JP2018044915A - 温度測定方法および熱処理装置 - Google Patents

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【課題】石英ガラス越しに基板の温度を測定することができる温度測定方法および熱処理装置を提供する。【解決手段】チャンバー内にて半導体ウェハーWは石英のサセプタ74に保持される。石英ガラスの下側チャンバー窓64よりも下方に測定波長域が3μm以上4μm以下の放射温度計20およびハロゲンランプHLが配置されている。ハロゲンランプHLからの光照射によって加熱される半導体ウェハーWの温度を放射温度計20によって測定する。放射温度計20の測定波長域が3μm以上4μm以下であるため、ハロゲンランプHLからの放射光の影響を最小限に抑制しつつ、石英ガラスの下側チャンバー窓64越しに半導体ウェハーWの温度を測定することができる。【選択図】図8

Description

本発明は、半導体ウェハー等の薄板状精密電子基板(以下、単に「基板」と称する)に光を照射することによって該基板を加熱する熱処理装置およびその基板の温度を測定する温度測定方法に関する。
半導体デバイスの製造プロセスにおいて、極めて短時間で半導体ウェハーを加熱するフラッシュランプアニール(FLA)が注目されている。フラッシュランプアニールは、キセノンフラッシュランプ(以下、単に「フラッシュランプ」とするときにはキセノンフラッシュランプを意味する)を使用して半導体ウェハーの表面にフラッシュ光を照射することにより、半導体ウェハーの表面のみを極めて短時間(数ミリ秒以下)に昇温させる熱処理技術である。
キセノンフラッシュランプの放射分光分布は紫外域から近赤外域であり、従来のハロゲンランプよりも波長が短く、シリコンの半導体ウェハーの基礎吸収帯とほぼ一致している。よって、キセノンフラッシュランプから半導体ウェハーにフラッシュ光を照射したときには、透過光が少なく半導体ウェハーを急速に昇温することが可能である。また、数ミリ秒以下の極めて短時間のフラッシュ光照射であれば、半導体ウェハーの表面近傍のみを選択的に昇温できることも判明している。
このようなフラッシュランプアニールは、極短時間の加熱が必要とされる処理、例えば典型的には半導体ウェハーに注入された不純物の活性化に利用される。イオン注入法によって不純物が注入された半導体ウェハーの表面にフラッシュランプからフラッシュ光を照射すれば、当該半導体ウェハーの表面を極短時間だけ活性化温度にまで昇温することができ、不純物を深く拡散させることなく、不純物活性化のみを実行することができるのである。
フラッシュランプアニールに限らず熱処理では半導体ウェハーの温度を適切に管理することが重要である。一般には、半導体ウェハーの熱処理では非接触の放射温度計によって温度測定が行われ、例えば特許文献1には、フラッシュ光照射前のハロゲンランプによる予備加熱時に放射温度計によって半導体ウェハーの温度を測定することが開示されている。
典型的には放射温度計は、物体から放射される赤外光を受光してそのエネルギーから当該物体の温度を測定し、赤外光を受光する受光素子としてサーモパイルを使用している。サーモパイルの測定波長域は6.5μm〜14μmである。この測定波長域は、500℃以上のシリコンの半導体ウェハーの温度測定に適しているとともに、ハロゲンランプからの放射光の影響を受けにくい。その一方、当該波長域の赤外光は合成石英ガラスを透過しないため、受光素子にサーモパイルを採用した放射温度計では石英ガラス越しの温度測定は不可能である。
このため、特許文献1等に開示されるような従来の熱処理装置では、半導体ウェハーを収容するチャンバーの内部であって、その半導体ウェハーの斜め下方に放射温度計を設置するようにしていた。
特開2010−225613号公報
しかしながら、チャンバーの内部にはウェハー搬送用のアームや処理ガス等の配管が配置されているため、放射温度計を設置できる空間は極めて限られていた。このため、半導体ウェハーの複数箇所の温度を測定するために複数の放射温度計を設置しようとしても、十分なスペースが無いために実現困難であった。
また、石英ガラス越しの温度測定が不可能であるため、半導体ウェハーを保持する石英のサセプタに温度測定用の穴を設け、その穴を通った赤外光を放射温度計が受光して温度測定を行う必要があった。この場合、放射温度計の光軸を厳密に当該穴に合わせなければならず、光軸調整のための作業が繁雑であった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、石英ガラス越しに基板の温度を測定することができる温度測定方法および熱処理装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、加熱されている基板の温度を測定する温度測定方法において、チャンバー内に収容されている基板にハロゲンランプから光を照射して当該基板を加熱する加熱工程と、前記基板から放射された赤外光を測定波長域3μm以上4μm以下の放射温度計によって受光する受光工程と、前記放射温度計の出力信号から前記ハロゲンランプからの放射光に由来する成分を減算して基板由来成分を求める減算工程と、前記基板由来成分から前記基板の温度を求める温度算定工程と、を備えることを特徴とする。
また、請求項2の発明は、請求項1の発明に係る温度測定方法において、前記ハロゲンランプからの放射光に由来する成分は、前記ハロゲンランプからの放射光のエネルギーの時間関数に対して前記放射温度計のインパルス応答をたたみ込み積分して求めることを特徴とする。
また、請求項3の発明は、請求項1または請求項2の発明に係る温度測定方法において、前記ハロゲンランプおよび前記放射温度計は前記チャンバーの外部に設置され、前記加熱工程では、前記ハロゲンランプから出射された光が前記チャンバーに設けられた石英のチャンバー窓を透過して前記基板に照射され、前記受光工程では、前記基板から放射されて前記チャンバー窓を透過した赤外光を前記放射温度計が受光することを特徴とする。
また、請求項4の発明は、基板に光を照射することによって該基板を加熱する熱処理装置において、基板を収容するチャンバーと、前記チャンバー内に収容された前記基板に光を照射するハロゲンランプと、前記基板から放射される赤外光を受光して前記基板の温度を測定する測定波長域が3μm以上4μm以下の放射温度計と、前記放射温度計の出力信号から前記ハロゲンランプからの放射光に由来する成分を減算して基板由来成分を求める減算部と、前記基板由来成分から前記基板の温度を求める温度算定部と、を備えることを特徴とする。
