JP2013010997A - サーメット及びその製造方法、並びに切削工具 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐摩耗性及び耐欠損性に優れ、更に耐熱衝撃性、耐溶着性にも優れるサーメット、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】サーメットは、硬質相が結合相により結合されてなる。硬質相は、Ti(C,N)のみからなる第1の硬質相1と、少なくともチタン及びタングステンを含む複合炭窒化物固溶体からなる第2の硬質相2と、第2硬質相と同一の元素からなり、第2硬質相よりもタングステン濃度が高い第3の硬質相3と、に分類できる。そして、体積を2分割する任意の断面において、深さ150μmの地点を中心とする第1正方形領域と、深さ5μmの地点を中心とする第2正方形領域における第1硬質相の面積割合をそれぞれSx、Syとしたとき、Sy/Sx<0.75を満たす。また、上記した任意の断面において、焼き肌面には、厚さ1μm以上、かつ、その厚さ方向と直交する幅方向に1μm以上の連続した結合相の浸出層が存在しない。
【選択図】図1
【解決手段】サーメットは、硬質相が結合相により結合されてなる。硬質相は、Ti(C,N)のみからなる第1の硬質相1と、少なくともチタン及びタングステンを含む複合炭窒化物固溶体からなる第2の硬質相2と、第2硬質相と同一の元素からなり、第2硬質相よりもタングステン濃度が高い第3の硬質相3と、に分類できる。そして、体積を2分割する任意の断面において、深さ150μmの地点を中心とする第1正方形領域と、深さ5μmの地点を中心とする第2正方形領域における第1硬質相の面積割合をそれぞれSx、Syとしたとき、Sy/Sx<0.75を満たす。また、上記した任意の断面において、焼き肌面には、厚さ1μm以上、かつ、その厚さ方向と直交する幅方向に1μm以上の連続した結合相の浸出層が存在しない。
【選択図】図1
Description
本発明は、サーメット及びその製造方法、並びに切削工具に関する。特に、耐摩耗性及び耐欠損性に優れ、更に耐熱衝撃性、耐溶着性にも優れるサーメットに関する。
従来、切削工具の基材として、炭化チタン(TiC)や炭窒化チタン(TiCN)を主たる硬質相とし、これをコバルト(Co)、ニッケル(Ni)といった鉄族元素で結合したサーメットが利用されている(例えば、特許文献1〜6参照)。サーメットを基材とする切削工具は、炭化タングステン(WC)を主たる硬質相とする超硬合金を基材とする切削工具に比較して、1)耐摩耗性に優れる、2)鋼加工における仕上げ面が高品位である、3)高速切削が可能である、4)軽量である、5)原料が豊富で安価である、といった利点がある。
特許文献1には、硬質相として、TiC(N)相(芯部)の周辺を(Ti,W)CNといった複合固溶体相(周辺部)が取り囲んだ二重構造(有芯構造)の有芯粒子を含むサーメットについて記載されている。この文献1に記載のサーメットは、TiCNを芯部とする有芯粒子を硬質相に含有することで、耐摩耗性に優れると共に、高靱性であり、耐欠損性に優れる。特許文献2には、サーメットの飽和磁気量(Gauss・cm3/g)を、((20×Coの質量%)+(6.8×Niの質量%))で算出される値の0.4倍以上0.95倍以下となるように制御することが記載されている。
特許文献3には、焼き肌面から、又は結合相層がある場合は結合相層との界面から、30〜200μmの深さに亘り、結合相減少領域を備えるサーメットが記載されている。特許文献4には、第1硬質相と第2硬質相とが互いに独立して粒子を形成しており、第1硬質相と第2硬質相とが超微粒子のサーメットが記載されている。
特許文献5には、表面付近における硬質相粒子の平均結晶粒径が内部の平均結晶粒径よりも大きいサーメットが記載されている。特許文献6には、表面付近に硬化層と軟化層とを有するサーメットが記載されている。
従来、サーメットを基材とする切削工具は、超硬合金のものに比べ耐熱衝撃性が低く、切削油などを使用しないドライ加工(乾式)で使用されることが多い。最近では、工具寿命の観点、高温の切り粉(切り屑)の飛散防止による作業環境改善の観点から、切削油を使用するウェット加工(湿式)での使用が増えている。そこで、急激な温度変化が生じ易いウェット加工に対応するため、サーメットの耐熱衝撃性の向上が要求されている。
