JP2020020014A - 超硬合金及び被覆超硬合金 - Google Patents
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Abstract
Description
このような背景において、上記特許文献1に記載の超硬合金製切削工具では、結合相中へのC元素の固溶量が考慮されていないため、超硬合金の強度が十分ではなく、チッピングや欠損する場合がある。また、上記特許文献1に記載の超硬合金製切削工具では、炭化タングステンの平均粒径が小さいため、熱伝導率が小さく、摩耗が進行しやすいという問題がある。以上の理由により、上記特許文献1に記載の超硬合金製切削工具では、耐摩耗性及び耐欠損性が不十分である。
[1]
WC相を主体として、Coを5.0質量%以上15.0質量%以下と、複合化合物相を0質量%超5.0質量%以下との割合で含有してなり、
前記複合化合物相が、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr及びMoからなる群より選ばれる1種の元素の炭化物、窒化物、又は炭窒化物の少なくとも1種を主成分とし、
前記Coが前記WC相間を結合する結合相中に存在し、前記結合相がC元素を含み、かつ下記式(1)で表される条件を満たすC元素濃化領域を有する、超硬合金。
2.5≦CH/CoH≦15.0…(1)
(式(1)中、CHはC元素濃化領域におけるC元素の原子比を示し、CoHはC元素濃化領域におけるCo元素の原子比を示す。)
[2]
前記結合相が、下記式(2)で表される条件を満たすC元素非濃化領域を有する、[1]に記載の超硬合金。
0≦CL/CoL<2.5…(2)
(式(2)中、CLはC元素非濃化領域におけるC元素の原子比を示し、CoLはC元素非濃化領域におけるCo元素の原子比を示す。)
[3]
前記結合相において、前記C元素濃化領域の専有面積が、20面積%以上80面積%以下である、[1]又は[2]に記載の超硬合金。
[4]
飽和磁化が、65%以上75%以下である、[1]〜[3]のいずれかに記載の超硬合金。
[5]
前記結合相が、W元素を含み、下記式(3)で表される条件を満たす、[2]に記載の超硬合金。
0.7≦WH/WL≦1.3…(3)
(式中、WHはC元素濃化領域におけるW元素の原子比を示し、WLはC元素非濃化領域におけるW元素の原子比を示す。)
[6]
前記WC相における炭化タングステンの平均粒径が、1.5μm以上3.0μm以下である、[1]〜[5]のいずれかに記載の超硬合金。
[7]
[1]〜[6]のいずれかに記載の超硬合金と、該超硬合金の表面に形成された被覆層とを有する、被覆超硬合金。
[8]
前記被覆層が、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Al及びSiからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素と、C、N、O及びBからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素とを含む、[7]に記載の被覆超硬合金。
[9]
前記被覆層が、単層、又は、2層以上の積層である、[7]又は[8]に記載の被覆超硬合金。
[10]
前記被覆層全体の平均厚さが、3.0μm以上20.0μm以下である、[7]〜[9]のいずれかに記載の被覆超硬合金。
[11]
[1]〜[6]のいずれかに記載の超硬合金、又は[7]〜[10]のいずれかに記載の被覆超硬合金を有する工具。
2.5≦CH/CoH≦15.0…(1)
(式(1)中、CHはC元素濃化領域におけるC元素の原子比を示し、CoHはC元素濃化領域におけるCo元素の原子比を示す。)
本実施形態の超硬合金は、WC相を主体であると、硬さが向上するため、耐摩耗性が向上すると共に、靭性が向上するため、耐欠損性が向上する。
