTMD3418−8に準拠した示差走査熱量測定により行った。この測定は、以下のように行った。
すなわち、まず自動接線処理システムを備えた島津製作所社製の示差走査熱量計(装置名:DSC−50型)に測定対象となる物質をセットし、冷却媒体として液体窒素をセットし、10℃/分の昇温速度で20℃から150℃まで加熱して(1回目の昇温過程)温度(℃)と熱量(mW)との関係を求め、次に、−10℃/分の降温速度で0℃まで冷却し、再度これを10℃/分の昇温速度で150℃まで加熱して(2回目の昇温過程)データを採取した。なお、0℃および150℃にてそれぞれ5分間ずつホールドした。2回目の昇温過程での吸熱ピーク温度を融解温度とみなした。尚、結晶性の樹脂には、複数の融解ピークを示す場合があるが、最大のピークをもって融解温度とみなした。
測定装置の検出部の温度補正にはインジウムと亜鉛との混合物の融解温度を用い、熱量の補正にはインジウムの融解熱を用いた。試料はアルミニウム製パンに入れ、サンプルの入ったアルミニウム製パンと対照用の空のアルミニウム製パンとをセットした。
<質量平均分子量(Mw)の測定>
ポリエステル樹脂の質量平均分子量(Mw)(ポリスチレン換算)は、GPC装置として、東ソー(株)製HLC−8120GPC、SC−8020装置を用い、カラムはTSKgei,SuperHM−H(6.0mmID×15cm×2)を用い、溶離液として和光純薬社製クロマトグラフ用THF(テトラヒドロフラン)を用いた。実験条件としては、試料濃度0.5%、流速0.6ml/min.、サンプル注入量10μl、測定温度40℃、検量線はA−500、F−1、F−10、F−80、F−380、A−2500、F−4、F−40、F−128、F−700の10サンプルから作製した。また試料解析におけるデータ収集間隔は300msとした。
<形状係数SF1の算出>
トナーの形状係数の測定は、FPIA3000(シスメックス株式会社製)を用いて行った。測定のためのトナー分散液は以下のようにして作製した。まず100mlビーカーにイオン交換水を30ml入れ、これに分散剤として界面活性剤(和光純薬社製:コンタミノン)を2滴滴下した。この液中にトナーを20mg入れ、超音波分散により3分間分散して分散液を調製した。
得られたトナー分散液について、FPIA3000を用い、測定個数4500個を測定して、形状係数を算出した。
<トナー体積平均粒子径の測定方法>
コールターマルチサイザー−II型(ベックマンーコールター社製)測定装置を用いて、トナー粒子の体積平均粒子径を測定した。電解液としては、ISOTON−II(ベックマン−コールター社製)を使用した。
<トナーの粒度分布の測定>
トナーの粒度分布指標の測定は、前述のコールターマルチサイザー−II型を用いて測定された粒度分布について、分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、体積、個数をそれぞれ小径側から累積分布を描き、体積について累積16%となる粒径をD16V、個数について累積16%となる粒径をD16P、体積について累積50%となる粒径をD50V、個数について累積50%となる粒径をD50p、体積について累積84%となる粒径をD84V、個数について累積84%となる粒径をD84pと定義する。
これらの測定値を用いて、体積平均粒度分布指標(GSDv)は(D84V/D16V)1/2より、個数平均粒度分布指標(GSDp)は(D84p/D16p)1/2より、下個数平均粒度分布指標(GSDp下)は(D50P/D16P)より算出した。
<着色剤分散液(OR1)の調製>
・オレンジ顔料(チバジャパン(株)社製、Orange TR (C.I.ピグメントオレンジ71)): 200質量部
・アニオン系界面活性剤(第一工業製薬社製、ネオゲンSC): 33質量部(有効成分60質量%。着色剤に対して10質量%)
・イオン交換水: 750質量部
上記成分を全て投入した際に液面の高さが容器の高さの1/3程度になる大きさのステンレス容器に、上記イオン交換水のうち280質量部と上記アニオン系界面活性剤を入れ、温度40℃に加温して充分に界面活性剤を溶解させた後25℃に冷却し、上記オレンジ顔料全てを投入し、攪拌器を用いて、濡れていない顔料が無くなるまで攪拌するとともに、充分に脱泡させた。
脱泡後に残りのイオン交換水を加え、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて、5000回転で10分間分散した後、攪拌器で一昼夜攪拌させて脱泡した。脱泡後、再度ホモジナイザーを用いて、6000回転で10分間分散した後、攪拌器で一昼夜攪拌させて脱泡した。続けて、分散液を高圧衝撃式分散機アルティマイザー((株)スギノマシン社製、HJP30006)を用いて、圧力240MPaで分散した。分散は、トータル仕込み量と装置の処理能力とから換算して25パス相当行った。
得られた分散液を72時間放置して沈殿物を除去し、イオン交換水を加えて、固形分濃度を15質量%になるように調整した。得られた着色剤分散液中の粒子の体積平均粒径D50Vは165nmであり、250nm以上の粗粉は観測されなかった。なお、該体積平均粒径D50Vは、マイクロトラックにて5回測定した内の、最大値と最小値を除いた3回の測定値の平均値を用いた。この着色剤分散液を(M1)とする。
<離型剤分散液(W1)の調製>
・炭化水素系ワックス(日本精鑞社製、商品名:FNP0090、融解温度Tw=90.2℃): 270質量部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬社製、ネオゲンRK、有効成分量:60質量%): 13.5質量部(有効成分として、離型剤に対して3.0質量%)
・イオン交換水: 21.6質量部
