JP2012214793A - ポリカーボネート樹脂の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】原料化合物としてジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを用いて、エステル交換触媒の存在下、エステル交換反応により重縮合させて得られたポリカーボネート樹脂を製造する方法であって、前記ジヒドロキシ化合物がヒドロキシ基の少なくとも1つのβ位またはγ位にエーテル性酸素原子を有する脂肪族ジヒドロキシ化合物を少なくとも含み、かつ前記原料化合物が、前記脂肪族ジヒドロキシ化合物に対する窒素原子換算の重量濃度として、0.3ppm以上10ppm未満の含窒素化合物を含み、前記脂肪族ジヒドロキシ化合物を、予め50℃以上に加熱し、溶融状態で0.5時間以上200時間以下保持した後、炭酸ジエステルと混合する工程を含むことを特徴とするポリカーボネート樹脂の製造方法。
【選択図】なし
Description
ところが、このような特殊な構造を有するジヒドロキシ化合物は、熱安定性が悪く、ポリカーボネート樹脂の原料として用いると、重合反応性が低下したり、原料調製や重合時の熱履歴で着色がおこり、得られたポリカーボネート樹脂の商品価値を落としてしまったりするという問題があった。特に工業的規模でポリカーボネート樹脂を製造しようとする場合、伝熱や生産効率性、生産安定性の観点から、原料をある程度の時間、加熱保持する必要が出てくるため、原料の熱安定性の悪さは深刻な問題となる。
この問題を解決するために、ポリカーボネート樹脂中の不純物量を規定したり(例えば特許文献4)、ポリカーボネート樹脂に熱安定剤を添加したりする方法が開示されている(例えば特許文献5)。
また、特許文献6に記載の方法ではジヒドロキシ化合物中に含まれる安定性改良剤が、エステル交換触媒となってしまうため、ポリカーボネート樹脂の重合反応制御が困難になったり、安定性改良剤自身がポリカーボネート樹脂の着色を招いてしまったりするという問題があった。
そして、特許文献7に記載の方法では蒸留精製時に熱安定剤が液相にのみ存在するため、気相部での熱履歴によって新たな着色原因物質や重合阻害物質が生成する可能性があり、得られたジヒドロキシ化合物は結果的に熱安定剤を含まないため、重合原料としてジヒドロキシ化合物を調製する際の熱履歴によって着色等を招くという問題があった。
本発明の目的は、上記従来の問題点を解消し、耐光性、透明性、色相、耐熱性、熱安定性、及び機械的強度に優れ、性能の安定したポリカーボネート樹脂を、効率的かつ安定的に製造する方法を提供することにある。
[1] 原料化合物としてジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを用いて、エステル交換触媒の存在下、エステル交換反応により重縮合させて得られたポリカーボネート樹脂を製造する方法であって、前記ジヒドロキシ化合物がヒドロキシ基の少なくとも1つのβ位またはγ位にエーテル性酸素原子を有する脂肪族ジヒドロキシ化合物を少なくとも含み、かつ前記原料化合物が、前記脂肪族ジヒドロキシ化合物に対する窒素原子換算の重量濃度として、0.3ppm以上10ppm未満の含窒素化合物を含み、前記脂肪族ジヒドロキシ化合物を、予め50℃以上に加熱し、溶融状態で0.5時間以上200時間以下保持した後、炭酸ジエステルと混合する工程を含むポリカーボネート樹脂の製造方法。
[2] 前記脂肪族ジヒドロキシ化合物を、溶融した炭酸ジエステルと混合する工程を含む前記[1]に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
[3] 前記原料化合物が、固体の前記脂肪族ジヒドロキシ化合物を含窒素塩基性化合物の存在下で加熱し、溶融状態にした後、蒸留精製した脂肪族ジヒドロキシ化合物を含有する原料化合物であって、当該原料化合物中に含まれる含窒素化合物の含有量が、脂肪族ジヒドロキシ化合物に対する窒素原子換算の重量濃度として0.3ppm以上10ppm未満である前記[1]または[2]に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
[4] 固体の脂肪族ジヒドロキシ化合物を含窒素化合物の存在下で加熱し、溶融状態にした後、蒸留精製することなく、ポリカーボネート樹脂の原料化合物として用いる前記[1]または[2]に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
[5] 固体の脂肪族ジヒドロキシ化合物を溶融状態にした後、前記エステル交換触媒を添加し、エステル交換反応により重縮合させる工程を含む前記[1]乃至[4]の何れかに記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
[6] 前記含窒素化合物が、アルカノールアミンである前記[1]乃至[5]の何れかに記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
[7] 前記原料化合物が、ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む前記[1]乃至[6]の何れかに記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
