JP2013056506A - インクジェット記録装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】廃インクタンクが満量近くであることを精度良く検出でき、同時に省電力なインクジェット記録装置を提供する。
【解決手段】廃インクタンク80には、インクを検知する検知電極86が設けられている。CPU131は、記録ヘッド65のクリーニング動作によって廃インクタンク80に貯留されたインクの推定量である廃液カウントC0をEEPROM134に記憶させる。クリーニング動作に伴い、CPU131は、廃液カウントC0が第1閾値以上且つ第2閾値未満であることを条件として、最後に検知電極86を使用したチェック動作を行ってからの経過時間を算出する。CPU131は、経過時間がEEPROM134に記憶されたチェック間隔以上であることを条件として、チェック動作を行う。チェック間隔は、チェック動作によって廃インクタンクが満量近くと判断された場合に大きな値に更新される。
【選択図】図6

Description

本発明は、パージやフラッシングにより生じた廃インクを廃インクタンクに貯留するインクジェット記録装置に関する。
従来より、被記録媒体を搬送し、搬送される被記録媒体に記録ヘッドからインクを吐出して画像記録を行うインクジェット記録装置が提供されている。インクジェット記録装置には、クリーニングにおいて記録ヘッドから排出されたインクを廃インクタンクに貯留するものがある。クリーニングには、ポンプにより記録ヘッドからインクを吸い出すパージや、記録ヘッドに空吐出を行わせるフラッシングがある。
この種のインクジェット記録装置には、パージやフラッシングを行った回数と1回のパージやフラッシングにより生じる廃液量とから廃インクタンクに貯留されているインク量を推定するものがある(特許文献1,2参照)。このインクジェット記録装置では、推定したインク量により廃インクタンクが満量となったと判断すると、廃インクタンクの交換を知らせるメッセージを表示手段に表示させる。
特開2002−29065号公報 特開2002−166540号公報
インクの蒸発等により、廃インクタンクに貯留されたインク量を正確に推定することは困難である。そうすると、安全を考慮して、廃インクタンクが実際に満量(フル状態)になる前に廃インクタンクを交換しなければならなくなり、廃インクタンクの交換までの期間が短くなって使い勝手が悪くなる。
また、一部のインクジェット記録装置には、廃インクタンクが実際に満量になる前に、満量近く(ニアフル状態)であることをユーザに報知する機能が設けられている。廃インクタンクに貯留された廃インク量を正確に推定することが困難であるため、廃インクタンクに十分な空きがあるにも関わらず、満量近くであると報知されてしまうことがある。
そこで、廃インクタンクが満量あるいは満量近くになったことを検知するセンサを廃インクタンクに設けることが考えられる。そうすると、廃インクタンクが実際に満量になるまで使用することができる。また、満量近くであることをユーザに正確に報知することができる。しかしながら、このようなセンサが必要になるのは、ある程度の期間に亘って画像記録が繰り返されて、廃インクタンクに一定量の廃インクが貯留されてからである。すなわち、廃インクタンクの交換直後や、インクジェット記録装置が製造後あまり使用されていない場合には、廃インクタンクには僅かな廃インクしか貯留されていない。このように、廃インクタンクに十分な空き容量があるときまでセンサを稼働させると、必要以上の電力を消費してしまう。
本発明は、上記事情に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、廃インクタンクが満量近くであることを精度良く検出でき、同時に省電力なインクジェット記録装置を提供することにある
(1) 本発明に係るインクジェット記録装置は、インク滴を被記録媒体へ吐出して画像記録を行う記録ヘッドと、クリーニング動作によって、上記記録ヘッドからインクを排出させるクリーニング部と、上記クリーニング部により上記記録ヘッドから排出されたインクを貯留する廃インクタンクと、上記廃インクタンク内に配置されており、上記廃インクタンク内においてインクを検知する検知部と、上記検知部を駆動状態及び非駆動状態に切り替える検知制御部と、上記クリーニング部により上記記録ヘッドから排出されたインク量の積算値を示す廃液カウントを記憶し、上記クリーニング動作が実行されるごとに、上記記録ヘッドから排出されたインクの推定量に基づく値を廃液カウントに加算して、廃液カウントの値を更新する記憶部と、上記クリーニング部により上記クリーニング動作が実行されるごとに、廃液カウントと、上記記憶部にそれぞれ記憶された第1閾値及び第1閾値よりも大きな第2閾値と、をそれぞれ比較する比較制御部と、上記比較制御部により廃液カウントが上記第1閾値以上且つ上記第2閾値未満と判断された場合、上記検知制御部により上記検知部が上記駆動状態から上記非駆動状態に切り替えられてからの連続する経過時間を算出する経過時間算出制御部と、を備えている。上記検知制御部は、上記経過時間算出制御部によって算出された経過時間が、チェック間隔以上である場合、上記検知部を上記駆動状態に切り替えて上記廃インクタンク内のインクを検知させ、当該検知終了後に上記検知部を上記非駆動状態に切り替え、上記比較制御部により廃液カウントが上記第1閾値未満または上記第2閾値以上と判断された場合、上記検知部を上記駆動状態に切り替えずに上記非駆動状態を維持し、上記記憶部は、上記チェック間隔を記憶するものであり、上記検知部がインクを検知した場合、上記チェック間隔を大きくする。
第1閾値及び第2閾値は、比較制御部が廃インクタンクが満量近くになったか否かを判定するために使用する廃液カウントの閾値である。クリーニング動作時に、廃液カウントが第1閾値と第2閾値との間にある場合、検知部が駆動状態から非駆動状態にされてからの連続する経過時間が算出される。すなわち、検知部による直近の検知が終了してからの経過時間が算出される。経過時間がチェック間隔以上である場合、検知部が駆動状態にされ、廃インクタンク内のインクを検知する動作(以下、単にチェック動作とする)が実行される。経過時間がチェック間隔未満である場合、検知部によるチェック動作は実行されない。これにより、最後に検知部によるチェック動作が実行されてから、インクの蒸発などによって廃インクタンクのインク量が変化することが想定される程度の時間が経過した後に、再び検知部が駆動状態とされてチェック動作が実行される。つまり、検知部によって廃インクタンクが満量近くであるか否かを精度良く検知することができると同時に、検知部によるチェック動作の回数を必要な範囲で少なくすることにより消費電力が低減される。
