[第1の実施の形態]
図1には、本発明の第1の実施の形態に係るシフト装置としてのシフトレバー装置10が車両後斜め右方から見た斜視図にて示されており、図2(A)は、シフトレバー装置10が車両右方から見た側面図にて示されている。なお、図面では、車両前方を矢印FRで示し、車両右方を矢印RHで示し、上方を矢印UPで示す。
本実施の形態に係るシフトレバー装置10は、所謂ステーショナリタイプかつ所謂シフトバイワイヤタイプのものにされている。また、シフトレバー装置10は、所謂フロア式のものにされて、車室の床部(フロア)に設置されている。
図2(A)に示す如く、シフトレバー装置10は、固定部材としての箱状のベースプレート12を備えており、ベースプレート12は、車体側に固定されると共に、上面が開口されている。
図1及び図2(A)に示す如く、シフトレバー装置10には、シフト部材としてのシフトレバー14が設けられており、シフトレバー14の下側部分は、ベースプレート12内に配置されている。シフトレバー14の下側部分には、支持部としての矩形筒状の支持筒16が設けられており、支持筒16は、軸方向が車両左右方向に平行に配置されている。
支持筒16内には、第1軸としての円軸状のシフトシャフト18が挿通されており、シフトシャフト18は、軸方向が車両左右方向に平行に配置されると共に、ベースプレート12の車両右側壁及び車両左側壁に回転自在に支持されている。シフトシャフト18は、第2軸としての円軸状のセレクトシャフト20を回転不能に支持しており、セレクトシャフト20は、軸方向がシフトシャフト18の径方向(例えば車両前後方向)に沿って配置されている。セレクトシャフト20は、支持筒16の車両前側壁及び車両後側壁を貫通しており、セレクトシャフト20は、支持筒16を車両左右方向へ回転自在に支持している。
これにより、シフトレバー14は、シフトシャフト18を中心軸として車両前後方向(シフト方向)へ回動自在にされると共に、セレクトシャフト20を中心軸として車両左右方向(セレクト方向)へ回動自在にされている。
シフトレバー14の上側部分には、操作部としての略長尺棒状のレバー22が設けられており、レバー22は、支持筒16と一体にされている。レバー22は、ベースプレート12から上側に突出されて、車室内に配置されており、レバー22の上部には、把持部としてのノブ24が一体に設けられている。このため、車両の乗員が、ノブ24を把持して、シフトレバー14を車両前後方向及び車両左右方向へ回動操作可能にされている。これにより、シフトレバー14のシフト位置が、例えば、所定位置(基準位置、復帰位置)としての「H」位置(ホームポジション)、「D」位置(ドライブポジション)、「R」位置(リバースポジション)、「N」位置(ニュートラルポジション)、マニュアル変速モード(シーケンシャルモード)の「M」位置(マニュアルポジション、シーケンシャルポジション)、「+」位置(プラスポジション)及び「−」位置(マイナスポジション)に変更可能にされている。また、車室には、「P」スイッチ(パーキングスイッチ)及びエンジンスタートスイッチ(図示省略)が押圧操作可能に設けられている。
シフトレバー14及び「P」スイッチは、車両の自動変速機(図示省略)に電気的に接続されている。このため、シフトレバー14のシフト位置が「D」位置、「R」位置、「N」位置及び「M」位置にされることで、それぞれ、自動変速機のシフト位置が「D」位置、「R」位置、「N」位置及び「M」位置にされる。さらに、シフトレバー14のシフト位置が「M」位置から「+」位置にされることで、自動変速機の変速段が1段ずつ上昇されると共に、シフトレバー14のシフト位置が「M」位置から「−」位置にされることで、自動変速機の変速段が1段ずつ下降される。また、「P」スイッチが押圧操作されることで、自動変速機のシフト位置が「P」位置(パーキングポジション)にされる。
エンジンスタートスイッチは、車両のエンジン(図示省略)に電気的に接続されており、エンジンスタートスイッチが押圧操作されることで、エンジンが駆動(始動)される。
