I.定義
本発明の記述において、以下に示されるように定義されることを意図した下記の用語が使用される。
ここにおいて使用される場合、WSX“レセプター”または“WSXレセプターポリペプチド”なる用語は、天然配列のWSXレセプター;WSXレセプター変異体;WSX細胞外領域;及びキメラWSXレセプター(それぞれがここにおいて定義される)を包含する。場合により、WSXレセプターは天然のグリコシル化を含まない。“天然のグリコシル化”は、天然に誘導される哺乳動物細胞内にて産生された場合に、WSXレセプターに共役的に結合する炭水化物残基を指す。従って、非ヒト細胞にて産生されるヒトWSXレセプターは、“天然のグリコシル化を伴わない”WSXレセプターの例である。ある場合には、(例えば、原核性細胞内で組換え的に産生された結果として)WSXレセプターはグリコシル化されていない。
“WSXリガンド”は、天然配列のWSXレセプター(特にWSXレセプター変異体13.2)に結合し、活性化させる分子である。分子のWSXレセプターへの結合能力は、例えば推定されるWSXリガンドの、アッセイプレートに被覆されたWSXレセプターイムノアドヘシンに対する結合能力によって測定されうる(実施例2参照)。チミジン取り込みアッセイは、WSXレセプターを活性化するWSXリガンドのスクリーニング手段を提供する。WSXリガンドの例は、抗−WSXレセプター作動性抗体及びOB蛋白質を含む(例えば、Zhang et al.,Nature 372:425-431(1994)に記述される)。
“OB蛋白質”及び“OB”は、ここにおいて可換的に使用され、天然配列OB蛋白質(“レプチン”としても知られる)及びそれらの機能的誘導体を指す。
“天然配列”のポリペプチドは、天然から誘導されるポリペプチド(例えばWSXレセプターまたはOB蛋白質)と同じアミノ酸配列を有するものである。このような天然配列のポリペプチドは、天然から単離されるか、または組換え若しくは合成手段により生成されうる。而して、天然配列のポリペプチドは、天然に生じるヒトポリペプチド、ネズミポリペプチドまたは何れかの他の哺乳動物種由来のポリペプチドのアミノ酸配列を有しうる。
“天然配列のWSXレセプター”なる用語は、特定的にはWSXレセプターの天然に生じる切断形態、天然に生じる変異形態(例えば、ここに記述されるヒトWSXレセプター変異体6.4、12.1及び13.2等の代替スプライシング形態)及びWSXレセプターの天然に生じる対立遺伝子変異体を包含する。好ましい天然配列のWSXレセプターは、ヒトWSXレセプター変異体6.4、ヒトWSXレセプター変異体12.1またはヒトWSXレセプター変異体13.2(それぞれ図2A−Bに示される)等の成熟天然配列ヒトWSXレセプターである。最も好ましくは成熟ヒトWSXレセプター変異体13.2である。
“天然配列のOB蛋白質”なる用語は、何れかの動物種(例えば、ヒト、ネズミ、ウサギ、ネコ、ウシ、ヒツジ、ニワトリ、ブタ、ウマ等)に由来する天然に生じるOB蛋白質を含む。この定義は、Zhang et al.前出文献のアミノ酸番号付けを使用して、アミノ酸位置49のグルタミンを伴うかあるいは伴わない変異体を特に包含する。“天然配列のOB蛋白質”なる用語は、最初のN−末端メチオニン(Met)を伴うかあるいは伴わず、また天然のシグナル配列を伴うかまたは伴わない単量体または二量体の何れかの形態である天然の蛋白質を含む。この技術において既知の天然配列のヒト及びネズミOB蛋白質は、167アミノ酸長であり、2個の保存されたシステインを含み、分泌蛋白質の特徴を有している。
該蛋白質は高度に親水性であり、予想されるシグナル配列切断部位はZhang et al.前出文献のアミノ酸番号付けを使用して、21位である。ヒト及びネズミ配列の全体配列の相同性は、約84%である。2種の蛋白質は、成熟蛋白質のN−末端領域においてより広範な同等性を示し、シグナル配列切断部位と117位の保存的Cysとの間の残基の間で、わずかに4個の保存的及び3個の非保存的置換を有する。OB蛋白質の分子量は、単量体形態で約16kDである。
“WSXレセプター細胞外領域”(ECD)は、WSXレセプターの膜内外領域及び細胞質領域を実質的に含まず、すなわちこのような領域が1%未満、好ましくはこのような領域が0.5〜0%、更に好ましくはこのような領域が0.1〜0%であるWSXレセプターの形態である。通常は、WSXレセプターECDは、WSXレセプター変異体6.4、12.1及び13.2についての図12A−Bに示されるWSXレセプター変異体のアミノ酸配列と、少なくとも約95%のアミノ酸配列同等性、好ましくは少なくとも約98%、更に好ましくは少なくとも約99%のアミノ酸配列の同等性を持ったアミノ酸配列を有し、而して下記に定義されるWSXレセプター変異体を包含する。
“変異体”ポリペプチドは、天然配列ポリペプチドに対して100%未満の配列同等性を有する下記に定義される生物学的に活性なポリペプチド(例えば、ヒトWSXレセプター変異体13.2についての図1A−Hに示される演繹されたアミノ酸配列を有するWSXレセプター)を意味する。このような変異体は、1個以上のアミノ酸残基が、天然配列のN−末端またはC−末端、あるいは内部に付加されるか;1〜30個のアミノ酸残基が削除され、及び場合により1個以上のアミノ酸残基が置換されたポリペプチド;並びに得られる生成物が天然に生じないアミノ酸を有するようにアミノ酸残基が共有的に修飾された上記ボリペプチドの誘導体を含む。通常は、生物学的に活性なWSXレセプター変異体は、図1A−Hに示されるヒトWSXレセプター変異体13.2に対して少なくとも約90%のアミノ酸配列の同等性、好ましくは少なくとも約95%、更に好ましくは少なくとも約99%の同等性を持ったアミノ酸配列を有するであろう。通常は、生物学的に活性なOB蛋白質変異体は、天然配列のOB蛋白質に対して少なくとも約90%のアミノ酸配列の同等性、好ましくは少なくとも約95%、更に好ましくは少なくとも約99%の同等性を持ったアミノ酸配列を有するであろう。
“キメラ”OB蛋白質またはWSXレセプターは、異種ポリペプチドに融合または結合するOB蛋白質若しくは全長−WSXレセプター、またはその一つ以上の領域(例えば、WSXレセプターの細胞外領域)を含むポリペプチドである。
キメラWSXレセプターは、一般にヒトWSXレセプター変異体13.2と共通する少なくとも一つの生物学的性質を共有するであろう。キメラOB蛋白質は、一般に天然配列のOB蛋白質と共通する少なくとも一つの生物学的性質を共有するであろう。キメラポリペプチドの例は、イムノアドヘシン及びエピトープ標識ポリペプチドを含む。
“WSXイムノアドヘシン”なる用語は、“WSXレセプターイムノグロブリンキメラ”という表現と可換的に使用され、WSXレセプターの部分(一般にはその細胞外領域)をイムノグロブリン配列と組み合わせたキメラ分子を指す。同様に、“OB蛋白質イムノアドヘシン”または“OB−イムノグロブリンキメラ”は、OB蛋白質(またはその部分)をイムノグロブリン配列と組み合わせたキメラ分子を指す。必須ではないが、イムノグロブリン配列は好ましくはイムノグロブリン定常配列である。本発明のキメラにおいてイムノグロブリン残基は、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4サブタイプ、IgA、IgE、IgDまたはIgMから得られてよく、好ましくはIgG1またはIgG3である。
ここにおいて使用される場合“エピトープ標識される”なる用語は、“標識ポリペプチド”に融合されるWSXレセプターまたはOB蛋白質を含むキメラポリペプチドを指す。標識ポリペプチドは、抗体が生じ得る様なエピトープを与えるに充分な残基を有し、しかもWSXレセプターまたはOB蛋白質の生物活性を妨害しない程度に十分短い。標識ポリペプチドは、好ましくはそれに対する抗体が他のエピトープと実質的に交差反応しない程度に十分固有なものでもある。好適な標識ポリペプチドは、一般的には少なくとも6個のアミノ酸残基、通常は8−50個のアミノ酸残基(好ましくは9−30個の残基)を有する。
“単離された”WSXレセプター(またはOB蛋白質)は、WSXレセプター(またはOB蛋白質)供給源から精製されるか、組換えまたは合成方法により調製され、(1)スピニングカップシークェンターまたは本願出願当時において市販されるか、若しくは刊行された方法により修飾される最良の商業的に入手可能なアミノ酸シークェンターを使用して、N−末端または内部アミノ酸配列の少なくとも15個、好ましくは20個のアミノ酸残基を得るか、(2)クーマシーブルーまたは好ましくは銀染色を使用して非還元または還元条件下でのSDS−PAGEによって均質である様な、他のペプチドまたは蛋白質から充分に遊離されたWSXレセプター(またはOB蛋白質)を意味する。ここにおいて均質とは、他の供給源による5%未満の夾雑を意味する。
“本質的に純粋な”蛋白質は、組成物の全重量に基づき蛋白質の重量で少なくとも約90%、好ましくは重量で少なくとも95%を含む組成物を意味する。“本質的に均質な”蛋白質は、組成物の全重量に基づき蛋白質の重量で少なくとも約99%を含む組成物を意味する。
“WSXレセプター”または“単離されたWSXレセプター”の何れかとの関連において使用される場合に“生物学的活性”とは、天然配列WSXレセプター(その天然または変性配位のいずれであろうとも)により直接または間接的に生じるか、または演じられるエフェクターまたは抗原性機能または活性を有することを意味する。エフェクター機能は、リガンド結合;及び細胞の生存、分化及び/または増殖(特には細胞の増殖)の向上を含む。しかしながら、エフェクター機能は、天延配列WSXレセプターに対して生じた抗体との交差反応が可能なエピトープまたは抗原性部位を有することを含まない。
“OB蛋白質”または“単離されたOB蛋白質”の何れかとの関連において使用される場合に、“生物学的活性”とは、天然配列OB蛋白質により直接または間接的に生じるかまたは演じられるエフェクター機能を有することを意味する。
天然配列OB蛋白質のエフェクター機能は、WSXレセプター結合及び活性化;並びにこれらのレセプターを発現する細胞の分化及び/または増殖(例えばチミジン取り込みアッセイにより測定されるように)を含む。“生物学的に活性な”OB蛋白質は、天然配列OB蛋白質の生物学的活性を有するものである。
天然配列OB蛋白質の“機能的誘導体”は、天然配列OB蛋白質と共通する定性的な生物学的性質を有する化合物である。“機能的誘導体”は、限定されるものではないが、それらが対応する天然配列OB蛋白質に共通する生物学的活性を有する限り、天然配列OB蛋白質の断片、天然配列OB蛋白質の誘導体及びそれらの断片を含む。“誘導体”なる用語は、OB蛋白質のアミノ酸変異体及びその共有結合的修飾物の両者を含む。
OB誘導体との関連において使用される“長い半減期”なる句は、対応する天然配列OB蛋白質よりも長い血漿半減期及び/またはより遅い排除期間を有するOB誘導体に関する。長い半減期の誘導体は、好ましくは天然のOB蛋白質より少なくとも1.5倍長い、更に好ましくは天然のOB蛋白質より少なくとも2倍長い、更に好ましくは天然のOB蛋白質より少なくとも3倍長い半減期を有するであろう。天然OB蛋白質は、好ましくは治療されるべき個体のものである。
“抗原性機能”は、天然配列WSXレセプターに対して生じる抗体と交差反応可能なエピトープまたは抗原性部位を有することを意味する。WSXレセプターの基本的抗原性機能は、天然配列WSXレセプターに対して生じた抗体に対して、少なくとも約106L/モルの親和性を持って結合することである。通常は、該ポリペプチドは少なくとも約107L/モルの親和性を持って結合する。“抗原性機能”を定義するために使用した抗体は、フロイント完全アジュバント中にWSXレセプターを製剤化し、該製剤を皮下的に注射し、免疫応答を抗−WSXレセプターまたは抗体の力価がプラトーに達するまで該製剤を腹腔内的に注射することにより追加免疫することにより生じさせたウサギポリクローナル抗体である。
“WSXレセプター”または“単離されたWSXレセプター”との関連において使用される場合に、“生物学的活性”とは、天然配列WSXレセプターのエフェクター機能を示すか、または共有し、かつ(必須ではないにしても)抗原性機能を付加的に有してもよいWSXレセプターポリペプチドを意味する。WSXレセプターの基本的エフェクター機能は、実施例8に記述されるコロニーアッセイにおけるCD34+ヒト臍帯血細胞の増殖を誘導する能力である。
“抗原的に活性な”WSXレセプターは、WSXレセプターの抗原性機能を有し、かつ(必須ではないにしても)エフェクター機能を付加的に有してもよいポリペプチドを意味する。
ここにおいて“アミノ酸配列同等性の百分率”は、配列を整列させ、必要に応じてギャップを導入して配列同等性の百分率を最大にし、かついずれの保存的置換も配列同等性の一部としては考慮せずに、天然配列中の残基と同等な候補配列のアミノ酸残基の百分率として定義される。候補配列のN−末端、C−末端または中間の伸長、削除または挿入は、配列同等性または相同性に影響するものとは解釈されない。
“チミジン取り込みアッセイ”は、WSXレセプターを活性化する分子のスクリーニングに使用され得る。このアッセイを実施するために、IL−3依存性Baf3細胞(Palacios et al.,Cell,41:727-734(1985))が、実施例4に記述されるように天然配列WSXレセプターにより安定的にトランスフェクトされた。こうして生成されたWSXレセプター/Baf3細胞は、5%CO2及び空気中の37℃加湿された培養器内にて、例えば24時間IL−3を与えられない状態にする。IL−3飢餓状態に続いて、細胞を、可能性ある作動剤を含む試験試料(かかる試験試料は場合により希釈される)を含むかまたは含まない96ウエルの培養皿に塗布され、細胞培養機内で24時間培養される。1μCiの3Hチミジンを含む20μlの血清非含有RPMI培地を最後の6−8時間に各ウエルに添加する。次いで、該細胞を96ウエルのフィルタープレートに採集し、水にて洗浄する。次いでフィルターを、例えば、パッカード・トップ・カウント・マイクロプレート・シンチレーション・カウンターを使用して計数する。作動剤は、対照に比較して統計的に有意な3H取り込みの増加(0.05のP値まで)を誘導することが期待される。好ましい作動剤は、対照の少なくとも2倍の3H取り込みの増大を導く。
“単離された”WSXレセプター核酸分子は、同定され、かつ通常、WSXレセプター核酸の天然の供給源に伴う少なくとも1種の夾雑核酸分子から分離された核酸分子である。単離されたWSXレセプター核酸分子は、天然に見出される形態または配置とは別のものである。従って、単離されたWSXレセプター核酸分子は、天然細胞中に存在するWSXレセプター核酸分子とは区別される。しかしながら、WSXレセプター核酸分子は、例えば核酸分子が天然細胞とは異なる染色体位置にある場合にも通常にWSXレセプターを発現する細胞中に含まれるWSXレセプター核酸分子を含む。
“制御配列”なる表現は、特定の宿主中で機能的に連結されたコード配列を発現するために必要なDNA配列を指す。原核生物に好適な制御配列は、例えばプロモータ、場合によりオペレータ配列、リボソーム結合部位及び多分他の未だ十分に理解されていない配列を含む。真核性細胞は、プロモータ、ポリアデニル化シグナル、及びエンハンサーを使用することが知られている。
核酸は、他の核酸配列と機能的に関連して配置される場合に、“機能的に連結されている”。例えば、先行配列または分泌リーダーのDNAは、それがポリぺプチドの分泌に関与する先行蛋白質として発現される場合にボリペプチドのDNAに機能的に連結され;またプロモータ若しくはエンハンサーは、それが配列の転写に影響する場合にコード配列に対して機能的に連結され:またリボソーム結合部位は、それが翻訳を促進するように位置する場合にコード配列に機能的に連結されている。一般的に、“機能的に連結”とは、DNA配列が連続し、分泌リーダーの場合には連続かつ読み取りの位相内に連結されることを意味する。しかしながら、エンハンサーは連続する必要はない。連活は、慣用の制限部位においての連結により達成される。そのような部位が存在しない場合には、合成オリゴヌクレオチドアダプタまたはリンカーが慣用の方法により使用される。
ここにおいて使用されるように、“細胞”、“細胞系”及び“細胞培養物”なる表現は、可換的に使用され、全てのこのような表記は子孫の細胞も含む。従って、“形質転換体”及び“形質転換細胞”の用語は、最初の原因細胞及び形質転換数に関わりなくそれから誘導される培養物を含む。また全ての子孫は、計画的または不慮の変異のためにDNA含量において正確に同等である必要はないものと理解される。元の形質転換細胞についてスクリーニングしたのと同様な機能及び生物学的活性を有する変異子孫細胞が含まれる。別の指定が望まれる場合には内容から明確となるであろう。
”抗体”なる用語は、最も広い意味において使用されており、特定的にはそれらが所望の生物学的活性を有する限りにおいてモノクローナル抗体、ポリエピトープ特異性を持った抗体組成物、2重特異的抗体、ジアボディ、及び単鎖分子、並びに抗体断片(例えば、Fab、F(ab’)2及びFv)を包含する。
ここにおいて使用される“モノクローナル抗体”なる用語は、実質的に均質な抗体、すなわち母集団を含むそれぞれの抗体がわずかに存在してもよい天然に生じ得る変異を除いて同等であるような母集団から得られる抗体を指す。モノクローナル抗体は高度に特異的であり、単一の抗原性部位を指向する。更に、典型的には異なる決定基(エピトープ)に向けられた異なる抗体を含む慣用の(ポリクローナル)抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は抗原上の単一の決定基に向けられている。それらの特異性に加えて、モノクローナル抗体は他のイムノグロブリンで夾雑していないハイブリドーマ培養物により合成される点においても有利である。“モノクローナル”なる修飾語は、実質的に均質な抗体の母集団から得られ、いずれかの特定方法による産生を要求するものとも解されない抗体の特徴を示す。例えば、本発明に従って使用されるべきモノクローナル抗体は、Kohler et al.,Nature 256:495(1975)により最初に記述されたハイブリドーマ法により調製されてよく、あるいは組換えDNA法により調製されてもよい。“モノクローナル抗体”は、例えばClackson et al.,Nature 352:624-628(1991)及びMarks et al.,J.Mol.Biol.222:581-597(1991)に記述される技術を使用してファージ抗体ライブラリーからも単離されうる。
ここにおけるモノクローナル抗体は、特定的には“キメラ”抗体(イムノグロブリン)を含み、その重及び/または軽鎖の一部は特定の種から誘導された抗体の対応する配列に同等、若しくは相同的であるか、または特定の抗体種若しくは亜種に属するものであり、その一方で鎖の残る部分は他の種から誘導された抗体の対応する配列に同等、若しくは相同的であるか、または他の抗体種若しくは亜種に属するものであり、加えて、それらが所望の生物学的活性を示す限りこのような抗体の断片も含む(Cabilly et al.,前出文献;Morrison et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81:6851-6855(1984))。
非ヒト(例えばネズミ)抗体の“ヒト化”形態は、非ヒトイムノグロブリンから誘導された最小の配列を含むキメラ性イムノグロブリン、イムノグロブリン鎖、またはその断片(Fv、Fab、Fab’F(ab’)2若しくは抗体の他の抗原結合配列等)である。ほとんどの部分についてヒト化抗体はヒトイムノグロブリン(受容抗体)であり、そのレセプターの相補性決定領域(CDR)の残基は、所望の特異性、親和性、及び容量を持ったマウス、ラットまたはウサギ等の非ヒト種(提供側抗体)のCDRの残基により置換されている。ある例においては、ヒトイムノグロブリンのFvフレームワーク領域(FR)は、対応する非ヒト残基により置換されている。更に、ヒト化抗体は、受容抗体にも、あるいは導入されるCDRまたはフレームワーク配列にも見出されない残基を含んでもよい。これらの修飾は、抗体の性能を更に洗練させるかまたは最適化させるために行われる。一般的に、ヒト化抗体は実質的に全て、または少なくとも1つ、典型的には2つの可変領域を有し、全てまたは実質的に全てのCDR領域が非ヒトイムノグロブリンのものに対応し、また全てまたは実質的に全てのFR領域がヒトイムノグロブリンのものである。ヒト化抗体は、最適にはイムノグロブリンの定常領域(Fc)、典型的にはヒトイムノグロブリンのものの少なくとも一部をも含んでよい。更に詳細には、Jones et al.,Nature 321:522-525(1986);Reichmann et al.,Nature 332:323-329(1988);及びPresta,Curr.Op.Struct.Biol.2:593-596(1992)参照。ヒト化抗体は、 抗体の抗原結合部位が、マカクザルを興味ある抗原にて免疫して生成された抗体から誘導された、PrimatizedTM抗体を含む。
ここにおいて使用される場合に、“超可変領域”なる用語は、抗原結合について責任を負った抗体のアミノ酸残基を指す。超可変領域は、“相補性決定領域”または“CDR”からのアミノ酸残基(すなわち、軽鎖可変領域における残基24−34(L1)、50−56(L2)及び89−97(L3)並びに重鎖可変領域における31−35(H1)、50−65(H2)及び95−102(H3);Kabat et al.,Sequence of Proteins of Immunological Interest.%th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD.(1991))及び/または“超可変ループ”(すなわち、軽鎖可変領域の残基26−32(L1)、 50−52(L2)及び91−96(L3)並びに重鎖可変領域における26−32(H1)、53−55(H2)及び96−101(H3);Chothia and Lesk J.Mol.Biol.196:901-917(1987))を含む。“フレームワーク”または“FR”残基は、ここに定義される超可変領域の残基以外の可変領域残基である。
“ヒトにおいて非免疫性”とは、生理学的に許容される担体中の治療的に有効量の興味あるポリペプチドを、ヒトの適切な組織に接触させた場合に、適切な潜在期間(例えば8〜14日)の後に、興味あるポリペプチドの第2回の投与において、該興味あるポリペプチドの対して感受性または抵抗性の状態が示されないことを意味する。
“作動性抗体”は、天然配列WSXレセプターを活性化しうる抗体を意味する。ここにおいて特に興味ある作動性抗体は、天然に生じるWSXリガンド、OB蛋白質の生物学的性質の一部またはそれ以上(例えば全て)を模倣するものである。好ましい実施態様において、作動性抗体は、約2のオーダーの強度内、好ましくは約1のオーダーの強度内のOB蛋白質の定量的生物学的性質を有する。作動性抗体はWSXレセプターに結合して活性化し、これによってWSXレセプターを発現する細胞(例えばWSXレセプター変異体13.2)の増殖及び/または分化及び/または成熟及び/または生存を剌激する。本発明のこの実施態様において、作動性抗体は、細胞表面にWSXレセプターを発現する造血性先駆体細胞の増殖及び/または分化を向上する;リンパ性血液細胞系の増殖及び/または分化を向上する;骨髄性血液細胞系の増殖及び/または分化を向上する;及び/または赤血球性血液細胞系の増殖及び/または分化を向上するものであり得る。作動性抗体は、KIRA ELISAにおいてWSXレセプター細胞外領域を有するキメラレセプターに結合して作動的活性を示してもよい。作動性抗体は、シグナルWSXレセプター(上記参照)を使用するチミジン取り込みアッセイにおいて、3H摂取を向上し;肥満動物(例えばob/obマウス)において体重及び/または脂肪蓄積重量及び/または食物摂取を減少させ;脂肪細胞においてCa2+流入に影響を与え;及び/またはOB蛋白質の顆粒のシグナル分子を活性化させ得る。
“中和抗体”は、天然配列WSXレセプターまたはOB蛋白質のエフェクター機能を阻害するかまたは顕著に低減しうるものである。例えば、中和抗体は、チミジン取り込みアッセイまたはKIRA ELISAにおいて測定されるようにWSXリガンドによるWSXレセプター活性化を阻害または低減しうる。
ここにおいて使用されるように、“細胞毒物質”なる用語は、細胞の機能を阻害または妨害し、及び/または細胞の破壊をもたらす物質を指す。該用語は、放射性同位体(例えば、I131、I125、Y90及びRe186)、化学療法剤、細菌、カビ、植物または動物由来の酵素的に活性なトキシン等のトキシンを包含することを意図する。
“化学療法剤”は、腫瘍治療に有用な化学的化合物である。化学療法剤の例は、アドリアマイシン、ドキソルビシン、5−フルオロウラシル、シトシン・アラビノシド(“Ara−C”)、シクロホスファミド、チオテパ、タキソテレ(ドセタキセル)、ブスルファン、サイトキシン、タキソール、メトトレキセート、シスプラチン、メルファラン、ビンブラスチン、ベロマイシン、エトプシド、イフォスファミド、ミトマイシンC、ミトキサントロン、ビンクレスチン、ビノレルビン、カルボプラチン、テニポシド、ダウノマイシン、カルミノマイシン、アミノプテリン、ミトマイシン類、エスプラミシン類(米国特許4,675,187参照)、メルファラン及び他の関連する窒素性マスタード類を含む。
本出願において使用されるように“プロドラッグ”なる用語は、医薬的に活性な物質の前駆体または誘導体形態を指し、親薬剤に比較して腫瘍細胞に対する細胞毒性が低く、酵素的に活性化されるかまたはより活性な親の形態に変換されうる。例えば、Wilman,“Prodrugs in Cancer Chemotherapy”Biochemical Society Transactions,14,pp.375-382,615th Meeting Belfast(1986)及びStellaet al.,“Prodrugs: A Chemical Approach to Targeted Drug Delivery,”Directed Drug Delivery,Borchardt et al.,(ed.),pp.247-267,Human Press(1985)参照。本発明のプロドラッグは、限定されるものではないが、より活性な細胞毒性遊離薬剤に変換され得るリン酸−含有プロドラッグ、チオリン酸−含有プロドラッグ、硫酸−含有プロドラッグ、ペプチド−含有プロドラッグ、D−アミノ酸−修飾プロドラッグ、グリコシル化プロドラッグ、β−ラクタム−含有プロドラッグ、場合により置換されるフェノキシアセタミド−含有プロドラッグ、場合により置換されるフェニル−含有プロドラッグ、5−フルオロシトシン及び5−フルオロウリジンプロドラッグを含む。本発明において使用するためにプロドラッグの形態に誘導されうる細胞毒性薬剤の例は、限定されるものではないか、上記の化学療法剤を含む。
WSXレセプター及び/またはOB蛋白質の“拮抗剤”は、WSXレセプターまたはOB蛋白質の結合及び/または活性化を阻止または妨害する分子である。
このような分子は、例えば、ここに開示されるチミジン取り込みアッセイにおいて、OB蛋白質によるWSXレセプターの活性化を競合的に阻害する能力についてスクリーニングされうる。このような分子の例は:WSXレセプターECD;WSXレセプターイムノアドヘシン;WSXレセプターまたはOB蛋白質に対する中和抗体;低分子及びペプチド拮抗剤:及びWSXレセプターまたはob遺伝子に対するアンチセンスヌクレオチドを含む。
“細胞増殖を向上”なる句は、インビトロまたはインビボの何れかにおいて、非処理細胞に比較して細胞の生育及び/または再生の程度を増大する工程を包含する。細胞培養物中における細胞増殖の増加は、興味ある分子に対する暴露の前後における細胞数の計数により検出されうる。増殖の程度は、密集の程度の顕微鏡的検査により定量化されうる。細胞増殖は、ここに記述されるチミジン取り込みアッセイを使用しても定量化されうる。
“細胞分化を向上”とは、元の細胞とは異なる1種以上の特徴または機能の獲得または所有の程度の増加作用を意味する(細胞の特化)。これは細胞のフェノタイプにおける変化のスクリーニングにより検出されうる(例えば、細胞の形態学的変化を同定する)。
“造血性先駆体細胞”または“初原的造血性細胞”は、より専心的または成熟した細胞型を形成するように分化可能なものである。
“リンパ性血液細胞系”は、リンパ細胞(B−細胞またはT−細胞)を形成するように分化可能な造血性先駆体細胞である。同様に、“リンパ形成”は、リンパ細胞形成である。
“赤血球細胞系”は、赤血球細胞(赤血球)を形成するように分化可能な造血性先駆体細胞であり、“赤血球形成”は、赤血球の形成である。
ここにおける目的について“骨髄性血液細胞系”なる句は、上記に定義されるリンパ性及び赤血球性血液細胞系以外の全ての造血性先駆体細胞を包含し、“骨髄形成”は、血液細胞(リンパ細胞及び赤血球細胞を除く)の形成に関与する。
“CD34+細胞母集団”は、造血性幹細胞について富裕化されている。CD34+細胞母集団は、例えば臍帯血または骨髄から得られる。ヒト臍帯血CD34+細胞は、Miltenyi(カリフォルニア)により販売される免疫磁性ビーズを、製造者の指示に従って使用して選択されうる。
“生理学的に許容される”担体、賦形剤、または安定化剤は、採用される投与量または濃度においてそれに曝される細胞または哺乳類に対して非毒性のものである。しばしば、生理学的に許容される担体は、水性pH緩衝溶液である。生理学的に許容される担体の例は、リン酸塩、クエン酸塩及び他の有機酸等の緩衝剤;アスコルビン酸を含む抗酸化剤;低分子量(約10残基未満)のポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチンまたはイムノグロブリン等の蛋白質;ポリビニルピロリドン等の親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニンまたはリジン等のアミノ酸;グルコース、マンノース、またはデキストリン等を含むモノサッカライド、ジサッカライド及び他の炭水化物;EDTA等のキレート剤;マンニトールまたはソルビトール等の糖アルコール;ナトリウム等の塩形成対イオン;及び/またはTween、Pluronicsまたはポリエチレングリコール(PEG)等の非イオン性界面活性剤を含む。
ここにおいて使用される“救出レセプター結合エピトープ”なる用語は、IgG分子のインビボにおける半減期を増大させるIgG分子(例えば、IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4)のFc領域のエピトープを指す。例示的救出レセプター結合エピトープ配列は、HQNLSDGK(配列番号:39)、HQNISDGK(配列番号:40)、HQSLGTQ(配列番号:41),VISSHLGQ(配列番号:42)及びPKNSSMISNTP(配列番号:43)
を含む。
