JP2004308434A - トラクタの操作装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】操作性がよく、前方の視界が確保できる視認性のよいトラクタの操作装置を提供すること。
【解決手段】トラクタ10の操作装置14を、運転席5前方のステアリングハンドル4が突設されるダッシュボード11に取り付け、ステアリングハンドル4の下方に配置するとともに、この操作装置14に、エンジン6の回転数を調節するためのアクセルスイッチ41と、トラクタ10の走行速度を変速するためのHST8の変速比を調節するための主変速スイッチ42を配置した。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、トラクタの操作装置に関し、特に、運転席近傍に配置される操作スイッチによってトラクタの操作を行えるようにする技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、トラクタにおいては、作業者が位置する運転席の周囲には、トラクタの各種の機能・用途に対応した操作レバーや操作ペダルが配設されている。例えば、前後進切換レバー、副変速レバー、作業機昇降レバー等の操作レバー、アクセルペダル、ブレーキペダル、クラッチペダル等の操作ペダルである。また、特許文献1に記載する技術のように、運転席の前方のダッシュボードの側面には、エンジンの回転数を調節するためのアクセルレバーが配置され、さらに、運転席の側方には、トラクタの走行速度を変速する変速装置を切り換えるための主変速レバーが配置されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平8−246911号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記特許文献1に記載されているようなダッシュボードの側面に配置されるアクセルレバーは、作業時にエンジン回転数を設定するときに、所望の回転数となるまでアクセルレバーを回転するが、通常はフル回転まで上げて作業を行ので、適正回転よりも高い回転数で作業を行い燃料消費効率は悪くなっている。また、適正回転に設定して作業を行った場合であっても、作業途中で、軟弱な部分や固い部分にさしかかると、負荷が増加して回転数を増加する場合があるが、この高負荷部分を通過すると、前の状態に戻すことが難しいという問題点があった。
また、前述した各種の操作レバーを操作する際には、作業者は、ステアリングハンドルを操作するとともに、運転席の前方に配置されるメータパネルを確認する必要があった。そして、回転数の微調節はアクセルレバーの回動では難しく、適正回転数であるかの判断も難しいという問題点があった。
そこで、本発明では、従来のトラクタにおいて比較的使用頻度の高かったアクセルレバーおよび主変速レバーに替えて、エンジン回転数を微調節可能なアクセルスイッチ、および主変速スイッチとして一つの操作装置上に配置して、この操作装置を運転席の近傍に配置することにより、操作性の向上を図るとともに、前方の視界を確保して視認性の向上を図ることを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
すなわち、請求項1においては、トラクタのステアリングハンドルを突設するダッシュボードに取り付けられるトラクタの操作装置において、トラクタのエンジンの回転数を調節するためのスイッチがステアリングハンドルの下方に配置されるものである。
【0006】
請求項2においては、前記操作装置をダッシュボード上部の側面に取り付けたものである。
【0007】
請求項3においては、前記エンジンの回転数を調節するためのスイッチは、操作量に応じてエンジンの回転数を調節するスイッチ、エンジンの回転数をローアイドル回転数に調節するスイッチ、およびエンジンの回転数をハイアイドル回転数に調節するスイッチであるものである。
【0008】
請求項4においては、前記操作装置に、トラクタの変速装置の変速比を調節するためのスイッチを配置するものである。
【0009】
請求項5においては、前記操作装置のエンジン回転数を調節するスイッチとは別に、トラクタの運転席の近傍にエンジンの回転数を調節する操作具を配置し、この別の操作具の操作は、前記操作装置のスイッチよりも優先してエンジン回転数を変更するようにしたものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