上記成分を混合し、圧力吐出型ホモジナイザー(ゴーリン社製、ゴーリンホモジナイザ)で、内液温度120℃にて離型剤を溶解した後、分散圧力5MPaで120分間、続いて40MPaで360分間分散処理し、冷却して、離型剤分散液(W1)を得た。この離型剤分散液中の粒子の体積平均粒径D50vは225nmであった。その後、イオン交換水を加えて固形分濃度が20.0質量%になるように調整した。
<離型剤分散液(W2)の調製>
・炭化水素系ワックス(東洋ペトロライト社製、商品名:POLYWAX725、融解温度Tw=102℃): 270質量部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬社製、ネオゲンRK、有効成分量:60質量%): 13.5質量部(有効成分として、離型剤に対して3.0質量%)
・イオン交換水: 21.6質量部
上記成分を混合し、圧力吐出型ホモジナイザー(ゴーリン社製、ゴーリンホモジナイザ)で、内液温度120℃にて離型剤を溶解した後、分散圧力5MPaで120分間、続いて40MPaで360分間分散処理し、冷却して、離型剤分散液(W2)を得た。この離型剤分散液中の粒子の体積平均粒径D50vは240nmであった。その後、イオン交換水を加えて固形分濃度が20.0質量%になるように調整した。
<離型剤分散液(W3)の調製>
・炭化水素系ワックス(日本精鑞社製、商品名:HNP−9、融解温度Tw=62℃): 270質量部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬社製、ネオゲンRK、有効成分量:60質量%): 13.5質量部(有効成分として、離型剤に対して3.0質量%)
・イオン交換水: 21.6質量部
上記成分を混合し、圧力吐出型ホモジナイザー(ゴーリン社製、ゴーリンホモジナイザ)で、内液温度120℃にて離型剤を溶解した後、分散圧力5MPaで120分間、続いて40MPaで360分間分散処理し、冷却して、離型剤分散液(W3)を得た。この離型剤分散液中の粒子の体積平均粒径D50vは240nmであった。その後、イオン交換水を加えて固形分濃度が20.0質量%になるように調整した。
<非晶性ポリエステル樹脂(A1)の合成>
・ビスフェノールAエチレンオキサイド2.2モル付加物: 10モル%
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド2.2モル付加物: 40モル%
・テレフタル酸: 22モル%
・フマル酸: 15モル%
・ドデセニルコハク酸無水物: 11モル%
・トリメリット酸無水物: 2モル%
攪拌器、温度計、コンデンサー及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、上記モノマー成分のうちフマル酸とトリメリット酸無水物以外と、ジオクタン酸スズを上記モノマー成分の合計100質量部に対して0.25質量部投入した。窒素ガス気流下、235℃で6時間反応させた後、200℃に降温して、上記フマル酸とトリメリット酸無水物を投入し1時間反応させた。温度をさらに220℃まで4時間かけて昇温し、10kPaの圧力下で所望の分子量になるまで重合させ、淡黄色透明な非晶性ポリエステル樹脂(A1)を得た。
得られた非晶性ポリエステル樹脂(A1)は、DSCによるガラス転移温度Tgが59℃、GPCによる質量平均分子量Mwが23000、数平均分子量Mnが7000、フローテスターによる軟化温度が106℃、酸価AVが11mgKOH/gであった。
<非晶性ポリエステル樹脂(B1)の合成>
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物(三洋化成工業(株)社製、ニューポールBP−2P): 80モル%
・ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物(三洋化成工業(株)社製、ニューポールBPE−20): 20モル%
・テレフタル酸(試薬): 70モル%
・シクロヘキサンジカルボン酸(試薬): 30モル%
攪拌器、温度計、コンデンサー及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に上記成分を入れ、反応容器中を乾燥窒素ガスで置換した後、ジオクタン酸スズを前記モノマー成分の合計100質量部に対して0.25質量部投入した。窒素ガス気流下、約180℃で約6時間撹拌反応させた後、温度をさらに約220℃まで1時間かけて昇温し、約7.0時間撹拌反応させ、さらに、温度を235℃に上げて、反応容器内を10.0mmHgまで減圧し、減圧下で約2.0時間攪拌反応させて、淡黄色透明な非晶性ポリエステル樹脂(B1)を得た。
得られた非晶性ポリエステル樹脂(B1)は、DSCによるガラス転移温度Tgが52.5℃、GPCによる質量平均分子量Mwが18000、数平均分子量Mnが6300、酸価AVが9.3KOHmg/gであった。
<結晶性ポリエステル樹脂(C1)の合成>
・1,10−ドデカン二酸: 50モル%
・1,9−ノナンジオール: 50モル%
攪拌器、温度計、コンデンサー及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に上記モノマー成分を入れ、反応容器中を乾燥窒素ガスで置換した後、チタンテトラブトキサイド(試薬)を前記モノマー成分100質量部に対して0.25質量部投入した。窒素ガス気流下、170℃で3時間攪拌反応させた後、温度をさらに210℃まで1時間かけて昇温し、反応容器内を3kPaまで減圧し、減圧下で13時間攪拌反応させて、結晶性ポリエステル樹脂(C1)を得た。
得られた結晶性ポリエステル樹脂(C1)は、DSCによる融解温度Tcが73.6℃、GPCによる質量平均分子量Mwが25000、数平均分子量Mnが10500、酸価AVが10.1mgKOH/gであった。
