JP5004145B2 - サーメットおよび被覆サーメット並びにそれらの製造方法 - Google Patents

サーメットおよび被覆サーメット並びにそれらの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、鋼、鋳鉄、耐熱合金、非鉄合金などの各種被削材の切削加工に最適なサーメットおよび被覆サーメット並びにそれらの製造方法に関するものである。
耐摩耗性に優れるサーメットとして表層部の硬さを高くすることで耐摩耗性を向上させたサーメットがある(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、従来の製造方法では表層部の硬さを向上させるために表層部の硬質相粒子を粗大化させ、また、焼き肌面の表面粗さが大きくなり、サーメットを用いた切削加工の特徴である表面粗さの小さい仕上げ面を得られにくくなるという問題がある。
耐摩耗性が高く被削材仕上げ面粗さの小さいサーメット製切削工具は金属材料などの仕上げ加工に多く使用されている。サーメットの従来技術として、サーメットの表層部における硬質相粒子の平均結晶粒径が内部の平均結晶粒径よりも大きいことを特徴としたサーメットがある(例えば、特許文献2参照。)。このサーメットはおもに耐摩耗性の向上を目指したものであるが耐欠損性が低下するという問題とともに、表面部の硬質相粒子が粗粒であるためサーメットの表面粗さが大きくなり被削材の仕上げ面粗さが大きくなるという問題がある。
被削材仕上げ面粗さを小さくする方法の一つとしてサーメット製切削工具の表面を研削または研磨により平滑にする方法が挙げられる。しかし研削または研磨はコスト高であるためサーメットの焼き肌面の状態のまま用いられる場合がある。焼き肌面における硬質相の平均粒径に注目した表面調質焼結合金としては、焼結合金の焼肌面から0.05mm内部までの表面層における硬質相の平均粒度が表面層を除いた焼結合金の内部における硬質相の平均粒度の0.8〜1.2倍であることを特徴とする表面調質焼結合金がある(例えば、特許文献3参照。)。この表面調質焼結合金は強度および耐塑性変形性の問題を解決したものであるが、近年の被削材仕上げ面粗さ向上の要求には応えられなくなってきた。
特開平2−93036号公報 特開平5−140691号公報 特開平1−287246号公報
近年、高精度な機械部品を高能率かつ高精度に加工する要求が増加している。そのためサーメット製切削工具は従来以上に耐摩耗性、耐欠損性および被削材仕上げ面品位を向上させる必要があった。本発明はこのような要求に対してなされたものであり、耐摩耗性および耐欠損性に優れるとともに被削材仕上げ面粗さの小さいサーメットおよび被覆サーメット並びにそれらの製造方法の提供を目的とする。
本発明は、鋼、鋳鉄、耐熱合金、非鉄合金などの各種被削材の切削加工に最適なサーメットを得ることを目的に研究したところ、サーメットの焼き肌面を平滑にしつつ、焼き肌面近傍の硬質相粒子を粗大化させず、焼き肌面近傍の硬さを高くすると、耐摩耗性、耐欠損性に優れるとともに、被削材仕上げ面粗さが小さくなるという知見を得て本発明を完成するに至ったものである。
すなわち本発明サーメットは、硬質相:70〜97重量%と、結合相:残部とからなり焼き肌面を有するサーメットであって、焼き肌面から0.3〜2μmまでの深さの結合相からなる結合相層と、結合相層に接して結合相層との界面から30〜200μmまでの深さに亘り内部より結合相が減少した結合相減少領域とを備え、結合相層と結合相減少領域との界面から深さ方向に30μmまでの間にビッカース硬度HV1800以上の部分が存在し、結合相減少領域における硬質相の平均粒径は内部における硬質相の平均粒径の1.0〜1.1倍であるサーメットである。