“サイトカイン”なる用語は、細胞間媒体として他の細胞に作用するある細胞母集団から放出される蛋白質についての一般的用語である。このようなサイトカインの例は、リンホカイン類、モノカイン類、及び伝統的ポリペプチドホルモン類である。サイトカインの内に含まれるものは、OB蛋白質;ヒト成長ホルモン、N−メチオニルヒト成長ホルモン、及びウシ成長ホルモン等の成長ホルモン類;副甲状腺ホルモン;チロキシン;インスリン;プロインスリン;リラキシン;プロリラキシン;卵胞剌激ホルモン(FSH)、甲状腺剌激ホルモン(TSH)、黄体形成ホルモン(LH)等の糖蛋白ホルモン類;肝細胞成長因子;線維芽細胞成長因子;プロラクチン;胎盤性ラクトゲン;腫瘍壊死因子−α及び−β;ミュラー阻害物質;マウスゴナドトロピン−会合ペプチド;インヒビン;アクチビン;血管内皮成長因子;インテグリン;トロンボポイエチン(TPO);NGF−β等の神経成長因子;血小板成長因子;TGF−α及びTGF−β等のトランスフォーミング成長因子(TGF);インスリン様成長因子−I及び−II;エリスロポイエチン(EPO);骨誘導因子;インターフェロン−α、−β及びーγ等のインターフェロン;マクロファージ−CSF(M−CSF)、顆粒球−マクロファージ−CSF(GM−CSF)及び顆粒球−CSF(G−CSF)等のコロニー刺激因子(CSF);IL−1、IL−1α、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−11、IL−12等のインターロイキン(IL);並びに白血病阻害因子(LIF)及びキットリガンド(KL)等を含む他のポリペプチド因子等である。ここにおいて使用されるように、サイトカインなる用語は天然供給源由来または、組換え細胞培養物由来の蛋白質、及び天然配列サイトカインの生物学的活性同等物を含む。
“細胞系特異的サイトカイン”は、造血性のカスケードの比較的特化した細胞に作用し、単一系統の血液細胞における展開を生じる。このようなサイトカインの例は、EPO、TPO及びG−CSFを含む。
“処置”は、治療的処置及び予防的または防止手段の両者を指す。処置を必要とするものは、すでに疾患を有するもの並びに疾患が防止されなければならないものを含む。
“肥満”なる用語は、過剰な体脂肪を伴った過剰重量の症状を指す。ある個人の望ましい体重は、性、身長、年齢、全体型等を含む多くの因子に依存する。所定の個人の最適体重の決定は、通常の医師の技術範囲に充分にある。
治療のための“哨乳動物”は、ヒト、イヌ、ウマ、ネコ、ウシ等の家庭及び農場の動物、及び動物園、スポーツまたはペット用の動物を含む哺乳類に分類される何れかの動物を指す。好ましくは哺乳動物はヒトである。
“固相”とは、興味ある試薬(例えばWSXレセプターまたはそれに対する抗体)か付着しうる非−水性担体を意味する。固相の例は、ガラス(調節された多孔質ガラス)、ポリサッカライド(例えば、アガロース)、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ポリビニルアルコール及びシリコーンにより部分的または全体が形成されるものを含む。ある実施態様において、内容に依存するが、固相はアッセイプレートのウエルを含むことが出来、他の態様ではそれは精製カラム(例えば、アフィニティクロマトグラフィーカラム)である。この用語は、米国特許第4,275,149号に記述されるような、分散的粒子の非連続的固相も含む。
II.発明実施の態様
本発明はWSXレセプターの発見に基づく。ここに記述される実験は、この分子が、造血性細胞の増殖及び/または分化の向上に役割を演じると思われるサイトカインレセプターであることを例示している。特に、このレセプターは、富裕化したヒト幹細胞母集団に存在することが見出されており、而して作動性抗体等のWSXリガンドが、造血性幹細胞/先駆体細胞の増殖刺激に使用され得ることを示している。このレセプターの他の用途は、以下の検討から明らかになろう。
記述は、WSXレセプターまたはOB蛋白質が如何にして調製されるかについて続けられる。
a.WSXレセプターまたはOB蛋白質の調製
WSXレセプターまたはOB蛋白質の産生に好適な技術は、この分野で周知であり、該ポリペプチドの内因性供給源、ペプチド合成(ペプチド合成装置を使用して)及び組換え技術(またはこれらの技術の組み合わせ)から、WSXレセプターまたはOB蛋白質を単離することを含む。WSXレセプターまたはOB蛋白質の産生のための好適な技術は、如何に記述されるように組換え技術である。
下記の検討のほとんどは、WSXレセプターまたはOB蛋白質核酸を含むベクターにより形質転換された細胞の培養、及び該細胞培養物からのポリペプチドの回収によるWSXレセプターまたはOB蛋白質の組換え産生に関連する。本発明のWSXレセプターまたはOB蛋白質が、1991年5月16日発行のWO91/06667に示されるように相同的組換えによって産生されることも、更に想像される。
略述すれば、この方法は、WSXレセプターまたはOB蛋白質−コード遺伝子を含む一次ヒト細胞を、増幅可能な遺伝子(ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)または下記に議論される他のもの)及びWSXレセプターまたはOB蛋白質遺伝子のコード領域の遺伝子座におけるDNA配列に相同性の少なくとも150bpの長さの少なくとも1個のフランキング領域を含む構築物(すなわちベクター)により形質転換し、WSXレセプターまたはOB蛋白質遺伝子の増幅を与えることを含む。増幅可能な遺伝子は、WSXレセプターまたはOB蛋白質遺伝子の発現を妨害しない部位でなければならない。形質転換は、構築物が一次細胞のゲノムに相同的に組み込まれて、増幅可能領域を定義するように実施される。
次いで、構築物を含む一次細胞は、増幅可能な遺伝子または構築物内の他のマーカーによって選択される。マーカー遺伝子の存在は、該構築物の宿主ゲノム中の存在及び組み込みを立証する。選択が二次宿主において行われるため、一次細胞の更なる選択は必要とされない。所望により、相同的組換えの事象の発生は、PCRの採用、及び、正しい相同的組み込みによるDNAが存在し、そのような断片を含む細胞のみが増加した場合における、得られた増幅DNA配列の配列決定または適切な長さのPCR断片の測定の何れかにより決定されうる。また、所望により、この時点において選択された細胞は、該細胞を適当な増幅試薬(増幅可能な遺伝子がDHFRの場合にはメトレキセート)により圧力をかけて増幅し、標的遺伝子の複数コピーを得ることもできる。しかしながら、好ましくは増幅工程は、下記の第二の形質転換の後まで行われない。
選択工程の後に、増幅可能領域の全体を含むように十分大きいゲノムのDNA部分が、選択された一次細胞から単離される。次いで、第二の哺乳動物発現宿主細胞が、これらのケノム性DNA部分により形質転換され、またクローニングされ、増幅可能領域を含むクローンが選択される。次いで、一次細胞において既に増幅されていない場合に、増幅可能領域が増幅試薬によって増幅される。再左右的に第二の発現宿主細胞は、この時点でWSXレセプターまたはOB蛋白質を含む増幅可能領域の複数コピーを含み、該遺伝子を発現し、該蛋白質が産生されるように生育される。
i.WSXレセプターまたはOB蛋白質をコードする遺伝子の単離
WSXレセプターまたはOB蛋白質をコードするDNAは、WSXレセプターまたはOB蛋白質mRNAを有し、かつそれを検出可能な水準で発現すると考えられる組織から調製されるcDNAライブラリーから得ることが出来る。従って、WSXレセプターまたはOB蛋白質DNAは、哺乳動物胎児性肝臓から調製されたcDNAライブラリーから都合よく得られうる。WSXレセプターまたはOB蛋白質−コード遺伝子は、ゲノムライブラリーまたはオリゴヌクレオチド合成からも得られ得る。
ライブラリーは、興味ある遺伝子またはそれによりコードされる蛋白質を同定すべく設計されたブローブ(WSXレセプターまたはOB蛋白質に対する抗体または約20−80塩基のオリゴヌクレオチド)を用いてスクリーニングされる。
cDNAまたはケノムライブラリーの選択されたプローブを用いるスクリーニングは、Sambrook et al.,Molecular Cloning: A Laboratory Manual(New York:Cold Spring Harbor Laboratory Press)の10−12章に記述される標準的方法を使用して行われうる。WSXレセプターまたはOB蛋白質をコードする遺伝子を単離するための別の手段は、Sambrook et al.,前出文献の14節に記述されるPCR方法を使用することである。
本発明の実施の好適な方法は、種々のヒト組織、好ましくはヒト胎児性肝臓由来のcDNAをスクリーニングするために、注意深く選択されたオリゴヌクレオチド配列を使用することである。プローブとして選択されたオリゴヌクレオチド配列は、擬陽性が最小化されるように充分な長さ及び充分な明確さでなければならない。
該オリゴヌクレオチドは、スクリーニングされるライブラリー中のDNAに対するハイブリッド形成を検出可能とすべく、標識されなければならない。標識の好ましい方法は、この分野で周知のようにオリゴヌクレオチドを放射標識するための、ポリヌクレオチドキナーゼを用いる32P−標識ATPを使用することである。しかしながら、限定されるものではないが、ビオチニル化または酵素標識を含む別の方法が、オリゴヌクレオチドの標識のために使用されてもよい。
WSXレセプターまたはOB蛋白質のアミノ酸配列変異体は、適当なヌクレオチド変化をWSXレセプターまたはOB蛋白質DNAに導入するか、または所望のWSXレセプターまたはOB蛋白質を合成することにより調製される。このような変異体は、図2A−Bに示されるWSXレセプター変異体またはZhang et al.のヒトOB蛋白質等の天然に生じるWSXレセプターまたはOB蛋白質のアミノ酸配列の内部、または一方若しくは両方の末端における残基の、挿入、置換、及び/または特定の削除を示す。好ましくは、これらの変異体は、成熟配列の内部、一方若しくは両方の末端における挿入及び/または置換、及び/またはWSXレセプターまたはOB蛋白質のシグナル配列の内部、一方若しくは両方の末端における挿入、置換及び/または特定の削除を示す。最終構築物が、ここに定義される所望の生物学的活性を有する限り、挿入、置換及び/または特定の削除の何れかの組み合わせが、最終構築物に到達するように作成される。アミノ酸の変化は、WSXレセプターまたはOB蛋白質の翻訳後修飾工程も変化させ、グリコシル化部位の数及び位置の変化、膜結合特性の改変、及び/または挿入、削除、若しくはWSXレセプターまたはOB蛋白質の先行配列に変化を与えることによりWSXレセプターまたはOB蛋白質の細胞内位置に改変を与える。
上述の天然配列の変化は、米国特許第5,364,934号に示される保存的及び非保存的変異生成についての技術及びガイドラインの何れかを使用して行われうる。
これらは、オリゴヌクレオチド−媒介(部位−特異的)変異生成、アラニン走査、及びPCR変異生成を含む。例えば、変化、付加または削除すべくアミノ酸を選択する指導についてはその表1、及びその表の周囲の検討も参照されたい。
ii.複製可能なベクターへの核酸の挿入
WSXレセプターまたはOB蛋白質をコードする核酸(例えばcDNAまたはケノムDNA)は、更なるクローニング(DNAの増幅)または発現のために複製可能なベクターに挿入される。多くのベクターが利用可能である。ベクターの成分は、限定されるものではないが、一般に次の1種以上を含む:シグナル配列、複製のオリジン、1種以上のマーカー遺伝子、エンハンサー要素、プロモーター、及び転写停止配列。
(1)シグナル配列成分
本発明のWSXレセプターまたはOB蛋白質は、組換え的に直接に産生されうるのみならず、好ましくはシグナル配列、または成熟蛋白質若しくはポリペプチドのN−末端に特異的切断部位を有する他のポリペプチドである異種的ボリペプチドとの融合ポリペプチドとしても産生されうる。一般的に、シグナル配列は、ベクターの成分であってよく、あるいはベクターに挿入されるWSXレセプターまたはOB蛋白質DNAの一部であってもよい。選択される異種的シグナル配列は、好ましくは宿主細胞により認識され、処理(すなわち、シグナルペプチダーゼにより切断)されるものである。天然WSXレセプターまたはOB蛋白質シグナル配列を認識及び処理しない原核性宿主細胞については、シグナル配列は、例えばアルカリホスファターゼ、ペニシリナーゼ、lpp、または熱安定性エンテロトキシンIIリーダーからなる群から選択される原核細胞性シグナル配列に置換される。酵母分泌のためには、天然シグナル配列は、例えば酵母インベルターゼリーダー、α因子リーダー(Saccharomyces及びKluyveromycesα−因子リーダーを含む、後者は1991年4月23日発行の米国特許第5,010,182号に記述されている)、またはC.albicansグルコアミラーゼリーダー(1990年4月4日発行のEP362,179号)または1990年11月15日発行のW090/13646に記述されるシグナルにより置換されてよい。哺乳動物細胞の発現において、天然シグナル配列(例えば、インビボにおいてWSXレセプターまたはOB蛋白質のヒト細胞からの分泌を通常支配するWSXレセプターまたはOB蛋白質先行配列)が満足できるものであるが、他の動物のWSXレセプターまたはOB蛋白質由来のシグナル配列、同じまたは関連する種の分泌ポリペプチド由来のシグナル配列等の他の哺乳動物シグナル配列、並びに例えば単純ヘルペスgDシグナル等のウイルス性分泌リーダーも好適であり得る。
このような前駆領域についてのDNAは、成熟WSXレセプターまたはOB蛋白質をコードするDNAに読枠内にて連結される。
(2)複製成分のオリジン
発現及びクローニングベクターの両者は、1種以上の選択される宿主細胞内で複製を可能とする核酸配列を含む。一般的に、クローニングベクター内でこの配列は、宿主の染色体DNAとは独立してベクターの複製を可能とするもので、複製のオリジンまたは自動的複製配列を含んでいる。この配列は、種々の細菌、酵母及びウイルスについて周知である。プラスミドpBR322由来の複製オリジンは、ほとんどのグラム陰性細菌に好適であり、2μプラスミドオリジンは酵母に好適であり、種々のウイルスオリジン(SV40、ポリオーマ、アデノウイルス、VSVまたはBPV)は、ベクターを哺乳動物細胞中にクローニングするために有用である。一般に、複製成分のオリジンは、哺乳動物発現ベクターについては必要ではない(SV40オリジンは、早期プロモーターを含むことのみの理由で典型的には使用される)。
ほとんどの発現ベクターは、“シャトル”ベクターであり、即ちそれらは少なくとも1種の生物において複製可能であり、他の生物に発現のためにトランスフェクトされうる。例えば、ベクターはE.coli中でクローニングされ、次いでそれは宿主細胞染色体と独立して複製することは出来ないか、同じベクターが酵母または哺乳動物細胞に発現のためにトランスフェクトされる。
DNAは、宿主ゲノム中への挿入によっても増幅されうる。このことば、例えば宿主としてBacillus種を使用し、BacillusゲノムDNAに見出される配列に相補的なDNA配列をベクター中に含ませることにより達成される。Bacillusのこのベクターによるトランスフェクションは、ゲノムとの相同的組換え及びWSXレセプターまたはOB蛋白質DNAの挿入を生じる。しかしながら、WSXレセプターまたはOB蛋白質をコードするゲノムDNAの回収は、制限酵素消化がWSXレセプターまたはOB蛋白質DNAの切断に要求される為、外部的に複製されるベクターよりも複雑である。
(3)選択遺伝子成分
発現及びクローニングベクターは、選択可能マーカーとも称される選択遺伝子を含まなければならない。この遺伝子は、選択培養培地中で形質転換された宿主細胞が生存または生育するために必要な蛋白質をコードする。選択遺伝祖を含むベクターにより形質転換されていない宿主細胞は、培養培地中で生存しないであろう。典型的な選択遺伝子は、(a)例えばアンピシリン、ネオマイシン、メトトレキセートまたはテトラサイクリン等の抗生物質または他のトキシンに対する抵抗性を与える、(b)栄養素要求株の欠陥を補充する、あるいは(c)例えばBacilliに対するD−アラニンラセミ化酵素をコードする遺伝子等、複合媒体から入手できない重要な栄養素を供給する蛋白質をコードする。
選択スキームの一例は、宿主細胞の生育を阻止する薬剤を使用する。異種遺伝子により成功裏に形質転換されたそれらの細胞は、薬剤耐性を付与する蛋白質を産生し、選択処方を生き延びる。このような主要な選択の例は、薬剤ネオマイシン、マイコフェノール酸及びハイグロマイシンを使用する。
哺乳動物細胞についての好適な選択マーカーの別の例は、DHFRまたはチミジンキナーゼ等のWSXレセプターまたはOB蛋白質核酸を取り上げるために細胞成分の同定を可能とするものである。哺乳動物細胞形質転換体は、形質転換体のみがマーカーの取り込みによって固有に生存に適合する選択圧の下におかれる。選択圧は、培地中の選択試薬の濃度が順次変化し、これによって選択遺伝子とWSXレセプターまたはOB蛋白質をコードするDNAの両者の増幅をもたらす条件下で、形質転換体を培養することにより付加される。増幅は、生育のために重要な蛋白質の産生に対する要求がより大きい遺伝子が、組換え細胞の引き続く世代の染色体中で、縦列に反復される工程である。増大した量のWSXレセプターまたはOB蛋白質が、増幅DNAから合成される。増幅可能な遺伝子の他の例は、メタロチオネイン−I及び−II、好ましくは霊長類メタロチオネイン遺伝子、アデノシン、オルニチンデカルボキシラーゼ等を含む。
例えば、DHFR選択遺伝子により形質転換された細胞は、全ての形質転換体をDHFRの競合的拮抗剤であるメトレキセート(Mtx)を含む培養培地中で培養することにより最初に同定される。天然型のDHFRが採用される場合に適切な宿主細胞は、Urlaub et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4216(1980)により記述されるように調製され、繁殖された、DHFR欠損のモルモット卵巣(CHO)細胞である。次いで形質転換細胞は、増大された濃度のメトトレキセートに曝される。これは、DHFR遺伝子の複数コピーの合成を誘導し、また、これに付随してWSXレセプターまたはOB蛋白質をコードするDNA等の発現ベクターを含む他のDNAの複数コピーの合成を誘導する。この増幅技術は、例えばMtXに対して高度に抵抗性の変異DHFR遺伝子を採用する場合に(EP 117,060)、内因性のDHFRの存在に関わらず、他の適当な宿主、例えばATCC No. CCL61 CH0-K1を用いて使用可能である。
別法として、WSXレセプターまたはOB蛋白質、天然型DHFR蛋白質及びアミノグリコシド3’−ホスホトランスフェラーゼ(APH)等の他の選択可能なマーカーをコードするDNA配列により形質転換または同時形質転換された宿主細胞(特には内因性DHFRを含む天然型宿主)は、例えばカナマイシン、ネオマイシン、またはG418等のアミノグリコシド抗生物質等の選択可能なマーカーに対する選択試薬を含む培地中で、細胞育成して選択されうる。米国特許第4,965,199号参照。
公募中で使用するための好適な選択遺伝子は、酵母プラスミドYRp7二存在するtrpI遺伝子である(Stinchcomb et al.Nature 282:39(1979))。trpI遺伝子は、例えばATCC No.44076またはPEP4-1等のトリプトファン中での生育能力を欠く酵母変異株のための選択マーカーを与える。Jones,Genetics 85:12(1977)。次いで、酵母宿主細胞ゲノム中のtrpI傷害の存在は、トリプトファンの不在下での生育による形質転換検出のための有効な環境を提供する。同様に、Leu2−欠損酵母株(ATCC 20,622及び38,626)は、Leu2遺伝子を保持する既知のプラスミドにより補完される。
加えて、1.6μm環状プラスミドpKD1から誘導されるベクターは、Kluyveromyces酵母の形質転換に使用され得る。Bianchi et al.,Curr.Genet.12:185(1987)。更に最近には、組換えウシキモシンの大規模製造の為の発現系が、K.lactisについて報告された。Van den Berg,Bio/Technology 8:135(1990)。Kluyveromycesの工業用株による成熟組換えヒト血清アルブミンの分泌用安定複数コピー発現ベクターも開示されている。Fleer et al.,Bio/Tschnology 9:968-975(1991)。
(4)プロモーター成分
通常、発現及びクローニングベクターは、宿主生物により認識され、WSXレセプターまたはOB蛋白質核酸に機能的に連結されるプロモーターを含む。プロモーターは、構造遺伝子の開始コドンの上流(5’)(一般に約100〜1000bp内)に位置する非翻訳配列であり、機能的に連結されるWSXレセプターまたはOB蛋白質核酸配列等の特定の核酸配列の転写及び翻訳を制御する。このようなプロモーターは、典型的には2つの種類、誘導性及び構成性に分けられる。誘導性プロモーターは、培養条件の何らかの変化、例えば栄養素の存在または不在、または温度変化に応答して、その制御下で増大したレベルのDNAからの転写を開始するプロモーターである。この時点において、種々の可能性ある宿主により認識される多くのプロモーターが周知である。これらのプロモーターは、制限酵素消化により供給源のDNAからプロモーターを除去し、単離されたプロモーターをベクター中に挿入することにより、WSXレセプターまたはOB蛋白質ーコードDNAに機能的に連結される。天然WSXレセプターまたはOB蛋白質プロモーター配列及び多くの異種プロモーターの両者が、WSXレセプターまたはOB蛋白質DNAの直接増幅及び/または発現に使用され得る。しかしながら、天然のWSXレセプターまたはOB蛋白質プロモーターに比べて、異種プロモーターは一般により大きい転写及びWSXレセプターまたはOB蛋白質のより多い収量を可能とするため、異種プロモーターが好ましい。
原核性宿主と共に使用する為に好適なプロモーターは、β−ラクタマーゼ及びラクトースプロモーター系(Chang et al.,Nature 275:615(1978); Goeddel et al.,Nature 281:544(1979))、アルカリホスファターゼ、トリプトファン(trp)プロモーター系(Goeddel,Nucleic Acid Res.8:4057(1980); EP 36,776)及びtacプロモーター等のハイブリッドプロモーターを含む。deBoeret al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 80:21-25(1983)。しかしながら、他の既知の細菌プロモータが好適である。それらのヌクレオチド配列は刊行されており、それによって当業者が、任意の要求される制限部位を供給するためにリンカーまたはアダプターを使用して、WSXレセプターまたはOB蛋白質をコードするDNAに対してそれらを機能的に連結することを可能とする。細菌系において使用するためのプロモーターは、WSXレセプターまたはOB蛋白質をコードするDNAに機能的に連結されるシャイン−ダルガルノ(SD)配列も含むであろう。
プロモーター配列は、真核性細胞について知られている。実質上、全ての真核性遺伝子は転写開始部位からおよそ25〜30塩基上流に位置するAT−富裕領域を有している。多くの遺伝子の転写開始から70〜80塩基上流に見出される他の配列は、Xが任意のヌクレオチドであり得るCXCAAT領域である。ほとんどの真核性遺伝子の3’末端はAATAAA配列であり、これはコード配列の3’末端にポリAテールを付加するシグナルであり得る。これらの配列の全ては、真核性発現ベクターに適切に挿入される。
酵母宿主と共に使用するための適当な促進配列の例は、3−ホスホグリセレートキナーゼ(Hitzeman et al.,J.Biol.Chem.255:2073(1980))、またはエノラーゼ、グリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロケナーゼ、ヘキソキナーゼ、ピルベートデカルボキシラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、グルコース−6−ホスフェートイソメラーゼ、3−ホスホグリセレートムターゼ、ビルベートキナーゼ、トリオースホスフェートイソメラーゼ、ホスホグルコースイソメラーゼ、及びグルコキナーゼ等の糖分解酵素(Hess et al.,J.Adv.Enzyme Reg.7:149(1968); Holland,Biochemistry 17:4900(1978))のプロモーターを含む。
転写が生育条件によって調節される付加的優位点を有する誘導性プロモーターである他のプロモーターは、アルコールデヒドロゲナーゼ2、イソチトクロームC、酸ホスファターゼ、窒素代謝に関わる分解酵素、メタロチオネイン、グリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼ、並びにマルトース及びガラクトース利用を司る酵素のプロモーター領域である。酵母発現において使用するための好適なベクター及びプロモーターは、EP 73,657に更に記述されている。
酵母エンハンサーも、利点を持って酵母プロモーターと共に使用される。
哺乳動物宿主細胞におけるベクターからのWSXレセプターまたはOB蛋白質の転写は、プロモーターが宿主細胞系と適合性を有する限り、例えば、ポリオーマウィルス、フォウルポックスウイルス(1989年7月5日発行のUK 2,211,504)、アデノウイルス(アデノウイルス2等)、ウシパピローマウイルス、トリ肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、レトロウイルス、B型肝炎ウイルス及び最も好ましくはシミアンウイルス40(SV40)等のゲノムに由来するか、例えばアクチンプロモーターまたはイムノグロブリンプロモーター等の異種的哺乳動物プロモーターに由来するか、熱ショックプロモーターに由来するか、及び通常にWSXレセプターまたはOB蛋白質配列に伴われるプロモーターに由来して得たブロモーターにより調節される。
SV40ウイルスの早期及び後期プロモーターは、SV40制限断片として都合よく得られ、それは複製のSV40ウイルスオリジンを含む。Fiers et al.,Nature 273:113(1978); Mulligan et al.,Science 209:1422-1427(1980); Pavlakis et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78:7398-7403(1981)。ヒトサイトメガロウイルスの直前プロモーターは、Hind III E制限断片として都合よく得られる。Greenaway et al.,Gene 18:355-360(1982)。ウシパピローマウイルスをベクターとして使用する哺乳動物宿主におけるDNA発現系は、米国特許第4,419,446号に開示されている。この系の修飾は、米国特許第4,601,978号に記述されている。免疫インターフェロンをコードするcDNAのサル細胞における発現についてはGray et al.,Nature 295:503-508(1982); 単純ヘルペスウイルス由来のチミジンキナーゼプロモーターの制御下における、マウス細胞中でのヒトβ−インターフェロンcDNAの発現については Reyes et al.,Nature 297:598-601(1982); 培養マウス及びウサギ細胞中でのヒトインターフェロンβ1遺伝子の発現についてはCanaani et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 79:5166-5170(1982); ラウス肉腫ウイルスの長末端反復をプロモーターとして使用する、CV−1サル腎細胞、ニワトリ胚線維芽細胞、モルモット卵巣細胞、HeLa細胞、及びマウスNIH-3T3細胞における細菌CAT配列の発現に関してはGorman et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 79:6777-6781(1982)参照。
(5)エンハンサー要素成分
高等真核性細胞による本発明のWSXレセプターまたはOB蛋白質をコードするDNAの転写は、ベクター中にエンハンサー配列を挿入することによりしばしば増大される。エンハンサーは、DNAのcis−作用要素であり、通常約10〜300bpであり、プロモーターに作用して転写を増大させる。エンハンサーは、相対的に配向及び位置に非依存的であり、転写単位に対して5’側(Laimins et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78:993(1981))及び3’側(Lusky et al.,Mol.Cell Bio.3:1108(1983))、イントロン内(Banerji et al.,Cell 33:729(1983))並びにコード配列それ自体の内部に見出されている。Osborne et al.,Mol.Cell Bio.4:1293(1984)。今では多くのエンハンサー配列が哺乳動物遺伝子から知られている(グロブリン、エラスターゼ、アルブミン、α−フェト蛋白質、及びインスリン)。しかしながら、典型的には真核性細胞ウイルスからのエンハンサーが使用されるであろう。例としては、複製オリジンの後方側のSV40エンハンサー(bp100−270)、サイトメガロウイルスの初期プロモーターエンハンサー、複製オリジンの後方側のポリオーマエンハンサー、及びアデノウイルスのエンハンサーを含む。真核性プロモーター活性化のための増強因子については、Yaniv,Nature 297:17-18(1982)も参照。エンハンサーは、WSXレセプターまたはOB蛋白質コード配列の5’または3’位置において、ベクタ一中に結合されてよいが、好ましくはプロモーターから5’側の部位に位置する。
(6)転写停止成分
真核性宿主細胞(酵母、カビ、昆虫、植物、動物、ヒトまたは他の多細胞生物からの有核細胞)において使用される発現ベクターは、転写の停止及びmRNAの安定化のために必要な配列も含むであろう。このような配列は、真核性またはウイルス性DNAまたはcDNAの5’及び場合により3’非翻訳領域から一般的に入手可能である。これらの領域は、WSXレセプターまたはOB蛋白質をコードするmRNAの非翻訳部分において、ポリアデニル化断片として転写されるヌクレオチド分節を含む。
(7)ベクターの構築及び分析
上記に掲げた成分の1種以上を含む適当なベクターの構築は、標準的連結技術を採用する。単離されたプラスミドまたはDNA断片は、切断され、修復され、所望の形態をもって再連結されて必要なプラスミドを生成させる。
構築されたプラスミドにおける正しい配列を確認するための分析には、連結混合物がE.coli K12 294株(ATCC 31,446)を形質転換するために使用され、成功した形質転換体が、適切な場合にはアンピシリンまたはテトラサイクリン耐性により選択される。形質転換体からプラスミドが調製され、制限エンドヌクレアーゼ消化により分析されるか、及び/またはMessing et al.,Nucleic Acids Res.9:309(1981)の方法若しくはMaxam et al.,Methods in Enzymology 65:499(1980)の方法により配列決定される。
一時的発現ベクター本発明の実施において特に有用なものは、WSXレセプターまたはOB蛋白質をコードするDNAの哺乳動物細胞における一時的発現を与える発現ベクターである。一般に一時的発現は、宿主細胞が多数の発現ベクターのコピーを蓄積し、従って、該発現ベクターによりコードされる所望のポリペプチドを高水準で合成するように、宿主細胞において効率的に複製することが出来る発現ベクターの使用を含む。Sambrook et al.,前出文献pp.16.17-16.22。適当な発現ベクター及び宿主細胞を有してなる一時的発現系は、クローン化されたDNAによりコードされるポリペプチドの都合よい陽性の同定を可能とし、所望の生物学的または生理学的性質についてそのようなポリペプチドの迅速なスクリーニングも可能とする。従って、一時的発現系は、生物学的に活性なWSXレセプターまたはOB蛋白質であるWSXレセプターまたはOB蛋白質の類似体及び変異体を同定する目的で、本発明において特に有用である。
