JP2009178774A - 切削工具 - Google Patents

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Abstract

【課題】 切刃における耐摩耗性と切屑が衝突する部分においても被覆層が剥離しない耐剥離性を兼ね備えた切削工具を提供する。
【解決手段】 すくい面と逃げ面との交差稜線部を切刃とし、基体6の表面に被覆層7を被覆してなり、被覆層7を外表面から顕微鏡にて観察した組織が、切刃部5においては平均粒径0.5〜2μmの粒状粒子として観察され、切刃部5から離れた中央部8では平均粒径0.1〜0.8μmの粒状粒子として観察される切削工具1である。
【選択図】 図2

Description

本発明は基体の表面に被覆層を成膜してなる切削工具に関する。
現在、切削工具では耐摩耗性や摺動性、耐欠損性が必要とされるため、WC基超硬合金やTiCN基サーメット等の硬質基体の表面に様々な被覆層を成膜して表面被覆工具の耐摩耗性、耐欠損性を向上させる手法が使われている。かかる被覆層として、TiCN層やTiAlN層が一般的に広く採用されているが、より高い耐摩耗性と耐欠損性の向上を目的として種々な被覆層が開発されつつある。
例えば、特許文献1では、CVD法で成膜したTiCN被覆層の成膜において、混合ガスの供給流量を3倍から10倍に調整することにより、得られた被覆層のノーズRの先端部に対応するホーニングの端部(エッジ)付近と逃げ面の中央におけるX線回折強度が異なり、具体的には(111)面のピーク強度と(220)面のピーク強度を比較した場合、エッジ付近では逃げ面中央部に比べて(111)面のピーク強度の比率が高くなることが開示されている。
また、特許文献2では、TiAl化合物膜において負のバイアス電圧の絶対値を徐々に高くする条件で成膜して、エッジのみTi/Alの比率が高い被覆層を形成したことが記載されている。
さらに、特許文献3では、TiAl化合物膜において基材電圧(バイアス電圧)が低い(マイナスの絶対値が大きい)条件で成膜するとエッジのみTi/Alの比率が変化するという性質を利用して、基材電圧を成膜途中で変化させることによって、エッジ稜線の近接部ではTi/Alの比率が異なる2層以上の多層膜にて構成するとともに、エッジ稜線の近接部を除いた中心部ではTi/Alの比率が一定である単層膜にて構成した工具等の被覆部材が作製できることが開示されている。
特開平10−237648号公報 特開平8−267306号公報 特開2003−113463号公報
しかしながら、上記特許文献1のようにエッジ部におけるX線回折のピーク強度比を変化させたTiCN膜や、引用文献2、3のようにエッジ部におけるTi/Alの比率を変化させたTiAl系皮膜でも、エッジ部における更なる耐摩耗性が求められていた。また、エッジ以外の中央部においては、切削によって切刃で発生した切屑がすくい面で曲げられてカールし、このカールした切屑がエッジ部以外の中央部にランダムに当たって被覆層が部分的に剥離してしまうことがあり、エッジ部以外の中央部では切屑の衝突によっても剥離しない高い耐衝撃性が求められていた。
本発明は、切刃における耐摩耗性と切屑が衝突するエッジ以外の部分においても被覆層が剥離しない耐剥離性を兼ね備えた切削工具を提供することを目的とする。
本発明の切削工具は、すくい面と逃げ面との交差稜線部を切刃とし、基体の表面に被覆層を被覆してなる切削工具において、前記被覆層を外表面から顕微鏡にて観察した組織が、切刃部においては平均粒径0.5〜2μmの粒子からなる組織であり、該切刃部から離れた中央部では平均粒径0.1〜0.8μmの粒子からなる組織であることを特徴とする。
ここで、上記構成において、前記切刃部における前記被覆層の表面でのスキューネスRskeが、前記中央部における被覆層の表面でのスキューネスRskcよりも小さい(Rske<Rskc)ことが望ましい。
また、上記構成において、前記被覆層を断面から顕微鏡にて観察した組織が、前記切刃部においては平均粒子幅0.02〜0.3μmの縦長粒子として観察され、前記中央部では平均粒子幅0.1〜0.5μmの縦長粒子として観察されることが望ましい。
