JP2012241551A - 内燃機関のオイルセパレータ - Google Patents

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Abstract

【課題】ドレンパイプ37のオイル溜めとしての機能を維持し、ブローバイガスの逆流を防止する。
【解決手段】シリンダヘッドカバー1の頂部内側にオイルセパレータ5が設けられている。オイルセパレータ5は、微細通路32を有する隔壁部31によって入口側セパレータ室22と出口側セパレータ室23とに区分される。出口側セパレータ室23で分離したオイルは、ドレンパイプ37に集まり、排出口38から動弁室3内に滴下する。ドレンパイプ37の外側壁面に付着した油滴が流れ落ちる際に、排出口38に存在するオイルを持ち去る、という現象を回避するために、ドレンパイプ37下端に排出口38を囲むようにオイル誘導壁40が設けられている。外側壁面の油滴はオイル誘導壁40の下端から滴下するので、排出口38に影響しない。
【選択図】図1

Description

この発明は、内燃機関のシリンダヘッドカバーに一体に設けられ、該シリンダヘッドカバーを通して外部に取り出されるブローバイガスからオイルミストを分離するオイルセパレータの改良に関する。
例えば自動車用内燃機関などにおいては、周知のように、燃焼室からクランクケース内に漏洩した未燃成分を含むブローバイガスを、外部から取り込んだ新気とともに機関吸気系に導いて燃焼させるようになっている。そして、クランクケース内を通るブローバイガスは、オイルミストを含んだものとなるので、機関吸気系へのオイルの持ち去りを防止するために、特許文献1に開示されているように、シリンダヘッドカバーに一体にオイルセパレータが設けられており、このオイルセパレータを介してオイルを分離除去した後に、ブローバイガスを取り出す構成となっている。なお、一般にシリンダヘッドカバーに2本のブローバイガス通路が接続され、通常の運転条件下では一方の通路から新気が導入されるようになっているが、高負荷条件では双方の通路をブローバイガスが流れるので、シリンダヘッドカバーには、それぞれに対しオイルセパレータが設けられる。
上記オイルセパレータにおいて分離されたオイルは、特許文献1に記載のように、細長い筒状をなすドレンパイプに集められ、その下端の排出口から動弁室内に滴下する。
ここで、上記のようなオイルセパレータにおいてオイルの分離を行うセパレータ部は、例えば微細な通路や邪魔板などから構成され、必然的に圧力損失を伴うので、セパレータ部の下流に位置するドレンパイプの内部の圧力は、動弁室内の圧力よりも相対的に低くなる。そのため、排出口が開放されていると、オイルミストを含んだブローバイガスが排出口から流入(オイルの排出方向に対して逆流)することとなるので、上記特許文献1では、上下に細長いドレンパイプ内にオイルを溜めておくことで、このオイルを一種の「蓋」として機能させ、排出口を通したブローバイガスの逆流を防止している。
特開2005−120855号公報
上記のドレンパイプは、動弁室内に露出しているので、カムシャフトの回転などに伴って動弁室内に飛散するオイルが外側の壁面に付着し、やがて大きな油滴に集合してドレンパイプ下端から滴下する。このとき、ドレンパイプの外側壁面を伝わって下方へ流れる油滴が、ドレンパイプ下端の排出口へと回り込むことがあり、この油滴が排出口の開口縁から滴下する際に、ドレンパイプ内のオイルを同伴する、という現象が生じる。つまり、外側壁面から排出口へと回り込んだ油滴が排出口に存在するオイルと集合し、このオイルを持ち去る形で滴下する。
このような現象によってドレンパイプ内部からオイルが持ち出されてしまうと、上述したオイル溜めとしての機能が失われ、排出口を通してオイルミストを大量に含んだブローバイガスが逆流するため、オイルセパレータとしてのオイル分離性能が著しく低下する。
そこで、この発明は、ドレンパイプの外側壁面に付着したオイルが油滴に成長して動弁室内に滴下する際に、ドレンパイプ下端の排出口の開口縁から離れた箇所で滴下するようにしたものである。
すなわち、本発明は、内燃機関のシリンダヘッドカバーに一体に設けられ、該シリンダヘッドカバーを通して外部に取り出されるブローバイガスからオイルミストを分離するオイルセパレータであって、オイルミストの分離を行うセパレータ部の下流側に、分離したオイルが集まる筒状のドレンパイプを備えるとともに、このドレンパイプの下端に、オイルを動弁室内に滴下させるための排出口が設けられてなるオイルセパレータを前提としており、一つの態様では、上記ドレンパイプの下端に、上記排出口の開口縁から離れて該排出口の周囲を囲むオイル誘導壁が設けられている。
