JP2006151840A - ウイルスの除去方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 蛋白質溶液から効率よくウイルスを除去する方法を提供する。
【解決手段】 蛋白質溶液をpH6未満かつ電気伝導度7mS/cm以下に調整して保持することによりウイルスを凝集させ、次いで単分散状態のウイルス径よりも大きい膜孔径を有する親水性膜に該蛋白質溶液を透過させることを特徴とする、蛋白質溶液中のウイルスを除去する方法。
【選択図】 なし

Description

本発明はウイルスの除去方法に関する。より詳しくは、医薬用蛋白質製剤を製造するためのウイルス除去方法に関する。
ヒト血漿分画による蛋白質の生産、遺伝子組換え技術による有用蛋白質の生産において、蛋白質を精製する技術は数多く知られている。特に、生産された蛋白質を医薬品として人に投与することが前提である場合に、当該蛋白質溶液中には実質的にウイルスが存在しないことが求められる。しかし、ウイルスの大きさが微小であり、かつそれらの性質も蛋白質に類似しているので、ウイルスと蛋白質との分離、ウイルス特異的な不活化は通常困難な場合が多い。そのため、これまでに医薬品へのウイルス混入による薬害事件が度々起こるなど、その技術には未だ解決すべき課題が多い。
一般に、蛋白質溶液中のウイルスを不活化または除去するための方法については様々な方法が知られている。例えば、蛋白質溶液のpHを変化させる、または界面活性剤を添加するなどの方法によりウイルスを不活化することができる(非特許文献1参照)。しかし、これらの操作では目的蛋白質も変性してしまうため、目的蛋白質を安定に保ったまま、溶液中の全てのウイルスを特異的に不活化することは非常に困難であった。
分離膜を用いてウイルスを特異的に除去する方法も知られている。しかしながら、ウイルスと目的蛋白質との大きさが近い場合、目的蛋白質を効率的に透過させ、ウイルスのみを特異的に除去させることは難しい。また、疎水性の膜を用いて、ウイルスを膜に吸着させ、溶液中からウイルスを除去することも知られている(非特許文献2および3参照)。しかしながら、疎水性の膜では蛋白質の吸着が起こるため、通常の蛋白質溶液中のウイルス除去に用いられていない。
ウイルスは、特定の条件下で凝集することが知られている。例えば、ウイルス濃縮液を水で希釈するとウイルスが凝集することが報告されている(非特許文献4および5参照)。Totsukaらは、低pH、低電気伝導度条件下でウイルスが凝集すること(非特許文献6参照)、ウイルス株による凝集感受性の違い(非特許文献7参照)について、分離膜を用いた実験により検討し報告しているが、これらはウイルスのみの凝集を検討したものであって、蛋白質溶液からのウイルス除去については報告していない。
Hosokawaらは10%グリセロールを添加したPBSを親水性膜を用いて滅菌ろ過することによるウイルス除去について報告しているが、蛋白質溶液中のウイルスは除去されていない(非特許文献8参照)。また、Yokoyamaらは、蛋白質含有溶液にアミノ酸を添加させることによりパルボウイルスを特異的に凝集させた後、各種親水性膜によりウイルスを除去したことを報告しているが、ウイルスの凝集にはアミノ酸を添加することが必要であり、また0.22mmの濾過滅菌(MF)膜ではウイルスは殆ど除去されていない(非特許文献9参照)。
Herathらは、ウイルスサイズよりも大きな孔径を持つ親水性MF膜を用いて、純水に蛋白質(アルブミン)を共存させた下でウイルスの除去を種々の条件で検討し、低pHにした純水溶液でのウイルスの除去には凝集が関与しうることを報告している(非特許文献10参照)。しかしながら、ウイルス除去の効果が高い条件の場合でもその除去性能は10〜20倍程度であるため、ウイルス除去膜を用いた場合と同等(10000倍程度)の除去はできない。そのため、本方法は安全性の観点から蛋白質医薬の製造方法に用いることはできない。
また、血漿分画成分を一旦沈殿処理し、これを再溶解した後にウイルス単粒子径より孔径の大きい多孔性膜処理を行うことによりウイルスを分離する方法が知られている(特許文献1)。しかしながら、当該方法では蛋白質を一旦沈殿させることを特徴としているため、大量の蛋白質を精製する手段としては煩雑な操作が必要となるなど問題が多い。
WO2001/45719公報 改訂二版 ウイルス実験学 総論(国立予防衛生研究所学友会編、丸善)435ページ Lukasik J, et al., "Influence of salts on virus adsorption to microporous filters." Applied Environmental Microbiology, (2000), Jul;66(7), 2914-20 E. M. van Voorthuizen, et al., "Role of hydrophobic and electrostatic interactions for initial enteric virus retention by MF membranes" Journal of Membrane Science, (2001), 194, p69-79 D. C. Young