JP2012224352A - 基板保持用枠体と薄板基板の梱包体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】
本発明の基板保持用枠体10は、矩形状の薄板基板の1枚を、枠体内に収め、当該薄板基板を収めた状態の該枠体を位置合わせして多段に積み重ねた状態で、搬送または保管の用途に供する基板保持用枠体であって、左右の辺が平坦で、前後の辺が基板の下方に湾曲している金属枠部11と、金属枠部の上面または下面からさらに四辺内周側に延出された基板支持部13と、該金属枠部11の四辺内周側に向かって下方に傾斜した嵌合部12a及び12bと、薄板基板接触面側に装着された樹脂製の基板保持部材14と、からなることを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
載せた薄板基板の相互間が接触しないようにし、かつ高い密度に集積する必要がある。さらに、搬送または保管時における破損や割れから基板を保護し、塵埃の混入や汚染を防止する必要もある。
なお、基板の例としては薄板ガラス基板があり、特には、プラズマや液晶表示用のカラーフィルター、それらの中間製品、その他の各種基板等を挙げることができる。
本発明はこれらの搬送・保管装置中、特に、基板保持用枠体とそれを使用した薄板基板の梱包体に関するものである。
しかし、これら薄板基板であるカラーフィルターやその中間製品等は表示装置自体が大型化しており、小サイズ物であっても多面付けの状態で製造されるため、大サイズ化しており、1メートル角程度のサイズにもなると、0.7mm厚のガラス基板でも対向する2辺または4辺を支持した場合は、中間部が100mm程度以上下方(重力方向)に湾曲した状態になるのを避けられない。基板はさらに2メートル角以上の大サイズ化が求められており、保管スペースや取り扱い装置の問題からこのような基板を高密度で安全に保管し、取り扱いできるようにする必要がある。
また、上下の枠体相互間の位置合わせを係合凸部9aと係合凹部9bで行うので、このような箇所に塵埃が溜まり易く、この部分を清浄化するにも問題があると考えられる。特許文献2においても、載置部3及び係合凸部9aの構造は、特許文献1と同様に同じ面にあるため、係合部の変形または破損の問題がある。
なお、板状物の搬送方法、搬送装置等を記載したものに、特許文献5や特許文献6がある。
ちなみに、第8世代といわれる基板は、2200mm×2500mmのサイズ、第9世代は、2400mm×2800mmのサイズとなっている。
大サイズのガラスを平面状態で収納し、輸送時の振動が加わった場合、数百mm程度、上下に振動でうねり、跳ね上がり、収納間隔を極めて大きくとらないと基板同士で接触破損が生じる。あるいは、ガラス自体が振動で上下に数百mm跳ね上がり、変形しているうちに自壊する。
このようなガラス基板を嵩高にならないように、高い密度で集積して搬送・保管することは、保管スペースの節減のみだけではなく、取り扱い装置や搬送装置の大型化を防ぎ、ひいては、資源の節減や製造コストの低減に寄与することになる。
従来、使用されている基板保持枠では、積み重ねや取り出し操作時に、枠体相互間の位置合わせ部に変形が生じ易く、積み重ね時や搬送時の衝撃でガラス基板の破損が生じ易い問題があった。また、装置自体からの塵埃の発生や外部からの混入は、機能層を損ない、不良品を増大させる原因となるので、厳重な対策が要求されている。
第6世代(G6)のガラス基板は、一般的に0.7mmt 1500mm×1850mmであり、1枚の重量が5kg、両端を支持した場合に撓み量が350mm程度となる。
第6世代(G6)のガラス基板の板厚は、これ以外にも0.4mmtや0.5mmtなど薄板及び1.1mmや1.6mmtの厚板もある。外形サイズにおいても 1500mm*1800mmがある。
生産効率、輸送効率を高める為、この様な大型ガラス基板を大量に保管、輸送する省スペース化した基板保管装置、搬送装置が要求される。一方、輸送、ハンドリングでの大型ガラス基板の破損が1枚でも発生した場合、他のガラス基板へのガラス破片の付着、ガラス破片の付着したガラス基板が装置へ持ち込まれる事による他のガラスの破損、装置の破損や工程内で使用される高価なマスクや治具などへ傷を付けたり2次的な損失が発生する。
