JP2012214048A - 抗アレルゲン性を有する化粧シート及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも基材シート、プライマー層、ブロック層、及び抗アレルゲン機能層を順に有し、該プライマー層が主剤及びイソシアネート系硬化剤を含むプライマー層用2液硬化型樹脂組成物により形成され、該ブロック層が電離放射線硬化樹脂を含むブロック層用樹脂組成物により形成され、該抗アレルゲン機能層が、硬化性樹脂及びフェノール性水酸基を有する抗アレルゲン剤を含む抗アレルゲン機能層用樹脂組成物により形成されることを特徴とする化粧シートである。
【選択図】図1
Description
項1. 少なくとも基材シート、プライマー層、ブロック層、及び抗アレルゲン機能層を順に有し、
該プライマー層が主剤及びイソシアネート系硬化剤を含むプライマー層用2液硬化型樹脂組成物により形成され、
該ブロック層が電離放射線硬化性樹脂を含むブロック層用樹脂組成物により形成され、
該抗アレルゲン機能層が、硬化性樹脂、及びフェノール性水酸基を有する抗アレルゲン剤を含む抗アレルゲン機能層用樹脂組成物により形成されていることを特徴とする化粧シート。
項2. ブロック層中の電離放射線硬化性樹脂が、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、及びポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマーから選ばれる少なくとも一種の(メタ)アクリレートオリゴマーである項1に記載の化粧シート。
項3. (メタ)アクリレートオリゴマーが、官能基として水酸基、アミノ基、及びチオール基から選ばれる少なくとも一種を有する項2に記載の化粧シート。
項4. 抗アレルゲン機能層用樹脂組成物中の硬化性樹脂が、官能基数2〜10のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーである項1〜3のいずれかに記載の化粧シート。
項5. 抗アレルゲン剤が、ポリフェノール化合物で構成されるものである項1〜4のいずれかに記載の化粧シート。
項6. 該ポリフェノール化合物が、カテキン及びタンニン酸から選ばれる少なくとも一種であり、かつ無機固体酸に担持されている項5に記載の化粧シート。
項7. 抗アレルゲン機能層用樹脂組成物中の抗アレルゲン剤の配合量が、硬化性樹脂100質量部に対して1〜30質量部である項1〜6のいずれかに記載の化粧シート。
項8. 項1〜7のいずれかに記載の化粧シートを被着体に積層してなる化粧板。
項9. 下記の工程を順に有する、基材シート、プライマー層、ブロック層、及び抗アレルゲン機能層を順に積層してなる化粧シートの製造方法。
工程(1)基材シート上に、主剤及びイソシアネート系硬化剤を含むプライマー層用2液硬化型樹脂組成物を塗布する工程
工程(2)電離放射線硬化性樹脂を含むブロック層用樹脂組成物を塗布する工程
工程(3)硬化性樹脂及びフェノール性水酸基を有する抗アレルゲン剤を含む抗アレルゲン機能層用樹脂組成物を塗布し、硬化させる工程
本発明の化粧シートは、少なくとも基材シート、プライマー層、ブロック層、及び抗アレルゲン機能層を順に有し、該プライマー層が主剤及びイソシアネート系硬化剤を含むプライマー層用2液硬化型樹脂組成物により形成され、該ブロック層が電離放射線硬化樹脂を含むブロック層用樹脂組成物により形成され、該抗アレルゲン機能層が、硬化性樹脂及びフェノール性水酸基を有する抗アレルゲン剤を含む抗アレルゲン機能層用樹脂組成物により形成されていることを特徴とするものである。
基材シートとしては、熱可塑性樹脂からなる樹脂シートが好ましく挙げられ、熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリプロピレン系樹脂やポリエチレン系樹脂のようなポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル樹脂のほか、(メタ)アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂などが好ましく挙げられる。本発明の製造方法で得られる化粧シートを用いて床材を作製する場合には、これらの基材シートのうち、コスト及びシート柔軟性の点でポリオレフィン系樹脂が好ましく、耐傷つき性といったシートとしての強度が求められる場合には、ポリエステル系樹脂が好ましく、求められる用途に応じて使い分けられる。