[8] 前記脂肪族ジヒドロキシ化合物の加熱を70℃以上100℃未満で行う前記[1]乃至[7]の何れかに記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
[9] 前記脂肪族ジヒドロキシ化合物と前記炭酸ジエステルを混合する工程を含み、該工程が80℃以上130℃未満である前記[1]乃至[8]の何れかに記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
[10] 前記脂肪族ジヒドロキシ化合物が90重量%以上エステル交換反応で消費される段階の工程を230℃未満で行う前記[1]乃至[9]の何れかに記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
[11] 前記原料化合物がナトリウム化合物を含み、該ナトリウム化合物の含有量が、前記脂肪族ジヒドロキシ化合物に対するナトリウム原子換算の重量濃度として2ppm未満である前記[1]乃至[10]の何れかに記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
[12] 前記触媒として、リチウム及び長周期型周期表第2族の金属からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属化合物を、その金属原子の合計量として、原料として用いた全ジヒドロキシ化合物1mol当たり、0.1μmol以上30μmol以下用いる前記[1]乃至[11]の何れかに記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
[13] 前記エステル交換触媒が、マグネシウム化合物及びカルシウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である前記[12]に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
[14] 全反応段階における反応液の最高温度が250℃未満である前記[1]乃至[13]の何れかに記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
[15] 前記脂肪族ジヒドロキシ化合物が、環状エーテル構造を有する前記[1]乃至[14]の何れかに記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
[16] 前記脂肪族ジヒドロキシ化合物が、下記式(2)の化合物である前記[1]乃至[15]の何れかに記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
なお、本明細書において、「〜」という表現を用いた場合、その前後の数値または物理値を含む意味で用いることとする。また、本明細書において、“vol%”と“体積%”および“mol”と“モル”とは同義であって、単に“ppm”と記載した場合は、“重量ppm”のことを示す。
本発明のポリカーボネート樹脂の製造法においては、原料化合物として、炭酸ジエステル及びジヒドロキシ化合物を用いるが、ジヒドロキシ化合物の少なくとも1種がヒドロキシル基の少なくとも1つのβ位またはγ位にエーテル性酸素原子を有する脂肪族ジヒドロキシ化合物であることを特徴とする(以下、「本発明の脂肪族ジヒドロキシ化合物(A)」と称する。)。
例えば、後述するイソソルビドの場合は、ヒドロキシ基を構成する炭素原子を基準にして、β位に相当する炭素原子がエーテル性酸素原子となっており、「ヒドロキシ基のβ位にエーテル性酸素原子を有する脂肪族ジヒドロキシ化合物」に該当する。
また、上記エーテル性酸素原子は、下記式(1)で表される構造の一部であること、すなわち少なくともエチレン基と結合していることが好ましい。
これらは得られるポリカーボネート樹脂の要求性能に応じて、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の脂肪族ジヒドロキシ化合物(A)は、ヒドロキシ基の少なくとも1つのβ位またはγ位に式(1)で表されるエーテル性酸素原子を有する脂肪族ジヒドロキシ化合物を少なくとも含む為に、分解し易く、特に重合反応性の低下や色相の低下を招き易いが、含窒素化合物を特定量含有することにより、分解反応が抑制されるものと推定される。
窒素化合物の含有量が少なすぎると、本発明の効果が得られなくなる傾向にあり、多すぎるとエステル交換反応触媒として働き、重合反応の制御を困難にしたり、含窒素化合物自体がポリカーボネート樹脂の着色を助長したりすることがあるので好ましくない。含窒素化合物の含有量は、本発明の脂肪族ジヒドロキシ化合物(A)に対する窒素原子換算の重量濃度として、好ましくは0.5ppm以上、さらに好ましくは1ppm以上、特に好ましくは2ppm以上であり、好ましくは8ppm未満、さらに好ましくは5ppm未満、特に好ましくは4.5ppm未満である。
また、融解させる前には融解槽の内部を窒素等の不活性ガスで完全に置換させ、好ましくは融解後にこれらの不活性ガスを融解液に流通させバブリングすることが好ましい。