また、検知部がインクを検知した場合は、廃インクタンクから十分な量のインクが蒸発していないか、あるいは、インクの蒸発量よりも、新たに廃インクタンクに溜まったインクの量が多い場合であると考えられる。係る場合、廃インクタンク内の十分な量のインクが蒸発するまでに検知部によるチェック結果が変化する可能性が低いため、廃インクタンク内の十分な量のインクが蒸発するまでの間に検知部によるチェック動作を実行する必要性は低い。本発明によれば、検知部がインクを検知した場合にチェック間隔を大きくするため、廃インクタンク内の十分な量のインクが蒸発するまでの間に検知部によるチェック動作が実行される事態が低減され、更なる省電力を図ることができる。
(2) 上記記憶部は、上記検知部がインクを検知したことを条件として、上記廃インクタンク内のインク量が満了未満の第1インク量になったことを示すニアフルフラグを設定し、上記検知部がインクを検知しなかったことを条件として、上記ニアフルフラグが設定されている場合には、上記ニアフルフラグを解除するものであってもよい。
ニアフルフラグは、廃インクタンクが満量近くにあることを意味するものである。一度廃インクタンクが満量近くになった場合であっても、時間経過と共に廃インクタンク内のインクが蒸発して、廃インクタンクの空き容量に余裕ができることが考えられる。検知部のチェック動作によってインクが検知されなかった場合にニアフルフラグが解除されるため、廃インクタンクの状態を確実にニアフルフラグに反映させることができる。
(3) 上記記憶部は、上記比較制御部により廃液カウントが第2閾値以上と判断された場合、上記廃インクタンク内のインク量が満了未満の第1インク量になったことを示すニアフルフラグを設定するものであってもよい。
廃液カウントが第2閾値以上と判断された場合には、検知部を駆動状態とすることなく記憶部がニアフルフラグを設定するため、検知部によるチェック動作の回数を更に少なくすることができる。
(4) 上記検知制御部は、上記比較制御部により廃液カウントが第1閾値以上且つ第2閾値未満と判断され、且つ上記記憶部に上記ニアフルフラグが設定されていない場合に、上記検知部を上記非駆動状態から上記駆動状態に切り替え、上記経過時間算出制御部は、上記比較制御部により廃液カウントが第1閾値以上且つ第2閾値未満と判断され、且つ上記記憶部に上記ニアフルフラグが設定されている場合に、上記経過時間を算出してもよい。
ニアフルフラグが設定されていないときに検知部が駆動状態にされることで、廃インクタンクが前回の検知部によるチェック動作の後に新たに満量近くになっていないかを確認することができる。また、ニアフルフラグが設定されており、経過時間がチェック間隔以上であるときに検知部が駆動状態にされることで、前回の検知部によるチェック動作が終了してから、時間経過に伴うインクの蒸発などによって廃インクタンクに十分な空き容量ができていないかを確認することができる。
(5) 本発明に係るインクジェット記録装置は、当該装置の内部の温度を検知する温度センサをさらに備えていてもよい。上記記憶部は、上記温度センサにより検知された温度が低いほど上記チェック間隔を大きくしてもよい。
装置内部の温度が低いほど、廃インクタンクのインクが蒸発する量は少ない。温度センサにより検知された温度が低いほどチェック間隔を大きくすることにより、次回の検知部によるチェック動作までの時間間隔に装置内部の温度を反映させることができる。つまり、廃インクタンク内の十分な量のインクが蒸発するまでの間に検知部によるチェック動作が実行される事態が低減され、更なる省電力を図ることができる。
(6) 上記記録ヘッドは、少なくとも2種類のインクを排出可能であってもよい。上記記憶部は、上記クリーニング部による直前の上記クリーニング動作により上記記録ヘッドから排出されたインクの種類に応じて上記チェック間隔を大きくする値を決定してもよい。
インクの種類に応じて、廃インクタンクのインクの蒸発量は変化する。クリーニング部による直前のクリーニング動作により記録ヘッドから排出されたインクの種類に応じてチェック間隔を大きくする値を決定することにより、次回の検知部によるチェック動作までの時間間隔にインクの種類ごとの排出量を反映させることができる。つまり、廃インクタンク内の十分な量のインクが蒸発するまでの間に検知部によるチェック動作が実行される事態が低減され、更なる省電力を図ることができる。
(7) 本発明に係るインクジェット記録装置は、時間をカウントするタイマカウンタをさらに備えていてもよい。上記検知制御部は、上記クリーニング部による上記クリーニング動作が実行されてから、上記記憶部に記憶された待機時間が上記タイマカウンタによってカウントされた後に、上記検知部を上記非駆動状態から上記駆動状態へ切り替えてもよい。
クリーニング部によって排出されたインクが廃インクタンク内に流入して安定した状態になるには、一定の時間が必要となる。タイマカウンタによって待ち時間がカウントされた後に検知部が非駆動状態から上記駆動状態へ切り替えられることで、廃インクタンクのインクが安定した状態になった後に検知部によるチェック動作が行われる。つまり、検知部による誤検出を防止することができる。
本発明によると、検知部によって廃インクタンクが満量近くであることを精度良く検出できる。同時に、検知部によるチェック動作の間隔を必要な範囲で少なくすることにより、消費電力を低減することができる。
図1は、本発明に係る複合機1の外観斜視図である。 図2は、プリンタ部2の構成を示す模式図である。廃インクタンク80は省略されている。 図3は(A)は、記録ヘッド65の下面図である。図3は(B)は、パージ機構70及び廃インクタンク80の構成を示す模式図である。 図4は、CPU131と各部との機能的な繋がりを示す図である。 図5は、廃インクタンク80が満量近くであるか否かを内部情報として管理するために、CPU131が実行する制御の流れを示すフローチャートである。 図6(A)は、図5のフローチャートのD1で示される第1ニアフルフラグ設定処理を示す図である。図6(B)は、図5のフローチャートのD2で示される第2ニアフルフラグ設定処理を示す図である。 図7は、図5のフローチャートのD3で示されるニアフルフラグ解除処理を示す図である。
以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。また、以下の説明では、複合機1が使用可能に設置された状態(図1の状態)を基準として上下方向14が定義され、操作パネル9が設けられている側を手前側(正面)として前後方向12が定義され、複合機1を手前側(正面)から見て左右方向13が定義される。
[複合機1]
図1に示されるように、本発明のインクジェット記録装置の一例である複合機1は、下部に配設されたプリンタ部2と、プリンタ部2の上部に配設されたスキャナ部3などを一体的に備えた多機能装置(MFD:Multi Function Device)である。複合機1は、プリンタ機能、スキャナ機能、コピー機能、及びファクシミリ機能などを有する。
なお、本実施形態において、複合機1はプリンタ機能として片面画像記録機能のみ有しているが、複合機1は両面画像記録機能を有していてもよい。また、本発明を実現するうえで、スキャナ機能やファクシミリ機能などは任意の機能であり、例えば、本発明に係るインクジェット記録装置が、プリンタ機能のみを有するプリンタとして実施されてもよい。なお、ここでは、スキャナ部3の詳細な説明は省略される。