また、請求項5の発明は、請求項4の発明に係る熱処理装置において、前記減算部は、前記ハロゲンランプからの放射光のエネルギーの時間関数に対して前記放射温度計のインパルス応答をたたみ込み積分して前記ハロゲンランプからの放射光に由来する成分を求めることを特徴とする。
また、請求項6の発明は、請求項4または請求項5の発明に係る熱処理装置において、前記ハロゲンランプおよび前記放射温度計は前記チャンバーの外部に設置され、前記ハロゲンランプから出射された光が前記チャンバーに設けられた石英のチャンバー窓を透過して前記基板に照射されるとともに、前記基板から放射されて前記チャンバー窓を透過した赤外光を前記放射温度計が受光することを特徴とする。
また、請求項7の発明は、請求項4から請求項6のいずれかの発明に係る熱処理装置において、前記放射温度計はインジウムアンチモンの受光素子を備えることを特徴とする。
また、請求項8の発明は、請求項4から請求項7のいずれかの発明に係る熱処理装置において、前記基板にフラッシュ光を照射するフラッシュランプをさらに備えることを特徴とする。
請求項1から請求項3の発明によれば、測定波長域3μm以上4μm以下の放射温度計の出力信号よりハロゲンランプからの放射光に由来する成分を減算した基板由来成分から基板の温度を求めるため、3μm以上4μm以下の赤外光は石英ガラスを透過することができ、石英ガラス越しに基板の温度を測定することができる。
請求項4から請求項8の発明によれば、測定波長域が3μm以上4μm以下の放射温度計の出力信号よりハロゲンランプからの放射光に由来する成分を減算した基板由来成分から基板の温度を求めるため、3μm以上4μm以下の赤外光は石英ガラスを透過することができ、石英ガラス越しに基板の温度を測定することができる。
本発明に係る熱処理装置の構成を示す縦断面図である。 保持部の全体外観を示す斜視図である。 サセプタの平面図である。 サセプタの断面図である。 移載機構の平面図である。 移載機構の側面図である。 複数のハロゲンランプの配置を示す平面図である。 放射温度計を用いた温度測定機構を模式的に示す図である。 半導体ウェハーの処理手順を示すフローチャートである。 石英ガラスの分光透過率を示す図である。 ハロゲンランプの分光放射強度を示す図である。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明に係る熱処理装置1の構成を示す縦断面図である。本実施形態の熱処理装置1は、基板として円板形状の半導体ウェハーWに対してフラッシュ光照射を行うことによってその半導体ウェハーWを加熱するフラッシュランプアニール装置である。処理対象となる半導体ウェハーWのサイズは特に限定されるものではないが、例えばφ300mmやφ450mmである。なお、図1および以降の各図においては、理解容易のため、必要に応じて各部の寸法や数を誇張または簡略化して描いている。
熱処理装置1は、半導体ウェハーWを収容するチャンバー6と、複数のフラッシュランプFLを内蔵するフラッシュ加熱部5と、複数のハロゲンランプHLを内蔵するハロゲン加熱部4と、を備える。チャンバー6の上側にフラッシュ加熱部5が設けられるとともに、下側にハロゲン加熱部4が設けられている。また、熱処理装置1は、チャンバー6の内部に、半導体ウェハーWを水平姿勢に保持する保持部7と、保持部7と装置外部との間で半導体ウェハーWの受け渡しを行う移載機構10と、を備える。さらに、熱処理装置1は、ハロゲン加熱部4、フラッシュ加熱部5およびチャンバー6に設けられた各動作機構を制御して半導体ウェハーWの熱処理を実行させる制御部3を備える。
チャンバー6は、筒状のチャンバー側部61の上下に石英製のチャンバー窓を装着して構成されている。チャンバー側部61は上下が開口された概略筒形状を有しており、上側開口には上側チャンバー窓63が装着されて閉塞され、下側開口には下側チャンバー窓64が装着されて閉塞されている。チャンバー6の天井部を構成する上側チャンバー窓63は、石英ガラスにより形成された円板形状部材であり、フラッシュ加熱部5から出射されたフラッシュ光をチャンバー6内に透過する石英窓として機能する。また、チャンバー6の床部を構成する下側チャンバー窓64も、石英ガラスにより形成された円板形状部材であり、ハロゲン加熱部4からの光をチャンバー6内に透過する石英窓として機能する。
また、チャンバー側部61の内側の壁面の上部には反射リング68が装着され、下部には反射リング69が装着されている。反射リング68,69は、ともに円環状に形成されている。上側の反射リング68は、チャンバー側部61の上側から嵌め込むことによって装着される。一方、下側の反射リング69は、チャンバー側部61の下側から嵌め込んで図示省略のビスで留めることによって装着される。すなわち、反射リング68,69は、ともに着脱自在にチャンバー側部61に装着されるものである。チャンバー6の内側空間、すなわち上側チャンバー窓63、下側チャンバー窓64、チャンバー側部61および反射リング68,69によって囲まれる空間が熱処理空間65として規定される。
チャンバー側部61に反射リング68,69が装着されることによって、チャンバー6の内壁面に凹部62が形成される。すなわち、チャンバー側部61の内壁面のうち反射リング68,69が装着されていない中央部分と、反射リング68の下端面と、反射リング69の上端面とで囲まれた凹部62が形成される。凹部62は、チャンバー6の内壁面に水平方向に沿って円環状に形成され、半導体ウェハーWを保持する保持部7を囲繞する。チャンバー側部61および反射リング68,69は、強度と耐熱性に優れた金属材料(例えば、ステンレススチール)にて形成されている。
また、チャンバー側部61には、チャンバー6に対して半導体ウェハーWの搬入および搬出を行うための搬送開口部(炉口)66が形設されている。搬送開口部66は、ゲートバルブ185によって開閉可能とされている。搬送開口部66は凹部62の外周面に連通接続されている。このため、ゲートバルブ185が搬送開口部66を開放しているときには、搬送開口部66から凹部62を通過して熱処理空間65への半導体ウェハーWの搬入および熱処理空間65からの半導体ウェハーWの搬出を行うことができる。また、ゲートバルブ185が搬送開口部66を閉鎖するとチャンバー6内の熱処理空間65が密閉空間とされる。
