JP6052502B2 - 表面被覆超硬合金製切削工具 - Google Patents

表面被覆超硬合金製切削工具 Download PDF

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本発明は、炭化タングステン基超硬合金からなる工具基体が、優れた高温硬さ、耐熱性、耐塑性変形性、耐摩耗性を有することにより、例えば、ビード取り加工等のような切れ刃に対して変動する高負荷が不規則に作用する切削加工においても、工具の塑性変形を抑制し、切れ刃稜線の変形に起因する急激な摩耗進行が生じることもなく、長期の使用にわたって優れた耐摩耗性を発揮する表面被覆超硬合金製切削工具(以下、「被覆超硬工具」という)に関するものである。
従来、鋼や鋳鉄の切削工具としては、超硬合金製工具基体に硬質被覆層を被覆形成した被覆工具が広く用いられており、被覆超硬工具の高性能化、長寿命化を図るために、数々の提案がなされている。
例えば、特許文献1に示されるように、工具基体となる超硬合金の焼結後の冷却時、或いは、焼結終了後に、所定圧力、かつ、所定の雰囲気(浸炭性、窒化性、酸化性雰囲気)中で、1500〜1270℃の範囲内の温度から1250℃以下の温度までを、10〜50℃/minの冷却速度で急冷する熱処理を施すことにより、超硬合金基体の表面部に、β−固溶体を主体とし、かつ表面平滑な硬質表面層を形成し、これによって、硬質被覆層の密着強度を高めるとともに耐摩耗性の向上を図った被覆超硬工具が提案されている。
特許2600359号公報
近年の切削加工装置の高性能化はめざましく、一方で切削加工に対する省力化および省エネ化、さらに低コスト化の要求は強く、これに伴い、切削加工はますます高速化するとともに、切削時の工具への熱的・機械的負荷も益々増加する傾向にある。
上記の従来被覆超硬工具では、これを、鋼や鋳鉄などの通常の条件での連続切削や断続切削に用いた場合には問題はないが、例えば、ビード取り加工等のような切れ刃に対して変動する高負荷が不規則に作用する切削加工に用いた場合には、切刃部には大きな熱的・衝撃的負荷がかかるため、チッピング、欠損、偏摩耗等が発生しやすく、また、被削材の切削部位によって切削時の切削応力も大きく変動するため、切削応力が急激に高まったような場合には、切れ刃が塑性変形をおこし、そのため、早期に逃げ面摩耗が進行し、比較的短時間で使用寿命に至るのが現状である。
したがって、ビード取り加工等のような切れ刃に対して変動する高負荷が不規則に作用する切削加工に用いた場合でも、すぐれた硬さと耐熱性を有し、塑性変形を生じることなく長期の使用に亘ってすぐれた耐摩耗性を発揮する被覆超硬工具の開発が望まれている。
本発明者等は、上記の課題に応えるべく、すぐれた硬さと耐熱性を備え、高負荷による塑性変形の発生を抑制するとともに長期の使用に亘ってすぐれた耐摩耗性を発揮する被覆超硬工具について鋭意研究したところ、次のような知見を得たのである。
すなわち、上記従来の被覆超硬工具は、被覆超硬合金の硬質被覆層の剥離防止と耐摩耗性の改善を重視しているが、ビード取り加工等のような切れ刃に対して変動する衝撃的高負荷が不規則に作用する厳しい切削条件で用いられる被覆超硬工具では、硬質被覆層の特性に加えて、超硬合金からなる工具基体自体の特性を改善することが望まれる。
本発明者らは、工具基体自体の特性改善について研究したところ、超硬合金からなる工具基体を焼結によって作製するにあたり、通常の焼結工程に先立って、特定の酸素担持処理を施しておくことにより、工具基体の表面或いは表面近傍において、超硬合金の結合相中へのW固溶量を増加することができ、これによって、結合相の固溶強化が図られることにより、被覆超硬工具の硬さの低下を招くことなく耐塑性変形性を高められることを見出したのである。