et al, "Poliovirus aggregates and their survival in water", Applied and Environmental Microbiology, (1977), 33, p168-177 Roger Floyd et al, "Aggregation of poliovirus and reovirus by dilution in water", Applied and Environmental Microbiology, (1977), 33, p159-167 A. Totsuka et al, "Aggregation of enterovirus small plaque variants and polioviruses under low ionic strength conditions", Journal of General Virology, (1978), 38(3), p519-33 A. Totsuka et al, "Strain-specific aggregation of enterovirus by dextran sulfate", Archives of Virology, (1981), 70(2), p123-35 Hosokawa M. et al,, "Preparation of purified, sterilized, and stable adenovirus vectors using albumin", Journal of Virological Methods, (2002), 103(2), p191-199 T. Yokoyama et al, "Removal of small non-enveloped viruses by nanofiltration", Vox Sang. (2004) 86, 225-229 Gemunu Herath et al, "Removal of viruses by microfiltration membranes at different solution environments", Water Science and Technology, (1999), 40(4-5), p331-338
最近の分離膜技術の進歩により、蛋白質とウイルスとを高精度に分画する膜が市販されているが、蛋白質の大きさによってはウイルスとの分離が困難な場合もある。したがって、より完全な安全性を確保するという観点から、従来のウイルスと蛋白質との大きさの違いに基づいた、サイズ排除原理を用いたウイルス除去方法とは異なる方法が望まれている。本発明の目的は、従来のウイルス除去方法とは異なるウイルス除去方法を提供することにある。
本発明は、以下の(1)〜(7)に関する。
(1) 蛋白質溶液をpH6未満かつ電気伝導度7mS/cm以下に調整して保持することによりウイルスを凝集させ、次いで単分散状態のウイルス径よりも大きい膜孔径を有する親水性膜に該蛋白質溶液を透過させることを特徴とする、蛋白質溶液中のウイルスを除去する方法。
(2) 蛋白質溶液をpH6未満かつ電気伝導度7mS/cm以下に調整して保持することによりウイルスを凝集させ、以下の工程を含むことを特徴とする、蛋白質溶液中のウイルスを除去する方法。
(a)単分散状態のウイルス径よりも大きい膜孔径を有する親水性膜を透過させる工程;および
(b)単分散状態のウイルス径よりも小さい膜孔径を有する親水性膜を透過させる工程。
(3) 単分散状態のウイルス径よりも大きい膜孔径が、単分散状態のウイルス径の1.5倍〜50倍の大きさである、上記(1)または(2)に記載の方法。
(4) 親水性膜が多孔質膜である、上記(1)〜(3)のいずれか1に記載の方法。
(5) ウイルスがパルボウイルスである、上記(1)〜(4)のいずれか1に記載の方法。
(6) 蛋白質溶液中の蛋白質が沈殿しないことを特徴とする、上記(1)〜(5)のいずれか1に記載の方法。
(7) 上記(1)〜(6)のいずれか1に記載の方法により得られた医薬用蛋白質。
本発明によれば、蛋白質溶液からウイルスのみを選択的に除去することができる。
本発明において、蛋白質溶液としては、ウイルスを含みうる蛋白質溶液であれば特に限定されず、例えば、血漿、尿など生体内から得られた分画、遺伝子組換え技術または細胞融合技術を用いて蛋白質を生産する細胞を培養して得られた蛋白質溶液などがあげられる。また、蛋白質を精製する過程で得られる蛋白質溶液も含まれる。
本発明において、蛋白質としては、特に限定はないが、医薬品として用いられる蛋白質が好ましい。