さらに、上記構成において、前記切刃部における前記被覆層の表面での硬度Hが、前記中央部における前記被覆層の表面での硬度Hよりも高い(H>H)ことが望ましい。
また、上記構成において、前記被覆層は、Ti1−a−bAlab(Cx1−x)(ただし、MはTiを除く周期表4、5、6族元素、YおよびSiから選ばれる1種以上、0.40≦a≦0.65、0≦b≦0.3、0≦x≦1)からなることが望ましい。
本発明の切削工具は、切刃部においては初期摩耗が少なくかつ切削抵抗が小さくて耐摩耗性が高い。また、中央部では耐衝撃性が高くて切屑が衝突しても被覆層が剥離しにくいものである。
ここで、前記切刃部における前記被覆層の表面でのスキューネスRskeが、前記中央部における被覆層の表面でのスキューネスRskcよりも小さい(Rske<Rskc)ことによって、切刃部においては初期摩耗が小さくかつ切削抵抗が小さくて耐摩耗性が高く、中央部においては切屑が衝突した際の衝撃を吸収できる点で望ましい。
また、前記被覆層を断面から顕微鏡にて観察した組織が、前記切刃部においては平均粒子幅0.02〜0.3μmの縦長粒子として観察され、前記中央部では平均粒径0.1〜0.5μmの縦長粒子として観察されることによって、切刃部における耐摩耗性がより高くかつ中央部における耐衝撃性がより高いものとなる。このとき、前記切刃部における前記被覆層の表面での硬度Hが、前記中央部における前記被覆層の表面での硬度Hよりも高い(H>H)ことが望ましいものである。
また、上記構成において、前記被覆層は、Ti1−a−bAlab(Cx1−x)(ただし、MはTiを除く周期表4、5、6族元素、YおよびSiから選ばれる1種以上、0.40≦a≦0.65、0≦b≦0.3、0≦x≦1)からなることが、被覆層の硬度および耐酸化性を高めることができる点で望ましい。
図1に示すように、本発明の切削工具(以下、単に工具と略す)1は、すくい面3と逃げ面4との交差稜線部を切刃5とし、図3に示すように、基体6の表面に被覆層7を被覆してなる。
そして、本発明によれば、工具1の好適な実施態様についての被覆層の一例について、(a)切刃部、(b)中央部についての走査型電子顕微鏡写真を示す図2から明らかなとおり、基体6の表面に被覆される被覆層7を外表面から顕微鏡にて観察した組織が、切刃部5においては平均粒径0.5〜2μmの粒子からなる組織であり、切刃部5から離れた中央部8では平均粒径0.1〜0.8μmの粒子からなる組織であることが大きな特徴である。これによって、切刃部5においては初期摩耗が少なくかつ切削抵抗が小さくて耐摩耗性が高く、中央部8では耐衝撃性が高くて切屑が衝突しても被覆層7が剥離しにくい構成となっている。
ここで、切刃部5における被覆層7の表面でのスキューネスRskeが、中央部8における被覆層7の表面でのスキューネスRskcよりも小さい(Rske<Rskc)ことによって、切刃部5においては初期摩耗が小さくかつ切削抵抗が低くて耐摩耗性が高く、中央部8においては切屑が衝突した際の衝撃を吸収できる点で望ましい。なお、スキューネスの測定は原子間力顕微鏡(AFM)にて被覆層7の表面状態を測定し、その凹凸状態からJISB0601に規定されたスキューネスSskの規定に順じて算出する方法が本発明においては好適に採用できる。
また、被覆層7を断面から顕微鏡にて観察した組織が、切刃部5においては平均粒子幅0.02〜0.3μmの縦長粒子として観察され、中央部8では平均粒子幅0.1〜0.5μmの縦長粒子として観察されることが望ましいものである。これによって、切刃部5における耐摩耗性がより高く、かつ中央部8における耐衝撃性がより高いものとなる。つまり、被覆層7に含有される粒子は、断面方向から見て縦長にかつ外表面から見ると粒状に見える組織にて構成されることが望ましい。
ここで、本発明によれば、成膜中に実施する表面処理によって、切刃部5においては中央部8よりもより強く被覆層7の表面がたたかれて被覆層7の外表面に堆積した微粒子が再蒸発する。この時、本発明の表面処理の条件では被覆層7の表面性状が平らになるように制御されているので、外表面から顕微鏡で観察した際に測定される組織中の粒子の平均粒径は上記範囲のように断面から顕微鏡で観察した際に測定される組織中の粒子の平均粒子幅に比べて大きく観察される。また、この工程によって、被覆層7の表面において微粒子が除去されるので、引き続き被覆層7が成膜される際には核形成が初期状態に戻った状態となり、表面処理しない場合に比べて成長する粒子は微粒となるものと考えられる。