原料粉末を混合して焼結したサーメットの表面(焼き肌面)には、結合相が浸み出した浸出層が形成されることがある。このようなサーメットを切削工具の基材に用いた場合、刃先に結合相を主成分とする浸出層が存在するため、耐欠損性が向上するが、刃先が軟化し、塑性変形し易い。また、刃先に被削材が溶着し易くなり、耐摩耗性が低下する他、仕上げ面の品位が低下する虞がある。そこで、刃先の浸出層をショットブラストなどのブラスト処理により除去することが考えられるが、ブラスト処理による衝撃で耐欠損性が損なわれる虞がある。さらに、ブラスト処理などの除去処理は切削工具の製造コストが増大する要因となるため、サーメットの焼き肌面の状態(焼結後の表面状態)のまま用いることが望まれる。
よって、耐摩耗性、耐欠損性及び耐熱衝撃性のバランスに優れ、耐溶着性をも向上させた切削工具用サーメットの開発が待ち望まれている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、耐摩耗性及び耐欠損性に優れ、更に耐熱衝撃性、耐溶着性にも優れるサーメット、及びその製造方法を提供することにある。また、本発明の別の目的は、このサーメットからなる基材を備える切削工具を提供することにある。
<サーメット>
本発明のサーメットは、周期表第4,5,6族の金属元素から選ばれる少なくとも1種の金属元素と、炭素及び窒素の少なくとも1種の元素との化合物を含む硬質相が、鉄族金属を主成分とする結合相により結合されてなる。硬質相は、炭窒化チタンのみからなる第1の硬質相と、少なくともチタン及びタングステンを含む複合炭窒化物固溶体からなる第2の硬質相と、第2硬質相と同一の元素からなり、第2硬質相よりもタングステン濃度が高い第3の硬質相と、に分類することができる。そして、サーメットの体積を2分割する任意の断面において、焼き肌面の任意の点からその面に直交する深さ方向に直線を引き、その直線上の深さ150μmの地点を中心とする1辺が10μmの正方形の領域を第1正方形領域とし、その直線上の深さ5μmの地点を中心とする1辺が10μmの正方形の領域を第2正方形領域とし、これら第1正方形領域と第2正方形領域における上記第1硬質相の面積割合をそれぞれSx、Syとしたとき、Sy/Sx<0.75を満たす。また、上記した任意の断面において、焼き肌面には、厚さ1μm以上、かつ、その厚さ方向と直交する幅方向に1μm以上の連続した結合相の浸出層が存在しないことを特徴とする。
本発明のサーメットは、周期表第4,5,6族の金属元素から選ばれる少なくとも1種の金属元素と、炭素及び窒素の少なくとも1種の元素との化合物を含む硬質相が、鉄族金属を主成分とする結合相により結合されてなる。硬質相は、炭窒化チタンのみからなる第1の硬質相と、少なくともチタン及びタングステンを含む複合炭窒化物固溶体からなる第2の硬質相と、第2硬質相と同一の元素からなり、第2硬質相よりもタングステン濃度が高い第3の硬質相と、に分類することができる。そして、サーメットの体積を2分割する任意の断面において、焼き肌面の任意の点からその面に直交する深さ方向に直線を引き、その直線上の深さ150μmの地点を中心とする1辺が10μmの正方形の領域を第1正方形領域とし、その直線上の深さ5μmの地点を中心とする1辺が10μmの正方形の領域を第2正方形領域とし、これら第1正方形領域と第2正方形領域における上記第1硬質相の面積割合をそれぞれSx、Syとしたとき、Sy/Sx<0.75を満たす。また、上記した任意の断面において、焼き肌面には、厚さ1μm以上、かつ、その厚さ方向と直交する幅方向に1μm以上の連続した結合相の浸出層が存在しないことを特徴とする。
本発明のサーメットは、第1正方形領域と第2正方形領域における第1硬質相の面積割合が異なり、Sy/Sx<0.75を満たす。即ち、表面付近に存在する第1硬質相の割合が内部に比較して少ない。これにより、第1硬質相に比較して熱伝導性が高い第2硬質相又は第3硬質相が表面付近に相対的に多く存在することで、耐熱衝撃性が向上する。また、結合相が凝集するのを抑制して結合相溜まり(結合相プールとも呼ばれる)を防止する効果のある第1硬質相が相対的に内部に多く存在することで、靱性を高め、耐欠損性が向上する。よって、切削工具の基材に用いた場合、優れた耐熱衝撃性、耐欠損性を発揮する。好ましくは、Sy/Sx<0.60である。
本発明のサーメットにおける硬質相について詳しく説明する。一般的に、硬質相は、周期表第4,5,6族の金属元素から選ばれる少なくとも1種の金属元素と、炭素(C)及び窒素(N)の少なくとも1種の元素との化合物を含む。そして、本発明のサーメットでは、硬質相は、炭窒化チタンと、少なくともチタン及びタングステンを含む複合炭窒化物固溶体とにより実質的に構成される。ただし、原料粉末に含有したり、製造工程で混入する、酸素やppmオーダーの金属元素を不可避不純物として含む場合がある。この硬質相は、第1硬質相、第2硬質相、及び第3硬質相に分類することができる。