蛋白質としては、抗体、エリスロポイエチン、トロンボポイエチン、組織型プラスミノーゲンアクチベータ、プロウロキナーゼ、トロンボモジュリン、アンチトロンビンIII、プロテインC、血液凝固因子VII、血液凝固因子VIII、血液凝固因子IX、血液凝固因子X、血液凝固因子XI、血液凝固因子XII、プロトロンビン複合体、フィブリノゲン、アルブミン、性腺刺激ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、上皮増殖因子(EGF)、肝細胞増殖因子(HGF)、ケラチノサイト増殖因子、アクチビン、骨形成因子、G-CSF、M-CSFなどの幹細胞因子(SCF)、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ、インターロイキン2、インターロイキン6、インターロイキン10、インターロイキン11、可溶性インターロイキン4受容体、腫瘍壊死因子α、Dnasel、ガラクトシダーゼ、αグルコシダーゼ、グルコセレブロシダーゼ、ヘモグロビン、トランスフェリン等、およびそれらの蛋白質の部分断片を挙げることができる。また、本発明における蛋白質としては、上述の蛋白質またはその蛋白質の部分断片に放射性同位元素、低分子の薬剤、高分子の薬剤、または異なる蛋白質またはその蛋白質の部分断片などを化学的あるいは遺伝子工学的に結合させた蛋白質(以下、結合蛋白質と称す)を包含する。
放射性同位元素としては、131I、125Iなどがあげられ、例えば、クロラミンT法などにより蛋白質に結合させることができる。
低分子の薬剤としては、ナイトロジェン・マスタード、サイクロフォスファミドなどのアルキル化剤、5-フルオロウラシル、メソトレキセートなどの代謝拮抗剤、ダウノマイシン、ブレオマイシン、マイトマイシンC、ダウノルビシン、ドキソルビシンなどの抗生物質、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシンのような植物アルカロイド、タモキシフェン、デキサメタソンなどのホルモン剤などの抗癌剤(臨床腫瘍学、日本臨床腫瘍研究会編、癌と化学療法社、1996)、またはハイドロコーチゾン、プレドニゾンなどのステロイド剤、アスピリン、インドメタシンなどの非ステロイド剤、金チオマレート、ペニシラミンなどの免疫調節剤、サイクロフォスファミド、アザチオプリンなどの免疫抑制剤、マレイン酸クロルフェニラミン、クレマシチンのような抗ヒスタミン剤などの抗炎症剤(炎症と抗炎症療法、医歯薬出版株式会社、1982)などがあげられる。
高分子の薬剤としては、ポリエチレングリコール(以下、PEGと表記する)、アルブミン、デキストラン、ポリオキシエチレン、スチレンマレイン酸コポリマー、ポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、ヒドロキシプロピルメタクリルアミドなどがあげられる。これらの高分子化合物を蛋白質に結合させることにより、(1)化学的、物理的あるいは生物的な種々の因子に対する安定性の向上、(2)血中半減期の顕著な延長、(3)免疫原性の消失、抗体産生の抑制、などの効果が期待される(バイオコンジュゲート医薬品、廣川書店、1993)。
例えば、PEGと蛋白質を結合させる方法としては、PEG化修飾試薬と反応させる方法などがあげられる(バイオコンジュゲート医薬品、廣川書店、1993)。PEG化修飾試薬としては、リジンのε-アミノ基の修飾剤(特昭61-178926)、アスパラギン酸およびグルタミン酸のカルボキシル基の修飾剤(特昭56-23587)、アルギニンのグアニジノ基の修飾剤(特平2-117920)などがあげられる。
蛋白質としては、上述した蛋白質などがあげられる。また、癌細胞を直接障害する活性を有するリシンやジフテリア毒素などの毒素などがあげられる。
例えば、異なる2種類の蛋白質の結合については、それぞれの蛋白質をコードするcDNAを連結させて、結合蛋白質をコードするDNAを構築し、該DNAを原核生物あるいは真核生物用発現ベクターに挿入し、該発現ベクターを原核生物あるいは真核生物へ導入することにより発現させ、結合蛋白質を製造することができる。
抗体としては、ヒト型キメラ抗体、ヒト型相補性決定領域移植抗体などのヒト化抗体、ヒト抗体、およびそれらの抗体断片などを挙げることができる。
ヒト型キメラ抗体とは、ヒト以外の動物の抗体のVHおよびVLとヒト抗体のCHおよびCLとからなる抗体をいう。
ヒト型キメラ移植抗体は、ヒト以外の動物の抗体のVHおよびVLをコードするcDNAを設計、構築し、ヒト抗体のCHおよびCLをコードするcDNAを有する動物細胞用発現ベクターにそれぞれ挿入してヒト型キメラ移植抗体発現ベクターを構築し、動物細胞へ導入することにより発現させ、製造することができる。
ヒト型キメラ抗体のCHとしては、ヒトイムノグロブリン(以下、hIgと表記する)に属すればいかなるものでもよいが、hIgGクラスのものが好適であり、さらにhIgGクラスに属するhIgG1、hIgG2、hIgG3、hIgG4といったサブクラスのいずれも用いることができる。また、ヒト型キメラ抗体のCLとしては、hIgに属すればいずれのものでもよく、κクラスあるいはλクラスのものを用いることができる。
また、ヒト以外の動物とは、マウス、ラット、ハムスター、ラビットなどをいう。
ヒト型CDR移植抗体とは、ヒト以外の動物の抗体のVHおよびVLのCDRをヒト抗体のVHおよびVLの適切な位置に移植した抗体をいう。
ヒト型CDR移植抗体は、ヒト以外の動物の抗体のVHおよびVLのCDRを任意のヒト抗体のVHおよびVLのフレームワーク(以下、FRと表記する)と連結したV領域をコードするcDNAを設計、構築し、ヒト抗体のCHおよびCLをコードするcDNAを有する動物細胞用発現ベクターにそれぞれ挿入してヒト型CDR移植抗体発現ベクターを構築し、動物細胞へ導入することにより発現させ、製造することができる。
