JP2012530336A - ビーム放射デバイス - Google Patents

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Abstract

本発明はビーム放射デバイスに関する。このデバイスは、有機ビーム放射機能層と、ビーム取り出し層とを有している。有機ビーム放射機能層はメインビームを放射し、ビーム取り出し層はメインビームの放射路内に配置されている。ビーム放射機能層に反している面上に、ビーム取り出し層は、規則的に配置された幾何学的な構造要素を備えたマイクロ構造体を有している。ビーム取り出し層は、少なくとも部分領域内に、メインビームを散乱させる領域を有している。

Description

本発明は、規則的なマイクロ構造体を有するビーム取り出し層を備えたビーム放射デバイスに関する。
本特許出願は、ドイツ連邦共和国特許出願第102009025123.5号の優先権を主張する。この文献の開示内容は、本願に参照として取り入れられている。
ビーム放射デバイス、例えばOLED(有機発光ダイオード)は、通常、ランベルト放射プロファイルを有している。しかし照明用途には大概、このランベルト放射プロファイルとは異なる、配向された放射プロファイルがより適している。
本発明の課題は、放射プロファイルがランベルト放射器のそれと異なっているビーム放射デバイスを提供することである。
上述の課題は、独立請求項に記載されているビーム放射デバイスによって解決される。有利な構成および発展形態は、従属請求項に記載されている。
本発明のビーム放射デバイスは、ビーム形成のためのアクティブ層と、当該アクティブ層上に配置されたビーム取り出し層とを有している。アクティブ層は、動作時にメインビームを放射する。ビーム取り出し層は、アクティブ層によって放射されたメインビームの放射路内に配置されている。ビーム取り出し層は、アクティブ層の方を向いている面とアクティブ層に反している面とを有している。ここでこの反している面は、規則的に配置されている幾何学的な構造要素を備えたマイクロ構造体を有している。「規則的に配置されている」とは本願では、構造要素自体が1つまたは複数の対称部材(殊に対称面)を有しているということ、または、多数の構造要素によって形成された構造体が対称部材(例えば平行移動部)を有しているということを意味している。ビーム取り出し層はさらに、ビーム取り出し層が少なくとも部分領域において、ビーム(殊にメインビーム)を散乱させる領域を有していることを特徴とする。
アクティブ層によって形成されたビームは、この散乱領域によって散乱される。これによって、相応した散乱領域を有していない装置と比べて、ビーム出力の分布が均一になる。さらに、ビーム取り出し層での、または、ビーム取り出し層内での散乱事象によって、ビームの放射経過が妨害され得る。これによって、素子の動作時に取り出されるビーム出力が上昇する。殊に、装置内の不所望な放射経過(これは殊に、装置内での全反射の形状で生じる)が妨害され、これによって、装置から取り出されるビーム出力が高まる。
規則的に配置されている幾何学的な構造要素を有している、アクティブ層に反しているビーム取り出し層面をマイクロ構造化することによって、周辺媒体に対する境界面で、この境界面に入射するビームが屈折する(殊に光屈折)。この境界面で出射するビームの全反射が低減される、または完全に阻止されることによって、取り出されるビームは、一方では改善された効率を有するようになり、他方ではランベルト放射特性を示さなくなる。殊に、観察角度が(アクティブ層の方を向いているビーム取り出し層面ないし平面の面垂線に関して)+45°〜−45°の場合に、ビームは高い強度を有する。幾何学的な構造要素を適切に選択することによって、所定の観察角度または角度領域の場合に、強度が最適化される。殊に強度損失を回避するために、ビーム取り出し層並びに、アクティブ層の方を向いている面およびアクティブ層に反している面の全面は、完全に透明であるべきである。
アクティブ層に反しているビーム取り出し層面が幾何学的な構造要素を有していることによって、この面上では、アクティブ層の方を向いているビーム取り出し層面に対して平行な面を有している表面領域は僅かである、または全くない。これによって、ビーム取り出し層と周辺媒体との境界面で、取り出されたビームはより強く屈折する。これは、アクティブ層の方を向いているビーム取り出し層面の垂線ベクトルの方向(ないしはこのベクトルと殊に30°まで、または45°まで異なっている観察角度の方向)での屈折である。不規則な表面構造を有しているビーム取り出し層と比べて、本発明のビーム取り出し層は次のような利点を有している。すなわち、ビーム放射デバイスの表面がそれほどくすんでいない、という利点を有している。ビーム(殊にメインビーム)を散乱させる領域および、アクティブ層に反しているビーム取り出し層の面上の幾何学的な構造要素と組み合わせてビーム取り出し層を使用することによって、さらに、次のような利点が得られる。すなわち、観察角度と放射色との依存性が低減されるという利点が得られる。
本発明のビーム取り出し層を有していない素子では、アクティブ層に反している基板表面側での全反射によって、ビームが基板内に反射して戻され、これが例えば不所望な面(例えば側面)で出射してしまうことがある。さらに、反射されたビームが素子内に吸収されてしまうことがある。これら両方の作用によって、素子の効率が低減されてしまう。なぜなら、取り出されるビーム出力が少なくなるからである。
本発明の装置では、周辺媒体とビーム取り出し層との間の境界面で、素子内に反射して戻されるビームが、ビーム取り出し層内に含まれている散乱粒子で散乱される。従って、ビームは偏向され、より多くのビーム成分がビーム取り出し層を介して取り出される。これによって、ビーム放射デバイスの取り出し効率が高まる。
ビーム取り出し層を後から、ビーム放射デバイス上に固定することもできる。従って、ビーム放射デバイスの部分領域のみ、または選択されたデバイスのみに、ビーム取り出し層を設けることが可能である。すなわちビーム取り出し層は必要に応じて設けられる。
1つの実施形態では、放射デバイスは、電磁ビームを放射するように構成されているアクティブ層を有している有機発光ダイオードであり、ここではアクティブ層は有機材料を有している。
有利には、本発明のビーム放射デバイスは有機ビーム放射素子、殊に有機発光ダイオード(OLED)として形成されている。ここではアクティブ層は通常、有機層によって形成されている。有機層は有機(半)導体材料を含んでいる、またはこれから成り、電磁ビームを放射するように形成されている。有機層はここで例えば、1つまたは複数の(半)導体ポリマーを含有している、および/または、(半)導体分子、殊に小分子(small molecule)を備えた少なくとも1つの層を含んでいる。
本発明の装置が有している(または事前に製造された)OLEDは殊に、電気的な接触接続のために電極を有しており、さらに場合によっては、1つまたは複数の有機層を保護するカプセル封入部も有している。このカプセル封入部は1つ(複数)の有機層を殊に、酸素および湿気から保護することができる。さらに、有機層として、少なくとも1つのエミッタ層が設けられている。さらに、例えばホール注入層、ホール透過層、電子透過層、バリア層および/またはブロック層も含まれ得る。
1つの実施形態では、ビーム放射デバイスは基板を含んでおり、この基板上に、アクティブ層(殊に、OLEDの1つないしは複数の有機層)が配置されている。この基板上に、デバイス製造時に、例えばアクティブ層、殊に発光層と電極とOLEDの別の層とから成る積層体を被着することができる。ビーム放射デバイスをボトムエミッタ(この場合には透明基板が使用される)として構成する場合には、ビーム取り出し層は通常、アクティブ層の方を向いていない基板面に配置される。基板の高い機械的安定性によって、この場合にビーム取り出し層は、この光取り出し層の持続的な固定によって、基板上に機械的に安定する。しかしこの基板が柔軟に形成されてもよい;これは例えば、プラスチックフィルムの形状である。
基板には全面的にまたは少なくとも実質的に全面的に、本発明のビーム取り出し層が設けられる。通常、少なくとも基板の一部に、ビーム取り出し層が設けられる。この部分は、(まだ反射または散乱されていない)アクティブ層によって放射されたビームのビーム路内に位置する。殊に、ビーム取り出し層は少なくとも、基板の領域を覆っている。この領域は、面、面積および(水平)位置においてアクティブ層のそれに相応している。
1つの実施形態では、メインビームの屈折または散乱を生じさせる領域は、散乱粒子、殊にビーム透過散乱粒子を含んでいる。この散乱粒子は、ビーム取り出し層に使用されているマトリクスに問題無く添加される;むしろ、明確に規定された局部的な散乱領域が形成される。散乱粒子としては、無機粒子も有機粒子も適している;殊に、散乱粒子としてポリマー粒子が挙げられる。
散乱粒子によってビーム(例えば光放射)のビームの放射経過が元来の方向(すなわち、散乱事象前の方向)から偏向される。
別の実施形態では、メインビームを屈折及び散乱させるこの領域は中空空間を含んでいる。この中空空間によって、ビーム取り出し層のマトリクス内に、屈折率不均一性が形成され得る。この中空空間は殊に、気体によって充填され、例えば空気で充填される。これによって特に高い屈折率差が形成される。ここでは散乱は、主に内部空間と中空空間の壁部との間の比較的高い屈折率差によって生じる屈折によって行われる。
上述した中空空間が例えば、中空粒子の形で存在してもよい。この粒子は殊に、ビーム透過性のポリマー材料から成る。これはポリマーを含んでいない内部空間を包囲している。通常の場合には、中空粒子のポリマーの屈折率は、内部に中空粒子が存在しているマトリクスの屈折率とは異なり、中空空間内に含まれているガスの屈折率が2つのポリマーのそれと異なるのよりも格段に僅かに異なる。これによってこの粒子内でも、中空粒子に入射するビームの屈折が、実質的に、粒子内に含まれている中空空間によって行われる。このような中空空間ないしは中空粒子を備えた透過層は、例えばUS2006/0290272に開示されている。別の実施形態では、この散乱粒子はコアシェル構造を有している。通常、このような粒子は中実粒子として形成されている。このような粒子を用いることによって、コア材料に対してほぼ全ての材料が使用可能になる。なぜならシェルが、ビーム取り出し層のマトリクスともコアとも組み合わせ可能であり、マトリクスと組み合わせさられないコア材料の問題を解決する材料から形成されるからである。このようなコアシェル粒子によって、ビーム取り出し層の機械的な安定性が高まる。
1つの実施形態では、光散乱領域、殊に光散乱粒子、中空粒子および気体包有物は0.5〜100μm、殊に2〜20μmの平均直径を有している。しかし個々のケースでは、120μmまでの平均直径も存在する。さらに、2μm〜30μm、および2μm〜50μmの平均直径も良好に適している。「平均直径とは」ここで、光散乱によって平均された直径のことである。有利には、光散乱領域の少なくとも90%、特に有利には少なくとも95%が、1μmよりも大きく、120μmよりも小さい直径を有している。このような寸法は、ビーム取り出し層に特に良好な拡散特性を与える。これは殊に、可視光の散乱に対してである。ここでOLEDの場合には、2μmと30μmの間の直径が特に適していることが判明している。