また、被覆層7の表面においては、図2に示すように、切刃部5における粒子は粒子同士の界面が表面処理によって浸食されて消滅し、この界面の一部だけが残存した状態となる。そして、粒子同士を連結する界面の残存部が一方向に並んでおり、かかる粒子間の界面が消滅した部分も特定の方向に大きくなって、粒子自体が角ばった組織となっている。一方、中央部8においては粒子が成膜されたままほとんど再蒸発しないので、微粒子が凝集した組織となっている。
なお、本発明における上記縦長粒子とは、図3に示すような基体6の表面に対して垂直に長く成長した粒子を指し、この縦長粒子は被覆層7内に発生する内部応力を低減して工具1の耐欠損性を改善できるので被覆層7の厚みを厚くしても自己破壊することなく安定した成膜が可能であるとともに、被覆層7の靭性が高くて耐欠損性が向上する。そのため、上記被覆層7がチッピングしにくく、被覆層7の層厚が0.5〜6μmであっても被覆層7が剥離やチッピングすることを防止できて十分な耐摩耗性を維持することができる。
また、被覆層7中の縦長粒子の粒子幅は、縦長粒子をなす被覆層7の中間の厚さにあたる部分に引いた線Aにて測定する。被覆層7中の縦長粒子の平均粒子幅wは線A(ただし100nm以上)の長さLを特定し、この長さLの線Aを横切る粒界の数を数えて、長さL/粒界の数によって算出することができる。
さらに、切刃部5における被覆層7の表面での硬度Hが、中央部8における被覆層7の表面での硬度Hよりも高い(H>H)ことが、切刃部5における耐摩耗性の向上と中央部8における耐欠損性の向上との両立の点で望ましいものである。
また、被覆層7は、単純なTi1−aAlNにて構成されていても良いが、例えば、Ti1−a−bAl(C1−x)(ただし、MはTiを除く周期表第4、5、6族元素、希土類元素およびSiから選ばれる1種以上であり、0≦a<1、0<b≦1、0≦x≦1である。)にて構成されていてもよい。中でも、Ti1−a−bAlab(Cx1−x)(ただし、MはTiとAlを除く周期表4、5、6族元素、YおよびSiから選ばれる1種以上、0.40≦a≦0.65、0≦b≦0.3、0≦x≦1)からなることが、被覆層7の硬度および耐酸化性を高める点で望ましい。さらには、上記組成の中でも、Ti1−a−b−c−dAlSi(C1−x)(ただし、MはTiとWを除く周期表第4、5、6族元素、希土類元素から選ばれる1種以上であり、0.4≦a≦0.65、0≦b≦0.3、0≦x≦1である。)からなることが望ましく、この組成領域では、酸化開始温度が高くなって耐酸化性が高くて切削時の耐摩耗性が向上するとともに切刃先端に発生しやすいチッピングが抑制できて耐欠損性が高いものとなる。また、金属MはNb、Mo、Ta、Hf、Yから選ばれる1種以上であるが、中でもNbまたはMoを含有することが耐摩耗性・耐酸化性に最も優れる点で望ましい。
さらに、被覆層7の非金属成分であるC、Nは切削工具に必要な硬度および靭性に優れたものであり、被覆層7の表面に発生するドロップレットの過剰な発生を抑制するために、x(C含有比率)の特に望ましい範囲は0≦x≦0.5である。なお、被覆層7の組成はエネルギー分散型X線分光(EDS)分析法またはX線光電子分光(XPS)分析法にて測定できる。
なお、本発明の切削工具1において、被覆層7の表面には機械加工が施されていなくても上記構成を実現でき、複雑な形状の工具1においても適応可能であるとともに製造工程の簡略化が可能である。
また、切刃部5における被覆層7の層厚tが中央部8における被覆層7の層厚tよりも薄くなる傾向にあるが、その比率(切刃部5での層厚t/中央部8での層厚t)は0.7以上であることが、工具1の耐摩耗性を高めるために望ましい。さらに、被覆層7の組成は、切刃部5における被覆層7のTiとAlとの総量に対するTiの比率をTi、中央部8における被覆層7のTiとAlとの総量に対するTiの比率をTiとしたとき、Ti/Tiが1〜1.2であることが、切刃部5に求められる耐摩耗性および中央部8に求められる耐欠損性のバランスを最適化する点で望ましい。
