JP2009047141A - エンジンのオイル分離装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】第二分離室32Bにおける下位開口56Bが、エンジン前方側のエンジン外側の最端部に設定され、第二分離室32Bにおける上位開口57Aが、エンジン後方側のエンジン中央側の最端部に設定されているため、両開口56B,57Aが第二分離室32Bの空間の中で最も離れた位置に位置することになる。
【選択図】図6
Description
しかし、エンジンのクランク室には、エンジンオイルが存在することから、このエンジンオイルがオイルミストとなってブローバイガス内に混入するため、このオイルミストを分離した上で、ブローバイガスを吸気通路に戻す必要がある。
また、ブローバイガスの流れも、仕切り壁の幅方向略中央に下位開口が形成されていることから、絞り連通路から流れ出たブローバイガスが、そのまま気筒列直交方向に流れ、流れ出た直後に、ブローバイガスの流れを確実に気筒列方向に屈曲させることができないという問題もあった。
このため、中間分離室におけるブローバイガスの流れは、最も長い距離を経て中間分離室内を流れることになり、制限される中間分離室の長さ・容積を効果的に使用してオイル分離を行なうことができる。
また、下位開口を中間分離室の隅部に設定していることで、絞り連通路から流出するブローバイガスの流れを、中間分離室の側壁によって即座に堰き止めることができ、確実に気筒列方向に屈曲させることができる。
ここで、「中間分離室」とは、仕切り壁で3つの分離室に仕切った場合には、中央の2番目の分離室のことをいい、仕切り壁で4つの分離室に仕切った場合には、中央側の2番目、3番目の分離室のことをいう。
上記構成によれば、絞り連通路の下位開口の下方に凹部を設けることで、エンジン高負荷時に、絞り連通路から出るブローバイガスが一旦凹部に溜まる。そして、その凹部から気筒列方向に延びる上り傾斜案内面を形成したことで、凹部に溜まったブローバイガスが上り傾斜案内面によって気筒列方向に指向性をもって流れることになる。
このため、中間分離室内でのブローバイガスの流れ方向が、対角位置の上位開口に向って直接流れず、迂回的に仕切り壁側に向って流れることになるため、中間分離室でのブローバイガスの滞留時間をより長くすることができ、オイル成分の付着量を増加することができる。
よって、さらに、ブローバイガスのオイル分離性能を高めることができる。
上記構成によれば、仕切り壁及び絞り連通路を、底壁ともに樹脂部材で一体成形することで、ヘッドカバー側に一体的に仕切り壁や絞り連通路を成形する必要がない。
このため、ヘッドカバー側に仕切り壁や絞り連通路を成形した場合における、ヘッドカバー成形後に行なうキリ穴加工等によって、絞り連通路の形成位置が制限されないため、確実に絞り連通路を仕切り壁の全幅にわたって形成することができる。
よって、容易に、仕切り壁の側端位置に下位開口を有する絞り連通路を形成することができ、生産性を悪化させることなく、オイル分離性能を高めることができる。
上記構成によれば、仕切り壁が断面略ハット形状の二重壁形状とされることで、仕切り壁を樹脂部材で成形しても、仕切り壁自体の剛性を高めることができる。
このため、負圧、正圧が繰返し作用することで、変形し易くなる仕切り壁の形状や位置を、常時一定にすることができ、仕切り壁に一体に形成される絞り連通路の位置を確実に維持することができる。
よって、仕切り壁や絞り連通路を樹脂部材で一体成形した場合であっても、確実に下位開口、上部開口の位置を維持することができ、高いオイル分離性能を維持することができる。
よって、オイルミストを含むブローバイガスを導入して、オイルを分離した上でブローバイガスを吸気通路に戻すエンジンのオイル分離装置において、シリンダーヘッドカバー内のオイル分離室の幅方向の全幅を有効に利用して、制限されたオイル分離室の長さ及び容積を効率的に使用して、また、絞り連通路からのブローバイガスの流れを、絞り連通路の流出直後に確実に屈曲させることで、オイル分離性能を高めることができる。
エンジン1は、周知のように、ピストン2及びクランクシャフト3等を内部に設けたシリンダーブロック4と、このシリンダーブロック4の下方に設置されて内部にエンジンオイルOを収容するオイルパン5と、シリンダーブロック4の上方に設置されてカムシャフト5及びインテークバルブ6等を内部に設けたシリンダーヘッド7と、このシリンダーヘッド7の上方に設置されてカムシャフト5等を覆うヘッドカバー8とを備えている。
そこで、本実施形態では、クランク室17内のベンチレーションを行なえるように、第二の還元通路30を利用して、フレキシブルパイプ10内のエアをクランク室17に導くようにしている。
