JP7126370B2 - 筆記ボール及びボールペン - Google Patents

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Description

本発明は、硬質相成分と結合相成分から成る筆記ボール及びこれを備えたボールペンに関する。
従来、ボールペンのボールペンチップに用いられている筆記ボールは、炭化タングステン(以下、WCと称す)及びコバルト(以下、Coと称す)を主成分とするWC-Co系、WC、Co及び二炭化三クロム(Cr)を主成分とするWC-Co-Cr系、並びに、WC、Co、ニッケル(Ni)及びCrを主成分とするWC-Co-Ni-Cr系の超硬合金が主流となっている。また、筆記ボールを抱持するボールペンチップのホルダー部は、ステンレス鋼製が主流になっている。従来のWC及びCoを主成分とする筆記ボールは、インクとの長期間の接触によりCoの部分が腐食し、表面が粗面化しやすい。
さらに、ステンレス鋼製のホルダー部と超硬合金製筆記ボールの組み合わせにおいては、異種金属が水性インク中で長期間接触することになり、局部的に電池構造が起こってしまう、所謂、電解腐食が発生し、一方の金属、つまり、筆記ボールの主成分であるWCが選択的に腐食されてしまうことで、ボール表面が粗面化しやすい。
このように表面が粗面化した筆記ボールは、筆記時の描線の品位や筆記感等のボールペンとしての性能を低下させることもさることながら、ボールペンチップ内で筆記ボールとの接触頻度が最も高いホルダーにおけるボール受座の摩耗を増大させることで、早期に筆記不能となることもある。
これらのことから、従来より、耐食性が高いセラミックを用いたり(下記特許文献1参照)、WC粒子を小さくして腐食した後の表面の粗面化を抑制したり(下記特許文献2参照)、といった筆記ボールの腐食対策が試みられてきた。また、WCを配合せず、炭化チタン(TiC)を硬質相として、Niを結合相として用いた合金で筆記ボールを形成することで、腐食を解消する方法も提案されている(下記特許文献3参照)。
特開2015-51571号公報 特開2002-19366号公報 実開昭52-106235号公報
上記のように不導体であることから耐食性が高い筆記ボールは、インクとの親和性が超硬製ボールよりも劣るためインク搬送性が必ずしも高くないことから、使用例は限定的であり、大きな普及には至っていない。
また、上記のようにWC粒子を小さくし、それらを結合するコバルト層を薄くすることで腐食した後の表面の粗面化を抑制した筆記ボールにおいては、ボールペンの性能低下を抑制するのには一定の効果はあるものの、腐食現象そのものを回避していないことから、組み合わされるインクの種類によっては、許容範囲を超える腐食が発生することがある。
さらに、上記のようにTiCを硬質相として、Niを結合相として用いた合金で形成した筆記ボールでは、焼結時に硬質相と硬質相界面とで構成させる粒子が大きく成長しやすいことから、WCを硬質相とする合金で形成した筆記ボールより強度が劣り、結合相も粗大になりやすい。このため、筆記ボールの研磨の際や、ボールペンチップ加工の際の負荷に筆記ボールが耐えられないことがある。また、筆記時において、筆記ボール表面に比較的大きな窪みが生じ、筆記時のボールペンチップ内部の摩耗が大きくなったり、筆記感の低下をもたらすことが問題となっていた。
上記の問題点に鑑み、本発明は、インクによる腐食を抑制するとともに、加工上の強度の問題もなく、高い筆記性能を併せ持つ筆記ボールの提供を課題とする。
上記の課題を解決すべく、本発明に係る筆記ボール30は、
主成分として炭窒化チタン(TiCN)及び窒化チタン(TiN)のうちの少なくとも1つ、並びに、副成分として炭化タングステン(WC)、炭化チタン(TiC)、炭化クロム(Cr)及び炭化モリブデン(MoC)のうちの少なくとも1つ、から成る硬質相成分と、
コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)及びモリブデン(Mo)のうちの少なくとも1つから成る結合相成分と、を含有し、