又1枚のガラス基板破損による2次的がダメージを防止する為、ガラス基板の破損が生じた場合は、生産を中断して装置、治具など徹底した清浄が必要であり、1枚のガラス破損による損失は、甚大なものとなる。
たとえガラス基板が破損しなくてもガラス基板周辺部などにキズが生じた場合においても
後の工程での接触や加熱処理などのガラス基板へのストレスにより破損が発生する場合もあり、大型ガラス基板の取扱いに対しては、1枚でも破損が発生しない事が絶対必要条件である。
本発明は、このような課題を解決すべく、鋭意研究して完成されたものである。
この発明は、基板保持用枠体に薄板基板を載置し、その載置した状態の枠体を薄板基板相互間が接触することなく多段に積み重ね可能にし、嵌合部を金属枠部自体にではなく、基板保持用枠体自体や薄板基板の荷重を、直接には受けない金属枠部の内周側に形成しかつ密封状態を確保して、塵埃等の混入防止を図っている特徴がある。
この発明も、基板保持用枠体に薄板基板を載置し、その載置した状態の枠体を薄板基板相互間が接触することなく多段に積み重ね可能にし、嵌合部を金属枠部自体にではなく、基板保持用枠体自体や薄板基板の荷重を、直接には受けない金属枠部の内周側に形成しかつ密封状態を確保して、塵埃等の混入防止を図っている特徴がある。
構成自体は、第1の発明の基板保持用枠体と同様であるが、第2の発明の基板保持用枠体では、基板支持部が金属枠の下面から嵌合部の先に延出し、他の嵌合部が金属枠の上面から突出していることの違いがある。
なお以下、明細書中において基板保持用枠体を、単に「枠体」と略称する場合もある。
この発明は、上記基板保持用枠体の使用状態に関する。基板保持用枠体に薄板基板を載置した状態で多段に積み重ねし、上部に上蓋、下部にインナーパレットを用い、かつ上蓋とインナーパレットが共に基板との接触を防止するようにしてあることと、略密封状態にして塵埃等の混入防止を図っている特徴がある。
本発明の基板保持枠体の構成は、金属枠部は、単純な正方形または長方形状の断面形状であり、第1の嵌合部(とさらにその先に延出して形成された基板支持部)、及び第2の嵌合部は、前記金属枠部から突出した構造となっている。
基板保持用枠体自体の強度と精度を受け持つ役割のみを金属枠部に付与している。そして、金属保持用枠体積層時の嵌合機能とガラス保持機能は、前記金属枠部から突出した第1の嵌合部(とさらにその先に延出して形成された基板支持部)、及び第2の嵌合部に負わせている。これにより大型基板保持用枠体で深刻な問題となる工作精度の問題、ハンドリング強度の問題、積層時の大重量に対する変形防止、積層輸送時の荷崩れに対する安定性の問題を解決する事が出来た。
金属枠部自体に嵌合部分を設けると、枠自体の加工精度が低下し、大型の金属枠とした場合に捩れ・歪みを生じて、積み重ねる事が出来なくなってしまった。本発明では、第1の嵌合部(とさらにその先に延出して形成された基板支持部)、及び第2の嵌合部は、金属枠部から突出した構造とし、金属枠本体を単純な正方形または長方形状の断面構造とした為、大型枠を精度良く作る事が可能となった。
またG6サイズなど大型で重いガラスを搭載した状態で基板保持用枠体をロボット等でハンドリングした時に基板保持用枠体の変形・捩れによるガラスの破損を防ぐ事が必要である。本発明は、金属枠部が単純な正方形または長方形状の断面形状として純粋に強度を受け持つ機能を持たせてハンドリング時の変形・捩れを防いでいる。(金属枠本体に嵌合部を持たせた構造では、その部分が強度的にウィークポイントとなる。)
使用時に基板保持用枠体にガラスを保持した状態で150段積層すると最下段の基板保持用枠体にかかる重量は、G6サイズで1.5トン以上となる。本発明の積層される金属枠同士で下側の金属枠の上面と上側の金属枠の下面とが水平に面で接する為、前記1.5トン以上にもなる大重量を安定して支えて、荷崩れや金属枠の重量による変形破損を生じなくなる。
