JP2016026909A - 樹脂フィルムの製造方法、樹脂フィルム、および光学フィルム - Google Patents

樹脂フィルムの製造方法、樹脂フィルム、および光学フィルム Download PDF

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Abstract

【課題】
加熱時の寸法安定性に優れる樹脂フィルムの製造方法、並びに、この方法により得られる樹脂フィルム及び光学フィルム、を提供する。
【解決手段】
結晶性の脂環式構造含有樹脂を主成分とする樹脂フィルムを延伸して得られた延伸フィルムを、炭化水素系溶媒と接触させる工程を有することを特徴とする、樹脂フィルムの製造方法、並びに、この方法により得られる樹脂フィルム及び光学フィルム。
【選択図】 なし

Description

本発明は、加熱時の寸法安定性に優れる樹脂フィルムの製造方法、並びに、この方法により得られる樹脂フィルム及び光学フィルムに関する。
従来、樹脂フィルムの、剛性、耐衝撃強度、ガスバリア性等を高める方法として、樹脂フィルムに延伸処理を施して、樹脂フィルムの結晶性を高めるという方法が知られている。
しかしながら、この方法により得られた延伸フィルムは、一般に、加熱したときに熱収縮が起こり易く、加熱時の寸法安定性に劣るという問題があった。
このため、加熱時の寸法安定性に優れる延伸フィルムを得るためには、高温条件下で延伸処理を行ったり、延伸処理後に、さらにアニール処理を施したりする必要があった。
したがって、特別な装置を準備したり、製造工程を煩雑にしたりすることなく、加熱時の寸法安定性に優れる延伸フィルムをより簡便に製造し得る方法が要望されていた。
加熱時の寸法安定性に優れる延伸フィルムをより簡便に製造し得る方法として、特許文献1には、芳香族ポリエステル樹脂からなるフィルムに、炭化水素化合物を含浸させた後、(前記芳香族ポリエステル樹脂のガラス転移温度+15℃)以下の温度で延伸処理を施すことを特徴とする、芳香族ポリエステル樹脂フィルムの製造方法が記載されている。
しかしながら、一般に、樹脂フィルムに炭化水素化合物を含浸させると、それが可塑剤として作用して樹脂フィルムの弾性率を低下させるため、炭化水素化合物をその内部に含む樹脂フィルムに延伸処理を施すと、延伸時にクリップ外れが生じたり、延伸ムラが発生したりする場合があった。
また、延伸時に、樹脂フィルムから炭化水素化合物(有機溶媒)が揮発し、延伸装置の故障を引き起こすことが考えられるため、延伸装置のメンテナンスを頻繁に行うことが必要になる。
このため、特許文献1に記載の方法は、加熱時の寸法安定性に優れる延伸フィルムを、一定の品質水準を維持しながら、生産性良く製造する上で、問題を有するものであった。
特開2012−61693号公報
本発明は、上記した従来技術に鑑みてなされたものであり、加熱時の寸法安定性に優れる樹脂フィルムの製造方法、並びに、この方法により得られる樹脂フィルム及び光学フィルム、を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、結晶性の脂環式構造含有樹脂を主成分とする樹脂フィルムを延伸して得られた延伸フィルムを、炭化水素系溶媒と接触させることにより、加熱時の寸法安定性に優れる樹脂フィルムが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
かくして本発明によれば、下記〔1〕〜〔4〕の樹脂フィルムの製造方法、〔5〕〜〔6〕の樹脂フィルム、〔7〕の光学フィルム、が提供される。
〔1〕結晶性の脂環式構造含有樹脂を主成分とする樹脂フィルムを延伸して得られた延伸フィルムを、炭化水素系溶媒と接触させる工程を有することを特徴とする、樹脂フィルムの製造方法。
〔2〕前記結晶性の脂環式構造含有樹脂が、結晶性のジシクロペンタジエン開環重合体水素化物である、〔1〕に記載の樹脂フィルムの製造方法。
〔3〕前記炭化水素系溶媒が、芳香族炭化水素系溶媒、脂環炭化水素系溶媒、及び脂肪族炭化水素系溶媒からなる群から選ばれる少なくとも一種である、〔1〕または〔2〕に記載の樹脂フィルムの製造方法。
〔4〕前記接触方法が、ディップ法又はスプレー法である、〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の樹脂フィルムの製造方法。
〔5〕前記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の方法により得られる樹脂フィルム。
〔6〕150℃で5分間加熱したときの熱収縮率が、10%以下である、〔5〕に記載の樹脂フィルム。
〔7〕前記〔6〕に記載の樹脂フィルムからなる光学フィルム。
本発明によれば、加熱時の寸法安定性に優れる樹脂フィルムを効率よく製造することができる方法、並びに、この方法により得られる樹脂フィルム及び光学フィルム、が提供される。
以下、本発明を、1)樹脂フィルムの製造方法、並びに、2)樹脂フィルム及び光学フィルム、に項分けして詳細に説明する。
1)樹脂フィルムの製造方法
本発明の樹脂フィルムの製造方法は、結晶性の脂環式構造含有樹脂を主成分とする樹脂フィルムを延伸して得られた延伸フィルムを、炭化水素系溶媒と接触させる工程を有することを特徴とする。
以下、延伸処理前の樹脂フィルムを、「樹脂フィルム(α)」、延伸処理後、炭化水素系溶媒との接触前の樹脂フィルムを、「樹脂フィルム(β)」、炭化水素系溶媒との接触後の樹脂フィルムを、「樹脂フィルム(γ)」ということがある。
〔脂環式構造含有樹脂〕
「脂環式構造含有樹脂」とは、分子内に、脂環式構造を有する重合体であって、環状オレフィンを単量体として用いて重合反応を行って得られた重合体又はその水素化物をいう。
脂環式構造含有樹脂が有する脂環式構造としては、シクロアルカン構造やシクロアルケン構造が挙げられる。これらの中でも、耐光性等に優れる樹脂フィルムが得られ易いことから、シクロアルカン構造が好ましい。脂環式構造を構成する炭素原子の数は、特に制限はないが、通常4〜30個、好ましくは5〜20個、より好ましくは5〜15個である。脂環式構造を構成する炭素原子の数が上記範囲内にあることで、機械的強度、耐熱性、及び成形性の特性が高度にバランスされ好適である。
前記脂環式構造含有樹脂中の、全繰り返し単位に対する脂環式構造を有する繰り返し単位の割合は、使用目的に応じて適宜選択されればよいが、通常30重量%以上、好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%以上である。脂環式構造含有樹脂中の脂環式構造を有する繰り返し単位の割合が過度に少ないと耐熱性に劣る傾向がある。
前記脂環式構造含有樹脂中の脂環式構造を有する繰り返し単位以外の残部は、格別な限定はなく、使用目的に応じて適宜選択される。
本発明に用いる脂環式構造含有樹脂は結晶性を有するものである。「結晶性を有する脂環式構造含有樹脂」とは、融点を有する〔すなわち、示差走査熱量計(DSC)で融点を観測することができる〕脂環式構造含有樹脂をいう。
前記脂環式構造含有樹脂の融点は、好ましくは200℃以上、より好ましくは230〜290℃である。
このような融点を有する脂環式構造含有樹脂を用いることによって、より成形性と耐熱性とのバランスに優れた樹脂フィルム(γ)を得ることができる。
前記脂環式構造含有樹脂の重量平均分子量(Mw)は特に限定されないが、通常1,000〜1,000,000、好ましくは、2,000〜500,000である。このような重量平均分子量を有する脂環式構造含有樹脂は、成形加工性と耐熱性とのバランスに優れる。
前記脂環式構造含有樹脂の分子量分布(Mw/Mn)は、特に限定されないが、通常1.0〜4.0であり、好ましくは1.5〜3.5である。このような分子量分布を有する脂環式構造含有樹脂は、成形加工性により優れる。