ヒト型CDR移植抗体のCHとしては、hIgに属すればいかなるものでもよいが、hIgGクラスのものが好適であり、さらにhIgGクラスに属するhIgG1、hIgG2、hIgG3、hIgG4といったサブクラスのいずれも用いることができる。また、ヒト型CDR移植抗体のCLとしては、hIgに属すればいずれのものでもよく、κクラスあるいはλクラスのものを用いることができる。
ヒト抗体とは、元来、ヒト体内に天然に存在する抗体をいうが、最近の遺伝子工学的、細胞工学的、発生工学的な技術の進歩により作製されたヒト抗体ファージライブラリーおよびヒト抗体産生トランスジェニック動物から得られる抗体なども含まれる。ヒト体内に存在する抗体は、例えば、ヒト末梢血リンパ球を単離し、EBウイルスなどを感染させ不死化し、クローニングすることにより、該抗体を産生するリンパ球を単独で培養でき、培養上清中より該抗体を精製することができる。ヒト抗体ファージライブラリーは、ヒトB細胞から調製した抗体遺伝子をファージ遺伝子に挿入することによりFab、scFvなどの抗体断片をファージ表面に発現させたライブラリーである。該ライブラリーより、抗原を固定化した基質に対する結合活性を指標として所望の抗原結合活性を有する抗体断片を表面に発現しているファージを回収することができる。該抗体断片は、さらに、遺伝子工学的手法により2本の完全なH鎖および2本の完全なL鎖からなるヒト抗体分子へも変換することができる。ヒト抗体産生トランスジェニック動物は、ヒト抗体遺伝子が細胞内に組込まれた動物を意味する。具体的には、例えば、マウスES細胞へヒト抗体遺伝子を導入し、該ES細胞をマウスの初期胚へ移植後、発生させることによりヒト抗体産生トランスジェニックマウスを作製することができる。ヒト抗体産生トランスジェニック動物からのヒト抗体の作製方法は、通常のヒト以外の動物で行われているハイブリドーマ作製方法によりヒト抗体産生ハイブリドーマを取得し、培養することで培養上清中にヒト抗体を生成蓄積させることができる。
抗体の断片としては、Fab、F(ab')2、Fab'、scFv、diabody、dsFvおよびCDRを含むペプチドなどを挙げることができる。
Fabは、IgG型抗体分子を蛋白質分解酵素パパインで処理して得られる断片のうち(H鎖の224番目のアミノ酸残基で切断される)、H鎖のN末端側約半分とL鎖全体がジスルフィド結合で結合した分子量約5万の抗原結合活性を有する抗体断片である。
Fabは、抗体を蛋白質分解酵素パパインで処理して得ることができる。または、該抗体のFabをコードするDNAを原核生物用発現ベクターあるいは真核生物用発現ベクターに挿入し、該ベクターを原核生物あるいは真核生物へ導入することにより発現させ、製造することができる。
F(ab')2は、IgG型抗体分子を蛋白質分解酵素ペプシンで処理して得られる断片のうち(H鎖の234番目のアミノ酸残基で切断される)、Fabがヒンジ領域のジスルフィド結合を介して結合されたものよりやや大きい、分子量約10万の抗原結合活性を有する抗体断片である。
F(ab')2は、抗体を蛋白質分解酵素ペプシンで処理して得ることができる。または、下記のFab'をチオエーテル結合あるいはジスルフィド結合させ、作製することができる。
Fab'は、上記F(ab')2のヒンジ領域のジスルフィド結合を切断した分子量約5万の抗原結合活性を有する抗体断片である。
Fab'は、F(ab')2を還元剤ジチオスレイトール処理して得ることができる。または、該抗体のFab'断片をコードするDNAを原核生物用発現ベクターあるいは真核生物用発現ベクターに挿入し、該ベクターを原核生物あるいは真核生物へ導入することにより発現させ、製造することができる。
scFvは、1本のVHと1本のVLとを適当なペプチドリンカー(以下、Pと表記する)を用いて連結した、VH-P-VLないしはVL-P-VHポリペプチドで、抗原結合活性を有する抗体断片である。
scFvは、抗体のVHおよびVLをコードするcDNAを取得し、scFvをコードするDNAを構築し、該DNAを原核生物用発現ベクターあるいは真核生物用発現ベクターに挿入し、該発現ベクターを原核生物あるいは真核生物へ導入することにより発現させ、製造することができる。
diabodyは、scFvが二量体化した抗体断片で、二価の抗原結合活性を有する抗体断片である。二価の抗原結合活性は、同一とすることもできるし、一方を異なる抗原結合活性とすることもできる。
diabodyは、抗体のVHおよびVLをコードするcDNAを取得し、scFvをコードするDNAをリンカーのアミノ酸配列の長さが8残基以下となるように構築し、該DNAを原核生物用発現ベクターあるいは真核生物用発現ベクターに挿入し、該発現ベクターを原核生物あるいは真核生物へ導入することにより発現させ、製造することができる。
dsFvは、VHおよびVL中のそれぞれ1アミノ酸残基をシステイン残基に置換したポリペプチドを該システイン残基間のジスルフィド結合を介して結合させたものをいう。システイン残基に置換するアミノ酸残基はReiterらにより示された方法(Protein Engineering, 7, 697-704, 1994)に従って、抗体の立体構造予測に基づいて選択することができる。