嵌合部が、枠部内周方向に傾斜した面にされているので、多少位置ずれして重ねられた場合も自己調整(セルフアライメント)機能が働き、正しい位置合わせがされやすくなっている。また、嵌合部が金属枠部の内周に設けられているため、基板保持枠の平面サイズを小さくでき、その搬送装置の小型化、および省スペース化が可能となる。
金属枠部の断面形状を正方形または長方形状の中空構造にする場合は、無垢材を用いた場合にくらべ強度を有するとともに、軽量化が図られ、搬送の負荷を軽減できる。
金属枠部11の左右の辺11a,11bは平坦な直線状の金属枠であるが、前後の辺11c,11dは下方に湾曲した形状にされている。ここで、枠体の前後と左右は、本来、対向する2辺のいずれを前後または左右としても良いが、本明細書では、区別し易いように矩形状の基板の長辺側がのる2辺を左右辺としている。
基板支持部13には、一定間隔でその金属面を覆うように、樹脂製の基板保持部材14が装着されている。基板保持部材14は、基板支持部13に一定間隔で切り欠きまたは抜き穴を設けて、その切り欠き部等に取り付ける場合もあるので、その場合は、基板保持部材14を含めた基板支持部13が一定幅で内周側に延び出ることになる。ただし、基板保持部材14は、一定間隔を置かず帯状に連続して装着してもよい。
基板支持部材3で囲まれた中央の領域Kは、何もない開口(空間域)である。
基板保持用枠体10に薄板基板Aを載せる場合は、静止させた状態の基板保持用枠体10に対して、上方から薄板基板Aを下降させて載置しても良いが、製造装置から出された薄板基板Aを一旦架台上に停止させ、その状態で基板保持用枠体10を架台の下方から上昇させて薄板基板Aを掬い上げるように載せる方法が一般に用いられる。
薄板基板Aは基板保持部材14面に接して置かれる。その際、機能層面は上面にされ、上段に載せた基板保持用枠体10の基板保持部材14面にも接しないようにされる。
基板保持用枠体10を既に薄板基板Aを載せた他の基板保持用枠体10に順次重ねることにより、枠体の多段積み重ね体100にすることができる。上下の枠体の積み重ねは、下方の基板保持用枠体10の基板支持部13の金属枠部11に近い嵌合部上面と、上方の基板保持用枠体10の嵌合部の下面とが係合することにより、嵌め合わせされ、位置合わせが確実に行われる。
上蓋20にも、薄板基板Aのたわみ形状に合わせ、下方に湾曲した表面板21を有するものを使用する。これには、上方からの衝撃等に耐えるように強固な金属または樹脂材料を使用するのが好ましい。また、密封構造とするため、最上段の基板保持用枠体10の上面と嵌合するように、上蓋20自体にも嵌合部を有する構造のものとする。結束機構22と結束ベルト23が付いたものがさらに好ましい。
基板保持用枠体10は、図1のように、平面状態で観察した場合の外形は、薄板基板Aの形状をほぼ比例して拡大した形状の矩形状のものである。ただし、金属枠部11は、左右の枠部11a、11bが直線状の平行枠であるのに対して、前後の枠部11c、11dは、湾曲した形状にされている。
左右の金属枠部11a、11bの外側には、手掛部15が形成されている。手掛部15は、ロボットアーム等で把持する部分であり、辺の全長に沿って設ける必要はなく部分的な長さのものであっても良い
金属枠部11の上面からは内周側に向けて、一定幅の基板支持部13が延出して形成されている。基板支持部13の金属枠部11に沿う部分は、上側の第1嵌合部12aであり、下側の第2嵌合部と嵌め込みできる傾斜面にされている。なお、第1嵌合部とは、その先に基板支持部13が延出しているものを言い、第2嵌合部とは、嵌合用の突起片のみからなるものをいうものとする。金属枠部11の下面には、この傾斜面に沿って嵌合部が形成されているが、図1では図示されていない(図2または図3参照)。
嵌合部は、四辺の全てまたは少なくとも三辺に設けるのが好ましい。枠体10の前後左右を位置合わせするためである。