複合機1は、主にコンピュータなどの外部情報機器(不図示)と接続された状態で使用される。プリンタ部2は、外部情報機器から受信した記録データやスキャナ部3で読み取られた原稿の読取データに基づいて、記録用紙(本発明の被記録媒体の一例)に画像を記録する。
複合機1の上面の前方側であって、スキャナ部3の正面側の上面には、プリンタ部2やスキャナ部3を操作するための操作パネル9が設けられている。複合機1は、操作パネル9からの指示情報、又は外部機器からプリンタドライバやスキャナドライバなどを通じて送信される指示情報に基づいて、複合機1の動作を統括するCPU131(図4)により動作される。
[プリンタ部2]
図1に示されるように、プリンタ部2は、正面に開口4が形成されたケーシング5を有する。ケーシング5内にプリンタ部2の各構成要素が配設されている。
開口4を通じて、給紙トレイ20及び排紙トレイ21(図2)が複合機1に装着される。なお、図1では、給紙トレイ20及び排紙トレイ21が省略されている。給紙トレイ20には、記録用紙が収容される。排紙トレイ21は、給紙トレイ20に支持されて、給紙トレイ20の上方に配置される。
図2に示されるように、給紙トレイ20の上側には、給紙ローラ25が設けられている。給紙ローラ25は、給紙トレイ20に接離可能に上下動する給紙アーム26の端部で軸支されている。給紙ローラ25は、複数のギアが噛合されてなる駆動伝達機構27によって、給紙モータ76(図4)の駆動力が伝達されて回転する。給紙ローラ25が給紙トレイ20上の記録用紙に圧接して回転することにより、積載された記録用紙は、以下で説明される搬送路23へ供給される。
搬送路23は、給紙トレイ20の後側の端部から上方且つ複合機1の前側へ曲がって、複合機1の背面側(後側)から正面側(前側)へ延出されている。搬送路23には、搬送ローラ対54及び排出ローラ対55が設けられている。記録用紙は、搬送ローラ対54及び排出ローラ対55によって搬送路23を搬送される。
搬送路23は、搬送ローラ対54による挟持位置、記録部24の下側、及び排出ローラ対55による挟持位置を通過して排紙トレイ21へ通じている。給紙トレイ20から繰り出された記録用紙は、搬送路23により下方から上方へUターンするように案内されて記録部24に至る。記録用紙は、記録部24により画像記録が行われた後、排紙トレイ21に排出される。
記録部24は、搬送路23を搬送向き15へ搬送される記録用紙に対して、画像を記録するものである。記録部24は、インクジェット方式で画像記録を行う。記録部24は、主として記録ヘッド65、プラテン66、及びキャリッジ67によって構成されている。
キャリッジ67は、搬送路23の上方に設けられている。キャリッジ67は、例えば、プリンタ部2の内部に設けられたフレーム(不図示)に取り付けられた2本のガイドレール(不図示)によって支持される。キャリッジ67は、キャリッジ駆動モータ103(図4)の回転に基づき、ベルト駆動機構(不図示)から駆動伝達されて、ガイドレールに沿って左右方向13に往復動される。
キャリッジ67には、記録ヘッド65が搭載されている。記録ヘッド65は、キャリッジ67の下面側に露出され、プラテン66と対向されている。プラテン66は、搬送路23を挟んでキャリッジ67と対向配置されており、記録用紙を下方から支持する。キャリッジ67が左右方向13に往復動することにより、記録ヘッド65がプラテン66上の記録用紙に対して走査され、記録ヘッド65から吐出されたインクが記録用紙に着弾して画像記録が行われる。
図3(A)に示されるように、記録ヘッド65は、その下面68に、複数のノズル69C,69M,69Y,69Bを備えている。各ノズル69C,69M,69Y,69Bは、例えば、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(Bk)の各色のインクごとに設けられている。各色のインクに対応するノズル69C,69M,69Y,69Bは、それぞれ前後方向12に沿って複数配列されている。記録ヘッド65は、CPU131の制御に基づき、各ノズル69C,69M,69Y,69Bからインクを記録用紙に選択的に吐出する。図3(A)の例においては、ノズル69Cがシアン(C)のインクを吐出し、ノズル69Mがマゼンタ(M)のインクを吐出し、ノズル69Yがイエロー(Y)のインクを吐出し、ノズル69Bがブラック(Bk)のインクを吐出する。例えば、ノズル69Bからブラック(Bk)のインクのみが吐出された場合には、記録用紙にモノクロ画像が記録され、複数種類のノズルからインクが吐出された場合には、記録用紙にカラー画像が記録される。
[パージ機構70]
図3(B)に示されるパージ機構70(本発明のクリーニング部の一例)は、記録ヘッド65の移動経路の下方であって、プラテン66の右端よりも右側に配置されている。この位置はパージ位置と呼ばれ、画像記録時に記録ヘッド65が往復動する範囲よりも右側に位置している。
パージ機構70は、可動部71と、可動部71を上下方向14へ移動させるカム機構72と、インクが流れる2本のチューブ76,77と、インクを吸引するポンプ73とを備えている。カム機構72は、カム駆動モータ104(図4)により駆動され、可動部71を上下方向14へ移動させる。
可動部71は、ゴム材料からなるキャップ74,75を備えている。キャップ74,75は、パージ位置にある記録ヘッド65のノズル69C,69M,69Y,69Bの下方となる位置に設けられている。キャップ74,75は、可動部71が上方へ移動されることにより記録ヘッド65の下面68に当接する。その際、キャップ74がノズル69Bを覆い、キャップ75がノズル69C,69M,69Yを覆う。
キャップ74,75には、チューブ76,77の一端がそれぞれ接続されている。チューブ76,77は、可撓性を有する樹脂チューブである。チューブ76,77の流路の途中にはポンプ73が介接されている。ポンプ73には、ポンプ駆動モータ105(図4)により駆動されるロータリ式のチューブポンプが用いられている。キャップ74,75がノズル69C,69M,69Y,69Bを閉塞した状態においてポンプ73が駆動されると、キャップ74,75内が負圧となり、インクがノズル69C,69M,69Y,69Bからキャップ74,75内を通じてチューブ76,77へ流出する。チューブ76,77に流出されたインクは、廃インクタンク80に流れ込む。この一連の動作は、パージ動作と称される。
[廃インクタンク80]
図3(B)に示される廃インクタンク80は、概ね扁平な箱形状を呈している。廃インクタンク80は、図3(B)の例では記録部24よりも上方に設けられているが、任意の場所に設けられていてよい。廃インクタンク80には、接続部84を介して、2本のチューブ76,77の一端が接続されている。パージ機構70によりノズル69C,69M,69Y,69Bから吸引されたインクは、チューブ76,77を通って接続部84から廃インクタンク80内に流れ込む。廃インクタンク80内に流れ込んだインクは、例えばスポンジなどのインク吸収部材85に吸収され、インク吸収部材85内を拡散される。廃インクタンク80には、インクの有無を検知する検知電極86(本発明の検知部の一例)が設けられている。検知電極86は、接続部84から離れた場所に設けられている。詳細には、検知電極86は、廃インクタンク80が満量近く(ニアフル状態)になってからインクと接触する位置に設けられている。なお、廃インクタンク80が満量近くである状態が、本発明の第1インク量の一例である。