dsFvは、抗体のVHおよびVLをコードするcDNAを取得し、dsFvをコードするDNAを構築し、該DNAを原核生物用発現ベクターあるいは真核生物用発現ベクターに挿入し、該発現ベクターを原核生物あるいは真核生物へ導入することにより発現させ、製造することができる。
CDRを含むペプチドは、VHまたはVLのCDRの少なくとも1領域以上を含んで構成される。複数のCDRを含むペプチドは、直接または適当なペプチドリンカーを介して結合させることができる。
CDRを含むペプチドは、抗体のVHおよびVLのCDRをコードするDNAを構築し、該DNAを原核生物用発現ベクターあるいは真核生物用発現ベクターに挿入し、該発現ベクターを原核生物あるいは真核生物へ導入することにより発現させ、製造することができる。また、CDRを含むペプチドは、Fmoc法(フルオレニルメチルオキシカルボニル法)、tBoc法(t-ブチルオキシカルボニル法)などの化学合成法によって製造することもできる。
本発明において、蛋白質溶液をpH6未満かつ電気伝導度7mS/cm以下、好ましくはpHが約4以上約6未満かつ電気伝導度が0〜約7mS/cmに調整して保持することにより、蛋白質溶液中の蛋白質に影響を与えず、ウイルスのみを凝集させることができる。なお、ここでいう「影響を与えず」とは、沈殿や失活(変性)をしないことを意味する。
ウイルスを凝集させるために蛋白質溶液を保持する時間は特に限定されないが、蛋白質溶液を調整した後10分間以上、好ましくは約10分〜約2週間、より好ましくは約1時間〜約24時間、さらに好ましくは約1時間〜約6時間、保持すればよい。
蛋白質溶液を保持する温度は特に限定されないが、約4℃〜約37℃が好ましく、約20℃〜約25℃がより好ましい。
こうして、共存する蛋白質に影響を与えず、ウイルスのみが凝集する条件を設定し、後述する親水性膜を透過させることにより、ウイルスは膜を透過させる前の溶液中の1000分の1以下、好ましくは1万分の1以下、より好ましくは検出限界以下まで除去される。
本発明の方法において除去されるウイルスとしては、上述のように調整して保持することにより凝集するウイルスであれば特に限定されないが、好ましくはウイルス径が約50nm以下、より好ましくはウイルス径が約10nm〜約30nmであるウイルスがあげられる。また、前記ウイルス径を有し、ウイルスエンベロープを有さないウイルスが好ましい。具体的には、パルボウイルスB19などのパルボウイルス、ヒトパピローマウイルスなどのパピローマウイルス、JCウイルス、BKウイルスなどのポリオーマウイルス、ノーウォーク胃腸炎ウイルスなどのカリシウイルス、エンテロウイルス、A型肝炎ウイルス、ポリオーマウイルスなどのエンテロウイルスなどがあげられるが、好ましくはパルボウイルスがあげられる。
単分散状態のウイルス径とは、凝集していない単一ウイルス粒子の平均粒子径をいう。
本発明で用いられる親水性膜としては、単分子状態のウイルス径よりも大きい膜孔径を有する親水性膜であれば、特に限定されない。なお、ここでいう「親水性」とは、膜が自発的に水に濡れる状態にあることを意味する。
親水性膜の材質としては、親水性であれば特に限定されず、例えば疎水性の膜表面に親水基を付与された親水化膜であってもよいが、親水化ポリエチレン、親水化ポリプロピレン、親水化ポリ4−メチル1−ペンテン等の親水化ポリオレフィン、親水化ポリエチレンテレフタレート、親水化ポリブチレンテレフタレート、親水化ポリエチレンナフタレート、親水化ポリブチレンナフタレート、親水化ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート等の親水化ポリエステル、親水化ナイロン6、親水化ナイロン66、親水化ナイロン610、親水化ナイロン612、親水化ナイロン11、親水化ナイロン12、親水化ナイロン46等のポリアミド系およびそれらを親水化した親水化ポリアミド系、親水化ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、親水化エチレン/テトラフルオロエチレン、親水化ポリクロロトリフルオロエチレン等のフッ素系、再生セルロース、混合セルロースエステル、酢酸セルロース等の親水性セルロース系、親水化ポリフェニレンエーテル、親水化ポリスルホン、親水化ポリエーテルスルホン等の親水化ポリスルホン系、親水化アクリル共重合体、グラスファイバーおよび親水化ポリアセタール、ならびにこれらの複合樹脂等が挙げられ、好ましくは、親水化ポリエチレン、親水化ポリプロピレン等の親水化ポリオレフィン、親水化ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、親水化ポリエーテルスルホン、再生セルロース等が挙げられる。
