JP2013018508A - 抽出バッグ - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、吊り糸を長くしても、扱い易く、容易に抽出することができ、しかも個包装のシール時に吊り糸がシール部に挟み込まれる危険性を回避することができる新たな抽出バッグを提供する。
【解決手段】抽出バッグ1は、抽出物を収納したバッグ部2と、先端部に摘み片5を固着し、基端部3aを前記バッグ部2の表面4に固着した吊り糸3とを備え、前記吊り糸3を螺旋状に纏めてバッグ部2の表面4上に配し、この吊り糸3を覆うように摘み片5をバッグ部2の表面4に剥離可能に固着してなる構成を備えたことを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、紅茶葉、緑茶葉、コーヒー豆、削り節などを収容し、これらを抽出することができる抽出バッグに関する。
紅茶のティーバッグは、お湯に漬けるだけで簡単に紅茶を抽出することができるものである。このようなティーバッグは、廃棄なども容易に行うことができるといった簡便さから広く普及しており、最近では、紅茶以外にも緑茶やコーヒーなど嗜好飲料を中心とした抽出バッグが広く普及している。
従来のティーバッグは、ティ−カップ又は湯飲みなどで抽出するためにつくられた紙フィルタ−を用いた製品が一般的であったが、近年ではティ−ポットや急須で入れる本格的なリ−フティ−の味わいが手軽に楽しめる、抽出性に優れたメッシュ又は不織布のティ−バッグも販売されている。
従来のティーバッグに関しては、特許文献1の図6などにおいて、タグに切り欠き部を形成し、この切り欠き部に吊り糸の中間部分を巻き回わした包装体が示されている。
特許文献2の図9などには、吊り糸をバッグの外周に巻き回した抽出用バッグが示されている。
特許文献3の図2などには、摘み糸を透水性袋体に熱融着した抽出用包装体が示されている。
特許文献4の図1などには、袋体の片面の対角線交点付近に吊り糸の一端を接着した扁平ティーバッグが示されている。
特許文献5の図2及び図6などには、タグ糸の端部をバッグの一面の中心或いはバッグの端縁に取り付けた嗜好性飲料抽出用テトラパックが示されている。
特許文献6の図1などには、茶葉の入ったバッグを吊る吊り糸の長さを20cmにしたティーバッグが示されている。
特開2002−211641号公報 特開2010−120667号公報 特開2002−337936号公報 特開2006−21819号公報 特開2007−246128号公報 実用新案登録第3081339号公報
上記特許文献1などに示されるように、吊り糸をタグに巻き回したり、或いは、上記特許文献2及び3に示されるように、吊り糸を抽出バッグ外周に溶着させたりした場合、吊り糸を解く際に、タグを回しながら吊り糸を解いたり、或いは抽出バッグを手で掴ながら吊り糸を解いたりしなければならず、抽出作業を始めるまでに手間がかかるばかりか、吊り糸を解く際に抽出バッグを手で掴むことになるため、抽出バッグ表面に付着した原料微粉などで手を汚したり、抽出バッグから漏れ出した原料微粉などが散乱したりするなど操作性が悪いものであった。
また、従来のティ−バッグは、吊り糸の長さが10cm程の短い製品が多いため、家庭や職場などで一般的に利用されているマグカップなどで抽出すると、湯を注いだ時に、摘み片がカップ内に落ち込みやすく、使い勝手が悪いものであった。
そこで、上記特許文献6などに示されるように、抽出バッグの吊り糸を長くすることが一案として考えられる。しかし、吊り糸を長くすると、解くのに時間がかかり上記した操作性などがより悪くなり、さらには、個包装する際に吊り糸がシ−ル部に噛み込む恐れがあるなど、単に吊り糸を長くすれば使い勝手がよくなるものではなかった。