また、チャンバー6の内壁上部には熱処理空間65に処理ガスを供給するガス供給孔81が形設されている。ガス供給孔81は、凹部62よりも上側位置に形設されており、反射リング68に設けられていても良い。ガス供給孔81はチャンバー6の側壁内部に円環状に形成された緩衝空間82を介してガス供給管83に連通接続されている。ガス供給管83は処理ガス供給源85に接続されている。また、ガス供給管83の経路途中にはバルブ84が介挿されている。バルブ84が開放されると、処理ガス供給源85から緩衝空間82に処理ガスが送給される。緩衝空間82に流入した処理ガスは、ガス供給孔81よりも流体抵抗の小さい緩衝空間82内を拡がるように流れてガス供給孔81から熱処理空間65内へと供給される。処理ガスとしては、窒素(N)等の不活性ガス、または、水素(H)、アンモニア(NH)等の反応性ガスを用いることができる(本実施形態では窒素)。
一方、チャンバー6の内壁下部には熱処理空間65内の気体を排気するガス排気孔86が形設されている。ガス排気孔86は、凹部62よりも下側位置に形設されており、反射リング69に設けられていても良い。ガス排気孔86はチャンバー6の側壁内部に円環状に形成された緩衝空間87を介してガス排気管88に連通接続されている。ガス排気管88は排気部190に接続されている。また、ガス排気管88の経路途中にはバルブ89が介挿されている。バルブ89が開放されると、熱処理空間65の気体がガス排気孔86から緩衝空間87を経てガス排気管88へと排出される。なお、ガス供給孔81およびガス排気孔86は、チャンバー6の周方向に沿って複数設けられていても良いし、スリット状のものであっても良い。また、処理ガス供給源85および排気部190は、熱処理装置1に設けられた機構であっても良いし、熱処理装置1が設置される工場のユーティリティであっても良い。
また、搬送開口部66の先端にも熱処理空間65内の気体を排出するガス排気管191が接続されている。ガス排気管191はバルブ192を介して排気部190に接続されている。バルブ192を開放することによって、搬送開口部66を介してチャンバー6内の気体が排気される。
図2は、保持部7の全体外観を示す斜視図である。保持部7は、基台リング71、連結部72およびサセプタ74を備えて構成される。基台リング71、連結部72およびサセプタ74はいずれも石英にて形成されている。すなわち、保持部7の全体が石英にて形成されている。
基台リング71は円環形状から一部が欠落した円弧形状の石英部材である。この欠落部分は、後述する移載機構10の移載アーム11と基台リング71との干渉を防ぐために設けられている。基台リング71は凹部62の底面に載置されることによって、チャンバー6の壁面に支持されることとなる(図1参照)。基台リング71の上面に、その円環形状の周方向に沿って複数の連結部72(本実施形態では4個)が立設される。連結部72も石英の部材であり、溶接によって基台リング71に固着される。
サセプタ74は基台リング71に設けられた4個の連結部72によって支持される。図3は、サセプタ74の平面図である。また、図4は、サセプタ74の断面図である。サセプタ74は、保持プレート75、ガイドリング76および複数の基板支持ピン77を備える。保持プレート75は、石英にて形成された略円形の平板状部材である。保持プレート75の直径は半導体ウェハーWの直径よりも大きい。すなわち、保持プレート75は、半導体ウェハーWよりも大きな平面サイズを有する。
保持プレート75の上面周縁部にガイドリング76が設置されている。ガイドリング76は、半導体ウェハーWの直径よりも大きな内径を有する円環形状の部材である。例えば、半導体ウェハーWの直径がφ300mmの場合、ガイドリング76の内径はφ320mmである。ガイドリング76の内周は、保持プレート75から上方に向けて広くなるようなテーパ面とされている。ガイドリング76は、保持プレート75と同様の石英にて形成される。ガイドリング76は、保持プレート75の上面に溶着するようにしても良いし、別途加工したピンなどによって保持プレート75に固定するようにしても良い。或いは、保持プレート75とガイドリング76とを一体の部材として加工するようにしても良い。
保持プレート75の上面のうちガイドリング76よりも内側の領域が半導体ウェハーWを保持する平面状の保持面75aとされる。保持プレート75の保持面75aには、複数の基板支持ピン77が立設されている。本実施形態においては、保持面75aの外周円(ガイドリング76の内周円)と同心円の周上に沿って30°毎に計12個の基板支持ピン77が立設されている。12個の基板支持ピン77を配置した円の径(対向する基板支持ピン77間の距離)は半導体ウェハーWの径よりも小さく、半導体ウェハーWの径がφ300mmであればφ270mm〜φ280mm(本実施形態ではφ280mm)である。それぞれの基板支持ピン77は石英にて形成されている。複数の基板支持ピン77は、保持プレート75の上面に溶接によって設けるようにしても良いし、保持プレート75と一体に加工するようにしても良い。
図2に戻り、基台リング71に立設された4個の連結部72とサセプタ74の保持プレート75の周縁部とが溶接によって固着される。すなわち、サセプタ74と基台リング71とは連結部72によって固定的に連結されている。このような保持部7の基台リング71がチャンバー6の壁面に支持されることによって、保持部7がチャンバー6に装着される。保持部7がチャンバー6に装着された状態においては、サセプタ74の保持プレート75は水平姿勢(法線が鉛直方向と一致する姿勢)となる。すなわち、保持プレート75の保持面75aは水平面となる。
チャンバー6に搬入された半導体ウェハーWは、チャンバー6に装着された保持部7のサセプタ74の上に水平姿勢にて載置されて保持される。このとき、半導体ウェハーWは保持プレート75上に立設された12個の基板支持ピン77によって支持されてサセプタ74に保持される。より厳密には、12個の基板支持ピン77の上端部が半導体ウェハーWの下面に接触して当該半導体ウェハーWを支持する。12個の基板支持ピン77の高さ(基板支持ピン77の上端から保持プレート75の保持面75aまでの距離)は均一であるため、12個の基板支持ピン77によって半導体ウェハーWを水平姿勢に支持することができる。
また、半導体ウェハーWは複数の基板支持ピン77によって保持プレート75の保持面75aから所定の間隔を隔てて支持されることとなる。基板支持ピン77の高さよりもガイドリング76の厚さの方が大きい。従って、複数の基板支持ピン77によって支持された半導体ウェハーWの水平方向の位置ずれはガイドリング76によって防止される。
また、サセプタ74の保持プレート75には、後述する移載機構10のリフトピン12が半導体ウェハーWの受け渡しのために貫通する4個の貫通孔79が穿設されている。