上述の材質を有する親水性膜として、具体的には、デュラポア シリーズ、ポリセップ シリーズ、ミリガード シリーズ、ライフガード シリーズ、バイオマックス シリーズ、ウルトラセル シリーズ、バイアソルブ シリーズ(以上、ミリポア社製);ステラシェア シリーズ、ライフシェア シリーズ(以上、キュノ社製);スーポア シリーズ、ウルチポア シリーズ、フロロダイン シリーズ、HTタフリン シリーズ、バーサポア シリーズ、オメガ シリーズ、メトリセル シリーズ、ベリセル シリーズ、ポリプロ シリーズ、ナイラフロー シリーズ、アルファ シリーズ(以上、ポール社製);ザルトブランP シリーズ、ザルトポア シリーズ、ザルトロン シリーズ、ザルトクールPS シリーズ、ザルトクリーン シリーズ、ザルトピュア シリーズ、ハイドロザルト シリーズ(以上、ザルトリウス社製);プラノバ シリーズ(旭化成ファーマ株式会社製)などが挙げられる。
単分散状態のウイルス径よりも大きい膜孔径としては、分離される蛋白質が膜に目づまりを起こさない膜孔径であれば特に限定されないが、約1.5倍〜約50倍、より好ましくは約1.5倍〜約25倍、さらに好ましくは約1.5倍〜約10倍の膜孔径があげられる。
例えば、平均粒子径18〜24nmのパルボウイルスを除去する場合には、好ましくは35nmから1μm程度の膜孔径を有する親水性膜、より好ましくは35nmから0.45μm程度、さらに好ましくは35nmから0.2μm程度の膜孔径を有する親水性膜を用いることができる。以上のように、除去を行おうとするウイルスのウイルス径により、膜孔径の大きさを適宜変更することができる。
膜孔径は、例えばバブルポイント法(特開2003-268152号公報参照)、平均透水孔径測定法(特開平4-371221号公報参照)等により測定することができる。上述した親水性膜を含めて、現在市販されている製品の膜孔径の規定方法は一定していないため、以下に本発明で用いられる主な膜とその膜孔径を記載する:
親水性デュラポアフィルター〔公称孔径0.1μm, 0.22μm, 0.45μm, 0.65μm〕とそれらを組み合わせて2層にしたマルチレイヤーデュラポアフィルター、親水性ミリガードフィルターおよびミリガード低タンパク吸着フィルター〔公称孔径0.2μm, 0.5μm, 1.2μm, 0.5μm/0.2μm, 1.2μm/0.5μm, 1.2μm/0.2μm〕と上記親水性デュラポアフィルターと組み合わせて多層にしたマルチメディア親水性デュラポアフィルター、親水性ポリセップIIフィルター〔公称孔径1μm/0.2μm, 1μm/0.5μm, 1μm/1.2μm, 2μm/1.2μm〕、ライフガードフィルター〔公称孔径1.0μm〕(以上、ミリポア社製);ステラシェアフィルター〔公称孔径0.1μm, 0.2μm〕、ライフシェアフィルター〔公称孔径0.1μm, 0.2μm, 0.45μm〕(以上、キュノ社製);スーポアフィルター〔公称孔径0.1μm, 0.2μm, 0.45μm, 0.8μm〕、ウルチポアフィルター〔公称孔径0.2μm;VF-DV50〕、フロロダインフィルター〔公称孔径0.2μm〕、HTタフリンフィルター〔公称孔径0.2μm, 0.45μm〕、バーサポアフィルター〔公称孔径0.2μm, 0.45μm, 0.8μm, 1.2μm〕、オメガフィルター〔公称孔径0.16μm, 0.3μm, 0.8μm;分画分子量1000KDa〕、GN-4メトリセルフィルター〔公称孔径0.8μm〕、GN-6メトリセルフィルター〔公称孔径0.45μm〕、FPベリセルフィルター〔公称孔径0.2μm, 0.45μm〕、GHポリプロフィルター〔公称孔径0.2μm, 0.45μm〕、ナイラフローフィルター〔公称孔径0.2μm, 0.45μm〕(以上、ポール社製);ザルトブランPフィルター〔公称孔径0.2μm, 0.45μm〕、ザルトポアフィルター〔公称孔径0.1μm, 0.2μm, 0.45μm〕、ザルトロンフィルター〔公称孔径0.2μm〕、ザルトクールPSフィルター〔公称孔径0.45μm〕、ザルトクリーンCAフィルター〔公称孔径0.2μm, 0.45μm, 0.65μm, 0.8μm〕、ザルトクリーンGFフィルター〔公称孔径0.65μm, 0.8μm〕、ザルトピュアGF2フィルター〔公称孔径0.65μm, 1.2μm〕、ハイドロザルトフィルター〔公称孔径0.2μm, 0.45μm〕(以上、ザルトリウス製);プラノバフィルター〔プラノバ35N 平均透水孔径35 ± 2 nm、プラノバ75N平均透水孔径72 ± 4 nm〕(以上、旭化成ファーマ株式会社製)。
なお、「公称孔径」とは精密ろ過膜の分離性能を表す孔径であり、バクテリアチャレンジ試験とバブルポイント試験により規定される孔径である。バブルポイント試験とは、湿潤させた膜の最も大きい孔から液膜を破って気体を強制通過させるのに必要な圧力を測定することで膜の最大孔径を測定する試験のことで、ASTM(米国材料試験協会)のF316-03により算出することができる。バクテリアチャレンジ試験とは、特定サイズの微生物等が捕捉されることを指標に膜孔径を規定する試験のことで、例えば、以下の標準的な指標菌を用いて実施することができる: 膜孔径0.1μm:Acholeplasma laidlawii(ATCC 23206)、膜孔径0.2μmまたは0.22μm:Pseudomonas diminuta(ATCC 19146)、膜孔径0.45μm:Escherichia coli(ATCC 29522)、0.8μm:Bacillus subtilis(ATCC6633)、膜孔径1μm:Candida albicans(ATCC 10231)。
