JP4942495B2 - 表面被覆工具 - Google Patents

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Description

本発明は基体の表面に被覆層を成膜してなる表面被覆工具に関する。
現在、切削工具や耐摩部材、摺動部材といった表面被覆工具では耐摩耗性や摺動性、耐欠損性が必要とされるため、WC基超硬合金やTiCN基サーメット等の硬質基体の表面に様々な被覆層を成膜して表面被覆工具の耐摩耗性、摺動性、耐欠損性を向上させる手法が使われている。
かかる被覆層として、TiCN層やTiAlN層が一般的に広く採用されているが、より高い耐摩耗性と耐欠損性の向上を目的として種々な被覆層が開発されつつある。
例えば、特許文献1では、TiAlN硬質膜を構成する結晶粒を横方向の結晶粒経が0.1〜0.4μmで、結晶粒経の縦/横比の平均値が1.5〜7の柱状結晶とすることにより、耐酸化性、強度、切削特性に優れた工具となることが記載されている。また、特許文献2では、工具母材の表面に、TiとAlの比率の異なる低硬度TiAlN皮膜と高硬度TiAlN皮膜の2層を順に積層した多層型硬質皮膜を被着形成した皮膜構造について開示されており、母材との密着性に優れるとともに耐摩耗性に優れる皮膜となることが記載されている。また、特許文献3では、TiとAlの比率を厚さ方向で周期的に変化させた高耐摩耗性工具が開示され、高速の断続切削に対する耐久性が向上することが記載されている。さらに、特許文献4では、工具母材の表面にTiAlN層を成膜した切削工具において、Ti/Alの比をエッジ部において最も高くなるように制御することによって工具寿命が長くなることが記載されている。
特許3526392号公報 特開平11−61380号公報 特開平7−48666号公報 特開平8−267306号公報
しかしながら、特許文献1のようにTiAlNを単純に柱状結晶にすると被覆層内部に内部応力が発生してしまい、特に柱状結晶の横方向の結晶幅を短くすると被覆層の硬度は向上するものの内部応力が大きくなる傾向になって、切削性能の向上には限界があった。また、特許文献2や特許文献3のように被覆層の厚み方向にTiとAlの比率を変化させる方法では、被覆層内の結晶成長が阻害されて柱状結晶が成長しにくくなる結果、被覆層の硬度と靭性が不十分であった。また、特許文献4のように工具のエッジ部のみについてTi/Alの比を高くする方法では、Ti/Alの比を高くすると被覆層の硬度が低下するのでエッジ部における被覆層は低硬度であり、切削によって早期に被覆層が摩耗してしまうという問題があった。また、被覆層の切刃以外の他の均一な部分においては硬度が高いものの被覆層の内部応力も高くて部分的に基体からの剥離や自己破壊による被覆層の欠損が発生してしまうおそれがあった。
そこで、本発明の表面被覆工具は上記問題を解決するためのものであり、その目的は、耐摩耗性が高く、かつ高い耐欠損性を有する表面被覆工具を提供することである。
本発明の表面被覆工具は、基体の表面に、Ti1−a−bAl(C1−x)(ただし、MはTiを除く周期表第4、5、6族元素、希土類元素およびSiから選ばれる1種以上であり、0.4≦a≦0.65、0≦b≦0.3、0≦x≦1である。)からなる被覆層を被覆した表面被覆工具であって、前記被覆層は前記基体の表面に対して垂直に伸びる柱状結晶を主体とした組織からなるとともに、前記柱状結晶は、前記被覆層全体のTi含有比率をTiとしたとき、比Ti/Tiが1.2〜5となるTi含有比率がTiの富Ti柱状結晶が分散していることを特徴とする。
ここで、上記構成において、前記被覆層中の柱状結晶の平均結晶幅に対して前記富Ti柱状結晶の結晶幅が3倍以上であることが望ましい。
また、上記構成において、前記柱状結晶の平均結晶幅が0.02〜0.1μmであり、前記富Ti柱状結晶の平均結晶幅が0.1〜1μmであることが望ましい。
さらに、上記構成において、前記富Ti柱状結晶が平均0.5〜10μmの間隔で存在することが望ましい。
