JP2014188598A - 靭性と耐欠損性にすぐれた表面被覆wc基超硬合金製切削工具 - Google Patents

靭性と耐欠損性にすぐれた表面被覆wc基超硬合金製切削工具 Download PDF

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貴央 奥山
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Abstract

【課題】靭性と耐欠損性に優れた表面被覆WC基超硬合金製切削工具を提供する。
【解決手段】 WC基超硬合金を基体とし、基体表面に硬質被覆層を被覆形成した表面被覆WC基超硬合金製切削工具において、(a)上記WC基超硬合金は、WCからなる第一硬質相と、WCとTi、Zr、NbおよびTaのうちから選ばれる少なくとも1種の炭化物、窒化物および炭窒化物の相互固溶体からなる第二硬質相と、さらに、Coからなる結合相で構成された焼結組織を有し、(b)上記基体表面から基体内部に向かって5〜50μmの深さ領域におけるCo含有割合は、基体内部のCo含有割合より大であり、(c)上記基体表面から基体内部に向かって少なくとも100μmまでの深さ領域に存在する第二硬質相の平均粒径は2〜15μmであり、(d)上記基体表面から基体内部に向かって少なくとも100μmまでの深さ領域に存在する第二硬質相における該相表面部のW含有割合は、該相内部のW含有割合の1.5〜4倍である。
【選択図】 図1

Description

この発明は、靭性と耐欠損性にすぐれ、長期の使用にわたってすぐれた耐摩耗性を発揮する表面被覆WC基超硬合金製切削工具(以下、被覆超硬工具という)に関するものである。
従来、鋼や鋳鉄の切削加工用工具としては、WC基超硬合金を工具基体とし、その表面に、Tiの炭化物、窒化物、炭窒化物、炭酸化物、窒酸化物および炭窒酸化物のうち一種またはそれ以上の層、また、必要に応じて、4a,5a,6a族の炭化物、窒化物、酸化物、硼化物およびこれらの固溶体もしくは化合物並びに酸化アルミニウムから選ばれる一種もしくはそれ以上からなる単層または複層を被覆形成した被覆超硬工具が知られている。
従来の被覆超硬工具においては、高切削速度などの高負荷の切削条件に対応するため、工具の靭性向上、耐摩耗性向上が求められており、このような課題を解決すべく、種々の提案がなされている。
例えば、特許文献1に示すように、被覆超硬工具の基体のすくい面部分のみに、基体内部より硬さの低い軟化層を形成することによって、耐高温塑性変形性を高め、初期摩耗の低減を図るとともに、靭性向上を図ることが提案されている。
また、例えば、特許文献2に示すように、被覆超硬工具の基体表面に厚さ0.5〜5μmの、4a、5a、6a族の炭窒化物相からなる硬化層を形成し、さらに、その硬化層直下に厚さ5〜100μmの、内部に比し結合相の富化した領域を形成することによって、基体表面近傍の炭窒化物相により耐摩耗性を確保しつつ、同時に、炭窒化物相による靭性低下を、結合相富化領域でカバーすることが提案されている。
また、例えば、特許文献3に示すように、WC、鉄族の少なくとも1種の金属又はこれらの合金を含有するバインダー相並びに、Zr、Nb及びWの組合せの炭化物及び炭窒化物の少なくとも1種を含む1種又は2種以上の固溶体相を含有する焼結組織を被覆超硬工具基体に形成することにより、耐塑性変形性、耐摩耗性を改善することが提案されている。
特開昭58−55560号公報 特開平5−171442号公報 特表2007−513256号公報