[実施例1]
<非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(PA1)の調製>
コンデンサー、温度計、水滴下装置、アンカー翼を備えたジャケット付き3リットル反応槽(東京理化器械株式会社製:BJ−30N)を水循環式恒温槽にて40℃に維持しながら、該反応槽に酢酸エチル160質量部とイソプロピルアルコール100質量部との混合溶剤を投入し、これに上記非晶性ポリエステル樹脂(A1)を300質量部投入して、スリーワンモーターを用い150rpmで攪拌を施し、溶解させて油相を得た。この攪拌されている油相に10質量%アンモニア水溶液を、滴下時間5分間で14質量部滴下し、10分間混合した後、更にイオン交換水900質量部を毎分7質量部の速度で滴下して転相させて、乳化液を得た。
すぐに、得られた乳化液800質量部とイオン交換水700質量部とを2リットルのナスフラスコに入れ、トラップ球を介して真空制御ユニットを備えたエバポレーター(東京理化器械株式会社)にセットした。ナスフラスコを回転させながら、60℃の湯バスで加温し、突沸に注意しつつ7kPaまで減圧し溶剤を除去した。溶剤回収量が1100質量部になった時点で常圧に戻し、ナスフラスコを水冷して分散液を得た。得られた分散液に溶剤臭は無かった。この分散液における樹脂粒子の体積平均粒径D50vは130nmであった。その後、イオン交換水を加えて固形分濃度が20質量%になるように調整し、これを非晶性ポリエステル樹脂分散液(PA1)とした。
<追加用非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(PA1A)の調製>
上記非晶性ポリエステル樹脂分散液(PA1)を350質量部、500mlビーカーに入れ、マグネチックスターラーにて、泡をかみ込まない速さで攪拌しながら、アニオン性界面活性剤(ダウケミカル社製、Dowfax2A1)を3.4質量部加え、10分間攪拌した後、0.3mol/l硝酸を用いてpHが3.2になるように調整し、追加用非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(PA1A)を得た。
<結晶性ポリエステル樹脂分散液(PC1)の調製>
コンデンサー、温度計、水滴下装置、アンカー翼を備えたジャケット付き3リットル反応槽(東京理化器械株式会社製:BJ−30N)に、前記結晶性ポリエステル樹脂(PC1)300質量部と、メチルエチルケトン(溶剤)160質量部と、イソプロピルアルコール(溶剤)100質量部とを入れ、水循環式恒温槽にて70℃に維持しながら、100rpmで攪拌混合しつつ樹脂を溶解させた〔溶解液調製工程〕。
その後攪拌回転数を150rpmにし、水循環式恒温槽を66℃に設定し、10質量%アンモニア水(試薬)17質量部を10分間かけて投入した後、66℃に保温されたイオン交換水を7質量部/分の速度で、合計900質量部滴下し転相させて、乳化液を得た。
すぐに、得られた乳化液800質量部とイオン交換水700質量部とを2リットルのナスフラスコに入れ、トラップ球を介して真空制御ユニットを備えたエバポレーター(東京理化器械株式会社)にセットした。ナスフラスコを回転させながら、60℃の湯バスで加温し、突沸に注意しつつ7kPaまで減圧し溶剤を除去した。溶剤回収量が1100質量部になった時点で常圧に戻し、ナスフラスコを水冷して分散液を得た。得られた分散液に溶剤臭は無かった。この分散液における樹脂粒子の体積平均粒径D50vは130nmであった。その後、イオン交換水を加えて固形分濃度が20質量%になるように調整し、これを結晶性ポリエステル樹脂分散液(PC1)とした。
<硫酸アルミニウム水溶液(SA)の調製>
・硫酸アルミニウム粉末(浅田化学工業株式会社製:17%硫酸アルミニウム): 35質量部
・イオン交換水・ 1965質量部
上記成分を2リットル容器へ投入し、30℃にて、沈殿物が消失するまで攪拌混合して硫酸アルミニウム水溶液を調製した。
<オレンジトナー(TC1)の調製>
・非晶性ポリエステル樹脂分散液(PA1): 700質量部
・着色剤分散液(OR1): 128質量部
・離型剤分散液(W1): 128質量部
・イオン交換水: 300質量部
・アニオン性界面活性剤(ダウケミカル社製、Dowfax2A1): 6.5質量部
上記成分を、温度計、pH計、攪拌器を具備した3リットルの反応容器に入れ、温度25℃にて、0.3M硝酸を加えてpHを3.0にした後、ホモジナイザー(IKAジャパン社製:ウルトラタラクスT50)にて5000rpmで分散しながら、調製した硫酸アルミニウム水溶液(SA)を130質量部添加して6分間分散した。
その後、反応容器に攪拌器、マントルヒーターを設置し、スラリーが充分に攪拌されるように攪拌器の回転数を調整しながら、温度40℃までは0.2℃/分の昇温速度、40℃を超えてからは0.05℃/分の昇温速度で昇温し、10分ごとにマルチサイザーII(アパーチャー径:50μm、ベックマン−コールター社製)にて粒径を測定した。体積平均粒径が5.0μmになったところで温度を保持し、さらに追加用非晶性ポリエステル樹脂分散液(PA1A)の全てを5分間かけて投入した。
追加用非晶性ポリエステル樹脂分散液(PA1A)を投入してから30分間保持した後、4質量%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを9.0にした。その後、5℃ごとにpHが9.0になるように同様にして調整しながら、昇温速度1℃/分で90℃まで昇温し、90℃で保持した。15分ごとに光学顕微鏡と走査電子顕微鏡(FE−SEM)にて粒子形状および表面性を観察したところ、2.0時間目で粒子の合一が確認されたので、冷却水にて容器を30℃まで5分間かけて冷却した。