この場合のエアP1の流れは、全負荷状態のブローバイガスVの流れ方向とは逆で、第二連通路33→ヘッドカバー空間室32→排気系動弁室31という経路を経て、フレキシブルパイプ10内のエアP1をクランク室17内に導くようにしている。
なお、この接合周縁部59と排気側天井壁部82の接合固定は、振動を与えて当接部位を溶着させて、接合を行なう「振動溶着」や、接着剤を用いて接合をおこなう「接着固定」等で行なう。
この仕切り壁部53(54)の「クランク形状」は、エンジン前方側位置で気筒列直交方向に延びる前側横壁要素53a(54a)と、エンジン後方側位置で気筒列直交方向に延びる後側横壁要素53b(54b)と、中央位置で気筒列方向に延びる中央縦壁要素53c(54c)とによって構成している。
このように、仕切り壁部53,54を補助壁部87,87に接合することで、ヘッドカバー空間室32を、エンジン前方側から、第一分離室32A、第二分離室32B、第三分離室32Cの三室に、仕切るように構成している。
また、この下部凹部60のエンジン後方側には、気筒列方向に延びて、徐々に上方に傾斜する傾斜案内面61を形成している(図9参照)。
さらに、この傾斜案内面61の隣接位置には、三角形状に傾斜した準案内面62を形成しており、また、下部凹部60の上方位置には、絞り連通路56,57から連なる庇部63を形成している(図5参照)。
すなわち、第二分離室32Bにおける下位開口56Bが、エンジン前方側のエンジン外方側の最端部に設定され、第二分離室32Bにおける上位開口57Aが、エンジン後方側のエンジン中央側の最端部に設定されているため、両開口56B,57Aが第二分離室32Bの空間の中で最も離れた位置に位置するのである。
このガス導入口58は、動弁室31側からブローバイガスをヘッドカバー空間室32に取り込むとともに、ヘッドカバー空間室32で液滴したオイル成分を、クランク室17内に戻すオイルドレン部としても機能する。
オイルミストを含んだブローバイガスVは、図6に示すように、ガス導入口58から第一分離室32A内に流れ込む。この第一分離室32A内に流れ込んだブローバイガスVは、負圧が作用している上位開口56Aから吸引されて、第一分離室32Aのエンジン1後方側に流れることになる。
そして、最後に、ブローバイガスVは、連結プラグ86から、第二連通路33に排出されることになる。
以上のようにして、本実施形態の第二オイル分離手段50は、ブローバイガスVを流すことにより、ブローバイガスVからオイル成分を分離するようにしている。
第一分離室32Aで分離されたオイルについては、そのまま、ガス導入口58から滴下することになるが、第二分離室32B、第三分離室32Cで分離されたオイルについても、以下の過程によって、ガス導入口58から滴下するようにしている。
このような、ベンチレーションのエアP1が発生する部分負荷状態は、運転状態が即座に変動する車両搭載用のエンジン1においては、頻繁に生じるため、こうしたオイルの分離室32A,32B,32C間の移動は、確実に生じる。
この実施形態では、ヘッドカバー空間室32を、二つの仕切り壁部53,54で第一分離室32A、第二分離室32B、第三分離室32Cに仕切り、第二分離室32Bにおける下位開口56Bと上位開口57Aを、第二分離室32Bの隅部に対角に位置するように設定している。
このため、第二分離室32Bにおけるブローバイガスの流れは、最も長い距離を経て第二分離室32B内を流れることになり、制限される第二分離室32Bの長さ・容積を効果的に使用してオイル分離を行なうことができる。
また、下位開口56Bを第二分離室32Bの隅部に設定していることで、絞り連通路56から流出するブローバイガスVの流れを、第二分離室32Bの側方に位置する側壁60Bによって即座に堰き止めることができ、確実に気筒列方向に屈曲させることができる。
よって、オイルミストを含むブローバイガスを導入して、エンジンオイルを分離した上でブローバイガスを吸気系に戻すエンジンのオイル分離装置において、シリンダーヘッドカバー8内の第二分離室32の幅方向の全幅を有効に利用して、制限される第二分離室32Bの長さ及び容積を効率的に使用して、また、絞り連通路56からのブローバイガスVの流れを、絞り連通路56の流出直後に確実に屈曲させることで、オイル分離性能を高めることができる。
これにより、エンジン1の高負荷時に、絞り連通路56から出るブローバイガスVが、一旦下部凹部60に溜まる。そして、この下部凹部60から気筒列方向に延びる傾斜案内面61を形成したことで、下部凹部60に溜まったブローバイガスVが傾斜案内面61によって気筒列方向に指向性をもって流れることになる。