本発明は、上記知見に基づいてなされたものであって、
「(1) 硬質相成分としてWCを含有し、結合相形成成分としてCoを5〜15質量%含有するWC基超硬合金からなる工具基体表面に、硬質被覆層を蒸着形成した表面被覆超硬合金製切削工具であって、
上記工具基体の表面から5μm〜200μmの深さ領域における結合相中に固溶する平均固溶W量をC、200μmを超える深さの内部領域における結合相中に固溶する平均固溶W量をCW0とし、また、上記工具基体の表面から5μm〜200μmの深さ領域における平均炭素量をC、200μmを超える深さの内部領域における平均炭素量をCC0としたときに、
質量%で表したC、CW0、CおよびCC0がそれぞれ、
/CW0≧1.03、
/CC0≦0.97 、
の関係を満足する固溶W濃度分布、炭素濃度分布を示すことを特徴とする表面被覆超硬合金製切削工具。
(2) WC基超硬合金の硬質相成分として、Ti、Zr、Ta、Nbの内から選ばれる1種または2種以上の炭化物、窒化物および炭窒化物をさらに含有することを特徴とする前記(1)に記載の表面被覆超硬合金製切削工具。
(3) 硬質被覆層がTiの炭化物、窒化物、炭窒化物、炭酸化物、炭窒酸化物のうちの1種または2種以上からなるTi化合物層、または、Al層の単層、または、上記Ti化合物層とAl層との複層からなることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の表面被覆超硬合金製切削工具。」
を特徴とするものである。
本発明の構成について、以下に説明する。
本発明の被覆超硬工具の工具基体であるWC基超硬合金は、結合相形成成分として、少なくともCoを5〜15質量%含有する。
Co成分には、結合相を形成して基体の強度および靭性を向上させる作用があるが、WC基超硬合金中の平均Co含有量が5質量%未満では、靭性が不十分であり、一方、平均Co含有量が15質量%を越えると、塑性変形が起り易くなって、偏摩耗の進行が促進されるようになることから、WC基超硬合金中の平均Co含有量は5〜15質量%と定めた。
また、本発明の被覆超硬工具の工具基体であるWC基超硬合金は、硬質相成分の主体としてWCを含有する。
W成分は、基本的には、超硬合金中において、WCとしての硬質相を形成し、耐摩耗性向上に寄与するが、一部は、結合相形成成分であるCo中に固溶し、結合相を固溶強化し、耐塑性変形性を高める。また、耐熱衝撃性、耐熱亀裂性等を高める作用もあり、さらに、結合相の熱伝導性を高めることにより、耐熱塑性変形性を高める作用も有する。
本発明の被覆超硬工具は、結合相であるCoへのWの固溶量を従来よりもさらに増加させることによって、結合相のより一層の固溶強化を図り、これによって、ビード取り加工のような切れ刃に対して変動する高負荷が不規則に作用する切削加工においても、すぐれた耐塑性変形性と耐摩耗性を発揮する被覆超硬工具を得ることができる。
本発明の被覆超硬工具の工具基体であるWC基超硬合金は、硬質相としてWCの他に、Ti、Zr、Ta、Nbの内から選ばれる1種または2種以上の炭化物、窒化物および炭窒化物をさらに含有することができる。
上記硬質相成分の添加は、母材強度、高温硬度、耐摩耗性の向上に効果があるが、上記Ti、Zr、Ta、Nbの内から選ばれる1種または2種以上の炭化物、窒化物および炭窒化物を多量に含有した場合には、強度低下を招く恐れがあるので、これらの成分の合計含有量は5質量%以下とすることが望ましい。
本発明のWC基超硬合金からなる工具基体の耐塑性変形性を改善するために、工具基体の表面近傍、即ち、工具基体の表面から5μm〜200μmの深さ領域、より望ましくは、工具基体の表面から10μm〜100μmの深さ領域、における結合相中に固溶するWの量を、工具基体全体に含有されるWの平均含有量よりも高くする。