断面32の走査電子顕微鏡による観察にて、前記硬質相成分のみから成る硬質相33、前記結合相成分のみから成る結合相34及び該硬質相33の周囲又は近辺にあり前記硬質相成分と前記結合相成分とが混合した硬質相/結合相界面35とが認められるとともに、前記硬質相33と前記硬質相/結合相界面35とで構成される粒子36の平均径が2.0μm以下であることを特徴とする。
すなわち、本発明に係る筆記ボール30は、上記の成分を含有する混合物としての合金から形成されるものである。
「硬質相成分」は、主成分及び副成分を含有する。
主成分は、TiCN及びTiNのうちの少なくとも1つから成る。すなわち、TiCN又はTiNのいずれか、又はこれらの混合物が、主成分となる。
副成分は、WC、TiC、TiN、Cr及びMoCのうちの少なくとも1つから成る。すなわち、これらのうちのいずれか1種類又は2種類以上の混合物が、副成分となる。
「結合相成分」は、Co、Ni、Cr及びMoのうちの少なくとも1つから成るものである。すなわち、これらのうちのいずれか1種類又は2種類以上の混合物が、結合相成分となる。
なお、上記した硬質相成分及び結合相成分とは、筆記ボール30を構成する諸成分のうちの特定のものを呼称するための概念である。よって、上記した硬質相成分及び結合相成分に関する記述は、筆記ボール30には硬質相成分及び結合相成分以外の成分(たとえば、上記諸成分に不可避的に混入する不純物)が含有されることを排除するものではない。
「硬質相33」とは、前記硬質相成分のみから成り、前記走査電子顕微鏡での観察で最も暗色に見える部分である。
「結合相34」とは、前記結合相成分のみから成り、前記走査電子顕微鏡での観察で最も明色に見える部分である。
「硬質相/結合相界面35」とは、焼結の過程で、前記硬質相成分と前記結合相成分とが融合したもので、前記走査電子顕微鏡での観察で前記硬質相33と前記結合相34との中間的な色合いに見える部分であり、前記断面32中で最も大きな面積を占める部分である。
そして、前記硬質相33と前記硬質相/結合相界面35とで前記断面32中で「粒子36」として構成されており、これら粒子36の間隙を前記結合相34が埋めるものである。前記硬質相33は前記粒子36のいわば「核」として存在するものである。ただし、前記粒子36中で必ずしも中心付近に位置するとは限らず、前記硬質相33の近辺、すなわち、辺縁に存在するように見えたり、前記硬質相/結合相界面35に挟まれているように見えたりすることもある。また、前記硬質相33は前記結合相34の中に単独で存在するように見える場合もある。
この粒子36の平均径が2.0μm以下であることから、粒子36間の間隙は狭く、粒子36と粒子36とがより緊密に結合相34で結合されることとなっている。
ここで、前記硬質相成分の主成分(TiCN及び/又はTiN)の含有量は、筆記ボール30を構成する成分全体に占める割合として70重量%以上であることが望ましく、より望ましくは80重量%以上である。また、前記断面32において、前記粒子36の占める面積は80%以上であることが望ましい。これらにより、粒子36間の緊密な結合がより確実となる。
ここで、硬質相成分の主成分がTiCNである場合、結合相成分がCoであっても、前記粒子36がより微細なものとなり、結合相34が薄くなる効果が得られるため、油性インク中でのCo腐食を抑制することが可能になる
また、硬質相成分の主成分をTiCNとすることにより、特にインクのpHが8~10の範囲においては電解腐食自体が起こらないため、ボール表面の粗面化を防止することが可能になる。
強度面においては、前記硬質相33と前記硬質相/結合相界面35とで構成される粒子36の平均径を2.0μm以下にすることにより、サーメット組織化に伴う強度低下を最小限に抑制することが可能になる。これにより、筆記ボール研磨時や、ボールペンチップ加工の際の負荷に対しても十分耐えうる強度を備えることができる。なお、WCを微量添加することで強度をより高めることができる。
一方で耐食性能面では、WCの添加量には注意が必要であり、WCを硬質相成分の副成分として微量添加する場合、その添加量は、筆記ボール30を構成する成分全体に占める割合として15重量%以下とすることが望ましい。そうすることで、WCを析出させることなく分子レベルで合金化することができるため、水性インク中での耐食性能を維持しつつ、強度を付与することができる。
