JP2012238779A - 熱処理装置および熱処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】表面に形成されたデバイスパターンにかかわらず、基板の表面温度を求めることができる熱処理装置および熱処理方法を提供する。
【解決手段】時刻taにフラッシュ光照射を開始してから半導体ウェハーの表面温度と裏面温度とが等しくなった時刻tcよりも後に、放射率が既知である半導体ウェハーの裏面温度を放射温度計によって測定する。その裏面温度と等温の黒体から放射される放射光の強度と、半導体ウェハーの表面から実際に放射される放射光の強度と、に基づいて半導体ウェハーの表面の放射率を算定する。そして、算定された放射率と、フラッシュ光照射が開始された後に測定された半導体ウェハーの表面からの放射光の強度と、に基づいてフラッシュ光照射によって加熱された半導体ウェハーの表面の温度を算定する。
【選択図】図14

Description

本発明は、裏面の放射率が既知である半導体ウェハーや液晶表示装置用ガラス基板等の薄板状の精密電子基板(以下、単に「基板」と称する)に対して光を照射することによって該基板を加熱する熱処理装置および熱処理方法に関する。
半導体デバイスの製造プロセスにおいて、不純物導入は半導体ウェハー内にpn接合を形成するための必須の工程である。現在、不純物導入は、イオン打ち込み法とその後のアニール法によってなされるのが一般的である。イオン打ち込み法は、ボロン(B)、ヒ素(As)、リン(P)といった不純物の元素をイオン化させて高加速電圧で半導体ウェハーに衝突させて物理的に不純物注入を行う技術である。注入された不純物はアニール処理によって活性化される。この際に、アニール時間が数秒程度以上であると、打ち込まれた不純物が熱によって深く拡散し、その結果接合深さが要求よりも深くなり過ぎて良好なデバイス形成に支障が生じるおそれがある。
そこで、極めて短時間で半導体ウェハーを加熱するアニール技術として、近年フラッシュランプアニール(FLA)が注目されている。フラッシュランプアニールは、キセノンフラッシュランプ(以下、単に「フラッシュランプ」とするときにはキセノンフラッシュランプを意味する)を使用して半導体ウェハーの表面にフラッシュ光を照射することにより、不純物が注入された半導体ウェハーの表面のみを極めて短時間(数ミリセカンド以下)に昇温させる熱処理技術である。
キセノンフラッシュランプの放射分光分布は紫外域から近赤外域であり、従来のハロゲンランプよりも波長が短く、シリコンの半導体ウェハーの基礎吸収帯とほぼ一致している。よって、キセノンフラッシュランプから半導体ウェハーにフラッシュ光を照射したときには、透過光が少なく半導体ウェハーを急速に昇温することが可能である。また、数ミリ秒以下の極めて短時間のフラッシュ光照射であれば、半導体ウェハーの表面近傍のみを選択的に昇温できることも判明している。このため、キセノンフラッシュランプによる極短時間の昇温であれば、不純物を深く拡散させることなく、不純物活性化のみを実行することができるのである。
また、特許文献1には、フラッシュランプアニール装置において、チャンバー本体の外部に配置されたカロリーメータ、チャンバー本体の内部に照射された光をカロリーメータへと導く光導出構造、および、カロリーメータからの出力に基づいて演算を行う演算部を備えた光測定部を設け、フラッシュランプからチャンバー本体内部に照射された光のエネルギーをカロリーメータを用いて測定する技術が開示されている。特許文献1には、カロリーメータにて測定したフラッシュ光のエネルギーに基づいて、基板の表面温度を演算によって求めることも開示されている。
特開2005−93750号公報
特許文献1に開示される技術は、1回のフラッシュ光照射の総エネルギー(熱量)を測定し、その総エネルギーから基板表面の最高到達温度を求めるものであった。しかしながら、フラッシュ光照射の総エネルギーが一定であったとしても、半導体ウェハーの表面の放射率が異なると吸収される光エネルギーも異なるために到達する表面温度も異なる。一般に、フラッシュランプアニールは半導体ウェハーの表面に形成されたソース・ドレインに注入された不純物の活性化のために行われるものである。すなわち、フラッシュランプアニールが行われる半導体ウェハーの表面にはソース・ドレイン領域を含む微細なデバイスパターンが形成されており、そのパターンによって放射率も異なることが多い。このため、実際の処理に供される不純物が注入された半導体ウェハーの表面温度を測定することは極めて困難であった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、表面に形成されたデバイスパターンにかかわらず、基板の表面温度を求めることができる熱処理装置および熱処理方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、裏面の放射率が既知である基板の表面に対して光を照射することによって該基板を加熱する熱処理装置において、基板を収容するチャンバーと、前記チャンバー内にて基板を保持する保持手段と、前記保持手段に保持された基板の表面に光を照射する光照射手段と、前記チャンバーに設けられ、前記光照射手段から出射された光から所定波長域の光を除去する石英窓と、前記基板の表面側に設けられ、当該表面から放射される放射光を受光する光検出素子と、前記基板の表面から前記光検出素子へと向かう放射光のうち前記所定波長域に含まれる選択波長域の光を選択的に透過するフィルタと、前記基板の裏面側に設けられ、当該裏面の温度を測定する裏面温度測定手段と、前記光検出素子によって受光された放射光の強度を測定する放射光強度測定手段と、前記光照射手段による光照射を開始してから前記基板の表面温度と裏面温度とが等しくなった後に、前記裏面温度測定手段によって測定された前記基板の裏面温度と、前記放射光強度測定手段によって測定された前記基板の表面からの放射光の強度と、に基づいて前記基板の表面の放射率を算定する放射率算定手段と、前記放射率算定手段によって算定された前記基板の表面の放射率と、前記光照射が開始された後に前記放射光強度測定手段によって測定された前記基板の表面からの放射光の強度とに基づいて前記光照射によって加熱された前記基板の表面の温度を算定する表面温度算定手段と、を備えることを特徴とする。
また、請求項2の発明は、請求項1の発明に係る熱処理装置において、前記放射光強度測定手段は、前記光照射が開始された後の前記基板の表面からの放射光の強度を時系列的に測定して放射光強度履歴を取得するとともに、前記表面温度算定手段は、前記放射光強度履歴に基づいて前記光照射によって加熱された前記基板の表面温度履歴を算定することを特徴とする。
また、請求項3の発明は、請求項2の発明に係る熱処理装置において、前記表面温度算定手段は、前記表面温度履歴より前記基板の表面が到達した最高温度を算定することを特徴とする。
また、請求項4の発明は、請求項1から請求項3のいずれかの発明に係る熱処理装置において、前記光照射手段は基板に対してフラッシュ光を照射するフラッシュランプを含むことを特徴とする。
また、請求項5の発明は、請求項1から請求項4のいずれかの発明に係る熱処理装置において、前記光検出素子はInSb光導電素子を含むことを特徴とする。
また、請求項6の発明は、裏面の放射率が既知である基板の表面に対して光を照射することによって該基板を加熱する熱処理方法において、光照射手段から出射された光から所定波長域の光を除去して基板に照射する光照射工程と、前記基板の表面から放射される放射光のうち前記所定波長域に含まれる選択波長域の光を選択的に透過して光検出素子によって受光する受光工程と、前記光照射工程での光照射を開始してから前記基板の表面温度と裏面温度とが等しくなった後に測定された前記基板の裏面温度と、前記光検出素子によって受光された前記基板の表面からの放射光の強度と、に基づいて前記基板の表面の放射率を算定する放射率算定工程と、前記放射率算定工程にて算定された前記基板の表面の放射率と、前記光照射が開始された後に前記光検出素子によって受光された前記基板の表面からの放射光の強度とに基づいて前記光照射によって加熱された前記基板の表面の温度を算定する表面温度算定工程と、を備えることを特徴とする。
また、請求項7の発明は、請求項6の発明に係る熱処理方法において、前記表面温度算定工程では、前記光照射が開始された後の前記基板の表面からの放射光の強度を時系列的に測定して放射光強度履歴を取得し、前記放射光強度履歴に基づいて前記光照射によって加熱された前記基板の表面温度履歴を算定することを特徴とする。
また、請求項8の発明は、請求項7の発明に係る熱処理方法において、前記表面温度算定工程では、前記表面温度履歴より前記基板の表面が到達した最高温度を算定することを特徴とする。
また、請求項9の発明は、請求項6から請求項8のいずれかの発明に係る熱処理方法において、前記光照射工程では、フラッシュランプから基板にフラッシュ光を照射することを特徴とする。
請求項1から請求項5の発明によれば、光照射手段による光照射を開始してから基板の表面温度と裏面温度とが等しくなった後に測定された基板の裏面温度と、放射光強度測定手段によって測定された基板の表面からの放射光の強度と、に基づいて基板の表面の放射率を算定し、その算定された基板の表面の放射率と、光照射が開始された後に放射光強度測定手段によって測定された基板の表面からの放射光の強度とに基づいて光照射によって加熱された基板の表面の温度を算定するため、表面温度と同じ裏面温度を基準にして表面からの放射光強度に基づいて表面温度を算定することとなり、表面に形成されたデバイスパターンにかかわらず、基板の表面温度を求めることができる。また、光照射手段から出射された光から所定波長域の光を除去する石英窓と、その所定波長域に含まれる選択波長域の光を選択的に透過するフィルタと、を備えるため、光照射手段から出射された光の影響を受けることなく、基板の表面から放射される放射光の強度を測定することができる。