別の実施形態では、ビーム取り出し層の幾何学的な構造要素は、実質的に同じ幾何学的形状を有している。このような構造要素を備えたマイクロ構造体はこの場合には特に容易に、ビーム取り出し層内に形成される。しかし、異なる幾何学的な構造要素を交互に現れることも可能である(例えば、球セグメント様式の構造要素および回転楕円体セグメントの様式の構造要素)。
別の実施形態では、ビーム取り出し層の幾何学的な構造要素はそれぞれ、ほぼ同じ寸法を有している。すなわち、構造要素の体積はほぼ同じである。構造要素の体積とは、本願では、マイクロ構造化されるべき面に対向しているビーム取り出し層面に対して平行する面およびビーム取り出し層上に構成されている幾何学的な構造要素によって包囲されているビーム取り出し層部分である。このような、特徴的な、マイクロ構造体内に含まれているボディには、後述する全ての幾何学的な記述も関連する。幾何学的な構造要素が実質的に同じ寸法を有している場合には、これによっても、マイクロ構造体をビーム取り出し層上に容易に製造することが可能になる。
しかし択一的に、異なる寸法を備えた幾何学的な構造要素をビーム取り出し層内に設けることもできる。例えば、異なる体積を備えた2つの構造体を交互に設けることが可能である(この場合には例えば、より大きい構造要素の体積は、より小さい構造要素の体積を例えば少なくとも50%越えている。これは例えば、回転楕円体のセグメントの形状の構造要素の場合である;このような構造要素は例えば規則的に交互に現れる。従って、例えば、それぞれ3番目の構造要素がより大きい体積を有している構造体が形成される)。
異なる寸法および/または幾何学的形状の幾何学的な構造要素を選択することによって、特定の用途に対して、不所望な作用が低減されるまたは阻止される(例えば、回折パターンまたは例えば、特定の構造要素によって生起される周期的な構造体によって生じる干渉作用およびモアレ作用の様式の光放射の重畳。)
1つの実施形態では、幾何学的な構造要素が、球セグメントの様式、回転楕円体セグメントの様式、角錐の様式、および円錐の様式、ないしは、球セグメントの形状、回転楕円体セグメントの形状、角錐の形状、および円錐の形状並びにこれらの構造要素の混合から選択される。構造要素の混合としてここでは、相互に異なった幾何学的形状を有する、異なる構造要素の上述した混合だけではなく、次のような構造体も考えられる。すなわち、(マイクロ構造化された面に対向している面に平行な底面から出発して)、例えば角錐が球セグメントと混ざり合う、または回転楕円体のセグメントが円錐と混ざり合う構造要素も考えられる。例えば、幾何学的な構造要素が角錐の底部を有しており、中央領域では、回転楕円体の表面を有しており、頂上部に円錐頂点を有していることも可能である。すなわち「・・・様式の」構造要素とは殊に、瞬時の観察後に、球セグメント、回転楕円体セグメント、角錐または円錐の印象が残るような構造要素であると理解されたい。しかしここでは、別の様式の面も可能であり、殊に、上述した幾何学的なボディとは異なるものを含み得る。
上述した幾何学的なボディはここで、高対称の底面だけを有しているのではない。例えば、円錐または回転楕円体セグメントは、円形または楕円の底面を有することができる。角錐は殊に、正角錐であり得る。さらに角錐は、長方形または台形状の底面を有することができる。
1つの実施形態では、幾何学的な構造要素は、1つまたは複数の対称面(すなわち鏡面)を有している。ここで対称面としては、マイクロ構造化された面に対向しているビーム取り出し層面によって形成された平面(および、対称部材の底面を形成する、これに平行する平面)に垂直に延在している面が意図されている。有利には、幾何学的な構造要素は、少なくとも2つ、むしろ通常は少なくとも3つ、またはむしろ少なくとも4つのこのような対称面を有している。このような構造要素を備えたマイクロ構造体は、特に容易に製造可能である。
1つの実施形態では幾何学的な構造要素は、平らな外面だけでなく、湾曲された外面(すなわち、周辺媒体との境界面を形成する面)も有している。
別の実施形態では、幾何学的な構造要素は、近似的にのみ球セグメントに相応している形状を有している(このような形状は例えば光学レンズの形状である)。このような構造要素は「光軸」の領域において、ボディの底面に対してほぼ平行に延在しており、従って、光屈折特性が平らな面のそれに類似している面セグメントを有している。幾何学的な構造要素が、構造要素の「光軸」の領域においてより強い湾曲を有しているまたは円錐頂点の様式を有している場合に、本発明によるビーム放射デバイスの効果がさらに最適化される。
別の実施形態では、幾何学的な構造要素は以下の形状を有している:すなわち、構造要素外面上で構造要素の最高部(これは殊に、構造要素の「光軸」上に位置している)から延在しているなめらかな曲線の全て、または少なくとも多数は、構造要素の最高部の領域において、構造要素の底部領域よりもより強い湾曲を有している。ここでは、なめらかな曲線として、次のような曲線が意図されている。すなわち、幾何学的な構造要素の外面上に延在している曲線が意図されている。これは例えば、極から赤道へと延在する地球儀の経度である。殊に、これら全てのなめらかな曲線は曲線の上方三分の一部分において、下方三分の一部分における曲率よりも大きい曲率のみを有している。中央三分の一部分における曲率は、通常はこれらの曲率の間にある。
上述したように、このような幾何学的な構造要素は、次のような利点を有している。すなわち、特定の用途に対してはむしろ不利である光屈折特性(なぜならこれは、幾何学的ボディの底面に対して実質的に平行に延在している、より大きい領域を有しているからである)を備えた領域が低減される、という利点を有している。さらに、このような構造要素は、比較的容易にポリマー融解において刻印される。先端が丸められているので、これらは、被着される別のフィルムによる摩耗の影響を受けにくい。これに対して、不規則な表面構造体またはプリズム様式の構造体を有しているビーム取り出し層は、摩耗の影響を受けやすい。
1つの実施形態では、ビーム取り出し層のマイクロ構造化された面の幾何学的な構造要素は、多角形の底面を有している。多角形とはここでは、数学的に正確に記載された、概算されていない、凸状の、簡易な、平面的な多角形である。殊にここでは規則的な多角形が挙げられる(ここでは底面の全ての辺が同じ長さである)。このような底面を備えた幾何学的な構造要素を使用することによって、アクティブ層に反しているビーム取り出し層面に完全に(すなわち全面的に)、幾何学的な構造要素が設けられる;すなわち、球セグメントまたは円錐の配置とは異なり、個々の構造要素の間に平らな面は存在しない。これは上述した、次の利点を有している。すなわち、ビーム取り出し層と周辺媒体との間の境界面での、種々の用途に対して不所望なビームの屈折が回避され、このような面で、むしろ不所望である全反射も生じない、という利点を有している。幾何学的な構造要素による、完全な面占有は例えば、構造要素の底面がそれぞれ純粋な正三角形、四角形、または六角形である場合に行われる。ここでは殊に、同じ側面長さおよび同じ内角を備えた多角形が挙げられる。しかし、異なる多角形の使用も可能である(例えばひし形の隣の正方形または正方形の隣の八角形)。
別の実施形態では、ビーム取り出し層のマイクロ構造体は次のように形成されている。すなわち、これが金属ロールによって、(まだ構造化されていない)ビーム取り出し層の表面に刻印されるように形成されている。この場合には、マイクロ構造体を特に容易に、かつ問題なく、(まだ構造化されていない)ビーム取り出し層内に刻印することが可能である。構造要素のめす型はここでは例えば、ダイヤモンドによって、金属ロール内に切り込まれる。(構造化されていない)ビーム取り出し層内への刻印はこの場合には、ビーム取り出し層に対して使用されるポリマー材料が、構造体の刻印後に迅速に冷却され、構造体が表面上に固定されることによって行われる。択一的に、構造体のこの固定を、光化学プロセスによって行うこともできる。これは刻印された構造体が流れてしまうのを阻止する。ビーム取り出し層の表面内にマイクロ構造体をこのように刻印するための方法および装置は、US2007/0126148号およびUS2007/0126145号内に記載されている。これに関しては、この文献を広範に参照されたい。
別の実施形態では、ビーム取り出し層のマイクロ構造体は、次のように形成されている。すなわち、相互に隣接している幾何学的な構造要素の最高部が、30〜500μm、殊に100〜250μm、例えば100〜170μmの間隔を有しているように形成される。構造要素が複数の最高部を有している場合(しかしこれは通常の場合ではない)には、上述の定義の場合には、最高部の箇所の構造要素の重心が位置する。隣接する構造要素とはここでは、ここではそれぞれ直接的な隣接部と解されたい。これは殊に、共通の辺を有している、またはそれらの底面が接触している構造要素である。換言すれば、ビーム取り出し層のビーム取り出し面上に1つのタイプの幾何学的な構造要素を有しており、かつ完全に対称な構造要素配置を有しているマイクロ構造体の場合には、これらの最高部の間隔は、繰り返し単位である。
このように形成されたマイクロ構造体を備えているビーム取り出し層は特に容易に、例えば金属ロールによって、(まだ構造化されてない)ビーム取り出し層内に刻印される。最高部が20μmまたはそれ以上、相互に離れている場合には、特に正確な幾何学的な構造要素が得られる。
別の実施形態では、構造要素の底面の直径および(底面と最高部との間で測定された)構造要素の高さは次のような底面直径:高さの比を有している。すなわち約1:1〜3:1、殊に1.5:1〜2.5:1の比を有している。択一的または付加的に、幾何学的な構造要素はここで次のように形成されている。すなわち、構造要素の台座の領域において、構造要素が底面と約50〜70度、殊に55〜65度の角度を成すように形成されている。詳細には、構造要素のビーム取り出し面は、底面と形成する辺で(最高部の方向に配向された)接線を有している。これは、上述した角度を底面と成す。
この実施形態に相応する構造要素は、単に容易に(例えば上述した刻印方法によって)製造可能である、というだけではない;これは、特に効果的なビーム取り出しを保証する構造も保証する。この場合には、(上述した垂線に関して)約−40°〜+40°の観察角度で出射するビームは通常のケースにおいて(これが取り出されると同時に)、隣接する構造要素の外面に入射しなくなる。すなわち、ビーム放射デバイスの効率はこれによってさらに改善される。
別の実施形態では、ビーム放射デバイスのビーム取り出し層は、メインビームを散乱させる領域の他に、透明なマトリクスを有している。殊に、ビーム取り出し層は、内部に散乱粒子、中空粒子または中空空間が存在するマトリクスを有している。このマトリクスは、殊に透明なポリマー、例えばポリカーボネートから成る、またはこれを含んでいる。
別の実施形態では、ビーム取り出し層は、残りのビーム放射デバイスと、屈折率整合されている。このようにして本発明によるデバイスからビーム取り出し層内へのビーム出射が容易になり、ビーム取り出し層に対する境界面での反射損失が低減される。屈折率整合の場合には、ビーム取り出し層の屈折率は、ないしは、散乱領域が形成されている場合には、マトリクス材料の屈折率は、有利には20%以下、特に有利には10%以下、本発明によるデバイスに接している部材の屈折率(すなわち殊に、基板の屈折)と異なる。ガラス基板での屈折率整合のためには、例えばポリカーボネートが、ビーム取り出し層に対して特に適している。
