JP2008075178A - 厚膜被覆部材及び厚膜被覆部材の製造方法 - Google Patents

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和幸 久保田
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Abstract

【課題】本願発明の課題は硬質皮膜の厚膜化である。T値を6μmから30μmとしても、圧縮応力の低減化を図り、密着性を損なわずに、耐摩耗性、耐欠損性の優れた厚膜被覆部材及び厚膜被覆部材の製造方法を提供すること。
【解決手段】物理的蒸着による硬質皮膜は、Mex(NyCzOv)で表され、但し、Meは、周期律表4a、5a、6a族、Al、Si、B、Sから選択される2種以上の元素を有し、x、y、z、vは原子%で含有量を表し、x+y+z+v=100、0≦z≦10、0≦v≦10、であり、硬質皮膜の有するドロップレットを起点に結晶成長した化合物の結晶粒が皮膜表面に突き出しており、化合物の結晶粒の長手方向長さをh(μm)、硬質皮膜の膜厚T(μm)としたとき、6≦T≦30、0.1≦h/T≦1.2であることを特徴とする厚膜被覆部材である。
【選択図】図2

Description

本願発明は、金属部品加工、特に旋削、転削等の切削工具や耐摩工具等に用いる耐摩耗性や耐欠損性の向上が要求される厚膜被覆部材及び厚膜被覆部材の製造方法に関する。
金属材料等を加工する被覆部材や工具には、高硬度で耐熱性の優れた皮膜を被覆したものが用いられている。そこで、物理的蒸着(以下、PVDと記す。)法による皮膜の耐摩耗性を改善することを目的に、特許文献1から5が開示されている。
特開2002−96206号公報 特開2003−136302号公報 特開2003−145313号公報 特開2001−277006号公報 特開2003−145306号公報
本願発明が解決しようとする課題は、硬質皮膜の厚膜化である。T値を6μmから30μmとしても、高硬度、耐熱性といった優れた機械的特性を維持しながら、圧縮応力の低減化を図り、密着性を損なわずに、耐摩耗性、耐欠損性の優れた厚膜被覆部材及び厚膜被覆部材の製造方法を提供することである。
本願発明は、物理的蒸着による硬質皮膜が被覆された部材において、該硬質皮膜は、Mex(NyCzOv)で表され、但し、Meは、周期律表4a、5a、6a族、Al、Si、B、Sから選択される2種以上の元素を有し、x、y、z、vは原子%で含有量を表し、x+y+z+v=100、0≦z≦10、0≦v≦10、であり、該硬質皮膜の有するドロップレットを起点に結晶成長した化合物の結晶粒が皮膜表面に突き出しており、該化合物の結晶粒の長手方向長さをh(μm)、該硬質皮膜の膜厚T(μm)としたとき、6≦T≦30、0.1≦h/T≦1.2、であることを特徴とする厚膜被覆部材である。上記の構成要件を満たすことにより、硬質皮膜の厚膜化が可能となる。そして、T値が6μmから30μm以下としても、高硬度、耐熱性といった優れた機械的特性を維持しながら、圧縮応力の低減化を図り、密着性を損なわずに、耐摩耗性、耐欠損性の優れた厚膜被覆部材を提供することができる。
本願発明の厚膜被覆部材は、(y+z+v)/xの値をαとしたとき、1.05≦α≦1.25、であることが好ましい。また、硬質皮膜は柱状結晶構造を有し、柱状結晶は組成変調を有することが好ましい。
本願発明の厚膜被覆部材の製造方法は、基体温度を550℃から800℃、反応圧力を5Paから15Paの範囲で成膜することが好ましい。また、バイアス電圧は20Vから200Vの範囲、パルス周期は5kHzから35kHz、であることが好ましい。
本願発明により、硬質皮膜の厚膜化が可能となった。T値を6μmから30μmとしても、高硬度、耐熱性といった優れた機械的特性を維持しながら、圧縮応力の低減化を図り、密着性を損なわずに、耐摩耗性、耐欠損性の優れた厚膜被覆部材及び厚膜被覆部材の製造方法を提供することができた。
本願発明の厚膜被覆部材において物理的蒸着による硬質皮膜は、Mex(NyCzOv)で表され、但し、Meは、周期律表4a、5a、6a族、Al、Si、B、Sから選択される2種以上の元素を有し、x、y、z、vは原子%で含有量を表し、x+y+z+v=100、0≦z≦10、0≦v≦10、である。例えば、炭窒化物をMex(NyCz)、酸窒化物をMex(NyOv)、酸炭窒化物をMex(NyCzOv)と表したときに、厚膜の優れた硬質皮膜被覆部材を実現することが可能となる。本願発明の硬質皮膜は、N元素とC元素やO元素も含有する。これは、硬質皮膜の潤滑特性を更に向上させるからである。この場合、炭化水素系ガスやO含有ガスを使用して添加することや、固体蒸発源にCやOを含有させることも可能であり、優れた潤滑特性が得られる。ここで、z、vが10を超えると硬質皮膜の結晶組織が微細化し、結晶粒界にける欠陥が増大してしまう欠点が現れ圧縮応力の低減化に不都合となる。そのため、硬質皮膜の潤滑特性が大きく改善されても、欠損性などの機械的特性が著しく劣化する。