従って、ドレンパイプの外側壁面に付着したオイルは、オイル誘導壁の下端から下方へ滴下し、排出口に存在するオイルに影響を与えない。
また、他の一つの態様では、ドレンパイプ下端の排出口が、上記ドレンパイプに最も近いカムシャフトに対して、該カムシャフトに対面しない側のドレンパイプ側面に開口している。
ドレンパイプが動弁室内でカムシャフトに隣接している場合、カムシャフトの回転に伴って飛翔する油滴は、ドレンパイプのカムシャフト側の側面に主に付着し、ここから下方へ滴下する。従って、カムシャフトに対面しない側のドレンパイプ側面に排出口を開口させることで、ドレンパイプ側面に付着するオイルの滴下による影響が抑制される。
この発明によれば、ドレンパイプの外側壁面を伝わって下方へ流れる油滴が、ドレンパイプ下端の排出口に存在するオイルを持ち去る、という現象を抑制でき、ドレンパイプのオイル溜めとしての機能を維持できる。従って、オイルミストを大量に含んだブローバイガスの排出口を通した逆流を防止でき、オイル分離性能の悪化が回避される。
この発明に係るオイルセパレータを備えたシリンダヘッドカバーの断面図。 ドレンパイプの下端部を拡大して示す断面図。 ドレンパイプの下端を下方から見た平面図。 オイル誘導壁の変形例を示す断面図。 排出口を側面に設けた実施例を示す断面図。 その変形例を示す断面図。
以下、この発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、直列多気筒内燃機関のシリンダヘッドカバー1にこの発明を適用した一実施例を示している。このシリンダヘッドカバー1は、内燃機関のシリンダヘッド2の上面にシール部材4とともに取り付けられ、所謂DOHC型の動弁機構を収容した動弁室3を画成している。動弁室3は、図示せぬシリンダブロック側のクランクケースと連通しており、クランクケースから動弁室3へと流れてきたブローバイガスが、オイル除去された後に、シリンダヘッドカバー1のブローバイガス取出口17から外部(機関吸気系)に案内されるようになっている。
上記シリンダヘッドカバー1は、適宜な合成樹脂材料により一体に成形されたもので、機関長手方向の適宜位置、例えば♯1気筒と♯2気筒との間に、オイルセパレータ5が構成されている。詳しくは、適宜な合成樹脂材料により別に成形されたセパレータカバー15がシリンダヘッドカバー1の頂部内側に取り付けられ、シリンダヘッドカバー1の左右方向つまりカムシャフト6,7と直交する方向(機関幅方向)に沿って細長く延びた形にオイルセパレータ5が構成されている。
このようにセパレータカバー15とシリンダヘッドカバー1とにより構成されるオイルセパレータ5の内部は、左右方向の一端部に位置する入口室21と、左右方向の中間部に位置する入口側セパレータ室22と、左右方向の他端部に位置する出口側セパレータ室23と、の3つの部分に大別される。上記入口室21の部分では、上記セパレータカバー15は、ブローバイガスの入口となる矩形の開口部24を有しており、この開口部24を通して、上記入口室21は、動弁室3に開口している。
上記入口室21と上記入口側セパレータ室22とは、シリンダヘッドカバー1の天井面から下方へ突出した仕切壁25によってほぼ仕切られており、この仕切壁25の下端とセパレータカバー15のセパレータ室底壁部27との間に、スリット状に入口26が形成されている。
なお、上記開口部24の下方には、吸気側カムシャフト6が位置しているが、このカムシャフト6の回転に伴い接線方向に飛散する油滴が直接上記入口26に入り込むことがないように、上記仕切壁25の長さならびに開口部24の位置が設定されている。
上記入口側セパレータ室22と上記出口側セパレータ室23との間は、カムシャフト16の軸方向に沿って設けられた隔壁部31によって仕切られている。上記隔壁部31には、両セパレータ室22,23を連通するように多数の微細通路32が貫通形成されている。
微細通路32を備えた隔壁部31は、一種のフィルタとして機能し、オイルミストの分離を行うが、さらに、上記微細通路32の出口側に、僅かな間隔を置いて隔壁部31と対向するように、衝突板33が配置されている。従って、微細通路32により絞られたブローバイガスの流れが、衝突板33の表面に衝突することで、さらにオイルミストが分離される。このように本実施例では、微細通路32を有する隔壁部31と衝突板33とを組み合わせたものとして、オイルミストの分離を実質的に行うセパレータ部が構成されているが、本発明においては、セパレータ部の構成はこれに限らず、邪魔板の組み合わせや迷路状の通路など公知の種々の形式のものを用いることができる。