脂環式構造含有樹脂の重量平均分子量(Mw)や分子量分布(Mw/Mn)は、テトラヒドロフランを展開溶媒とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により測定されるポリスチレン換算値である。
本発明に用いる結晶性の脂環式構造含有樹脂としては、環状オレフィン単量体の開環重合体であって、結晶性を有するもの(以下、「重合体(α)」ということがある。)、重合体(α)の水素化物であって、結晶性を有するもの(以下、「重合体(β)」ということがある。)、環状オレフィン単量体の付加重合体であって、結晶性を有するもの(以下、「重合体(γ)」ということがある。)、及び重合体(γ)の水素化物等であって、結晶性を有するもの(以下、「重合体(δ)」ということがある。)が挙げられる。
後述するように、耐熱性に優れる樹脂フィルムが得られ易いことから、結晶性の脂環式構造含有樹脂としては、重合体(β)が好ましく、ジシクロペンタジエン開環重合体であって、結晶性を有するもの、及び、ジシクロペンタジエン開環重合体水素化物であって、結晶性を有するものがより好ましく、ジシクロペンタジエン開環重合体水素化物であって、結晶性を有するものが特に好ましい。
ここで、ジシクロペンタジエン開環重合体とは、全繰り返し単位に対するジシクロペンタジエン由来の繰り返し単位の割合が、50重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%以上、さらに好ましくは100重量%の重合体をいい、ジシクロペンタジエン開環重合体水素化物は、その水素化物である。
(1)重合体(α)及び(β)
重合体(α)及び(β)の製造に用いる環状オレフィン単量体は、炭素原子で形成される環構造を有し、該環中に炭素−炭素二重結合を有する化合物である。具体的には、ノルボルネン系単量体等が挙げられる。また、重合体(α)が共重合体である場合には、環状オレフィン単量体として、単環の環状オレフィンを用いることもできる。
ノルボルネン系単量体は、ノルボルネン環を含む単量体である。
ノルボルネン系単量体としては、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)、5−エチリデン−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(慣用名:エチリデンノルボルネン)及びその誘導体(環に置換基を有するもの)等の2環式単量体;
トリシクロ[4.3.01,6.12,5]デカ−3,7−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)及びその誘導体等の3環式単量体;
7,8−ベンゾトリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン(慣用名:メタノテトラヒドロフルオレン:1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレンともいう)及びその誘導体、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(慣用名:テトラシクロドデセン)、8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン及びその誘導体等の4環式単量体;等が挙げられる。
これらの単量体の置換基としては、メチル基、エチル基等のアルキル基;ビニル基等のアルケニル基;プロパン−2−イリデン等のアルキリデン基;フェニル基等のアリール基;ヒドロキシ基;酸無水物基;カルボキシル基;メトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;等が挙げられる。
単環の環状オレフィンとしては、シクロブテン、シクロペンテン、メチルシクロペンテン、シクロヘキセン、メチルシクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン等の環状モノオレフィン;シクロヘキサジエン、メチルシクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、メチルシクロオクタジエン、フェニルシクロオクタジエン等の環状ジオレフィン;等が挙げられる。
これらの環状オレフィン単量体は、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
環状オレフィン単量体を2種以上用いる場合、重合体(α)は、ブロック共重合体であってもよいし、ランダム共重合体であってもよい。
環状オレフィン単量体には、エンド体及びエキソ体の立体異性体が存在するものがあるが、本発明においては、そのどちらも単量体として用いることができる。また、一方の異性体のみを単独で用いてもよいし、エンド体及びエキソ体が任意の割合で存在する異性体混合物を用いてもよい。本発明においては、脂環式構造含有樹脂の結晶性が高まり、耐熱性により優れる樹脂フィルム(γ)が得られ易くなることから、一方の立体異性体の割合を高くすることが好ましい。例えば、エンド体又はエキソ体の割合が、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上である。なお、合成が容易であることから、エンド体の割合が高いことが好ましい。
重合体(α)及び(β)においては、通常、そのシンジオタクチック立体規則性の度合い(ラセモ・ダイアッドの割合)を高めることで、結晶性をより高くすることができる。
重合体(α)及び(β)の立体規則性の程度は特に限定されないが、その繰り返し単位についてのラセモ・ダイアッドの割合が、51%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、70%以上であることが特に好ましい。
ラセモ・ダイアッドの割合は、13C−NMRスペクトル分析で測定することにより、求めることができる。具体的には、1,3,5−トリクロロベンゼン−d3/オルトジクロロベンゼン−d4の混合溶媒(体積比:2/1)を溶媒として、200℃でinverse−gated decoupling法を適用して13C−NMR測定を行い、オルトジクロロベンゼン−d4の127.5ppmのピークを基準シフトとして、メソ・ダイアッド由来の43.35ppmのシグナルと、ラセモ・ダイアッド由来の43.43ppmのシグナルの強度比からラセモ・ダイアッドの割合を決定することができる。
重合体(α)の合成に用いる開環重合触媒としては、環状オレフィン単量体を開環重合させ、シンジオタクチック立体規則性を有する開環重合体を生成させるものが好ましい。
好ましい開環重合触媒としては、下記式(1)で示される金属化合物を含有するものが挙げられる。
Figure 2016026909
式(1)中、Mは周期律表第6族の遷移金属原子から選択される金属原子であり、Rは3,4,5位の少なくとも1つの位置に置換基を有していてもよいフェニル基、又は−CH(Rは水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基及び置換基を有していてもよいアリール基から選択される基である。)で表される基であり、Rは置換基を有していてもよいアルキル基及び置換基を有していてもよいアリール基から選択される基であり、Xはハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基及びアルキルシリル基から選択される基であり、Lは電子供与性の中性配位子である。aは0又は1であり、bは0〜2の整数である。
Mは、周期律表第6族の遷移金属原子(クロム、モリブデン、タングステン)であり、モリブデン又はタングステンが好ましく、タングステンがより好ましい。
