JP2000234136A - 超硬合金および被覆超硬合金とその製造方法 - Google Patents
超硬合金および被覆超硬合金とその製造方法Info
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Abstract
よび衝撃強度に優れる超硬合金および被覆超硬合金とそ
の製造方法とを提供する。 【解決手段】 周期律表IVa,Va,VIa族元素の炭化物
(WCを除く)、窒化物および炭窒化物から選択された
少なくとも1種およびWCを主体とする硬質相がCoを
含む鉄族金属の結合相中に分散された超硬合金におい
て、Coの結晶構造が次式を満たす。 0≦I(Co・hcp)/I(Co・fcc)≦0.1 ここで、I(Co・hcp)はhcp 構造のCoの(101) 面におけ
るX線回折強度で、I(Co・fcc)はfcc 構造のCoの(11
1) 面におけるX線回折強度である。この超硬合金は所
定の原料を焼結して一旦冷却した後、焼結体を液相出現
直下の温度まで加熱し、液体中に浸漬して急冷すること
により得られる。
Description
撃強度を向上できる超硬合金および被覆超硬合金とその
製造方法に関するものである。
とは相反関係にあり、両者を両立させることは難しい。
この点を改善する技術として、特公平5-20492 号公
報,特開昭58-39764号公報,特公昭61-4899 号公報
記載のものが知られている。これらは主に焼結温度から
の冷却速度を特定することにより靱性と強度の両立を図
っている。
の技術でも衝撃強度や靱性と剛性・硬度との両立は十分
とはいえず、衝撃強度不足による破損や靱性不足による
亀裂の発生、剛性・硬度不足による塑性変形に対応でき
る材料が要望されていた。また、1400℃程度の焼結
温度からの急冷では熱衝撃が大き過ぎ、超硬合金に割れ
が発生する可能性が強い。さらに、焼結温度から急冷し
た場合、その急冷効果を維持するには、後にHIP処理
を行うことができないという問題があった。
IVa,Va,VIa族元素の炭化物(WCを除く)、炭窒化
物、窒化物を添加することは良く知られた技術である。
これにより、超硬合金の耐摩耗性は向上したが、この合
金をフライス切削に用いたときには、加熱冷却の繰り返
しにより生じた熱亀裂が発生し易くなり、耐熱亀裂性の
低下が問題となっていた。
特に耐熱亀裂性および衝撃強度とを両立できる超硬合金
および被覆超硬合金とその製造方法を提供することにあ
る。
oの結晶構造および固溶量を制御することにより上記の
目的を達成する。すなわち、本発明超硬合金は、周期律
表IVa,Va,VIa族元素の炭化物(WCを除く)、窒化物
および炭窒化物から選択された少なくとも1種およびW
Cを主体とする硬質相と、Coを含む鉄族金属の結合相
とからなる超硬合金において、前記Coの結晶構造が次
式を満たすことを特徴とする。 0≦I(Co・hcp)/I(Co・fcc)≦0.1 ただし、I(Co・hcp)はhcp 構造のCoの(101) 面におけ
るX線回折強度で、I(Co・fcc)はfcc 構造のCoの(11
1) 面におけるX線回折強度である。
ましい範囲は0.01〜0.10であり、特に好ましい
範囲は0.05〜0.10である。さらにCoの格子定
数が3.570Å以上であることが好ましい。なお、結
合相量は5〜20wt%程度が好適である。
えると、脆弱なhcp 構造のCoが増えて靱性が不足す
る。そのため、このような超硬合金をフライス切削用工
具に用いた場合、亀裂が発生しやすく、工具寿命が短く
なってしまう。また、本発明超硬合金はIVa,Va,VIa族
元素の炭化物(WCを除く)、窒化物および炭窒化物か
ら選択された少なくとも1種を含むため、「I(Co・hcp)
/I(Co・fcc)」の値を0.01よりも小さい値になるま
で急冷すると冷却時に割れが生じやすく、より好ましい
値は0.005〜0.10である。さらに、格子定数が
3.570Å未満であるとCo中へのWの固溶量が少な
いことを意味し、やはり靱性不足となりやすい。
に脱β層を有すると耐初期亀裂性が向上するため好まし
い。ここで、脱β層とはCoを含む結合相とWCとから
なる層で、本発明の超硬合金を脱窒雰囲気で焼結するこ
とにより得られ、超硬合金内部よりもCo含有率が多い
層である。脱β層中のCo含有率は超硬合金内部よりも
多くなるため、急冷処理による前述の効果が得られ易く
なり好ましい。
の被覆膜をコーティングすることは、耐摩耗性を向上さ
せるために好ましい。コーティング層としてはIVa,V
a,VIa族元素、Alから選ばれた少なくとも一種類の炭
化物、窒化物、酸化物、硼化物、これらの固溶体あるい