本実施形態の超硬合金は、Coの割合が5.0質量%以上であると、靭性が向上するため、耐欠損性が向上する。また、本実施形態の超硬合金は、WC相間を結合する結合相中にCoを含むことにより、超硬合金の製造の際の原料の焼結性が向上するため、耐欠損性が向上する。一方、本実施形態の超硬合金は、Coの割合が15.0質量%以下であると、硬さが向上するため、耐摩耗性が向上する。
本実施形態の超硬合金は、複合化合物相の割合が0質量%超であると、高温硬さが向上するため、耐摩耗性が向上する。一方、本実施形態の超硬合金は、複合化合物相の割合が5.0質量%以下であると、靭性が向上するため、耐欠損性が向上する。
本実施形態の超硬合金は、結合相中にC元素濃化領域を含むと、耐欠損性が低下することなく、耐摩耗性が向上する。これは、結合相の硬さが向上しているためと推測される。また、本実施形態の超硬合金は、結合相中にC元素濃化領域を含むことで、切削加工中に発生した亀裂の進展を抑制する効果が得られる。本実施形態において、C元素濃化領域とは、C元素が濃化している(多い)領域のことであり、CH/CoHが、2.5以上15.0以下である領域のことを指す。CH/CoHが、2.5以上であると、C元素が濃化したことによる効果が得られる。すなわち、本実施形態の超硬合金は、CH/CoHが、2.5以上であると、耐摩耗性が向上し、CH/CoHが、15.0以下であると、耐欠損性が向上する。
そして、これらの構成が組み合わされることにより、本実施形態の超硬合金は、耐摩耗性と耐欠損性とのバランスに優れ、その結果、例えば、切削工具の材料として用いるとその工具寿命を延長することができる。
本実施形態の超硬合金において、WC相は、炭化タングステンを主成分として含む。ここで、「主成分」とは、WC相全体を100質量%としたとき、50質量%を超えて多く含むことを指す。WC相における炭化タングステンの含有量は、WC相全体を100質量%としたとき、70質量%以上であると好ましく、85質量%以上であるとより好ましく、100質量%、すなわちWC相が炭化タングステンからなることが更に好ましい。
本実施形態の超硬合金において、WC相間を結合する結合相は、Coを含む。本実施形態の超硬合金は、結合相がCoを含むことにより、焼結性及び超硬合金の靱性が一層向上することに起因して、工具の耐欠損性に一層優れる傾向にある。
2.5≦CH/CoH≦15.0…(1)
(式(1)中、CHはC元素濃化領域におけるC元素の原子比を示し、CoHはC元素濃化領域におけるCo元素の原子比を示す。)
0≦CL/CoL<2.5…(2)
(式(2)中、CLはC元素非濃化領域におけるC元素の原子比を示し、CoLはC元素非濃化領域におけるCo元素の原子比を示す。)
0.7≦WH/WL≦1.3…(3)
(式中、WHはC元素濃化領域におけるW元素の原子比を示し、WLはC元素非濃化領域におけるW元素の原子比を示す。)
本実施形態の超硬合金において、複合化合物相は、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr及びMoからなる群より選ばれる1種の元素の炭化物、窒化物、又は炭窒化物の少なくとも1種を主成分とする。これにより、本実施形態の超硬合金は、耐摩耗性及び耐塑性変形性が向上する。同様の観点から、複合化合物相は、Ti、Zr、Nb、Ta及びCrからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素の炭化物、又は窒化物の少なくとも1種を主成分とすることがより好ましく、TiN、TiC、ZrC、NbC、TaC及びCr3C2からなる群より選択される1種以上を主成分とすることが更に好ましい。ここで、「主成分」とは、複合化合物相全体を100質量%としたとき、50質量%を超えて多く含むことを指す。上述した複合化合物の含有量は、複合化合物相全体を100質量%としたとき、70質量%以上であると好ましく、85質量%以上であるとより好ましく、100質量%、すなわち複合化合物相が上述した複合化合物からなることが更に好ましい。