シフトシャフト18は、移動手段(復帰手段)を構成する第1移動手段としての第1スプリング26(トーションスプリング)内に挿通されており、第1スプリング26は、シフトシャフト18とベースプレート12との間に掛渡されている。セレクトシャフト20は、移動手段を構成する第2移動手段としての第2スプリング28(トーションスプリング)内に挿通されており、第2スプリング28は、シフトレバー14の支持筒16とセレクトシャフト20との間に掛渡されている。第1スプリング26は、シフトレバー14を車両前後方向への回動方向に付勢すると共に、第2スプリング28は、シフトレバー14を車両左右方向への回動方向に付勢しており、シフトレバー14は、第1スプリング26及び第2スプリング28によって、「H」位置側に付勢されている。
シフトレバー14の支持筒16の下側には、節度機構を構成する作用部としての略平板状の節度部30が設けられており、節度部30は、シフトレバー14と一体に回動可能にされている。節度部30の下面は、節度面30Aにされて、滑らかな凹凸が形状されており、節度面30Aでは、略三角錐状の凹部32と斜面が設けられた凸部34とがそれぞれ複数形成されて、凹部32の斜面と凸部34の斜面とが滑らかに連続されている。
シフトレバー装置10には、節度部30より下側において、節度機構を構成する付勢手段としての付勢機構36が設けられている。
ベースプレート12の下壁12Aには、付勢機構36を構成する円筒状の節度筒38が一体に設けられており、節度筒38は、軸方向が上下方向に平行に配置されると共に、ベースプレート12の下壁12Aを貫通している。
節度筒38内には、付勢機構36を構成する係合部としての円軸状の節度ピン40がスライド可能に嵌合されており、節度ピン40の上端は、半球状にされている。節度筒38内には、節度ピン40の下側において、付勢機構36を構成する変更部としての円軸状の変更ピン42がスライド可能に嵌合されており、変更ピン42の下端は、略半球状にされている。節度筒38内には、節度ピン40と変更ピン42との間において、付勢機構36を構成する付勢部としての節度スプリング44(コイルスプリング)がスライド可能に挿入されており、節度スプリング44は、節度ピン40と変更ピン42との間に掛渡されている。
ベースプレート12の下壁12Aの下側には、変更手段としてのソレノイド46が設けられており、ソレノイド46の本体部46Aは、ベースプレート12の下壁12Aに固定されると共に、ソレノイド46のプランジャ46Bは、本体部46Aから横方向(水平方向)に付勢力により延出されている。プランジャ46Bの先端には、作動部としての略矩形柱状の作動体48が固定されており、作動体48の上面は、水平面48Aにされて、上下方向に垂直に配置されている。作動体48の先端面(本体部46Aとは反対側の面)は傾斜面48Bにされており、傾斜面48Bは、本体部46A側へ向かうに従い上側へ向かう方向に傾斜されている。
付勢機構36の変更ピン42は、ソレノイド46の作動体48の水平面48Aに載置されており、節度スプリング44が圧縮されて節度ピン40を上側に付勢することで、節度ピン40が下側部分をベースプレート12の節度筒38内に嵌合された状態で上端を節度スプリング44の付勢力によりシフトレバー14の節度面30Aに係合(圧接)されている。
シフトレバー14が「H」位置、「D」位置、「R」位置、「N」位置及び「M」位置に回動操作された際には、節度ピン40の上端が節度スプリング44の付勢力により節度面30Aの凹部32に係合されることで、シフトレバー14に回動を制限する回動制限力が作用される。節度スプリング44の付勢力によるシフトレバー14の回動制限力は、第1スプリング26及び第2スプリング28によるシフトレバー14の「H」位置側への付勢力に比し、常に大きくされている。これにより、シフトレバー14が「H」位置、「D」位置、「R」位置、「N」位置及び「M」位置に回動操作された際には、シフトレバー14に回動操作力が作用されないと、シフトレバー14のシフト位置が保持される。
