JP5892319B2 - 表面被覆wc基超硬合金製切削工具 - Google Patents

表面被覆wc基超硬合金製切削工具 Download PDF

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Description

この発明は耐剥離性にすぐれ、長期の使用にわたってすぐれた耐摩耗性と耐欠損性を発揮する表面被覆WC基超硬合金製切削工具(以下、被覆超硬工具という)に関するものである。
従来、鋼や鋳鉄の切削加工用工具としては、例えば、特許文献1に示されるように、WC基超硬合金を工具基体とし、その表面に、Tiの炭化物、窒化物、炭窒化物、炭酸化物、窒酸化物および炭窒酸化物のうち一種またはそれ以上の層、また、必要に応じて、4a,5a,6a族の炭化物、窒化物、酸化物、硼化物およびこれらの固溶体もしくは化合物並びに酸化アルミニウムから選ばれる一種もしくはそれ以上からなる単層または複層を被覆形成した被覆超硬工具が知られている。
従来の被覆超硬工具においては、高切削速度などの高負荷の切削条件に対応するため、工具の靭性向上、耐摩耗性向上が求められており、このような課題を解決すべく、種々の提案がなされている。
例えば、特許文献1に示すように、被覆超硬工具の基体のすくい面部分のみに、基体内部より硬さの低い軟化層を形成することによって、耐高温塑性変形性を高め、初期摩耗の低減を図るとともに、靭性向上を図ることが提案されている。
また、例えば、特許文献2に示すように、被覆超硬工具の基体表面に厚さ0.5〜5μmの、4a、5a、6a族の炭窒化物相からなる硬化層を形成し、さらに、その硬化層直下に厚さ5〜100μmの、内部に比し結合相の富化した領域を形成することによって、基体表面近傍の炭窒化物相により耐摩耗性を確保しつつ、同時に、炭窒化物相による靭性低下を、結合相富化領域でカバーすることが提案されている。
特開昭58−55560号公報 特開平5−171442号公報
近年の切削加工の高性能化はめざましく、一方で切削加工に対する省力化および省エネ化、さらに低コスト化の要求が強く、これに伴い、切削加工は一段と高速化の傾向にあるが、特許文献1および特許文献2に示す従来被覆超硬工具においては、これを通常の条件下で使用した場合には特段の問題は生じないが、例えば黒皮偏肉部を有するステンレス鋼、合金鋼、炭素鋼製の大型鍛造部品を高速で加工した場合には、急激な偏摩耗の進行や切れ刃の欠損により、比較的短時間で使用寿命に至るのが現状である。
そこで本発明者等は、上述のような観点から、黒皮偏肉部を有するステンレス鋼、合金鋼、炭素鋼製の大型鍛造部品を高速で加工した場合でも、すぐれた耐摩耗性と耐欠損性を発揮する被覆超硬工具の工具基体表面近傍における超硬合金構成成分の濃度と分布について鋭意研究したところ、以下の知見を得た。
すなわち、黒皮偏肉部を有するステンレス鋼、合金鋼、炭素鋼製の大型鍛造部品を高速で加工する場合には、被加工物の偏肉により、加工時の切込み量が大きく変動するが、切り込み量が小さい場合には、硬質の黒皮部のみを削ることとなり、これを特許文献1に示される従来被覆超硬工具を用いて高速加工する場合には、工具基体逃げ面表面の耐剥離性と耐塑性変形性が不十分となり、偏摩耗が急速に進行するという問題が生じ、また特許文献2に示される従来の被覆超硬工具を用いた場合には、工具基体すくい面表面の耐欠損性が不十分となり、欠損が発生しやすいという問題が生じる。
本発明者等は、上記従来の被覆超硬工具における超硬合金の構成成分について、硬質被覆層の耐剥離性、耐摩耗性、耐欠損性に及ぼす工具基体表面近傍における成分濃度と分布の影響を調査したところ、