上記入口側セパレータ室22の底面つまりセパレータ室底壁部27には、分離したオイルを動弁室3側へ排出するためのドレンパイプ35が設けられている。このドレンパイプ35は、機関長手方向の寸法が機関幅方向の寸法よりも大きな偏平な筒状をなし、動弁室3へ向かって下方へ延びているとともに、先端に小さな排出口36を備えている。
また、出口側セパレータ室23では、分離したオイルを集めるように底面全体が漏斗状をなし、かつその下端に、集まったオイルを動弁室3側へ排出するためのドレンパイプ37が設けられている。このドレンパイプ37は、やはり機関長手方向の寸法が機関幅方向の寸法よりも大きな偏平な筒状をなし、動弁室3へ向かって下方へ延びているとともに、先端に小さな排出口38を備えている。上記出口側セパレータ室23は、排気側カムシャフト7の上方へと側方へ延びており、シリンダヘッドカバー1上面のブローバイガス取出口17が、該出口側セパレータ室23に連通している。
上記排出口38は、図2,図3に示すように、ドレンパイプ37の偏平形状に対応して細長いスリット状ないし長孔状をなし、かつドレンパイプ37の底壁37aから下方へ突出した筒状部38aによって囲まれている。そして、ドレンパイプ37の底壁37aの外周縁には、上記排出口38の開口縁から離れて該排出口38の周囲を囲むように、底壁37aから下方へ突出したオイル誘導壁40が設けられている。このオイル誘導壁40は、ドレンパイプ37の一部として該ドレンパイプ37と一体に樹脂成形されており、金型を図1の下方の方向へ型抜きできるように、ドレンパイプ37の上下方向に沿った抜き勾配を有している。より詳しくは、この実施例では、オイル誘導壁40は、下端が鋭端となったテーパ状の断面形状を有しており、その外周側の壁面40aは、ドレンパイプ37の外側の壁面を下方へ延長したものとなっている。
上記のように構成されたオイルセパレータ5においては、動弁室3内のブローバイガスがブローバイガス取出口17へと向かう際に、まず開口部24を通して入口室21に入り、ここからスリット状の入口26を経て入口側セパレータ室22に入る。そして、ブローバイガスが隔壁部31の微細通路32を通過することで、オイルミストが分離され、かつ微細通路32通過直後に衝突板33に衝突することで、さらにオイルミストが分離される。また、出口側セパレータ室23の容積は大きく、ブローバイガスの流速が低下するため、ここでも自重によりオイルミストが分離される。そして、分離されて下方に集まった油滴は、ドレンパイプ35,37を通して動弁室3に滴下するが、排出口36,38における表面張力によって、ドレンパイプ35,37内にある程度の高さ位置までオイルが溜まった状態となる。このようなオイル溜め機能によって、排出口36,38を通したブローバイガスの流れが阻止される。
ここで、上記構成においては、ドレンパイプ37の外側壁面に付着して大きな油滴に成長したオイルは、ドレンパイプ37の外側壁面を伝わって下方へ流れていくが、ドレンパイプ37の下端では、オイル誘導壁40の壁面40aを伝わり、鋭端となったオイル誘導壁40の下端から滴下する。つまり、ドレンパイプ37の外側壁面を伝わって流れ落ちるオイルは排出口38に回り込むことがなく、排出口38に存在するオイルに影響することがない。従って、ドレンパイプ37内でのオイル溜めとしての機能が維持され、ドレンパイプ37の排出口38を通したブローバイガスの逆流(動弁室3から出口側セパレータ室23への流入)ひいてはブローバイガス取出口17への流出が阻止される。
なお、入口側セパレータ室22のドレンパイプ35について、同様のオイル誘導壁を設けるようにしてもよいが、この入口側セパレータ室22は、主たる圧力損失の要因となる微細通路32の上流側にあり、動弁室3内との圧力差が小さいため、ブローバイガスの逆流は生じにくい。しかも、仮にブローバイガスが排出口36から入口側セパレータ室22内に逆流しても、このブローバイガスは微細通路32等を通過してオイル除去がなされるので、ドレンパイプ35については、ブローバイガスの逆流はそれほど問題とならない。
次に、図4は、この発明に係るオイル誘導壁40の変形例を示している。この実施例では、ドレンパイプ37の底壁37aの外周縁部分が下方へ突出するように折り曲げて成形されており、これによって、先端が鋭端となったテーパ状の断面形状を有するオイル誘導壁40が形成されている。従って、ドレンパイプ37の外側壁面とオイル誘導壁40の壁面40aとは、境界なく連続している。換言すれば、排出口38が開口する底壁37aの中央部分が、底壁37aの外周縁部分に比べて相対的に上方へ窪んだ形となっている。