冷却後のスラリーを、目開き15μmのナイロンメッシュに通過させ粗大粉を除去し、メッシュを通過したトナースラリーに、硝酸を加えてpH6.0に調整した後、アスピレータで減圧ろ過した。ろ紙上に残ったトナーを手でできるだけ細かく砕いて、温度30℃でトナー量の10倍のイオン交換水に投入し、30分間攪拌混合した後、再度アスピレータで減圧ろ過し、ろ液の電気伝導度を測定した。ろ液の電気伝導度が10μS/cm以下になるまでこの操作を繰り返し、トナーを洗浄した。
洗浄されたトナーを湿式乾式整粒機(コーミル)で細かく砕いてから、35℃のオーブン中で36時間真空乾燥して、トナー粒子を得た。得られたトナー粒子100質量部に対して、疎水性シリカ(日本アエロジル社製、RY50)1.0質量部を加え、サンプルミルを用いて13000rpmで30秒間混合ブレンドした。その後、目開き45μmの振動篩いで篩分して、オレンジトナー(TC1)を得た。
得られたオレンジトナー(TC1)は、体積平均粒径D50vが6.0μm、形状係数SF1が0.960(シスメックス株式会社製、FPIA−3000)であった。尚、トナーのSEM画像を観察したところ、滑らかな表面を持ち、離型剤の突き出しや表面層の剥がれなどの不具合は見られなかった。
<樹脂被覆キャリア(C)の調製>
・Mn−Mg−Sr系フェライト粒子(平均粒径40μm): 100質量部
・トルエン: 14質量部
・シクロヘキシルメタアクリレート/ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体(共重合重量比99:1、Mw8万): 2.0質量部
・カーボンブラック(VXC72:キャボット製): 0.12質量部
フェライト粒子を除く上記成分及びガラスビーズ(φ1mm、トルエンと同量)を、関西ペイント社製サンドミルを用いて1200ppmで30分間攪拌し、樹脂被覆層形成用溶液と得た。さらに、この樹脂被覆層形成用溶液とフェライト粒子とを真空脱気型ニーダーに入れ、減圧し、トルエンを留去して乾燥することにより、樹脂被覆キャリア(C)を調製した。
<オレンジ現像剤(DOR1)の調製>
上記樹脂被覆キャリア(C)500質量部に対して、前記オレンジトナー(TC1)40質量部を加え、V型ブレンダーで20分間ブレンドした後、目開き212μmの振動ふるいにより凝集体を除去して、オレンジ現像剤(DOR1)を調製した。
<補給用オレンジ現像剤(DOR1A)の調製>
上記樹脂被覆キャリア(C)20質量部に対して、前記オレンジトナー(TC2)100質量部を加え、V型ブレンダーで20分間ブレンドした後、目開き212μmの振動ふるいにより凝集体を除去して、補給用オレンジ現像剤(DOR1A)を得た。
(実施例2)
<追加用非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(PA1A)の調製>
実施例1と同様の操作にて、実施例1と同量の追加用非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(PA1A)を得た。
<オレンジトナー(TC2)の調製>
・結晶性ポリエステル樹脂分散液(PC1): 63質量部
・非晶性ポリエステル樹脂分散液(PA1): 637質量部
・着色剤分散液(OR1): 128質量部
・離型剤分散液(W1): 128質量部
・イオン交換水: 320質量部
・アニオン性界面活性剤(ダウケミカル社製、Dowfax2A1): 7.0質量部
上記成分を、温度計、pH計、攪拌器を具備した3リットルの反応容器に入れ、温度25℃にて、0.3M硝酸を加えてpHを3.0にした後、ホモジナイザー(IKAジャパン社製:ウルトラタラクスT50)にて5000rpmで分散しながら、調製した硫酸アルミニウム水溶液(SA)を125質量部添加して6分間分散した。
その後、反応容器に攪拌器、マントルヒーターを設置し、スラリーが充分に攪拌されるように攪拌器の回転数を調整しながら、温度40℃までは0.2℃/分の昇温速度、40℃を超えてからは0.05℃/分の昇温速度で昇温し、10分ごとにマルチサイザーII(アパーチャー径:50μm、ベックマン−コールター社製)にて粒径を測定した。体積平均粒径が5.0μmになったところで温度を保持し、さらに追加用非晶性ポリエステル樹脂分散液(PA1A)の全てを5分間かけて投入した。
追加用非晶性ポリエステル樹脂分散液(PA1A)を投入してから30分間保持した後、4質量%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを9.0にした。その後、5℃ごとにpHを9.0になるように同様にして調整しながら、昇温速度1℃/分で90℃まで昇温し、90℃で保持した。15分ごとに光学顕微鏡と走査電子顕微鏡(FE−SEM)にて粒子形状および表面性を観察したところ、1.0時間目で粒子の合一が確認されたので、冷却水にて容器を30℃まで5分間かけて冷却した。
冷却後のスラリーを、目開き15μmのナイロンメッシュに通過させ粗大粉を除去し、メッシュを通過したトナースラリーに、硝酸を加えてpH6.0に調整した後、アスピレータで減圧ろ過した。ろ紙上に残ったトナーを手でできるだけ細かく砕いて、温度30℃でトナー量の10倍のイオン交換水に投入し、30分間攪拌混合した後、再度アスピレータで減圧ろ過し、ろ液の電気伝導度を測定した。ろ液の電気伝導度が10μS/cm以下になるまでこの操作を繰り返し、トナーを洗浄した。
洗浄されたトナーを湿式乾式整粒機(コーミル)で細かく砕いてから、35℃のオーブン中で36時間真空乾燥して、トナー粒子を得た。得られたトナー粒子100質量部に対して、疎水性シリカ(日本アエロジル社製、RY50)1.0質量部と疎水性酸化チタン(日本アエロジル社製、T805)0.8質量部とを加え、サンプルミルを用いて13000rpmで30秒間混合ブレンドした。その後、目開き45μmの振動篩いで篩分して、オレンジトナー(TC2)を得た。