(8)好適な例としての脊椎動物細胞ベクター
組換え脊椎動物細胞培養物におけるWSXレセプターまたはOB蛋白質の合成に適合される好適な別の方法、ベクター及び宿主細胞は、Gething et al.,Nature 293:620-625(1981); Mantei et al.Nature 281:40-46(1979); EP117,060及びEP 117,058に記述されている。WSXレセプターまたはOB蛋白質の哺乳動物細胞培養物発現のための特に有用なプラスミドは、pRK5(EP 307,247)またはpSV16Bである。1991年6月13日発行のW091/08291。
iii.宿主細胞の選択及び形質転換
ここにおいてベクター中のDNAのクローニングまたは発現の為に好適な宿主細胞は、上述した原核性細胞、酵母、またはより高等な真核性細胞である。この目的のために好適な原核性細胞は、グラム−陰性またはグラム−陽性生物等の真正細菌、例えばE.coli等のEscherichia、 Enterobacter、Erwinia、Klebsiella、Proteus、例えばSalmonella typhimurium等のSalmonella、例えばSerratia marcescans等のSerratia及びShigella、並びにB.subtilis及びB.licheniformis(例えば1989年4月12日発行のDD 266,710に開示されるB.licheniformis41P)等のBacilli、P.aeruginosa等のPseudomonas並びにStreptomyces等、腸内細菌科である。好適なE.coliクローニング宿主は、E.coli 294(ATCC 31,446)で あるが、E.coli B、E.coli X1776(ATCC 31,537)及びE.coli W3110(ATCC 27,325)等の他の株も好適である。これらの例は、限定的ではなくして例示的なものである。W3110株は、組換えDNA産生発酵のための一般的な宿主株であり、宿主または親宿主として特に好ましい。好ましくは宿主細胞は、最小量の蛋白質分解酵素を分泌するものである。例えば、W3110株は、蛋白質をコードする遺伝子において、遺伝的変異を与える修飾を受けてもよく、このような宿主の例としてはW3110 27C7株を含む。27C7の完全なケノタイプは、tonAΔ ptr3 phoA ΔE15 Δ(argF-lac)169 ompTΔ degP4Ikanr である。27C7株は、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションに、ATCC No.55,244として1991年10月30日に寄託されている。別法として、1990年8月7日発行の米国特許第4,946,783号に開示された変異周辺細胞質プロテアーゼを有するE.coliが採用されてもよい。更に別法として、PCRまたは他の核酸ポリメラーゼ反応等のクローニング方法も好適である。
原核性細胞に加えて、糸状菌または酵母等の真核性微生物も、WSXレセプターまたはOB蛋白質−コードベクターの好適なクローニングまたは発現宿主である。Saccharomyces cerevisiaeまたは通常のベーカーズイーストは、下等真核性宿主微生物の内では最も通常に使用されている。しかしながら、Schizosaccharomyces pombe(Beach et al.,Nature 290:140(1981); 1985年5月2日発行のEP 139,383);例えば、K.lactis(MW98-8C,CBS683,CBS4574),K.Fragilis(ATCC 12,424),K.bulgaricus(ATCC 16,045),K.wickeramii(ATCC 24,178),K.waltii(ATCC 56,500),K.drosophilarum(ATCC 36,906;Van den Berg et al.,前出文献),K.thermotolerans,及びK.marxianus; yarrowia(EP 402,226)等のKluyveromyces宿主(米国特許第4,943,529; Fleer et al.,前出文献);Pichia pastoris(EP 183,070; Sreekrishna et al.,J.Basic Microbiol.28:265-278(1988));Candida; Trichoderma reesia(EP 244,234); Neurospora crassa(Case et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 76:5259-5263(1979));Schwanniomyces occidentalis(1990年10月31日発行のEP 394,538)等のSchwanniomyces;並びに、例えば Neurospora,Penicillium,Tolypocladium(1991年1月10日発行のWO91/00357)、及びA.nidulans(Ballance et al.,Biochem.Biophys.Res.Commun.112:284-289(1983); Tilburn et al.,Gene 26:205-221(1983);Yelton et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:1470-1474(1984))及びA.niger(Kelly et al.,EMBO J.4:475-479(1985))等のAspergillus宿主等、多くの他の属、種及び株が一般的に入手可能であり、また有用である。
グリコシル化WSXレセプターまたはOB蛋白質の発現のために好適な宿主細胞は、多細胞生物から誘導される。このような宿主細胞は、複雑な処理及びグリコシル化活性が可能である。原理的には、脊椎動物または無脊椎動物のいずれから誘導されようが、任意の高等真核性細胞培養物が利用可能である。無脊椎動物細胞の例は、植物及び昆虫細胞である。多くのバキュロウイルス株及び変異体、並びに対応する許容可能な昆虫宿主細胞が、Spodoptera frugiperda(イモ虫)、Aedes aegypti(蚊)、Aedes albopictus(蚊)、Drosophila melanogaster、(ショ ウジョウバエ)及びBombyx mori等の宿主から同定されている。例えば、Luckow et al.,Bio/Technology 6:47-55(1988);Miller et al.,in Genetic Engineering,Setlow et al.,eds.Vol.8(Plenum Publishing,1986),pp.277-279;及びMaeda et al.,Nature 315:592-594(1985)参照。例えばAutographa californixa NPVのL-1変異体及びBombyx mori NPVのBm-5株等のトランスフェクションのための多くのウイルス株が一般に入手可能であり、このようなウイルスは本発明におけるウイルスとして特に Spodoptera frugiperda細胞のトランスフェクトのために使用され得る。
綿、トウモロコシ、ポテト、ダイズ、ペチュニア、トマト及びタバコの植物細胞培養物は、宿主として使用され得る。典型的には、植物細胞は、予めWSXレセプターまたはOB蛋白質−コードDNAを含むように操作された細菌のある種の株、Agrobacterium tumefaciensと共に培養することによりトランスフェクトされる。植物細胞培養物とA.tumefaciensとの培養の間に、WSXレセプターまたはOB蛋白質をコードするDNAが植物細胞宿主に移動し、それがトランスフェクトされて適当な条件下でWSXレセプターまたはOB蛋白質−コードDNAを発現するであろう。加えて、ノパリン合成酵素プロモーター及びポリアデニル化シグナル配列等の植物細胞に適合性の調節及びシグナル配列も入手可能である。Depicker et al.,J.Mol.Appl.Gen.1:561(1982)。加えて、T-DNA 780遺伝子の上流領域から単離されたDNA断片は、組換えDNA含有植物組織において、植物が発現可能な遺伝子の転写レベルを活性化及び増大させうる。1989年6月21日発行のEP 321,196。
しかしながら、最も興味あるのは脊椎動物細胞であり、培養物(組織培養物)中での脊椎動物細胞の増殖は情報になっている。例えば、Tissue Culture,Academic Press Kruse and Patterson,編(1973)参照。有用な哺乳動物細胞系の例は、SV40により形質転換されたサル腎臓CV1系(COS-7,ATCC CRL 1651);ヒト胚腎細胞系(293または懸濁培養中の生育についてサブクローンされた293細胞、Graham et al.,J.Gen.Virol.36:59(1977));仔ハムスター腎細胞(BHK,ATCC CCL 10);モルモット卵巣細胞/−DHFR(CHO,Urlaub et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4216(1980));マウスセルトリ細胞(TM4,Mather,Biol.Reprod.23:243-251(1980));サル腎細胞(CV1 ATCC CCL 70);アフリカミドリザル腎細胞(VERO-76,ATCC CRL-1587);ヒト頸部腫瘍細胞(HELA,ATCC CCL 2);イヌ腎細胞(MDCK,ATCC CCL 34);バッファローラット肝細胞(BRL 3A,ATCC CRL 1442);ヒト肺細胞(W138,ATCC CCL 75);ヒト肝細胞(Hep G2,HB 8065);マウス乳癌(MMT 060562,ATCC CCL 51);TRI細胞(Mather et al.,Annal.N.Y.Acad.Sci.383:44-68(1982));MRC5細胞;FS4細胞;並びにヒト肝癌系(Hep G2)である。
宿主細胞は、WSXレセプターまたはOB蛋白質産生のための上述した発現またはクローニングベクターによりトランスフェクト、好ましくは形質転換され、プ ロモーターの誘発、形質転換体の選択または所望の配列をコードする遺伝子の増幅のために適切に修飾された慣用の栄養媒体中で培養される。
トランスフェクションは、何れかのコード配列が実際に発現されるか否かには関わらず、宿主細胞により発現ベクターが取り入れられることを指す。例えばCaPO4及びエレクトロポレーション等の多くのトランスフェクション方法が当業者に知られている。成功したトランスフェクションは、このベクターの作用の何れかの兆候が宿主細胞内で起こることにより、一般に認識される。
形質転換は、DNAが、染色体外要素として、あるいは染色体組み込みによりDNAが複製可能となるように、DNAを生体内に導入することを意味する。使用される宿主細胞に依存して、形質転換はこのような細胞に適当な標準的方法を使用して行われる。Sambrook et al.,前出文献1.82節に記述されるようにして塩化カルシウムを使用するカルシウム処理、またはエレクトロポレーションが、原核細胞または実質的に細胞壁障害を有する他の細胞について一般に使用される。
Agrobacteriumu tumefacienceを用いる感染が、Shaws et al.,Gene 23:315(1983)及び1989年6月29日発行のWO89/05859に記述されるようにある種の植物細胞の形質転換のために使用される。更に、植物は、1991年1月10日発行のWO91/00358に記述されるように超音波処理を使用してトランスフェクトされてもよい。
そのような細胞壁を有さない哺乳動物細胞については、Graham et al.,Virology 52:456-457(1978)のリン酸カルシウム沈殿法が好ましい。哺乳動物細胞宿主形質転換の一般的側面に関しては、1983年8月16日発行の米国特許第4,399,216号に記述されている。酵母への形質転換は、典型的には、Van Solingen et al.,J.Bact.130:946(1977)及びHsiao et al.,Proc Natl.Acad,Sci.USA 76:3829(1979)の方法に従って行われる。しかしながら、細胞への他のDNA導入方法、例えば、核マイクロインジェクション、エレクトロポレーション、真細胞との細菌性プロトプラスト融合、例えばポリブレン、ポリオミチン等の多価陽イオン等も使用され得る。哺乳動物細胞を形質転換するための種々の技術については、Keown et al.,Methods in Enzymology 185:527-537(1990)及びMans our et al.,Nature 336:348-352(1988)参照。
iv.宿主細胞の培養
本発明のWSXレセプターまたはOB蛋白質の産生に使用される原核性細胞は、一般にSambrook et al.,前出文献に記述されるように適当な培地中で培養される。
本発明のWSXレセプターまたはOB蛋白質を産生するために使用される哺乳動物宿主細胞は、種々の媒体中で培養されうる。商業的に入手可能な、例えばHam's F10(Sigma)、最小必須培地((MEM),Sigma)、RPMI−1640(Sigma)及び、ダルベッコ修飾イーグル培地((DMEM)、Sigma)が、宿主細胞の培養に好適である。加えて、Hma et al.,Meth.Enz.58:44(1979,Barns et la.,Anal.Biochem.102:255(1980), 米国特許第4,767,704;4,657,866;4,927,762;4,562,655または5,122,469;WO90/03430;WO87/00195;及び米国再審査特許30,985に記述されている何れかの培地も宿主細胞の培養培地として使用され得る。
これらのいずれの培地も、必要に応じてホルモン類及び/または多の成長因子(インスリン、トランスフェリン、または表皮成長因子等)、塩類(塩化ナトリウム、カルシウム、マグネシウム及びリン酸等)、緩衝剤(HEPES等)、ヌクレオシド(アデノシン及びチミジン等)、抗生物質(ゲンタマイシンTM等)、微量元素(通常マイクロモルの最終濃度で存在する無機化合物として定義される)、並びにグルコースまたは他の同等なエネルギー源が補充されてもよい。その他の必要な補充物が、当業者に知られている適当な濃度をもって含まれてもよい。温度、pH等の培養条件は、発現のために選択された宿主について従来使用されているとおりで、当業者には明らかであろう。
一般的に、哺乳動物細胞の生産性を最大にする為の原理、プロトコール及び実際的技術は、Mammalian Cell Biotechnology:a Practical Approach,M.Butler,ed.(IRL Press,1991)に見出される。
この開示において引用される宿主細胞は、培養物中の細胞、並びに宿主動物内にある細胞を含む。
v.遺伝子増幅/発現の検出
遺伝子増幅及び/または発現は、試料中において例えば慣用のサザンブロッティング、mRNAの転写を定量するノーサンブロッティング(Thomas,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:5201-5205(1980))、ドットブロッティング(DNA分析)、またはインサイツ・ハイブリダイゼーションにより、ここに提供される配列に基づいた適当な標識プローブを使用して直接に測定されうる。種々の標識が使用され得、最も普通には放射性同位体、特に32Pである。しかしながら、ポリヌクレオチドに導入するためのビオチン修飾ヌクレオチドの使用等、他の技術も採用されうる。次いでビオチンは、放射性核種、蛍光体、酵素等の広範囲の種々の標識により標識されたアビジンまたは抗体に対する結合部位として作用する。
別法として、DNA二重体、RNA二重体、DNA−RNAハイブリッド二重体またはDNA−蛋白質二重体等の特定の二重体を認識する抗体が採用されうる。
次いで抗体は、標識され、またアッセイが実行され、ここにおいて二重体は表面に結合され、該表面の二重体形成により該二重体に結合する抗体が検出されうる。
別法として、遺伝子発現は組織断面の免疫組織化学的染色、及び細胞培養物または体液のアッセイ等の免疫学的方法により、遺伝子生成物の発現を直接に定量して測定されうる。免疫組織化学的染色技術によれば、細胞試料が典型的には脱水及び固定化により調製され、次いで結合される遺伝子生成物に対して特異的な標識抗体が反応に付され、ここにおいて標識は、一般に酵素標識、蛍光標識、発光正標識等の目視検出可能なものである。本発明に使用するために好適な特に高感度の染色技術は、Hsu et al.,Am.J.Clin.Path.75:734-738(1980)に記述されている。
免疫組織化学的染色及び/または試料液体のアッセイのために有用な抗体は、モノクローナルまたはポリクローナルのいずれでもよく、ここに記述されるように調製されうる。
vi.WSXレセプターまたはOB蛋白質の精製
WSXレセプター(例えば、WSXレセプターECD)またはOB蛋白質は、好ましくは培養培地から分泌蛋白質として回収されるが、宿主細胞溶解物から回収されてもよい。WSXレセプターが膜結合である場合には、適当な界面活性剤溶液(例えばTriton-X 100)を使用して膜から解放されうる。
WSXレセプターまたはOB蛋白質がヒト起源のもの以外の組換え細胞において産生される場合には、WSXレセプターまたはOB蛋白質は、ヒト起源の蛋白質またはポリペプチドを全く含まない。しかしながら、WSXレセプターまたはOB蛋白質として実質的に均質な調製物を得るためには、組換え細胞蛋白質またはポリペプチドからWSXレセプターまたはOB蛋白質を生成する必要がある。
第一の工程として、培養培地または溶解物は遠心分離されて粒状細胞破砕物が除去される。その後に、WSXレセプターまたはOB蛋白質が、可溶性蛋白質またはポリペプチド夾雑物から、好適な精製方法の例である次の方法により精製される:イオン交換カラムによる分画;エタノール沈殿;逆相HPLC;シリカ上またはDEAE等の陽イオン交換樹脂上のクロマトグラフィー;クロマトフォーカシング;SDS−PAGE;硫酸アンモニウム沈殿;例えばセファデックスG−75TMを使用するゲル濾過;並びにIgG等の夾雑を除去する蛋白質AセファロースTMカラム。
残基が除去、挿入または置換されたWSXレセプターまたはOB蛋白質変異体は、変異による性質の実質的変化を考慮して、天然のWSXレセプターまたはOB蛋白質と同様な様式で回収されうる。ウサギポリクローナル抗−WSXレセプターまたはOB蛋白質カラム等の免疫アフィニティカラムが、少なくとも残る免疫エピトープとの結合により、WSXレセプターまたはOB蛋白質変異体を吸着するために使用され得る。
フェニルメチルスルホニルフルオライド(PMSF)等のプロテアーゼ阻害剤は、精製の間の蛋白質分解を阻害するために有用であり、また抗生物質は、外因性の夾雑の生育を防止するために含まれてよい。
vii.共有性修飾
WSXレセプターまたはOB蛋白質の共有性修飾物は、本発明の範囲内に含まれる。天然配列WSXレセプターまたはOB蛋白質及びWSXレセプターまたはOB蛋白質のアミノ酸配列変異体の両者は、共有結合的に修飾されてよい。WSXレセプターまたはOB蛋白質の一つの型の共有性修飾は、WSXレセプターまたはOB蛋白質の標的アミノ酸残基を、WSXレセプターまたはOB蛋白質の選択された側鎖またはN−若しくはC−末端残基と反応しうる有機誘導試薬と反応させることにより、該分子に導入される。
最も普通には、システイン残基が、クロロ酢酸またはクロロアセタミド等のα−ハロアセテート(及び対応するアミン)と反応に付されて、カルボキシメチルまたはカルボキシアミドメチル誘導体を与える。システイン残基は、ブロモトリフルオロアセトン、α−ブロモ−β−(5−イミダゾイル)プロピオン酸、クロロアセチルホスフェート、N−アルキルマレイミド、3−ニトロ−2−ピリジルジスルフィド、メチル2−ピリジルジスルフィド、p−クロロメルクリベンゾエート、2−クロロメルクリ−4−ニトロフェノール、またはクロロ−7−ニトロベンゾ−2−オキサ−1,3−ジアゾールとの反応により誘導される。
ヒスチジン残基は、pH5.5−7.0においてジエチルピロカルボネートとの反応により誘導され、けだしこの試薬はヒスチジン側鎖に比較的特異的であるからである。パラ−ブロモフェナシルブロマイドも有用であり、該反応は、好ましくはpH6.0において0.1Mカコジル酸ナトリウム中で行われる。
リジン及びアミノ末端残基は、コハク酸または他のカルボン酸無水物と反応に付される。これらの試薬による誘導は、リジン残基の電荷の逆転の効果がある。
α−アミノ−含有残基の誘導のための他の好適な試薬は、メチルピコリンイミデート等のイミドエステル類、ピリドキサルホスフェート、ピリドキサル、クロロボロハイドライド、トリニトロベンゼンスルホン酸、O−メチルイソウレア、2,4−ペンタンジオン、及びグリオキシレートとのトランスアミナーゼ触媒反応を含む。
アルキニン残基は、1種または数種の慣用の試薬により修飾され、それらの内にはフェニルグリオキサール、2,3−ブタンジオン、1,2−シクロヘキサンジオン及びニンヒドリンがある。グアニジン官能基の高いpKa故に、アルギニン残基の誘導は、アルカリ条件下で反応を行うことが必要である。更に、これらの試薬は、アルギニンイプシロン−アミノ基に加えて、リジンの基とも反応しうる。
チロシン残基の特異的修飾は、芳香族性ジアゾニウム化合物またはテトラニトロメタンとの反応によりチロシル残基に分光学的標識を導入することに特に興味を持って行われうる。最も一般的には、N−アセチルイミジゾール及びテトラニトロメタンが、それぞれO−アセチルチロシン分子種及び3−ニトロ誘導体を形成するために使用される。チロシル残基は、放射免疫アッセイにおいて使用される標識蛋白質を調製するために、125Iまたは131Iを使用してヨウ素化され、クロラミンT法が好適である。
カルボキシル側鎖基(アスパルチルまたはグルタミル)は、1−シクロヘキシル−3−(2−モルホリニル−4−エチル)カルボジイミドまたは1−エチル−3−(4−アゾニア−4,4−ジメチルペンチル)カルボジイミド等の、R及びR’が異なるアルキル基であるカルボジイミド(R−N=C=N=R’)との反応により選択的に修飾される。更に、アスパルチル及びグルタミル残基は、アンモニウムイオンとの反応によりアスパラギニル及びグルタミニル残基に変換される。
二官能性試薬による誘導は、抗−WSXレセプターまたはOB蛋白質抗体の精製方法において使用される水不溶性支持担体または表面に、WSXレセプターまたはOB蛋白質を交差結合するために有用であり、その逆もしかりである。一般に使用される交差結合試薬は、例えば、1,1−ビス(ジアゾアセチル)−2−フェニルエタン、グルタルアルデヒド、例えば4−アジドサリチル酸エステル等のN−ヒドロキシスクシンイミドエステル、3,3’−ジチオビス(スクシンイミジルプロピオネート)等のジスクシンイミジルエステルを含むホモ二官能性イミドエステル、並びにビス−N−マレイミド−1,8−オクタン等の二官能性マレイミドを含む。メチル−3−((p−アジドフェニル)ジチオ)プロピオイミデート等の誘導試薬は、光の存在下で公差結合の形成が可能な光活性化可能な中間体を生じる。別法として、シアノゲンブロマイド−活性化炭水化物等の反応性水不溶性担体、及び米国特許第3,969,287;3,691,016;4,195,128:4,247,642;
4,229,537;及び4,330,440に記述される反応性基質は、蛋白質の固定化に使用される。
グルタミニル及びアスパラギニル残基は、それぞれ対応するグルタミル及びアスパルチル残基にしばしば脱アミド化される。これらの残基は中性または塩基性条件下で脱アミド化される。これらの残基の脱アミド化形態は、本発明の範囲内にある。
そのほかの修飾は、プロリン及びリジンのヒドロキシル化、セリンまたはスレオニン残基のヒドロキシル基のホスホリル化、リジン、アルギニン、及びヒスチジン側鎖のα−アミノ基のメチル化(T.E.Creighton,Proteins:Structure and Molecular Properties,W.H.Freeman & Co.,San Francisco,pp.79-86(1983))、N−アミノ末端のアセチル化、並びにC−末端カルボキシル基のアミド化を含む。
本発明の範囲内に含まれるWSXレセプターまたはOB蛋白質の他の型の共有性修飾は、ポリペプチドの天然のグリコシル化パターンの改変を含む。改変とは、天然WSXレセプターまたはOB蛋白質に見出される炭化水素残基の一つ以上の除去、及び/または天然のWSXレセプターまたはOB蛋白質には存在しない一つ以上のグリコシル化部位の付加を意味する。
ポリペプチドのグリコシル化は、典型的にはN−結合またはO−結合の何れかである。N−結合は、アスパラギン残基の側鎖への炭水化物残基の結合を指す。
Xがプロリン以外のアミノ酸であるトリペプチド配列アスパラギン−X−セリン及びアスパラギン−X−スレオニンは、炭水化物残基のアスパラギン側鎖への酵素的結合について、認識配列である。而して、ポリペプチド中の、これらのトリペプチド配列の何れかの存在は、可能性あるグリコシル化部位を創成する。O−結合グリコシル化は、N−アセチルグルコサミン、ガラクトースまたはキシロース等の糖類の一つがヒドロキシルアミノ酸、最も一般的にはセリンまたはスレオニンに結合することを指すが、5−ヒドロキシプロリン及び5−ヒドロキシリジンも使用され得る。
WSXレセプターまたはOB蛋白質へのグリコシル化部位の付加は、それが上述したトリペプチド配列(N−結合グリコシル化部位)を一つ以上含むようにアミノ酸配列を改変することによって都合よく達成される。改変は、1個以上のセリンまたはスレオニン残基を天然のWSXレセプターまたはOB蛋白質配列に付加するか、またはこれらにより置換することによってもなされうる(O−結合グリコシル化部位)。簡単には、WSXレセプターまたはOB蛋白質アミノ酸配列は、DNAレベルの変化を介して、特にWSXレセプターまたはOB蛋白質をコードするDNAを、予め選択した塩基においてコドンが所望のアミノ酸に翻訳されるように生成されるよう変異させることによって改変される。DNAの変異は、上記の米国特許第5,364,934号に記述される方法を使用して行われてよい。
WSXレセプターまたはOB蛋白質上に炭水化物残基の数を増大させる他の手段は、ポリペプチドに対するグリコシドの化学的または酵素的結合による。これらの手法は、N−またはO−結合グリコシル化についてグリコシル化能力を持った宿主細胞中でのポリペプチド産生を必要としない点で有利である。使用されるカップリングの態様に依存して、糖類は(a)アルギニン及びヒスチジン、(b)遊離のカルボキシル基、(c)システインのもの等の遊離のスルフィドリル基、(d)セリン、スレオニンまたはヒドロキシルプロリンのもの等の遊離のヒドロキシル基、(e)フェニルアラニン、チロシン、またはトリプトファンのもの等の芳香族残基、あるいは(f)グルタミンのアミド基に結合する。これらの方法は、1987年9月11日発行のWO87/05330及びAplin et al.,CRC Crit.Rec.Biochem.259-306(1981)に記述されている。
WSXレセプターまたはOB蛋白質に存在する炭水化物残基の除去は、化学的または酵素的に行いうる。化学的脱グリコシル化は、化合物トリフルオロメタンスルホン酸または同等な化合物に対するポリペプチドの暴露を必要とする。この処理は、結合糖(N−アセチルグルコサミンまたはN−アセチルガラクトサミン)を除いてほとんどまたは全ての糖類の切断をもたらし、その一方でポリペプチドを無傷のまま残す。化学的脱グリコシル化は、Hakimuddin,et al.,Arch.Biochem.Biophys.259:52(1987)及びEdge et al.,Anal.Biochem.118:131(1981)に記述されている。ポリペプチドの炭水化物残基の酵素的切断は、Thotakura et al.,Meth.Enzymol.138:350(1987)に記述されているように種々のエンド−及びエキソ−グリコシダーゼの使用により行われうる。
可能性あるグリコシル化部位におけるグリコシル化は、Duskin et al.,J.Biol.Chem.257:3105(1982)に記述されるように化合物チュニカマイシン(tunicamycin)の使用により阻止されうる。チュニカマイシンは、蛋白質−N−グリコシド結合の形成を阻止する。
WSXレセプターまたはOB蛋白質の共有性修飾の他の型は、米国特許第4,640,835;4,496,689;4,301,144;4,670,417;4,791,192または4,179,337号に示された方法で、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたはポリオキシアルキレン糖の種々の非蛋白質性ポリマーの一つにたいして、WSXレセプターまたはOB蛋白質を結合することを含む。
変異体WSXレセプターまたはOB蛋白質の性質を予め予想することはしばしば困難であるため、回収された変異体の何らかのスクリーニングが、最適な変異体を選択する為に必要であることが認識されるであろう。所定の抗体に対する親和性等の、WSXレセプターまたはOB蛋白質分子の免疫学的性質の変化は、競合型のイムノアッセイにより測定可能である。WSXレセプター変異体は、実施例8のコロニーアッセイにおいて、該蛋白質の細胞増殖誘導能力における変化についてアッセイされる。酸化還元若しくは熱安定性、疎水性、蛋白質分解に対する感受性、または担体との凝集傾向若しくは多量体への凝集傾向等の、蛋白質またはポリペプチドの性質の他の可能性ある修飾は、この技術で周知の方法によりアッセイされる。
viii.エピトープ−標識WSXレセプターまたはOB蛋白質
この発明は、異種ポリペプチドに融合するWSXレセプターまたはOB蛋白質を含んでなるキメラポリペプチドを包含する。キメラWSXレセプターまたはOB蛋白質は、ここにおいて定義されるWSXレセプターまたはOB蛋白質変異体の一つの型である。好ましい実施態様において、キメラポリペプチドは、抗−標識抗体が選択的に結合可能なエピトープを与える標識ポリペプチドとの、WSXレセプターまたはOB蛋白質の融合体を含む。エピトープ標識は、一般的にはWSXレセプターまたはOB蛋白質のアミノ−またはカルボキシル−末端に与えられる。このようなWSXレセプターまたはOB蛋白質のエピトープ標識形態は、その存在が標識ポリペプチドに対する標識抗体を使用して検出可能であるため、望ましい。また、エピトープ標識の提供は、WSXレセプターまたはOB蛋白質を、抗−標識抗体を使用してアフィニティ精製により容易に精製することを可能とする。抗体に関与するアフィニティ精製及び診断アッセイは、ここにおいて後述される。
標識ポリペプチド類及びぞれそれに対する抗体は、この技術では周知である。
例としては、HA標識ポリペプチド及びその抗体(Field et al.,Mol.Cell Biol.8:2159-2165(1988));c−myc標識及びそれに対する8F9,3C7,6E10,G4,B7及び9E10抗体(Evan et al.,Molecular and Cellular Biology 5:3610-3616(1985));及び単純ヘルペスウイルス糖蛋白質D(gD)標識及びその抗体が含まれる。Paborsky et al.,Protein Engineering 3(6):547-553(1990)。他の標識ポリペプチドが開示されている。例としては、Flag-ペプチド(Hopp et al.,BioTechnology 6:1204-1210(1988));KT3エピトープペプチド(Martin et al.,Science 255:192-194(1992));α−ツブリンエピトープペプチド(Skinner et al.,J.Biol.Chem.266:15163-15166(1991));及びT7遺伝子10ペプチド標識を含む。Lutz- Freyermuth et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA87:6393-6397(1990)。標識ポリペプチドが一旦選択されたならば、それに対する抗体はここに開示される技術により生成されうる。