近年、高能率化のために高負荷高速切削がなされ、それに伴い切削工具も高温においての耐摩耗性が求められている。そのため、W以外の4、5、6族金属の炭化物、炭窒化物、炭酸窒化物を添加し、主としてそれらが主成分となる硬質相(これを、第二硬質相という。なお、WCからなる硬質相を第一硬質相という)を析出させることで、高温での高い耐摩耗性・耐塑性変形性を有する被覆超硬工具基体を作ることが可能となっている。
しかしながら、上記第二硬質相は、第一硬質相のWC相に比して、結合相との濡れ性が悪いため、低温での焼結の場合、巣の発生する場合がある。
巣の発生原因は、第二硬質相に対する結合相の濡れ性が悪いために、第二硬質相周囲への結合相の回り込みが不十分となるためである。そして、巣が発生することにより、高負荷切削や断続切削において、第二硬質相と結合相の界面には亀裂が発生し、また、亀裂の進展経路ともなりやすいため、被覆超硬工具の耐欠損性に悪影響を及ぼすことになる。
一方、硬質相周囲への結合相の回り込みを良好にするために、高温にて焼結を行い、結合相と硬質相との濡れ性を向上させることも考えられるが、高温で焼結を行うとWC粒の粒成長を促進され、WC粒が粗大化し、特に基体表面部においてはその影響で面粗さが粗くなり、基体と硬質被覆層との付着強度に悪影響を及ぼし、これが膜の剥離の原因となる。
このように、切刃に高負荷が作用する高負荷切削加工や断続切削加工で被覆超硬工具を用いた場合には、靭性、耐欠損性が十分とはいえないため、短時間で寿命に至るのが現状である。
そこで本発明者等は、上述のような観点から、高負荷切削加工や断続切削加工に用いた場合でも、すぐれた靭性、耐欠損性を発揮するような被覆超硬工具の基体組織について鋭意研究したところ、以下の知見を得た。
すなわち、被覆超硬工具の靭性、耐欠損性を向上させるためには、基体の構成成分である硬質相と結合相との濡れ性を改善することが必要であるが、そのためには、基体を構成する成分である第二硬質相の平均粒径を2〜15μmとするとともに、基体表面から内部に向かって少なくとも100μmの深さ領域にある第二硬質相の表面部のW含有割合を硬質相の中心部のそれに比べて高くした焼結組織を形成することにより、第二硬質相周りの結合相の濡れ性を高め、結合相の回り込みを良くすることで、第二硬質相と結合相との2相界面での亀裂の発生または亀裂の進展を抑制することができし、これによって、被覆超硬工具の耐塑性変形性、耐摩耗性を損なうことなく、基体の靭性、耐欠損性を向上させ得ることを見出したのである。
さらに、本発明者等は、上記の焼結組織を得るためには、所定の組成となるように原料粉末を配合して成形した圧粉体を、所定の雰囲気(例えば、Ar雰囲気)および温度範囲(例えば、1300〜1350℃)に保持して焼結した後、焼結温度より高い温度(例えば、1500〜1550℃)と低い温度(例えば、1200〜1250℃)へ急昇温・急冷却する熱処理サイクルを複数回繰り返し行うことにより、第二硬質相の表面部のW含有割合を硬質相の中心部のそれに比べて高くした焼結組織を形成し得ることを見出したのである。
本発明は、上記知見に基づいてなされたものであって、
「(1) Coを5〜10質量%、Ti、Zr、NbおよびTaのうちから選ばれる少なくとも1種の炭化物、窒化物および炭窒化物のうち少なくとも1種を5〜30質量%含有し、残部はWCと不可避不純物からなるWC基超硬合金を基体とし、該基体表面に硬質被覆層を被覆形成した表面被覆WC基超硬合金製切削工具において、
(a)上記WC基超硬合金は、WCからなる第一硬質相と、WCとTi、Zr、NbおよびTaのうちから選ばれる少なくとも1種の炭化物、窒化物および炭窒化物の相互固溶体からなる第二硬質相と、さらに、Coからなる結合相を含有する焼結組織を有し、
(b)上記基体表面から基体内部に向かって少なくとも100μmまでの深さ領域に存在する第二硬質相の平均粒径は2〜15μmであり、