シフトレバー14が「H」位置、「D」位置、「R」位置、「N」位置及び「M」位置の間で回動操作される際には、節度ピン40の上端が節度スプリング44の付勢力を作用されつつ節度面30Aの凹部32間の凸部34を摺動する(乗越える)ことで、節度スプリング44の付勢力によって、シフトレバー14に徐々に増加する回動制限力が作用された後に徐々に減少する回動補助力が作用される。
シフトレバー14が「M」位置から「+」位置及び「−」位置に回動操作される際には、節度ピン40の上端が節度スプリング44の付勢力に抗して節度面30Aの凹部32から凸部34の斜面へ摺動することで、シフトレバー14に節度スプリング44の付勢力により「M」位置側への徐々に増加する回動制限力が作用される。これにより、シフトレバー14に回動操作力が作用されなくなった際には、節度ピン40の上端が節度スプリング44の付勢力により節度面30Aの凸部34の斜面から凹部32へ摺動することで、シフトレバー14が「M」位置に復帰される。
以上により、シフトレバー14の回動操作に節度感が付与される。
例えば、シフトレバー14が「D」位置に回動操作されると共に、エンジンスタートスイッチが押圧操作されてエンジンが駆動された状態で、「P」スイッチが押圧操作されて自動変速機のシフト位置が「P」位置にされた際等、シフトレバー14のシフト位置と自動変速機のシフト位置との相違が発生した際(特定機会)には、ソレノイド46が作動されることで、ソレノイド46の本体部46A内にプランジャ46Bが付勢力に抗して吸引されて、ソレノイド46の作動体48がプランジャ46Bと一体に本体部46A側に移動される。
このため、図2(B)に示す如く、付勢機構36の変更ピン42の作動体48への載置位置が作動体48の水平面48Aから傾斜面48Bに変更されて、変更ピン42が下側へ移動されることで、節度スプリング44の圧縮量が減少されて、節度スプリング44の付勢力が減少され、節度ピン40の上端がシフトレバー14の節度面30Aに係合する係合力が減少される(特に節度ピン40の上端が節度面30Aの最下位置より下側に配置されて当該係合力が常に0にされる)。これにより、節度スプリング44の付勢力によるシフトレバー14の回動制限力が、第1スプリング26及び第2スプリング28によるシフトレバー14の「H」位置側への付勢力に比し、常に小さくされる。このため、シフトレバー14に回動操作力が作用されない際には、第1スプリング26及び第2スプリング28の付勢力によって、シフトレバー14が「H」位置へ回動(復帰)される。
シフトレバー14が「H」位置へ回動された後には、ソレノイド46の作動が解除されることで、ソレノイド46の本体部46A内へのプランジャ46Bの吸引が解除されて、本体部46Aからプランジャ46Bが付勢力により延出されると共に、ソレノイド46の作動体48がプランジャ46Bと一体に本体部46Aとは反対側に移動される。このため、図2(A)に示す如く、付勢機構36の変更ピン42の作動体48への載置位置が作動体48の傾斜面48Bから水平面48Aに変更(復帰)されて、変更ピン42が上側へ移動されることで、節度スプリング44の圧縮量が増加されて、節度スプリング44の付勢力が増加され、節度ピン40の上端がシフトレバー14の節度面30Aに係合する係合力が増加(復帰)される。
次に、本実施の形態の作用を説明する。
以上の構成のシフトレバー装置10では、シフトレバー14が「D」位置、「R」位置、「N」位置及び「M」位置に回動操作されることで、それぞれ、自動変速機のシフト位置が「D」位置、「R」位置、「N」位置及び「M」位置にされる。さらに、シフトレバー14が「M」位置から「+」位置及び「−」位置に回動操作されることで、それぞれ、自動変速機の変速段が1段ずつ上昇及び下降される。また、「P」スイッチが押圧操作されることで、自動変速機のシフト位置が「P」位置にされる。