なお、被覆層7中の各元素の含有比率は、透過型電子顕微鏡測定装置に備え付けられたエネルギー分散型X線分光(EDS)分析装置を用いて測定することができ、被覆層7中のTi含有比率は各元素のピーク強度の総和とTi元素のピーク強度との比率で算出される。ここで、エネルギー分散型X線分光(EDS)分析法におけるTiのLα線のピーク(エネルギー0.4keV付近)についてはN元素のKα線のピークと重なって正確な測定ができないために、N元素が含有される可能性がある場合にはこのピークは算出に用いるピークから外してTiのKα線のピーク(エネルギー4.5keV付近)を用いてTi、Tiとも算出し、その比Ti/Tiを求める。また、本発明によれば、Ti、Tiの測定に際してはそれぞれ被覆層7の任意5箇所以上の測定値に基づいてその平均値として求めるものとする。
また、基体6としては、炭化タングステンや、炭窒化チタンを主成分とする硬質相とコバルト、ニッケル等の鉄族金属を主成分とする結合相とからなる超硬合金やサーメットの他、窒化ケイ素や、酸化アルミニウムを主成分とするセラミック、多粒子ダイヤモンドや立方晶窒化ホウ素からなる硬質相と、セラミックスや鉄族金属等の結合相とを超高圧下で焼成する超高圧焼結体等の硬質材料が好適に使用される。
(製造方法)
次に、本発明の切削工具の製造方法について説明する。
まず、工具形状の基体を従来公知の方法を用いて作製する。次に、この基体の表面に、被覆層を成膜する。被覆層の成膜方法として、イオンプレーティング法やスパッタリング法等の物理蒸着(PVD)法が好適に適応可能である。成膜方法の詳細についての一例を説明すると、被覆層をイオンプレーティング法で作製する場合には、金属チタン(Ti)、金属アルミニウム(Al)、金属M(ただし、MはTiを除く周期表第4、5、6族元素、希土類元素およびSiから選ばれる1種以上)をそれぞれ独立に含有する金属ターゲットまたは複合化した合金ターゲットに用いる。
成膜条件としては、このターゲットを用いて、アーク放電やグロー放電などにより金属源を蒸発させイオン化すると同時に、窒素源の窒素(N)ガスや炭素源のメタン(CH)/アセチレン(C)ガスと反応させる条件が好適に採用できる。このとき、窒素(N)ガスまたはこれにアルゴン(Ar)ガスを添加した混合ガスを用いて、試料を400〜600℃に加熱した状態で、イオンプレーティング法またはスパッタリング法によって30〜200Vのバイアス電圧を印加しながら被覆層を成膜する。このとき、成膜する前に100〜300Vのバイアス電圧で30〜60分の表面処理を行い、かつ成膜の途中で
100〜300Vのバイアス電圧で5〜10分の表面処理を行いながら成膜することによって、上述した本発明の被覆層の構成を形成することができる。
平均粒径0.5μmの炭化タングステン(WC)粉末に対して、金属コバルト(Co)粉末を10質量%、炭化バナジウム(VC)粉末を0.2質量%、炭化クロム(Cr)粉末を0.8質量%の割合で添加、混合し、刃先交換式切削工具(DCGT11T302FR−U)インサート形状に成型して焼成した。そして、研削工程を経た後、アルカリ、酸、蒸留水の順によって表面を洗浄してインサート基体を作製した。
そして、アークイオンプレーティング装置内に上記基体をセットし基体を表1に示す温度に加熱して表1に示す被覆層を成膜した。また、成膜中の表面処理条件についても表1に示した。なお、成膜条件は窒素ガスとアルゴンガスの混合ガスを総圧力4Paの雰囲気中、アーク電流150Aとした。また、バイアス電圧については電圧と略して記載し、時間については表面処理時間を除いた正味の成膜時間を記載した。さらに、表1の表面処理条件における成膜中の時期とは、表面処理を開始するまでに成膜した時間を示している。
