JP2012210738A - 化粧板及び化粧板の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高強度かつ環境配慮型である上、耐薬品性及び耐汚染性を有すると共に、高隠蔽性及び高平滑性を合わせもつ化粧板を提供する。
【解決手段】基材の一方の面に、少なくとも接着剤層、原紙及び表面保護層を順に有する化粧板であって、該表面保護層が、隠蔽性顔料を含む電離放射線硬化型樹脂組成物の硬化物層であり、かつ前記原紙が無シーラー処理原紙であることを特徴とする化粧板である。
【選択図】図1

Description

本発明は、高強度かつ環境配慮型である上、耐薬品性及び耐汚染性を有すると共に、高隠蔽性及び高平滑性を合わせもつ化粧板、並びに、前記性状を有する化粧板の製造方法に関するものである。
従来、代表的な化粧板として、ポリエステル化粧板、ジアリルフタレート(DAP)化粧板及びメラミン樹脂化粧板が広く用いられている。これらの化粧板は、一般に絵柄層を有する、又は単色に着色されたチタン紙などの強化紙に、それぞれポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂及びメラミン樹脂を含浸させ、基材、例えば木材、MDF(中比重ボード)、パーチクルボード、木質合板、窯業系ボードなどに載置し、含浸によって被覆された樹脂の上にプレス用鏡面版を当て、全体をプレス装置内に入れて加熱型締めし、樹脂を硬化させることによって製造されている。
しかしながら、これらのポリエステル化粧板、ジアリルフタレート化粧板及びメラミン樹脂化粧板の製造においては、(1)その製造過程で、それぞれスチレンモノマー、ジアリルフタレートモノマー及びホルムアルデヒドなどの有害物質が発生するという、環境衛生面での問題、さらには(2)その製造過程において、プレス装置を使用し、加熱圧締め、養生などにより樹脂の硬化を行うため、連続的な作業を行うことができず、非能率的であると共に、場所、人手、時間を要するといった問題がある。
前記(1)の問題に対処するために、例えば電子線硬化型化粧板の製造方法として、基材の一方の面に基材の膨張を抑制する膨張抑制層を形成し、前記基材の他方の面に強化紙を貼付した後、この強化紙表面にシーラーによるシーラー処理および目止め塗料による目止め処理を施して目止め層を形成し、塗装原板を得る原板製造工程と、この原板製造工程で得られた前記塗装原板の目止め層表面を研磨し、この目止め層上に電子線硬化型クリヤーを塗布した後、不活性ガス雰囲気下で電子線照射を行い、前記電子線硬化型クリヤーを硬化させて塗膜層を形成する塗膜層形成工程とを有する化粧板の製造方法が開示されている(特許文献1参照)。
また、前記(2)の問題に対処するために、例えば化粧板の含浸樹脂の硬化に際して、プレス装置による加熱圧締め、養生などを必要とせず、連続作業により短時間で硬化でき、かつ性能にも優れ、生産性の向上と同時に省力化及び省スペース化を実現し得る化粧板の製造方法として、紙の表面に印刷または着色を施し、その裏面に接着剤を用いて基材を貼り合わせた後、該紙の印刷または着色面上の全面に電子線硬化型樹脂を塗布し、該樹脂を硬化させる前に、更にその上に剥離可能なフィルムを積層し、フィルムの上から電子線を照射して電子線硬化型樹脂を硬化させ、しかる後、フィルムを剥離する化粧板の製造方法が開示されている(特許文献2参照)。
特開2002−154191号公報 特開平8−192504号公報
しかしながら、前記特許文献1に記載の技術においては、塗装原板の目止め層上に、電子線硬化型樹脂を直接塗工するため、塗工量が多くなると共に、塗工量のばらつきが大きくなるのを免れないという問題が生じる。したがって、この技術を合板やMDFなどの薄膜基材を用いた薄膜化粧板の製造に適用した場合、電子線硬化型樹脂の硬化収縮による基材の反りや割れが発生しやすく、かつ意匠のコントロールが難しいなどの問題が発生する。
さらに、強化紙表面にシーラー処理を施すと、電子線硬化型クリヤーが浸透しにくいため、界面が薬品に侵されるという問題や、電離放射線の照射により、強化紙が黄変するなどの問題が生じる。
一方、特許文献2に記載の方法で化粧板を作製する場合、チタン紙を使用すると染み込みが良過ぎるため、耐汚染性や意匠性が悪化する。また、印刷を施した薄紙を使用すると、電子線硬化型樹脂の浸透が場所によって異なるため、浸透ムラが生じるなどの問題が発生する。
さらに、前記の特許文献1に記載の技術においては、電子線硬化型クリヤーには隠蔽性顔料は含まれておらず、また、特許文献2に記載の技術においても、電子線硬化型樹脂には隠蔽性顔料は含まれていない。
本発明は、このような状況下になされたもので、高強度かつ環境配慮型である上、耐薬品性及び耐汚染性を有すると共に、高隠蔽性及び高平滑性を合わせもつ化粧板、並びに、前記性状を有する化粧板の製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、下記の知見を得た。
基材の一方の面に、少なくとも接着剤層、原紙及び表面保護層を順に有し、該表面保護層が、隠蔽性顔料を含む電離放射線硬化型樹脂組成物の硬化物層であり、かつ前記原紙が無シーラー処理原紙である化粧板が、その目的に適合し得ること、そして前記性状を有する化粧板は、特定の工程を施すことにより、効率よく製造し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