付勢機構36では、変更ピン42がソレノイド46の作動体48の水平面48Aに載置されており、節度スプリング44が圧縮されて節度ピン40を上側に付勢することで、節度ピン40の上端が節度スプリング44の付勢力によりシフトレバー14の節度面30Aに係合されている。
シフトレバー14が「H」位置、「D」位置、「R」位置、「N」位置及び「M」位置に回動操作された際には、節度ピン40の上端が節度スプリング44の付勢力により節度面30Aの凹部32に係合されることで、シフトレバー14に回動制限力が作用される。これにより、シフトレバー14に回動操作力が作用されない際には、シフトレバー14のシフト位置が保持される。
シフトレバー14が回動操作される際には、節度ピン40の上端が節度スプリング44の付勢力を作用されつつ節度面30Aの凹部32及び凸部34を摺動することで、シフトレバー14の回動操作に節度感が付与される。
シフトレバー14のシフト位置と自動変速機のシフト位置との相違が発生した際には、ソレノイド46が作動されることで、ソレノイド46の作動体48が本体部46A側に移動されて、付勢機構36の変更ピン42が下側へ移動される。このため、節度スプリング44の付勢力が減少されて、節度ピン40の上端が節度面30Aに係合する係合力が減少されることで、シフトレバー14に回動操作力が作用されない際には、第1スプリング26及び第2スプリング28の付勢力によってシフトレバー14が「H」位置へ回動される。これにより、シフトレバー14を回動操作しなくても、シフトレバー14を「H」位置に復帰させることができ、シフトレバー14の自動変速機とのシフト位置の相違感が発生することを抑制できる。
ところで、上述の如くソレノイド46により節度スプリング44の付勢力が変更されるため、節度スプリング44の付勢力に僅かな誤差が発生する可能性がある。
ここで、シフトレバー14のシフト位置(「H」位置、「D」位置、「R」位置、「N」位置及び「M」位置)が保持された際に、節度スプリング44の付勢力に僅かな誤差が発生していても、節度面30Aの凹部32の位置に誤差が発生することが抑制される。これにより、シフトレバー14がシフト位置に保持される位置精度を高くできる。
また、節度スプリング44の付勢力による節度面30Aへの節度ピン40の係合のみによって、シフトレバー14の車両前後方向及び車両左右方向への回動操作に節度感が付与される。このため、例えばシフトレバー14の回動操作に節度感を付与する節度機構をシフトレバー14の車両前後方向への回動操作用のものとシフトレバー14の車両左右方向への回動操作用のものとで別々に設ける場合と異なり、シフトレバー装置10の構成を簡単にできる。
[第2の実施の形態]
図3には、本発明の第2の実施の形態に係るシフト装置としてのシフトレバー装置60の主要部が側方から見た断面図にて示されている。
本実施の形態に係るシフトレバー装置60は、上記第1の実施の形態と、ほぼ同様の構成であるが、以下の点で異なる。
図3に示す如く、本実施の形態に係るシフトレバー装置60では、付勢機構36に変更ピン42が設けられていないと共に、ソレノイド46に作動体48が設けられていない。
ソレノイド46では、本体部46Aがベースプレート12の下壁12Aに固定されて、プランジャ46Bが本体部46Aから上方に延出されており、プランジャ46Bは、ベースプレート12の節度筒38内にスライド可能に挿入されて、先端に付勢機構36の節度ピン40が固定されている。プランジャ46Bは、付勢機構36の節度スプリング44内にスライド可能に挿通されており、節度スプリング44は、本体部46Aと節度ピン40との間に掛渡されている。
節度スプリング44は、圧縮されて、節度ピン40を上側に付勢しており、節度ピン40は下側部分を節度筒38内に嵌合された状態で上端を節度スプリング44の付勢力によりシフトレバー14の節度面30Aに係合(圧接)されている。