また、本発明の化粧シートは、化粧シートの意匠性を向上させる目的で、所望により印刷層を有することができる。印刷層は、通常基材シートとプライマー層との間に設けられる。また、基材シートが上記した複層構成をとる場合、印刷層は、通常基材シート間に設けられる。
印刷方法としては、通常の、グラビア印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷などの輪転印刷、枚葉印刷のいずれをも適用できる。
接着剤層は、上記したように基材シートが複層構成をとる場合、二つ以上の基材シートをラミネートする際に、必要に応じて設けられる層である。接着剤としては、ウレタン系、アクリル系、アクリル/ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリスチレン系、セルロース系などが好ましく挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で、あるいは
2種以上の混合物として使用することができる。
バッカー層は、基材シートの裏面(プライマー層を積層する面に対して反対側の面)に設けられる樹脂層である。このようなバッカー層を積層することにより、化粧シートを被着材(特に木質合板)と貼着して化粧材とする場合に、被着材表面に不可避的に存在する凹凸の影響を緩和することができる。特に床用化粧シートとして用いる場合には、バッカー層は化粧シートにクッション性を付与する層にもなる。
プライマー層は、基材シートとブロック層あるいは抗アレルゲン機能層との間の密着性を向上するために設けられるものであり、主剤及びイソシアネート系硬化剤を含むプライマー層用2液硬化型樹脂組成物により形成されるものである。ここで、プライマー層用2液硬化型樹脂組成物は、主剤とイソシアネート系硬化剤を混合することにより硬化する樹脂組成物である限り、主剤及びイソシアネート系硬化剤の一方又は双方を2種以上使用するものであってもよい。
プライマー層の厚さは、通常0.5〜10μm程度、好ましくは0.5〜5μmである。プライマー層の厚さが上記範囲内であると、抗アレルゲン機能層とプライマー層との層間密着性が一層良好になる。
プライマー層用2液硬化型樹脂組成物に含まれる主剤としては、イソシアネート系硬化剤の存在により硬化するものであれば特に制限はない。主剤としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチルなどの(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピルなどのヒドロキシル基を有するモノマーとの付加重合によって得られるアクリルポリオールや、公知のジオール類、例えばエチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類とアジピン酸、マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸などの二塩基酸、これらの酸エステルなどから選ばれる少なくとも一種との重縮合反応によって得られるポリエステルポリオール、あるいは、前記のジオール類とエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラヒドロフランなどとの付加重合によって得られるポリエーテルポリオールなど、官能基として水酸基を有するポリオールが好ましく挙げられる。これらは単独又は複数種を混合して使用できる。なかでも、アクリルポリオールが、プライマー層と抗アレルゲン機能層との層間密着性の観点から、特に好適である。
イソシアネート系硬化剤としては、例えば、メチレンビス(4,1−フェニレン)=ジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネート;1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネートなどの脂肪族(ないしは脂環式)ポリイソシアネートなどのポリイソシアネート化合物が好ましく挙げられる。
ここで、アダクト変性体とは、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ヒマシ油などの低分子活性水素含有化合物と、前記各種のポリイソシアネート化合物との反応物である。
また、弾性変性ポリイソシアネートとは、前記のポリイソシアネート化合物をモノマーとして用い、これに弾性を有する活性水素含有化合物をウレタン反応させることで、NCO末端のプレポリマーとしたものである。