また、請求項6から請求項9の発明によれば、光照射工程での光照射を開始してから基板の表面温度と裏面温度とが等しくなった後に測定された基板の裏面温度と、光検出素子によって受光された基板の表面からの放射光の強度と、に基づいて基板の表面の放射率を算定し、その算定された基板の表面の放射率と、光照射が開始された後に光検出素子によって受光された基板の表面からの放射光の強度とに基づいて光照射によって加熱された基板の表面の温度を算定するため、表面温度と同じ裏面温度を基準にして表面からの放射光強度に基づいて表面温度を算定することとなり、表面に形成されたデバイスパターンにかかわらず、基板の表面温度を求めることができる。また、光照射手段から出射された光から所定波長域の光を除去して基板に照射するとともに、基板の表面から放射される放射光のうち所定波長域に含まれる選択波長域の光を選択的に透過して光検出素子によって受光するため、光照射手段から出射された光の影響を受けることなく、基板の表面から放射される放射光の強度を測定することができる。
本発明に係る熱処理装置の構成を示す縦断面図である。 保持部の全体外観を示す斜視図である。 保持部を上面から見た平面図である。 保持部を側方から見た側面図である。 移載機構の平面図である。 移載機構の側面図である。 複数のハロゲンランプの配置を示す平面図である。 フラッシュランプの駆動回路を示す図である。 光検出部の構成を示す図である。 サンプリング部および制御部の構成を示すブロック図である。 半導体ウェハーの表面温度の変化を示す図である。 黒体の温度とInSb光伝導素子からの出力との相関を示す図である。 フラッシュ光照射時におけるInSb光伝導素子からの出力信号レベルの変化を示す図である。 フラッシュ光照射における半導体ウェハーの温度の変化を示す図である。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明に係る熱処理装置1の構成を示す縦断面図である。本実施形態の熱処理装置1は、基板としてφ300mmの円板形状の半導体ウェハーWに対してフラッシュ光照射を行うことによってその半導体ウェハーWを加熱するフラッシュランプアニール装置である。熱処理装置1に搬入される前の半導体ウェハーWには不純物が注入されており、熱処理装置1による加熱処理によって注入された不純物の活性化処理が実行される。
熱処理装置1は、半導体ウェハーWを収容するチャンバー6と、複数のフラッシュランプFLを内蔵するフラッシュ加熱部5と、複数のハロゲンランプHLを内蔵するハロゲン加熱部4と、シャッター機構2と、を備える。チャンバー6の上側にフラッシュ加熱部5が設けられるとともに、下側にハロゲン加熱部4が設けられている。また、熱処理装置1は、チャンバー6の内部に、半導体ウェハーWを水平姿勢に保持する保持部7と、保持部7と装置外部との間で半導体ウェハーWの受け渡しを行う移載機構10と、を備える。さらに、熱処理装置1は、シャッター機構2、ハロゲン加熱部4、フラッシュ加熱部5およびチャンバー6に設けられた各動作機構を制御して半導体ウェハーWの熱処理を実行させる制御部3を備える。
チャンバー6は、筒状のチャンバー側部61の上下に石英製のチャンバー窓を装着して構成されている。チャンバー側部61は上下が開口された概略筒形状を有しており、上側開口には上側チャンバー窓63が装着されて閉塞され、下側開口には下側チャンバー窓64が装着されて閉塞されている。チャンバー6の天井部を構成する上側チャンバー窓63は、石英により形成された円板形状部材であり、フラッシュ加熱部5から出射されたフラッシュ光をチャンバー6内に透過する石英窓として機能する。また、チャンバー6の床部を構成する下側チャンバー窓64も、石英により形成された円板形状部材であり、ハロゲン加熱部4からの光をチャンバー6内に透過する石英窓として機能する。
石英(SiO2)は、可視光から比較的波長の短い赤外線(近赤外線)にかけての波長域の光はほとんど透過させるが、4μm以上の波長の長い赤外線はほとんど透過させない。すなわち、石英窓としての上側チャンバー窓63は、フラッシュ加熱部5から出射されたフラッシュ光から4μm以上の波長域の光を除去するフィルタとして機能する。
チャンバー側部61の内側の壁面の上部には反射リング68が装着され、下部には反射リング69が装着されている。反射リング68,69は、ともに円環状に形成されている。上側の反射リング68は、チャンバー側部61の上側から嵌め込むことによって装着される。一方、下側の反射リング69は、チャンバー側部61の下側から嵌め込んで図示省略のビスで留めることによって装着される。すなわち、反射リング68,69は、ともに着脱自在にチャンバー側部61に装着されるものである。チャンバー6の内側空間、すなわち上側チャンバー窓63、下側チャンバー窓64、チャンバー側部61および反射リング68,69によって囲まれる空間が熱処理空間65として規定される。
チャンバー側部61に反射リング68,69が装着されることによって、チャンバー6の内壁面に凹部62が形成される。すなわち、チャンバー側部61の内壁面のうち反射リング68,69が装着されていない中央部分と、反射リング68の下端面と、反射リング69の上端面とで囲まれた凹部62が形成される。凹部62は、チャンバー6の内壁面に水平方向に沿って円環状に形成され、半導体ウェハーWを保持する保持部7を囲繞する。
チャンバー側部61および反射リング68,69は、強度と耐熱性に優れた金属材料(例えば、ステンレススチール)にて形成されている。また、反射リング68,69の内周面は電解ニッケルメッキによって鏡面とされている。
また、チャンバー側部61には、チャンバー6に対して半導体ウェハーWの搬入および搬出を行うための搬送開口部(炉口)66が形設されている。搬送開口部66は、ゲートバルブ185によって開閉可能とされている。搬送開口部66は凹部62の外周面に連通接続されている。このため、ゲートバルブ185が搬送開口部66を開放しているときには、搬送開口部66から凹部62を通過して熱処理空間65への半導体ウェハーWの搬入および熱処理空間65からの半導体ウェハーWの搬出を行うことができる。また、ゲートバルブ185が搬送開口部66を閉鎖するとチャンバー6内の熱処理空間65が密閉空間とされる。
また、チャンバー6の内壁上部には熱処理空間65に処理ガス(本実施形態では窒素ガス(N2))を供給するガス供給孔81が形設されている。ガス供給孔81は、凹部62よりも上側位置に形設されており、反射リング68に設けられていても良い。ガス供給孔81はチャンバー6の側壁内部に円環状に形成された緩衝空間82を介してガス供給管83に連通接続されている。ガス供給管83は窒素ガス供給源85に接続されている。また、ガス供給管83の経路途中にはバルブ84が介挿されている。バルブ84が開放されると、窒素ガス供給源85から緩衝空間82に窒素ガスが送給される。緩衝空間82に流入した窒素ガスは、ガス供給孔81よりも流体抵抗の小さい緩衝空間82内を拡がるように流れてガス供給孔81から熱処理空間65内へと供給される。
一方、チャンバー6の内壁下部には熱処理空間65内の気体を排気するガス排気孔86が形設されている。ガス排気孔86は、凹部62よりも下側位置に形設されており、反射リング69に設けられていても良い。ガス排気孔86はチャンバー6の側壁内部に円環状に形成された緩衝空間87を介してガス排気管88に連通接続されている。ガス排気管88は排気部190に接続されている。また、ガス排気管88の経路途中にはバルブ89が介挿されている。バルブ89が開放されると、熱処理空間65の気体がガス排気孔86から緩衝空間87を経てガス排気管88へと排出される。なお、ガス供給孔81およびガス排気孔86は、チャンバー6の周方向に沿って複数設けられていても良いし、スリット状のものであっても良い。また、窒素ガス供給源85および排気部190は、熱処理装置1に設けられた機構であっても良いし、熱処理装置1が設置される工場のユーティリティであっても良い。
また、搬送開口部66の先端にも熱処理空間65内の気体を排出するガス排気管191が接続されている。ガス排気管191はバルブ192を介して排気部190に接続されている。バルブ192を開放することによって、搬送開口部66を介してチャンバー6内の気体が排気される。
さらに、チャンバー6の内壁上部には、半導体ウェハーWの表面から放射される放射光を受光する光検出部150が設けられている。図1に示すように、光検出部150は、保持部7よりも上側、つまり保持部7に保持された半導体ウェハーWの表面側に設けられている。また、光検出部150は、その先端が保持部7に保持された半導体ウェハーWの表面に向かうように傾斜してチャンバー6の内壁に設けられており、反射リング68に設けられていても良い。
図9は、光検出部150の構成を示す図である。光検出部150は、ケーシング内に集光レンズ151、ロングウェイブパスフィルタ152およびInSb光伝導素子153を備える。集光レンズ151は、ゲルマニウム(Ge)にて形成されたレンズであり、光検出部150に入射した光をInSb光伝導素子153に集光する。ゲルマニウムは波長2μm以下の比較的短波長の光はほとんど透過させないが、それよりも長い波長の光はある程度透過させる。ロングウェイブパスフィルタ152は、5μm未満の波長の光をカットするとともに、5μm以上の長波長の光を透過させる。InSb光伝導素子153は、受光した光の強度に応じた光電流を発生する光検出素子である。
光検出部150において、集光レンズ151から入射した光は、ロングウェイブパスフィルタ152を透過してInSb光伝導素子153によって受光される。InSb光伝導素子153の受光感度は6.5μm以下の波長域において良好である。一方、ロングウェイブパスフィルタ152は波長5μm以上の光を選択的に透過させる。結果として、InSb光伝導素子153を用いた本実施形態の光検出部150の検出波長域は5μm〜6.5μmとなる。