の、3,4,5位の少なくとも1つの位置に置換基を有していてもよいフェニル基の炭素数は、特に限定されないが、通常、6〜20、好ましくは6〜15である。
前記置換基としては、メチル基、エチル基等のアルキル基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等のアルコキシ基;等が挙げられる。
また、3,4,5位の少なくとも2つの位置に存在する置換基が互いに結合し、環構造を形成していてもよい。
3,4,5位の少なくとも1つの位置に置換基を有していてもよいフェニル基としては、無置換フェニル基;4−メチルフェニル基、4−クロロフェニル基、3−メトキシフェニル基、4−シクロヘキシルフェニル基、4−メトキシフェニル基等の一置換フェニル基;3,5−ジメチルフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、3,5−ジメトキシフェニル基等の二置換フェニル基;3,4,5−トリメチルフェニル基、3,4,5−トリクロロフェニル基等の三置換フェニル基;2−ナフチル基、3−メチル−2−ナフチル基、4−メチル−2−ナフチル基等の置換基を有していてもよい2−ナフチル基;等が挙げられる。
の、−CHで表される基において、Rは水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基及び置換基を有していてもよいアリール基から選択される基を表す。
の、置換基を有していてもよいアルキル基の炭素数は、特に限定されないが、通常1〜20、好ましくは1〜10である。このアルキル基は直鎖状であっても分岐状であってもよい。
前記置換基としては、フェニル基、4−メチルフェニル基等の置換基を有していてもよいフェニル基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシル基;等が挙げられる。
の、置換基を有していてもよいアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ベンジル基、ネオフィル基等が挙げられる。
の、置換基を有していてもよいアリール基の炭素数は、特に限定されないが、通常、6〜20、好ましくは6〜15である。
前記置換基としては、メチル基、エチル基等のアルキル基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等のアルコキシ基;等が挙げられる。
の、置換基を有していてもよいアリール基としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、4−メチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基等が挙げられる。
これらの中でも、Rで表される基としては、炭素数が1〜20のアルキル基が好ましい。
Xのハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
Xの、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基としては、それぞれ、Rの、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基として示したものと同様のものが挙げられる。
Xのアルキルシリル基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基等が挙げられる。
また、式(1)で示される金属化合物が、2以上のXを有するとき、これらは互いに結合し、環構造を形成していてもよい。
の、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基としては、それぞれ、Rの、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基として示したものと同様のものが挙げられる。
Lの電子供与性の中性配位子としては、周期律表第14族又は第15族の原子を含有する電子供与性化合物が挙げられる。その具体例としては、トリメチルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィン等のホスフィン類;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ルチジン等のアミン類;等が挙げられる。これらの中でも、エーテル類が好ましい。
式(1)で示される金属化合物としては、フェニルイミド基を有するタングステン化合物(式(1)中のMがタングステン原子で、Rがフェニル基である化合物)が好ましく、テトラクロロタングステンフェニルイミド(テトラヒドロフラン)錯体がより好ましい。
式(1)で表される金属化合物の合成方法は特に限定されない。例えば、特開平5−345817号公報に記載されるように、第6族遷移金属のオキシハロゲン化物と、3,4,5位の少なくとも1つの位置に置換基を有していてもよいフェニルイソシアナート類、又は一置換メチルイソシアナート類と、電子供与性の中性配位子(L)、及び必要に応じてアルコール類、金属アルコキシド、金属アリールオキシドを混合することにより、目的の金属化合物を合成することができる。
金属化合物の合成後、反応液をそのまま開環重合反応の触媒液として用いてもよいし、結晶化等の公知の精製処理により、金属化合物を単離、精製した後、得られた金属化合物を開環重合反応に供してもよい。
開環重合触媒は、式(1)で示される金属化合物のみからなるものであってもよいし、式(1)で示される金属化合物と有機金属還元剤を組み合わせたものであってもよい。式(1)で示される金属化合物と有機金属還元剤を組み合わせて用いることで、重合活性が向上する。
有機金属還元剤としては、炭素数1〜20の炭化水素基を有する周期律表第1、2、12、13、14族の有機金属化合物が挙げられる。
前記有機金属化合物としては、メチルリチウム、n−ブチルリチウム、フェニルリチウム等の有機リチウム;ブチルエチルマグネシウム、ブチルオクチルマグネシウム、ジヘキシルマグネシウム、エチルマグネシウムクロリド、n−ブチルマグネシウムクロリド、アリルマグネシウムブロミド等の有機マグネシウム;ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛、ジフェニル亜鉛等の有機亜鉛;トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジイソブチルアルミニウムイソブトキシド、エチルアルミニウムジエトキシド、イソブチルアルミニウムジイソブトキシド等の有機アルミニウム;テトラメチルスズ、テトラ(n−ブチル)スズ、テトラフェニルスズ等の有機スズ;等が挙げられる。
これらの中でも、有機アルミニウム又は有機スズが好ましい。
開環重合反応は、通常、有機溶媒中で行われる。用いる有機溶媒は、開環重合体やその水素化物を、所定の条件で溶解もしくは分散させることが可能であり、かつ、開環重合反応や水素化反応を阻害しないものであれば、特に限定されない。
有機溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジエチルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン、ビシクロヘプタン、トリシクロデカン、ヘキサヒドロインデン、シクロオクタン等の脂環族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系脂肪族炭化水素類;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン系芳香族炭化水素類;ニトロメタン、ニトロベンゼン、アセトニトリル等の含窒素炭化水素類;ジエチルエ−テル、テトラヒドロフラン等のエ−テル類;これらを組み合わせた混合溶媒;等が挙げられる。