本発明サーメットは、硬質相:70〜97重量%と、結合相:残部とからなるサーメットであり、具体的には、周期律表4a、5a、6a族元素の炭化物、窒化物、炭窒化物およびこれらの相互固溶体の中から選ばれた少なくとも1種からなる硬質相:70〜97重量%と、鉄族金属の中から選ばれた少なくとも1種を主成分とする結合相:残部とからなる。硬質相量が70重量%未満であると耐摩耗性が低下し、硬質相量が97重量%を超えると相対的に残部の結合相量が減少するため、耐欠損性が低下すると共に焼結性が低下する。そこで硬質相:70〜97重量%、結合相:残部とした。その中でも鋳鉄および焼結金属などの難削材加工においては、硬質相:91〜97重量%と、結合相:残部とからなるサーメットが好ましい。
本発明サーメットの硬質相は、炭窒化チタンからなる芯部と、チタン以外の周期律表4a、5a、6a族元素の中から選ばれた少なくとも1種とチタンとの複合炭窒化物固溶体からなる周辺部とで構成されると耐摩耗性に優れるとともに被削材仕上げ面粗さが小さく、仕上げ面が美麗になるため好ましい。このときの硬質相の形態としては、芯部を周辺部が取り囲む有芯構造、芯部のみからなる芯部単一相、周辺部のみからなる周辺部単一相などがある。芯部を形成する炭窒化チタンとして具体的には、Ti(C,N)を挙げることができる。周辺部を形成するチタン以外の周期律表4a、5a、6a族元素の中から選ばれた少なくとも1種とチタンとの複合炭窒化物固溶体として具体的には、(Ti,Mo)(C,N)、(Ti,Mo,W)(C,N)、(Ti,Nb,W,Mo)(C,N)などを挙げることができる。
本発明サーメットの結合相は鉄族金属の中から選ばれた少なくとも1種を主成分とする金属相である。ここで鉄族金属とはコバルト、鉄、ニッケルをいう。結合相を構成する鉄族金属には硬質相成分が固溶することがある。本発明において鉄族金属を主成分とする結合相とは鉄族金属または鉄族金属に周期律表4a、5a、6a族元素、炭素、窒素の中の少なくとも1種を0.1〜25重量%固溶した合金を示す。
本発明サーメットにおける焼き肌面とは、焼結後の表面状態、または焼結後に水や有機溶剤で洗浄及び乾燥した後の表面状態、もしくは焼結後にサンドブラスト処理、ウエットブラスト処理などで焼き肌面の付着物を取り除いた表面状態を代表的な面として挙げることができる。
本発明サーメットは結合相層と結合相減少領域との界面から深さ30μmまでの間に、HV1800以上の部分が存在するため耐摩耗性に優れる。実際には、硬質相と結合相からなる本発明サーメットはHV3200を超えることはなく、HV1800以上とはHV1800〜3200の範囲になる。その中でも、HV1850以上になるとさらに耐摩耗性が向上し、HV2000を超えると耐欠損性が低下する傾向を示すため、HV1850〜2000の範囲が好ましい。
本発明サーメットの焼き肌面の算術平均粗さRaは1.0μm以下であると仕上げ面粗さを小さくできるため好ましく、その中でも0.7μm以下がさらに好ましく、0.5μm以下がさらに好ましい。これは、サーメットの焼き肌面を平滑にすることで被削材の仕上げ面粗さを小さくするとともに、切削加工中にサーメットの凹凸部に局部的な応力集中が生じて、サーメットが欠損することを防止するためである。
本発明サーメットの焼き肌面において、結合相層との界面から30〜200μmの深さに亘り、サーメットの内部と比較して結合相量が減少した結合相減少領域を形成させた。結合相減少領域において硬質相の平均粒径は、内部と比較してほぼ均一であるため、結合相量が減少した結合相減少領域は硬さが高くなり耐摩耗性が高い。ここで結合相減少領域を深さ30μm未満とすると耐摩耗性が減少し、200μmを超えると強度が低下し耐欠損性が低下する。なお、結合相減少領域の深さは断面研磨組織を、結合相層と結合相減少領域との界面から、内部に向かって10μmづつEPMAで定量分析して求めることができる。
本発明サーメットでは、結合相減少領域における硬質相の平均粒径を内部における硬質相の平均粒径の1.0〜1.1倍とした。これは結合相減少領域における硬質相の平均粒径が1.0倍未満であると硬さが低下して耐摩耗性が低下し、1.1倍を超えるとサーメットの表面粗さが大きくなり被削材の仕上げ面粗さが大きくなるためである。