得られたオレンジトナー(TC2)は、体積平均粒径D50vが6.0μm、形状係数SF1が0.960(シスメックス株式会社製、FPIA−3000)であった。尚、トナーのSEM画像を観察したところ、滑らかな表面を持ち、離型剤の突き出しや表面層の剥がれなどの不具合は見られなかった。
<オレンジ現像剤(DOR2)の調製>
実施例1の<オレンジ現像剤(DOR1)の調製>において、オレンジトナー(TC1)をオレンジトナー(TC2)に代えたこと以外は、実施例1と同様の操作にて、オレンジ現像剤(DOR2)を得た。
<補給用オレンジ現像剤(DOR2A)の調製>
実施例1の<補給用オレンジ現像剤(DOR1A)の調製>において、オレンジトナー(TC1)をオレンジトナー(TC2)に代えたこと以外は、実施例1と同様の操作にて、補給用オレンジ現像剤(DOR2A)を得た。
(実施例3)
<追加用非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(PA1A)の調製>
実施例1と同様の操作にて、実施例1と同量の追加用非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(PA1A)を得た。
<オレンジトナー(TC3)の調製>
・結晶性ポリエステル樹脂分散液(PC1): 63質量部
・非晶性ポリエステル樹脂分散液(PA1): 637質量部
・着色剤分散液(OR1): 128質量部
・離型剤分散液(W1): 128質量部
・イオン交換水: 320質量部
・アニオン性界面活性剤(ダウケミカル社製、Dowfax2A1): 7.0質量部
上記成分を、温度計、pH計、攪拌器を具備した3リットルの反応容器に入れ、温度25℃にて、0.3M硝酸を加えてpHを3.8にした後、ホモジナイザー(IKAジャパン社製:ウルトラタラクスT50)にて5000rpmで分散しながら、調製した硫酸アルミニウム水溶液(SA)を125質量部添加して6分間分散した。
その後、反応容器に攪拌器、マントルヒーターを設置し、スラリーが充分に攪拌されるように攪拌器の回転数を調整しながら、温度40℃までは0.2℃/分の昇温速度、40℃を超えてからは0.05℃/分の昇温速度で昇温し、10分ごとにマルチサイザーII(アパーチャー径:50μm、ベックマン−コールター社製)にて粒径を測定した。体積平均粒径が5.0μmになったところで温度を保持し、さらに追加用非晶性ポリエステル樹脂分散液(PA1A)の全てを5分間かけて投入した。
追加用非晶性ポリエステル樹脂分散液(PA1A)を投入してから30分間保持した後、4質量%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを9.0にした。その後、5℃ごとにpHを9.0になるように同様にして調整しながら、昇温速度1℃/分で90℃まで昇温し、90℃で保持した。15分ごとに光学顕微鏡と走査電子顕微鏡(FE−SEM)にて粒子形状および表面性を観察したところ、1.0時間目で粒子の合一が確認されたので、冷却水にて容器を30℃まで5分間かけて冷却した。
冷却後のスラリーを、目開き15μmのナイロンメッシュに通過させ粗大粉を除去し、メッシュを通過したトナースラリーをアスピレータで減圧ろ過した。ろ紙上に残ったトナーを手でできるだけ細かく砕いて、温度30℃でトナー量の10倍のイオン交換水に投入し、30分間攪拌混合した後、再度アスピレータで減圧ろ過し、ろ液の電気伝導度を測定した。ろ液の電気伝導度が10μS/cm以下になるまでこの操作を繰り返し、トナーを洗浄した。
洗浄されたトナーを湿式乾式整粒機(コーミル)で細かく砕いてから、特開2007−199202号公報の実施例1に記載されている、(湿潤着色トナー粒子1の乾燥)と同様の操作にて、乾燥トナー粒子を得た。
得られた乾燥トナー粒子100質量部に対して、疎水性シリカ(日本アエロジル社製、RY50)1.0質量部と疎水性酸化チタン(日本アエロジル社製、T805)0.8質量部とを加え、サンプルミルを用いて13000rpmで30秒間混合ブレンドした。その後、目開き45μmの振動篩いで篩分して、オレンジトナー(TC3)を得た。
得られたオレンジトナー(TC3)は、体積平均粒径D50vが5.8μm、形状係数が0.968(シスメックス株式会社製、FPIA−3000)であった。尚、トナーのSEM画像を観察したところ、滑らかな表面を持ち、離型剤の突き出しや表面層の剥がれなどの不具合は見られなかった。
<オレンジ現像剤(DOR3)の調製>
実施例1の<オレンジ現像剤(DOR1)の調製>において、オレンジトナー(TC1)をオレンジトナー(TC3)に代えたこと以外は、実施例1と同様の操作にて、オレンジ現像剤(DOR3)を得た。
<補給用オレンジ現像剤(DOR3A)の調製>
実施例1の<補給用オレンジ現像剤(DOR1A)の調製>において、オレンジトナー(TC1)をオレンジトナー(TC3)に代えたこと以外は、実施例1と同様の操作にて、補給用オレンジ現像剤(DOR3A)を得た。
(実施例4)
実施例3において、オレンジトナー(TC3)を調製する際の結晶性ポリエステル樹脂分散液(PC1)の使用量を63質量部から10質量部に、非晶性ポリエステル樹脂分散液(PA1)の使用量を637質量部から677質量部に、それぞれ変更したこと以外は実施例3と同様の操作にて、オレンジトナー(TC4)、オレンジ現像剤(DOR4)及び補給用オレンジ現像剤(DOR4A)を得た。
得られたオレンジトナー(TC4)は、体積平均粒径D50vが5.9μm、形状係数が0.955(シスメックス株式会社製、FPIA−3000)であった。尚、トナーのSEM画像を観察したところ、滑らかな表面を持ち、離型剤の突き出しや表面層の剥がれなどの不具合は見られなかった。