図1に示すように、工具基体の表面近傍、即ち、工具基体の表面から5μm〜200μmの深さ領域(より望ましくは、工具基体の表面から10μm〜100μmの深さ領域)、における結合相中に固溶するWの平均固溶量をCとし、工具基体の表面から200μmを超える深さの内部領域において結合相中に固溶するWの平均固溶量をCW0とした場合、Cの値がCW0の値の1.03倍以上となるような固溶Wの濃度分布を形成する(なお、C、CW0は何れも質量%である)。
ここで、Cの値がCW0の値の1.03倍未満である場合には、工具基体表面近傍における結合相の固溶強化が十分ではなく、耐塑性変形性向上の効果が少ない。
また、上記C/CW0≧1.03を満足する深さ領域についていえば、工具基体の表面から5μm未満の領域でC/CW0≧1.03である場合には、工具基体の耐塑性変形性を高めるという所望の効果を得ることができず、一方、工具基体の表面から200μmを超える深さ領域でC/CW0≧1.03である場合には、靭性と耐塑性変形性の双方の特性を高めることができなくなることから、固溶WのC/CW0≧1.03という濃度分布は、工具基体の表面から5μm〜200μmの深さ領域、より望ましくは、工具基体の表面から10μm〜100μmの深さ領域、で形成することが必要である。
上記の如くCの値がCW0の値の1.03倍以上となる固溶Wの濃度分布を実現するためには、例えば、WC基超硬合金を焼結で作製するにあたり、(本)焼結に先立って、特定の条件で固相焼成と酸素担持処理(何れについても後記する)を行うことによって、本発明で規定する固溶Wの濃度分布を形成することができる。
つまり、固相焼成、酸素担持処理後に焼結を行った場合、WC基超硬合金中の硬質相成分である各種炭化物(例えば、WC)からの脱炭(脱C)が生じ、その結果、結合相中へのWの固溶が促進され、工具基体表面近傍における結合相の量が増加することによって、Cの値がCW0の値の1.03倍以上となる固溶Wの濃度分布を形成することができる。
ところで、このような固溶Wの濃度分布が形成された場合、図1に示すように、工具基体表面近傍(即ち、工具基体の表面から5μm〜200μmの深さ領域、より望ましくは、工具基体の表面から10μm〜100μmの深さ領域)における炭素含有量(C含有量)をC、また、工具基体の表面から200μmを超える深さの内部領域における炭素含有量(C含有量)をCC0とした場合、C/CC0≦0.97を満足する炭素(C)濃度分布が形成される。
なお、仮に、C/CC0の値が0.97を超えるような場合には、工具基体表面近傍における脱炭(脱C)が不十分であるため、結合相中へのWの固溶の増加も十分ではなく、C/CW0≧1.03が満足される固溶Wの濃度分布が形成されないために、すぐれた耐塑性変形性を発揮することができない。
したがって、WC基超硬合金中の炭素含有量(C含有量)に着目した場合、工具基体表面近傍におけるC/CC0の値は0.97以下を満足する炭素(C)濃度分布を形成することが必要である。
本発明の被覆超硬工具は、例えば、以下の製造法により製造することができる。
(a)まず、いずれも平均粒径1〜3μmのWC粉末、Co粉末、および、Ti、Ta、Zr、Nbの内から選ばれる1種または2種以上の炭化物、窒化物および炭窒化物の粉末を用意し、所定の配合組成に配合し、ボールミル混合し、乾燥後、所定形状の圧粉体にプレス成形し、この成形体を、液相出現温度以下、例えば、1100℃まで5℃/minの昇温速度で昇温し、所定時間保持し、固相焼結の作用により、成形体内部に存在する空隙を徐々に分断し、気孔を塞ぐ(以下、「固相焼成」という)。
(b)次いで、加熱した成形体を一旦冷却し、例えば、200℃の酸化雰囲気中(例えば、全圧700Paで、Ar(5L/min)+O(1L/min))にて、1時間の処理を行い、成形体表面と表面直下の多硬質領域に酸素を担持させる(以下、「酸素担持処理」という)。