次に、発明の実施の形態を添付の図面を用いて説明する。
図1は本発明の操作装置を装備したトラクタの平面図、図2は制御ブロック図、図3は操作装置の取付位置を示す側面図、図4は操作装置における操作スイッチの配置構成を示す図、図5は別の配置構成の操作装置を示す図、図6はメータパネルの平面図である。
【0011】
まず、本発明に係る操作装置を備える一実施例であるトラクタ10の概略構成について、図1、図2を用いて説明する。
トラクタ10には、本機の前下部に前輪1・1、後下部に後輪2・2をそれぞれ懸架して配設されており、前部のボンネット3内にエンジン6が配設されている。機体中央には運転部30が配置されており、前記ボンネット3の後部にはステアリングハンドル4が配設されている。ステアリングハンドル4の後方には運転席5が配設され、該運転席5の下方にはミッションケース9が配置され、該ミッションケース9の後方には作業機装着装置7が配置されている。
【0012】
前記ボンネット3後部にはダッシュボード11が配置され、該ダッシュボード11上にステアリングハンドル4が突設されている。ステアリングハンドル4のステアリング軸前方であって、ダッシュボード11の上部には、メータパネル12が配置されている。そして、ステアリングハンドル4の下方であって、ダッシュボード11の右側面には、本発明に係る操作装置14が配置され、また、左側面には、前後進切換レバー15が配置されている。
【0013】
また、運転席5と右側のフェンダー16Rとの間には、作業機の昇降レバー17が配置されており、運転席5と左側のフェンダー16Lとの間には、副変速レバー19とPTO変速レバー25とが配置されている。また、ダッシュボード11と運転席5の間にはステップ20が配置されて、該ステップ20の右側上にはアクセルペダル21と左右のブレーキペダル22L・22Rが配置されている。左右のブレーキペダル22L・22Rは、各々踏むことによって独立して制動可能であり、一方のブレーキペダルに設けた連結板23を操作することにより左右のブレーキペダル22L・22Rを連結可能とし、路上走行や移動等時は連結し、作業時は各々独立して制動するようにしている。
このように、運転部30は、各種のレバーやペダルが配置されて構成されている。但し、レバーやペダルの配置構成は、前述の構成に限定するものではない。
【0014】
トラクタ10の制御手段としてのコントローラ50の入力側は、後述する操作装置14の各操作スイッチ、アクセルペダル21の回動角度を検出するための角度センサ21a、前後進切換レバー15の切換位置(前進・中立・後進)を検出するためのレバーセンサ15a、副変速レバー19の切換位置を検出するためのレバーセンサ19aと接続されている。
【0015】
また、コントローラ50の出力側は、後述するメータパネル12の各種のメータやランプ、電子ガバナコントローラ51、油圧式無段変速装置(以下では、「HST」という。)8の油圧ポンプ27の前進用ソレノイドバルブ52および後進用ソレノイドバルブ53、同じくHST8の油圧モータ28のモータ用ソレノイドバルブ54と接続されている。
【0016】
前述したようにコントローラ50は、エンジン6の燃料噴射量を電子的に制御する電子ガバナコントローラ51と接続されており、該電子ガバナコントローラ51に制御信号を出力する。電子ガバナコントローラ51は、コントローラ50からの制御信号に基づいて、エンジン6の燃料噴射量を制御し、これにより、エンジン6の出力(回転数)を調節する(増減させる)。このように、本実施例では、電子的な作用によって電子ガバナコントローラ51を制御して、エンジン6の回転数を調節することとしている。そして、後述するように、このようなエンジン6の回転数の調節は、操作装置14に配置されるアクセルスイッチ41を操作することにより行うこととしている。なお、アクセルペダル21を操作することによっても、エンジン6の回転数を調節することができる。
【0017】
エンジン6の出力は、エンジン出力軸から無段変速装置であるHST8に伝達される。HST8は、それぞれ可変容量型の油圧ポンプ27および油圧モータ28より構成されており、それぞれの可動斜板27a・28aを傾動操作することにより、ポンプ吐出量およびモータ出力を変化させて、ミッションケース9に入力されるエンジン出力を変速する。
