JP2004162625A - ブローバイガス還流システムのオイルセパレータ - Google Patents
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Abstract
【課題】部品点数の増加による製造コストの高騰や重量の増加等の不具合を招くことなく、オイル分離室内で除去されたオイルをシリンダヘッド側に確実に戻す。
【解決手段】ヘッドカバー10との間でオイル分離室16A,16Bを形成する底蓋体15に、シリンダヘッド側に窪む凹状部21を一体に形成し、その凹状部21の側壁にオイル戻し口22を形成する。ヘッドカバー10に凹状部21内に挿入される仕切壁23を一体に形成し、凹状部21と仕切壁23によって鉛直下方で屈曲してオイル分離室16A,16Bとオイル戻し口22を接続する屈曲通路24を形成する。この構成により、ヘッドカバー10と底蓋体15以外に部品を追加することなく、屈曲通路24内に溜まるオイルの液面差によってオイルをシリンダヘッド側に確実に戻すことが可能となる。
【選択図】 図1
【解決手段】ヘッドカバー10との間でオイル分離室16A,16Bを形成する底蓋体15に、シリンダヘッド側に窪む凹状部21を一体に形成し、その凹状部21の側壁にオイル戻し口22を形成する。ヘッドカバー10に凹状部21内に挿入される仕切壁23を一体に形成し、凹状部21と仕切壁23によって鉛直下方で屈曲してオイル分離室16A,16Bとオイル戻し口22を接続する屈曲通路24を形成する。この構成により、ヘッドカバー10と底蓋体15以外に部品を追加することなく、屈曲通路24内に溜まるオイルの液面差によってオイルをシリンダヘッド側に確実に戻すことが可能となる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この出願の発明は、内燃機関のクランクケース内で発生したブローバイガスを機関吸気部に戻すブローバイガス還流システムにおいて、ブローバイガスに混入している潤滑オイルをシリンダヘッドの上部で分離除去するオイルセパレータに関する。
【0002】
【従来の技術】
この種のオイルセパレータとして、シリンダヘッドのヘッドカバー内に板状の底蓋体を取り付け、ヘッドカバーの上壁と底蓋体の間に、機関吸気部に接続されるオイル分離室を形成したものがある。このオイルセパレータは、シリンダヘッドからオイル分離室内に流入したブローバイガスを同分離室内のバッフルプレートに当てることでガス中に混入しているオイル分を滴下させ、その滴下したオイルを、底蓋体に形成されたオイル戻し口を通してシリンダヘッド内に戻すようになっている。
【0003】
上記のオイル戻し口は、底蓋体の平坦な面に単純に孔をあけただけの場合、機関運転中のシリンダヘッド内とオイル分離室内の圧力差(分離室内の圧力の方がシリンダヘッド内の圧力よりも低圧。)によってブローバイガスがオイル戻し口を通して分離室内に吹き込んでしまう。このため、このガスの吹き込みが支障となり、除去オイルをシリンダヘッド側に確実に戻すことができなくなってしまう。
【0004】
このため、従来では、図16に示すように底蓋体1に下方側に窪む凹部2を形成し、オイル戻し口3をその凹部2の底面に形成したものが用いられていた。このオイルセパレータは、前記凹部2が分離オイルの油溜めとなり、凹部2に溜められたオイルの重量がガスの吹き込みを防止する。
【0005】
しかし、このオイルセパレータの場合、分離オイルを凹部2内に溜める必要からオイル戻し口3をある程度以上に大きくすることができず、このためオイル分離室4内で除去されるオイルの流量が多い場合にはオイルの戻しが追いつかなくなるという問題がある。
【0006】
そこで、これに対処するものとして、従来、図17に示すようなものが案出されている。
【0007】
このオイルセパレータは、底蓋体1に下方側に突出する筒部5が延設されると共に、底蓋体1の下面に筒部5の下方と周囲を囲繞するオイル受け部材6が取り付けられ、そのオイル受け部材6の側壁にオイル戻し口3が形成されている。この装置の場合、底蓋体1の筒部5とオイル受け部材6によって鉛直下方で屈曲する屈曲通路が形成されるため、その屈曲通路部分にオイルを常時安定して滞留させることができる。このため、オイル戻し口3の開口面積を充分に大きくしても滞留したオイルが抜け落ちることがなく、したがって、除去オイルの流量の増大にも充分に対処することができる。
【0008】
【特許文献1】
特開2000−45749号公報
【0009】
【特許文献2】
実開平4−107433号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この従来のオイルセパレータにおいては、底蓋体の下面に別体のオイル受け部材を取り付ける必要があるため、部品点数の増加によって製造コストの高騰や重量増加を招いてしまう。特に、オイル受け部材は自身の重量が原因でエンジン振動による取付部の破損を招き易いうえ、底蓋体の重量(付加物を含む合計重量)を増加させるために、底蓋体とヘッドカバーの間のシール性の低下を招く原因となり易い。
【0011】
そこでこの出願の発明は、部品点数の増加による製造コストの高騰や重量の増加等の不具合を招くことなく、オイル分離室内で除去されたオイルをシリンダヘッド側に確実に戻すことのできるブローバイガス還流システムのオイルセパレータを提供しようとするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、シリンダヘッドのヘッドカバー内に底蓋体が取り付けられ、前記ヘッドカバーの上壁と底蓋体の間に、シリンダヘッド内のブローバイガスを導入してそのガスに混入しているオイルを分離するオイル分離室が設けられると共に、前記底蓋体に、オイル分離室で分離されたオイルをシリンダヘッド内に戻すオイル戻し口が設けられたブローバイガス還流システムのオイルセパレータにおいて、前記底蓋体に、シリンダヘッド側に窪む凹状部を一体に形成して、その凹状部に前記オイル戻し口を形成すると共に、前記ヘッドカバーに前記凹状部内に延出する仕切壁を一体に形成し、その凹状部と仕切壁によって鉛直下方で屈曲して前記オイル分離室とオイル戻し口を接続する屈曲通路を形成するようにした。