本発明の脂肪族ジヒドロキシ化合物(A)を予め融解させる場合の下限温度は、上記のように50℃以上であるが、好ましくは70℃以上、更に好ましくは75℃以上である。上限温度としては、好ましくは150℃未満、更に好ましくは120℃未満、特に好ましくは100℃未満、最適には90℃未満である。加熱する温度が低いと、本発明の脂肪族ジヒドロキシ化合物(A)の融解速度が遅くなって生産効率が低下する可能性があり、加熱する温度が高いと、本発明の脂肪族ジヒドロキシ化合物(A)の熱劣化を招くことがある。
また溶融状態で保持する時間とは、本発明のジヒドロキシ化合物(A)が融解し始める時点を基点とし、炭酸ジエステルと混合されるまでの時間のことを示し、ジヒドロキシ化合物(B)と溶融状態で混合する場合には、その時間も合算するものとする。溶融状態で保持する時間が0.5時間よりも短いと、未溶融物が残って原料フィルター等の閉塞を招いたり、搬送性を悪化させたりする可能性がある。
蒸留精製した脂肪族ジヒドロキシ化合物に含まれる含窒素化合物の量は、本発明の脂肪族ジヒドロキシ化合物(A)に対する窒素原子換算の重量濃度として0.3ppm以上10ppm未満であることが好ましい。含窒素化合物の含有量が多いと、重合時にエステル交換反応触媒として働き、重合反応の制御を困難にしたり、含窒素化合物自体がポリカーボネート樹脂の着色を助長したりすることがあり、少ないと蒸留精製後のジヒドロキシ化合物の熱安定性が低下するため、含窒素化合物の含有量は、本発明の脂肪族ジヒドロキシ化合物(A)に対する窒素原子換算の重量濃度として、好ましくは0.5ppm以上、さらに好ましくは1ppm以上、特に好ましくは2ppm以上であり、好ましくは8ppm未満、さらに好ましくは5ppm未満、特に好ましくは4.5ppm未満である。
本発明では、余計な熱履歴をなくし、エネルギーの損失を抑えるために、本発明の脂肪族ジヒドロキシ化合物(A)の蒸留精製を行わないことが好ましい。本発明では、本発明の脂肪族ジヒドロキシ化合物(A)に含まれる含窒素化合物の濃度が最低限に抑えられているため、蒸留精製を行わなくても、良好な色相を維持したまま、重合反応制御を容易にすることができる。
本発明においては、上述した本発明の脂肪族ジヒドロキシ化合物(A)を含むジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルを原料として、エステル交換反応により重縮合させてポリカーボネート樹脂を得ることができる。本発明で用いられる炭酸ジエステルとしては、通常、下記式(4)で表されるものが挙げられる。これらの炭酸ジエステルは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
混合の温度は通常80℃以上、好ましくは90℃以上であり、その上限は通常200℃未満、好ましくは150℃未満、更に好ましくは130℃未満である。中でも100℃以上125℃未満が好適である。混合の温度が低すぎると均一化の速度が遅かったり、溶解度が不足したりして、しばしば固化等の不具合を招く可能性がある。一方、混合の温度が高すぎると本発明の脂肪族ジヒドロキシ化合物(A)と炭酸ジエステルのエステル交換反応が起こり始めて、液粘性の増大を招いたり、本発明の脂肪族ジヒドロキシ化合物(A)の熱劣化を招いたりして、結果的に得られるポリカーボネート樹脂の色相が悪化し、耐光性や耐熱性に悪影響を及ぼす可能性がある。
本発明の方法においては、上述のように本発明の脂肪族ジヒドロキシ化合物(A)を含むジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルをエステル交換反応させてポリカーボネート樹脂を製造する際に、エステル交換反応触媒(以下、単に「触媒」と称することがある。)を存在させる。
本発明の触媒としては、長周期型周期表における1族または2族(以下、単に「1族」、「2族」と表記することがある。)の金属化合物、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、アミン系化合物等の塩基性化合物が挙げられ、好ましくは1族金属化合物及び/又は2族金属化合物である。
また、1族金属化合物及び/又は2族金属化合物と共に、補助的に、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、アミン系化合物等の塩基性化合物を併用することも可能である。
1族金属化合物及び/又は2族金属化合物の形態としては通常、水酸化物、又は炭酸塩、カルボン酸塩、フェノール塩といった塩の形態で用いられるが、入手のし易さ、取扱いの容易さから、水酸化物、炭酸塩、酢酸塩が好ましく、色相と重合活性の観点からは酢酸塩が好ましい。
一方、触媒の使用量が多すぎると、上記のような未反応モノマーの留出は改善される方向にはなるが、その一方で得られるポリカーボネート樹脂の色相や耐光性、熱安定性等が悪化する可能性がある。
本発明の方法で使用される反応器は、少なくとも2つ以上であればよいが、生産効率などの観点からは、3つ以上が好ましい。
本発明において、反応器が2つ以上であれば、その反応器中で、更に条件の異なる反応段階を複数持たせる、連続的に温度・圧力を変えていくなどしてもよい。
即ち、例えば、反応器を2つ用い、それぞれで反応条件を変えて2段階の重合とするケースや、反応器を2つ用い、1つ目の反応器で条件の異なる2つの反応段階を持たせ、かつ、2つ目の反応器で1つの反応条件を持たせて、3段階とするケースなどが含まれる。