ポリイソシアネート化合物を弾性変性するために用いられる弾性を有する活性水素含有化合物としては、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリオレフィンポリオール、動植物系ポリオール又はこれらのコポリオールなどが挙げられる。
本発明の化粧シートはブロック層を有する。ブロック層は、化粧シートの柔軟性を維持しつつ、プライマー層用2液硬化型樹脂組成物中に含まれるイソシアネート系硬化剤に起因する抗アレルゲン剤の失活を抑制する層であり、プライマー層と抗アレルゲン機能層との間に設けられる層である。
ブロック層は、電離放射線硬化性樹脂を含むブロック層用樹脂組成物により形成される。ここで電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋しうるエネルギー量子を有するものを意味し、通常紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線などの電磁波、α線、イオン線などの荷電粒子線も含むものである。
重合性モノマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレート系モノマーが好適であり、中でも多官能性(メタ)アクリレートモノマーが好ましい。多官能性(メタ)アクリレートモノマーとしては、分子内にエチレン性不飽和結合を2個以上有する(メタ)アクリレートモノマーであればよく、特に制限はない。これらの(メタ)アクリレートモノマーは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーは、例えば比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。また、このエポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーを部分的に二塩基性カルボン酸無水物で変性したカルボキシル変性型のエポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーを用いることもできる。
ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、例えば多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、あるいは、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸で
エステル化することにより得ることができる。
ポリエーテル(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
また、アクリル(メタ)アクリレートオリゴマーは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、これと共重合可能な、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルなどの官能基含有(メタ)アクリル系化合物、あるいは(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などのカルボン酸とを共重合してなるオリゴマーである。
抗アレルゲン機能層は、本発明の化粧シートに抗アレルゲン性を付与するとともに、化粧シートに求められる実用的性能(耐候性、耐溶剤性、耐汚染性など)を付与する層であり、硬化性樹脂及びフェノール性水酸基を有する抗アレルゲン剤を含む機能層用樹脂組成物により形成される層である。
本発明で用いられる硬化性樹脂は、熱あるいは電離放射線の照射により硬化する樹脂であれば特に制限はない。本発明においては、電離放射線の照射により硬化する樹脂、すなわち電離放射線硬化性樹脂であることが好ましい。
熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、フェノール/ホルマリン樹脂、尿素樹脂、尿
素/ホルマリン樹脂、メラミン樹脂、メラミン/ホルマリン樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などが好ましく挙げられる。
電離放射線硬化性樹脂は、慣用されている重合性モノマー及び重合性オリゴマーないしはプレポリマーの中から適宜選択して用いることができる。重合性モノマーとしては、ブロック層用樹脂組成物の電離放射線硬化性樹脂として例示した重合性モノマーが好ましく挙げられる。