択一的または付加的に屈折率整合材料、例えば光学ジェルが屈折率整合のために使用される。このジェルは、ビーム取り出し層と基板との間に配置されている。このような材料はここで、基板とビーム取り出し層との間の屈折率変化を低減させる。
別の実施形態では、ビーム取り出し層は、本発明によるデバイスの、その下に位置する層に固定されており、殊に材料接続によって固定されている。例えばビーム取り出し層は接着剤によって、本発明によるデバイスの、その下に位置する基板に固定され、例えば積層される。接着剤はここで同時に、屈折率整合材料として使用される。
別の実施形態では、ビーム取り出し層は、少なくとも10μmの厚さを有している。殊にビーム取り出し層は25μm〜500μmの厚さ、通常は50μm〜300μmの厚さである。しばしば、ビーム取り出し層は70μmを越える厚さを有している。
ビーム取り出し層は1つの部材であり得る;しかしこれが、層結合体から形成されていてもよい。殊に、ビーム取り出し層は2つの部分層を含むことができる。ここで1つの層内には、ビームを散乱させる領域が含まれている、ないしはこの層は完全にこのような領域から成る。ここでこの部分層は殊に、その内部に均一に(すなわち統計的に)分散されている散乱粒子、中空粒子または気体包有物を備えたマトリクスであり、別の部分層は、このような領域ないし粒子または気体包有物を有していない。通常のケースでは、このような二層構造は、光屈折領域または光散乱領域を有していない部分層を、ビーム取り出し面、すなわち幾何学的な構造要素の領域内に有し、光屈折領域を備えた部分層を、これらの層と例えばこの下に配置されている基板との間に有しているだろう。
このような二層またはそれより多くの層のビーム取り出し層は例えば同時押出し成形によって製造される。ここで少なくとも2つの部分層は、少なくとも2つの押出し成形機によって形成される。ここでは各プラスチック溶液が、ノズルリップ内でまとめられる。
別の実施形態では、ビーム取り出し層が2つの部分層からも形成される。ここではこの部分層は、ビーム取り出し面上に、特に良好に、刻印方法(上述したように)に適している材料から形成される。ビーム取り出し面上に位置する部分層は、光散乱領域を含んでいる。しかし通常のケースでは、このような領域は存在しないであろう。その下に位置する、アクティブ層に面している部分層は通常のケースでは、特に良好に、光屈折領域ないしは光散乱領域が入れられる材料から成る。この材料はしばしば、その下に位置する層、殊に本発明によるデバイスの基板と屈折率整合される。
特に良好な刻印性を保証するために、ビーム取り出し面上に位置する部分層は、ウッベローデ粘度計によって測定された、1.1〜1.4、殊に1.15〜1.3の相対的な溶液粘性を備えた材料から成る。択一的または付加的にこの材料は、ISO規格1133によって測定された、1〜100cm/10min、有利には3〜80cm/10minのMVR値(300℃、1.2kg)を有している。このような規準を満たす材料は例えばPMMA(ポリメチルメタクリレート)または特定のポリカーボネートである(例えばMakrolonOD2015、Bayer Material Science AG)。このような材料から成る部分層は、しばしば、別の材料から成る別の(刻印されていない)部分層とともに同時押出し成形される。例えば、ポリカーボネートないしはPMMAから成る2つの部分層は、相互に良好な接着部を有している。
このために使用される別の可能な透明ポリマーは以下の熱可塑性プラスチックである:
アモルファスポリアミド、ポリカーボネートまたはジフェノールをベースにしたコポリカーボネート、ポリアクリレートまたはコポリアクリレートおよびポリメチルアクリレートまたはコポリメチルアクリレート、例えばおよび有利にはポリメチルメタクリレート(PMMA)、スチレンを有するポリマーまたはコポリマー、例えばおよび有利にはポリスチレン(PS)またはポリスチレンアクリルニトリル(SAN)、熱可塑性ポリウレタン、並びに、ポリオレフィン、例えばおよび有利にはポリプロピレンタイプまたは環状オレフィン(例えばTOPAS(R)、Hoechst社)に基づいたポリオレフィン、テレフタル酸の重縮合体または共重縮合体、例えばおよび有利にはポリエチレンテレフタレートまたはコポリエチレンテレフタレート(PETまたはCoPET)、グリコール変性PET(PETG)、グリコール変性ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレートまたはコポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート(PCTG)またはポリブチレンテレフタレートまたはコポリブチレンテレフタレート(PBTまたはCoPBT)、ナフタレンジカルボン酸の重縮合体または共重縮合体、例えばおよび有利にはポリエチレングリコールナフタレート(PEN)、少なくとも1つのシクロアルキルジカルボン酸の重縮合体または共重縮合体、例えばおよび有利にはポリシクロヘキサンジメタノールシクロへキサンジカルボン酸(PCCD)、ポリスルフォン(PSU)または上述したものの混合物が挙げられる。
成形時に、2つの部分層の間に間隔が空けられることが望まれる場合には、殊に2つの部分層が相対的に低い接着力を有する、以下の材料組み合わせが可能である:すなわち、ポリカーボネート/環状オレフィン、ポリカーボネート/アモルファスポリアミド、ポリカーボネート/ポリエチレンテレフタレートまたはコポリエチレンテレフタレート(PET)。
別の実施形態では、ビーム取り出し層は少なくとも2つの、相互に間隔が空けられている部分層を有している。ここでこれらの部分層の間には、媒体が設けられている。この媒体は、それに接している2つの部分層よりも低い屈折率を有している。殊に、この媒体の屈折率は、より低い屈折率を備えた部分層の屈折率よりも、少なくとも15%低い。上述した2つの部分層の、この分断媒体に接している境界面はここで実質的に相互に平行に延在している;通常はこれらの境界面は、実質的に、ビーム放射機能層に面している、ビーム取り出し層面に対しても平行に延在している(これは自身の側で少なくとも実質的に、ビーム取り出し層に面している基板表面に対して、または、その上にビーム取り出し層が直接的に被着されている別の層に対して平行に延在している。このような設計時にはしばしば、幾何学的な構造要素を含んでいる部分層は、内部で光屈折が生じる領域を有していない;しかし例えば、同じ材料から成る2つの部分層を形成するのは、製造技術的な理由から有効である。従って、2つの部分層内にこのような領域が存在し得る。さらに、このような実施形態の2つの部分層が異なるマトリクス材料または同じマトリクス材料ないしはマトリクス材料の混合物から形成可能である(場合によってはこれは、内部で光屈折または光散乱が生じる領域を含んでいる)。上述したように、幾何学的な構造要素の製造に関する製造技術的な観点または屈折率整合の要求が役割を果たしている場合には、異なる材料が殊に有利である。
このような実施形態は次のような利点を有している。すなわち、アクティブ層近傍に位置する部分層と間隔媒体との間の境界面に平坦な角度で入射するビームが、全反射によってこの部分層(これは光散乱領域も含む)内へ、反射されて戻される、という利点を有している。従って、マイクロ構造体を有する部分層内には、間隔媒体に対する境界面と比較的大きい角度を成すビームのみが入射する。これによって同じように、この境界面に対して面垂線の方向ないしは−45°〜+45°、殊に−30°〜+30°の観察方向において放射される、ビームの割合が高くなる。これまでに特に挙げた幾何学的な構造要素がマイクロ構造体として設けられている場合、殊にビーム取り出し層のビーム取り出し面の全面に構造要素が設けられている、および/または、その表面が上述のように、異なる曲率を有している幾何学的な構造要素が用いられている場合には、面垂線の方向ないしは−45°〜+45°、殊に−30°〜+30°の観察方向において取り出される、ビームの割合がさらに高められる。
間隔が空けられた部分面の間の屈折媒体は、液体または気体である。気体としては殊に空気、窒素または希ガスが挙げられる。できるだけ効果的に、低い角度で間隔媒体に対する境界面に入射するビームの全反射を生じさせるために、アクティブ層近傍に位置する部分層の屈折率はできるだけ高くあるべきである。
屈折率は殊に1.4以上であり、有利には1.48以上であり、特に有利には1.55以上である。この部分層のマトリクスは例えばポリカーボネートから成る、またはポリカーボネートを含む。マイクロ構造体を含む部分層も、できるだけ高い屈折率を有するべきである;しかしこの層は、内部に特に良好にマイクロ構造体が入れられる材料からも形成されるべきである。この層は例えば、PMMAから成る、またはPMMAを含んでいる。
アクティブ層近傍に位置している部分層と間隔媒体との間の境界面で全反射されるビームは、光散乱領域における散乱によって、再び、この境界面の方向へ偏向される。これは、全反射が生じなくなるまで、かつビームが相対的に急峻な角度で境界面に入射するまで行われる。これによって、面垂線の方向、ないしは−45°と+45°の間、殊に−30°と+30°の間の観察角度において、ビーム取り出し層から取り出されるビームが格段に高められる。
ビーム取り出し層の、間隔が空けられた2つの部分層の間の間隔は、通常は最大で50μmであり;主にこの間隔は少なくとも0.5μmである。ビーム放射デバイスの厚さを薄く保つために、できるだけ小さい間隔が有利である。さらに、間隔が小さい場合には、通常のケースでは、装置全体、殊に2つの部分層の良好な結合、ひいては改善された機械的な安定性が得られる。
光取り出し層の2つの部分層の間隔は例えば、次のようにして形成される。すなわち、規則的な(または不規則な)間隔で、第1の部分層上に、接着剤(殊に透明な接着剤)の点状の滴が被着され、このような接着剤点を介して、ビーム取り出し層の第2の部分層との結合が行われることによって形成される。択一的に、間隔を調整するために、別の支持構造体、殊に透明材料から成る支持構造体を、2つの部分層の間に配置することもできる。ここではあらゆる材料、殊に透明なあらゆる材料が可能である。2つの部分層の材料接続結合をここで必ずしも、支持構造体を介して行う必要はない、またはこれを例えば部分的にのみ支持構造体を介して行うことができる。重要であるのは、2つの部分層の相対している表面の割合が、できるだけ少ない範囲で、支持構造体によって覆われている、ということである。従って有利には支持構造体は一方では均一な間隔を部分層の相対表面全体にわたって保証するが、他方では、占有場所はできるだけ小さい。例えば、支持構造体は縁部領域内(例えば接着路の形状で)に存在する。さらに、支持構造体は次のように存在する。すなわち、幾何学的な構造要素を含んでいる部分層および、上部に第2の部分層が配置されている機能層の層列が、1つのフレーム内に入れられるように存在する。最終的に、幾何学的な構造要素を含んでいる、第2の部分層に面している部分層境界面も、計画的に次のように選択される。すなわち、この境界面上に、間隔形成を可能にする組織が存在するように選択される。