本発明の目的を達成するためには、触媒の種類、触媒の量、重合の温度、圧力、滞留時間を、重合の進行に応じて適正に制御する必要がある。
本発明でいう重合温度とは、通常重合反応槽に具備されている内温計で測定された重合液の温度のことをいい、重合がバッチ式で行われる場合にはしばしば時間とともに内温が変化するため、その最高温度を指し、連続式の場合には一般的に重合槽毎に一定の値を設定するため、その設定された温度のことを指す。
また、ジヒドロキシ化合物や炭酸ジエステルの揮散を抑制するため、オリゴマー製造段階での重合圧力(絶対圧力)は、通常1kPa以上、好ましくは3kPa以上、より好ましくは5kPa以上、更に好ましくは10kPa以上、特に好ましくは15kPa以上で行う。一方、重合圧力が高すぎると重合反応の進行が遅くなり、余計な熱履歴が生じたり、生産効率が低下したりする可能性があるため、通常2000kPa以下、好ましくは1000kPa以下、より好ましくは100kPa以下、更に好ましくは50kPa以下、特に好ましくは30kPa以下である。
本発明の方法においては、全反応段階における反応液の最高温度は、250℃未満であることが好ましい。
ポリカーボネート樹脂の還元粘度が低すぎると成形品の機械的強度が小さい可能性があり、大きすぎると、成形する際の流動性が低下し、生産性や成形性を低下させる傾向がある。
尚、還元粘度は、溶媒として塩化メチレンを用い、ポリカーボネート樹脂濃度を0.6g/dLに精密に調製し、温度20.0℃±0.1℃でウベローデ粘度管を用いて測定する。
ペレット化の方法は限定されるものではないが、最終重合反応槽から溶融状態で抜き出し、ストランドの形態で冷却固化させてペレット化させる方法、最終重合反応槽から溶融状態で一軸または二軸の押出機に樹脂を供給し、溶融押出しした後、冷却固化させてペレット化させる方法、又は、最終重合反応槽から溶融状態で抜き出し、ストランドの形態で冷却固化させて一旦ペレット化させた後に、再度一軸または二軸の押出機に樹脂を供給し、溶融押出しした後、冷却固化させてペレット化させる方法等が挙げられる。
その際、押出機中で、残存モノマーの減圧脱揮や、通常知られている、熱安定剤、中和剤、紫外線吸収剤、離型剤、着色剤、帯電防止剤、滑剤、潤滑剤、可塑剤、相溶化剤、難燃剤等を添加、混練することも出来る。
また、種々の成形を行う前に、必要に応じて、樹脂に熱安定剤、中和剤、紫外線吸収剤、離型剤、着色剤、帯電防止剤、滑剤、潤滑剤、可塑剤、相溶化剤、難燃剤等の添加剤を、タンブラー、スーパーミキサー、フローター、V型ブレンダー、ナウターミキサー、バンバリーミキサー、押出機などで混合することもできる。
ISB:イソソルビド(ロケットフルーレ社製、商品名POLYSORB−P)を、窒素気流下、内温155℃〜158℃(内圧400Pa)で、単蒸留したものを用いた。初留および釜残は、それぞれ5重量%ずつとした。
CHDM:1,4−シクロヘキサンジメタノール(新日本理化社製 商品名SKY CHDM)
DPC:ジフェニルカーボネート(三菱化学社製)
TMAH:テトラメチルアンモニウムヒドロキシド5水和物(東京化成工業社製)
イミダゾール(東京化成工業社製)
ジエタノールアミン(東京化成工業社製)
TINUVIN770DF(BASF社製)
亜リン酸水素2ナトリウム5水和物(和光純薬工業社製)
1)ISB中の窒素原子含有量
試料をアルゴン・酸素雰囲気内で燃焼させ、発生した燃焼ガスを燃焼・化学発光法を用いた微量窒素計(三菱化学アナリテック社製TN−10)にて測定を行った。標準試料はアニリンのトルエン溶液を使用した。
2)ISB中のナトリウム原子含有量
パーキンエルマー社製マイクロウェーブ分解容器にISBを約0.5g精秤し、97%硫酸2mLを加え、密閉状態にして230℃で10分間マイクロウェーブ加熱した。室温まで冷却後、68%硝酸1.5mLを加えて、密閉状態にして150℃で10分間マイクロウェーブ加熱した後、再度室温まで冷却を行い、68%硝酸2.5mLを加え、再び密閉状態にして230℃で10分間マイクロウェーブ加熱し、内容物を完全に分解させた。室温まで冷却後、上記で得られた液を純水で希釈し、サーモクエスト社製ICP−MSで定量した。
3)ISB中の蟻酸含有量
10mLメスフラスコに試料約4gを精秤し、脱塩水を加えて溶解した。液体クロマトグラフィーにて所定のピークの面積値から絶対検量線法により蟻酸の定量を行った後、含有量を算出した。
用いた装置や条件は、次のとおりである。
・装置:島津製作所製
システムコントローラ:CBM−20A
ポンプ:LC−10AD
カラムオーブン:CTO−10ASvp
検出器:SPD−M20A
分析カラム:Cadenza CD−18 4.6mmΦ×250mm
オーブン温度:40℃
・検出波長:220nm
・溶離液:0.1%リン酸水溶液
・試料注入量:20μL
4)ISB中のフルフラール含有量
10mLメスフラスコに試料約4gを精秤し、脱塩水を加えて溶解した。液体クロマトグラフィーにて所定のピークの面積値から絶対検量線法によりフルフラールの定量を行った後、含有量を算出した。
用いた装置や条件は、次のとおりである。
・装置:島津製作所製
システムコントローラ:CBM−20A
ポンプ:LC−10AD
カラムオーブン:CTO−10ASvp
