JP2012503596A - 糖タンパク質におけるウイルスの除去/不活性化方法 - Google Patents

糖タンパク質におけるウイルスの除去/不活性化方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、沈殿形成及び/或いは懸濁液攪拌処理により、有機溶液中で糖タンパク質を処理する工程と、糖タンパク質に対し、ミリポア膜によるろ過を行う工程と、糖タンパク質に対し、イオン交換クロマトグラフィーを行う工程と、からなる群から選ばれた一つまたは順序が任意に交換可能な複数の工程を含む、糖タンパク質におけるウイルスを除去及び/或いは不活性化する方法を提供する。

Description

本発明は、バイオ医薬の分野に関し、特に不妊を治療するためのグリコシル化タンパク質におけるウイルスの除去/不活性化方法に関する。
不妊を治療するための糖タンパク質は一連の構造が類似するものであり、絨毛性ゴナドトロピン(HCG)、閉経ゴナドトロピン(HMG)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体ホルモン(LH)を含むが、そのうち、閉経ゴナドトロピンは卵胞刺激ホルモンと黄体ホルモンとを所定の比率(1:0.1−1)で含有する混合物である。
HCG、FSHおよびLHは、いずれもα鎖とβ鎖の2つのサブユニットが非共有結合を介して結合したものであるが、それらのαサブユニットは全く同様で、92のアミノ酸を含み、分子量が約14500 Dで、52と78番目のアミノ酸のアスパラギンがN−グリコシル化されるアミノ酸である。HCGのβサブユニットは、145−147のアミノ酸を含み、分子量が約22200−39000 Dで、13と30番目のアミノ酸のアスパラギンおよび121、127、132、145の位置がグリコシル化されるサイトである。FSHのβサブユニットは、111のアミノ酸で構成され、分子量が約18000 Dで、7と24番目のアミノ酸のアスパラギンがN-グリコシル化されるアミノ酸である。LHのβサブユニットは、121のアミノ酸で構成され、分子量が約14800 Dである。
HCG、HMG、FSH、LHは臨床で主に不妊治療及び体外からの生殖補助に用いられる。これらは特定な女性(妊娠期または閉経後)の尿から採取でき、DNA組換え技術によっても製造できる。
従来から、血液由来医薬品の生産プロセスには、熱処理、低pH処理、界面活性剤による処理などの、ウイルスに対応して除去/不活性化する複数の工程の組み合わせが含まれるが、これらのグリコシル化タンパク質の医薬品は熱や低pHへの耐性が劣り、活性を喪失しやすいので、これらの工程は前記のグリコシル化タンパク質に対して完全に適用できるとは言えない。
ICH Q5Aバイオ製品ウイルス安全性評価の規格に準じて、プロセスに対しては、二つまたはそれ以上の工程の組み合わせが有するとともに少なくとも一つの工程のウイルス除去/不活性化率が10を超えるということが要求され、そうでないと、安全で効率的なウイルス除去/不活性化方法として認められない。
したがって、本分野では、安全で効率的な医薬品を得るように、不妊の治療に好適に適用することができるグリコシル化タンパク質におけるウイルスの除去/不活性化プロセスが切望されている。
本発明の目的は糖タンパク質におけるウイルスを除去及び/或いは不活性化する方法を提供することにある。
本発明の第一の態様は、ウイルスを含有しない糖タンパク質を提供する。
もう一つの好ましい例において、前記糖タンパク質は、1mg/mLの濃度でのPCR法による検出では陰性となるように、HIVを含有する。
もう一つの好ましい例において、前記糖タンパク質は、1mg/mLの濃度でのPCR法による検出では陰性となるように、HBVを含有する。
もう一つの好ましい例において、前記糖タンパク質は、1mg/mLの濃度でのPCR法による検出では陰性となるように、HCVを含有する。
前記蛍光定量PCR法は、溶解液や抽出液で試料における核酸(DNAやRNA)を抽出し、さらに核酸ポリメラーゼ連鎖反応により特異的なウイルス核酸配列を増幅し、蛍光発色にてウイルス力価を測定するものである。PCR検出は、例えば杭州大和熱磁気電子株式会社の蛍光定量PCR検出システムや、深センPGバイオテック株式会社のHBV、HCV、HIV核酸増幅・蛍光定量検出キットなどの、本分野における通常の設備と試薬を使用して行うことができるが、これらに限定するものではない。
もう一つの好ましい例において、前記糖タンパク質は、絨毛性ゴナドトロピン、卵胞刺激ホルモン、黄体ホルモン、閉経ゴナドトロピン、及びこれらの混合物からなる群から選ばれるものである。
もう一つの好ましい例において、前記絨毛性ゴナドトロピンは、ヒト絨毛性ゴナドトロピン又はその変異体であって、ヒト尿由来及び/或いは組換えのヒト絨毛性ゴナドトロピン又はその変異体から選ばれるものであリ、前記閉経ゴナドトロピンは、ヒト閉経ゴナドトロピン又はその変異体であって、ヒト尿由来及び/或いは組換えのヒト閉経ゴナドトロピン又はその変異体から選ばれるものであリ、前記卵胞刺激ホルモンは、ヒト卵胞刺激ホルモン又はその変異体であって、ヒト尿由来及び/或いは組換えのヒト卵胞刺激ホルモン又はその変異体から選ばれるものであリ、前記黄体ホルモンは、ヒト黄体ホルモン又はその変異体であって、ヒト尿由来及び/或いは組換えのヒト黄体ホルモン又はその変異体から選ばれるものである。
