JP2012201286A - 衝撃吸収部材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明に係る衝撃吸収部材1は、筒状の本体部3と、本体部3の基端側に本体部3に連続して形成された屈曲部5を介して設けられたフランジ部7とを備え、本体部3の先端側に作用する衝撃荷重によって本体部3が裏返り変形をすることで衝撃エネルギーを吸収する衝撃吸収部材1であって、本体部3の軸方向直交断面を正多角形にすると共に、軸方向に直交する断面積が先端側ほど小さくなるテーパ形状にしたことを特徴とするものである。
【選択図】 図1
Description
今日では種々の衝撃吸収部材が実用化されており、その一例が特許文献1に開示されている。
また、「前記第1の部分および前記第3の部分は、いずれも、前記筒状体の軸方向と略平行な方向へ延びて設けられる」とされている(特許文献1の請求項10参照)。
なお、衝撃吸収部材の変形形態として、従来技術では「外壁が折り返される」と表現しているが本発明の説明においては、「本体部が裏返り変形をする」と表現しており、両者は表現が異なるが同じ意味である。
ストロークが50mm以降の定常変形状態において、円断面のものは反力が一定値であるが、八角形断面のものは徐々に反力が増加した。この理由は、八角形断面のものはストロークが増加するに伴って壁の折り返し変形の曲率が小さくなるために、変形のエネルギーが増大するためと考えられる。
また、ストロークの途中から反力が増大するということは、逆にいえばストロークの前半では反力が小さいことを意味しており、衝撃吸収部材の重量当たりの吸収エネルギーが小さい。
また、衝撃力が衝撃吸収部材の軸方向に沿った場合には上記変形が生ずるが、衝撃力が軸方向からずれて作用する場合には、衝撃吸収部材が変形の途中で衝撃吸収部材を取り付けている部材に当接して衝撃吸収部材全体が折れる(倒れ込む)という問題があった。
その結果、折り返し変形の曲率の変化を制御して変形エネルギーを一定にすることは困難であるため、変形している部分の体積を変形が増すに伴って小さくなるようにすることで、変形エネルギーを一定にすることを考えた。具体的には、衝撃吸収部材の先端にいくほど衝撃吸収部材の軸方向直交断面積を小さくするというテーパ形状にすることを考えた。
本発明は上記のような知見に基づくものであり、具体的には以下の構成からなるものである。
前記本体部の軸方向直交断面を正多角形にすると共に、軸方向に直交する断面積が先端側ほど小さくなるテーパ形状にしたことを特徴とするものである。
本実施の形態1に係る衝撃吸収部材1は、筒状の本体部3と、本体部3の基端側に本体部3に連続して形成された屈曲部5を介して設けられたフランジ部7とを備え、本体部3の先端側に作用する衝撃荷重によって本体部3が裏返り変形をすることで衝撃エネルギーを吸収する衝撃吸収部材1であって、本体部3の軸方向直交断面を正八角形にすると共に、軸方向に直交する断面積が先端側ほど小さくなるテーパ形状にしたことを特徴とするものである。
なお、衝撃吸収部材1は金属材料によって形成されている。
以下、各構成部分を詳細に説明する。
本体部3は、軸方向直交断面が正八角形の筒状体からなるものである。金属材料によって形成され、また、本体部3は先端側になるほど軸方向直交断面積が小さくなるテーパ状になっている。テーパ角度αは、反力が一定値になるように適宜設定すればよい。
屈曲部5は、本体部3の基端側に設けられ、下方に向かって突出するU字状をしている。屈曲部5は、衝撃吸収部材1に衝撃力が作用した際に、初期の裏返り変形を誘発する作用を有している。屈曲部5がない場合には、衝撃力が作用した初期において、本体部3の基端部に座屈が生じ、反力の低下を招くことを確認している。
フランジ部7は、屈曲部5の外周側にリング状に設けられて、衝撃吸収部材1を車両側のブラケット9に取り付ける取付部となる。なお、衝撃吸収部材1が裏返り変形をするためには、ブラケット9側には、図2に示すように、衝撃吸収部材1の屈曲部5が設けられている部位の面積よりも大きな面積の開口を有することが必要である。
