JP2013040061A - カーボンナノチューブの加工方法及び加工装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】カーボンナノチューブが形成されたウエハWをエッチング装置100の処理容器1内のステージ3上に載置する。シャワーリング57から処理容器1内にプラズマ生成ガスを導入するとともに、マイクロ波発生部35で発生したマイクロ波を、平面アンテナ33に導き、透過板39を介して処理容器1内に導入する。プラズマが着火したタイミングで酸化性ガス(例えばO2ガス)又は還元性ガス(例えばH2ガスやNH3ガス)を処理容器1内に導入し、プラズマ化する。このように形成される低電子温度のプラズマを、ウエハW上のカーボンナノチューブに作用させることにより、その先端側から基端部側へ向けて長尺方向にエッチングが進行する。
【選択図】図1
Description
図1は、本発明の一実施の形態に係るカーボンナノチューブの加工方法に使用可能なエッチング装置の一例を模式的に示す断面図である。図1に示すエッチング装置100は、マイクロ波を平面アンテナの多数のマイクロ波放射孔から放射させて処理容器内に均質なマイクロ波プラズマを形成できるRLSA(ラジアル・ライン・スロット・アンテナ;Radial Line Slot Antenna)方式のマイクロ波プラズマ処理装置として構成されている。エッチング装置100で利用するマイクロ波プラズマは、ラジカルを主体とする低電子温度のプラズマであるため、カーボンナノチューブのエッチング処理に適している。
処理容器1の底壁1aの略中央部には円形の開口部15が形成されており、底壁1aにはこの開口部15と連通し、下方に向けて突出する排気室17が設けられている。また、処理容器1の側壁には、ウエハWを搬入出するための搬入出口19と、この搬入出口19を開閉するゲートバルブGとが設けられている。
ステージ3は、例えばAlN等のセラミックスから構成されている。ステージ3は、排気室17の底部中央から上方に延びる円筒状のセラミックス製の支持部材23により支持されている。ステージ3の外縁部にはウエハWをガイドするためのガイドリング25が設けられている。また、ステージ3の内部には、ウエハWを昇降するための昇降ピン(図示せず)がステージ3の上面に対して突没可能に設けられている。
マイクロ波導入部5は、処理容器1の上部に設けられ、多数のマイクロ波放射孔33aが形成された平面アンテナ33と、マイクロ波を発生させるマイクロ波発生部35と、誘電体板としての透過板39と、処理容器1の上部に設けられた枠状部材41と、マイクロ波の波長を調節する誘電体からなる遅波板43と、平面アンテナ33及び遅波板43を覆うカバー部材45と、を有している。また、マイクロ波導入部5は、マイクロ波発生部35で発生したマイクロ波を平面アンテナ33に導く導波管47及び同軸導波管49と、導波管47と同軸導波管49との間に設けられたモード変換器51とを有している。
ガス供給部7は、処理容器1の内壁に沿ってリング状に設けられた第1のガス導入部としてのシャワーリング57と、このシャワーリング57の下方において、処理容器1内の空間を上下に仕切るように設けられた第2のガス導入部としてのシャワープレート59と、を有している。
排気部11は、排気室17と、この排気室17の側面に設けられた排気管97と、この排気管97に接続された排気装置99とを有している。排気装置99は、図示は省略するが、例えば真空ポンプや圧力制御バルブ等を有している。
制御部13は、エッチング装置100の各構成部を制御するモジュールコントローラである。制御部13は、典型的にはコンピュータであり、例えば図4に示したように、CPUを備えたコントローラ101と、このコントローラ101に接続されたユーザーインターフェース103および記憶部105を備えている。コントローラ101は、エッチング装置100において、例えば温度、圧力、ガス流量、マイクロ波出力などのプロセス条件に関係する各構成部(例えば、ヒータ電源29、第1ガス供給部7A、第2ガス供給部7B、マイクロ波発生部35、排気装置99など)を制御する制御手段である。
次に、エッチング装置100において行われるカーボンナノチューブの加工方法について説明する。図5A及び図5Bは、カーボンナノチューブの加工方法の主要な工程を説明するウエハWの表面付近の縦断面図である。
(処理圧力)
プラズマエッチングにおける処理容器1内の圧力は、プラズマを安定して維持するため、例えば66.7〜400Pa(0.5〜3Torr)とすることが好ましく、66.7〜266Pa(0.5〜2Torr)がより好ましい。
エッチングガスとして、酸化性ガス、例えばO2ガスを用いる場合、その流量は、プラズマ中で活性種を効率的に生成させる観点から、例えば100〜2000mL/min(sccm)とすることが好ましく、100〜500mL/min(sccm)がより好ましい。また、酸化性ガスとしてH2Oガスを用いる場合、その流量は、プラズマ中で活性種を効率的に生成させる観点から、例えば0.01〜10mL/min(sccm)とすることが好ましく、0.01〜3mL/min(sccm)がより好ましい。