[1]基材の一方の面に、少なくとも接着剤層、原紙及び表面保護層を順に有する化粧板であって、該表面保護層が、隠蔽性顔料を含む電離放射線硬化型樹脂組成物の硬化物層であり、かつ前記原紙が無シーラー処理原紙であることを特徴とする化粧板、
[2](a)基材の一方の面に、接着剤層を介して無シーラー処理原紙を貼付する工程、(b)賦型シートの剥離層上に、隠蔽性顔料を含む電離放射線硬化型樹脂組成物の層を設け、電離放射線硬化型シートを形成する工程、及び(c)前記(a)工程で得られた基材上の無シーラー処理原紙と、前記(b)工程で得られた電離放射線硬化型シートとを、その電離放射線硬化型樹脂組成物の層と前記無シーラー処理原紙とを対面させてラミネートしたのち、電離放射線を照射して、前記電離放射線硬化型樹脂組成物の層を硬化させ、無シーラー処理原紙上に表面保護層を形成させる工程を含み、少なくとも基材/接着剤層/無シーラー処理原紙/表面保護層/賦型シートからなる層構成を有することを特徴とする化粧板の製造方法、
を提供するものである。
本発明によれば、高強度かつ環境配慮型である上、耐薬品性及び耐汚染性を有すると共に、高隠蔽性及び高平滑性を合わせもつ化粧板、並びに、前記性状を有する化粧板の製造方法を提供することができる。
本発明の化粧板の層構成の一例を示す断面模式図である。 本発明の化粧板の層構成の別の例を示す断面模式図である。 本発明の化粧板の製造方法における一例の製造工程図である。
まず、本発明の化粧板について説明する。
[化粧板]
本発明の化粧板は、基材の一方の面に、少なくとも接着剤層、原紙及び表面保護層を順に有する化粧板であって、該表面保護層が、隠蔽性顔料を含む電離放射線硬化型樹脂組成物の硬化物層であり、かつ前記原紙が無シーラー処理原紙であることを特徴とする。
(基材)
当該化粧板における基材としては、特に制限はなく、従来各種の化粧板に基材として慣用されているものの中から適宜選択して用いることができる。このような基材としては、例えば木材、MDF(中比重ボード)、パーチクルボード、木質合板、窯業系ボードなどを挙げることができる。
これらの基材の厚さは、通常2〜50mm程度であるが、当該化粧板では、厚さが好ましくは2〜30mm、より好ましくは2〜5mmの木質合板やMDFなどの薄厚基材を用いた薄厚化粧板が特に有利である。このような薄厚の化粧板でも、電離放射線硬化型樹脂組成物の硬化収縮による基材の反りや割れなどを防止し得るからである。
(原紙)
当該化粧板において、前記基材の一方の面に接着剤層を介して貼付する原紙としては、隠蔽性を有するとともに、基材の色による化粧板の色ムラを防ぐためのものであれば特に限定はなく、例えば、チタン紙、含浸紙、中性紙等を採用することができる。なお、これらの原紙は着色されていてもよく、化粧板に意匠性を付与することもできる。この原紙は、平滑処理を施すことが好ましい。
また、この原紙の坪量は、通常23〜200g/m2程度、好ましくは30〜100g/m2である。
<平滑処理>
上記平滑処理とは、原紙の表面を平滑化するための処理であって、例えば、弾性ロールと金属ロールを用いて平滑化する。より具体的には、熱ソフトカレンダー法等を好適に挙げることができる。この熱ソフトカレンダー法は、通常、金属ロールを100℃以上に加温して原紙の表面を加圧し、原紙の表面を平滑化する。該平滑処理により、高い表面平滑性及び印刷光沢を得ることができる。
なお、原紙の平滑度は、JIS P−8119(紙及び板紙−ベック平滑度試験機による平滑度試験・方法)に準拠して測定することができ、本発明における原紙としては、ベック平滑度が100秒以上であることが好ましい。
次に、本発明における原紙は、無シーラー処理原紙であることが好ましい。原紙にシーラー処理を施さないことにより、耐汚染性や耐薬品性の向上を図ることができる。
なお、本発明におけるシーラー処理とは、原紙の紙間に樹脂等を含浸させて、紙を強化するとともに、硬さ(特に鉛筆硬度)を発現させるものである。さらに、原紙に樹脂層を形成するに際し、目止め効果によって原紙に塗布する樹脂の染込みムラ防止する効果を有するものである。
(接着剤層)
当該化粧板において、前記原紙を基材に貼付するための接着剤層としては、感熱接着剤や加圧接着剤などで構成されるものが挙げられる。この接着剤層を構成する接着剤に用いられる樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合樹脂、スチレン−アクリル系共重合樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂などの中から選ばれる少なくとも1種の樹脂が使用される。該接着剤層は、選択した1種又は2種以上の樹脂を溶液、あるいはエマルジョンなど塗布可能な形にしたものを、フローコーター法、ロールコーター法などの手段により塗布、乾燥して形成することができる。
この接着剤層の厚さは、通常1〜200μm、好ましくは10〜100μm、より好ましくは30〜80μmである。
(表面保護層)
当該化粧板においては、前述した原紙にシーラー処理を施すことなく、表面保護層が設けられる。この表面保護層は、電離放射線硬化型樹脂組成物(以下、単に「樹脂組成物」と称することがある。)の硬化物層である。
<電離放射線硬化型樹脂組成物>