(a)被覆超硬工具の工具基体逃げ面側で、工具基体表面から1〜50μmの深さ領域におけるTi、Zr、NbおよびTaの合計含有割合が、工具基体内部のTi、Zr、NbおよびTaの合計含有割合より大となっており、さらには、工具基体表面から1〜5μmの深さ領域におけるTi、Zr、NbおよびTaの合計含有割合が、工具基体内部のTi、Zr、NbおよびTaの合計含有割合の2〜5倍である、
(b)被覆超硬工具の工具基体逃げ面側で、工具基体表面から10〜50μmの深さ領域におけるCo含有割合は、工具基体内部のCo含有割合より小さい、
(c)被覆超硬工具の工具基体すくい面側で、工具基体表面から10〜50μmの深さ領域におけるCo含有割合は、工具基体内部のCo含有割合より大である、
上記(a)〜(c)が全て満足されている場合には、耐剥離性、耐摩耗性、耐欠損性が大幅に改善されること、そして、このような被覆超硬工具を、黒皮偏肉部を有するステンレス鋼、合金鋼、炭素鋼製の大型鍛造部品の高速切削加工に用いた場合には、工具寿命が大幅に改善されることを見出したのである。
なお、本発明でいう「工具基体内部」とは、工具基体表面から500μm以上の深さの領域をいう。
本発明は、上記知見に基づいてなされたものであって、
「(1) 硬質相成分としてWCを含有し、さらに、Ti、Zr、NbおよびTaのうちの1種または2種以上の炭化物、窒化物、炭窒化物、炭酸化物、窒酸化物、および炭窒酸化物、のうちの1種または2種以上を含有し、結合相成分としてCoを含有するWC基超硬合金を工具基体とし、該工具基体表面に蒸着層からなる硬質被覆層が形成された表面被覆WC基超硬合金製切削工具において、
(a)上記工具基体の逃げ面側で、工具基体表面から1〜50μmの深さ領域におけるTi、Zr、NbおよびTaの合計含有割合は、工具基体内部のTi、Zr、NbおよびTaの合計含有割合より大であって、しかも、工具基体表面から1〜5μmの深さ領域におけるTi、Zr、NbおよびTaの合計含有割合は、工具基体内部のTi、Zr、NbおよびTaの合計含有割合の2〜5倍であり、
(b)上記工具基体の逃げ面側で、工具基体表面から10〜50μmの深さ領域におけるCo含有割合は、工具基体内部のCo含有割合より小さく、
(c)上記工具基体のすくい面側で、工具基体表面から10〜50μmの深さ領域におけるCo含有割合は、工具基体内部のCo含有割合より大であり、
(d)上記工具基体表面直上の硬質被覆層は、Tiの炭化物層、窒化物層、炭窒化物層、炭酸化物層、窒酸化物層、および炭窒酸化物層のいずれかの層である、
ことを特徴とする表面被覆WC基超硬合金製切削工具。
(2) 上記WC基超硬合金は、Coを5〜12質量%、Ti、Zr、NbおよびTaのうちの1種または2種以上の炭化物、窒化物、炭窒化物のうちの1種または2種以上を5〜30質量%含有することを特徴とする請求項1に記載の表面被覆WC基超硬合金製切削工具。」
を特徴とするものである。
次にこの発明の被覆超硬工具において、逃げ面側およびすくい面側基体表面の組成および超硬合金の内部組成、基体表面直上の硬質被覆層、を上記のように限定した理由を説明する。
(a)逃げ面工具基体表面のTi、Zr、NbおよびTaの合計含有割合