【0018】
油圧ポンプ27の可動斜板27aには、前進用ソレノイドバルブ52および後進用ソレノイドバルブ53が設けられている。前進用ソレノイドバルブ52および後進用ソレノイドバルブ53はコントローラ50と接続されており、該コントローラ50はそれぞれのソレノイドバルブ52・53に対して、制御信号を出力する。コントローラ50から制御信号に基づいて、それぞれのソレノイドバルブ52・53が作動することにより、油圧ポンプ27の可動斜板27aを前進側若しくは後進側へ傾動させて、油圧モータ28に対する作動油の流出入の方向および流量を制御することとしている。
【0019】
また、油圧モータ28の可動斜板28aには、モータ用ソレノイドバルブ54が設けられており、該モータ用ソレノイドバルブ54はコントローラ50と接続されている。コントローラ50からの制御信号に基づいて、モータ用ソレノイドバルブ54が作動することにより、油圧モータ28の可動斜板28aを傾動させて、油圧ポンプ27の作動油の流出入により回転駆動する油圧モータ28の回転速度を変速することとしている。
【0020】
こうして、HST8において変速されたエンジン出力は、ミッションケース9を介してトラクタ10の前後に配置される前輪用の差動装置および後輪用の差動装置にそれぞれ伝達され、さらに車軸を介して前輪1および後輪2を駆動するようにしている。また、エンジン出力軸は、前記油圧ポンプ27を貫通してミッションケース9内に延設され、該ミッションケース9内においてPTOクラッチ、PTO変速装置を介した後、PTO軸に連結されている。そして、PTO軸の端部に連結される作業機を駆動するようにしている。
【0021】
このように、油圧ポンプ27の可動斜板27aの傾動操作によって機体の走行速度を主変速し、油圧モータ28の可動斜板28aの傾動操作によって走行速度を副変速することとしている。つまり、電子的な作用によってそれぞれのソレノイドバルブ52・53・54を制御して、可動斜板27a・28aの傾動角度を変化させることにより、HST8における変速比を切り換えて、機体の走行速度を変速することとしている。そして、後述するように、このようなHST8の変速比の調節は、操作装置14に配置される主変速スイッチ42を操作することにより行うこととしている。また、副変速レバー19を操作することによっても、HST8の変速比を調節することができる。
なお、HST8は、油圧ポンプ27および油圧モータ28をともに可変容量型としているが、油圧ポンプ27のみを可変容量型とする構成としてもよい。また、主変速装置および副変速装置を油圧クラッチ式の変速装置として、操作装置14の操作で電磁バルブを切り換えて変速する構成としたり、ベルト式無段変速装置として、モータまたはソレノイド等でプーリ幅を変更して変速する構成としたりすることができ、限定するものではない。また、前輪1および後輪2を駆動可能とした四輪駆動としているが、後輪2のみを駆動する構成としてもよい。
【0022】
次に、本発明に係る操作装置14について、図2、図3、図4を用いて説明する。
操作装置14は、ダッシュボード11上部の右側面に取り付けられており(図1)、ダッシュボード11上に突設されるステアリングハンドル4の下方に位置している。そして、操作装置14は、該操作装置14上面に配置される各種の操作スイッチと、ステアリングハンドル4とが平面視で重複しないように配置されている(図1)。また、操作装置14は、作業者にとって見やすく、操作スイッチを操作しやすいように、その上面を後下がりに傾けて配置されている。なお、操作装置14は、運転席5の近傍に配置されていれば、その配置位置は特に限定されるものではなく、ステアリングハンドル4下方のステアリング軸の後方や左側、または、メータパネル12側方等であってもかまわない。ただし、作業者にとって後述するメータパネル12を見ながら、操作装置14を操作しやすい位置が望ましい。
【0023】
このように、操作装置14を、前述のような位置に固定して配置することにより、操作装置14の操作性の向上を図ることができるとともに、前方の視界を操作装置14により遮られることがないため、前方の視界を確保して視認性の向上を図ることができる。
