JP2013028190A - 作業車 - Google Patents

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Abstract

【課題】2つのスイッチを用いてエンジンの始動時の認証を高精度で行う。
【解決手段】第1スイッチ46の操作回数と第2スイッチ47の操作回数とにより入力認証情報を構成し、この入力認証情報と予め設定された記憶認証情報とを比較する認証情報照合手段55を備え、この比較により一致することを判別した場合にのみエンジン4のスタータモータ49への電力供給を許容する電力制御部48を備えた。
【選択図】図4

Description

本発明は、予め記憶されている記憶認証情報と、入力された入力認証情報とが一致する場合にのみエンジンの始動を許す認証処理部を備えている作業車に関する。
上記のように構成された作業車に関連するものとして特許文献1には、操作パネル上に配置された複数の操作スイッチをパスワード入力スイッチに利用できるように構成され、エンジンを始動した後には、複数の操作スイッチを設定順序で操作することで、この入力順序をパスワードとして捉え、このパスワードが既に設定されているパスワードと一致する場合にエンジンの継続駆動が可能となる制御形態が記載されている。
この特許文献1では、複数の操作スイッチが作業時に使用されるものであり、これらの操作スイッチの情報を取得するコントローラ(本発明の認証処理部に相当)を備えている。このコントローラのメモリにパスワード(本発明の認証情報に相当)が設定され、入力されたパスワード(複数の操作スイッチの操作順序)が既に設定されているパスワードと一致した場合には、前述したようにエンジンの継続駆動を可能にし、一致しなかった場合には、コントローラがエンジンを停止させる制御を行い、盗難を防止する。
また、特許文献2には、エンジンを始動するエンジンキースイッチをスタートポジションに操作した回数を暗証数として入力し、入力された暗証数が予め設定された回数と一致した場合にのみ、スタータモータへの通電を行いエンジンの始動を可能にする構成が記載されている。
この特許文献2では、CPUを有した盗難防止装置(本発明の認証処理部に相当)にエンジンキースイッチからの信号が入力する信号系を備えており、この盗難防止装置のEEPROMに暗証数(本発明の認証情報に相当)を記憶した構成が記載されている。これにより、エンジンキースイッチがスタートポジションに操作された回数が認証数と一致した場合に、エンジンの始動を可能にし、一致しない場合にはエンジンを始動できず、盗難を防止する。
特開2008‐162337号公報 特開2005‐255134号公報
特許文献1に記載される構成では既存の複数の操作スイッチを操作することで認証を実現しており、認証精度を高めるために認証に用いる操作スイッチの数を増大させた場合には、複数の操作スイッチを操作する際に手を大きく移動させるために手間と時間とが掛かるものである。これに対して、特許文献2に記載される構成では、単一のエンジンキースイッチを用いるものでありながら認証精度の向上を実現している。
しかしながら、特許文献2の構成のように単一のスイッチの操作回数に基づいて認証を行うものでは認証精度の向上にも限界があり改善の余地がある。
本発明の目的は、少ない数のスイッチを用いながらエンジンを始動する際の認証精度を高くする作業車を合理的に構成する点にある。
本発明の特徴は、予め記憶されている記憶認証情報と、入力された入力認証情報とが一致する場合にのみエンジンの始動を許す認証処理部を備えている作業車であって、
人為操作される第1スイッチと第2スイッチとが備えられ、前記記憶認証情報が、前記第1スイッチの操作回数と前記第2スイッチの操作回数とであると共に、前記第1スイッチの操作回数と前記第2スイッチの操作回数との少なくとも一方の操作回数が2以上に設定され、前記認証処理部が、前記第1スイッチの操作回数と前記第2スイッチの操作回数とを前記入力認証情報として取得し、このように取得した入力認証情報と記憶手段に記憶されている前記記憶認証情報との比較を行う認証情報照合手段を備え、前記認証情報照合手段において入力認証情報が記憶認証情報と一致する場合に前記エンジンのスタータモータへの電力供給を許す電力制御手段を備えている点にある。