検知電極86は、CPU131の制御によって電圧が印加される。検知電極86が出力する信号値は、インクが検知電極86に到達しているときと、検知電極86に到達していないときとにおいて相違する。検知電極86が出力する信号値は、例えば、電流または電圧の大きさである。詳細は後述されるが、CPU131は、検知電極86が出力した信号値により、廃インクタンク80が満量近くであるか否かを判断する。
また、廃インクタンク80の周辺には、温度センサ87(図4)が設けられている。あるいは、温度センサ87は、廃インクタンク80の内部に設けられていてもよい。CPU131は、温度センサ87の出力信号の大きさにより、温度センサ87周辺の環境温度を算出する。
[CPU131]
図4に示されるCPU131は、複合機1の全体動作を制御するものである。CPU131は、内部バス137を通じて、ROM132、RAM133、EEPROM134、及びASIC135(以下、4つを合わせて周辺回路とする。)とそれぞれ接続されている。ROM132、RAM133、EEPROM134、及びASIC135は、CPU131からの命令によって動作し、CPU131の機能を補助するものである。
ROM132には、CPU131が複合機1の記録制御を含む各種動作を制御するためのプログラムや数値などが格納されている。RAM133は、CPU131が上記プログラムを実行する際に用いるデータや信号等を一時的に記録する記憶領域、或いはデータ処理の作業領域として使用される。EEPROM134には、後述される廃液カウントC0,C1、ニアフルフラグ、フルフラグ、及びチェック間隔等の電源オフ後も保持すべき設定やフラグが格納される。
ASIC135には、給紙モータ76、キャリッジ駆動モータ103、搬送モータ59、記録ヘッド65、カム駆動モータ104、ポンプ駆動モータ105、検知電極86、及び温度センサ87が接続されている。
ASIC135には、それぞれのモータを制御する駆動回路が組み込まれている。CPU131から所定のモータに応じた駆動回路に各モータを回転させるための駆動信号が入力されると、駆動信号に応じた駆動電流が駆動回路から対応するモータへ出力される。これにより、対応するモータが所定の回転速度で正転又は逆転する。つまり、CPU131はASIC135を通じて、給紙モータ76、キャリッジ駆動モータ103、搬送モータ59、カム駆動モータ104、及びポンプ駆動モータ105を制御する。
また、ASIC135は、CPU131からの命令に基づき、記録ヘッド65によるインクの吐出を制御する。また、ASIC135は、検知電極86及び温度センサ87が出力した電気信号をAD変換し、所定のデータ形式においてCPU131に送信する。
なお、CPU131及び周辺回路は、後述される図5〜7のフローチャートの制御を実行することで、本発明の検知制御部、記憶部、比較制御部、及び経過時間算出制御部として機能するものである。例えば、CPU131及び周辺回路は、S32,S37,S46,S52の制御を実行するときに本発明の検知制御部として機能し、S14,S22,S34,S48,S49の制御を実行するときに本発明の記憶部として機能し、S15,S16の制御を実行するときに本発明の比較制御部として機能し、S38,S44,S53の制御を実行するときに本発明の経過時間算出制御部として機能する。
[クリーニング動作]
CPU131は、ユーザの操作、あるいは一定の条件が満たされたことに基づき、記録ヘッド65に残留したインクを排出させるクリーニング動作を実行する。クリーニング動作には、パージ動作とフラッシング動作とがある。パージ動作及びフラッシング動作は、どちらか一方のみが行われることもあるし、両方が行われることもある。
まずは、パージ動作が説明される。CPU131は、パージ機構70にパージ動作を実行させる。まず、CPU131は、キャリッジ駆動モータ103を制御して記録ヘッド65をパージ位置に移動させる。続けて、CPU131は、カム駆動モータ104、及びポンプ駆動モータ105を制御して、上述したパージ動作をパージ機構70に実行させる。ここで、一定の条件とは、前回の画像記録から予め設定された時間以上の時間が経過した場合などである。
本実施形態において、パージ動作には、スモールパージ、ノーマルパージ、及びパワーパージの3種類があり、いずれのパージ動作が行われるかによって、排出されるインク量が相違する。また、パージ動作が行われるインクの種類によっても排出されるインク量が相違する。各パージ動作によって排出されるインクの推定量の一例が、以下の表1に示される。なお、各パージ動作によって排出されるインクの推定量は、ROM132に記憶されている。
Figure 2013056506
本実施形態において、顔料は、ブラック(Bk)のインクであり、染料は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)のインクである。つまり表1に示される染料の排出量は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)のインク排出量の合計である。パージ動作は、顔料のみ又は染料のみ行うこともできる。
パージ動作の実行時、CPU131は、いずれのパージ動作(スモールパージ、ノーマルパージ、又はパワーパージ)がいずれのインク(顔料又は染料)に対して行われたかに基づき、排出されたインク量の推定値を算出する。CPU131は、排出されたインク量の推定値を、インクの種類ごとに一時的にRAM133に記憶させる。記憶されたインク量の推定値は、パージ動作の後に実行される制御において廃液カウントC0,C1をカウントアップするために使用される。詳細については後述される。
次に、フラッシング動作が説明される。フラッシング動作とは、記録ヘッド65がインクを空吐出する動作である。CPU131は、キャリッジ駆動モータ103を制御して記録ヘッド65をフラッシング位置(不図示)に移動させ、記録ヘッド65にインクを空吐出させる。乾燥等により粘性の高くなったインクは、空吐出によってノズル69C,69M,69Y,69Bから排出される。インクは、フラッシング位置の下方に設けられた廃インクトレイ(不図示)に受けられ、チューブ76,77、あるいは異なる流路を通じて廃インクタンク80に送られる。
フラッシング動作においても、一度の空吐出によって排出されるインク量がインクごとに決められており、各フラッシング動作によって排出されるインクの推定量がROM132に記憶されている。CPU131は、パージ動作の場合と同様にして、空吐出の回数や一度の空吐出によって排出されるインク量に基づき、排出されたインク量の推定値を、一時的にRAM133に記憶させる。
