JP2012514585A - レスベラトロール中間体に対する方法 - Google Patents
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Abstract
C1−3−カルボン酸エステル(溶媒として)中での、Ni合金(触媒として)の存在下における、3,5−ジアセトキシ−アセトフェノンの接触水素化による、1−(3,5−ジアセトキシフェニル)−エタノールの調製のための方法。
Description
レスベラトロール、3,4’,5−トリヒドロキシ−スチルベンは、細菌又は真菌などの病原体による攻撃下にあるときに一部の植物により天然に産生されるフィトアレキシンである。レスベラトロールは、心血管系保護、抗癌、抗ウイルス、老化防止及び抗炎症活性など、報告されている健康効果の観点で益々関心を集めている。レスベラトロールは、天然源、例えばオオイタドリもしくは赤ブドウからの抽出物の形態で、又は合成によって調製された化学物質として高純度で入手可能である。
レスベラトロールは、例えば、国際公開第2005/023740号パンフレットに記載されているように、市販の3,5−ジアセトキシ−アセトフェノン(DAK)からの多段階化学合成により得られる。この合成の第一段階において、テトラヒドロフラン(THF)又はメタノール中で、白金(5%、w/w)−活性炭(platinum(5%、w/w) on charcoal)によって、対応するアルコールである1−(3,5−ジアセトキシ)−エタノール(DAL)になるまでDAKを接触水素化する。溶媒の蒸発後、n−ヘキサン/酢酸エチルを用いたシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーによって、得られた褐色の油状物質を精製し、98%の純度(GC)で無色の油状物質としてDALを回収した。接触水素化によって、例えば、PdもしくはPt−活性炭などの貴金属触媒又はラネーNiなどの活性化Ni触媒を用いて、アルコール(例えばメタノール)溶液中で、DAKのような化合物を還元してDALのような化合物を生成させることができると言われている。
貴金属触媒を長い反応時間で使用すると、その結果、副産物の生成が増加する。
5wt%Pt/C存在下、10bar、70℃でのTHF中における10wt%DAK溶液のバッチ式水素化によるDAKからDALへの還元において、1−(3−アセトキシフェニル)−エタノール(APE)、1−(3−アセトキシ−5−ヒドロキシ)−フェニル−エタノール(AHPE)及び(3,5−ジアセトキシ)−1−フェニル−1−アセトキシエタン(DPA)が副産物として同定された。本研究の目的は、最新の手法の欠点を回避することであった。今回、驚くべきことに、酢酸エステル中でニッケル合金触媒を用いた場合、良好な再現性で、より短い時間で、より少ない副産物(例えば主要な副産物APE1%未満)で水素化が進行することが分かった。この結果は、驚くべきことに、アルコール溶液中よりも良好である。
従って、本発明は、酢酸エステル、好ましくはメチル又はエチルエステル中でNi合金を用いて、3,5−ジアセトキシ−アセトフェノンを接触水素化することによる、1−(3,5−ジアセトキシフェニル)−エタノールの調製のための新規方法及びこのようにして得られるか又は入手可能な(3,5−ジアセトキシフェニル)−エタノールに関する。
本新規方法の長所は、選択性がより高く、廃棄物がより少なく、反応溶媒からの触媒の分離が非常に容易となることである。
接触水素化触媒として有用であることが知られているいずれのNi合金(市販されており、数社(例えばエボニック社(Evonik))から発売されている。)も、本発明の反応において使用することができる。少なくとも90重量%、好ましくは少なくとも93重量%又は少なくとも95重量%の量のNiの他に、この合金は、その他の金属、例えば、Al、Fe、Cr、Mo及びCoを含有し得る。好ましいNi合金はラネーNiである。適切なNi合金触媒の例は次の組成を有する:Ni 90〜95%、Al 5.5〜8%、Fe<0.4%、Mo<0.01%、Cr<0.03%。
本反応は、都合よく、当業者にとって周知の条件下、即ち0.1〜50bar、好ましくは0.3〜20bar及びより好ましくは0.5〜5barの水素圧力下、60〜100℃の範囲の温度で、100%変換が達成されるまで行われる。反応混合物を処理し、当技術分野で公知の方法に従い、純粋な形でDALを単離する。
次の実施例により、本発明をより詳細に説明する。
[実施例1]
1.8gのNi合金、デグサ(Degussa)B113Z(湿潤)を量り取り、ガススターラー(gassing stirrer)が装着された500mLステンレス鋼オートクレーブに入れた。235.0gの酢酸エチル及び100.0gの3’,5’−ジアセトキシ−アセトフェノンを添加し、オートクレーブを閉じた。混合物を500rpmで撹拌し、オートクレーブに5barの窒素を3回フラッシュした。その後、撹拌機を停止させ、窒素を除去するために、オートクレーブに3bar水素を2回フラッシュした。
1.8gのNi合金、デグサ(Degussa)B113Z(湿潤)を量り取り、ガススターラー(gassing stirrer)が装着された500mLステンレス鋼オートクレーブに入れた。235.0gの酢酸エチル及び100.0gの3’,5’−ジアセトキシ−アセトフェノンを添加し、オートクレーブを閉じた。混合物を500rpmで撹拌し、オートクレーブに5barの窒素を3回フラッシュした。その後、撹拌機を停止させ、窒素を除去するために、オートクレーブに3bar水素を2回フラッシュした。
10分間、5bar水素での圧力試験を行った。撹拌機を500rpmになるように再起動し、オートクレーブを70℃に加熱した。
内部温度が70℃に到達した時点で撹拌機を停止させ、オートクレーブに対して2bar水素まで加圧した。次いで、撹拌機を1000rpmに設定し、インプロセス制御によって一連の反応を監視した。
