JP2013010309A - フィルムの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】結晶性を有するジシクロペンタジエン開環重合体水素化物を原料樹脂としてフィルムを製造するにあたり、特に平滑性と耐熱性に優れるフィルムを与えることができる、フィルムの製造方法を提供すること。
【解決手段】結晶性を有するジシクロペンタジエン開環重合体水素化物である原料樹脂を溶融成形法により矩形状のフィルムに成形する工程と、得られたフィルムの4辺を保持することによりフィルムを緊張状態として、これを原料樹脂のガラス転移温度以上融点以下の温度条件下に置くことにより、フィルムを結晶化させる工程と、を有するフィルムの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、フィルムの製造方法に関し、さらに詳しくは、結晶性を有するジシクロペンタジエン開環重合体水素化物を原料樹脂として、特に平滑性と耐熱性に優れるフィルムを与えることができる、フィルムの製造方法に関する。
例えば特許文献1に記載されるようなジシクロペンタジエンの開環重合体水素化物は、いわゆるシクロオレフィンポリマーの一種であり、透明性、低複屈折性、成形加工性などに優れることから、光学用途をはじめとして、種々の用途に適用できる材料として用いられている。
特許文献1に記載されたものもそうであるように、ジシクロペンタジエンの開環重合体水素化物は、多くの場合、融点を有しない非晶性の重合体として得られる。しかし、非晶性のジシクロペンタジエンの開環重合体水素化物は、その用途によっては、耐熱性や耐薬品性などが不十分となる場合があるものである。そこで、それらの性能を改良する手法として、特定の開環重合触媒を用いることにより、ジシクロペンタジエン開環重合体水素化物に結晶性を付与することが提案されている。
例えば、特許文献2には、特定の触媒を用いてジシクロペンタジエンを開環重合することにより、ジシクロペンタジエン開環重合体水素化物に結晶性を付与し、これを用いてフィルムを成形すると、耐熱性や耐薬品性などに優れたフィルムが得られることが開示されている。この特許文献2に記載されるようなジシクロペンタジエン開環重合体水素化物は、結晶性を有し、その結晶性に基づいてフィルムに優れた耐熱性などを付与するものであるが、ポリエチレンやポリプロピレンなどの一般的な結晶性樹脂に比べると、結晶化速度が遅いという性質を有している。そのため、特許文献2には、フィルムの結晶性をより強く発現させる手法として、フィルムを溶融成形した後、冷却を行う際に原料樹脂であるジシクロペンタジエン開環重合体水素化物のガラス転移温度以上の温度に比較的長時間保持する(アニール処理する)ことや、フィルムを延伸処理することが記載されている。
特開平11−124429号公報 特開2002−194067号公報
しかしながら、本発明者らの検討によると、ジシクロペンタジエン開環重合体水素化物のフィルムは、他の結晶性樹脂のフィルムと比べて、アニール処理によりフィルムに凹凸が発生する傾向が強く、アニール処理を経て得られるフィルムの平滑性や透明性が劣るという問題点が存在することが明らかとなった。また、延伸処理による結晶化では、フィルムに延伸方向に沿ったスジが発生するおそれがある上に、フィルムの厚さの制御が困難になるという課題も存在する。
そこで、本発明は、結晶性を有するジシクロペンタジエン開環重合体水素化物を原料樹脂としてフィルムを製造するにあたり、特に平滑性と耐熱性に優れるフィルムを与えることができる、フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために、鋭意検討を行った結果、特定の方法でフィルムを保持して、フィルムを緊張状態とし、この状態のフィルムをアニール処理に供することにより、フィルムの平滑性を保ちながら、フィルムの結晶化を進めることができることを見出した。そして、これによりフィルムの耐熱性などを大幅に改良できることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
かくして、本発明によれば、結晶性を有するジシクロペンタジエン開環重合体水素化物である原料樹脂を溶融成形法により矩形状のフィルムに成形する工程と、得られたフィルムの4辺を保持することによりフィルムを緊張状態として、これを原料樹脂のガラス転移温度以上融点以下の温度条件下に置くことにより、フィルムを結晶化させる工程と、を有するフィルムの製造方法が提供される。
上記のフィルムの製造方法では、フィルムを結晶化させる工程において、フィルムの4辺を保持するにあたり、そのうちの対向する2辺の保持をテンター装置で行うことができる。
本発明によれば、特に平滑性と耐熱性に優れる、結晶性を有するジシクロペンタジエン開環重合体水素化物を原料樹脂とするフィルムを製造することができる。
本発明のフィルムの製造方法では、第一の工程として、結晶性を有するジシクロペンタジエン開環重合体水素化物である原料樹脂を溶融成形法により矩形状のフィルムに成形する。
原料樹脂として用いる結晶性を有するジシクロペンタジエン開環重合体水素化物は、ジシクロペンタジエンを主たる単量体として開環重合を行い、得られる開環重合体中に存在する炭素−炭素二重結合の少なくとも一部を水素化(水素添加)することにより得ることができる。但し、開環重合を行うにあたり、最終的に得られるジシクロペンタジエン開環重合体水素化物に結晶性を付与できる開環重合触媒を選定する必要がある。
原料樹脂として用いる結晶性を有するジシクロペンタジエン開環重合体水素化物は、結晶性を有するものであればよく、すなわち、常温(23℃)を超える融点を有するものであればよい。但し、目的とするフィルムの耐熱性を特に良好なものとする観点からは、150℃以上の融点を有するものであることが好ましく、200〜300℃の融点を有するものであることが好ましい。また、ジシクロペンタジエン開環重合体水素化物のガラス転移温度は、特に限定されないが、85〜110℃の範囲であることが好ましい。なお、ジシクロペンタジエン開環重合体水素化物の融点およびガラス転移温度は、示差走査熱量測定により測定するものとする。
ジシクロペンタジエン開環重合体水素化物の立体規則性の有無は、ジシクロペンタジエン開環重合体水素化物が結晶性を有するものである限りにおいて特に限定されるものではないが、目的とするフィルムの耐熱性を特に良好なものとする観点からは、立体規則性を有するものである(すなわち、アタクチック構造以外である)ことが好ましく、特にシンジオタクチック構造を有するものであることが好ましい。より具体的には、ジシクロペンタジエンを開環重合して、次いで水素化して得られる繰り返し単位についてのラセモ・ダイアッドの割合が、55%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、65%以上であることが特に好ましい。ラセモ・ダイアッドの割合が高いものほど、すなわち、シンジオタクチック立体規則性の高いものほど、高い融点を有するジシクロペンタジエン開環重合体水素化物となる。なお、ラセモ・ダイアッドの割合は、13C−NMRスペクトル分析で測定し、定量することができる。具体的な定量の方法としては、オルトジクロロベンゼン−d4を溶媒として、150℃でinverse−gated decoupling法を適用して13C−NMR測定を行い、オルトジクロロベンゼン−d4の127.5ppmのピークを基準シフトとして、メソ・ダイアッド由来の43.35ppmのシグナルと、ラセモ・ダイアッド由来の43.43ppmのシグナルの強度比からラセモ・ダイアッドの割合を決定する方法を挙げることができる。