本願発明の厚膜被覆部材において、圧縮応力の低減化を図って硬質皮膜の厚膜化を可能とするためには、硬質皮膜に含有するドロップレットを起点として結晶成長する化合物の結晶粒をより巨大な柱状結晶粒へと成長させる必要がある。圧縮応力の低減化には、硬質皮膜に含まれる結晶の格子歪に起因する格子欠陥を減少させるのである。この理由は、格子欠陥が増大すると、結晶がその成長過程で分断され、粒界が発生しやすくなり、歪はこの粒界に多く存在し、残留圧縮応力を増大させるからである。粒界を多く発生させると、その部分に歪が集中するため、粒界間の接合強度は低く、厚膜被覆部材の断面組織は微細化し、更に外部から強い衝撃を受けたときに、その粒界部分から破壊しやすくなる傾向があり不都合である。即ち、圧縮応力の低減化は、硬質皮膜に含まれる結晶の格子歪を低減させることである。格子歪を低減させると、結晶構造が面心立方構造の厚膜被覆部材の場合、その組成にも依存するが、(111)面や(200)面へ強く配向するようになり、結晶成長過程において、歪による結晶の分断を減少させることができる。これによって、巨大な柱状結晶を含ませることが可能となる。本願発明の厚膜被覆部材は、この巨大な柱状結晶を含ませることが大切な要素となる。巨大な柱状結晶を含ませるには、硬質皮膜に含有するドロップレットを起点として結晶成長する化合物の結晶粒を、より巨大な柱状結晶粒へと成長させることによって可能となる。即ち、本願発明は、ドロップレットの制御と、その積極的活用を提案する。ここで言うドロップレットとは、成膜時に固体蒸発源から発生し、固体蒸発源組成の溶融金属が基体に付着するものである。従って、ガス成分と殆ど反応せずに皮膜に取り込まれる。その形状は、球状や液滴状のものが代表的である。
本願発明において、このドロップレットを起点として結晶成長した化合物の結晶粒を巨大な柱状結晶粒へと成長させることが重要であるとする理由は、第1に、ドロップレットを起点として巨大な柱状結晶粒を存在させることで、皮膜内の欠陥を減少させ、格子歪を低減させて圧縮応力の低減化を図ることができるからである。第2に、皮膜内欠陥の増大による機械的強度の劣化を回避することができるからである。通常は、硬質皮膜を厚膜に成膜すると、硬質皮膜中に含まれるドロップレット量も多くなり、厚膜にする程、皮膜内欠陥が増大し、硬質皮膜の機械的強度の劣化も生じてしまう。この様子を説明するため、硬質皮膜中に含まれるドロップレットの様子を模式的に図1に示す。ドロップレットが、硬質皮膜中に取り込まれたときの様子は、大きく4種類の場合に分類されると考えられる。中でも本願発明では、図1の(2)に示す巨大な柱状結晶粒を存在させるように制御することが重要である。これは(2)の場合、皮膜内の欠陥が減少し、これによる格子歪を低減させて圧縮応力の低減化を図ることができるからである。しかし、図1の(1)、(3)、(4)の状態は不都合な状態である。その理由として、(1)の場合は、成膜途中で基体又は硬質皮膜表面に付着したドロップレットが、化合物として結晶成長をしたものではないからである。特に硬質皮膜表面に付着したものは容易に脱落してしまう。その場合、ドロップレット脱落部分に隙間が発生する。隙間や空孔を含む形で硬質皮膜が形成されると、皮膜の使用中に外部から衝撃を受けたとき、破壊の起点となり、皮膜表面で結晶粒の脱落が発生しやすくなり、被削材との耐凝着性や耐溶着性を著しく劣化させ不都合である。(3)の場合は、ドロップレットが脱落せずに硬質皮膜中に取り込まれている。すると、ドロップレットが付着した周囲では、窒化物などの化合物結晶の成長にとって阻害要因となる。つまり、ドロップレットの外周面に隙間が残留し、化合物の結晶成長が行われなくなるからである。すると、ドロップレット周辺に隙間が出来る。その隙間に不純物が取り込まれやすくなり、欠陥となって硬質皮膜の機械的特性が劣化するため不都合である。(4)の場合は、化合物結晶粒の先端が皮膜表面に突き出さず、表面と水平方向に同じ高さにあることから、化合物結晶粒の先端周辺には隙間が発生して、機械的強度が低減するという不都合がある。そこで、硬質皮膜中に取り込まれるドロップレットの周囲に発生する隙間による皮膜欠陥を低減するためには、ドロップレット表面を起点として、硬質皮膜組成の化合物結晶を成長させ、(2)に示す巨大な柱状結晶粒を存在させるように制御することが重要である。
本願発明の厚膜被覆部材は、T値が6μm以上必要である。6μm未満では、アブレッシブ摩耗に耐える、優れた耐摩耗性が得られない。一方、30μmを超えると、厚膜被覆部材の圧縮応力が増大する。PVD法により厚膜被覆部材を6μm以上に被覆すると、厚膜に残留する圧縮応力が著しく増大し、厚膜の自己破壊発生や基体と皮膜間の密着強度への対策が必要である。圧縮応力は、膜厚に比例して増大する。この増大する理由は、厚膜被覆部材が堆積する際に歪が蓄積され、それが開放されないためである。このため、PVD法を使った被覆においては、圧縮応力の低減化が必要である。
硬質皮膜が有するドロップレットを起点に結晶成長した化合物の結晶粒が、皮膜表面に対し突き出している状態は、0.1≦h/T≦1.2の範囲に制御することによって実現できる。しかし、h/T値が1.2を超えて大きくなると、結晶粒が皮膜表面より極めて大きく突き出る形になり、それが障害となる。例えば切削工具に適用した場合、被削材との耐凝着性や耐溶着性を劣化させる。また、0.1未満のときは、ドロップレットを起点とした化合物の結晶粒が成長せず、皮膜内部に欠陥として残留し、耐欠損性などの機械的特性を劣化する欠点が現れる。
ドロップレットを起点とした結晶粒は、電界放出型透過型電子顕微鏡(日本電子製JEM−2010F型、加速電圧20kV、以下、FE−TEMと記す。)で確認することが可能である。また、電解放射走査型電子顕微鏡(日立製作所製S−4200、以下FE−SEMと記す。)でも確認可能である。