本発明では、上記の膜を組み合わせた多層膜も用いることができる。また、上記の膜に化学修飾を施したイオン交換性膜やアフィニティー膜も、ウイルスが吸着ではなく凝集によって物理的に除かれる限り用いることができる。
本発明において、親水性膜の形態は特に限定されないが、ウイルスの分離と蛋白質の透過性の点から多孔質膜が好ましい。多孔質膜の気孔率としては、少なくとも気孔率が約20%〜90%、好ましくは約30%〜約80%、最も好ましくは約70%があげられる。
気孔率(%)は、次式により計算される値をいう。
(式)
気孔率(%)=100×(1−膜重量÷(膜材質の密度×膜体積))
本発明において、親水性膜の形状は特に限定されず、中空糸状、シート状、フィルム状、ディスク状など、用いられる分離工程や目的に応じて適宜選択すればよい。
また、本発明は、蛋白質溶液をpH6未満かつ電気伝導度7mS/cm以下に調整して保持することによりウイルスを凝集させ、以下の工程を含むことを特徴とする、蛋白質溶液中のウイルスを除去する方法に関する。
(a)単分散状態のウイルス径よりも大きい膜孔径を有する親水性膜を透過させる工程;および
(b)単分散状態のウイルス径よりも小さい膜孔径を有する親水性膜を透過させる工程。
単分散状態のウイルス径よりも大きい膜孔径を有する親水性膜を透過させる工程、および単分散状態のウイルス径よりも小さい膜孔径を有する親水性膜を透過させる工程の順序は特に限定されないが、単分散状態のウイルス径よりも大きい膜孔径を有する親水性膜を透過させる工程を行ったのち、単分散状態のウイルス径よりも小さい膜孔径を有する親水性膜を透過させる工程を行うことが好ましい。
単分散状態のウイルス径よりも小さい膜孔径を有する親水性膜としては、ウイルス粒子の1倍未満の膜孔径を有する親水性膜があげられる。具体的には、バイアソルブ 70、バイアソルブ 180、バイアソルブ NFP、バイアソルブ NFR(以上、ミリポア社製);ウルチポア VF-DV20、ウルチポア VF-DV50(以上、ポール社製);プラノバ 35N、プラノバ 20N、プラノバ 15N(以上、旭化成ファーマ株式会社製)などがあげられる。
上記方法を行うことにより、従来のウイルス除去方法より高率にウイルスを除去することができる。
本発明のウイルス除去方法は、医薬用蛋白質を製造する過程、例えば細胞の分離工程、アフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィーなどのクロマトグラフィーによる不純物と蛋白質とを分離する工程、緩衝液を交換する工程、蛋白質溶液の濃縮工程などの工程を行う際に組み合わせて用いることができる。
上記方法により得られた医薬用蛋白質は、通常は薬理学的に許容される一つあるいはそれ以上の担体と一緒に混合し、製剤学の技術分野においてよく知られる任意の方法により製造した医薬製剤として提供するのが望ましい。
投与経路は、治療に際して最も効果的なものを使用するのが望ましく、経口投与、または口腔内、気道内、直腸内、皮下、筋肉内および静脈内等の非経口投与をあげることができ、蛋白質製剤の場合、望ましくは静脈内投与をあげることができる。
投与形態としては、噴霧剤、カプセル剤、錠剤、顆粒剤、シロップ剤、乳剤、座剤、注射剤、軟膏、テープ剤等があげられる。
経口投与に適当な製剤としては、乳剤、シロップ剤、カプセル剤、錠剤、散剤、顆粒剤等があげられる。
乳剤およびシロップ剤のような液体調製物は、水、ショ糖、ソルビトール、果糖等の糖類、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類、ごま油、オリーブ油、大豆油等の油類、p-ヒドロキシ安息香酸エステル類等の防腐剤、ストロベリーフレーバー、ペパーミント等のフレーバー類等を添加剤として用いて製造できる。
カプセル剤、錠剤、散剤、顆粒剤等は、乳糖、ブドウ糖、ショ糖、マンニトール等の賦形剤、デンプン、アルギン酸ナトリウム等の崩壊剤、ステアリン酸マグネシウム、タルク等の滑沢剤、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチン等の結合剤、脂肪酸エステル等の界面活性剤、グリセリン等の可塑剤等を添加剤として用いて製造できる。
非経口投与に適当な製剤としては、注射剤、座剤、噴霧剤等があげられる。
注射剤は、塩溶液、ブドウ糖溶液、あるいは両者の混合物からなる担体等を用いて調製される。または、蛋白質を常法に従って凍結乾燥し、これに塩化ナトリウムを加えることによって粉末注射剤を調製することもできる。
座剤はカカオ脂、水素化脂肪またはカルボン酸等の担体を用いて調製される。
また、噴霧剤は該蛋白質そのもの、ないしは受容者の口腔および気道粘膜を刺激せず、かつ該蛋白質を微細な粒子として分散させ吸収を容易にさせる担体等を用いて調製される。
担体として具体的には乳糖、グリセリン等が例示される。該蛋白質および用いる担体の性質により、エアロゾル、ドライパウダー等の製剤が可能である。また、これらの非経口剤においても経口剤で添加剤として例示した成分を添加することもできる。
投与量または投与回数は、目的とする治療効果、投与方法、治療期間、年齢、体重等により異なるが、有効成分の量として、通常成人1日当たり10μg/kg〜20mg/kgである。