なお、本発明に係る筆記ボール30と、カーボンブラック、アルミナ、窒化ホウ素及び酸化チタンのうちの少なくとも1つから成る無機粒子41を含有するインク40と、を備えたボールペン10は、インク40中の無機粒子41による摩耗に耐えることとなっている。
本発明は上記のように構成されているので、インクによる腐食を抑制するとともに、加工上の強度の問題もなく、高い筆記性能を併せ持つ筆記ボールの提供が可能となる。
本発明の実施の形態に係るボールペンを正面断面図で示したものである。 本発明の実施の形態に係るボールペンのボールペンチップ先端付近を拡大して正面断面図で示したものである。 本発明の実施の形態に係る筆記ボールの断面を模式的に示したものである。
以下、図面を参照しつつ、本発明の1の実施の形態を説明する。
(1)ボールペン10
本実施の形態に係るボールペン10は、図1に示すようなボールペンであり、先端が開放し、後端が閉鎖した筒状の軸筒12と、この軸筒12の先端に継手11を介して装着されるボールペンチップ20と、この軸筒12の内部空間の前半部に当たるコレクター収納部14の軸心を貫通するインク誘導部13と、この軸筒12の内部空間の後半部に当たるインク収容部15の内部空間に収容される直液状態のインク40と、ボールペンチップ20の先端からコレクター収納部14の後端付近までを被蓋する図示しないキャップとから構成されている。
コレクター収納部14の内面から、インク誘導部13の外面にかけては、リング状の薄板を軸方向に重ねたコレクター17が形成されている。コレクター17は、直液式ボールペンにおいて、気圧や温度の変化でインク収容部15の空気が膨張した際、インク40を保留し、外部への漏れを防止するためのものである。
なお、インク40は、直液式による供給ではなく中綿式での供給であってもよい。また、軸筒12自体にインク収容部15を設けずに、別体のボールペンリフィールを内装してもよい。
図2に、ボールペンチップ20先端付近の拡大断面図を示す。ボールペンチップ20は、図示しない円筒状の胴体部と、この胴体部の先端からボールペンチップ20の先端に向かって縮径するように形成されたテーパー部27とを有するホルダー21と、ホルダー21の内部に抱持される球状の筆記ボール30から構成されている。また、ホルダー21は、ボールペンチップ20の後端から貫通されたインク誘導孔26と、ホルダー21の先端付近の内周を切削して拡げて形成したボールハウス22と、ボールハウス22の内周面先端とテーパー部27の先端とに挟まれた部位で、かつ、筆記ボール30の中心方向への塑性変形によってかしめられたカシメ部23から構成されている。また、ボールハウス22の底部に設けられ、かつ、インク誘導孔26の周囲に形成されたボール受座24と、ボール受座24とインク誘導孔26とを連絡するようにインク誘導孔26の周囲4箇所に等配されたインク溝25を有している。なお、インク溝25はインク40の粘度等に応じて幅や数を変えてもよい。
ホルダー21の組み立ての際は、その先端からボールハウス22に、筆記ボール30を挿入する。そして、筆記ボール30の上部を後端方向に押圧することによって、ボール受座24を筆記ボール30の外形に沿って変形させる。その後、テーパー部27の先端にテーパー状のローラーを用いてかしめ加工を施してカシメ部23を設けることでホルダー21が形成される。
このホルダー21は、ビッカース硬度が200から420程度のステンレスから形成されている。ホルダー21の材料は、他に洋白、真鍮、又は黄銅などの金属や樹脂を用いて形成することもできるが、ビッカース硬度は170から450であることが望ましい。なお、ビッカース硬度の測定は「JIS Z2244 ビッカース硬さ試験-試験方法」に準拠する。
さらに、ホルダー21は本実施の形態では、中実の線材からの切削加工にて形成されているが、線材からの切削加工に限定されず、例えば中空状のパイプ材を塑性加工にて形成されてもよい。
(2)筆記ボール30