本発明の第二の態様は、糖タンパク質ホルモンにおけるウイルスを除去及び/或いは不活性化する方法であって、
(a)糖タンパク質に対し、沈殿形成及び/或いは懸濁液攪拌処理から選ばれる有機溶液処理を行う工程と、
(b)糖タンパク質に対し、ミリポア膜によるろ過を行う工程と、
(c)糖タンパク質に対し、イオン交換クロマトグラフィーを行う工程と、
からなる群から選ばれた一つまたは複数の工程を、任意に交換可能な順序で含む方法を提供する。
もう一つの好ましい例において、前記糖タンパク質ホルモンは、絨毛性ゴナドトロピン、卵胞刺激ホルモン、黄体ホルモン、閉経ゴナドトロピン、及びこれらの混合物からなる群から選ばれるものである。
もう一つの好ましい例において、前記絨毛性ゴナドトロピンは、ヒト絨毛性ゴナドトロピン又はその変異体であって、ヒト尿由来及び/或いは組換えのヒト絨毛性ゴナドトロピン又はその変異体から選ばれるものである。前記閉経ゴナドトロピンは、ヒト閉経ゴナドトロピン又はその変異体であって、ヒト尿由来及び/或いは組換えのヒト閉経ゴナドトロピン又はその変異体から選ばれるものである。前記卵胞刺激ホルモンは、ヒト卵胞刺激ホルモン又はその変異体であって、ヒト尿由来及び/或いは組換えのヒト卵胞刺激ホルモン又はその変異体から選ばれるものである。前記黄体ホルモンは、ヒト黄体ホルモン又はその変異体であって、ヒト尿由来及び/或いは組換えのヒト黄体ホルモン又はその変異体から選ばれるものである。
もう一つの好ましい例において、工程(a)における有機溶液は30−100v/v%の有機溶媒/水溶液である。
もう一つの好ましい例において、前記有機溶液は70−100v/v%の有機溶媒/水溶液である。
もう一つの好ましい例において、前記有機溶液は、エタノール、メタノール、アセトン、及びジエチルエーテルから選ばれるものである。
もう一つの好ましい例において、前記有機溶液は、エタノール及びアセトンから選ばれるものである。
もう一つの好ましい例において、工程(a)では、前記糖タンパク質と有機溶液の重量:体積比を0.5−2グラム:15−60ミリリットルとする。
もう一つの好ましい例において、前記糖タンパク質と有機溶液の重量:体積比を0.7−1.5グラム:20−40ミリリットルとする。
もう一つの好ましい例において、工程(a)では、糖タンパク質を零下3O℃−3O℃で有機溶液にて0.5分−6時間処理する。
もう一つの好ましい例において、工程(a)では、糖タンパク質を零下20℃−20℃で有機溶液にて1分−4時間処理する。
もう一つの好ましい例において、工程(b)では、前記ミリポア膜は、孔径が1000 D以上の限外ろ過膜、孔径が1−100nmのウイルス除去膜、及び孔径が0.1−1μmの細菌ろ過膜から選ばれるものである。
もう一つの好ましい例において、工程(b)では、前記ミリポア膜は、孔径が100000 D以上の限外ろ過膜、孔径が10−80nmのウイルス除去膜、及び孔径が0.2−0.8μmの細菌ろ過膜から選ばれるものである。
もう一つの好ましい例において、工程(c)では、前記イオン交換クロマトグラフィーはpH5−10の条件下で行われる。
もう一つの好ましい例において、工程(c)では、前記イオン交換クロマトグラフィーはpH6−8の条件下で行われる。
本発明の第三の態様は、本発明により提供されるウイルスを含有しない糖タンパク質と、薬学的に許容される担体と、を含む医薬組成物を提供する。
このように、本発明によれば、不妊の治療に好適に適用することができるグリコシル化タンパク質におけるウイルスの除去/不活性化プロセスが提供され、かつ安全で効率的な医薬品が得られた。
具体的な実施形態
従来技術にはタンパク質におけるウイルスを除去及び/或いは不活性化する方法がいくつかあるが、同様の方法でも、異なるタンパク質に対して、予想できない結果が出てしまい、逆効果が出ることもある。ある方法は、あるタンパク質に対しては実施可能であっても、具体的な実施条件が他のタンパク質に比べて大きな差がある。この事情に鑑み、発明者らは幅広く深く研究したところ、驚くことに、有機溶液処理、ミリポア膜ろ過およびイオン交換クロマトグラフィーのうちの一つ又は全ての工程を任意に組み合わせることで、グリコシル化タンパク質におけるウイルスを除去/不活性化するという目的を達成することができ、これにより、ウイルスは緩やかな条件で除去/不活性化されるとともに、目的物のグリコシル化タンパク質の活性は保存される、ことを見出した。この知見に基づき、発明者らは本発明を完成した。
探索している間に、発明者らは、エタノールやアセトンなどの有機溶媒による処理は、ウイルスに対しては不活性化作用があるが、HCG、HMG、FSH、LHの活性に対してはなんらの影響もない、ことを気付いた。さらに、適切なミリポア膜ろ過技術によれば、ウイルス粒子を阻止することができるだけでなく、目的物を膜に透過させることも可能で、目的物とウイルスを分離する目的を達成できる、ことも見出した。また、発明者らは、試験中で意外なことに、条件を適切に制御すれば、イオン交換クロマトグラフィーにより目的物を吸着することなくウイルスをイオン樹脂に吸着することができ、目的物からウイルスを除去する目的を達成できる、ことを見出した。