図2は、保持部7の全体外観を示す斜視図である。また、図3は保持部7を上面から見た平面図であり、図4は保持部7を側方から見た側面図である。保持部7は、基台リング71、連結部72およびサセプター74を備えて構成され、チャンバー6内にて半導体ウェハーWを保持する。基台リング71、連結部72およびサセプター74はいずれも石英にて形成されている。すなわち、保持部7の全体が石英にて形成されている。
基台リング71は円環形状の石英部材である。基台リング71は凹部62の底面に載置されることによって、チャンバー6の壁面に支持されることとなる(図1参照)。円環形状を有する基台リング71の上面に、その周方向に沿って複数の連結部72(本実施形態では4個)が立設される。連結部72も石英の部材であり、溶接によって基台リング71に固着される。なお、基台リング71の形状は、円環形状から一部が欠落した円弧状であっても良い。
平板状のサセプター74は基台リング71に設けられた4個の連結部72によって支持される。サセプター74は石英にて形成された略円形の平板状部材である。サセプター74の直径は半導体ウェハーWの直径よりも大きい。すなわち、サセプター74は、半導体ウェハーWよりも大きな平面サイズを有する。サセプター74の上面には複数個(本実施形態では5個)のガイドピン76が立設されている。5個のガイドピン76はサセプター74の外周円と同心円の周上に沿って設けられている。5個のガイドピン76を配置した円の径は半導体ウェハーWの径よりも若干大きい。各ガイドピン76も石英にて形成されている。なお、ガイドピン76は、サセプター74と一体に石英のインゴットから加工するようにしても良いし、別途に加工したものをサセプター74に溶接等によって取り付けるようにしても良い。
基台リング71に立設された4個の連結部72とサセプター74の周縁部の下面とが溶接によって固着される。すなわち、サセプター74と基台リング71とは連結部72によって固定的に連結されており、保持部7は石英の一体成形部材となる。このような保持部7の基台リング71がチャンバー6の壁面に支持されることによって、保持部7がチャンバー6に装着される。保持部7がチャンバー6に装着された状態においては、略円板形状のサセプター74は水平姿勢(法線が鉛直方向と一致する姿勢)となる。チャンバー6に搬入された半導体ウェハーWは、チャンバー6に装着された保持部7のサセプター74の上に水平姿勢にて載置されて保持される。半導体ウェハーWは、5個のガイドピン76によって形成される円の内側に載置されることにより、水平方向の位置ずれが防止される。なお、ガイドピン76の個数は5個に限定されるものではなく、半導体ウェハーWの位置ずれを防止できる数であれば良い。
また、図2および図3に示すように、サセプター74には、上下に貫通して開口部78および切り欠き部77が形成されている。切り欠き部77は、熱電対を使用した接触式温度計130のプローブ先端部を通すために設けられている。一方、開口部78は、放射温度計120がサセプター74に保持された半導体ウェハーWの裏面から放射される放射光(赤外光)を受光するために設けられている。放射温度計120および接触式温度計130はいずれも保持部7に保持された半導体ウェハーWの裏面側に設けられている。放射温度計120は、例えばパイロメータを用いて構成されており、半導体ウェハーWの裏面から放射される放射光を受光して当該裏面の温度を測定する。また、サセプター74には、後述する移載機構10のリフトピン12が半導体ウェハーWの受け渡しのために貫通する4個の貫通孔79が穿設されている。
図5は、移載機構10の平面図である。また、図6は、移載機構10の側面図である。移載機構10は、2本の移載アーム11を備える。移載アーム11は、概ね円環状の凹部62に沿うような円弧形状とされている。それぞれの移載アーム11には2本のリフトピン12が立設されている。各移載アーム11は水平移動機構13によって回動可能とされている。水平移動機構13は、一対の移載アーム11を保持部7に対して半導体ウェハーWの移載を行う移載動作位置(図5の実線位置)と保持部7に保持された半導体ウェハーWと平面視で重ならない退避位置(図5の二点鎖線位置)との間で水平移動させる。水平移動機構13としては、個別のモータによって各移載アーム11をそれぞれ回動させるものであっても良いし、リンク機構を用いて1個のモータによって一対の移載アーム11を連動させて回動させるものであっても良い。
また、一対の移載アーム11は、昇降機構14によって水平移動機構13とともに昇降移動される。昇降機構14が一対の移載アーム11を移載動作位置にて上昇させると、計4本のリフトピン12がサセプター74に穿設された貫通孔79(図2,3参照)を通過し、リフトピン12の上端がサセプター74の上面から突き出る。一方、昇降機構14が一対の移載アーム11を移載動作位置にて下降させてリフトピン12を貫通孔79から抜き取り、水平移動機構13が一対の移載アーム11を開くように移動させると各移載アーム11が退避位置に移動する。一対の移載アーム11の退避位置は、保持部7の基台リング71の直上である。基台リング71は凹部62の底面に載置されているため、移載アーム11の退避位置は凹部62の内側となる。なお、移載機構10の駆動部(水平移動機構13および昇降機構14)が設けられている部位の近傍にも図示省略の排気機構が設けられており、移載機構10の駆動部周辺の雰囲気がチャンバー6の外部に排出されるように構成されている。
図1に戻り、チャンバー6の上方に設けられたフラッシュ加熱部5は、筐体51の内側に、複数本(本実施形態では30本)のキセノンフラッシュランプFLからなる光源と、その光源の上方を覆うように設けられたリフレクタ52と、を備えて構成される。また、フラッシュ加熱部5の筐体51の底部にはランプ光放射窓53が装着されている。フラッシュ加熱部5の床部を構成するランプ光放射窓53は、石英により形成された板状の石英窓である。フラッシュ加熱部5がチャンバー6の上方に設置されることにより、ランプ光放射窓53が上側チャンバー窓63と相対向することとなる。フラッシュランプFLはチャンバー6の上方からランプ光放射窓53および上側チャンバー窓63を介して熱処理空間65にフラッシュ光を照射する。
複数のフラッシュランプFLは、それぞれが長尺の円筒形状を有する棒状ランプであり、それぞれの長手方向が保持部7に保持される半導体ウェハーWの主面に沿って(つまり水平方向に沿って)互いに平行となるように平面状に配列されている。よって、フラッシュランプFLの配列によって形成される平面も水平面である。
図8は、フラッシュランプFLの駆動回路を示す図である。同図に示すように、コンデンサ93と、コイル94と、フラッシュランプFLと、IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)96とが直列に接続されている。フラッシュランプFLは、その内部にキセノンガスが封入されその両端部に陽極および陰極が配設された棒状のガラス管(放電管)92と、該ガラス管92の外周面上に付設されたトリガー電極91とを備える。コンデンサ93には、電源ユニット95によって所定の電圧が印加され、その印加電圧(充電電圧)に応じた電荷が充電される。また、トリガー電極91にはトリガー回路97から高電圧を印加することができる。トリガー回路97がトリガー電極91に電圧を印加するタイミングは制御部3によって制御される。
IGBT96は、ゲート部にMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field effect transistor)を組み込んだバイポーラトランジスタであり、大電力を取り扱うのに適したスイッチング素子である。IGBT96のゲートにはIGBT制御部98が接続されている。IGBT制御部98は、IGBT96のゲートに信号を印加してIGBT96を駆動する回路である。具体的には、IGBT制御部98がIGBT96のゲートに所定値以上の電圧(Hiの電圧)を印加するとIGBT96がオン状態となり、所定値未満の電圧(Lowの電圧)を印加するとIGBT96がオフ状態となる。このようにして、フラッシュランプFLを含む回路はIGBT96によってオンオフされる。IGBT96がオンオフすることによって、コンデンサ93からフラッシュランプFLに流れる電流が断続される。IGBT制御部98は、制御部3の制御によってIGBT96のオンオフを切り替える。
コンデンサ93が充電された状態でIGBT96がオン状態となってガラス管92の両端電極に高電圧が印加されたとしても、キセノンガスは電気的には絶縁体であることから、通常の状態ではガラス管92内に電気は流れない。しかしながら、トリガー回路97がトリガー電極91に高電圧を印加して絶縁を破壊した場合には両端電極間の放電によってガラス管92内に電流が瞬時に流れ、そのときのキセノンの原子あるいは分子の励起によって光が放出される。
また、図1のリフレクタ52は、複数のフラッシュランプFLの上方にそれら全体を覆うように設けられている。リフレクタ52の基本的な機能は、複数のフラッシュランプFLから出射された光を保持部7の側に反射するというものである。リフレクタ52はアルミニウム合金板にて形成されており、その表面(フラッシュランプFLに臨む側の面)はブラスト処理により粗面化加工が施されて梨地模様を呈する。
チャンバー6の下方に設けられたハロゲン加熱部4の内部には複数本(本実施形態では40本)のハロゲンランプHLが内蔵されている。複数のハロゲンランプHLはチャンバー6の下方から下側チャンバー窓64を介して熱処理空間65への光照射を行う。図7は、複数のハロゲンランプHLの配置を示す平面図である。本実施形態では、上下2段に各20本ずつのハロゲンランプHLが配設されている。各ハロゲンランプHLは、長尺の円筒形状を有する棒状ランプである。上段、下段ともに20本のハロゲンランプHLは、それぞれの長手方向が保持部7に保持される半導体ウェハーWの主面に沿って(つまり水平方向に沿って)互いに平行となるように配列されている。よって、上段、下段ともにハロゲンランプHLの配列によって形成される平面は水平面である。