このため、第二分離室32B内でのブローバイガスVの流れ方向が、直接対角位置の上位開口57Aに向って流れず、迂回的に仕切り壁部54側に向って流れることになるため、第二分離室32BでのブローバイガスVの滞留時間をより長くすることができ、オイル成分の付着量を増加することができる。
よって、さらに、ブローバイガスVのオイル分離性能を高めることができる。
これにより、仕切り壁部53,54及び絞り連通路56,57を、バッフルプレート51に一体成形することができ、ヘッドカバー8側に一体的に仕切り壁部や絞り連通路を成形する必要がない。
このため、例えば、ヘッドカバー側に仕切り壁部や絞り連通路を成形した場合における、ヘッドカバー成形後に行なうキリ穴加工による、絞り連通路の形成位置が、ヘッドカバーの形状等により制限されないため、絞り連通路56,57の位置を仕切り壁部53,54の全幅にわたって確実に形成することができる。
よって、仕切り壁部53の側端位置に下位開口56Bを有する絞り連通路56を容易に形成することができ、生産性を悪化させることなく、オイル分離性能を高めることができる。
これにより、仕切り壁部53,54が、略ハット形状の断面の二重壁形状とされるため、仕切り壁部53,54を樹脂部材で成形していても、仕切り壁部53,54自体の剛性を高めることができる。
このため、負圧正圧が繰返し作用して、変形し易くなる仕切り壁部53,54の形状や位置を、常時一定にすることができ、仕切り壁部53,54に一体に形成される絞り連通路56,57の位置を確実に維持することができる。
よって、仕切り壁部53,54や絞り連通路56,57を樹脂部材で一体成形しても、確実に下位開口、上部開口の位置を維持することができ、高いオイル分離性能を維持することができる。
この発明の第一分離手段は、実施形態の第一オイル分離手段40に対応し、
以下、同様に、
第二分離手段は、第二オイル分離手段50に対応し、
オイル分離空間部は、ヘッドカバー空間部32に対応し、
一端側の分離室は、第一分離室32Aに対応し、
他端側の分離室は、第三分離室32Cに対応し、
仕切り壁は、仕切り壁部53,54に対応し、
中間分離室は、第二分離室32Bに対応し、
凹み部は、下部凹部60に対応し、
上り傾斜案内面は、傾斜案内面61に対応するも、
この発明は、前述の実施形態に限定されるものではなく、あらゆるエンジンのオイル分離装置に適用する実施形態を含むものである。
50…第二オイル分離手段
32…ヘッドカバー空間部
32A…第一分離室
32B…第二分離室
32C…第三分離室
53…仕切り壁部
54…仕切り壁部
56…絞り連通路
56A…上位開口
56B…下位開口
57…絞り連通路
57A…上位開口
57B…下位開口
60…下部凹部
61…傾斜案内面
Claims (4)
- エンジンのクランク室側に第一分離手段を配置し、該エンジンのヘッドカバー側に第二分離手段を配置して、
前記第一分離手段を吸気通路のスロットル下流側に連通すると共に、前記第二分離手段を吸気通路のスロットル上流側に連通して、
エンジン低負荷時にはブローバイガスを前記第一分離手段を経由させ、エンジン高負荷時にはブローバイガスを前記第二分離手段を経由させることでミストオイルを分離して、ブローバイガスを前記吸気通路に戻すエンジンのオイル分離装置であって、
前記第二分離手段が、ヘッドカバー内で気筒列方向に延びるオイル分離空間部を気筒列直交方向に延びる複数の仕切り壁で仕切った少なくとも三つの分離室と、
一端側の分離室に設けられ動弁室に連通するガス導入部及びオイルドレン部と、
他端側の分離室に設けられ前記吸気通路に連通するガス流通部と、
前記仕切り壁に設けられ近接する二つの分離室を連通する絞り連通路とを備え、
前記絞り連通路を、エンジン高負荷時のブローバイガス流動方向の上流側に位置する上流側分離室の天壁側開口を上位開口とし、下流側に位置する下流側分離室の底壁側開口を下位開口とするように、前記仕切り壁の気筒列直交方向全幅にわたり傾斜して設け、
気筒列方向の中間に位置する中間分離室における前記下位開口と前記上位開口とを、該中間分離室の隅部に対角に位置するように設定した
エンジンのオイル分離装置。 - 前記中間分離室における仕切り壁の下位開口の下方に位置する底壁に、下方に窪む凹み部を形成し、
該凹み部から気筒列方向に延びる上り傾斜案内面を形成した
請求項1記載のオイル分離装置。 - 前記仕切り壁及び絞り連通路を、前記底壁ともに一体成形した樹脂部材で構成し、該樹脂部材を、前記ヘッドカバーに組付けた
請求項1又は2記載のオイル分離装置。 - 前記仕切り壁を、断面略ハット形状の二重壁で形成した
請求項3記載のオイル分離装置。
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