図3においては、衝撃吸収部材1の上端側に矢印Aで示すような衝撃荷重が作用した際に、本体部3が裏返り変形をする様子を、変形量が大きくなる順に図3(a)〜図3(c)に示している。図4は図3における変形部を拡大して示したものである。
図3に示すように、衝撃吸収部材1の上端側に衝撃荷重が作用すると、屈曲部5を起点として本体部3が裏返り変形を行う。このとき、図4に示すように、変形量が大きくなるにしたがって、変形の曲率が小さくなる。前述したように、変形の曲率が小さくなると、反力が大きくなる。
しかしながら、本実施の形態の衝撃吸収部材1は、上端側になるほど軸方向直交断面が小さくなるテーパ形になっているので、上端側ほど変形体積が小さくなっている。つまり、変形の曲率が小さくなることで反力が大きくなるのを、変形体積が小さくなることで相殺し、反力がほぼ一定になるようにしている。
また、テーパ形のため、衝撃力が軸方向よりずれて作用する場合でも、ブラケット9との間に空間があるため、衝撃吸収部材1の変形の途中で衝撃吸収部材1がブラケット9と接触することがなく、衝撃吸収部材1全体の折れ(倒れ込み)を防止できる。
図6に示されるように、本実施の形態のものでは、ストロークが60mm以降は反力がほぼ一定でるのに対して、比較例ではストロークが60mmを超えても反力が徐々に大きくなっている。その結果、比較例は本実施の形態のものよりも最大反力が約30(kN)近く大きくなっている。
このため、比較例の衝撃吸収部材10を車両に設置した場合には、車両側において最大反力に対して抵抗できる剛性を持たせる必要があり、その分コスト増となる。換言すれば、比較例のものでは、最大反力が本実施の形態と同じであれば、吸収できるエネルギーが本実施の形態よりも小さいことを意味する。逆にいえば、本実施の形態のものは、比較例に比べて最大反力が同じであれば、吸収エネルギーが大きい。
このように、本実施の形態では、車両側のコスト増になることなく、エネルギー吸収性能に優れている。
本実施の形態を図7〜図9に基づいて説明する。なお、図7、図8において、実施の形態1,2を示した図1、2と同一部分には同一の符号が付してある。
本実施の形態の衝撃吸収部材11は、実施の形態1のものにおいて、本体部3における各側面に、基端側から上端側に直線状に延びる直線状溝13を等間隔で設けたものである。直線状溝13の溝深さは上端側になるにしたがって浅くなるように設定されている。
実験の結果を図9に示す。図9においては、図6と同様に、縦軸が反力(kN)、横軸がストローク(mm)を示している。
図9に示されるように、本実施の形態のものでは、ストロークが40mmまでの初期の段階において、実施の形態1のものよりも反力が増していることが分かる。そして、ストロークが60mmを超えると実施の形態1と同様に反力がほぼ一定である。
このように、本実施の形態によれば、変形の初期における反力を実施の形態1のものよりも大きくすることができ、その結果、衝撃エネルギー吸収量を増すことができる。
このように、本実施の形態では、実施の形態1と同様に車両側のコスト増になることなく、エネルギー吸収性能に優れており、実施の形態1よりもエネルギー吸収量が大きくなるという効果がある。
3 本体部
5 屈曲部
7 フランジ部
9 ブラケット
10 衝撃吸収部材(比較例)
11 衝撃吸収部材(実施の形態2)
13 直線状溝
Claims (3)
- 筒状の本体部と、該本体部の基端側に前記本体部に連続して形成された屈曲部を介して設けられたフランジ部とを備え、前記本体部の先端側に作用する衝撃荷重によって前記本体部が裏返り変形をすることで衝撃エネルギーを吸収する衝撃吸収部材であって、
前記本体部の軸方向直交断面を正多角形にすると共に、軸方向に直交する断面積が先端側ほど小さくなるテーパ形状にしたことを特徴とする衝撃吸収部材。 - 前記本体部は、軸方向直交断面形状が正八角形であることを特徴とする請求項1記載の衝撃吸収部材。
- 前記本体部の側壁に、軸方向に延びる直線状溝を等間隔で設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の衝撃吸収部材。
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