シフトレバー14のシフト位置と自動変速機のシフト位置との相違が発生した際(特定機会)には、ソレノイド46が作動されることで、ソレノイド46の本体部46A内にプランジャ46Bが節度スプリング44の付勢力に抗して吸引されて、節度ピン40がプランジャ46Bと一体に本体部46A側に移動される。このため、節度ピン40の上端がシフトレバー14の節度面30Aの最下位置より下側に配置されて、節度ピン40の上端がシフトレバー14の節度面30Aに係合する係合力が常に0にされる。これにより、シフトレバー14に回動操作力が作用されない際には、第1スプリング26及び第2スプリング28の付勢力によって、シフトレバー14が「H」位置へ回動(復帰)される。
シフトレバー14が「H」位置へ回動された後には、ソレノイド46の作動が解除されることで、ソレノイド46の本体部46A内へのプランジャ46Bの吸引が解除されて、本体部46Aからプランジャ46Bが節度スプリング44の付勢力により延出されると共に、節度ピン40がプランジャ46Bと一体に本体部46Aとは反対側に移動される。このため、図3に示す如く、節度ピン40が下側部分を節度筒38内に嵌合された状態で上端を節度スプリング44の付勢力によりシフトレバー14の節度面30Aに係合される。
ここで、本実施の形態でも、上記第1の実施の形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
さらに、上記第1の実施の形態と異なり、付勢機構36に変更ピン42が設けられていないと共に、ソレノイド46に作動体48が設けられておらず、かつ、ソレノイド46において節度スプリング44の付勢力によりプランジャ46Bが本体部46Aから延出されている。このため、シフトレバー装置60の構成を簡単にできる。
[第3の実施の形態]
図4には、本発明の第3の実施の形態に係るシフト装置としてのシフトレバー装置70の主要部が側方から見た断面図にて示されている。
本実施の形態に係るシフトレバー装置70は、上記第1の実施の形態と、ほぼ同様の構成であるが、以下の点で異なる。
図4に示す如く、本実施の形態に係るシフトレバー装置70では、ベースプレート12の下壁12Aの下側に、変更手段としてのアクチュエータ72(モータ)が設けられており、アクチュエータ72の本体部72Aは、ベースプレート12の下壁12Aに固定されると共に、アクチュエータ72の出力軸72Bは、横方向(水平方向)に延出されている。出力軸72Bには、作動部としての略矩形柱状の作動体48が螺合されて支持されており、作動体48は、出力軸72Bが貫通可能にされると共に、出力軸72B回りに回転不能にされている。作動体48の上側面(先端面を含む)には、横方向に沿って水平面48Aと傾斜面48Bとが交互に連続して形成されており、水平面48Aは、上下方向に垂直に配置されると共に、傾斜面48Bは、本体部72A側へ向かうに従い上側へ向かう方向に傾斜されている。以下、作動体48の上側面のうちの最下の面(本実施の形態では傾斜面48B)を「解除面48D」と言い、作動体48の上側面のうちの解除面48Dを除く面を「付勢面48C」と言う。
付勢機構36の変更ピン42は、ソレノイド46の作動体48の付勢面48C(水平面48A又は傾斜面48B)に載置されており、節度スプリング44が圧縮されて節度ピン40を上側に付勢することで、節度ピン40が下側部分をベースプレート12の節度筒38内に嵌合された状態で上端を節度スプリング44の付勢力によりシフトレバー14の節度面30Aに係合(圧接)されている。節度スプリング44の付勢力によるシフトレバー14の回動制限力は、第1スプリング26及び第2スプリング28によるシフトレバー14の「H」位置側への付勢力に比し、常に大きくされている。
アクチュエータ72が作動されて出力軸72Bが回転されることで、アクチュエータ72の作動体48が出力軸72Bに沿って本体部72A側又は本体部72Aとは反対側へ向けて横方向に移動されて、変更ピン42の作動体48への載置位置が変更される。このため、変更ピン42が上下方向へ移動されて、節度スプリング44の圧縮量が変更されることで、節度スプリング44の付勢力が変更されて、節度ピン40の上端がシフトレバー14の節度面30Aに係合する係合力が変更される。