(c)上記基体表面から基体内部に向かって少なくとも100μmまでの深さ領域に存在する第二硬質相について、オージェ分析によりW含有割合(原子%)を求めた場合、該硬質相の表面から50〜100nmにおける第二硬質相表面部のW含有割合(原子%)は、該硬質相の表面から500nmを超えた内部における第二硬質相内部のW含有割合(原子%)の1.5〜4倍であることを特徴とする表面被覆WC基超硬合金製切削工具。
(2) 上記基体表面から基体内部に向かって5〜50μmの深さ領域におけるCoの平均含有割合は、基体内部のCoの平均含有割合より大であるCo富化領域が形成されていることを特徴とする前記(1)に記載の表面被覆WC基超硬合金製切削工具。
(3) 上記硬質被覆層は、Tiの炭化物層、窒化物層、炭窒化物層、炭酸化物層、炭窒酸化物層およびAl層のうちから選ばれる少なくとも1層であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の表面被覆WC基超硬合金製切削工具。」
を特徴とするものである。
次にこの発明の被覆超硬工具において、詳細に説明する。
WC基超硬合金中のCo含有量:
本発明のWC基超硬合金には、WCからなる第一硬質相と、WCとTi、Zr、NbおよびTaのうちから選ばれる少なくとも1種の炭化物、窒化物および炭窒化物の相互固溶体からなる第二硬質相と、さらに、Co結合相からなる焼結組織が形成される。
WC基超硬合金の主たる結合相成分であるCoは、第一硬質相であるWC相、および、WCとTi、Zr、NbおよびTaのうちから選ばれる少なくとも1種の炭化物、窒化物および炭窒化物の相互固溶体からなる第二硬質相の周囲を取り囲んで強固に結合し、基体の強度および靭性を向上させる作用があるが、その含有量が5質量%未満では前記作用に所望の効果が得られず、一方その含有量が10質量%を越えると、基体の耐摩耗性が低下するようになることから、その含有量を5〜10質量%とする。
WC基超硬合金中のTi、Zr、NbおよびTaの炭化物、窒化物、炭窒化物の含有量:
Ti、Zr、NbおよびTaのうちから選ばれる少なくとも1種の炭化物、窒化物および炭窒化物のうち少なくとも1種は、WCと相互固溶体を形成し、第二硬質相として結合相中に分布することにより、基体の硬さを高めて、耐摩耗性を向上させる作用があるが、これらの硬質相成分の含有量が5質量%未満では所望の耐摩耗性向上効果が得られず、一方その含有量が30質量%を越えると基体の靭性が低下傾向を示すようになることから、含有量を5〜30質量%とする。
WC基超硬合金の焼結組織:
WC基超硬合金には、WCからなる第一硬質相、Coからなる結合相とともに、WCとTi、Zr、NbおよびTaのうちから選ばれる少なくとも1種の炭化物、窒化物および炭窒化物の相互固溶体からなる第二硬質相が形成される。
そして、上記第二硬質相のうちで、少なくとも100μmまでの深さ領域に存在する第二硬質相については、結合相との濡れ性を高め、第二硬質相の周囲における結合相のまわりこみを良好なものとするために、第二硬質相の表面から50〜100nmにおける硬質相表面部のW含有割合(原子%)を、第二硬質相の表面から500nmを超えた内部における硬質相内部のW含有割合(原子%)の1.5〜4倍とする。
即ち、WC基超硬合金中に分散する第二硬質相は、該相の全体に亘って均一なW濃度となっているのではなく、相の表面に近い領域(硬質相の表面から50〜100nmにおける深さ領域)では、相の内部領域(硬質相の表面から500nmを超えた内部の相の領域)に比して、相対的にW含有割合(原子%)が高くなっている。
このような第二硬質相におけるWの濃度分布は、基体表面から基体内部に向かって少なくとも100μmまでの深さ領域に存在する第二硬質相について、該第二硬質相の表面部と内部のW含有割合(原子%)を、オージェ分析により測定することにより求めることができる。