また、図7に示すように、上段、下段ともに保持部7に保持される半導体ウェハーWの中央部に対向する領域よりも周縁部に対向する領域におけるハロゲンランプHLの配設密度が高くなっている。すなわち、上下段ともに、ランプ配列の中央部よりも周縁部の方がハロゲンランプHLの配設ピッチが短い。このため、ハロゲン加熱部4からの光照射による加熱時に温度低下が生じやすい半導体ウェハーWの周縁部により多い光量の照射を行うことができる。
また、上段のハロゲンランプHLからなるランプ群と下段のハロゲンランプHLからなるランプ群とが格子状に交差するように配列されている。すなわち、上段の各ハロゲンランプHLの長手方向と下段の各ハロゲンランプHLの長手方向とが直交するように計40本のハロゲンランプHLが配設されている。
ハロゲンランプHLは、ガラス管内部に配設されたフィラメントに通電することでフィラメントを白熱化させて発光させるフィラメント方式の光源である。ガラス管の内部には、窒素やアルゴン等の不活性ガスにハロゲン元素(ヨウ素、臭素等)を微量導入した気体が封入されている。ハロゲン元素を導入することによって、フィラメントの折損を抑制しつつフィラメントの温度を高温に設定することが可能となる。したがって、ハロゲンランプHLは、通常の白熱電球に比べて寿命が長くかつ強い光を連続的に照射できるという特性を有する。また、ハロゲンランプHLは棒状ランプであるため長寿命であり、ハロゲンランプHLを水平方向に沿わせて配置することにより上方の半導体ウェハーWへの放射効率が優れたものとなる。
また、図1に示すように、熱処理装置1は、ハロゲン加熱部4およびチャンバー6の側方にシャッター機構2を備える。シャッター機構2は、シャッター板21およびスライド駆動機構22を備える。シャッター板21は、ハロゲン光に対して不透明な板であり、例えばチタン(Ti)にて形成されている。スライド駆動機構22は、シャッター板21を水平方向に沿ってスライド移動させ、ハロゲン加熱部4と保持部7との間の遮光位置にシャッター板21を挿脱する。スライド駆動機構22がシャッター板21を前進させると、チャンバー6とハロゲン加熱部4との間の遮光位置(図1の二点鎖線位置)にシャッター板21が挿入され、下側チャンバー窓64と複数のハロゲンランプHLとが遮断される。これによって、複数のハロゲンランプHLから熱処理空間65の保持部7へと向かう光は遮光される。逆に、スライド駆動機構22がシャッター板21を後退させると、チャンバー6とハロゲン加熱部4との間の遮光位置からシャッター板21が退出して下側チャンバー窓64の下方が開放される。
図8に示すように、本実施形態の熱処理装置1は、光検出部150からの出力信号をサンプリングして制御部3に伝達するサンプリング部160を備える。図10は、サンプリング部160および制御部3の構成を示すブロック図である。光検出部150は、チャンバー6の内壁上部に設置されており、保持部7に保持された半導体ウェハーWの表面から放射される放射光を受光する。半導体ウェハーWの表面から放射されて光検出部150に入射した放射光のうちロングウェイブパスフィルタ152によって5μmの光が選択的に透過されてInSb光伝導素子153に到達する。
InSb光伝導素子153は、受光した光の強度に応じた抵抗変化を発生する。InSb光伝導素子153は、応答時間が極めて短く高速測定が可能である。光検出部150のInSb光伝導素子153はサンプリング部160と電気的に接続されており、受光に応答して生じた信号をサンプリング部160に伝達する。
サンプリング部160は、ローパスフィルタ161、微分回路162、増幅アンプ163、A/Dコンバータ164およびCPU165を備え、光検出部150のInSb光伝導素子153によって受光された放射光の強度を測定する。ローパスフィルタ(LPF)161は、光検出部150から送信されてきた信号から高周波のノイズを除去する。微分回路162は、ローパスフィルタ161を通過した信号から直流成分をカットして信号の変化量を抽出する。微分回路162は、例えばACカップリングを用いて構成することができる。
増幅アンプ163は、微分回路162から出力された信号を増幅してA/Dコンバータ164に伝達する。A/Dコンバータ164は、増幅アンプ163によって増幅された信号をデジタル信号に変換する。CPU165は、所定の処理プログラムを実行することによって、A/Dコンバータ164から出力されたデジタル信号を所定間隔でサンプリングして別途設けられたメモリ(図示省略)に順次格納する。すなわち、サンプリング部160は、光検出部150のInSb光伝導素子153から伝達された信号のレベルを時系列的に測定して複数の信号レベルデータを取得する。サンプリング部160のCPU165を光検出部150からの信号のサンプリング処理に特化したものとすることにより、サンプリング間隔を数マイクロ秒程度とすることができる。なお、CPU165、A/Dコンバータ164、メモリなどを1つのワンチップマイコンに組み込んでも良い。
サンプリング部160のCPU165は制御部3と通信回線を介して接続されている。制御部3は、熱処理装置1に設けられた上記の種々の動作機構を制御する。制御部3のハードウェアとしての構成は一般的なコンピュータと同様である。すなわち、制御部3は、各種演算処理を行うCPU、基本プログラムを記憶する読み出し専用のメモリであるROM、各種情報を記憶する読み書き自在のメモリであるRAMおよび制御用ソフトウェアやデータなどを記憶しておく磁気ディスク31を備えて構成される。また、制御部3はIGBT制御部98および表示部35と接続されており、IGBT制御部98の動作を制御するとともに、表示部35に演算結果等を表示することができる。表示部35は、例えば液晶ディスプレイ等を用いて構成すれば良い。さらに、制御部3は半導体ウェハーWの裏面側に設けられた放射温度計120とも接続されており、放射温度計120の測定結果が制御部3に伝達される。なお、図10では図示を省略しているが、熱電対を使用した接触式温度計130も制御部3に接続されている。
制御部3は、汎用処理を行うことが可能であるものの、サンプリング部160のCPU165ほど短時間間隔でサンプリングを行うことはできない。CPU165によってメモリに格納された信号レベルデータは制御部3に転送されて磁気ディスク31に記憶される。また、制御部3は、温度算定部32および放射率算定部33を備える。これらの温度算定部32および放射率算定部33は、制御部3のCPUが所定の処理プログラムを実行することによって実現される機能処理部であり、その処理内容についてはさらに後述する。なお、サンプリング部160と制御部3とを接続する通信回線は、シリアル通信であっても良いし、パラレル通信であっても良い。
上記の構成以外にも熱処理装置1は、半導体ウェハーWの熱処理時にハロゲンランプHLおよびフラッシュランプFLから発生する熱エネルギーによるハロゲン加熱部4、フラッシュ加熱部5およびチャンバー6の過剰な温度上昇を防止するため、様々な冷却用の構造を備えている。例えば、チャンバー6の壁体には水冷管(図示省略)が設けられている。また、ハロゲン加熱部4およびフラッシュ加熱部5は、内部に気体流を形成して排熱する空冷構造とされている。また、上側チャンバー窓63とランプ光放射窓53との間隙にも空気が供給され、フラッシュ加熱部5および上側チャンバー窓63を冷却する。
次に、上記の構成を有する熱処理装置1における半導体ウェハーWの処理手順について説明する。ここでは、まず熱処理装置1における半導体ウェハーWの加熱処理の手順について簡単に説明した後、処理中の半導体ウェハーWの表面温度算定手順について説明する。
熱処理装置1での処理対象となる半導体ウェハーWの表面にはゲートやソース・ドレインなどのデバイスパターンが形成されている。このため、半導体ウェハーWの表面には微細な凹凸が存在しており、そのような凹凸によって放射率が規定される。よって、デバイスパターンが異なると半導体ウェハーWの表面の放射率も異なることとなる。一方、半導体ウェハーWの裏面にはデバイスパターンが形成されていない。このため、半導体ウェハーWの裏面の放射率は表面のデバイスパターンにかかわらず一定であり、その値は既知である。
半導体ウェハーWの表面に形成されたソース・ドレイン領域にはイオン注入法により不純物(イオン)が注入されている。その注入された不純物の活性化が熱処理装置1による光照射加熱処理(アニール)により実行される。以下に説明する熱処理装置1の処理手順は、制御部3が熱処理装置1の各動作機構を制御することにより進行する。
まず、加熱処理に先立って、給気のためのバルブ84が開放されるとともに、排気用のバルブ89,192が開放されてチャンバー6内に対する給排気が開始される。バルブ84が開放されると、ガス供給孔81から熱処理空間65に窒素ガスが供給される。また、バルブ89が開放されると、ガス排気孔86からチャンバー6内の気体が排気される。これにより、チャンバー6内の熱処理空間65の上部から供給された窒素ガスが下方へと流れ、熱処理空間65の下部から排気される。
また、バルブ192が開放されることによって、搬送開口部66からもチャンバー6内の気体が排気される。さらに、図示省略の排気機構によって移載機構10の駆動部周辺の雰囲気も排気される。なお、熱処理装置1における半導体ウェハーWの熱処理時には窒素ガスが熱処理空間65に継続的に供給されており、その供給量は処理ステップに応じて適宜変更される。
続いて、ゲートバルブ185が開いて搬送開口部66が開放され、装置外部の搬送ロボットにより搬送開口部66を介して不純物注入後の半導体ウェハーWがチャンバー6内の熱処理空間65に搬入される。搬送ロボットによって搬入された半導体ウェハーWは保持部7の直上位置まで進出して停止する。そして、移載機構10の一対の移載アーム11が退避位置から移載動作位置に水平移動して上昇することにより、リフトピン12が貫通孔79を通ってサセプター74の上面から突き出て半導体ウェハーWを受け取る。