はダイヤモンド、ダイヤモンドライクカーボン、立方晶
窒化硼素の少なくとも一層以上からなる被覆膜が好まし
い。
しては、公知の化学蒸着法や、物理蒸着法を用いること
ができる。その中でも、被覆温度を900℃以下に低く
できるコーティング方法が好ましい。コーティングを行
う超硬合金母材としては、コーティング膜がはがれた後
の耐摩耗性が必用な用途では、硬質相にIVa,Va,VIa族
元素の炭化物、炭窒化物、窒化物が含まれていることが
好ましい。ただし、超硬合金母材の耐熱亀裂性、耐衝撃
性が特に要求される用途では、硬質相がWCのみで構成
されている超硬合金母材が好ましい。
a,Va,VIa族元素の炭化物(WCを除く)、窒化物およ
び炭窒化物から選択された少なくとも1種およびWCを
主体とする硬質相とCoを含む鉄族金属の結合相とを焼
結して冷却する工程と、この冷却後に焼結体を液相出現
直下の温度まで加熱し、液体中に浸漬して急冷する工程
とを含むことを特徴とする。
300℃程度が好適である。また、急冷速度は1000
℃/min以上とすることが望ましい。急冷する際に焼
結体を浸漬する液体は特に限定されない。例えば、水や
油が挙げられる。なお、硬質相と結合相とを焼結した後
に必要に応じてHIP処理を行ってもよい。
造される。 原料粉末の混合→プレス→(中間焼結)→(成形)→焼
結→(HIP)→検査 すなわち、混合した原料をプレスし、1400℃程度で
焼結を行うか、混合した原料をブロック状にプレスし、
700℃程度で中間焼結後、中間焼結体を所定の工具形
状に成形して1400℃程度で焼結を行う。さらに焼結
体中の空隙を減少させるため、焼結の後にHIP(例え
ば1340℃程度)を行うこともある。
度から冷却する際の速度に着目している。本発明では焼
結温度からの冷却は特に規定せず、一旦冷却された後に
再度加熱してから急冷することを特徴とする。
度域(413℃前後)をごく短時間で通過することによ
り、(1) 高温で安定相であるfcc 構造からhcp 構造へ相
変態させることなく固化する、(2) 急冷直前にCoへ固
溶しているIVa,Va,VIa族金属を冷却中に析出させるこ
となく固化する、ことに有効である。
るのは、Co中にIVa,Va,VIa族元素を多量に固溶で
き、かつfcc →hcp の変態温度に最も近い温度条件だか
らである。1400℃程度の焼結温度近辺の温度からの
急冷では熱衝撃が大きく、割れが発生する場合がある。
具体的な再加熱温度は1200〜1300℃程度、特に
1220〜1280℃程度が好適である。
の冷却を急冷としており、冷却後にHIPを行なうと急
冷効果が失われるため、焼結に引き続いてHIPを行う
ことが難しい。しかし、本発明では後に再加熱してから
急冷するため、焼結と再加熱との間にHIPを行ってよ
り緻密な超硬合金を得ることもできる。
する。市販のWC粉末(平均粒径6.5μmと3μm)
とTiC粉末(平均粒径1μm)、TaC粉末(平均粒
径2μm)、TiCN粉末(平均粒径1μm)、NbC粉
末(平均粒径1μm)、Cr3C2(平均粒径2μm)と
Co粉末(平均粒径1.2μm)を表1に示す組成(A
〜E)に配合し、アトライターで湿式混合した後、乾燥
した粉末を作製した。
1380℃〜1400℃にて60分間焼結してから除冷
した超硬合金試験片を作製した。これらの試験片のう
ち、いくつかはさらにHIP処理(1340℃,1t/
cm2,Arガス雰囲気)を施した。焼結またはHIP処
理を施して冷却された試験片は、予め1250℃に加熱
した電気炉内に10分間保持した後、炉から取り出して
直ちに(30秒以内)に水中に浸漬して、1000℃/
min以上の急冷速度で急冷処理が施された。なお、上
記急冷処理を行わなかったものと、従来のガス冷却を施
したものとを比較例とした。ガス冷却は窒素ガス導入に
より冷却を行うもので、冷却速度はせいぜい500℃/
minである。
折によりCoの結晶構造(I(Co・hcp)/I(Co・fcc)),
格子定数,衝撃強度,硬度,抗折力の分析・測定を行っ
た。その結果を表2に示す。
・抗折力に関しては比較例と同等であるが、衝撃強度は
著しく向上し、抗折力についても少し向上していること
がわかる。これは、結合相のCoの結晶構造が延性に富
むfcc 構造となり、Co中に多量にTi,Ta,Nb,
CrなどのIVa,Va,VIa族元素が固溶し、その結果格子
定数が大きくなり強化されたためであると思われる。中
でもCr3C2を添加した組成(C)と(E)の合金で
の衝撃強度の向上効果が大きいことが判る。各実施例の
冷却速度は、1250℃からほぼ常温まで冷却するのに
せいぜい10秒程度であったため、120℃/sec程