第二硬質相表面部のW含有割合(原子%)が、第二硬質相の内部領域のそれの1.5倍未満では、結合相と第二硬質相との濡れ性が十分でないため、結合相と第二硬質相との界面における亀裂の発生、亀裂の進展を十分に抑制することはできず、一方、第二硬質相表面部のW含有割合(原子%)が、第二硬質相の内部領域のそれの4倍を超えるようになると、第二硬質相の硬さに低下を招き、耐摩耗性に悪影響を及ぼすことから、第二硬質相の表面から50〜100nmにおける第二硬質相表面部のW含有割合(原子%)を、第二硬質相の表面から500nmを超えた内部における第二硬質相内部のW含有割合(原子%)の1.5〜4倍と定めた。
WC基超硬合金中の第二硬質相の平均粒径:
また、WC基超硬合金中の第二硬質相の平均粒径は、2〜15μmとすることが必要である。
これは、第二硬質相の平均粒径が2μm未満であると、第二硬質相に上記W濃度の分布を形成することが難しく、そのため、第二硬質相と結合相の濡れ性改善が十分でなく、一方、第二硬質相の平均粒径が15μmを超えると、粗大化した第二硬質相が分布することにより、WC基超硬合金自体の靭性が低下するようになることから、第二硬質相の平均粒径は、2〜15μmと定めた。
基体表面から基体内部に向かって5〜50μmの深さ領域におけるCoの平均含有割合:
また、この発明では、基体表面から5〜50μmの深さ領域において、Co成分の含有割合を、工具基体内部のそれより高くしたCo富化領域を形成することによって、耐欠損性の向上を図ることができる。
ただ、Co富化領域の深さが、基体表面から5μm未満では、耐欠損性の改善に効果が少なく、Co富化領域の深さが、基体表面から50μmを超える場合には、基体の硬さが不足し、耐摩耗性が低下するようになることから、基体表面から5〜50μmの深さ領域において、Co富化領域を形成し、Co成分の含有割合を、工具基体内部のそれより高くすることが望ましい。
焼結組織の形成:
従来の超硬合金基体は、一般に、図1(a)に示されるような、昇温、加熱保持(焼結)および冷却によって、製造されていたが、この発明の超硬合金基体では、例えば、図1(b)に示す製造プロセスによって、前記した焼結組織を有する超硬合金基体を得ることができる。
つまり、所定粒径のWC粉末、所定粒径のCo粉末、所定粒径のTi、Zr、NbおよびTaのうちから選ばれる少なくとも1種以上の各粉末あるいは、これらの炭化物粉末、窒化物粉末、炭窒化物粉末を、所定組成となるように配合した圧粉体を、Ar雰囲気中で1300〜1350℃の焼結温度に昇温・加熱保持して焼結した後、焼結温度より高い1500〜1550℃の温度と、焼結温度より低い1200〜1250℃の温度への急熱・急冷する熱処理サイクルを、複数回繰り返し行うことにより、第二硬質相の表面部のW含有割合が、第二硬質相の内部のそれに比べて高くなるW濃度分布を有する焼結組織を形成することができる。
上記焼結組織の形成において、Ar雰囲気または真空雰囲気が望ましく、また、焼結のための加熱保持時間は、25〜30分であることが望ましい。
焼結後の熱処理サイクルにおける急熱の昇温速度は、20〜30℃/minであることが望ましく、また、急冷の冷却速度は、50〜60℃/minであることが望ましい。急熱の昇温速度が20℃/min未満である場合、また、急冷の冷却速度が50℃/min未満である場合には、熱処理中に、第二硬質相内のWの拡散が進行し、第二硬質相内部のW濃度も高くなり、超硬合金の耐摩耗性に悪影響を及ぼすこととなる。
一方、昇温速度が30℃を超える場合、また、急冷の冷却速度が60℃/minを超える場合には、急激な温度変化により母材内部に導入される歪が大きくなるために耐欠損性に悪影響を及ぼすこととなる。