これらの中でも、有機溶媒としては、芳香族炭化水素類、脂肪族炭化水素類、脂環族炭化水素類、エーテル類が好ましい。
開環重合反応は、環状オレフィン単量体と、式(1)で示される金属化合物と、必要に応じて有機金属還元剤とを混合することにより開始することができる。これらの成分を添加する順序は、特に限定されない。例えば、環状オレフィン単量体を含む溶液に、式(1)で示される金属化合物と有機金属還元剤を含む溶液を添加して混合してもよいし、有機金属還元剤を含む溶液に、環状オレフィン単量体と式(1)で示される金属化合物を含む溶液を添加して混合してもよいし、環状オレフィン単量体と有機金属還元剤を含む溶液に、式(1)で示される金属化合物の溶液を添加して混合してもよい。
各成分を添加する際は、それぞれの成分の全量を一度に添加してもよいし、複数回に分けて添加してもよい。また、比較的に長い時間(例えば1分間以上)にわたって連続的に添加してもよい。
開環重合反応開始時の環状オレフィン単量体の濃度は、特に限定されないが、通常、1〜50重量%、好ましくは2〜45重量%、より好ましくは3〜40重量%である。環状オレフィン単量体の濃度が低すぎると、生産性が低下するおそれがあり、高すぎると、開環重合反応後の溶液粘度が高すぎて、その後の水素化反応が困難になる場合がある。
開環重合反応に用いる式(1)で示される金属化合物の量は、(金属化合物:環状オレフィン単量体)のモル比が、通常1:100〜1:2,000,000、好ましくは1:500〜1,000,000、より好ましくは1:1,000〜1:500,000となる量である。前記金属化合物の量が多すぎると、反応後に金属化合物を除去するのが困難になるおそれがあり、少なすぎると十分な重合活性が得られない場合がある。
有機金属還元剤を用いる場合、その使用量は、式(1)で示される金属化合物1モルに対して、0.1〜100モルが好ましく、0.2〜50モルがより好ましく、0.5〜20モルが特に好ましい。有機金属還元剤の使用量が少なすぎると重合活性が十分に向上しない場合があり、多すぎると副反応が起こりやすくなるおそれがある。
重合反応系には、活性調整剤を添加してもよい。活性調整剤を用いることで、開環重合触媒を安定化したり、開環重合反応の反応速度や重合体の分子量分布を調整したりすることができる。
活性調整剤は、官能基を有する有機化合物であれば特に制限されない。活性調整剤としては、含酸素化合物、含窒素化合物、含リン有機化合物等が挙げられる。
含酸素化合物としては、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、アニソール、フラン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;アセトン、ベンゾフェノン、シクロヘキサノンなどのケトン類;エチルアセテート等のエステル類;等が挙げられる。
含窒素化合物としては、アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類;トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、キヌクリジン、N,N−ジエチルアニリン等のアミン類;ピリジン、2,4−ルチジン、2,6−ルチジン、2−t−ブチルピリジン等のピリジン類;等が挙げられる。
含リン化合物としては、トリフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフェ−ト、トリメチルホスフェート等のホスフィン類;トリフェニルホスフィンオキシド等のホスフィンオキシド類;等が挙げられる。
活性調整剤は、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。添加する活性調整剤の量は、特に限定されないが、通常、式(1)で示される金属化合物に対して0.01〜100モル%の間で選択すればよい。
重合反応系には、重合体(α)の分子量を調整するために分子量調整剤を添加してもよい。分子量調整剤としては、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等のα−オレフィン類;スチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル化合物;エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、アリルグリシジルエーテル、酢酸アリル、アリルアルコール、グリシジルメタクリレート等の酸素含有ビニル化合物;アリルクロライド等のハロゲン含有ビニル化合物;アクリルアミド等の窒素含有ビニル化合物;1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、2−メチル−1,4−ペンタジエン、2,5−ジメチル−1,5−ヘキサジエン等の非共役ジエン;1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン等の共役ジエン;等が挙げられる。
分子量調整剤は、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。添加する分子量調整剤の量は目的とする分子量に応じて適宜決定すればよいが、通常、環状オレフィンに対して、0.1〜50モル%の範囲で選択すればよい。
重合温度は特に制限はないが、通常、−78〜+200℃の範囲であり、好ましくは−30〜+180℃の範囲である。重合時間は、特に制限はなく、反応規模にも依存するが、通常1分間から1000時間の範囲である。
前記方法により得られた重合体(α)を水素化し、重合体(β)を得る際は、常法に従って水素化触媒の存在下で、反応系内に水素を供給することにより行うことができる。
なお、この水素化反応において、反応条件を適切に設定すれば、通常、水素化反応により水素化物のタクチシチーが変化することはない。
水素化触媒としては、オレフィン化合物の水素化触媒として公知の均一系触媒や不均一触媒を用いることができる。
均一系触媒としては、酢酸コバルト/トリエチルアルミニウム、ニッケルアセチルアセトナート/トリイソブチルアルミニウム、チタノセンジクロリド/n−ブチルリチウム、ジルコノセンジクロリド/sec−ブチルリチウム、テトラブトキシチタネート/ジメチルマグネシウム等の、遷移金属化合物とアルカリ金属化合物の組み合わせからなる触媒;ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、クロロヒドリドカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、クロロヒドリドカルボニルビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリジンルテニウム(IV)ジクロリド、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム等の貴金属錯体触媒;等が挙げられる。
不均一触媒としては、ニッケル、パラジウム、白金、ロジウム、ルテニウム等の金属触媒;ニッケル/シリカ、ニッケル/ケイソウ土、ニッケル/アルミナ、パラジウム/カーボン、パラジウム/シリカ、パラジウム/ケイソウ土、パラジウム/アルミナ等の、前記金属をカーボン、シリカ、ケイソウ土、アルミナ、酸化チタンなどの担体に担持させてなる固体触媒が挙げられる。