本発明サーメットの焼き肌面において結合相減少領域は、サーメットの内部から表面に向かって結合相量が漸減するとともに、結合相層と結合相減少領域との界面から深さ方向に20μmまでの範囲に含まれる結合相量はサーメットの内部に含まれる結合相量の0.50〜0.99倍であると好ましい。これは結合相減少領域の結合相量が内部の結合相量の0.99倍以下になると耐摩耗性は向上し、0.50倍未満になると結合相減少領域の靭性の低下が著しくサーメットの耐欠損性は低下する傾向を示すためである。その中でも0.50〜0.60倍がさらに好ましい。なお、結合相層と結合相減少領域との界面から深さ方向に20μmまでの範囲に含まれる結合相量は、断面研磨組織をEPMAによって定量分析することで得ることができる。
本発明サーメットの内部における硬質相の平均粒径を0.5〜5μmとすると好ましい。これは、硬質相の平均粒径が5μm以下であると耐摩耗性が向上する傾向を示し、硬質相の平均粒径が0.5μm未満であると強度が低下する傾向を示すためである。なお、硬質相の平均粒径は断面研磨組織を走査型電子顕微鏡にて5000倍で10視野観察した後、画像解析ソフトを用いて算出することができる。
本発明サーメットの内部における硬さはHV1500以上1800未満とすると好ましい。これは、サーメットの内部における硬さがHV1500以上であると耐摩耗性が向上し、HV1800以上である耐欠損性が低下する傾向を示すためである。
本発明サーメットは、焼き肌面に焼き肌面から内部に向かって平均厚さ0.3〜2μmの結合相からなる結合相層を形成させることによってさらに焼き肌面を平滑にさせることができる。ここで結合相層の平均厚さを0.3μm未満とすると焼き肌面において結合相が連続的にならないため切削加工後の被削材の仕上げ面粗さを均一にすることができず、逆に2.0μmを超えると結合相層に隣接した結合相減少領域の結合相量が著しく減少するため耐欠損性が低下するとともに軟質な結合相層が厚いため耐摩耗性が低下する。そこで結合相層の平均厚さを0.3〜2.0μmと定めた。結合相層の平均厚さは断面研磨組織を走査型電子顕微鏡にて5000倍で観察し10箇所以上測定して得ることができる。
本発明サーメットの表面に硬質膜を被覆すると耐摩耗性が向上するため好ましい。本発明被覆サーメットにおける硬質膜は、周期律表4a、5a、6a族元素、アルミニウム、シリコンの炭化物、窒化物、酸化物、ホウ化物およびこれらの相互固溶体並びに立方晶窒化ホウ素、ダイヤモンド、ダイヤモンドライクカーボンの中から選ばれた少なくとも1種からなり、具体的にはTiN、TiC、Ti(C,N)、(Ti,Al)N、Al23などを挙げることができる。これらの硬質膜は従来から行われている物理蒸着法や化学蒸着法によって本発明サーメットの表面に被覆することができる。
本発明サーメットおよび本発明被覆サーメットは耐摩耗性および耐欠損性が高いことを生かして切削工具として用いられると好ましく、その中でも鋳鉄加工用切削工具として用いられるとさらに好ましい。
本発明サーメットの製造方法は、(A)炭窒化チタン粉末:50〜75重量%と、炭窒化チタンを除く周期律表4a、5a、6a族元素の炭化物、窒化物、炭窒化物およびこれらの相互固溶体の中の少なくとも1種の粉末:20〜40重量%と、鉄族金属の中の少なくとも1種の粉末:3〜20重量%とからなり合計で100重量%となる混合物を準備する混合工程と、(B)得られた混合物を真空中にて1300〜1440℃の範囲の所定の温度まで昇温する第1昇温工程と、(C)次いで混合物を133〜6650Paの窒素雰囲気にて1300〜1440℃の範囲の所定の温度から1450〜1550℃の範囲の焼結温度まで昇温する第2昇温工程と、(D)次いで混合物を133〜6650Paの窒素雰囲気にて1450〜1550℃の範囲の焼結温度で所定の時間保持して焼結する焼結工程と、(E)次いで混合物を前工程より低い