ここで、車両の速度が大きくなる程、アクチュエータ72が作動されて作動体48が本体部72Aとは反対側へ向けて移動されることで、変更ピン42の作動体48への載置位置が作動体48の付勢面48Cの本体部72A側に変更されて、変更ピン42が上側へ移動される。このため、節度スプリング44の圧縮量が増加されて、節度スプリング44の付勢力が増加されることで、節度ピン40の上端がシフトレバー14の節度面30Aに係合する係合力が増加される。
一方、車両の速度が小さくなる程、アクチュエータ72が作動されて作動体48が本体部72A側へ向けて移動されることで、変更ピン42の作動体48への載置位置が作動体48の付勢面48Cの本体部72Aとは反対側に変更されて、変更ピン42が下側へ移動される。このため、節度スプリング44の圧縮量が減少されて、節度スプリング44の付勢力が減少されることで、節度ピン40の上端がシフトレバー14の節度面30Aに係合する係合力が減少される。
シフトレバー14のシフト位置と自動変速機のシフト位置との相違が発生した際(特定機会)には、アクチュエータ72が作動されて作動体48が本体部72A側へ向けて移動されることで、変更ピン42の作動体48への載置位置が作動体48の付勢面48Cから解除面48Dに変更される。このため、節度ピン40の上端がシフトレバー14の節度面30Aに係合する係合力が減少される(特に節度ピン40の上端が節度面30Aの最下位置より下側に配置されて当該係合力が常に0にされる)ことで、節度スプリング44の付勢力によるシフトレバー14の回動制限力が、第1スプリング26及び第2スプリング28によるシフトレバー14の「H」位置側への付勢力に比し、常に小さくされる。これにより、シフトレバー14に回動操作力が作用されない際には、第1スプリング26及び第2スプリング28の付勢力によって、シフトレバー14が「H」位置へ回動(復帰)される。
シフトレバー14が「H」位置へ回動された後には、アクチュエータ72が作動されて作動体48が本体部72Aとは反対側向けて移動されることで、変更ピン42の作動体48への載置位置が作動体48の解除面48Dから付勢面48Cに変更(復帰)される。
ここで、本実施の形態でも、上記第1の実施の形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
さらに、上述の如く、車両の速度が大きくなる程、節度ピン40の上端がシフトレバー14の節度面30Aに係合する係合力が増加される。このため、車両の速度が大きくなる程、シフトレバー14の回動操作に付与される節度感(特に回動制限力)を大きくできて、シフトレバー14の回動操作に必要な回動操作力を大きくできる。これにより、車両の速度が大きい際に、シフトレバー14のシフト位置が不要に変更されることを抑制できる。
[第4の実施の形態]
図5には、本発明の第4の実施の形態に係るシフト装置としてのシフトレバー装置80の主要部が側方から見た断面図にて示されている。
本実施の形態に係るシフトレバー装置80は、上記第3の実施の形態と、ほぼ同様の構成であるが、以下の点で異なる。
図5に示す如く、本実施の形態に係るシフトレバー装置80では、付勢機構36において、節度筒38内に変更ピン42がスライド可能かつ回転不能に嵌合されている。
アクチュエータ72には、作動体48が設けられていない。アクチュエータ72では、本体部72Aがベースプレート12の下壁12Aに固定されると共に、出力軸72Bが本体部72Aから上方へ延出されてベースプレート12の節度筒38内に挿入されている。出力軸72Bには、付勢機構36の変更ピン42が螺合されて支持されており、変更ピン42は、出力軸72Bが貫通可能にされている。
アクチュエータ72が作動されて出力軸72Bが回転されることで、変更ピン42が出力軸72Bに沿って本体部72A側又は本体部72Aとは反対側へ向けて上下方向に移動される。以下、変更ピン42の移動可能範囲の最下位置を「解除位置」と言い、変更ピン42の移動可能範囲の解除位置を除く範囲を「付勢範囲」と言う。