逃げ面基体表面から1〜50μmの深さ領域におけるTi、Zr、NbおよびTa成分は、耐摩耗性および耐剥離性の向上に不可欠であり、この領域におけるTi、Zr、NbおよびTaの合計含有割合が、内部のそれより大となると、耐摩耗性および耐剥離性が向上する。このことから、工具基体の逃げ面側で、工具基体表面から1〜50μmの深さ領域におけるTi、Zr、NbおよびTaの合計含有割合は、工具基体内部のTi、Zr、NbおよびTaの合計含有割合より大であると規定した。ただし、逃げ面基体表面から1〜5μmの深さ領域において、Ti、Zr、NbおよびTaの合計含有割合が5倍を超えると、Coの含有量の減少と相まって、逃げ面側の基体表面の靭性が不十分となり微小なチッピングが発生しやすくなる。また2倍未満になると、十分な耐摩耗性が確保できない。このことから、逃げ面基体表面から1〜5μmの深さ領域におけるその合計含有割合を2〜5倍と規定した。
(b)逃げ面側基体表面のCo含有量
逃げ面基体表面から10〜50μmの深さ領域におけるCo成分の低減は、耐摩耗性の向上に不可欠であり、逃げ面基体表面から10〜50μmの深さ領域におけるCo含有量が工具基体内部のそれより低くなると、耐摩耗性が向上する。このことから、工具基体の逃げ面側で、工具基体表面から10〜50μmの深さ領域におけるCo含有割合は、工具基体内部のCo含有割合より小であると規定した。
(c)すくい面側基体表面のCo含有量
すくい面基体表面から10〜50μmの深さ領域におけるCo成分は、耐欠損性の向上に不可欠であり、すくい面基体表面から10〜50μmの深さ領域におけるCo含有量が工具基体内部のそれより高くなると、耐欠損性が向上する。このことから、工具基体のすくい面側で、工具基体表面から10〜50μmの深さ領域におけるCo含有割合は、工具基体内部のCo含有割合より大であると規定した。
(d)工具基体表面直上の硬質被覆層
基体表面と硬質被覆層との付着度向上は、耐剥離性の向上に不可欠であるが、基体表面から1〜5μmの深さ領域におけるTi、Zr、NbおよびTaの合計含有割合を向上させると、Tiの炭化物層、窒化物層、炭窒化物層、炭酸化物層、窒酸化物層、および炭窒酸化物層との付着度が向上することが本研究において明らかとなり、このことから、工具基体表面直上の硬質被覆層を、Tiの炭化物層、窒化物層、炭窒化物層、炭酸化物層、窒酸化物層、および炭窒酸化物層のいずれかの層と規定した。Ti、Zr、NbおよびTaの合計含有割合を向上による付着度向上の理由としては、硬質被覆層を構成するTi化合物層とTi、Zr、Nb、Ta等の化合物が同系結晶構造(立方晶構造)を有するためと考えられる。
(e)WC基超硬合金のCo含有量とTi、Zr、NbおよびTaの炭化物、窒化物、炭窒化物、炭酸化物、窒酸化物、および炭窒酸化物含有量
WC基超硬合金の主たる結合相成分であるCoは、硬質相成分と強固に結合し、基体の強度および靭性を向上させる作用があるが、その含有量が5質量%未満では前記作用に所望の効果が得られず、一方その含有量が12質量%を越えると、基体の耐摩耗性が低下するようになることから、その含有量を5〜12質量%とすることが望ましい。
また、Ti、Zr、NbおよびTaの炭化物、窒化物、炭窒化物、炭酸化物、窒酸化物および炭窒酸化物からなる硬質相成分には、基体の硬さを高めて、耐摩耗性を向上させる作用があるが、これらの硬質相成分の含有量が5質量%未満では所望の耐摩耗性向上効果が得られず、一方その含有量が30質量%を越えると基体の靭性が低下するようになることから、含有量を5〜30質量%とすることが望ましい。
本発明の被覆超硬工具によれば、工具基体逃げ面側の表面近傍のTi、Zr、Nb、Taの濃度が高く硬質相成分が富化しており、一方、結合相成分であるCoが貧化しているため、工具基体逃げ面における硬質被覆層の耐剥離性、耐摩耗性が向上する。
一方、本発明の被覆超硬工具の工具基体すくい面側の表面近傍は、結合相成分であるCoが富化しているため、耐欠損性に優れる。