(c)次いで、上記の成形体に、WC基超硬合金の一般的な焼結を施すこと(例えば、真空中、1500℃での焼結)により、緻密な焼結体からなる本発明の工具基体を得る(以下、「本焼結」という)。
(d)次いで、上記焼結体からなる工具基体を、通常の成膜装置(化学蒸着装置、物理蒸着装置)に装入し、通常条件で、所定の硬質被覆層を蒸着形成することにより、本発明の被覆超硬工具、即ち、工具基体表面近傍に所定の固溶W濃度分布、炭素濃度分布が形成され、ビード取り加工のような切れ刃に対して変動する高負荷が不規則に作用する切削加工においても、すぐれた耐塑性変形性と耐摩耗性を発揮する被覆超硬工具を製造することができる。
上記の製造法において、工程(a)は固相焼成、(b)は酸素担持処理であり、また、工程(c)は焼結であるが、工程(b)において、固相焼成を行った成形体の表面近傍(成形体表面と表面直下の多硬質領域)に坦持されていた酸素が、工程(c)における焼結時の昇温とともに、超硬合金中の酸素と結合し、一酸化炭素ガスとして離脱し、その結果、焼結体の表面近傍では炭素量が低下し、その一方、結合相へのW固溶が促進され、表面近傍の固溶Wが増加する。
このようにして、本発明の超硬合金からなる工具基体においては、
/CW0≧1.03、
/CC0≦0.97、
という固溶W濃度分布、炭素濃度分布が、工具基体の表面近傍(工具基体の表面から5μm〜200μmの深さ領域(より望ましくは、工具基体の表面から10μm〜100μmの深さ領域))で形成され、該領域における結合相の固溶強化が図られ、耐塑性変形性が向上する。
なお、工具基体の表面近傍における平均固溶W量Cは、上記工程(b)における酸化雰囲気、酸素担持処理時間によって調整することができ、また、上記C/CW0≧1.03、C/CC0≦0.97という濃度分布が形成される領域の深さ(工具基体表面からの深さ方向の位置)は、上記工程(a)における処理温度、処理時間等によって調整することができる。
本発明では、工具基体表面に、例えば、Ti化合物層の単層、または、Al層の単層、または、Ti化合物層とAl層との複層等からなる硬質被覆層を、例えば、3〜20μmの平均層厚で蒸着形成することができる。
なお、Ti化合物層とは、当業者に広く知られているように、Tiの炭化物、窒化物、炭窒化物、炭酸化物、炭窒酸化物のうちの1層または2層以上からなる層をいう。
また、硬質被覆層の平均層厚が3μm未満では、長期の使用にわたって、耐摩耗性を発揮することができず、一方、その平均層厚が20μmを超えると、変動する高負荷が切れ刃に不規則に作用する切削条件では、チッピング、欠損を発生しやすくなるので、硬質被覆層の平均層厚は3〜20μmとすることが望ましい。
本発明の表面被覆超硬合金製切削工具によれば、WC基超硬合金からなる工具基体の表面近傍の結合相中に固溶する平均固溶W量Cと、内部領域の結合相中に固溶する平均固溶W量CW0が、
/CW0≧1.03、
の関係を満足する固溶W濃度分布を示し、
さらに、工具基体の表面近傍の平均炭素量Cと、内部領域の平均炭素量をCC0が、
/CC0≦0.97、
の関係を満足する炭素濃度分布を示すことから、
工具基体表面近傍における結合相の固溶強化が図られ、その結果、切れ刃に変動する衝撃的な高負荷が不規則に作用するビード取り加工等の切削加工において、塑性変形を発生することもなく長期の使用にわたってすぐれた耐摩耗性を発揮することができる。
本発明の表面被覆超硬合金製切削工具の工具基体(超硬合金)の表面近傍の固溶W濃度分布、炭素濃度分布を示す概略模式図である。
次に、本発明の表面被覆超硬合金製切削工具(被覆超硬工具)について、実施例により具体的に説明する。