[ニアフルフラグ,フルフラグの管理]
CPU131は、図5のフローチャートに示される制御を実行することで、廃インクタンク80の容量に余裕があるか否かを内部情報として管理する。詳細には、CPU131は、廃インクタンク80が満量近く(ニアフル状態)であることを示すニアフルフラグ、をEEPROM134に設定又は解除する。更に、CPU131は、廃インクタンク80が満量(フル状態)であることを示すフルフラグをEEPROM134に設定する。
CPU131は、EEPROM134にニアフルフラグが設定されていることに基づき、音声や液晶表示部11により、廃インクタンク80が満量近くにある旨の報知を行う。あるいは、CPU131は、廃インクタンク80が満量近くにある旨をパーソナルコンピュータのモニタに表示させる。
また、CPU131は、EEPROM134にフルフラグが設定されていることに基づき、同様の方法によって廃インクタンク80が満量である旨の報知を行う。EEPROM134にフルフラグが設定されている状態では、廃インクタンク80が満量であるため、プリンタ部2は画像記録ができない状態にある。したがって、CPU131は、プリンタ部2に画像記録を行わせず、ユーザに廃インクタンク80の交換を促す。
CPU131がニアフルフラグ及びフルフラグを管理するために行う制御が、図5のフローチャートを参照しながら以下に詳細に説明される。なお、以下の説明において、ROM132及びEEPROM134に記憶された各種の情報は、任意のデータ形式によって表現されうるものである。例えば、各フラグは、「0」または「1」のいずれかの値を取るブール型変数であってもよい。その場合、「0」がフラグが設定されていない状態を示し、「1」がフラグが設定された状態を示すものであってもよい。
図5のフローチャートに示される制御は、クリーニング動作(S12)に伴って実行される。すなわち、ユーザの操作、あるいは一定の条件が満たされたことに基づき、CPU131は、図5のフローチャートを開始する。
CPU131は、クリーニング動作を実行する前に、EEPROM134にフルフラグが設定されているか否かを確認する(S11)。EEPROM134にフルフラグが設定されている場合(S11:Yes)、プリンタ部2はそれ以上の画像記録ができない状態にあるため、CPU131は、クリーニング動作の実行を中止してフローチャートの制御を終了する。
EEPROM134にフルフラグが設定されていない場合(S11:No)、CPU131は、クリーニング動作を実行する(S12)。クリーニング動作の完了後、CPU131は、時間のカウントを開始する(S13)。時間のカウントは、CPU131に接続された周辺回路のシステムクロックに基づいて行われる。カウントされた時間は、後述される図6のS31,図7のS45の制御で使用される。CPU131は、時間のカウントと並行して、以下に説明される後続の制御を実行する。
CPU131は、クリーニング動作で排出されたインク量の推定値を、EEPROM134に記憶された廃液カウントC0(本発明の廃液カウントの一例)に加算し、廃液カウントC0の値を更新する(S14)。上述されたように、インク量の推定値はクリーニング動作の際にRAM133に記憶されており、その値が使用される。廃液カウントC0は、過去に実行されたクリーニング動作において排出されたインク量の積算値を示している。クリーニング動作ごとにS14の制御が実行されて、廃液カウントC0の値は、排出されたインク量に基づいてカウントアップされる。複合機1の製造時には、廃液カウントC0には、インクが排出されていないことを示す初期値として、例えば「0」が記憶されている。ユーザによる通常の使用においては、廃液カウントC0が減少、あるいは初期値にリセットされることはない。
CPU131は、S14の制御で積算されてEEPROM134に記憶された廃液カウントC0と、複合機1の製造時にROM132に記憶された第2閾値とを比較する(S15)。
第2閾値は、CPU131が他の条件を考慮せずにニアフルフラグを設定するための廃液カウントC0の閾値である。第2閾値は、廃インクタンク80内のインクが完全に乾燥した状態で検知電極86に到達したときに廃液カウントC0が取りうると推定される値が設定されている。例えば、完全に乾燥した状態のインクが、全く乾燥していない状態のインクに対して約20%の容量となると想定した場合、廃インクタンク80の容量を100mlと仮定すると、第2閾値は、約485mlと設定される。S15の比較において、廃液カウントC0が第2閾値以上である場合(S15:Yes)、CPU131は、第1ニアフルフラグ設定処理(D1)を実行する。
第1ニアフルフラグ設定処理の詳細が図6(A)のフローチャートに示される。CPU131は、EEPROM134にニアフルフラグが設定されているか否かを確認し(S21)、設定されていなければ(S21:No)、EEPROM134にニアフルフラグを設定する(S22)。
また、CPU131は、EEPROM134に記憶された廃液カウントC1を初期値にリセットする(S23)。廃液カウントC1は、廃液カウントC0と同様に、クリーニング動作において排出されたインク量の積算値を示すものである。ただし、以下のフローで示されるように、廃液カウントC1は、ニアフルフラグの設定及び解除と共に初期値にリセットされ、ニアフルフラグが設定されているときにのみ積算される。つまり、廃液カウントC1は、最後にニアフルフラグが設定されてから排出されたインク量の積算値を示している。なお、ニアフルフラグが設定又は解除された場合、廃液カウントC1はその都度初期値にリセットされる。廃液カウントC1の初期値は、ニアフルフラグが最後に設定又は解除されてからインクが排出されていないことを示す値であり、例えば「0」であってもよい。
一方、EEPROM134にニアフルフラグが設定されている場合(S21:Yes)、CPU131は、廃液カウントC0の場合(S14)と同様にして、廃液カウントC1の値をカウントアップする(S24)。CPU131は、廃液カウントC1と複合機1の製造時にROM132に記憶された第3閾値とを比較し(S25)、廃液カウントC1が第3閾値以上である場合、EEPROM134にフルフラグを設定する(S26)。フルフラグはひとたび設定されると、ユーザによる通常の使用において解除されることはない。
第3閾値は、CPU131がフルフラグを設定するための廃液カウントC1の閾値である。第3閾値には、廃インクタンク80内のインクが検知電極86に到達してから(すなわち、ニアフル状態になってから)満量(フル状態)になるまでに廃液カウントC1が取りうると推定される値が設定されている。例えば、第3閾値は、廃液カウントC1の初期値にノーマルパージ2回分に相当する廃液カウントを加算した値が設定される。以上で、第1ニアフルフラグ設定処理は終了され、同時にクリーニング動作に伴う図5の制御全体が終了される。
なお、通常の使用において廃液カウントC0が減少することはないため、ひとたび廃液カウントC0が第2閾値を越えると、S15の比較は毎回「Yes」に分岐し、第1ニアフルフラグ設定処理が実行される。第1ニアフルフラグ設定処理にはニアフルフラグを解除する制御は含まれないため、廃液カウントC0が第2閾値を越えて以降、ニアフルフラグが解除されることはない。