本実施形態の筆記ボール30は、主成分として炭窒化チタン(TiCN)及び窒化チタン(TiN)のうちの少なくとも1つ、並びに、副成分として炭化タングステン(WC)、炭化チタン(TiC)、炭化クロム(Cr)及び炭化モリブデン(MoC)のうちの少なくとも1つ、から成る硬質相成分と、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)及びモリブデン(Mo)のうちの少なくとも1つから成る結合相成分と、を含有している。硬質相成分の主成分が筆記ボール30の全体に占める割合は70重量%以上である。また、硬質相成分の副成分としてWCが含有される場合、その含有量は15重量%以下である。筆記ボール30は、上記した硬質相成分をなす材料粉末と、結合相成分をなす材料粉末とを粉砕混合し、略球状に形成した後、焼結して球体に形成する。そして、得られた球体を、一定間隔に保持した2枚の砥石の間でダイヤモンドパウダーとともに転がし、ボール表面31を鏡面に仕上げる。このボール表面31のビッカース硬度(Hv)は1,600~2,000である。
この筆記ボール30の断面32を走査電子顕微鏡で観察すると、図3で模式的に示すような像が認められる。すなわち、硬質相成分のみから成り最も暗色に見える硬質相33と、結合相成分のみから成り最も明色に見える結合相34と、硬質相成分と結合相成分とが混合してその中間的な色合いに見える硬質相/結合相界面35とが認められる。さらに、硬質相33を核として、それを硬質相/結合相界面35が取り囲みこれが粒子36となっている。この粒子36の平均径(長軸長の平均とする。)は、2.0μm以下である。また、粒子36が断面32に占める面積の割合は80%以上である。なお、図中では粒子36は楕円形として描かれているが、実際の境界は不定形であり、粒子36の間はより狭く緊密になっているものである。
(3)インク40
本実施形態のインク40は、無機粒子41としてカーボンブラックを配合した水性インクである。
上記の無機粒子41はカーボンブラックに限定するものではなく、酸化チタン等、他の硬質の無機粒子や各種無機粒子との混合物を用いてもよい。また、表面改質装置等を用いて、母粒子となる有機粒子の表面を無機微粒子で覆い改質した複合粒子を用いてもよい。なお、具体的な無機粒子としては、アルミナ、窒化ホウ素、酸化チタン、亜鉛華、弁柄、酸化クロム、鉄黒、コバルトブルー、酸化鉄黄、ビリジアン、硫化亜鉛、リトポン、カドミウムイエロー、朱、カドミウムレッド、黄鉛、モリブデートオレンジ、ジンククロメート、ストロンチウムクロメート、ホワイトカーボン、クレー、タルク、群青、沈降性硫酸バリウム、バライト粉、炭酸カルシウム、鉛白、紺青、マンガンバイオレット、アルミニウム粉、ブロンズ粉、真鍮粉等である。また、インク40は、前記カーボンブラック以外にも、エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールからなる溶剤、精製水及びその他の添加剤(分散剤、防錆剤等)を材料として含有している。
さらに、インク40の溶剤による区分としては水性インクに限定せず、ゲルインクや油性インクであってもよい。ただし、油性インクの場合はボール受座24及びボールハウス22の底面とボール表面31との境界が常に潤滑され水性インクの場合よりボール受座24及びボールハウス22の底面への摩耗が少ないことから、水性インクへの適用が、よりボール受座24の摩耗を抑制する効果が発揮される。
(4)作用及び効果
筆記の際、インク収容部15のインク40は、インク誘導部13、インク誘導孔26及びインク溝25を通じてボールハウス22に送られ、ボールハウス22に収容された筆記ボール30に十分に供給される。そして、筆記ボール30の回転により供給されたインク40が紙等の記録体に転写若しくは浸透し、筆記が完了となる。
ここで、筆記ボール30に15重量%を超えるWCが含有される場合、ボール表面31にWC粒子が存在しやすくなりインク中での腐食をもたらす。また、TiCを硬質相成分の主成分とする場合、焼結時に硬質相と硬質相界面とで構成させる粒子の成長により、筆記ボール30の断面32における粒子36のサイズが2.0μmを超えやすく、筆記ボール30の強度が不足する。いずれの場合も、ボール表面の粗さが増すことになり、筆記感の低下、およびボール受座24の摩耗をもたらす。これにより、筆記ボール30がインク溝25及びインク誘導孔26を塞ぐことでインク40の流量が急減して筆記不能となる。