また、重合性オリゴマーとしても、ブロック層用樹脂組成物に用いられる電離放射線硬化性樹脂として例示した、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つオリゴマー、例えばウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエーテル(メタ)アクリレートオリゴマー、アクリル(メタ)アクリレートオリゴマーなどの(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましく挙げられ、これらのオリゴマーを1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの重合性オリゴマーの中でも、より効果的に、耐候性、耐溶剤性、耐汚染性を備えさせるという観点から、好ましくはウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーが挙げられる。
本発明で用いられる抗アレルゲン剤は、フェノール性水酸基を有するもの、すなわちフェノール性水酸基を有する非水溶性高分子のものであり、該フェノール性水酸基が、アレルゲン性の物質を吸着するとともに不活性化するように機能するものであれば特に制限されない。このような抗アレルゲン剤としては、分子内に複数のフェノール性水酸基、すなわちベンゼン環やナフタレン環などの芳香環に結合した水酸基を有する有機化合物であるポリフェノール化合物で構成されるもの、例えば、ポリ(4−ビニルフェノール)やポリ(3,4,5−ヒドロキシ安息香酸ビニル)などのポリフェノール系の高分子が好ましく挙げられる。市販の抗アレルゲン剤としては、「マルカリンカー M(商品名)」(丸善石油化学株式会社)などを使用することができ、この抗アレルゲン剤は、ダニや花粉など種々のアレルゲンに対して有効に作用するものである。
また、抗アレルゲン機能層用樹脂組成物には、本発明の化粧シートを適用するものに対して要求される特性を満たすために、さらに、紫外線吸収剤、光安定剤、抗菌剤、耐摩耗剤、及び艶消し剤、あるいは沈降防止剤などの添加剤を含有させることができる。
紫外線吸収剤(UVA)は有害な紫外線を吸収し、抗アレルゲン性壁紙の長期耐候性、安定性を向上させる。本発明で用いられる紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ベンゾフェノン系などの有機系紫外線吸収剤が好ましく挙げられ、紫外線吸収能が高く、また紫外線などの高エネルギーに対しても劣化しにくいトリアジン系がより好ましい。また、硬化性樹脂として電離放射線硬化性樹脂を用いる場合は、ブリードアウトを抑制するために、必要に応じて(メタ)アクリロイル基、ビニル基などのエチレン性二重結合含有官能基を有する電離放射線反応型紫外線吸収剤を用いてもよい。
紫外線吸収剤の含有量は、硬化性樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1〜10質量部、より好ましくは0.1〜5質量部である。
光安定剤は、紫外線により生じる有害なフリーラジカルを効率良く捕捉することにより安定化するものである。光安定剤としては、ヒンダードアミン系の光安定剤が好ましく、硬化性樹脂として電離放射線硬化性樹脂を用いる場合は、(メタ)アクリロイル基、ビニル基などのエチレン性二重結合含有官能基を有する電離放射線反応型ヒンダードアミン系光安定剤が好ましい。このような光安定剤としては、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニルメタクリレートなどが挙げられる。
光安定剤の含有量は、硬化性樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1〜10質量部、より好ましくは0.1〜5質量部である。
本発明で用いる抗アレルゲン機能層用組成物には、抗菌性を付与するために、抗菌剤を配合することができる。抗菌剤としては担体が活性炭、活性アルミナ、シリカゲルなどの無機系吸着剤や、ゼオライト、リン酸ジルコニウムなどの無機化合物であり、当該担体に銀イオン又は銀イオンの他に銅イオン、亜鉛イオンを併用した少なくとも銀イオンを担持させたものが好ましく挙げられる。
