JP6618336B2 - 基板の温度分布調整方法 - Google Patents

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本発明は、半導体ウェハー等の薄板状精密電子基板(以下、単に「基板」と称する)に光を照射して加熱するときの温度分布調整方法に関する。
半導体デバイスの製造プロセスにおいて、不純物導入は半導体ウェハー内にpn接合を形成するための必須の工程である。現在、不純物導入は、イオン打ち込み法とその後のアニール法によってなされるのが一般的である。イオン打ち込み法は、ボロン(B)、ヒ素(As)、リン(P)といった不純物の元素をイオン化させて高加速電圧で半導体ウェハーに衝突させて物理的に不純物注入を行う技術である。注入された不純物はアニール処理によって活性化される。この際に、アニール時間が数秒程度以上であると、打ち込まれた不純物が熱によって深く拡散し、その結果接合深さが要求よりも深くなり過ぎて良好なデバイス形成に支障が生じるおそれがある。
そこで、極めて短時間で半導体ウェハーを加熱するアニール技術として、近年フラッシュランプアニール(FLA)が注目されている。フラッシュランプアニールは、キセノンフラッシュランプ(以下、単に「フラッシュランプ」とするときにはキセノンフラッシュランプを意味する)を使用して半導体ウェハーの表面にフラッシュ光を照射することにより、不純物が注入された半導体ウェハーの表面のみを極めて短時間(数ミリ秒以下)に昇温させる熱処理技術である。
キセノンフラッシュランプの放射分光分布は紫外域から近赤外域であり、従来のハロゲンランプよりも波長が短く、シリコンの半導体ウェハーの基礎吸収帯とほぼ一致している。よって、キセノンフラッシュランプから半導体ウェハーにフラッシュ光を照射したときには、透過光が少なく半導体ウェハーを急速に昇温することが可能である。また、数ミリ秒以下の極めて短時間のフラッシュ光照射であれば、半導体ウェハーの表面近傍のみを選択的に昇温できることも判明している。このため、キセノンフラッシュランプによる極短時間の昇温であれば、不純物を深く拡散させることなく、不純物活性化のみを実行することができるのである。
フラッシュ加熱に限らず熱処理では半導体ウェハーの温度を適切に管理することが重要であり、特にウェハー面内の温度分布の均一性が強く要求される。半導体ウェハーの面内温度分布のバラツキが大きいと、デバイス特性の劣化や歩留まりの低下が懸念される。熱処理時における半導体ウェハーの温度を管理するためには、熱処理中の半導体ウェハーの温度を正確に測定する必要がある。典型的には、半導体ウェハーの熱処理では非接触の放射温度計によって温度測定が行われ、例えば特許文献1には、フラッシュ光照射前のハロゲンランプによる予備加熱時に放射温度計によって半導体ウェハーの温度を測定することが開示されている。
特開2010−225613号公報
しかしながら、従来においては、半導体ウェハーの一部分のみの温度を測定していることが多く、放射温度計による測定によってウェハー面内全体の温度分布を把握することは困難であった。また、放射温度計によって半導体ウェハーの複数箇所の温度を測定していたとしても、その測定結果に基づいて半導体ウェハーの温度分布を調整することは行われていなかった。
このため、従来のフラッシュランプアニール装置においては、実際にイオンを注入した半導体ウェハー(ダミーウェハー)に対してハロゲンランプによる予備加熱とフラッシュランプからのフラッシュ光照射を行った処理後に、シート抵抗値を多点測定することによって事後的に半導体ウェハーの面内温度分布を評価し、その評価結果に基づいて半導体ウェハーの面内温度分布が均一となるようにハロゲンランプの出力を試行錯誤で調整していた。イオンを注入した半導体ウェハーは一度加熱処理を行うと再利用不可能であるため、半導体ウェハーの面内温度分布を調整するときには、試行錯誤の数だけダミーウェハーを消耗することとなっていた。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、基板の消耗を抑制しつつ、簡便に基板の面内温度分布を調整することができる基板の温度分布調整方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、基板の温度分布調整方法において、基板に光を照射して加熱する熱源をn分割(nは2以上の整数)した各分割領域の出力の組み合わせをn水準以上変化させたときに、それぞれの水準にてn個の温度計によって前記基板の異なる部位の温度を測定して各部位の温度変化を求める温度変化測定工程と、前記温度変化測定工程での測定結果に基づいて、前記各分割領域の出力変化を前記n個の温度計のそれぞれが測定する前記基板の部位の温度変化の関数として求める解析工程と、前記解析工程にて求められた前記関数に基づいて、前記n個の温度計のそれぞれが測定する前記基板の部位に要求される温度変化量から前記各分割領域の出力変化量を算定する算定工程と、前記算定工程での算定結果に基づいて、前記各分割領域の出力変化を制御する出力制御工程と、を備えることを特徴とする。
また、請求項2の発明は、請求項1の発明に係る基板の温度分布調整方法において、前記熱源は複数のハロゲンランプを有することを特徴とする。
また、請求項3の発明は、請求項2の発明に係る基板の温度分布調整方法において、フラッシュランプから前記基板にフラッシュ光を照射する前に前記複数のハロゲンランプが前記基板を予備加熱するときの前記基板の面内温度分布を調整することを特徴とする。
請求項1から請求項3の発明によれば、熱源をn分割した各分割領域の出力の組み合わせをn水準以上変化させたときに、n個の温度計によって基板の異なる部位の温度を測定して各部位の温度変化を求め、各分割領域の出力変化をn個の温度計のそれぞれが測定する基板の部位の温度変化の関数として求め、その関数に基づいて、n個の温度計のそれぞれが測定する基板の部位に要求される温度変化量から各分割領域の出力変化量を算定するため、実際の基板を使用した試行錯誤の出力調整が不要となり、基板の消耗を抑制しつつ、簡便に基板の面内温度分布を調整することができる。