また、上記構成において、前記富Ti柱状結晶の直下に、前記柱状結晶の平均結晶幅よりも大きい粒径の粒状結晶が存在していることが望ましい。
本発明の表面被覆工具は、被覆層がTiとAlを特定の比率で含む組成からなるとともに、基体の表面に対して垂直に伸びる柱状結晶を主体としてこれが基体の表面から並列に並んだ組織からなり、かつ前記柱状結晶中にTi含有比率がTiの富Ti柱状結晶が分散していることが大きな特徴である。これによって、被覆層の硬度、靭性および耐酸化性が向上して高い耐摩耗性を有するとともに、被覆層内に発生する内部応力を低減して工具の耐欠損性を改善することができる。
ここで、上記構成において、前記被覆層中の柱状結晶の平均結晶幅に対して前記富Ti柱状結晶の結晶幅が3倍以上であることが、被覆層中の内部応力を低減する効果が高い点で望ましい。また、この構成において、前記柱状結晶の平均結晶幅が0.02〜0.1μmであり、前記富Ti柱状結晶の平均結晶幅が0.1〜1μmであることが、被覆層中の高硬度を維持しつつ内部応力を効果的に低減することができる点で望ましい。
また、上記構成において、前記富Ti柱状結晶が平均0.5〜10μmの間隔で存在することが、被覆層が局所的に摩耗することなく高い耐摩耗性を維持したまま被覆層中の内部応力を効果的に低減することができる点で望ましい。
さらに、上記構成において、前記富Ti柱状結晶の直下に、前記柱状結晶の平均結晶幅よりも大きい粒径の粒状結晶が存在していることが、富Ti柱状結晶の生成を促すことができるとともに、富Ti柱状結晶が被覆層中で脱落することなく強固に密着できる点で望ましい。
本発明の表面被覆工具の好適例である表面被覆切削工具の一例について図1の概略斜視図並びに図2の被覆層断面についての模式図を基に説明する。
図1に示す表面被覆切削工具(以下、単に工具と略す)1は、すくい面10と逃げ面11との交差稜線が切刃12である形状をなし、かつ基体2の表面に被覆層3を成膜した構成となっている。
被覆層3は、Ti1−a−bAl(C1−x)(ただし、MはTiを除く周期表第4、5、6族元素、希土類元素およびSiから選ばれる1種以上であり、0.4≦a≦0.65、0≦b≦0.3、0≦x≦1である。)からなる。そして、本発明の表面被覆工具は、図2に示すように、被覆層3は基体2の表面に対して垂直に伸びる柱状結晶5を主体とした組織からなるとともに、柱状結晶5は、被覆層3全体のTi含有比率をTiとしたとき、比Ti/Tiが1.2〜5となるTi含有比率がTiの富Ti柱状結晶5aが分散していることが大きな特徴である。
これによって、被覆層3の硬度、靭性および耐酸化性が向上して高い耐摩耗性を有するとともに、被覆層3内に発生する内部応力を低減して工具1の耐欠損性を改善することができる。ここで、富Ti柱状結晶5aの比Ti/Tiが1.2未満では被覆層3中の内部応力の低減効果が小さく、比Ti/Tiが5より大きいと被覆層3の耐摩耗性が低下する。被覆層3の内部応力を低減しつつ被覆層3の高硬度を維持するためには、比Ti/Tiが1.8〜2.2であることが望ましい。
なお、柱状結晶中の各元素の含有比率は、透過型電子顕微鏡測定装置に備え付けられたエネルギー分散型X線(EDS)分析装置を用いて測定することができ、柱状結晶中のTi含有比率は各元素のピーク強度の総和とTi元素のピーク強度との比率で算出される。ここで、エネルギー分散型X線(EDS)分析におけるTiのLα線のピーク(エネルギー0.4keV付近)についてはN元素のKα線のピークと重なって正確な測定ができないために、N元素が含有される可能性がある場合にはこのピークは算出に用いるピークから外してTiのKα線のピーク(エネルギー4.5keV付近)を用いてTi、Tiとも算出し、その比Ti/Tiを求める。また、本発明によれば、Tiの測定に際しては被覆層3の任意5箇所以上の測定値に基づいてその平均値として求めるものとする。
しかも、上記構成によって、被覆層3の内部に発生する残留応力を低減できて被覆層3の厚みを厚くしても自己破壊することなく安定した成膜が可能であるとともに、被覆層3の靭性が高くて耐欠損性が向上する。そのため、上記被覆層3は厚膜化しても被覆層3がチッピングしにくく、被覆層3の膜厚が0.5〜6μmであっても、被覆層3が剥離やチッピングすることを防止できて十分な耐摩耗性を維持することができる。