半導体ウェハーWがリフトピン12に載置された後、搬送ロボットが熱処理空間65から退出し、ゲートバルブ185によって搬送開口部66が閉鎖される。そして、一対の移載アーム11が下降することにより、半導体ウェハーWは移載機構10から保持部7のサセプター74に受け渡されて水平姿勢に保持される。半導体ウェハーWは、デバイスパターンが形成されて不純物注入がなされた表面を上面としてサセプター74に保持される。また、半導体ウェハーWは、サセプター74の上面にて5個のガイドピン76の内側に保持される。サセプター74の下方にまで下降した一対の移載アーム11は水平移動機構13によって退避位置、すなわち凹部62の内側に退避する。
半導体ウェハーWが保持部7のサセプター74に載置されて保持された後、ハロゲン加熱部4の40本のハロゲンランプHLが一斉に点灯して予備加熱(アシスト加熱)が開始される。ハロゲンランプHLから出射されたハロゲン光は、石英にて形成された下側チャンバー窓64およびサセプター74を透過して半導体ウェハーWの裏面から照射される。ハロゲンランプHLからの光照射を受けることによって半導体ウェハーWの温度が上昇する。なお、移載機構10の移載アーム11は凹部62の内側に退避しているため、ハロゲンランプHLによる加熱の障害となることは無い。
図11は、半導体ウェハーWの表面温度の変化を示す図である。半導体ウェハーWが搬入されてサセプター74に載置された後、制御部3が時刻t0に40本のハロゲンランプHLを点灯させてハロゲン光照射によって半導体ウェハーWを予備加熱温度T1にまで昇温している。予備加熱温度T1は300℃以上800℃以下である。
ハロゲンランプHLによる予備加熱を行うときには、半導体ウェハーWの温度が接触式温度計130によって測定されている。すなわち、熱電対を内蔵する接触式温度計130がサセプター74に保持された半導体ウェハーWの裏面に切り欠き部77を介して接触してウェハー温度を測定する。測定された半導体ウェハーWの温度は制御部3に伝達される。制御部3は、ハロゲンランプHLからの光照射によって昇温する半導体ウェハーWの温度が所定の予備加熱温度T1に到達したか否かを監視しつつ、ハロゲンランプHLの出力を制御する。すなわち、制御部3は、接触式温度計130による測定値に基づいて、半導体ウェハーWの温度が予備加熱温度T1となるようにハロゲンランプHLの出力をフィードバック制御している。なお、予備加熱の段階においては、半導体ウェハーWの表裏に温度差が生じることはなく、接触式温度計130によって測定された半導体ウェハーWの裏面温度は表面温度と同じである。
半導体ウェハーWの温度が予備加熱温度T1に到達した後、制御部3は半導体ウェハーWをその予備加熱温度T1に暫時維持する。具体的には、接触式温度計130によって測定される半導体ウェハーWの温度が予備加熱温度T1に到達した時刻t1にて制御部3がハロゲンランプHLの出力を制御して半導体ウェハーWの温度をほぼ予備加熱温度T1に維持している。
このようなハロゲンランプHLによる予備加熱を行うことによって、半導体ウェハーWの全体を予備加熱温度T1に均一に昇温している。ハロゲンランプHLによる予備加熱の段階においては、より放熱が生じやすい半導体ウェハーWの周縁部の温度が中央部よりも低下する傾向にあるが、ハロゲン加熱部4におけるハロゲンランプHLの配設密度は、半導体ウェハーWの中央部に対向する領域よりも周縁部に対向する領域の方が高くなっている。このため、放熱が生じやすい半導体ウェハーWの周縁部に照射される光量が多くなり、予備加熱段階における半導体ウェハーWの面内温度分布を均一なものとすることができる。さらに、チャンバー側部61に装着された反射リング69の内周面は鏡面とされているため、この反射リング69の内周面によって半導体ウェハーWの周縁部に向けて反射する光量が多くなり、予備加熱段階における半導体ウェハーWの面内温度分布をより均一なものとすることができる。
次に、半導体ウェハーWの温度が予備加熱温度T1に到達して所定時間が経過した時刻t2にフラッシュランプFLの発光を開始する。なお、半導体ウェハーWの温度が室温から予備加熱温度T1に到達するまでの時間(時刻t0から時刻t1までの時間)および予備加熱温度T1に到達してからフラッシュランプFLが発光するまでの時間(時刻t1から時刻t2までの時間)はいずれも数秒程度である。フラッシュランプFLがフラッシュ光照射を行うに際しては、予め電源ユニット95によってコンデンサ93に電荷を蓄積しておく。そして、コンデンサ93に電荷が蓄積された状態にて、制御部3の制御によってIGBT制御部98からIGBT96のゲートにパルス信号を出力してIGBT96をオンオフ駆動する。
IGBT制御部98が出力するパルス信号の波形は、パルス幅の時間(オン時間)とパルス間隔の時間(オフ時間)とをパラメータとして順次設定したレシピを制御部3に入力することによって規定することができる。このようなレシピをオペレータが入力すると、それに従って制御部3はオンオフを繰り返すパルス波形を設定する。そして、そのパルス波形に従ってIGBT制御部98がパルス信号を出力する。その結果、IGBT96のゲートには設定された波形のパルス信号が印加され、IGBT96のオンオフ駆動が制御されることとなる。具体的には、IGBT96のゲートに入力されるパルス信号がオンのときにはIGBT96がオン状態となり、パルス信号がオフのときにはIGBT96がオフ状態となる。
また、IGBT制御部98から出力するパルス信号がオンになるタイミングと同期して制御部3がトリガー回路97を制御してトリガー電極91に高電圧(トリガー電圧)を印加する。コンデンサ93に電荷が蓄積された状態にてIGBT96のゲートにパルス信号が入力され、かつ、そのパルス信号がオンになるタイミングと同期してトリガー電極91に高電圧が印加されることにより、パルス信号がオンのときにはガラス管92内の両端電極間で必ず電流が流れ、そのときのキセノンの原子あるいは分子の励起によって光が放出され、フラッシュランプFLが発光する。
フラッシュランプFLの発光時にガラス管92内に流れる電流の波形は、IGBT96のゲートに入力されるパルス信号の波形に依存する。すなわち、IGBT96のゲートに入力されるパルス信号がオンのときにはフラッシュランプFLのガラス管92内に流れる電流値が増加し、オフのときには電流値が減少することにより、のこぎり波形の電流波形が規定される。なお、各パルスに対応する個々の電流波形はコイル94の定数によって規定される。
フラッシュランプFLの発光強度は、フラッシュランプFLに流れる電流にほぼ比例する。従って、フラッシュランプFLの発光強度の強度波形(プロファイル)は、フラッシュランプFLに流れる電流の波形と概ね同じになる。このようにしてフラッシュランプFLが発光して保持部7に保持された半導体ウェハーWの表面にフラッシュ光照射が行われる。
ここで、IGBT96を使用することなくフラッシュランプFLを発光させた場合には、コンデンサ93に蓄積されていた電荷が1回の発光で消費され、フラッシュランプFLからの強度波形は幅が0.1ミリセカンドないし10ミリセカンド程度のシングルパルスとなる。これに対して、本実施の形態では、回路中にスイッチング素子たるIGBT96を接続してそのゲートにパルス信号を出力することにより、コンデンサ93からフラッシュランプFLへの電荷の供給をIGBT96によって断続してフラッシュランプFLに流れる電流を制御している。その結果、いわばフラッシュランプFLの発光がチョッパ制御されることとなり、コンデンサ93に蓄積された電荷が分割して消費され、極めて短い時間の間にフラッシュランプFLが点滅を繰り返す。なお、フラッシュランプFLに流れる電流値が完全に”0”になる前に次のパルスがIGBT96のゲートに印加されて電流値が再度増加するため、フラッシュランプFLが点滅を繰り返している間も発光強度が完全に”0”になるものではない。
このようなフラッシュランプFLからのフラッシュ光照射を半導体ウェハーWに対して行うことによって、半導体ウェハーWの表面温度は予備加熱温度T1から処理温度T2にまで昇温し、注入された不純物の活性化が行われる。処理温度T2は、注入された不純物の活性化が達成される1000℃以上1400℃以下である。なお、フラッシュランプFLの発光強度の時間波形は、IGBT96のゲートに印加するパルス信号の波形を調整することによって適宜に変更することができる。発光強度の時間波形は、加熱処理の目的(例えば、注入された不純物の活性化、不純物注入時に導入された結晶欠陥の回復処理など)に応じて決定すれば良い。但し、フラッシュランプFLの発光強度の時間波形が如何なる形態であったとしても、1回の加熱処理におけるフラッシュランプFLの総発光時間は1秒以下である。IGBT96のゲートに印加するパルス信号の波形は、制御部3に入力するパルス幅の時間およびパルス間隔の時間によって調整することができる。
フラッシュランプFLによるフラッシュ光照射が終了すると、IGBT96がオフ状態となってフラッシュランプFLの発光が停止し、半導体ウェハーWの表面温度は処理温度T2から急速に降温する。そして、フラッシュランプFLの発光が停止してから所定時間が経過した時刻t3にハロゲンランプHLが消灯する。これにより、半導体ウェハーWが予備加熱温度T1からの降温を開始する。また、ハロゲンランプHLが消灯するのと同時に、シャッター機構2がシャッター板21をハロゲン加熱部4とチャンバー6との間の遮光位置に挿入する。ハロゲンランプHLが消灯しても、すぐにフィラメントや管壁の温度が低下するものではなく、暫時高温のフィラメントおよび管壁から輻射熱が放射され続け、これが半導体ウェハーWの降温を妨げる。シャッター板21が挿入されることによって、消灯直後のハロゲンランプHLから熱処理空間65に放射される輻射熱が遮断されることとなり、半導体ウェハーWの降温速度を高めることができる。