この構成によると、記憶認証情報が、第1スイッチの操作回数と第2スイッチの操作回数との組み合わせで構成され、第1スイッチの操作回数と第2スイッチの操作回数との少なくとも一方が2回以上に設定されているので、2つのスイッチの操作の組合わせが増大する。この理由から、作業車を盗むためにエンジンを始動させようとする者が、2つのスイッチを出鱈目に操作しても記憶認証情報と一致する操作を行うことが困難になる。また、第1スイッチと第2スイッチとが適正な操作回数だけ操作された場合には認証情報照合手段が、第1スイッチの操作回数と第2スイッチの操作回数とを入力認証情報として取得し、記憶手段に記憶されている記憶認証情報と一致することを確認して電力制御手段がエンジンのスタータモータに対する電力供給を許すことになりエンジンの始動が可能となる。
従って、少ない数のスイッチを用いたものでありながらエンジンを始動する際の認証精度を高くして、エンジンの不正な始動を抑制し盗難を防止し得る作業車が構成された。
本発明は、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチが操作された回数をディスプレイに表示する操作回数表示手段が備えられても良い。
これによると、記憶認証情報として、第1スイッチの操作回数と第2スイッチの操作回数とが多く設定されている状況であっても、操作回数をディスプレイで正確に把握できることになり誤った操作を解消できる。
本発明は、前記第1スイッチと前記第2スイッチとが単一の操作具によって操作自在に構成されても良い。
これによると、第1スイッチと第2スイッチとを操作する場合に、単一の操作具から指を離す必要がなく、2つのスイッチを個別に指を接触させて操作する構成と比較して、認証情報を迅速に入力できる。
本発明は、前記入力認証情報が、前記記憶認証情報と一致しないことを前記認証情報照合手段が設定回数連続して判定した場合には、この後に、設定時間が経過するまで前記認証処理部での認証を行わない認証制限手段を備えても良い。
これによると、認証情報照合手段において入力認証情報と記憶認証情報とが一致しない判定が設定回数連続した場合には、設定時間が経過するまで認証制限手段が認証情報照合手段の認証を行わないことになり、例えば、作業車を盗もうとする者が認証情報(入力認証情報)を出鱈目に入力した場合でも、認証情報(入力認証情報)の入力回数が制限されることから、記憶認証情報と一致する認証情報(入力認証情報)の入力を困難にして認証精度を高める。
トラクタの全体の側面図である。 運転部の平面図である。 メータパネル部の構成を示す図である。 制御構成を示すブロック回路図である。 クルーズスイッチの構成を示す図である。 認証処理の制御形態を示すフローチャートである。 クルーズスイッチの操作時のディスプレイの表示形態を示す図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔全体構成〕
図1に示すように、走行機体Aに走行装置として左右一対の前車輪1と、左右一対の後車輪2とを備えると共に、走行機体Aの前部のエンジンボンネット3の内部にディーゼル型のエンジン4を備え、左右の後輪フェンダー5の中間位置に運転部を構成する運転座席6を配置し、この運転部を取り囲むキャビンBを備えて作業車としてのトラクタが構成されている。
このトラクタでは、エンジン4の後部側にクラッチハウジング7と、静油圧式の無段変速装置8とミッションケース9とを、この順序で連結している。ミッションケース9は運転座席6の下側に配置され、このミッションケース9からの駆動力を左右の前車輪1と左右の後車輪2とに伝える伝動系が形成されている。これによりトラクタは4輪駆動型に構成されている。