第1硬質相は、実質的に炭窒化チタン(Ti(C,N))のみからなる。この第1硬質相は、単相粒子で存在するか、第2硬質相に囲まれた形態で存在する。後者の場合、第1硬質相が芯部で、第2硬質相が周辺部である有芯粒子を構成する。このような有芯粒子が存在することで、耐摩耗性、耐欠損性の向上を図ることができる。
第2硬質相は、実質的に少なくともチタン及びタングステンを含む複合炭窒化物固溶体からなる。更に、周期表第4,5,6族(但し、チタン(Ti)及びタングステン(W)を除く)の金属元素から選ばれる少なくとも1種の金属元素を含有してもよい。第2硬質相の具体的な組成としては、例えば、(Ti,W)(C,N),(Ti,W,Nb)(C,N),(Ti,W,V)(C,N),(Ti,W,Zr)(C,N),(Ti,W,Mo)(C,N),(Ti,W,Nb,V)(C,N),(Ti,W,Nb,Zr)(C,N),(Ti,W,Nb,Mo)(C,N),(Ti,W,V,Zr)(C,N),(Ti,W,V,Mo)(C,N),(Ti,W,Zr,Mo)(C,N),(Ti,W,Nb,V,Zr)(C,N),(Ti,W,Nb,V,Mo)(C,N),(Ti,W,Nb,V,Zr,Mo)(C,N)などが挙げられる。この第2硬質相は、単相粒子で存在するか、第1硬質相或いは第3硬質相を囲む形態で存在する。
第3硬質相は、実質的に第2硬質相と同一の元素からなり、第2硬質相よりもタングステン濃度が高い複合炭窒化物固溶体からなる。この第3硬質相は、第2硬質相に囲まれた形態で存在する。つまり、第3硬質相が芯部で、第2硬質相が周辺部である有芯粒子を構成する。
これら第1硬質相、第2硬質相、及び第3硬質相は、電子顕微鏡(例えばSEM)による顕微鏡写真において、色の濃淡によって区別化が可能である(図1参照)。具体的には、電子顕微鏡写真において、色の濃い順に並べると、第1硬質相、第2硬質相、第3硬質相の順になる。例えば、図1に示す顕微鏡写真において、黒色の粒子が第1硬質相1、灰色の粒子又は灰色の領域が第2硬質相2、灰色の領域に囲まれる白色の粒子が第3硬質相3である。図1から、第2硬質相(灰色)は、単相粒子、又は第1硬質相(黒色)若しくは第3硬質相(白色)を囲む形態で存在することが分かる。
また、本発明のサーメットは、焼き肌面に厚さ1μm以上、かつ、その厚さ方向と直交する幅方向に1μm以上の連続した結合相の浸出層が存在しない。これにより、切削工具の基材に用いた場合、刃先に被削材が溶着し難く、耐摩耗性の低下、仕上げ面品位の低下を抑制することができる。また、上記した浸出層が存在しないことで、刃先の浸出層を除去するブラスト処理などが不要であり、焼結後のそのまま状態で用いることができるので、切削工具の製造コストを抑えることができる。さらに、ブラスト処理などの物理的衝撃によって硬質相にクラックが生じたり、結合相が選択的に除去されたりすることがないので、耐欠損性が損なわれることもない。なお、本発明でいう「焼き肌面」とは、焼結された表面のことをいい、焼結後に水や有機溶剤により洗浄し付着物を除去した表面は含まれるが、ブラスト処理などにより焼結後に表面部(例、浸出層)が除去された表面は含まない。
本発明のサーメットの一形態としては、サーメットの体積を2分割する任意の断面において、焼き肌面から深さ150μmの地点と深さ5μmの地点におけるビッカース硬さをそれぞれHvx、Hvyとしたとき、Hvy/Hvx>1.1を満たすことが挙げられる。
この構成によれば、表面付近の硬度が内部に比較して高いことで、耐摩耗性がより向上する。好ましくは、Hvy/Hvx>1.2である。また、内部の硬度が表面付近に比較して低いことで、靱性を確保し、耐摩耗性及び耐欠損性の両立を図ることができる。特に、Hvxが15.0GPa以上20.0GPa未満であることが好ましく、この範囲を満たすことで、耐摩耗性及び耐欠損性の向上効果が高い。
本発明のサーメットの一形態としては、上記第1正方形領域において、マーチン径0.50μm以下の硬質相の粒子面積が全硬質相の面積の20%以上、かつ、マーチン径1.00μm以上の硬質相の粒子面積が全硬質相の面積の15%以上を占めることが挙げられる。
この構成によれば、内部に、マーチン径0.50μm以下の微細な硬質相粒子とマーチン径1.00μm以上の粗大な硬質相粒子とが混在し、それぞれが所定の割合以上で存在することで、粗大な粒子間の間隙に微細な粒子が入り込むことによって、結合相プールの発生を抑制することができるため、靱性が高まり、耐欠損性及び耐熱衝撃性がより向上する。マーチン径0.50μm以下の硬質相の粒子面積が全硬質相の面積の25%以上が好ましく、マーチン径1.00μm以上の硬質相の粒子面積が全硬質相の面積の20%以上が好ましい。