【0013】
この発明の場合、オイル分離室で除去されたオイルは、底蓋体の凹状部内に流入し、その凹状部とヘッドカバーの仕切壁によって形成された屈曲通路内に一旦溜められる。そして、屈曲通路内のオイル分離室側とオイル戻し口側のオイルの液面差が大きくなると、シリンダヘッド内とオイル分離室内の圧力差に抗して屈曲通路内のオイルがシリンダヘッド内に流出する。また、オイルはオイル戻し口の開口面積に関係なく屈曲通路内に確実に溜められるため、オイル戻し口と屈曲通路の面積を大きくすることでオイルの除去流量の増大に容易に対処することができる。
【0014】
さらに、請求項2に記載の発明は、前記凹状部の側壁にオイル戻し口を形成すると共に、前記凹状部のオイル分離室内に臨む開口を前記仕切壁によってオイル戻し口のない側の第1開口部と、同オイル戻し口のある側の第2開口部とに二分するようにした。この場合、仕切壁と凹状部を比較的単純な形状にしつつも上記の基本機能を実現することができるため、より低コストでの製造が可能である。また、仕切壁と凹状部が比較的単純な形状であることから、厳格な組付精度管理を行わなくても基本性能を維持することができる。
【0015】
請求項3に記載の発明は、前記仕切壁に第2開口部を閉塞する遮蔽板を一体に形成するようにした。
【0016】
この場合、仕切壁に一体に形成した遮蔽板によって第2開口部を閉塞するようにしたため、ブローバイガスが第2開口部を通してオイル分離室内に吹き込む不具合が生じなくなる。
【0017】
請求項4に記載の発明は、前記凹状部の底面に隆起部を設けてその隆起部にオイル戻し口を形成し、前記仕切壁の先端部に溝を形成して、その溝によって前記隆起部を設定隙間をもって跨がせると共に、前記仕切壁の先端部両端を凹状部の内壁に密接させ、前記仕切壁の前後の空間部から先端部の溝内にかけてを鉛直下方で屈曲した屈曲通路とした。
【0018】
この場合、オイル分離室で除去されたオイルが仕切壁の前後から屈曲通路内に流入するため、分離室内のオイルの排出性が良好となる。
【0019】
請求項5に記載の発明は、前記凹状部の底面に隆起部を設けてその隆起部にオイル戻し口を形成し、前記仕切壁の先端に窪み部を形成して、その窪み部によって前記隆起部の上面と周囲を設定隙間をもって囲繞し、前記仕切壁の周域の空間部から先端部の窪み部内にかけてを鉛直下方で屈曲した屈曲通路とした。
【0020】
この場合、オイル分離室で除去されたオイルが仕切壁の周域部から屈曲通路内に流入するため、分離室内のオイルの排出性がさらに良好となる。
【0021】
請求項6に記載の発明は、ヘッドカバーに延設されるオイル分離用のバッフルプレートの下端に前記仕切壁を一体に形成するようにした。
【0022】
この場合、バッフルプレートと仕切壁とを共用するため、夫々を個別に設けるときに比較して使用材料が少なくなり、全体がより軽量化される。
【0023】
【発明の実施の形態】
次に、この出願の発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。
【0024】
まず、図1〜図5に示す第1の実施形態について説明する。
【0025】
図2は、内燃機関のシリンダヘッドからヘッドカバー部分を取り外し、そのヘッドカバー部分を背面側から見た図であり、同図において、10は、ヘッドカバー11は、ヘッドカバー10の内部に設けられたこの出願の発明にかかるオイルセパレータである。ヘッドカバー10の上壁中央には長手方向に沿って複数のプラグ脱着孔12が設けられ、そのプラグ脱着孔12の幅方向両側には、図1に示すように一対の側壁13a,13bが上壁側から延設されている。この対を成す側壁13a,13bの一端は図3,図4に示すようにヘッドカバー10の端部壁によって閉塞され、他端はヘッドカバー10の上壁から延設された端部壁14によって閉塞されている。
【0026】
そして、各対を成す側壁13a,13b間には、下面側から板状の底蓋体15が密閉状態で取り付けられ、それによってヘッドカバー10と底蓋体15の間にオイルセパレータ11のオイル分離室16A,16Bが形成されている。各オイル分離室16A,16Bは、図3,図4に示すように端部壁14にシリンダヘッド側の空間に連通するガス導入孔17が形成されると共に、ヘッドカバー10の他端側にガス排出孔18が設けられている。
【0027】
各オイル分離室16A,16Bのガス排出孔18は機関吸気部に接続され、シリンダヘッド内のブローバイガスをオイル分離室16A,16Bを通して機関吸気部に戻すようになっている。ただし、この実施形態の場合、一方のオイル分離室16Aは機関が高負荷状態にあるとき等には機関吸気部上流側からシリンダヘッド内への新気の導入にも用いられる。尚、図4中19は、他方のオイル分離室16B側のガス排出孔18に取り付けられ、ブローバイガスの戻し流量を制御するPCVバルブである。
【0028】
また、ガス導入孔17から各オイル分離室16A,16Bに導入されるブローバイガスには潤滑オイルのミストが含まれているため、各オイル分離室16A,16Bにはガス中のオイル分を分離除去する目的で複数のバッフルプレート20a,20bが突設されている。具体的には、バッフルプレート20a,20bはヘッドカバー10の上壁下面と底蓋体15の上面とに夫々突設され、各プレート20a,20bには、ガス中のオイル分を効率良く分離除去するために複数の孔や凹凸等が適宜形成されている。