本発明で用いる抗アレルゲン機能層用組成物には、抗アレルゲン機能層表面の硬度を高め、耐傷性を向上するために、耐摩耗剤を配合することができる。このような耐摩耗剤としては、無機系充填剤としては、α−アルミナ、シリカなどの球状粒子が好ましく挙げられ、有機物系充填剤としては、架橋アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂などの合成樹脂ビーズが好ましく挙げられる。粒径は、通常膜厚の30〜100%程度であり、その配合量は、硬化性樹脂100質量部に対して1〜20重量部程度である。
本発明で用いる抗アレルゲン機能層用組成物には、抗アレルゲン機能層表面の艶消しのため、いわゆる艶消し剤(マット剤)を配合することができる。艶消し剤としては、シリカ、ケイ酸カルシウムなどの無機質微粉末や、アクリル樹脂、ウレタン樹脂からなる有機フィラーなどが好ましく挙げられる。
艶消し剤の配合量としては、硬化性樹脂100質量部に対して、4〜30質量部であり、10〜20質量部であることがより好ましい。
また、本発明で用いられる抗アレルゲン機能層用組成物には、その性能を阻害しない範囲で各種添加剤を含有することができる。各種添加剤としては、例えば重合禁止剤、架橋剤、帯電防止剤、接着性向上剤、酸化防止剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、溶剤などが挙げられる。
なお、硬化性樹脂として紫外線硬化型樹脂を用いる場合には、光重合用開始剤を硬化型樹脂100質量部に対して、0.1〜5質量部程度添加することが望ましい。
本発明の化粧シートは、床材や壁材などへの適用、あるいは意匠性を考慮すると、化粧シート表面に、エンボス加工によるエンボス模様(図示せず)を施すこともできる。エン
ボス加工は、抗アレルゲン機能層面から、エンボス板で加熱加圧することのほか、種々の方法により形成することができる。エンボス模様の形状としては、制限はないが、本発明の化粧シートが適用される建材の特性に応じて形成される。
本発明の化粧シートは、基材シートの裏面(抗アレルゲン機能層を設ける面の反対側面で、バッカー層6を設ける場合にはその表面)に、粘着剤を介してセパレータを設けることもできる。こうした構成とすることにより、セパレータを剥がして露出した面を被貼着物に貼着することができる。
本発明の化粧シートの製造方法は、工程(1)基材シート上に、主剤及びイソシアネート系硬化剤を含むプライマー層用2液硬化型樹脂組成物を塗布する工程、工程(2)電離放射線硬化樹脂を含むブロック層用樹脂組成物を塗布する工程、及び工程(3)硬化性樹脂及びフェノール性水酸基を有する抗アレルゲン剤を含む抗アレルゲン機能層用樹脂組成物を塗布し、硬化させる工程を順に有することを特徴とするものである。
工程(1)は、基材シート上に、主剤及びイソシアネート系硬化剤を含むプライマー層用2液硬化型樹脂組成物を塗布する工程である。
プライマー層用2液硬化型樹脂組成物の塗布は、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコート、フローコーター、吹きつけ法、エアレススプレー法、エアスプレー法、刷毛塗り、コテ塗り、浸漬法、引き上げ法、ノズル法、巻取り法、流し法、盛り付け法、パッチング法などの公知の方式、好ましくはグラビアコートにより行うことができる。
プライマー層用2液硬化型樹脂組成物の塗膜厚さは、通常0.5〜10μm程度、好ましくは0.5〜5μmである。塗膜厚さが上記範囲内であると、抗アレルゲン機能層とプライマー層との層間密着性が一層良好になる。
養生する際の温度条件は、半硬化の状態とする調整の容易さ、及び養生時間の長短に影響するが、双方のバランスを考慮すると、通常15〜80℃程度であり、好ましくは20〜40℃である。また、養生時間は、温度条件によるが、通常10時間〜100日間程度であり、好ましくは10時間〜40日、より好ましくは10時間〜30日であり、特に好ましくは10〜24時間である。本発明においては、化粧シートを作製する状況に応じて、養生の条件を適宜選択すればよい。
工程(2)は、電離放射線硬化樹脂を含むブロック層用樹脂組成物を塗布する工程である。ブロック層用樹脂組成物の塗布は、上記したプライマー層用2液硬化型樹脂組成物の塗布方法と同様の方法により行うことができる。
ブロック層用樹脂組成物の塗膜厚さは、該ブロック層用樹脂組成物中の電離放射線硬化樹脂が水酸基を有する場合は、通常1〜45μm程度であり、3〜35μmが好ましく、より好ましくは5〜25μmであり、該電離放射線硬化樹脂が水酸基を有しない場合は、通常1〜30μm程度であり、5〜27μmが好ましく、より好ましくは10〜25μmである。塗膜厚さが上記範囲内であると、抗アレルゲン剤の失活を十分に抑制することができ、経済的である。