本発明に係る温度分布調整方法を実施するための熱処理装置の構成を示す縦断面図である。 保持部の全体外観を示す斜視図である。 保持部を上面から見た平面図である。 保持部を側方から見た側面図である。 移載機構の平面図である。 移載機構の側面図である。 複数のハロゲンランプの配置を示す平面図である。 半導体ウェハーの温度分布調整を説明するための図である。 半導体ウェハーの温度測定点の他の例を示す図である。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明に係る温度分布調整方法を実施するための熱処理装置1の構成を示す縦断面図である。本実施形態の熱処理装置1は、基板として円板形状の半導体ウェハーWに対してフラッシュ光照射を行うことによってその半導体ウェハーWを加熱するフラッシュランプアニール装置である。処理対象となる半導体ウェハーWのサイズは特に限定されるものではないが、例えばφ300mmやφ450mmである。熱処理装置1に搬入される前の半導体ウェハーWには不純物が注入されており、熱処理装置1による加熱処理によって注入された不純物の活性化処理が実行される。なお、図1および以降の各図においては、理解容易のため、必要に応じて各部の寸法や数を誇張または簡略化して描いている。
熱処理装置1は、半導体ウェハーWを収容するチャンバー6と、複数のフラッシュランプFLを内蔵するフラッシュ加熱部5と、複数のハロゲンランプHLを内蔵するハロゲン加熱部4と、を備える。チャンバー6の上側にフラッシュ加熱部5が設けられるとともに、下側にハロゲン加熱部4が設けられている。また、熱処理装置1は、チャンバー6の内部に、半導体ウェハーWを水平姿勢に保持する保持部7と、保持部7と装置外部との間で半導体ウェハーWの受け渡しを行う移載機構10と、を備える。また、熱処理装置1は、処理対象となる半導体ウェハーWの異なる部位の温度を測定する2つの放射温度計120,130を備える。さらに、熱処理装置1は、ハロゲン加熱部4、フラッシュ加熱部5およびチャンバー6に設けられた各動作機構を制御して半導体ウェハーWの熱処理を実行させる制御部3を備える。
チャンバー6は、筒状のチャンバー側部61の上下に石英製のチャンバー窓を装着して構成されている。チャンバー側部61は上下が開口された概略筒形状を有しており、上側開口には上側チャンバー窓63が装着されて閉塞され、下側開口には下側チャンバー窓64が装着されて閉塞されている。チャンバー6の天井部を構成する上側チャンバー窓63は、石英により形成された円板形状部材であり、フラッシュ加熱部5から出射されたフラッシュ光をチャンバー6内に透過する石英窓として機能する。また、チャンバー6の床部を構成する下側チャンバー窓64も、石英により形成された円板形状部材であり、ハロゲン加熱部4からの光をチャンバー6内に透過する石英窓として機能する。
また、チャンバー側部61の内側の壁面の上部には反射リング68が装着され、下部には反射リング69が装着されている。反射リング68,69は、ともに円環状に形成されている。上側の反射リング68は、チャンバー側部61の上側から嵌め込むことによって装着される。一方、下側の反射リング69は、チャンバー側部61の下側から嵌め込んで図示省略のビスで留めることによって装着される。すなわち、反射リング68,69は、ともに着脱自在にチャンバー側部61に装着されるものである。チャンバー6の内側空間、すなわち上側チャンバー窓63、下側チャンバー窓64、チャンバー側部61および反射リング68,69によって囲まれる空間が熱処理空間65として規定される。
チャンバー側部61に反射リング68,69が装着されることによって、チャンバー6の内壁面に凹部62が形成される。すなわち、チャンバー側部61の内壁面のうち反射リング68,69が装着されていない中央部分と、反射リング68の下端面と、反射リング69の上端面とで囲まれた凹部62が形成される。凹部62は、チャンバー6の内壁面に水平方向に沿って円環状に形成され、半導体ウェハーWを保持する保持部7を囲繞する。
チャンバー側部61および反射リング68,69は、強度と耐熱性に優れた金属材料(例えば、ステンレススチール)にて形成されている。また、反射リング68,69の内周面は電解ニッケルメッキによって鏡面とされている。
また、チャンバー側部61には、チャンバー6に対して半導体ウェハーWの搬入および搬出を行うための搬送開口部(炉口)66が形設されている。搬送開口部66は、ゲートバルブ185によって開閉可能とされている。搬送開口部66は凹部62の外周面に連通接続されている。このため、ゲートバルブ185が搬送開口部66を開放しているときには、搬送開口部66から凹部62を通過して熱処理空間65への半導体ウェハーWの搬入および熱処理空間65からの半導体ウェハーWの搬出を行うことができる。また、ゲートバルブ185が搬送開口部66を閉鎖するとチャンバー6内の熱処理空間65が密閉空間とされる。
また、チャンバー6の内壁上部には熱処理空間65に処理ガス(本実施形態では窒素ガス(N))を供給するガス供給孔81が形設されている。ガス供給孔81は、凹部62よりも上側位置に形設されており、反射リング68に設けられていても良い。ガス供給孔81はチャンバー6の側壁内部に円環状に形成された緩衝空間82を介してガス供給管83に連通接続されている。ガス供給管83は窒素ガス供給源85に接続されている。また、ガス供給管83の経路途中にはバルブ84が介挿されている。バルブ84が開放されると、窒素ガス供給源85から緩衝空間82に窒素ガスが送給される。緩衝空間82に流入した窒素ガスは、ガス供給孔81よりも流体抵抗の小さい緩衝空間82内を拡がるように流れてガス供給孔81から熱処理空間65内へと供給される。なお、処理ガスは窒素ガスに限定されるものではなく、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)などの不活性ガス、または、酸素(O)、水素(H)、塩素(Cl)、塩化水素(HCl)、オゾン(O)、アンモニア(NH)などの反応性ガスであっても良い。