得られたインサートについて、キーエンス社製走査型電子顕微鏡(VE8800)を用いて、被覆層の外表面と断面それぞれについて倍率5000倍にて組織観察を行い、被覆層を構成する粒子の性状や層厚(t、t)を確認した。また、同装置に付随のEDAXアナライザ(AMETEK EDAX-VE9800)を用いて加速電圧15kVにてエネルギー分散型X線分光(EDS)分析法の一種であるZAF法により被覆層の組成の定量分析を行い、切刃部と中央部それぞれについてTiとAlの比率であるTi/(Ti+Al)を算出した(切刃部Ti、中央部Ti)。なお、この方法で測定できなかった元素については、PHI社製X線光電子分光分析装置(Quantum2000)を用い、X線源はモノクロAlK(200μm、35W、15kV)を測定領域約200μmに照射して測定を行った。結果は表2に示した。
また、上記被覆層の断面については透過型電子顕微鏡(TEM)にて観察して組織状態の詳細を確認し、縦長粒子の平均粒子幅を算出した。結果は表2に記載した。
さらに、得られたインサートを用いて以下の切削条件にて切削試験を行った。結果は表2に記載した。
切削方法:外径旋削
被削材 :S45C
切削速度:100m/分
送り :0.04mm/刃
切り込み:1.5mm
切削状態:湿式
評価方法:60分間切削した時点で、逃げ面摩耗量と切刃におけるチッピング状態、被削材の加工面粗度を測定。
表1〜3より、被覆層を外表面から顕微鏡にて観察した組織において、切刃部における平均粒径が0.5μmより小さい粒状粒子として観察される試料No.11では、切刃部での初期摩耗が大きく、その後も摩耗の進行が早かった。切刃部における平均粒径が2μmを超える試料No.15でも、切刃における耐摩耗性が悪かった。また、中央部における平均粒径が0.1μmよりも小さい試料No.13では、内部応力によって耐チッピング性が低下して切屑が衝突した部分に被覆層の剥離が発生した。逆に、中央部における平均粒径が0.8μmを超える試料No.12でも、切屑の衝突による被覆層の剥離が発生した。
これに対し、被覆層を外表面から顕微鏡にて観察した組織が、切刃部においては平均粒径0.5〜2μmの粒状粒子として観察され、かつ切刃部から離れた中央部では平均粒径0.1〜0.5μmの粒状粒子として観察される試料No.1〜10では、耐欠損性と耐摩耗性が良くて切削性能に優れたものであった。
本発明の切削工具の一例を示す概略斜視図である。 本発明の切削工具の被覆層を外表面から走査型電子顕微鏡にて観察した組織の一例であり、(a)切刃部、(b)中央部である。 図2の切削工具の被覆層を含む断面から走査型電子顕微鏡にて観察した組織の一例であり、(a)切刃部、(b)中央部である。
符号の説明
1 切削工具(工具)
3 すくい面
4 逃げ面
5 切刃部
6 基体
7 被覆層
8 中央部

Claims (5)

  1. すくい面と逃げ面との交差稜線部を切刃とし、基体の表面に被覆層を被覆してなる切削工具において、前記被覆層を外表面から顕微鏡にて観察した組織が、切刃部においては平均粒径0.5〜2μmの粒状粒子として観察され、該切刃部から離れた中央部では平均粒径0.1〜0.8μmの粒状粒子として観察されることを特徴とする切削工具。
  2. 前記切刃部における前記被覆層の表面でのスキューネスRskeが、前記中央部における被覆層の表面でのスキューネスRskcよりも小さい(Rske<Rskc)ことを特徴とする請求項1記載の切削工具。
  3. 前記被覆層を断面から顕微鏡にて観察した組織が、前記切刃部においては平均粒子幅0.02〜0.3μmの縦長粒子として観察され、前記中央部では平均粒子幅0.1〜0.5μmの縦長粒子として観察されることを特徴とする請求項1または2記載の切削工具。
  4. 前記切刃部における前記被覆層の表面での硬度Hが、前記中央部における前記被覆層の表面での硬度Hよりも高い(H>H)ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載の切削工具。
  5. 前記被覆層は、Ti1−a−bAlab(Cx1−x)(ただし、MはTiを除く周期表4、5、6族元素、YおよびSiから選ばれる1種以上、0.40≦a≦0.65、0≦b≦0.3、0≦x≦1)からなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか記載の切削工具。
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