なお、被覆層3の組成については、上記組成の中でも、Ti1−a−b−c−dAlSi(C1−x)(ただし、MはTiを除く周期表第4、5、6族元素、希土類元素およびSiから選ばれる1種以上であり、0.4≦a≦0.65、0≦b≦0.3、0≦x≦1である。)からなることが望ましく、この組成領域では、酸化開始温度が高くなって耐酸化性が高くて切削時の耐摩耗性が向上するとともに切刃先端に発生しやすいチッピングが抑制できて耐欠損性が高いものとなる。また、金属MはNb、Mo、Ta、Hf、Yから選ばれる1種以上であるが、中でもNbまたはMoを含有することが耐摩耗性・耐酸化性に最も優れる点で望ましい。
さらに、被覆層3の非金属成分であるC、Nは切削工具に必要な硬度および靭性に優れたものであり、被覆層3表面に発生するドロップレットの過剰な発生を抑制するために、x(C含有比率)の特に望ましい範囲は0≦x≦0.5である。なお、被覆層3の組成はエネルギー分散型X線分析法(EDX)またはX線光電子分光分析法(XPS)にて測定できる。
ここで、被覆層3中の柱状結晶5の平均結晶幅に対して富Ti柱状結晶5aの結晶幅が3倍以上であることが、被覆層3中の内部応力を効果的に低減することができる点で望ましい。特に、被覆層3中の内部応力を低減しつつ被覆層3の硬度を維持するためには、被覆層3中の柱状結晶5の平均結晶幅に対して富Ti柱状結晶5aの結晶幅が5〜30倍の範囲であることが望ましい。また、この構成において、柱状結晶5の平均結晶幅が0.02〜0.1μmであり、富Ti柱状結晶5aの平均結晶幅が0.1〜1μmであることが、被覆層3中の内部応力をさらに効果的に低減することができるとともに、被覆層3の硬度および耐酸化性を維持できる点で望ましい。なお、被覆層3中の柱状結晶5の結晶幅は、図2に示すように、柱状結晶5をなす被覆層3の中間の厚さにあたる部分に引いた線Aにて測定する。被覆層3中の柱状結晶5の平均結晶幅wは線Aの100nm以上の長さLを特定し、この長さLの線Aを横切る粒界の数を数えて、長さL/粒界の数によって算出することができる。富Ti柱状結晶5aの結晶幅については、同様の位置にて各富Ti柱状結晶5aの結晶幅wをそれぞれ測定する。また、本発明における柱状結晶とは基体表面と平行な方向の結晶幅に対して基体表面と垂直な方向の結晶長さが1.5倍以上長い結晶のことを指す。
また、上記構成において、富Ti柱状結晶5aが平均0.5〜10μmの間隔で存在することが、被覆層3の高硬度を維持したまま被覆層3中の内部応力を効果的に低減することができる点で望ましい。
さらに、上記構成において、富Ti柱状結晶5aの直下に、柱状結晶5の平均結晶幅よりも大きい粒径の粒状結晶7が存在していることが、富Ti柱状結晶5aの生成を促すことができるとともに、富Ti柱状結晶5aが被覆層3中で脱落することなく強固に密着できる点で望ましい。
さらに、粒状結晶7は、Alを主成分とするか、TiまたはM(ただし、MはTiを除く周期表第4、5、6族元素、希土類元素およびSiから選ばれる1種以上である。)を主成分とする粒状結晶からなり、平均粒径が0.05〜1μmであることが、被覆層3の硬度と靭性を両立できる点で望ましい。特に、粒状結晶7は、少なくともAlの含有比率が前記被覆層の全体における含有比率より多いAl系粒状結晶と、TiまたはMの含有比率が被覆層3の全体における含有比率より多いTi/M系粒状結晶とを含むことが望ましい。これによって、異なった硬度および靭性を有する粒状結晶7が存在し、これらの粒状結晶7の分散状態を制御することによって、被覆層3の耐摩耗性および耐欠損性のバランスを調整ことができる。なお、M(ただし、MはTiを除く周期表第4、5、6族元素、希土類元素およびSiから選ばれる1種以上である。)元素としては、特にW、Nb、Mo、Siが上方に富Ti柱状結晶5aが形成しやすい大きさの粒状結晶7を形成する点で望ましい。