(実施例5)
実施例3において、オレンジトナー(TC3)を調製する際の結晶性ポリエステル樹脂分散液(PC1)の使用量を63質量部から103質量部に、非晶性ポリエステル樹脂分散液(PA1)の使用量を637質量部から583質量部に、それぞれ変更したこと以外は実施例3と同様の操作にて、オレンジトナー(TC5)、オレンジ現像剤(DOR5)及び補給用オレンジ現像剤(DOR5A)を得た。
得られたオレンジトナー(TC4)は、体積平均粒径D50vが6.0μm、形状係数が0.974(シスメックス株式会社製、FPIA−3000)であった。尚、トナーのSEM画像を観察したところ、滑らかな表面を持ち、離型剤の突き出しや表面層の剥がれなどの不具合は見られなかった。
(実施例6)
実施例3において、用いた離型剤分散液(W1)を離型剤分散液(W3)に変更したこと以外は実施例3と同様の操作にて、オレンジトナー(TC6)、オレンジ現像剤(DOR6)及び補給用オレンジ現像剤(DOR6A)を得た。
得られたオレンジトナー(TC6)は、体積平均粒径D50vが5.7μm、形状係数が0.970(シスメックス株式会社製、FPIA−3000)であった。尚、トナーのSEM画像を観察したところ、滑らかな表面を持ち、離型剤の突き出しや表面層の剥がれなどの不具合は見られなかった。
(実施例7)
実施例3において、用いた離型剤分散液(W1)を離型剤分散液(W2)に変更したこと以外は実施例3と同様の操作にて、オレンジトナー(TC7)、オレンジ現像剤(DOR7)及び補給用オレンジ現像剤(DOR7A)を得た。
得られたオレンジトナー(TC7)は、体積平均粒径D50vが5.8μm、形状係数が0.962(シスメックス株式会社製、FPIA−3000)であった。尚、トナーのSEM画像を観察したところ、滑らかな表面を持ち、離型剤の突き出しや表面層の剥がれなどの不具合は見られなかった。
(実施例8)
<結晶性ポリエステル樹脂分散液(PC1−2)の調製>
実施例1の結晶性ポリエステル樹脂分散液(PC1)の調製において、添加する10質量%アンモニア水を、17質量部から20質量部へ変更したこと以外は、実施例1と同様の操作にて、結晶性ポリエステル樹脂分散液(PC1−2)を得た。得られた分散液に溶剤臭は無かった。この分散液における樹脂粒子の体積平均粒径D50vは110nmであった。その後、イオン交換水を加えて固形分濃度が20質量%になるように調整した。
<オレンジトナー(TC8)の調製>
実施例3において、用いた結晶性ポリエステル樹脂分散液(PC1)を結晶性ポリエステル樹脂分散液(PC1−2)に変更すると共に、追加用非晶性ポリエステル樹脂分散液(PA1A)を投入してから30分間保持した後に4質量%水酸化ナトリウム水溶液を用いて調整したpHを、pH9.0からpH9.2に変更したこと以外は、実施例3と同様の操作にて、オレンジトナー(TC8)を得た。
得られたオレンジトナー(TC8)は、体積平均粒径D50vが5.8μm、形状係数が0.965(シスメックス株式会社製、FPIA−3000)であった。尚、トナーのSEM画像を観察したところ、滑らかな表面を持ち、離型剤の突き出しや表面層の剥がれなどの不具合は見られなかった。
<オレンジ現像剤(DOR8)の調製>
実施例1の<オレンジ現像剤(DOR1)の調製>において、オレンジトナー(TC1)をオレンジトナー(TC8)に代えたこと以外は、実施例1と同様の操作にて、オレンジ現像剤(DOR8)を得た。
<補給用オレンジ現像剤(DOR8A)の調製>
実施例1の<補給用オレンジ現像剤(DOR1A)の調製>において、オレンジトナー(TC1)をオレンジトナー(TC8)に代えたこと以外は、実施例1と同様の操作にて、補給用オレンジ現像剤(DOR8A)を得た。
(実施例9)
実施例2のオレンジトナー(TC9)の調製において、ホモジナイザー前のpH調整値を3.8から、3.0へ変更し、加えて、追加用非晶性ポリエステル樹脂分散液(PA1A)を投入してから30分間保持した後に4質量%水酸化ナトリウム水溶液を用いて調整したpHを、pH9.0からpH7.0に変更すると共に、湿式シリカ分散体(日産化学社製、スノーテックスOS、固形分20質量%)を25質量部添加したこと以外は、実施例2と同様の操作にて、オレンジトナー(TC9)、オレンジ現像剤(DOR9)及び補給用オレンジ現像剤(DOR9A)を得た。
得られたオレンジトナー(TC9)は、体積平均粒径D50vが5.6μm、形状係数が0.968(シスメックス株式会社製、FPIA−3000)であった。尚、トナーのSEM画像を観察したところ、滑らかな表面を持ち、離型剤の突き出しや表面層の剥がれなどの不具合は見られなかった。
(実施例10)
<非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(PA1−2)の調製>
実施例1の非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(PA1)の調製において、添加する10質量%アンモニア水を、14質量部から17質量部へ変更した以外は、実施例1と同様の操作にて、非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(PA1−2)を得た。得られた分散液に溶剤臭は無かった。この分散液における樹脂粒子の体積平均粒径D50vは120nmであった。その後、イオン交換水を加えて固形分濃度が20質量%になるように調整した。
<追加用非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(PA1−2A)の調製>