マイクロ波パワーは、プラズマ中で活性種を効率よく生成させる観点から、例えば500W〜4000Wとすることが好ましく、500W〜2000Wがより好ましい。また、マイクロ波のパワー密度は、プラズマ中で活性種を効率よく生成させる観点から、0.3W/cm2以上3.2W/cm2以下の範囲内とすることが好ましく、0.3W/cm2以上1.6W/cm2以下の範囲内がより好ましい。なお、マイクロ波のパワー密度は、透過板39の面積1cm2あたりに供給されるマイクロ波パワーを意味する(以下、同様である)。
処理圧力:66.7Pa(0.5Torr)
処理ガス:
H2ガス 462mL/min(sccm)
Arガス 450mL/min(sccm)
マイクロ波パワー:1kW
処理温度:470℃
処理時間:5分間
処理圧力:400Pa(3Torr)
処理ガス:
N2ガス 200mL/min(sccm)
Arガス 450mL/min(sccm)
処理温度:470℃
処理時間:2分間
処理圧力:400Pa(3Torr)
処理ガス:
C2H4ガス 30mL/min(sccm)
H2ガス 1109mL/min(sccm)
Arガス 450mL/min(sccm)
マイクロ波パワー:1kW
処理温度:470℃
処理時間:30分間
図5Aと同様の構成のカーボンナノチューブに対して、下記の表1に示す条件で、O2プラズマ(実施例1)、NH3プラズマ(実施例2)、又はH2プラズマ(実施例3)によりエッチングを実施した。この実験では、エッチングガスとしてのO2ガスはシャワーリング57から導入し、NH3ガス及びH2ガスはシャワープレート59から導入した。エッチング後のカーボンナノチューブのダメージの有無は、走査型電子顕微鏡(SEM)による断面観察により確認した。エッチングレート及びエッチングダメージの有無に関する評価結果を併せて表1に示した。また、SEMによるエッチング前の観察結果を図6Aに、実施例1のO2プラズマによるエッチング後の観察結果を図6Bに、実施例2のNH3プラズマによるエッチング後の観察結果を図6Cに、実施例3のH2プラズマによるエッチング後の観察結果を図6Dに、それぞれ示した。表1より、エッチングレートが最も高いのはO2プラズマによるエッチング(実施例1)であったが、NH3プラズマ、H2プラズマでも実用上十分なエッチングレートが得られた。
図5Aと同様の構成のカーボンナノチューブに対して、下記の表2に示す条件で、H2プラズマ(実施例4)、又は、H2/O2プラズマ(実施例5)によりエッチングを実施した。この実験では、エッチングガスとしてのO2ガスはシャワーリング57から導入し、H2ガスはシャワープレート59から導入した。SEMによる実施例4のH2プラズマによるエッチング後の観察結果を図8Aに、実施例5のH2/O2プラズマによるエッチング後の観察結果を図8Bに、それぞれ示した。表2に示した実施例4と実施例5の比較から、H2ガスに微量の酸素を添加することによって、カーボンナノチューブのダメージを抑制しながら、カーボンナノチューブのエッチングレートを大幅に向上させることが可能であった。
図5Aと同様の構成のカーボンナノチューブに対して、下記の条件で、H2Oプラズマによりエッチングを実施した。なお、エッチングガスとしてのH2Oガスは、アルゴンガスとともにシャワープレート59から導入した。
処理圧力;133.3[Pa]
Arガス流量;100[mL/min(sccm)]
H2Oガス流量;0.03[mL/min(sccm)]
マイクロ波パワー;1[kW]
温度[℃];470℃
時間[分];5分間
次に、本実施の形態の加工方法によって加工されたカーボンナノチューブを電子放出素子及びカーボンナノチューブ照明装置に適用した例について説明する。図10は、カーボンナノチューブを電子放出素子として用いたカーボンナノチューブ照明400の概略構成を示している。カーボンナノチューブ照明400は、カソード基板401、カソード電極402、及び束状のカーボンナノチューブ403を有するエミッタ部410と、蛍光層(白色)411、アノード電極412及びアノード基板413を有する発光部420と、前記カソード電極402と前記アノード電極412との間に電圧を印加する外部電源430と、を備えている。ここで、エミッタ部410のカソード電極402とカーボンナノチューブ403は、電気的に接続されている。また、カソード電極402とカーボンナノチューブ403は、電子放出素子を構成している。