本実施形態の超硬合金は、WC相を主体として含有する。本実施形態の超硬合金は、WC相を主体として含有すると、耐摩耗性及び耐欠損性が向上する。また、本実施形態の超硬合金において、WC相の割合は、80.0質量%以上95.0質量%未満であることが好ましい。本実施形態の超硬合金は、WC相の割合が80.0質量%以上であると、硬さが向上するため、耐摩耗性が向上する傾向にある。一方、本実施形態の超硬合金は、WC相の割合が95.0質量%未満であると、靭性が向上するため、耐欠損性が向上する傾向にある。同様の観点から、WC相の割合は83.0〜93.8質量%であることが好ましい。
本実施形態の超硬合金は、飽和磁化が、65%以上75%以下であることが好ましい。
本実施形態の被覆超硬合金は、上述の超硬合金と、超硬合金の表面に形成された被覆層とを有する。かかる被覆超硬合金は、耐摩耗性を一層向上させたものである。被覆層は、単層であってもよく、2層以上の積層であってもよい。
次に、本実施形態の超硬合金及び被覆超硬合金の製造方法について、具体例を用いて説明する。なお、本実施形態の超硬合金及び被覆超硬合金の製造方法は、当該超硬合金の構成を達成し得る限り特に制限されるものではない。
工程(1)において、炭化タングステン粉末と、Co元素及びC元素の粉末と、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr及びMoからなる群より選ばれる1種の元素の炭化物、窒化物、又は炭窒化物の少なくとも1種の複合化合物粉末とを所定の配合割合で用いることにより、超硬合金の組成を特定の範囲に調整することができる。また、炭化タングステン(WC)中の炭素量を調整することにより、超硬合金の飽和磁化を所定の範囲に調整することができる。さらに、C元素の粉末の平均粒径及び添加量を制御することにより、Co元素が存在する結合相中のC元素濃化領域が得られ、また、Coに対するCの原子比(以下、「C/Co」と表記する。)を特定の範囲に調整することができる。C元素の粉末の平均粒径が大きいと、C/Coが大きくなる。また、C元素の粉末の添加量が多いと、C元素濃化領域の専有面積が大きくなる。さらに、Co元素の添加量が多いと、C/Coが小さくなる。
上述のようにして工具形状に加工した本実施形態の超硬合金を物理蒸着装置の反応容器内に収容し、反応容器内をその圧力が1×10-2Pa以下の真空になるまで真空引きする。真空引きした後、反応容器内のヒーターにより超硬合金をその温度が200〜800℃になるまで加熱する。加熱後、反応容器内にArガスを導入して、反応容器内の圧力を0.5〜5.0Paとする。圧力0.5〜5.0PaのArガス雰囲気下にて、超硬合金に−200〜−1000Vのバイアス電圧を印加し、反応容器内のタングステンフィラメントに5〜20Aの電流を流して、超硬合金の表面にArガスによるイオンボンバードメント処理を施す。超硬合金の表面にイオンボンバードメント処理を施した後、反応容器内をその圧力が1×10-2Pa以下の真空になるまで真空引きする。
上述のようにして工具形状に加工した本実施形態の超硬合金の表面に、下部層であるTiC層、TiN層、TiCN層、TiCO層及びTiCNO層からなる群より選ばれる1種又は2種以上の層を形成する。次いで、下部層の表面(下部層が複層である場合は、超硬合金から最も離れた層)の表面を酸化する。その後、酸化処理した下部層の表面にα−Al2O3層である上部層を形成する。さらに、必要に応じて上部層の表面にTiN層である最上層を形成してもよい。
原料粉末として、市販されている、平均粒径1.5μm〜3.0μmの炭化タングステン(WC)粉末、平均粒径1.5μmのTiC粉末、平均粒径1.3μmのTiN粉末、平均粒径3.0μmのNbC粉末、平均粒径1.0μmのTaC粉末、平均粒径3.0μmのZrC粉末、平均粒径1.2μmのCr3C2粉末、平均粒径1.5μmのCo粉末及び平均粒径5.0μm〜30.0μmのC粉末を用意した。なお、これらの原料粉末は、市販されているものを使用した。また、原料の炭化タングステン(WC)粉末は、表1に示すとおり炭素量の異なるA〜Cの3種を用意した。また、原料粉末の平均粒径は、米国材料試験協会(ASTM)規格B330に記載のフィッシャー法(Fisher Sub−Sieve Sizer(FSSS))により測定されたものである。