本発明において、電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、通常、紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線などの電磁波、α線、イオン線などの荷電粒子線も使用可能である。電離放射線硬化型樹脂組成物とは、上記電離放射線を照射することにより、架橋、硬化する樹脂組成物を指す。
当該電離放射線硬化型樹脂組成物は、電離放射線硬化型樹脂と、隠蔽性顔料と、他の各種添加成分を含有する。
本発明における電離放射線硬化型樹脂としては、多官能性(メタ)アクリレートモノマーを主体とし、これに本発明の目的を損なわない範囲で、硬化物性能の調整などの目的で重合性(メタ)アクリレートオリゴマーや、組成物の粘度調整などの目的で単官能性(メタ)アクリレートを適宜併用することができる。
《多官能性(メタ)アクリレートモノマー》
この多官能性(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイドトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの多官能性(メタ)アクリレートモノマーは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
《重合性(メタ)アクリレートオリゴマー》
重合性(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、分子中に複数のラジカル重合性不飽和基を持つ多官能性(メタ)アクリレートオリゴマー、例えばウレタン(メタ)アクリレート系、エポキシ(メタ)アクリレート系、ポリエステル(メタ)アクリレート系、ポリエーテル(メタ)アクリレート系などが挙げられる。
ここで、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーは、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアネートの反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。エポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーは、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得ることができる。また、このエポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーを部分的に二塩基性カルボン酸無水物で変性したカルボキシル変性型のエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーも用いることができる。ポリエステル(メタ)アクリレート系オリゴマーとしては、例えば多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、あるいは、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリエーテル(メタ)アクリレート系オリゴマーは、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
さらに、重合性(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、他にポリブタジエンオリゴマーの側鎖に(メタ)アクリレート基をもつ疎水性の高いポリブタジエン(メタ)アクリレート系オリゴマー、主鎖にポリシロキサン結合をもつシリコーン(メタ)アクリレート系オリゴマー、小さな分子内に多くの反応性基をもつアミノプラスト樹脂を変性したアミノプラスト樹脂(メタ)アクリレート系オリゴマーなどが挙げられる。
上述の重合性(メタ)アクリレートオリゴマーは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
以上の重合性(メタ)アクリレートオリゴマーの内、多官能性ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーが好ましく、成形性の観点から2官能性ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーが特に好ましい。
《単官能性(メタ)アクリレート》
単官能性(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの単官能性(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<光重合開始剤>
電離放射線硬化型樹脂として紫外線硬化型樹脂を用いる場合には、光重合用開始剤を樹脂100質量部に対して、0.1〜5質量部程度添加することが望ましい。光重合用開始剤としては、従来慣用されているものから適宜選択することができ、特に限定されず、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−2−(ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、ベンゾフェノン、p−フェニルベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、ジクロロベンゾフェノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−ターシャリーブチルアントラキノン、2−アミノアントラキノン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタールなどが挙げられる。