【0029】
各オイル分離室16A,16B内の底蓋体15には断面略V字状の一対の凹状部21が一体に形成されている。この凹状部21は、バッフルプレート20a,20bよりも下流側位置において側壁13a,13bに夫々近接して設けられ、そのV字断面は分離室16A,16Bの長手方向に沿うようにして連続して形成されている。そして、凹状部21のV字の斜面を成す一方の側壁21aの上端には、オイル分離室内16A,16Bで分離除去されたオイルをシリンダヘッド側に戻すためのオイル戻し口22(図1,図5参照。)が形成されている。
【0030】
これに対し、ヘッドカバー10の上壁には各オイル分離室16A,16B毎に一対の仕切壁23が夫々鉛直下方に向かって延設され、この各仕切壁23の先端部が底蓋体15側の前記各凹状部21内に挿入されている。各仕切壁23は矩形状でかつ、オイル分離室16A,16Bの長手方向に沿った所定幅を持ち、その幅方向の端部が対応する凹状部21の内壁に嵌合されている。各仕切壁23は凹状部21の底部まで完全に挿入されずに底部に対して設定高さ分余して挿入され、それによって凹状部21内に鉛直下方で屈曲する略V字状の屈曲通路24を形成している。
【0031】
ここで、図5の凹状部21の開口は、仕切壁23によってオイル戻し口22のない側の第1開口部25aと、オイル戻し口22のある側の第2開口部25bとに二分されているが、前記屈曲通路24は第1開口部25aからオイル戻し口22に向かう通路のことを言う。この実施形態の場合、第2開口部25bはオイル分離室16A,16Bに対して開いたままであるが、その第2開口部25bはオイル分離室16A,16Bの側壁13a,13bに近接し、しかも、オイル分離室16A,16Bの中心部に対しては仕切壁23が遮蔽物となるかたちとなっているため、第2開口部25bを通してブローバイガスがオイル分離室16A,16B内に吹き込む不具合はほとんど生じない。
【0032】
この実施形態のオイルセパレータ11は以上のような構成であるため、ブローバイガスがオイル分離室16A,16B内に導入されると、そのガスがバッフルプレート20a,20bに当ることによってオイル分を分離除去され、底蓋体15の上面に滴下したその除去オイルが凹状部21内に流れ込む。そのオイルは屈曲通路24内に溜められるが、図1に示すように屈曲通路24内の第1開口部25a側の液面がオイル戻し口22側の液面よりも設定高さ以上高くなるとその液面差によってシリンダヘッド側に流出する。このシリンダヘッド側へのオイルの流出は、液面差分のオイルの重量によって行われるため、シリンダヘッド内の圧力とオイル分離室16A,16B内の圧力の差が大きくなっても、確実にオイルを戻すことができる。
【0033】
また、このオイルセパレータ11の場合、オイルは屈曲通路24部分に常時確実に留めておくことができるため、屈曲通路24の断面積とオイル戻し口22の開口面積を大きくすることによって除去オイルの流量の増大に容易に対処することができる。
【0034】
そして、このオイルセパレータ11においては、底蓋体15側に凹状部21を、ヘッドカバー10側に仕切壁23を夫々一体に形成して上述のオイルの排出構造を成すようにしているため、底蓋体15をヘッドカバー10に一体に組付けるだけで、特別に別体部品を付加する必要がないことから重量も増加せず、エンジン振動等による付加部品の破損や底蓋体15のシール性能の低下等の不具合が生じない。そして、部品を別途追加する必要が全くなく低コストでの製造が可能であるという利点もある。
【0035】
以上では、凹状部21の第2開口部25bを塞がない実施形態を説明したが、図6,図7に示す第2の実施形態のように仕切壁23の側部に遮蔽板26を一体に形成し、底蓋体15をヘッドカバー10に取り付けるときに、遮蔽板26によって第2開口部25bの上面を閉塞するようにしても良い。この場合には、部品点数の増加を招くことなく第2開口部25bを確実に閉塞することができるため、第2開口部25bを通してのブローバイガスの吹き込みを確実に防止することができる。そして、このような構成を採用した場合には、凹状部21と仕切壁23とから成るオイル排出部をオイル分離室16A,16Bの中央部に問題なく配置することができる。
【0036】
また、上記の実施形態では、凹状部21と仕切壁23を、これらの幅方向がオイル分離室16A,16Bの長手方向に沿うように配置したが、図8に示す第3の実施形態のように凹状部21と仕切壁23をオイル分離室16A,16Bの幅方向に沿うように配置するようにしても良い。この場合、仕切壁23の面積の大きい側面がブローバイガスの流れ方向とほぼ直交することとなるため、ガス中の混入オイルをより確実に分離させてシリンダブロックに戻すことが可能となる。
【0037】
また、以上では底蓋体15に形成する凹状部21を断面略V字状に形成した実施形態について説明したが、凹状部21は、図9に示すように直方体状に形成するようにしても、さらに図10に示すように有底円筒状に形成するようにしても良い。そして、図9,図10に示したものの場合も、前記の第2の実施形態で説明した遮蔽板26を仕切壁23の側部に一体に形成し、底蓋体15をヘッドカバー10に取り付けるときに遮蔽板26によって第2開口部25bの上面を閉塞するようにしても良い。
【0038】
つづいて、図11,図12に示す第6の実施形態について説明する。
【0039】
この実施形態のオイルセパレータ11は、底蓋体15の凹状部121が下窄まりの台形状に形成されると共に、その凹状部121の底面中央に上窄まりの台形状の隆起部30が形成され、その隆起部30の頂面にオイル戻し口122が形成されている。隆起部30は凹状部121の幅方向の全域に亙って同断面に形成され、その頂面の高さは凹状部121から上方に突出しない高さに設定されている。