相互に間隔が空けられた部分層が内部に設けられているビーム取り出し層の厚さは、間隔が空けられた部分層を備えていない、ビーム取り出し層に対して上述された値と変わらない。
別の実施形態では、ビーム放射デバイスは紫外線(UV)を吸収する部材を含んでいる。UVを吸収するこの部材は、UV保護層として形成される。このUV保護層は例えば、ビーム取り出し層に面している基板面に配置される。しかしこれが、ビーム取り出し層を備えたフィルム結合体の形で含まれていてもよく、例えば、ビーム取り出し層の2つの部分層の間、ないしは1つの部分層と間隔媒体との間、またはアクティブ層に面している、ビーム取り出し層面上に配置されてもよい。さらにビーム取り出し層自体を、UVを吸収するように作用する、1つまたは複数の添加物を添加することによって形成することができる。ビーム取り出し層に使用されるマトリクスもUV吸収性に形成することができる。
UV吸収性の添加物としては、例えば、ベンゾトリアゾール、トリアジンおよびジアリールシアノアクリレートのクラスから選択された、0.01〜0.5重量%のUV吸収剤が、ビーム取り出し層または部分層に対して使用されるマトリクスに添加される。
UV吸収性材料は、次のような利点を有している。すなわち、OLEDの場合に、ビーム形成のためにもうけられた有機層が、紫外線によって損傷されないという利点を有している。このような損傷は、デバイスの故障を加速してしまうことがある。
UV吸収性材料によって、経年劣化が、少なくとも遅れされる。
ビーム取り出し層ないしはビーム取り出し層ないしはビーム取り出し層を形成し得るフィルム結合体の部分層は、付加的な処理補助剤を含むことができる。殊に、離型剤、融剤、流動化剤等の安定剤、帯電防止剤および/または蛍光増白剤が含まれる。
適切な安定剤は例えば、ホスフィン、ホスフィット、またはSiを含有している安定剤および、FP−A0500496号に記載されている別の化合物である。例えば、トリフェニールホスフィット、ジフェニルアルキルホスフィット、フェニルジアルキルホスフィット、トリス−(ノニルフェニル)ホスフィット、テトラキス−(2,4−ジ−tert.−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジホスホニット、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペタエリスリトールジホスファイトおよびトリアリールホスファイトが挙げられる。特に有利なのは、トリフェニルフォスフィンおよびトリ−(2,4−ジ−第三−ブチルフェニル)フォスファイトである。
適切な離型剤は例えば、1価から6価のアルコール、殊にグリセリン、ペンタエリトリットまたはゲルベアルコールのエステルまたは部分エステルである。
1価のアルコールは例えばステアリルアルコール、パルミチルアルコール、ゲルベアルコールであり、2価のアルコールは例えばグリコールであり、3価のアルコールは例えばグリセリンであり、4価のアルコールは例えばペンタエリスリットおよびメソエリスリットであり、5価のアルコールは例えばアラビット、リビットおよびキシリットであり、6価のアルコールは例えばマニット、グルシット(ソルビット)およびズルシットである。
エステルは有利にはモノエステル、ジエステル、トリエステル、テトラエステル、ペンタエステルおよびヘキサエステルまたは、それらの混合物、殊に統計的な混合物である。これは飽和、脂肪族C10〜C36モノカルボン酸および場合によっては、ヒドロキシモノカルボン酸からの混合物であり、有利には飽和、脂肪族C14〜C32モノカルボン酸および場合によってはヒドロキシモノカルボン酸からの混合物である。
市販されている、殊にペンタエリスリットおよびグリセリンの脂肪酸エステルは、製造条件的に、60%よりも低い、異なる部分エステルを含んでいる。
10〜36のC原子を備えている飽和、脂肪族モノカルボン酸は例えばカプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸およびモンタン酸である。
別の実施形態では、本発明の素子に、帯電防止作用を有する部材が設けられる。これは殊に、ビーム取り出し層のビーム取り出し面上に配置されている。これによってデバイスでの汚れ堆積が低減される。特に有利には、ビーム取り出し層またはマイクロ構造体を含んでいる部分層が帯電防止に構成される。出射側のビーム出力分布に悪影響を及ぼす、ビーム取り出し層での、帯電によって生じるこの堆積がこのようにして低減される。
適切な帯電防止剤の例はカチオン活性化合物、例えば、第4級のアンモニウム塩、ホスホニウム塩、またはスルホニウム塩、アニオン活性化合物、例えば、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩の形状の、アルキルスルホネート、アルキルスルフェート、アルキルホスフェート、カーボキシレート、非イオン化化合物、例えばポリエチレングリコールエステル、ポリエチレングリコールエーテル、脂肪酸エステル、エトキシル化脂肪アミンである。有利な帯電防止剤は第4級のアンモニウム化合物であり、これは例えばジメチルジイソプロピルアンモニウムペルフルオロブタンスルフォナートである。
別の実施形態では、ビーム取り出し層のマイクロ構造化されている面上に、さらに保護層が配置される。この保護層は殊に平らに形成され(かつ有利には2つの面平行な主表面を有している)、次のような効果を有している。すなわち、ビーム放射デバイス、殊に幾何学的な構造要素の隆起部の間の隙間の汚れが回避され、ビーム放射デバイスからのビーム取り出し効率の高い安定性が可能になる、という効果を有している。さらに、この保護層は、機械的な負荷、例えばひっかき傷に対して保護作用を発揮する。この保護層は例えば、10〜1000μmの厚さを有する。従って、全体的なビーム放射デバイスを薄く構成することが可能になる。
基板と同じように、この保護層を、ガラス、石英、プラスチックおよび拡散バリア層並びに金属を有するプラスチックのグループから選択された材料から形成することができる。これによって、安定し、容易に製造可能であり、かつ低コストのソリューションが、基板および/または保護層に対して得られる。
別の実施形態では、ビーム放射デバイス、殊にOLEDは、照明のため、殊に大面積の照明のために設けられている。デバイスはこの場合には殊に、面状に形成される。
ここで、面状に形成される、とは次のことを意味している。すなわち、ビーム放射デバイスがつながって1つの面領域上に延在しており、この面領域が1または複数平方ミリメートル、通常は1または複数平方センチメートル、およびしばしば1または複数平方デシメートル(例えば2〜10平方デシメートル)の少なくとも1つの面積を有している、ということを意味している。これによって、大面積照明のための、極めてフラットなビーム放射デバイスを製造することが可能になる。
(面垂線の方向に関して)−30°と+30°との間の観察角度において取り出されるビームが、ランベルト放射機よりも上昇し、殊に格段に上昇するビーム放射デバイスは、殊に、(例えば室内の天井照明として)照射されるべき対象物から比較的遠くに離れて配置されている、光源ないしはビーム源として適している。(面垂線の方向に関して)−30°とおよび−45°ないしは+30°および+45°の間の観察角度においても、取り出されるビームが、ランベルト放射機よりも上昇し、殊に格段に上昇するビーム放射デバイスは、殊に、照射されるべき対象物の相対的に近傍に配置されている光源ないしはビーム源として適している(例えば、作業場照明または食卓照明のためのタスクライト)。
全体として、ビーム取り出し層を備えた本発明のビーム放射デバイスは、多数の、上述した利点および後述する利点を提供する。本発明のさらなる特徴、利点および有効性を以下の実施例の説明で、図面に関連して説明する。
本発明のビーム放射デバイスの実施例の概略的な断面図 ビーム経過が示されている、本発明のビーム放射デバイスの実施例 ビーム経過が示されている、本発明のビーム放射デバイスの別の実施例 図4および4Aは、本発明による素子のビーム取り出し層の実施形態の断面 A−Cは、本発明によるデバイスに対する観察角度への、取り出されるビーム出力の依存性を示す図 本発明によるデバイスの実施形態並びにマイクロ構造体を有していないビーム取り出し層を備えたデバイスに対する観察角度への、CIE色座標xおよびyの依存性を示す図 本発明によるデバイスの実施形態並びにマイクロ構造体を有していないビーム取り出し層を備えたデバイスに対する観察角度への、CIE色座標xおよびyの依存性を示す図 本発明によるデバイスの実施形態並びにマイクロ構造体を有していないビーム取り出し層を備えたデバイスに対する観察角度への、CIE色座標xおよびyの依存性を示す図
同じ部材、同様の部材および同じ作用を有する部材には図面において同じ参照番号が付与されている。
図1は、本発明のビーム放射素子の実施例を概略的な断面図で示している。ビーム放射素子1はそれぞれ、OLEDとして構成されている。素子1は、ビーム形成のために設けられている有機層2または、複数の有機層を備えた相応の積層体を有している。有機層2は、ビーム放射素子の基板4の第1の主表面3に配置されており、かつこれと接続されている。
有機層2内への電荷注入のために、有機層は、第1の電極5、例えばカソードおよび第2の電極6、例えばアノードと導電性接続されている。これらの電極5、6を介して、有機層に電荷担体、電子ないしホールが、再結合によるビーム形成のために有機層2内に供給される。電極5および6は有利には層状に形成され、有機層は特に有利にはこれらの電極の間に配置される。これらの電極および有機層2は、基板の第1の主表面3に被着されている。
1つないし複数の有機層は有利には、半導体有機材料を含んでいる。例えば、有機層は半導体ポリマーを含んでいる。適切な有機または有機金属ポリマーは以下のものを含んでいる:すなわち、ポリフルオレン、ポリチオフェン、ポリフェニレン、ポリチオフェンビニレン、ポリ−p−フェニレンビニレン、ポリスピロポリマーおよびそれらの族、コポリマー、誘導物および混合物である。
ポリマー材料に対して択一的または付加的に、有機層は低分子材料(いわゆる小分子)を含むことができる。低分子量を有する適切な材料(低分子材料)は例えばトリス−8−アルミニウム−キノリノール−錯体、Irppy(トリス−(2−フェニルピリジル)イリジウム−錯体)および/またはDPVBI(4,4’−ビス(2,2−ジフェニル−エテン−1−イル)−ジフェニル)である。
基板4は、有機層2内で形成されたビームを通すように形成されている。有機層2によって有利には可視光が形成される。例えば、ビームを通す基板として、Borofloatガラス等から成るガラス基板または、PMMA(ポリメチルメタクリラート)等から成るプラスチック−(フィルム)基板が使用される。
有機層2に反している、基板4の第2の主表面7を通る光は、素子1から出力する。この第2の主表面7によって、殊に、素子のビーム出射面が形成される。有機層2の、基板4に反している面に、さらにミラー層を設けることができる。このミラー層は、有機層内で基板から離れる方向に向かうビームを反射して、有利には基板4の方向に戻す。このようにして、素子の動作中に、このビーム出射面を介して出射するビーム出力が高められる。有利には第1の電極5は反射正電極として、かつ同時にミラー層として形成されている。このために電極5は、有利には金属製に、または合金ベースで構成されている。別個のミラー層は図面には明示されていない。