図5は、移載機構10の平面図である。また、図6は、移載機構10の側面図である。移載機構10は、2本の移載アーム11を備える。移載アーム11は、概ね円環状の凹部62に沿うような円弧形状とされている。それぞれの移載アーム11には2本のリフトピン12が立設されている。各移載アーム11は水平移動機構13によって回動可能とされている。水平移動機構13は、一対の移載アーム11を保持部7に対して半導体ウェハーWの移載を行う移載動作位置(図5の実線位置)と保持部7に保持された半導体ウェハーWと平面視で重ならない退避位置(図5の二点鎖線位置)との間で水平移動させる。水平移動機構13としては、個別のモータによって各移載アーム11をそれぞれ回動させるものであっても良いし、リンク機構を用いて1個のモータによって一対の移載アーム11を連動させて回動させるものであっても良い。
また、一対の移載アーム11は、昇降機構14によって水平移動機構13とともに昇降移動される。昇降機構14が一対の移載アーム11を移載動作位置にて上昇させると、計4本のリフトピン12がサセプタ74に穿設された貫通孔79(図2,3参照)を通過し、リフトピン12の上端がサセプタ74の上面から突き出る。一方、昇降機構14が一対の移載アーム11を移載動作位置にて下降させてリフトピン12を貫通孔79から抜き取り、水平移動機構13が一対の移載アーム11を開くように移動させると各移載アーム11が退避位置に移動する。一対の移載アーム11の退避位置は、保持部7の基台リング71の直上である。基台リング71は凹部62の底面に載置されているため、移載アーム11の退避位置は凹部62の内側となる。なお、移載機構10の駆動部(水平移動機構13および昇降機構14)が設けられている部位の近傍にも図示省略の排気機構が設けられており、移載機構10の駆動部周辺の雰囲気がチャンバー6の外部に排出されるように構成されている。
図1に戻り、チャンバー6の上方に設けられたフラッシュ加熱部5は、筐体51の内側に、複数本(本実施形態では30本)のキセノンフラッシュランプFLからなる光源と、その光源の上方を覆うように設けられたリフレクタ52と、を備えて構成される。また、フラッシュ加熱部5の筐体51の底部にはランプ光放射窓53が装着されている。フラッシュ加熱部5の床部を構成するランプ光放射窓53は、石英により形成された板状の石英窓である。フラッシュ加熱部5がチャンバー6の上方に設置されることにより、ランプ光放射窓53が上側チャンバー窓63と相対向することとなる。フラッシュランプFLはチャンバー6の上方からランプ光放射窓53および上側チャンバー窓63を介して熱処理空間65にフラッシュ光を照射する。
複数のフラッシュランプFLは、それぞれが長尺の円筒形状を有する棒状ランプであり、それぞれの長手方向が保持部7に保持される半導体ウェハーWの主面に沿って(つまり水平方向に沿って)互いに平行となるように平面状に配列されている。よって、フラッシュランプFLの配列によって形成される平面も水平面である。
キセノンフラッシュランプFLは、その内部にキセノンガスが封入されその両端部にコンデンサーに接続された陽極および陰極が配設された棒状のガラス管(放電管)と、該ガラス管の外周面上に付設されたトリガー電極とを備える。キセノンガスは電気的には絶縁体であることから、コンデンサーに電荷が蓄積されていたとしても通常の状態ではガラス管内に電気は流れない。しかしながら、トリガー電極に高電圧を印加して絶縁を破壊した場合には、コンデンサーに蓄えられた電気がガラス管内に瞬時に流れ、そのときのキセノンの原子あるいは分子の励起によって光が放出される。このようなキセノンフラッシュランプFLにおいては、予めコンデンサーに蓄えられていた静電エネルギーが0.1ミリセカンドないし100ミリセカンドという極めて短い光パルスに変換されることから、ハロゲンランプHLの如き連続点灯の光源に比べて極めて強い光を照射し得るという特徴を有する。すなわち、フラッシュランプFLは、1秒未満の極めて短い時間で瞬間的に発光するパルス発光ランプである。なお、フラッシュランプFLの発光時間は、フラッシュランプFLに電力供給を行うランプ電源のコイル定数によって調整することができる。
また、リフレクタ52は、複数のフラッシュランプFLの上方にそれら全体を覆うように設けられている。リフレクタ52の基本的な機能は、複数のフラッシュランプFLから出射されたフラッシュ光を熱処理空間65の側に反射するというものである。リフレクタ52はアルミニウム合金板にて形成されており、その表面(フラッシュランプFLに臨む側の面)はブラスト処理により粗面化加工が施されている。
チャンバー6の下方に設けられたハロゲン加熱部4は、筐体41の内側に複数本(本実施形態では40本)のハロゲンランプHLを内蔵している。ハロゲン加熱部4は、複数のハロゲンランプHLによってチャンバー6の下方から下側チャンバー窓64を介して熱処理空間65への光照射を行って半導体ウェハーWを加熱する光照射部である。
図7は、複数のハロゲンランプHLの配置を示す平面図である。40本のハロゲンランプHLは上下2段に分けて配置されている。保持部7に近い上段に20本のハロゲンランプHLが配設されるとともに、上段よりも保持部7から遠い下段にも20本のハロゲンランプHLが配設されている。各ハロゲンランプHLは、長尺の円筒形状を有する棒状ランプである。上段、下段ともに20本のハロゲンランプHLは、それぞれの長手方向が保持部7に保持される半導体ウェハーWの主面に沿って(つまり水平方向に沿って)互いに平行となるように配列されている。よって、上段、下段ともにハロゲンランプHLの配列によって形成される平面は水平面である。
また、図7に示すように、上段、下段ともに保持部7に保持される半導体ウェハーWの中央部に対向する領域よりも周縁部に対向する領域におけるハロゲンランプHLの配設密度が高くなっている。すなわち、上下段ともに、ランプ配列の中央部よりも周縁部の方がハロゲンランプHLの配設ピッチが短い。このため、ハロゲン加熱部4からの光照射による加熱時に温度低下が生じやすい半導体ウェハーWの周縁部により多い光量の照射を行うことができる。
また、上段のハロゲンランプHLからなるランプ群と下段のハロゲンランプHLからなるランプ群とが格子状に交差するように配列されている。すなわち、上段に配置された20本のハロゲンランプHLの長手方向と下段に配置された20本のハロゲンランプHLの長手方向とが互いに直交するように計40本のハロゲンランプHLが配設されている。
ハロゲンランプHLは、ガラス管内部に配設されたフィラメントに通電することでフィラメントを白熱化させて発光させるフィラメント方式の光源である。ガラス管の内部には、窒素やアルゴン等の不活性ガスにハロゲン元素(ヨウ素、臭素等)を微量導入した気体が封入されている。ハロゲン元素を導入することによって、フィラメントの折損を抑制しつつフィラメントの温度を高温に設定することが可能となる。したがって、ハロゲンランプHLは、通常の白熱電球に比べて寿命が長くかつ強い光を連続的に照射できるという特性を有する。すなわち、ハロゲンランプHLは少なくとも1秒以上連続して発光する連続点灯ランプである。また、ハロゲンランプHLは棒状ランプであるため長寿命であり、ハロゲンランプHLを水平方向に沿わせて配置することにより上方の半導体ウェハーWへの放射効率が優れたものとなる。