ジシクロペンタジエン開環重合体水素化物を得るために単量体として用いられるジシクロペンタジエンには、エンド体およびエキソ体の立体異性体が存在するが、そのどちらも単量体として用いることが可能であり、一方の異性体を単独で用いてもよいし、エンド体およびエキソ体が任意の割合で存在する異性体混合物を用いることもできる。但し、ジシクロペンタジエン開環重合体水素化物の結晶性を高めて耐熱性を特に良好なものとする観点からは、一方の立体異性体の割合を高くすることが好ましく、例えば、エンド体またはエキソ体の割合が、80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、95%以上であることが特に好ましい。なお、割合を高くする立体異性体は、合成容易性の観点から、エンド体であることが好ましい。
ジシクロペンタジエン開環重合体水素化物を得るために用いる単量体は、ジシクロペンタジエンを主たる単量体として、かつ、最終的に得られるジシクロペンタジエン開環重合体水素化物が結晶性を有するものになる限りにおいて、ジシクロペンタジエンと共重合可能な化合物を含んでいてもよい。このような化合物の例としては、ジシクロペンタジエン以外のノルボルネン類や、直鎖または環状のオレフィンもしくはジエン類を挙げることができる。但し、単量体におけるジシクロペンタジエン以外の化合物の含有量は、2重量%以下とすることが好ましく、1重量%以下とすることがより好ましい。
開環重合触媒は、ジシクロペンタジエンを開環重合させることができるものであって、目的とするジシクロペンタジエン開環重合体水素化物に結晶性を付与できるものであれば、特に限定されない。用いられうる開環重合触媒の具体例としては、例えば、高分子学会予稿集,2002年,第8巻,p.1629−1630に記載されるような、アイソタクチックなジシクロペンタジエン開環重合体を得ることができる、ビフェノキシ基が2つ配位した、タングステンまたはモリブデンの錯体;特開2005−89744号公報に記載されるような、シンジオタクチックなジシクロペンタジエン開環重合体を得ることができる、ヒドロキシル基を有するアリールオキシ基またはヒドロキシル基を有するアルコキシル基が結合した周期表第6族遷移金属化合物;特開2006−52333号公報に記載されるような、シンジオタクチックなジシクロペンタジエン開環重合体を得ることができる、窒素上の置換基として特定構造の炭化水素基を持つイミド基を有する周期表第6族遷移金属化合物;を挙げることができる。但し、目的とするジシクロペンタジエン開環重合体水素化物の耐熱性を特に良好なものとする観点からは、ジシクロペンタジエン開環重合体にシンジオタクチック立体規則性を与えることができる開環重合触媒を用いることが好ましく、なかでも、下記の式(1)で表される金属化合物を含んでなる開環重合触媒が好適である。
M(NR)X4−a(OR・L (1)
(式(1)中、Mは周期律表第6族の遷移金属原子から選択される金属原子であり、Rは3,4,5位の少なくとも1つの位置に置換基を有していてもよいフェニル基、または−CHで表される基であり、Rは置換基を有していてもよいアルキル基および置換基を有していてもよいアリール基から選択される基であり、Xはハロゲン原子、アルキル基、アリール基およびアルキルシリル基から選択される基であり、Lは電子供与性の中性配位子であり、aは0または1であり、bは0〜2の整数である。Rは水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基および置換基を有していてもよいアリール基から選択される基である。)
式(1)で表される金属化合物を構成する金属原子(式(1)中のM)は、周期律表第6族の遷移金属原子(クロム、モリブデン、タングステン)から選択される。なかでも、モリブデンまたはタングステンが好適に用いられ、タングステンが特に好適に用いられる。
式(1)で表される金属化合物は、金属イミド結合を含んでなるものである。金属イミド結合を構成する窒素原子上の置換基(式(1)中のR)は、3,4,5位の少なくとも1つの位置に置換基を有していてもよいフェニル基、または−CH(但し、Rは水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基および置換基を有していてもよいアリール基から選択される基である。)で表される基である。3,4,5位の少なくとも1つの位置に置換基を有していてもよいフェニル基が有しうる置換基としては、メチル基、エチル基などのアルキル基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基などのアルコキシ基;などが挙げられ、さらに、3,4,5位の少なくとも2つの位置に存在する置換基が互いに結合したものであってもよい。3,4,5位の少なくとも1つの位置に置換基を有していてもよいフェニル基の具体例としては、無置換フェニル基や、4−メチルフェニル基、4−クロロフェニル基、3−メトキシフェニル基、4−シクロヘキシルフェニル基、4−メトキシフェニル基などの一置換フェニル基;3,5−ジメチルフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、3,5−ジメトキシフェニル基などの二置換フェニル基;3,4,5−トリメチルフェニル基、3,4,5−トリクロロフェニル基などの三置換フェニル基;2−ナフチル基、3−メチル−2−ナフチル基、4−メチル−2−ナフチル基などの置換基を有していてもよい2−ナフチル基;を挙げることができる。
式(1)で表される金属化合物において、窒素原子上の置換基(式(1)中のR)として用いられ得る、−CHで表される基において、Rは水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基および置換基を有していてもよいアリール基から選択される基を表す。このRで表される基となり得る、置換基を有していてもよいアルキル基の炭素数は、特に限定されないが、通常1〜20、好ましくは1〜10である。また、このアルキル基は直鎖状であっても分岐状であってもよい。このアルキル基が有し得る置換基は、特に限定されないが、例えば、フェニル基、4−メチルフェニル基などの置換基を有していてもよいフェニル基;メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシル基;を挙げることができる。