前記の三つの工程のうちの一つ又は複数の工程をを任意に組み合わせることで、ウイルスを効率的に除去/不活性化することができ、安全で信頼的な製品が得られる。
定義
本文に用いられるように、「糖タンパク質」および「グリコシル化タンパク質」は交換して用いられてもよいが、いずれも絨毛性ゴナドトロピン(chorionic gonadotropin, CG)、卵胞刺激ホルモン(follicule-stimulating hormone, FSH)、黄体ホルモン(luteotropic hormone, LH)、及び閉経ゴナドトロピン(human menopausal gonadotropin, HMG)からなる群から選ばれるものである。
用語の「卵胞刺激ホルモン」および「FSH」は交換して用いられてもよいが、いずれも精子や卵胞の生成を促進し、卵巣の発育を促進するホルモン又はその変異体を指す。これらは、天然の状況では下垂体前葉から分泌され、閉経後女性の尿からも採取でき、組換え技術によっても製造できる。本発明におけるFSHは、例えば天然な産生や、組換え技術による獲得又は合成などの本分野で常用な方法のいずれかにより得ることができ、それにおける不純物はLHやCGを含む。本発明の一つの実施形態において、前記卵胞刺激ホルモンはヒト卵胞刺激ホルモン又はその変異体であり、ヒト尿由来の卵胞刺激ホルモン又は組換えヒト卵胞刺激ホルモンであることが好ましい。
本発明に適用できる、FSHを含有し、かつ不純物としてのLH及び/或いはCGを含む原料は、なんらの前精製工程も経っていない原料、前精製工程を経って一部の不純物を除去した原料、又は前精製工程を経って基本的にFSH及び不純物としてのLH及び/或いはCGしか含有しない原料であってもよい。
本発明にかかる方法によりFSHを精製する前に、本分野における通常の方法により原料のFSHを仮精製して、LHとCG以外の不純物を分離することが好ましい。
本文に用いられるように、用語の「黄体ホルモン」および「LH」は交換して用いられてもよいが、いずれもFSH含有原料を製造又は獲得する過程において混在する、天然LHと同様又は類似の構造と機能を有するホルモンを指す。
同様に、用語の「絨毛性ゴナドトロピン」および「CG」は交換して用いられてもよいが、いずれもFSH含有原料を製造又は獲得する過程において混在する、天然CGと同様又は類似の構造と機能を有するホルモンを指す。
本発明により提供されるタンパク質におけるウイルスを除去及び/或いは不活性化する方法は、糖タンパク質のほか、糖タンパク質と薬学的/食品学的に許容される担体とを含む糖タンパク質組成物にも適用することができる。
本文に用いられるように、用語の「薬学的に許容される」あるいは「食品学的に許容される」成分は、ヒト及び/或いは動物に適用して過度の副作用(例えば毒性、刺激やアレルギー反応)がないもので、即ち合理的なベネフィット/リスク比を持つものを指す。
本文に用いられる、用語の「薬学的に許容される担体」とは、治療剤の投与に使用される担体を指し、各種の賦形剤と希釈剤を含む。この用語は、それ自身が必要な活性成分ではなく、且つ使用後過度の毒性がない薬剤担体を示す。適切な担体は本分野の当業者に良く知られている。「レミントンの薬学」(Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Pub. Co.,N.J. 1991)には、薬学的に許容される賦形剤に係わる十分な検討が見られる。
前記の「薬学的に許容される担体」は、水、食塩水、グリセリン、エタノールなどの液体を含有してもよい。さらに、これらの担体には、充填剤、崩壊剤、滑沢剤、流動化剤、沸騰剤、湿潤剤や乳化剤、矯味剤、pH緩衝物質などの補助物質が存在してもよい。通常、これらの物質は無毒で、不活性で、かつ薬学的に許容される水性の担体媒体に配合してもよく、ただし、pHは通常約5−8、好ましくは約6−8である。
方法
本発明により提供される糖タンパク質におけるウイルスを除去及び/或いは不活性化する方法は一つまたは複数の工程からなり、複数の工程の順序が任意に組み合わせることができる。
前記工程は、有機溶液処理、ミリポア膜処理、及びイオン交換クロマトグラフィー処理である。
前記有機溶液処理は、糖タンパク質と有機溶液を混合して沈殿を形成させること或いは混合攪拌して懸濁液とすることで、ウイルスを不活性化するものである。混合温度は零下30℃−30℃で、好ましくは零下20℃−20℃であり、混合或いは混合攪拌の時間は0.5分−6時間で、好ましくは1分−4時間であり、糖タンパク質と有機溶液を混合するときの重量:体積比は0.5−2グラム:15−60ミリリットルで、好ましくは0.7−1.5グラム:20−40ミリリットルであり、前記有機溶液は30−100v/v%の有機溶媒/水溶液で、好ましくは70−100v/v%の有機溶媒/水溶液であり、前記有機溶媒は、エタノール、メタノール、アセトン、及びジエチルエーテルから選ばれるもので、好ましくはエタノール及びアセトンから選ばれるものである。
前記ミリポア膜処理は、糖タンパク質の濃度15−60ミリグラム/ミリリットル(好ましくは20−40ミリグラム/ミリリットル)の溶液をミリポア膜に透過させて、ウイルスを除去及び/或いは不活性化するものである。前記ミリポア膜は、孔径が1000 D以上の限外ろ過膜、孔径が1−100nmのウイルス除去膜、及び孔径が0.1−1μmの細菌ろ過膜から選ばれるもので、好ましくは孔径が100000 D以上の限外ろ過膜、孔径が10−80nmのウイルス除去膜、及び孔径が0.3−0.8μmの細菌ろ過膜から選ばれるものである。前記溶液は、pH6−10で、好ましくはpH7−9であり、例えばリン酸塩、酢酸塩またはTris緩衝液である。