制御部3は、接触式温度計130によって測定される半導体ウェハーWの温度が所定温度まで降温したか否かを監視する。そして、半導体ウェハーWの温度が所定以下にまで降温した後、移載機構10の一対の移載アーム11が再び退避位置から移載動作位置に水平移動して上昇することにより、リフトピン12がサセプター74の上面から突き出て熱処理後の半導体ウェハーWをサセプター74から受け取る。続いて、ゲートバルブ185により閉鎖されていた搬送開口部66が開放され、リフトピン12上に載置された半導体ウェハーWが装置外部の搬送ロボットにより搬出され、熱処理装置1における半導体ウェハーWの加熱処理が完了する。
次に、上記のようなフラッシュ光照射によって加熱された半導体ウェハーWの表面温度の算定手順について説明する。本実施形態における半導体ウェハーWの表面温度算定は、光検出部150および放射温度計120を用いて行う。温度算定に先立って、予め光検出部150のInSb光伝導素子153が受光する放射光の強度とそれから出力される信号のレベル(電圧)との相関を求めておく。この相関は例えば黒体炉などを用いた黒体試験によって求める。
図12は、黒体の温度とInSb光伝導素子153からの出力との相関を示す図である。黒体は完全放射体(放射率1.0)とみなされるものであり、黒体放射のプランクの法則によると、温度T(K)の黒体からの波長λ(m)の放射光の強度I’(λ,T)は次の式(1)のように表される。式(1)において、定数cは光速3×108(m/s)、kはボルツマン定数1.3807×10-23(J/K)、hはプランク定数6.626×10-34(J・s)である。
Figure 2012238779
本実施形態では、InSb光伝導素子153が実際に測定する波長域を考慮して次の式(2)で表される強度IをInSb光伝導素子153によって測定される放射光の強度とする。式(2)は式(1)によって求められる黒体の放射光強度I’(λ,T)をInSb光伝導素子153が実際に測定する波長範囲λ1〜λ2で積分するものである。上述したように、InSb光伝導素子153の受光可能波長域は6.5μm以下であるとともに、ロングウェイブパスフィルタ152は波長5μm以上の光を透過させるため、InSb光伝導素子153が実際に測定する波長範囲は5μm〜6.5μmとなる(λ1=5μm、λ2=6.5μm)。
Figure 2012238779
波長範囲λ1〜λ2で積分することにより、式(2)の強度Iは温度の関数となる。よって、式(2)より例えば、400℃、600℃、800℃、1000℃の黒体から放射される放射光の強度I1,I2,I3,I4がそれぞれ求められる。式(2)より求められる黒体の放射光強度はプランクの法則に基づいて算定された理論値である。
一方、黒体炉などを用いて400℃、600℃、800℃、1000℃の黒体から放射される放射光を光検出部150にて受光することにより、InSb光伝導素子153から出力される信号レベルV1,V2,V3,V4を得ることができる(図12)。これらの信号レベルは、光検出部150およびサンプリング部160による実測値である。なお、これらInSb光伝導素子153の出力信号レベルは、厳密にはサンプリング部160のCPU165が測定可能なA/Dコンバータ164から出力される信号のレベルである。
黒体から放射される放射光の強度の理論値と光検出部150によって受光した実測値とより、InSb光伝導素子153が受光する放射光の強度Iとそれから出力される信号のレベルVとの相関関係を示す近似式を求める。具体的には、最小二乗法を用い、次の式(3)で与えられる二乗和が最小となるような係数αを決定する。式(3)において、上記の例では、4点で測定を行っているためn=4である。
Figure 2012238779
このようにしてαが決定されることにより、InSb光伝導素子153の出力信号レベルVを放射光の強度Iに変換する式(4)が定まる。なお、上記の例では、放射光強度Iと信号レベルVとの相関関係を求めるのに4点での近似を行っていたが、4点に限定されるものではなく、複数点であれば良いが、測定点が多い方が近似の精度が高まる。
Figure 2012238779
以上のようにして求められた式(4)および係数αは制御部3の磁気ディスク31などの記憶部に格納される。制御部3が式(4)を予め保持した状態にて、上述のようなフラッシュ光照射が行われる。フラッシュ光照射が行われるときに、半導体ウェハーWの表面から放射される放射光の強度が光検出部150およびサンプリング部160によって測定される。
図13は、フラッシュ光照射時におけるInSb光伝導素子153からの出力信号レベルの変化を示す図である。また、図14は、フラッシュ光照射における半導体ウェハーWの温度の変化を示す図である。フラッシュランプFLが発光したときに、チャンバー6内の熱処理空間65に到達するフラッシュ光はガラス管92の管壁、ランプ光放射窓53および上側チャンバー窓63を透過した光である。これらはいずれも波長4μm以上の光をほとんど透過しない石英で構成されているため、熱処理空間65に到達するフラッシュ光からは4μm以上の波長域の光が除去されている。また、ハロゲンランプHLから石英の下側チャンバー窓64を透過して熱処理空間65に照射されるハロゲン光からも4μm以上の波長域の光は除去されている。
チャンバー6内の熱処理空間65に到達した光の一部は光検出部150にも入射する。しかし、熱処理空間65に到達して光検出部150に入射する光の波長は4μm未満である一方、光検出部150のロングウェイブパスフィルタ152は波長5μm未満の光をカットする。すなわち、ロングウェイブパスフィルタ152は、石英窓である上側チャンバー窓63が除去する波長域(4μm以上)に含まれる選択波長域(5μm以上)の光のみを透過するのである。このため、熱処理空間65から光検出部150に入射したフラッシュ光は、全てロングウェイブパスフィルタ152によって遮光されることとなり、InSb光伝導素子153にまでは到達しない。同様に、熱処理空間65から光検出部150に入射したハロゲン光もInSb光伝導素子153に到達しない。その結果、InSb光伝導素子153は、非常に強いフラッシュ光およびハロゲン光の影響を受けることなく、半導体ウェハーWの表面から放射された放射光を受光することができる。
一方、ハロゲンランプHLによる予備加熱によって半導体ウェハーWは予備加熱温度T1にまで昇温されており、フラッシュランプFLからのフラッシュ光照射によってその表面は予備加熱温度T1からさらに昇温される。昇温された半導体ウェハーWの表面からは、その温度に応じた強度の放射光が放射されている。半導体ウェハーWの表面から放射される放射光も光検出部150に入射する。そして、光検出部150に入射した放射光のうちロングウェイブパスフィルタ152を透過した波長5μm以上の光がInSb光伝導素子153に到達する。InSb光伝導素子153の受光可能波長域は6.5μm以下であるため、実際にInSb光伝導素子153が測定する波長範囲は5μm〜6.5μmとなる。
InSb光伝導素子153は、受光した放射光の強度に応じた抵抗変化を発生して出力する。このときに、フラッシュ光は全ての波長域について上側チャンバー窓63およびロングウェイブパスフィルタ152によってカットされ、またハロゲン光も下側チャンバー窓64およびロングウェイブパスフィルタ152によってカットされているため、InSb光伝導素子153が受光する光は純粋に半導体ウェハーWの表面から放射した放射光である。InSb光伝導素子153から出力された信号がローパスフィルタ161を通過することによってノイズが除去され、続いて微分回路162に入力されて直流成分がカットされる。そして、微分回路162から出力された信号は増幅アンプ163によって増幅された後、A/Dコンバータ164によってコンピュータが取り扱うのに適したデジタル信号に変換される。そして、A/Dコンバータ164から出力されるデジタル信号のレベルがCPU165への入力電圧となり、これがInSb光伝導素子153から出力された信号のレベルとして取得される。
サンプリング部160のCPU165が取得したInSb光伝導素子153からの出力信号のレベルデータは制御部3に伝達されて磁気ディスク31などの記憶部に格納される。制御部3は、InSb光伝導素子153からの出力信号のレベルVと磁気ディスク31などの記憶部に予め格納されている式(4)とに基づいて放射光の強度Iを算出し、その値も測定時刻と対応付けて磁気ディスク31に格納する。
このようにしてサンプリング部160による半導体ウェハーW表面の放射光強度のサンプリングが1回実行される。そして、予め定められた所定時間が経過するまでの間、サンプリング部160による放射光強度の測定が一定間隔で複数回繰り返される。これにより、フラッシュランプFLによる光照射が開始された後の半導体ウェハーWの表面からの放射光の強度がサンプリング部160によって時系列的に測定される。そして、時系列的に測定された放射光の強度が順次に制御部3の磁気ディスク31に格納されることによって、半導体ウェハーWの表面の放射光強度履歴が取得されることとなる。なお、サンプリングを行う期間としては、少なくともフラッシュランプFLが発光を開始する時刻taから後述する放射温度計120による裏面温度の測定時刻tdまでとする。
ところで、図14においては、フラッシュ光照射における半導体ウェハーWの表面の温度を実線にて示し、裏面の温度を点線にて示している。時刻taにてフラッシュランプFLが発光を開始し、極めて短い時間に強力なフラッシュ光が照射されることによって、半導体ウェハーWの表面温度が急速に昇温する一方、裏面の温度は予備加熱温度T1からさほどには上昇しない。その後、フラッシュランプFLの発光が停止して半導体ウェハーWの表面側は急速に降温するとともに、表面から裏面への熱伝導によって裏面の温度が若干上昇し、やがて時刻tcに表面温度と裏面温度とが一致する。なお、図13,14に示す時刻は全て図11の時刻t2近傍のものであり、図11の時刻スケールは秒であるのに対して図13,14の時刻スケールはミリ秒であるため、図13,14の時刻ta〜時刻tdはいずれもいずれも図11では時刻t2に重ねて表示されるものである。