また、操作装置14の下面を波型の形状としている。このため、作業者は、操作装置14を片手(本実施例では右手)で掴むような状態で、操作スイッチを操作することを可能としている。つまり、作業者の手の平を操作装置14側面に、親指を除く指を操作装置14下面の波型の部分に、親指を操作装置14上面に位置させることにより、親指1本のみによって操作装置14上面の操作スイッチを操作することを可能としている。
【0024】
本実施例では、操作スイッチとして、エンジン6の回転数を調節するためのスイッチ(以下では、「アクセルスイッチ」という。)41と、HST8の油圧ポンプ27の可動斜板27aを傾動操作するためのスイッチ、つまり、HST8の変速比を切り換えるためのスイッチ(以下では、「主変速スイッチ」という。)42が操作装置14上に配置されている。このアクセルスイッチ41および主変速スイッチ42は、従来のトラクタにおいて比較的使用頻度の高かったアクセルレバーおよび主変速レバーに替わるものである。したがって、アクセルスイッチ41および主変速スイッチ42は使用頻度の高いものとなる。
【0025】
アクセルスイッチ41は、エンジン6の回転数を調節する(増減させる)ための調節スイッチ41aと、エンジン6の回転数をローアイドル回転数に設定するためのローアイドル設定スイッチ41bと、エンジン6の回転数をハイアイドル回転数に設定するためのハイアイドル設定スイッチ41cとからなっている。但し、このスイッチは押しボタン式としているが、タッチセンサにより構成して接触するだけでON・OFFできるタッチスイッチとすることもできる。
図3、図4に示すように、操作装置14上の右側(ステアリングハンドル4から遠い側)には、アクセルスイッチ41として、機体前方側から順に、ハイアイドル設定スイッチ41c、調節スイッチ41a、ローアイドル設定スイッチ41bが配置されている。このうち、調節スイッチ41aをシーソー型のスイッチとして形成している。言い換えれば、調節スイッチ41aは、側面視で前後部分を高く、中央部分を低く形成した略凹型の形状としている。そして、このシーソー型の調節スイッチ41aの前側の高い部分を操作すると、その操作量に応じてエンジン6の回転数が増加し、一方、後側の高い部分を操作すると、その操作量に応じてエンジン6の回転数が減少するようにしている。
【0026】
これらのアクセルスイッチ41a・41b・41cは、コントローラ50とそれぞれ接続されている(図2)。そして、これらのアクセルスイッチ41a・41b・41cを操作することによるエンジン6の回転数の調節は、次のように行われる。
調節スイッチ41aの前側の高い部分を押下すると、この前側の部分が押し込まれる。このとき、調節スイッチ41aを前側に押し込んだ量、つまり、調節スイッチ41aの操作量に対応する操作信号がコントローラ50に入力される。コントローラ50は、この操作信号に基づいて電子ガバナコントローラ51に制御信号を出力し、該電子ガバナコントローラ51を制御する。これにより、調節スイッチ41aの操作量に相当する分だけ、つまり、調節スイッチ41aの前側への操作量が増加するほど、エンジン6の燃料噴射量が増加し、エンジン6の回転数が増加する。
したがって、エンジン6の回転数の増加量を多くしたい場合には、調節スイッチ41aの前側への操作量を多くすればよく、エンジン6の回転数を微調節したい場合には、調節スイッチ41aの前側への操作量を微量とすればよい。つまり、調節スイッチ41aを長く押し続けると回転数は増加程度が大きくなり、押して直ぐ放すと増加量は微量となる。
【0027】
これに対して、調節スイッチ41aの後側の高い部分を押下すると、この後側の部分が押し込まれる。このとき、調節スイッチ41aを後側に押し込んだ量、つまり、調節スイッチ41aの操作量に対応する操作信号がコントローラ50に入力される。コントローラ50は、この操作信号に基づいて電子ガバナコントローラ51に制御信号を出力し、該電子ガバナコントローラ51を制御する。これにより、調節スイッチ41aの操作量に相当する分だけ、つまり、調節スイッチ41aの後側への操作量が増加するほど、エンジン6の燃料噴射量が減少し、エンジン6の回転数が減少する。
したがって、エンジン6の回転数の減少量を多くしたい場合には、前記同様に調節スイッチ41aの後側への操作量を多くすればよく、エンジン6の回転数を微調節したい場合には、調節スイッチ41aの後側への操作量を微量とすればよい。
【0028】