したがって、本発明の被覆超硬工具は、黒皮偏肉部を有するステンレス鋼、合金鋼、炭素鋼製の大型鍛造部品等の高速切削加工に用いた場合でも、耐剥離性、耐摩耗性、耐欠損性にすぐれ、長期の使用にわたってすぐれた切削性能を発揮することができる。
この発明の被覆超硬工具を2つの実施例にて、具体的に説明する。
(a) 原料粉末として、いずれも0.5〜3μmの範囲内の所定の平均粒径を有するWC粉末、Co粉末、TiCN粉末、NbC粉末、TaC粉末を、表1に示される割合に配合し、さらに溶剤を加えて24時間ボールミル混合し、減圧乾燥した後、100MPaの圧力で所定形状の圧粉体にプレス成形することにより、組成Aの圧粉体を4個作製した。
(b) このプレス成形により得た組成Aの4個の圧粉体を焼結するにあたり、800〜1400℃の温度範囲を、7000Paの窒素雰囲気下で昇温し、その後真空雰囲気中にて1400℃にて0.5時間,1時間,1.5時間,2時間保持し、急冷し、4種類の焼結体を作製した。熱処理の時間の短い順にA1、A2、A3、A4とする。この熱処理を行うことで、すくい面表面および逃げ面表面に、Co含有量が高く、Ti、Zr、NbおよびTaの合計含有量の低い、基体内部より硬さの低い軟化層が形成される。また、この軟化層の形成に伴い、軟化層直下においてCo含有量が低く、Ti、Zr、NbおよびTaの合計含有量の高い領域が形成される。
(c) その後、機械研磨にて、最終的に工具基体の逃げ面となる焼結体の構成面を約30μmの厚さで研磨して、逃げ面の軟化層を除去した。(d) 上記で得たA1〜4の4種類の焼結体を、13000Paの窒素雰囲気下にて1400℃でA1は0.5時間,A2は1時間,A3は1.5時間,A4は2時間保持する熱処理を行った後急冷した。この熱処理を行うことで、Ti、Zr、NbおよびTaのγ成分が逃げ面においては、表面に濃化され、それに伴いCoの濃度が相対的に低下する。一方で、すくい面においては、軟化層に含まれるこれらのγ成分が微量なため、この熱処理においてはこれらのγ成分の表面における濃化はほとんどない。したがってすくい面表面の濃度に変化はほとんどなく、Co含有量も上記(b)の熱処理後と同様に基体内部より高くなる。
(e)上記(d)で得た4種の焼結体を、研削にて、SNMM250924(ホーニング量0.2mm)に規定されるインサート形状およびホーニング量に加工し、本発明の4種の超硬工具基体1〜4を作製した。
(なお、配合組成Aの超硬工具基体1〜4の熱処理保持時間は、それぞれ0.5時間,1時間,1.5時間,2時間である)
比較のため、前記(a)で作製した圧粉体を、800〜1400℃の温度範囲を、7000Paの窒素雰囲気下で昇温し、その後真空雰囲気中にて1400℃にて1時間保持し、急冷し、前記(c)と同様の研磨をし、焼結体A5を作製し、その後、焼結体A5を前記(e)に従って加工し、比較例の超硬工具基体9を作製した(即ち、比較例の超硬工具基体9では、前記(d)の熱処理を行っていない)。
上記本発明の超硬工具基体1〜4および、比較例の超硬工具基体9について、各々、工具基体内部、逃げ面表面部および、すくい面表面部の成分濃度をEDS法(エネルギー分散型X線分析法)により測定した。
表2に、それぞれの値(但し、5点測定による平均値)を示す。


次いで、上記本発明の超硬工具基体1〜4および比較例の超硬工具基体9の表面に、表3に示す、基体表面直上をTi化合物層とする硬質被覆層を化学蒸着によって被覆形成することにより、本発明の被覆超硬工具1〜4および比較例の被覆超硬工具9を作製した。