また、ハロゲン加熱部4の筐体41内にも、2段のハロゲンランプHLの下側にリフレクタ43が設けられている(図1)。リフレクタ43は、複数のハロゲンランプHLから出射された光を熱処理空間65の側に反射する。
また、図1に示すように、チャンバー6の下方であって、チャンバー6とハロゲン加熱部4との間に放射温度計20が設置されている。すなわち、放射温度計20は、チャンバー6の外部に設置されている。放射温度計20は、チャンバー6内に収容された半導体ウェハーWの温度を測定する。
図8は、放射温度計20を用いた温度測定機構を模式的に示す図である。本実施形態の放射温度計20は、インジウムアンチモン(InSb)の受光素子を備えている。インジウムアンチモンの測定波長域は、サーモパイル(6.5μm〜14μm)よりも短く、3μm以上4μm以下である。すなわち、放射温度計20の測定波長域は3μm以上4μm以下である。
放射温度計20は制御部3に電気的に接続されている。制御部3は、熱処理装置1に設けられた種々の動作機構を制御する。制御部3のハードウェアとしての構成は一般的なコンピュータと同様である。すなわち、制御部3は、各種演算処理を行う回路であるCPU、基本プログラムを記憶する読み出し専用のメモリであるROM、各種情報を記憶する読み書き自在のメモリであるRAMおよび制御用ソフトウェアやデータなどを記憶しておく磁気ディスクを備えている(いずれも図示省略)。制御部3のCPUが所定の処理プログラムを実行することによって熱処理装置1における処理が進行する。
制御部3は、減算部31および温度算定部32を備える。減算部31および温度算定部32は、制御部3のCPUが処理プログラムを実行することによって実現される機能処理部である。減算部31および温度算定部32の詳細な処理内容についてはさらに後述するが、放射温度計20からの出力信号をこれら機能処理部が処理することによって半導体ウェハーWの温度が求められる。制御部3は、求められた半導体ウェハーWの温度に基づいてハロゲンランプHLのランプ電源45を制御し、ランプ電源45からハロゲンランプHLに供給する電力を調整する。
また、制御部3には、入力部34および表示部35が接続されている。入力部34としては、キーボード、マウス等の種々の公知の入力機器を採用することができる。表示部35は、例えば熱処理装置1の外壁に設けられた液晶ディスプレイ等の表示パネルである。入力部34および表示部35として、双方の機能を有するタッチパネルを採用するようにしても良い。
上記の構成以外にも熱処理装置1は、半導体ウェハーWの熱処理時にハロゲンランプHLおよびフラッシュランプFLから発生する熱エネルギーによるハロゲン加熱部4、フラッシュ加熱部5およびチャンバー6の過剰な温度上昇を防止するため、様々な冷却用の構造を備えている。例えば、チャンバー6の壁体には水冷管(図示省略)が設けられている。また、ハロゲン加熱部4およびフラッシュ加熱部5は、内部に気体流を形成して排熱する空冷構造とされている。また、上側チャンバー窓63とランプ光放射窓53との間隙にも空気が供給され、フラッシュ加熱部5および上側チャンバー窓63を冷却する。
次に、半導体ウェハーWに対する処理手順について説明する。図9は、半導体ウェハーWの処理手順を示すフローチャートである。ここで処理対象となる半導体ウェハーWはイオン注入法により不純物(イオン)が添加された半導体基板である。その不純物の活性化が熱処理装置1によるフラッシュ光照射加熱処理(アニール)により実行される。以下に説明する熱処理装置1の処理手順は、制御部3が熱処理装置1の各動作機構を制御することにより進行する。
まず、処理対象となる半導体ウェハーWが熱処理装置1のチャンバー6に搬入される(ステップS1)。半導体ウェハーWの搬入時には、ゲートバルブ185が開いて搬送開口部66が開放され、装置外部の搬送ロボットにより搬送開口部66を介して半導体ウェハーWがチャンバー6内の熱処理空間65に搬入される。この際に、バルブ84を開放してチャンバー6内に窒素ガスを供給し続けることによって搬送開口部66から窒素ガス流を流出させ、装置外部の雰囲気がチャンバー6内の流入するのを最小限に抑制するようにしても良い。搬送ロボットによって搬入された半導体ウェハーWは保持部7の直上位置まで進出して停止する。そして、移載機構10の一対の移載アーム11が退避位置から移載動作位置に水平移動して上昇することにより、リフトピン12が貫通孔79を通ってサセプタ74の上面から突き出て半導体ウェハーWを受け取る。このとき、リフトピン12は基板支持ピン77の上端よりも上方にまで上昇する。
半導体ウェハーWがリフトピン12に載置された後、搬送ロボットが熱処理空間65から退出し、ゲートバルブ185によって搬送開口部66が閉鎖される。そして、一対の移載アーム11が下降することにより、半導体ウェハーWは移載機構10から保持部7のサセプタ74に受け渡されて水平姿勢にて下方より保持される。半導体ウェハーWは、保持プレート75上に立設された複数の基板支持ピン77によって支持されてサセプタ74に保持される。また、半導体ウェハーWは、パターン形成がなされて不純物が注入された表面を上面として保持部7に保持される。複数の基板支持ピン77によって支持された半導体ウェハーWの裏面(表面とは反対側の主面)と保持プレート75の保持面75aとの間には所定の間隔が形成される。サセプタ74の下方にまで下降した一対の移載アーム11は水平移動機構13によって退避位置、すなわち凹部62の内側に退避する。
また、ゲートバルブ185によって搬送開口部66が閉鎖されて熱処理空間65が密閉空間とされた後、チャンバー6内の雰囲気調整が行われる(ステップS2)。具体的にはバルブ84が開放されてガス供給孔81から熱処理空間65に処理ガスが供給される。本実施形態では、処理ガスとして窒素がチャンバー6内の熱処理空間65に供給される。また、バルブ89が開放されてガス排気孔86からチャンバー6内の気体が排気される。これにより、チャンバー6内の熱処理空間65の上部から供給された処理ガスが下方へと流れて熱処理空間65の下部から排気され、熱処理空間65が窒素雰囲気に置換される。また、バルブ192が開放されることによって、搬送開口部66からもチャンバー6内の気体が排気される。さらに、図示省略の排気機構によって移載機構10の駆動部周辺の雰囲気も排気される。