【0040】
また、仕切壁123は前記凹状部121とほぼ同幅に形成されると共に、その先端部の前後両面が凹状部121の形状に沿って先窄まりに形成されている。そして、仕切壁123の先端面には断面略逆V字状の溝31が形成され、底蓋体15がヘッドカバー10に組付けられた状態において、その溝31が前記隆起部30の上方側を設定隙間をもって跨ぐようになっている。
【0041】
したがって、この実施形態の場合、仕切壁123の先端部の前後両側から略逆V字状の溝31を通ってオイル戻し口22に連なる二系統の屈曲通路124A,124Bが設けられている。
【0042】
このオイルセパレータの場合、前述の実施形態とほぼ同様の基本効果を得ることができるが、これに加え、仕切壁123の前後両側からオイルを屈曲通路124A,124B内に誘導することができることから、オイル分離室内におけるオイルの排出性をより高めることができ、しかも、凹状部121内のオイル貯留量をも容易に増やすことができるという利点がある。
【0043】
図13は、この実施形態をさらに改良した第7の実施形態である。
【0044】
この実施形態のオイルセパレータは、底蓋体15の凹状部221が截頭円錐状に形成されると共に、その凹状部221の底面に截頭円錐状の隆起部230が形成され、さらにその隆起部230の中央にオイル戻し口222が形成されている。そして、仕切壁223側は、凹状部221の形状に対応して先端部が截頭円錐状に形成されると共に、先端面に前記隆起部230の上方と周囲を設定隙間をもって囲繞するように円錐状の窪み部33が形成されている。
【0045】
このオイルセパレータの場合、オイル戻し口222に連なる屈曲通路224が仕切壁223の周囲に環状につながって形成されるため、オイル分離室内のオイルの排出性がさらに向上すると共に、オイルの貯留量もより増やし易くなる。
【0046】
また、図14,図15は第8の実施形態を示すものであり、この実施形態のオイルセパレータは、ヘッドカバー10の上壁からオイル分離室16A内に延設されるバッフルプレート320の下端に仕切壁23が一体に形成され、その仕切壁23が凹状部21内に挿入されて、その凹状部21と仕切壁23とによってオイル戻し口22につらなる屈曲通路24が形成されている。
【0047】
このオイルセパレータは前述の第1〜第5の実施形態とほぼ同様の作用効果を得ることができるが、それに加え、仕切壁23がバッフルプレート320と一体に形成されているため、使用材料をより少なくし、全体をより軽量化できる利点がある。
【0048】
【発明の効果】
以上のように、この出願の発明は、底蓋体とヘッドカバーに夫々一体に形成した凹状部と仕切壁によって屈曲通路を形成し、オイル分離室で除去されたオイルをその屈曲通路で一旦溜めてオイル戻し口から排出するようにしたため、オイル戻し口からのブローバイガスの吹き上げの影響を受けることなく、しかも、部品点数の増加を招くこともなくオイルをシリンダヘッド側に確実に戻すことができる。したがって、この発明によれば、部品の追加による重量増加を無くすことができることから、部品の振動による取付部の破損や、底蓋部材とヘッドカバー間のシール性の低下等を防止することができる。そして、オイル排出性能を維持しつつも部品点数の削減によって製造コストの高騰と重量増加を回避することができる。
【0049】
さらに、この発明においては、オイル戻し口の開口面積に関係なく屈曲通路内に確実にオイルを溜めることができるため、オイル戻し口の開口面積と屈曲通路の断面積を大きくすることによって、オイルの除去流量の増大に容易に対処することができる。特に、この発明の場合、凹状部と仕切部材の間に屈曲通路を形成するものであるため、両者の離間距離を変えるだけで屈曲通路内の貯留オイル量を容易に増大させることができるという利点もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この出願の発明の第1の実施形態を示す図2のC−C線に沿う断面図。
【図2】同実施形態を示すヘッドカバーの背面図。
【図3】同実施形態を示す図2のA−A線に沿う断面図。
【図4】同実施形態を示す図2のB−B線に沿う断面図。
【図5】同実施形態を示す要部の部分破断斜視図。
【図6】この出願の発明の第2の実施形態を示す要部の断面図。
【図7】同実施形態を示す要部の部分破断斜視図。
【図8】この出願の発明の第3の実施形態を示す図4に対応の断面図。
【図9】この出願の発明の第4の実施形態を示す要部の部分破断斜視図。
【図10】この出願の発明の第5の実施形態を示す要部の部分破断斜視図。
【図11】この出願の発明の第6の実施形態を示す要部の組付前状態の部分破断斜視図。
【図12】同実施形態を示す図11のD−D断面に対応の断面図。
【図13】この出願の発明の第7の実施形態を示す要部の組付前状態の部分破断斜視図。
【図14】この出願の発明の第8の実施形態を示す要部の断面図。
【図15】同実施形態を示す図14のE−E線に沿う断面図。
【図16】従来の技術を示す断面図。
【図17】別の従来の技術を示す断面図。
【符号の説明】
10…ヘッドカバー
11…オイルセパレータ
15…底蓋体
21,121,221…凹状部
22,122,222…オイル戻し口
23,123,223…仕切壁
24,124A,124B,224…屈曲通路
25a…第1開口部
25b…第2開口部
26…遮蔽板
30…隆起部
31…溝
33…窪み部
【発明の属する技術分野】
この出願の発明は、内燃機関のクランクケース内で発生したブローバイガスを機関吸気部に戻すブローバイガス還流システムにおいて、ブローバイガスに混入している潤滑オイルをシリンダヘッドの上部で分離除去するオイルセパレータに関する。
【0002】
【従来の技術】