実施例1の追加用非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(PA1A)の操作において、非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(PA1)を、非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(PA1−2)へ変更した以外は同様の操作にて、追加用非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(PA1−2A)を得た。
<オレンジトナー(TC3)の調製>
・結晶性ポリエステル樹脂分散液(PC1−2): 63質量部
・非晶性ポリエステル樹脂分散液(PA1−2): 637質量部
・着色剤分散液(OR1): 128質量部
・離型剤分散液(W1): 128質量部
・イオン交換水: 320質量部
・アニオン性界面活性剤(ダウケミカル社製、Dowfax2A1): 7.0質量部
上記成分を、温度計、pH計、攪拌器を具備した3リットルの反応容器に入れ、温度25℃にて、0.3M硝酸を加えてpHを4.8にした後、ホモジナイザー(IKAジャパン社製:ウルトラタラクスT50)にて5000rpmで分散しながら、調製した硫酸アルミニウム水溶液(SA)を130質量部添加して6分間分散した。
その後、反応容器に攪拌器、マントルヒーターを設置し、スラリーが充分に攪拌されるように攪拌器の回転数を調整しながら、温度40℃までは0.2℃/分の昇温速度、40℃を超えてからは0.05℃/分の昇温速度で昇温し、10分ごとにマルチサイザーII(アパーチャー径:50μm、ベックマン−コールター社製)にて粒径を測定した。体積平均粒径が5.0μmになったところで温度を保持し、さらに追加用非晶性ポリエステル樹脂分散液(PA1−2A)の全てを5分間かけて投入した。
追加用非晶性ポリエステル樹脂分散液(PA1−2A)を投入してから30分間保持した後、4質量%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを9.5にした。その後、5℃ごとにpHを9.5になるように同様にして調整しながら、昇温速度1℃/分で90℃まで昇温し、90℃で保持した。15分ごとに光学顕微鏡と走査電子顕微鏡(FE−SEM)にて粒子形状および表面性を観察したところ、1.0時間目で粒子の合一が確認されたので、冷却水にて容器を30℃まで5分間かけて冷却した。
冷却後のスラリーを、目開き15μmのナイロンメッシュに通過させ粗大粉を除去した後、メッシュを通過したトナースラリーをアスピレータで減圧ろ過した。ろ紙上に残ったトナーを手でできるだけ細かく砕いて、温度30℃でトナー量の10倍のイオン交換水に投入し、30分間攪拌混合した後、再度アスピレータで減圧ろ過し、ろ液の電気伝導度を測定した。ろ液の電気伝導度が15μS/cm以下になるまでこの操作を繰り返し、トナーを洗浄した。
洗浄されたトナーを湿式乾式整粒機(コーミル)で細かく砕いてから、特開2007−199202号公報の実施例1に記載されている、(湿潤着色トナー粒子1の乾燥)と同様の操作にて、乾燥トナー粒子を得た。
得られた乾燥トナー粒子100質量部に対して、疎水性シリカ(日本アエロジル社製、RY50)1.0質量部と疎水性酸化チタン(日本アエロジル社製、T805)0.8質量部とを加え、サンプルミルを用いて13000rpmで30秒間混合ブレンドした。その後、目開き45μmの振動篩いで篩分して、オレンジトナー(TC10)を得た。
得られたオレンジトナー(TC10)は、体積平均粒径D50vが5.8μm、形状係数が0.972(シスメックス株式会社製、FPIA−3000)であった。尚、トナーのSEM画像を観察したところ、滑らかな表面を持ち、離型剤の突き出しや表面層の剥がれなどの不具合は見られなかった。
<オレンジ現像剤(DOR10)の調製>
実施例1の<オレンジ現像剤(DOR1)の調製>において、オレンジトナー(TC1)をオレンジトナー(TC10)に代えたこと以外は、実施例1と同様の操作にて、オレンジ現像剤(DOR10)を得た。
<補給用オレンジ現像剤(DOR10A)の調製>
実施例1の<補給用オレンジ現像剤(DOR1A)の調製>において、オレンジトナー(TC1)をオレンジトナー(TC10)に代えたこと以外は、実施例1と同様の操作にて、補給用オレンジ現像剤(DOR10A)を得た。
(比較例1)
<非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(PB1)の調製>
実施例1の<非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(PA1)の調製>において、用いた非晶性ポリエステル樹脂(A1)を非晶性ポリエステル樹脂(B1)に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作にて分散液を得た。この分散液における樹脂粒子の体積平均粒径D50vは145nmであった。その後、イオン交換水を加えて固形分濃度が20質量%になるように調整し、これを非晶性ポリエステル樹脂分散液(PB1)とした。
<追加用非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(PB1A)の調製>
上記非晶性ポリエステル樹脂分散液(PB1)を350質量部、500mlビーカーに入れ、マグネチックスターラーにて、泡をかみ込まない速さで攪拌しながら、アニオン性界面活性剤(ダウケミカル社製、Dowfax2A1)を3.4質量部加え、10分間攪拌した後、0.3mol/l硝酸を用いてpHが3.6になるように調整し、追加用非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(PB1A)を得た。
<オレンジトナー(TCC)の調製>