電極5は場合によっては、金属構造体として構成されている。有利には、これらの層のうちの1つは、有機層2内へ電荷担体を注入するために構成されており、電極の別の層はミラー層として構成されている。電荷担体注入用の層は有利には、ミラー層と有機層との間に配置されている。ミラー層および/または電荷担体注入層は金属、例えばAu,Al,AgまたはPtを含有する、またはこれから成る。ここでこれら2つの層は有利には、異なる金属を含有している。場合によっては、有利には上述した金属の少なくとも1つを有する合金も、(多層)電極5に適している。
第2の電極6は、基板4と有機層2の間に配置されている。ビーム通過のために、この電極は有利にはビーム透過性に形成されている。例えばこの電極はTCOを含有している。透明酸化物導電体(transparent conductive oxides、略してTCO)は、透明な、導電性材料であり、通常は金属酸化物である。これは例えば、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化カドミウム、酸化チタン、酸化インジウムまたは酸化インジウムスズ(ITO)である。二成分から成る金属酸化物、例えばZnO、SnOまたはInの他に、三成分から成る金属酸化物、例えばZnSnO、CdSnO3、ZnSnO、MgIn、GaInO、ZnInまたはInSn12または、異なる透明酸化物導電体の混合物も、TCOのグループに属する。さらにTCOは必ずしも、化学量論的な組成に相応しなくてもよく、p型、またはn型にドーピングされていてもよい。
素子1のビーム取り出し面、すなわち基板4の、有機層2に反している面では、ビーム取り出し層8が、基板に固定されている。ビーム取り出し層8は、アクティブ層(ないしは有機層2)の方を向いている面9と、マイクロ構造化された表面を備えた面10とを有している。ビーム取り出し層8は、マイクロ構造化された表面10を有する面上に、幾何学的な構造要素12を備えたマイクロ構造体を有している。
有機層2のためのカプセル封入部は、見やすくするために、図示されていない。このカプセル封入部は有利には、基板4の、ビーム取り出し層8に反している面に配置されている。同じように、見やすくするために、場合によって含まれている、ビーム取り出し層用の保護層は図示されていない。カプセル封入部は有機層を、悪影響を与える外部影響に対してカプセル封入する。これは例えば湿気または酸素である。カプセル封入部は例えば、屋根構造体として形成されている。
素子の電気的な接触接続部の明示も省かれている。従って、例えば、基板上の素子の駆動制御回路は同様に、カプセル封入部内に配置され得る。
素子が、有利には構造化されており、相互に別個にされている複数の有機層または有機積層体を有することもある。異なる層ないし積層体は、異なる色の光、例えば赤、緑ないしは青色の光を生成するように形成されている。
ビーム取り出し層8と、基板4との間に(図示されていない)層が存在することがある。この層は例えば接着仲介層であり、例えば接着剤層である。このために、例えば、3M社の「optically clear laminating adhesive ♯8141」が使用される。
ビーム取り出し層8を介して、図1に示された結合素子から動作中に取り出されるビーム出力が増やされる。ビーム取り出し層8のマイクロ構造化によって、ビーム取り出し層と周辺媒体との境界面(すなわち、マイクロ構造化された表面10)で、取り出された光が、ビーム取り出し層8の面9の垂線ベクトル方向へ強く屈折される。
ビーム取り出し層の散乱領域内での散乱結果を介して、このような領域を有していないビーム取り出し層と比べて、統計的な放射偏向によって、放射経過が妨害される。殊に、ビーム取り出し層のマイクロ構造化された表面への入射角度は、より幅広く分散する。
さらに、素子のビーム取り出し面上のビーム出力分布は、ビーム取り出し層によって容易に均一化される。例えば、有機層の欠陥領域は、拡散光散乱を介して、ビーム取り出し層ないしはビーム取り出し層内含まれている領域によって補償される。この欠陥領域は、ビーム取り出し面上に(散乱領域を有する)ビーム取り出し層が無い場合には暗い領域になってしまうであろう。ビーム取り出し層8は、それぞれの、適切に設けられている素子に固定される。この後、多数の素子が、例えば機能性に関してまたは充分なビーム出力に関して試験され、不適切な素子が除外される。各素子内に既に製造時に組み込まれている散乱素子と比べて、接続端子が少ないので、製造コストを下げることができる。
素子1は有利には照明用、殊に、一般照明用に形成されている。個々のピクセル間の分断鮮明性が保証され続けなければならないディスプレイでの使用とは異なり、ディスプレイにおいて個々のピクセルをぼやかしてしまう原因となり得る散乱領域を有する光取り出し層が、一般照明用の素子では、実質的に不利な作用無く使用される。この素子は例えば室内照明、室外照明のために、または信号照明内で使用される。
この素子は、殊に一般照明内での使用の場合には、有利には、可視ビームを形成するように形成されている。光取り出し層を介して、取り出し側の輝度、取り出し側の特別な光出射および/または取り出し側の明るさが格段に高くなる。
図2および3はそれぞれ、放射された部分ビームの経過が記された、OLEDの実施例を示している。
図2および3に示された実施例では、光取り出し層8は、散乱粒子811が混ぜられた部分層81を有している。この散乱粒子811は、マトリクス812内に存在する。このマトリクスは有利には、ビーム透過性ポリマー、例えばポリカーボネートによって形成されている。散乱粒子としては、殊に、有機ポリマー粒子が適している。さらに光取り出し層8は、マイクロ構造化された表面10を備えた部分層82を有している。部分層81に接して、基板4が配置されている。ビーム取り出し層8に反する基板面に接して、OLEDスタック20が配置されている;上述した有機層および電極はここでは図示されていない。
さらに、散乱粒子811は有利にはビームを透過させるように構成されている。散乱作用のために、散乱粒子は有利には、マトリクス材料812の屈折率とは異なる屈折率を有している。従って、ビームを透過させる散乱粒子によって、散乱作用が、フィルムマトリクスに対する境界面での反射によって、および/または散乱粒子への入射時、通過時、および/または散乱粒子からの出射時の屈折によって生じる。
散乱粒子は、マトリクス材料用の成形コンパウンドに、光取り出し層8の製造前に統計的な分配で混ぜられる。散乱フィルム内の散乱粒子の割合は、有利には50質量%以下である。
散乱粒子の屈折率は、有利には、マトリクス材料の屈折率から、有利には0.6%以上、特に有利には3.0%以上、特別に有利には6%以上異なる。偏差が大きくなるにつれて、通常、散乱粒子によるビーム偏向はより効果的になる。
散乱粒子には、例えばポリマー中空粒子が適している。ここで屈折による散乱は主に、中空体内部空間と中空体壁部との間の比較的高い屈折率差によって生じる。ポリマー材料が、マトリクス812に対しても中空粒子の中空空間の壁部に対しても用いられる場合、これらは通常、比較的低い屈折率偏差を有する。壁部の材料と内部空間(これは例えば、空気等の気体によって充填されている)との間のこの屈折率偏差は、これに対して容易により大きくされる。上述した中空粒子とは異なり、当然ながら、ビームを透過させる中実粒子、殊にポリマー粒子も使用される。これは実質的に中空空間を有していない。1つの実施形態では、ポリマー粒子はコアシェル形態を有している。さらに散乱粒子が無機材料、殊に高い屈折率を有する無機材料から形成されてもよい。これは殊に、マトリクス材料の屈折率よりも少なくとも10%高い屈折率を有している。例としては、屈折率2.6を備えた酸化チタン、屈折率1.77を備えた酸化アルミニウム等が挙げられる。
基板から離れて位置している、ビーム取り出し層8の部分層82は、幾何学的な構造要素12を、ビーム取り出し側10に有している。このような幾何学的な構造要素によって、放射されたビームが、特定の観察角度の方向へ配向される。これは殊に、垂線ベクトルの方向への配向である。この垂線ベクトルは、相互に実質的に平行な基板面に、および基板の方を向いているビーム取り出し層面に垂直に位置している。マイクロ構造体には例えば、図4に示されている、幾何学的な構造要素12の幾何学形状が適している。
図4は、本発明の素子のビーム取り出し層の実施例の横方向断面を、光学顕微鏡によって撮影したものを示している。図6では、幾何学的な構造要素12が台座の領域内で上昇していることが分かる。これは、隣接している構造要素の台座の相応する上昇部分と約60°の角度を形成している。さらに、幾何学的な構造要素は、その上方三分の一部分で、その下方三分の一部分よりも格段に強い湾曲を有している。
一般的に、図4に示された構造要素は以下の実施例で説明される:この実施例では、構造要素の光取り出し面が数学的に定められる幾何学的な構造要素が選択される。数学的に特定するための特定のパラメータは、2つの(ここでは主に同じである)取り込み角(Akzeptanzwinkel)および短縮ファクタである。構造要素ないしその光取り出し面は以下の方法で、記載した式によって構成される。記載する方法は、暗に最適化問題である:
a)媒体における開放角度θおよびθを、フレネルの式から、所定の取り込み角度を用いて計算する;
b)2つの放物線弧、すなわち、媒体内の開放角度θを備えた放物線弧P(22)と、媒体内の開放角度θを備えた放物線弧P(23)とを以下の式によって作成する:
Figure 2012530336
ここでθ1,2は、左側の放物線(θ)と右側の放物線(θ)の媒体内の開放角度であり、xはX座標であり、y1,2は左側の放物線(y)と右側の放物線(y)のY座標である;
c)放物線弧F,F(25,26)およびE,Eの終点を計算する;
d)放物線弧Pを媒体内の開放角度θぶん回転させ、放物線弧Pを媒体内の開放角度θぶん回転させ、放物線弧Pをx軸に沿って移動させる;
e)θ≠θを伴う非対称な形態の場合には、オプショナルで、点EおよびEによって定められる傾斜面の傾斜を特定する;
f)ステップa)〜e)で作成された幾何学形状から、空気内への効果的な取り込み角度を特定する;
g)この効果的な取り込み角度を所定の取り込み角度と比較し、精度が不十分な場合(殊に偏差が0.001%よりも大きい場合)には、ステップa)における規定された取り込み角度の代わりに、修正された取り込み角度でステップa)〜f)を繰り返す。ここで修正された取り込み角度は、この規定された取り込み角度と同じではなく、修正された取り込み角度は次のように選択される。すなわち、ステップf)からの効果的な取り込み角度が、規定された取り込み角度と一致するように選択される;
h)充分な精度に達している場合(殊に規定された取り込み角度からの効果的な取り込み角度の偏差が0.001%以下である場合)には、新たな終点EおよびE(27および28)で、短縮ファクタによって定められた程度、放物線をy方向で短くする。