基板保持部材14は、その寸法によって異なるが、一の辺に5〜20個程度、装着される。図1の場合は、左右辺に各6個、前後辺に各6個が装着されている。従って、1枚の基板保持部材14は、幅5〜10cm、長さ10〜25cm程度のものとなる。ただし、基板保持部材14は間隔を置いて装着しなくても良いのは、前記のとおりである。
基板支持部13と基板保持部材14により囲まれる領域Kは開口域である。この領域の全体と基板保持部材面14にかけて、薄板基板Aが載せられることになる。
金属枠部11には、軽量化の目的からアルミやアルミ合金等の材料を使用する。図のように、断面が矩形状または正方形状であって、中空構造を好適に採用できる。
ロボットアーム等の把手部となる手掛部15は、金属枠部11の上面と平行な平滑面として、外方に定幅で延びている。平滑面にするのは、塵埃の発生防止と清浄化の容易の問題からである。
どちらもあまり効果は変わらないが、基板支持部13が上面である場合が、薄板基板への塵埃の落下を少なくできると考えられる。
金属枠部11に沿う部分には第1嵌合部12aが形成される。この部分は第2嵌合部12bの形状に合致するように、同様に下方に傾斜した形状にされる。この第2嵌合部12bの下面と第1嵌合部12aの上面の嵌め合わせにより、上下の基板保持用枠体10相互間の位置合わせがされる。このように、嵌合部12a及び12bは、枠体を多段積みした場合に金属枠部11自体の荷重を受けない内周部分に形成するのが好ましい。
なお、請求項2の場合は、基板支持部13が下側の第1嵌合部12aを延出して形成されるので、第1嵌合部12aと第2嵌合部12bの嵌め合わせにより、上下の基板保持用枠体10相互間の位置合わせがされることになる。
金属枠部11の上下面を平滑な面仕上げにし、嵌合部12a及び12bと基板支持部の金属枠11に沿う部分の上下面を正しく位置合わせして積み重ねることにより、枠間の間隔dを一定にするとともに、内部を略密封状態にすることができる。
基板保持部材14が基板支持部13面に装着されている。基板保持部材14の少なくとも先端側(開口Kにのぞむ側)は薄肉に形成するのが好ましい。厚肉であれば、上下の基板保持用枠体間の間隙を狭くしてしまうからである。ただし、基板保持部材14の後端14aは基板支持部間の間隙幅近くまで肉厚にして、薄板基板Aの前後左右の揺動によるずれを抑える機能を果たさせるのが好ましい。
薄板基板Aの揺動範囲を±5mmとした場合、撓み曲線に沿う左右のストッパー14f間の距離は、薄板基板Aの幅+10mmとすることができる。
コーナーピース16内に差し込みされる金属枠部11は切削するかプレスして薄肉化し、コーナーピース16の表面と金属枠部11の表面との間に段差が生じないようにする。
コーナーピース16自体にも表裏の嵌合溝を形成するのが好ましい。金属枠部11とコーナーピース16は、2辺の角度が直角に維持されるように、ボルトとナットで強く固定される。
なお、特許請求の範囲では、格納される基板を薄板基板としているが、典型的には、薄板ガラス基板、薄板プラスチック基板、またはそれらに表示装置用の機能層を設けた各種基板や中間製品が対象となるのは、明らかなことである。
金属枠11に使用する材料には、軽量で腐食を生じない金属材料を使用できる。具体的には、純アルミニウム、ジュラルミン(アルミ、銅(3.5〜5.5%)、マグネシウム)系、アルミニウム−マンガン系等のアルミニウム合金等を使用できる。これらの材料を中空押し出し加工して枠形を製造することができる。
基板保持部材14には、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂材料、超高分子量ポリエチレン(UHMW−PE)、ナイロン66、ナイロン610といったポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等の材料を使用できる。これらの材料を金型を用いインジェクション成形して製造できる。
コーナーピース16にも基板保持部材14と同様な材料を同様に加工して製造することができる。
図4(A)のように、薄板基板Aを基板保持用枠体10に移載(受け渡しおよび受け取り)する際は、移載用架台50と図4には、図示しないロボットアームを使用する。