一方、チャンバー6の内壁下部には熱処理空間65内の気体を排気するガス排気孔86が形設されている。ガス排気孔86は、凹部62よりも下側位置に形設されており、反射リング69に設けられていても良い。ガス排気孔86はチャンバー6の側壁内部に円環状に形成された緩衝空間87を介してガス排気管88に連通接続されている。ガス排気管88は排気部190に接続されている。また、ガス排気管88の経路途中にはバルブ89が介挿されている。バルブ89が開放されると、熱処理空間65の気体がガス排気孔86から緩衝空間87を経てガス排気管88へと排出される。なお、ガス供給孔81およびガス排気孔86は、チャンバー6の周方向に沿って複数設けられていても良いし、スリット状のものであっても良い。また、窒素ガス供給源85および排気部190は、熱処理装置1に設けられた機構であっても良いし、熱処理装置1が設置される工場のユーティリティであっても良い。
また、搬送開口部66の先端にも熱処理空間65内の気体を排出するガス排気管191が接続されている。ガス排気管191はバルブ192を介して排気部190に接続されている。バルブ192を開放することによって、搬送開口部66を介してチャンバー6内の気体が排気される。
図2は、保持部7の全体外観を示す斜視図である。また、図3は保持部7を上面から見た平面図であり、図4は保持部7を側方から見た側面図である。保持部7は、基台リング71、連結部72およびサセプター74を備えて構成される。基台リング71、連結部72およびサセプター74はいずれも石英にて形成されている。すなわち、保持部7の全体が石英にて形成されている。
基台リング71は円環形状の石英部材である。基台リング71は凹部62の底面に載置されることによって、チャンバー6の壁面に支持されることとなる(図1参照)。円環形状を有する基台リング71の上面に、その周方向に沿って複数の連結部72(本実施形態では4個)が立設される。連結部72も石英の部材であり、溶接によって基台リング71に固着される。なお、基台リング71の形状は、円環形状から一部が欠落した円弧状であっても良い。
平板状のサセプター74は基台リング71に設けられた4個の連結部72によって支持される。サセプター74は石英にて形成された略円形の平板状部材である。サセプター74の直径は半導体ウェハーWの直径よりも大きい。すなわち、サセプター74は、半導体ウェハーWよりも大きな平面サイズを有する。サセプター74の上面には複数個(本実施形態では5個)のガイドピン76が立設されている。5個のガイドピン76はサセプター74の外周円と同心円の周上に沿って設けられている。5個のガイドピン76を配置した円の径は半導体ウェハーWの径よりも若干大きい。各ガイドピン76も石英にて形成されている。なお、ガイドピン76は、サセプター74と一体に石英のインゴットから加工するようにしても良いし、別途に加工したものをサセプター74に溶接等によって取り付けるようにしても良い。
基台リング71に立設された4個の連結部72とサセプター74の周縁部の下面とが溶接によって固着される。すなわち、サセプター74と基台リング71とは連結部72によって固定的に連結されており、保持部7は石英の一体成形部材となる。このような保持部7の基台リング71がチャンバー6の壁面に支持されることによって、保持部7がチャンバー6に装着される。保持部7がチャンバー6に装着された状態においては、略円板形状のサセプター74は水平姿勢(法線が鉛直方向と一致する姿勢)となる。チャンバー6に搬入された半導体ウェハーWは、チャンバー6に装着された保持部7のサセプター74の上に水平姿勢にて載置されて保持される。半導体ウェハーWは、5個のガイドピン76によって形成される円の内側に載置されることにより、水平方向の位置ずれが防止される。なお、ガイドピン76の個数は5個に限定されるものではなく、半導体ウェハーWの位置ずれを防止できる数であれば良い。
また、図2および図3に示すように、サセプター74には、上下に貫通して開口部78および切り欠き部77が形成されている。開口部78および切り欠き部77は、それぞれ放射温度計120および放射温度計130がサセプター74に保持された半導体ウェハーWの下面から放射される放射光(赤外光)を受光するために設けられている。放射温度計120および放射温度計130は、いずれも保持部7に保持された半導体ウェハーWの下面側に設けられている。放射温度計120と放射温度計130とはサセプター74を挟んで相対向する位置に設けるのが好ましい。放射温度計120および放射温度計130は、例えばパイロメータを用いて構成されており、保持部7に保持された半導体ウェハーWの下面から放射される放射光を受光して当該下面の温度を測定する。但し、放射温度計120と放射温度計130とでは温度を測定する半導体ウェハーWの部位が互いに異なる。放射温度計120は開口部78に露出している半導体ウェハーWの部位の温度を測定し、放射温度計130は切り欠き部77に露出している半導体ウェハーWの部位の温度を測定する。さらに、サセプター74には、後述する移載機構10のリフトピン12が半導体ウェハーWの受け渡しのために貫通する4個の貫通孔79が穿設されている。
図5は、移載機構10の平面図である。また、図6は、移載機構10の側面図である。移載機構10は、2本の移載アーム11を備える。移載アーム11は、概ね円環状の凹部62に沿うような円弧形状とされている。それぞれの移載アーム11には2本のリフトピン12が立設されている。各移載アーム11は水平移動機構13によって回動可能とされている。水平移動機構13は、一対の移載アーム11を保持部7に対して半導体ウェハーWの移載を行う移載動作位置(図5の実線位置)と保持部7に保持された半導体ウェハーWと平面視で重ならない退避位置(図5の二点鎖線位置)との間で水平移動させる。水平移動機構13としては、個別のモータによって各移載アーム11をそれぞれ回動させるものであっても良いし、リンク機構を用いて1個のモータによって一対の移載アーム11を連動させて回動させるものであっても良い。