厚膜を有する硬質皮膜の圧縮応力の低減化を図り、高い密着性をもって被覆するためには、皮膜の金属成分と非金属成分との比であるα値が、1.05≦α≦1.25、の範囲になるように制御することが好ましい。その理由は、硬質皮膜の結晶粒の欠陥を低減し、皮膜に残留する圧縮応力の低減化に有効だからである。α値を1.05以上とすることによって硬質皮膜の結晶格子の欠陥は低減される。しかし、1.05未満では、結晶格子は2種以上のMe元素同士が結合する確率が増える。このとき結晶格子の歪が大きくなり、結晶の格子縞の連続性が失われる。そして、硬質皮膜の断面組織が微細化し粒界欠陥が増大する。その結果、残留圧縮応力を増大させ、密着性を劣化させる。例えば、切削工具用の硬質皮膜は、この欠陥が硬質皮膜の密度低下や被加工物を構成する元素の硬質皮膜内部への内向拡散を招き、硬質皮膜の機械的特性である硬度低下や耐欠損性を劣化させる。また、α値が1.25を超えると、硬質皮膜の結晶組織形態は柱状組織を有するが、被覆処理装置内部に残留する不純物が粒界部に取り込まれることとなる。その結果、結晶粒間の接合強度を劣化し、外部からの衝撃によって容易に硬質皮膜が破壊される欠点が現れる。α値を1.05≦α≦1.25の範囲に制御した硬質皮膜の残留圧縮応力は、0.5〜6GPaである。産業的には、α値を求めて管理することが可能である。
α値は、電子プローブマイクロアナライザー(日本電子(株)製JXA−8900R型、以下、EPMAと記す。)を用いて測定できる。硬質皮膜の垂直断面又は傾斜断面において、基体の影響を受けない位置で行い、加速電圧10kV、照射電流1.0μA、プローブ径を10μm程度に設定すれば測定可能である。硬質皮膜表面から測定する場合は、プローブ径を50μm程度に設定すれば測定可能である。
本願発明の厚膜被覆部材における硬質皮膜は柱状結晶構造を有し、柱状結晶は組成変調を有することが好ましい。硬質皮膜の結晶構造を面心立方構造とした場合、組成にも依存するが、(111)面や(200)面へ強く配向させて柱状結晶とし、更にこれを巨大な柱状結晶とすることが好ましい。また、柱状結晶が組成変調を有することによって、軟質、硬質の両方を有する相構造の結晶粒となる。結晶粒に軟質相が含まれることにより、厚膜被覆部材全体の圧縮応力が低下する。その結果、厚膜被覆部材化が実現できる。結晶粒の組成変調の相間は、格子縞が連続して成長するため、機械的強度に優れる。組成変調は、任意に選択される相に於いて、厚膜被覆部材を構成する金属成分元素中で、イオン半径の小さい元素成分の原子%をXとすると、2≦X≦10の範囲が、より好ましい。ここで本願発明における組成変調とは、硬質皮膜を構成する元素の組成が、膜厚方向に向かって変化することである。例えば、(TiAl)Nの場合、Tiよりも軽い元素のAlやNの含有量が、硬質皮膜の膜厚方向に均一に含まれるのではなく、周期的に増減して含まれていることを意味する。柱状結晶の組成変調は、例えば、柱状結晶粒のFE−TEM観察によって確認できる。
本願発明の厚膜被覆部材は、PVD法を使った被覆を行っている。厚膜被覆部材の皮膜密着性を得るためには、圧縮応力の低減化が必要である。圧縮応力増大の現象は、膜厚T値に依存するだけでなく、成膜時に設定する反応圧力、成膜温度にも依存する。また、バイアス電圧値の影響にも依存する。本願発明の特徴である、硬質皮膜の有するドロップレットを起点に結晶成長した化合物の結晶粒が、巨大な柱状結晶粒へと成長し、更に皮膜表面に対し突き出して、0.1≦h/T≦1.2の範囲となるよに制御する手段には、成膜時の基体温度を550℃から800℃、より好ましくは550℃から750℃に設定し、反応圧力を5Paから15Pa、より好ましくは5Paから11Paに制御することが重要である。
成膜温度を550℃以上にする理由は、高温状態にして硬質皮膜を構成する化合物の結晶の元となるイオンが、ドロップレット表面に到達した後、凝固して結晶成長の核を形成するまでの運動エネルギーを高めるためである。そしてドロップレットと化合物界面の格子縞に連続性を持たせるためである。550℃以上で成膜を行うと、化合物の結晶粒における核形成前の原子が、ドロップレット表面で動き回り、ドロップレットと化合物の結晶粒がヘテロエピタキシャルの状態を形成して強固に凝固し、そのドロップレットを起点として化合物の結晶粒が成長しやすくなる。また550℃以上では、核形成した後に成長する結晶粒の歪を緩和させながら成膜して、残留圧縮応力の過度な増大も抑制することが可能となる。しかし、550℃未満では、h/T値が0.1未満となり、ドロップレットを起点とした化合物の結晶成長も多少は発生するが、核を形成する際に必要な運動エネルギーが低いため、ドロップレットと化合物の結晶粒がヘテロエピタキシャル関係を形成しにくい。その結果、化合物結晶がドロップレット周囲の他の化合物結晶と分断されて存在し、機械的強度が低減する。一方、成膜温度が800℃を超えるとドロップレットを起点とした化合物結晶の成長は促進されるが、その成長は硬質皮膜内部で放射状となり、柱状結晶粒の成長時に膜厚方向に向かって周囲と干渉するため歪が発生しやすい。従って800℃以下であることが必要であり、750℃以下がより好ましい。また、800℃を超えると放射状に成長した化合物結晶粒は、h/Tが1.2を超え易くなってしまう。更に、化合物結晶の成長速度は、周囲よりドロップレット表面で成長する化合物結晶の方が遅くなり、周囲とドロップレット表面とで成長速度が異なることから、ドロップレットは周囲の化合物に囲まれるようになる。その結果、化合物結晶粒成長の起点となるドロップレットの根元部分に隙間が出来やすくなる。これは、外部からの衝撃に対する機械的強度が劣化する原因となる。また、ドロップレット上に成長した化合物結晶粒は、周囲の化合物結晶粒の硬さとほぼ同程度のため、硬質突起物として皮膜表面に存在する。この突起物が被加工物と接触した際に機械的な凝着現象を発生しやすくする。その結果、潤滑特性の優れる硬質皮膜を適用しても、その有効性が十分に発揮されない。