本実施形態においては、WCは成分として含有しないか、含有する場合でもその含有量は15重量%以下とし、かつ、TiCよりも焼結中の粒成長量が小さくてすむTiCN及び/又はTiNを硬質相成分の主成分とすることで、粒子36のサイズを2.0μm以下に抑えている。このため、硬質の無機粒子41であるカーボンブラックをインク40に配合しても摩耗防止の効果が大きい。
(1)実施例及び比較例の組成
下記の組成による実施例及び比較例に係る筆記ボールを、前記の方法にて製造した。
(1-1)実施例1
実施例1に係る筆記ボール30は、以下の組成の混合物で形成した。
TiCN(硬質相成分・主成分):70重量%
MoC(硬質相成分・副成分):12重量%
Cr:6重量%(硬質相成分・副成分)
Ni:(結合相成分)12重量%
上記混合物を前記の方法にて筆記ボール30とした。
(1-2)実施例2
実施例2に係る筆記ボール30は、以下の組成の混合物で形成した。
TiCN(硬質相成分・主成分):85重量%
Cr(硬質相成分・副成分):3重量%
Ni(結合相成分):8重量%
Mo(結合相成分):4重量%
上記混合物を前記の方法にて筆記ボール30とした。
(1-3)実施例3
実施例3に係る筆記ボール30は、以下の組成の混合物で形成した。
TiN(硬質相成分・主成分):85重量%
Cr(硬質相成分・副成分):3重量%
Ni(結合相成分):8重量%
Mo(結合相成分):4重量%
上記混合物を前記の方法にて筆記ボール30とした。
(1-4)実施例4
実施例4に係る筆記ボール30は、以下の組成の混合物で形成した。
TiCN(硬質相成分・主成分):85重量%
Cr(硬質相成分・副成分):3重量%
Co(結合相成分):8重量%
Mo(結合相成分):4重量%
上記混合物を前記の方法にて筆記ボール30とした。
(1-5)実施例5
実施例5に係る筆記ボール30は、以下の組成の混合物で形成した。
TiCN(硬質相成分・主成分):70重量%
WC(硬質相成分・副成分): 15重量%
Cr(硬質相成分・副成分): 3重量%
Ni(結合相成分): 8重量%
Mo(結合相成分): 4重量%
上記混合物を前記の方法にて筆記ボール30とした。
(1-5)比較例1
比較例1に係る筆記ボールは、以下の組成の混合物で形成した。
WC:90重量%
Cr:2重量%
Co:6重量%
Ni:2重量%
上記混合物を前記の方法にて筆記ボールとした。
(1-6)比較例2
比較例2に係る筆記ボールは、以下の組成の混合物で形成した。
WC:30重量%
TiC:55重量%
Cr:3重量%
Co:10重量%
Mo:2重量%
上記混合物を前記の方法にて筆記ボールとした。
(1-7)比較例3
比較例3に係る筆記ボールは、以下の組成の混合物で形成した。
TiC:85重量%
Cr:3重量%
Co:10重量%
Mo:2重量%
上記混合物を前記の方法にて筆記ボールとした。
(2)試験項目
下記の各試験に用いるインク40は、以下のとおりの組成のものを用いた。
カーボンブラック(顔料):8重量%
グリセリン(溶剤):10重量%
エチレングリコール(溶剤):5重量%
スチレンアクリル酸樹脂アンモニウム塩(分散剤):3重量%
オレイン酸カリウム(潤滑剤):0.3重量%
トリエタノールアミン(pH調節剤):0.5重量%
1,2-ベンゾイソチアゾール-3(2H)-オン(防腐剤):0.1重量%
カルボキシベンゾトリアゾール(防錆剤):0.2重量%
精製水:残部
〔インク粘度の測定方法〕
上記組成のインク40について、トキメック製ELD・EMD型粘度計を測定器として用い、測定温度25℃、回転数50rpmの条件下にて、インク粘度を測定した。その測定の結果、インク粘度は3.8mPa・sであった。
〔pHの測定方法〕
上記組成のインク40について、堀場製作所製pHメーターを測定器として用い、測定温度25℃の条件下にて、インクpHを測定した。その測定の結果、インクpHは8.5であった。
(2-1)腐食試験