20時間後、オートクレーブを20℃に冷却した。反応混合物を膜フィルター(0.45mm)上でろ過し、オートクレーブを酢酸エチルで洗浄した。粗製反応混合物から溶媒を蒸発させた後、DALの収率は97%となり、主要な副産物ACEの量は0.1%となった。
[実施例2]
25mgのニッケル合金、デグサB113Z(湿潤)を量り取り、マグネチック撹拌バーが装着された8mLカリウス管に入れた。1mLのイソプロパノール及び250mgの3’,5’−ジアセトキシ−アセトフェノンを添加し、カリウス管を閉じた。混合物を500rpmで撹拌し、カリウス管に5bar窒素を3回フラッシュした。その後、撹拌を停止させた。窒素を除去するために、カリウス管に3bar水素を2回フラッシュした。
25mgのニッケル合金、デグサB113Z(湿潤)を量り取り、マグネチック撹拌バーが装着された8mLカリウス管に入れた。1mLのイソプロパノール及び250mgの3’,5’−ジアセトキシ−アセトフェノンを添加し、カリウス管を閉じた。混合物を500rpmで撹拌し、カリウス管に5bar窒素を3回フラッシュした。その後、撹拌を停止させた。窒素を除去するために、カリウス管に3bar水素を2回フラッシュした。
10分間、5bar水素での圧力試験を行った。
500rpmになるように撹拌を再開し、カリウス管を70℃に加熱した。内部温度が70℃に到達した時点で撹拌を停止させ、カリウス管に対して2bar水素まで加圧した。
次いで、撹拌機を1000rpmに設定し、インプロセス制御によって一連の反応を監視した。20時間後、カリウス管を20℃に冷却した。反応混合物を膜フィルター(0.45mm)上でろ過し、次いでカリウス管を酢酸エチルで洗浄した。粗製反応混合物からの溶媒蒸発後、DALの収率は92%となり、主要な副産物ACEは検出されなかった。
様々な圧力、触媒、溶媒及び上記手順後の再生利用下で行った実験の結果は、下記の表1、2及び4でそれぞれ見ることができる。
[実施例3]
70℃にて、Ni合金又はPt/Cの存在下、酢酸エチル中で、15gのDAKの30wt%溶液を水素化した。24時間後に得られた結果を表1でまとめる。
70℃にて、Ni合金又はPt/Cの存在下、酢酸エチル中で、15gのDAKの30wt%溶液を水素化した。24時間後に得られた結果を表1でまとめる。
[実施例4]
24時間にわたり、10barの水素圧下、70℃で、150mgのNi合金又は500mgの5%Pt/CもしくはPd/C存在下で、様々な溶媒1.2g中の500mgのDAKを水素化した。結果を表2でまとめる。
24時間にわたり、10barの水素圧下、70℃で、150mgのNi合金又は500mgの5%Pt/CもしくはPd/C存在下で、様々な溶媒1.2g中の500mgのDAKを水素化した。結果を表2でまとめる。
より大きい規模(≧100g出発物質)での実験で副産物を調べ、パイロットプラント由来の1回分と比較した。表3で、DAKの変換による副産物APE、AHPE及びDPAの生成についてまとめる。
Ni合金を用いた場合、APEの量は常に、より高変換である場合でも、Pt/Cを用いた水素化の場合よりも少ない。AHPEの量はPt/Cを用いた場合よりも多いが、AHPEは後に所望の産物へと反応するので、これは重大なことではない。
[実施例5]
再生利用試験のために、35gの酢酸エチル中で、5.8gのニッケル合金によって、2bar水素圧下、70℃にて、15gのDAKを水素化した。理論的水素取り込みの120%となった後、反応を停止させた。各実験操作後、反応混合物を反応容器から吸い出し、触媒はオートクレーブ中に残した。この触媒は洗浄せず、そのまま次の実験操作で再使用した。結果を表4で示す。
再生利用試験のために、35gの酢酸エチル中で、5.8gのニッケル合金によって、2bar水素圧下、70℃にて、15gのDAKを水素化した。理論的水素取り込みの120%となった後、反応を停止させた。各実験操作後、反応混合物を反応容器から吸い出し、触媒はオートクレーブ中に残した。この触媒は洗浄せず、そのまま次の実験操作で再使用した。結果を表4で示す。
この結果から、収率に影響を及ぼさずに、1回目の実験操作から少なくとも4回の続く実験操作にわたり、Ni合金を再使用できることが示される。生じた副産物は、この反応で通常見られるものと同一であった(表3、エントリー1、2及び3参照)。
Claims (9)
- Ni合金を用いて3,5−ジアセトキシ−アセトフェノンを接触水素化することによる、1−(3,5−ジアセトキシフェニル)−エタノールの調製のための方法において、C1−3−カルボン酸エステル中で反応が行われることを特徴とする方法。
- 前記C1−3−カルボン酸エステルがC1−4−アルキルエステルである、請求項1に記載の方法。
- 前記C1−3−カルボン酸エステルが酢酸メチルエステル又は酢酸エチルエステルである、請求項1または2に記載の方法。
- 3,5−ジアセトキシ−アセトフェノンの変換が少なくとも99%(w/w)である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
- 1−(3,5−ジアセトキシフェニル)−エタノールの収率が少なくとも96%(w/w)である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
- 副産物の総量が2.0%(w/w)未満である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
- 主要な副産物1−(3−アセトキシフェニル)−エタノールの生成が1%(w/w)未満である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
- 反応が溶媒としての酢酸エチル中で行われる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法に従い得られるか又は入手可能である、1−(3,5−ジアセトキシフェニル)−エタノール。
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