また、一対の移載アーム11は、昇降機構14によって水平移動機構13とともに昇降移動される。昇降機構14が一対の移載アーム11を移載動作位置にて上昇させると、計4本のリフトピン12がサセプター74に穿設された貫通孔79(図2,3参照)を通過し、リフトピン12の上端がサセプター74の上面から突き出る。一方、昇降機構14が一対の移載アーム11を移載動作位置にて下降させてリフトピン12を貫通孔79から抜き取り、水平移動機構13が一対の移載アーム11を開くように移動させると各移載アーム11が退避位置に移動する。一対の移載アーム11の退避位置は、保持部7の基台リング71の直上である。基台リング71は凹部62の底面に載置されているため、移載アーム11の退避位置は凹部62の内側となる。なお、移載機構10の駆動部(水平移動機構13および昇降機構14)が設けられている部位の近傍にも図示省略の排気機構が設けられており、移載機構10の駆動部周辺の雰囲気がチャンバー6の外部に排出されるように構成されている。
図1に戻り、チャンバー6の上方に設けられたフラッシュ加熱部5は、筐体51の内側に、複数本(本実施形態では30本)のキセノンフラッシュランプFLからなる光源と、その光源の上方を覆うように設けられたリフレクタ52と、を備えて構成される。また、フラッシュ加熱部5の筐体51の底部にはランプ光放射窓53が装着されている。フラッシュ加熱部5の床部を構成するランプ光放射窓53は、石英により形成された板状の石英窓である。フラッシュ加熱部5がチャンバー6の上方に設置されることにより、ランプ光放射窓53が上側チャンバー窓63と相対向することとなる。フラッシュランプFLはチャンバー6の上方からランプ光放射窓53および上側チャンバー窓63を介して熱処理空間65にフラッシュ光を照射する。
複数のフラッシュランプFLは、それぞれが長尺の円筒形状を有する棒状ランプであり、それぞれの長手方向が保持部7に保持される半導体ウェハーWの主面に沿って(つまり水平方向に沿って)互いに平行となるように平面状に配列されている。よって、フラッシュランプFLの配列によって形成される平面も水平面である。
キセノンフラッシュランプFLは、その内部にキセノンガスが封入されその両端部にコンデンサーに接続された陽極および陰極が配設された棒状のガラス管(放電管)と、該ガラス管の外周面上に付設されたトリガー電極とを備える。キセノンガスは電気的には絶縁体であることから、コンデンサーに電荷が蓄積されていたとしても通常の状態ではガラス管内に電気は流れない。しかしながら、トリガー電極に高電圧を印加して絶縁を破壊した場合には、コンデンサーに蓄えられた電気がガラス管内に瞬時に流れ、そのときのキセノンの原子あるいは分子の励起によって光が放出される。このようなキセノンフラッシュランプFLにおいては、予めコンデンサーに蓄えられていた静電エネルギーが0.1ミリセカンドないし100ミリセカンドという極めて短い光パルスに変換されることから、ハロゲンランプHLの如き連続点灯の光源に比べて極めて強い光を照射し得るという特徴を有する。すなわち、フラッシュランプFLは、1秒未満の極めて短い時間で瞬間的に発光するパルス発光ランプである。なお、フラッシュランプFLの発光時間は、フラッシュランプFLに電力供給を行うランプ電源のコイル定数によって調整することができる。
また、リフレクタ52は、複数のフラッシュランプFLの上方にそれら全体を覆うように設けられている。リフレクタ52の基本的な機能は、複数のフラッシュランプFLから出射されたフラッシュ光を熱処理空間65の側に反射するというものである。リフレクタ52はアルミニウム合金板にて形成されており、その表面(フラッシュランプFLに臨む側の面)はブラスト処理により粗面化加工が施されている。
チャンバー6の下方に設けられたハロゲン加熱部4は、筐体41の内側に複数本(本実施形態では40本)のハロゲンランプHLを内蔵している。ハロゲン加熱部4は、複数のハロゲンランプHLによってチャンバー6の下方から下側チャンバー窓64を介して熱処理空間65への光照射を行って半導体ウェハーWを加熱する光照射部である。
図7は、複数のハロゲンランプHLの配置を示す平面図である。40本のハロゲンランプHLは上下2段に分けて配置されている。保持部7に近い上段に20本のハロゲンランプHLが配設されるとともに、上段よりも保持部7から遠い下段にも20本のハロゲンランプHLが配設されている。各ハロゲンランプHLは、長尺の円筒形状を有する棒状ランプである。上段、下段ともに20本のハロゲンランプHLは、それぞれの長手方向が保持部7に保持される半導体ウェハーWの主面に沿って(つまり水平方向に沿って)互いに平行となるように配列されている。よって、上段、下段ともにハロゲンランプHLの配列によって形成される平面は水平面である。
また、図7に示すように、上段、下段ともに保持部7に保持される半導体ウェハーWの中央部に対向する領域よりも周縁部に対向する領域におけるハロゲンランプHLの配設密度が高くなっている。すなわち、上下段ともに、ランプ配列の中央部よりも周縁部の方がハロゲンランプHLの配設ピッチが短い。このため、ハロゲン加熱部4からの光照射による加熱時に温度低下が生じやすい半導体ウェハーWの周縁部により多い光量の照射を行うことができる。
また、上段のハロゲンランプHLからなるランプ群と下段のハロゲンランプHLからなるランプ群とが格子状に交差するように配列されている。すなわち、上段に配置された20本のハロゲンランプHLの長手方向と下段に配置された20本のハロゲンランプHLの長手方向とが互いに直交するように計40本のハロゲンランプHLが配設されている。
ハロゲンランプHLは、ガラス管内部に配設されたフィラメントに通電することでフィラメントを白熱化させて発光させるフィラメント方式の光源である。ガラス管の内部には、窒素やアルゴン等の不活性ガスにハロゲン元素(ヨウ素、臭素等)を微量導入した気体が封入されている。ハロゲン元素を導入することによって、フィラメントの折損を抑制しつつフィラメントの温度を高温に設定することが可能となる。したがって、ハロゲンランプHLは、通常の白熱電球に比べて寿命が長くかつ強い光を連続的に照射できるという特性を有する。すなわち、ハロゲンランプHLは少なくとも1秒以上連続して発光する連続点灯ランプである。また、ハロゲンランプHLは棒状ランプであるため長寿命であり、ハロゲンランプHLを水平方向に沿わせて配置することにより上方の半導体ウェハーWへの放射効率が優れたものとなる。