上記のようにして作製した超硬合金の表面に以下のとおり化学蒸着法又は物理蒸着法により被覆層を形成した。
発明品1〜9及び比較品1〜4については、化学蒸着法により被覆層を形成した。具体的には、上記のようにして作製した超硬合金を外熱式化学蒸着装置に装入し、超硬合金の表面側から順に、TiN(平均厚さ:0.1μm)−TiCN(平均厚さ:6.0μm)−TiCNO(平均厚さ:0.1μm)−(α)Al2O3(平均厚さ:1.0μm)−TiN(平均厚さ:0.2μm)の構成となるように被覆層を形成した。より具体的には、まず、TiN層は、原料ガス組成をTiCl4:7.5mol%、N2:40.0mol%、H2:52.5mol%とし、温度を900℃、圧力を350hPaとする化学蒸着法で形成した。次に、TiCN層は、原料ガス組成をTiCl4:6.0mol%、CH3CN:1.0mol%、H2:93.0mol%とし、温度を850℃、圧力を70hPaとする化学蒸着法で形成した。さらに、TiCNO層は、原料ガス組成をTiCl4:3.5mol%、CO:0.7mol%、N2:35.5mol%、H2:60.3mol%とし、温度を1000℃、圧力を100hPaとする化学蒸着法で形成した。TiN層、TiCN層及びTiCNO層の平均厚さは、順に0.1μm、6.0μm及び0.1μmとなるようにした。TiCNO層形成後、CO:0.5mol%、H2:99.5mol%のガス組成、1000℃の温度、及び60hPaの圧力の条件の下、1分間、TiCNO層の表面に酸化処理を施した。次に、酸化処理を施した後のTiCNO層の表面に1.0μmの平均厚さになるようにα−Al2O3層を化学蒸着法により形成した。α−Al2O3層の形成条件は、原料ガス組成をAlCl3:2.5mol%、CO2:3.0mol%、HCl:2.3mol%、H2S:0.15mol%、H2:91.85mol%とし、温度を1000℃、圧力を70hPaとした。次に、最上層であるTiN層は、原料ガス組成をTiCl4:7.5mol%、N2:40.0mol%、H2:52.5mol%とし、温度を1000℃、圧力を350hPaとする化学蒸着法で形成した。TiN層の平均厚さは、0.2μmとなるようにした。最後に、最上層であるTiN層を形成した後の被覆層に対して乾式ショットブラストを施した。乾式ショットブラストの条件は、投射圧力を0.6barとし、投射角度を90°とした。また、乾式ショットブラストに用いるブラスト装置において、ノズルが所定の方向に移動しながら投射材を噴射する際のノズルの移動方向に直交する方向におけるノズルのピッチ間隔を4mmとし、ノズルの速度(移動速度)を6500mm/分とした。乾式ショットブラストにおける投射材(メディア)は、平均粒径120μmのAl2O3とした。こうして、発明品1〜9及び比較品1〜4の被覆超硬合金を得た。
発明品10〜14及び比較品5〜10については、物理蒸着法により被覆層を形成した。具体的には、まず、アークイオンプレーティング装置の反応容器内に、金属蒸発源を設置した。金属蒸発源の組成は、被覆層の構成が(Al0.67Ti0.33)N(平均厚さ:0.3μm)−(Al0.80Ti0.20)N(平均厚さ:3.0μm)となるものとした。より具体的には、まず、上記のようにして作製した超硬合金を、アークイオンプレーティング装置の反応容器内のホルダーに取り付けた。反応容器内の圧力を、1×10-2Pa以下の真空にした。炉内ヒーターにより、超硬合金を500℃に加熱した。超硬合金の温度が500℃になった後、反応容器内の圧力が5Paになるまで、反応容器内にArガスを導入した。反応容器内の超硬合金に−500Vのバイアス電圧を印加して、超硬合金の表面にArイオンボンバードメント処理を施した。イオンボンバードメント条件は、以下の通りにした。