検出器:SPD−M20A
分析カラム:Cadenza CD−18 4.6mmΦ×250mm
オーブン温度:40℃
・検出波長:273nm
・溶離液:脱塩水/アセトニトリル/リン酸=70/30/0.1
・試料注入量:10μL
5)ISBのpH
ビーカーに試料を15g計量し、脱塩水50gを加えて溶解した。水溶液のpHは、ガラス電極GTPH1B、参照電極GTRE10、温度計GT5TSN(いずれも三菱化学アナリテック社製)を用いて測定した。電極は予めpH4、pH7、pH9の標準溶液により校正を行ってから測定に用いた。
6)ISBの色相(溶液YI)
ビーカーに試料20gを計量し、脱塩水20gを加えて溶解した。光路長2cmのガラスセルに入れて、分光測色計CM−5(コニカミノルタ社製)により透過モードで測定を行い、溶液のイエローインデックス(YI)値を測定した。YI値が小さい程、黄色味が少ないことを示す。
溶媒として塩化メチレンを用い、0.6g/dLの濃度のポリカーボネート樹脂溶液を調製した。森友理化工業社製ウベローデ型粘度管を用いて、温度20.0℃±0.1℃で測定を行い、溶媒の通過時間t0と溶液の通過時間tから次式より相対粘度ηrelを求め、
ηrel=t/t0
相対粘度から次式より比粘度ηspを求めた。
ηsp=(η−η0)/η0=ηrel−1
比粘度を濃度c(g/dL)で割って、還元粘度ηsp/cを求めた。この値が高いほど分子量が大きい。
8)ポリカーボネート樹脂の色相(ペレットYI)
ポリカーボネート樹脂の色相は、ASTM D1925に準拠して、ペレットの反射光におけるYI値(イエローインデックス値)を測定して評価した。装置はコニカミノルタ社製分光測色計CM−5を用い、測定条件は測定径30mm、SCEを選択した。シャーレ測定用校正ガラスCM−A212を測定部にはめ込み、その上からゼロ校正ボックスCM−A124をかぶせてゼロ校正を行い、続いて内蔵の白色校正板を用いて白色校正を行った。白色校正板CM−A210を用いて測定を行い、L*が99.40±0.05、a*が0.03±0.01、b*が−0.43±0.01、YIが−0.58±0.01となることを確認した。ペレットの測定は、内径30mm、高さ50mmの円柱ガラス容器にペレットを40mm程度の深さまで詰めて測定を行った。ガラス容器からペレットを取り出してから再度測定を行う操作を2回繰り返し、計3回の測定値の平均値を用いた。YI値が小さいほど樹脂の黄色味が少なく、色相に優れることを意味する。
あらかじめ窒素気流下(酸素濃度0.0005〜0.001vol%)、撹拌翼を具備した容器に固体状態のイソソルビド(ISB)と、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド5水和物(TMAH)をISBに対して50重量ppm、亜リン酸水素2ナトリウム5水和物を1重量ppmとなるように仕込み、熱媒で加熱した。溶融が始まり、撹拌が可能になった時点で撹拌を開始し、全量を均一に溶融させ、内温を80℃にした。溶融開始から12時間後、溶融状態のISBをバットにサンプリングし、水冷して固化させた後、アルミラミネート袋に窒素下でヒートシールして冷蔵保管した。
得られたサンプルを前述の方法にしたがって各種分析を行った。ISBの窒素原子含有量は3.7重量ppm、ナトリウム原子含有量は0.2重量ppmであった。ISB中に含有される蟻酸量は1.3重量ppm、フルフラールは13重量ppbであり、pHは7.7、溶液YIは0.55であった。
このようにして得られたISBを窒素気流下(酸素濃度0.0005〜0.001vol%)、撹拌翼を具備した容器に仕込み、80℃に加温して、溶融液を調製した。1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)とジフェニルカーボネート(DPC)もISBと同様に、窒素気流下(酸素濃度0.0005〜0.001vol%)、撹拌翼を具備した容器にそれぞれ仕込み、100℃に加温して、溶融液を調製した。DPCは蒸留精製して塩化物イオン濃度を10ppb以下にしたものを用いた。続いて、窒素気流下(酸素濃度0.0005〜0.001vol%)、撹拌翼と還流冷却器を具備した重合装置を100℃に保持した状態で、溶融状態の各原料を、DPC、CHDM、ISBの順番に仕込み、攪拌して均一溶液を調製した。ISBが融解し始めてからDPCと混合されるまでの時間は、前述の12時間を合わせて13.5時間であった。
このように調製した原料に、重合触媒として酢酸カルシウム水溶液を添加した。各原料は一定のモル比(ISB/CHDM/DPC/酢酸カルシウム=0.700/0.300/1.01/1.5×10-6)となるように仕込んだ。
触媒を添加後、昇温を開始し、40分後に内温を210℃に到達させ、この温度を保持するように制御すると同時に減圧を開始し、210℃に到達してから90分後に13.3kPa(絶対圧力、以下同様)にして、この圧力を保持するようにしながら、さらに15分間保持した。重合反応とともに副生するフェノール蒸気は100℃の還流冷却器に導き、フェノール蒸気中に若干量含まれるモノマー成分を重合反応器に戻し、凝縮しないフェノール蒸気は続いて45℃の凝縮器に導いて回収した。