i)オプショナル:点FおよびF(25、26)によって制限されている辺を、n次の多項式(21)によって置き換える。これは連続微分可能に接続される。
殊に、この実施形態の幾何学的な構造要素は、所定の取り込み角度θが5°と60°の間にあり、所定の取り込み角度θが5°と60°の間にあるという特徴を有し得る。
この実施形態の幾何学的な構造要素は、ステップh)における短縮が、単に切断である、という特徴を有し得る。
この実施形態の幾何学的な構造要素は、ステップh)における短縮が、y軸に沿った、短縮ファクタによって特定されたファクタぶんの幾何学形状の圧縮である、という特徴を有し得る。
この実施形態の幾何学的な構造要素は、θ=θである、という特徴を有し得る。
この実施形態の幾何学的な構造要素は、構造要素の光取り出し面が連続な多項式閉包を有する、という特徴を有し得る。これは例えばn次の多項式であり、殊に4次の多項式であり、これは点FおよびF内で連続微分可能である。
この実施形態の幾何学的な構造要素は、構造要素の光取り出し面が連続な閉包を有する、という特徴を有し得る。これは放物線、双曲線、円関数、シヌソイド関数または直線によって表される。
最後に、この実施形態の幾何学的な構造要素は、全体周期が10μmと1mmの間、有利には30μmと500μmの間、特に有利には50μmと300μmとの間の範囲にある、という特徴を有し得る。
図4ないしは図4A内に示された構造要素は、例えば以下のパラメータを有する:取り込み角:40°、短縮ファクタ:0.1、ポリマー:ポリカーボネート、多項式領域(21):二次多項式
図3は図2と同じ構造を示しているが、この装置は、マイクロ構造化された表面10を含んでいる部分層82と、光散乱粒子811を含んでいる部分層81との間に、間隔媒体、殊に気体状の間隔媒体が満たされている間隙13を有している。部分層81と部分層82の相互に対向している面の実質的に平行な延在、ないしは、2つの部分層の全面にわたって実質的に等しい間隔は、支持構造体14によって得られる。間隙13を備えた配置によって、ビームのビーム経過が格段に変化するであろう。このビームは、図2では平らな角度で、部分層82に対する境界面に入射している。図3に示されているように、このような放射は、間隔媒体に対する境界面で全反射され、その後、散乱粒子ないしはミラー層を通って、OLED20の領域で、急峻な角度で、間隔媒体に対する境界面の方向へ偏向される。部分層82内に含まれている幾何学的な構造要素によってこの放射はその後、ほぼ、上述した垂線ベクトルの方向へ偏向される。
図2および3の矢印は、ビーム取り出し層8および本発明の素子内のビーム路の例を表している。ここで見やすくするために、散乱粒子811が設けられている部分層では、粒子を通るビーム通過は示されていない。
ビーム取り出し層8は、殊に、25μm〜500μmの厚さを有しており、通常は、25μmと300μmの間にある。このような厚さ表示は、幾何学的な構造要素も含んでおり、一方では散乱作用に関して、他方では結合素子の機械的な総安定性を上昇させることに関して適している。殊に、後から、事前に完成された素子に固定されるビーム取り出し層によって、素子の安定性は、基板が粉砕された場合にも保証され続ける。さらに、ビーム取り出し層の粉砕防御作用に基づいて、破片によって損傷する恐れが低減される。
2つの部分層を備えた実施形態では、マイクロ構造化された部分層は殊に、少なくとも10μm、通常は少なくとも25μmの厚さを有している。マイクロ構造化されていない部分層は、殊に、少なくとも10μmの厚さを有しており、通常は少なくとも25μmの厚さを有している;この、マイクロ構造化されていない部分層は光を散乱させる領域、殊に散乱粒子を含んでいる。従って、この部分層は殊に少なくとも25μmの層厚を有している。少なくとも、2つの部分層は本発明のビーム放射デバイスから放射されるビームの波長よりも大きい厚さを有している。
ビームを素子1からビーム取り出し層8内に最適に結合させるために、素子の方を向いているビーム取り出し層表面11は、有利には平らに、かつ殊に構造化されずに形成されている。相互に間隔が空けられている部分層が存在する場合には同様のことが、部分層の相対している面にも当てはまる。
基板4からビーム取り出し層8内へのビームの移動を容易にするために、ビーム取り出し層の材料は、基板で、有利には屈折率整合されている。これには殊に、ポリカーボネートが適している。ポリカーボネートは、1.58〜1.59の屈折率を有している。この材料は、ガラス基板、例えばBorofloatガラス基板に、1.54の屈折率で良好に屈折率整合されている。
択一的または付加的に、屈折率整合材料上、例えば光学ジェルが、基板4とビーム取り出し層8との間に配置される。理想的には、ビーム取り出し層8を素子に、接着仲介層によって固定する場合には、この接着仲介層が屈折率整合用に構成されている。このために、接着仲介剤は有利には次のような屈折率を有している。すなわちこの屈折率は、20%、有利には10%よりも多くは、基板4の屈折率およびビーム取り出し層8の材料の屈折率によって制限されているインターバルの外側に位置しない。有利には、屈折率整合材料は、基板の屈折率とビーム取り出し層ないしはビーム取り出し層のマトリクスの屈折率との間の屈折率を有する。
以降では、ビーム取り出し層を説明する。これは、本発明の素子、殊に可視光を放射する素子に特に良好に適している。
ビーム取り出し層の透明散乱粒子((散乱)ピグメント)に対しては、アクリル酸エステルまたはコアシェルアクリル酸エステルが使用される。これは有利には、充分に高い、例えば少なくとも300℃までの熱安定性を有しており、これによって、透明プラスチック(例えばポリカーボネート)の処理温度で分解されることがなくなる。
さらに散乱ピグメントは、透明プラスチック(例えばポリカーボネート)のポリマーチェーン解体する機能を有するべきではない。従って例えば、Roehm&Haas社のParaloid(R)またはSekisui社のTechpolymer(R)は、良好に、透明プラスチックのピグメント化に使用される。このような製品ラインから、多数の異なるタイプが使用可能である。有利には、Techpolymer系列からのアクリル酸エステルが使用される。
光取り出し層は、有利には、1つまたは複数の部分層から成るプラスチックフィルムとして構成されている。光取り出し層の少なくとも1つの(部分)層は、ある実施形態では、マトリクス材料の屈折率とは異なる屈折率を有する透明ポリマー部分を含んでいる。この層は殊に、透明プラスチック、殊にポリカーボネートを50〜99.99重量%、有利には70〜99.99重量%含有しており、0.01〜50重量%、有利には0.01〜30重量%のポリマー粒子を含有している。粒子は有利には、実質的に1〜100μmの間、有利には1〜50μmの間の平均粒径を有している。
有利には、刻印された金属ロールによって、ビーム取り出し層の表面内にマイクロ構造体が設けられる。
本発明のビーム取り出し層は、一体化された部分であり得る;これが、少なくとも2つのフィルムから成る多層結合体であってもよい。この結合体は、押出しによって製造される。択一的に、別個に、事前に製造されたフィルムを重ねて配置し、相互に接続することができる(いわゆる貼合せまたはラミネート)。
押出しによってフィルムを製造するために、顆粒プラスチック、例えば顆粒ポリカーボネートが押出し機の充填漏斗に供給され、これを介して、渦巻き部分と円筒部分とから成る可塑化システム内に達する。可塑化システム内では、プラスチック材料の運搬および融解が行われる。プラスチック融解物は、幅広スリットノズルを通って押し出される。可塑化システムと幅広スリットノズルとの間に、フィルタリング装置、融解物ポンプ、定常的な混合素子およびさらなる素子が配置され得る。ノズルから出た融解物は、カレンダー上に達する。
全ての透明な熱可塑性物質がビーム取り出し層(のマトリクス)ないしはビーム取り出し層の部分層81、82用のプラスチックとして適している:ポリアクリル酸エステル、ポリメチルメタクリレート(PMMA;Roehm社のPlexiglas(R))、シクロオレフィンコポリマー(COC;Ticona社のTopas(R);Nippon Zeon社のZenoex(R)またはJapan Synthetic Rubber社のApel(R))、ポリスルフォン(BASF社のUltrason(R)またはSolvay社のUdel(R))、ポリエステル、例えばPETまたはPEN、ポリカーボネート、ポリカーボネート/ポリエステル混合物、例えばPC/PET、ポリカーボネート/ポリシクロヘキシルメタノールシクロヘキサンジカルボキシレート(PCCD;GE社のXylecs(R))およびポリカーボネート/ポリブチレンテレフタレート(PBT)混合物。
有利には、ポリカーボネートが使用される。ポリカーボネートは上述のように、OLEDでの屈折率整合に特に適している。フィルムの製造に適しているポリカーボネートは、全ての既知のポリカーボネートである。これらは、ホモポリカーボネート、コポリカーボネートおよび熱可塑性ポリエステルカーボネートである。有利には適切なポリカーボネートは、18.000〜40.000、有利には26.000〜36.000、殊に28.000〜35.000の平均分子質量
Figure 2012530336
を有しており、これは、光散乱によって検定された、ジクロロメタンまたは等しい重量のフェノール/o−ジクロロベンゾ−ル混合物内の相対的な溶液粘性を測定することによって求められる。
ポリカーボネートの製造は有利には、相界面法または溶融エステル交換法によって行われる。
ポリカーボネート合成のための相界面法は、種々の文献に記載されている;例えば、H.Schnell著「Chemistry and Physics of Polycarbonates(Polymer Reviews,Vol.9,Interscience Publishers,New York 1964年,第33頁〜)」および、Paul W.Morgan著「Polymer Reviews,Vol.10,"Condensation Polymers by Interfacial and Solution Methods"(Interscience Publishers,New York 1965年,第VIII章,第325頁)」およびDres.U.Grigo,K.KircherおよびP.R−Mueller著「Polycarbonate(Becker/Braun内,Kunststoff−Handbuch,Band3/1,Polycarbonate,Polyacetale,Polyester,Celluloseester,Carl Hanser Verlag Muenchen Wien 1992年、第118〜145頁)」およびEP−A0517044号を参照されたい。
適切なジフェノールは、例えばUS−A−PS2999835,3148172,2991273,3271367,4982014および2999846,ドイツ連邦共和国公開文献1570703,2063050,2036052,2211956および3832396,フランス特許文献1561518,モノグラフィ、H.Schnell著「Chemistry and Physics of Polycabonates(Interscience Publishers,New York 1964年,第28頁〜;第102頁〜)」およびD.G.Legrand,J.T.Bendler著「Handbook of Polycarbonate Science and Technology,Marcel Dikker New York 2000年,第72頁〜」に記載されている。