式(1)で表される金属化合物において、窒素原子上の置換基(式(1)中のR)として用いられ得る、置換基を有していてもよいアリール基としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、およびこれらの基の水素原子が他の置換基に置き換わってなるアリール基などが挙げられる。また、このアリール基の置換基としては、特に限定されないが、例えば、フェニル基、4−メチルフェニル基などの置換基を有していてもよいフェニル基;メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシル基;を挙げることができる。
で表される基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基などの炭素数が1〜20のアルキル基が特に好適に用いられる。
式(1)で表される金属化合物は、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基およびアルキルシリル基から選択される基を3個または4個有してなる。すなわち、式(1)において、Xは、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基およびアルキルシリル基から選択される基を表す。なお、式(1)で表される金属化合物においてXで表される基が2以上あるとき、それらの基は互いに結合していてもよい。
Xで表される基となり得るハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。また、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ベンジル基、ネオフィル基などが挙げられる。アリール基としては、フェニル基、4−メチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基などが挙げられる。アルキルシリル基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基などが挙げられる。
式(1)で表される金属化合物は、1個の金属アルコキシド結合または1個の金属アリールオキシド結合を有するものであってもよい。この金属アルコキシド結合または金属アリールオキシド結合を構成する酸素原子上の置換基(式(1)中のR)は、置換基を有していてもよいアルキル基および置換基を有していてもよいアリール基から選択される基である。このRで表される基となり得る、置換基を有していてもよいアルキル基や置換基を有していてもよいアリール基としては、前述のRで表される基におけるものと同様のものを用いることができる。
式(1)で表される金属化合物は、1個または2個の電子供与性の中性配位子を有するものであってもよい。この電子供与性の中性配位子(式(1)中のL)としては、例えば、周期律表第14族または第15族の原子を含有する電子供与性化合物が挙げられる。その具体例としては、トリメチルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィンなどのホスフィン類;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフランなどのエーテル類;トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ルチジンなどのアミン類;を挙げることができる。これらの中でも、エーテル類が特に好適に用いられる。
開環重合触媒として、特に好適に用いられる式(1)で表される金属化合物としては、フェニルイミド基を有するタングステン化合物(式(1)中のMがタングステン原子で、かつ、Rがフェニル基である化合物)を挙げることができ、その中でも、テトラクロロタングステンフェニルイミド(テトラヒドロフラン)錯体が特に好適である。
式(1)で表される金属化合物は、第6族遷移金属のオキシハロゲン化物と、3,4,5位の少なくとも1つの位置に置換基を有していてもよいフェニルイソシアナート類、または一置換メチルイソシアナート類と、電子供与性の中性配位子(L)、および必要に応じてアルコール類、金属アルコキシド、金属アリールオキシドを混合することなど(例えば、特開平5−345817号公報に記載された方法)により合成することができる。合成された式(1)で表される金属化合物は、結晶化などにより精製・単離したものを用いてもよいし、精製することなく、触媒合成溶液をそのまま開環重合触媒として使用することもできる。
開環重合触媒として用いる式(1)で表される金属化合物の使用量は、(金属化合物:用いる単量体全体)のモル比が、通常1:100〜1:2,000,000、好ましくは1:500〜1,000,000、より好ましくは1:1,000〜1:500,000でとなる量で用いる。触媒量が多すぎると触媒除去が困難となるおそれがあり、少なすぎると十分な重合活性が得られない場合がある。
式(1)で表される金属化合物を開環重合触媒として用いるにあたっては、式(1)で表される金属化合物を単独で使用することもできるが、重合活性を高くする観点からは式(1)で表される金属化合物と有機金属還元剤とを併用することが好ましい。用いられ得る有機金属還元剤としては、炭素数1〜20の炭化水素基を有する周期律表第1、2、12、13、14族の有機金属化合物を挙げることができる。その中でも、有機リチウム、有機マグネシウム、有機亜鉛、有機アルミニウム、または有機スズが好ましく用いられ、有機アルミニウムまたは有機スズが特に好ましく用いられる。有機リチウムとしては、n−ブチルリチウム、メチルリチウム、フェニルリチウムなどを挙げることができる。有機マグネシウムとしては、ブチルエチルマグネシウム、ブチルオクチルマグネシウム、ジヘキシルマグネシウム、エチルマグネシウムクロリド、n−ブチルマグネシウムクロリド、アリルマグネシウムブロミドなどを挙げることができる。有機亜鉛としては、ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛、ジフェニル亜鉛などを挙げることができる。有機アルミニウムとしては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジイソブチルアルミニウムイソブトキシド、エチルアルミニウムジエトキシド、イソブチルアルミニウムジイソブトキシドなどを挙げることができる。有機スズとしては、テトラメチルスズ、テトラ(n−ブチル)スズ、テトラフェニルスズなどを挙げることができる。有機金属還元剤の使用量は、式(1)で表される金属化合物に対して、0.1〜100モル倍が好ましく、0.2〜50モル倍がより好ましく、0.5〜20モル倍が特に好ましい。使用量が少なすぎると重合活性が向上しない場合があり、多すぎると副反応が起こりやすくなるおそれがある。