圧力である13.3〜133Paの不活性ガス雰囲気または真空中にて、焼結温度で1〜8分保持する第1保持工程と、(F)その後、混合物を不活性雰囲気にて1450〜1550℃の範囲の焼結温度から1200〜1330℃の範囲の所定の温度まで毎分20℃以上で冷却する第1冷却工程と、(G)次いで混合物を第1冷却工程より低い圧力の不活性ガス雰囲気または真空中にて1200〜1330℃の範囲の所定の温度で所定の時間保持する第2保持工程と、(H)次いで混合物を1200〜1330℃の範囲の所定の温度から常温に冷却する第2冷却工程とを含む。
本発明サーメットの製造方法の各工程は以下の効果を奏する。工程(A)では所定の配合組成の混合粉末を均一に混合させる。工程(B)では混合物を67Pa以下の真空中で昇温することで液相出現前および液相出現直後での脱ガスを促進させ焼結性を向上させる。工程(C)および工程(D)では窒素雰囲気によりサーメット表面からの脱窒を防ぎ、脱窒に伴う焼き肌面の平滑性の低下および焼き肌面近傍のTi(C,N)などの硬質相の減少を抑制する。工程(E)では焼結工程の後に炉内圧力を所定の時間低くすることで、硬質相粒子の粒成長を抑制してサーメット焼き肌面の平滑性を保持する。ここで焼結工程の後に8分を超える時間炉内圧力を低くした場合には焼き肌面近傍の硬質相粒子が粗大化し焼き肌面の平滑性を失わせる。また1分未満炉内圧力を低くすると焼き肌面近傍の硬さを増加させる効果は小さいため耐摩耗性を向上させる効果は小さい。炉内圧力を低くする所定の時間としては1〜8分が好ましく、その中でも2〜5分が好ましい。工程(F)では焼結温度から急激に液相の凝固点近辺まで冷却することで、硬質相粒子の移動および粒成長を抑制し平滑なサーメット焼き肌面を保持する。工程(G)では不活性ガス雰囲気の炉内圧力を工程(F)よりも下げて所定の時間保持することでサーメット焼き肌面の結合相層の厚さを均一化させる。さらに、本発明サーメットの製造方法で得られたサーメットの表面に従来からある物理蒸着法または化学蒸着法により硬質膜を被覆すると耐摩耗性に優れた本発明被覆サーメットを得ることができる。
具体的には、(A)炭窒化チタン粉末を50〜75重量%、炭窒化チタンを除く周期律表4a、5a、6a族元素の炭化物、窒化物、炭窒化物およびこれらの相互固溶体の中から選ばれた少なくとも1種の化合物の粉末を20〜40重量%、ニッケルおよび/またはコバルトの粉末を3〜20重量%からなり合計で100重量%となる混合粉末を得る混合工程、(B)混合粉末を室温から1300〜1440℃の範囲の所定の温度まで67Pa以下の真空中で昇温する第1昇温工程、(C)1300〜1440℃の範囲の所定の温度から1450〜1550℃の範囲の所定の焼結温度までサーメットからの脱窒を抑えるべく圧力133〜6650Paの窒素雰囲気で昇温を行う第2昇温工程、(D)1450〜1550℃の範囲の焼結温度でサーメットからの脱窒を抑えるべく圧力133〜6650Paの窒素雰囲気で0.5〜2時間保持して焼結する焼結工程、(E)焼結温度で焼き肌面近傍の硬さを高くするため、圧力13.3〜133PaのHe、Ne、Arなどの不活性ガス雰囲気中または真空中で1〜8分保持する第1保持工程、(F)1450〜1550℃の範囲の所定の温度から1200〜1330℃の範囲の所定の温度まで毎分20℃以上の冷却速度で圧力133〜300000PaのHe、Ne、Arなどの不活性ガス雰囲気で冷却する第1冷却工程、(G)1200〜1330℃の範囲の所定の温度で圧力13.3〜1330Paの不活性ガス雰囲気または13Pa以下の真空中で5〜30分保持する第2保持工程、(H)その後常温まで冷却する第2冷却工程、を経て本発明サーメットを作製することができる。
本発明サーメットは、被削材の仕上げ面粗さが小さく、耐摩耗性および耐欠損性に優れる。硬質膜を被覆した本発明被覆サーメットはさらに高い耐摩耗性を示す。本発明サーメットの製造方法または本発明被覆サーメットの製造方法により本発明サーメットまたは本発明被覆サーメットを製造することができる。