チャンバー6内が窒素雰囲気に置換され、半導体ウェハーWが保持部7のサセプタ74によって水平姿勢にて下方より保持された後、ハロゲン加熱部4の40本のハロゲンランプHLが一斉に点灯して予備加熱(アシスト加熱)が開始される(ステップS3)。ハロゲンランプHLから出射されたハロゲン光は、石英にて形成された下側チャンバー窓64およびサセプタ74を透過して半導体ウェハーWの裏面から照射される。ハロゲンランプHLからの光照射を受けることによって半導体ウェハーWが予備加熱されて温度が上昇する。なお、移載機構10の移載アーム11は凹部62の内側に退避しているため、ハロゲンランプHLによる加熱の障害となることは無い。
ハロゲンランプHLによる予備加熱が開始された後、放射温度計20による半導体ウェハーWの温度計測が開始される(ステップS4)。図1,8に示すように、放射温度計20はチャンバー6の外部に設置されており、石英ガラスの下側チャンバー窓64越しに半導体ウェハーWの温度を計測することとなる。
図10は、石英ガラスの分光透過率を示す図である。上述したように、放射温度計20の測定波長域は3μm以上4μm以下である。図10に示すように、石英ガラスは3μm以上4μm以下の波長域の赤外光をある程度透過させる。よって、放射温度計20は、半導体ウェハーWから放射されて石英のサセプタ74および下側チャンバー窓64を透過した3μm以上4μm以下の波長の赤外光を受光することができる。
一方、図11は、ハロゲンランプHLの分光放射強度を示す図である。同図には、ピークの強度に対する相対強度を示している。図11に示すように、ハロゲンランプHLは、波長1μm近傍に放射強度のピークを有するものの、3μm以上4μm以下の波長域でもある程度の強度の赤外光を放射している。従って、放射温度計20は、半導体ウェハーWから放射されて下側チャンバー窓64を透過した3μm以上4μm以下の波長の赤外光を受光するとともに、ハロゲンランプHLから放射された3μm以上4μm以下の波長の赤外光も受光することとなる。このようなハロゲンランプHLから放射温度計20に入射する波長3μm以上4μm以下の赤外光は、半導体ウェハーWの温度測定には外乱光となる。そこで、本実施形態においては、以下のようにしてハロゲンランプHLからの放射光の影響を排除している。
半導体ウェハーWから放射された赤外光およびハロゲンランプHLから出射された赤外光を受光した放射温度計20は、受光した赤外光のエネルギーに応じた強度の電気信号を出力する。放射温度計20の出力信号Y(t)は次の式(1)で表される。式(1)において、Xw(t)は半導体ウェハーWから放射された赤外光に由来する基板由来成分であり、Xo(t)はその他の外乱光に由来する成分である。その他の外乱光には、ハロゲンランプHLから出射された赤外光の他にもチャンバー6からの反射光等も含まれるが、そのような反射光等はハロゲンランプHLからの光に比較して無視できる程度の光量であるため、Xo(t)は実質的にはハロゲンランプHLからの放射光に由来する成分とみなすことができる。なお、tは時間であり、Y(t),Xw(t),Xo(t)はいずれも時間の関数である。
Figure 2018044915
放射温度計20からの出力信号Y(t)を受信した制御部3の減算部31は、式(2)に示すように、出力信号Y(t)からハロゲンランプHLからの放射光に由来する成分Xo(t)を減算して基板由来成分Xw(t)を求める(ステップS5)。
Figure 2018044915
ここで、減算部31は、次の式(3)よりハロゲンランプHLからの放射光に由来する成分Xo(t)を算定する。式(3)において、E(t)はハロゲンランプHLからの放射光のエネルギーの時間関数である。また、h(t)は放射温度計20のインパルス応答である。
Figure 2018044915
ハロゲンランプHLによる半導体ウェハーWの予備加熱を行う際には、半導体ウェハーWが所定温度に昇温するまでの初期段階では制御部3がランプ電源45を開ループ制御するとともに、半導体ウェハーWが所定温度以上に昇温した後には放射温度計20による温度測定結果に基づいて制御部3がランプ電源45を閉ループ制御する。従って、ハロゲンランプHLからの放射光のエネルギーE(t)は一定ではなく、時間の経過とともに変動し、時間の関数として表すことができる。よって、ハロゲンランプHLからの放射光に由来する成分Xo(t)も一定ではなく、時間とともに変動する。
ハロゲンランプHLからの放射光に対する放射温度計20の応答は一次遅れ系とみなされる。従って、ハロゲンランプHLからの放射光に由来する成分Xo(t)は、ハロゲンランプHLからの放射光のエネルギーE(t)に対して放射温度計20のインパルス応答h(t)をたたみ込み積分して得られる。放射温度計20のインパルス応答h(t)は次の式(4)にて表される。
Figure 2018044915
式(4)において、Kはゲイン定数であり、Tは時定数である。これらのゲイン定数Kおよび時定数Tは予め実験的に求めておく。減算部31は、式(3)にしたがって、ハロゲンランプHLからの放射光のエネルギーE(t)に対して放射温度計20のインパルス応答h(t)をたたみ込み積分してハロゲンランプHLからの放射光に由来する成分Xo(t)を求める。さらに、減算部31は、式(2)にしたがって、出力信号Y(t)からハロゲンランプHLからの放射光に由来する成分Xo(t)を減算して基板由来成分Xw(t)を求める。なお、ハロゲンランプHLからの放射光のエネルギーE(t)は、制御部3自身のランプ電源45に対する制御内容から取得することができる。
減算部31が基板由来成分Xw(t)を求めた後、制御部3の温度算定部32が基板由来成分Xw(t)から半導体ウェハーWの温度を求める(ステップS6)。基板由来成分Xw(t)は、放射温度計20の出力信号Y(t)からハロゲンランプHLの放射光の影響を排除した半導体ウェハーWから放射された赤外光のみに由来する成分である。よって、基板由来成分Xw(t)から半導体ウェハーWの温度を算定することが可能となる。
基板由来成分Xw(t)から半導体ウェハーWの温度を算定する基本的な原理は、黒体の温度と放射エネルギーとの関係を示すシュテファン=ボルツマンの法則およびプランクの法則を用いるものである。もっとも、典型的には、半導体ウェハーWの温度と放射温度計20からの出力信号とを実際に測定して作成した変換テーブルを用いることも多い。温度算定部32は、そのような変換テーブルに基づいて基板由来成分Xw(t)から半導体ウェハーWの温度を求めれば良い。基板由来成分Xw(t)は半導体ウェハーWから放射された赤外光のみに由来する放射温度計20の出力信号であるため、温度算定部32は正確に半導体ウェハーWの温度を算定することができる。