つぎに、上記本発明の被覆超硬工具1〜4および比較例の被覆超硬工具9について、いずれも工具鋼製バイトの先端部に固定治具にてネジ止めした状態で、
被削材:黒皮偏肉部を有するJIS・SUS316の丸棒鍛造品、
切削速度:150m/min.、
切り込み:0−15mm、
送り:1.3mm/rev.、
の条件(切削条件Aとする)での黒皮偏肉部を有するステンレス鋼鍛造品の乾式切削加工試験を行い、
上記いずれの切削試験においても、逃げ面摩耗量が0.6mmに達するまでの時間を寿命とし、その切削時間を測定した。
表4に、寿命に至るまでの切削時間と硬質被覆層の損傷状況を示す。

表4の結果から、本発明の被覆超硬工具1〜4においては、チッピング、欠損等の異常損傷の発生もなく、長期の使用にわたってすぐれた耐摩耗性を発揮することが分かる。
これに対して、比較例の被覆超硬工具9においては、偏摩耗の発生により、工具寿命が短命であることは明らかである。
(a) 原料粉末として、いずれも0.5〜3μmの範囲内の所定の平均粒径を有するWC粉末、Co粉末、ZrC粉末、NbC粉末、TaC粉末を、表1に示される割合に配合し、さらに溶剤を加えて24時間ボールミル混合し、減圧乾燥した後、100MPaの圧力で所定形状の圧粉体にプレス成形することにより、組成Bの圧粉体を4個作製した。
(b)このプレス成形により得た組成Bの4個の圧粉体を焼結するにあたり、真空雰囲気中にて1200℃にて1.5時間保持し、急冷して、焼結体を作製した。
(c)上記で得た配合組成Bの4個の焼結体それぞれに、Coを上記(a)の基体の組成より増加させた、表5に示される組成の配合粉末と溶剤にて得られたスラリーを逃げ面に付着しないようにして、すくい面にのみ塗布した。次に、Coを上記(a)の基体の組成より低減させ、ZrC、TaC、NbCを上記(a)の基体の組成より増加させた、表5に示される組成の配合粉末と溶剤にて得られたスラリーをすくい面に付着しないようにして、逃げ面にのみ塗布した。次に焼結体に塗布したスラリーを乾燥させた。4個の焼結体には各々組成の異なる配合粉末にて作製したスラリーを塗布し、その組成は表5に示す通りである。この4種の、スラリーを塗布した焼結体をB1、B2、B3、B4とした。
(d)上記(c)で得た表面にスラリーを塗布した4種の焼結体B1、B2、B3、B4を真空雰囲気中にて1400℃にて1.5時間保持し、急冷して、4種の再焼結体B1、B2、B3、B4を作製した。
(e)上記(d)で得た4種の焼結体B1、B2、B3、B4を、研削にて、SNMM250924(ホーニング量0.2mm)に規定されるインサート形状およびホーニング量に加工し、本発明の4種の超硬工具基体5〜8を作製した。
(なお、配合組成Bの超硬工具基体5〜8はその数字の順に、スラリーを塗布した4種の焼結体B1、B2、B3、B4をそれぞれ再焼結したものである)

比較のため、前記(a)で作製した2個の圧粉体を、前記(b)の条件で焼結し、前記(c)のスラリー塗布を一方はすくい面のみ、他方は逃げ面のみ行い、スラリーを塗布した2種の焼結体(このうちすくい面のみスラリーを塗布した前者をB5、逃げ面のみに塗布した後者をB6とする)を作製し、その後焼結体B5、B6を前記(d)と同様の条件で熱処理をし、その後、前記(e)に従って加工し、比較例の超硬工具基体10、11を作製した。(即ち、比較例の超硬工具基体10では、前記(c)のスラリー塗布を逃げ面には、行っておらず、超硬工具基体11では、前記(c)のスラリー塗布をすくい面には、行っていない)
上記本発明の超硬工具基体5〜8および、比較例の超硬工具基体10、11について、各々、工具基体内部、逃げ面表面部および、すくい面表面部の成分濃度をEDS法(エネルギー分散型X線分析法)により測定した。