移載用架台50は、薄板基板Aを載置できる大きさを有する平面視が略矩形状の架台である。略矩形状とするのは、薄板基板Aを搬送する回転軸W(W1,W2,・・Wn)とそれに取り付けられた回転輪sw、回転軸受けJ、薄板基板Aを昇降させる多数本のリフトピンP(p1,p2,・・pn)、およびそれらの駆動機構等からなり、テーブルのような明確な外形形状を有しないからである。
薄板基板Aを搬送する各回転軸Wには複数の回転輪swが取り付けされており、各回転輪swの頂点(最上面)を結ぶ面が、水平面を形成するようにされている。
移載用架台50面上では、薄板基板Aは、左右前後の各辺のいずれもが架台50よりも外側に張り出した位置で停止しなければならない。基板Aの下側にある枠体10が上昇した際に手際よく基板Aが枠体10の基板支持部13に掬われる必要があるからである。
そのため、移載用架台50には薄板基板Aの位置検査装置や位置補正装置が設けられていてもよい。
前工程の製造装置90と移載用架台50の接続部は、基板保持用枠体10の後辺11dを移載時に通過させるため、所定幅の間隔において回転軸Wは、基板保持用枠体10が通過する際は、退避可能な構造にされている。
図4では、1列(左右方向の)に4本のリフトピンが配列しているが、ピン数は必要な限度で自由に設定できる。ただし、最低中央の1本と左右の2本の合計3本が必要であり、10本程度まで増やすことができる。移載時は、薄板基板Aを左辺端と右辺端を高く上昇させ、中央部分が下側(重力方向)に撓んだ状態にするため、第1列(図4(A)において下側)のp2とp3のピンは、最も低い位置にあり、p1とp4のリフトピンは、最も高い位置に上昇させられる。リフトピンPを使用しなくても、基板保持用枠体10への移載はできるが、平面状態の基板Aが、いきなり撓み形状にされると急激な応力変化を与え、割れ等が生じ易くなるからである。ピン高さについては、後に詳述する。
p2とp3のピンには、先端を半球状にしたピンを使用するが、負圧により吸着するピンを使用してもよい。左右端に近いピンは、薄板基板Aを撓ませ動作に伴い裏面を擦過し易いので、逆に加圧空気により、基板を非接触で上昇保持するピンの使用が好ましい。もっとも空気圧を使わないで、ピンの先端に回転自在な球体を装填したリフトピンを使用することもできる。
図4(B)において、リフトピンPに接続する各配管またはロッドは、それぞれサーボシリンダ等による駆動機構に接続される。なお、図において配管等は、摸式的に図示したものであり、実際の構造を示したものではない。
前記のように、p2とp3のリフトピンは最も低い位置にされ、p1とp4のピンは最も高い位置に上昇させられる。
勿論、第1列のピンにならい、後続のピン列も原則としてほぼ同一高さに調整される。各リフトピンp1〜p4の頂点を結ぶ線Lは、薄板基板Aを基板保持用枠体10で支持した場合の薄板基板Aの湾曲形状に、概略一致する形状にされる。移載の際は、予め設定した高さ位置に各ピンが突出するように制御される。その際、基板Aの左右中心線に対して対称位置にあるリフトピンは、同一高さに制御される。
移載用架台50面から、リフトピンPにより所定の高さに上昇され、撓み形状にされた薄板基板A(図6(A))に対して、ロボットアームが架台50の表面下に積まれている基板保持用枠体10を、その手掛部15を把持して上昇する。
薄板基板Aは、基板保持用枠体10の基板支持部13によって掬われる状態で枠体10内に納まる(図6(B))。その後、ロボットアームは、基板Aを所定の場所に搬送する。各リフトピンPは、移載用架台50の表面下に沈み、次の薄板基板Aが回転輪swによって運ばれて来る(図6(C))。
受け取り時は、受け渡し時とは逆に、基板保持用枠体10内に撓んだ状態で納まっている薄板基板Aが架台50の上に運ばれてくる(図7(A))。薄板基板Aを予め設定した高さ位置に突出して待機するリフトピンP上に受け取りする(図7(B))。
ロボットアームは、空になった枠体10の手掛部15を把持した状態で、一旦、移載用架台50の表面下に降下する。