前記イオン交換クロマトグラフィー処理は、糖タンパク質の濃度15−60ミリグラム/ミリリットル(好ましくは20−40ミリグラム/ミリリットル)の溶液をイオン交換樹脂に透過させて、通常ウイルスは樹脂に吸着されるが、糖タンパク質は溶出液と共に溶出されることにより、ウイルスを除去及び/或いは不活性化するものである。前記溶液は、pH5−10で、好ましくはpH6−8であり、例えばリン酸塩、酢酸塩またはTris緩衝液である。例えば弱アニオン交換樹脂、好ましくはDEAE Sephadexなどの本分野における通常のイオン交換樹脂を適用することができるが、これらに限定するものではない。
本発明にかかる方法により除去及び/或いは不活性化されるウイルスは本分野でよく知られるもので、例えばHIV、HAV、HBV、HCV、豚パルボウイルスがあるが、これらに限定するものではない。
本発明で述べられた上述の特徴、或は実施例で述べられる特徴は、任意に組み合わせてもよい。本明細書で開示された全ての特徴は任意の組成物の様態と併用してもよく、明細書で開示された各特徴はいずれも、同様、同等或いは類似の目的を果たす代わりの特徴により置換されてもよい。したがって、特に説明しない限り、開示された特徴は、同等または類似の特徴の一般的なシリーズの一例に過ぎない。
本発明の主な利点は、以下の通りである。
1、本発明により提供される方法は安全で効率的である。
2、本発明により提供される方法は条件が緩やかで、産業的生産に好適に適用することができる。
以下、具体的な実施例によって、さらに本発明を説明する。これらの実施例は本発明を説明するために用いるもので、本発明の範囲の制限にはならないと理解されるものである。以下の実施例に特に具体的な条件を説明しない実験方法は、例えばSambrookら、「Molecular Cloning - A Laboratory Manual」(New York: Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989)に記載される通常の条件、或いはメーカーの薦めの条件で行われる。特に説明しない限り、すべての百分率と部は重量基準である。
別途に定義しない限り、文中に使用されるすべての専門・科学用語は、本分野の熟練者によく知られる意味と同じである。また、記載される内容に類似或は同等の方法及び材料はいずれも本発明に使用することができる。文中に記載の好ましい実施形態及び材料は例示だけのためである。
本発明の実施例に用いられる検出用ウイルス、検出用セルライン、ウイルスの製造及び細胞毒性の検出方法は以下の通りである。
検出用ウイルス
検証実験に選択されて使用される指示ウイルスは異なる物理・化学特性を持ち、製品の汚染状況の解析に用いることができる。
HIV−1はレトロウイルス(球状)で、レトロウイルス科に属する(直径80−100nm)。こんなレンチウイルスは熱と極端なpHに敏感で、油性溶剤と界面活性物質の作用で破壊される。HIV−2のモデルウイルスとすることができる。このウイルスが許容細胞の中で増幅しかつ合胞体の形成を誘発するという特性により、検出を行う。
仮性狂犬病ウイルスは脂質エンベロープ型DNAウイルス(球状)で、ヘルペスウイルス科に属する。このウイルスは低いタンパク質濃度で熱に敏感で、極端なpHと油性溶剤に敏感である。このウイルスが許容細胞の中で増幅しかつ細胞変性を引き起こすという特性により、検出を行う。
牛ウイルス性下痢ウイルスは脂質エンベロープ型RNAウイルス(多球状)で、フラビウイルス科に属する(直径40−60nm)。こんな感染性ウイルスは、耐熱性が相対的に劣り、有機溶剤に敏感で、酸には安定でないが塩基には安定である。HCVのモデルウイルスとすることができる。このウイルスが許容細胞の中で増幅しかつ細胞変性を引き起こすという特性により、検出を行う。
豚パルボウイルスは非脂質エンベロープ型DNAウイルス(二十面体状)で、パルボウイルス科に属する(直径18−24nm)。こんなパルボウイルスは極端な強熱に耐えられ、油性溶剤中に安定で、相対的に酸性pHに耐えられる。パルボウイルスB19のモデルウイルスとすることができる。このウイルスが許容細胞の中で増幅しかつ細胞変性を引き起こすという特性により、検出を行う。
HAVは非脂質エンベロープ型ウイルスで、ピコルナウイルス科に属する(直径27nm)。このウイルスは相対的に熱安定性を持ち、有機溶剤とノニオン型界面活性物質に耐えられ、酸性pH条件で安定である。このウイルスが許容細胞の中で増幅しかつ細胞変性を引き起こすという特性により、検出を行う。
検出用セルライン
C8166(ヒト、CO4+成人リンパ球)細胞は、ペニシリン(50iu/ml)、ストレプトマイシン(50μg/ml)及び10%牛胎児血清を含有し、かつグルタマックスI(Glutamax I)を補充したRPMI 1640培地で培養される。ウイルス解析中では、細胞が同様に上記培地で維持される。