予備硬化処理は、電離放射線などを照射して行うことが好ましく、電子線を用いる場合、その加速電圧については、用いる樹脂や層の厚みに応じて適宜選定し得るが、通常加速電圧70〜300kV程度、照射線量は5〜30kGy(0.5〜3Mrad)、好ましくは5〜15kGy(0.5〜1.5Mrad)の範囲で選定される。このように、電子線を低照射線量で照射することで、ブロック層用樹脂組成物は完全硬化に至ることがなく、すなわちブロック層用樹脂組成物中の電離放射線硬化性樹脂が有する官能基が全て消費しない状態とすることが好ましい。このような状態とすることで、抗アレルゲン機能層の官能基とも重合しやすくなるためブロック層と抗アレルゲン機能層とが化学的に密着することで、プライマー層及び抗アレルゲン機能層との密着性が良好になり、また優れた抗アレルゲン性が得られる。
工程(3)は、上記工程(2)で塗布したブロック層用樹脂組成物の塗膜面上に、硬化性樹脂及びフェノール性水酸基を有する抗アレルゲン剤を含む抗アレルゲン機能層用樹脂組成物を塗布し、硬化させる工程であり、本工程により抗アレルゲン機能層が形成される。該抗アレルゲン機能層は、化粧シートに抗アレルゲン性を付与し、かつ化粧シートに求められる実用的性能(耐候性、耐溶剤性、耐汚染性など)を付与する層である。
本発明において、抗アレルゲン機能層用樹脂組成物の塗布は、硬化して形成するアレルゲン機能層の厚さが通常5〜30μm程度となるように、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコート、フローコーター、吹きつけ法、エアレススプレー法、エアスプレー法、刷毛塗り、コテ塗り、浸漬法、引き上げ法、ノズル法、巻取り法、流し法、盛り付け法、パッチング法などの公知の方式、好ましくはグラビアコートにより行う。また、耐汚染性、耐傷性の観点から、好ましくは10〜20μmである。なお、樹脂組成物が溶剤を含むような場合は、塗布後に、熱風乾燥機などにより塗布膜を予め加熱乾燥してから電離放射線を照射することが好ましい。
照射線量は、電離放射線硬化型樹脂の架橋密度が飽和する量が好ましく、通常5〜300kGy(0.5〜30Mrad)、好ましくは10〜50kGy(1〜5Mrad)の範囲で選定される。
電子線源、あるいは紫外線源としては、ブロック層用樹脂組成物の硬化に用いられるものと同様のものが好ましく例示される。
本発明の化粧板は、上記の本発明の化粧シートを被着体に積層してなるものである。被着材は限定的でなく、公知の化粧板と同様のものを用いることができ、例えば、木質材料、金属、セラミックス、プラスチックス、ガラスなどが挙げられる。図3は、本発明の化粧板の好ましい態様の一例を示す模式図である。本発明の化粧板12は、化粧シート10と木質系基板11とを接着剤を用いて貼り付けて積層したものである。
木質基板としては、木質系の板としては、杉、檜、欅、松、ラワン、チーク、メラピーなどの各種素材の突板、木材単板、木材合板、パーティクルボード、中密度繊維板(MDF)などの木質材などが挙げられる。これらは単独で、または積層して用いることもできる。なお、木質系の板には、木質板に限らず、紙粉入りのプラスチック板や、補強され強度を有する紙類も包含される。
接着剤は、スプレー、スプレッダー、バーコーターなどの塗布装置を用いて塗布すればよい。この接着剤は、一般に、接着剤は固形分を35〜80質量%とし、塗布量50〜300g/m2の範囲で基板表面に塗布される。
(1)抗アレルゲン性
各実施例及び比較例で作製された化粧シートについて、ダニアレルゲン(「Derf1(商品名)」,和光純薬工業株式会社製)の水溶液を化粧シート上に400μl(ダニアレルゲンの初期濃度:50ng/mg)滴下して自然乾燥しないようにフィルムで覆い、24時間放置した後、該化粧シート上のダニアレルゲンを回収し、ダニアレルゲンの量をELISA法により不活性化率を測定し、下記の基準で抗アレルゲン性を評価した。
○ :ダニアレルゲンの初期濃度からの不活性化率が50%以上のもの
△ :ダニアレルゲンの初期濃度からの不活性化率が30%以上50%未満のもの
× :ダニアレルゲンの初期濃度からの不活性化率が10%以上30%未満のもの
×× :ダニアレルゲンの初期濃度からの不活性化率が10%未満のもの
(2)層間密着性
各実施例及び比較例で作製された化粧シートについて、JIS K5400に準拠して、テープ剥離試験を100回実施して、試験後の化粧シート表面の変化について、以下の基準で評価した。