本発明のサーメットにおける結合相は、Co,Niといった鉄族金属を主成分(質量割合で、結合相全体の65%以上であり、結合相中において鉄族金属の元素が最も多い)とする。結合相の含有量が多いほど靱性や焼結性が高くなる傾向があり、少ないと強度や耐摩耗性が低下することから、結合相は、サーメット全体に対して3質量%以上20質量%以下含有することが好ましい。特に、鉄族金属は、サーメット全体に対して3質量%以上含有することが好ましい。なお、結合相は、原料粉末に起因すると考えられる鉄族金属以外の元素が含有(固溶)することを許容する。一方、硬質相は、サーメット全体に対して80質量%以上97質量%以下含有することが好ましい。
<サーメットの製造方法>
一般的に、サーメットは、原料粉末の準備→混合・成形→焼結・冷却という工程を経て製造される。また、原料粉末には、周期表第4,5,6族の金属元素から選ばれる少なくとも1種の金属元素と炭素及び窒素の少なくとも1種の元素との化合物からなる化合物粉末と、鉄族金属の粉末とが用いられる。
一般的に、サーメットは、原料粉末の準備→混合・成形→焼結・冷却という工程を経て製造される。また、原料粉末には、周期表第4,5,6族の金属元素から選ばれる少なくとも1種の金属元素と炭素及び窒素の少なくとも1種の元素との化合物からなる化合物粉末と、鉄族金属の粉末とが用いられる。
本発明のサーメットは、次の製造方法により製造することができる。本発明のサーメットの製造方法は、原料粉末を用意する準備工程と、原料粉末を混合して混合物を得る混合工程と、混合物を成形した成形体を得る成形工程と、成形体を焼結して焼結体を得る焼結工程と、焼結体を冷却する冷却工程と、を備えることを特徴とする。準備工程では、原料粉末として、チタンを含む炭化物、窒化物及び炭窒化物のいずれか1種の粉末と、炭化タングステン粉末と、炭素粉末と、タングステン粉末と、鉄族金属の粉末とをそれぞれ用意する。また、焼結工程は、成形体を液相が出現する液相出現温度まで昇温する第1昇温工程と、第1昇温工程に次いで、1000Pa以上3000Pa以下の窒素雰囲気にて、液相出現温度から焼結が完了する焼結完了温度まで昇温する第2昇温工程と、を有する。冷却工程は、COガス雰囲気にて冷却する。
本発明のサーメットの製造方法の特徴の一つは、原料粉末に、炭化タングステン(WC)粉末、炭素粉末、及びタングステン(W)粉末を用いる点である。特に、WC粉末の一部をタングステン(W)粉末、及び炭素粉末(例えば、カーボンブラック粉末)に置換し、サーメット中のカーボン量が所定の範囲内となるように、原料粉末中の総カーボン量を調整することが好ましい。原料粉末中の総カーボン量が多過ぎると、焼結時に脱窒現象が過度に進行するため、表面に結合相が浸み出して、焼き肌面に浸出層が形成される虞がある。一方、総カーボン量が少な過ぎると、「超硬合金と焼結硬質材料 基礎と応用(鈴木壽編、丸善株式会社、昭和61年2月20日)」の第54頁に「ε相」として示されている相や、第316頁に「θ相」として示されている相が生成され易くなるため、機械的強度が低下する虞がある。具体的には、サーメットの磁気飽和率(%)が40%以上70%以下を満たすように、原料粉末中の総カーボン量を調整することが好ましい。サーメットの磁気飽和率(%)は、サーメットの飽和磁気量(Gauss・cm3/g)/((20×Coの質量%)+(6.8×Niの質量%))×100により求められる。
原料粉末に用いる上述したチタンを含む炭化物、窒化物、炭窒化物としては、例えば、炭窒化チタン(Ti(C,N))、窒化チタン(TiN)などが挙げられる。その他、チタンと、周期表第4,5,6族の金属元素から選ばれる少なくとも1種の金属元素とを含む炭化物、窒化物、炭窒化物であってもよく、例えば、チタン及びタングステンを含む炭窒化物((Ti,W)(C,N))などが挙げられる。更に、原料粉末として、炭化タングステン(WC)粉末以外にも、チタンを除く周期表第4,5,6族の金属元素から選ばれる少なくとも1種の金属元素の炭化物、窒化物及び炭窒化物のいずれか1種の粉末を添加してもよい。このような粉末としては、例えば、炭化ニオブ(NbC)粉末、炭化バナジウム(VC)粉末、炭化ジルコニウム(ZrC)粉末などが挙げられる。
また、上記した微細の硬質相粒子と粗大の硬質相粒子とが混在するサーメットを製造する場合は、硬質相の原料粉末として粒径が異なるものを用いる。例えば、炭窒化チタン(Ti(C,N))粉末に、粒径0.7μm以下のものと粒径3.0μm以上のものを用いることが挙げられる。