6μm以上の膜厚で、皮膜の残留圧縮応力であるσ値が0≦σ<6.0、の範囲に制御された厚膜被覆部材を得るためには、被覆時の基体温度条件を550℃から800℃の範囲であること、より好ましくは600℃から750℃の範囲に制御する。基体温度を高くすることで、厚膜被覆部材中への不可避不純物混入による歪の発生が抑制される。成膜時の温度を550℃未満にすると、基体表面でのイオンの運動エネルギーが低くなり、整合性が高まらず、密着性に大きく影響を及ぼす。また、800℃を超えると、厚膜被覆部材の圧縮応力が低減出来ても、基体を構成する元素が厚膜被覆部材に拡散して、部材全体の機械的特性が劣化する。
本願発明では反応圧力を5Paから15Pa、より好ましくは5Paから11Paに制御することによって、成長した結晶粒と周囲の結晶粒の間で発生する粒界欠陥を抑制して硬質皮膜の残留圧縮応力の低減化ができる。即ち、ドロップレット表面上に形成する結晶粒の成長速度を低下させると同時に、皮膜全体の成長速度を低下させることによって、ドロップレットの根元部分に隙間を埋めて粒界欠陥を無くし、高密度な結晶粒を得ることができる。成膜速度の低下は、窒素反応圧力を高くすることで、基体に到達する際のイオンの入射エネルギーが低くなるために起こる。成膜速度が低くなると、結晶に含まれる格子欠陥や歪みも減少して残留圧縮応力が小さい皮膜が得られる。より好ましくは、成膜速度を2μm/時間より遅い速度に制御して結晶成長させることである。また、格子欠陥や歪が低減すると、結晶構造が面心立方構造の硬質皮膜場合、(111)面や(200)面へ強く配向するようになり、結晶成長過程における歪による結晶の分断を減少させることができる。つまり、機械的強度に優れた巨大な柱状結晶を存在させることが可能となる。逆に、圧力制御が不適切のために格子欠陥が増大すると、結晶がその成長過程で分断され粒界が発生しやすくなる。歪は粒界に多く存在し、残留圧縮応力を増大させる。粒界を多く発生させると、その部分に歪が集中するため、粒界間の接合強度は低く、硬質皮膜の断面組織は微細化し、さらに外部から強い衝撃を受けたときに、その粒界部分から破壊しやすくなる。一方、反応圧力が5Pa未満では、ドロップレット表面に成長した化合物結晶が歪を多く含みながら成長するため、残留圧縮応力を抑制できない。更に、15Paを超えると、ドロップレットを起点とした化合物結晶粒を得られるが、周囲の結晶粒における硬度などの機械的特性が劣化する欠点が現れる。CやOを含むガスを導入して成膜を行う場合も、主体となるNとあわせた全圧が、5〜15Paの範囲に制御する。CやOを硬質皮膜に添加する方法として、夫々の元素を含むターゲットを使用する場合は、蒸発させる際のエネルギーを大きくすると、過剰な添加となるため、適宜条件の最適化が必要となる。また、α値を1.05≦α≦1.25の範囲にするには、成膜条件のバイアス電圧、反応ガス圧力や成膜温度を制御することによって可能であるが、特に反応ガス圧力を制御することが有効である。窒化物を得る場合は、窒素圧力を5から15Pa、より好ましくは5から11Paの範囲に制御することが好ましい。窒素圧力が5Pa未満では、基体に入射するイオンの運動エネルギーが抑制できず、それが歪となって現れ、残留圧縮応力が抑制できなくなる。このとき、α値は、1.05未満となり、皮膜の自己破壊が発生する欠点が現れる。一方、15Paを超えるとプラズマ密度が低下し、α値は1.25を超える。入射するイオンの運動エネルギーが低下し、硬質皮膜は柱状結晶組織を有するものの粒界に不純物を取り込み易くなり、硬質皮膜の機械的特性を劣化させる欠点が現れる。
成膜時のバイアス電圧の印加条件を制御することによって、皮膜の柱状結晶が組成変調を得ることができ、圧縮応力の低減化された皮膜を得ることができて好ましい。特に、パルス化させたバイアス電圧を印加させることによって、結晶粒が組成変調を有する構造となり好ましい。直流バイアス電圧を20〜200V、パルス周期を5〜30kHzに設定することによって、厚膜被覆部材に含有させる元素種に左右されること無く、厚膜化され耐欠損性、耐摩耗性に優れ、圧縮応力が低減化された格段に密着性の優れた厚膜被覆部材が実現できる。この理由は、パルス化されたバイアス電圧を用いることにより、基体に入射するイオンエネルギーに高低差が発生するからである。つまり、イオンエネルギーの低い時に軟質相が形成され、イオンエネルギーの高い時に硬質相が形成され、軟質、硬質の両方を有する相構造の結晶粒となる。例えば、直流バイアス電圧を100Vに設定し、パルス周期を10kHz、正のバイアス電圧を0Vと設定した場合、0Vから100V未満の範囲で印加される時に軟質相となり、100Vで印加される時に硬質相となる。例えば(TiAl)N皮膜の組成変調の場合、成膜時のイオンの入射エネルギーが低い条件では、イオン半径の小さいAlが相対的に多く含まれ、比較的軟らかい相が形成される。イオンの入射エネルギーが高い条件では、イオン半径の小さいAlが相対的に少なく、比較的硬い相が形成される。この繰り返しによって軟質、硬質を有する結晶粒となり、組成変調した結晶粒が得られる。従って、パルス化されたバイアス電圧を印加させることによって、軟質相が結晶粒中に含まれることにより、厚膜被覆部材全体の圧縮応力が低下し、その結果、厚膜被覆部材化が実現できる。結晶粒の組成変調の相間は、格子縞が連続して成長するため、機械的強度に優れる。組成変調は、任意に選択される相に於いて、厚膜被覆部材を構成する金属成分元素中で、イオン半径の小さい元素成分の原子%をXとすると、2≦X≦10の範囲が、より好ましい。20V未満のバイアス電圧で被覆を行ったときに、イオンエネルギーが小さいため、X値が2未満となる。更に高い密着性も得られない。一方、X値が10原子%を超える場合、厚膜被覆部材に歪が多く発生して圧縮応力が増大する欠点が現れる。量産における品質安定を得るために、場合によって、直流バイアス電圧印加により成膜後、成膜過程の途中でパルス化されたバイアス電圧を印加させても好適である。