この種のオイルセパレータとして、シリンダヘッドのヘッドカバー内に板状の底蓋体を取り付け、ヘッドカバーの上壁と底蓋体の間に、機関吸気部に接続されるオイル分離室を形成したものがある。このオイルセパレータは、シリンダヘッドからオイル分離室内に流入したブローバイガスを同分離室内のバッフルプレートに当てることでガス中に混入しているオイル分を滴下させ、その滴下したオイルを、底蓋体に形成されたオイル戻し口を通してシリンダヘッド内に戻すようになっている。
【0003】
上記のオイル戻し口は、底蓋体の平坦な面に単純に孔をあけただけの場合、機関運転中のシリンダヘッド内とオイル分離室内の圧力差(分離室内の圧力の方がシリンダヘッド内の圧力よりも低圧。)によってブローバイガスがオイル戻し口を通して分離室内に吹き込んでしまう。このため、このガスの吹き込みが支障となり、除去オイルをシリンダヘッド側に確実に戻すことができなくなってしまう。
【0004】
このため、従来では、図16に示すように底蓋体1に下方側に窪む凹部2を形成し、オイル戻し口3をその凹部2の底面に形成したものが用いられていた。このオイルセパレータは、前記凹部2が分離オイルの油溜めとなり、凹部2に溜められたオイルの重量がガスの吹き込みを防止する。
【0005】
しかし、このオイルセパレータの場合、分離オイルを凹部2内に溜める必要からオイル戻し口3をある程度以上に大きくすることができず、このためオイル分離室4内で除去されるオイルの流量が多い場合にはオイルの戻しが追いつかなくなるという問題がある。
【0006】
そこで、これに対処するものとして、従来、図17に示すようなものが案出されている。
【0007】
このオイルセパレータは、底蓋体1に下方側に突出する筒部5が延設されると共に、底蓋体1の下面に筒部5の下方と周囲を囲繞するオイル受け部材6が取り付けられ、そのオイル受け部材6の側壁にオイル戻し口3が形成されている。この装置の場合、底蓋体1の筒部5とオイル受け部材6によって鉛直下方で屈曲する屈曲通路が形成されるため、その屈曲通路部分にオイルを常時安定して滞留させることができる。このため、オイル戻し口3の開口面積を充分に大きくしても滞留したオイルが抜け落ちることがなく、したがって、除去オイルの流量の増大にも充分に対処することができる。
【0008】
【特許文献1】
特開2000−45749号公報
【0009】
【特許文献2】
実開平4−107433号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この従来のオイルセパレータにおいては、底蓋体の下面に別体のオイル受け部材を取り付ける必要があるため、部品点数の増加によって製造コストの高騰や重量増加を招いてしまう。特に、オイル受け部材は自身の重量が原因でエンジン振動による取付部の破損を招き易いうえ、底蓋体の重量(付加物を含む合計重量)を増加させるために、底蓋体とヘッドカバーの間のシール性の低下を招く原因となり易い。
【0011】
そこでこの出願の発明は、部品点数の増加による製造コストの高騰や重量の増加等の不具合を招くことなく、オイル分離室内で除去されたオイルをシリンダヘッド側に確実に戻すことのできるブローバイガス還流システムのオイルセパレータを提供しようとするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、シリンダヘッドのヘッドカバー内に底蓋体が取り付けられ、前記ヘッドカバーの上壁と底蓋体の間に、シリンダヘッド内のブローバイガスを導入してそのガスに混入しているオイルを分離するオイル分離室が設けられると共に、前記底蓋体に、オイル分離室で分離されたオイルをシリンダヘッド内に戻すオイル戻し口が設けられたブローバイガス還流システムのオイルセパレータにおいて、前記底蓋体に、シリンダヘッド側に窪む凹状部を一体に形成して、その凹状部に前記オイル戻し口を形成すると共に、前記ヘッドカバーに前記凹状部内に延出する仕切壁を一体に形成し、その凹状部と仕切壁によって鉛直下方で屈曲して前記オイル分離室とオイル戻し口を接続する屈曲通路を形成するようにした。
【0013】
この発明の場合、オイル分離室で除去されたオイルは、底蓋体の凹状部内に流入し、その凹状部とヘッドカバーの仕切壁によって形成された屈曲通路内に一旦溜められる。そして、屈曲通路内のオイル分離室側とオイル戻し口側のオイルの液面差が大きくなると、シリンダヘッド内とオイル分離室内の圧力差に抗して屈曲通路内のオイルがシリンダヘッド内に流出する。また、オイルはオイル戻し口の開口面積に関係なく屈曲通路内に確実に溜められるため、オイル戻し口と屈曲通路の面積を大きくすることでオイルの除去流量の増大に容易に対処することができる。
【0014】
さらに、請求項2に記載の発明は、前記凹状部の側壁にオイル戻し口を形成すると共に、前記凹状部のオイル分離室内に臨む開口を前記仕切壁によってオイル戻し口のない側の第1開口部と、同オイル戻し口のある側の第2開口部とに二分するようにした。この場合、仕切壁と凹状部を比較的単純な形状にしつつも上記の基本機能を実現することができるため、より低コストでの製造が可能である。また、仕切壁と凹状部が比較的単純な形状であることから、厳格な組付精度管理を行わなくても基本性能を維持することができる。
【0015】
請求項3に記載の発明は、前記仕切壁に第2開口部を閉塞する遮蔽板を一体に形成するようにした。
【0016】
この場合、仕切壁に一体に形成した遮蔽板によって第2開口部を閉塞するようにしたため、ブローバイガスが第2開口部を通してオイル分離室内に吹き込む不具合が生じなくなる。
【0017】
請求項4に記載の発明は、前記凹状部の底面に隆起部を設けてその隆起部にオイル戻し口を形成し、前記仕切壁の先端部に溝を形成して、その溝によって前記隆起部を設定隙間をもって跨がせると共に、前記仕切壁の先端部両端を凹状部の内壁に密接させ、前記仕切壁の前後の空間部から先端部の溝内にかけてを鉛直下方で屈曲した屈曲通路とした。