制御部3は、ハロゲンランプHLからの光照射によって昇温する半導体ウェハーWの温度が所定の予備加熱温度T1に到達したか否かを監視しつつ、ハロゲンランプHLの出力を制御する(ステップS5〜ステップS7)。すなわち、制御部3は、放射温度計20による測定結果に基づいて、半導体ウェハーWの温度が予備加熱温度T1となるようにランプ電源45を閉ループ制御する。予備加熱温度T1は、200℃ないし800℃程度、好ましくは350℃ないし600℃程度とされる(本実施の形態では600℃)。
半導体ウェハーWの温度が予備加熱温度T1に到達した後、制御部3は半導体ウェハーWをその予備加熱温度T1に暫時維持する。具体的には、放射温度計20によって測定される半導体ウェハーWの温度が予備加熱温度T1に到達した時点にて制御部3がハロゲンランプHLの出力を調整し、半導体ウェハーWの温度をほぼ予備加熱温度T1に維持している。このときにも、上述と同様に、放射温度計20の出力信号Y(t)から基板由来成分Xw(t)を抽出して半導体ウェハーWの温度を測定している。
このようなハロゲンランプHLによる予備加熱を行うことによって、半導体ウェハーWの全体を予備加熱温度T1に均一に昇温している。ハロゲンランプHLによる予備加熱の段階においては、より放熱が生じやすい半導体ウェハーWの周縁部の温度が中央部よりも低下する傾向にあるが、ハロゲン加熱部4におけるハロゲンランプHLの配設密度は、半導体ウェハーWの中央部に対向する領域よりも周縁部に対向する領域の方が高くなっている。このため、放熱が生じやすい半導体ウェハーWの周縁部に照射される光量が多くなり、予備加熱段階における半導体ウェハーWの面内温度分布を均一なものとすることができる。
次に、半導体ウェハーWの温度が予備加熱温度T1に到達して所定時間が経過した時点にてフラッシュ加熱部5のフラッシュランプFLが半導体ウェハーWの表面にフラッシュ光を照射してフラッシュ加熱処理を実行する(ステップS8)。このとき、フラッシュランプFLから放射されるフラッシュ光の一部は直接にチャンバー6内へと向かい、他の一部は一旦リフレクタ52により反射されてからチャンバー6内へと向かい、これらのフラッシュ光の照射により半導体ウェハーWのフラッシュ加熱が行われる。
フラッシュ加熱は、フラッシュランプFLからのフラッシュ光(閃光)照射により行われるため、半導体ウェハーWの表面温度を短時間で上昇することができる。すなわち、フラッシュランプFLから照射されるフラッシュ光は、予めコンデンサーに蓄えられていた静電エネルギーが極めて短い光パルスに変換された、照射時間が0.1ミリセカンド以上100ミリセカンド以下程度の極めて短く強い閃光である。そして、フラッシュランプFLからのフラッシュ光照射によりフラッシュ加熱される半導体ウェハーWの表面温度は、瞬間的に1000℃以上の処理温度T2まで上昇し、半導体ウェハーWに注入された不純物が活性化された後、表面温度が急速に下降する。このように、熱処理装置1では、半導体ウェハーWの表面温度を極めて短時間で昇降することができるため、半導体ウェハーWに注入された不純物の熱による拡散を抑制しつつ不純物の活性化を行うことができる。なお、不純物の活性化に必要な時間はその熱拡散に必要な時間に比較して極めて短いため、0.1ミリセカンドないし100ミリセカンド程度の拡散が生じない短時間であっても活性化は完了する。
フラッシュ加熱処理が終了した後、所定時間経過後にハロゲンランプHLが消灯する。これにより、半導体ウェハーWが予備加熱温度T1から急速に降温する。降温中の半導体ウェハーWの温度は放射温度計20によって測定され、その測定結果は制御部3に伝達される。制御部3は、放射温度計20の測定結果より半導体ウェハーWの温度が所定温度まで降温したか否かを監視する。そして、半導体ウェハーWの温度が所定以下にまで降温した後、移載機構10の一対の移載アーム11が再び退避位置から移載動作位置に水平移動して上昇することにより、リフトピン12がサセプタ74の上面から突き出て熱処理後の半導体ウェハーWをサセプタ74から受け取る。続いて、ゲートバルブ185により閉鎖されていた搬送開口部66が開放され、リフトピン12上に載置された半導体ウェハーWが装置外部の搬送ロボットにより搬出され(ステップS9)、熱処理装置1における半導体ウェハーWの加熱処理が完了する。
本実施形態においては、測定波長域が3μm以上4μm以下の放射温度計20を用いている。図10に示したように、石英ガラスのサセプタ74および下側チャンバー窓64は3μm以上4μm以下の波長域の赤外光をある程度透過させるものの、波長4μmを超える赤外光はほとんど透過させない。従って、測定波長域が4μmを超える放射温度計(例えば、受光素子にサーモパイルを用いた放射温度計)では石英ガラスの下側チャンバー窓64越しに半導体ウェハーWの温度を測定することは不可能である。本実施形態の放射温度計20の測定波長域は3μm以上4μm以下であるため、当該波長域の赤外光は石英ガラスのサセプタ74および下側チャンバー窓64を透過することができ、放射温度計20は石英ガラスの下側チャンバー窓64越しに半導体ウェハーWからの赤外光を受光してその温度を測定することができる。
一方、図11に示したように、ハロゲンランプHLは3μm以上4μm以下の波長域でもある程度の強度の赤外光を放射するものの、波長3μm未満の赤外光の放射強度はさらに強くなる。従って、測定波長域が3μm未満の放射温度計ではハロゲンランプHLからの外乱光の影響が過度に大きくなり、半導体ウェハーWの温度を正確に測定することが困難となる。本実施形態の放射温度計20の測定波長域は3μm以上4μm以下であるため、ハロゲンランプHLからの放射光の影響を最小限に抑制して放射温度計20による半導体ウェハーWの温度測定を可能にしている。
要するに、放射温度計20の測定波長域を3μm以上4μm以下とすることによって、ハロゲンランプHLからの放射光の影響を最小限に抑制しつつ、石英ガラスの下側チャンバー窓64越しの半導体ウェハーWの温度測定を可能にしているのである。石英ガラスの下側チャンバー窓64越しに半導体ウェハーWの温度を測定することができれば、放射温度計20をチャンバー6の外部であって下側チャンバー窓64の下方に設置することが可能となる。このため、チャンバー6の内部に放射温度計20を設置するためのスペースを確保する必要がなくなる。
また、チャンバー6の外部に放射温度計20を設置することができれば、複数の放射温度計20を配置して半導体ウェハーWの複数箇所の温度測定を行うことができる。さらに、石英ガラス越しに半導体ウェハーWの温度を測定することができれば、サセプタ74に温度測定用の穴を設ける必要がなくなり、その穴に放射温度計20の光軸を合わせるための繁雑な光軸調整作業が不要となる。