ミッションケース9の後端にリヤPTO軸11を備えており、ミッションケース9の下部にミッドPTO軸12を備え、ミッションケース9の上部位置に油圧型の昇降シリンダ13が備えられている。このミッションケース9の後端には昇降シリンダ13の作動により上下に揺動する左右一対のリフトアーム14が備えられている。図面には示していないが、このトラクタでは、走行機体Aの後端に3点リンク機構を介してロータリ耕耘装置、あるいは、プラウ等の対地作業装置を連結することにより、これらの対地作業装置を昇降シリンダ13の作動により昇降できるように構成されている。
また、ロータリ耕耘装置を連結した場合にはリヤPTO軸11からの駆動力によりロータリ爪を駆動する耕耘作業が実現し、前車輪1と後車輪2との中間位置に芝刈装置等のミッドマウント型の対地作業装置を連結した場合には、ミッドPTO軸12からの駆動力により対地作業装置による対地作業が実現する。
〔運転部〕
キャビンBは、上部にルーフを有し、前部にフロントガラスを備え、左右に開閉自在な透明ガラスや透明樹脂で成るドアを備え、後部にリヤガラスを備えた一般的な構造を有している。図2に示すように、キャビンBの内部で運転座席6の前部位置に操向操作(操舵)を行うステアリングホイール21が配置され、このステアリングホイール21の下方位置の左側にはクラッチペダル22が配置され、右側には2つのブレーキペダル23と変速ペダル24とが配置されている。また、ステアリングホイール21の近傍位置には走行機体Aの前進と後進との選択を行う前後進切換レバー25と、走行機体Aの後端に連結される対地作業装置を作業レベルまで下降させる状態と、設定レベルまで上昇させる状態との選択を行う強制昇降レバー26とが備えられている。
運転座席6の左側部には主変速レバー27と副変速レバー28とクルーズスイッチCSとが配置され、運転座席6の右側部にはリフトアーム14の対機体揺動角を設定するポジションコントロールレバー30と、リヤPTO軸11とミッドPTO軸12との駆動の選択を行うPTOスイッチ31と、複数の操作スイッチ32とが配置されている。
クルーズスイッチCSは、図5に示すように、単一の操作具45によって第1スイッチ46と第2スイッチ47とを人為操作できるように構成されている。操作具45は、軸芯Xを中心にして揺動自在に支持されると共に、非操作状態で中立姿勢を維持し、一方の端部(第1スイッチ46の側)を操作することで一方側に揺動し、他方の端部(第2スイッチ47の側)を操作することで他方側に揺動するようにシーソ式に揺動自在に支持されている。また、第1スイッチ46には突出付勢された第1操作体46Aを備え、第2スイッチ47には突出付勢された第2操作体47Aを備え、この第1操作体46Aと第2操作体47Aとが操作具45の裏面側に当接することで操作具45が中立姿勢に維持される。尚、操作具45を中立位置に付勢するバネを備えても良い。
このクルーズスイッチCSは夫々の端部を軽く(浅く)操作することで第1スイッチ46又は第2スイッチ47の1段目のスイッチ部がON状態となり、強く(深く)操作することで2段目のスイッチ部がON状態となるように構成されている。このような構成から、操作具45の一方の端部を押し操作力(押し込み量)を調整することで第1スイッチ46の1段目のスイッチ部と2段目のスイッチ部とのON操作が可能となり、操作具45の他方の端部を押し操作することで前述と同様に、第2スイッチ47の1段目のスイッチ部と2段目のスイッチ部とのON操作が可能となる。
制御構成は図面に示してないが、無段変速装置8には、この無段変速装置8の変速操作軸を回転駆動するアクチュエータと、変速操作軸の回転操作量を計測する変速量センサとが備えられている。この変速量センサの信号がフィードバックし、アクチュエータを制御するようにクルーズ制御装置(例えば、変速ECU)が構成され、このクルーズ制御装置に対して、第1スイッチ46と第2スイッチ47とからの信号を入力する。