なお、断面組織観察における粒状結晶7の存在比率は0.1〜30面積%であることが、被覆層3の耐欠損性を高めることができるとともに、被覆層3の耐摩耗性を維持できる点で望ましい。
また、基体2としては、炭化タングステンや、炭窒化チタンを主成分とする硬質相とコバルト、ニッケル等の鉄族金属を主成分とする結合相とからなる超硬合金やサーメットの他、窒化ケイ素や、酸化アルミニウムを主成分とするセラミック、多結晶ダイヤモンドや立方晶窒化ホウ素からなる硬質相と、セラミックや鉄族金属等の結合相とを超高圧下で焼成する超高圧焼結体等の硬質材料が好適に使用される。
(製造方法)
次に、本発明の表面被覆工具の一例である表面被覆切削工具の製造方法について説明する。
まず、工具形状の基体2を従来公知の方法を用いて作製する。次に、基体2の表面に、被覆層3を成膜する。被覆層3の成膜方法として、イオンプレーティング法やスパッタリング法等の物理蒸着(PVD)法が好適に適応可能である。成膜方法の一例についての詳細について説明すると、被覆層3をイオンプレーティング法で作製する場合には、金属チタン(Ti)、金属アルミニウム(Al)、金属M(ただし、MはTiを除く周期表第4、5、6族元素、希土類元素およびSiから選ばれる1種以上)をそれぞれ独立に含有する金属ターゲットまたは複合化した合金ターゲットに用いる。
このとき、本発明によれば、金属または合金ターゲット中のTi金属とともにTiの炭化物、窒化物、酸化物、硼化物、炭窒化物等の化合物を分散させたターゲットを用いることによって、成膜された被覆層3中に富Ti柱状結晶5aを生成させることができる。また、ターゲット中に0.05〜0.3質量%の酸素を含有するように調整することによって、被覆層3内にドロップレット(粒状結晶7)が付着した場合でも、その粒状結晶7の表面が酸化されることから粒状結晶7の上部に微細な柱状結晶5が成長しやすい。また、理由は不明であるが、上記本発明の粒状結晶7の上部には富Ti柱状結晶5aが成長しやすい傾向にある。
そして、このターゲットを用いて、アーク放電やグロー放電などにより金属源を蒸発させイオン化すると同時に、窒素源の窒素(N)ガスや炭素源のメタン(CH)/アセチレン(C)ガスと反応させて成膜する。このとき、窒素に対するアルゴンガス流量が1:9〜4:6の割合の窒素(N)ガスとアルゴン(Ar)ガスの混合ガスを用いて、イオンプレーティング法またはスパッタリング法によって被覆層3を成膜する。このとき、ターゲット中の各金属元素が蒸発して基体2の表面に付着するが、Ti化合物は不均一な蒸発状態となるので、結果的に成膜された被覆層3中に富Ti柱状結晶5aが生成しやすくなる。また、蒸気圧の低いAlやM元素は大きな球状の塊として蒸発してそのまま基体2の表面に、いわゆるドロップレット(粒状結晶7)として付着する。このとき、M元素はTiとのなじみが良いのでM元素を多く含む粒状結晶中にはTiも多く固溶してM元素またはTiのいずれも多く含まれ、いずれかが主成分となる。そして、粒状結晶7の上部にも富Ti粒状結晶が成長しやすくなる。その結果、成膜された被覆層3中に富Ti柱状結晶5aが分散した組織となる。
なお、イオンプレーティング法やスパッタリング法で上記被覆層3を成膜する際には、被覆層3の結晶構造および配向性を制御して高硬度な被覆層3を作製できるとともに基体2との密着性を高めるために30〜200Vのバイアス電圧を印加することが好ましい。
平均粒径0.5μmの炭化タングステン(WC)粉末に対して、金属コバルト(Co)粉末を10質量%、炭化バナジウム(VC)粉末と炭化クロム(Cr)粉末を合計で1質量%の割合で添加、混合し、刃先交換式切削工具(CNMG0408)インサート形状に成型して焼成した。そして、研削工程を経た後、アルカリ、酸、蒸留水の順によって表面を洗浄してインサート基体を作製した。
そして、表1に示すターゲットを装着したアークイオンプレーティング装置内に上記基体をセットし基体を550℃に加熱して表1に示す被覆層を成膜した。なお、成膜条件は窒素ガスとアルゴンガスの混合ガスを総圧力4Paの雰囲気中、アーク電流150A、バイアス電圧50Vとした。