水素化反応は、通常、不活性有機溶媒中で行われる。不活性有機溶媒としては、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類;ペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、デカヒドロナフタレンなどの脂環族炭化水素類;テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;等が挙げられる。
不活性有機溶媒は、開環重合反応に用いた溶媒と同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。また、開環重合反応液にそのまま水素化触媒を添加して、水素化反応を行ってもよい。
水素化反応の反応条件は、用いる水素化触媒によっても異なるが、反応温度は通常−20〜+250℃、好ましくは−10〜+220℃、より好ましくは0〜+200℃である。反応温度が低すぎると反応速度が遅くなりすぎる場合があり、反応温度が高すぎると副反応が起こる場合がある。
水素圧力は、通常0.01〜20MPa、好ましくは0.05〜15MPa、より好ましくは0.1〜10MPaである。水素圧力が低すぎると反応速度が遅くなりすぎる場合があり、水素圧力が高すぎると高耐圧反応装置等の特別な装置が必要になる。
反応時間は、所望の水素化率が達成されるのであれば特に限定されないが、通常0.1〜10時間である。
水素化反応後は、常法に従って、重合体(α)の水素化物を回収すればよい。
水素化反応における水素化率(水素化された主鎖二重結合の割合)は、特に限定されないが、好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上である。水素化率が高くなるほど、脂環式構造含有樹脂の耐熱性が良好なものとなる。
(2)重合体(γ)及び(δ)
重合体(γ)及び(δ)の合成に用いる、環状オレフィン単量体としては、重合体(α)の合成に用いる環状オレフィン単量体として示したものと同様のものが挙げられる。
重合体(γ)の合成においては、単量体として、環状オレフィン単量体とともに、このものと共重合可能なその他の単量体を用いることもできる。
その他の単量体としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン等の炭素数2〜20のα−オレフィン;スチレン、α−メチルスチレン等の芳香環ビニル化合物;1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン等の非共役ジエン;等が挙げられる。これらの中でも、α−オレフィンが好ましく、エチレンがより好ましい。
その他の単量体は、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
環状オレフィン単量体と、その他の単量体とを付加共重合する場合は、環状オレフィン単量体とその他の単量体との使用量の割合は、重量比(環状オレフィン単量体:その他の単量体)で、通常30:70〜99:1、好ましくは50:50〜97:3、より好ましくは70:30〜95:5である。
環状オレフィン単量体を2種以上用いる場合や、環状オレフィン単量体とその他の単量体を用いる場合は、重合体(γ)は、ブロック共重合体であってもよいし、ランダム共重合体であってもよい。
重合体(γ)は、付加重合触媒を用いる公知の方法に従って合成することができる。
付加重合触媒としては、バナジウム化合物及び有機アルミニウム化合物から形成されるバナジウム系触媒、チタン化合物及び有機アルミニウム化合物から形成されるチタン系触媒、ジルコニウム錯体及びアルミノオキサンから形成されるジルコニウム系触媒等が挙げられる。
これらの付加重合触媒は、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。付加重合触媒の使用量は、重合条件等により適宜選択すればよいが、単量体1モルに対して、通常0.000001〜0.1モル、好ましくは、0.00001〜0.01モルである。
環状オレフィン単量体の付加重合は、通常、有機溶媒中で行われる。有機溶媒としては、環状オレフィン単量体の開環重合に用いる溶媒として示したものと同様のものが挙げられる。
重合温度は、通常−50〜+250℃、好ましくは−30〜+200℃、より好ましくは−20〜+150℃である。重合時間は、重合条件により適宜選択されるが、通常30分から20時間、好ましくは1〜10時間である。
上記方法により得られた重合体(γ)を水素化反応に供することで、重合体(δ)を得ることができる。
重合体(γ)の水素化反応は、重合体(α)を水素化する方法として先に示したものと同様の方法により、行うことができる。
〔延伸フィルム〕
本発明に用いる延伸フィルムは、前記結晶性の脂環式構造含有樹脂を主成分とする樹脂フィルム〔樹脂フィルム(α)〕を延伸して得られたものである。
「主成分」とは、その含有量が、全体の50重量%以上のものをいう(以下にて同じ)。
樹脂フィルム(α)は、前記結晶性の脂環式構造含有樹脂の他に、添加剤等の他の成分を含有していてもよい。
他の成分としては、酸化防止剤、結晶核剤、充填剤、難燃剤、難燃助剤、着色剤、帯電防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、光安定剤、近赤外線吸収剤、滑剤等が挙げられる。
これらの含有量は、目的に合わせて適宜決定することができるが、樹脂フィルム(α)に対して、50重量%未満、好ましくは40重量%以下である。
本発明により得られる樹脂フィルム〔樹脂フィルム(γ)〕を、光学フィルムとして用いる場合、樹脂フィルム(α)は酸化防止剤を含有することが好ましい。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤等が挙げられる。
フェノール系酸化防止剤としては、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、ジブチルヒドロキシトルエン、2,2’−メチレンビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−t−ブチル−3−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、α−トコフェノール、2,2,4−トリメチル−6−ヒドロキシ−7−t−ブチルクロマン、テトラキス〔メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン等が挙げられる。
リン系酸化防止剤としては、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジターシャリーブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4−ジターシャリーブチルフェニル)ホスファイト、テトラキス(2,4−ジターシャリーブチルフェニル)4,4’−ビフェニルジホスファイト、トリノニルフェニルホスファイト等が挙げられる。
硫黄系酸化防止剤としては、ジステアリルチオジプロピオネート、ジラウリルチオジプロピオネート等が挙げられる。
酸化防止剤の含有量は、樹脂フィルム(α)に対して、通常、0.001〜5重量%、好ましくは0.01〜4重量%、より好ましくは0.1〜3重量%である。
樹脂フィルム(α)の製造方法は特に限定されない。例えば、射出成形、押出成形、プレス成形、インフレーション成形、ブロー成形、カレンダー成形、注型成形、圧縮成形、キャスト成形等の公知の方法を適宜採用することができる。
樹脂フィルム(α)の厚みは特に限定されないが、通常、1〜500μm、好ましくは、3〜200μmである。
樹脂フィルム(α)を延伸して、樹脂フィルム(β)を製造する方法は特に限定されず、公知の延伸方法を採用することができる。