本願発明は、厚膜被覆部材全体のσ値を、曲率測定法を用いて求めた。ヤング率とポアッソン比が既知となっている基体を所定の形状に加工した試験片を用い、その表面に被覆を行うと、厚膜被覆部材中に発生する圧縮応力により、被覆された試験片がたわみ変形する。そのたわみ変形量を求め、次の化1を用いて、厚膜被覆部材全体のσ値を算出した。
ここで、Esは試験片に使用した基体のヤング率(GPa)、Dは試験片の厚み(mm)、δは被覆前後で生じる試験片のたわみ量(μm)、lは被覆によってたわみが生じた試験片の長さ方向端面から最大たわみ部までの長さ(mm)、νsは試験片に使用した基体のポアッソン比、dは試験片表面に被覆した厚膜被覆部材の膜厚(μm)、である。
一方、X線回折の並傾法は、TiN、TiC、Ti(CN)、ZrN、CrN、AlNなどの単一層で、かつ一般的な組成の皮膜に対して、応力値の算出に適している。また、並傾法によって(TiAl)Nなどの厚膜被覆部材の応力値を算出する場合、TiNを基準とした相対的な応力値の算出となる。厚膜被覆部材の応力値を、X線回折の並傾法により次の化2を用いてσ2値の符号を求めることにより、ある程度の判別は可能である。
ここで、Eは皮膜の弾性定数(ヤング率)、νはポアソン比、θ0は無歪みの格子面からの標準ブラッグ回折角、Ψは回折格子面法線と試料面法線との傾き、θは測定試料の角度がΨの時のブラッグ回折角である。化2より、σ2値の符合が正、負のいずれであるかを決定するには2θ−sin2Ψ線図の勾配のみが必要となり、σ2値の符合が正の時が引張応力であり、負の時に圧縮応力が働いていると判別される。しかし、E値やν値、cotθ0(常に正)の正確な値がわからない場合は、σ2値を算出することが困難である。例えば、PVD厚膜被覆部材の密着性の優劣に大きな影響を及ぼす圧縮応力は、並傾法を用い、既知のTiN(JCPDSファイル番号38−1420)などで得られるピークに対しての比較を行い、相対的なσ2値として算出する方法が実施されてきた。しかし、E値やν値、cotθ0(常に正)の正確な値がわからないような複雑な組成、多層構造など、様々な要素が加わった場合、得られた厚膜被覆部材全体の圧縮応力値を算出することは困難である。多層構造を有する場合、厚膜被覆部材全体の圧縮応力値を求めることは、特に困難である。従って、TiN、TiC、Ti(CN)、ZrN、CrN、AlN、(TiAl)Nなどが、多層に被覆された場合、夫々の層の圧縮応力値測定は可能であるが、厚膜被覆部材全体の圧縮応力値を算出することが困難になる。作製した厚膜被覆部材の圧縮応力を算出した後、膜厚をFE−SEMで測定した。厚膜被覆部材の組成は、皮膜断面を17度、斜めに傾けて研磨し、その研磨部はEPMAを用いて、加速電圧15kV、試料電流0.2μAで分析した。
厚膜被覆部材には、4a、5a、6a族、Al、Si、B、Sから2種以上選択される窒化物、炭窒化物、酸炭窒化物を被覆する。これによって、高硬度化による耐摩耗性と耐熱性が得られる。厚膜化するには、イオン半径が0.041〜0.100nmの4a、5a、6a族、イオン半径が0.002〜0.040nmと小さいAl、Si、B、Sなどを含有した窒化物、炭窒化物、酸炭窒化物を被覆させる必要がある。イオン半径の異なる元素を複数個組み合わせる場合、厚膜被覆部材に含有する元素のイオン半径差から圧縮応力が発生し、それは厚膜被覆部材に比例して増大し、密着性に影響を及ぼす。そこで高い密着性を有し、硬度、耐熱性をも有した6.0μm以上の皮膜を得るためには、厚膜被覆部材の圧縮応力を制御する必要があり、厚膜被覆部材の圧縮応力σ(GPa)を、0≦σ<6.0の範囲に制御することが必要である。圧縮応力が6.0GPaよりも大きくなると、厚膜被覆部材が自己破壊を起こし、耐欠損性が著しく劣る欠点が現れる。また、圧縮応力値が負の値をとることは、引張応力の増大を意味する。これによって厚膜被覆部材表面は、外部から機械的衝撃が負荷されたときにクラックが発生しやすくなり、耐欠損性が劣る欠点が現れる。そこで厚膜被覆部材のσ値を制御することが重要である。即ち、6.0μm以上に厚膜被覆部材化された厚膜被覆部材が、高い密着性を維持するには、σ値を0GPaから6GPa以下の範囲に制御することが必要だからである。より好ましくは0<σ≦4.0に制御することによって、更に高い密着性を実現できる。しかも、優れた機械的特性を有する厚膜被覆部材を高い密着性をもって被覆するためには、部分的、局所的なσ値ではなく、厚膜被覆部材全体のσ値を考慮する必要がある。
本願発明の厚膜の結晶組織は、柱状結晶組織であることが好ましい。柱状結晶粒をFE−TEMで観察したときに、柱状結晶構造の結晶粒は、金属成分元素が膜厚方向に組成変調を有する構造であることが好ましい。柱状結晶構造は、結晶粒幅をw、長手方向の長さをhとしたときに、h/w≧2.0であることが好ましい。h/w値の評価する領域は、厚膜被覆部材の膜厚値に対して、3から5倍程度の長さを求め、この値を膜厚方向と垂直な方向にとる。ここで膜厚方向の長さと、この膜厚方向と垂直な方向の長さとで与えられた矩形領域にある結晶粒のw値とh値を測定し、平均値としてのh/w値をもとめる。h/w≧2.0の柱状結晶粒を含有すると、優れた耐欠損性を有する。h/w≧2.0のときに、厚膜被覆部材のせん断方向の機械的強度が向上するため、耐摩耗性だけでなく、耐欠損性が極めて優れる。h/w<2.0になる場合、結晶組織が微細化するため、粒界欠陥が増大する。また厚膜被覆部材全体の圧縮応力が増大して、アブレッシブ摩耗の進行が早くなるだけでなく、耐欠損性が劣る欠点が現れる。本願発明の結晶粒を得るためには、成膜時に印加するバイアス電圧を制御することで実現できる。バイアス電圧は、直流で20〜200Vの間に制御することが好ましい。