エピトープ標識WSXレセプターまたはOB蛋白質の構築及び産生のために好適な一般的方法は、先に開示した方法と同様である。WSXレセプターまたはOB蛋白質−標識ポリペプチド融合体は、WSXレセプターまたはOB蛋白質部分をコードするcDNA配列を、読枠において、標識ポリペプチドDNAに融合し、得られたDNA融合構築物を適切な宿主細胞にて発現させることにより、最も都合よく構築される。通常には、本発明のWSXレセプターまたはOB蛋白質−標識ポリペプチドキメラを調製する場合には、WSXレセプターまたはOB蛋白質をコードする核酸が、標識ポリペプチドのN−末端をコードする核酸の3’末端に融合されるであろうが、5’融合もまた可能である。
エピトープ標識WSXレセプターまたはOB蛋白質は、抗−標識抗体を使用するアフィニティクロマトグラフィーにより都合よく精製されうる。アフィニティ抗体が結合される担体は、ほとんどの場合アガロースであるが、他の担体も利用可能である(例えば、調節多孔性ガラスまたはポリ(スチレンジビニル)ベンゼン)。エピトープ標識WSXレセプターまたはOB蛋白質は、例えば、緩衝溶液のpH若しくはイオン強度の変化、またはカオトロピズム溶媒の添加により、アフィニティカラムから溶離されうる。
ix.WSXレセプターまたはOB蛋白質イムノアドヘシン
適切なイムノグロブリン定常領域配列に結合されたレセプター配列から構築されたキメラ(イムノアドヘシン)が、この技術で知られている。文献中に報告されたイムノアドヘシンは、T細胞レセプター*(Gascoigne et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:2936-2940(1987));CD4*(Capon et al.,Nature 337:525-531(1980);Traunecker et al.,Nature 339:68-70(1980);Zetmeissl et al.,DNA Ceel Biol.USA 9:347-353(1990);Byrn et al.,Nature 344:667-670(1990));L−セレクチン(ホーミングレセプター)(Watson et al.,J.Cell.Biol.110:2221-2229(1990);Watson et al.,Nature 349:164-167(1991));CD44*(Aruffo et al.,Cell 61:1303-1313(1990));CD28*およびB7*(Linsley et al.,J.Exp.Med.174:651-569(1991));CD22*(Stamenkovic et al.,Cell 66:1133-1144(1991));TNFレセプター(Ashkenazi et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:10535-10539(1991);Lesslauer et al.,Eur.J.Immnol.27:2883-2886(1991);Peppel et al.,J.Exp.Med.174:1483-1489(1991));NPレセプター(Benett et al.,J.Biol.Chem.266:23060-23067(1991));並びにIgEレセプターα*(Ridgway et al.,J.Cell Biol.115:abstr.1448(1991))の融合物を含み、ここにおいてアステリスク(*)は、レセプターがイムノグロブリンの上位科の構成員であることを示す。
最も単純かつ最も素直なイムノアドヘシンの設計は、“アドヘシン”蛋白質の結合領域を、イムノグロブリン重鎖のヒンジ及びFc領域と組み合わせることである。一般に、本発明のWSXレセプターまたはOB蛋白質−イムノグロブリンキメラを調製する場合に、OB蛋白質またはWSXレセプターの細胞外領域をコードする核酸が、C−末端においてイムノグロブリン定常領域配列のN−末端をコードする核酸に融合されるが、N−末端の融合も可能である。OB−イムノグロブリンキメラについては、WSXレセプターに対する結合能力を維持したOB蛋白質の断片が使用され得る。
典型的には、このような融合において、コードされるキメラポリペプチドは、少なくともイムノグロブリン重鎖の機能的に活性化ヒンジ、定常領域のCH2及びCH3領域を維持するであろう。融合は、定常領域のFc部分のC−末端、若しくは重鎖のCH1に対して直ぐN−末端側、または軽鎖の対応する領域においても行われる。
融合が行われる厳密な位置は重要ではなく;特定の部位は周知であり、またWSXレセプターまたはOB−イムノグロブリンキメラの生物学的活性、分泌または結合特性を最適化するように選択されうる。
いくつかの実施態様において、基本的にはWO91/08298に例示されるように、WSXレセプターまたはOB−イムノグロブリンキメラは、単量体、または異種−若しくは同種多量体、特には二量体または三量体として集合する。
好ましい実施態様において、OB蛋白質配列またはWSXレセプター細胞外領域配列は、例えばイムノグロブリンG1(IgG1)等のイムノグロブリンのエフェクター機能を含む抗体のC−末端部分(特にFc領域)のN−末端に融合される。重鎖定常領域の全体を、OB蛋白質またはWSXレセプター細胞外領域配列に融合することも可能である。しかしながら、より好ましくはパパイン切断部位の直ぐ上流のヒンジ領域から始まる配列(IgGのFcを化学的に定義し;重鎖定常領域の最初の残基を114位として、残基216、または他のイムノグロブリンの類似する部位)が、融合に使用される。特に好適な実施態様において、OB蛋白質またはWSXレセプターアミノ酸配列は、IgG1、IgG2、またはIgG3重鎖のヒンジ領域、CH2及びCH3、またはCH1、ヒンジ、CH2及びCH3領域に対して融合される。融合が行われる厳密な部位は重要ではなく、至適部位は常法の実験により決定されうる。
いくつかの実施態様において、WSXレセプターまたはOB−イムノグロブリンキメラは、多量体として、及び特には同種二量体または四量体として集合する。一般的にはこれらの集合体イムノグロブリンは、既知の単位構造を有するであろう。基本的な4本鎖構造単位は、IgG、IgD及びIgEが存在する形態である。4本単位は、より高分子量のイムノグロブリンにおいて反復され;IgMは、ジスルフィド結合により互いに保持される基本的4本単位の五量体として一般には存在する。IgAグロブリン及び場合によってはIgGグロブリンは、血清中において多量体としても存在しうる。多量体の場合、各4本単位は、同じであるかまたは異なってもよい。
本発明の範囲にある種々の典型的な集合WSXレセプターまたはOB−イムノグロブリンキメラは、下記に模式的に図表化される:(a)ACL-ACL;(b)ACH-(ACH,ACL-ACH,ACL-VHCH,またはVLCL-ACH);(C)ACL-ACH-(ACL-ACH,ACL-VHCH,VLCL-ACH,またはVLCL-VHCH);(d)ACL-VHCH-(ACH,またはACL-VHCH,またはVLCL-ACH);(e)VLCL-ACH-(ACL-VHCH,またはVLCL-ACH):及び(f)(A-Y)n-(VLCL-VHCH)2,式中、各Aは、同じまたは異なったOB蛋白質またはWSXレセプターのアミノ酸配列を表し;
VLは、イムノグロブリン軽鎖可変領域であり;
VHは、イムノグロブリン重鎖可変領域であり;
CLは、イムノグロブリン軽鎖の定常領域であり;
CHは、イムノグロブリン重鎖の定常領域であり;
nは、1より大きい整数であり;
Yは、共有的交差結合試薬の残基を示す。
簡潔さのために前述の構造は、基本的特徴のみを示し;それらはイムノグロブリンの連結部(J)または他の領域は示されず、またジスルフィド結合も示されない。しかしながら、そのような領域が結合活性のために必要な場合には、それらはイムノグロブリン分子に占める通常の位置に存在するように構築されるであろう。
別法として、OB蛋白質またはWSXレセプター細胞外領域配列は、イムノグロブリン重鎖及び軽鎖の間にされ得、而してキメラ重鎖を有するイムノグロブリンが得られる。この実施態様において、OB蛋白質またはWSXレセプター配列は、イムノグロブリンの各アームにおけるイムノグロブリン重鎖の3’末端に対して、ヒンジ及びCH2領域の間またはCH2及びCH3領域の間の何れかにおいて融合される。類似する構築物が、Hoogenboom et al.,Mol.Immunol.28:1027-1037(1991)により報告されている。
イムノグロブリン軽鎖の存在は、本発明のイムノアドヘシンにおいては必要とされないが、イムノグロブリン軽鎖は、OB蛋白質またはWSXレセプター−イムノグロブリン重鎖融合ポリペプチドに共有的に結合するか、あるいは、WSXレセプター細胞外領域またはOB蛋白質に直接に融合するかの何れかで存在するであろう。前者の場合、イムノグロブリン軽鎖をコードするDNAは、典型的にはOB蛋白質またはWSXレセプター−イムノグロブリン重鎖融合蛋白質をコードするDNAと共に発現される。分泌に際して、ハイブリッド重鎖及び軽鎖は共有的に結合して、2個のジスルフィド結合したイムノグロブリン重鎖−軽鎖対を有するイムノグロブリン様構造を与えるであろう。このような構造の調製のための好適な方法は、例えば1989年3月28日発行の米国特許第4,816,567号に開示されている。
好適な実施態様において、本発明のイムノアドヘシンの構築に使用されるイムノグロブリン配列は、IgGイムノグロブリン重鎖定常領域に由来する。ヒトイムノアドヘシンについては、ヒトIgG1及びIgG3イムノグロブリン配列の使用が好ましい。IgG1を使用することの主な優位点は、IgG1イムノアドヘシンが固定化蛋白質Aにて効率的に精製されうることである。対照的に、IgG3の精製には顕著により不安定な媒体である蛋白質Gを必要とする。しかしながら、特定のイムノアドヘシン構造のためのIg融合のの相手を選択する際には、イムノグロブリンの他の構造的及び機能的性質を考慮しなければならない、例えば、IgG3のヒンジはより長く、より柔軟性であって、それはIgG1と融合させた場合に、適切に畳み込みまたは機能しないであろうより大きいアドヘシン領域を適合させうる。他の考慮点は荷電であり;IgGイムノアドヘシンは2価の同種二量体である一方で、IgA及びIgM等のIgサブタイプは、基本的同種二量体単位の二量体または五量体をそれぞれ与えるであろう。インビボでの適用のために設計されるイムノアドヘシンについては、Fc領域により特定される動薬理学的性質及びエフェクター機能も重要である。いずれも21日のインビボ半減期を有するIgG1、IgG2及びIgG4であるが、それらの相補系を活性化する相対的能力は異なっている。IgG4は相補系を活性化せず、IgG2は相補体活性化においてIgG1よりも顕著に弱い。更にIgG1とは異なって、IgG2は単核細胞または好中球のFcレセプターに結合しない。IgG3は、相補体活性化においては至適であるが、インビボ半減期は、他のIgGアイソタイプの約3分の1である。ヒト治療において使用すべく設計されるイムノアドヘシンについての他の重要な考慮点は、特定のアイソタイプのアロタイプ変異体の数である。一般に、血清学的に定義されるアロタイプのより少ないIgGアイソタイプが好ましい。例えば、IgG1は、4種の血清学的に定義されるアロタイプ部位を有し、それらの内の2種(G1m及び2)はFc領域に位置し;これらの部位の内のG1m1は、非免疫原性である。対照的に、IgG3には12種の血清学的に定義されるアロタイプがあり、これらの全てはFc領域にあり;これらの部位の内わずかに3種(G3m5、11及び21)のみが非免疫原性である1個のアロタイプを有する。従って、γ3イムノアドヘシンの潜在的免疫原性は、γ1イムノアドヘシンよりも大きい。
親としてのイムノグロブリンに関しては、2個の重鎖間でジスルフィド結合を形成するヒンジのシステインの直ぐ上流が、有用な結合点である。しばしば使用される設計においては、分子のWSXレセプターまたはOB蛋白質部分のC−末端残基のコドンが、IgGヒンジ領域の配列DKTHTCPPCP(配列番号:44)のコドンの直ぐ上流におかれる。
イムノアドヘシンの構築及び発現のための好適な一般的方法は、WSXレセプター及びOB蛋白質についてここで開示した方法と同様である。イムノアドヘシンは、WSXレセプターまたはOB蛋白質部分をコードするcDNAを、読枠においてIgのcDNA配列に融合することにより最も都合よく構築される。しかしながら、ゲノムIg断片に対する融合も使用され得る(例えば、Gascoigne et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:2936-2940(1987);Aruffo et al.,Cell 61:1303-1313(1991);Stamenkovic et al.,Cell 66:1133-1144(1991)参照)。
後者の型の融合は、発現のためのIg制御配列の存在を必要とする。IgG重鎖定常領域をコードするcDNAは、発表された配列に基づいて、ハイブリダイゼーションまたはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術により、脾臓または末梢血リンパ細胞から誘導されたcDNAライブラリーから単離されうる。イムノアドヘシンのWSXレセプターまたはOB蛋白質及びIg部分をコードするcDNAは、選択した宿主細胞にて効率的発現が可能なプラスミドベクター中に縦列にて挿入される。哺乳動物細胞での発現のためには、pKR−5(Schall et al.,Cell 61:361-370(1990))及びCDM−8ベースのベクター(Seed,Nature 329:840(1989))が使用され得る。正確な結合部分は、設計された結合部分コドン間の付加的配列を、オリゴヌクレオチド特異的削除変異生成を使用して除去することにより生成されうる(Zoller et al.,Nucleic Acids Res.10:6487(1982);Capon et al.,Nature 337:525-531(1989))。合成的オリゴヌクレオチドが、各半分が所望の結合部分の何れかの側に相補的であるようにし、理想的には36−48量体として使用され得る。別法として、PCR技術が、分子の2個の部分を読枠内において、適当なベクターに結合させるために使用され得る。
イムノアドヘシンの発現用の宿主細胞系の選択は、主として発現ベクターに依存する。他の考慮点は、必要とされる蛋白量である。ミリグラム量が、一時的トランスフェクトによりしばしば産生されうる。例えば、アデノウイルスEIA−形質転換293ヒト胚腎細胞系は、リン酸カルシウム法の修飾によってpRK5ベースのベクターにより一時的にトランスフェクトされ、効率的イムノアドヘシン発現を許容する。CDM−8ベースのベクターは、DEAE−デキストラン法によってCOS細胞のトランスフェクトに使用され得る(Aruffo et al.,Cell 61:1303-1313(1990);Zettmeissl et al.,DNA Cell Biol.USA 9:347-353(1990))。大量の蛋白質が必要な場合、イムノアドヘシンは、宿主細胞系の安定な形質転換の後に発現されうる。例えば、pRK5−ベースのベクターは、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)をコードし、G418に対する耐性を付与する付加的なプラスミドの存在下で、モルモット卵巣(CHO)細胞に導入されうる。
G418耐性のクローンが培養物中に選択でき;これらのクローンは、増大する濃度のDHFR阻害剤メトトレキセートの存在下で育成され;クローンが選択され、ここにおいてDHFR及びイムノアドヘシン配列をコードする遺伝子コピー数が共に増幅される。イムノアドヘシンがN−末端に疎水性先行配列を含む場合には、それが処理され、トランスフェクトされた細胞から分泌されるであろう。
より複雑な構造を持ったイムノアドヘシンの発現には、特有に適合させた宿主細胞が必要とされ、例えば軽鎖またはJ鎖部分がある種の骨髄腫またはハイブリドーマ細胞により提供されるであろう(Gascoigne et al.,前出文献;Martin et al.,J.Virol.67:3561-3568(1993))。
イムノアドヘシンは、アフィニティクロマトグラフィーにて都合よく精製されうる。アフィニティリガンドとしての蛋白質Aの適合性は、キメラにおいて使用されたイムノグロブリンのFc領域の種及びアイソタイプに依存する。蛋白質Aは、ヒトγ1、γ2、またはγ4重鎖に基づくイムノアドヘシンの精製に使用され得る(Lindmark et al.,J.Immunol.Meth.62:1-13(1983))。蛋白質Gは、全てのマウスアイソタイプ及びヒトγ3について推奨される(Guss et al.,EMBO J.5:1567-1575(1986))。アフィニティリガンドが結合される担体は多くの場合にアガロースであるが、他の担体も使用可能である。調節多孔性ガラスまたはポリ(スチレンビニル)ベンゼン等の機械的に安定な担体は、アガロースにより達成されるよりも早い流速及び短時間の処理を可能とする。イムノアドヘシンの蛋白質AまたはGアフィニティカラムに対する結合条件は、Fc領域、即ちその種及びアイソタイプにより完全に指示されうる。一般的に、適切なリガンドが選択されれば、効率的結合が条件調節されない培養液から直接に生じる。イムノアドヘシンの際だった特徴は、ヒトのγ1分子については、蛋白質Aの結合容量が同じFc型の抗体に比較して若干低下していることである。結合したイムノアドヘシンは、酸性pH(3.0またはそれ以上)または穏和なカオトロピズム塩を含む中性pH緩衝溶液の何れかにて、効率的に溶離されうる。このアフィニティクロマトグラフィー工程は、>95%の純粋なイムノアドヘシン調製物を生じうる。
イムノアドヘシンを精製するために、蛋白質AまたはGでのアフィニティクロマトグラフィーに代えて、またはそれに加えて、この技術で既知の他の方法も使用されうる。イムノアドヘシンはイオウ−親和性ゲルクロマトグラフィーにおいて抗体と同様に挙動し(Hutchens et al.,Anal.Biochem.159:217-226(1986))、また金属キレートクロマトグラフィーに固定化される(Al-Mashikhi et al.,J.Dairy Sci.71:1756-1763(1988))。しかしながら、抗体とは対照的に、イオン交換カラムにおけるそれらの挙動は、それらの等電点のみならず、それらのキメラの性質のために分子に存在する荷電二極性によっても予想される。
所望により、イムノアドヘシンは二重特異的に作成されうる。而して、本発明の意味のアドヘシンは、WSXレセプター細胞外領域を、他のサイトカインレセプターサブユニツトの細胞外領域等と組み合わせてもよい。このような二重特異的イムノアドヘシン分子が作成されるサイトカインレセプターは、TPO(またはmplリガンド)、EPO、IL−4、IL−7、GH、PRL、IL−3、GM−CSF、IL−5、IL−6、LIF、OSM、CNTF及びIL−2を含む。別法として、OB蛋白質領域は、二重特異的イムノアドヘシンの生成において、ここに例示されるような他のサイトカインと組み合わされてもよい。二重特異的分子について、それらの抗体様構造の一つのアームにキメラ抗体重鎖、及び他のアームにキメラ抗体軽鎖からなる三量体分子が、精製の容易性の点から有利である。二重特異的イムノアドヘシンの酸性に伝統的に使用され、10種の四量体の混合物を産生する抗体産生四量体とは対照的に、三量体イムノアドヘシン構造の3本の鎖をコードする核酸によりトランスフェクトされた細胞は、3種の分子の混合物のみを産生し、この混合物からの所望の生成物の精製は、対応してより容易である。
x.OB蛋白質の長い半減期の誘導体
本発明の方法において使用される好ましいOB蛋白質機能性誘導体は、OB−イムノグロブリンキメラ(イムノアドヘシン)及び他の長半減期分子を含む。OB蛋白質イムノアドヘシンの創生技術は上述した。好ましいOBイムノアドヘシンは、実施例11に記述される技術に従って製造される。
天然分子より長い半減期を有するOB蛋白質の他の誘導体は、非蛋白性ポリマーに共有的に結合されたOB蛋白質またはOB−イムノグロブリンキメラを含む。非蛋白性ポリマーは、通常は親水性合成ポリマー、即ち天然には他に見出されないポリマーである。しかしながら、天然の供給源から単離されるポリマーのように、天然に存在し、また組み換え的若しくはインビトロの方法により産生されるポリマーは有用である。親水性ポリビニルポリマー、例えばポリビニルアルコール及びポリビニルピロリドンは、本発明の範囲内にはいる。特に有用なものは、ポリエチレングリコール(PEG)等のポリアルキレンエステル;ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、及びポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンとのブロックコポリマー(PluronicsTM)等のポリエルキレン;ポリメタクリレート;カルボマー;ラクトース、アミロプクチン、デンプン、ヒドロキシエチルデンプン、アミロース、デキストランサルフェート、デキストラン、デキストリン、グリコーゲン、若しくは例えばヒアルロン酸等の酸ムコポリサッカライドのポリサッカライドサブユニット等の、ホモポリサッカライドまたはヘテロポリサッカライドを含む、サッカライド単量体、D−マンノース、D−およびL−ガラクトース、フコース、フラクトース、D−キシロース、L−アラビノース、D−グルクロン酸、シアル酸、D−ガラクツロン酸、D−マンニュロン酸(例えば、ポリマンニュロン酸またはアルギン酸)、D−グルコサミン、D−ガラクトサミン、D−グルコース、及びノイラミン酸からなる分枝鎖また非分枝鎖のポリサッカライド;ポリソルビトール及びポリマンニトール等の糖アルコールのポリマー;ヘパリン若しくはヘパロンを含む。該ポリマーは、好ましくは水溶性であるが、交差結合の前にはそうである必要はなく、しかしながら接合体は水溶性でなければならない。更に、該ポリマーは、接合体形態で高度に免疫原性であってはならず、また血管内輸液または注射により投与されるべき場合には、このような経路に適合しないような粘性を有してはならない。
好ましくは該ポリマーは、反応性の単一の基のみを有する。このことは、蛋白質分子の交差結合の防止を助ける。しかしながら、交差結合を低減すべく反応条件を至適化すること、または実質的に均質な誘導体を回収するために、ゲル濾過またはクロマトグラフィー的ふるいを通して反応生成物を精製することは、ここにおける権利範囲内にある。
該ポリマーの分子量は、望ましくは約100〜500,000の範囲にあり、好ましくは約1,000〜20,000である。選択される分子量は、ポリマーの性質及び置換の程度に依存するであろう。一般的には、ポリマーの親水性がより大きく、かつ置換の程度が大きいほど、採用される分子量はより小さい。至適分子量は、常法の実験により決定されるであろう。
該ポリマーは、該ポリマー及び結合されるべきOB蛋白質またはOB−イムノグロブリンキメラの1個以上のアミノ酸または糖残基と反応する多官能性交差結合試薬を介して、OB蛋白質またはOB−イムノグロブリンキメラに共有的に結合される。しかしながら、誘導化ポリマーをハイブリッドと直接結合させることにより、該ポリマーを直接に交差結合させること、またはその逆も、本発明の範囲にある。
OB蛋白質またはOB−イムノグロブリンキメラの共有的交差結合部位は、N−末端アミノ基及びリジン残基に見出されるイプシロンアミノ基、並びに他のアミノ、イミノ、カルボキシル、スルヒドリル、ヒドロキシまたは他の親水性基を含む。該ポリマーは、多官能性(通常二官能性)交差結合試薬を使用することなくハイブリッドに直接に共有的に結合されうる。アミノ基に対する共有結合は、塩化シアヌル酸、カルボニルジイミダゾール、アルデヒド反応基(PEGアルコキシドとブロモアセトアルデヒドのジエチルアセタール;PEGとDHSO及び無水酢酸;PEGと4−ヒドロキシベンズアルデヒドのフェノキシド、スクシンイミジル活性化エステル、活性化ジチオカルボネートPEG、2,4,5−トリクロロフェニルクロロホルメートまたはP−ニトロフェニルクロロホルメート活性化PEG)に基づく既知の化学によりなされる。カルボキシル基は、カルボジイミドを使用してPEG−アミン結合により誘導される。
ポリマーは、化学試薬、例えばメタ過ヨウ素酸または酵素、例えばグルコース若しくはガラクトースオキシダーゼ(何れかが炭水化物のアルデヒド誘導体を生成する)を使用する酸化により、次いでオリゴサッカライドのビオチンまたはアビジンにより標識に関するHeitzmann et al.,P.N.A.S.71:3537-41(1974)またはBayer et al.,Methods in Enzymology 62:310(1979)により記述されるのと同様な方法でヒドラジンまたはアミノ誘導体ポリマーとの反応により、オリゴサッカライドの基に接合される。更に、オリゴサッカライドを結合するために使用された他の化学的または酵素的方法は、一般に誘導のためのアミノ酸部位よりも少ない置換が存在し、従ってオリゴサッカライド生成物はより均質であるため、特に有利である。オリゴサッカライド置換基は、場合により酵素消化、例えばノイラミニダーゼ消化により、ポリマー誘導に先立って修飾されてもよい。
該ポリマーは、結合されるポリペプチドのアミノ酸側鎖、またはN−若しくはC−末端に対して直接に反応性を有するか、または多官能性交差結合試薬と反応性の基を有する。一般的に、このような反応性基を有するポリマーは、固定化蛋白質の調製について知られている。ここにおいてこのような化学を使用するためには、蛋白質固定化のために従来使用された不溶性ポリマーと同様な様式で誘導するのでなければ、水溶性ポリマーを採用しなければならない。シュウ化シアン活性化は、ポリサッカライドの交差結合において採用するために、特に有用な手法である。
出発ポリマーについて称される“水溶性”とは、接合のために使用される該ポリマーまたは反応性中間体が、誘導反応に関与するために充分に水溶性であることを意味する。
ポリマー接合体について称される“水溶性”とは、該接合体が血液糖の生理学的液体に可溶性であることを意味する。
このようなポリマーによる置換の程度は、蛋白質上の反応部位の数、蛋白質の全てまたは断片が使用されるか、該蛋白質が異種蛋白質との融合物であるか否か(例えばOB−イムノグロブリンキメラ)、分子量、親水性、及びポリマーの他の性質、並びに選択される特定の蛋白質誘導部位等に依存して変化するであろう。一般的に、接合体は1〜10個のポリマー分子を有し、一方で任意の異種的配列は、所望の活性が有意に悪影響を受けない限り、基本的には限定されない個数のポリマー分子により置換されてもよい。交差結合の至適な程度は、所望の提要にて機能する接合体の能力が決定された後には、置換の程度を変化させるための時間、温度及び他の反応条件が変化する実験的マトリクスにより容易に決定される。
例えばPEG等のポリマーは、PEG等の非蛋白ポリマーによる蛋白質の共有的修飾について、それ自体既知の広範囲の方法により交差結合される。しかしながら、これらの方法のいくつかは、ここにおける目的に対しては好ましくない。
塩化シアヌル酸化学は、蛋白質交差結合を含む多くの副反応を招く。更に、それは特にスルヒドリル基を含む蛋白質の不活性化を導く恐れが大きい。カルボニルジイミダゾール化学(Beauchamp et al.,Anal.Biochem.,131:25-33(1983))は、高いpH(>8.5)を必要とし、これは蛋白質を不活性化しうる。更に、“活性化PEG”中間体は水と反応しうる為、蛋白質に対して大過剰モルの“活性化PEG”が必要とされる。カルボニルジイミダゾール化学に要求される高濃度のPEGは、ゲル濾過クロマトグラフィー及び親水性クロマトグラフィーの両者に対して悪影響を与えるため、精製において問題を生じる。加えて、高濃度の“活性化PEG”は、蛋白質を沈殿させ得、これはそれ自体既に指摘されている問題点である(Davis,米国特許第4,179,337)。他方において、アルデヒド化学(Royer,米国特許第4,002,531)は、わずかに40倍のモル過剰量のPEG及び1−2時間のインキュベートを必要とすることから、より効率的である。しかしながら、“断言されているPEGの金属ベース酸化剤と複合体を形成する傾向の為に”(Harris et al.,J.Polym.Sci.Polym.Chem.Ed.22:341-52(1984))、PEGアルデヒドの調製についてRoyerにより示唆された二酸化マンガンは問題である。DMSO及び無水酢酸を使用するMoffatt酸化の使用は、この問題を取り除く。更にRoyerにより示唆されたナトリウムボロヒドリドは高いpHにおいて使用されなければならず、ジスルフィド結合を還元する顕著な傾向を有する。対照的に、ナトリウムシアノボロヒドリドは、中性pHにおいて有効であり、ジスルフィド結合を還元する極めてわずかな傾向のみを有するため、好ましい。
本発明のOB蛋白質またはOB−イムノグロブリンキメラを修飾するための官能化PEGポリマーは、Shearwater Polyner,Inc.(Huntsville,AL)から入手可能である。このように商業的に入手可能なPEGポリマーは、限定されるものではないが、アミノ−PEG、PEGアミノ酸エステル、PEG−ヒドラジド、PEG−チオール、PEG−コハク酸塩、カルボキシメチル化PEG、PEG−プロピオン酸、PEGアミノ酸、PEGスクシンイミジルスクシネート、PEGスクシンイミジルプロピオネート、カルボキシメチル化PEGのスクシンイミジルエステル、PEGのスクシンイミジルカルボネート、アミノ酸PEGのスクシンイミジルエステル、PEG−オキソカルボニルイミダゾール、PEG−ニトロフェニルカルボネート、PEGトレシレート、PEG−グリシジルエーテル、PEG−アルデヒド、PEGビニルスルホン、PEG−マレイミド、PEG−オルトピリジル−ジスルフィド、異種官能性PEG、PEGビニル誘導体、PEGシラン、及びPEGホスホライドを含む。これらのPEG誘導体を結合させるための反応条件は、蛋白質、所望のPEG化の程度及び使用されるPEG誘導体に依存して変化するであろう。PEG誘導体の選択におけるいくつかの因子は、所望の結合点(リジンまたはヒスチジン)、誘導体の加水分解安定性及び反応性、安定性、結合の毒性及び抗原性、分析に対する適合性等を含む。任意の特定の誘導体の使用に関する特定の指導は、製造者から入手可能である。
本発明の長半減期接合体は、未反応原料からゲル濾過により分離できる。接合体の異種的分子種は、同様な方法で他から精製される。該ポリマーは疎水性ゲルとして水不溶性であってもよい。
接合体は、イオン交換クロマトグラフィーによっても精製されうる。親電子的に活性化されたPEGの多くの化学は、PEG化生成物のアミノ基の電荷を低下させる。而して、高分解能イオン交換クロマトグラフィーは、遊離及び接合蛋白質を分離するために使用され得、また異なるPEG化の程度を持った分子種を分離するために使用され得る。実際に、異なる分子種(例えば1個または2個のPEG残基を有する)の分離は、未反応アミノ酸のイオン的性質の差異によって可能である。
B.WSXレセプターの治療的使用