なお、図2,3の実施例および図4の実施例のいずれも、オイル誘導壁40は、排出口38の全周を囲むように矩形ないし長円形に連続した構成となっているが、本発明においては、必ずしも全周に亘って連続した構成でなくてもよく、例えば、隣接した排気側カムシャフト7から飛翔した油滴を受ける一方の側にのみオイル誘導壁40を設けた構成とすることも可能である。
次に、図5に示す実施例は、上記のオイル誘導壁40の形成に代えて排出口38の位置を変更することによって、ドレンパイプ37内からのオイルの持ち去りを抑制するようにしたものである。具体的には、図1に示したように、ドレンパイプ37が一対のカムシャフト6,7の中で排気側カムシャフト7に隣接している構成を前提とした場合に、排気側カムシャフト7と対面しない側となるドレンパイプ37の一方の側面に、排出口38が開口形成されている。つまり、ドレンパイプ37の下端において、側方へ向かって排出口38が開口している。
ドレンパイプ37の外側壁面に付着する油滴の多くは、隣接するカムシャフトつまりこの場合は排気側カムシャフト7の回転に伴って接線方向に飛翔するオイルからなる。従って、この飛翔するオイルを受けない側に排出口38を配置することで、ドレンパイプ37の外側壁面を伝わって流れ落ちるオイルの影響が大幅に減少し、ドレンパイプ37のオイル溜めとしての機能を維持し得る。
図6に示す実施例は、さらに、排気側カムシャフト7に対面しない側のドレンパイプ37側面に、局部的に窪んだ凹部41が設けられており、この凹部41の中に、上記のように側方へ向かって開口する排出口38が配置されている。換言すれば、側方を向いた排出口38の上方に庇状の段部42が形成され、排出口38上方を覆っている。従って、この排出口38が位置する側のドレンパイプ37の壁面(排気側カムシャフト7に対面しない側の壁面)を伝わって油滴が流れ落ちてきたとしても、この油滴は、段部42の端縁において滴下し、排出口38の方には流れ込まない。これにより、ドレンパイプ37の外側壁面を流れるオイルの影響がさらに低減する。
1…シリンダヘッドカバー
5…オイルセパレータ
22…入口側セパレータ室
23…出口側セパレータ室
32…微細通路
37…ドレンパイプ
38…排出口
40…オイル誘導壁
41…凹部

Claims (6)

  1. 内燃機関のシリンダヘッドカバーに一体に設けられ、該シリンダヘッドカバーを通して外部に取り出されるブローバイガスからオイルミストを分離するオイルセパレータであって、オイルミストの分離を行うセパレータ部の下流側に、分離したオイルが集まる筒状のドレンパイプを備えるとともに、このドレンパイプの下端に、オイルを動弁室内に滴下させるための排出口が設けられてなるオイルセパレータにおいて、
    上記ドレンパイプの下端に、上記排出口の開口縁から離れて該排出口の周囲を囲むオイル誘導壁が設けられていることを特徴とする内燃機関のオイルセパレータ。
  2. 上記オイル誘導壁は、上記ドレンパイプの側面を下方へ延長してなる壁面を有することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関のオイルセパレータ。
  3. 上記オイル誘導壁は、ドレンパイプの一部として該ドレンパイプと一体に樹脂成形されており、ドレンパイプの上下方向に沿った抜き勾配を有することを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関のオイルセパレータ。
  4. 上記オイル誘導壁は、下端が鋭端となったテーパ状の断面形状を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の内燃機関のオイルセパレータ。
  5. 内燃機関のシリンダヘッドカバーに一体に設けられ、該シリンダヘッドカバーを通して外部に取り出されるブローバイガスからオイルミストを分離するオイルセパレータであって、オイルミストの分離を行うセパレータ部の下流側に、分離したオイルが集まる筒状のドレンパイプを備えるとともに、このドレンパイプの下端に、オイルを動弁室内に滴下させるための排出口が設けられてなるオイルセパレータにおいて、
    上記排出口が、上記ドレンパイプに最も近いカムシャフトに対して、該カムシャフトに対面しない側のドレンパイプ側面に開口していることを特徴とする内燃機関のオイルセパレータ。
  6. 上記カムシャフトに対面しない側のドレンパイプ側面が局部的に窪んでおり、上記排出口は、この凹部内に位置していることを特徴とする請求項5に記載の内燃機関のオイルセパレータ。
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