本実施形態においては、フラッシュランプFLによるフラッシュ光照射を開始してから半導体ウェハーWの表面温度と裏面温度とが等しくなった後の時刻tdに、放射温度計120によって半導体ウェハーWの裏面温度を測定する。フラッシュランプFLが発光を開始する時刻taから半導体ウェハーWの表面温度と裏面温度とが等しくなる時刻tcまでの時間はφ300mmのウェハーであれば約20ミリ秒である。このため、放射温度計120によって裏面温度の測定を開始する時刻tdを時刻taから約50ミリ秒後としている。フラッシュランプFLが発光を開始する時刻taから50ミリ秒が経過していれば、処理温度T2の高低に関わらず確実に表面温度と裏面温度とが一致している。
放射温度計120は、半導体ウェハーWの裏面からサセプター74の開口部78を介して放射された赤外光の強度を測定して裏面温度を求める。パイロメータを用いた放射温度計120の応答速度はInSb光伝導素子153やフォトダイオードなどに比較すると低速である。しかしながら、半導体ウェハーWの表面温度と裏面温度とが等しくなった後の時刻td以降においては、急激な温度変化は生じないため、パイロメータを用いた放射温度計120であっても十分に測定可能である。
また、放射温度計120によって裏面の温度測定を行う際にも、半導体ウェハーWの裏面の放射率が必要となる。既述したように、半導体ウェハーWの裏面にはデバイスパターンが形成されていないため、裏面の放射率はウェハーによらず一定であり、その値は既知である(いわゆるベアーウェハーの放射率)。このため、放射温度計120によって半導体ウェハーWの裏面温度を正確に測定することができる。
放射温度計120によって測定された半導体ウェハーWの裏面温度は制御部3に伝達される。半導体ウェハーWの表面温度と裏面温度とが等しくなった時刻tcよりも後の時刻tdに測定された裏面温度はそのまま半導体ウェハーWの表面の温度でもある。すなわち、時刻tcよりも後に半導体ウェハーWの裏面温度を測定することは、表面温度を測定するのと同じである。
制御部3の放射率算定部33は、放射温度計120によって測定された半導体ウェハーWの裏面温度(=表面温度)から半導体ウェハーWの表面が黒体であると仮定したときの(つまり、表面の放射率を1としたときの)当該表面から放射される放射光の強度を算定する。この算定にはプランクの法則から導かれる式(2)を用いれば良い。放射率算定部33は、時刻tdに測定された裏面温度Tdを式(2)に適用し、半導体ウェハーWの表面が黒体であると仮定したときの温度Tdの当該表面から放射される放射光の強度I(Td)を算定する。
この放射光強度I(Td)は、半導体ウェハーWの表面を黒体と仮定し、実測された表面温度Tdの黒体から放射される放射光の強度である。しかし、実際の半導体ウェハーWの表面は黒体ではなく、デバイスパターンに依存する1よりも小さい放射率を有する。従って、表面温度Tdの半導体ウェハーWの表面から実際に放射される放射光の強度はI(Td)よりも小さくなる。そして、半導体ウェハーWの表面から実際に放射される放射光の強度は光検出部150およびサンプリング部160によって測定されている。
図13に示すように、放射温度計120によって半導体ウェハーWの裏面温度を測定する時刻tdに、半導体ウェハーWの表面から放射される放射光を受光したInSb光伝導素子153からレベルVdの信号が出力されている。この信号レベルVdは測定時刻tdと対応付けられて磁気ディスク31に格納されている。時刻tdにInSb光伝導素子153から出力された信号レベルVdを式(4)に従ってαで除した強度I(td)が表面温度Tdの半導体ウェハーWの表面から実際に放射される放射光の強度である。
温度Tdの黒体から放射される放射光の強度I(Td)と表面温度Tdの半導体ウェハーWの表面から実際に放射される放射光の強度I(td)との間には次の式(5)が成立する。式(5)において、εは半導体ウェハーWの表面の放射率である。
Figure 2012238779
放射率算定部33は、式(5)より半導体ウェハーWの表面の放射率εを算定する。すなわち、放射率算定部33は、表裏の温度が等しくなった後に放射温度計120によって測定された裏面温度Tdと等温の黒体から放射される放射光の強度I(Td)と、光検出部150およびサンプリング部160によって測定された表面温度Tdの半導体ウェハーWの表面から実際に放射される放射光の強度I(td)と、に基づいて半導体ウェハーWの表面の放射率εを算定する。算定された放射率εは磁気ディスク31に格納される。
次に、上記のようにして算定された放射率εを用いて制御部3の温度算定部32が半導体ウェハーWの表面温度を算定する。温度算定部32は、半導体ウェハーWの表面の放射率εと、光検出部150およびサンプリング部160によって測定された半導体ウェハーWの表面から放射される放射光の強度と、に基づいてフラッシュ光照射によって加熱された半導体ウェハーWの表面の温度を算定する。
半導体ウェハーWの表面から放射される放射光の強度は、放射光強度履歴として時系列的に取得されて磁気ディスク31に格納されている。従って、温度算定部32は、フラッシュランプFLが発光を開始する時刻taから放射温度計120が裏面温度を測定する時刻tdまでの任意の時点での実測放射光強度に基づいて半導体ウェハーWの表面温度を算定することができる。
例えば、図13に示すように、InSb光伝導素子153からの出力信号のレベルが時刻tbに最高値Vbに到達している。よって、時刻tbには半導体ウェハーWの表面温度が最高値(つまり、処理温度T2)に到達していたものと考えられる。この信号レベルVbを式(4)に従ってαで除した強度I(tb)が時刻tbに半導体ウェハーWの表面から放射されていた放射光の強度である。そして、時刻tbにおける半導体ウェハーWの表面の放射光強度I(tb)を表面放射率εで除した強度I(T2)が到達最高温度である処理温度T2の黒体から放射される放射光の強度である。黒体から放射される放射光の強度I(T2)が求まれば、プランクの法則から導かれる式(2)などを用いてその黒体の温度T2を求めることができる。温度算定部32は、このようにして半導体ウェハーWの表面の放射光強度履歴から当該表面が到達した最高温度(処理温度T2)を算定する。
ここでは、時刻tbに半導体ウェハーWの表面が到達する最高温度を算定する例について説明したが、他の時刻に半導体ウェハーWの表面が到達する温度についても同様の手法によって算定することができる。また、半導体ウェハーWの表面から放射される放射光の強度を時系列的に取得した放射光強度履歴の全体について上記と同様の手法を適用し、フラッシュ光照射によって加熱された半導体ウェハーWの表面温度履歴を算定するようにしても良い。また、温度算定部32は、半導体ウェハーWの表面温度履歴を求めた後に、その表面温度履歴より半導体ウェハーWの表面が到達する最高温度を算定するようにしても良い。制御部3は、このようにして算定した半導体ウェハーWの表面温度または表面温度履歴を表示部35に表示するようにしても良い。
本実施形態においては、フラッシュランプFLから出射されたフラッシュ光から上側チャンバー窓63などの石英窓によって波長4μm以上の光を除去して半導体ウェハーWに照射している。このため、チャンバー6内の熱処理空間65から光検出部150に入射するフラッシュ光の波長は4μm未満となる。一方、光検出部150のロングウェイブパスフィルタ152は波長5μm未満の光をカットする。その結果、フラッシュランプFLが発光している間であっても、光検出部150のInSb光伝導素子153にまで到達するフラッシュ光はなく、外乱光の影響を受けることなく半導体ウェハーWの表面から放射された放射光を受光することができる。
予備加熱およびフラッシュ加熱によって昇温した半導体ウェハーWの表面から放射された放射光の一部は光検出部150に入射してInSb光伝導素子153に集光される。半導体ウェハーWの表面からInSb光伝導素子153に向かう放射光のうち石英窓によって除去される波長域(4μm以上)に含まれる選択波長域(5μm以上)の光がロングウェイブパスフィルタ152によって選択的に透過される。そして、InSb光伝導素子153によって受光された放射光の強度がサンプリング部160によって測定される。半導体ウェハーWの表面からの放射光の強度は時系列的に測定されて放射光強度履歴として取得される。
放射率算定部33は、フラッシュランプFLによるフラッシュ光照射を開始してから半導体ウェハーWの表面温度と裏面温度とが等しくなった後に、放射温度計120によって測定された裏面温度と等温の黒体から放射される放射光の強度と、サンプリング部160によって測定された半導体ウェハーWの表面から実際に放射される放射光の強度と、に基づいて半導体ウェハーWの表面の放射率εを算定する。すなわち、半導体ウェハーWの裏面の放射率は既知であり、その温度が放射温度計120によって正確に測定できることを利用して、半導体ウェハーWの表裏面の温度が等しくなった後に裏面温度測定を行うことにより、実質的に表面の温度を取得している。そして、その表面温度の黒体から放射される放射光の強度と、半導体ウェハーWの表面から実際に放射される放射光の強度と、に基づいて放射率εを算定している。
また、温度算定部32は、放射率算定部33によって算定された放射率εと、フラッシュランプFLによるフラッシュ光照射が開始された後にサンプリング部160によって測定された半導体ウェハーWの表面からの放射光の強度と、に基づいてフラッシュ光照射によって加熱された半導体ウェハーWの表面の温度を算定する。半導体ウェハーWの表面の放射率εが求まれば、その放射率εと半導体ウェハーWの表面の放射光強度とに基づいてプランクの法則から導かれる式(2)などを用いて表面温度を算定することができる。