また、熱処理サイクルは少なくとも5回以上、好ましくは、10回以上50回以下、繰り返し行うことが望ましく、熱処理サイクルが5回未満であると、第二硬質相表面のW含有割合が、第二硬質相内部のそれの1.5倍以上とならず、結合相が回り込み不足になり、一方、熱処理サイクルが少なくとも50回を超えると、第二硬質相内部のW含有量が高くなりすぎるため、超硬合金の耐摩耗性が低下する。
基体表面の硬質被覆層:
また、この発明では、基体表面に被覆する硬質被覆層としては、従来から知られている硬質被覆層、例えば、Tiの炭化物層、窒化物層、炭窒化物層、炭酸化物層、炭窒酸化物層およびAl層のうちから選ばれる1層または2層以上の硬質被覆層を被覆形成することができる。
なお、上述した硬質被覆層ばかりでなく、従来から知られている硬質被覆層を被覆形成することを何ら妨げるものではない。
本発明の被覆超硬工具によれば、基体が第一硬質相(WC)、第二硬質相(WCとTi、Zr、NbおよびTaのうちから選ばれる少なくとも1種の炭化物、窒化物および炭窒化物の相互固溶体)および結合相(Co)からなり、さらに、基体表面から基体内部に向かって少なくとも100μmまでの深さ領域に存在する第二硬質相について、該硬質相の表面から50〜100nmにおける第二硬質相表面部のW含有割合(原子%)が、該硬質相の表面から500nmを超えた内部における第二硬質相内部のW含有割合(原子%)の1.5〜4倍である焼結組織を形成することによって、第二硬質相と結合相の濡れ性が高められ、その結果、結合相の回り込みが改善され、第二硬質相と結合相との界面における亀裂の発生、進展が抑制されることから、高負荷切削加工や断続切削加工に用いた場合でも、すぐれた靭性、耐欠損性を発揮するととともに、長期の使用に亘ってすぐれた耐摩耗性を
発揮することができる。
(a)は従来の超硬合金の焼結プロセスの概略を示し、(b)はこの発明の焼結組織を有する超硬合金の製造プロセスの概略を示す。
この発明を、実施例に基づいて、以下に説明する。
(a) 原料粉末として、いずれも0.5〜3.0μmの範囲内の所定の平均粒径を有するWC粉末、Co粉末、ZrC粉末、NbC粉末およびTaC粉末を、表1に示される割合に配合し、さらに溶剤を加えて24時間ボールミル混合し、減圧乾燥した後、100MPaの圧力で所定形状の圧粉体にプレス成形することにより、同一組成の圧粉体A1〜A8を作製した。
(b) このプレス成形により得た圧粉体A1〜A8の内の圧粉体A1〜A6を焼結するにあたり、表2に示す条件の焼結プロセスで焼結し、研削にて、CNMG120408に規定されるインサート形状に加工することによって、表3に示す本発明のWC基超硬合金基体A1〜A6を製造した。
(c) その後、本発明のWC基超硬合金基体A1〜A6に対して、表4に示される5層からなる硬質被覆層を化学蒸着により被覆形成することにより、本発明の被覆超硬工具A1〜A6を作製した。
比較のため、前記(a)で作製した圧粉体A7、A8を、表2に示す条件の焼結プロセスで焼結し、研削にて、CNMG120408に規定されるインサート形状に加工することによって、表3に示す比較例のWC基超硬合金基体A7、A8を製造し、さらに、表4に示される5層からなる硬質被覆層を化学蒸着により被覆形成することにより、比較例の被覆超硬工具A7、A8を作製した。
上記本発明の超硬工具基体A1〜A6および比較例の超硬工具基体A7、A8のそれぞれについて、第二硬質相の表面部および内部の成分濃度をオージェ分析にて測定し、5点測定による平均値を、表面部および内部における各成分の含有量(原子%)として求めた。