上記組成のインク40を用いて、ボールペン10を製作し、50℃、80%の恒温槽中に放置した。90日後、恒温槽からボールペン10を取り出し、室温(25℃)で1日放置した。次いで、この室温で1日放置したボールペン10について、筆記ボール30の表面の観察を行った。
評価基準は、下記のとおりとした。
A:腐食が見られなかった。
B:やや腐食が見られた。
C:著しい腐食が認められた。
(2-2)筆記感試験
上記(2-1)と同様に製作したボールペン10を用いて、本件発明者が手で螺旋状に筆記をしたときの筆記感を発明者による官能評価とした。
評価基準は、下記のとおりとした。
A:非常に軽い
B:普通
C:重い
(2-3)受座摩耗試験
JIS S6054に準拠した機械筆記試験にて、筆記荷重0.98N(100g重)、筆記角度60°、筆記速度4.5mm/minで1,000m(又はインクが消費されるまで)螺旋筆記させた。
評価基準は、下記のとおりとした。
A:全て問題なく筆記可能。
B:カスレあるが試験終了まで筆記可能。
C:著しく摩耗し全て試験途中で筆記不能。
(2-4)粒子サイズの計測
前記各実施例に係る筆記ボール30及び各比較例に係る筆記ボールを、それぞれ平面出しを行い、この平面の表面を走査電子顕微鏡(株式会社日立ハイテクノロジーズ S-3400N)を用いて、加速電圧15kV、倍率5,000倍にて反射電子組成像を観察して、粒子20個分の長軸長を計測し、その平均値を求めた。また、反射電子組成像にWC粒子の析出が認められたか否かも確認した。
(3)試験結果
上記試験項目の各々について、結果は下記表1に示すとおりであった。
Figure 0007126370000001
いずれの実施例も、いずれの試験項目についても最高の評価であった。
一方、チタン化合物を含まずWCを主成分とする比較例1では、粒子サイズこそ2μm以下であったものの、腐食が著しく、それに伴い筆記感及び受座摩耗の評価が劣ることとなった。
次に、チタン化合物の含有率が低く、かつ、粒子サイズが2μmを上回った比較例2では、腐食がやや生じ、また、粒子サイズが大きいことで筆記ボールとしての強度が低くなるのも相まって、筆記感及び受座摩耗の評価が劣ることとなった。
最後に、チタン化合物の相違によって粒子サイズが2μmを上回った比較例3では、腐食は生じなかったものの、粒子サイズが大きいことで筆記ボールとしての強度が低くなるのに伴い、筆記感及び受座摩耗の評価が劣ることとなった。
本発明は、ボールペンの筆記ボールに利用可能である。
10 ボールペン 11 継手 12 軸筒
13 インク誘導部 14 コレクター収納部 15 インク収容部
17 コレクター
20 ボールペンチップ 21 ホルダー 22 ボールハウス
23 カシメ部 24 ボール受座 25 インク溝
26 インク誘導孔 27 テーパー部
30 筆記ボール 31 ボール表面 32 断面
33 硬質相 34 結合相 35 硬質相/結合相界面
36 粒子
40 インク 41 無機粒子

Claims (3)

  1. 主成分として炭窒化チタン、並びに、副成分として炭化タングステン、炭化チタン、炭化クロム及び炭化モリブデンのうちの少なくとも1つ、から成る硬質相成分と、
    コバルト、ニッケル、クロム及びモリブデンのうちの少なくとも1つから成る結合相成分と、を含有し、
    断面の走査電子顕微鏡による観察にて、前記硬質相成分のみから成る硬質相、前記結合相成分のみから成る結合相及び該硬質相の周囲にあり前記硬質相成分と前記結合相成分とが混合した硬質相/結合相界面とが認められるとともに、
    前記硬質相と前記硬質相/結合相界面とで構成される粒子の平均径が2.0μm以下であることを特徴とする筆記ボール。
  2. 前記硬質相成分の主成分の含有量が、全体に占める割合として70重量%以上であるとともに、前記断面において、前記粒子の占める面積が80%以上であることを特徴とする請求項1記載の筆記ボール。
  3. 請求項1又は2に記載の筆記ボールと、
    カーボンブラック、アルミナ、窒化ホウ素及び酸化チタンのうちの少なくとも1つから成る無機粒子を含有するインクと、
    を備えたことを特徴とするボールペン。
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