このようにしてISBの90重量%以上をオリゴマー化させた内容物を、一旦大気圧まで窒素で復圧させた後、撹拌翼および100℃に制御された還流冷却器を具備した別の重合反応装置に移し、昇温および減圧を開始して、40分で内温220℃、圧力200Paにした。その後、20分かけて圧力133Pa以下にした。2槽目の重合反応装置の減圧を開始した時点から115分後に所定撹拌動力に到達した。その後、反応槽内を窒素で復圧し、内容物をストランドの形態で抜き出し、回転式カッターでペレットにした。
得られたポリカーボネート樹脂の還元粘度は0.465dL/g、ペレットYIは12.3であった。結果を表1に示す。
ISBを溶融させる際に、ISBに対して、亜リン酸水素2ナトリウム5水和物を添加せず、TMAHのみを50重量ppm加えた以外は、実施例1と同様に行った。
80℃で12時間溶融後のISBの窒素原子含有量は3.8重量ppm、ナトリウム原子含有量は0.1重量ppm未満であった。ISB中に含有される蟻酸量は1.2重量ppm、フルフラールは12重量ppb、pHは7.4、溶液YIは0.51であり、実施例1と同程度の保存安定性を示した。
2槽目の重合反応装置の反応を開始した時点から129分後に所定撹拌動力に到達した。得られたポリカーボネート樹脂の還元粘度は0.464dL/g、ペレットYIは11.3であり、実施例1よりも若干色相が向上した。結果を表1に示す。
ISBを溶融させる際に、ISBに対して、亜リン酸水素2ナトリウム5水和物を添加せず、TMAHのみを100重量ppm加えた以外は、実施例1と同様に行った。
80℃で12時間溶融後のISBの窒素原子含有量は7.6重量ppm、ナトリウム原子含有量は0.1重量ppm未満であった。また、ISB中に含有される蟻酸量は1.2重量ppm、フルフラールは15重量ppbであり、pHは7.6、溶液YIは0.54であり、実施例1と同程度の保存安定性を示した。
2槽目の重合反応装置の反応を開始した時点から108分後に所定撹拌動力に到達した。得られたポリカーボネート樹脂の還元粘度は0.474dL/g、ペレットYIは13.4であり、実施例1と同程度の色相となった。結果を表1に示す。
ISBを溶融させる際に、ISBに対してTMAHを200重量ppmと亜リン酸水素2ナトリウム5水和物を1重量ppm加えた以外は、実施例1と同様に行った。
80℃で12時間溶融後のISBの窒素原子含有量は15.3重量ppm、ナトリウム原子含有量は0.2重量ppmであった。また、ISB中に含有される蟻酸量は1.3重量ppm、フルフラールは13重量ppbであり、pHは8.8、溶液YIは0.55であり、実施例1と同程度の保存安定性を示した。
2槽目の重合反応装置の反応を開始した時点から94分後に所定撹拌動力に到達した。得られたポリカーボネート樹脂の還元粘度は0.477dL/g、ペレットYIは16.6であり、実施例1よりも反応速度が向上したが、得られたポリカーボネート樹脂の色相は悪化した。結果を表1に示す。
ISBを溶融させる際に、ISBに対して、亜リン酸水素2ナトリウム5水和物を添加せず、トリエチルアミンのみを25重量ppm加えた以外は、実施例1と同様に行った。
80℃で12時間溶融後のISBの窒素原子含有量は2.9重量ppm、ナトリウム原子含有量は0.1重量ppm未満であった。また、ISB中に含有される蟻酸量は1.4重量ppm、フルフラールは18重量ppbであり、pHは7.3、溶液YIは0.72であり、実施例1と比較してISBの色相が若干悪化した。
2槽目の重合反応装置の反応を開始した時点から120分後に所定撹拌動力に到達した。得られたポリカーボネート樹脂の還元粘度は0.466dL/g、ペレットYIは14.5であり、実施例1と比較して、得られたポリカーボネート樹脂の色相が若干悪化した。結果を表1に示す。
ISBを溶融させる際に、ISBに対して、亜リン酸水素2ナトリウム5水和物を添加せず、イミダゾールのみを10重量ppmのみ加えた以外は、実施例1と同様に行った。
80℃で12時間溶融後のISBの窒素原子含有量は4.0重量ppm、ナトリウム原子含有量は0.1重量ppm未満であった。また、ISB中に含有される蟻酸量は1.3重量ppm、フルフラールは13重量ppbであり、pHは7.5、溶液YIは0.52であり、実施例1と同等の保存安定性を示した。
2槽目の重合反応装置の反応を開始した時点から121分後に所定撹拌動力に到達した。得られたポリカーボネート樹脂の還元粘度は0.460dL/g、ペレットYIは12.1であり、実施例1と同等の色相のポリカーボネート樹脂が得られた。結果を表1に示す。
ISBを溶融させる際に、ISBに対して、亜リン酸水素2ナトリウム5水和物を添加せず、TINUVIN770DFのみを50重量ppmのみ加えた以外は、実施例1と同様に行った。
80℃で12時間溶融後のISBの窒素原子含有量は2.9重量ppm、ナトリウム原子含有量は0.1重量ppm未満であった。また、ISB中に含有される蟻酸量は1.2重量ppm、フルフラールは12重量ppbであり、pHは7.5、溶液YIは0.65であり、実施例1と同等の保存安定性を示した。
2槽目の重合反応装置の反応を開始した時点から123分後に所定撹拌動力に到達した。得られたポリカーボネート樹脂の還元粘度は0.462dL/g、ペレットYIは14.0であり、実施例1と同等の色相のポリカーボネート樹脂が得られた。結果を表1に示す。