以上の内容を集約すると、本発明に係る技術は、放射温度計120によって半導体ウェハーWの裏面温度を正確に測定できることを利用し、フラッシュ光照射後に半導体ウェハーWの表裏面の温度が等しくなった後に測定された裏面温度を用いて、半導体ウェハーWの表面から放射される放射光の強度を黒体の放射光強度に正規化することにより表面温度を算定しているのである。これにより、表面に形成されたデバイスパターンにかかわらず、半導体ウェハーWの表面温度を求めることが可能となる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、この発明はその趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態においては、フラッシュランプFLから半導体ウェハーWにフラッシュ光を照射して加熱するようにしていたが、これに限定されるものではなく、他の光照射によって半導体ウェハーWを加熱する場合であっても本発明に係る技術を好適に適用することができる。例えば、レーザ光照射などの極短時間に強い光照射を行って半導体ウェハーWの表面を加熱する場合に本発明に係る技術を好適に適用することが可能である。また、ハロゲンランプなどによって半導体ウェハーWを数秒程度かけて加熱するRTP(Rapid Thermal Process)装置に本発明に係る技術を好適に適用することもできる。これら他の光照射によって半導体ウェハーWを加熱する場合にも、光照射を開始してから半導体ウェハーWの表裏面の温度が等しくなった後に測定された裏面温度を用いて、半導体ウェハーWの表面から放射される放射光の強度を黒体の放射光強度に正規化することにより表面温度を算定できる。
また、パルス信号の波形の設定は、制御部3に逐一パルス幅等のパラメータを入力することに限定されるものではなく、例えば、オペレータが制御部3に波形を直接グラフィカルに入力するようにしても良いし、以前に設定されて磁気ディスク等の記憶部に記憶されていた波形を読み出すようにしても良いし、或いは熱処理装置1の外部からダウンロードするようにしても良い。
また、上記実施形態においては、パルス信号がオンになるタイミングと同期してトリガー電極91にトリガー電圧を印加するようにしていたが、トリガー電圧を印加するタイミングはこれに限定されるものではなく、パルス信号の波形とは無関係に一定間隔で印加するようにしても良い。また、パルス信号の間隔が短く、あるパルスによってフラッシュランプFLを流れた電流の電流値が所定値以上残っている状態で次のパルスによって通電を開始されるような場合であれば、そのままフラッシュランプFLに電流が流れ続けるため、パルス毎にトリガー電圧を印加する必要はなく、例えば最初のパルスが印加されたときのみにトリガー電圧を印加するようにしても良い。つまり、パルス信号がオンになるときに、フラッシュランプFLに電流が流れるタイミングであれば、トリガー電圧の印加タイミングは任意である。
また、上記実施形態においては、スイッチング素子としてIGBT96を用いていたが、これに代えてゲートに入力された信号レベルに応じて回路をオンオフできる他のトランジスタを用いるようにしても良い。もっとも、フラッシュランプFLの発光には相当に大きな電力が消費されるため、大電力の取り扱いに適したIGBTやGTO(Gate Turn Off)サイリスタをスイッチング素子として採用するのが好ましい。
また、上記実施形態においては、フラッシュ加熱部5に30本のフラッシュランプFLを備えるようにしていたが、これに限定されるものではなく、フラッシュランプFLの本数は任意の数とすることができる。また、フラッシュランプFLはキセノンフラッシュランプに限定されるものではなく、クリプトンフラッシュランプであっても良い。また、ハロゲン加熱部4に備えるハロゲンランプHLの本数も40本に限定されるものではなく、任意の数とすることができる。
また、上記実施形態においては、ハロゲンランプHLからのハロゲン光照射によって半導体ウェハーWを予備加熱するようにしていたが、予備加熱の手法はこれに限定されるものではなく、ホットプレートに載置することによって半導体ウェハーWを予備加熱するようにしても良い。
また、本発明に係る熱処理技術によって処理対象となる基板は半導体ウェハーに限定されるものではなく、液晶表示装置などのフラットパネルディスプレイに用いるガラス基板や太陽電池用の基板であっても良い。また、本発明に係る技術は、金属とシリコンとの接合、或いはポリシリコンの結晶化に適用するようにしても良い。
1 熱処理装置
2 シャッター機構
3 制御部
4 ハロゲン加熱部
5 フラッシュ加熱部
6 チャンバー
7 保持部
10 移載機構
32 温度算定部
33 放射率算定部
61 チャンバー側部
62 凹部
63 上側チャンバー窓
64 下側チャンバー窓
65 熱処理空間
74 サセプター
91 トリガー電極
92 ガラス管
93 コンデンサ
94 コイル
96 IGBT
97 トリガー回路
98 IGBT制御部
120 放射温度計
150 光検出部
152 ロングウェイブパスフィルタ
153 InSb光伝導素子
160 サンプリング部
161 ローパスフィルタ
162 微分回路
163 増幅アンプ
164 A/Dコンバータ
165 CPU
FL フラッシュランプ
HL ハロゲンランプ
W 半導体ウェハー

Claims (9)

  1. 裏面の放射率が既知である基板の表面に対して光を照射することによって該基板を加熱する熱処理装置であって、
    基板を収容するチャンバーと、
    前記チャンバー内にて基板を保持する保持手段と、
    前記保持手段に保持された基板の表面に光を照射する光照射手段と、
    前記チャンバーに設けられ、前記光照射手段から出射された光から所定波長域の光を除去する石英窓と、
    前記基板の表面側に設けられ、当該表面から放射される放射光を受光する光検出素子と、
    前記基板の表面から前記光検出素子へと向かう放射光のうち前記所定波長域に含まれる選択波長域の光を選択的に透過するフィルタと、
    前記基板の裏面側に設けられ、当該裏面の温度を測定する裏面温度測定手段と、
    前記光検出素子によって受光された放射光の強度を測定する放射光強度測定手段と、
    前記光照射手段による光照射を開始してから前記基板の表面温度と裏面温度とが等しくなった後に、前記裏面温度測定手段によって測定された前記基板の裏面温度と、前記放射光強度測定手段によって測定された前記基板の表面からの放射光の強度と、に基づいて前記基板の表面の放射率を算定する放射率算定手段と、
    前記放射率算定手段によって算定された前記基板の表面の放射率と、前記光照射が開始された後に前記放射光強度測定手段によって測定された前記基板の表面からの放射光の強度とに基づいて前記光照射によって加熱された前記基板の表面の温度を算定する表面温度算定手段と、
    を備えることを特徴とする熱処理装置。
  2. 請求項1記載の熱処理装置において、
    前記放射光強度測定手段は、前記光照射が開始された後の前記基板の表面からの放射光の強度を時系列的に測定して放射光強度履歴を取得するとともに、
    前記表面温度算定手段は、前記放射光強度履歴に基づいて前記光照射によって加熱された前記基板の表面温度履歴を算定することを特徴とする熱処理装置。
  3. 請求項2記載の熱処理装置において、
    前記表面温度算定手段は、前記表面温度履歴より前記基板の表面が到達した最高温度を算定することを特徴とする熱処理装置。
  4. 請求項1から請求項3のいずれかに記載の熱処理装置において、
    前記光照射手段は基板に対してフラッシュ光を照射するフラッシュランプを含むことを特徴とする熱処理装置。
  5. 請求項1から請求項4のいずれかに記載の熱処理装置において、
    前記光検出素子はInSb光導電素子を含むことを特徴とする熱処理装置。
  6. 裏面の放射率が既知である基板の表面に対して光を照射することによって該基板を加熱する熱処理方法であって、
    光照射手段から出射された光から所定波長域の光を除去して基板に照射する光照射工程と、
    前記基板の表面から放射される放射光のうち前記所定波長域に含まれる選択波長域の光を選択的に透過して光検出素子によって受光する受光工程と、
    前記光照射工程での光照射を開始してから前記基板の表面温度と裏面温度とが等しくなった後に測定された前記基板の裏面温度と、前記光検出素子によって受光された前記基板の表面からの放射光の強度と、に基づいて前記基板の表面の放射率を算定する放射率算定工程と、
    前記放射率算定工程にて算定された前記基板の表面の放射率と、前記光照射が開始された後に前記光検出素子によって受光された前記基板の表面からの放射光の強度とに基づいて前記光照射によって加熱された前記基板の表面の温度を算定する表面温度算定工程と、
    を備えることを特徴とする熱処理方法。
  7. 請求項6記載の熱処理方法において、
    前記表面温度算定工程では、前記光照射が開始された後の前記基板の表面からの放射光の強度を時系列的に測定して放射光強度履歴を取得し、前記放射光強度履歴に基づいて前記光照射によって加熱された前記基板の表面温度履歴を算定することを特徴とする熱処理方法。
  8. 請求項7記載の熱処理方法において、
    前記表面温度算定工程では、前記表面温度履歴より前記基板の表面が到達した最高温度を算定することを特徴とする熱処理方法。
  9. 請求項6から請求項8のいずれかに記載の熱処理方法において、
    前記光照射工程では、フラッシュランプから基板にフラッシュ光を照射することを特徴とする熱処理方法。
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