以下、実施例により本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
ブタパルボウイルス共存ヒト化モノクローナル抗体溶液の膜によるウイルス除去
1.材料および使用機器
(i) ブタパルボウイルス
ブタパルボウイルス(以下、PPVと略記する)は、VS0201 90HS株(微生物科学研究所製)を使用した。VS0201 90HS株のウイルス径は約20nmである。
(ii) 分離膜
分離膜としては、膜孔径35nmの銅アンモニア法再生セルロースで形成された、中空糸微多孔膜であるプラノバ 35N(旭化成ファーマ社製)、および膜孔径0.2μmの親水性PVDF(Poly Vinylidene Flouride)で形成されたMillex GV(ミリポア社製)を使用した。
(iii) ヒト化モノクローナル抗体
ヒト化モノクローナル抗体としては、形質転換株FERM BP-8647により生産された抗CCR4ヒト化モノクローナル抗体KM8761(WO03/18635)を使用した。溶液としては、表1中にある各種緩衝液をそれぞれ用いた。
(iv)ウイルス活性測定用細胞
ウイルスの活性測定には、ESK-4細胞(ATCC No. CL 184)を使用した。
2.ウイルス活性測定
ウイルス活性は、TCID50法(50%組織培養感染性試験:50% Tissue-Culture-Infectious-Dose assays:改定 第二版 ウイルス実験学 総論(国立予防衛生研究所学友会編、丸善) p175参照)によりESK-4細胞へのPPVの感染力価を測定することにより評価した。すなわち、サンプル液を10倍段階希釈し、各希釈液において一定量(100μl)と一定数(N=4)を96穴の細胞培養プレートに接種し、50%細胞感染を現すウイルス希釈度をReed-Muench法で算出することにより、ウイルス濃度をTCID50/mlとして表した。
3.実験操作
種々の緩衝液条件下、約10mg/mlのヒト化モノクローナル抗体KM8761溶液に対して、最終濃度106.5TCID50/mlとなるようにPPVを約1%体積比で添加した。ウイルスを添加した直後の溶液のウイルス活性を測定した。また、溶液の一部を室温で約6時間放置し、プラノバ 35NまたはMillex GVにより濾過し、各濾液のウイルス活性を測定した。また濾過処理していない溶液についてもウイルス添加後7時間後にウイルス活性を測定した。
4.実験結果
結果を表1にまとめて示す。表中、「非濾過サンプル活性」の「0時間後」には、ウイルスを添加した直後の溶液のウイルス活性を、「非濾過サンプル活性」の「7時間後」には、濾過処理していない溶液のウイルス添加後7時間後のウイルス活性をそれぞれ示す。また、「濾過サンプル活性」には、溶液を室温で約6時間放置後にプラノバ 35NまたはMillex GVにより濾過した溶液のウイルス活性を示す。
Figure 2006151840
表1に示すように、非濾過サンプルでは7時間経過後もウイルス活性は大きく変化しないことが確認された。一方、膜濾過サンプルは、緩衝液がpH5および0.8mS/cmの条件下でウイルス活性が大きく低下した。電気伝導度1.1mS/cmでもpH6以上の場合(比較例1)およびpH6未満でも電気伝導度7.4 mS/cmの場合(比較例2)では、膜濾過後に顕著なウイルス活性の低下は観察されなかった。また、抗体非存在下では、膜濾過後に僅かに活性が減少したものの、その効果は顕著なものではなかった(比較例4および5)。
本発明は、蛋白質の製造工程におけるウイルス除去方法を提供する。

Claims (7)

  1. 蛋白質溶液をpH6未満かつ電気伝導度7mS/cm以下に調整して保持することによりウイルスを凝集させ、次いで単分散状態のウイルス径よりも大きい膜孔径を有する親水性膜に該蛋白質溶液を透過させることを特徴とする、蛋白質溶液中のウイルスを除去する方法。
  2. 蛋白質溶液をpH6未満かつ電気伝導度7mS/cm以下に調整して保持することによりウイルスを凝集させ、以下の工程を含むことを特徴とする、蛋白質溶液中のウイルスを除去する方法。
    (a)単分散状態のウイルス径よりも大きい膜孔径を有する親水性膜を透過させる工程;および
    (b)単分散状態のウイルス径よりも小さい膜孔径を有する親水性膜を透過させる工程。
  3. 単分散状態のウイルス径よりも大きい膜孔径が、単分散状態のウイルス径の1.5倍〜50倍の大きさである、請求項1または2に記載の方法。
  4. 親水性膜が多孔質膜である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. ウイルスがパルボウイルスである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 蛋白質溶液中の蛋白質が沈殿しないことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法により得られた医薬用蛋白質。
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