WSXレセプター及びWSXレセプター遺伝子は、造血細胞における減少に特徴づけられる疾患の治療において、哺乳動物に投与するために治療的用途が見出されると考えられる。これらの疾患の例は、貧血(大球性及び無形成貧血);血小板減少症;形成不全;散在性血管内凝集(DIC);骨髄形成不全;免疫(自己免疫)血小板減少性紫斑(ITP);HIV誘導ITPを含む。加えて、これらのWSXレセプター分子は、骨髄増殖性血小板細胞疾患並びに炎症症状及び鉄欠乏における血小板増加症の治療において有用であり得る。造血細胞増殖を導くWSXレセプターポリペプチド及びWSXレセプター遺伝子は、化学若しくは放射線療法または骨髄移植療法を受けた細胞における成熟血液細胞系の再母集団形成を促進する為にも使用され得る。一般的にはWSXレセプター分子は、初原的造血細胞の増殖及び/または分化(特には増殖)を増強するものと期待される。
WSXレセプター及びWSXレセプター遺伝子の他の可能性ある治療適応用は、肥満及び糖尿病、並びに腎臓、肝臓及び肺の生育及び/または修復(例えば腎不全)を促進する為の処置を含む。WSXレセプターは、II型成人糖尿病、生殖無能、過コレステロール血症、高脂血症、動脈疾患及び高血圧等の肥満関連症状の処置にも使用され得る。
WSXレセプターは、上記に示した臨床状況において、単独またはサイトカイン(OB蛋白質等)、成長因子若しくは抗体類との組み合わせにおいて投与されうる。これは、WSXレセプター投与量の効果的な低減を促す。このような付加的分子の好適な投与量は、下記に議論される。
内因性WSXレセプターの低減した水準またはWSXレセプター遺伝子の不能を有する哺乳動物に対するWSXレセプターの投与は、好ましくはそのような低減した水準が病理的な疾患を導くか、WSXレセプターの活性化を欠く場合に考慮される。全長のWSXレセプターが患者に投与されるこれらの実施態様において、該レセプターをコードする遺伝子が、遺伝子療法技術によって患者に投与されうる。
遺伝子療法の適用において、例えば欠陥遺伝子との置き換えによって、治療的に有効な遺伝子産物のインビボにての合成が達成されるように、遺伝子が細胞に導入される。“遺伝子療法”とは、単一の処置によって継続的効果が達成される慣用の遺伝子療法と、1回または反復する治療的に有効なDNAまたはmRNAの投与を含む遺伝子治療薬の投与との両者を含む。アンチセンスRNA及びDNAは、インビボにおけるある遺伝子の発現を阻止するための治療剤として使用され得る。細胞膜により制限された取り込みのために低い細胞内濃度ではあるが、短いアンチセンスオリゴヌクレオチドが、それらが阻害剤として作用する細胞中に取り入れられることが既に示されている(Zamecnik et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 83:4143-4146(1986))。該オリゴヌクレオチドは、例えば、それらの負に荷電するホスホジエステル基を非荷電基に置換することにより、それらの取り込みを向上するように修飾されうる。
核酸を性細胞に導入する為の種々の技術が利用可能である。この技術は、核酸が、インビトロでの培養細胞中、または意図する宿主の細胞にインビボにおいて移送されるかにより変化する。核酸をインビトロにおいて哺乳動物細胞に移送する技術は、リポソーム、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、細胞融合、DEAE−デキストラン、リン酸カルシウム沈殿法等の使用を含む。
最近好まれるインビボ遺伝子移送技術は、ウイルス性(典型的にはレトロウイルス性)ベクターによるトランスフェクション、及びウイルス被覆蛋白−リポソーム媒介トランスフェクションが含まれる(Dzau et al.,Trends in Biotechnology 11:205-210(1993))。ある場合には、核酸供給源を標的細胞の細胞表面膜蛋白質に特異的抗体、標的細胞のレセプターに対するリガンド等の標的細胞を標的とする試薬と共に提供することが望ましい。リポソームが使用される場合、エンドサイトーシスに関連する細胞表面膜蛋白質に結合する蛋白質が、標的を定め及び/または取り込みを促進するために使用されてよく、例えば、特定の細胞に対して向性を持ったカプシド蛋白質またはその断片、周期において内部化を行う蛋白質に対する抗体、及び細胞内局在化を標的とし、細胞内半減期を向上する蛋白質がある。レセプター媒介エンドサイトーシスの技術は、例えば、Wu et al.,J.Biol.Chem.262:4429-4432(1987);及びWagner et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:3410-3414(1990)により記述されている。最近知られている遺伝子の標識付け及び遺伝子治療プロトコールの検討にはAnderson et al.,Science 256:808-813(1992)参照。
本発明はWSXレセプター活性化の拮抗剤を提供する(例えば、WSXレセプターECD、WSXレセプターイムノアドヘシン、及びWSXレセプターアンチセンス核酸、中和抗体等、またその使用に関しては下記E節に検討される)。WSXレセプター拮抗剤の増大または過剰レベルの内因性WSXレセプター活性化の哺乳動物に対する投与は、好ましくはそのような水準のWSXレセプター活性化が病理学的疾患を導く場合に考慮される。
ある実施態様において、WSXレセプター拮抗剤分子は、特には血清中のWSXリガンド濃度が通常の生理学的水準をこえる場合等、体内で内因性リガンドを結合するために使用され得、これによって不感応的になったWSXレセプターをWSXリガンドに対して応答可能とする。また、望まれない細胞応答(例えば、腫瘍細胞の増殖)を活性化している内因性WSXレセプターに結合することも利益をもたらす。WSXレセプター拮抗剤の可能性ある治療適応用は、例えば、代謝性疾患(食欲不振、悪液質、ステロイド誘発体幹肥満、及び食欲喪失、食物摂取の減少または体重減少により特徴づけられる他の衰弱性疾患)、幹細胞腫瘍、及びWSXレセプター発現する他の腫瘍の処置を含む。
WSXレセプターECDの医薬組成物は、更にWSXリガンドを含んでよい。
このような二重組成物は、それがWSXリガンドの半減期を延ばすために治療的に有用である場合、及び/または異種三量体複合体として直接に内因性WSXレセプターを活性化する場合に利点があるであろう。WSXレセプターの治療用剤形は、貯蔵のために、所望の純度を有するWSXレセプターを場合により生理学的に許容される担体、賦形剤、または安定化剤(Remington's Pharmaceutical Science,16th edition,Osol,A.,Ed.,(1980))と混合することにより、凍結乾燥ケーキまたは水溶液の形態で調製される。許容される担体、賦形剤及び安定化剤は、使用される投与量及び濃度において受容者に対して非毒性であり、リン酸、クエン酸、及び他の有機酸等の緩衝剤;アスコルビン酸を含む抗酸化剤;低分子量(約10残基未満)のポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、またはイムノグロブリン等の蛋白質;ポリビニルピロリドン等の親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、またはリジン等のアミノ酸;グルコース、マンノースまたはデキストリンを含むモノサッカライド、ジサッカライドまたは他の炭水化物;EDTA等のキレート化剤;マンニトールまたはソルビトール等の糖アルコール;ナトリウム等の塩形成対イオン;Tween,Pluronics TMまたはポリエチレングリコール(PEG)等の非イオン性界面活性剤を含む。
WSXレセプターは、例えばコアセルベート化技術または界面重合(例えば、それぞれ、リポソーム、ヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチンマイクロカプセル及びポリ−(メチルメタクリレート)マイクロカプセル)により調製され、コロイド状薬剤分配システム(例えば、リポソーム、アルブミン微小球、マイクロエマルジョン、ナノパーティクル、及びナノカプセル)において、またはマクロエマルジョンにおいて、マイクロカプセルに取り込まれてもよい。このような技術は、Remington's Pharmaceutical Science,前出文献に開示されている。
インビボでの投与に使用するためのWSXレセプターは、滅菌的でなければならない。これは、凍結乾燥及び再構成に先行してまたはその後に、滅菌フィルター膜を通して濾過により容易に行われうる。WSXレセプターは通常凍結乾燥形態または溶液にて貯蔵されるであろう。
治療用WSXレセプター組成物は、一般に例えば静脈内溶液バッグまたは皮下注射針で刺すことが出来るストッパを有するバイアル等の滅菌的な連通部を有する容器内に収容される。
WSXレセプター投与の経路は、既知の方法に従って、、例えば、特定の指示について上述した経路並びに静脈内、腹腔内、脊髄内、筋内、眼内、動脈内、病変部内に注射または輸液の経路、または下記の徐放系である。WSXレセプターは、輸液により継続的に、または大量注射により投与される。一般に、疾患が許容できれば、製剤化してWSXレセプターを部位特異的分配により投与すべきである。
徐放調製物の好ましい例は、蛋白質を含有する固体疎水性ポリマーの半透過性担体を含み、担体は、フィルムまたはマイクロカプセル等の成形された形態である。徐放性担体の例は、ポリエステル、Langer et al.,J.Biomed.Mater.Res.15:167-277(1981)及びLanger,Chem.Tech.12:98-105(1982)に記述されるハイドロゲル(例えば、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリラクチド(米国特許第3,773,919、EP 58,481)、L−グルタミン酸及びγエチル−L−グルタメートのコポリマー(Sidman et al.,Biopolymers 22:547-556(1983))、非−分解性エチレン−ビニルアセテート(Langer et al.,前出文献)、Lupron DepotTM(乳酸−グリコール酸コポリマー及びロイプロライドアセテートからなる注射可能な微小球)等の分解性乳酸−グリコール酸コポリマー、並びにポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸(EP 133,988)を含む。
ポリエチレン−ビニルアセテート及び乳酸−グリコール酸コポリマーのポリマーは、100日にわたって分子の放出を可能とする一方で、ある種のハイドロゲルは、蛋白質をより短期間で放出する。カプセル化された蛋白質が体内に長期間残ると、湿り気の中に37℃にて曝された結果、それらは変性し、または凝集して生物学的活性及び免疫原性の生じうる変化をもたらす。関連する機構に応じて蛋白質の安定化のために合理的な手段が考案されうる。例えば、凝集の機構が、チオ−ジチオ交換を介しての分子間S−S結合形成であることが見出された場合、安定化はスルヒドリル残基の修飾、酸性溶液からの凍結乾燥、水分量の調整、適切な添加剤の使用及び特定のポリマー担体組成物を開発等によって達成されうる。
徐放性WSXレセプター組成物は、リポソーム捕捉WSXレセプターも含む。
WSXレセプターを含むリポソームは、それ自体既知の方法により調製される:Hwang et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4030-4034(1980);EP 52,322;EP 36,676;EP 88,046;EP 143,949;EP 142,641;日本国特許出願83-118008;米国特許第4,485,045及び4,544,545号;及びEP 102,324。通常、リポソームは小型(約200−800オングストローム)の単層型で、その脂質含量は約30%コレステロール以上であり、選択される比率は至適WSXレセプター治療のために調節される。
局所的に適用される場合、WSXレセプターは好適には担体及び/または賦形剤等の他の成分と組み合わされる。このような他の成分にはそれらが生理学的に許容され、かつ予定する投与について有効であり、組成物の活性成分の活性を破壊しないことを除いて、性質に制限はない。好適なベヒクルの例は、軟膏、クリーム、ゲル、または懸濁物であり、精製されたコラーゲンを含むかまたは含まない。該組成物は経皮的パッチ、プタスター、またはバンデージに、好ましくは液体または半液体の形態で含浸させてもよい。
ゲル剤型を得るためには、液体組成物中に製剤化されたWSXレセプターを、局所投与に適当な粘性のゲルを形成すべく、有効量の水溶性ポリサッカライドまたはPEG等の合成ポリマーと混合してもよい。使用され得るポリサッカライドは、例えば、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース及びアルキルヒドロキシアルキルセルロース含むエーテル化セルロース誘導体、等のセルロース誘導体、例えばメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロース等;デンプン及び分画デンプン;寒天;アルギン酸及びアルキン酸塩;アラビアゴム;プル欄;アガロース;カーラキナン;デキストラン;デキストリン;フルクタン;イヌリン;マンナン;キシラン;アラビナン;キトサン;グリコーケン;グルカン;及び合成生体高分子;並びにキサンタンガム;グアガム;イナゴマメゴム;アラビアゴム;トラガカンスゴム;カラヤゴム等のゴム類、並びにそれらの誘導体及び混合物を含む。ここにおける好適なゲル化剤は、生体系に対して不活性であり、非毒性、調製が容易、及び流動性に過ぎずかつ粘性に過ぎない、かつWSXレセプターをその内部に維持して不安定化しないものである。
好ましくはポリサッカライドは、エーテル化セルロースであり、より好ましくはUSPに列挙された充分に定義され精製されたもの、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、及びヒドロキシプロピルメチルセルロース等のメチルセルロース及びヒドロキシアルキルセルロース誘導体である。ここにおいて最も好ましくは、メチルセルロースである。
ゲル化のために有用なポリエチレングリコールは、典型的には適切な粘性を得るために低及び高分子量PEGの混合物である。例えば、分子量400−600のPEGの、分子量1500のものとの混合物は、ペーストを得るために適当な比で混合した場合に、この目的に有効である。
ポリサッカライド及びPEGに適用したように、“水溶性”なる用語は、コロイド溶液及び分散物を含む。一般にセルロース誘導体の溶解度は、エーテル基の置換の程度により決定され、ここにおいて有用な安定化誘導体は、該誘導体を水溶性とするために、セルロース鎖中の無水グルコース単位あたりのエーテル基を充分に持たねばならない。無水グルコース単位あたり少なくとも0.35エーテル基のエーテル置換度が、一般には充分である。さらには、セルロース誘導体は、例えば、Li,Na,K,またはCs塩類等のアルカリ金属塩の形態でもよい。
メチルセルロースがゲルにおいて採用される場合、それは好ましくは約2−5%、より好ましくは約3%のゲルを含み、WSXレセプターはゲルのmlあたり、約300−1000mgの量で存在する。
治療的に採用されるべきWSXレセプターの有効量は、例えば、治療対象、投与経路及び患者の症状に依存するであろう。従って、治療医は、至適治療効果を得るために要求されるように、投与量の力価を決定し、投与経路を修飾する必要がある。典型的には臨床医は、所望の効果が達成される投与量に至るまで、WSXレセプターを投与するであろう。全身治療のための典型的な1日投与量は、上述した因子に依存して、約1μg/kgから10mg/kgまでまたはそれ以上であろう。別法としての一般的計画では、WSXレセプターは製剤化され、組織内において約0.1ng/cc以上であり有効であるが不当に毒性ではない最大投与量までのWSXレセプター濃度が確立され得る投与量をもって、標的部位または組織に分配される。この組織内濃度は、可能であれば連続的輸液、徐放剤、局所投与、経験的に決定される頻度での注射により維持されなければならない。
この治療の進行は、慣用のアッセイにより容易に監視される。
C.WSXレセプターの非治療的用途
WSXレセプター核酸は、ここに例示される組換え技術によってWSXレセプターポリペプチドを調製するために有用であり、次いでこれは以下に記述される種々の有用性を持った抗−WSXレセプター抗体の産生に使用され得る。
WSXレセプター(ポリペプチドまたは核酸)は、インビトロにて細胞の増殖及び/または分化を誘導するために使用され得る。特に、この分子は幹細胞/先駆細胞母集団(例えば、下記実施例8に記述されるようにして得られたCD34+細胞母集団)の増殖を誘導するために使用され得る。生体外にて生育されるこれらの細胞は、ここに記述されるような他の既知の成長因子またはサイトカインに同時に曝されうる。これは、WSXレセプターを有する細胞の増殖及び/または分化を生じる。
本発明の別の側面において、WSXレセプターはWSXリガンドのアフィニティ精製の為にも使用され得る。略述すれば、この技術は:(a)WSXリガンドの供給源を固定化WSXレセプターに、精製されるべきWSXリガンドが選択的に固定化レセプターに吸着される条件下で接触させ;(b)固定化WSXレセプター及びその担体を洗浄して非吸着物質を除去し、;並びに(c)WSXリガンドを、それが吸着された固定化WSXレセプターから溶離緩衝溶液にて溶出することを含む。アフィニティ精製の特に好ましい実施態様においては、WSXレセプターは不活性かつ多孔性の担体(例えば、シュウ化シアンと反応させたアガロース)に、共有的に結合する。特に好ましくは、蛋白質Aカラムに固定化したWSXレセプターイムノアドヘシンである。WSXリガンドを含む溶液が、次いでクロマトグラフィー担体を通される。WSXリガンドはカラムに吸着され、次いで溶離条件を変化させる(例えばpHまたはイオン強度を変化させる)ことにより放出される。
WSXレセプターは、WSXレセプターへの結合について、可能性ある作動剤または拮抗剤の競合的スクリーニングに使用されてもよい。このような作動剤または拮抗剤は、それぞれ不十分または過剰なWSXレセプター活性化に特徴づけられる症状の治療用の可能性ある治療薬となりうる。
WSXレセプターに結合する分子を同定するための好ましい技術は、アッセイプレートのウエル等の固相に結合されるキメラレセプター(例えば、エピトープ標識WSXレセプターまたはWSXレセプターイムノアドヘシン)を使用する。
場合により標識された(例えば放射標識)分子の、固定化レセプターへの結合が評価されうる。
WSXレセプター作動剤または拮抗剤の同定のために、チミジン取り込みアッセイが使用され得る。拮抗剤のスクリーニングのために、WSXレセプターはWSXリガンド次いで推定される拮抗剤に曝されるか、またはWSXリガンドと拮抗剤がWSXレセプターに同時に添加され、拮抗剤のレセプター活性化阻害能力が評価される。
WSXレセプターポリペプチドは、分子量マーカーとしても有用である。WSXレセプターポリペプチドを分子量マーカーとして使用するために、例えばゲル濾過クロマトグラフィーまたはSDS−PAGEが、蛋白質分離のために使用され、このために実質的に通常の方法でそれらの分子量を決定することが望まれる。WSXレセプター及び他の分子量マーカーは、分子量範囲を与えるための標準として使用されるであろう。例えば、ホスホリラーゼb(mw=97,400)、ウシ血清アルブミン(mw=68,000)、オボアルブミン(mw=46,000)、WSXレセプター(mw=44,800)、トリプシンインヒビタ(mw=20,100)、及びリゾチーム(mw=14,400)が、mwマーカーとして使用され得る。ここで述べた他の分子量マーカーは、Amersham Corporation,Arlington Heights,ILから商業的に購入できる。分子量マーカーは、その検出を容易にするために一般に標識されている。例えばマーカーはビオチニル化され、分離に次いでストレプトアビジン−西洋ワサビペルオキシダーゼと共にインキュベートされて種々のマーカーが光り検出により検出可能となる。
精製WSXレセプター及びそれをコードする核酸は、WSXレセプター及びそのリガンドの機構研究用試薬、正常の生育及び発生におけるWSXレセプター及びWSXリガンドの役割研究、並びに異常な生育及び発生、例えば悪性腫等のために試薬として販売されうる。
WSXレセプター変異体は、それらが採用される分析計、例えば抗−WSXレセプター抗体により認識される限り、WSXレセプターのためのアッセイ例えばELISA、RIAまたはRRAにおける標準または対象として有用である。
D.WSXレセプター抗体調製
1.ポリクローナル抗体
一般にポリクローナル抗体は、関連する抗原及びアジュバントの複数回の経皮的(sc)または腹腔内的(ip)注射により、動物に生じさせうる。好ましいエピトープはWSXレセプターのECDにあり、ポリクローナルまたはモノクローナル抗体の創生のために、抗原としてはWSXレセプターECDまたはECDを含む分子(例えばWSXレセプターイムノアドヘシン)を使用することが望ましい。関連する抗原を、免疫されるべき種に対して免疫原性の蛋白質、例えばキーホールリンペットヘモシアニン、血清アルブミン、ウシチログロブリンまたはダイズトリプシンインヒビタ等と、二官能性または誘導化試薬、例えばマレイミドベンゾイルスルホスクシンイミドエステル(システイン残基を介しての接合)、N−ヒドロキシスクシンイミド(リジン残基を介して)、グルタルアルデヒド、無水コハク酸、SOCl2、またはR及びR1が異なるアルキル基であるR1N=C=NRを使用して接合させることは有用であろう。
動物は、1mgまたは1μgのペプチドまたは接合体(それぞれウサギまたはマウス)を3体積のフロイント完全アジュバントと合わせ、該溶液を複数部位に皮内的に注射することにより、抗原、免疫原性接合体または誘導体に対して免疫される。1ケ月後に動物は、フロイント完全アジュバント中のペプチドまたは接合体の基の量の1/5ないし1/10を用い、複数部位の経皮注射により追加免疫される。7〜14日後に、動物は採血され、血清が抗体力価についてアッセイされる。動物は力価がプラトーにはいるまで追加免疫される。好ましくは動物は、同じ抗原の接合体であるが、異なる蛋白質に接合するか及び/または異なった交差結合試薬を介して接合する接合体にて追加免疫される。接合体は、蛋白質融合体として組み換え細胞培養においても調製されうる。アルム等の凝集剤も、免疫応答を向上するために好適に使用される。
2.モノクローナル抗体
モノクローナル抗体は、実質的に均質な抗体の母集団、即ち母集団に含まれる個々の抗体は、少量存在しうる自然に起こる可能性のある変異を除いて同等である母集団から得られる。従って、修飾語“モノクローナル”は、異なる抗体の混合物ではないものとしての抗体の特徴を示す。
例えばモノクローナル抗体は、Kohler et al.,Nature256:495(1975)によって最初に記述されたハイブリドーマ法を使用して作成されるか、または組換えDNA法(Cabilly et al.,前出文献)によって作成されてもよい。ハイブリドーマ法において、マウスまたはハムスター等の適当な宿主動物は、免疫に使用した蛋白質に対して特異的に結合するであろう抗体を産生するか、または産生しうるリンパ細胞を引き出すために、上述したようにして免疫される。別法として、リンパ細胞はインビトロにおいて免疫される。次いで、リンパ細胞は、ポリエチレングリコール等の適当な融合試薬を使用して、ミエローマ細胞と融合され、ハイブリドーマ細胞が形成される(Goding,Monoclonal Antibodies:Principles and Practice,pp.59-103(Academic Press,1986))。
斯くして調製されたハイブリドーマ細胞は、非融合の親ミエローマ細胞の生育または生存を阻害する1種以上の物質を好ましくは含有する、適当な培養培地に播種され育成される。例えば親ミエローマ細胞が酵素ハイポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRTまたはHPRT)を欠く場合には、ハイブリドーマのための培地は、典型的にはHGPRT-欠損細胞の生育を阻害する物質であるハイポキサンチン、アミノプテリン及びチミジン(HAT培地)を含むであろう。
好ましいミエローマ細胞は、効率的に融合し、選択された抗体産生細胞により安定した高水準の抗体産生を支持し、かつHAT培地等の培地に感受性のものである。これらの内で好ましいミエローマ細胞系は、Salk Institute Cell Distribution Center,San Diego,California USAから入手可能なMOPC−21及びMPC−11マウス腫瘍から誘導されるもの、及びAmerican Type Culture Collection,Rockville,Maryland USAから入手可能なSP−2細胞等のネズミミエローマ系である。ヒトミエローマ及びマウス−ヒトヘテロミエローマも、ヒトモノクローナル抗体の産生に関して記述されている(Kozbor et al.,J.Immunol.133:3001(1984);Brodeur et al.,Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications,pp.51-63(Marcel Dekker,Inc.New York,1987))。
ハイブリドーマ細胞が生育する培養培地は、該抗原に対して向けられたモノクローナル抗体の産生についてアッセイされる。好ましくは、ハイブリドーマ細胞により産生されるモノクローナル抗体の結合特異性が、免疫沈殿または放射免疫アッセイ(RIA)若しくは酵素結合免疫吸着剤アッセイ(ELISA)等のインビトロ結合アッセイにより測定される。
モノクローナル抗体の結合親和性は、例えばMunson et al.,Anal.Biochem.107:220(1980)のスキャッチャード(Scatchard)アッセイにより測定されうる。
ハイブリドーマが、所望の特異性、親和性及び/または活性の抗体を産生することが同定された後は、該クローンは限定希釈法によりサブクローン化され得、標準法により育成される(Goding,前出文献)。この目的のために適当な培地は、D−MEMまたはRPMI−1640培地を含む。加えて、ハイブリドーマ細胞は、動物内で腹水腫瘍としてインビボにおいて生育されうる。
サブクローンから分泌されたモノクローナル抗体は、例えば蛋白質A−セファロース、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析またはアフィニティクロマトグラフィー等の慣用のイムノグロブリン精製方法により、培養培地、腹水または血清から好適に分離される。
モノクローナル抗体をコードするDNAは、慣用方法により容易に単離され、配列決定される(例えばネズミ抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合しうるオリゴヌクレオチドプローブの使用により)。ハイブリドーマ細胞は、このようなDNAの好ましい供給源として働く。一旦単離されれば、DNAは発現ベクターに入れられ、これは次いで、E.coli細胞、霊長類COS細胞、モルモット卵巣(CHO)細胞、またはイムノグロブリン蛋白質を別途産生しないミエローマ細胞にトランスフェクトさせ、組換え宿主細胞においてモノクローナル抗体の合成を得る。抗体をコードするDNAの最近における組換え発現に関する総説は、Skerra et al.,Curr.Opinion in Immunol.5:256-262(1993)及びpluckthun,Immunol.Revs.130:151-188(1992)を含む。
更なる実施態様において、抗体または抗体断片は、McCafferty et al.,Nature 348:552-554(1990)に記述される枝術を使用して生成された抗体ファージライブラリーから単離されうる。Clackson et al.,Nature 352:624-628(1991)及びMarks et al.,J.Mol.Biol.222:581-597(1991)は、ファージライブラリーを使用して、ネズミ及びヒト抗体の単離をそれそれ記述している。引き続く文献は、鎖シャフルによる高親和性(nM範囲)ヒト抗体の産生(Marks et al.,Bio/Technology 10:779-783(1992))、並びに極めて大きいファージライブラリー構築のための計画として組み合わせ感染及びインビボ組換え(Waterhouse et al.Nuc.Acids Res.21:2265-2266(1993))を記述している。しかしてこれらの技術は、モノクローナル抗体の単離に関する伝統的モノクローナル抗体ハイブリドーマ技術に対して生存可能な別の技術であり得る。
DNAも同種的ネズミ配列に代えて、ヒト重鎖及び軽鎖定常領域コード配列を置換することにより(Cabilly et al.,前出文献;Morrison et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:6851(1984))、あるいはイムノグロブリンコード配列に非イムノグロブリンポリペプチドの全てまたは一部のコード配列を共有的に結合することにより修飾されうる。
典型的なこのような非イムノグロブリンポリペプチドは、抗体の定常領域を置換するか、またはそれらは抗体の一方の抗原結合部位の可変領域を置換して、抗原に対して特異性を有する一つの抗原結合部位及び異なる抗原に特異性を有する他の抗原結合部位を有するキメラ性二価抗体を創生する。
キメラまたはハイブリッド抗体は、交差結合試薬を含む合成蛋白質化学における貴地方法を使用してインビトロにて調製されてもよい。例えば、イムノトキシンは、ジスルフィド交換反応またはチオエーテル結合形成により使用して構築される。この目的に好適な試薬の例は、イミノチオレート及びメチル−4−メルカプトブチルイミデートを含む。
3.ヒト化及びヒト抗体
非−ヒト抗体をヒト化する方法はこの分野で周知である。一般に、ヒト化抗体は、非−ヒトである供給源から導入される1個以上のアミノ酸残基を有する。これらの非−ヒトアミノ酸残基は、しばしば“輸入”残基と称され、これは典型的には“輸入”可変領域から採られる。ヒト化は、基本的には齧歯類CDRまたはCDR配列を、対応するヒト抗体配列で置換することにより、Winter及び共同研究者の方法に従って行われうる(Jones et al.,Nature 321:522-525(1986);Riechmann et al.,Nature 332:323-327(1985);Verhoeyen et al.,Science 239:1534-1536(1988))。従って、このようなヒト化抗体は、キメラ抗体(Cabillly et al.前出文献)であり、実質的に身障の可変領域より少ない部分が非−ヒト種からの対応する配列により置換されている。実際的には、ヒト化抗体は典型的にはCDR残基のいくらか及び、たぶんFRのいくらかが、齧歯類抗体の類似部位からの残基により置換されている。
軽鎖及び重鎖の両方のヒト化抗体を作成するために使用される可変領域の選択は、抗原性を低減するために重要である。いわゆる“最適化”方法に従えば、齧歯類抗体の可変領域の配列が、既知のヒト可変領域配列の全ライブラリーに対してスクリーニングされる。次いで齧歯類のものに最も近接したヒト配列が、ヒト化抗体のためのヒト骨格(FR)として認められる(Sims et al.,J Immunol.151:2296(1993);Chothia et al.,J Mol.Biol.196:901(1987))。他の方法は、軽鎖または重鎖の特定のサブグループの全てのヒト抗体の共通配列から誘導される特定の骨格を使用する。同じ骨格は、いくつかの異なるヒト化抗体についても使用され得る(Carter et al.,Proc.Natl.Acad.Sci USA 89:4285(1992);