また、ローアイドル設定スイッチ41bを押すと、これに対応する操作信号がコントローラ50に入力され、該コントローラ50は操作信号に基づいて電子ガバナコントローラ51に制御信号を出力し、エンジン6の燃料噴射量を予め設定された量とするように電子ガバナコントローラ51を制御する。これにより、エンジン6はローアイドルの状態となり、エンジン6の回転数は予め設定されている回転数(ローアイドル回転数)になる。
一方、ハイアイドル設定スイッチ41cを押すと、これに対応する操作信号がコントローラ50に入力され、該コントローラ50は操作信号に基づいて電子ガバナコントローラ51に制御信号を出力し、エンジン6の燃料噴射量を予め設定された量とするように電子ガバナコントローラ51を制御する。これにより、エンジン6はハイアイドルの状態となり、エンジン6の回転数は予め設定されている回転数(ハイアイドル回転数)になる。
このローアイドル回転数は作業や走行しないときの所謂アイドル回転数であり、ハイアイドル回転数は作業時の回転数であり、この回転数は前記調節スイッチ41aを操作することにより変更でき、その変更後の回転数はコントローラ50の記憶装置(メモリ)に記憶される。
【0029】
図3に示すように、ローアイドル設定スイッチ41bおよびハイアイドル設定スイッチ41cは、調節スイッチ41aよりも低く形成されている。これにより、調節スイッチ41aの操作中に、ローアイドル設定スイッチ41bまたはハイアイドル設定スイッチ41cが誤って操作されないようにしている。
【0030】
このように、シーソー型の調節スイッチ41aを操作するという簡単な操作によって、調節スイッチ41aの操作量に応じてエンジン6の回転数を任意に調節することができる。また、ローアイドル設定スイッチ41b、またはハイアイドル設定スイッチ41cを操作することにより、エンジン6の回転数を予め設定されている回転数(ローアイドル回転数、ハイアイドル回転数)に簡便なワンタッチ操作で調節することができる。
なお、シーソー型の調節スイッチ41aに替えて、予め設定されたエンジン6の回転数に対応する複数のスイッチを設けることにより、このスイッチを操作してエンジン6の回転数を調節する構成としてもよい。つまり、ローアイドル回転数とハイアイドル回転数以外に、他の作業に合わせた回転数を設定するスイッチを複数設けることもできる。例えば、図5に示すように、作業1では耕耘、作業2では畝立、作業3では代掻き等の作業毎にエンジン6の回転数を設定できるようにし、スイッチを押すだけで所望の回転数にできるのである。また、調節スイッチ41aを、ボリュームつまみ型のダイヤルとして、このダイヤルを回動操作することにより、エンジン6の回転数を調節する構成としてもよく、また、トグルスイッチやボタンスイッチ等であってもよい。
【0031】
主変速スイッチ42は、HST8の変速比の高速側に切り換えるための高速スイッチ42aと、HST8の変速比を中低速側に切り換えるための中低速スイッチ42bとからなっている。図3、図4に示すように、操作装置14上の左側(ステアリングハンドル4に近い側)には、主変速スイッチ42として、機体前方側に高速スイッチ42a、機体後方側に中低速スイッチ42bがそれぞれ配置されている。なお、中低速スイッチ42bを、図5に示すように、中速スイッチ42cと低速スイッチ42dとに分けて構成することも可能である。
【0032】
これらの主変速スイッチ42a・42bは、コントローラ50とそれぞれ接続されている(図2)。そして、これらの主変速スイッチ42a・42bを操作することによるHST8の変速比の調節は次のように行われる。
主変速スイッチ42を操作すると、これに対応する操作信号がコントローラ50に入力される。コントローラ50は、この操作信号に基づいて前進用ソレノイドバルブ52または後進用ソレノイドバルブ53を作動させる。このとき、レバーセンサ15aにより検出される前後進切換レバー15の切換位置がコントローラ50に入力されており、前後進切換レバー15が前進位置に切り換えられている場合には前進用ソレノイドバルブ52を作動させ、後進位置に切り換えられている場合には後進用ソレノイドバルブ53を作動させる。ただし、前後進切換レバー15が中立位置に切り換えられている場合には、それぞれのソレノイドバルブ52・53・54が中立位置に制御される。そして、可動斜板27a・28aが中立位置に傾動されることにより、前後輪への駆動を停止させるようにしている。
【0033】