また、上記本発明の超硬工具基体A1〜A6および比較例の超硬工具基体A7、A8の第二硬質相の粒径については、光学顕微鏡での拡大写真より視野内の第二硬質相の粒径を各々測定し、その平均値を算出することにより平均粒径(μm)を求めた。
表3に、それぞれの値を示す。
つぎに、上記本発明の被覆超硬工具A1〜A6および比較例の被覆超硬工具A7、A8について、いずれも工具鋼製バイトの先端部に固定治具にてネジ止めした状態で、
被削材:JIS・S45Cの丸棒、
切削速度:300 m/min.、
切り込み:2.0 mm、
送り:0.5 mm/rev.、
切削時間:20 分、
の条件(切削条件1という)での炭素鋼の高速湿式切削加工試験を行い、
逃げ面摩耗量を測定した。
表5に、その結果を示す。
また、上記本発明の被覆超硬工具A1〜A6および比較例の被覆超硬工具A7、A8について、いずれも工具鋼製バイトの先端部に固定治具にてネジ止めした状態で、
被削材:JIS・SNCM439からなる幅:150mmのブロック材、
切削速度:130 m/min.、
切り込み:1.5 mm、
送り:0.2 mm/rev.、
切削時間:2分
の条件(切削条件2という)で各々の被覆工具10個について乾式切削加工試験を行い、
欠損発生率(欠損発生チップ/試験チップ数)を測定した。
表5に、その結果を示す。





表5の結果から、第二硬質相表面部のW含有割合(原子%)が、第二硬質相内部のW含有割合(原子%)の1.5〜4倍で本発明の被覆超硬工具A1〜A6においては、欠損発生が抑制されると共に耐摩耗性にもすぐれていることが分かる。
これに対して、比較例の被覆超硬工具A7、A8においては、早期に欠損を発生し、工具寿命が短命であることは明らかである。
(a) 原料粉末として、いずれも0.5〜3.0μmの範囲内の所定の平均粒径を有するWC粉末、Co粉末、TiC粉末、TiN粉末、ZrC粉末、ZrN粉末およびTaC粉末を、表1に示される割合に配合し、さらに溶剤を加えて24時間ボールミル混合し、減圧乾燥した後、100MPaの圧力で所定形状の圧粉体にプレス成形することにより、同一組成の圧粉体B1〜B8を作製した。
(b) このプレス成形により得た圧粉体B1〜B8の内の圧粉体B1〜B6を焼結するにあたり、表6に示す条件の焼結プロセスで焼結し、研削にて、CNMG120408に規定されるインサート形状に加工することによって、表7に示す本発明のWC基超硬合金基体B1〜B6を製造した。
(c) その後、本発明のWC基超硬合金基体B1〜B6に対して、表4に示される5層からなる硬質被覆層を化学蒸着により被覆形成することにより、本発明の被覆超硬工具B1〜B6を作製した。
比較のため、前記(a)で作製した圧粉体B7、B8を、表6に示す条件の焼結プロセスで焼結し、研削にて、CNMG120408に規定されるインサート形状に加工することによって、表7に示す比較例のWC基超硬合金基体B7、B8を製造し、さらに、表4に示される5層からなる硬質被覆層を化学蒸着により被覆形成することにより、比較例の被覆超硬工具B7、B8を作製した。
上記本発明の超硬工具基体B1〜B6および比較例の超硬工具基体B7、B8のそれぞれについて、実施例1と同様な方法で、第二硬質相の表面部および内部における各成分の含有量(原子%)を求め、また、第二硬質相の平均粒径(μm)を求めた。
さらに、上記の各超硬工具基体の基体内部に向かって5〜50μmの深さ領域におけるCoの含有量(原子%)と基体内部(基体表面から基体内部に向かって少なくとも100μmを超える深さ領域)におけるCoの含有量(原子%)を、EDS(エネルギー分散型X線分析法)によって測定し、Co富化率=(5〜50μmの深さ領域におけるCoの含有量)/(基体内部におけるCoの含有量)の値を求めた。
表7に、これらの値を示す。