40本のハロゲンランプHLのそれぞれは電力供給源45から電力の供給を受けて発光する。本実施形態では、40本のハロゲンランプHLのそれぞれの発光出力、すなわち各ハロゲンランプHLへの電力供給量は制御部3によって個別に制御される。従って、例えば、上段または下段の20本のハロゲンランプHLの配列における右半分と左半分とを異なる発光出力とすることができる。
また、ハロゲン加熱部4の筐体41内にも、2段のハロゲンランプHLの下側にリフレクタ43が設けられている(図1)。リフレクタ43は、複数のハロゲンランプHLから出射された光を熱処理空間65の側に反射する。
制御部3は、熱処理装置1に設けられた種々の動作機構を制御する。制御部3のハードウェアとしての構成は一般的なコンピュータと同様である。すなわち、制御部3は、各種演算処理を行う回路であるCPU、基本プログラムを記憶する読み出し専用のメモリであるROM、各種情報を記憶する読み書き自在のメモリであるRAMおよび制御用ソフトウェアやデータなどを記憶しておく磁気ディスクを備えている。制御部3のCPUが所定の処理プログラムを実行することによって熱処理装置1における処理が進行する。
また、制御部3には2つの放射温度計120,130および電力供給源45が電気的に接続されている。制御部3は、2つの放射温度計120,130の測定結果に基づいて解析を行い、電力供給源45から40本のハロゲンランプHLへの電力供給量を制御するのであるがその詳細についてはさらに後述する。
上記の構成以外にも熱処理装置1は、半導体ウェハーWの熱処理時にハロゲンランプHLおよびフラッシュランプFLから発生する熱エネルギーによるハロゲン加熱部4、フラッシュ加熱部5およびチャンバー6の過剰な温度上昇を防止するため、様々な冷却用の構造を備えている。例えば、チャンバー6の壁体には水冷管(図示省略)が設けられている。また、ハロゲン加熱部4およびフラッシュ加熱部5は、内部に気体流を形成して排熱する空冷構造とされている。また、上側チャンバー窓63とランプ光放射窓53との間隙にも空気が供給され、フラッシュ加熱部5および上側チャンバー窓63を冷却する。
次に、上述の構成を有する熱処理装置1の動作について説明する。ここでは、まず処理対象となる半導体ウェハーWの処理手順について簡単に説明した後、半導体ウェハーWの面内温度分布の調整方法について説明する。処理対象となる半導体ウェハーWはイオン注入法により不純物(イオン)が添加されたシリコン(Si)の半導体基板である。その添加された不純物の活性化が熱処理装置1によるフラッシュ光照射加熱処理(アニール)により実行される。以下に説明する熱処理装置1の処理手順は、制御部3が熱処理装置1の各動作機構を制御することにより進行する。
まず、給気のためのバルブ84が開放されるとともに、排気用のバルブ89,192が開放されてチャンバー6内に対する給排気が開始される。バルブ84が開放されると、ガス供給孔81から熱処理空間65に窒素ガスが供給される。また、バルブ89が開放されると、ガス排気孔86からチャンバー6内の気体が排気される。これにより、チャンバー6内の熱処理空間65の上部から供給された窒素ガスが下方へと流れ、熱処理空間65の下部から排気される。
また、バルブ192が開放されることによって、搬送開口部66からもチャンバー6内の気体が排気される。さらに、図示省略の排気機構によって移載機構10の駆動部周辺の雰囲気も排気される。なお、熱処理装置1における半導体ウェハーWの熱処理時には窒素ガスが熱処理空間65に継続的に供給されており、その供給量は処理工程に応じて適宜変更される。
続いて、ゲートバルブ185が開いて搬送開口部66が開放され、装置外部の搬送ロボットにより搬送開口部66を介してイオン注入後の半導体ウェハーWがチャンバー6内の熱処理空間65に搬入される。搬送ロボットによって搬入された半導体ウェハーWは保持部7の直上位置まで進出して停止する。そして、移載機構10の一対の移載アーム11が退避位置から移載動作位置に水平移動して上昇することにより、リフトピン12が貫通孔79を通ってサセプター74の上面から突き出て半導体ウェハーWを受け取る。
半導体ウェハーWがリフトピン12に載置された後、搬送ロボットが熱処理空間65から退出し、ゲートバルブ185によって搬送開口部66が閉鎖される。そして、一対の移載アーム11が下降することにより、半導体ウェハーWは移載機構10から保持部7のサセプター74に受け渡されて水平姿勢にて下方より保持される。半導体ウェハーWは、パターン形成がなされて不純物が注入された表面を上面として保持部7に保持される。また、半導体ウェハーWは、サセプター74の上面にて5個のガイドピン76の内側に保持される。サセプター74の下方にまで下降した一対の移載アーム11は水平移動機構13によって退避位置、すなわち凹部62の内側に退避する。
半導体ウェハーWが石英にて形成された保持部7によって水平姿勢にて下方より保持された後、ハロゲン加熱部4の40本のハロゲンランプHLが一斉に点灯して予備加熱(アシスト加熱)が開始される。ハロゲンランプHLから出射されたハロゲン光は、石英にて形成された下側チャンバー窓64およびサセプター74を透過して半導体ウェハーWの裏面から照射される。半導体ウェハーWの裏面は、表面とは反対側の主面であり、一般的には半導体ウェハーWの裏面にはパターンが形成されていない。ハロゲンランプHLからの光照射を受けることによって半導体ウェハーWが予備加熱されて温度が上昇する。なお、移載機構10の移載アーム11は凹部62の内側に退避しているため、ハロゲンランプHLによる加熱の障害となることは無い。
ハロゲンランプHLによる予備加熱を行うときには、半導体ウェハーWの温度が放射温度計120および放射温度計130によって測定されている。すなわち、保持部7に保持された半導体ウェハーWの下面から放射された放射光を放射温度計120および放射温度計130が受光して昇温中のウェハー温度を測定する。測定された半導体ウェハーWの温度は制御部3に伝達される。制御部3は、ハロゲンランプHLからの光照射によって昇温する半導体ウェハーWの温度が所定の予備加熱温度T1に到達したか否かを監視しつつ、ハロゲンランプHLの出力を制御する。すなわち、制御部3は、放射温度計120および放射温度計130による測定値に基づいて、半導体ウェハーWの温度が予備加熱温度T1となるように電力供給源45をフィードバック制御してハロゲンランプHLの出力を調整する。予備加熱温度T1は、半導体ウェハーWに添加された不純物が熱により拡散する恐れのない、200℃ないし800℃程度、好ましくは350℃ないし600℃程度とされる(本実施の形態では600℃)。