さらには、吊り糸が長くなると抽出と濾過の安定性が求められ、前記特許文献4の図1及び特許文献5の図2などに示されるように、吊り糸の取付位置が抽出バッグの一面の中心付近であると、お湯の中でティ−バッグを上下に振って抽出する時の抵抗が大きくなり、抽出しにくいものであった。また、図8に示すような抽出バッグ7は、バック部8内の抽出物9が下端頂点に集中してしまうため、抽出物9が開きにくく抽出性が悪くなり、さらには、抽出液からティ−バッグを引き上げた際に、抽出液が下端頂点に集まりやすいため液切れが悪く、液垂れも持続するという課題を抱えていた。
本発明の目的は、吊り糸を長くしても、扱い易く、容易に抽出することができ、しかも個包装のシール時に吊り糸がシール部に挟み込まれる危険性を回避することができる新たな抽出バッグを提供することにあり、さらには、抽出後の液切れの改善及び液垂れを抑制することができる抽出バッグを提供することにある。
本発明の抽出バッグは、抽出物を収納したバッグ部と、先端部に摘み片を固着し、基端部を前記バッグ部の表面に固着した吊り糸とを備えた抽出バッグであって、前記吊り糸を螺旋状に纏めてバッグ部の表面上に配し、この吊り糸を覆うように摘み片をバッグ部の表面に剥離可能に固着してなる構成を備えた抽出バッグを提案する。
本発明が提案する抽出バッグは、吊り糸が摘み片で覆われているため、たとえ吊り糸が長くても、摘み片を、バッグ部から剥離させて持ち上げるだけで、吊り糸を伸ばすことができ、直ぐに抽出作業を開始することができ、また、吊り糸を解く際に抽出バッグを手で掴む必要がないため、抽出バッグ表面に付着した原料微粉などで手を汚したり、抽出バッグから漏れ出した原料微粉などが散乱したりすることもなく、操作性が良好である。さらには、吊り糸が摘み片で覆われているため、個包装のシール時に吊り糸がシール部に挟み込まれる危険性を回避することができる。
本発明の一実施形態の抽出バッグの一例を示した斜視図である。 図1の抽出バッグの摘み片部分の一例を拡大した平面図である。 本発明の他の実施形態の抽出バッグの例示した斜視図である。 図1の抽出バッグの吊り糸を伸ばした状態を示した斜視図である。 図1の抽出バッグにおいて、吊り下げた状態を示した側面図である。 (A)は図1の抽出バッグのバッグ部を、重心点を通る垂直線で切断した場合の断面図であり、(B)は図1の抽出バッグのバッグ部の平面図である。 図1の抽出バッグの摘み片部分の一例の拡大断面図である。 従来の抽出バッグの一例を示した側面図である。
以下、本発明の抽出バッグの一実施形態について説明する。但し、本発明は、この実施形態に限定されるものではない。
(本抽出バッグ1)
本発明の一実施形態の抽出バッグ1(以下「本抽出バッグ1」と称する)は、図1及び図2に示すように、抽出物を収納したバッグ部2と、先端部に摘み片5を固着した吊り糸3とを備えた抽出バッグである。
(バッグ部2)
バッグ部2の材質は、透水性を備えていれば任意である。例えばポリエステル、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成繊維または不織布、多孔質フィルムなどから成るシートを用いることができる。中でも、摘み片を熱溶着又は超音波溶着などに融着によって固着できるシートが好ましい。
バッグ部2を形成するシートの厚みは、好ましくは0.01mm〜0.16mm、より好ましくは0.02mm〜0.12mm、特に好ましくは0.06mm〜0.10mmである。
バッグ部2の形状は、袋状であれば任意である。例えば、バッグ部2は、三角錐状、六面体状などの多角形状、円柱状の他、平面視正方形状や平面視長方形状などの平面視矩形状、平面視三角形状などの扁平状に形成することができる。なかでも、図1に示すような逆三角錐状(テトラ状)や図3に示すような平面視長方形状に形成するのが好ましい。