【0018】
この場合、オイル分離室で除去されたオイルが仕切壁の前後から屈曲通路内に流入するため、分離室内のオイルの排出性が良好となる。
【0019】
請求項5に記載の発明は、前記凹状部の底面に隆起部を設けてその隆起部にオイル戻し口を形成し、前記仕切壁の先端に窪み部を形成して、その窪み部によって前記隆起部の上面と周囲を設定隙間をもって囲繞し、前記仕切壁の周域の空間部から先端部の窪み部内にかけてを鉛直下方で屈曲した屈曲通路とした。
【0020】
この場合、オイル分離室で除去されたオイルが仕切壁の周域部から屈曲通路内に流入するため、分離室内のオイルの排出性がさらに良好となる。
【0021】
請求項6に記載の発明は、ヘッドカバーに延設されるオイル分離用のバッフルプレートの下端に前記仕切壁を一体に形成するようにした。
【0022】
この場合、バッフルプレートと仕切壁とを共用するため、夫々を個別に設けるときに比較して使用材料が少なくなり、全体がより軽量化される。
【0023】
【発明の実施の形態】
次に、この出願の発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。
【0024】
まず、図1〜図5に示す第1の実施形態について説明する。
【0025】
図2は、内燃機関のシリンダヘッドからヘッドカバー部分を取り外し、そのヘッドカバー部分を背面側から見た図であり、同図において、10は、ヘッドカバー11は、ヘッドカバー10の内部に設けられたこの出願の発明にかかるオイルセパレータである。ヘッドカバー10の上壁中央には長手方向に沿って複数のプラグ脱着孔12が設けられ、そのプラグ脱着孔12の幅方向両側には、図1に示すように一対の側壁13a,13bが上壁側から延設されている。この対を成す側壁13a,13bの一端は図3,図4に示すようにヘッドカバー10の端部壁によって閉塞され、他端はヘッドカバー10の上壁から延設された端部壁14によって閉塞されている。
【0026】
そして、各対を成す側壁13a,13b間には、下面側から板状の底蓋体15が密閉状態で取り付けられ、それによってヘッドカバー10と底蓋体15の間にオイルセパレータ11のオイル分離室16A,16Bが形成されている。各オイル分離室16A,16Bは、図3,図4に示すように端部壁14にシリンダヘッド側の空間に連通するガス導入孔17が形成されると共に、ヘッドカバー10の他端側にガス排出孔18が設けられている。
【0027】
各オイル分離室16A,16Bのガス排出孔18は機関吸気部に接続され、シリンダヘッド内のブローバイガスをオイル分離室16A,16Bを通して機関吸気部に戻すようになっている。ただし、この実施形態の場合、一方のオイル分離室16Aは機関が高負荷状態にあるとき等には機関吸気部上流側からシリンダヘッド内への新気の導入にも用いられる。尚、図4中19は、他方のオイル分離室16B側のガス排出孔18に取り付けられ、ブローバイガスの戻し流量を制御するPCVバルブである。
【0028】
また、ガス導入孔17から各オイル分離室16A,16Bに導入されるブローバイガスには潤滑オイルのミストが含まれているため、各オイル分離室16A,16Bにはガス中のオイル分を分離除去する目的で複数のバッフルプレート20a,20bが突設されている。具体的には、バッフルプレート20a,20bはヘッドカバー10の上壁下面と底蓋体15の上面とに夫々突設され、各プレート20a,20bには、ガス中のオイル分を効率良く分離除去するために複数の孔や凹凸等が適宜形成されている。
【0029】
各オイル分離室16A,16B内の底蓋体15には断面略V字状の一対の凹状部21が一体に形成されている。この凹状部21は、バッフルプレート20a,20bよりも下流側位置において側壁13a,13bに夫々近接して設けられ、そのV字断面は分離室16A,16Bの長手方向に沿うようにして連続して形成されている。そして、凹状部21のV字の斜面を成す一方の側壁21aの上端には、オイル分離室内16A,16Bで分離除去されたオイルをシリンダヘッド側に戻すためのオイル戻し口22(図1,図5参照。)が形成されている。
【0030】
これに対し、ヘッドカバー10の上壁には各オイル分離室16A,16B毎に一対の仕切壁23が夫々鉛直下方に向かって延設され、この各仕切壁23の先端部が底蓋体15側の前記各凹状部21内に挿入されている。各仕切壁23は矩形状でかつ、オイル分離室16A,16Bの長手方向に沿った所定幅を持ち、その幅方向の端部が対応する凹状部21の内壁に嵌合されている。各仕切壁23は凹状部21の底部まで完全に挿入されずに底部に対して設定高さ分余して挿入され、それによって凹状部21内に鉛直下方で屈曲する略V字状の屈曲通路24を形成している。
【0031】
ここで、図5の凹状部21の開口は、仕切壁23によってオイル戻し口22のない側の第1開口部25aと、オイル戻し口22のある側の第2開口部25bとに二分されているが、前記屈曲通路24は第1開口部25aからオイル戻し口22に向かう通路のことを言う。この実施形態の場合、第2開口部25bはオイル分離室16A,16Bに対して開いたままであるが、その第2開口部25bはオイル分離室16A,16Bの側壁13a,13bに近接し、しかも、オイル分離室16A,16Bの中心部に対しては仕切壁23が遮蔽物となるかたちとなっているため、第2開口部25bを通してブローバイガスがオイル分離室16A,16B内に吹き込む不具合はほとんど生じない。
【0032】