原料粉末として、いずれも1〜3μmの平均粒径を有するWC粉末、TiC粉末、TiN粉末、TaC粉末、ZrC粉末、NbC粉末およびCo粉末を、表1に示す割合に配合し、さらにワックスを加えてアセトン中で24時間ボールミル混合し、減圧乾燥した後、98MPaの圧力で所定形状の圧粉体にプレス成形した。
このプレス成形により得た圧粉体を、表2に示す条件で固相焼成を行った後、さらに、同じく表2に示す条件で酸素担持処理を行った後、同じく表2に示す条件で焼結することにより、本発明の焼結体を製造した。
次いで、上記本発明の焼結体に、R:0.07mmのホーニング加工を施すことにより、ISO・SEEN1203AFEN1に規定される形状の本発明工具基体1〜10を製造した。
さらに、上記本発明工具基体1〜10の表面に、表4に示す各種の硬質被覆層を形成し、表5に示す本発明被覆超硬工具1〜10(以下、実施例1〜10という)を製造した。
実施例1〜10の被覆超硬工具の縦断面について、エネルギー分散型X線分析装置を用いて、工具基体の表面から5μm〜200μmの深さ領域における結合相中の平均固溶W量Cと、工具基体の表面から200μmを超える深さの内部領域における結合相中の平均固溶W量CW0を測定により求めた。
また、同様にして、工具基体の表面から5μm〜200μmの深さ領域における平均炭素量Cと、工具基体の表面から200μmを超える深さの内部領域における平均炭素量CC0を測定により求めた。
なお、参考のため、工具基体の表面から10μm〜100μmの深さ領域における結合相中の平均固溶W量および平均炭素量についても測定により求めた。
これらの結果を、表5に示す。
比較のため、表1に示す割合に配合した原料粉末に、ワックスを加えてアセトン中で24時間ボールミル混合し、減圧乾燥した後、98MPaの圧力で所定形状の圧粉体にプレス成形した。
次いで、この圧粉体を、表3に示す焼結条件で焼結することにより、比較例の焼結体を製造した。
なお、表3に示す焼結条件で焼結するに先立って、いくつかのものについては、同じく表3に示す条件で、固相焼成および/または酸素担持処理を行った。
上記比較例の焼結体に、R:0.07mmのホーニング加工を施すことにより、ISO・SEEN1203AFEN1に規定される形状の比較例工具基体1〜10を製造した。
さらに、上記比較例工具基体1〜10の表面に、表4に示す各種の硬質被覆層を形成し、表6に示す比較例被覆超硬工具1〜10(以下、比較例1〜10という)を製造した。
比較例1〜10の被覆超硬工具の縦断面について、実施例1〜10の場合と同様に、工具基体の表面から5μm〜200μmの深さ領域における結合相中の平均固溶W量Cと、工具基体の表面から200μmを超える深さの内部領域における結合相中の平均固溶W量CW0を測定により求めた。
また、同様にして、工具基体の表面から5μm〜200μmの深さ領域における平均炭素量Cと、工具基体の表面から200μmを超える深さの内部領域における平均炭素量CC0を測定により求めた。
なお、参考のため、工具基体の表面から10μm〜100μmの深さ領域における平均固溶W量および平均炭素量についても測定により求めた。
これらの結果を、表6に示す。






つぎに、上記の実施例1〜10および比較例1〜10について、いずれも工具鋼製バイトの先端部に固定治具にてネジ止めした状態で、次の切削条件A、Bにより、 切削加工試験を行った。
被削材と加工部位:外径4,300mm、内径3,900mm、厚み11mmのビード付低炭素鋼の厚み110mmのビード付面、
切削速度: 200 m/min、
切り込み: 2.2 mm、
送り: 0.4 mm/rev、
の条件(切削条件A)での外径湿式高速重切削試験、(通常の切削条件は、速度100m/min、切り込み1.1mm、送り0.2mm/rev)