市販の平均粒径1〜1.5μmのTi(C,N)粉末(重量比でTiC/TiN=50/50)、WC、NbC、Mo2C、Ni、Coの各粉末を表1の割合になるように秤量し、ステンレス製ポットにアセトン溶媒と超硬合金製ボールと共に装入し、混合および強粉砕を行った。得られた混合粉末をJIS−B4120に記載のCNMG120408ブレーカ付き形状用金型でもって、圧力196MPaでプレス成形し、成形体を作製した。
成形体を焼結炉内に装入した後、室温から1350℃までを表2(b)に記載の圧力(Pa)まで真空引きして昇温し、1350℃から1500℃まで昇温を表2(c)に記載の圧力(Pa)の窒素雰囲気で行い、1500℃で表2(d)に記載の圧力(Pa)の窒素雰囲気で表2(d)に記載の時間(分)保持をして焼結し、その後、1500℃でAr雰囲気で表2(e)に記載の圧力で表2(e)に記載の時間保持し、1500℃から1300℃の温度まで13300PaのAr雰囲気で表2(f)に記載の冷却速度で冷却し、1300℃で表2(g)に記載の圧力(Pa)まで減圧して20分保持し、その後、窒素雰囲気にて室温まで冷却を行い、発明品1〜5および比較品1〜7を作製した。
Figure 0005004145
Figure 0005004145
こうして得られた発明品1〜5および比較品1〜7の焼き肌面における算術平均粗さRa(μm)をレーザー式非接触表面粗さ計で測定した。焼き肌面における結合相層の平均厚さd3(μm)は断面研磨組織を走査型電子顕微鏡にて5000倍で10視野観察して求めた。断面研磨組織において焼き肌面から、または、結合相層がある場合は結合相層と結合相減少領域との界面から、内部に向かって10μmづつEPMAによる定量分析を行って結合相減少領域の深さd2(μm)を求めた。サーメットの内部の硬質相の平均粒径s1(μm)と結合相減少領域に含まれる硬質相の平均粒径s2(μm)は、それぞれ断面研磨組織を走査型電子顕微鏡で5000倍にて10視野観察し画像解析ソフトを用いて算出した。得られたs1、s2から硬質相粒径比(s2/s1)を求めた。焼き肌面から、または、結合相層がある場合は結合相層と結合相減少領域との界面から、深さ方向に20μmまでの範囲に含まれる結合相量a2(重量%)とサーメットの内部の結合相量a1(重量%)は断面研磨組織をEPMAによる定量分析を行って測定し、結合相量比(a2/a1)を求めた。各試料について焼き肌面に対して4度傾斜するように研磨し、焼き肌面から垂直方向に5μm間隔となるように距離を変えて研磨面にビッカース硬さを打ち込んでビッカース硬さを測定し、焼き肌面から深さ方向に30μmまでの範囲の最高ビッカース硬さHmaxを求めた。また各試料について焼き肌面より0.5mm研磨を行い、サーメット内部のビッカース硬さHinを測定した。
Figure 0005004145
得られた発明品1〜5および比較品1〜6についてCNMG120408ブレーカ付きチップの切削試験用試料を作製した。さらに発明品1の切削試験用試料の表面に物理蒸着法により平均厚さ3μmのTiAlN膜を被覆し発明品6を得た。発明品1〜6および比較品1〜7の切削試験用試料を用いて下記の切削試験1、2を行って逃げ面摩耗量、被削材の仕上げ面粗さ、欠損回数を測定した。その結果を表4に示す。
切削試験1(耐摩耗性試験)
被削材:S45C
切削速度:200m/min
切り込み:0.2mm
送り:0.2mm/rev
切削油:WET
切削時間:50min
切削中10分ごとに被削材の仕上げ面の算術平均粗さRaを測定し、その平均値を表4に併記した。
切削試験2(耐欠損性試験)
被削材:S45C
切削速度:220mm/rev
切り込み:0.5mm
送り:0.2mm/rev
切削油:WET
5秒切削と5秒休止の繰り返し。繰り返し数100回で試験終了。
試験回数は各サンプル5回
Figure 0005004145