表2に、それぞれの値(但し、5点測定による平均値)を示す。
次いで、上記本発明の超硬工具基体5〜8および比較例の超硬工具基体10、11の表面に、表3に示す、基体表面直上をTi化合物層とする硬質被覆層を化学蒸着によって被覆形成することにより、本発明の被覆超硬工具5〜8および比較例の被覆超硬工具10、11を作製した。
つぎに、上記本発明の被覆超硬工具5〜8および比較例の被覆超硬工具10、11について、いずれも工具鋼製バイトの先端部に固定治具にてネジ止めした状態で、
被削材:黒皮偏肉部を有するJIS・SCM440の丸棒鍛造品、
切削速度:160m/min.、
切り込み:0−15mm、
送り:1.5mm/rev.、
の条件(切削条件Bとする)での黒皮偏肉部を有する合金鋼鍛造品の乾式切削加工試験を行い、
上記切削試験において、逃げ面摩耗量が0.6mmに達するまでの時間を寿命とし、その切削時間を測定した。
表6に、寿命に至るまでの切削時間と硬質被覆層の損傷状況を示す。

表6の結果から、本発明の被覆超硬工具1〜4においては、硬質被覆層の剥離、
チッピング、欠損等の異常損傷の発生もなく、長期の使用にわたってすぐれた耐摩耗性を発揮することが分かる。
これに対して、比較例の被覆超硬工具10においては、偏摩耗の発生により、比較例の被覆超硬工具11においては、欠損の発生により工具寿命が短命であることは明らかである。
本発明の表面被覆WC基超硬合金製切削工具は、黒皮偏肉部を有するステンレス鋼、合金鋼、炭素鋼製の大型鍛造部品の高速切削加工に用いられた場合、長期間の使用にわたってすぐれた切削性能を発揮することができ、切削加工の省エネ化、低コスト化に十分満足に対応できるものである。







Claims (2)

  1. 硬質相成分としてWCを含有し、さらに、Ti、Zr、NbおよびTaのうちの1種または2種以上の炭化物、窒化物、炭窒化物のうちの1種または2種以上を含有し、結合相成分としてCoを含有するWC基超硬合金を工具基体とし、該工具基体表面に蒸着層からなる硬質被覆層が形成された表面被覆WC基超硬合金製切削工具において、
    (a)上記工具基体の逃げ面側で、工具基体表面から1〜50μmの深さ領域におけるTi、Zr、NbおよびTaの合計含有割合は、工具基体内部のTi、Zr、NbおよびTaの合計含有割合より大であって、しかも、工具基体表面から1〜5μmの深さ領域におけるTi、Zr、NbおよびTaの合計含有割合は、工具基体内部のTi、Zr、NbおよびTaの合計含有割合の2〜5倍であり、
    (b)上記工具基体の逃げ面側で、工具基体表面から10〜50μmの深さ領域におけるCo含有割合は、工具基体内部のCo含有割合より小さく、
    (c)上記工具基体のすくい面側で、工具基体表面から10〜50μmの深さ領域におけるCo含有割合は、工具基体内部のCo含有割合より大であり、
    (d)上記工具基体表面直上の硬質被覆層は、Tiの炭化物層、窒化物層、炭窒化物層、炭酸化物層、窒酸化物層、および炭窒酸化物層のいずれかの層である、
    ことを特徴とする表面被覆WC基超硬合金製切削工具。
  2. 上記WC基超硬合金は、Coを5〜12質量%、Ti、Zr、NbおよびTaのうちの1種または2種以上の炭化物、窒化物、炭窒化物のうちの1種または2種以上を5〜30質量%含有することを特徴とする請求項1に記載の表面被覆WC基超硬合金製切削工具。
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