延伸方法としては、一軸延伸法、二軸延伸法、斜め延伸法等が挙げられる。
一軸延伸法の例としては、フィルム搬送用のロールの周速の差を利用して縦方向に一軸延伸する方法;テンター延伸機を用いて横方向に一軸延伸する方法;等が挙げられる。
二軸延伸法としては、固定するクリップの間隔を開いて、縦方向の延伸と同時に、ガイドレールの広がり角度により横方向に延伸する同時二軸延伸法;フィルム搬送用のロール間の周速の差を利用して縦方向に延伸した後、その両端部をクリップで把持してテンター延伸機を用いて横方向に延伸する逐次二軸延伸法;等が挙げられる。
斜め延伸法は、例えば、縦方向又は横方向に左右異なる速度の送り力若しくは引張り力又は引取り力を付加できるようにしたテンター延伸機を用いて、樹脂フィルム(α)の幅方向に対して任意の角度θ(0°<θ<90°)をなす方向に連続的に斜めに延伸することにより行うことができる。
延伸倍率は、特に限定されず、樹脂フィルム(γ)の用途に合わせて適宜決定することができる。面倍率は、通常、1.01〜30倍、好ましくは1.01〜10倍、より好ましくは1.01〜5倍である。
ここで面倍率とは、一軸延伸法の場合はその延伸倍率に等しく、二軸延伸法の場合はその各軸方向の延伸倍率の積として算出される値である。
樹脂フィルム(α)を延伸するときの温度は、脂環式構造含有樹脂のガラス転移温度をTgとすると、好ましくは(Tg−30)℃から(Tg+60)℃の間、より好ましくは(Tg−10)℃から(Tg+50)℃の温度範囲である。
〔樹脂フィルム(γ)の製造方法〕
本発明の方法においては、前記樹脂フィルム(β)を、炭化水素系溶媒と接触させる工程を有する。
炭化水素系溶媒とは、炭素及び水素原子で構成された化合物であって、樹脂フィルム(β)に接触させる条件(温度、圧力)において液体である化合物をいう。
炭化水素系溶媒を構成する分子の分子量は、特に限定はないが、通常、40〜200、好ましくは50〜150である。一般に、溶媒分子の分子量が小さいほど、溶媒分子が樹脂フィルム(β)内に浸入し易く、結晶性を高める効果が得られ易くなる。
炭化水素系溶媒の沸点は、通常、0〜200℃、好ましくは10〜180℃である。樹脂フィルム(β)を、炭化水素系溶媒と接触させた後に乾燥工程を設ける場合は、沸点が低い溶媒を用いることで、効率よく乾燥させることができる。
炭化水素系溶媒は、前記樹脂フィルム(β)に接触させる温度において、粘度が1,000cP以下であることが好ましい。粘度が、1,000cP以下であることで、ムラなく均一に炭化水素系溶媒を接触させることができる。粘度の下限値は特にないが、通常は、0.1cP以上である。
炭化水素系溶媒としては、芳香族炭化水素系溶媒、脂環炭化水素系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒等が挙げられる。
芳香族炭化水素系溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン(o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン)、メシチレン、エチルベンゼン、クメン、シメン、プソイドクメン、デュレン、スチレン等の単環の芳香族炭化水素系溶媒;インダン、テトラリン、フルオレン等の多環の芳香族炭化水素系溶媒;等が挙げられる。
脂環炭化水素系溶媒としては、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサン、シクロオクタン、シクロデカン、シクロドデカン等の単環の脂環炭化水素系溶媒;デカリン、ボルナン、ノルボルナン等の多環の脂環炭化水素系溶媒;等が挙げられる。
脂肪族炭化水素系溶媒としては、ブタン、ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、イソヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ドデカン、テトラデカン、ヘキサデカン等が挙げられる。
これらの中でも、本発明の効果が得られ易く、また、樹脂フィルム(γ)を効率よく乾燥させることができることから、炭化水素系溶媒としては、芳香族炭化水素系溶媒又は脂肪族炭化水素系溶媒が好ましく、単環の芳香族炭化水素系溶媒又は単環の脂環炭化水素系溶媒がより好ましい。
炭化水素系溶媒は、一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
樹脂フィルム(β)を、炭化水素系溶媒と接触させるときの方法は、特に限定されない。例えば、塗工液をフィルム上に塗布する際に一般的に用いられる公知の塗工方法を用いて、樹脂フィルム(β)を、炭化水素系溶媒と接触させることができる。
塗工方法としては、ディップ法、スプレー法、スピンコート法、ロールコート法、グラビアコート法、ダイ塗工法、ワイヤーバーコート法等が挙げられ、これらの中でも、接触処理を効率よく行うことができることから、ディップ法又はスプレー法が好ましい。
樹脂フィルム(β)を、炭化水素系溶媒と接触させるときの温度は、用いる炭化水素系溶媒の種類等によっても異なるが、通常、−10〜+120℃、好ましくは−10〜+100℃、さらに好ましくは0〜70℃、特に好ましくは10〜60℃である。
接触時間は、通常、0.5秒から5分、好ましくは1秒から1分、より好ましくは1〜30秒である。
樹脂フィルム(β)を炭化水素系溶媒と接触させる工程の後、余分な炭化水素系溶媒を除去する処理を行ってよい。
余分な炭化水素系溶媒を除去する処理としては、例えば、得られた樹脂フィルム(γ)を乾燥させたり(乾燥処理)、樹脂フィルム(γ)の表面を拭き取ったりする方法が挙げられる。
生産効率の観点からは、乾燥処理を行うことが好ましい。
乾燥処理は、公知の方法に従って行うことができ、例えば、自然乾燥法、加熱乾燥法、減圧乾燥法、減圧加熱乾燥法等が挙げられる。
樹脂フィルム(γ)の生産性を高めることができることから、熱風式乾燥機、電気ヒーター式乾燥機等の乾燥機を用いて、樹脂フィルム(γ)を乾燥することが好ましい。
乾燥条件は、用いる炭化水素系溶媒や接触時間等によっても異なるが、乾燥温度は、通常、20〜200℃、好ましくは30〜150℃である。乾燥時間は、通常、0.1秒から30分、好ましくは1秒から15分、より好ましくは10秒から1分である。
本発明の方法によれば、後述するように、加熱時の寸法安定性に優れる樹脂フィルムを効率よく製造することができる。
また、本発明の方法においては、以下の工程(1)〜(4)を行うことにより、長尺の樹脂フィルム〔長尺の樹脂フィルム(α)〕を用いて、長尺の樹脂フィルム(γ)を連続的に製造することができる。
工程(1):結晶性の脂環式構造含有樹脂を主成分とする、長尺の樹脂フィルムのロールから、前記長尺の樹脂フィルムを引き出して、一定の方向に搬送しながら、延伸処理を行う工程
工程(2):工程(1)の後、前記長尺の樹脂フィルムを、一定の方向に搬送しながら、炭化水素系溶媒と接触させる工程
工程(3):工程(2)の後、前記長尺の樹脂フィルムを、一定の方向に搬送しながら、乾燥する工程
工程(4):工程(3)の後、前記長尺の樹脂フィルムをロール状に巻き取る工程
工程(1)においては、結晶性の脂環式構造含有樹脂を主成分とする、長尺の樹脂フィルム〔長尺の樹脂フィルム(α)〕のロールから、前記長尺の樹脂フィルムを引き出して、一定の方向に搬送しながら、延伸処理を行う。
長尺の樹脂フィルム(α)は、長尺のフィルムであることを除き、先に説明した樹脂フィルム(α)と同様の樹脂フィルムである。
ここで、「長尺」とは、樹脂フィルムの幅方向に対し5倍程度以上の長さを有するものをいい、好ましくは10倍以上の長さを有するものをいう。具体的にはロール状に巻回されて保管又は運搬される程度の長さを有するものをいう。