Presta et al.,J.Immunol.151:2623(1993))。
抗体が、抗原に対する高い親和性及び他の好ましい生物学的性質を保ってヒト化されることは更に重要である。この目的を達成するために、好ましい方法に従えば、ヒト化抗体は親及びヒト化配列の三次元モデルを使用して、親配列及び種々の概念的ヒト化生成物の分析工程により調製される。三次元イムノグロブリンモデルは、一般に利用可能であり当業者にはなじみがある。選択された候補のイムノグロブリン配列の可能な三次元配置構造を描いて映し出すコンピュータプログラムが利用可能である。これらのディスプレーを見ることは、候補のイムノグロブリン配列の機能における残基のそれらしい役割の分析、即ち候補のイムノグロブリンの抗原に対する結合能力に影響を与える残基の分析を可能とする。このようにして、FR残基が、標的抗原に対する増大した親和性等の所望の抗体特性が達成される様に、共通及び輸入配列から選択され、組み合わされる。一般的に、CDR残基は、抗体結合への影響において、直接的かつ最も実質的に関与するものである。
別法として、免疫により、内因性イムノグロブリン産生を伴わずに完全量のヒト抗体を産生しうるトランスジェニック動物(例えばマウス)の作成が可能である。例えば、キメラ及び生殖系列変異マウスにおける抗体重鎖結合領域(JH)
遺伝子の同型接合的削除が、内因性抗体の産生を完全に阻害することが記述されている。このような生殖系列変異マウスへのヒト生殖系列イムノグロブリン遺伝子の並びの移送は、抗原の攻撃に対してヒト抗体の産生を生じるであろう。例えば、Jakobovits et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:2551(1993);Jakobo vits et al.,Nature 362:255-258(1993);Bruggermann et al.,Year in Immuno.7:33(1993)参照。ヒト抗体は、ファージディスプレーライブラリーにおいても産生されうる(Hoogenboom et al.,J.Mol.Biol.227:381(1991);Marks et al.,J.Mol.Biol.222:581(1991))。
4.二重特異的抗体
二重特異的抗体(BsAbs)は、少なくとも2種の異なる抗原に対して結合特異性を有する抗体である。BsAbsは、腫瘍標的または造影剤として使用可能であり、またWSXレセプターを有する細胞に対して酵素またはトキシンを標的に向ける為に使用され得る。このような抗体は、抗体の全配列または抗体断片(例えばF(ab')2二重特異性抗体)から誘導されうる。本発明に従えば、BsAbsはWSXレセプターに結合する一つのアーム、並びにサイトカインまたは他のサイトカインレセプター(またはそのサブユニット)、例えばTPO、EPO、G−CSF、IL−4、IL−7、GH、PRLに対するレセプター;IL−3、GM−CSF、IL−5、IL−6、LIF、OSM及びCNTFレセプターのα及びβサブユニット;またはIL−2レセプター複合体のα、βまたはγサブユニットに結合する他方のアームを有する。例えば、BsAbsは、WSXレセプター及びgp130の両者に結合しうる。
二重特異的抗体の調製方法はこの技術において知られている。全長二重特異的抗体の伝統的産生は、2種のイムノグロブリン重鎖−軽鎖対の同時発現に基づき、ここにおいて2本の鎖は異なる特異性を有する(Milstein et al.,Nature 305:537-539(1983))。イムノグロブリン重鎖及び軽鎖の無作為の寄せ集めのために、これらのハイブリドーマ(クオドローマ:Quadromas)は、1種のみが正しい二重特異性構造を有する10種の異なる異なる抗体分子の可能な混合物を生じる。通常アフィニティクロマトグラフィー工程により行われる正しい分子の精製は、かなり煩雑であり、また生成物の収率も低い。同様な手法は、1993年5月13日発行のWO93/08829及びTraunecker et al.,EMBO J.10:3655-3659(1991)に開示されている。
別のより好ましい方法に従うと、所望の結合特異性を持った抗体可変領域(抗体−抗原結合部位)は、イムノグロブリン定常領域配列に融合される。融合物は、好ましくは少なくともヒンジの一部、CH2及びCH3領域を有するイムノグロブリン重鎖定常領域を伴う。軽鎖結合に必要な部位を含む、融合物の少なくとも一つに存在する第一の重鎖定常領域を有することが好ましい。イムノグロブリン重鎖融合物、及び所望によりイムノグロブリン軽鎖をコードするDNAが、別個の発現ベクターに挿入され、適当な宿主生物に同時インフェクションする。これは、構築に使用される3種のポリペプチドの異なる比が至適収率を与える場合に、実施態様において3種のポリペプチド断片の相対比の調節に大きな柔軟性を与える。しかしながら、少なくとも2種のポリペプチド鎖の同じ比率での発現が高収率をもたらす場合、または比率が重要でない場合には、2種または3種全てのポリペプチド鎖のコード配列を1個の発現ベクター中に挿入することも可能である。
この方法の好ましい実施態様において、二重特異的抗体は、第一の結合特異性を一つのアームに有するハイブリッドイムノグロブリン重鎖、及び他方のアームのハイブリッドイムノグロブリン重鎖−軽鎖対(第二の結合特異性を与える)からなる。この非対称構造は、二重特異的分子の半分のみにイムノグロブリン軽鎖が存在することが分離に容易な方法を提供するため、所望の二重特異的化合物を望まれないイムノグロブリン鎖の組み合わせから分離することを容易にする。この方法は、1994年3月3日発行のWO 94/04690に開示されている。二重特異的抗体の生成の更なる詳細は、例えば、Suresh et al.,Methods in Enzymology121:210(1986)参照。
二重特異的抗体は、交差結合または“異種接合”抗体を含む。例えば、異種接合体の一方の抗体はアビジンと結合され、他方がビオチンと結合されうる。このような抗体は、例えば免疫系細胞を望ましからぬ細胞に向ける為(米国特許第4,676,980)及びHIV感染の治療のため(WO 91/00360,WO 92/200373及びEP 03089)に提案された。異種接合抗体は、都合よい交差結合方法により作成されうる。このような交差結合試薬は既知であり、種々の交差結合方法と共に米国特許第4,676,980に開示されている。
二重特異的抗体を抗体断片から生成する技術も文献に記述されている。以下の技術は、二重特異的であるとは限らないが二価抗体断片の調製に有用である。これらの技術に従えば、Fab'-SH断片がE.coliから回収され、これは化学的に結合されて二価抗体が形成される。Shalaby et al.,J.Exp.Med.175:217-225(1992)は、完全にヒト化されたBsAb F(ab')2分子を記述している。各Fab断片は、E.coliから別個に分泌され、インビトロにて直接的化学結合に付されてBsAbが形成される。該BsAbは、HER2を過剰発現する細胞及び正常ヒトT細胞に結合可能であり、加えて、ヒト乳癌標的に対するヒト細胞毒性リンパ細胞の溶解活性の引き金を引く。Rodrigues et al.,Int.J.Cancer(suppl.)7:45-50(1992)も参照。
組換え細胞培養物から直接に二価抗体断片を製造及び単離する種々の方法も記述されている。例えば、二価異種二量体は、ロイシンジッパーを使用して調製された。Kostelny et al.,J.Immunol.148(5):1547-1553(1992)。Fos 及びJun蛋白質由来のロイシンジッパーペプチドは、遺伝子融合によって2種のことなる抗体のFab'部分を連結している。該抗体同種二量体は、ヒンジ領域にて還元されて単量体が形成され、次いで再度酸化されて抗体異種二量体が形成された。Hollinger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444-6448(1993)により記述されている“ジアボディ”技術は、BsAb断片を作成するための別の機構を提供した。
該断片は、リンカーにより軽鎖可変領域(VL)に連結する重鎖可変領域(VH)を有し、リンカーは同じ鎖の2つの領域の間で対形性を許容するには短すぎるものである。従って、一つの断片のVH及びVL領域は、他の断片の相補的Vl及びVH領域と対形性することを強いられ、これによって2個の抗原結合部位が形成される。単鎖Fv(sFv)二量体を使用してBsAbを作成する他の方法も報告されている。Gruber et al.,J.Immunol.152:5368(1994)参照。
5.抗体スクリーニング
WSXレセプターに強い結合親和性WP持つ抗体を選択するのが望ましい。抗体親和性は、例えば、飽和結合;固相酵素免疫検定法(ELISA);及び競合アッセイ(例えば、RIA)によって測定される。強い結合親和性を持つ抗体は、約1×10-7M以下、好ましくは約1×10-8M以下、最も好ましくは約1×10-9M以下(例えば、約1×10-12Mまで)の結合親和性(Kd)値でWSXレセプターに結合することができる。
他の実施態様では、対象とするWSXレセプターエピトープに結合する抗体についてスクリーニングしてもよい。例えば、抗体2D7、1G4、1E11または1C11(実施例13参照)あるいは抗体クローン#3、#4または#7(実施例14参照)に結合したエピトープに結合する抗体を同定することができる。
対象とする抗体に結合したWSXレセプターのエピトープに結合する抗体についてスクリーニングするために(例えば、WSXに対する上記の抗体の任意のものの結合をブロックするもの)、Antibodies,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratiry,Ed Harlow and David Lane(1988)に記載されたような日常的なクロス-ブロッキングアッセイを行うことができる。あるいは、抗体が対象とするエピトープに結合するか否かを決定するために、例えば、Champe等,J.Biol.Chem.,270,1388-1394(1995)に記載されたようなエピトープマッピングを行うこともできる。
本発明の特に好ましい一実施態様では、アゴニスト抗体が選択される。アゴニスト抗体を選択する種々の方法が用いられる。一つの実施態様では、WO95/14930(ここに、参考として特に取り入れる)に記載されたキナーゼレセプター活性化固相酵素免疫検定法(KIRA ELISA)と呼ばれるアッセイにおいて、WSXレセプター細胞外ドメインを含むキメラレセプターへの結合に対して、抗体のアゴニスト特性を評価する。
KIRA ELISAを実施するために、WSXレセプターの細胞外ドメイン及びRseレセプターの膜貫通及び細胞内ドメインを含むキメラレセプター(Mark等,Journal of Biological Chemistry 269(14):10720-10728(1994))であって、単純ヘルペスウイルスの糖タンパク質D(gD)タグを持つレセプターを産生し、WO95/14930の実施例4に記載されたようにdp12.CHO細胞をそれで形質転換する。
WSX/Rse.gD形質転換dp12.CHOは、平底96ウェル培養プレート内に100μlの媒質中で播種(ウェル当たり3×104)され、5%CO2中、37℃で終夜培養される。翌朝、ウェルの上清を除去し、種々の濃度の抗体を別々のウェルに添加する。細胞は、37℃で30分間剌激し、ウェルの上清をデカントする。細胞を溶解し、キメラレセプターを可溶化するため、100μlの溶菌バッファーを各ウェルに添加する。次いで、プレートをプレート震盪器(Bellco Instruments,Vineland,NJ)上で、室温で60分間緩やかに攪拌する。
細胞が可溶化される一方、5B6モノクローナル抗−gD抗体(5.0μg/ml、50mM炭酸塩バッファー中、pH9.6、100μl/ウェル)で、4℃で終夜被覆されたELISAミクロタイタープレート(Nunc Maxisorp,Inter Med,Denmark)は、デカントされ、150μl/ウェルのブロックバッファーで、室温で60分間ブロックされる。60分後、抗−gD5B6被覆プレートは、洗浄バッファー(0.05%の TWEEN 20(商品名)及び0.01%のチメロサール(thimerosal)を含むPBS)で6回洗浄される。
細胞−培養ミクロタイターウェルからの可溶化WSX/Rse.gDを含む溶解物は、抗−gD 5B6被覆された及びブロックされたELISAウェルに移され(85μl/ウェル)、室温で2時間インキュベートされた。非結合WSX/Rse.gDは、洗浄バッファーで除去され、希釈バッファー(0.5%のBSA、0.05%のTween-20、5mMのEDTA及び0.01%のチメロサールを含む PBS)で1:18000に希釈されたビオチニル化4G10(抗−ホスホチロシン)の100μl、即ち、56ng/mlが各ウェルに添加される。室温で2時間インキュベートした後、プレートにはHRPO複合ストレプトアビデイン(Zymed Laboratories,S.San Francisco,CA)が各ウェルに添加される。プレートは、室温で30分間、緩やかに攪拌しながらインキュベートされる。フリーのアビディン複合体は除去され、100μlの新たに調製された基質溶液(テトラメチルベンジジン(TMB);2-成分基質キット;Kirkegaard and Perry,Gaithersburg,MD)が各ウェルに添加される。反応は10分間進行させ、その後、100μl/ウェルの1.0MのH3PO4の添加によって発色を停止させた。Macintosh Centris 650(Apple computers,Cupertino,CA)及びDeltaSoft Software(BioMetallics,Inc,Princeton,NJ)に制御されたvmax plate reader(Molecular Devices,Palo Alto,CA)を用いて、650nmの波長を参照して450nmの吸収を読み取った(ABS450/650)。
KIRA ELISAにおいて、0.5μg/ml以下()、好ましくは約0.2μg/ml以下、最も好ましくは約0.1μg/ml以下のIC50を持つような抗体が、好ましいアゴニストである。
他の実施態様では、OBタンパク質に対する下流シグナル分子を活性化する抗体をスクリーニングする。例えば、抗体の、シグナルトランスデューサ及び転写のアクチベータ(STATs)を活性化する能力を評価することができる。対象とするアゴニスト抗体は、例えば、STAT−1及びSTAT−3複合体の形成を刺激することもある。このような抗体をスクリーニングするために、Rosenblum等,Endocrinology,137(11):5178-5181(1996)に記載されたアッセイが行われる。
あるいは、造血細胞の増殖及び/または分化を刺激する抗体を選択することもできる。例えば、下記の実施例10の造血アッセイを行うことができる。例えば、ネズミ胎児肝臓fLASK幹細胞は、Zeigler等,Blood,84,2422-2430(1994)に記載されたように妊娠中期の胎児の肝臓から分離され、幹細胞懸濁培地またはメチルセルロースアッセイにおいて実験される。幹細胞懸濁培地のために、20000のfLASK細胞が、10%の熱で不活性化したウシ胎児血清(Hyclone,Logan,UT)及びL−グルタミンを添加したDMEM.5/F12媒質中の12ウェル形式の個々のウェルに播種される。成長因子は以下の濃度で添加される:キット(kit)リガンドは25ng/mL、インターロイキン-3(IL-3)は25ng/mL、インターロイキン-6(IL-6)は50ng/mL、G−SCFは100ng/mL、GM−SCFは100ng/mL、EPOは2U/mL、インターロイキン−7(IL-7)は100ng/mL(全ての成長因子は、R and D Systems,Minneapolis,MN からのものである)。次いで、アゴニスト抗体が添加され、懸濁培地において成長したfLASK細胞を膨張する能力が評価される。メチルセルロースアッセイは、既に記載されているようにおこなわれる(Zeiger,等,同上)。簡単に言えば、メチルセルロースアッセイは、「完全な」メチルセルロースまたはプレ-Bメチルセルロース培地(Stem Cell Technologies,Vancouver,British Columbia,Canada)に25ng/mLのKL(R and D Systems,Minneapolis,MN)を添加して行われる。得られたコロニーのサイトスピン(cytospin)分析は、Zeigler等に既に記載されているように行われる。アゴニスト抗体の、骨髄性、リンパ様及び赤血球コロニー形成を増強する能力が評価される。また、アゴニスト抗体の、ネズミの骨髄幹細胞群、LinloSca+に対する影響も評価される。
肥満哺乳類(例えば、ob/obマウス)における、体重及び/または脂肪蓄積重量及び/または食物摂取の統計的に有意な減少を誘発するアゴニスト抗体を選択してもよい。このような分子のスクリーニングは、例えば、Lebin 等,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,93:1726-1730(1996)に記載されている。好ましいアゴニスト抗体は、ob/obマウスのような肥満哺乳類において脂肪低減効果を発揮するものであり、食物摂取の低減によって誘発されたものに過剰である。
ここで対象とする抗体は、実施例13及び14の抗体の一つの超可変領域残基を有していてもよい。また、本発明は、これらの抗体の超可変領域残基が修飾された、これらの抗体の「親和性成熟」した形態を含む。このような親和性成熟した抗体は、好ましくは、元の抗体と同等又はそれより向上した生物学的活性を有する。親和性成熟した抗体は、その超可変領域に、約1−10、例えば5−10の欠失、挿入又は置換(但し、好ましくは置換)を含む。親和性成熟した抗体を生成する有用な方法は、「アラニン走査突然変異誘発」(Curmingham and Wells,Science,244:1081-1085(1989)1)と呼ばれる。ここで、アミノ酸とWSXレセプターとの相互作用に影響を与えるため、超可変領域残基の1またはそれ以上が、アラニン又はポリアラニン残基で置換される。機能的選択制を示すこれらの超可変領域残基は、次いで、置換部位において又はついて、さらなる又は他の突然変異を誘発することにより詳細に分析される。この方法で製造されたa1a−変異体は、ここに述べたように生物学的活性をスクリーニングされる。他の方法は、ファージ展示を用いた親和性突然変異(Hawkins等,Mol.Biol.,254:889-896(1992)及び Lowman 等,Biochemistry,30(45):10832-10837(1991))である。簡単に言えば、数個の超可変領域部位(例えば、6−7部位)が突然変異して、各部位で全ての可能なアミノ置換を生成する。このように生成された抗体突然変異体は、繊維状ファージ粒子から、各粒子内にパッケージされたM13の遺伝子III産物との融合として一価形式で展示される。ファージ展示突然変異体は、次いで、それらの生物学的活性(例えば、結合親和性)がスクリーニングされる。
6.抗体修飾
種々の応用のために、抗体を調整するのが望ましいこともある。ここに、抗体修飾の例を記載する。
本発明のある実施態様では、無傷の抗体ではなく抗体のフラグメントを用いる方が望ましいことがある。この場合、抗体フラグメントは、その血清半減期を増加させるために修飾するのが好ましい。これは、例えば、サルベージレセプター結合エピトープを、抗体フラグメントに組み込むことによって行うことができる。1996年10月17日発行のWO96/32478参照。あるいは、上記のOBタンパク質の長半減期誘導体の製造のように、抗体を非タンパク質ポリマーと複合させてもよい。
抗体が、例えば癌の治療のために用いられる場合、抗体の癌治療の有効性を向上させる抗体の種々の修飾(例えば、中性化抗体)が考えられる。例えば、システイン残基がFc領域に導入でき、それにより、この領域で鎖間ジスルフィド結合が形成される。このように生成されたホモダイマー抗体は、向上した内面化能力及び/または増加した補体媒介細胞殺傷及び抗体依存性細胞性細胞毒性(ADCC)を有する。Caron等,J.Exp.Med.,176:1191-1195(1992)及びShopes,B.,J.Immunol.,148:2918-2922(1992)参照。また、向上した抗−腫瘍活性を持つホモダイマー抗体も、Wolff等,Cancer Research,53:2560-2565(1993)に記載されたようなヘテロ2官能性架橋結合を用いて生成できる。あるいは、2つのFc領域を持ち、それにより向上した補体溶解及びADCCを有する抗体も製造できる。Stevenson等,Anti-CancerDrugDesign,3:219-230(1989)参照。
また本発明は、化学治療試薬、毒素(例えば、細菌、真菌、植物または動物起源の酵素活性な毒素、またはそのフラグメント)、または放射活性同位体(放射性複合体)等の細胞毒性試薬と複合したここにのべた抗体を含む免疫複合体にも関する。
このような免疫複合体の製造に有用な化学治療試薬は上述した。用いられる酵素活性な毒素及びそのフラグメントは、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性フラグメント、(緑膿菌からの)体外毒素A鎖、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシン(modeccin)A鎖、アルファ-サルシン(alpha-sarcin)、Aleurites fordiiタンパク質、dianthinタンパク質、Phytolaca americanaタンパク質(PAPI,PAPII,及びPAP-S)、momordica charantia 阻害剤、curcin、crotin、sapaonaria officinalis 阻害剤、gelonin、mitogellin、restrictocin、phenomycin、enomycin、及び tricothecenesを含む。放射性複合体抗体の製造のために種々の放射性ヌクレオチドが用いられる。例として、212Bi、131I、131In、90Y及び186Reを含む。
抗体と細胞毒性試薬の複合は、N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオール)プロピオナート(SPDP)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの2官能性誘導体(ジメチルアジビミダートHCLなど)、活性エステル(ジスクシンイミジルスベラートなど)、アルデヒド(グルタルアルデヒドなど)、ビス-アゾ化合物(ビス(p-アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン)、ビス-ジアゾニウム誘導体(ビス(p-ジアゾニウムベンゾイル)-エチレンジアミンなど)、ジイソシアナート(トリレン2,6-ジイソシアナート)、及び、ビス-活性フルオリン化合物(1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼン)等の種々の2官能性タンパク質カップリング試薬を用いて行うことができる。例えば、リシン免疫毒素は、vitetta等,Science,238:1098(1987)に記載されたように調製することができる。カーボン−14ラベルした1-イソチオシアナトベンジル-3-メチルジメチレントリアミンペンタ酢酸(MX-DTPA)は、放射性ヌクレオチドの工程への結合のためのキレート剤の例である。WO94/11026参照。
他の実施態様では、抗体は、腫瘍のプレターゲットに用いるために、「レセプター」(ストレプトアビディンなど)と複合してもよく、抗体-レセプター複合体が患者に投与され、清澄化試薬を用いて結合していない複合体を循環から除去し、次いで、細胞毒性試薬(例えば、放射性ヌクレオチド)に結合するリガンド(例えば、アビディン)を投与する。
また、抗体は、免疫リポソームとして調製してもよい。抗体を含むリポソームは、Epstein等,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,82:3688(1985);Hwang 等,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,77:4030(1980);及び米国特許第4,485,045号及び第4,544,545号に記載されているような、この分野で周知の方法によって調製される。向上した循環時間を持つリポソームは、米国特許第5,013,556号に記載されている。
特に有用なリポソームは、ホスファチジルコリン、コレステロール及びPEG-誘導ホスファチジルエタノールアミン(PEG-PE)を含む脂質組成物での逆相蒸発によって生成できる。リポソームは、所定の孔サイズのフィルターを通して押し出され、所望の径を持つリポソームを生成する。本発明の抗体のFab’フラグメントは、ジスルフィド交換反応を介して、Martin等,J.Biol.Chem.,257:286-288(1982)に記載されたようにリポソームに複合できる。化学治療試薬(ドキソルビシンなど)は、任意にリポソームに含まれてもよい。Gabizon等,J.National Cancer Inst.,81(19)1484(1989)参照。
また、本発明の抗体は、プロドラッグ(例えば、ペプチジル化学治療薬、WO81/01145参照)を活性な抗癌薬に変換させるプロドラッグ活性化酵素に抗体を複合させることにより、ADEPTにおいて用いることもできる。例えば、WO88/07378及び米国特許第4,975,278号参照。
ADEPTに有用な免疫複合体の酵素成分は、プロドラッグをより活性な細胞毒性形態に変換するように作用できる任意の酵素を含む。
本発明の方法で有用な酵素は、これらに限られないが、リン酸塩含有プロドラッグをフリーなドラッグに変換するのに役立つアルカリホスファターゼ;硫酸塩含有プロドラッグをフリーなドラッグに変換するのに役立つアリールスルフアターゼ;非毒性5−フルオロシトシンを抗癌薬5−フルオロウラシルに変換するのに役立つシトシンデアミナーゼ;ペプチド含有プロドラッグをフリーなドラッグに変換するのに有用な、セラチアプロテアーゼ、サーモリシン、サブチリシン、カルボキシペプチダーゼ及びカテプシン(カテプシンB及びLなど)等のプロテアーゼ;D-アミノ酸置換基を含有するプロドラッグの変換に役立つD-アラニルカルボキシペプチダーゼ;グリコシル化プロdpらっぐをフリーのドラッグに変換するのに有用なβガラクトシダーゼ及びノイラミニダーゼなどの切断酵素;β-ラクタム誘導プロドラッグをフリーなドラッグに変換するのに役立つβ-ラクタマーゼ;アミン窒素において、各々、フェノキシアセチルまたはフェニルアセチル基を誘導したドラッグをフリーなドラッグに変換するのに有用な、ペニシリンVアミダーゼ又はペニシリンG」アミダーゼなどのペニシリンアミダーゼである。あるいは、酵素活性を持つ抗体は、この分野で「アブザイム(abzyme)」としても知られ、本発明のプロドラッグをフリーな活性薬に変換するのに用いることができる(Massey、Nature,328:457-468(1987)参照)。抗体−アブザイム複合体は、アブザイムを腫瘍細胞群に輸送するために、ここに記載したように調製することができる。
この発明の酵素は、上述のヘテロ2官能性架橋剤を用いるなどの、この分野で周知の技術により、抗体突然変異体に共有結合することができる。あるいは、本発明の酵素の少なくとも機能的活性部分に結合した本発明の抗体の少なくとも抗原結合領域を含む融合タンパク質は、この分野で知られた組み換えDNA技術を用いて構成することができる(Neuberger等,Nature,312:604-608(1984)を参照)。
他の実施態様では、抗体は、例えば上述の修飾により、共有結合的に修飾することができる。
E.WSXレセプターリガンド及び抗体についての治療的用途
本発明のWSXリガンド(例えば、OBタンパク質及び抗-WSXレセプターアゴニスト抗体)は、一実施態様において、体重の減少、特に肥満症の治療、過食症及びOB及び/またはWSXレセプター遺伝子の機能の異常な発現に伴う疾患糖尿病などの他の代謝疾患の治療のために有用であり、ヒト患者におけるインシュリンレベルを低減するために(例えば、例えばそのような患者のインシュリン選択性の回復又は向上に)役立つ。よって、これらの分子は、過剰な食物消費及び関連する病理学的状態、例えば、タイプII成人発病糖尿病、不妊症(Chehab等,Nature Genetics,12:318-320(1996))、コレステロール過剰血症、高脂血症、心臓血管疾患、動脈硬化症、多嚢胞性卵巣疾患、変形性関節症、皮膚科的疾患、インシュリン耐性、高トリグリセリド血症、癌、胆石症、及び高血圧症に罹患した患者の治療に用いることができる。
さらに、WSXリガンドは、腎臓病、高血圧、及び気腫などの肺機能不全の治療に用いることもできる。
さらなる実施態様では、本発明のWSXリガンド(アゴニストWSXレセプターー抗体など)は、化学又は放射線治療あるいは骨髄移植治療を受けた哺乳類における成熟血液細胞直系の再集合を促進するのにも用いられる。一般的に、リガンドは、初期の造血細胞の増殖及び/または分化(但し、特に増殖)の促進を介して作用する。リガンドは、同様に、血液細胞の減少に特徴づけられる疾患の治療にも有用である。これらの疾患の例は、貧血(大球性貧血及び再生不良性貧血を含む)、血小板減少症、発育不全、免疫(自己免疫)血小板減少性紫斑(ITP)、及びHIV誘発性ITPを含む。また、リガンドは、出血を伴う患者の治療にも用いられる。WSXリガンドは、肥満、真性糖尿病等の代謝疾患の治療、腎臓、肝臓又は肺の成長及び/または(例えば、腎不全における)再生を促進するためにも用いられる。
WSXレセプターリガンドは及び抗体は、単独あるいは1またはそれ以上のサイトカインと共に投与してよい。さらに、WSXリガンドタンパク質の投与に換えて、ここで、(「WSXレセプターについての治療的用途」と題する上記のセクションで議論した)遺伝子治療技術も考えられる。
WSXレセプター中性化抗体について可能性のある治療的応用は、代謝疾患(悪液質、食欲不振、及び食欲喪失、食物取り込みの低下または体重減少を特徴とする他のるいそう疾患)、幹細胞腫瘍及びWSXレセプター発現の部位における他の腫瘍、特にWSXレセプターの過剰発現に特徴づけられる腫瘍の治療を含む。
治療的応用のために、本発明のWSXレセプターリガンド及び抗体は、哺乳類、好ましくはヒトに、生理学的に許容される投与形態で投与され、ボーラスまたは長時間に渡る連続注入による静脈内、あるいは、筋肉内、腹膜内、脳脊髄内、皮下、関節内、髄膜内、包膜内、経口、局所、又は吸入経路によってヒトに投与することを含む。WSXレセプターリガンド及び抗体は、壁内、角膜内、病変内、または病変周囲野経路により、リンパ、作用位置、及び全身治療効果のためにも適当に投与される。