一方、S15の比較において、廃液カウントC0が第2閾値未満である場合(S15:No)、CPU131は、S14の制御で積算されてEEPROM134に記憶された廃液カウントC0と、複合機1の製造時にROM132に記憶された第1閾値とを比較する(S16)。
第1閾値は、CPU131が他の条件に基づき、ニアフルフラグを設定、あるいは解除するための廃液カウントC0の閾値である。S16の比較において、廃液カウントC0が第1閾値未満である場合(S16:No)、廃インクタンク80の空き容量は十分であると予測される。したがって、CPU131は、それ以上何も行わずフローチャートの制御を終了する。
一方、S16の比較において、廃液カウントC0が第1閾値以上である場合(S16:Yes)、廃インクタンク80が満量近くである可能性がある。そのため、以降のフローにおいて、CPU131は、所定の条件に基づきニアフルフラグの設定又は解除を行う。廃インクタンク80にある程度のインクが貯留された頃(満量近くである可能性が少しでも想定される頃)に廃液カウントC0が第1閾値を越えるように、第1閾値には、第2閾値よりも小さな値が設定されている。具体的に、第1閾値には、廃インクタンク80内のインクが全く乾燥していない状態で検知電極86に到達したときに廃液カウントC0が取りうると推定される値が設定されている。例えば、廃インクタンク80の容量を100mlと仮定すると、第1閾値は、約97mlと設定される。
CPU131は、EEPROM134にニアフルフラグが設定されているか否かのチェックを行う(S17)。ここで、ニアフルフラグが設定されていない場合(S17:No)、CPU131は、第2ニアフルフラグ設定処理(D2)を実行する。一方、ニアフルフラグが設定されている場合(S17:Yes)、CPU131は、ニアフルフラグ解除処理(D3)を実行する。
まずは、第2ニアフルフラグ設定処理が説明される。第2ニアフルフラグ設定処理の詳細が、図6(B)のフローチャートに示される。まず、CPU131は、図5のS13によって開始された時間のカウントが所定時間に達するまで、以降の制御を停止する(S31)。つまり、CPU131は、カウントが完了するまでの間、待機状態となる。
CPU131がカウントする時間は、複合機1の製造時にROM132に記憶された待機時間が示す時間である。この時間は、クリーニング動作の後に、インクが廃インクタンク80のインク吸収部材85に吸収されるために必要な時間に基づいて決定されている。つまり、CPU131は、インクがインク吸収部材85に吸収された後に、S32以降の制御を再開する。
CPU131は、検知電極86に電圧を印加し(S32)、出力された信号値を確認する。そして、信号値が、複合機1の製造時にROM132に記憶された基準値以上であるか否かを判断する(S33)。以下、S32,S33、及び後述されるS46,S47の制御がチェック動作と称される。廃インクタンク80が満量近くであり、インクが検知電極86に達している場合、検知電極86から出力される信号値は基準値以上となる(S33:Yes)。その場合、CPU131は、EEPROM134にニアフルフラグを設定する(S34)。ここで、検知電極86に電圧が印可された状態が本発明の駆動状態に相当し、電圧が印可されていない状態が本発明の非駆動状態に相当する。
また、CPU131は、ニアフルフラグを設定すると共に、EEPROM134に記憶された廃液カウントC1を初期値にリセットする(S35)。同時にEEPROM134に記憶されたチェック間隔を初期値にリセットする(S36)。チェック間隔は、CPU131がチェック動作を行う最短の時間間隔を示している。チェック間隔の初期値としては、例えば「0」が使用されてもよい。チェック間隔の詳細は後述される。
一方、インクが検知電極86に達していない場合、検知電極86から出力される信号値は基準値未満となる(S33:No)。その場合、CPU131は、S34〜S36の制御を実行しない。また、CPU131は、S33の分岐に関わらず、検知電極86への電圧の印加を停止する(S37)。
CPU131は、EEPROM134に記憶された最終チェック日時を、現在の日時(当該制御が行われている日時)を示す値に更新する(S38)。そのためにCPU131は、周辺回路のシステムクロックが生成するシステム時刻を使用する。あるいは、複合機1に接続されたコンピュータからシステム時刻が取得されてもよい。最終チェック日時は、CPU131が最後にチェック動作を行った日時を示すものである。最終チェック日時は、後述されるS44の制御で参照される。以上で、第2ニアフルフラグ設定処理は終了され、同時にクリーニング動作に伴う図5の制御全体が終了される。
次に、ニアフルフラグ解除処理が説明される。ニアフルフラグ解除処理の詳細が、図7のフローチャートに示される。まずCPU131は、廃液カウントC1の値をカウントアップし(S41)、第3閾値を上回った場合(S42:Yes)、EEPROM134にフルフラグを設定する(S43)。ここで、S41,S42,S43は、それぞれ上述されたS24,S25,S26と同様の制御であるため、詳細は省略される。
S42の判定において、廃液カウントC1が第3閾値未満である場合(S42:No)、CPU131は、EEPROM134に記憶された最終チェック日時が示す日時から、現在の日時(当該制御が行われている日時)までの経過時間(本発明の経過時間の一例)を算出し、その経過時間が、EEPROM134に記憶されたチェック間隔以上であるか否かを判断する(S44)。
上記の経過時間がチェック間隔未満である場合(S44:No)、最後にチェック動作が実行されてから、廃インクタンク80のインクが蒸発するために必要な時間が経過していないと予測される。したがって、CPU131は、ニアフルフラグを解除することなく、図6(B)の制御を終了する。同時にクリーニング動作に伴う図5の制御全体が終了される。
一方、上記の経過時間がチェック間隔以上である場合(S44:Yes)、最後にチェック動作が実行されてから一定の時間が経過しており、インクの蒸発により廃インクタンク80に空き容量が確保されている可能性がある。すなわち、検知電極86が出力した信号値の変化に伴って、チェック動作における判断結果が最後に実行されたチェック動作における判断結果と異なる可能性がある。なお、チェック動作における判断結果とは、S33またはS47における判断結果である。したがって、CPU131は、S45以降の制御によって、チェック動作を行い、ニアフルフラグを解除するか否かを判断する。
S45,S46,S47は、それぞれ上述されたS31,S32,S33と同様の制御であるため、説明は省略される。
S46,S47のチェック動作において、検知電極86が出力した信号値が、基準値未満である場合(S47:No)、廃インクタンク80内のインクの蒸発によって、インクが、検知電極86に接触しない状態となっている。その場合、CPU131は、EEPROM134に設定されたニアフルフラグを解除する(S49)。また、CPU131は、ニアフルフラグを解除すると共に、EEPROM134に記憶された廃液カウントC1及びチェック間隔を初期値にリセットする(S50,S51)。