また、走行機体Aを走行させる状態で、図7に示すクルーズスイッチCSの操作具45の「UP」と記された端部側を強く(深く)操作することでクルーズ制御に移行し、操作具45の「DOWN」と記された端部側を強く(深く)操作することでクルーズ制御を停止するように制御形態が設定されている。また、クルーズ制御に移行した当初は予め設定されたクルーズ速度で走行を行い、このクルーズ制御時に操作具45の「UP」と記された端部側を軽く(浅く)操作することで、操作毎にクルーズ速度を設定値だけ上昇させ、操作具45の「DOWN」と記された端部側を軽く(浅く)操作することで、操作毎にクルーズ速度を設定値だけ低減させるようにクルーズ制御装置の制御形態が設定されている。
図3に示すように、ステアリングホイール21の前方位置にメータパネルMPが配置され、このメータパネルMPには、左側にエンジン回転数メータ33が配置され、右側に冷却水温メータ34と燃料残量メータ35とが配置され、中央に情報を表示する液晶型のディスプレイ36が配置され、このディスプレイ36の下側に各種機器の状況をランプの点灯で報知する情報報知部37が形成されている。
また、メータパネルMPの下方左側にハザードスイッチ38と、前照灯等を点灯させるランプスイッチ39と、プッシュスイッチ型の表示切換スイッチ40とが配置され、メータパネルMPの下方右側には、キースイッチ41が配置されている。このキースイッチ41は回転操作を行うことによりON位置に達して電気系に電力を供給し、更に操作することでスタート位置に達する一般的な構成のものである。
ディスプレイ36は、走行機体Aの走行速度や、主変速レバー27の変速段を表示し、また、表示切換スイッチ40の操作により燃費や、リヤ及びミッドPTO軸11,12の回転数等を切換えて表示可能に構成されている。特に、このトラクタでは、エンジン4を始動する際に、認証を行うことにより盗難を防止する機能を有しており、この認証情報の入力にクルーズスイッチCSが兼用されている。
〔認証制御装置〕
図4に示すようにキースイッチ41と第1スイッチ46と第2スイッチ47とからの信号が入力しディスプレイ36と電力制御手段としての電力制御部48とに制御信号を出力するように認証処理部としての認証処理装置50が構成されている。この認証処理装置50はマイクロプロセッサ等の処理系を有すると共に、記憶手段としてEEPROM等の不揮発性のメモリ51と、カウント手段53と、表示制御手段54と、認証情報照合手段55と、認証制限手段56と、操作回数表示手段57を備えて構成されている。
尚、表示制御手段54と、認証情報照合手段55と、認証制限手段56と、操作回数表示手段57とはソフトウエアで構成されるものであるが、ハードウエアで構成されて良く、ソフトウエアとハードウエアとの組み合わせによって構成しても良い。
電力制御部48は、電源からの電力をスタータモータ49に供給する電力系に介装されるリレーや電力制御素子等で構成され、認証処理装置50から与えられる制御信号により、キースイッチ41がスタート位置に操作された際に、スタータモータ49への電力を供給する状態と、スタータモータ49に対する電力を遮断する状態とに切換自在に構成される。
この認証処理装置50の制御の概要を図6のフローチャートに示している。つまり、作業者がキー(図示せず)を用いてキースイッチ41をON位置に操作することにより認証処理装置50に電力が供給され、制御が開始される。
この制御では、初期設定の後に、対象とするスイッチ(第1スイッチ46又は第2スイッチ47)が軽く(浅く)操作された場合にカウント手段53が操作回数をカウントすると共に、操作回数表示手段57がカウント値をディスプレイ36に表示する(#101〜#104ステップ・図7を参照)。
また、カウント手段53が操作回数をカウントする場合には、第1スイッチ46と第2スイッチ47との1段目のスイッチ部が操作された際の操作回数をカウントし、この操作回数を入力認証情報として取得するように処理形態が設定されている。この入力認証情報として第1スイッチ46が操作された回数を操作回数(C1)とし、第2スイッチ47が操作された回数を操作回数(C2)として以下に説明する。