開環重合体を得るための重合反応は、通常、有機溶媒中で行う。用いる有機溶媒は、生じる開環重合体やその水素添加物が所定の条件で溶解もしくは分散させることが可能であり、重合反応や水素化反応を阻害しないものであれば、特に限定されない。有機溶媒の具体例としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジエチルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン、ビシクロヘプタン、トリシクロデカン、ヘキサヒドロインデン、シクロオクタンなどの脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン系脂肪族炭化水素;クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン系芳香族炭化水素;ニトロメタン、ニトロベンゼン、アセトニトリルなどの含窒素炭化水素系溶媒;ジエチルエ−テル、テトラヒドロフランなどのエ−テル類;またはこれらの混合溶媒を挙げることができる。これらの溶媒の中でも、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素、エーテル類が好ましく用いられる。
開環重合反応は、単量体と、式(1)で表される金属化合物と、必要に応じて有機金属還元剤とを混合することにより開始することができる。これらの成分を添加する順序は、特に限定されない。例えば、単量体に式(1)で表される金属化合物と有機金属還元剤との混合物を添加して混合してもよいし、有機金属還元剤に単量体と式(1)で表される金属化合物との混合物を添加して混合してもよく、また、単量体と有機金属還元剤との混合物に式(1)で表される金属化合物を添加して混合してもよい。また、各成分を混合するにあたっては、それぞれの成分の全量を一度に添加してもよいし、複数回に分けて添加してもよく、比較的に長い時間(例えば1分間以上)にわたって連続的に添加することもできる。
有機溶媒中の重合反応時における単量体の濃度は、特に限定されないが、1〜50重量%であることが好ましく、2〜45重量%であることがより好ましく、3〜40重量%が特に好ましい。単量体の濃度が低すぎると重合体の生産性が悪くなるおそれがあり、高すぎる場合は重合後の溶液粘度が高すぎて、その後の水素化反応が困難となる場合がある。
重合反応系には、活性調整剤を添加してもよい。活性調整剤は、開環重合触媒の安定化、重合反応の速度および重合体の分子量分布を調整する目的で使用することができる。活性調整剤は、官能基を有する有機化合物であれば特に制限されないが、含酸素、含窒素、含りん有機化合物が好ましい。具体的には、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、アニソール、フラン、テトラヒドロフランなどのエーテル類;アセトン、ベンゾフェノン、シクロヘキサノンなどのケトン類;エチルアセテートなどのエステル類;アセトニトリルベンゾニトリルなどのニトリル類;トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、キヌクリジン、N,N−ジエチルアニリンなどのアミン類;ピリジン、2,4−ルチジン、2,6−ルチジン、2−t−ブチルピリジンなどのピリジン類;トリフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフェ−ト、トリメチルホスフェ−トなどのホスフィン類;トリフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフェ−ト、トリメチルホスフェ−トなどのホスフィン類;トリフェニルホスフィンオキシドなどのホスフィンオキシド類;などが挙げられるが、これらに限定されない。これらの活性調整剤は、1種を単独で、または2種以上を混合して用いることができる。添加する活性調整剤の量は、特に限定されないが、通常、開環重合触媒として用いる金属化合物に対して0.01〜100モル%の間で選択すればよい。
また、重合反応系には、開環重合体の分子量を調整するために分子量調整剤を添加してもよい。分子量調整剤としては、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどのα−オレフィン類;スチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニル化合物;エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、アリルグリシジルエーテル、酢酸アリル、アリルアルコール、グリシジルメタクリレートなどの酸素含有ビニル化合物;アリルクロライドなどのハロゲン含有ビニル化合物;アクリルアミドなどの窒素含有ビニル化合物;1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、2−メチル−1,4−ペンタジエン、2,5−ジメチル−1,5−ヘキサジエンなどの非共役ジエン;1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンなどの共役ジエン;を挙げることができる。添加する分子量調整剤の量は目的とする分子量に応じて決定すればよいが、通常、用いる単量体に対して、0.1〜50モル%の範囲で選択すればよい。
重合温度は特に制限はないが、通常、−78℃〜+200℃の範囲であり、好ましくは−30℃〜+180℃の範囲である。重合時間は、特に制限はなく、反応規模にも依存するが、通常1分間から1000時間の範囲である。
上述したような式(1)で表される金属化合物を含む開環重合触媒を用いて、上述したような条件でジシクロペンタジエンの開環重合反応を行うことにより、シンジオタクチック立体規則性を有するジシクロペンタジエン開環重合体を得ることができる。水素化反応の条件を適切に設定すれば、水素化反応で開環重合体のタクチシチーが変化することはないので、このシンジオタクチック立体規則性を有する開環重合体を水素化反応に供することにより、シンジオタクチック立体規則性を有することに基づいて結晶性を有する、目的のジシクロペンタジエン開環重合体水素化物を得ることができる。なお、開環重合体のシンジオタクチック立体規則性の度合いは、開環重合触媒の種類を選択することなどにより、調節することが可能である。
水素化反応に供する開環重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定される重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、ポリスチレン換算で10,000〜100,000であることが好ましく、15,000〜80,000であることがより好ましい。このような重量平均分子量を有する開環重合体を水素化反応に供することによって、特に成形加工性と耐熱性とのバランスに優れたジシクロペンタジエン開環重合体水素化物を得ることができる。開環重合体の重量平均分子量は、重合時に用いる分子量調整剤の添加量などを調節することにより、調節することができる。
水素化反応に供する開環重合体の分子量分布〔ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の数平均分子量と重量平均分子量との比(Mw/Mn)〕は、特に限定されないが、通常1.5〜4.0であり、好ましくは1.6〜3.5である。このような分子量分布を有する開環重合体を水素化反応に供することによって、特に成形加工性に優れたジシクロペンタジエン開環重合体水素化物を得ることができる。開環重合体の分子量分布は、重合反応時における単量体の添加方法や単量体の濃度により、調節することができる。