得られたインサートについて、キーエンス社製走査型電子顕微鏡(VE8800)を用いて倍率500倍にて観察を行い、同装置に付随のEDAXアナライザ(AMETEK EDAX-VE9800)を用いて加速電圧15kVにてエネルギー分散型X線分光分析(EDX)法の一種であるZAF法により被覆層の組成の定量分析を行った。また、この方法で測定できなかった元素については、PHI社製X線光電子分光分析装置(Quantum2000)を用い、X線源はモノクロAlK(200μm、35W、15kV)を測定領域約200μmに照射して測定を行った。結果は表1に示した。
Figure 0004942495
さらに、上記被覆層を透過型電子顕微鏡(TEM)にて観察して分散粒子の有無を確認し、さらに分散粒子についてはエネルギー分散分光分析法(EDS)によって中心部と外周部の組成を定量した。また、1μm×5μmの任意領域3箇所について分散粒子の存在割合を算出した。結果は表2に記載した。
Figure 0004942495
次に、得られたインサートを用いて以下の切削条件にて切削試験を行った。結果は表3に記載した。
切削方法:旋削
被削材 :SCM450(4本溝)
切削速度:150m/min
送り :0.2mm/rev
切り込み:1.5mm
切削状態:乾式
評価方法:欠損するまでの衝撃回数及び摩耗・欠損状態の確認
Figure 0004942495
表1〜3より、分散化合物を含有しないターゲットを用いて成膜し富Ti柱状結晶が分散しない試料No.9では、切刃にチッピングが発生して早期に欠損に至った。また、粒状結晶からなる試料No.10では耐摩耗性が悪く工具寿命の短いものであった。さらに、比Ti/Tiが1.2より小さく富Ti柱状結晶がない試料No.11でも、切刃にチッピングが発生して早期に欠損に至った。
これに対し、前記基体の表面に対して垂直に伸びる柱状結晶を主体としてこれが並んだ組織からなるとともに、前記柱状結晶は、前記被覆層全体のTi含有比率をTiとしたとき、比Ti/Tiが1.2〜5となるTi含有比率がTiの富Ti柱状結晶が分散している試料No.1〜8では、耐欠損性と耐摩耗性が良くて切削性能に優れたものであった。
本発明の表面被覆工具の一例を示す概略斜視図である。 本発明の表面被覆工具の一例を示し、被覆層についての要部断面模式図である。
符号の説明
1 工具
2 基体
3 被覆層
5 柱状結晶
5a 富Ti柱状結晶
7 粒状結晶
10 すくい面
11 逃げ面
12 切刃

Claims (5)

  1. 基体の表面に、Ti1−a−bAl(C1−x)(ただし、MはTiを除く周期表第4、5、6族元素、希土類元素およびSiから選ばれる1種以上であり、0.4≦a≦0.65、0≦b≦0.3、0≦x≦1である。)からなる被覆層を被覆した表面被覆工具であって、前記被覆層は前記基体の表面に対して垂直に伸びる柱状結晶を主体としてこれが並んだ組織からなるとともに、前記柱状結晶は、前記被覆層全体のTi含有比率をTiとしたとき、比Ti/Tiが1.2〜5となるTi含有比率がTiの富Ti柱状結晶が分散していることを特徴とする表面被覆工具。
  2. 前記被覆層中の柱状結晶の平均結晶幅に対して前記富Ti柱状結晶の結晶幅が3倍以上であることを特徴とする請求項1記載の表面被覆工具。
  3. 前記柱状結晶の平均結晶幅が0.02〜0.1μmであり、前記富Ti柱状結晶の平均結晶幅が0.1〜1μmであることを特徴とする請求項2記載の表面被覆工具。
  4. 前記富Ti柱状結晶が平均0.5〜10μmの間隔で存在することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載の表面被覆工具。
  5. 前記富Ti柱状結晶の直下に、前記柱状結晶の平均結晶幅よりも大きい粒径の粒状結晶が存在していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか記載の表面被覆工具。
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