CRFK(猫、腎臓由来、Felis catus)細胞は、ペニシリン(50iu/ml)、ストレプトマイシン(50μg/ml)、1%非必須アミノ酸及び10%牛胎児血清を含有し、かつグルタマックスI(Glutamax I)を補充したEMEM培地で培養される。ウイルス解析中では、細胞が同様に上記培地で維持される。
NBL−1(牛、腎臓由来、Bos taurus)細胞は、ペニシリン(50iu/ml)、ストレプトマイシン(50μg/ml)及び5%馬血清を含有し、かつグルタマックスI(Glutamax I)を補充したEMEM培培地で培養される。ウイルス解析中では、細胞が同様に上記培地で維持される。
ST(豚、睾丸由来)細胞は、ペニシリン(50iu/ml)、ストレプトマイシン(50μg/ml)及び10%牛胎児血清を含有し、かつグルタマックスI(Glutamax I)を補充したDMEM培地で培養される。ウイルス解析中では、細胞が同様に上記培地で維持されるが、牛胎児血清の濃度が2%と低減される。
FRhK−4(アカゲザル、腎臓由来、Macaca mulatta)細胞は、ペニシリン(50iu/ml)、ストレプトマイシン(50μg/ml)及び10%牛胎児血清を含有し、かつグルタマックスI(Glutamax I)を補充したDMEM培地で培養される。ウイルス解析中では、細胞が同様な培地で維持されるが、牛胎児血清の濃度が2%と低減される。
ウイルスの製造
HIV−1はC8166細胞を感染させることで製造される。細胞を感染した後、3−5日培養し、上澄みを収集する。
仮性狂犬病ウイルスは単層培養CRFK細胞に感染して製造される。細胞に感染した後、顕著な細胞変性現象を認めたまで培養する。感染された細胞を無菌条件で凍結・融解して溶解し、遠心し、最後に上澄みを収集する。
牛ウイルス性下痢ウイルスは単層培養NBL-1細胞に感染して製造される。細胞に感染した後、顕著な細胞変性現象を認めたまで培養する。感染された細胞を無菌条件で凍結・融解して溶解し、遠心し、最後に上澄みを収集する。
豚パルボウイルスは単層培養ST細胞に感染して製造される。細胞に感染した後、顕著な細胞変性現象を認めたまで培養する。感染された細胞を無菌条件で凍結・融解して溶解し、遠心し、最後に上澄みを収集する。
HAVは単層培養FRhK−4細胞に感染して製造される。細胞に感染した後、顕著な細胞変性現象を認めたまで培養する。感染された細胞を無菌条件で凍結・融解して溶解し、遠心し、最後に上澄みを収集する。
HIV−1は、合胞体形成の測定により力価を確定する。仮性狂犬病ウイルス、牛ウイルス性下痢ウイルス、豚パルボウイルスは、いずれもTCID50の測定により力価を確定する。
細胞毒性の検出
ウイルスを加える前に、サンプルを維持用培地に置いておき、そのセルラインに対する毒性を検出する。検出用セルラインはC8166、CRFK、NBL−1、ST及びFRhK−4細胞である。
維持用培地を用いて、検出されるサンプルを1倍から243倍まで、3倍ずつ希釈する。セルラインごとに対して、サンプルを含まず、維持用培地のみを含む陰性対照を設ける。CRFK、NBL−1、ST及びFRhK−4セルラインについては、検出されるサンプルと陰性対照を検出用細胞に接種した後、37℃、5%CO2の湿潤環境で約90分培養し、そして接種物を取り除き、リン酸緩衝液で細胞培養プレートを洗浄し、ウェルごとに維持用培地を加える。C8166セルラインについては、検出されるサンプルと陰性対照を浮遊細胞に接種した後、37℃、5%CO2の湿潤環境で培養する。
その後、細胞を37℃、5%CO2の湿潤環境で適切な時間培養する。C8166細胞は、11日間の培養が、CRFK細胞は、製造工程1におけるサンプルを検出する場合には13日間の培養が、製造工程3におけるサンプルを検出する場合には8日間の培養が、NBL−1細胞は、製造工程1におけるサンプルを検出する場合には10日間の培養が、製造工程3におけるサンプルを検出する場合には8日間の培養が、ST細胞は、8日間の培養が、FRhK−4細胞は、製造工程2におけるサンプルを検出する場合には18日間の培養が、製造工程3におけるサンプルを検出する場合には19日間の培養が、必要となる。この期間に顕微鏡で細胞変性現象を認める。
下記実施例におけるタンパク質の生物的力価または生物的活性の測定方法は、中国薬局方2005版のウロキナーゼ項目に記載の触媒活性測定方法及び付録XII M、XII N、XII Eの方法に準じて測定される。
HCG粗製品(上海天偉生物製薬株式会社から購入)1gに−20℃±2℃の無水エタノールを30ml加え、均一に混合して懸濁液を(初期サンプルとして)得て、懸濁液の体積を計測した。初期サンプルを12℃±2℃に保持し、攪拌しながら、HIV−1、仮性狂犬病ウイルス、牛ウイルス性下痢ウイルスをそれぞれ2ml加え、ウイルス種ごとに平行に2群(AおよびB)とした。均一に混合した後、サンプルを2ml取って細胞を感染し、ウイルスの初期添加量を測定した(この時点を時間の零点とした)。ウイルスを加えた溶液を同様に12℃±2℃に保持し、攪拌を3時間続けた。そして、サンプルを2ml取り、細胞を感染し、ウイルスの感染率を測定した。
ウイルス不活性化の結果
Figure 2012503596
HCGの生物的力価の結果
Figure 2012503596