エミッタ部410は、カソード基板401、カソード電極402、及び上記加工方法により加工された束状のカーボンナノチューブ403を積層した構造を有している。図示は省略するが、カソード電極402とカーボンナノチューブ403との間には、例えば鉄、ニッケル、コバルトなどの金属や、その金属酸化物、金属窒化物などからなる触媒金属層を有していてもよい。この触媒金属層は、カーボンナノチューブ403を成長させる際に利用されたものであり、カソード電極402の一部分として存在していてもよい。カソード基板401としては、例えば100℃〜350℃程度の加熱に耐えうるものであれば良く、例えばシリコン基板、ガラス基板、合成樹脂(高分子)基板を用いることができる。また、カソード電極402を構成する材料としては、導電性材料であれば特に限定されず、例えば銅、アルミニウム、ニッケル、鋼、ステンレス等を用いることができるが、紫外光・可視光・赤外光で反射率が高く安価なアルミニウムが最も好ましい。カソード電極402の厚さは、例えば1〜10μm程度が好ましい。
発光部420は、蛍光層(白色)411、アノード電極412、及びアノード基板413を積層させた構造を有しており、アノード基板413の表面を発光面とする。蛍光層411は、カーボンナノチューブ403に対向して、アノード電極412に積層して設けられ、電子放出素子から放出された電子を受けて発光する部位である。蛍光層411に用いる蛍光体は、発光する波長や用途に応じ、適宜選択することができる。蛍光体としては、例えば、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化イットリウムなどの微粒子を用いることができる。蛍光層411は、例えば、塗布法、インクジェット法、スクリーン印刷法などにより形成することができる。アノード電極412は、カソード電極402及びカーボンナノチューブ403を含む電子放出素子と対向して配置される。アノード電極412は、透明導電性材料膜であればよく、その材質として、例えば酸化インジウムスズ(ITO)、グラフェン、酸化亜鉛、酸化スズ等を用いることができる。アノード電極412は、例えばスパッタ法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、CVD法、スプレー法、ディップ法などの方法でアノード基板413上に形成できる。アノード基板413は、透光性を示す材料であればよく、例えばガラス基板のほか、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂などの合成樹脂(高分子)基板を用いることができる。
Claims (8)
- 基板表面に対して略垂直に配向した束状のカーボンナノチューブを有する基板を処理容器内に配置する工程と、
複数のマイクロ波放射孔を有する平面アンテナにより前記処理容器内にマイクロ波を導入してエッチングガスのプラズマを生成させ、該プラズマにより前記束状のカーボンナノチューブを先端側からエッチングする工程と、
を備えているカーボンナノチューブの加工方法。 - 前記平面アンテナがラジアル・ライン・スロット・アンテナである請求項1に記載のカーボンナノチューブの加工方法。
- 前記エッチングガスが、酸化性のガスである請求項1に記載のカーボンナノチューブの加工方法。
- 前記酸化性のガスが、O2ガス、O3ガス、H2Oガス、H2O2ガス及びNOガスよりなる群から選ばれる1種以上のガスである請求項3に記載のカーボンナノチューブの加工方法。
- 前記エッチングガスが、還元性のガスである請求項1に記載のカーボンナノチューブの加工方法。
- 前記還元性のガスが、H2ガス及びNH3ガスよりなる群から選ばれる1種以上のガスである請求項5に記載のカーボンナノチューブの加工方法。
- 基板を処理する上部が開口した処理容器と、
前記処理容器内で、前記基板の表面に対して略垂直に配向した束状のカーボンナノチューブを有する基板を載置する載置台と、
前記処理容器の前記開口部を塞ぐ誘電体板と、
前記誘電体板の外側に設けられて前記処理容器内にマイクロ波を導入する、多数のマイクロ波放射孔を有する平面アンテナと、
前記処理容器内に処理ガスを導入する第1のガス導入部と、
前記処理容器内に処理ガスを導入する第2のガス導入部と、
前記処理容器内を減圧排気する排気装置に接続される排気口と、
を備え、
前記第1のガス導入部は、前記誘電体板と前記第2のガス導入部との間に設けられており、
前記第2のガス導入部は、前記第1のガス導入部と前記載置台との間に設けられ、前記載置台上に載置された基板表面のカーボンナノチューブに対向してガスを吐出する複数のガス放出孔を有しており、
前記第1のガス導入部及び前記第2のガス導入部の片方又は両方から、エッチングガスを前記処理容器内に導入してカーボンナノチューブのエッチングを行うカーボンナノチューブ加工装置。 - 前記誘電体板の下面から、前記載置台の上面までの距離が140mm〜200mmの範囲内であり、かつ第2のガス導入部の下端から前記載置台の上面までの距離が80mm以上である請求項7に記載のカーボンナノチューブ加工装置。
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