基板を受け取ったリフトピンは、移載用架台50の表面下に沈降する(図7(C))。回転輪sw面に載った薄板基板Aは次工程の製造装置に搬送される。
その後、ロボットアームは、空になった枠体をそのまま、架台50の表面下に積み重ねるか、把持して再び上昇し、他の必要な箇所に運搬する。
以上の説明で明らかなように、基板保持用枠体10の開口K、薄板基板A、移載用架台50のそれぞれの大きさ(平面外形)の関係は、図8のようになる。すなわち、薄板基板Aの平面外形が最大であって、その次が開口Kの大きさであり、移載用架台50は最小でなければならない。ただし、基板保持用枠体10の外形は、薄板基板Aよりも大きいのは当然なことである。移載用架台50に備え置きされる基板保持用枠体10は、移載用架台50を中に置いて、その周囲であって架台の表面下に置かれることになる。
また、ロボットアームは基板保持用枠体10を左右辺11a,11bの手掛部で把持し、ロボットアームが、薄板基板AをリフトピンP上に置いて架台面で平面にされた直後では、アームの後方(次工程装置)側は薄板基板Aの通過を妨げない構造にされている。
図9(A)は、半球状の先端2を有する金属または樹脂製の小径の単なる直棒状の形態のものである。リフトピンPの断面直径は、5mm〜50mm程度が好ましい。材質としては、ステインレススチールや樹脂系、超高分子量ポリエチレン等が好ましく、特に、先端の材質は基板に損傷を与えないものが選択される。
図9(B)は、先端に微小な回転球体3を有するピンの形態である。ボールベアリングにより回転する回転球体3は、固定部31により固定され、軸体32に接続している。回転球体3の材質には、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等の材質が用いられる。
非接触支持を目的とする場合は、先端から空気を吹き出して開口4から近接距離に基板Aを非接触で支持する目的であり、パイプ配管は加圧ポンプに接続される。非接触支持状態は、基板Aが枠体に納まるまでの間継続される。
図9(D)のように、薄板基板Aの左右端近くでは基板Aの滑りが生じ易いので、回転球体3を有するもので、基板A面を直角に支持するように、ピンの先端を内側に屈曲させたものを用いることも好ましい。
まず、第1の位置に、積み重ねてある基板保持用枠体10を1段から数段(5〜6枚)単位で運び、枠体10の開口Kにより移載用架台50を通してその表面より下面に位置するように積み置きをする。枠体10は、平面状態で運ばれるので、最下段の手掛部を把持すれば、数段単位を一括して移動させることができる。
次に、前記した動作で、移載用架台50上の薄板基板Aを1枚単位で、積み置きした枠体10に載せ、第2の位置に運び積み重ねする。枠体の多段積み重ね体100は目的により、保管・輸送のために梱包され、あるいは次工程の用途に供給される。
左右の金属枠部11a,11bはそのまま使用したが、前後の金属枠部11c,11dは押し出し後、曲げ加工を行った。曲げ量Dは、100mmから150mmとなるようにした。金属枠部11の厚み(段ピッチ)dを10mmとし、金属枠幅W1を30mmとし第2嵌合部12bの幅W2を20mmとした。各部の肉厚は、3mmから5mmとなった。
四隅の金属枠部を加工し、ポリアミド樹脂製のコーナーピース16に嵌め込みできるようにして接続した。基板支持部13面にポリプロピレン樹脂製の基板保持部材14を装着した。完成した基板保持用枠体10の外形は、1670mm×1980mm程度となった。
11 金属枠部
12a 第1嵌合部
12b 第2嵌合部
13 基板支持部
14 基板保持部材
15 手掛部
16 コーナーピース
20 上蓋
21 表面板
22 結束機構
23 結束ベルト
30 インナーパレット
40 防振パレット
50 移載用架台
90 前工程の製造装置
100 枠体の多段積み重ね体
A 薄板基板
W 回転軸
J 軸受け
sw 回転輪
D 金属枠体 曲げ量
Claims (12)
- 矩形状の薄板基板の1枚を、平面視矩形状の金属枠部を有する基板保持用枠体内に収め、当該薄板基板を収めた状態の該枠体を位置合わせして多段に積み重ねた状態で、搬送または保管の用途に供する基板保持用枠体であって、