三角錐状に形成する場合は、一辺が45mm〜80mm、特に50mm〜60mmの三角錐状に形成するのが好ましい。また、平面視長方形扁平状に形成する場合は、縦70mm〜90mm、横50mm〜65mmに形成するのが好ましい。
バッグ部2の内部に収容する抽出物としては、例えば緑茶葉、紅茶葉、烏龍茶葉、ハ−ブ、野草、混合茶、麦茶、ハト麦茶、コーヒー豆、削り節などを挙げることができる。
抽出物の量は特に限定するものではない。好ましくは1.0g〜10.0g、より好ましくは1.5g〜9.0g、特に好ましくは2.0g〜8.0g収容する。
(吊り糸3)
吊り糸3は、材質を特に限定するものではない。例えばポリエステル、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の熱溶着又は超音波溶着が可能な合成繊維からなる糸を用いることができる。中でも、巻いても折り跡が付きにくく、元の直線状態に戻り易い糸を使用するが好ましく、直線回復性を測定することで確認できる。
吊り糸3の静荷重伸びは、4mm〜8mmであるのが好ましく、5mm〜7mmであるのがより好ましい。
静荷重伸びは、吊り糸の材質、太さ、撚り本数などで調整することができ、上記範囲にするには、3〜8本、好ましくは4〜6本で撚り、太さ0.4mm〜1.2mm、特に0.5mm〜1.0mmにするのが好ましい。
なお、吊り糸の静荷重伸びは、マレンス疲労試験機に装着して測定することができる。具体的には、長さ250mmの吊り糸を90℃の湯に1分間漬けた後、その中央部に長さ100mmの表示線を引く。この吊り糸をクランプ間隔150mmにしてマレンス疲労試験機に装着し、500gの荷重を加えたまま10分間放置後の表示線の長さを測定し、この値から元の長さ100mmを差し引くことにより算定できる。
吊り糸3の長さは、マグカップなどでも使い易いように、160mm〜260mmにするのが好ましく、170mm〜200mmにするのがより好ましい。
(摘み片5)
吊り糸3の先端部には、図4に示すように、摘み片5を固着してある。
摘み片5は、指で摘んで抽出バッグ1を持ち上げるための部材であり、指先で摘み易い形状であるのが好ましい。例えば平面視した際に、円形状、ハート形、クローバ形、長円状、正方形状又は長方形状などの形状を呈するシート状又は平板状に形成することができる。
摘み片5の材質は任意である。例えば、紙の片面にポリエチレンなどの樹脂をラミネートした熱溶着又は超音波溶着が可能なラミネート紙片を用いるのが好ましい。
摘み片5の厚みは、好ましくは0.09mm〜0.36mm、より好ましくは0.14mm〜0.28mm、特に好ましくは0.18mm〜0.21mmである。
(吊り糸3の基端部をバッグ部2に固着する位置と方法)
吊り糸3の基端部はバッグ部2の表面に固着してある。
吊り糸3の基端部の固着位置は、図6(A)に示すように、バッグ部2の形状を多面体と仮定し、すなわち、バッグ部2の表面が丸みを呈していても、平面のみから構成される多面体とみなして仮定し、吊り糸3の基端部を固着したバッグ部2の表面4を水平にした時に、前記多面体の幾何学的な重心点Wを通る垂直線と前記表面4との交点Oから外れた位置とするのが好ましい。
なお、バッグ部2の重心点Wは、抽出物を収納してない状態でバッグ部2を拡げた際の形状を多面体とみなし、この多面体の幾何学的な重心点である。
吊り糸3の基端部の固着位置は、面積割合が5%〜95%の位置が好ましく、10%〜90%の位置がより好ましく、15%〜85%の位置が特に好ましい。
ここでの「面積割合」とは、バッグ部の吊り糸の基端部を固着した表面の全面積と、基端部の固着位置を通る前記表面に相似する形状の面積とを算出し、全面積に対する相似形状の面積の百分率で表すことができる。例えば、図6(B)に示すように、逆三角錐状のバッグ部において、バッグ部の表面の全面積をSとし、吊り糸の基端部を固着する位置(X点)を通る三角形の面積をSとした場合、以下の式1で算出することができる。