本願発明の厚膜被覆部材被覆部材は、基体に炭化タングステン基超硬合金、高速度工具鋼、サーメットを用いることにより、より耐摩耗性と靱性のバランスが最適化され、好ましい。アークイオンプレーティング法(以下、AIP法と記す。)、スパッタリング法などのイオンプレーティング方式が好ましい。プラズマ支援型のCVD法との併用も可能である。また、製造環境といった側面からみてもPVD法は、原料ガスとして多種の有害ガスを使用するCVD法と比較して環境を損なう可能性が低く、安全な手段である。製造コスト面でも、成膜速度をCVD法より大きくすることが出来、有利である。また多元素系の多層厚膜被覆部材の製造が可能である。
旋削用のインサート形状の超硬合金と、応力測定用の試験片を用意し、これらにPVD法によって、4a、5a、6a族元素、Al、B、Si、Sから2種以上選択された窒化物、炭窒化物、酸炭窒化物を被覆した。蒸発源は、各種合金製ターゲットを選択して用い、窒化物、炭窒化物、酸炭窒化物とするために窒素、酸素、アセチレンなどの炭化水素系のガスを単独、もしくは、混合させて成膜時に導入させて作成した。本発明例1は、AIP装置を用いて、(TiAl)N膜を11μm成膜した。被覆処理温度は600℃、反応圧力を7.5Paとし、バイアス電圧を50Vとした。作製した試料の組成と被覆条件等を表1に示す。また、皮膜の評価結果を表2に示す。
表1より、本発明例2〜16、比較例55〜62は、厚膜被覆部材の膜厚が及ぼす応力値への影響を見るために、被覆時間のみを変化させた。本発明例17〜26、比較例52〜54は、厚膜被覆部材の硬度、耐熱性が及ぼす影響を見るために、作製した。本発明例27〜31、比較例63は、厚膜被覆部材の成膜時の温度が及ぼす圧縮応力値への影響を見るために、成膜温度を450〜760℃に設定して作製した。本発明例32〜35、比較例64は、厚膜被覆部材の成膜時の反応圧力が及ぼす圧縮応力値への影響を見るために、反応圧力を変化させて作製した。反応圧力は4.7Pa〜10.8Paに設定した。本発明例36〜39、比較例65は、成膜時に印加させるバイアス電圧のパルス化が及ぼす圧縮応力値、柱状結晶粒中の組成変調への影響を見るために、バイアス電圧を50Vに設定し、パルス周期を5〜35kHzに変化させて作製した。本発明例40〜46、比較例66、67は、厚膜被覆部材の成膜時に印加するバイアス電圧の印加方法が及ぼす応力値や柱状結晶粒の大きさへの影響を見るために、バイアス電圧値を直流で20〜300Vの範囲で変化させて作製した。本発明例47〜49は、成膜時に印加させるバイアス電圧のパルス化が及ぼす圧縮応力値や密着強度への影響を見るために、バイアス電圧を50V、パルス周期を10kHz、正のバイアス電圧を+5〜+20Vに変化させて作製した。本発明例50、51は、単一層の厚膜被覆部材ではなく、多層構造を有する厚膜被覆部材の効果を確認するために作製した。本発明例50は、金属のみの原子%で、(40Ti60Al)Nを最下層として5.6μm成膜した後、(80Ti20Si)Nをその上に5.6μm成膜を行った。本発明例51は、金属のみの原子%で、(40Cr60Al)Nを最下層として1.9μm成膜した後、その上に(80Ti20Si)Nを1.9μm成膜した。この組み合わせの被覆を膜厚方向に連続して3回行い、合計6層で11.4μm成膜した。
作成した応力測定用の試験片より皮膜の断面観察、及び表面観察を行った。観察には、SEM及びFE−TEMを使用した。図2に本発明例1の皮膜断面を観察した結果を示す。図2に示すように、皮膜にはドロップレットが含まれ、そのドロップレットを起点に(TiAl)N結晶が巨大な柱状結晶粒として成長していた。またこの結晶粒は、硬質皮膜表面を突き出て成長していた。この結晶粒周囲には隙間が少なく、周囲の(TiAl)N結晶組織と同化した組織であることが観察された。このため、硬質皮膜にドロップレットを有していても、残留圧縮応力は低く、優れた密着力を示した。他の本発明例2から51においても同様な断面観察を行った結果、ドロップレットを起点に巨大な柱状結晶粒の成長していて、結晶粒周囲には隙間が少なく、周囲の結晶組織と同化した組織が観察された。この様子は、図1の模式図において、(2)で示した形態に代表される。
一方、比較例52から67には、ドロップレットを起点に巨大な柱状結晶粒の成長している様子は観察されなかった。例えば、比較例64を観察した結果を図3示す。これにも他の試料同様にドロップレットが含まれていた。この部分を更に詳細に観察すると、ドロップレットの表面では(TiAl)N結晶がほとんど成長しておらず、(TiAl)金属の塊が多く存在した。また、(TiAl)金属の塊の周囲を観察したところ、周囲の(TiAl)Nとの境界部に隙間が多く観察された。この理由は、反応ガス圧力が4.7Paと低いため、皮膜全体の成長速度が高く、ドロップレットの周囲を包み込むように成長することができず、結晶粒の根元部分の隙間を埋めることができなかったと考えられる。
また、バイアス電圧印加時に20kHzのパルス幅を設定した本発明例38の硬質皮膜断面を観察した結果を図4に示す。皮膜は柱状結晶粒を有しており、更に詳細を観察すると結晶粒は多層構造を有して、組成変調が見られた。その積層周期は1〜10nmであった。各層間の組成をFE−TEMに付設されるエネルギー分散型X線分光分析(以下、EDSと記す。)装置を用いて分析した結果、イオン半径の小さいAlの含有量が変調していることが確認された。更に多層構造における層間の格子縞は連続していることが確認された。これが、硬質皮膜の残留圧縮応力の低減化を実現したのである。
α値が1.01を示した比較例67の皮膜断面組織を図5に示す。皮膜の断面組織は微細化し粒界欠陥が多数観察された。α値が1.05未満になると、金属元素同士が結合する確率が増え、結晶格子歪が著しく大きくなり、結晶の格子縞の連続性が失われる。その結果、残留圧縮応力を増大させ、密着性は劣化したものと考えられる。