高速スイッチ42aを操作して、前進用ソレノイドバルブ52(後進用ソレノイドバルブ53)が作動すると、HST8の油圧ポンプ27の傾動斜板27aを前進側(後進側)へ傾動させて、油圧モータ28に対する作動油の流量を増加させる。これにより、HST8の変速比が高速側に切り換わる。
これに対して、中低速スイッチ42bを操作して、前進用ソレノイドバルブ52(後進用ソレノイドバルブ53)が作動すると、HST8の油圧ポンプ27の傾動斜板27aを前進側(後進側)へ傾動させて、油圧モータ28に対する作動油の流量を減少させる。これにより、HST8の変速比が中低速側に切り換わる。
このように、主変速スイッチ42を操作するという簡単な操作で、HST8の変速比を高速側と中低速側とに調節するようにしている。
【0034】
以上のように、従来のトラクタにおいて比較的使用頻度の高かったアクセルレバーおよび主変速レバーに替えて、アクセルスイッチ41および主変速スイッチ42として一つの操作装置14上に配置することにより、ステアリングハンドル4を操作しながら、片手(本実施例では右手)で、容易に、アクセルスイッチ41を操作してエンジン6の回転数を調節することができ、主変速スイッチ42を操作してHST8の変速比を調節することができる。そして、この操作は、後述するメータパネル12で操作スイッチの操作状態やトラクタ10の作動状態を確認しながら行うことができる。
また、比較的使用頻度の高いアクセルスイッチ41と主変速スイッチ42に限定して、操作装置14上に配置しているため、誤操作を防止でき、また、操作装置14の方を振り向くことなく、前方(またはメータパネル12の方)を向いたまま、操作を行うことができる。
なお、操作装置14上において、アクセルスイッチ41および主変速スイッチ42の配置位置は、作業者が誤操作しないような位置であれば特に限定されない。また、操作装置14上に配置される操作スイッチは、アクセルスイッチ41および主変速スイッチ42に限定されず、作業者が容易に操作できる限度において、他の使用頻度の高い操作レバーや操作ペダルを、操作スイッチとして配置することも可能である。
【0035】
そして、本実施例では、エンジン6の始動時におけるエンジン6の回転数を、予め設定された回転数としている。つまり、始動時のエンジン6の燃料噴射量を予め設定しておくこととしている。なお、この場合、エンジン6の燃料噴射量最大時における回転数よりも低い回転数に設定しておく。
始動時には、コントローラ50から電子ガバナコントローラ51に制御信号が出力されて、電子ガバナコントローラ51により調節される燃料噴射量が所定の量となるようにソレノイド等のアクチュエータで燃料調量ラックを移動して、エンジン6の回転数が所定の回転数になるようにしている。このようにして、エンジン6を始動する際に、エンジン6の燃料噴射量が最大(フルスロットル)に近い状態、つまり、エンジン6の回転数が最大に近い状態となることを未然に回避している。これにより、エンジン6を安全に始動することができ、また、エンジン6の負担を軽減することができる。ガソリンエンジンの場合にはスロットルレバーをモータまたはソレノイド等のアクチュエータで回動する構成とする。
【0036】
また、本実施例では、操作装置14に配置するアクセルスイッチ41とは別にアクセルペダル21を設けており(図1)、該アクセルペダル21を操作することによっても、エンジン6の回転数を調節することができる。この場合には、アクセルペダル21の回動角度(操作角度)が角度センサ21aにより検出されて、コントローラ50に入力される。そして、コントローラ50により電子ガバナコントローラ51を制御し、アクセルペダル21の回動角度に応じて燃料噴射量を調節して、エンジン6の回転数を調節している。
そして、アクセルペダル21によりエンジン6の回転数を調節している場合には、アクセルスイッチ41を操作しても、このアクセルスイッチ41の操作に基づくエンジン6の回転数の調節は、行わないこととしている。つまり、アクセルペダル21とアクセルスイッチ41の両者が操作される場合には、アクセルペダル21の操作を優先させて、アクセルスイッチ41の操作を無効としている。また、言い換えれば、アクセルペダル21が操作されていない場合には、アクセルスイッチ41の操作を有効として、このアクセルスイッチ41の操作によるエンジン6の回転数の調節が可能となる。
【0037】
具体的には、次のような制御を行っている。