ISBを溶融させる際に、ISBに対して亜リン酸水素2ナトリウム5水和物を50重量ppm加えた以外は、実施例1と同様に行った。
80℃で12時間溶融後のISBの窒素原子含有量は0.3重量ppm未満、ナトリウム原子含有量は10.6重量ppmであった。また、ISB中に含有される蟻酸量は8.5重量ppm、フルフラールは80重量ppbであり、pHは6.4、溶液YIは0.90であり、実施例1と比較して、ISBの劣化の程度が大きくなった。
2槽目の重合反応装置の反応を開始した時点から58分後に所定撹拌動力に到達した。得られたポリカーボネート樹脂の還元粘度は0.481dL/g、ペレットYIは35.1であり、得られたポリカーボネート樹脂の色相は著しく悪化した。結果を表1に示す。
あらかじめ窒素気流下(酸素濃度0.0005〜0.001vol%)、撹拌翼を具備した蒸留容器に固体状態のISBと、ISBに対して亜リン酸水素2ナトリウム5水和物を50重量ppmとなるように仕込み、熱媒で加熱した。溶融が始まり撹拌が可能になった時点で撹拌を開始し、全量を均一に溶融させた。続いて、該容器の圧力を徐々に下げ、加温を行った。内圧133〜266Pa、内温160℃になった時点で留出が始まり、初留を25.5重量部採取した後、主留として403.5重量部、後留として28.5重量部採取し、残りは釜残として容器中に残した。主留の受け器の内温は80℃に調節した。主留の採取開始から12時間後、溶融状態のISBをバットにサンプリングし、水冷して固化させた後、アルミラミネート袋に窒素下でヒートシールし、保管した。
得られたサンプルを前述の方法にしたがって、各種分析を行った。ISBの窒素原子含有量は0.3重量ppm未満、ナトリウム原子含有量は0.1重量ppm未満であった。ISB中に含有される蟻酸量は12.2重量ppm、フルフラールは250重量ppbであり、pHは5.8、溶液YIは1.77であり、実施例1と比較して、溶融保持中にISBの劣化が進行していた。
重合反応は実施例1と同様に実施した。2槽目の重合反応装置の反応を開始した時点から153分後に所定撹拌動力に到達した。得られたポリカーボネート樹脂の還元粘度は0.452dL/g、ペレットYIは20.4であり、実施例1と比較して、反応速度が低下し、得られたポリカーボネート樹脂の色相も悪化した。結果を表1に示す。
ISBを溶融させる際に、ISBに対して、亜リン酸水素2ナトリウム5水和物を添加せず、TMAHのみを50重量ppm加えた以外は、比較例3と同様に行った。蒸留により初留を25.0重量部採取した後、主留として401.3重量部、後留として29.9重量部採取し、残りは釜残として容器中に残した。
主留の採取開始から12時間後のISBの窒素原子含有量は3.0重量ppm、ナトリウム原子含有量は0.1重量ppmで未満あった。また、ISB中に含有される蟻酸量は1.2重量ppm、フルフラールは35重量ppbであり、pHは7.1、溶液YIは0.68であり、実施例1と比較して、ISBの色相が若干悪化した。
重合反応は実施例1と同様に実施した。2槽目の重合反応装置の反応を開始した時点から129分後に所定撹拌動力に到達した。得られたポリカーボネート樹脂の還元粘度は0.464dL/g、ペレットYIは14.3であり、実施例1と比較して、得られたポリカーボネート樹脂の色相が若干悪化した。結果を表1に示す。
ISBを溶融させる際に亜リン酸水素2ナトリウム5水和物もTMAHも加えなかった以外は実施例1と同様に行った。
80℃で12時間溶融後のISBの窒素原子含有量は0.3重量ppm未満、ナトリウム原子含有量は0.1重量ppm未満であった。また、ISB中に含有される蟻酸量は10.5重量ppm、フルフラールは182重量ppbであり、pHは5.4、溶液YIは1.03であり、実施例1と比較して、溶融保持中にISBの劣化が進行していた。
2槽目の重合反応装置の反応を開始した時点から162分後に所定撹拌動力に到達した。得られたポリカーボネート樹脂の還元粘度は0.453dL/g、ペレットYIは33.5であり、実施例1と比較して、反応速度が低下し、得られたポリカーボネート樹脂の色相も悪化した。結果を表1に示す。
ISBを溶融させる際に、ISBに対して、亜リン酸水素2ナトリウム5水和物を添加せず、ジエタノールアミンのみを25重量ppm加えた以外は、実施例1と同様に行った。
80℃で12時間溶融後のISBの窒素原子含有量は3.2重量ppm、ナトリウム原子含有量は0.1重量ppm未満であった。また、ISB中に含有される蟻酸量は1.2重量ppm、フルフラールは10重量ppbであり、pHは7.3、溶液YIは0.47であった。
2槽目の重合反応装置の反応を開始した時点から120分後に所定撹拌動力に到達した。得られたポリカーボネート樹脂の還元粘度は0.475dL/g、ペレットYIは10.5と良好な色相であった。結果を表1に示す。
ISBを溶融させる際に、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール(以下、BHTと略記することがある)を25重量ppm添加した他は実施例8と同様に行った。結果を表1に示す。
溶融開始から48時間後、溶融状態のISBをバットにサンプリングし、水冷して固化させた後、アルミラミネート袋に窒素下でヒートシールして冷蔵保管した他は実施例1と同様に行った。実施例1に比べると、若干重合速度が低下し、得られたポリカーボネート樹脂の色相が悪化した。結果を表1に示す。