○ :剥離が全く認められなかった
△ :面積比として1/100以上、5/100未満の剥離が認められた
△× :面積比として5/100以上、25/100未満の剥離が認められた
× :面積比として25/100以上の剥離が認められた
(3)耐候性
各実施例および比較例にて得られた化粧シートについて、岩崎電気株式会社製アイスーパーUVテスターを使用して、20時間のUV照射および4時間の噴水のサイクルを二度行うことによる促進耐候試験を実施(具体的には、10時間のUV照射、4時間の噴水、10時間のUV照射を1サイクルとして、これを2サイクル実施)した後の化粧シート表面の変化について、以下の基準にて評価した。
○ :化粧シート表面の変化がみられないもの
△ :化粧シート表面の黄変みられるが、外観上問題ないもの
× :化粧シート表面が著しく黄変するもの
(4)耐汚染性
JIS−K−6902に準拠し、各実施例および比較例にて製造された化粧シート表面に事務用インキ、ブルーブラックを滴下した後、24時間後に水ふきした際の表面変化について、以下の基準にて評価した。
○ :表面の変化が生じないもの
△ :表面が若干汚染されているものの、外観を損なう程度ではないもの
× :表面が著しく汚染されているもの
(5)柔軟性(Vカット加工適正に関する項目)
各実施例および比較例で作製された化粧シートの基材シート側を、接着剤を用いて厚さ10mmのMDFに接着して積層した後、化粧シート側とは反対側に、MDFと接着剤層との界面まで達する断面V字型の溝を切削し、溝を閉じるようにして合板をL字型(断面)に折り曲げて試験し、目視にて加工部を観察し、以下の基準にて評価した。なお、加工時の温度は常温で行った。
○ :シート加工部にクラックが発生しないもの
△ :シート加工部に微小なクラックが発生するが、外観上問題のないもの
× :シート加工部にクラックが発生し、シートの白化などの外観上の明確な変化が観察されるもの
基材シートとして、ポリオレフィン系樹脂シート(60μm透明ポリプロピレンに対し、80μmの厚みで着色ポリエチレンを押し出して形成)を用い、該基材シート上に、主剤として「EBRプライマー(商品名)」(DICグラフィックス株式会社製)100質量部にイソシアネート系硬化剤としてヘキサメチレンジイソシアネートを5質量部添加したプライマー層用2液硬化型樹脂組成物を、1.5g/m2の塗布量で塗布した。これを常温(23℃)で1日間放置(養生)した。その後、プライマー層用2液硬化型樹脂組成物の塗布面上に、水酸基を含まない2官能ウレタンアクリレートオリゴマー(重量平均分子量:1000)のみからなるブロック層用樹脂組成物を15〜25g/m2の塗布量で塗布し、電子線(加速電圧:165kV,照射量:10kGy(1Mrad))を照射して、該ブロック層用樹脂組成物の予備硬化処理を行った。次いで、予備硬化処理を行ったブロック層用樹脂組成物の塗布面上に、水酸基を含まない6官能ウレタンアクリレートオリゴマー(重量平均分子量:1000)100質量部に、ポリフェノール化合物がジルコニウム化合物に担持された抗アレルゲン剤(「アレリムーブ(商品名)」,東亞合成株式会社製)10質量部、及び艶消し剤(不定形シリカ,粒径:5μm)16質量部を含む抗アレルゲン機能層用樹脂組成物を塗布量15g/m2で塗布し、電子線(加速電圧:165kV,照射量:50kGy(5Mrad))を照射し、抗アレルゲン機能層用樹脂組成物を硬化させて、抗アレルゲン機能を有する化粧シートを得た。該化粧シートのブロック層の厚さは15μmであり、抗アレルゲン機能層の厚さは15μmであった。また、得られた化粧シートについて、上記の評価方法に基づき評価して、評価結果を第1表に示した。
実施例1において、ブロック層の厚さを20μm及び25μmとする以外は実施例1と同様にして、各々実施例2及び3の化粧シートを得た。得られた化粧シートについて、上記の評価方法に基づき評価して、評価結果を第1表に示した。
実施例1において、プライマー層用2液硬化型樹脂組成物の塗布後、養生しない以外は実施例1と同様にして、化粧シートを得た。得られた化粧シートについて、上記の評価方法に基づき評価して、評価結果を第1表に示した。
実施例1において、ブロック層用樹脂組成物として、2官能エポキシアクリレートオリゴマー(重量平均分子量:1500,水酸基含有)のみからなるブロック層用樹脂組成物を用い、ブロック層の厚さを第1表に示される厚さとした以外は、実施例1と同様にして化粧シートを得た。得られた化粧シートについて、上記の評価方法に基づき評価して、評価結果を第1表に示した。