変更ピン42は、付勢範囲に配置されており、節度スプリング44が圧縮されて節度ピン40を上側に付勢することで、節度ピン40が下側部分をベースプレート12の節度筒38内に嵌合された状態で上端を節度スプリング44の付勢力によりシフトレバー14の節度面30Aに係合(圧接)されている。節度スプリング44の付勢力によるシフトレバー14の回動制限力は、第1スプリング26及び第2スプリング28によるシフトレバー14の「H」位置側への付勢力に比し、常に大きくされている。
ここで、車両の速度が大きくなる程、アクチュエータ72が作動されて、変更ピン42が付勢範囲において上側へ移動される。このため、節度スプリング44の圧縮量が増加されて、節度スプリング44の付勢力が増加されることで、節度ピン40の上端がシフトレバー14の節度面30Aに係合する係合力が増加される。
一方、車両の速度が小さくなる程、アクチュエータ72が作動されて、変更ピン42が付勢範囲において下側へ移動される。このため、節度スプリング44の圧縮量が減少されて、節度スプリング44の付勢力が減少されることで、節度ピン40の上端がシフトレバー14の節度面30Aに係合する係合力が減少される。
シフトレバー14のシフト位置と自動変速機のシフト位置との相違が発生した際(特定機会)には、アクチュエータ72が作動されて変更ピン42が下側へ移動されることで、変更ピン42が付勢範囲から解除位置に配置される。このため、節度ピン40の上端がシフトレバー14の節度面30Aに係合する係合力が減少される(特に節度ピン40の上端が節度面30Aの最下位置より下側に配置されて当該係合力が常に0にされる)ことで、節度スプリング44の付勢力によるシフトレバー14の回動制限力が、第1スプリング26及び第2スプリング28によるシフトレバー14の「H」位置側への付勢力に比し、常に小さくされる。これにより、シフトレバー14に回動操作力が作用されない際には、第1スプリング26及び第2スプリング28の付勢力によって、シフトレバー14が「H」位置へ回動(復帰)される。
シフトレバー14が「H」位置へ回動された後には、アクチュエータ72が作動されて変更ピン42が上側へ移動されることで、変更ピン42が解除位置から付勢範囲に配置(復帰)される。
ここで、本実施の形態でも、上記第3の実施の形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
さらに、上記第3の実施の形態と異なり、アクチュエータ72に作動体48が設けられていない。このため、シフトレバー装置80の構成を簡単にできる。
なお、上記第3の実施の形態及び第4の実施の形態では、車両の速度が大きくなる程、アクチュエータ72の作動により、節度ピン40の上端がシフトレバー14の節度面30Aに係合する係合力が増加される一方、車両の速度が小さくなる程、アクチュエータ72の作動により、節度ピン40の上端がシフトレバー14の節度面30Aに係合する係合力が減少される。
しかしながら、自動変速機の変速段が高くなる程、アクチュエータ72の作動により、節度ピン40の上端がシフトレバー14の節度面30Aに係合する係合力が増加される一方、自動変速機の変速段が低くなる程、アクチュエータ72の作動により、節度ピン40の上端がシフトレバー14の節度面30Aに係合する係合力が減少されてもよい。これにより、自動変速機の変速段が高い際に、シフトレバー14のシフト位置が不要に変更されることを抑制できる。
さらに、シフトレバー14のシフト位置が「R」位置以外である場合において、車両の速度が特定速度以上である際に、アクチュエータ72の作動により、節度ピン40の上端がシフトレバー14の節度面30Aに係合する係合力が増加されてもよい。これにより、シフトレバー14のシフト位置が不要に「R」位置に変更されることを抑制できる。