この実施形態のオイルセパレータ11は以上のような構成であるため、ブローバイガスがオイル分離室16A,16B内に導入されると、そのガスがバッフルプレート20a,20bに当ることによってオイル分を分離除去され、底蓋体15の上面に滴下したその除去オイルが凹状部21内に流れ込む。そのオイルは屈曲通路24内に溜められるが、図1に示すように屈曲通路24内の第1開口部25a側の液面がオイル戻し口22側の液面よりも設定高さ以上高くなるとその液面差によってシリンダヘッド側に流出する。このシリンダヘッド側へのオイルの流出は、液面差分のオイルの重量によって行われるため、シリンダヘッド内の圧力とオイル分離室16A,16B内の圧力の差が大きくなっても、確実にオイルを戻すことができる。
【0033】
また、このオイルセパレータ11の場合、オイルは屈曲通路24部分に常時確実に留めておくことができるため、屈曲通路24の断面積とオイル戻し口22の開口面積を大きくすることによって除去オイルの流量の増大に容易に対処することができる。
【0034】
そして、このオイルセパレータ11においては、底蓋体15側に凹状部21を、ヘッドカバー10側に仕切壁23を夫々一体に形成して上述のオイルの排出構造を成すようにしているため、底蓋体15をヘッドカバー10に一体に組付けるだけで、特別に別体部品を付加する必要がないことから重量も増加せず、エンジン振動等による付加部品の破損や底蓋体15のシール性能の低下等の不具合が生じない。そして、部品を別途追加する必要が全くなく低コストでの製造が可能であるという利点もある。
【0035】
以上では、凹状部21の第2開口部25bを塞がない実施形態を説明したが、図6,図7に示す第2の実施形態のように仕切壁23の側部に遮蔽板26を一体に形成し、底蓋体15をヘッドカバー10に取り付けるときに、遮蔽板26によって第2開口部25bの上面を閉塞するようにしても良い。この場合には、部品点数の増加を招くことなく第2開口部25bを確実に閉塞することができるため、第2開口部25bを通してのブローバイガスの吹き込みを確実に防止することができる。そして、このような構成を採用した場合には、凹状部21と仕切壁23とから成るオイル排出部をオイル分離室16A,16Bの中央部に問題なく配置することができる。
【0036】
また、上記の実施形態では、凹状部21と仕切壁23を、これらの幅方向がオイル分離室16A,16Bの長手方向に沿うように配置したが、図8に示す第3の実施形態のように凹状部21と仕切壁23をオイル分離室16A,16Bの幅方向に沿うように配置するようにしても良い。この場合、仕切壁23の面積の大きい側面がブローバイガスの流れ方向とほぼ直交することとなるため、ガス中の混入オイルをより確実に分離させてシリンダブロックに戻すことが可能となる。
【0037】
また、以上では底蓋体15に形成する凹状部21を断面略V字状に形成した実施形態について説明したが、凹状部21は、図9に示すように直方体状に形成するようにしても、さらに図10に示すように有底円筒状に形成するようにしても良い。そして、図9,図10に示したものの場合も、前記の第2の実施形態で説明した遮蔽板26を仕切壁23の側部に一体に形成し、底蓋体15をヘッドカバー10に取り付けるときに遮蔽板26によって第2開口部25bの上面を閉塞するようにしても良い。
【0038】
つづいて、図11,図12に示す第6の実施形態について説明する。
【0039】
この実施形態のオイルセパレータ11は、底蓋体15の凹状部121が下窄まりの台形状に形成されると共に、その凹状部121の底面中央に上窄まりの台形状の隆起部30が形成され、その隆起部30の頂面にオイル戻し口122が形成されている。隆起部30は凹状部121の幅方向の全域に亙って同断面に形成され、その頂面の高さは凹状部121から上方に突出しない高さに設定されている。
【0040】
また、仕切壁123は前記凹状部121とほぼ同幅に形成されると共に、その先端部の前後両面が凹状部121の形状に沿って先窄まりに形成されている。そして、仕切壁123の先端面には断面略逆V字状の溝31が形成され、底蓋体15がヘッドカバー10に組付けられた状態において、その溝31が前記隆起部30の上方側を設定隙間をもって跨ぐようになっている。
【0041】
したがって、この実施形態の場合、仕切壁123の先端部の前後両側から略逆V字状の溝31を通ってオイル戻し口22に連なる二系統の屈曲通路124A,124Bが設けられている。
【0042】
このオイルセパレータの場合、前述の実施形態とほぼ同様の基本効果を得ることができるが、これに加え、仕切壁123の前後両側からオイルを屈曲通路124A,124B内に誘導することができることから、オイル分離室内におけるオイルの排出性をより高めることができ、しかも、凹状部121内のオイル貯留量をも容易に増やすことができるという利点がある。
【0043】
図13は、この実施形態をさらに改良した第7の実施形態である。
【0044】
この実施形態のオイルセパレータは、底蓋体15の凹状部221が截頭円錐状に形成されると共に、その凹状部221の底面に截頭円錐状の隆起部230が形成され、さらにその隆起部230の中央にオイル戻し口222が形成されている。そして、仕切壁223側は、凹状部221の形状に対応して先端部が截頭円錐状に形成されると共に、先端面に前記隆起部230の上方と周囲を設定隙間をもって囲繞するように円錐状の窪み部33が形成されている。
【0045】
このオイルセパレータの場合、オイル戻し口222に連なる屈曲通路224が仕切壁223の周囲に環状につながって形成されるため、オイル分離室内のオイルの排出性がさらに向上すると共に、オイルの貯留量もより増やし易くなる。
【0046】
また、図14,図15は第8の実施形態を示すものであり、この実施形態のオイルセパレータは、ヘッドカバー10の上壁からオイル分離室16A内に延設されるバッフルプレート320の下端に仕切壁23が一体に形成され、その仕切壁23が凹状部21内に挿入されて、その凹状部21と仕切壁23とによってオイル戻し口22につらなる屈曲通路24が形成されている。