本発明のサーメットの製造方法の別の特徴の一つは、特定の条件で焼結・冷却する点にある。具体的には、焼結工程は、上記した第1昇温工程と第2昇温工程とを有し、第2昇温工程において、1000Pa以上3000Pa以下の窒素雰囲気にて焼結完了温度まで昇温する。つまり、少なくとも液相出現温度まで昇温した後は、所定の圧力雰囲気となるようにN2ガスを導入して焼結を行う。この圧力が低い場合、冷却時に脱窒現象が生じ難くなるため、表面付近(第2正方形領域)と内部(第1正方形領域)における第1硬質相の存在割合の差が生じ難くなり、本発明の効果(耐摩耗性、耐欠損性及び耐熱衝撃性の向上)が得られない。また、表面硬化現象も生じない。一方、圧力が高過ぎると、脱窒現象が過度に進行するため、表面付近と内部における第1硬質相の存在割合の差が顕著になり、表面硬化現象も生じるが、過度の脱窒に伴い結合相の浸み出しが起こる。第2昇温工程の圧力は、1330Pa以上2660Pa以下が好ましい。
本発明のサーメットの製造方法において、第1昇温工程の液相出現温度は、例えば1200℃以上1300℃以下である。また、第2昇温工程の焼結完了温度は、1400℃以上1600℃以下とすることが好ましく、1450℃以上1550℃以下とすることがより好ましい。焼結温度が高過ぎると、硬質相粒子が成長して、粗大な硬質相粒子が増加するため、耐摩耗性や耐欠損性が低下する虞がある。さらに、焼結が確実に完了するように、焼結完了温度まで昇温し、その温度に0.5〜1.5時間保持することが好ましい。
さらに、上記した焼結条件に加えて、冷却工程において、COガス雰囲気にて冷却する。これにより、表面付近の脱炭を抑制して、結合相の浸み出しを防止することができる。特に、COガス雰囲気の圧力を1kPa以上10kPa以下とすることが好ましく、2kPa以上8kPa以下とすることがより好ましい。冷却工程におけるCOガス雰囲気の圧力が低過ぎると、表面付近の脱炭を抑制する効果が小さい。一方、この圧力が高過ぎると、表面付近に浸炭が発生する虞がある。さらに、冷却工程では、上記した雰囲気にて少なくとも1100℃まで冷却する。
<切削工具>
本発明の切削工具は、上記した本発明のサーメットからなる基材を備えることを特徴とする。
本発明の切削工具は、上記した本発明のサーメットからなる基材を備えることを特徴とする。
上述したように、本発明のサーメットは、耐摩耗性及び耐欠損性に優れ、更に耐熱衝撃性、耐溶着性にも優れ、切削工具の基材に好適に利用することができる。そして、本発明のサーメットを基材に用いた本発明の切削工具は、刃先に急激な温度変化が生じるウェット加工の過酷な切削環境においても高い切削性能を発揮することができる。また、切削工具に加工する際、刃先の浸出層をブラスト処理により除去する必要がなく、低コスト化を図ることができる。
本発明の切削工具において、基材の表面に硬質膜を被覆してもよい。この硬質膜は、少なくとも刃先及びその近傍(具体的には、切削に作用する領域と切屑が接触する領域)に被覆することが好ましく、基材表面の全面に被覆してもよい。硬質膜は、単層でも多層でもよく、合計厚さは1〜20μmとすることが好ましい。硬質膜は、熱CVD法などの化学的蒸着法(CVD法)や、カソードアークイオンプレーティング法などの物理的蒸着法により形成することが可能である。
硬質膜としては、周期表第4,5,6族の金属元素、アルミニウム(Al)、シリコン(Si)及び硼素(B)から選ばれる少なくとも1種の元素と、炭素、窒素、酸素、及び硼素から選ばれる少なくとも1種の元素との化合物からなるものが好ましい。具体的な膜種としては、TiCN,Al2O3,TiAlN,TiN,AlCrNなどが挙げられる。
本発明のサーメットは、耐摩耗性及び耐欠損性に優れ、更に耐熱衝撃性、耐溶着性にも優れる。また、本発明のサーメットの製造方法は、上記した本発明のサーメットを製造することができる。さらに、本発明の切削工具は、上記した本発明のサーメットからなる基材を備えることで、耐摩耗性及び耐欠損性に優れ、更に耐熱衝撃性、耐溶着性にも優れ、過酷な切削環境においても高い切削性能を発揮する。
[試験例1]
本発明のサーメットを製造し、得られたサーメットを分析すると共に、このサーメットを基材に用いた切削工具を作製し、その切削性能を評価した。
本発明のサーメットを製造し、得られたサーメットを分析すると共に、このサーメットを基材に用いた切削工具を作製し、その切削性能を評価した。
<サーメット>
原料粉末として、以下のものを用意した。
(1)平均粒径0.7μmのTi(C,N)粉末
このTi(C,N)粉末は、C/N比が1/1であり、TiO2を出発原料として生成されたものである。
(2)平均粒径3μmのTi(C,N)粉末
このTi(C,N)粉末は、C/N比が1/1であり、スポンジTiを出発原料として生成されたものである。
(3)平均粒径2.2μmの(Ti,W)(C,N)粉末