このような投与形態は、本質的に非毒性で非治療的な生理学的に許容されるキャリアを含む。このようなキャリアの例は、イオン交換体、アルミナ、アルミニウムステアラート、レシチン、ヒト血清アルブミンなどの血清タンパク質、リン酸塩等の緩衝物質、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物脂肪酸の部分的グリセリド混合物、水、塩、または、硫酸カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、マグネシウムトリシリケート、ポリビニルピロリドン、セルロースベースの物質、及びPEGなどの電解質を含む。WSXレセプター抗体の局所用またはゲルベースの形態のためのキャリアは、カルボキシメチルセルロールまたはメチルセルロースなどのポリサッカリド、ポリビニルピロリドン、ポリアクリラート、ホリオキシエチレン−ポリオキシプロビレン−ブロックポリマー、PEG、及び木ロウアルコールを含む。全ての投与について、従来の蓄積形態が好ましく用いられる。このような形態は、例えば、マイクロカプセル、ナノ−カプセル、リポソーム、プラスター、吸入形態、鼻スプレー、舌下錠、及び、持続放出性製剤を含む。WSXレセプターリガンドまたは抗体は、典型的にはそのような媒体中に、約0.1mg/mlから100mg/mlの濃度で調製される。
持続放出製剤の好ましい例は、WSXレセプターリガンド又は抗体を含む疎水性ポリマーの半透性マトリクスを含み、そのマトリクスは、成形された物品、例えば、フィルム、あるいはマイクロカプセルである。持続放出性マトリクスの例は、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、Langer等,同上、及びLanger等,同上に記載されたポリ(2−ヒドロキシエチル-メタクリラート)、または、ポリ(ビニルアルコール)、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号)、L-グルタミン酸とγエチル-L-グルタマートのコポリマー(Sidman等,同上)、非分解性エチレン-酢酸ビニル(Langer等,同上)、Lupron Depot(商品名)(乳酸-グリコール酸コポリマー及び酢酸ロイプロリドからなる注入可能な微小球)などの分解性乳酸-グリコール酸コポリマー、及び、ポリ-D-(-)-3-ヒドロキシブチル酸を含む。エチレン-酢酸ビニル及び乳酸−グリコール酸などのポリマーは、分子の放出を100日を越えるようにできるが、ある種のヒドロゲルは、タンパク質を、より短い時間で放出する。カプセル化したWSXレセブター抗体を体内に長時間保持すると、37℃の水分に曝された結果、変性又は凝集を起こし、生物学的活性の喪失や免疫原性の変化を起こしうる。合理的な方法は、含まれるメカニズムに依存する安定化について工夫できる。例えば、凝集メカニズムが、チオ-ジスルフィド交換を通した分子間S−S結合形成であることがわかれば、安定化は、スルフィドリル残基の修飾、酸性溶液からの親油性化、水分含有量の制御、適当な添加剤の使用、及び、特定のポリマーマトリクス組成物の開発によって達成される。
また、持続放出性WSXレセプターリガンド組成物は、リポソームに捕捉された添加剤を含む。WSXレセプターリガンドまたは抗体を含むリポソームは、Epstein 等,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:3688(1985);Hwang 等,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,77:4030(1980);及び米国特許第4,485,045号及び第4,544,545号に記載されたような、この分野で周知の方法で調製できる。通常は、リポソームは小さく(約200-800オングストローム)単層ラメラタイプであり、その脂質含有量は約30%コレステロールより大きく、選択される比率は、WSXレセプターリガンド又は抗体治療に適合されている。向上した循環時間を持つリポソームは、べき抗特許第5,013,556号に記載されている。
疾患を予防又は治療するために、WSXレセプターリガンド又は抗体の適当な投与量は、治療すべき上記の疾患のタイプ、疾患の重篤度及び原因、抗体が予防又は治療のいずれの目的で投与されるか、以前の治療、患者の臨床経過及びWSXレセプターリガンド又は抗体に対する反応、及び担当医師の判断による。WSXレセプターリガンド又は抗体は、一度にあるいは連続した治療に渡って患者に適当に投与される。
疾患のタイプ及び重篤度に応じて、約1μg/kgから15mg/kgのWSXレセプターリガンド又は抗体が、例えば1またはそれ以上の別々の投与あるいは連続的な吸入のいずれであっても、患者への投与の最初の候補となる投与量である。典型的な日常の投与量は、約1μg/kgから100μg/kg(例えば、1-50μg/kg)またはそれ以上であり、上記の要因に依存する。例えば、投与量は、G-CSF、GM-CSF及びEPOなどの他のサイトカインと同じ投与量であることもある。状況に応じて、数日又はそれ以上に渡る繰り返し投与の場合、治療は、疾患の徴候に所定の抑制が生ずるまで続けられる。この治療の進行は、従来の技術及び検定法によって容易に監視される。
1又はそれ以上のサイトカインがWSXレセプターと共に投与される場合、用いられるWSXリガンドの投与量は少なくなる。サイトカインの好ましい投与量は、約1μg/kgから100μg/kg(例えば、1-50μg/kg)又はそれ以上である。例えば、投与量は、G-CSF、GM-CSF及びEPOなどの他のサイトカインと同じ投与量であることもある。サイトカインは、WSXリガンドに先立って、同時に、又は引き続いて投与される。サイトカインとWSXリガンドは、混合して、哺乳類に同時に投与する製薬的組成物を形成してもよい。ある実施態様では、WSXリガンドとサイトカインの量は、哺乳類において、WSXリガンドとサイトカインの投与時に、血液細胞の相乗的再集合(造血細胞の増殖及び/または分化の相乗的増加)が起こる量である。言い換えれば、2又はそれ以上の試薬(例えば、WSXリガンド及びサイトカイン)の、血液細胞の再集合(造血細胞の増殖及び/または分化)に対する調和作用が、これらの分子各々の効果の和よりも大きい。
肥満及びそれに関連する病理学的状態の治療のために、WSXリガンドは、肥満と闘い又は予防するための他の治療と組み合わせて投与してもよい。この目的に有用な物質は、例えば、ホルモン(カテコールアミン、グルカゴン、ACTH);クロフィブレート;ハロゲナート;シンコカイン(cinchocaine);クロロプロマジン;マジンドール及びフェネチルアミン誘導体、例えば、フェニルプロパノールアミン、ジエチルプロピオン、フェンテルミン、フェンジメトラジン、ベンズフェタミン、アンフェタミン、メタンフェタミン及びフェンメトラジン等の非アドレナリン性神経伝達物質に作用する食欲抑制薬;フェンフルラミン、トリプトファン、5-ヒドロキシトリプトファン、フルオキセチン及びセルトラリン等のセロトニン神経伝達物質に作用する薬;ナロキソン、神経ペプチド-Y、ガラニン、コルチコトロピン放出ホルモン、及びコレシストキニン等の中枢活性薬;
ピリドスティグミン等のコリン作用アゴニスト;リソスフィンゴ脂質又はその誘導体(EP 321,287、1989年6月21日発行)等のスフィンゴ脂質;チロイドホルモン、エフェドリン、ベータ-アドレナリン性アゴニスト等の熱発生薬;酵素阻害剤、例えばテトラヒドロリポスタチン、スクロースポリエステル等の非消化性食品、及びスレオ-クロロクエン酸又はその誘導体等の空腹抑制剤といった消化管に作用する薬;イソプロテレノール及びヨヒンビン等のβ-アドレナリン性アゴニスト;ヨヒンビンのβ-アドレナリン様効果を増大するためのアミノフィリン、クロニジン等のα2-アドレナリンブロック薬の単独または成長ホルモン放出ペプチドとの組み合わせ(米国特許第5,120,713号、1992年6月9日発行);メトフォルミン及びフェンフォルミン等のビグアニドといった腸管吸収阻害薬;メチルセルロース等のバルク充填剤;ヒドロキシクエン酸塩等の代謝ブロック薬;プロゲステロン;コレシストキニンアゴニスト;ケト酸に類似した小分子;コルチコトロピン放出ホルモンのアゴニスト;身体脂肪蓄積を低減するための麦角放出プロラクチン阻害性化合物(米国特許第4,783,469号、1988年11月8日発行);ベータ-3-アゴニスト;ブロモクリプチン;オピオイドペプチドのアンタゴニスト;
神経ペプチドYのアンタゴニスト;グルココルチコイドレセプターのアンタゴニスト;成長ホルモンアゴニスト;これらの組み台わせ;等である。これは、Bray and Greenway,Clinics in Endocrinol.and Metabol.,5:455(1976)に記載された全ての薬剤を含む。
これらの補助剤は、WSXリガンドの投与と同時、その前又は後に投与してよく、WSXリガンドと同じまたは異なる経路で投与することができる。
WSXリガンド治療は、個々の患者が望むときは、日々の食物又はカロリー摂取の制限といった食事制限無しでも、または、それを強要しても行うことができる。
F.製造品
本発明の他の実施態様では、上述の状態の治療に有用な材料を含む製造品が提供される。この製造品は、容器とラベルとを含んでなる。好ましい容器は、例えば、ボトル、ガラス瓶、シリンジ、及び試験管を含む。この容器は、ガラスやプラスチックなどの種々の材料から形成してよい。この容器は、状態を治療するのに有効な組成物を保有し、無菌の出入り口を具備する(例えば、容器は、血管内溶液バッグまたは皮下用縫い針で貫通できるストッパーを有するガラス瓶であってもよい)。組成物中の活性剤はWSXリガンドである。容器上の又は添付されたラベルは、組成物が選択した状態の治療に用いられることを示している。この製造物は、WSXリガンドとともに投与されるサイトカインを収容した第二の容器を具備してもよい。製造物は、例えば、リン酸塩緩衝塩水、リンガー溶液又は出来ストロース溶液などの生理学的に許容されるバッファーを収容した更なる容器を有してもよい。さらに、製造物は、他のバッファー、希釈液、フィルター、針、シリンジ、及び使用時に挿入されるパッケージを含む、商業的又は使用者の立場から望ましい他の材料を具備してもよい。
G.WSXレセプターリガンド及び抗体についての非-治療的用途
WSXレセプターリガンド及び抗体は、ここでCD34抗体が用いられているのと類似の方法で、造血幹細胞/先祖細胞集団の検出及び/または豊富化に用いることができる。幹細胞豊富化のために、WSXレセプター抗体は、免疫パンニング(panning)、フローサイトメトリーまたは免疫磁気ビーズ等のこの分野で周知の技術に利用できる。
WSXリガンドの一つのin vitro 応用によれば、WSXレセプターを含む細胞が提供され、細胞培養媒質中に配置される。このようなWSXレセプター含有細胞の例は、CD34+細胞などの造血祖先細胞を含む。
好ましい組織培養は、当業者には周知であり、最小必須培地(MEM)、RPMI-1640、及び張る別個の変性イーグル培地(DMEM)を含むが、これらに限られるものではない。これらの組織培養媒質は、Sigma Chemical Company(st.Louis,MO)及びGIBCO(Grand Island,NY)から商業的に入手できる。次いで、細胞は細胞培養媒質中、細胞が生存及び成長を維持するのに十分な条件下で、有効量のWSXリガンド及び任意にさらなるサイトカイン及び成長因子の存在下で培養される。細胞は、クロット、寒天、又は液体培養を含む種々の方法で培養できる。
細胞は、37℃といった生理学的に許容できる温度で、例えば、有効量のWSXリガンドの存在下で培養される。WSZリガンドの量は変化させてよいが、好ましくは、約10ng/mlから約1mg/mlの範囲とする。WSXリガンドは、当然のことながら、当業者が過度の実験無しに経験的に決定した投与量で添加される。培地のWSXリガンドの濃度は、細胞及びWSXリガンドが培養される条件等の種々の要因に依存する。特定の温度及びインキュベーションの時間、並びに、他の培養条件は、これらの要因、例えば、WSXリガンドの濃度及び細胞及び培地のタイプなどによって変化させることができる。
WSXリガンドを、in vitro での細胞増殖及び/または分化の促進に用いることは、多くの方法において有用である戸考えられる。例えば、WSXリガンドの存在下、in vitroで培養された造血細胞は、細胞レベルの低下した哺乳類に注入することができる。また、培養された造血細胞は、遺伝子治療の応用のための遺伝子輸送のために用いることもできる。安定なin vitro培地は、細胞特異的因子の単離のため、及び、内因性又は組み換えにより導入されたタンパク質の細胞内での発現のためにも用いられる。また、WSXリガンドは、細胞培地の他の細胞の成長及び/または分化を支持する細胞の細胞生存、増殖及び/又は分化の促進のためにも用いられる。
本発明のWSXレセプター抗体は、親和性精製試薬としても有用である。この方法では、WSXレセプターに対する抗体が、Sephadex樹脂又は濾紙などの適当な支持体に、当業者に周知の方法を用いて固定化される。固定化された抗体は、次いで、精製されるべきWSXレセプターを含むサンプルと接触し、その後、固定化された抗体に結合したWSXレセプター以外の、サンプル中の実質的に全ての材料を除去するのに好適な溶媒で支持体を洗浄する。最後に、グリセリン緩衝液pH5.0等の、WSXレセプターを抗体から放出させる他の適当な溶媒で支持体を洗浄する。
また、WXSレセプター抗体は、WSXレセプターの診断アッセイ、例えば、特定細胞、組織または血清におけるその発現の検出においても有用である。診断的応用のために、抗体は、典型的には検出可能な部分でラベルされる。検出可能部分は、直接的又は間接的に検出可能なシグナルを生ずることのできる任意のものである。例えば、検出可能な部分は、3H、14C、32P、35S又は125Iなどの放射性同位元素;フルオレセインイソチオシアナート、ローダミンまたはルシフェリンなどの蛍光又は化学発光化合物;125I、32P、14C又は3Hなどの放射活性同位体ラベル;あるいは、アルカリホスファターゼ、ベータ-ガラクトシダーゼまたはセイヨウワサビペルオキシダーゼ等の酵素である。
ポリペプチド変異体の検出可能な部分への分離可能な結合のためにこの分野で知られた任意の方法が採用され、Hunter等,Nature,144:945(1962);David等,Biochemistry,13:1014(1974);Pain等,J.Immunol.Meth.,40:219(1981);及びNygren,J.Histrochem.and Cytochem.,30:407(1982)に記載されたものも含む。
本発明の抗体は、競合結合アッセイ、直接及び間接サンドウィッチアッセイ、及び免疫沈降アッセイ等の周知の検定方法に採用することができる。Zola,Monoclonal Antibodies:A Manual of Techniques,pp.147-158(CRC Press,Inc.,1987)。
競合結合アッセイは、限られた量の抗体との結合について、試験サンプル分析物と競合するラベルした標準物の能力に依る。試験サンプル中のWSXレセプターの量は、抗体と結合し始める標準物の量に反比例する。結合を始める標準物の量の測定を腰囲にするため、通常、抗体は、競合の前又は後に不溶化され、抗体と結合した標準物及び分析物が、結合していない標準物及び分析物から分離しやすくする。
サンドウィッチアッセイは2つの抗体の使用を含み、各々が、検出すべきタンパク質の異なる免疫原部分又はエピトープに結合できる。サンドウィッチアッセイにおいて、試験サンプル分析物は、固体支持体に固定化された第1の抗体に結合し、次いで、第2の抗体が分析物に結合し、不溶性の3元複合体を形成する。
米国特許第4,376,110号参照。第2の抗体は、それ自身が検出可能な部分でラベルされてもよく(直接サンドウィッチアッセイ)、あるいは、検出可能な部分でラベルした抗−免疫グロブリン抗体を用いて測定してもよい(間接サンドウィッチアッセイ)。例えば、サンドウィッチアッセイの一つのタイプがELISAであり、検出可能な部分は酵素である。
H.材料の寄託
以下の生物学的材料は、American Type Culture Collection,12301 Parklawn Drive,Rockville,MD,USA(ATCC)に寄託された。
寄託表示ATCC番号寄託日Baf3/WSX E63x7 sort ATCC CRL 12015 1996年1月10日(Baf3 x\cells expression humanWSX receptor variant 13.2)2D7ハイブリドーマ細胞系1G4ハイブリドーマ細胞系 ATCC HB 12243 1996年12月11日1E11ハイブリドーマ細胞系1C11ハイブリドーマ細胞系 これらの寄託は、特許手続上の微生物寄託の国際的承認に関するブタペスト条約及びその規則(ブタペスト条約)に従って行った。これは寄託日から30年の間 生存可能な培地を維持することを保証する。寄託した各々の培地は、ジェネンテック社とATCCとの合意を条件として、ブタペスト条約の条件に従って ATCCから入手可能であり、前記合意は(a)培地への接近は、特許出願が係属中は、特許庁長官が37 CFR §1.14及び35 USC §122に基づいて認めたものに可能であり、(b)このように寄託された培地の公衆への入手可能性に対する制限は、特許された時点で取り除かれることを保証する。
特許出願の譲受人は、適当な条件で培養したときに、寄託に係る培地が脂肪又は喪失又は破壊された場合、通知を受けたら速やかに、同じ培地の生存可能な標品と置き換えることに同意する。寄託された細胞系の入手可能性は、あらゆる政府の権威のある機関がその特許法に従って許可した権利に反して発明を実施する許諾とは解釈されない。
上述の明細書は、当業者が本発明を実施するのに十分であると考える。本発明は、寄託した培地によってその範囲を限定されず、寄託した実施態様は、本発明の位置態様を例示したものに過ぎず、機能的に等価なあらゆる培地が本発明の範囲内にある。この材料の寄託は、ここに含まれる詳細な説明が、本発明のベスト。モードを含む全ての態様を実施するのに不十分であることを容認するものではなく、請求の範囲をそれが示す特定の例示に限定すると解釈すべきでもない。確かに、ここに示し述べたものに加えて、本発明の種々の変形が、これまでの説明から当業者には明らかになり、それらは添付した請求の範囲内にある。
III.実験
以下は、本発明を実施するための特定の実施態様の例である。これらの実施例は、単に例示を目的とするものであり、本発明の範囲を如何なる方法においても制限するものではない。
以上、以下に関わらず、ここに挙げる全ての刊行物、特許、特許出願は、それらの全体を、参考としてここに取り入れる。
実施例1
ヒトWSXレセプターのクローニング WSX.6#1をデザインしたオリゴヌクレオチドプローブを、T73849EST配列に基づいて合成した。WSX.6#1プローブは以下の配列を持つ51マーである:ラジオラベル化WSX.6#1プローブを、ランダムでオリゴdTプライマー化λgt10胎児肝ライブラリー(Clontech,Palo Alto,CA)から1.2×106クローンをプローブするために用いた。42℃でオーバーナイトのハイブリダイゼーションに引き続いて、フィルターを0.5×SSC及び0.1%NaDodSO4(SDS)で50℃で洗浄した。第一のスクリーニングから10クローンが選択され、1.5.6及び9とデザインされた4のクローンをEcoRI切断に引き続いてpBSSK-(Stratagene)内にサブクローン化した。配列分析により、クローン5及びクローン9は推定の開始メチオニン及びシグナルペプチドを含むことが明らかにされた。クローン6(6.4とデザインされた)はほとんどの3'末端配列を含み、後にさらなるスクリーニングのため用いた。
フルレングス遺伝子を得るために、クローン6.4(Nsi-HindIII断片)をラジオラベルし、肝腫瘍Hep3B細胞系から構築したλgt10ライブラリーから1.2×106クローンをスクリーニングするために用いた。このスクリーニングにより24のポジティブクローンが得られた。λgt10プライマー(F及びR)を用いた該クローンのPCR分析に引き続き、4の最長クローン12.1,13.2,22.3及び24.3を単離した。これらのクローンをEcoRI部位を用いてpBSSK-内にサブクローン化し、制限酵素切断による試験に引き続き、12.1及び13.2をシークエンシングに受けさせた。DNAシークエンシングを自動Applied Biosystems DNAシークエンサーでTaq色素デオキシヌクレオチドターミネーターサイクルシークエンシングキットを用いて実施した。
全ての単離されたクローン由来の集められた連続的な配列をは、WSXレセプターとデザインされた新規に同定されたポリペプチドに対するコンセンサスアミノ末端をコードしていた。しかしながら、配列分析により、異なる細胞内領域を持つ少なくとも3の天然に生じるWSXレセプターの変異体が存在することが明らかにされた。これらの変異体は891位のリシン残基で異なってスプライシングされているようである。クローン6.4はLys891の後の5アミノ酸でストップする。クローン12.1はLys891に引き続いて13.2及び6.4とは異なり、クローン13.2によってコードされるものとは異なり推定のbox2領域をコードする。クローン13.2は潜在的なbox1領域を含み、Lys891に引き続いて制定のbox2及びbox3モチーフをコードする。Baumann等,Mol.Cell.Biol.14(1):138-146(1994)を参照。
クローン13.2細胞内領域に基づくフルレングスWSX遺伝子は、1165アミノ酸膜貫通タンパク質をコードすると推定される。841アミノ酸細胞外ドメイン(ECD)は2のWSXWSドメインを含む。ECDに24アミノ酸膜貫通ドメイン及び30アミノ酸細胞内領域が続く。
実施例2
WSXレセプターイムノアドヘシン
ポリメラーゼ連鎖増幅を用いて、WSXレセプターイムノアドヘシンを、ECDのC末端でヒトCH2CH3(Fc)IgG(Bennett等,J.Biol.Chem.266(34):23060-23067(1991))を用いてWSXレセプター遺伝子細胞外ドメイン(WSX.ECD)のフレーム中融合を実施することにより作製し、pBSSK-(Stratagen)内にクローン化した。発現のため、WSX-FcをClaIおよびBstIIで摘出し、プラスミドpRK5.WSX-IgG GenenaseIを作製するためにpRK5.HulF.grbhIgG GenenaseIベクター(Beck等,Molecular Immunology 31(17):1335-1344(1994))内にライゲートした。このプラスミドを標準的なカルシウムリン酸トランスフェクション法を用いて293細胞内にトランスフェクトした。トランスフェクトされた細胞を、10%FBS,100mMHEPES(pH7.2)及び1mMグルタミンを50:50で補ったDMEM F12中で、37℃で5%C02で培養した。WSXレセプターイムノアドヘシンをProSepATMプロテインAカラムを用いて精製した。
実施例3
抗体生産
WSXに対する抗体を生産するために、実施例2のWSXレセプターイムノアドヘシンをポリクローナル抗体を生産するためにウサギを、モノクローナル抗体を生産するためにマウスをありきたりの方法を用い接種した。
実施例4
WSXレセプターを発現する細胞系の生産
フルレングスWSXレセプター変異体13.2をコードする核酸を、pRKtkNeoプラスミド(Holmes等,Science 253:1278-1280(1991))内に挿入した。それによって生産された100μgsのpRKtkNeo.WSXプラスミドを直線化し、エタノール沈殿し、100μLのRPMI1640に再懸濁した。7×106BaF3細胞(5×105/ml)を、900μLのRPMIに懸濁し、直線化プラスミドに加えた。BRLエレクトロポレーシヨン装置を用いた325V,1180μFでのエレクトロポレーションに引き続き、該細胞を5%WEHI3Bコンディション培地及び15%結成を含む15mlのRPMI1640内に接種した。48時間後細胞を2mg/mlG418において選択した。
WSXレセプター変異体を発現するBaf3/WSX細胞系を得るために、G418選択クローンを、上述したようにwsx-Fcキメラタンパク質に対して生産されたウサギポリクローナル抗血清を用いたFACSによって分析した。最高発現クローン(E6とデザインされた)を、高レベルのWSXレセプター発現を持つ集団を維持するためFACSで分類した。
実施例5
細胞増殖におけるWSXレセプターの役割
WSX変異体13.2及び12.1の増殖ポテンシャルを、GHレセプター細胞外及び膜貫通ドメイン、そしてWSXレセプター13.2または12.1細胞内ドメインより成るキメラタンパク質をコードするヒト成長ホルモンレセプター-WSXレセプター(GH-WSX)融合物を構築することによって試験した。これらのキメラ遺伝子融合物を、IL-3非依存性細胞系BaF3内にトランスフェクトした。外因性成長ホルモン(GH)に応答するGH-WSXトランスフェクトBaF3細胞の能力を、チミジン取り込みアッセイで試験した。図6及び8でみられるように、GH-WSXレセプター変異体13.2キメラは、トランスフエクトBaF3細胞におけるチミジン取り込みを増大することができ、それゆえWSXレセプタ一変異体13.2の増殖ポテンシャルを示した。しかしながらWSXレセプター変異体12.1は、この実験において増殖シグナルを伝達できなかった(図8)。
物質と方法
hGHレセプターの細胞外及び膜貫通ドメイン、そしてWSXレセプター変異体12.1または変異体13.2のそれそれの細胞内ドメインを含むキメラレセプターを生産するために、組換えPCRを用いた。要約すると、アミノ酸866でArgで始まり、アミノ酸958またはアミノ酸1165のそれぞれまで広がる変異体12.1または13.2のそれそれの細胞内ドメインを、アミノ酸18でMetで始まり、アミノ酸274でArgまで広がるhGUレセプター細胞外及び膜貫通ドメインに、連続的なPCRによってフレーム中で融合した。ヒトGHレセプターの細胞外及び膜貫通ドメインを生産するために、GH-EDCキメラを最初にPCRを用いて構築した。このPCRに対して用いられる3'末端プライマーは、WSX細胞内ドメインの最初の20ヌクレオチドに相当するプライマーの5'末端で20ヌクレオチドを含んだ。該キメラの3'末端をPCRを用いて生産したが、その場合5'末端プライマーはヒトGHレセプター膜貫通ドメインの最後の19ヌクレオチドを含んだ。フルレングスキメラを生産するために、ヒトGHレセプター産物の5'末端を、WSXレセプター細胞外PCR産物の3'末端と組み合わせ、引き続き2の産物の融合物を作製するために増幅した。
このキメラ融合物を、ClaIおよびXbaIを用いて切断し、キメラ発現ベクターを作製するためにpRKtkNeo(Holmes等,Science253:1278-1280(1991))にライゲートした。それからIL-3非依存性細胞系Baf3を、このhGH/WSXキメラ発現ベクターを用いてエレクトロポレーションした。
略記すると、100μgのpRKtkNeo/GH.WSXプラスミドを直線化し、エタノール沈殿し、そして100μLのRPMI1640に再懸濁した。7×106Baf細胞(5×105/ml)を、900μLのRPMIに懸濁し、直線化プラスミドに加えた。BRLエレクトロポレーション装置を用いて325V,1180μFでエレクトロポレーションに引き続き、該細胞を5%wehiコンディション培地と15%血清を含む15mlのRPHI1640内に接種した。48時間後、細胞を2mg/mlG418で選択した。
Baf3/GH.WSX細胞系を得るために、G418選択細胞を抗ヒトGH mAb(3B7)を1μg/mlで用いてFACS分類した。上部10%発現細胞を選択し、増殖させた。
実施例6
WSXレセプターの発現分析
WSXレセプターの発現プロフィールを、初めにノーザン分析によって試験した。ヒト胎児または成人mRNAのノーザンブロットをClontech(PaloAlto,California)から得た。およそ6kbの転写物をヒト胎児肺、肝臓及び腎臓で検出した。成人では低レベルの発現が肝臓、胎盤、肺骨格筋、腎臓、卵巣、前立腺及び小腸を含む様々な組織で検出された。
ヒト冷蔵血液のPCR分析により、CD34+サブ画分で転写物が同定された。PCR分析により、WSXレセプターの全ての3の変異体がCD34+細胞で存在した。CD34-サブ画分はこの同じPCR分析ではネガティブのようであった。
PCR分析により、6.4変異体及び13.2変異体の両者は、Zeigler等,Blood 84:2422-2430(1994)に記述されているように妊娠中期胎児肝臓から単離されるAA4+Sca+Kit+(flASK)細胞集団で明白であった。12.1変異体細胞内テールを含むクローンはネズミ組織から単離されなかった。
抗CD19/20抗体を用いて末梢血液から単離されたヒトB細胞もまた、短い形態の(6.4変異体)及び長い形態の(13.2変異体)レセプターmRNA発現に対してポジティブであった。
WSXレセプターは始源細胞及びより成熟した造血細胞の両者で発現されているようである。
実施例7
ネズミWSXレセプターのクローニング
ヒトWSXレセプターをネズミWSXレセプターを単離するためのプローブとして用いた。実施例4のpRTtkNeo.WSXプラスミドを、SspIを用いて切断した。このSspI断片(1624bp)を単離し、ラジオラベルし、そしてネズミ肝λgtライブラリー(Clontech)をスクリーニングするために用いた。これにより4のポジティブクローンが得られ、それらをEcoRI切断を介したpBSSK-内へのサブクローニングの後単離し、シークエンスした。1.2.3.4とデザインされたこの結果として生じたクローンは、ヒトWSXレセプターの細胞外ドメインと同一性を示した;これらのクローンから由来する連続的な配列は、開始メチオニンから783位のトリプトファンまで広がっている。ヒトWSXレセプターとネズミWSXレセプターの全体の類似性は、各自の細胞外ドメインのこの領域について73%である(図4A-B参照)。
実施例8
造血細胞増殖におけるWSXレセプターの役割
冷蔵血液由来の濃縮ヒト幹細胞集団CD34+におけるWSXレセプターの存在は、幹細胞/始源細胞増殖におけるこのレセプターの潜在的な役割を示唆する。メチルセルロース培地(Stem Cell Technologies)中のCD34+ヒト血液細胞の増殖を、WSXレセプターアンチセンスオリゴヌクレオチドの存在下または不存在下で測定した。
これらの試験はまた、ネズミ胎児肝臓由来のAA4+Sca+Kit+幹細胞を用いたネズミ造血系で報告されている。両例において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、造血始源細胞油体のコロニー形成を実質的に有意に阻害した。以下の表1参照。
抗増殖効果は、-20アンチセンス及び+85アンチセンスオリゴヌクレオチド構築物を用いると最も強調された。この阻害は始源的な増大から由来するいかなる特定のミエロイド系列とも系列特異的ではなかった。アンチセンスオリゴヌクレオチドの主要な効果は、全体のコロニー数の減少にあった。個々のコロニーのサイズもまた減少した。
ヒト及びネズミ幹細胞の両者を用いたアンチセンスオリゴヌクレオチド実験により、ミエロイドコロニー形成の阻害が示された。しかしながらこれらのアッセイにおいて観察された骨髄新生における減少は、カルチャー培地中のG-CSF及びGM-CFSを付加的に含むことによって妨げられ得る。これらのデータは骨髄新生コンパートメントにおける過剰なサイトカイン機能を説明することを助ける。
物質及び方法
ヒト肝細胞:ヒトへその緒冷凍血液をPBS/ヘパリン(1000μ/ml)中に集めた。単核画分をデキストラン勾配を用いて分離し、いかなる残余の赤血球細胞をも20mMNH4Cl中で溶解した。CD34+細胞をCD34+イムノマグネチックビーズ(Miltenyi,CA)を用いて単離した。これらの単離されたCD34+細胞は、FACS分析により90-97%CD34+であることが見出された。