初期設定では記憶認証情報(R1,R2)がセットされ、誤操作回数値(N)に「0」がセットされ、これらがメモリ51に記憶される。記憶認証情報(R1、R2)のR1の値とR2の値とは正の整数であり、R1の値とR2の値との少なくとも一方は2以上の値に設定され、この記憶認証情報(R1、R2)にはスイッチの操作の順序も含まれている。従って、例えば、R1の値が「2」でR2の値が「3」である場合において、操作回数(C1)の値が「2」で、操作回数(C2)の値が「3」であっても、第2スイッチ47が先に操作され、第1スイッチ46が後に操作された場合(入力順序が逆である場合)には認証されない。
#104ステップではカウント手段53が、第1スイッチ46の操作回数(C1)と第2スイッチ47の操作回数(C2)とをカウントし、バッファ等に記憶する。この操作回数(C1,C2)をカウントする際には、第1スイッチ46と第2スイッチ47との操作の順序も併せて記憶される。尚、この制御形態では、第1スイッチ46と第2スイッチ47との入力順序が逆である場合には認証されないが、入力順序が逆であっても認証を行うように制御形態を設定しても良い。
表示制御手段54にはカウント手段53のカウント値(操作回数:C1,C2)が与えられ、カウント手段53で第1スイッチ46の操作回数(C1)をカウントする場合には、表示制御手段54がディスプレイ36に対して図7に示すカウント画面を表示し、操作回数(カウント値:C1)を表示する。第1スイッチ46に対応するカウント画面は、上段に操作を促すメッセージが表示されるメッセージ領域36Mが形成されると共に、下段に未入力時に白抜き表示となる複数の表示点をプログレスバー的に横方向に並べたバー表示領域36Pと、操作回数(カウント値:C1)を数字で表示する数値表示領域36Qが形成されている。
そして、第1スイッチ46が操作された場合には、図7(a)に示すように、操作される毎にバー表示領域36Pに対して操作回数(カウント値:C1)に対応した数の表示点を左側から右側に向けて同図に「U」で示す矢印の方向に黒抜き表示に変更すると同時に、数値表示領域36Qに操作回数(カウント値:C1)をデジタル数字で表示する。
また、第2スイッチ47の操作回数(C2)をカウントする場合には、表示制御手段54がディスプレイ36に対して図7に示すカウント画面を表示する。この第2スイッチ47に対応するカウント画面は、上段に操作を促すメッセージが表示されるメッセージ領域36Mが形成されると共に、未入力時に黒抜き表示となる複数の表示点をプログレスバー的に横方向に並べたバー表示領域36Pと、操作回数(カウント値:C2)を数字で表示する数値表示領域36Qが形成されている。
第2スイッチ47が操作された場合には、図7(b)に示すように、操作される毎にバー表示領域36Pの操作回数(カウント値:C2)に対応した数の表示点を右側から左側に向けて同図に「D」示す矢印の方向に白抜き表示に変更すると同時に、数値表示領域36Qに操作回数(カウント値:C2)をデジタル数字で表示する。
つまり、第1スイッチ46が操作された場合には操作毎に、バー表示領域36Pの表示点が左側から1つ宛黒抜き表示に切りかわり、操作回数(C1)の増大に伴って表示点の黒抜き表示の数が増大し、数値表示領域36Qの数値が増大する。また、第2スイッチ47が操作された場合には操作毎に、バー表示領域36Pの表示点が右側から1つ宛白抜き表示に切り換わり、操作回数(C2)の増大に伴って表示点の白抜き表示の数が増大し(黒抜き表示が減少し)、数値表示領域36Qの数値が増大する。これにより作業者は視覚により第1スイッチ46の操作回数(C1)と第2スイッチ47の操作回数(C2)を把握できることになる。
尚、カウント画面は、プログレスバー的な表示形態や、デジタル数字的な表示形態に限るものではなく、数値を示す文字や単語を表示するものであっても良い。特に、この制御では、カウント画面の表示の有無から操作順序の適否を解析できないように、第1スイッチ46と第2スイッチ47との操作順序が逆である場合にもカウント画面の表示を行うように構成されている。