h/T値が0.04を示した比較例63の皮膜断面観察結果を図6、また表面観察結果を図7に示す。図6では、表面にはドロップレット脱落部分に空孔が発生していた。更に図7に示すように膜表面に多数の突起物も存在した。この空孔や突起物は皮膜破壊の起点となったり、被加工物が凝着したりするため不都合である。
次に、旋削用のインサートを用いて加工試験を行った。評価は、切削時間5分毎に逃げ面、すくい面に発生する摩耗を、光学顕微鏡で50倍に拡大して観察した後、試験を継続し、10μm以上の微小チッピングを含む、欠損が発生した時点を工具寿命とし、その時点までの切削時間(分)を比較することによって評価した。
(切削条件)
工具:バイト
インサート形状:SNMG120408タイプ、チップブレーカー付き形状
切削方法:長手方向の外径切削
被削材形状:直径160mm×長さ600mm、丸棒
被削材:S53C、硬さ、HB260、調質材
切込み量:2.0mm
切削速度:220m/min
1回転あたりの送り量:0.4mm/rev
切削油:なし
表2より、本発明例1〜51は、h/T値、α値、膜厚、組成共に本願発明の規定範囲内にあり、残留圧縮応力値の低減化が図られた。また、光学顕微鏡による観察でも逃げ面、すくい面共に正常な摩耗を示し、急速な摩耗の進行や早期チッピングの発生、刃先欠損等の発生は見られず、満足の出来る工具寿命を示した。本発明例1〜16、比較例55〜62は、厚膜被覆部材の膜厚が厚くなる程、圧縮応力は増大した。しかし、本発明例1〜16の切削時間は16.8分以上を有し、満足のいく結果が得られた。これより、6.0μm以上の膜厚を有するPVD厚膜被覆部材は、耐摩耗性に優れた。切削時間が5分経過時点の刃先の摩耗状態を確認した結果、逃げ面摩耗は、本発明例2は0.084mmを示し、この点でも本発明例2は優れていた。しかし、比較例55、57、59、61は、圧縮応力が低減化されていても、本発明例に対して劣っていた。この理由は、h/T値が0.1未満であり、ドロップレットを起点とした化合物の結晶粒が成長せず、皮膜内部に欠陥として残留し、耐欠損性などの機械的特性を劣化したためである。また、比較例56、58、60、62は、圧縮応力が夫々、6.5、6.2、6.9、6.6GPaであった。これらは本発明例1に対して切削時間が短くなった。この理由は、h/T値が1.2を超えて大きく、またα値が何れも1.05未満であるため結晶格子は2種以上のMe元素同士が結合する確率が増え、結晶格子の歪が大きくなり、結晶の格子縞の連続性が失われたと考えられる。そして、硬質皮膜の粒界欠陥が増大した結果、残留圧縮応力を増大させ、密着性を劣化させたのである。比較例56、58、60、62は、切削前から、刃先エッジ部で皮膜の破壊が確認された。これもα値が1.05未満のために、皮膜の自己破壊が発生したためである。更に、切削途中の刃先の損傷状態を確認したところ、刃先エッジ部で、皮膜が10μm以上の幅で発生していた。切削時間は、厚膜被覆部材の膜厚が6μm以上、30.0μm以下、圧縮応力が0<σ≦6.0の範囲の時に優れ、特に、0<σ≦4.0の範囲で優れた。本発明例9〜16のように厚膜被覆部材がOやCを含有すると、厚膜被覆部材の結晶内で歪が発生し、高硬度化する。これによって、耐溶着性、摺動性に優れ、高硬度化された厚膜被覆部材を実現できる。本発明例17〜26は、比較例52〜54の切削時間に比べて1.6倍以上優れていた。これは、皮膜組成の選択によって、厚膜被覆部材の耐熱性、硬度を格段に高めたためである。6.0μm以上の膜厚を有する厚膜被覆部材が、4a、5a、6a族元素、Al、Si、B、Sから2種以上選択された窒化物、炭窒化物、酸炭窒化物であり、更に、本願発明の製造方法によって厚膜被覆部材の圧縮応力を制御すれば、切削時間は格段に優れる。本発明例19は、切削途中の刃先の状態を確認したところ、刃先エッジ部において、チッピングは確認されず、逃げ面摩耗が、0.045mmであった。また、切削部位における、被加工物の溶着もほとんど発生しておらず、正常摩耗の進行のみで寿命に至った。溶着が発生しなかった理由は、厚膜被覆部材にSを含有し、潤滑特性が優れたためである。類似した傾向は、本発明例22のBを含有した厚膜被覆部材でも確認された。厚膜被覆部材の圧縮応力を3.0GPa以下に制御することによって、格段に優れる。本発明例27〜31、比較例63は、成膜温度が高いと圧縮応力が低くなる傾向を示した。550℃で成膜を行った本発明例27は、圧縮応力が3.6GPaであった。切削時間は、20.4分であった。比較例63は、圧縮応力6.4GPaであり、切削時間は10.6分であった。切削時間5分後の刃先の損傷状態を確認したところ、エッジ部で皮膜の破壊が原因の微小なチッピングが多数発生していた。その後、大きく欠損した。成膜温度を550℃以上にした場合、圧縮応力は低下した。本発明例31の圧縮応力は1.6GPaであった。切削途中の刃先損傷状態を確認したところ、刃先エッジ部における皮膜破壊は確認されず、正常摩耗をしていたが、逃げ面摩耗幅が、0.114mmであった。切削時間は、圧縮応力が6.0GPaよりも小さい時に、従来例68に比べて格段に優れた。成膜温度は、550〜800℃の場合に、切削によるエッジ部の皮膜破壊が減少し、厚膜被覆部材の耐摩耗性が優れていた。本発明例32〜35、比較例64は、低圧力ほど、圧縮応力が増大した。最も低圧の4.7Paで成膜を行った比較例64の圧縮応力は、6.6GPaであった。切削時間は、11.4分となった。しかし厚膜被覆部材の圧縮応力が6.0GPaを超えるようになると、切削途中のインサート損傷状態観察において、刃先エッジ部の皮膜破壊が確認された。