しかも、シフトレバー装置70、80が設置される車両に対応して、アクチュエータ72の作動により、節度ピン40の上端がシフトレバー14の節度面30Aに係合する係合力を変更してもよい。これにより、アクチュエータ72の作動のみによりシフトレバー14の回動操作に付与される節度感を変更でき、簡単にシフトレバー装置70、80を複数種類の車両で共用することができる。
[第5の実施の形態]
図6(A)には、本発明の第5の実施の形態に係るシフト装置としてのシフトレバー装置90の主要部が側方から見た断面図にて示されている。
本実施の形態に係るシフトレバー装置90は、上記第4の実施の形態と、ほぼ同様の構成であるが、以下の点で異なる。
図6(A)に示す如く、本実施の形態に係るシフトレバー装置90では、シフトレバー14の節度面30Aに、凹部としての規制部92が凹状に形成されており、規制部92の側面は、上下方向に平行(シフトレバー14の回動方向に垂直)に配置されている。
シフトレバー14が特定位置(例えば「D」位置)に回動操作された際には、節度ピン40が下側部分をベースプレート12の節度筒38内に嵌合された状態で節度スプリング44の付勢力により節度面30Aの規制部92に挿入されることで、シフトレバー14の回動操作が規制部92の側面と節度ピン40の側面との係合(当接)により規制(ロック)される。
シフトレバー14が特定位置に回動操作された状態で、例えば、シフトレバー14のシフト位置と自動変速機のシフト位置との相違が発生した際や車両制動用のブレーキが操作された際等、特定条件が成立した際には、図6(B)に示す如く、アクチュエータ72が作動されて変更ピン42が下側へ移動されることで、変更ピン42が付勢範囲から解除位置に配置される。このため、節度ピン40がシフトレバー14の節度面30Aの規制部92に係合する係合力が減少されて(特に節度ピン40の上端が規制部92の最下位置より下側に配置されて当該係合力が0にされて)、シフトレバー14の回動操作の規制が解除されることで、節度スプリング44の付勢力によるシフトレバー14の回動制限力が、第1スプリング26及び第2スプリング28によるシフトレバー14の「H」位置側への付勢力に比し、常に小さくされる。これにより、シフトレバー14に回動操作力が作用されない際には、第1スプリング26及び第2スプリング28の付勢力によって、シフトレバー14が「H」位置へ回動(復帰)される。
シフトレバー14が「H」位置へ回動された後には、アクチュエータ72が作動されて変更ピン42が上側へ移動されることで、変更ピン42が解除位置から付勢範囲に配置(復帰)される。
ここで、本実施の形態でも、上記第4の実施の形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
さらに、上述の如く、シフトレバー14が特定位置に回動操作された際には、付勢機構36の節度ピン40が節度スプリング44の付勢力によりシフトレバー14の節度面30Aの規制部92に挿入されることで、シフトレバー14の回動が規制される。このため、シフトレバー14の回動操作を規制するための規制機構を別途設ける必要をなくすことができる。
なお、本実施の形態では、上記第4の実施の形態において、シフトレバー14の節度面30Aに規制部92を設けた。しかしながら、上記第1の実施の形態〜第3の実施の形態において、シフトレバー14の節度面30Aに規制部92を設けてもよい。
さらに、上記第1の実施の形態〜第5の実施の形態では、シフトレバー14側に節度部30を設けると共に、ベースプレート12(車体側)に付勢機構36とソレノイド46又はアクチュエータ72とを設けた。しかしながら、シフトレバー14側に付勢機構36とソレノイド46又はアクチュエータ72とを設けると共に、ベースプレート12(車体側)に節度部30を設けてもよい。
また、上記第1の実施の形態〜第5の実施の形態では、シフトレバー装置10、60、70、80、90をフロア式のものにして車室の床部に設置した。しかしながら、シフトレバー装置10、60、70、80、90を車両のステアリングコラムやインストルメントパネルに設置してもよい。