ネズミ幹細胞:妊娠中期胎児肝臓を集め、イムノパンニングによってAA4-抗原に対してポジティブに選択した。それからAA4-ポジティブ画分を、AA4+Sca+Kit+画分のFACS単離によって幹細胞含有物に対してさらに豊富にした。
アンチセンス実験:ヒトまたはネズミWSXレセプターの領域に対してオリゴヌクレオチドを合成した。選択されたそれぞれのオリゴヌクレオチドに対して、アンチセンス(AS)、センス(S)及び混合(SCR)バージョンを合成した(図7参照)。+または-はWSXレセプターの開始メチオニンに相対的な位置を示す。CD34+またはAA4+Sca+Kit+細胞を、センス、アンチセンスまたは混合オリゴヌクレオチドのそれぞれを70μg/mlの濃度で含む、10%FBS、L-グルタミン、及びGIBCOTMリピド濃縮物を補った50:50 DMEM/F12培地で、103/mlの濃度でインキュベートした。16時間後、それぞれのオリゴヌクレオチドの第二の等量物を加え(35μg/ml)、該細胞をさらに6時間インキュベートした。
コロニーアッセイ:上記コンディションのそれぞれから由来する5000細胞を、Kitリガンド(KL)(25ng/ml)、インターロイキン-3(IL-3)(25ng/ml)及びインターロイキン-6(IL-6)(50ng/ml)を含む5mlのメチルセルロース(Stem Cell Technologies)内に等分した。それからメチルセルロースカルチャーを37℃で14日間インキュベートし、結果として生じたコロニーを数え、表現型を調べた。全てのアッセイは三重で実施した。
実施例9
WSXレセプター変異体はOBタンパク質に対するレセプターであるWSXレセプター変異体13.2は、最近クローン化されたレプチン(OB)レセプターと本質的に同じアミノ酸配列を持つ。Tartaglia等,Cell 83:1263-1271(1995)参照。OBタンパク質は、実施例4に記述されているようにWSXレセプター変異体13.2を用いてトランスフェクションされたBaf3細胞におけるチニジン取り込みを刺激し得た(図9参照)造血細胞におけるOBタンパク質発現を研究した。OBタンパク質に対して特異的にデザインされたオリゴヌクレオチドプライマーにより、胎児肝臓及び胎児脳におけるこのリガンドの存在が示され、同様に10-6及び7-4とデザインされた2の胎児肝ストロマ細胞系でも示された。これらの不朽化ストロマ細胞系の両者は、幹細胞集団のミエロイド及びリンパ球増殖の両者を支持することが示されている(Zeigler等,Blood 84:2422-2430(1994))。
実施例10
造血におけるOBタンパク質の役割
OBタンパク質の造血活性を調べるために、様々なin vitroアッセイを実施した。
ネズミ胎児肝flASK幹細胞を、Zeigler等,Blood 84:2422-2430(1994)に記述されているように妊娠中期胎児肝臓から単離し、幹細胞懸濁物カルチャーまたはメチルセルロースアッセイで研究した。
幹細胞懸濁物カルチャーに対しては、12000のfLASK細胞を、10%熱不活性化胎児ウシ血清(Hyclone,Logan,UT)及びL-グルタミンを補ったDMEM4.5/F12培地で、12穴フォーマットにおいて個々のウェルにまいた。増殖因子を以下の濃度で加えた:kitリガンド(KL)を25ng/mL、インターロイキン-3(IL-3)を25ng/mL、インターロイキン-6(IL-6)を50ng/mL、G-CSFを100ng/mL、GH-CSFを100ng/mL、EPOを2U/mL、インターロイキン-7(IL-7)を100ng/mL(全ての増殖因子はR and D System,Minneapolis,MNから得た)。OBタンパク質をもし他の指示がなければ100ng/mLで加えた。組換えOBタンパク質をLevin等,Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)93:1726-1730(1996)に記述されているように生産した。
Baf3細胞における増殖シグナルを変換する能力を維持させる場合(以前の実施例参照)、OBタンパク質はkitリガンドの存在下で懸濁物カルチャーにおいて増殖するflASK細胞の増殖を劇的に刺激した(図10A)。これらの懸濁物カルチャーへのOBタンパク質単独の添加では、造血幹細胞(HSC)の生存を作用できなかった。懸濁物カルチャーアッセイにおいて様々な造血増殖因子を試験した場合、OBタンパク質の主要な共同作用は、KL,GM-CSF及びIL-3と共同した場合に得られるようであった(表2)。いかなる特定の系列でも好ましい増殖は、結果として生じたカルチャーのサイトスピン分析から観察されなかった。
flASK幹細胞を単離した。12000細胞を関連した増殖因子の組み合わせを用いた懸濁物カルチャーにおいて接種した。細胞を7日後回収し、カウントした。細胞数は×103で表される。アッセイは三重で実施し、2の独立の実験で繰り返した。
メチルセルロースアッセイを以前に記述されたように実施した(Zeiger等,上記参照)。略記すると、メチルセルロースコロニーアッセイを、25ng/mLのKL(R and D Systems,Minneapolis,MN)を添加した「完全」メチルセルロースまたはプレBメチルセルロース培地(Stem Cell Technologies,Vancouver,British Columbia,Canada)を用いて実施した。結果として生じたコロニーのサイトスピン分析をZeigler等に以前に記述されたように実施した。
これらのメチルセルロースアッセイを実施する場合、OBタンパク質はミエロイドコロニー形成を増大させ、リンパ球及び赤血球コロニー形成を劇的に増大し(図10B及び10C)、それはOBタンパク質が造血系列の大変早期の細胞に機能し得ることを示す。重要なことは、OBタンパク質の造血活性は胎児肝幹細胞、ネズミ骨髄幹細胞増殖では確かめられないことであった;LinloSca+もまたOBタンパク質に応答して増殖される(KL:5倍の増大、KL及びOBタンパク質:10倍の増大)。
WSXレセプターの役割のさらなる造血分析を、db/dbマウスでの造血欠損を調べることによって実施した。
これらの欠損は、db/dbホモ接合体ミュータント骨髄の増殖ポテンシャルを測定することによって評価された。ミエロイド(Humphries等,Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)78:3629-3233(1981))またはリンパ球(McNiece等,J.Immunol.146:3785-90(1991))のそれぞれの増殖に好ましいコンデイションの下で、db/db骨髄のコロニー形成ポテンシャルは、野生型コントロール骨髄と比較した場合有意に減少した(図11)。KL及びIL-7をリンパ球形成から由来して用いた場合で、該比較をプレBメチルセルロースコンディションの下でなした場合、これは特に明らかであった(McNiece等,上記参照)。OBタンパク質の生産が不十分である(Zhang等,Nature 372:425-431(1994))相補的マウスミューテーションob/obの相当する分析により、リンパ球増殖能力は、機能的なOBタンパク質シグナル経路が不存在の場台、妥協されることが示された(図11)。しかしながらこの減少は、db/db骨髄を用いて観察された減少よりも小さかった。
db/db及び野生型骨髄の細胞プロフィールの分析により、これら二つの間の有意な差異が明らかにされた。db/db骨髄の全体の細胞性は変化なかった。しかしながらdb/db骨髄の様々なB細胞集団を調べてみると、B220+及びB220+/CD43+細胞の両者で減少したレベルが見出された。B220+細胞は全てのB細胞系列を表す一方で、CD43はB細胞階層の最早期細胞で好ましく発現されているように思われる(Hardy等,J.Exp.Med.173:1213-25(1991))。2の群のCD4/CD8染色プロフィールの間で差異は観察されなかった。TER119(赤血球細胞系列マーカー)集団は、db/db骨髄において増殖していた(図12)。
2の群由来の脾臓の比較により、ホモ接合体淡灰色コントロールと比較して、db/dbマウスの組織重量と細胞性の両者で有意な減少が明らかにされた(0.063±0.009g vs.0.037±0.006g及び1.10×107±1×104vs.4.3×106±103細胞>p0.05)。
この結果はOBタンパク質とEPOの間で示される共同作用性を確認し、赤血球形成の調節におけるOBタンパク質に対する役割を指摘するようである。
db/dbマウスの造血コンパートメントのin vivoでの実験により、ホモ接合体または野生型コントロールと比較した場合、末梢血リンパ球において有意な差異が示された。db/dbマウスは血中グルコースレベルを調節できず、およそ6-8週令で糖尿病になる;それゆえ動物が成熟するにつれての末梢血カウントを観察した。
血液サンプルの調達のため、実験の前及び研究を通じた各時点で、40μLの血液を眼窩洞から採取し、凝血を防止するため10mLの希釈液中に即座に希釈した。
各血液サンプル由来の完全な血液カウントを、採血の60分以内にSerrono Bakerシステム9018血液分析器で測定した。各投与群における半分の動物のみが、いかなる与えられた日においても採血され、それゆえ各動物は交互の時点で採血された。血中グルコースレベルをOne Touch グルコースメーター及びテストストリップを用いて、眼窩洞血液サンプルで測定した(Johnson and Johnson)。この実験の結果は図13A-Cに示されている。
該分析により、末梢血リンパ球はコントロール動物と比較して全ての時点で有意に減少していること、及びdb/dbマウスの末梢リンパ球集団は年齢に関して有意に変化しないことが示された。FACS分析により、減少したリンパ球集団はB220+細胞及びCD4/CD8細胞の両者での減少を示すことが明らかにされた。赤血球と血小板の両者は、調べた全ての時点を通じて野生型レベルである。ob/obホモ接合体ミュータントマウスにおける末梢血リンパ球レベルは、野生型コントロールと変わりなかった。
db/dbマウスの造血分析は、糖尿病の開始により複雑化し得る。それゆえリンパ球形成における高グルコースレベルの衝撃を、2の他の糖尿病モデル、グルコキナーゼノックアウトヘテロ接合体マウス(Grupe等,Cell 83:69-78(1995))及びIFN-αトランスジェニックマウス(Stewart等,Science 260:1942-6(1993))における末梢血プロフィール及び血中グルコースレベルと比較することによって調べた。db/dbマウス、その適切なコントロール及び高グルコースモデルにおける末梢リンパ球及び血中グルコースの比較により、血中グルコースとリンパ球カウントの間には何の関係も存在しないことが示された(図14)。それゆえこれらの結果は、db/dbマウスで観察されるリンパ球欠損は、OBタンパク質シグナル経路の造血機能に直接的に帰されることを示唆する。
チャレンジに応答するdb/db造血コンパートメントの能力を試験するために、db/dbマウス及びコントロールを致死化の放射に受けさせた。C57BLKS/J db/db、C57BLKS/J m+/db及びC57BLKS/J +m/+mマウスを、137Csソース由来の単一投与として致死化の全身体放射(750cGy,190cGy/分)に受けさせた。10の動物を実験グループごとに用いた。それから造血回復の速度論を、回復フェーズの間の末梢血液をモニターすることによって観察した。この実験により、放射後35日で末梢血液のリンパ球形成コンパートメントの完全な回復は、db/db造血系では不可能となることが示された。これらのマウスにおける血小板レベルはコントロールとした同じ回復速度論にしたがったが、赤血球における減少は7-10日までコントロールから遅れてラグを生じた。この発見は、db/dbマウスの骨髄において見出された増大したTER119集団を反映しているであろう(図12A)。
物質及び方法
骨髄、脾臓、及び抹消血液は、糖尿病マウス株:C57BLKS/J db/db(ミュータント)、C57BLKS/J m+/db(やせたヘテロ接合体コントロール同腹子)、C57BLKS/J +m/+m(やせたホモ接合体淡灰色コートコントロール同腹子)、及び肥満マウス株:C57BL/6J-ob/ob(ミュータント)そしてC57BL /6J-ob/+(やせた同腹子コントロール)から集めた。全ての株はJackson Laboratory,Bar Harbor,MEから得た。5の動物の最小値を実験群ごとに用いた。大腿骨を2%FCSを加えたハンクスバランス塩溶液(HBSS)で新鮮にし、単一細胞懸濁物を骨髄細胞で作製した。脾臓を集め、脾臓被膜を裂き、ナイロンメッシュで濾過した。末梢血液を10U/mLのヘパリン及びImmnol EDTAを用いたリン酸緩衝生理食塩水(PBS)において後眼窩洞を通じて集め、以前に記述されているように加工した。それから骨髄、脾臓細胞及び抹消血液を、以下の抗原に対するモノクローナル抗体を用いて染色した:B220/CD45R(PanB細胞)FITC抗マウス、TER119/赤血球細胞R /PE抗マウス、CD4(L3T4),FITC抗マウス、CD8(Ly3.2),FITC抗マウス、及びsIgM(Igh-6b),FITC抗マウス(全てのモノクローナル抗体はPharmigen,San Diego,CAから得た)。適切なアイソタイプコントロールが各実験に含まれた。メチルセルロースアッセイのため、群当たり5の動物由来の骨髄をプールし、各群由来の100,000細胞等量物を各アッセイ時点で用いた。
実施例11
OB-イムノアドヘシンの発現
タンパク質加工法を用いて、ヒトOBタンパク質をIgG1のヒンジ、CH2及びCH3ドメインとの融合物として発現させた。ヒトOBタンパク質とIgG1FcドメインのキメラをコードするDNA構築物を、ヒトIgG1のFc領域クローンを用いて作製した。ヒトOBcDNAをヒト肝細胞dscDNA(Clontech Buick-Clone cDNA産物)からPCRによって得た。IgG1cDNAのソースは、プラスミドpBSSK-CH2CH3であった。該キメラはフルレングスOBタンパク質(図16のアミノ酸1-167)のコード配列、及びアスパラギン酸216で始まるヒトIgG1配列(H鎖コンスタント領域の第一の残基として114アミノ酸を得る(Kabat等,Sequences of Proteins of Immunological Interest 第4版(1987)))を含み、該アスパラギン酸216はH-L鎖結合に関与するシステイン残基の後のIgG1ヒンジの第一の残基であり、該ヒトIgG1配列はIgG1のCH2及びCH3Fcドメインを含むために残基441で終わる。OBタンパク質とIgG1コード配列の間の3のアミノ酸(Gly Val Thr)に対するコドンに興味が存在する。もし必要であれば、この短いリンカー配列は、OBタンパク質とIgG1ヒンジ領域のコード配列間の正確なジャンクションを作製するために、例えばサイトディレクトミュータジェネシスによって、容易に検出し得る。OB-IgG1イムノアドヘシンのコード配列を、カルシウムリン酸法を用いて293細胞で一過的に発現するために、ネオマイシン選択マーカーを含むpRK5ベースベクターpRK5tk-neo内にサブクローン化した(Suva等,Science 237:893-896(1987))。293細胞を10%FBS及び2mML-Glnを含むHAM'S:低グルコース培地(50:50)で培養した。OB-IgG1キメラの精製のために、トランスフェクションの後の日に血清フリー生産培地PS24に変化させ、培地を3日後集めた。カルチャー培地を濾過した。
組換えヒトOB-IgG1を含む濾過された293細胞上清(400ml)を、フェニルメチルスルホニルフルオリドと2μg/mlのアプロチニンで1mMにした。この物質を、100mM HEPES pH8で平衡化した1×4.5cmのプロテインAアガロースカラム(Pierceカタログナンバー20365)上に4℃で乗せた。流速は75ml/時であった。OB-IgG1タンパク質を流速15ml/時で、3.5MMgCl2+2%グリセロール(非緩衝化)を用いて溶出した。
該溶出物を、およそ2分の1までMgCl2濃度を減少させ、pHを上昇させるために、10mlの100mM HEPES pH8内に時々攪拌しながら集めた。それから該溶出タンパク質をリン酸緩衝生理食塩水内で透析し、濃縮し、滅菌濾過して4℃または-70℃で凍結して貯蔵した。この方法によって調製されたOB-IgG1イムノアドヘシンを、90%より大きく精製するためにSDS-PAGEで見積もる。
実施例12
PEG-OBの調製
ヒトOBタンパク質のPEG誘導体を、Shearwater Polymer,Inc(Huntsville,AL)から得た見かけの分子量が10kDであるPEGプロピオン酸(SPA-PEG)のスクシンイミド誘導体を用いた逆相クロマトグラフィーによって精製されたhOBタンパク質の反応によって調製した。逆相クロマトグラフィーによるhOBタンパク質の精製後、0.1%トリフルオロ酢酸とおよそ40%のアセトニトリル中でタンパク質のおよそ1-2mg/m溶液を、0.2Mホウ酸バッファーの1/3から1/2容量を用いて希釈し、pHをNaOHを用いて8.5に調節した。SPA-PEGをSPA-PEGに対するタンパク質のモル比が1:1及び1:2になるように反応混合物に加え、該混合物を1時間室温でインキュベートした。反応とゲル電気泳動またはイオン交換クロマトグラフィーによる精製後、該サンプルをリン酸緩衝生理食塩水に対して徹底的に透析し、0.22ミクロンフィルターを通した濾過によって滅菌した。サンプルを4℃で貯蔵した。これらのコンディションの下で、SPA-PEGに対する1:1のモル比のタンパク質から生ずるPEG-hOB反応物は、主に2PEG含有種の少量と付着した1の10kDPEGを持つ分子より成った。1:2モル反応物由来のPEG-hOBは、SDSゲル電気泳動によって測定したところ、hOBに付着した2及び3PEGの大体等量より成った。両反応において、少量の非反応タンパク質が検出された。この非反応タンパク質を、必要とされるゲル濾過またはイオン交換工程によって効率的に除去した。ヒトOBタンパク質のPEG誘導体を、1990年6月13日に印刷されたEP 372,752に記述されているアルデヒド化学に本質的にしたがって調製し得る。
実施例13
ネズミ作用剤抗体
ネズミを各肉趾内に、MPL-TDM(モノホスホリルリピドA/トレハロースジコリノミコレート;Rabi,Immunochemical Research Inc.)に再懸濁したWSXレセプターイムノアドヘシン(上記実施例2参照)の20μgを用いて5回免疫化した。最後の免疫化の3日後、膝窩リンパ球細胞を、記述されているように50%ポリエチレングリコールを用いてマウスミエローマ細胞、X63-Ag8.8.653細胞と融合した(Laskov 等,Cell.Immunol.55:251(1980))。
ハイブリドーマカルチャー上清の最初のスクリーニングを、キャプチャーELISAを用いて実施した。キャプチャーELISAのために、ミクロタイタープレート(Maxisorb;Nunc,Kamstrup,Denmark)をPBS中で2μg/mlのヒトIgGのFc部分に対して特異的なヤギ抗体(Goat抗hIgG-Fc;Cappel)の50Atl/ウェルを用いて4℃でオーバーナイトでコートし、2×BSAを用いて室温で1時間ブロックした。それから2μg/mlのWSXレセプターイムノアドヘシンの50μl/ウェルを、各ウェルに1時間で加えた。残余の抗Fc結合部位を、3%ヒト血清及び10μg/mlのCD4-IgGを含むPBSを用いて1時間でブロックした。プレートを2μg/mlの抗WSXレセプターモノクローナル抗体(またはハイブリドーマカルチャー上清)の50μl/ウェルを用いて1時間でインキュベートした。それからプレートをHRP-ヤギ抗マウスIgGの50μl/ウェルを用いてインキュベートした。結合酵素を基質(OPD)の添加によって検出し、プレートをELISAプレートリーダーを用いて490nMで読み取つた。各工程の間、プレートを洗浄バッファー(0.05%TWEEN20TMを含むPBS)で洗浄した。
作用剤抗体をWO95/14930に記述されているKIRA ELISAを用いてスクリーニングした。カルボキシル末端単純ヘルペスグリコプロテインD(gD)タグを持つ、WSXレセプターの細胞外ドメインとRswレセプターの膜貫通及び細胞内ドメインを含むキメラレセプター(Mark等,Jounal of Biological Chemistry 269(14):10720-10728(1994))を生産し、dp12.CHO細胞をWO 95/14930の実施例4に記述されているようにそれを用いてトランスフォームした。
WSX/Res.gDトランスフォームdp12.CHO細胞を、100ml培地中で平底96穴カルチャープレートにまき(3×104/ウェル)、5%C02で37℃でオーバーナイトで培養した。次の朝、ウェル上清を除去し、それから様々な濃度の精製mAbを別々のウェルに加えた。細胞を37℃で30分刺激し、該ウェル上清を捨てた。細胞を溶解し、キメラレセプターを可溶化するために、100μlの溶解バッファーを各ウェルに加えた。それから該プレートをプレートシェイカー(Bellco Instruments,Vineland,NJ)で室温で60分穏やかに振動した。
該細胞を可溶化する間、5B6モノクローナル抗gD抗体(50mM炭酸バッファー、pH9.6中で5.0μg/ml,,100μl/ウェル)を用いて4℃でオーバーナイトでコートしたELISAミクロタイタープレート(Nunc Maxisorp,Inter Med,Denmark)に移し、2%BSAを含むBlock Bufferの150μl/ウェルを用いて室温で60分ブロックした。60分後抗gD5B6コートプレートを、洗浄バッファー(0.05%TWEEN20TM及び0.01%チメロサールを含むPBS)を用いて6回洗浄した。
細胞カルチャーミクロプレートウェル由来の可溶化WSX/Rse.gDを含む溶解物を、抗gD5B6コートそしてブロックELISAウェルにトランスファーし(85μl/ウェル)、室温で2時間インキュベートした。非結合WSX/Res.gDを洗浄バッファーで洗浄することによって除去し、希釈バッファー(0.5%BSA,0.05%Tween-20,5mMEDTA,及び0.01%チメロサールを含むPBS)で1.18000に希釈されたビオチン化4G10(抗ホスホチロシン)、すなわち56ng/mlを各ウェルに加えた。室温で2時間のインキュベーション後、該プレートを洗浄し、HRPO接合ストレプタビジン(Zymed Laboratories,S.San Francisco,CA)を各ウエルに加えた。該プレートを穏やかに振動させながら室温で30分インキュベートした。フリーのアビジン接合物を洗い流し、100μlの新鮮に調製された基質溶液(テトラメチルベンジジン(TMB);2-コンポーネント基質キット;Kirkegaard and Perry,Gaithersburg,MD)を各ウェルに加えた。反応を10分進行させ、その後に色素発達を100μl/ウェルの1.0MH3PO4を加えることによってストップさせた。450nmの吸光度を、Macintosh Centris 650(Apple Computers,Cupertino,CA)及びDeltaSoftソフトウェアー(BioMetallics,Inc,Princeton,NJ)でコントロールされたvmaxプレートリーダーを用いて、650nmのリファレンス波長を用いて読んだ(ABS450/650)。
25の抗WSXレセプターモノクローナル抗体のうち4が、KIRA ELISAでキメラWSX/Rseレセプターを活性化した。該抗体は2D7,1G4,1E11及び1C11とデザインされた。
4の作用剤抗WSXレセプターmAbが同じまたは異なるエピトープを認識するかどうかを測定するために、競合的結合ELISAをKim等,J.Immunol.Method 156:9-17(1992)に記述されているように、ビオチン化mAb(Bio-mAb)を用いて実施した。Bio-mAbはAntibodies,A Laboratory Manual Cold Spring Harbor Laboratory,Harlow E.及びD.Lane編,±.341(1988)に記述されているようにN-ヒドロキシスクシンイミドを用いて調製した。ミクロタイターウェルを50μl のヤギ抗hIgG-Fcを用いてコートし、4℃でオーバーナイトで維持し、2%BSAを用いて1時間ブロックし、そして25μl/ウェルのヒトWSXレセプターイムノアドヘシン(1μg/ml)を用いて室温で1時間インキュベートした。洗浄後、所定の最適濃度のBio-mAb結合物と1000倍過剰の非ラベルmAbの混合物を、各ウェルに加えた。室温で1時間のインキュベーションに引き続き、プレートを洗浄し、Bio-mAbの量をHRP−ストレプタビジンの添加によって検出した。プレートを洗浄後、結合酵素を基質o-フェニルエネジアミンジヒドロクロライド(OPD)の添加によって検出し、該プレートをELISAプレートリーダーを用いて490nmを読んだ。
ネズミWSXレセプターを認識するmAbの能力を、キャプチャーELISAで測定した。gDタグ(上記参照)を融合したネズミWSXレセプター(図21)を、抗gD(5B6)コートELISAプレーとによって捕らえた。洗浄後、様々な濃度のビオチン化mAbを各ウェル内に加えた。ネズミWSXレセプター-gDに結合したビオチン化mAbを、上述のようにHRP-ストレブタビジンを用いて検出した。
該抗体が膜結合レセプターに結合するかどうかを測定するために、FACS分析をWSXレセプターを用いてトランスフェクトされた293細胞を用いて実施した。105WSXレセプター-トランスフェクト293細胞を、100μlのPBSプラス1%胎児ウシ血清(FSC)に再懸濁し、2D7または1G4ハイブリドーマ細胞上清を用いて氷上で30分インキュベートした。洗浄後、細胞を100μlのFITC-ヤギ抗マウスIgGを用いて4℃で30分インキュベートした。細胞を2度洗浄し、150μlのPBSプラス1%FCDに再懸濁し、Facスキャン(Becton Dickinson,Mountain View,CA)によって分析した。抗体2D7及び1G4はFacS分析にしたがって膜WSXレセプターに結合した。
作用剤2D7及び1G4の性質は以下の表に要約されている。
aこれらのmAbは競合的結合ELISAにより異なるエピトープを認識することが示される。
bこれらの結果はELISAで測定される(hWSXRはヒトWSXレセプターであり、mWSXRはネズミWSXレセプターである)。
c作用剤活性はKIRA ELISAにより測定される。
実施例14
ヒト作用剤抗体
ヒトWSXレセプター(hWSXR)を結合する単一鎖Fv(scFv)断片を、イムノチューブ上にコートされた抗原またはストレプタビジンコートマグネチックビーズを用いて接合されたビオチン化抗原(Griffiths等,EMBO J.13:3245-3260(1994);及びVaughan等(1996))を用いて、ラージヒトscFvライブラリー(Vaughan等,Nature Biotechnology 14:309-314(1996))から単離した。略記すると、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で10μg/mlのヒトWSXレセプターイムノアドヘシン(上記実施例2参照)を用いてオーバーナイトでコートされたイムノチューブを、パンンニングの3周に対して用いた。ヒト化抗体、huMAb4D5-8(Carter等,Proc.Natl.Acad.Sci.USA89:4285-4289(1992))を、イムノアドヘシンのFcに結合する抗体のカウンター選択に用いた。これをパンニング工程に対する溶液中の1mg/mlのhuMAb4D5-8を用いて実施した。加えてヒトWSXレセプター細胞外ドメイン(Geneaseを用いてWSXレセプターイムノアドヘシンから切断した(Carter等,Proteins:Structure,Function and Genetics 6:240-248(1989)))をビオチン化し、パンニングの3周で用いた。2または3周のパンニングに引き続く個々のファージは、抗原結合ELISAにより特性指摘された(表3及び4)。
表3 ヒトWSXレセプターイムノアドヘシン-コートイムノチューブを用いたパンニング
aトータルで11の異なるクローンを同定した。
表4 ビオチン化ヒトWSXレセプターを用いたパンニング
aトータルで7の異なるクローンを同定した。
ヒトWSXレセプターに結合するクローンを、さらにscFvをコードするPCR断片のBstNIフィンガープリントで特性指摘した。トータル18のクローンを同定した:イムノチューブを用いたパンニングから11、そしてビオチン化抗原を用いたパンニングから7(これらの群でオーバーラップは存在しなかった)。全ての18のクローンに対するDNAをシークエンスした。
上記のように得られた抗HuWSXクローンを、最初にscFvファージとして、それからscFvとしてKIRA-ELISAアッセイ(上記及び図22参照)で作用剤活性に対して分析した。scFvファージをPEG沈降し(Carter等,Mutagenesis:A Practical Approach,McPherson,M編.I±L Press,Oxford,UK,第1章、ppl-25(1991))、スクリーニングの前PBSに再懸濁した。scFvを調製するため、該クローン由来のDNAを33D3細胞内にトランスフォームした(可溶性タンパク質の発現に対する非サプレッサー株)。
該細胞をカーベニシリンのml当たり2YT/2%グルコース/50μg上にまき、37℃でオーバーナイトでインキュベートした。5mlカルチャー(2YTG:2YT,2%グルコース,50μg/mlカーベニシリン)をイノキュレートし、30℃でオーバーナイトで成育させた。翌朝該5mlカルチャーを500mlの2YTG培地で希釈し、OD550がおよそ0.3になるまで30℃で成育させた。それから該培地を2YTGから2YT/50μg/mlカーベニシリン/2mMIPTGに変化させ、scFv生産のため30℃で4-5時間成育させた。該カルチャーを回収し、細胞ペレットを-20℃で凍結した。精製のため、該細胞ペレットを10mlのショケートバッファー(50mMTrisHCl pH8.5,20%スクロース,1mMEDTA)で再懸濁し、4℃で1時間振動した。破片をスピンダウンし、Ni NTA Superose(Qiagen)カラムで精製させるために上清を採取した。MgCl2を5mlまで上清に加え、ディスポーザルカラム内に装填した0.5mlのNi NTA Superose上で流した。それから該カラムを2×5ml洗浄バッファー1(50mMリン酸ナトリウム、300mMNaCl,25mMイミダゾール pH8.0)を用いて洗浄し、引き続き洗浄バッファ−2(50mMリン酸ナトリウム,300mMNaCl,250mMイミダゾール,pH8.0)で洗浄した。それからscFvを2.5mlの溶出バッファー(50mMリン酸ナトリウム,300mMNaCl,250mMイミダゾール,pH8.0)を用いて溶出した。溶出されたプールをNAP5カラム(Pharmacia)を用いてPBSに変換し、4℃で貯蔵した。
クローン#3,#4及び#17は、ファージとして及びscFvとして作用剤活性を持つことが見出された(図23及び24参照)。これらの作用剤クローンの配列は図25に示されている。KIRA ELISAにおけるF(ab')2としての抗体の活性を、F(ab')2として増大された活性を示すクローン#4及びクローン#17を用いて評価した。キャプチャーELISA(図13参照)においてネズミWSXレセプターを結合する抗体の能力を評価した。クローン#4及びクローン#17はこのアッセイにおいてネズミWSXレセプターを結合した。