#105ステップでは、認証情報照合手段55が、第1スイッチ46の操作回数(C1)と第2スイッチ47の操作回数(C2)で構成される入力認証情報(C1,C2)と、記憶認証情報(R1,R2)とを比較する。この比較により記憶認証情報(R1,R2)と入力認証情報(C1,C2)とが一致することを判別した場合には、電力制御部48からスタータモータ49への電力供給を許容する(#106、#107ステップ)。
このように一致することを判別した場合には、ディスプレイ36の表示が、作業に適した標準的な表示形態に切り換わると共に、キースイッチ41がスタート位置に操作された場合に、電力制御部48がスタータモータ49への電力供給を許容してエンジン4の始動が実現する。尚、標準的な表示形態では、ディスプレイ36の上段に主変速レバー27の変速段と、走行速度と、現在時刻とを示す基本情報表示領域36Aが表示され、下段に設定情報を示す設定情報表示領域36Bが表示される。
これに対して、対象とするスイッチ(第1スイッチ46又は第2スイッチ47)以外のスイッチが操作された場合、及び、認証処理によって不一致と判定した場合には、誤操作回数値(N)を1だけインクリメントする処理を行い、この誤操作回数値(N)が「3」に達した時点で認証制限手段56が設定時間のウェイト処理を行い、ウェイト処理の時間内には認証処理を行わないようにしている(#106、#108〜#111ステップ)
つまり、入力認証情報(C1,C2)が、記憶認証情報(R1,R2)と一致しないことを認証情報照合手段55が設定回数連続して判定した場合には、この後に、設定時間が経過するまで、認証制限手段56が、認証処理装置50での認証を行わない制限状態が作り出される。具体的には、対象とするスイッチ(第1スイッチ46又は第2スイッチ47)以外のスイッチが操作された場合や、対象とするスイッチが操作された場合でも第1スイッチ46の操作回数(C1)と第2スイッチ47操作回数(C2)とが記憶認証情報(R1,R2)と一致しない場合や、第1スイッチ46又は第2スイッチ47との操作順序が異なる場合には、この誤った操作が3回に達した時点で認証制限手段56が設定時間を経過するまで、認証情報照合手段55による処理を制限することにより、出鱈目な操作を頻繁に行うことによる認証を抑制している。
〔実施形態の作用・効果〕
このように本発明では、第1スイッチ46と第2スイッチ47との2つのスイッチを、設定された順序で設定された操作回数だけ操作することにより認証を行うため、操作回数の組み合わせが増大することから認証精度を高め、スイッチを2つだけ使用する構成であるにも拘わらず高い認証精度を実現して盗難を防止する。第1スイッチ46と第2スイッチ47とを操作した場合には、操作回数をディスプレイ36によって視覚によって確認できるため、誤った操作を低減し、また、第1スイッチ46と第2スイッチ47とを操作する場合には画面が切り換わり、操作回数の表示形態も切り換わるため、誤った操作を良好に排除できる。
前述したように、本発明では、第1スイッチ46と第2スイッチ47との操作回数(C1,C2)が適正であれば、第1スイッチ46と第2スイッチ47との操作順序を設定しないように制御形態を設定することも可能であり、このように制御形態を設定した場合には、作業者が第1スイッチ46と第2スイッチ47との操作順序を記憶する必要がなく、認証精度を大きく低下させずに認証を行うことも可能となる。
また、2つのスイッチを単一の操作具45により操作するように構成しているので、認証を行う場合には操作具45の一方の端部を操作し、この後に他方の端部を操作する操作形態となり、スイッチ操作を迅速に行い、認証のための操作時間を短縮できる。
特に、不適正なスイッチを操作した場合、第1スイッチ46の操作回数(C1)又は第2スイッチ47の操作回数(C2)が不適正である場合、第1スイッチ46と第2スイッチ47との操作の順序を誤った場合には、これが3回に達すると、一時的に認証が停止するため、例えば、作業車を盗もうとする者が認証情報(入力認証情報)を出鱈目に入力した場合でも、認証情報(入力認証情報)の入力回数が制限され、記憶認証情報と一致する認証情報(入力認証情報)の入力を困難にして盗難の防止の性能を高める。