また、光増感剤としては、例えばp−ジメチル安息香酸エステル、第三級アミン類、チオール系増感剤などを用いることができる。
本発明においては、電離放射線硬化型樹脂として電子線硬化型樹脂を用いることが好ましい。電子線硬化型樹脂は無溶剤化が可能であって、環境や健康の観点からより好ましく、かつ、光重合用開始剤を必要とせず、安定な硬化特性が得られるからである。
<隠蔽性顔料>
当該電離放射線硬化型樹脂組成物は、得られる化粧板における表面保護層の隠蔽性向上、原紙の黄変防止や耐光性の向上などを図る目的で、隠蔽性顔料を含有することを要する。
隠蔽性顔料としては、例えば酸化チタン、(TiO2:チタニウムホワイト)、亜鉛華(ジンクホワイト)、鉛白(主成分:塩基性炭酸鉛)、リトポン(硫化亜鉛と硫酸バリウムとの混合物)、バライト(主成分:硫酸バリウム)、沈降性硫酸バリウム、炭酸カルシウム、沈降性シリカ(ホワイトカーボン)、アルミペーストなどの無機顔料が挙げられるが、これらの中で隠蔽性、耐光性などの観点から、酸化チタンを用いた酸化チタン系白色顔料やアルミペーストが好ましい。この酸化チタンには、ルチル形とアナターゼ形があるが、前者の方が、着色力、隠蔽力が大きく、隠蔽性顔料の中で最も好ましい。該酸化チタンの平均粒径は、通常0.3〜1.0μm程度である。
本発明においては、前記隠蔽性顔料は一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
当該樹脂組成物中の隠蔽性顔料の含有量は、該隠蔽性顔料として酸化チタン(TiO2:チタニウムホワイト)を用いる場合、その効果及び塗工適性のバランスの観点から、電離放射線硬化型樹脂100質量部に対して、通常10〜80質量部程度、好ましくは10〜60質量部、より好ましくは10〜40質量部である。
当該樹脂組成物においては、前述した隠蔽性顔料と共に、必要に応じて隠蔽性のある無機系着色顔料や、カーボンブラックなどを含有することができる。
<耐摩耗フィラー及び/又は低艶形成フィラー>
当該電離放射線硬化型樹脂組成物には、必要に応じ耐摩耗フィラー及び/又は低艶形成フィラーを含有させることができる。
耐摩耗フィラーは、得られる化粧板に高耐摩耗性を付与するために用いられるフィラーであって、耐摩耗性を有するフィラーであればよく、特に制限はないが、アルミナ粒子が好適である。この耐摩耗フィラーの平均粒径は、通常1〜50μm程度、好ましくは5〜30μm、また、耐摩耗フィラーの含有量は、電離放射線硬化型樹脂組成物の全固形分量に基づき、通常2〜70質量%程度、好ましくは2〜50質量%、より好ましくは2〜30質量%である。
また、低艶形成フィラーは、得られる化粧板にマット調(艶消し調)を付与するために用いられるフィラーであり、例えば、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、アルミノシリケート、硫酸バリウムなどの無機物、アクリル樹脂、ポリエチレン、ウレタン樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド(ナイロン)などの有機高分子などからなる粒子が用いられる。これらのうち、取り扱いが容易で、かつ安価なシリカが好適である。
この低艶形成フィラーの平均粒径は、通常0.1〜50μm程度、好ましくは1〜30μm、より好ましくは1〜20μmである。また、低艶形成フィラーの含有量は、電離放射線硬化型樹脂組成物の全固形分量に基づき、通常2〜70質量%程度、好ましくは2〜50質量%、より好ましくは2〜30質量%である。
さらに、当該電離放射線硬化型樹脂組成物には、得られる化粧板の耐擦傷性を向上させるため、必要に応じ耐傷フィラーを含有させることができる。耐傷フィラーとしては、上記効果を奏するものであれば特に制限はないが、本発明では、カオリナイトなどが好適に用いられる。
また、電離放射線硬化型樹脂組成物には、後述の賦型シートとの離型性を向上させるために、シリコーンを含有させることもできる。
さらには、得られる化粧板に耐候性を付与するため、必要に応じて、紫外線吸収剤(UVA)及び/又はヒンダードアミン系の光安定剤(HALS)を含有させることもできる。
<表面保護層の形成>
当該化粧板における表面保護層は、前述した電離放射線硬化型樹脂組成物層に、電離放射線、好ましくは電子線を照射して、該樹脂組成物層を架橋、硬化することにより、形成することができる。
この表面保護層の形成については、後述する化粧板の製造方法において詳述する。
(賦型シート)
当該化粧板においては、前記表面保護層上に、該保護層表面に所定形状の賦型を施すために用いられる賦型シートを有していてもよい。
この賦型シートとしては、通常、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルシート、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィンシートなどのプラスチックシートに、シリコーン樹脂などの剥離剤を塗布し剥離層を設けたものなどが挙げられる。この賦型シートの厚さについては特に制限はないが、通常12〜200μm程度である。