反応容器内の雰囲気:Ar雰囲気
反応容器内の圧力 :5Pa
物理蒸着法で被覆層を形成した場合は、金属蒸発源に対向する面の刃先から、当該面の中心部に向かって50μmの位置の近傍において、上記鏡面研磨により現れた面(以下、「鏡面研磨面」という。)を観察し、化学蒸着法で被覆層を形成した場合は、試料の刃先稜線部からすくい面の中心部に向かって50μmの位置の近傍において、鏡面研磨面を観察した。鏡面研磨面の観察には、光学顕微鏡及びFE−SEMを用いた。観察された鏡面研磨面の画像から、被覆層の厚さを3箇所で測定した。測定された被覆層の厚さの平均値を算出した。被覆層の組成を、FE−SEM付属のEDS、及び、FE−SEM付属のWDSを用いて測定した。発明品1〜9及び比較品1〜4については、被覆層の構成がTiN(平均厚さ:0.1μm)−TiCN(平均厚さ:6.0μm)−TiCNO(平均厚さ:0.1μm)−(α)Al2O3(平均厚さ:1.0μm)−TiN(平均厚さ:0.2μm)、発明品10〜14及び比較品5〜10については、被覆層の構成が(Al0.67Ti0.33)N(平均厚さ:0.3μm)−(Al0.80Ti0.20)N(平均厚さ:3.0μm)であった。
C元素濃化領域及びC元素非濃化領域におけるC元素の原子比、Co元素の原子比及びW元素の原子比を以下のとおり算出した。
まず、後述するC元素濃化領域の面積%の算出方法と同様にしてC元素濃化領域を特定した。特定したC元素濃化領域をEDS付きTEMで2万倍〜5万倍で観察した。WC相で囲まれた結合相において、C元素濃化領域の組成を3点測定した。そして、C元素非濃化領域の組成を3点測定した。同様に、WC相で囲まれた別の結合相(2箇所以上)においてもC元素濃化領域とC元素非濃化領域との組成を測定した。測定したC元素濃化領域(3点×3か所以上)の各原子比(C元素、Co元素及びW元素)の相加平均値、及びC元素非濃化領域(3点×3箇所以上)の各原子比の相加平均値を求めて各元素の原子比を算出した。算出した結果を表4に示す。
超硬合金の結合相におけるC元素濃化領域の面積%は、以下の手順で算出した。
1.得られた試料(超硬合金)中の断面組織を、エネルギー分散型X線分光器(EDS)付き透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した。図1は当該観察した画像の一例である。
2.TEMで2万倍〜5万倍で観察し、EDSによる面分析を行った。
3.Co元素を含む結合相の面積を画像解析ソフトにて、算出した。
4.C/Coが、2.5となる位置をEDSにより特定した。
5.画像解析ソフトで「C/Coが、2.5となる位置」のコントラストを閾値とし、面積を算出した。算出したC元素濃化領域の面積%を表4に示す。
なお、このとき、閾値に達しないコントラストは、「C/Coが、2.5未満である」とみなした。また、WC相におけるC元素の部分は、画像解析前に黒く塗りつぶしておいた。図2において、符号1で示す黒色領域が、C元素が濃化している領域である。図6は、C元素濃化領域を有する超硬合金中の断面組織をEDS付きTEMにて観察した画像の一例である。また、図7は、C元素濃化領域を有さない超硬合金中の断面組織をEDS付きTEMにて観察した画像の一例である。
超硬合金の飽和磁化を磁気特性測定装置にて測定した。測定結果を表4に示す。
インサート:SNGU1307
被削材:SCM440の角材、
切削速度:250m/分、
送り:0.3mm/rev、
切り込み深さ:3.0mm、
クーラント:無し、
評価項目:試料が欠損、被膜剥離又は最大逃げ面摩耗幅が0.3mmに至ったときを工具寿命とし、工具寿命までの加工長さを測定した。また加工長さが工具寿命に至ったときの損傷状態をSEMで確認した。
[切削試験2]
インサート:CNMG120408
被削材:インコネル(登録商標)の丸棒、
切削速度:60m/分、
送り:0.20mm/rev、
切り込み深さ:1.0mm、
クーラント:有り、