結果から明らかなように、3種の脂質エンベロープウイルスはいずれも、ウイルス降下量が10以上で、かつHCG生物的力価は殆ど喪失しなかったことから、該工程はHCGの製造の安全を保障し、脂質エンベロープウイルスによる汚染を防止することに重要な役割を果たしたと考えられる。
HMG粗製品(上海天偉生物製薬株式会社より提供)1gに−20℃±2℃の無水エタノールを30ml加え、均一に混合して懸濁液を(初期サンプルとして)得て、懸濁液の体積を計測した。初期サンプルを12℃±2℃に保持し、攪拌しながら、HIV−1、仮性狂犬病ウイルス、牛ウイルス性下痢ウイルスをそれぞれ2ml加え、ウイルス種ごとに平行に2群(AおよびB)とした。均一に混合した後、サンプルを2ml取って細胞を感染し、ウイルスの初期添加量を測定した(この時点を時間の零点とした)。ウイルスを加えた溶液を同様に12℃±2℃に保持し、攪拌を3時間続けた。そして、サンプルを2ml取り、細胞を感染し、ウイルスの感染率を測定した。
ウイルス不活性化の結果
Figure 2012503596
HMGの生物的力価の結果
Figure 2012503596
結果から明らかなように、3種の脂質エンベロープウイルスはいずれも、ウイルス降下量が10以上で、かつHMG生物的力価は殆ど喪失しなかったことから、該工程はHMGの製造の安全を保障し、脂質エンベロープウイルスによる汚染を防止することに重要な役割を果たしたと考えられる。
対照例
ウロキナーゼ粗製品(上海天偉生物製薬株式会社から購入)1gに−20℃±2℃の無水エタノールを30ml加え、均一に混合して懸濁液を(初期サンプルとして)得て、懸濁液の体積を計測した。サンプルを12℃±2℃に保持し、攪拌を3時間続けた。そしてサンプルを取り、ウロキナーゼ活性の変動を測定した。
ウロキナーゼ活性の測定結果
Figure 2012503596
結果から明らかなように、類似なエタノールによる処理方法はウロキナーゼのようなタンパク質に対し不活性化作用を有し、適用することができない。
pH7.8±0.1のリン酸緩衝液50mlを12℃±2℃に冷却し、1gのDEAE Sephadex A-50に加えた。樹脂を充分に膨潤させるように、溶液を12℃±2℃に少なくとも15時間保持した。膨潤した樹脂懸濁液をXK16カラムに充填し、最終ベッド体積を15mlとした。蠕動ポンプの配管にpH7.0±0.1の酢酸ナトリウム緩衝液を充満させ、カラムに接続した。流速が0.17−0.18ml/分であるように、カラム体積の少なくとも5倍(75ml)の上記緩衝液で平衡化した。必要により、カラムの流出口で流速を測定し、ポンプの速度を調整して流速を制御してもよい。溶出液のpHが流入口における緩衝液のpHと同一になるまで、溶出液を収集しそのpHを計測した。ローディング用サンプルの用意ができるまで、蠕動ポンプを停止させ、カラムの流出口を閉じた。
12℃±2℃の平衡化緩衝液(酢酸ナトリウム緩衝液、pH7.0±0.1)20mlに、攪拌しながらHCG粗製品(上海天偉生物製薬株式会社より提供)600mgを加えた。HCGが充分に溶解することを確保するように、サンプルを12℃±2℃で適切な時間攪拌し続けた。その後、該当溶解したサンプルのpH及び電気伝導率を計測し、平衡化緩衝液にふさわしくない場合は、酢酸で調節することができる。初期サンプルの体積を計測した。初期サンプルを12℃±2℃に保持し、攪拌しながら、豚パルボウイルス及びHAVをそれぞれ1ml加え、ウイルス種ごとに平行に2群とした。均一に混合した後、サンプルを1ml取り、ウイルスの初期添加量を測定した。
流入配管をサンプル液に浸入し、それに液体を充満させ、蠕動ポンプを起動した。ウイルスを加えたサンプルは、0.17−0.18ml/分の流速でカラムにロードした。プレカラム体積が7mlになるとき、収集を開始した。ローディングが終了した後、流速が0.10−0.11ml/分であるように、平衡化緩衝液でカラムを洗浄した。43mlの流出液を収集した場合、これを収集液とした。サンプルを1ml取り、ウイルスの感染率を測定した。
ウイルス除去の結果
Figure 2012503596
結果から明らかなように、豚パルボウイルスは、ウイルス降下量が10超えであり、好ましい。HAVは、ウイルス降下量がそれぞれ、3.28 log10と2.90 log10であった。よって、該工程はHCGの製造の安全性を向上させ、非脂質エンベロープウイルスによる汚染を防止することに相当な役割を果たしたと考えられる。
サンプルをHMG粗製品(上海天偉生物製薬株式会社より提供)600mgに変更した以外、他の工程は実施例3と同様にした。
ウイルス除去の結果
Figure 2012503596
結果から明らかなように、豚パルボウイルスは、ウイルス降下量が104超えであり、好ましい。HAVウイルスは、ウイルス降下量がそれぞれ、2.35 log10と3.00 log10であった。よって、該工程はHMGの製造の安全性を向上させ、非脂質エンベロープウイルスによる汚染を防止することに相当な役割を果たしたと考えられる。
対照例
平衡化液をpH4.5±0.1の酢酸ナトリウム緩衝液に変更した以外、サンプル及び工程はいずれも実施例3と同様にした。
ウイルス除去の結果
Figure 2012503596
結果から明らかなように、豚パルボウイルス及びHAVは、ウイルス降下量が1 log10程度或いは1 log10未満であったことから、pHがpH4.5±0.1の平衡化液の条件下では、該工程はHMGの製造の安全性を向上させ、非脂質エンベロープウイルスによる汚染を防止することに殆ど寄与しなかったと考えられる。