開環重合体の水素化反応は、水素化触媒の存在下で、反応系内に水素を供給することにより行うことができる。水素化触媒としては、オレフィン化合物の水素化に際して一般に使用されているものであれば使用可能であり、特に制限されないが、例えば、次のようなものが挙げられる。
均一系触媒としては、遷移金属化合物とアルカリ金属化合物の組み合わせからなる触媒系、例えば、酢酸コバルト/トリエチルアルミニウム、ニッケルアセチルアセトナート/トリイソブチルアルミニウム、チタノセンジクロリド/n−ブチルリチウム、ジルコノセンジクロリド/sec−ブチルリチウム、テトラブトキシチタネート/ジメチルマグネシウムなどの組み合わせが挙げられる。さらに、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、クロロヒドリドカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリジンルテニウム(IV)ジクロリド、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウムなどの貴金属錯体触媒を挙げることができる。
不均一触媒としては、ニッケル、パラジウム、白金、ロジウム、ルテニウム、またはこれらの金属をカーボン、シリカ、ケイソウ土、アルミナ、酸化チタンなどの担体に担持させた固体触媒、例えば、ニッケル/シリカ、ニッケル/ケイソウ土、ニッケル/アルミナ、パラジウム/カーボン、パラジウム/シリカ、パラジウム/ケイソウ土、パラジウム/アルミナなどの触媒系が挙げられる。
水素化反応は、通常、不活性有機溶媒中で行う。このような不活性有機溶媒としては、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素;ペンタン、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素;シクロヘキサン、デカヒドロナフタレンなどの脂環族炭化水素;テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類;などが挙げられる。不活性有機溶媒は、通常は、重合反応に用いる溶媒と同じでよく、重合反応液にそのまま水素化触媒を添加して反応させればよい。
水素化反応は、使用する水素化触媒系によっても適する条件範囲が異なるが、反応温度は通常−20℃〜+250℃、好ましくは−10℃〜+220℃、より好ましくは0℃〜200℃である。水素化温度が低すぎると反応速度が遅くなりすぎる場合があり、高すぎると副反応が起こる場合がある。水素圧力は、通常0.01〜20MPa、好ましくは0.05〜15MPa、より好ましくは0.1〜10MPaである。水素圧力が低すぎると水素化速度が遅くなりすぎる場合があり、高すぎると高耐圧反応装置が必要となる点において装置上の制約が生じる。反応時間は所望の水素化率とできれば特に限定されないが、通常0.1〜10時間である。水素化反応後は、常法に従って目的のジシクロペンタジエン開環重合体水素化物を回収すればよく、回収にあたっては、ろ過などの手法により、触媒残渣を除去することができる。
開環重合体の水素化反応における水素化率(水素化された主鎖二重結合の割合)は、特に限定されないが、好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上、特に好ましくは99.5%以上である。水素化率が高くなるほど、最終的に得られるジシクロペンタジエン開環重合体水素化物の耐熱性が良好なものとなる。
本発明のフィルムの製造方法では、例えば以上のようにして得られる結晶性を有するジシクロペンタジエン開環重合体水素化物を原料樹脂として、溶融成形法により矩形状のフィルムを成形する。ジシクロペンタジエン開環重合体水素化物をフィルムに成形するにあたり、溶融成形法を採用することにより、良好な生産性でフィルムを得ることができる。なお、ジシクロペンタジエン開環重合体水素化物は、単独で溶融成形に供することができるが、必要に応じて、本発明を逸脱しない範囲で他の成分を添加して溶融成形に供してもよい。ジシクロペンタジエン開環重合体水素化物に添加しうる他の成分としては、酸化防止剤、核剤、充填剤、難燃剤、難燃助剤、着色剤、帯電防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、光安定剤、近赤外線吸収剤、滑剤、および結晶性を有するジシクロペンタジエン開環重合体水素化物以外の高分子材料を例示することができる。得られるフィルムを、特に熱劣化しがたいものとする観点からは、これらのなかでも、酸化防止剤を添加することが好ましい。
酸化防止剤は、特に限定されず、例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤を用いることができる。これらのなかでも、フェノール系酸化防止剤を用いることが好ましい。
フェノール系酸化防止剤としては、従来公知のものが使用でき、例えば、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,4−ジ−t−アミル−6−(1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル)フェニルアクリレートなどの特開昭63−179953号公報や特開平1−168643号公報に記載されるアクリレート系化合物;オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス〔メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン[すなわち、ペンタエリスリメチル−テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオネート)]、トリエチレングリコールビス(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート)などのアルキル置換フェノール系化合物;6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−2,4−ビスオクチルチオ−1,3,5−トリアジン、4−ビスオクチルチオ−1,3,5−トリアジン、2−オクチルチオ−4,6−ビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−オキシアニリノ)−1,3,5−トリアジンなどのトリアジン基含有フェノール系化合物;が挙げられる。これらのなかでも、アルキル置換フェノール系酸化防止剤が特に好ましく用いられる。
リン系酸化防止剤としては、例えば、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、10−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドなどのモノホスファイト系化合物;4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシルホスファイト)、4,4’イソプロピリデン−ビス(フェニル−ジ−アルキルホスファイト)(アルキル部分の炭素数12〜15)などのジホスファイト系化合物が挙げられる。