(S/S)×100…式1
つまり、吊り糸の基端部を固着する表面を水平にした場合、バッグ部の重心点を通る垂直線と表面との交点位置Oに固着した場合は面積割合0%となり、表面の外縁部に固着した場合は面積割合100%になる。
従来の抽出バッグは、吊り糸の取付位置が一面の中心付近であり、抽出時に該一面が水平状になるため、お湯の中でティ−バッグを上下に振って抽出する時の抵抗が大きくなり、抽出しにくいものであった。
また、従来の抽出バッグは、バック部内の抽出物が下端頂点に集中してしまい、抽出物が開きにくく抽出性が悪くなり、さらには、抽出液からティ−バッグを引き上げた際に、抽出液が下端頂点に集まりやすいため液切れが悪く、液垂れも持続するものであった。
これに対し、本抽出バッグ1のように重心点Wを通る垂直線と前記表面4との交点Oから外れた位置に吊り糸3の基端部を固着することで、図5に示すように、吊り下げ時にバッグ部2が斜めになるため、湯の中でバッグ部2を上下に振って抽出する際の抵抗が少なくなり、引き上げやすくなる。また、特にバッグ部2を逆三角錐状にした場合は、吊り下げ時にバック部2が斜めになるため、抽出物が内部で広がりやすく適度に分散するため、湯の中で茶葉が充分に開くことができ、抽出性がよくなる。さらには、従来では下端頂点に抽出液が集まりやすく液切れが悪く、液垂れが続くものであったが、抽出液が徐々に下端頂点に集まるため、従来と比べて液切れがよく、液垂れがしにくくなる。
(吊り糸3の配置)
吊り糸3は、例えば図2に示すように、螺旋状に纏めてバッグ部2の表面4上に配するのが好ましい。このように吊り糸3を螺旋状に纏めて配すれば、摘み片5を持ち上げた際に、絡み合うことなく、吊り糸3を伸ばすことができる。
ただし、ここでの「螺旋状」には、例えば図2に示すように、円形乃至長円形が旋回方向と直交する方向にズレながら連続する螺旋状のほか、旋回方向の同心円方向にズレながら連続する渦巻状なども包含する意味である。
また、吊り糸3同士ができるだけ重ならないように纏めるのが好ましい。例えば、図2に示すように、長円形を横にずらせて纏めるのが好ましい。
さらにまた、基端部3aをバッグ部2の表面に固着した部分を覆うように、吊り糸3を纏めてもよいが、吊り糸を直線状態に戻り易くする観点から、図2に示すように、基端部3aをバッグ部2の表面に固着した部分から離れた位置で吊り糸3を纏めるのが好ましい。
(摘み片5の配置)
摘み片5は、上述のように纏めた吊り糸3を覆うように、バッグ部2の表面4に剥離可能に固着することが重要である。
このようにすることにより、摘み片5を持ち上げれば、吊り糸3が伸び、バッグ部2を吊り下げることができ、従来のように、吊り糸を解いたりする手間がかからず操作性がよくなる。
ただし、摘み片5により、吊り糸3の全部が覆われる必要はなく、吊り糸3の一部は露出していてもよい。このように吊り糸3が摘み片5により覆われていれば、個包装のシール時に吊り糸がシール部に挟み込まれる危険性を減少させることができる。
摘み片5をバッグ部2の表面4に固着する手段は任意であるが、熱溶着又は超音波溶着などを採用するのが好ましい。
また、摘み片5をバッグ部2の表面4に固着する少なくとも2つの固着部6,6で前記吊り糸3を挟むようにするのが好ましい。このようにすれば、吊り糸3が自然に解けてしまうことを防ぐことができる。
摘み片5は、吊り糸3を覆いながらバッグ部2の表面4に剥離可能に固着した状態において、図7に示すように、摘み片5の膨らみtが、表面4から3mm以内の膨らみにするのが好ましく、2mm以内の膨らみにするのがより好ましい。これにより、個包装した場合の厚みを抑えることができる。例えば、上記したように、吊り糸3同士ができるだけ重ならないように、円形乃至長円形を横にずらせながら纏めることにより上記膨らみにすることができる。