Pall Ultipor VF DV20フィルターを用意した。20mlの無菌超純水を用いて、最大圧30psiの条件下でフィルターを充分に湿潤させた。pH7.0±0.1の酢酸アンモニウム溶液20mlに、攪拌しながらHCG粗製品(上海天偉生物製薬株式会社より提供)600mgを溶解させ、サンプルの体積を計測した。サンプルに攪拌しながら各種のウイルスを1mlずつ加え、ウイルス種ごとに平行に2群とした。均一に混合した後、サンプルを1ml取り、ウイルスの初期添加量を測定した。ウイルスを加えたサンプルを0.2μmのフィルターでろ過した。サンプルを1ml取り、ウイルスの感染率を測定した。余分のサンプルを最大圧30psiの条件下で湿潤されたPall VF DV 20フィルターでろ過した。ろ過液を別の容器に収集した。最大圧30psi(2070mba)の条件下で、pH7.0±0.1の酢酸アンモニウム緩衝液でフィルターを洗浄した。ろ過液の体積を計測し、かつサンプルを1ml取り、ウイルスの感染率を測定した。
ウイルス除去の結果
Figure 2012503596
結果から明らかなように、5種のウイルスも降下量がいずれも104以上であったことから、該工程はHCGの製造の安全を保障し、脂質エンベロープウイルスと非脂質エンベロープウイルスによる汚染を防止することに重要な役割を果たしたと考えられる。
サンプルをHMG粗製品(上海天偉生物製薬株式会社より提供)400mgに変更した以外、他の工程は実施例5と同様にした。
ウイルス除去の結果
Figure 2012503596
結果から明らかなように、5種のウイルスも降下量がいずれも104以上であったことから、該工程はHCGの製造の安全を保障し、脂質エンベロープウイルスと非脂質エンベロープウイルスによる汚染を防止することに重要な役割を果たしたと考えられる。
HCG凍結乾燥注射剤の製造
1瓶につきHCGを1000 IU含有するようにHCG凍結乾燥注射剤を10000瓶製造するための典型的な例は以下の通りであった。
実施例1、3、5の三つの工程で、いずれの工程でもエキストラなウイルスを導入しないように処理されたHCG精製品を、算出された所定の量(単位は生物的力価)で注射用パイロジェンフリー水100mLに溶解させ、必要とすればHCl或いはNaOHでpHを7.0±0.2に調節し、0.22μmのフィルターで無菌ろ過した。
マンニトール300gとNaHPO・2HO 10.9gを注射用パイロジェンフリー水3Lに溶解させ、NaOHでpHを7.0±0.2に調節し、0.22μmのフィルターで無菌ろ過した。その後、前記HCG溶液に加え、注射用パイロジェンフリー水で7.0Lに定容し、均一に混合した。
前記溶液を1瓶につき0.70mLの量でアンプルに分注し、凍結乾燥した。
得られたアンプルにおいては、1瓶あたりにHCGが1000 IU、マンニトールが30mg含まれた。
HMG凍結乾燥注射剤の製造
1瓶につきFSHを75 IU、LHを75 IU含有するようにHMG凍結乾燥注射剤を10000瓶製造するための典型的な例は以下の通りであった。
実施例2、6の二つの工程で、いずれの工程でもエキストラなウイルスを導入しないように処理されたHMG精製品を、算出された所定の量(単位は生物的力価)で注射用パイロジェンフリー水100mLに溶解させ、必要とすればHCl或いはNaOHでpHを6.5±0.2に調節し、0.22μmのフィルターで無菌ろ過した。
ラクトース100gを注射用パイロジェンフリー水2Lに溶解させ、必要とすればHCl或いはNaOHでpHを6.5±0.2に調節し、0.22μmのフィルターで無菌ろ過した。その後、前記HMG溶液に加え、注射用パイロジェンフリー水で7.5Lに定容し、均一に混合した。
前記溶液を1瓶につき0.75mLの量でアンプルに分注し、凍結乾燥した。
得られたアンプルにおいては、1瓶あたりにFSHが75 IU、LHが75 IU、ラクトースが10mg含まれた。
FSH凍結乾燥注射剤の製造
1瓶につきFSHを75 IU含有するようにFSH凍結乾燥注射剤を10000瓶製造するための典型的な例は以下の通りであった。
実施例2、4、6の二つの工程で、いずれの工程でもエキストラなウイルスを導入しないように処理されたFSH精製品を、算出された所定の量(単位は生物的力価)で注射用パイロジェンフリー水50mLに溶解させ、必要とすればHCl或いはNaOHでpHを6.5±0.2に調節し、0.22μmのフィルターで無菌ろ過した。
ラクトース100gを注射用パイロジェンフリー水2Lに溶解させ、必要とすればHCl或いはNaOHでpHを6.5±0.2に調節し、0.22μmのフィルターで無菌ろ過した。その後、前記FSH溶液に加え、注射用パイロジェンフリー水で7.5Lに定容し、均一に混合した。
前記溶液を1瓶につき0.75mLの量でアンプルに分注し、凍結乾燥した。
得られたアンプルにおいては、1瓶あたりにFSHが75 IU、ラクトースが10mg含まれた。
各文献がそれぞれ単独に引用されるように、本発明に係るすべての文献は本出願で参考として引用する。また、本発明の上記の内容を読み終わった後、この分野の技術者が本発明を各種の変動や修正をすることができるが、それらの等価の様態のものは本発明の請求の範囲に含まれることが理解されるべきである。