この(Ti,W)(C,N)粉末は、C/N比が1/1であるTi(C,N)粉末に予めWCを固溶させた粉末である。
(4)平均粒径は0.5〜3.0μmのTiN粉末、WC粉末、NbC粉末、VC粉末、ZrC粉末、Co粉末、Ni粉末
これら粉末は、いずれも市販の粉末である。上記Ti(C,N)粉末において、TiO2を出発原料として生成されたものは、スポンジTiを出発原料として生成されたものに比較して微粒状態を維持し易い傾向がある。
以上用意した上記原料粉末を表1に示す配合組成となるように準備した。なお、この試験例では、原料粉末中の総カーボン量が表1に記載の炭素量となるように、WC粉末の一部をW粉末及びカーボンブラック粉末に置換した。W粉末及びカーボンブラック粉末の平均粒径は0.5〜3.0μmであり、これら粉末はいずれも市販のものである。
原料粉末として、以下のものを用意した。
(1)平均粒径0.7μmのTi(C,N)粉末
このTi(C,N)粉末は、C/N比が1/1であり、TiO2を出発原料として生成されたものである。
(2)平均粒径3μmのTi(C,N)粉末
このTi(C,N)粉末は、C/N比が1/1であり、スポンジTiを出発原料として生成されたものである。
(3)平均粒径2.2μmの(Ti,W)(C,N)粉末
この(Ti,W)(C,N)粉末は、C/N比が1/1であるTi(C,N)粉末に予めWCを固溶させた粉末である。
(4)平均粒径は0.5〜3.0μmのTiN粉末、WC粉末、NbC粉末、VC粉末、ZrC粉末、Co粉末、Ni粉末
これら粉末は、いずれも市販の粉末である。上記Ti(C,N)粉末において、TiO2を出発原料として生成されたものは、スポンジTiを出発原料として生成されたものに比較して微粒状態を維持し易い傾向がある。
以上用意した上記原料粉末を表1に示す配合組成となるように準備した。なお、この試験例では、原料粉末中の総カーボン量が表1に記載の炭素量となるように、WC粉末の一部をW粉末及びカーボンブラック粉末に置換した。W粉末及びカーボンブラック粉末の平均粒径は0.5〜3.0μmであり、これら粉末はいずれも市販のものである。
表1に示す各配合組成の原料粉末に3〜5質量%のパラフィンを成形助剤として添加した後、各原料粉末をアルコール又はアセトン溶媒とWC基超硬合金製ボールと共にステンレス製容器に装入し、粉砕及び混合(湿式)を行った。粉砕及び混合後、乾燥して得られた各混合物にパラフィンを少量添加した後、金型を用いて98MPaの圧力で成形して、ISO型番CNMG120408(ブレーカ付き)のチップ形状の成形体を作製した。
得られた各成形体をそれぞれ450℃に加熱してパラフィンを除去した後、焼結を行った。具体的には、第1昇温工程として、真空雰囲気(圧力:5Pa)にて1250℃(液相出現温度)まで昇温した後、N2ガスを導入し、第2昇温工程として、窒素雰囲気にて1500℃(焼結完了温度)まで昇温して60分間保持した。この試験例では、第2昇温工程における窒素雰囲気の圧力を表2に示す圧力とした異なる条件で焼結を行った。さらに、焼結後、表2に示す雰囲気ガス及び圧力とした異なる条件で1100℃まで冷却を行った。なお、表2中、焼結条件iiiの冷却工程における「真空」とは、圧力が5Pa〜100Pa程度の真空であり、この冷却工程における冷却は、10Pa以下程度まで真空引きした後、真空ポンプを止めて室温になるまで放置することで行った。
表1に示す配合組成I〜IVの原料粉末を用い、表2に示す焼結条件i〜iiiで焼結・冷却した試料1〜8の焼結体(サーメット)を製造した。得られた各試料について飽和磁気量を測定し、測定した飽和磁気量と表1に示す配合組成から、各試料の磁気飽和率を求めた。磁気飽和率(%)は、飽和磁気量(Gauss・cm3/g)/((20×Coの質量%)+(6.8×Niの質量%))×100により求められる。各試料の磁気飽和率を表3に示す。
得られた各試料について体積を2分割する任意の断面をとり、その断面を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察した。その結果、各試料の電子顕微鏡像において、黒色の第1硬質相、灰色の第2硬質相層、白色の第3硬質相が確認された。例えば、図1は、表3中試料5における断面の電子顕微鏡写真(撮影時の倍率:6000倍)であり、図1に示すように、黒色の粒子(第1硬質相1)、灰色の粒子又は黒色の粒子を囲む灰色の領域(第2硬質相2)、灰色の領域に囲まれる白色の粒子(第3硬質相3)が確認され、硬質相間には結合相Bが存在する。