イオウ系酸化防止剤としては、例えば、ジラウリル3,3−チオジプロピオネート、ジミリスチル3,3’−チオジプロピピオネート、ジステアリル3,3−チオジプロピオネート、ラウリルステアリル3,3−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(β−ラウリル−チオ−プロピオネート)、3,9−ビス(2−ドデシルチオエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンが挙げられる。
酸化防止剤の配合量は、特に限定されないが、ジシクロペンタジエン開環重合体水素化物100重量部に対して、通常0.001〜5重量部、好ましくは0.1〜3重量部の範囲で選択される。
結晶性を有するジシクロペンタジエン開環重合体水素化物を、溶融成形法により矩形状のフィルムに成形するにあたり、用いる溶融成形法は特に限定されず、押出成形法、カレンダー成形法、圧縮成形法、インフレーション成形法、射出成形法、ブロー成形法などを適用することができる。これらのなかでも、フィルムの厚みを均一化させ易い押出成形法を適用することが好ましく、さらにそのなかでも、Tダイを備えた押出機による押出成形法を適用することが特に好ましい。なお、「矩形状のフィルムに成形する」とは次に述べるフィルムを結晶化させる工程において、「4辺を保持する」ことができる形状にフィルムを成形する趣旨であり、厳密な意味で「矩形状」であることを必要とする趣旨ではない。また、溶融成形法のみで直接矩形状のフィルムを成形することのみを意味するのではなく、溶融成形法により矩形状以外のフィルムを成形した後、不要部分を切り取るなどして矩形状に整形することをも含む趣旨である。
溶融成形時の成形温度は特に限定されないが、通常、原料樹脂である結晶性を有するジシクロペンタジエン開環重合体水素化物の融点以上で、かつ、ジシクロペンタジエン開環重合体水素化物が熱分解する温度未満の範囲で選択され、より具体的には、270〜400℃の範囲で選択されることが好ましく、280〜350℃の範囲で選択されることがより好ましい。
溶融成形により得られた矩形状のフィルムは、常法に従って原料樹脂のガラス転移温度未満まで一旦冷却してから、次に述べるフィルムを結晶化させる工程に供してもよいし、原料樹脂のガラス転移温度未満まで冷却させることなく、そのままフィルムを結晶化させる工程に供することもできる。
本発明のフィルムの製造方法では、第二の工程として、以上のようにして得られた矩形状のフィルムの4辺を保持することによりフィルムを緊張状態として、これを原料樹脂である結晶性を有するジシクロペンタジエン開環重合体水素化物のガラス転移温度以上融点以下の温度条件下に置くことにより、フィルムを結晶化させる。このように、矩形状のフィルムの4辺を保持することによりフィルムを緊張状態とした上で、フィルムの原料樹脂のガラス転移温度以上融点以下の温度条件下に置く(すなわち、アニール処理する)ことにより、溶融成形法により得られたフィルムの平滑性を損なうことなく、フィルムの結晶化を進めることができる。なお、「4辺を保持する」とは、矩形状のフィルム4辺の辺部のそれぞれを、任意の保持手段により保持すること意味するものであるが、必ずしもそれぞれの辺部の全長が連続的に保持される必要はなく、例えば、所定の間隔で配列された保持手段により間欠的に保持してもよい。また、「緊張状態」とは、張力がかかった状態を意味するが、フィルムが実質的に延伸される場合(例えば、いずれかの方向への延伸倍率が1.1倍以上になる場合)は含まれない。
矩形状のフィルムの4辺を保持するための保持手段は特に限定されないが、より平滑性に優れるフィルムを得る観点からは、保持されるフィルムの辺部以外ではフィルムと接触しない保持手段であることが好ましく、また、フィルムを延伸することなく緊張状態に保つ観点からは、保持手段同士の位置が相対移動しない保持手段であることが好ましい。そのような保持手段の具体例としては、比較的小さな矩形状のフィルムに適用できる例として、クリップなどのフィルムを把持できる手段を所定間隔で取り付けた矩形状の型枠を挙げることができる。また、長尺フィルムを連続的にアニール処理する場合などにおいては、フィルムの4辺を保持するにあたり、そのうちの対向する2辺の保持をテンター装置で行うことが好ましい。なお、対向する2辺の保持をテンター装置で行う場合において、残りの対向する2辺の保持を行う手段は特に限定されないが、フィルムを保持しながらフィルムを移送できる保持手段であることが好ましく、その具体例としては、2つのロールの組み合わせや、押出機と引き取りロールとの組み合わせを挙げることができる。
緊張状態としたフィルムは、フィルムの結晶化を進めるために、原料樹脂である結晶性を有するジシクロペンタジエン開環重合体水素化物のガラス転移温度以上融点以下の温度条件下に置く必要がある。このような温度条件下にフィルムを置くための加熱手段は特に限定されないが、加熱手段とフィルムとが接触する必要がない雰囲気温度を上昇させる加熱手段が好ましく用いられ、具体的には、オーブンや加熱炉が好適である。
フィルムの結晶化を行う温度は、原料樹脂である結晶性を有するジシクロペンタジエン開環重合体水素化物のガラス転移温度以上融点以下の温度であればよいが、結晶化速度が最大となる温度を選択することが好ましく、具体的には、110〜240℃の範囲で選択することが好ましく、120〜220℃の範囲で選択することがより好ましい。また、そのような温度条件下にフィルムを置く時間は、特に限定されないが、通常5秒以上であり、好ましくは10秒〜1時間である。
以上のようなフィルムを結晶化させる工程に供された後のフィルムは、放冷などの常法に従ってガラス転移温度未満まで冷却すればよい。なお、フィルムの緊張状態は、所定時間経過後冷却前に解いてもよいし、ガラス転移温度未満まで冷却した後に解いてもよいが、フィルムの取り扱いを容易にする観点からは、ガラス転移温度未満まで冷却した後に解くことが好ましい。
以上のようなフィルムを結晶化させる工程に供されることにより、本発明のフィルムの製造方法で得られるフィルムは、高い結晶化度を有することができる。得られるフィルムの結晶化度は、所望の性能に応じて適宜選択すればよいが、フィルムに高い耐熱性や耐薬品性を付与する観点からは、10%以上であることが好ましく、15%以上であることが好ましい。なお、フィルムの結晶化度は、フィルムを結晶化させる工程において、フィルムを原料樹脂のガラス転移温度以上融点以下の温度に置く時間を調節することなどにより、容易に調節することができる。
また、本発明のフィルムの製造方法で得られるフィルムでは、結晶のサイズを小さくすることができるので、得られるフィルムに高い透明性を付与することができる。得られるフィルムの全光線透過率は、特に限定されないが、厚さ100μmのフィルムとした場合において、80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましい。