(1)正方形また長方形の断面形状を有する金属枠部と、
(2)該金属枠部の上面から内周下方側に傾斜して設けた第1嵌合部とさらにその先に延出して形成された基板支持部と、
(3)該金属枠部の下面から内周下方側に傾斜して設けた第2嵌合部と、
を有し、前記基板支持部に薄板基板を載置した状態の基板保持用枠体を、第1嵌合部と第2嵌合部の嵌め合わせにより、上下の金属枠部相互間の位置合わせをして、多段に積み重ね可能にしたことを特徴とする基板保持用枠体。 - 矩形状の薄板基板の1枚を、平面視矩形状の金属枠部を有する基板保持用枠体内に収め、当該薄板基板を収めた状態の該枠体を位置合わせして多段に積み重ねた状態で、搬送または保管の用途に供する基板保持用枠体であって、
(1)正方形また長方形の断面形状を有する金属枠部と、
(2)該金属枠部の下面から内周下方側に傾斜して設けた第1嵌合部とさらにその先に延出して形成された基板支持部と、
(3)該金属枠部の上面から内周下方側に傾斜して設けた第2嵌合部と、
を有し、前記基板支持部に薄板基板を載置した状態の基板保持用枠体を、第1嵌合部と第2嵌合部の嵌め合わせにより、上下の金属枠部相互間の位置合わせをして、多段に積み重ね可能にしたことを特徴とする基板保持用枠体。 - 前記嵌合部が、枠体を多段積みした場合に金属枠部体自体の荷重を受けない部分に形成されており、金属枠部の水平面に対して、5度から45度の傾斜角で枠体の内面側に下降する傾斜面を有するようにされていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の基板保持用枠体。
- 前記金属枠部自体の断面形状が正方形または長方形状の中空構造からなることを特徴とする請求項1または請求項2記載の基板保持用枠体。
- 左右の辺が平坦であって、前後の辺が下方に湾曲している平面視矩形状の枠体であって、左右の辺の前記基板支持部が下向きに傾斜していることを特徴とする請求項1または請求項2記載の基板保持用枠体。
- 平面視矩形状の前記金属枠部の四隅が、樹脂製のコーナーピースで連結されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の基板保持用枠体。
- 前記基板支持部の少なくとも薄板基板接触面側に樹脂製の基板保持部材が装着されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の基板保持用枠体。
- 前記金属枠部の左右の辺から外周側に手掛部を突出して設けたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の基板保持用枠体。
- 薄板基板が、薄板ガラス基板、薄板プラスチック基板、またはそれらに表示装置用の機能層を設けた基板であることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか1の請求項記載の基板保持用枠体。
- 請求項1乃至請求項8のいずれか1の請求項記載の基板保持用枠体に、薄板基板を載置した状態の基板保持用枠体を、各枠体間が平滑な金属枠部面の密接と嵌合部の嵌め合わせにより密封状態になるように多段に積み重ねし、最上段の基板保持用枠体の嵌合部に上蓋の嵌合部を嵌め合わせて面間を密封し、かつ上蓋が薄板基板に接触しないようにし、最下段の基板保持用枠体の嵌合部にインナーパレットの嵌合部を嵌め合わせて面間を密封し、かつインナーパレットの表面が薄板基板に接触しないように、されていることを特徴とする薄板基板の梱包体。
- 上蓋とインナーパレットの間に多段に重ねた基板保持用枠体を挟んで、上蓋とインナーパレット間を結束ベルトで結束したことを特徴とする請求項10記載の薄板基板の梱包体。
- 薄板基板が、薄板ガラス基板、薄板プラスチック基板、またはそれらに表示装置用の機能層を設けた基板であることを特徴とする請求項10または請求項11記載の薄板基板の梱包体。
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