(本抽出バッグ1製造方法)
本抽出バッグ1は、吊り糸3を螺旋状に纏めてバッグ部2の表面4上に配した後、この吊り糸3を覆うように摘み片5をバッグ部2の表面4に剥離可能に固着して製造することができる。
例えば、長尺帯状の通水性濾過シート上に、摘み片付き吊り糸を螺旋状に纏めて配し、その上に摘み片を被せながら剥離可能にシートに固着し、このシートを用いて従来からある自動ティーバッグ包装機で製造することができる。
(本抽出バッグ1による効果)
本抽出バッグ1は、吊り糸3を長くしても、吊り糸3を伸ばし易く、抽出時の操作性及び抽出性が良好であり、抽出後の液切れの改善及び液垂れの抑制を図ることができるものである。また、個包装のシール時にシール部に吊り糸が挟み込まれる危険性を減少させることができる。
(用語の説明)
本発明において、「X〜Y」(X,Yは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」を意図し、「Xより大きくYよりも小さいことが好ましい」旨の意図も包含する。
(試験1)
吊り糸の抽出バッグに対する固着位置を変え、液切れ、液垂れにどのような影響を及ぼすか試験を行った。
吊り糸としては、ポリプロピレンからなる、撚り本数6本の太さ0.5mmのものを用いた。
バッグ部としては、ナイロンからなる、一辺約50mmの三角錐状のものと、ナイロンからなる縦70mm×横50mmの扁平のものとを用いた。また、バッグ部内には、緑茶葉1.8gを収容した。
吊り糸の基端部の固着位置は、上記した面積割合で表した。
三角錐状の抽出バッグは、0%、15%、50%、98%の位置に吊り糸を固着し、扁平状の抽出バッグは、90%の位置に吊り糸を固着した。
これらをお湯に浸した直後、上下に5回振り、持ち上げることを行い、「抽出液の切れ」、「抽出後の液垂れ」、「撹拌し易さ」、「溶出性」を確認した。
「抽出液の切れ」は、お湯から抽出バッグを取り出した際、何秒後に液が切れるかを測定した。6秒以上の場合を「×」、4秒以上6秒未満の場合を「△」、2秒以上4秒未満の場合を「○」、1秒以上2秒未満の場合を「◎」として判断した。
「抽出後の液垂れ」は、お湯から抽出バッグを取り出した際、液切れ後に次の水滴が垂れるまでの時間を測定した。7秒以上の場合を「◎」、5秒以上7秒未満の場合を「○」、3秒以上5秒未満の場合を「△」、1秒以上3秒未満の場合を「×」として判断した。
「撹拌し易さ」は抽出バッグをお湯の中に浸透させ、上下に5回振った際の抽出液の混ざり具合を目視で確認した。混ざらない場合を「×」、やや混ざる場合を「△」、混ざる場合を「○」、よく混ざる場合を「◎」として判断した。
「溶出性」は、上下に5回振った後の香味の溶出度合いを熟練した試験官が試飲して確認した。薄い場合を「×」、やや薄い場合を「△」、やや濃い場合を「○」、濃い場合を「◎」として判断した。
この結果を下記表1に示す。
Figure 2013018508
総合評価は、各評価において「◎」を3点、「○」を2点、「△」を1点、「×」を0点として4つの項目の点数を合算し、合計点が9点以上を「◎」、6−8点を「○」、3−7点を「△」、2点以下を「×」として評価した。
この結果、抽出バッグ表面の中心や端縁付近に吊り糸を固着すると、抽出液の切れや液垂れが悪くなることが確認された。
(試験2)
下記表2に示す吊り糸を用いて、上記試験1で使用した表1の固着位置50%、吊り糸の長さ200mmの三角錐の抽出バッグを同様のものを作製し、静荷重伸びが撹拌のし易さや溶出性にどのような影響を及ぼすか試験を行った。
吊り糸の静荷重伸びは、マレンス疲労試験機に装着して測定した。具体的には、長さ250mmの吊り糸を90℃の湯に1分間漬けた後、その中央部に長さ100mmの表示線を引く。この吊り糸をクランプ間隔150mmにしてマレンス疲労試験機に装着し、500gの荷重を加えたまま10分間放置する。その後の表示線間の長さを測定し、この値から元の長さ100mmとの差を求めることにより算定した。