ポリカーボネートの製造は、ジアリールカーボネートおよびジフェノールからも可能である。これは溶融物の形で、既知のポリカーボネート法、すなわち溶融エステル交換法に従って行われる。これは例えばWO−A01/05866およびWO−A01/05867に記載されている。その他に、エステル交換法(アセテート法およびフェニルエステル法)が例えば、US−A3494885、4386186、4661580、4680371および4680372、EP−A26120、26121、26684、28030、39845、39845、91602、97970、79075、146887、156103、234913および240301並びにDE−A1495626および2232977に記載されている。
ホモポリカーボネートもコポリカーボネートも適している。コポリカーボネートを製造するのには、(使用されるべきジフェノールの総量に関して)1〜25重量%、有利には2.5〜25重量%の、ハイドロキシ−アリールオキシ末端基を有するポリジオルガノシロキサンも使用される。これらは(例えばUS3419634から)既知である、ないしは文献から既知の方法によって製造可能である。ポリジオルガノシロキサン含有コポリカーボネートの製造は、例えば、DE−OS3334782に記載されている。
さらに、ポリエステルカーボネートおよびブロック−コポリエステルカーボネートが適している。これらは例えば、WO2000/26275に記載されている。
芳香族ポリエステルカーボネートを製造するための芳香族ジカルボン酸ジハロゲン化物は、有利にはイソフタル酸、テレフタル酸、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸およびナフタリン−2,6−ジカルボン酸の二酸二塩化物である。
芳香族ポリエステルカーボネートは、線状でも、既知のように分岐されていてもよい(これに関してはDE−OS2940024およびDE−OS3007934も参照されたい)。
ポリジオルガノシロキサン−ポリカーボネート−ブロックポリマーは、通常の、ポリシロキサンを含有しない熱可塑性ポリカーボネートとポリジオルガノシロキサン−ポリカーボネート−ブロックコポリマーとの混合物であってもよい。ここでこの混合物内の、ポリジオルガノシロキサン構造ユニットの総含有量は、約2.5質量%〜25質量%である。
このようなポリジオルガノシロキサン−ポリカーボネート−ブロックコポリマーは例えば、US−PS3189662、US−PS3821325およびUS−PS3832419から既知である。
有利なポリジオルガノシロキサン−ポリカーボネート−ブロックコポリマーは次のようにして製造される。すなわち、アルファ,オメガ−ビスハイドロオキシアリールオキシ末端基を含有するポリジオルガノシロキサンを、別のジフェノールと反応させることによって製造される。ここでは場合によっては、通常の量での分岐剤が共に使用される。これは例えば、二相界面法に従って行われる(これに関しては、H.Schnell著「Chemistry and Physics of Polycabonates (Polymer Rev.Vol.IX,第27頁〜,Interscience Publishers,New York 1964年)を参照されたい)。ここで二官能性フェノール反応体の各比率は次のように選択されている。すなわち、ここから、芳香族カーボネート構造ユニットおよびジオルガノシロキシユニットの適切な含有量が得られるように選択されている。
このようなアルファ,オメガ−ビスハイドロオキシアリールオキシ末端基を含有するポリジオルガノシロキサンは、例えばUS3419634から既知である。
散乱粒子用のアクリレートベースのポリマー粒子としては有利には、EP−A634445内に開示されているようなものが使用される。
このポリマー粒子は、ゴム状のビニルポリマーから成るコアを有している。このゴム状ビニルポリマーは、任意のモノマーのホモポリマーまたはコポリマーであってよい。このモノマーは少なくとも1つのエチレン性不飽和基を有しており、これは付加重合を(一般的に既知であるように)、乳化重合の条件下で、水溶性媒体内で行う。このようなモノマーは、US4226752、第3欄、第40〜62行に挙げられている。
主に有利にはこのポリマー粒子は、ゴム状のアルキルアクリレートポリマーから成るコアを含んでいる。ここでこのアルキル基は2〜8の炭素原子を有しており、選択的に、コアの総重量に対して0〜5%の架橋剤および0〜5%のグラフト架橋剤によって共重合される。このゴム状アルキルアクリレートは有利には50%まで、1つまたは複数の共重合可能なビニルモノマーによって共重合され、例えば上述されたものによって共重合される。適切な架橋およびグラフト架橋するモノマーは例えばEP−A0269324に記載されている。
ポリマー粒子は、1つまたは複数の外被を有している。この1つの外被または複数の外被は有利には、ビニルホモポリマーまたはビニルコポリマーから製造される。この1つ/複数の外被を製造するのに適しているモノマーは、米国特許第4226752、第4欄、第20−46行に記載されており、この記載は参照として取り込まれている。1つまたは複数の外被は、有利には、メタクリラート、アクリラート、ビニルアーレン、ビニルカルボキシレート、アクリル酸および/またはメタクリル酸から成るポリマーである。
ポリマー粒子は、透明なプラスチック、有利にはポリカーボネートに光散乱特性を与えるために有効である。
ポリマー粒子は有利には、少なくとも0.5μm、有利には少なくとも1μmから最大で100μm、より有利には2〜50μm、主に有利には2〜30μmの平均粒径(平均的な粒子直径またはサイズ)を有している。「平均粒径(平均的な粒子直径)」は数の平均であると理解されたい。有利には、ポリマー粒子の少なくとも90%、主に有利には少なくとも95%が、1μmを越える直径および100μmを下回る直径を有している。これらのポリマー粒子は有利には、有利にはコンパクトな形状の、易流動性の粉末である。
これらのポリマー粒子は以下のようにして製造される:一般的に、コアポリマーの少なくとも1つのモノマー成分を、エマルジョンポリマー粒子を形成して、乳化重合させる。これらのエマルジョンポリマー粒子は、同じの、または1つまたは複数の別の、コアポリマーのモノマー成分によって膨潤され、1つ/複数のモノマーは、エマルジョンポリマー粒子内で重合される。膨潤および重合段階は、これらの粒子が所望のコアサイズに成長するまで繰り返される。コアポリマー粒子は、第2の水溶性モノマー乳化内で一時停止され、1つ/複数のモノマーから成るポリマー外被がポリマー粒子上で、第2の乳化において重合化される。1つの外被または複数の外被は、有利には、コアポリマー上で重合される。コア/外被−ポリマー粒子の製造は、EP−A0269324および米国特許第3793402号および3808180号に記載されている。
ビーム取り出し層は、有利には押出し形成によって製造される。
押出し形成のために、例えばポリカーボネート顆粒が押出し機に供給され、押出し機の可塑化システム内で融解される。プラスチック融解物は、幅広スリットノズルによって押し出され、ここで変形されて、カレンダーのロール間隙内で所望の最終的な形状にされ、研磨ロール上での交互の冷却および周辺空気によって、形状が固定される。高い融解粘性を備えた、押出しに使用されるポリカーボネートは、通常、260°〜320°の間の融解温度で処理され、これに相応して、可塑化シリンダのシリンダ温度並びにノズル温度が設定される。
1つまたは複数の側面押出し機を使用すること、および幅広ノズル前の相応の融解アダプターを使用することによって、異なる組成のポリカーボネート溶解物または、上述したように、別のポリマーの溶解物が相互に積層され、これによって多層の薄膜が形成される(例えばEP−A0110221およびEP−A0110238を参照)。
ビーム取り出し層の製造を以下の例に基づいてより詳細に説明する:
光散乱層と幾何学的な構造層とを備えた二層フィルム
例A)混合によってマスターバッチを製造する
ポリカーボネートに対して、250°〜330°の通常の処理温度で、従来の二軸スクリュー押出し機(例えばZSK32)を用いてマスターバッチを製造する
マスターバッチは以下の組成で製造されている:
1. 80重量%のMakrolon(R)3108550115(Bayer MaterialScience AG社のポリカーボネート(PC))
2. 2〜15μmの粒子サイズと、8μmの平均粒子サイズとを備えている、20重量%の散乱粒子(Sekisui社のTechpolymer(R)MBX 5)
ビーム取り出し層の製造のために使用されている装置は次のものから成る、すなわち、(i)105mmの直径(D)と41xDの長さとを有するスクリューを備えた主要押出し機;このスクリューは、気体排出領域を有している;(ii)水平なロール装置を備えたスリーロールカレンダー、ここで第3のロールは、水平線に対して±45°シフト可能である;(iii)回転路;(iv)保護フィルムを両面に被着するための装置;(v)排出装置;(vi)巻き上げステーション
以下の光散乱組成が主要押出し機に供給されている:
1. 50.0重量%のMakrolon(R)3108550115(Bayer MaterialScience AG社のPC))
2. 50.0重量%のマスターバッチ(A)で上述されている)
例B)幾何学的な構造を備えた層用の材料Makrolon2600の顆粒が、同時押出し機の充填漏斗に供給される。可塑化システム内で、押出し機のシリンダ/スクリューは、この材料を融解し、搬送する。この材料融解物は、カレンダーに供給される。カレンダーのロールは、以下の表に挙げられた温度を有している。(3つのロールから成る)カレンダー上で、ビーム取り出し層の最終的な成形および冷却が行われる。ロール2の表面においては、図4に示された構造がフライス加工される。対向している表面をテクスチャー化するために、ゴムロールが使用される。表面のこの構造化に使用されているこのゴムロールは、Nauta Roll Corporation社のUS4368240号において開示されている。次に、フィルムが排出部によって搬送される。
Figure 2012530336
ビーム取り出し層ないしは散乱中心を含んでいる部分層の散乱特性は、確実かつ特に容易に、Henyey−Greenstein位相関数 P
Figure 2012530336
によって表される。
ここで、
Figure 2012530336
は、ビーム取り出し層に入射するビームと、散乱後のこのビームとの間の角度である。従ってビーム取り出し層内で通過が生じると、
Figure 2012530336
が、出射面上の(想定された)入射ビーム延在部と、出射ビームとの間に形成される。
散乱異方性ファクタg(gファクタ)は、ビーム取り出し層の散乱特性を表している。このgファクタは−1と+1の間にある。ここで値−1はミラー状の戻り散乱に相応し、値0は等方性の散乱に相応し、値1はビーム経過における無変化に相応する。gファクタは、0より大きい領域において、前方への散乱を示す。gファクタは実験的にアクセス可能である。