本発明のフィルムの製造方法で得られるフィルムの厚さは、目的とする用途に応じて適宜設定すればよく、特に限定されないが、通常10〜250μmの範囲で選択され、好ましくは20〜200μmの範囲で選択される。
以上述べたように、本発明のフィルムの製造方法によれば、フィルムの平滑性を損なうことなく、結晶性を有するジシクロペンタジエン開環重合体水素化物を原料樹脂とするフィルムの結晶化を進めることが可能となる。したがって、本発明のフィルムの製造方法によれば、特に平滑性と耐熱性に優れるフィルムを製造することができる。本発明の製造方法で得られるフィルムは、これらの優れた特性と結晶性を有するジシクロペンタジエン開環重合体水素化物元来の特長を活かして、例えば食品分野、医療分野、電子・電気分野、光学分野、民生分野、土木建築分野などの各種の用途に好適に用いることができる。なかでも、食品分野、医療分野、電子・電気分野、光学分野などの用途に好適である。食品分野としては、ラップフィルム、シュリンクフィルム、菓子や漬物などの食品包装袋などとして使用できる。医療分野では、輸液用バッグ、点滴用バッグ、プレス・スルー・パッケージ用フィルム、ブリスター・パッケージ用フィルムなどとして使用できる。電子・電気分野では、フレキシブルプリント基板用フィルム、フィルムコンデンサー、高周波回路基板フィルム、アンテナ基板フィルム、電池セパレーター用フィルム、離型フィルムなどとして使用できる。光学分野では、位相差フィルム、偏光フィルム、光拡散シート、集光シート、光カード、タッチパネル基板フィルム、フレキシブルディスプレイ基板フィルムなどとして使用できる。
以下に、実施例および比較例を挙げて、本発明についてより具体的に説明する。なお、各例中の部および%は、特に断りのない限り、重量基準である。
また、各例における測定および評価は、以下の方法により行った。
(1)重合体の分子量(重量平均分子量および数平均分子量)
ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)システム HLC−8220(東ソー社製)で、Hタイプカラム(東ソー社製)を用い、テトラヒドロフランを溶媒として40℃で測定し、ポリスチレン換算値として求めた。
(2)重合体の水素化率
H−NMR測定に基づいて求めた。
(3)ジシクロペンタジエン開環重合体水素化物のガラス転移温度および融点
窒素雰囲気下で300℃に加熱した試料を液体窒素で急冷し、示差操作熱量計(DSC)を用いて、10℃/分で昇温し、ガラス転移温度および融点をそれぞれ求めた。
(4)ジシクロペンタジエン開環重合体水素化物のラセモ・ダイアッドの割合
オルトジクロロベンゼン−d4を溶媒として、150℃でinverse−gated decoupling法を適用して13C−NMR測定を行い、オルトジクロロベンゼン−d4の127.5ppmのピークを基準シフトとして、メソ・ダイアッド由来の43.35ppmのシグナルと、ラセモ・ダイアッド由来の43.43ppmのシグナルの強度比に基づいて、ラセモ・ダイアッドの割合を求めた。
(5)フィルムの結晶化度
広角X線回折装置(リガク社製、商品名「RINT2500」)を用いて、回折ピーク面積から算出した。
(6)フィルムの全光線透過率
紫外・可視分光計(JASCO社製、商品名「V−550」)を用いて、波長400〜700nmの範囲で全光線透過率を測定した。
(7)フィルムの加熱後の寸法変化率
A4サイズのフィルム(210mm×297mm)を100mm×10mmのサイズに裁断して試料とした。このとき、フィルムの押出成形時の押出方向(MD)を長辺とする試料と、押出方向に垂直な方向(TD)を長辺とする試料をそれぞれ作製した。これらの試料について、精密寸法測定装置(ニコンインステック社製、商品名「NEXIV VME−1515」)を用いて、23℃において試料の長辺の長さ(Y1)を測定した。 次に、この試料を大気中、150℃で1時間加熱した。加熱後の試料については観察を行なった上で、加熱前と同様にして23℃において試料の長辺の長さ(Y2)測定した。これらの測定結果に基づいて、フィルム加熱後の寸法変化率を下式により求めた。
寸法変化率(%)={(Y1−Y2)/Y1}×100
なお、試料はそれぞれ10個作製し、寸法変化率は、その平均値として求めた。寸法変化率が小さなものほど、耐熱性に優れるといえる。
〔合成例〕(結晶性を有するジシクロペンタジエン開環重合体水素化物の合成)
充分に乾燥した後、窒素置換したガラス製耐圧反応容器に、ジシクロペンタジエン(エンド体含有率99%以上)の75%シクロヘキサン溶液40部(ジシクロペンタジエンの量として30部)を仕込み、さらに、シクロヘキサン738部および1−ヘキセン1.9部を加え、50℃に加温した。一方、テトラクロロタングステンフェニルイミド(テトラヒドロフラン)錯体1.1部を56部のトルエンに溶解した溶液に、19%のジエチルアルミニウムエトキシド/n−ヘキサン溶液4.6部を加えて10分間攪拌し、触媒溶液を調製した。この触媒溶液を反応器に加えて開環重合反応を開始した。その後、50℃を保ちながら、5分毎に75%ジシクロペンタジエン/シクロヘキサン溶液40部を9回添加(合計360部添加)した後、2時間反応を継続させた。その後、少量のイソプロパノールを加えて、重合反応を停止した後、重合反応溶液を多量のイソプロパノール中に注ぎ込み、重合体を凝固させた。凝固した重合体をろ過により溶液から分離して、重合体を回収した後、得られた重合体を、減圧下40℃で20時間乾燥した。重合体(ジシクロペンタジエン開環重合体)の収量は296部(収率:99%)であった。また、この重合体の数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)は、それぞれ、15,600および30,000であり、これらから求められる分子量分布(Mw/Mn)は1.92であった。続いて、得られた重合体60部およびシクロヘキサン261部を耐圧反応容器に加えて攪拌し、重合体をシクロヘキサンに溶解後、クロロヒドリドカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム0.039部をトルエン40部に分散した水素化触媒液を添加し、水素圧4MPa、160℃で5時間水素化反応を行った。得られた水素化反応液を多量のイソプロピルアルコールに注いで重合体を完全に析出させ、濾別洗浄後、60℃で24時間減圧乾燥して、結晶性を有するジシクロペンタジエン開環重合体水素化物を得た。ジシクロペンタジエン開環重合体水素化物の水素化率は99%以上、ガラス転移温度は96℃、融点は265℃、ラセモ・ダイアッドの割合は68%であった。
〔実施例1〕