次に、得られた各試料について、上記した任意の断面において、焼き肌面の任意の点からその面に直交する深さ方向に直線を引き、その直線上の深さ150μmの地点を中心とする1辺が10μmの正方形の領域を第1正方形領域とし、この領域を含む内部の電子顕微鏡写真を撮影した。また、同じ直線上の深さ5μmの地点を中心とする1辺が10μmの正方形の領域を第2正方形領域とし、この領域を含む表面付近の電子顕微鏡写真を撮影した。例えば、図2は、表3中試料5における第1正方形領域を含む内部の電子顕微鏡写真であり、図3は、表3中試料5における第2正方形領域を含む表面付近の電子顕微鏡写真である。そして、これらの電子顕微鏡写真から、第1正方形領域において第1硬質相が占める面積割合(Sx)及び第2正方形領域において第1硬質相が占める面積割合(Sy)をそれぞれ求めた。ここでは、第1硬質相は黒色、それ以外(第2硬質相、第3硬質相、及び結合相)は白色となるように電子顕微鏡写真を2値化処理して、第1硬質相(黒色)の面積割合を算出した。また、第1正方形領域及び第2正方形領域は、深さ方向に引いた直線に平行する2辺とこの直線に直交する2辺を有する正方形の領域とした。各試料の第1正方形領域における第1硬質相の面積割合(Sx)及び第2正方形領域における第1硬質相の面積割合(Sy)、並びにSy/Sxをそれぞれ表3に示す。
また、得られた各試料について、上記した任意の断面において、表面付近の電子顕微鏡写真から、焼き肌面に厚さ1μm以上、かつ、その厚さ方向と直交する幅方向に1μm以上の連続した結合相の浸出層が存在するかの有無を調べた。各試料の浸出層の有無をそれぞれ表3に示す。
さらに、得られた各試料について、上記した任意の断面において、焼き肌面から深さ150μm地点のビッカース硬さ(Hvx)及び深さ5μm地点のビッカース硬さ(Hvy)をそれぞれ求めた。ここでは、各深さのビッカース硬さをそれぞれ10箇所測定し、その平均値を用いた。各試料の深さ150μmの地点におけるビッカース硬さ(Hvx)及び深さ5μmの地点におけるビッカース硬さ(Hvy)、並びにHvy/Hvxをそれぞれ表3に示す。
得られた各試料について、上記した任意の断面において、内部の電子顕微鏡写真から、第1正方形領域に存在する全ての硬質相の粒子について粒径を求めた。ただし、有芯粒子の場合は、周辺部を含めて粒径を求めた。粒径は、マーチン(Martin)径とした。具体的には、電子顕微鏡写真を利用し、当該顕微鏡写真に存在する各粒子の面積を二等分する線分の長さを粒径とした。そして、第1正方形領域において、マーチン径0.50μm以下の硬質相粒子及び1.00μm以上の硬質相粒子、並びに全硬質相をそれぞれ抽出し、各粒径の硬質相の粒子面積及び全硬質相の面積を求め、全硬質相に対する各粒径の硬質相粒子が占める面積割合を求めた。各試料の全硬質相に対するマーチン径0.50μm以下の硬質相粒子の面積割合(Ax0.5)及びマーチン径1.00μm以上の硬質相粒子の面積割合(Ax1.0)をそれぞれ表3に示す。
この試験例では、上記した任意の断面を分析(測定)するときは、分析条件のバラつきを抑えるため、深さ方向と直交する方向の周縁から150μm以内の領域は除外した。
次に、得られた試料1〜8のサーメットを基材に用いた切削チップ(切削工具)A〜Lを作製した。具体的には、平面研磨処理した後、ブラシ加工によりすくい面/逃げ面の比率が1.5〜2.0のRホーニングを形成する刃先処理を施した。なお、焼き肌面に浸出層が存在する試料3,4,7,8については、ブラシ加工の前にブラスト処理を施して、浸出層を除去した切削チップ(チップD,F,J,L)も用意した。そして、作製した各切削チップについて、表4に示す切削試験(いずれも旋削加工)を行い、切削性能(耐摩耗性及び耐欠損性)を評価した。その結果を表5に示す。
表5の結果から、本発明のサーメット(試料1及び5)を基材に用いた切削チップ(チップA及びG)はそれぞれ、同じ配合組成のサーメット(試料2,3及び6,7)を基材に用いた切削チップ(チップB〜D及びH〜J)に比較して、耐摩耗性及び耐欠損性のバランスに優れることが分かる。特に、Ax0.5が20%以上で、かつ、Ax1.0が15%以上を満たすチップGは、チップAに比較して、耐摩耗性及び耐欠損性により優れることが分かる。
Sy/Sx<0.75を満たさないチップB及びHは、耐欠損性が劣る結果となった。これは、熱衝撃に弱いことが原因と推察される。また、十分な表面硬化が得られず、耐摩耗性の点でも劣る結果となった。
浸出層が存在するチップC,E,I及びKは、耐摩耗性が劣る結果となった。これは、浸出層が存在するため、刃先に被削材が溶着し、切削抵抗が増大したことが原因と推察される。また、ブラスト処理により浸出層を除去したチップD,F,J及びLは、耐摩耗性が向上したものの、耐欠損性に劣る結果となった。これは、ブラスト処理による物理的衝撃によって靱性が低下し、耐欠損性が損なわれたことが原因と推察される。