長尺の樹脂フィルム(α)の大きさは特に限定されないが、長手方向の長さは、通常10〜5000m、好ましくは50〜3000mであり、幅方向の長さは、通常0.1〜3m、好ましくは0.5〜2mである。
長尺の樹脂フィルム(α)をロールから引き出す方法、引き出した長尺の樹脂フィルム(α)を搬送する方法、長尺の樹脂フィルム(α)を搬送しながら、延伸する方法については特に限定されず、それぞれ、長尺の延伸フィルムの製造方法として公知の方法を採用することができる。
工程(2)においては、工程(1)の後、前記長尺の樹脂フィルム〔工程(1)を経たことにより、「長尺の樹脂フィルム(β)」と表される樹脂フィルム〕を、一定の方向に搬送しながら、炭化水素系溶媒と接触させる。
長尺の樹脂フィルム(β)を炭化水素系溶媒と接触させる方法は特に限定されず、塗工液の塗工方法として公知の方法を利用することができる。具体的には、先に示した接触方法と同様のものが挙げられる。
工程(3)においては、前記長尺の樹脂フィルム〔工程(2)を経たことにより、「長尺の樹脂フィルム(γ)」と表される樹脂フィルム〕を、一定の方向に搬送しながら、乾燥する。
長尺の樹脂フィルム(γ)の乾燥方法は特に限定されず、従来公知の乾燥方法を利用することができる。具体的には、先に示した乾燥方法と同様のものが挙げられる。
工程(4)においては、工程(3)の後、前記長尺の樹脂フィルム〔長尺の樹脂フィルム(γ)〕をロール状に巻き取る。
長尺の樹脂フィルム(γ)を巻き取る方法は特に限定されず、公知の方法を採用することができる。
2)樹脂フィルム及び光学フィルム
本発明の樹脂フィルムは、本発明の方法により得られるものである。
本発明の樹脂フィルム〔すなわち、前記樹脂フィルム(γ)〕の厚みは特に限定されないが、通常、0.5〜300μm、好ましくは1〜100μmである。
本発明の樹脂フィルムは、前記樹脂フィルム(β)を炭化水素系溶媒と接触させることにより、加熱時の寸法安定性に優れるものとなる。
本発明の樹脂フィルムは、150℃で5分間加熱したときの熱収縮率が、10%以下であることが好ましく、1.1〜5.0%であることがより好ましい。
本発明の樹脂フィルムは、通常、その内部に、炭化水素系溶媒の分子をわずかに含有する。このため、本発明の樹脂フィルムは弾性率が比較的低い。
本発明の樹脂フィルムの、23℃で引張速度200mm/分の条件における引張破断伸度は、10〜300%が好ましく、20〜200%がより好ましい。
樹脂フィルムの熱収縮率や引張破断伸度は、実施例に記載の方法により求めることができる。
本発明の樹脂フィルムは、耐熱性及び加熱時の寸法安定性に優れる。また、脂環式構造含有樹脂を主成分とするため、透明性にも優れる。したがって、本発明の樹脂フィルムは、カラーフィルタ、写真感光材料の基材フィルム、表示装置用フィルム(例えば、液晶表示装置用光学補償フィルムなどの光学補償フィルム)、位相差フィルム、保護フィルム(偏光板用保護フィルムなど)、反射防止フィルムの基材フィルム等の光学フィルムとして好適に用いられる。
以下、実施例を挙げて、本発明をより詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。また、下記の実施例及び比較例において、「部」及び「%」は特に断りのない限り、重量基準である。
各例における測定は、以下の方法により行った。
〔重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)〕
テトラヒドロフランを溶媒として、40℃でゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)を行い、ジシクロペンタジエン開環重合体の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)をポリスチレン換算値として求めた。
測定装置:東ソー社製、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)システム、HLC−8220
カラム:東ソー社製、Hタイプカラム
〔融点〕
示差走査熱量計(DSC)を用いて、昇温速度が10℃/分の条件で示差走査熱量測定を行い、ジシクロペンタジエン開環重合体水素化物の融点を測定した。なお、試料として、窒素雰囲気下で300℃に加熱した後、液体窒素で急冷したものを用いた。
〔水素化反応における水素添加率〕
溶媒として、オルトジクロロベンゼン−d4を用いて、145℃で、ジシクロペンタジエン開環重合体水素化物のH−NMR測定を行い、水素添加率を求めた。
〔ジシクロペンタジエン開環重合体水素化物のラセモ・ダイアッドの割合〕
溶媒として、1,3,5−トリクロロベンゼン−d3/オルトジクロロベンゼン−d4の混合溶媒(体積比:2/1)を用いて、200℃でinverse−gated decoupling法を適用して、ジシクロペンタジエン開環重合体の13C−NMR測定を行い、オルトジクロロベンゼン−d4の127.5ppmのピークを基準シフトとして、メソ・ダイアッド由来の43.35ppmのシグナルと、ラセモ・ダイアッド由来の43.43ppmのシグナルの強度比に基づいて、ラセモ・ダイアッドの割合を求めた。
〔樹脂フィルムの熱収縮率〕
実施例又は比較例で得られた樹脂フィルムを、150mm(延伸方向)×30mm(延伸垂直方向)の長方形に切り出して測定試料を得た。
この測定試料を、オーブンを用いて150℃で5分間加熱した後、室温まで冷却した。次いで、測定試料の延伸方向の長さを測定し、得られた測定値を基に、下記式に基づき、樹脂フィルムの熱収縮率を算出した。
Figure 2016026909
〔樹脂フィルムの引張破断伸度〕
JIS K7162に準拠して、卓上形精密万能試験機(島津製作所社製:オートグラフAGS−10kNX)を用いて、23℃で引張速度200mm/分にて樹脂フィルムの引張試験を行い、下記式に基づき、樹脂フィルムの引張破断伸度を算出した。
なお、測定試料として、得られた樹脂フィルムを、JISタイプ1B試験片(長軸:延伸方向)の形状に打ち抜いたものを用いた。
Figure 2016026909
〔製造例1〕ジシクロペンタジエン開環重合体水素化物の製造
内部を窒素置換した金属製耐圧反応容器に、シクロヘキサン154.5部、ジシクロペンタジエン(エンド体含有率99%以上)のシクロヘキサン溶液(濃度70%)42.8部(ジシクロペンタジエンとして30部)、1−ヘキセン1.9部を加え、全容を53℃に加熱した。
一方、テトラクロロタングステンフェニルイミド(テトラヒドロフラン)錯体0.014部を0.70部のトルエンに溶解して得られた溶液に、ジエチルアルミニウムエトキシドのn−ヘキサン溶液(濃度19%)0.061部を加えて10分間攪拌し、触媒溶液を調製した。この触媒溶液を前記反応器内に添加し、53℃で4時間、開環重合反応を行い、ジシクロペンタジエン開環重合体を含む反応液を得た。
反応液中のジシクロペンタジエン開環重合体の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、それぞれ、8,750及び28,100であり、分子量分布(Mw/Mn)は3.21であった。
反応液200部に、停止剤として、1,2−エタンジオール0.037部を加えて、60℃で1時間攪拌し、重合反応を停止させた。その後、ハイドロタルサイト様化合物(協和化学工業社製:キョーワード(登録商標)2000)を1部加えて、60℃に加温し、1時間攪拌した。濾過助剤(昭和化学工業社製:ラヂオライト(登録商標)#1500)を0.4部加え、PPプリーツカートリッジフィルター(ADVANTEC東洋社製:TCP−HX)を用いて、吸着剤を濾別し、ジシクロペンタジエン開環重合体を含む溶液を得た。