被削材と加工部位:外径3,800mm、内径3,500mm、厚み300mmのビード付低炭素鋼製部品の外径−内径の幅300mmのビード付面、
切削速度: 240 m/min、
切り込み: 3 mm、
送り: 0.3 mm/rev、
の条件(切削条件B)での端面湿式高速重切削試験、(通常の切削条件は、速度140m/min、切り込み1.5mm、送り0.3mm/rev)
上記いずれの切削試験でも加工パス数をカウントした。(但し、加工する面を1回切削することを1パスとした。)
加工パス数のカウントは、切れ刃逃げ面の摩耗量が基準摩耗量である1mmに達した時点における、加工パス数を基本とするが、加工の途中で切れ刃の欠損が生じた場合、切り屑を分断できなくなる切り屑処理不良状態となった場合には、その時点で、終了している加工パス数をカウントした。なお、加工途中については、加工パス数としてカウントしていない。
表7に、試験結果を示した。

表7に示されるように、本発明の表面被覆超硬合金製切削工具は、工具基体の表面近傍の結合相中に固溶する平均固溶W量は内部のそれより高くなっていることから、結合相の固溶強化が図られ、その結果、切れ刃に対して変動する衝撃的高負荷が不規則に作用する厳しい切削条件においても塑性変形を発生することなく、すぐれた耐摩耗性を発揮することができた。
これに対して、比較例については、切れ刃が塑性変形をおこし、また、チッピング、欠損、偏摩耗等の異常損傷を発生し、短時間で使用寿命に至った。
以上のことから、本発明の表面被覆超硬合金製切削工具は、すぐれた耐塑性変形性および耐摩耗性を備えることが分かる。
本発明の表面被覆超硬合金製切削工具は、ビード取り加工等のような切れ刃に対して変動する高負荷が不規則に作用する切削加工に用いた場合、長期間の使用にわたってすぐれた切削性能を維持することができ、工具寿命の延命化も図られた。さらに、本発明の表面被覆超硬合金製切削工具は、耐塑性変形性、耐摩耗性にすぐれるばかりでなく、耐熱衝撃性、耐熱亀裂性、耐チッピング性、耐欠損性にもすぐれることから、これらの工具特性が求められる各種被削材の切削工具として用いることが可能であり、切削加工の省エネ化、低コスト化に十分満足に対応できるものである。





Claims (3)

  1. 硬質相成分としてWCを含有し、結合相形成成分としてCoを5〜15質量%含有するWC基超硬合金からなる工具基体表面に、硬質被覆層を蒸着形成した表面被覆超硬合金製切削工具であって、
    上記工具基体の表面から5μm〜200μmの深さ領域における結合相中に固溶する平均固溶W量をC、200μmを超える深さの内部領域における結合相中に固溶する平均固溶W量をCW0とし、また、上記工具基体の表面から5μm〜200μmの深さ領域における平均炭素量をC、200μmを超える深さの内部領域における平均炭素量をCC0としたときに、
    質量%で表したC、CW0、CおよびCC0がそれぞれ、
    /CW0≧1.03、
    /CC0≦0.97、
    の関係を満足する固溶W濃度分布、炭素濃度分布を示すことを特徴とする表面被覆超硬合金製切削工具。
  2. WC基超硬合金の硬質相成分として、Ti、Zr、Ta、Nbの内から選ばれる1種または2種以上の炭化物、窒化物および炭窒化物をさらに含有することを特徴とする請求項1に記載の表面被覆超硬合金製切削工具。
  3. 硬質被覆層がTiの炭化物、窒化物、炭窒化物、炭酸化物、炭窒酸化物のうちの1種または2種以上からなるTi化合物層、または、Al層の単層、または、上記Ti化合物層とAl層との複層からなることを特徴とする請求項1または2に記載の表面被覆超硬合金製切削工具。





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