つぎに、上記本発明の被覆超硬工具B1〜B6および比較例の被覆超硬工具B7、B8について、いずれも工具鋼製バイトの先端部に固定治具にてネジ止めした状態で、
被削材:JIS・S45Cの丸棒、
切削速度:300 m/min.、
切り込み:2.0 mm、
送り:0.5 mm/rev.、
切削時間:20 分、
の条件(切削条件1という)での炭素鋼の高速湿式切削加工試験を行い、
逃げ面摩耗量を測定した。
表8に、その結果を示す。
また、上記本発明の被覆超硬工具B1〜B6および比較例の被覆超硬工具B7、B8について、いずれも工具鋼製バイトの先端部に固定治具にてネジ止めした状態で、
被削材:JIS・SNCM439からなる幅:150mmのブロック材、
切削速度:130 m/min.、
切り込み:1.5 mm、
送り:0.2 mm/rev.、
切削時間:4 分
の条件(切削条件2という)で各々の被覆工具10個について乾式切削加工試験を行い、
欠損発生率(欠損発生チップ/試験チップ数)を測定した。
表8に、その結果を示す。



表8の結果から、第二硬質相表面部のW含有割合(原子%)が、第二硬質相内部のW含有割合(原子%)の1.5〜4倍であり、さらに、基体表面から基体内部に向かって5〜50μmの深さ領域にCo富化領域が形成された本発明の被覆超硬工具B1〜B6は、比較例の被覆超硬工具B7、B8に比して、耐欠損性、耐摩耗性にすぐれることが分かる。
本発明の表面被覆WC基超硬合金製切削工具は、高速切削加工ばかりでなく、切刃に衝撃的負荷が作用する断続切削加工においても、すぐれた耐欠損性を示し、長期間の使用にわたってすぐれた切削性能を発揮することから、切削加工の省エネ化、低コスト化に十分満足に対応できるものである。




Claims (3)

  1. Coを5〜10質量%、Ti、Zr、NbおよびTaのうちから選ばれる少なくとも1種の炭化物、窒化物および炭窒化物のうち少なくとも1種を5〜30質量%含有し、残部はWCと不可避不純物からなるWC基超硬合金を基体とし、該基体表面に硬質被覆層を被覆形成した表面被覆WC基超硬合金製切削工具において、
    (a)上記WC基超硬合金は、WCからなる第一硬質相と、WCとTi、Zr、NbおよびTaのうちから選ばれる少なくとも1種の炭化物、窒化物および炭窒化物の相互固溶体からなる第二硬質相と、さらに、Coからなる結合相を含有する焼結組織を有し、
    (b)上記基体表面から基体内部に向かって少なくとも100μmまでの深さ領域に存在する第二硬質相の平均粒径は2〜15μmであり、
    (c)上記基体表面から基体内部に向かって少なくとも100μmまでの深さ領域に存在する第二硬質相について、オージェ分析によりW含有割合(原子%)を求めた場合、該硬質相の表面から50〜100nmにおける第二硬質相表面部のW含有割合(原子%)は、該硬質相の表面から500nmを超えた内部における第二硬質相内部のW含有割合(原子%)の1.5〜4倍であることを特徴とする表面被覆WC基超硬合金製切削工具。
  2. 上記基体表面から基体内部に向かって5〜50μmの深さ領域におけるCoの平均含有割合が、基体内部のCoの平均含有割合より大であるCo富化領域が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の表面被覆WC基超硬合金製切削工具。
  3. 上記硬質被覆層は、Tiの炭化物層、窒化物層、炭窒化物層、炭酸化物層、炭窒酸化物層およびAl層のうちから選ばれる少なくとも1層であることを特徴とする請求項1または2に記載の表面被覆WC基超硬合金製切削工具。
























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