以上の通り、発明品は比較品に比べて耐摩耗性および耐欠損性は同等以上であり、被削材の仕上げ面粗さが小さいことが分かる。発明品1〜5は、結合相層の平均厚さd3が0.7〜1.3μmの範囲であり、結合相減少領域の深さd2が70〜130μmの範囲にあり、内部における硬質相の平均粒径に対する結合相減少領域における硬質相の平均粒径の割合を示す粒径比(s2/s1)が1.02〜1.09である。このため逃げ面摩耗量が0.21mm以下の優れた耐摩耗性と、欠損回数が1回以下の優れた耐欠損性を有し、被削材の仕上げ面粗さRaは1.3μm以下になる。さらに発明品1に硬質膜を被覆した発明品6の逃げ面摩耗量は0.12mmとなり、硬質膜を被覆することで耐摩耗性はさらに向上する。

Claims (4)

  1. 炭窒化チタンからなる芯部と、チタン以外の周期律表4a、5a、6a族元素の中から選ばれた少なくとも1種とチタンとの複合炭窒化物固溶体からなる周辺部とで構成される硬質相:70〜97重量%と、結合相:残部とからなり焼き肌面を有するサーメットであって、焼き肌面の算術平均粗さRaは1.0μm以下であり、焼き肌面から0.3〜2μmまでの深さの結合相からなる結合相層と、結合相層に接して結合相層との界面から30〜200μmまでの深さに亘り内部(焼き肌面から500μmの深さのところ)より結合相が減少した結合相減少領域とを備え、結合相減少領域はサーメットの内部から表面に向かって結合相量が漸減するとともに、結合相減少領域における硬質相の平均粒径は内部における硬質相の平均粒径の1.0〜1.1倍であり、結合相層と結合相減少領域との界面から深さ方向に20μmまでの範囲における結合相量は、内部における結合相量の0.50〜0.99倍であり、結合相層と結合相減少領域との界面から深さ方向に30μmまでの間にビッカース硬度HV1800以上の部分が存在し、サーメットの内部におけるビッカース硬さHVは1500以上1800未満であり、サーメットの内部における硬質相の平均粒径は0.5〜5μmであるサーメット。
  2. 請求項1に記載のサーメットの表面に硬質膜を被覆した被覆サーメット。
  3. 請求項1に記載されたサーメットの製造方法において、(A)炭窒化チタン粉末:50〜75重量%と、炭窒化チタンを除く周期律表4a、5a、6a族元素の炭化物、窒化物、炭窒化物およびこれらの相互固溶体の中の少なくとも1種の粉末:20〜40重量%と、鉄族金属の中の少なくとも1種の粉末:3〜20重量%とからなり合計で100重量%となる混合物を準備する混合工程と、(B)得られた混合物を67Pa以下の真空中にて1300〜1440℃の範囲の所定の温度まで昇温する第1昇温工程と、(C)次いで混合物を133〜6650Paの窒素雰囲気にて前記1300〜1440℃の範囲の所定の温度から1450〜1550℃の範囲の焼結温度まで昇温する第2昇温工程と、(D)次いで混合物を133〜6650Paの窒素雰囲気にて前記1450〜1550℃の範囲の焼結温度で0.5〜2時間保持して焼結する焼結工程と、(E)次いで混合物を前工程より低い圧力である13.3〜133Paの不活性ガス雰囲気または真空中にて、焼結温度で1〜8分保持する第1保持工程と、(F)その後、混合物を圧力133〜300000Paの不活性雰囲気にて前記1450〜1550℃の範囲の焼結温度から1200〜1330℃の範囲の所定の温度まで毎分20℃以上で冷却する第1冷却工程と、(G)次いで混合物を第1冷却工程より低い圧力13.3〜1330Paの不活性ガス雰囲気または133Pa以下の真空中にて前記1200〜1330℃の範囲の所定の温度で5〜30分保持する第2保持工程と、(H)次いで混合物を前記1200〜1330℃の範囲の所定の温度から常温に冷却する第2冷却工程とを含むことを特徴とするサーメットの製造方法。
  4. 請求項に記載の方法で得られたサーメットの表面に硬質膜を被覆する被覆サーメットの製造方法。
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