放射温度計20による温度測定時には、ハロゲンランプHLからの放射光の影響を最小限に抑制しているものの、放射温度計20は半導体ウェハーWから放射された赤外光およびハロゲンランプHLから出射された赤外光の双方を受光することとなる。そこで、放射温度計20の出力信号Y(t)からハロゲンランプHLからの放射光に由来する成分Xo(t)を減算して基板由来成分Xw(t)を抽出し、ハロゲンランプHLからの放射光の影響を排除することによって正確に半導体ウェハーWの温度を求めることができる。ハロゲンランプHLからの放射光に由来する成分Xo(t)は、ハロゲンランプHLからの放射光のエネルギーE(t)に対して放射温度計20のインパルス応答h(t)をたたみ込み積分して得られる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、この発明はその趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態においては、1つの放射温度計20を設けるようにしていたが、複数の放射温度計20を設けて半導体ウェハーWの複数箇所の温度を測定して面内温度分布を取得するようにしても良い。石英ガラス越しに半導体ウェハーWの温度を測定することができる放射温度計20であれば、チャンバー6の外部に容易に複数の放射温度計20を配置することができる。この場合、複数の放射温度計20の測定結果に基づいて、制御部3がハロゲンランプHLの配置ゾーン毎に個別にランプ電源45を閉ループ制御するようにしても良い(ゾーン制御)。
また、放射温度計20の設置位置はチャンバー6の外部に限定されるものではなく、チャンバー6の内部であっても良い。この場合であっても、放射温度計20によって石英のサセプタ74越しに半導体ウェハーWの温度を測定することができる。
また、上記実施形態においては、減算部31および温度算定部32を制御部3に設けるようにしていたが、減算部31および温度算定部32は放射温度計20の内部に設けるようにしても良いし、或いは放射温度計20に接続された別置の検出器に設けるようにしても良い。
また、上記実施形態においては、フラッシュ加熱部5に30本のフラッシュランプFLを備えるようにしていたが、これに限定されるものではなく、フラッシュランプFLの本数は任意の数とすることができる。また、フラッシュランプFLはキセノンフラッシュランプに限定されるものではなく、クリプトンフラッシュランプであっても良い。また、ハロゲン加熱部4に備えるハロゲンランプHLの本数も40本に限定されるものではなく、任意の数とすることができる。
また、上記実施形態においては、ハロゲンランプHLによる予備加熱後に半導体ウェハーWにフラッシュランプFLからフラッシュ光を照射する熱処理装置1にて予備加熱時の温度測定に本発明に係る技術を適用していたが、本発明に係る技術はハロゲンランプのみによって半導体ウェハーWを加熱する装置(例えば、スパイクアニール装置、CVD装置等)に適用しても良い。
1 熱処理装置
3 制御部
4 ハロゲン加熱部
5 フラッシュ加熱部
6 チャンバー
7 保持部
20 放射温度計
31 減算部
32 温度算定部
64 下側チャンバー窓
65 熱処理空間
74 サセプタ
FL フラッシュランプ
HL ハロゲンランプ
W 半導体ウェハー

Claims (8)

  1. 加熱されている基板の温度を測定する温度測定方法であって、
    チャンバー内に収容されている基板にハロゲンランプから光を照射して当該基板を加熱する加熱工程と、
    前記基板から放射された赤外光を測定波長域3μm以上4μm以下の放射温度計によって受光する受光工程と、
    前記放射温度計の出力信号から前記ハロゲンランプからの放射光に由来する成分を減算して基板由来成分を求める減算工程と、
    前記基板由来成分から前記基板の温度を求める温度算定工程と、
    を備えることを特徴とする温度測定方法。
  2. 請求項1記載の温度測定方法において、
    前記ハロゲンランプからの放射光に由来する成分は、前記ハロゲンランプからの放射光のエネルギーの時間関数に対して前記放射温度計のインパルス応答をたたみ込み積分して求めることを特徴とする温度測定方法。
  3. 請求項1または請求項2記載の温度測定方法において、
    前記ハロゲンランプおよび前記放射温度計は前記チャンバーの外部に設置され、
    前記加熱工程では、前記ハロゲンランプから出射された光が前記チャンバーに設けられた石英のチャンバー窓を透過して前記基板に照射され、
    前記受光工程では、前記基板から放射されて前記チャンバー窓を透過した赤外光を前記放射温度計が受光することを特徴とする温度測定方法。
  4. 基板に光を照射することによって該基板を加熱する熱処理装置であって、
    基板を収容するチャンバーと、
    前記チャンバー内に収容された前記基板に光を照射するハロゲンランプと、
    前記基板から放射される赤外光を受光して前記基板の温度を測定する測定波長域が3μm以上4μm以下の放射温度計と、
    前記放射温度計の出力信号から前記ハロゲンランプからの放射光に由来する成分を減算して基板由来成分を求める減算部と、
    前記基板由来成分から前記基板の温度を求める温度算定部と、
    を備えることを特徴とする熱処理装置。
  5. 請求項4記載の熱処理装置において、
    前記減算部は、前記ハロゲンランプからの放射光のエネルギーの時間関数に対して前記放射温度計のインパルス応答をたたみ込み積分して前記ハロゲンランプからの放射光に由来する成分を求めることを特徴とする熱処理装置。
  6. 請求項4または請求項5記載の熱処理装置において、
    前記ハロゲンランプおよび前記放射温度計は前記チャンバーの外部に設置され、
    前記ハロゲンランプから出射された光が前記チャンバーに設けられた石英のチャンバー窓を透過して前記基板に照射されるとともに、前記基板から放射されて前記チャンバー窓を透過した赤外光を前記放射温度計が受光することを特徴とする熱処理装置。
  7. 請求項4から請求項6のいずれかに記載の熱処理装置において、
    前記放射温度計はインジウムアンチモンの受光素子を備えることを特徴とする熱処理装置。
  8. 請求項4から請求項7のいずれかに記載の熱処理装置において、
    前記基板にフラッシュ光を照射するフラッシュランプをさらに備えることを特徴とする熱処理装置。
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