【0047】
このオイルセパレータは前述の第1〜第5の実施形態とほぼ同様の作用効果を得ることができるが、それに加え、仕切壁23がバッフルプレート320と一体に形成されているため、使用材料をより少なくし、全体をより軽量化できる利点がある。
【0048】
【発明の効果】
以上のように、この出願の発明は、底蓋体とヘッドカバーに夫々一体に形成した凹状部と仕切壁によって屈曲通路を形成し、オイル分離室で除去されたオイルをその屈曲通路で一旦溜めてオイル戻し口から排出するようにしたため、オイル戻し口からのブローバイガスの吹き上げの影響を受けることなく、しかも、部品点数の増加を招くこともなくオイルをシリンダヘッド側に確実に戻すことができる。したがって、この発明によれば、部品の追加による重量増加を無くすことができることから、部品の振動による取付部の破損や、底蓋部材とヘッドカバー間のシール性の低下等を防止することができる。そして、オイル排出性能を維持しつつも部品点数の削減によって製造コストの高騰と重量増加を回避することができる。
【0049】
さらに、この発明においては、オイル戻し口の開口面積に関係なく屈曲通路内に確実にオイルを溜めることができるため、オイル戻し口の開口面積と屈曲通路の断面積を大きくすることによって、オイルの除去流量の増大に容易に対処することができる。特に、この発明の場合、凹状部と仕切部材の間に屈曲通路を形成するものであるため、両者の離間距離を変えるだけで屈曲通路内の貯留オイル量を容易に増大させることができるという利点もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この出願の発明の第1の実施形態を示す図2のC−C線に沿う断面図。
【図2】同実施形態を示すヘッドカバーの背面図。
【図3】同実施形態を示す図2のA−A線に沿う断面図。
【図4】同実施形態を示す図2のB−B線に沿う断面図。
【図5】同実施形態を示す要部の部分破断斜視図。
【図6】この出願の発明の第2の実施形態を示す要部の断面図。
【図7】同実施形態を示す要部の部分破断斜視図。
【図8】この出願の発明の第3の実施形態を示す図4に対応の断面図。
【図9】この出願の発明の第4の実施形態を示す要部の部分破断斜視図。
【図10】この出願の発明の第5の実施形態を示す要部の部分破断斜視図。
【図11】この出願の発明の第6の実施形態を示す要部の組付前状態の部分破断斜視図。
【図12】同実施形態を示す図11のD−D断面に対応の断面図。
【図13】この出願の発明の第7の実施形態を示す要部の組付前状態の部分破断斜視図。
【図14】この出願の発明の第8の実施形態を示す要部の断面図。
【図15】同実施形態を示す図14のE−E線に沿う断面図。
【図16】従来の技術を示す断面図。
【図17】別の従来の技術を示す断面図。
【符号の説明】
10…ヘッドカバー
11…オイルセパレータ
15…底蓋体
21,121,221…凹状部
22,122,222…オイル戻し口
23,123,223…仕切壁
24,124A,124B,224…屈曲通路
25a…第1開口部
25b…第2開口部
26…遮蔽板
30…隆起部
31…溝
33…窪み部
Claims (6)
- シリンダヘッドのヘッドカバー内に底蓋体が取り付けられ、前記ヘッドカバーの上壁と底蓋体の間に、シリンダヘッド内のブローバイガスを導入してそのガスに混入しているオイルを分離するオイル分離室が設けられると共に、前記底蓋体に、オイル分離室で分離されたオイルをシリンダヘッド内に戻すオイル戻し口が設けられたブローバイガス還流システムのオイルセパレータにおいて、
前記底蓋体に、シリンダヘッド側に窪む凹状部を一体に形成して、その凹状部に前記オイル戻し口を形成すると共に、前記ヘッドカバーに前記凹状部内に延出する仕切壁を一体に形成し、その凹状部と仕切壁によって鉛直下方で屈曲して前記オイル分離室とオイル戻し口を接続する屈曲通路を形成したことを特徴とするブローバイガス還流システムのオイルセパレータ。 - 前記凹状部の側壁にオイル戻し口を形成すると共に、前記凹状部のオイル分離室内に臨む開口を前記仕切壁によってオイル戻し口のない側の第1開口部と、同オイル戻し口のある側の第2開口部とに二分したことを特徴とする請求項1に記載のブローバイガス還流システムのオイルセパレータ。
- 前記仕切壁に第2開口部を閉塞する遮蔽板を一体に形成したことを特徴とする請求項2に記載のブローバイガス還流システムのオイルセパレータ。
- 前記凹状部の底面に隆起部を設けてその隆起部にオイル戻し口を形成し、前記仕切壁の先端部に溝を形成して、その溝によって前記隆起部を設定隙間をもって跨がせると共に、前記仕切壁の先端部両端を凹状部の内壁に密接させ、前記仕切壁の前後の空間部から先端部の溝内にかけてを鉛直下方で屈曲した屈曲通路としたことを特徴とする請求項1に記載のブローバイガス還流システムのオイルセパレータ。
- 前記凹状部の底面に隆起部を設けてその隆起部にオイル戻し口を形成し、前記仕切壁の先端に窪み部を形成して、その窪み部によって前記隆起部の上面と周囲を設定隙間をもって囲繞し、前記仕切壁の周域の空間部から先端部の窪み部内にかけてを鉛直下方で屈曲した屈曲通路としたことを特徴とする請求項1に記載のブローバイガス還流システムのオイルセパレータ。
- ヘッドカバーに延設されるオイル分離用のバッフルプレートの下端に前記仕切壁を一体に形成したことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のブローバイガス還流システムのオイルセパレータ。
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