この賦型シートは、剥離層面が所望により、鏡面仕様であってもよいし、マット仕様やエンボスタイプ(木目、抽象柄などの意匠)などの所定の凹凸を形成してなるものであってもよい。
(反り防止機能層)
当該化粧板においては、基材の表面保護層とは反対面に、反り防止機能層を設けることができる。
反り防止機能層としては、化粧板において、基材の表裏面における温度、湿度等の外部環境条件の違いにより反りを生じる虞がある基材の場合には、例えば防湿紙又は防湿樹脂シートを設けることができる。
防湿紙及び防湿樹脂シートは、基材が湿気と接触するのを抑え、反りを防止する機能を有するものであれば特に制限はなく、例えば、防湿紙としては、合成ゴム系ラテックスとワックス系エマルジョンを混合した塗工液を塗工した紙、ポリエチレンフィルムを2枚の紙で挟み込んだポリサンド紙などが挙げられる。また、防湿樹脂シートとしては、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイミド、ポリウレタン、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂等の非ハロゲン系熱可塑性樹脂からなるシートが挙げられる。
また、温度等の環境条件の変化により反りが生ずる虞はないが、水滴の付着による吸水で反りが生ずる虞がある基材の場合には、防水塗料を用いて形成された塗工層を、反り防止機能層として設けることが好ましい。ここで、防水塗料としては、例えば、アクリル樹脂塗料、アクリルウレタン樹脂塗料、エポキシ樹脂塗料等を採用することができる。
図1は、本発明の化粧板の層構成の一例を示す断面模式図であり、図2は、本発明の化粧板の層構成の別の例を示す断面模式図である。
図1における化粧板10は、基材1上に、接着剤層2、無シーラー処理原紙3及び隠蔽性顔料を含む電離放射線硬化型樹脂組成物の硬化物層(表面保護層)4を順に有する構成である。
一方、図2における化粧板15は、前記図1の構成における隠蔽性顔料を含む電離放射線硬化型樹脂組成物の硬化物層(表面保護層)4上に、さらに賦型シート5を有する構成である。
このような構成の本発明の化粧板は、高強度かつ環境配慮型である上、耐薬品性及び耐汚染性を有すると共に、高隠蔽性及び高平滑性を合わせもつなどの好ましい性状を有しており、特に垂直面や水平面使用の建築材用化粧板として好適である。
次に、化粧板の製造方法について説明する。
[化粧板の製造方法]
化粧板の本発明の製造方法(以下、単に「本発明の製造方法」と称することがある。)は、下記の(a)工程、(b)工程及び(c)工程を含み、少なくとも基材/接着剤層/無シーラー処理原紙/表面保護層/賦型シートからなる層構成を有することを特徴とする化粧板の製造方法である。
((a)工程)
本発明の製造方法における(a)工程は、基材の一方の面に、接着剤層を介して無シーラー処理原紙を貼付する工程である。
当該(a)工程における基材、無シーラー処理原紙、接着剤層については前述した本発明の化粧板の説明において示したとおりである。
((b)工程)
本発明の製造方法における(b)工程は、賦型シートの剥離層上に、隠蔽性顔料を含む電離放射線硬化型樹脂組成物の層を設け、電離放射線硬化型シートを形成する工程である。
当該(b)工程における賦型シート、隠蔽性顔料、電離放射線硬化型樹脂組成物については、前述した本発明の化粧板の説明において示したとおりである。
当該(b)工程においては、賦型シートの剥離層面に、前述した電離放射線硬化型樹脂組成物を、グラビア印刷やロールコートなどの公知の塗工手段により塗工し、硬化厚さが、通常1〜200μm程度、好ましくは1〜100μm程度、さらに好ましくは10〜80μm程度の電離放射線硬化型樹脂組成物の層を設けることにより、電離放射線硬化型シートを形成する。
((c)工程)
本発明の製造方法における(c)工程は、前記(a)工程で得られた基材上の無シーラー処理原紙と、前記(b)工程で得られた電離放射線硬化型シートとを、その電離放射線硬化型樹脂組成物の層と前記無シーラー処理原紙とを対面させてラミネートしたのち、電離放射線を照射して、前記電離放射線硬化型樹脂組成物の層を硬化させ、無シーラー処理原紙上に表面保護層を形成させる工程である。
(電離放射線の照射)
電離放射線としては、通常電子線や紫外線などが用いられるが、本発明においては、電子線を用いることが好ましい。電離放射線として電子線を用いる場合、その加速電圧については、用いる樹脂や層の厚さに応じて適宜選定し得るが、通常加速電圧70〜300kV程度で電離放射線硬化性樹脂組成物の層を硬化させることが好ましい。
また、照射線量は、樹脂層の架橋密度が飽和する量が好ましく、通常5〜300kGy(0.5〜30Mrad)、好ましくは10〜200kGy(1〜20Mrad)の範囲で選定される。
さらに、電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型などの各種電子線加速器を用いることができる。
電離放射線として紫外線を用いる場合には、波長190〜380nmの紫外線を含むものを照射する。紫外線源としては特に制限はなく、例えば高圧水銀燈、低圧水銀燈、メタルハライドランプ、カーボンアーク燈などが用いられる。
このようにして、少なくとも基材/接着剤層/無シーラー処理原紙/表面保護層/賦型シートからなる層構成を有する化粧板が得られる。
((d)工程)
本発明の製造方法においては、さらに(d)工程として、賦型シートを剥離する工程を設けることができる。