一方、検知電極86から出力された信号値が基準値以上である場合(S47:Yes)、廃インクタンク80のインクが十分に蒸発しておらず、インクが検知電極86に接触した状態にある。その場合、CPU131は、ニアフルフラグを解除することなく、EEPROM134に記憶されたチェック間隔の値を増加させる(S48)。この制御の詳細については後述される。
S52,S53は、それぞれ上述されたS37,S38と同様の制御であるため、説明は省略される。以上で、ニアフルフラグ解除処理は終了され、同時にクリーニング動作に伴う図5の制御全体が終了される。
[チェック間隔の更新]
上述されたように、図6,7のフローチャートにおいて、CPU131は、ニアフルフラグを新たに設定又は解除したときに、チェック間隔を初期値にリセットする(S23,S51)。また、CPU131は、S33,S34のチェック動作において、ニアフルフラグを解除しなかったときにチェック間隔を増加させる(S48)。
例えば、チェック間隔の初期値が「0」である場合、ニアフルフラグが新たに設定された後に最初に実行されるクリーニング動作においては、S44の判定はYesに分岐されて、チェック動作が実行される。S45,S46のチェック動作において、CPU131がニアフルフラグを解除しないとき、チェック間隔はその都度増加される。これにより、S44の判定がNoに分岐される状態が発生しやすくなる。つまり、S45,S46のチェック動作が行われる間隔が長くなる。
CPU131がS37の制御でチェック間隔を増加させる増加分は、複合機1の製造時にROM132に記憶された基準延長時間に、追加延長時間を加算した値となる。追加延長時間は、直前のクリーニング動作で排出された各インクの推定量、及び各インクの乾燥係数に基づき算出される。追加延長時間を算出するための計算式が以下に示される。なお、式中のPは顔料の乾燥係数を示し、Dは染料の乾燥係数を示す。括弧内は単位を示す。
[追加延長時間の計算式]
追加延長時間[h]=P×顔料の排出量[ml] + D×染料の排出量[ml]
CPU131は、直前のクリーニング動作(S12)でRAM133に記憶させた各インクの排出量の推定値を、追加延長時間の計算に利用する。
P,Dで示される乾燥係数は、それぞれ、顔料及び染料の乾燥しにくさを示している。つまり、乾燥係数が大きいほど、インクが乾燥(蒸発)しにくい。乾燥係数は装置内の環境温度によって変化する。乾燥係数の一例が、以下の表2に示される。なお、乾燥係数は、ROM132に記憶されている。
Figure 2013056506
表2に示される装置内の環境温度として、温度センサ87の出力信号に基づきCPU131が算出した値が使用される。
例えば、直前のクリーニング動作において、パージ動作(顔料及び染料のノーマルパージ)のみが行われており、温度センサ87の出力信号に基づき算出された環境温度が25℃である場合、表1から、顔料の排出量=0.4[ml],染料の排出量=1.1[ml]となり、表2から、P=50,D=30となる。したがって、上記追加延長時間の計算式により、追加延長時間は52時間となる。
以上より、装置内の環境温度が低いほど、また、クリーニング動作におけるインクの排出量が多いほど、チェック間隔の増加は大きくなる。また、インクの排出量や装置内の環境温度が同じであっても、排出されたインクが乾燥しにくい顔料を多く含むほど、チェック間隔の増加は大きくなる。
[実施形態の作用効果]
本実施形態によると、廃液カウントC0が第1閾値未満である場合(S16:No)には、チェック動作が実行されない。クリーニング動作が繰り返されて、廃液カウントC0が第1閾値以上、第2閾値未満となった場合(S16:Yes)、所定の条件によりチェック動作が実行され(S32,S33,S46,S47)、その結果に基づいて、ニアフルフラグが設定又は解除される。さらにクリーニング動作が繰り返されて、廃液カウントC0が第2閾値以上となった場合(S15:Yes)、無条件でニアフルフラグが設定され(S22)、それ以降は解除されない。
また、ニアフルフラグが設定された状態でクリーニング動作が実行されると、廃液カウントC1がカウントアップされる(S24,S41)。廃液カウントC1が第3閾値以上となった場合(S25:Yes,S42:Yes)、フルフラグが設定され、プリンタ部2は、画像記録ができない状態となる。ニアフルフラグが設定又は解除される度に廃液カウントC1はリセットされる(S23,S50)。
つまり、廃液カウントC0が第1閾値と第2閾値との間にある場合にのみチェック動作が実行される。したがって、廃インクタンク80が満量近くになっていないことが明らかな場合や、廃インクタンク80が満量近くになっていることが明らかな場合にはチェック動作が行われない。これにより、廃インクタンクが満量近くであるか否かを精度良く検知することができると同時に、チェック動作に係る消費電力を低減することができる。
また、EEPROM134にニアフルフラグやフルフラグが設定されることにより、廃液タンク130が満量近くあるいは満量であることをユーザに報知したり、プリンタ部2の画像記録制御に反映させることができる。
また、チェック動作によって、EEPROM134にニアフルフラグが設定され、あるいは解除されるため、廃インクタンク80内のインクが蒸発した場合などにおいても、廃インクタンク80の状態を確実にニアフルフラグに反映させることができる。また、ニアフルフラグの設定又は解除に伴って廃液カウントC1がリセットされるため、インクの蒸発によって廃インクタンク80に空き容量ができたにもかかわらず、フルフラグが設定されて画像記録ができなくなってしまう状況を回避することができる。
また、廃液カウントC0が第2閾値以上と判断された場合には、チェック動作を行うことなくEEPROM134にニアフルフラグが設定されるため、チェック動作の回数を更に少なくすることができ、チェック動作に係る消費電力を低減することができる。
また、EEPROM134にニアフルフラグが設定された状態で、チェック動作で検知電極86が基準値以上の信号値を出力した場合にチェック間隔を大きくするため、廃インクタンク80内のインクが十分に蒸発するまでの間にチェック動作が実行される事態が低減され、チェック動作に係る消費電力を低減することができる。
また、チェック間隔の増加分が、チェック動作におけるインクの種類ごとの排出量の推定値、及び温度センサ87の出力信号に基づき算出されるため、廃インクタンク80内のインクが十分に蒸発するまでの間にチェック動作が実行される事態が低減され、更なる省電力化を図ることができる。
また、チェック間隔の増加分が、チェック動作におけるインクの種類ごとの排出量の推定値、及び温度センサ87の出力信号に基づき算出されるため、次回のチェック動作までの時間間隔を、廃インクタンク80のインクが蒸発するために必要な時間にさらに近づけることができる。