評価項目:試料が欠損、被膜剥離又は最大逃げ面摩耗幅が0.3mmに至ったときを工具寿命とし、工具寿命までの加工時間を測定した。また、加工時間が工具寿命に至ったときの損傷状態をSEMで確認した。
発明品2及び11、並びに比較品1及び5と同じ条件で超硬合金を作製した。次に、アークイオンプレーティング装置の反応容器内に、金属蒸発源を設置した。金属蒸発源の組成は、表6に示す被覆層の組成に対応するものとした。超硬合金の表面に、表6に示す厚さの被覆層を形成したものを発明品15〜22及び比較例11〜18とした。被覆層は、組成及び平均厚さを表6に示すようにした以外は、上述の条件と同じ条件で形成した。発明品15〜17及び比較品11〜13については、上記切削試験1を行い、発明品18〜22及び比較品14〜18については、上記切削試験2を行った。その結果を表7−1及び表7−2に示す。
Claims (11)
- WC相を主体として、Coを5.0質量%以上15.0質量%以下と、複合化合物相を0質量%超5.0質量%以下との割合で含有してなり、
前記複合化合物相が、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr及びMoからなる群より選ばれる1種の元素の炭化物、窒化物、又は炭窒化物の少なくとも1種を主成分とし、
前記Coが前記WC相間を結合する結合相中に存在し、前記結合相がC元素を含み、かつ下記式(1)で表される条件を満たすC元素濃化領域を有する、超硬合金。
2.5≦CH/CoH≦15.0…(1)
(式(1)中、CHはC元素濃化領域におけるC元素の原子比を示し、CoHはC元素濃化領域におけるCo元素の原子比を示す。) - 前記結合相が、下記式(2)で表される条件を満たすC元素非濃化領域を有する、請求項1に記載の超硬合金。
0≦CL/CoL<2.5…(2)
(式(2)中、CLはC元素非濃化領域におけるC元素の原子比を示し、CoLはC元素非濃化領域におけるCo元素の原子比を示す。) - 前記結合相において、前記C元素濃化領域の専有面積が、20面積%以上80面積%以下である、請求項1又は2に記載の超硬合金。
- 飽和磁化が、65%以上75%以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の超硬合金。
- 前記結合相が、W元素を含み、下記式(3)で表される条件を満たす、請求項2に記載の超硬合金。
0.7≦WH/WL≦1.3…(3)
(式中、WHはC元素濃化領域におけるW元素の原子比を示し、WLはC元素非濃化領域におけるW元素の原子比を示す。) - 前記WC相における炭化タングステンの平均粒径が、1.5μm以上3.0μm以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の超硬合金。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の超硬合金と、該超硬合金の表面に形成された被覆層とを有する、被覆超硬合金。
- 前記被覆層が、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Al及びSiからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素と、C、N、O及びBからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素とを含む、請求項7に記載の被覆超硬合金。
- 前記被覆層が、単層、又は、2層以上の積層である、請求項7又は8に記載の被覆超硬合金。
- 前記被覆層全体の平均厚さが、3.0μm以上20.0μm以下である、請求項7〜9のいずれか1項に記載の被覆超硬合金。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の超硬合金、又は請求項7〜10のいずれか1項に記載の被覆超硬合金を有する工具。
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