これにより、基材/接着剤層/無シーラー処理原紙/保護層からなる層構成を有する化粧板が得られる。
((e)工程)
本発明の製造方法においては、さらに(e)工程として、基材の他方の面に、反り防止機能層を設けることができる。
該反り防止機能層については、前述した本発明の化粧板の説明において示したとおりである。
次に、化粧板の具体的な本発明の製造方法について、添付図面に従って説明する。
図3は、化粧板の本発明の製造方法における一例の製造工程図であって、工程1〜工程4から構成されている。
工程1は、基材1の一方の面に、接着剤層2を介して無シーラー処理原紙3を貼付して化粧板用原板(A)を形成する工程である。なお、化粧板用原板(A)における基材1の他方の面には、必要に応じ反り防止機能層を設けることができる。
工程2は、賦型シート5の剥離層上に電離放射線硬化型、好ましくは電子線硬化型樹脂組成物の層4を設け、電離放射線硬化型シート(B)を形成する工程である。
工程3は、工程1で得られた化粧板用原板(A)と、工程2で得られた電離放射線硬化型シート(B)とを、それぞれ無シーラー処理原紙3と、樹脂組成物層4とを対面させてラミネートしたのち、電離放射線、好ましくは電子線を照射して、前記樹脂組成物層を硬化させ、無シーラー処理原紙上に保護層4を形成させて、基材1上に、接着剤層2、無シーラー処理原紙3、保護層4及び賦型シート5が順に積層された構成からなる化粧板(C)を形成させる工程である。さらに必要に応じて、工程4として、該化粧板(C)における賦型シート5を剥離して、基材1上に、接着剤層2、無シーラー処理原紙3及び保護層4が順に積層された構成からなる化粧板(D)を形成する工程である。
このようにして、本発明の方法で形成された化粧板(C)及び(D)は、従来行われている、化粧板用原板の原紙上に、直接電離放射線硬化型樹脂組成物層を設け、電離放射線を照射して、該樹脂組成物層を硬化させて保護層を形成させるのではなく、賦型シート上に前記樹脂組成物層を設けたものを化粧板用原板の原紙上にラミネートし、これに電離放射線を照射して、該樹脂組成物層を硬化させて、化粧板用原板の原紙上に保護層を形成させる転写法を採用しているため、該樹脂組成物の塗工量が少なくてすみ、かつ塗工量のばらつきが小さく、しかも該樹脂組成物層の硬化収縮による反りや割れなどを防止し得るので、本発明の製造方法は、特に上記硬化収縮による反りや割れが生じやすい薄厚化粧板の作製に、好適に適用することができる。
また、賦型シートの剥離層面の状態をコントロールすることにより、保護層の表面状態、例えば、鏡面仕様、マット仕様、木目、抽象柄など、を自由に制御することが可能である。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、この実施例により、なんら限定されるものではない。
なお、各例で得られた化粧板の意匠性及び物性は、下記のようにして評価した。
<意匠性>
(1)隠蔽性
下地の木質基材が隠れるかを目視で評価した。評価基準は以下の通りである。
◎;基材が完全に隠れる
○;基材がやや透けて見えるが、目立たない程度である。
-;基材が透けて見えるのが、わずかに認識できる。
△〜○;基材が透けて見えるのが、やや認識できる。
△;基材が透けて見えるのが、認識できる。
×〜△;基材が透けて見えるのが、はっきりと認識できる。
×;基材がほぼ完全に透けて見える。
(2)白色度
コニカミノルタ(株)製分光測色計「CM−3700D」を用いて、D65光源にて白色度(L値)を測定し、評価した。評価基準は以下の通りである。
◎;L値 95以上
○;L値 93以上〜95未満
-;L値 91以上〜93未満
△;L値 90以上〜91未満
×〜△;L値 85以上〜90未満
×;L値 85未満
(3)染み込みムラ
樹脂の基材への染み込みムラを目視で評価した。
◎;染み込みムラがなく、表面が平滑であった。
○;染み込みムラ起因の凹凸が微かに見えた。
-;染み込みムラ起因の凹凸がやや認識できた。
△;染み込みムラ起因の凹凸が認識できた。
<物性>
(4)耐傷付き性
スチールウール(ボンスター#0000)を用いて、サンプル表層に300g/cm2の荷重をかけて5往復擦り、外観を目視で評価した。評価基準は以下の通りである。
○;外観にほとんど変化がなかった。
×;外観に傷つきがあり、艶変化があった。
(5)鉛筆硬度
JIS K5600−5−4に準拠した「引っかき硬度(鉛筆法)試験」を500g荷重で行い、試験後の外観を下記の基準で評価した。
+;2Hの硬度で試験を行い、外観変化がほとんどなかった。
○;Hの硬度で試験を行い、外観変化がほとんどなかった。
-;Hの硬度で試験を行い、塗膜傷もしくは凹みが微かに発生した
△〜○;Hの硬度で試験を行い、塗膜傷もしくは凹みが発生した
△;Fの硬度で試験を行い、塗膜傷もしくは凹みが発生した。
(6)耐薬品性
化粧板表面に1%水酸化ナトリウム、1%塩酸水溶液、10%アンモニア水をそれぞれ滴下後、時計皿で覆った。24時間経過後に薬品を水で拭き取り、さらに24時間放置した。放置後の化粧板表面の膨れ、艶変化等の外観を下記の基準で評価した。
+;外観変化はなかった。
○;外観変化はほとんどなかった。
-;膨れもしくは艶変化等の外観変化がわずかに生じた。
△〜○;膨れもしくは艶変化等の外観変化が生じた。
△;著しい膨れもしくは艶変化等の外観変化が生じた。
(7)耐汚染性