アクセルペダル21が操作されると、アクセルペダル21の回動角が角度センサ21aにより検出されて、コントローラ50に入力される。このとき入力されるアクセルペダル21の回動角度が、予め設定されている所定角度以上の場合には、コントローラ50は、アクセルペダル21が操作されていると判断して、アクセルペダル21の回動角度に対応する制御信号を電子ガバナコントローラ51に出力する。
そして、このようにアクセルペダル21が操作されていると判断されている間に、アクセルスイッチ41が操作されて、これに対応する操作信号がコントローラ50に入力された場合にも、アクセルスイッチ41の操作に対応する制御信号を電子ガバナコントローラ51に出力しないこととしている。
このようにして、アクセルペダル21とアクセルスイッチ41の両者が操作された場合に、コントローラ50から電子ガバナコントローラ51への2重に制御信号が出力されることを回避している。そして、アクセルペダル21が操作されていない場合にだけ、アクセルスイッチ41の操作が有効となるように制御することにより、操作装置14による操作が明確となる。
【0038】
次に、表示装置であるメータパネル12について、図2、図6を用いて説明する。
メータパネル12はステアリングハンドル4の前方であって、ダッシュボード11の上部に取り付けられている(図1、図3)。そして、図6に示すように、メータパネル12には、トラクタ10の作動状態、操作状態等を表示するための各種のメータやランプが配置されている。このメータパネル12の各種のメータやランプは、それぞれコントローラ50と接続されており、該コントローラ50の制御指示に基づいて、作動する。図6では、エンジン6の回転数を表示する回転数計61、水温計62、油量計63が配置されている。また、左右のウインカーランプ64L・64R、またトラクタ10の各種の機能に対応するランプ65や各種の警報ランプ66が配置されている。
【0039】
また、前述した操作装置14の操作スイッチに対応するメータやランプが配置されている。
アクセルスイッチ41の調節スイッチ41aと対応するインジケータ71a、ローアイドル設定スイッチ41bと対応するローアイドルランプ71b、ハイアイドル設定スイッチ41cと対応するハイアイドルランプ71cが配置されている。さらに、主変速スイッチ42の高速スイッチ42a・中低速スイッチ42bと対応する高速ランプ72a・中低速ランプ72bが配置されている。
加えて、アクセルペダル21が操作中である場合に点灯するアクセルペダルランプ73、アクセルスイッチ41が操作中である場合に点灯するアクセルスイッチランプ74が配置されている。ただし、アクセルペダル21とアクセルスイッチ41が同時に操作される場合には、前述したように、アクセルペダル21の操作が優先して行われるため、この場合には、アクセルスイッチランプ74は点灯させないようにしている。
【0040】
例えば、調節スイッチ41aを操作すると、前述したように、その操作量に対応する操作信号がコントローラ50に入力される。コントローラ50は、入力された操作信号に基づいて、メータパネル12のインジケータ71aに制御信号を出力し、インジケータ71aを作動させる。すなわち、調節スイッチ41aを操作すると、電子ガバナコントローラ51により、エンジン6の燃料噴射量が調節されるため、インジケータ71aはエンジン6の燃料噴射量に対応させて作動するようにしている。そして、インジケータ71aでは、エンジン6の燃料噴射量を、MINからMAXの10段階に分けて表示することとしている。
同様に、ローアイドル設定スイッチ41b、ハイアイドル設定スイッチ41c、高速スイッチ42a、および中低速スイッチ42bを操作すると、コントローラ50の制御信号に基づいて、それぞれに対応するランプ71b・71c・72a・72bが点灯、または消灯する。
【0041】
このような運転席5の前方に配置されるメータパネル12を見ることによって、作業者は、トラクタ10の作動状態および操作装置14の操作スイッチの操作状態を明示的に認識することができる。特に、操作装置14に配置されるアクセルスイッチ41a・41b・41cおよび主変速スイッチ42a・42bのそれぞれに対応させたインジケータ71aおよびランプ71b・71c・72a・72bを設けているので、誤操作を防止して操作性を向上することができる。
【0042】
【発明の効果】
本発明は、以上のように構成したので、以下に示すような効果を奏する。