半導体ウェハーWの温度が予備加熱温度T1に到達した後、制御部3は半導体ウェハーWをその予備加熱温度T1に暫時維持する。具体的には、放射温度計120および放射温度計130によって測定される半導体ウェハーWの温度が予備加熱温度T1に到達した時点にて制御部3がハロゲンランプHLの出力を調整し、半導体ウェハーWの温度をほぼ予備加熱温度T1に維持している。なお、半導体ウェハーWの温度が室温から予備加熱温度T1に到達するまでの時間および予備加熱温度T1に維持される時間はいずれも数秒程度である。
ハロゲンランプHLからの光照射によって半導体ウェハーWの温度が予備加熱温度T1に到達して所定時間が経過した時点にてフラッシュ加熱部5のフラッシュランプFLが半導体ウェハーWの表面にフラッシュ光照射を行う。このとき、フラッシュランプFLから放射されるフラッシュ光の一部は直接にチャンバー6内へと向かい、他の一部は一旦リフレクタ52により反射されてからチャンバー6内へと向かい、これらのフラッシュ光の照射により半導体ウェハーWのフラッシュ加熱が行われる。
フラッシュ加熱は、フラッシュランプFLからのフラッシュ光(閃光)照射により行われるため、半導体ウェハーWの表面温度を短時間で上昇することができる。すなわち、フラッシュランプFLから照射されるフラッシュ光は、予めコンデンサーに蓄えられていた静電エネルギーが極めて短い光パルスに変換された、照射時間が0.1ミリセカンド以上100ミリセカンド以下程度の極めて短く強い閃光である。そして、フラッシュランプFLからのフラッシュ光照射によりフラッシュ加熱される半導体ウェハーWの表面温度は、瞬間的に1000℃以上の処理温度T2まで上昇し、半導体ウェハーWに注入された不純物が活性化された後、表面温度が急速に下降する。このように、熱処理装置1では、半導体ウェハーWの表面温度を極めて短時間で昇降することができるため、半導体ウェハーWに注入された不純物の熱による拡散を抑制しつつ不純物の活性化を行うことができる。なお、不純物の活性化に必要な時間はその熱拡散に必要な時間に比較して極めて短いため、0.1ミリセカンドないし100ミリセカンド程度の拡散が生じない短時間であっても活性化は完了する。
フラッシュ加熱処理が終了した後、所定時間経過後にハロゲンランプHLが消灯する。これにより、半導体ウェハーWが予備加熱温度T1から急速に降温する。降温中の半導体ウェハーWの温度も放射温度計120および放射温度計130によって測定され、その測定結果は制御部3に伝達される。制御部3は、測定結果より半導体ウェハーWの温度が所定温度まで降温したか否かを監視する。そして、半導体ウェハーWの温度が所定以下にまで降温した後、移載機構10の一対の移載アーム11が再び退避位置から移載動作位置に水平移動して上昇することにより、リフトピン12がサセプター74の上面から突き出て熱処理後の半導体ウェハーWをサセプター74から受け取る。続いて、ゲートバルブ185により閉鎖されていた搬送開口部66が開放され、リフトピン12上に載置された半導体ウェハーWが装置外部の搬送ロボットにより搬出され、熱処理装置1における半導体ウェハーWの加熱処理が完了する。
ところで、上述したハロゲンランプHLによる予備加熱時に放射温度計120および放射温度計130が測定した温度が異なっていた場合、すなわち半導体ウェハーWの面内温度分布が均一でない場合には、ハロゲンランプHLの出力を制御して面内温度分布が均一となるように半導体ウェハーWの温度分布を調整する必要がある。このような半導体ウェハーWの温度分布調整は、処理対象となる半導体ウェハーWを予備加熱する都度実行するようにしても良いし、熱処理装置1のメンテナンス時等に行うようにしても良い。以下、放射温度計120および放射温度計130の温度測定結果に基づく、半導体ウェハーWの温度分布調整について説明を続ける。
図8は、半導体ウェハーWの温度分布調整を説明するための図である。まず、半導体ウェハーWの温度分布調整のための準備工程として、2つの放射温度計120,130の測定結果に基づいて解析を行い、半導体ウェハーWの温度変化とハロゲンランプHLの出力変化との相関関係を求めておく。この準備工程は、例えば熱処理装置1のメンテナンス時等にパターン形成もイオン注入もなされていない半導体ウェハーW(いわゆるベアウェハー)を用いて行うようにすれば良い。
上述したように、熱処理装置1には保持部7に保持された半導体ウェハーWの下面の温度を測定する2つの放射温度計120,130が設けられており、放射温度計120と放射温度計130とは半導体ウェハーWの異なる部位の温度を測定する。具体的には、放射温度計120はサセプター74の開口部78に露出している半導体ウェハーWの部位の温度を測定し、放射温度計130は切り欠き部77に露出している半導体ウェハーWの部位の温度を測定する。ここでは、放射温度計120が測定する半導体ウェハーWの部位を部位Aとし、放射温度計130が測定する半導体ウェハーWの部位を部位Bとする。
一方、予備加熱時に半導体ウェハーWに光を照射して加熱する熱源であるハロゲン加熱部4には、40本のハロゲンランプHLが配置されている。本実施形態においては、ハロゲン加熱部4を2分割し、相対的に放射温度計120に近い方を分割領域40aとし、放射温度計130に近い方を分割領域40bとする。40本のハロゲンランプHLの発光出力は個別に制御可能であるため、制御部3は分割領域40aの出力と分割領域40bの出力とを互いに独立に制御することができる。なお、本実施形態においては、40本のハロゲンランプHLが格子状に交差するように配列されているため、例えば上段の20本のハロゲンランプHLまたは下段の20本のハロゲンランプHLのうちのいずれか一方を10本ずつに分割して分割領域40a,40bとし、他方については分割を行わずに均等な発光出力とすれば良い。