数回の切削評価を行った結果、切削時間は、10.1〜11.4分とばらつき、安定しなかった。また、11.0Paを超えて高い反応圧力で成膜を行うと、厚膜被覆部材に欠陥が多く発生する傾向をしめすことが確認されている。以上より、厚膜被覆部材の圧縮応力を6.0GPa以下に制御を行うための反応圧力は、5.0〜11.0Paの範囲に設定することが好ましい。本発明例36〜39、比較例65に示す様に、成膜時に印加するバイアス電圧をパルス化させると、得られる厚膜被覆部材の圧縮応力は低下した。切削時間は、パルス化されたバイアス電圧を印加した厚膜被覆部材の場合、本発明例1に比べて、約1.1〜1.2倍優れていた。切削途中のインサート損傷状態を観察した結果、刃先エッジ部において、皮膜の破壊は観察されず、正常摩耗が進行し寿命に至った。最も優れた本発明例38の厚膜被覆部材の断面を観察したところ、柱状結晶構造を有していた。その結晶粒を詳細に観察した結果、図4に示すように結晶粒は膜厚方向にコントラストの異なる相の周期構造を有していた。その周期は、1〜10nmであった。相間の組成を調査した結果、イオン半径の小さいAlの含有量の組成変調が確認された。これが、厚膜被覆部材の低応力化を可能にしている理由である。更に、周期構造における相間の格子縞は連続していることが確認された。そのため、優れた耐摩耗性と耐欠損性が格段に優れた。5〜30kHz範囲にパルス周期を設定した本発明例36〜39の切削時間が優れ、35kHzに設定した比較例65の切削時間は劣った。パルス周期が2kHz未満の場合は圧縮応力が低くなるが、厚膜被覆部材の硬度が低下してアブレッシブ摩耗が進行する傾向を示す。35kHzの比較例65は、圧縮応力が6.1GPaとなり、切削の初期段階で刃先にチッピングが発生し欠損した。これより柱状結晶粒が組成変調を有する構造であっても、切削時間は成膜条件設定に影響される。本発明例40〜46、比較例66、67に示す様に、バイアス電圧値が、直流で20〜300Vの範囲内として、大きくなると、厚膜被覆部材の圧縮応力は増大した。バイアス電圧を220Vで被覆を行った比較例66は、圧縮応力が、6.1GPaであった。切削時間は6.1分であり、従来例68よりも劣った。比較例66の断面組織を確認したところ、組織が微細化しており、h/w値が1.0を下回る0.7であった。比較例67は、圧縮応力が7.6GPaであった。断面組織を確認した所、組織が微細化し、h/w値が0.4、切削時間は、4.2分であった。圧縮応力が非常に高いため、インサート刃先部は、切削前から皮膜破壊が発生していた。更に、柱状組織を有していないため、厚膜被覆部材の耐欠損性が劣り、切削評価を開始した初期より、チッピングが発生していた。切削時間は、20〜85Vで成膜した方が優れているが、100〜200Vで成膜しても、圧縮応力が6.0GPa以内となった。成膜装置のバイアス電圧制御も考慮すると20V近傍では、成膜時のバイアス電圧制御の安定化が困難であった。安定した品質を再現良く作製するためには、30〜150Vの範囲で行われるのが、より好ましい。本発明例47〜49の圧縮応力は、夫々2.0GPaであった。印加されるバイアスの高低差が大きくなるために、基体に入射するイオンエネルギーの高低差が大きくなる。つまり、より低いイオンエネルギー時に、軟質相が形成され、高いイオンエネルギー時に形成される硬質相の構造を有するため、低応力化され、密着強度が高まる。また、その結果、切削時間が優れたのである。本発明例50、51は、夫々切削時間が、27.0分、27.4分となり、優れていた。これは、圧縮応力が4.0GPaより下回ったためである。本願発明の成膜方法を用いることによって、本発明例50、51に示したような多層構造を有する厚膜被覆部材全体の圧縮応力値を算出することができた。そのため、高い密着性、耐摩耗性、耐欠損性を有する厚膜被覆部材を設計することが可能となった。
図1は、ドロップレット存在形態模式図を示す。 図2は、本発明例1の皮膜断面観察結果を示す。 図3は、比較例64の皮膜断面観察結果を示す。 図4は、本発明例38の結晶粒の観察結果を示す。 図5は、比較例67の皮膜断面観察結果を示す。 図6は、比較例63の皮膜断面観察結果を示す。 図7は、比較例63の皮膜表面観察結果を示す。

Claims (5)

  1. 物理的蒸着による硬質皮膜が被覆された部材において、該硬質皮膜は、Mex(NyCzOv)で表され、但し、Meは、周期律表4a、5a、6a族、Al、Si、B、Sから選択される2種以上の元素を有し、x、y、z、vは原子%で含有量を表し、x+y+z+v=100、0≦z≦10、0≦v≦10、であり、該硬質皮膜の有するドロップレットを起点に結晶成長した化合物の結晶粒が皮膜表面に突き出しており、該化合物の結晶粒の長手方向長さをh(μm)、該硬質皮膜の膜厚T(μm)としたとき、6≦T≦30、0.1≦h/T≦1.2、であることを特徴とする厚膜被覆部材。
  2. 請求項1に記載の厚膜被覆部材において、(y+z+v)/xの値をαとしたときに、1.05≦α≦1.25、であることを特徴とする厚膜被覆部材。
  3. 請求項1、2に記載の厚膜被覆部材において、該硬質皮膜が柱状結晶構造を有し、該柱状結晶は組成変調を有することを特徴とする厚膜被覆部材。
  4. 請求項1に記載の厚膜被覆部材において、該厚膜被覆部材の製造方法は、基体温度を550℃から800℃、反応圧力を5Paから15Pa、で成膜することを特徴とする厚膜被覆部材の製造方法。
  5. 請求項4に記載の厚膜被覆部材の製造方法において、バイアス電圧を20Vから200V、パルス周期を5kHzから35kHz、で成膜することを特徴とする厚膜被覆部材の製造方法。
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