また、チェック動作の前にCPU131によって所定時間がカウントされるため、クリーニング動作で排出されたインクが確実にインク吸収部材85に吸収された後にチェック動作が実行される。したがって、検知電極86及びCPU131による誤検出を防止することができる。
[変形例]
上述された実施形態において、廃インクタンク80に貯留されるインクは、パージ動作及びフラッシング動作に伴い排出されるインクのみであったが、それらとは異なる方法で排出されたインクが廃インクタンク80に貯留されてもよい。例えば、プリンタ部2は、記録用紙より大きい範囲を印刷範囲として印刷する縁無し印刷を実行可能なものであってもよい、また、プリンタ部2は、記録用紙からはみ出してプラテン66に着弾したインクを回収して、廃インクタンク80に送るインク回収手段をさらに備えていてもよい。その際、CPU131は、画像データに基づいて、記録用紙からはみ出すドットの数をカウントし、当該ドット数に基づいてEEPROM134に記憶された廃液カウントC0,C1を増加させてもよい。
また、廃インクタンク80に貯留されるインクを検知するセンサとして、必ずしも検知電極86が使用される必要はなく、例えば光学式のセンサなどが使用されてもよい。そのような変形例によると、廃インクタンク80に貯留されたインクが光学式のセンサに到達している場合、光学式のセンサは信号を出力し、到達していない場合、光学式のセンサは信号を出力しない。したがって、上述された図6のS33,S47の制御において、CPU131は、光学式のセンサが信号を出力した否かに基づいて制御を分岐させればよい。
また、表1に示されるインク排出量の推定値や、表2に示される乾燥係数は一例であり、当業者が最適な値を適宜設定できるものである。また、追加延長時間の計算式は、インクの種類ごとの排出量や環境温度の他、更に多くの条件が考慮されて決定されてもよい。
また、図5,6に示されるフローチャートは一例であり、同様の機能を実現するものであれば制御の詳細な内容や順序が多少異なっていてもよい。また、フローチャートの制御は、全てがプログラムに基づいて実行される必要はなく、少なくとも一部が専用のハードウェアに置き換えられたり、結線論理(Wired Logic)によって実行されてもよい。
1・・・複合機
65・・・記録ヘッド
70・・・パージ機構
80・・・廃インクタンク
86・・・検知電極
87・・・温度センサ
131・・・CPU
132・・・ROM
133・・・RAM
134・・・EEPROM
135・・・ASIC

Claims (7)

  1. インク滴を被記録媒体へ吐出して画像記録を行う記録ヘッドと、
    クリーニング動作によって、上記記録ヘッドからインクを排出させるクリーニング部と、
    上記クリーニング部により上記記録ヘッドから排出されたインクを貯留する廃インクタンクと、
    上記廃インクタンク内に配置されており、上記廃インクタンク内においてインクを検知する検知部と、
    上記検知部を駆動状態及び非駆動状態に切り替える検知制御部と、
    上記クリーニング部により上記記録ヘッドから排出されたインク量の積算値を示す廃液カウントを記憶し、上記クリーニング動作が実行されるごとに、上記記録ヘッドから排出されたインクの推定量に基づく値を廃液カウントに加算して、廃液カウントの値を更新する記憶部と、
    上記クリーニング部により上記クリーニング動作が実行されるごとに、廃液カウントと、上記記憶部にそれぞれ記憶された第1閾値及び第1閾値よりも大きな第2閾値と、をそれぞれ比較する比較制御部と、
    上記比較制御部により廃液カウントが上記第1閾値以上且つ上記第2閾値未満と判断された場合、上記検知制御部により上記検知部が上記駆動状態から上記非駆動状態に切り替えられてからの連続する経過時間を算出する経過時間算出制御部と、
    を備え、
    上記検知制御部は、
    上記経過時間算出制御部によって算出された経過時間が、チェック間隔以上である場合、上記検知部を上記駆動状態に切り替えて上記廃インクタンク内のインクを検知させ、当該検知終了後に上記検知部を上記非駆動状態に切り替え、
    上記比較制御部により廃液カウントが上記第1閾値未満または上記第2閾値以上と判断された場合、上記検知部を上記駆動状態に切り替えずに上記非駆動状態を維持し、
    上記記憶部は、
    上記チェック間隔を記憶するものであり、
    上記検知部がインクを検知した場合、上記チェック間隔を大きくする、インクジェット記録装置。
  2. 上記記憶部は、
    上記検知部がインクを検知したことを条件として、上記廃インクタンク内のインク量が満了未満の第1インク量になったことを示すニアフルフラグを設定し、
    上記検知部がインクを検知しなかったことを条件として、上記ニアフルフラグが設定されている場合には、上記ニアフルフラグを解除する、請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  3. 上記記憶部は、上記比較制御部により廃液カウントが第2閾値以上と判断された場合、上記廃インクタンク内のインク量が満了未満の第1インク量になったことを示すニアフルフラグを設定する請求項1または2に記載のインクジェット記録装置。
  4. 上記検知制御部は、上記比較制御部により廃液カウントが第1閾値以上且つ第2閾値未満と判断され、且つ上記記憶部に上記ニアフルフラグが設定されていない場合に、上記検知部を上記非駆動状態から上記駆動状態に切り替え、
    上記経過時間算出制御部は、上記比較制御部により廃液カウントが第1閾値以上且つ第2閾値未満と判断され、且つ上記記憶部に上記ニアフルフラグが設定されている場合に、上記経過時間を算出する請求項2または3に記載のインクジェット記録装置。
  5. 当該装置の内部の温度を検知する温度センサをさらに備え、
    上記記憶部は、上記温度センサにより検知された温度が低いほど上記チェック間隔を大きくする請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  6. 上記記録ヘッドは、少なくとも2種類のインクを排出可能であり、
    上記記憶部は、上記クリーニング部による直前の上記クリーニング動作により上記記録ヘッドから排出されたインクの種類に応じて上記チェック間隔を大きくする値を決定する請求項1〜5のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  7. 時間をカウントするタイマカウンタをさらに備え、
    上記検知制御部は、上記クリーニング部による上記クリーニング動作が実行されてから、上記記憶部に記憶された待機時間が上記タイマカウンタによってカウントされた後に、上記検知部を上記非駆動状態から上記駆動状態へ切り替える請求項1〜6のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
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