各抽出バッグを90℃の湯に1分間漬けた後、上下に7回振り、「撹拌し易さ」、「溶出性」を確認した。
「撹拌し易さ」は抽出バッグをお湯の中に浸透させ、上下に7回振った際の抽出液の混ざり具合を目視で確認した。混ざらない場合を「×」、やや混ざる場合を「△」、混ざる場合を「○」、よく混ざる場合を「◎」として判断した。
「溶出性」は、上下に7回振った後の香味の溶出度合いを熟練した試験官が試飲して確認した。薄い場合を「×」、やや薄い場合を「△」、やや濃い場合を「○」、濃い場合を「◎」として判断した。
この結果を下記表2に示す。
Figure 2013018508
この結果、静荷重伸びが4mm〜8mmである吊り糸が「撹拌し易さ」、「溶出性」がともに良好であった。
1抽出バッグ 2バッグ部 3吊り糸 3a基端部 4表面 5摘み片 6固着部
バッグ部2の形状は、袋状であれば任意である。例えば、バッグ部2は、三角錐状、六面体状などの多面体状、円柱状の他、平面視正方形状や平面視長方形状などの平面視矩形状、平面視三角形状などの扁平状に形成することができる。なかでも、図1に示すような逆三角錐状(テトラ状)や図3に示すような平面視長方形状に形成するのが好ましい。
三角錐状に形成する場合は、一辺が45mm〜80mm、特に50mm〜60mmの三角錐状に形成するのが好ましい。また、平面視長方形扁平状に形成する場合は、縦70mm〜90mm、横50mm〜65mmに形成するのが好ましい。

Claims (8)

  1. 抽出物を収納したバッグ部と、先端部に摘み片を固着し、基端部を前記バッグ部の表面に固着した吊り糸とを備えた抽出バッグであって、
    前記吊り糸を螺旋状に纏めてバッグ部の表面上に配し、この吊り糸を覆うように摘み片をバッグ部の表面に剥離可能に固着してなる構成を備えた抽出バッグ。
  2. 前記摘み片は、その固着部で前記吊り糸を挟むように、少なくとも2ケ所をバッグ部の表面に剥離可能に固着してなる請求項1に記載の抽出バッグ。
  3. 前記吊り糸の基端部の固着位置は、バッグ部を多面体と仮定し、吊り糸の基端部を固着したバッグ部の表面を水平にした時に、前記多面体の幾何学的な重心点を通る垂直線と前記表面との交点から外れた位置とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の抽出バッグ。
  4. 前記吊り糸は、4mm〜8mmの静荷重伸びを有する糸であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の抽出バッグ。
  5. 抽出物を収納したバッグ部と、先端部に摘み片を固着し、基端部を前記バッグ部の表面に固着した吊り糸とを備えた抽出バッグの製造方法であって、
    前記吊り糸を螺旋状に纏めてバッグ部の表面上に配した後、この吊り糸を覆うように摘み片をバッグ部の表面に剥離可能に固着する抽出バッグの製造方法。
  6. 前記摘み片は、その固着部で前記吊り糸を挟むように、少なくとも2ケ所をバッグ部の表面に剥離可能に固着する請求項5に記載の抽出バッグの製造方法。
  7. 前記吊り糸の基端部の固着位置は、バッグ部を多面体と仮定し、吊り糸の基端部を固着したバッグ部の表面を水平にした時に、前記多面体の幾何学的な重心点を通る垂直線と前記表面との交点から外れた位置とすることを特徴とする請求項5又は6に記載の抽出バッグの製造方法。
  8. 前記吊り糸は、4mm〜8mmの静荷重伸びを有する糸であることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の抽出バッグの製造方法。
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