実施例1において、ブロック層用樹脂組成物として、2官能エポキシアクリレートオリゴマー(重量平均分子量:1500,水酸基含有)のみからなるブロック層用樹脂組成物を用いたこと、ブロック層の厚さを第1表に示される厚さとしたこと、及びプライマー層用2液硬化型樹脂組成物の塗布後、養生しないこと以外は、実施例1と同様にして、化粧シートを得た。得られた化粧シートについて、上記の評価方法に基づき評価して、評価結果を第1表に示した。
実施例5及び6において、プライマー層用2液硬化型樹脂組成物の塗布後、養生しない以外は実施例5及び6と同様にして、各々実施例9及び10の化粧シートを得た。得られた化粧シートについて、上記の評価方法に基づき評価して、評価結果を第1表に示した。
実施例1において、抗アレルゲン機能層の厚さを5μmとした以外は、実施例1と同様にして化粧シートを得た。得られた化粧シートについて、上記の評価方法に基づき評価して、評価結果を第1表に示した。
実施例5において、抗アレルゲン機能層の厚さを5μmとした以外は、実施例5と同様にして化粧シートを得た。得られた化粧シートについて、上記の評価方法に基づき評価して、評価結果を第1表に示した。
実施例1において、プライマー層用2液硬化型樹脂組成物の塗布後に養生せず、かつブロック層を設けなかった以外は実施例1と同様にして化粧シートを得た。得られた化粧シートについて、上記の評価方法に基づき評価して、評価結果を第1表に示した。
実施例1において、プライマー層、及びブロック層を設けなかった以外は実施例1と同様にして化粧シートを得た。得られた化粧シートについて、上記の評価方法に基づき評価して、評価結果を第1表に示した。
2.印刷層
3.接着剤層
4.プライマー層
5.ブロック層
6.抗アレルゲン機能層
10.化粧シート
11.木質系基板
12.化粧板
Claims (9)
- 少なくとも基材シート、プライマー層、ブロック層、及び抗アレルゲン機能層を順に有し、
該プライマー層が主剤及びイソシアネート系硬化剤を含むプライマー層用2液硬化型樹脂組成物により形成され、
該ブロック層が電離放射線硬化性樹脂を含むブロック層用樹脂組成物により形成され、
該抗アレルゲン機能層が、硬化性樹脂、及びフェノール性水酸基を有する抗アレルゲン剤を含む抗アレルゲン機能層用樹脂組成物により形成されていることを特徴とする化粧シート。 - ブロック層中の電離放射線硬化性樹脂が、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、及びポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマーから選ばれる少なくとも一種の(メタ)アクリレートオリゴマーである請求項1に記載の化粧シート。
- (メタ)アクリレートオリゴマーが、官能基として水酸基、アミノ基、及びチオール基から選ばれる少なくとも一種を有する請求項2に記載の化粧シート。
- 抗アレルゲン機能層用樹脂組成物中の硬化性樹脂が、官能基数2〜10のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーである請求項1〜3のいずれかに記載の化粧シート。
- 抗アレルゲン剤が、ポリフェノール化合物で構成されるものである請求項1〜4のいずれかに記載の化粧シート。
- 該ポリフェノール化合物が、カテキン及びタンニン酸から選ばれる少なくとも一種であり、かつ無機固体酸に担持されている請求項5に記載の化粧シート。
- 抗アレルゲン機能層用樹脂組成物中の抗アレルゲン剤の配合量が、硬化性樹脂100質量部に対して1〜30質量部である請求項1〜6のいずれかに記載の化粧シート。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の化粧シートを被着体に積層してなる化粧板。
- 下記の工程を順に有する、基材シート、プライマー層、ブロック層、及び抗アレルゲン機能層を順に積層してなる化粧シートの製造方法。
工程(1)基材シート上に、主剤及びイソシアネート系硬化剤を含むプライマー層用2液硬化型樹脂組成物を塗布する工程
工程(2)電離放射線硬化性樹脂を含むブロック層用樹脂組成物を塗布する工程
工程(3)硬化性樹脂及びフェノール性水酸基を有する抗アレルゲン剤を含む抗アレルゲン機能層用樹脂組成物を塗布し、硬化させる工程
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