相対的に放射温度計120に近い分割領域40aの出力は半導体ウェハーWの部位Aの温度に強い影響を与え、放射温度計130に近い分割領域40bの出力は部位Bの温度に強い影響を与える。もっとも、分割領域40aの出力も部位Bの温度に影響を与えるとともに、分割領域40bの出力も部位Aの温度に影響を与えており、上記準備工程では分割領域40a,40bの出力変化を半導体ウェハーWの部位A,Bの温度変化の多変数関数として求めるのである。
準備工程では、まず熱源であるハロゲン加熱部4を2分割した各分割領域40a,40bの出力の組み合わせを制御部3が2段階の水準で変化させる。このときの、水準変化の態様は任意であり、例えば分割領域40aの出力を上昇させる一方で分割領域40bの出力を低下させるようにしても良い。逆に、分割領域40aの出力を低下させて分割領域40bの出力を上昇させるようにしても良いし、或いは分割領域40aおよび分割領域40bの出力をともに上昇または低下させるようにしても良い。さらには、分割領域40a,40bの出力の組み合わせは、最低2段階の水準で変化させれば良く、3段階以上の水準で変化させても良い。
いずれの態様であってもハロゲン加熱部4の各分割領域40a,40bの出力の組み合わせを2水準以上(本実施形態では2水準)で変化させたときの、それぞれの水準における半導体ウェハーWの部位Aおよび部位Bの温度を放射温度計120および放射温度計130によって測定する。放射温度計120,130の温度測定結果は制御部3に伝達される。制御部3は、放射温度計120,130の測定結果から、各分割領域40a,40bの出力の組み合わせを2水準で変化させたときの、半導体ウェハーWの異なる部位Aおよび部位Bの温度変化を求める。
ハロゲン加熱部4の各分割領域40a,40bの出力の組み合わせを2水準で変化させたときの、半導体ウェハーWの部位Aの温度変化ΔTは次の式(1)で表される。式(1)において、ΔPは分割領域40aの出力変化であり、ΔPは分割領域40bの出力変化であり、a,bは定数である。定数a,bは、例えばΔPおよびΔPを適宜変化させたときの重回帰分析等によって予め求めておけば良い。半導体ウェハーWの部位Aには分割領域40bよりも分割領域40aからの影響の方が相対的に強いため、典型的にはa>bとなる。
Figure 0006618336
同様に、ハロゲン加熱部4の各分割領域40a,40bの出力の組み合わせを2水準で変化させたときの、半導体ウェハーWの部位Bの温度変化ΔTは次の式(2)で表される。式(2)において、c,dは定数である。定数c,dも、例えばΔPおよびΔPを適宜変化させたときの重回帰分析等によって予め求めておけば良い。半導体ウェハーWの部位Bには分割領域40aよりも分割領域40bからの影響の方が相対的に強いため、典型的にはc<dとなる。
Figure 0006618336
式(1)および式(2)より、分割領域40aの出力を2水準で変化させたときの出力変化ΔPは次の式(3)で表される。すなわち、分割領域40aの出力変化ΔPが半導体ウェハーWの部位Aの温度変化ΔTおよび部位Bの温度変化ΔTの関数(より正確には、多変数関数)として求められる。
Figure 0006618336
また、式(1)および式(2)より、分割領域40bの出力を2水準で変化させたときの出力変化ΔPは次の式(4)で表される。すなわち、分割領域40bの出力変化ΔPが半導体ウェハーWの部位Aの温度変化ΔTおよび部位Bの温度変化ΔTの関数として求められる。
Figure 0006618336
以上のようにして準備工程においては、ハロゲン加熱部4の各分割領域40a,40bの出力の組み合わせを2水準で変化させたときの半導体ウェハーWの部位Aの温度変化ΔTおよび部位Bの温度変化ΔTを2個の放射温度計120,130によって測定し、その測定結果に基づいて、分割領域40aの出力変化ΔPおよび分割領域40bの出力変化ΔPを温度変化ΔTおよび温度変化ΔTの関数として求めている。半導体ウェハーWの温度分布を調整するときには、式(3)(4)で表される関数に基づいて、半導体ウェハーWの部位Aおよび部位Bに必要とされる温度変化量からハロゲン加熱部4の各分割領域40a,40bの出力変化量を算定する。
例えば、上述した予備加熱時に放射温度計120によって測定される半導体ウェハーWの部位Aの温度が予備加熱温度T1よりも10℃低く、放射温度計130によって測定される部位Bの温度が予備加熱温度T1であった場合には、制御部3は式(3)(4)のΔTに+10℃を投入し、ΔTには0℃を投入する。これにより、部位Bの温度を予備加熱温度T1に維持しつつ部位Aの温度を10℃上昇させるのに必要な各分割領域40a,40bの出力変化量ΔPおよびΔPが算定される。
また、例えば、部位Aの温度が予備加熱温度T1よりも10℃高く、部位Bの温度が予備加熱温度T1よりも10℃低かった場合には、制御部3は式(3)(4)のΔTに−10℃を投入し、ΔTには+10℃を投入する。これにより、部位Aの温度を10℃低下させ、かつ、部位Bの温度を10℃上昇させるのに必要な各分割領域40a,40bの出力変化量ΔPおよびΔPが算定される。
いずれの場合であっても、式(3)(4)から算定されたハロゲン加熱部4の各分割領域40a,40bの出力変化量ΔPおよびΔPに従って、制御部3が電力供給源45を制御して各分割領域40a,40bの出力変化を調整することにより、半導体ウェハーWの部位Aおよび部位Bともに予備加熱温度T1となり、半導体ウェハーWの面内温度分布が均一となる。