有利な形態では、ビーム取り出し層8ないしは散乱領域を含んでいる部分層81は次のように形成されている。すなわちgファクタが0.3〜0.9、有利には0.5〜0.7になるように形成されている。これによって、取り出し可能なビーム出力が格段に上昇する。
図5A、5Bおよび5Cは、OLEDに対する観察角度(0−90°)に依存した、取り出されるビーム出力の成分を示している。付加的に、ランベルト放射器の放射プロファイルが示されている。測定のためには、白色光を放射するOLEDが使用されている。使用されているOLEDは、厚さ188μm(構造要素を備えた部分層)および300μm(散乱粒子を備えた部分層)の、2つの部分層から成るビーム取り出し層を有している。基板に近い方の部分層は、散乱粒子として、10重量%のTechpolymer MBX5(Sekisui社)と、マトリクス材料Makrolon3108とを含んでいる。全ての試みは、4.3mA/cmの電流密度で行われた。図5A−Cにおける0°の観察角度はここで、面垂線ないしは垂線ベクトルに沿った観察角度に相応する(上述の通りである)。
図5Aは、マイクロレンズの形状のマイクロ構造体を備えた装置用の、正規化された放射プロファイルを示している。これは、相互に間隔をあけて存在している部分層を、実線として有している(この間隔は、幾何学的な構造要素を含んでいる部分層の表面粗さによって実現されている)。ビーム取り出し層を有していない、相応する装置の正規化された放射プロファイルが破線として示されている。点線は、ランベルト放射器の放射プロファイルを示している。このように形成されたビーム取り出し層を備えたOLEDは殊に、照明されるべき対象物から、比較的離れて配置されるビーム源に適している(例えば、室内の天井照明);取り出されたビームの強度は殊に、−30°から+30°の間の観察角度の場合に、ビーム取り出し層を有していない装置に対して高められる。
図5Bは、図4に示されているようなマイクロ構造体を備えた装置の場合の、正規化された放射プロファイルを示している。個々の構造要素はここで回転対称の幾何学形状(構造体の高さ70〜74μm、最大間隔103μm)を有しており、相互に間隔の空けた部分層が存在している(この間隔は、幾何学的な構造要素を含む部分層の表面粗さによって実現される。)。これは実線として示されている。ビーム取り出し層を有していない、相応する装置の正規化された放射プロファイルは、破線として示されている。点線は、ランベルト放射器の放射プロファイルを示している。このように形成されたビーム取り出し層を備えたOLEDは殊に、照明されるべき対象物の比較的近傍に配置されているビーム源に適している(例えば作業場所の照明または食卓の照明等のタスクライト);取り出されるビームの強度は、−30°と+30°との間の観察角度の場合のみならず、−30°と−45°との間、ないしは+30°と+45°との間の観察角度においても、ビーム取り出し層を有していない装置よりも高い。
図5Cは、正規化されていない形状での図5Bからの放射プロファイルを示している。
本発明のOLEDによって、効率が高められ、面垂線に沿った輝度も格段に高められる。本発明のOLEDの光効率は、通常の場合には、少なくとも20lm/Wであり、同時に、輝度は0°の場合には、通常のケースでは、少なくとも1400cd/mである:輝度に依存しないで、0°の場合には、通常のケースでは、光効率は有利には少なくとも22lm/Wであり;光効率に依存しないで、輝度は、0°の場合には通常は少なくとも1550cd/mであり、有利には少なくとも1650cd/mであり、特に有利には少なくとも1800cd/mである。
次の表は、具体的な例に基づく、面垂線に沿った、効率の上昇と輝度の増加を示している。測定は、図5A〜Cに対して説明されたような装置によって実施されている:
Figure 2012530336
この表から、規則的に配置された幾何学的な構造要素(マイクロレンズアレイの形状で)を備えたマイクロ構造体を備えた装置によって、0°で、格段に高い輝度が実現されることが読み取れる。付加的な上昇は、間隔の空けられた部分層を有する装置によって実現される。さらにこの表から、粒子含有率を上昇させることによって、0°での輝度も、光効率も格段に上昇し、粒子を含んでいる層の層厚を厚くする場合に、0°での輝度を付加的に上昇させることができることが読み取れる。
増加された取り出しの他に、殊に、0°〜45°の観察角度の場合には、本発明によるビーム取り出し層の別の利点は、色位置における変動が低減される、ということにある。色位置は殊に観察角度によって変化する。このような色位置変動は多くのOLEDで内在している。色位置変動、すなわちCIE(国際照明委員会)に従ったx座標および/またはy座標における変動は、本発明のビーム取り出し層によって低減される(図6を参照)。色位置の変動ΔxおよびΔyに対しては、本発明の装置では一般的に、通常のケースでは以下のことが当てはまる(0〜45°の観察角度での測定の場合):Δx≦0.1および/またはΔy≦0.05。むしろしばしばΔx≦0.07および/またはΔy≦0.025およびしばしばΔx≦0.04および/またはΔy≦0.015でもある。ΔxとΔyの差はここで以下にように定められている:すなわち、Δx=xmax−xminおよびΔy=ymax−yminである。ここでxmaxおよびymaxは、0〜45°の観察角度の場合に測定された最大x値ないしはy値を表しており、xminおよびyminは、0〜45°の観察角度の場合に測定された最低x値ないしはy値を表している。
図6Aは、0°〜70°の放出(ないしは観察)角度に対するCIE座標を示している(5°ずつ測定されている)。相互に間隔を空けて存在している部分層を備えたマイクロレンズ形状のマイクロ構造体を備えた装置に対する測定点は、中黒にされた正方形として表されている(同じ装置は図5Aでも実線に基づいている)。相互に間隔を空けて存在している部分層を備えたマイクロレンズ形状のマイクロ構造体を備えているが、散乱粒子を含んでいる部分層を有していない装置に対する測定点は、中が白い正方形として示されている。三角形として、ビーム取り出し層を有していない相応の装置に対する測定点が示されている(0°の値は、約0.39のx値を有している;同じ装置は、図5Aでも、破線に基づいている)。
図6Bは、0°〜70°の放出(ないしは観察)角度に対するCIE座標を示している。相互に間隔を空けて存在している部分層を備えた、図4に示された、マイクロ構造体を備えた装置に対する測定値は、実線で示されている(同じ装置は図5Bでも実線に基づいている)。ビーム取り出し層を有していない、相応の装置に対する測定値は、点線として示されている(0°の値は約0.415のx値を有している;同じ装置は、図5Aでも、破線に基づいている)。
図6Cは、0°〜70°の放出(ないしは観察)角度に対するCIE座標を示している(5°ずつ測定されている)。マイクロレンズの形状のマイクロ構造体を備えた装置に対する測定点は、中黒の正方形として表されている。図6Aとは異なり、ここでは、相互に間隔を空けられていない部分層を有している実施形態が存在する。マイクロレンズの形状のマイクロ構造体を備えているが、散乱粒子を含有している部分層を有していない同じ装置に対する測定点は、中が白い正方形として示されている。マイクロ構造体は有していないが、散乱粒子を有している装置に対する測定点は、中が白い円として示されている。ビーム取り出し層および散乱粒子を有していない相応の装置用の測定点が三角形として示されている。
本発明は、実施例に基づく記載に制限されない。本発明はむしろ、新たな特徴並びに特徴の組み合わせ、殊に特許請求の範囲に記載されている特徴の組み合わせを含んでいる。

Claims (15)

  1. ビーム放射デバイスであって、
    メインビームを放射する有機ビーム放射機能層と、
    前記メインビームの放射路内に配置されているビーム取り出し層とを有しており、
    当該ビーム取り出し層は、前記ビーム放射機能層に反している側に、規則的に配置された幾何学的な構造要素を備えたマイクロ構造を有しており、
    当該ビーム取り出し層は、少なくとも部分領域内に、前記メインビームを散乱させる領域を有している、
    ことを特徴とするビーム放射デバイス。
  2. 前記光散乱領域は、粒子、中空粒子および気体包有物を含んでいる、請求項1記載のビーム放射デバイス。
  3. 前記光散乱領域は0.5〜100μm、殊に2〜20μmの平均直径を有している、請求項1または2記載のビーム放射デバイス。
  4. 前記幾何学的な構造要素は、球セグメントの様式の構造要素、回転楕円体セグメントの様式の構造要素、角錐の様式の構造要素、円錐の様式の構造要素または当該構造要素を混合したものから選択される、請求項1から3までのいずれか1項記載のビーム放射デバイス。
  5. 前記幾何学的な構造要素の最高部から、当該幾何学的な構造要素の底部まで延在している各なめらかな曲線は、前記ビーム放射層の方を向いている自身の最下三分の一部分において、前記なめらかな曲線の相応する最上三分の一部分における各曲率よりも小さい曲率のみを有する、請求項1から4までのいずれか1項記載のビーム放射デバイス。
  6. 前記幾何学的な構造要素は、多角形の底面を有している、請求項1から5までのいずれか1項記載のビーム放射デバイス。
  7. 前記マイクロ構造体は金属ロールによって、前記ビーム取り出し層の表面に刻印される、請求項1から6までのいずれか1項記載のビーム放射デバイス。
  8. 相互に隣接している幾何学的な構造要素の最高部は、30〜500μm、殊に100〜250μmの間隔を有している、請求項1から7までのいずれか1項記載のビーム放射デバイス。
  9. 前記ビーム取り出し層は、前記メインビームを散乱させる領域の他に、前記メインビームに対して透過性のポリマー、殊にポリカーボネートを含んでいるマトリクスを有している、請求項1から8までのいずれか1項記載のビーム放射デバイス。
  10. 前記幾何学的な構造要素の領域内に、前記メインビームを散乱させる部分領域は設けられていない、請求項1から9までのいずれか1項記載のビーム放射デバイス。
  11. 前ビーム取り出し層は、基板、バリア層または透明電極の面に直接的に配置されており、当該面はそれぞれ前記ビーム放射機能層に反している側にある、請求項1から10までのいずれか1項記載のビーム放射デバイス。
  12. 前記ビーム取り出し層は、相互に間隔が空いている少なくとも2つの部分層を含んでおり、当該部分層の間には気体が存在しており、さらに相対している前記部分層の境界面は実質的に相互に平行に延在しており、かつ前記ビーム放射機能層の方を向いている前記ビーム取り出し層面に対して実質的に平行に延在している、請求項1から11までのいずれか1項記載のビーム放射デバイス。
  13. 前記間隔の空いている部分層の間に、支持構造体、殊に透明材料から成る支持構造体が配置されている、請求項12記載のビーム放射デバイス。
  14. OLEDとして構成されている、請求項1から13までのいずれか1項記載のビーム放射デバイス。
  15. 照明、殊に大面積照明のために設けられている、請求項1から14までのいずれか1項記載のビーム放射デバイス。
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