合成例で得られたジシクロペンタジエン開環重合体水素化物100部に酸化防止剤(テトラキス〔メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、商品名「イルガノックス1010」、BASFジャパン社製)0.8部添加し、二軸押出機により、樹脂温度平均280℃にて溶融混練し、ペレタイザーによりペレット化して原料樹脂のペレットを得た。このペレットを、幅300mmのTダイを備えた押出機(バレル温度:280℃、Tダイ温度:290℃、冷却ロール温度:90℃)を用いて、1.5m/分の速度で溶融押出し、押出後室温に冷却することにより、厚み100μmのフィルムを成形し、これを溶融押出速度と等速の引き取りロールで巻き取った。得られたフィルムの一部を切り出して、結晶化度を測定したところ、結晶化度は4%であった。次いで、ロールに巻き取ったフィルムから300mm×500mmのフィルムを切り出した。そして、この切り出したフィルムの4辺に沿って、表裏両面に幅10mmのポリイミド製テープを貼り、これを、切り出したフィルムと同じ大きさのアルミニウム製枠の4辺に巾25mmのクリップを隙間なく並べて取り付けた型枠に、ポリイミド製テープを貼り付けた部分が全てのクリップに把持されるように取り付けて、フィルムを緊張状態とした。そして、フィルムが取り付けられた型枠を150℃に加熱したオーブン内に30分間静置した。30分間静置後、室温まで冷却し、型枠からフィルムを取り出して、フィルムの辺部を切り取ることで、A4サイズ(210mm×297mm)フィルムを作製した。得られたフィルムについて、表面を観察した上で、結晶化度、全光線透過率および加熱後の寸法変化率を測定した。これらの結果は表1にまとめて示した。
Figure 2013010309
〔実施例2〕
型枠を静置するオーブンの加熱温度を150℃から120℃に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてフィルムを作製した。得られたフィルムについて、表面を観察した上で、結晶化度、全光線透過率および加熱後の寸法変化率を測定した。これらの結果は表1にまとめて示した。
〔実施例3〕
型枠を静置するオーブンの加熱温度を150℃から200℃に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてフィルムを作製した。得られたフィルムについて、表面を観察した上で、結晶化度、全光線透過率および加熱後の寸法変化率を測定した。これらの結果は表1にまとめて示した。
〔比較例1〕
実施例1で得られた引き取りロールに巻き取ったフィルムをA4サイズ(210mm×297mm)に切り出し、このフィルムについて、フィルム表面の観察、ならびに結晶化度、全光線透過率および加熱後の寸法変化率の測定を行った。これらの結果は表1にまとめて示した。
〔比較例2〕
実施例1で得られた引き取りロールに巻き取ったフィルムをA4サイズ(210mm×297mm)に切り出し、このフィルムの板に載せて、オーブン内の風圧でフィルムが移動することを防止する目的でフィルムの4角をポリイミドテープで板に固定した。但し、この固定は、フィルムが緊張状態にならないように、たるみをもたせて行った。次に、この板に固定されたフィルムを150℃に加熱したオーブンで30分間加熱した。冷却後、板からフィルムを取り外し、フィルム表面の観察、ならびに結晶化度、全光線透過率および加熱後の寸法変化率の測定を行った。これらの結果は表1にまとめて示した。
〔比較例3〕
フィルムを型枠へ取り付けるにあたり、フィルムの短辺の辺部のみを全長にわたってクリップで保持し、長辺についてはクリップで保持しなかったこと以外は、実施例1と同様にしてフィルムを作製した。得られたフィルムについて、表面を観察した上で、結晶化度、全光線透過率および加熱後の寸法変化率を測定した。これらの結果は表1にまとめて示した。
〔比較例4〕
実施例1と同様にして、フィルムを溶融押出成形により成形した。但し、フィルムを引き取りロールに巻き取るにあたり、巻き取り速度を押し出し速度の2倍とすることにより、フィルムを引き取り方向に沿って延伸させながら、フィルムを引き取りロールに巻き取った。この引き取りロールに巻き取ったフィルムをA4サイズ(210mm×297mm)に切り出し、このフィルムについて、フィルム表面の観察、ならびに結晶化度、全光線透過率および加熱後の寸法変化率の測定を行った。これらの結果は表1にまとめて示した。
〔実施例4〕
実施例1で得られた引き取りロールに巻き取ったフィルムを、テンター装置を備えた加熱炉で熱処理した。具体的には、2つのロール間にテンター装置を備えた加熱炉を設置し、ロール間のフィルムの張力を保ちつつ、さらにテンター装置でフィルムの側辺を保持して引き取り方向に垂直の張力をかけながら(但し、フィルムが実質的に延伸されないようにした)、この状態のフィルムが150℃の加熱炉内を1分間かけて通過するようにして、引き取りロールにフィルムを巻き取った。この引き取りロールに巻き取ったフィルムをA4サイズ(210mm×297mm)に切り出し、このフィルムについて、フィルム表面の観察、ならびに結晶化度、全光線透過率および加熱後の寸法変化率の測定を行った。これらの結果は表2にまとめて示した。
Figure 2013010309
〔比較例5〕
テンター装置を使用しなかった(すなわち、フィルムへ引き取り方向に垂直の張力をかけなかった)こと以外は実施例2と同様にして、熱処理を行い、引き取りロールにフィルムを巻き取った。この引き取りロールに巻き取ったフィルムをA4サイズ(210mm×297mm)に切り出し、このフィルムについて、フィルム表面の観察、ならびに結晶化度、全光線透過率および加熱後の寸法変化率の測定を行った。これらの結果は表2にまとめて示した。
表1および表2に示される結果から分かるように、フィルムの4辺を保持することによりフィルムを緊張状態として、これを原料樹脂のガラス転移温度以上融点以下の温度条件下に置く(アニール処理する)ことにより、表面にデコボコやスジがなく平滑であり、透明性に優れ、しかも、150℃で1時間加熱しても、殆ど変形することなく平滑な状態が保たれる、耐熱性の高いフィルムを得ることができる(実施例1〜5)。一方、フィルムの結晶化を行わない場合は、得られるフィルムの結晶化度が低くなり、耐熱性が劣るものとなる(比較例1)。また、フィルムの結晶化を延伸処理で行うと、得られるフィルムの表面にスジが発生し、また、フィルムの耐熱性も劣るものとなる(比較例4)。また、フィルムの結晶化をアニール処理により行う場合であっても、フィルムの保持を行わない場合や、2辺のみを保持する場合は、得られるフィルムの表面にデコボコやスジが発生し、また、フィルムの耐熱性も劣るものとなる(比較例2,3,5)。以上より、本発明のフィルムの製造方法によれば、特に平滑性と耐熱性に優れるフィルムを得ることができるといえる。

Claims (2)

  1. 結晶性を有するジシクロペンタジエン開環重合体水素化物である原料樹脂を溶融成形法により矩形状のフィルムに成形する工程と、得られたフィルムの4辺を保持することによりフィルムを緊張状態として、これを原料樹脂のガラス転移温度以上融点以下の温度条件下に置くことにより、フィルムを結晶化させる工程と、を有するフィルムの製造方法。
  2. フィルムを結晶化させる工程において、フィルムの4辺を保持するにあたり、そのうちの対向する2辺の保持をテンター装置で行う、請求項1に記載のフィルムの製造方法。
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