このように、本実施形態においては、ハロゲン加熱部4の各分割領域40a,40bの出力の組み合わせを2水準で変化させたときの半導体ウェハーWの部位Aの温度変化ΔTおよび部位Bの温度変化ΔTを解析してそれら温度変化と分割領域40a,40bの出力変化との相関関係を求めている。そして、その相関関係から半導体ウェハーWの面内温度分布を均一するのに必要な各分割領域40a,40bの出力変化量を算定してハロゲン加熱部4の出力制御を行っている。従って、従来のようなダミーウェハーを用いての試行錯誤の温度分布調整が不要となり、無駄なダミーウェハーの消耗を抑制しつつ、簡便に半導体ウェハーWの面内温度分布を調整することができる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、この発明はその趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態においては、2個の放射温度計120,130によって半導体ウェハーWの2点を測定して解析を行っていたが、これに限定されるものではなく、3個以上の放射温度計を設けて半導体ウェハーWの3箇所以上を測定するようにしても良い。例えば、図9に示す例では、9個の放射温度計を設けて半導体ウェハーWの異なる9箇所の部位を測定する。温度測定の箇所としては、図9に示すように、半導体ウェハーWの中心とそれを囲む同心円の周上に位置する等間隔(45°間隔)の8点を設定するのが好ましい。温度測定点を図9のように設定すれば、高精度にて半導体ウェハーWの面内温度分布を均一にすることができる。
放射温度計を9個設ける場合には、熱源であるハロゲン加熱部4を9分割し、上記準備工程にて各分割領域の出力の組み合わせを9水準以上に変化させる。そして、それぞれの水準にて9個の放射温度計によって図9に示す如き半導体ウェハーWの9箇所の測定点の温度を測定して各測定点の温度変化を求める。続いて、その測定結果に基づいて、9分割した各分割領域の出力変化を半導体ウェハーWの9箇所の測定点における温度変化の関数として求める。半導体ウェハーWの温度分布を調整するときには、求めた関数に各測定点における必要な温度変化量を投入して各分割領域の出力変化量を算定し、ハロゲン加熱部4の出力制御を行う。このようにすれば、より高い精度にて半導体ウェハーWの面内温度分布を均一することが可能となる。
集約すれば、本発明に係る技術は、n個(nは2以上の整数)の温度計を設ける場合に適用可能である。n個の温度計を設けた場合、熱源であるハロゲン加熱部4をn分割し、各分割領域の出力の組み合わせをn水準以上変化させたときに、それぞれの水準にてn個の温度計によって半導体ウェハーWの異なる部位の温度を測定して各部位の温度変化を求める。そして、その測定結果に基づいて、次の式(5)に示すように、n個の各分割領域の出力変化をn個の温度計のそれぞれが測定する半導体ウェハーWの部位の温度変化の関数として求める。
Figure 0006618336
このようにして関数が求められれば、当該関数に基づいて、n個の温度計のそれぞれが測定する半導体ウェハーWの部位に要求される温度変化量から各分割領域の出力変化量を算定し、各分割領域の出力変化を制御する。このようにしても、無駄なダミーウェハーの消耗を抑制しつつ、簡便に半導体ウェハーWの面内温度分布を調整することができる。
より多くの温度計を設けて測定点を増やすほど、面内温度分布の調整の精度を高めることができるものの、チャンバー6内に多数の温度計を設置しなければならず、演算処理も煩雑化する。よって、必要な調整精度と利便性とのバランスを考慮して、温度計の設置数を決定するのが望ましい。
また、上記実施形態においては、放射温度計120,130によって半導体ウェハーWの温度を非接触で測定していたが、これに限定されるものではなく、例えば熱電対を使用した接触式温度計によって半導体ウェハーWの温度を測定するようにしても良い。
また、上記実施形態においては、40本のハロゲンランプHLのそれぞれの発光出力が個別に制御可能であったが、少なくともハロゲン加熱部4を分割した各分割領域の単位で個別に制御可能であれば良い。
また、放射温度計が石英を透過する波長域にて測定可能であれば、サセプター74に赤外光を通過させるための開口部78や切り欠き部77を設けなくても良い。
また、上記実施形態においては、フラッシュ加熱部5に30本のフラッシュランプFLを備えるようにしていたが、これに限定されるものではなく、フラッシュランプFLの本数は任意の数とすることができる。また、フラッシュランプFLはキセノンフラッシュランプに限定されるものではなく、クリプトンフラッシュランプであっても良い。また、ハロゲン加熱部4に備えるハロゲンランプHLの本数も40本に限定されるものではなく、任意の数とすることができる。
また、上記実施形態においては、ハロゲンランプHLによる予備加熱後に半導体ウェハーWにフラッシュランプFLからフラッシュ光を照射する熱処理装置1にて本発明に係る温度分布調整方法を実施していたが、本発明に係る技術はハロゲンランプのみによって半導体ウェハーWを加熱する装置(例えば、スパイクアニール装置)に適用しても良い。
1 熱処理装置
3 制御部
4 ハロゲン加熱部
5 フラッシュ加熱部
6 チャンバー
7 保持部
40a,40b 分割領域
45 電力供給源
65 熱処理空間
74 サセプター
120,130 放射温度計
FL フラッシュランプ
HL ハロゲンランプ
W 半導体ウェハー

Claims (3)

  1. 基板の温度分布調整方法であって、
    基板に光を照射して加熱する熱源をn分割(nは2以上の整数)した各分割領域の出力の組み合わせをn水準以上変化させたときに、それぞれの水準にてn個の温度計によって前記基板の異なる部位の温度を測定して各部位の温度変化を求める温度変化測定工程と、
    前記温度変化測定工程での測定結果に基づいて、前記各分割領域の出力変化を前記n個の温度計のそれぞれが測定する前記基板の部位の温度変化の関数として求める解析工程と、
    前記解析工程にて求められた前記関数に基づいて、前記n個の温度計のそれぞれが測定する前記基板の部位に要求される温度変化量から前記各分割領域の出力変化量を算定する算定工程と、
    前記算定工程での算定結果に基づいて、前記各分割領域の出力変化を制御する出力制御工程と、
    を備えることを特徴とする基板の温度分布調整方法。
  2. 請求項1記載の基板の温度分布調整方法において、
    前記熱源は複数のハロゲンランプを有することを特徴とする基板の温度分布調整方法。
  3. 請求項2記載の基板の温度分布調整方法において、
    フラッシュランプから前記基板にフラッシュ光を照射する前に前記複数のハロゲンランプが前記基板を予備加熱するときの前記基板の面内温度分布を調整することを特徴とする基板の温度分布調整方法。
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