Claims (20)

  1. ウイルスを含有しない糖タンパク質。
  2. 前記糖タンパク質が、1mg/mLの濃度でのPCR法による検出では陰性となるように、HIVを含有することを特徴とする、請求項1に記載の糖タンパク質。
  3. 前記糖タンパク質が、1mg/mLの濃度でのPCR法による検出では陰性となるように、HBVを含有することを特徴とする、請求項1に記載の糖タンパク質。
  4. 前記糖タンパク質が、1mg/mLの濃度でのPCR法による検出では陰性となるように、HCVを含有することを特徴とする、請求項1に記載の糖タンパク質。
  5. 前記糖タンパク質が、絨毛性ゴナドトロピン、卵胞刺激ホルモン、黄体ホルモン、閉経ゴナドトロピン、及びこれらの混合物からなる群から選ばれるものであることを特徴とする、請求項1に記載の糖タンパク質。
  6. 前記絨毛性ゴナドトロピンが、ヒト絨毛性ゴナドトロピン又はその変異体であって、ヒト尿由来及び/或いは組換えのヒト絨毛性ゴナドトロピン又はその変異体から選ばれるものであリ、前記閉経ゴナドトロピンは、ヒト閉経ゴナドトロピン又はその変異体であって、ヒト尿由来及び/或いは組換えのヒト閉経ゴナドトロピン又はその変異体から選ばれるものであリ、前記卵胞刺激ホルモンは、ヒト卵胞刺激ホルモン又はその変異体であって、ヒト尿由来及び/或いは組換えのヒト卵胞刺激ホルモン又はその変異体から選ばれるものであリ、前記黄体ホルモンは、ヒト黄体ホルモン又はその変異体であって、ヒト尿由来及び/或いは組換えのヒト黄体ホルモン又はその変異体から選ばれるものであることを特徴とする、請求項5に記載の糖タンパク質。
  7. (a)糖タンパク質に対し、沈殿形成及び/或いは懸濁液攪拌処理から選ばれる有機溶液処理を行う工程と、
    (b)糖タンパク質に対し、ミリポア膜によるろ過を行う工程と、
    (c)糖タンパク質に対し、イオン交換クロマトグラフィーを行う工程と、
    からなる群から選ばれた一つまたは複数の工程を、任意に交換可能な順序で含むことを特徴とする、糖タンパク質ホルモンにおけるウイルスを除去及び/或いは不活性化する方法。
  8. 工程(a)における有機溶液が、30−100v/v%の有機溶媒/水溶液であることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
  9. 前記有機溶液が、70−100v/v%の有機溶媒/水溶液であることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
  10. 前記有機溶液が、エタノール、メタノール、アセトン、及びジエチルエーテルから選ばれるものであることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
  11. 前記有機溶液が、エタノール及びアセトンから選ばれるものであることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
  12. 工程(a)では、前記糖タンパク質と有機溶液の重量:体積比を0.5−2グラム:15−60ミリリットルとすることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
  13. 前記糖タンパク質と有機溶液の重量:体積比を0.7−1.5グラム:20−40ミリリットルとすることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
  14. 工程(a)では、糖タンパク質を零下3O℃−3O℃で有機溶液にて0.5分−6時間処理することを特徴とする、請求項7に記載の方法。
  15. 工程(a)では、糖タンパク質を零下2O℃−2O℃で有機溶液にて1分−4時間処理することを特徴とする、請求項14に記載の方法。
  16. 工程(b)では、前記ミリポア膜は、孔径が1000 D以上の限外ろ過膜、孔径が1−100nmのウイルス除去膜、及び孔径が0.1−1μmの細菌ろ過膜から選ばれるものであることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
  17. 工程(b)では、前記ミリポア膜は、孔径が100000 D以上の限外ろ過膜、孔径が10−80nmのウイルス除去膜、及び孔径が0.2−0.8μmの細菌ろ過膜から選ばれるものであることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
  18. 工程(c)では、前記イオン交換クロマトグラフィーはpH5−10の条件下で行われることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
  19. 工程(c)では、前記イオン交換クロマトグラフィーはpH6−8の条件下で行われることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
  20. 請求項1に記載の糖タンパク質と、薬学的に許容される担体と、を含むことを特徴とする、医薬組成物。
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