実施例1の<オレンジトナー(TC1)の調製>において、非晶性ポリエステル樹脂分散液(PA1)を非晶性ポリエステル樹脂分散液(PB1)に、追加用非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(PA1A)を追加用非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(PB1A)にそれぞれ変更したこと以外は、実施例1と同様の操作にてオレンジトナー(TCC)を得た。
得られたオレンジトナー(TCC)は、体積平均粒径D50vが6.0μm、形状係数が0.952(シスメックス株式会社製、FPIA−3000)であった。尚、トナーのSEM画像を観察したところ、離型剤の突き出しや表面層の剥がれなどの不具合は見られなかったものの、トナー表面に100nmから300nmの大きさの小さな凹凸が見られた。
<オレンジ現像剤(DORC)の調製>
実施例1の<オレンジ現像剤(DOR1)の調製>において、オレンジトナー(TC1)をオレンジトナー(TCC)に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作にてオレンジ現像剤(DORC)を得た。
<オレンジ現像剤(DORCA)の調製>
実施例1の<補給用オレンジ現像剤(DOR1A)の調製>において、オレンジトナー(TC1)をオレンジトナー(TCC)に代えたこと以外は、実施例1と同様の操作にて、補給用オレンジ現像剤(DORCA)を得た。
[評価試験]
得られた実施例1〜7および比較例1のオレンジトナー、オレンジ現像剤及び補給用オレンジ現像剤について、それぞれ以下の評価試験を行った。結果を下記表1にまとめて示す。
<色域評価>
温度25℃、湿度60%の環境室内で、富士ゼロックス社製DocuCentre Color 400 CPのシアン現像器及びシアントナーカートリッジについて、標準でセットされていた現像剤及びトナーを除去して充分に清掃した後、調製したオレンジ現像剤をシアン現像器に、補給用オレンジ現像剤をシアントナーカートリッジに投入した。なお、トナー及び現像剤の投入前に、装置本体を十分に清掃しておいた。
マゼンタ現像器、イエロー現像器及びクロ現像器、並びにそれぞれの色のトナーカートリッジについては、DocuCentre Color 400 CPのそれぞれ元々の現像器がセットされていた位置にセットした。
そして、A3用紙20枚を、何も現像せずに通紙させ、この状態で48時間放置した。次に、A3用紙10枚を、何も現像せずに通紙させた後、OKトップコート紙上の各単色100%画像の現像トナー量を4.0g/m2に調整し、5cm×5cmの大きさでオレンジトナーのみ100%からなる単色画像を形成した。
得られた画像について、画像濃度と色座標(L*a*b*)を測定した。測定には、X−Rite939(アパーチャー4mm)を用いて、画像面内をランダムに10回測定し、その平均値をそれぞれ画像濃度(Dr)、色座標(Lab)とした。さらに色座標は、彩度(c*)((a*)の2乗と(b*)の2乗の和の平方根)、色相角(H)(=tan−1(b*/a*))に変換した。彩度(c*)は、大きいほど鮮やかな色彩を表現できることを意味する。
次に、マゼンタトナーのみ、マゼンタトナーカートリッジを外し、現像器へのトナー供給量をゼロとした。この状態で、5cm×5cmの大きさからなるイエロートナー100%とマゼンタトナー100%からなる2次色画像を繰り返し形成した。こうすることで、マゼンタ現像器中のマゼンタトナーが減っていき、当初のイエロー100%とマゼンタ100%の画像から、イエロー100%は変化せずにマゼンタトナーのみが少しずつ減っていく画像を形成した。得られた画像について、画像濃度と色座標を測定し、色相角(Hym)を算出した。算出された色相角(Hym)が、前記オレンジトナー100%からなる単色画像の色相角(H)と、(H)−1度≦(Hym)≦(H)+1度、の関係になった時の画像を、イエロートナーとマゼンタトナーからなるオレンジ画像として定義し、彩度(c*ym)を算出した。
前記オレンジ画像の彩度(c*)と、イエロートナーとマゼンタトナーからなるオレンジ画像の彩度(c*ym)とを比較して、以下の評価基準で色域(彩度)を評価した。
◎:前記単色画像が前記2次色画像より4以上大きい場合
○:前記単色画像が前記2次色画像より2以上4未満大きい場合
△:前記単色画像が前記2次色画像より0以上2未満大きい場合
×:前記単色画像の方が前記2次色画像より小さい場合
[低湿度下画像濃度評価]
上記色域評価が終了した状態で、再度、現像トナー量を4.0g/m2に調整し、富士ゼロックス社製 DocuCentre Color 400 CPの環境補正機能をオフにして、環境室の温湿度を、温度15℃、湿度15%にセットした。この状態で120時間放置した後、A3用紙3枚を、何も現像せずに通紙させた。
その後、5cm×5cmの大きさからなるオレンジトナーのみ100%からなる画像を形成し、得られた画像濃度を測定した。測定には、X−Rite939(アパーチャー4mm)を用いて、画像面内をランダムに10回測定し平均値を濃度(Dc)とした。
得られた画像濃度(Dc)の値と、色域評価の際(温度25℃、湿度60%)に得られた画像濃度(Dr)との比、Dc/Drを算出し、以下の評価基準で彩度を評価した。
◎:Dc/Drが0.97以上1.03未満
○:Dc/Drが0.93以上0.97未満、または、1.03以上1.07未満
△:Dc/Drが0.9以上0.93未満、または、1.07以上1.10未満
×:Dc/Drが0.9未満、または、1.10以上
[結果の考察]
実施例のオレンジトナーは、彩度に優れていた。また、低湿度環境下でも画像濃度の低下が抑制されており、画像濃度の環境依存性が抑えられていることが確認された。