なお、上述した実施形態は、本発明の要旨を逸脱することなく、適宜変更することが可能であり、上述した構成に限定されるものではない。例えば、原料粉末の組成や平均粒径を適宜変更することができる。
本発明のサーメットは、切削工具の基材に好適に利用することができる。また、本発明のサーメットの製造方法は、サーメットの製造に好適に利用することができる。さらに、本発明の切削工具は、旋削加工、フライス切削加工、特に、鋼の切削に好適に利用することができる。
1 第1硬質相 2 第2硬質相 3 第3硬質相
B 結合相
B 結合相
Claims (10)
- 周期表第4,5,6族の金属元素から選ばれる少なくとも1種の金属元素と、炭素及び窒素の少なくとも1種の元素との化合物を含む硬質相が、鉄族金属を主成分とする結合相により結合されてなるサーメットであって、
前記硬質相は、
炭窒化チタンのみからなる第1の硬質相と、
少なくともチタン及びタングステンを含む複合炭窒化物固溶体からなる第2の硬質相と、
前記第2硬質相と同一の元素からなり、前記第2硬質相よりもタングステン濃度が高い第3の硬質相と、
に分類することができ、
前記サーメットの体積を2分割する任意の断面において、
焼き肌面の任意の点からその面に直交する深さ方向に直線を引き、
前記直線上の深さ150μmの地点を中心とする1辺が10μmの正方形の領域を第1正方形領域とし、
前記直線上の深さ5μmの地点を中心とする1辺が10μmの正方形の領域を第2正方形領域とし、
前記第1正方形領域と前記第2正方形領域における前記第1硬質相の面積割合をそれぞれSx、Syとしたとき、
Sy/Sx<0.75を満たし、
焼き肌面には、厚さ1μm以上、かつ、その厚さ方向と直交する幅方向に1μm以上の連続した結合相の浸出層が存在しないことを特徴とするサーメット。 - 前記サーメットの体積を2分割する任意の断面において、
焼き肌面から深さ150μmの地点と深さ5μmの地点におけるビッカース硬さをそれぞれHvx、Hvyとしたとき、
Hvy/Hvx>1.1を満たすことを特徴とする請求項1に記載のサーメット。 - 前記Hvxが15.0GPa以上20.0GPa未満であることを特徴とする請求項2に記載のサーメット。
- 前記第1正方形領域において、
マーチン径0.50μm以下の硬質相の粒子面積が全硬質相の面積の20%以上、かつ、マーチン径1.00μm以上の硬質相の粒子面積が全硬質相の面積の15%以上を占める請求項1〜3のいずれか1項に記載のサーメット。 - 原料粉末として、周期表第4,5,6族の金属元素から選ばれる少なくとも1種の金属元素と炭素及び窒素の少なくとも1種の元素との化合物からなる化合物粉末と、鉄族金属の粉末とを用いて、前記化合物を含む硬質相が、前記鉄族金属を主成分とする結合相により結合されてなるサーメットを製造するサーメットの製造方法であって、
原料粉末として、チタンを含む炭化物、窒化物及び炭窒化物のいずれか1種の粉末と、炭化タングステン粉末と、炭素粉末と、タングステン粉末と、前記鉄族金属の粉末とをそれぞれ用意する準備工程と、
前記原料粉末を混合して混合物を得る混合工程と、
前記混合物を成形した成形体を得る成形工程と、
前記成形体を焼結して焼結体を得る焼結工程と、
前記焼結体を冷却する冷却工程と、を備え、
前記焼結工程は、前記成形体を液相が出現する液相出現温度まで昇温する第1昇温工程と、前記第1昇温工程に次いで、1000Pa以上3000Pa以下の窒素雰囲気にて、液相出現温度から焼結が完了する焼結完了温度まで昇温する第2昇温工程と、を有し、
前記冷却工程は、COガス雰囲気にて冷却することを特徴とするサーメットの製造方法。 - 前記第1昇温工程において、1200℃以上1300℃以下まで昇温することを特徴とする請求項5に記載のサーメットの製造方法。
- 前記第2昇温工程において、1400℃以上1600℃以下まで昇温することを特徴とする請求項5又は6に記載のサーメットの製造方法。
- 前記冷却工程において、COガス雰囲気の圧力を1kPa以上10kPa以下とすることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載のサーメットの製造方法。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のサーメットからなる基材を備えることを特徴とする切削工具。
- 前記基材の表面に硬質膜が被覆されていることを特徴とする請求項9に記載の切削工具。
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