Claims (16)
- 原料化合物としてジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを用いて、エステル交換触媒の存在下、エステル交換反応により重縮合させて得られたポリカーボネート樹脂を製造する方法であって、前記ジヒドロキシ化合物がヒドロキシ基の少なくとも1つのβ位またはγ位にエーテル性酸素原子を有する脂肪族ジヒドロキシ化合物を少なくとも含み、かつ前記原料化合物が、前記脂肪族ジヒドロキシ化合物に対する窒素原子換算の重量濃度として、0.3ppm以上10ppm未満の含窒素化合物を含み、前記脂肪族ジヒドロキシ化合物を、予め50℃以上に加熱し、溶融状態で0.5時間以上200時間以下保持した後、炭酸ジエステルと混合する工程を含むことを特徴とするポリカーボネート樹脂の製造方法。
- 前記脂肪族ジヒドロキシ化合物を、溶融した炭酸ジエステルと混合する工程を含む請求項1に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
- 前記原料化合物が、固体の前記脂肪族ジヒドロキシ化合物を含窒素塩基性化合物の存在下で加熱し、溶融状態にした後、蒸留精製した脂肪族ジヒドロキシ化合物を含有する原料化合物であって、当該原料化合物中に含まれる含窒素化合物の含有量が、脂肪族ジヒドロキシ化合物に対する窒素原子換算の重量濃度として0.3ppm以上10ppm未満である請求項1または請求項2に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
- 固体の脂肪族ジヒドロキシ化合物を含窒素化合物の存在下で加熱し、溶融状態にした後、蒸留精製することなく、ポリカーボネート樹脂の原料化合物として用いる請求項1または請求項2に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
- 固体の脂肪族ジヒドロキシ化合物を溶融状態にした後、前記エステル交換触媒を添加し、エステル交換反応により重縮合させる工程を含む請求項1乃至4の何れか1項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
- 前記含窒素化合物が、アルカノールアミンである請求項1乃至5の何れか1項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
- 前記原料化合物が、ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む請求項1乃至6の何れか1項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
- 前記脂肪族ジヒドロキシ化合物の加熱を70℃以上100℃未満で行う請求項1乃至7の何れか1項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
- 前記脂肪族ジヒドロキシ化合物と前記炭酸ジエステルを混合する工程を含み、該工程が80℃以上130℃未満である請求項1乃至8の何れか1項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
- 前記脂肪族ジヒドロキシ化合物が90重量%以上エステル交換反応で消費される段階の工程を230℃未満で行う請求項1乃至9の何れか1項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
- 前記原料化合物がナトリウム化合物を含み、該ナトリウム化合物の含有量が、前記脂肪族ジヒドロキシ化合物に対するナトリウム原子換算の重量濃度として2ppm未満である請求項1乃至10の何れか1項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
- 前記触媒として、リチウム及び長周期型周期表第2族の金属からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属化合物を、その金属原子の合計量として、原料として用いた全ジヒドロキシ化合物1mol当たり、0.1μmol以上30μmol以下用いる請求項1乃至11の何れか1項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
- 前記エステル交換触媒が、マグネシウム化合物及びカルシウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である請求項12に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
- 全反応段階における反応液の最高温度が250℃未満である請求項1乃至13の何れか1項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
- 前記脂肪族ジヒドロキシ化合物が、環状エーテル構造を有する請求項1乃至14の何れか1項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
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