度と推定される。
劣っている。すなわち、急冷処理を行わなかった比較例
1〜7は全て衝撃強度,格子定数共に低い。また、窒素
ガス導入によるガス冷却を行った比較例8,9は500
℃/min程度の冷却を行ったにもかかわらず、実施例
に匹敵する衝撃強度は得られなかった。
油とした場合でも同様の結果が得られた。
てスローアウェイチップを成形し、その後、1380℃
〜1400℃にて60分間焼結して焼結体を作製した。
得られた焼結体を実施例1と同様に急冷処理を行った。
急冷処理を行ったチップと同様、比較として急冷処理を
行わないチップも作製し、超硬チップ表面に膜厚4μm
の被覆膜をコーティングした。コーティングはそれぞれ
CVD法、PVD法によって施した。
削を行い、刃先の耐熱亀裂性を比較した。その切削条件
を表3に示す。なお、切削においては母材の熱亀裂によ
る損傷を加速するため高速での湿式フライス切削とし
た。切削材を600mm切削した結果を表4に示す。
し、その熱亀裂の深さを測定した。熱亀裂の深さ、逃げ
面側の亀裂長さ、熱亀裂本数を見ると、本発明超硬チッ
プが優れた耐熱亀裂性を有していることが判る。さら
に、脱β層(約10μm)を有している試料(E)の耐熱
亀裂性が優れていることが判る。また、コーティングは
被膜温度が500℃と比較的低温であるPVD法を用い
て被覆した方が急冷処理の効果がより残留するため、切
削における耐熱亀裂性により有効であると考えられる。
は、熱亀裂は見られるものの熱亀裂からの膜剥離は見ら
れなかった。これに対して、急冷を行わなかった超硬合
金をコーティング母材としたチップは熱亀裂から膜剥離
が見られ、さらには母材の欠損が見られた。
衝撃強度と抗折力において優れた特性を示す。従って、
熱亀裂が主要な寿命決定要因と考えられる切削分野で耐
熱亀裂性が大幅に改善され、工具寿命を延長することが
できる。また、脱β層を有する母材、さらにはコーティ
ング処理、特に被覆温度が低いPVD法を併用すること
により、熱亀裂が発生し易い切削において耐熱亀裂性な
どの切削性能をさらに向上することができる。そして、
本発明方法は本発明超硬合金を製造するのに最適な方法
である。
Claims (8)
- 【請求項1】 周期律表IVa,Va,VIa族元素の炭化物
(WCを除く)、窒化物および炭窒化物から選択された
少なくとも1種およびWCを主体とする硬質相と、Co
を含む鉄族金属の結合相とからなる超硬合金において、 前記Coの結晶構造が次式を満たすことを特徴とする超
硬合金。 0≦I(Co・hcp)/I(Co・fcc)≦0.1 ここで、I(Co・hcp)はhcp 構造のCoの(101) 面におけ
るX線回折強度で、I(Co・fcc)はfcc 構造のCoの(11
1) 面におけるX線回折強度である。 - 【請求項2】 Coの格子定数が3.570Å以上であ
ることを特徴とする請求項1記載の超硬合金。 - 【請求項3】 超硬合金表面部の少なくとも一部に、脱
β層を有することを特徴とする請求項1記載の超硬合
金。 - 【請求項4】 超硬合金表面にさらに膜厚0.1〜30μmの
被覆膜をコーティングしたことを特徴とする請求項1記
載の超硬合金。 - 【請求項5】 超硬合金中の硬質相をWCのみに置換し
たことを特徴とする請求項4記載の超硬合金。 - 【請求項6】 周期律表IVa,Va,VIa族元素の炭化物
(WCを除く)、窒化物および炭窒化物から選択された
少なくとも1種およびWCを主体とする硬質相とCoを
含む鉄族金属の結合相とを焼結して冷却する工程と、 この冷却後に焼結体を液相出現直下の温度まで加熱し、
液体中に浸漬して急冷する工程とを含むことを特徴とす
る超硬合金の製造方法。 - 【請求項7】 液相出現直下の温度が1200〜130
0℃であることを特徴とする請求項6記載の超硬合金の
製造方法。 - 【請求項8】 急冷速度が1000℃/min以上であ
ることを特徴とする請求項6記載の超硬合金の製造方
法。
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JP03128299A JP4731645B2 (ja) | 1999-02-09 | 1999-02-09 | 超硬合金および被覆超硬合金とその製造方法 |
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- 1999-02-09 JP JP03128299A patent/JP4731645B2/ja not_active Expired - Fee Related
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