すなわち、請求項1に示す如く、トラクタのステアリングハンドルを突設するダッシュボードに取り付けられるトラクタの操作装置において、トラクタのエンジンの回転数を調節するためのスイッチがステアリングハンドルの下方に配置されるので、操作装置の操作性の向上を図ることができるとともに、前方の視界を操作装置により遮られることがないため、前方の視界を確保して視認性の向上を図ることができる。
【0043】
請求項2に示す如く、前記操作装置をダッシュボード上部の側面に取り付けたので、前方の視界を操作装置により遮られることがないため、前方の視界を確保して視認性の向上を図ることができる。
【0044】
請求項3に示す如く、前記エンジンの回転数を調節するためのスイッチは、操作量に応じてエンジンの回転数を調節するスイッチ、エンジンの回転数をローアイドル回転数に調節するスイッチ、およびエンジンの回転数をハイアイドル回転数に調節するスイッチであるので、ステアリングハンドルを操作しながら、片手で、容易に、スイッチ操作を行って、エンジンの回転数を任意に調節することができ、これにより、操作性の向上を図ることができる。そして、この操作は、前方のメータパネルを確認しながら行うことができ、これにより、誤操作を防止して、操作性の向上を図ることができる。
【0045】
請求項4に示す如く、前記操作装置に、トラクタの変速装置の変速比を調節するためのスイッチを配置するので、ステアリングハンドルを操作しながら、片手で、容易に、スイッチ操作を行って、変速装置の回転数を調節することができ、これにより、操作性の向上を図ることができる。そして、この操作は、前方のメータパネルを確認しながら行うことができ、これにより、誤操作を防止して、操作性の向上を図ることができる。
【0046】
請求項5に示す如く、前記操作装置のエンジン回転数を調節するスイッチとは別に、トラクタの運転席の近傍にエンジンの回転数を調節する操作具を配置し、この別の操作具の操作は、前記操作装置のスイッチよりも優先してエンジン回転数を変更するようにしたので、別の操作具が操作されていない場合にだけ、スイッチ操作が有効となるように制御することにより、操作装置による操作が明確となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の操作装置を装備したトラクタの平面図。
【図2】制御ブロック図。
【図3】操作装置の取付位置を示す側面図。
【図4】操作装置における操作スイッチの配置構成を示す図。
【図5】別の配置構成の操作装置を示す図。
【図6】メータパネルの平面図。
【符号の説明】
4 ステアリングハンドル
5 運転席
10 トラクタ
11 ダッシュボード
14 操作装置
41 アクセルスイッチ
42 主変速スイッチ
50 コントローラ

Claims (5)

  1. トラクタのステアリングハンドルを突設するダッシュボードに取り付けられるトラクタの操作装置において、トラクタのエンジンの回転数を調節するためのスイッチがステアリングハンドルの下方に配置されることを特徴とするトラクタの操作装置。
  2. 前記操作装置をダッシュボード上部の側面に取り付けたことを特徴とする請求項1に記載のトラクタの操作装置。
  3. 前記エンジンの回転数を調節するためのスイッチは、操作量に応じてエンジンの回転数を調節するスイッチ、エンジンの回転数をローアイドル回転数に調節するスイッチ、およびエンジンの回転数をハイアイドル回転数に調節するスイッチであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のトラクタの操作装置。
  4. 前記操作装置に、トラクタの変速装置の変速比を調節するためのスイッチを配置することを特徴とする請求項1、請求項2、または請求項3に記載のトラクタの操作装置。
  5. 前記操作装置のエンジン回転数を調節するスイッチとは別に、トラクタの運転席の近傍にエンジンの回転数を調節する操作具を配置し、この別の操作具の操作は、前記操作装置のスイッチよりも優先してエンジン回転数を変更するようにしたことを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3または請求項4に記載のトラクタの操作装置。
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