〔別実施形態〕
本発明は、上記した実施形態以外に以下のように構成しても良い。
(a)第1スイッチ46と第2スイッチ47としてクルーズ制御に用いるものに限るものではなく、無段変速装置8の高速と低速との切換を行う2つの切換スイッチを用いることや、制御対象が全く異なる2つのスイッチ等を用いても良い。
(b)2つのスイッチを操作する操作具として、シーソ式に作動するもの以外に、レバーを有し所定の揺動軸芯を中心にして揺動する構成のものや、直線的にスライド移動する構成のものであっても良い。
(c)第1スイッチ46を設定回数操作した後に第2スイッチ47を設定回数操作する入力形態を1ローテーションとした場合に、この1ローテーションの入力形態に対して、第1スイッチ46と第2スイッチ47との少なくとも一方を操作することや、2ローテーション以上の入力形態を設定するように入力認証情報の入力形態を設定しても良い。具体的には、第1スイッチ46を設定回数操作した後に、第2スイッチ47を設定回数操作し、この後に、再び第1スイッチ46を設定回数操作するように入力形態を設定する。このように操作順序を設定することにより、2つのスイッチを用いるものでありながら認証精度が飛躍的に向上し、盗難防止の効果も高まる。
(d)作業者による記憶認証情報の設定を可能にする認証情報記憶モード等の制御を行えるように構成する。この認証情報記憶モードの制御では、例えば、第1スイッチ46の操作回数と第2スイッチ47の操作回数だけではなく、操作の順序も任意に設定できるように構成することが考えられる。これにより、記憶認証情報を定期的に変更することも可能となり、盗難防止の効果を一層高くすることができる。
本発明は、2つのスイッチを備えた作業車において、認証の後にエンジンの始動を可能にする装置に利用することができる。
4 エンジン
36 ディスプレイ
45 操作具
46 第1スイッチ
47 第2スイッチ
48 電力制御手段(電力制御部)
49 スタータモータ
50 認証処理部(認証制御装置)
51 記憶手段
55 認証情報照合手段
56 認証制限手段
57 操作回数表示手段
C1、C2 入力認証情報(操作回数)
R1、R2 記憶認証情報

Claims (4)

  1. 予め記憶されている記憶認証情報と、入力された入力認証情報とが一致する場合にのみエンジンの始動を許す認証処理部を備えている作業車であって、
    人為操作される第1スイッチと第2スイッチとが備えられ、
    前記記憶認証情報が、前記第1スイッチの操作回数と前記第2スイッチの操作回数とであると共に、前記第1スイッチの操作回数と前記第2スイッチの操作回数との少なくとも一方の操作回数が2以上に設定され、
    前記認証処理部が、前記第1スイッチの操作回数と前記第2スイッチの操作回数とを前記入力認証情報として取得し、このように取得した入力認証情報と記憶手段に記憶されている前記記憶認証情報との比較を行う認証情報照合手段を備え、前記認証情報照合手段において入力認証情報が記憶認証情報と一致する場合に前記エンジンのスタータモータへの電力供給を許す電力制御手段を備えている作業車。
  2. 前記第1スイッチ及び前記第2スイッチが操作された回数をディスプレイに表示する操作回数表示手段が備えられている請求項1記載の作業車。
  3. 前記第1スイッチと前記第2スイッチとが単一の操作具によって操作自在に構成されている請求項1又は2記載の作業車。
  4. 前記入力認証情報が、前記記憶認証情報と一致しないことを前記認証情報照合手段が設定回数連続して判定した場合には、この後に、設定時間が経過するまで前記認証処理部での認証を行わない認証制限手段を備えている請求項1〜3の何れか一項に記載の作業車。
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