精製処理後の、ジシクロペンタジエン開環重合体を含む溶液200部(重合体含有量30部)に、シクロヘキサン100部、クロロヒドリドカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム0.0043部を添加し、水素圧6MPa、180℃で4時間水素添加反応を行なった。反応液は、固形分が析出したスラリー液であった。
反応液を遠心分離することにより、固形分と溶液とを分離し、固形分を、60℃で24時間減圧乾燥し、ジシクロペンタジエン開環重合体水素化物28.5部を得た。
ジシクロペンタジエン開環重合体水素化物の水素添加率は99%以上、融点は262℃、ラセモ・ダイアッドの割合は89%であった。
〔製造例2〕樹脂フィルムの製造
製造例1で得たジシクロペンタジエン開環重合体水素化物100部に、酸化防止剤(BASFジャパン社製:イルガノックス(登録商標)1010、テトラキス〔メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン)1.1部を混合した後、混合物を、内径3mmΦのダイ穴を4つ備えた二軸押出し機(東芝機械社製:TEM−37B)に投入し、熱溶融押出し成形により、ストランド状の成形体を得た後、これをストランドカッターにて細断し、ペレットを得た。
二軸押出し機の運転条件を、以下に示す。
・バレル設定温度:270〜280℃
・ダイ設定温度:250℃
・スクリュー回転数:145rpm
・フィーダー回転数:50rpm
得られたペレットを、Tダイを備える熱溶融押出しフィルム成形機(Optical Control Systems社製:Measuring Extruder Type Me−20/2800V3)を用いて、厚み150μm、幅120mmのフィルム状に成形し、2m/分の速度でロール状に巻き取った。
フィルム成形機の運転条件を、以下に示す。
・バレル温度設定:280〜290℃
・ダイ温度:270℃
・スクリュー回転数:30rpm
〔製造例3〕一軸延伸フィルムの製造
製造例2で得られた樹脂フィルムの一部を、90mm×90mmの大きさに切り出した後、小型延伸機(東洋精機製作所社製:EX10−Bタイプ)に設置し、延伸処理を行うことにより延伸フィルム1を得た。
小型延伸機の運転条件を、以下に示す。
・延伸速度:10000mm/min
・延伸温度:100℃
・延伸倍率:1.8倍〔樹脂フィルムの流れ方向(MD)〕
〔製造例4〕二軸延伸フィルムの製造
製造例3において、延伸処理を二軸延伸〔流れ方向(MD)に1.8倍、直角方向(TD)に1.8倍〕に変更したことを除き、製造例3と同様にして延伸フィルム2を得た。
〔実施例1〕
製造例3で得た延伸フィルム1を、23℃で30秒間、トルエン中に浸漬させた後、表面を乾いたガーゼにて拭き取った。
この浸漬処理を行った延伸フィルムを用いて、熱収縮率、及び引張破断伸度を測定したところ、熱収縮率は1.7%、引張破断伸度は76%であった。
〔実施例2〕
実施例1において、浸漬時間を30秒から5秒に変更したこと以外は、実施例1と同様に延伸フィルムの浸漬処理を行った。
この浸漬処理を行った延伸フィルムを用いて、熱収縮率、及び引張破断伸度を測定したところ、熱収縮率は3.3%、引張破断伸度は50%であった。
〔実施例3〕
実施例1において、トルエンの温度を23℃から50℃に変更したこと以外は、実施例1と同様に延伸フィルムの浸漬処理を行った。
この浸漬処理を行った延伸フィルムを用いて、熱収縮率、及び引張破断伸度を測定したところ、熱収縮率は1.2%、引張破断伸度は80%であった。
〔実施例4〕
実施例1において、延伸フィルム1に代えて製造例4で得た延伸フィルム2を用いたこと以外は、実施例1と同様に延伸フィルムの浸漬処理を行った。
この浸漬処理を行った延伸フィルムを用いて、熱収縮率、及び引張破断伸度を測定したところ、熱収縮率は2.1%、引張破断伸度は90%であった。
〔実施例5〕
実施例1において、トルエンに代えてキシレンを使用したこと以外は、実施例1と同様に延伸フィルムの浸漬処理を行った。
この浸漬処理を行った延伸フィルムを用いて、熱収縮率、及び引張破断伸度を測定したところ、熱収縮率は2.2%、引張破断伸度は60%であった。
〔実施例6〕
実施例1において、トルエンに代えてシクロヘキサンを使用したこと以外は、実施例1と同様に延伸フィルムの浸漬処理を行った。
この浸漬処理を行った延伸フィルムを用いて、熱収縮率、及び引張破断伸度を測定したところ、熱収縮率は2.2%、引張破断伸度は26%であった。
〔実施例7〕
実施例6において、シクロヘキサンの温度を23℃から50℃に変更したこと以外は、実施例6と同様に延伸フィルムの浸漬処理を行った。
この浸漬処理を行った延伸フィルムを用いて、熱収縮率、及び引張破断伸度を測定したところ、熱収縮率は2.0%、引張破断伸度は35%であった。
〔比較例1〕
製造例3で得られた延伸フィルム1を、溶剤中に浸漬させることなく、そのまま熱収縮率、及び引張破断伸度を測定したところ、熱収縮率は28%、引張破断伸度は28%であった。
〔比較例2〕
製造例4で得られた延伸フィルム2を、溶剤中に浸漬させることなく、そのまま熱収縮率、及び引張破断伸度を測定したところ、熱収縮率は49%、引張破断伸度は60%であった。
〔比較例3〕
実施例1において、トルエンに代えてアセトンを使用したこと以外は、実施例1と同様に延伸フィルムの浸漬処理を行った。
この浸漬処理を行った延伸フィルムを用いて、熱収縮率、及び引張破断伸度を測定したところ、熱収縮率は31%、引張破断伸度は25%であった。
〔比較例4〕
実施例1において、トルエンに代えてメチルエチルケトンを使用したこと以外は、実施例1と同様に延伸フィルムの浸漬処理を行った。
この浸漬処理を行った延伸フィルムを用いて、熱収縮率、及び引張破断伸度を測定したところ、熱収縮率は30%、引張破断伸度は26%であった。
Figure 2016026909
第1表から以下のことが分かる。
実施例1〜7の樹脂フィルムは、炭化水素系溶媒との接触処理を行わなかった比較例1、2の樹脂フィルムに比べて、熱収縮率が極めて小さく、加熱時の寸法安定性が大きく改善されている。
また、実施例1〜7の樹脂フィルムの引張破断伸度は、比較的大きい。この結果から、実施例1〜7の樹脂フィルムにおいては、その内部に残存する炭化水素系溶媒が可塑剤として作用していることが考えられる。
一方、比較例3、4の、アセトンやメチルエチルケトンを接触させた樹脂フィルムの熱収縮率は、比較例1、2の樹脂フィルムの熱収縮率とほとんど変わらない。

Claims (7)

  1. 結晶性の脂環式構造含有樹脂を主成分とする樹脂フィルムを延伸して得られた延伸フィルムを、炭化水素系溶媒と接触させる工程を有することを特徴とする、樹脂フィルムの製造方法。
  2. 前記結晶性の脂環式構造含有樹脂が、結晶性のジシクロペンタジエン開環重合体水素化物である、請求項1に記載の樹脂フィルムの製造方法。
  3. 前記炭化水素系溶媒が、芳香族炭化水素系溶媒、脂環炭化水素系溶媒、及び脂肪族炭化水素系溶媒からなる群から選ばれる少なくとも一種である、請求項1または2に記載の樹脂フィルムの製造方法。
  4. 前記接触方法が、ディップ法又はスプレー法である、請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂フィルムの製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の方法により得られる樹脂フィルム。
  6. 150℃で5分間加熱したときの熱収縮率が、10%以下である、請求項5に記載の樹脂フィルム。
  7. 請求項6に記載の樹脂フィルムからなる光学フィルム。
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