化粧板表面を赤クレヨン、靴墨、染料、2%マーキュロクロムにてそれぞれ汚染した後、時計皿で覆った。24時間経過後に汚染物を水、中性洗剤、エタノールでそれぞれ拭き取り、さらに24時間放置した。放置後の化粧板表面の汚染残り、膨れ、艶変化等の外観を下記の基準で評価した。
+;外観変化はなかった。
○;外観変化はほとんどなかった。
-;汚染残り、膨れ、もしくは艶変化等の外観変化がわずかに生じた。
△〜○;汚染残り、膨れ、もしくは艶変化等の外観変化が生じた。
△;著しい汚染残り、膨れ、もしくは艶変化等の外観変化が生じた。
(8)耐光性
実施例及び比較例で得られたサンプルを、岩崎電気(株)製「アイス−パーUVテスタ−」にセットし、ライト条件(照度:60mW/cm2、ブラックパネル温度63℃、層内湿度50%RH)で48時間試験後、25℃、50%RHの条件下で2日間保持してから、化粧板表面の変色やクラックなどの外観を下記の基準で評価した。
◎;外観変化は全くなかった。
○;外観変化はほとんどなかった。
-;外観変化は若干あるが、実用上問題なかった。
△;認識できる外観変化が生じた。
×;外観変化が著しかった。
また、各例における材料として、下記に示すものを用いた。
・基材:厚さ3mmの木質合板
・接着剤:酢酸ビニル系接着剤[アイカ工業(株)製、商品名「アイカエコエコボンド」]
・原紙:
厚さ30g/m2の平滑処理白薄紙(原紙A)
厚さ60g/m2の平滑処理白薄紙(原紙B)
厚さ60g/m2の白チタン紙(原紙C)
厚さ80g/m2の白チタン紙(原紙D)
・シーラー:2液硬化型アクリル系樹脂塗料[(株)昭和インク工業所製、商品名「FW(NT)」]
・EB樹脂:4官能モノマーと、3官能モノマーの混合樹脂[大日精化工業(株)製、商品名「REB−M700」]
・熱硬化性樹脂:ポリエステル系熱硬化性樹脂[日本合成化学(株)社製、商品名「ニチゴーポリエスター」]
・賦型シート:厚さ25μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム[三菱樹脂(株)製、商品名「E−130]
実施例1
(1)化粧板用原板の作製
厚さ2.5mmの木質合板の一方の面に、酢酸ビニル系接着剤を用いて厚さ60μmの接着剤層を形成し、その上に平滑処理白薄紙(原紙A:坪量30g/m2)を貼付し、化粧板用原板を作製した。
(2)電子線硬化型シートの作製
EB樹脂100質量部に、隠蔽性顔料の酸化チタン35質量部を加え、酸化チタン含有EB樹脂を調製した。
厚さ25μmの賦型シート上に、硬化厚さが60μmになるように、上記酸化チタン含有EB樹脂をロールコート法にて塗工し、電子線硬化型シートを作製した。
(3)化粧板の作製
前記(1)で得た化粧板用原板と、前記(2)で得た電子線硬化型シートとを、それぞれ原紙Aと、酸化チタン含有EB樹脂層とを対面させてラミネートしたのち、加速電圧200kV、照射線量50kGy(5Mrad)の電子線を照射して、EB樹脂層を硬化させて、表面保護層を形成した。次いで、賦型シートを剥離することにより、図1で示される構成である、基材/接着剤層/無シーラー処理原紙/表面保護層の構成からなる化粧板を得た。
この化粧板の意匠性及び物性の評価結果を第1表に示す。
実施例2〜4
実施例1において、原紙Aの代わりに、原紙B(実施例2)、原紙C(実施例3)及び原紙D(実施例4)を用いた以外は、実施例1と同様な操作を行い、4種の化粧板を作製した。
この4種の化粧板の意匠性及び物性評価結果を第1表に示す。
実施例5及び6
実施例1において、原紙Aの代わりに、原紙Bを用い、かつEB樹脂100質量部に対して、酸化チタン15質量部(実施例5)及び70質量部(実施例6)を用いたこと以外は、実施例1と同様な操作を行い、2種の化粧板を作製した。
この2種の化粧板の意匠性及び物性評価結果を第1表に示す。
実施例7
実施例1において、隠蔽性顔料として酸化チタンに代えて、アルミペースト15質量部を用いたこと以外は、実施例1と同様な操作を行い、化粧板を作製した。
比較例1
実施例1において、酸化チタンをEB樹脂に加えなかったこと以外は、実施例1と同様な操作を行い、化粧板を作製した。
この化粧板の意匠性及び物性の評価結果を第1表に示す。
比較例2〜4
実施例2〜4において、それぞれ酸化チタンをEB樹脂に加えなかったこと以外は、実施例2〜4とそれぞれ同様な操作を行い、3種の化粧板を作製した。
この3種の化粧板の意匠性及び物性の評価結果を第1表に示す。
比較例5
(1)化粧板用原板の作製
厚さ3mmの木質合板の一方の面に、酢酸ビニル系接着剤を用いて厚さ60μmの接着剤層を形成し、その上に白チタン紙(原紙D:坪量80g/m2)を貼付し、化粧板用原板を作製した。
(2)熱硬化型シートの作製
ポリエステル系熱硬化性樹脂100質量部に隠蔽性顔料の酸化チタン35質量部を加え、酸化チタン含有熱硬化性樹脂を調製した。
厚さ25μmの賦型シート上に、硬化厚さが60μmになるように、上記酸化チタン含有熱硬化性樹脂をロールコート法にて塗工し、熱硬化型シートを作製した。
(3)化粧板の作製
前記(1)で得た化粧板用原板と、前記(2)で得た熱硬化型シートとを、それぞれ原紙Dと、酸化チタン含有熱硬化性樹脂層とを対面させてラミネートしたのち、常温にて48時間養生して、前記熱硬化性樹脂層を硬化させて、表面保護層を形成し、次いで賦型シートを剥離することにより、化粧板を得た。
この化粧板の意匠性及び物性の評価結果を第1表に示す。
比較例6
比較例5において、酸化チタンをポリエステル系熱硬化性樹脂に加えなかったこと以外は、比較例5と同様な操作を行い、化粧板を作製した。
この化粧板の意匠性及び物性の評価結果を第1表に示す。
比較例7
(1)化粧板用原板の作製
厚さ3mmの木質合板の一方の面に、酢酸ビニル系接着剤を用いて厚さ5μmの接着剤層を形成し、その上に平滑処理白薄紙(原紙B:坪量60g/m2)を貼付したのち、熱硬化性シーラーとして、2液硬化型アクリル系樹脂塗料を、硬化時の塗布量が60〜80g/m2になるようにロールコート法で塗布し、次いで100℃、0.5MPaの荷重下で1分間熱プレス処理して、基材/接着剤層/白薄紙/熱硬化シーラー層の構成からなる化粧板用原板を作製した。
(2)電子線硬化型シートの作製
EB樹脂100質量部に、隠蔽性顔料の酸化チタン35質量部を加え、酸化チタン含有EB樹脂を調製した。
厚さ25μmの賦型シート上に、硬化厚さが30μmになるように、上記酸化チタン含有EB樹脂をロールコート法にて塗工し、電子線硬化型シートを作製した。
(3)化粧板の作製
前記(1)で得た化粧板用原板と、前記(2)で得た電子線硬化型シートとを、それぞれ原紙Bと、酸化チタン含有EB樹脂層とを対面させてラミネートしたのち、加速電圧200kV、照射線量50kGy(5Mrad)の電子線を照射して、EB樹脂層を硬化させて、表面保護層を形成した。次いで、賦型シートを剥離することにより、基材/接着剤層/白薄紙/熱硬化シーラー層/表面保護層の構成からなる化粧板を得た。
この化粧板の意匠性及び物性の評価結果を第1表に示す。
Figure 2012210738
第1表から、次のことが分かる。
実施例1〜4は、原紙の種類を変えた以外は、他の条件は同じであり、意匠性、物性の各項目の評価は、いずれも合格であるが、実施例1及び2は原紙として、平滑処理されてなる白薄紙を使用し、実施例3及び4は、原紙として白チタン紙を使用しているため、隠蔽性及び白色度については実施例3、4の方が、実施例1、2よりも優れており、一方染み込みムラについては、実施例1、2の方が、実施例3、4よりも優れている。
また、実施例2と実施例5、6を比べた場合、実施例5は表面保護層中の隠蔽性顔料である酸化チタンの含有量が少ないことから、鉛筆硬度、耐薬品性及び耐汚染性が、実施例2より良好である。一方実施例6は、表面保護層中の酸化チタンの含有量が多いことから、隠蔽性、白色度及び耐光性は、実施例2よりも優れているが、鉛筆硬度、耐薬品性及び耐汚染性は、実施例2よりも劣る。
比較例1〜4は、それぞれ実施例1〜4に対応するが、いずれも表面保護層中に、隠蔽性顔料の酸化チタンが含まれていないために、隠蔽性、白色度、染み込みムラ及び耐光性のいずれか1つ以上が不合格である。
比較例5及び6と実施例4を比較した場合、比較例5及び6は、硬化性樹脂としてEB樹脂ではなく、ポリエステル系熱硬化性樹脂を使用しているため、耐傷付き性、鉛筆硬度、耐薬品性、耐汚染性及び耐光性のいずれも不合格である。また、比較例7と実施例2を比較した場合、比較例7はシーラー処理を行っているために、耐薬品性及び耐汚染性が不合格である。
本発明の化粧板は、高強度かつ環境配慮型である上、耐薬品性及び耐汚染性を有すると共に、高隠蔽性及び高平滑性を合わせもつなどの好ましい性状を有しており、特に垂直面や水平面使用の建築材用化粧板として好適である。
[符号の説明]
1 基材
2 接着剤層
3 無シーラー処理原紙
4 表面保護層
5 賦型シート
10 化粧板
15 化粧板

Claims (7)

  1. 基材の一方の面に、少なくとも接着剤層、原紙及び表面保護層を順に有する化粧板であって、該表面保護層が、隠蔽性顔料を含む電離放射線硬化型樹脂組成物の硬化物層であり、かつ前記原紙が無シーラー処理原紙であることを特徴とする化粧板。
  2. 前記電離放射線硬化型樹脂組成物に含まれる隠蔽性顔料が、酸化チタン系白色顔料及びアルミペーストから選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の化粧板。
  3. 前記電離放射線硬化型樹脂組成物が、さらに耐摩耗フィラー及び低艶形成フィラーから選ばれる少なくとも1種を含む請求項1又は2に記載の化粧板。
  4. 前記無シーラー処理原紙が平滑処理された原紙である請求項1〜3のいずれかに記載の化粧板。
  5. 前記基材の他方の面に、反り防止機能層を有する請求項1〜4のいずれかに記載の化粧板。
  6. (a)基材の一方の面に、接着剤層を介して無シーラー処理原紙を貼付する工程、(b)賦型シートの剥離層上に、隠蔽性顔料を含む電離放射線硬化型樹脂組成物の層を設け、電離放射線硬化型シートを形成する工程、及び(c)前記(a)工程で得られた基材上の無シーラー処理原紙と、前記(b)工程で得られた電離放射線硬化型シートとを、その電離放射線硬化型樹脂組成物の層と前記無シーラー処理原紙とを対面させてラミネートしたのち、電離放射線を照射して、前記電離放射線硬化型樹脂組成物の層を硬化させ、無シーラー処理原紙上に表面保護層を形成させる工程を含み、少なくとも基材/接着剤層/無シーラー処理原紙/表面保護層/賦型シートからなる層構成を有することを特徴とする化粧板の製造方法。
  7. 前記隠蔽性顔料が、酸化チタン系白色顔料及びアルミペーストから選ばれる少なくとも一種である請求項6に記載の化粧板の製造方法。
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