JP2009029174A - 車体の衝撃エネルギー吸収方法、及び衝撃吸収部材ならびに車両 - Google Patents

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嘉明 中澤
Kenji Tamura
憲司 田村
Masahiro Nakada
匡浩 中田
Tsunetaka Yoshida
経尊 吉田
Koji Kawada
浩二 川田
Yoribumi Sakamoto
頼史 阪本
Katsuhiko Goraku
勝彦 合楽
Masahira Tasaka
誠均 田坂
Yozo Hirose
洋三 広瀬
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Abstract

【課題】長尺の車両衝撃吸収用部材においても、軸方向に衝撃荷重が作用した際に安定して塑性座屈変形を生じさせることが可能な衝撃エネルギー吸収方法を提供する。
【解決手段】扁平な略多角形の横断面形状を有し、かつ扁平な略多角形の長辺を含む広幅面に、内部へ向けて突設されるとともに軸方向と略平行な方向へ延在する溝部を少なくとも軸方向の一部に有する筒状の本体を備える衝撃吸収部材を、車体の所定の位置に装着し、車体の衝突時に本体を蛇腹状に座屈変形させて衝撃エネルギーを吸収する。溝部が、蛇腹状の座屈変形時に、Dy/Dz≧1.0を満足することにより、車体の衝撃エネルギーを効果的に吸収する。Dy:溝部の底部のY方向への変位、Dz:溝部の底部のZ方向への変位、Y方向:本体の軸方向と直交する面における、溝部の深さ方向に対して直交する方向、Z方向:本体の軸方向と直交する面における、溝部の深さ方向である。
【選択図】図1

Description

本発明は、自動車等の輸送機器において衝突の際の衝撃エネルギーを吸収するための車体の衝撃エネルギー吸収方法、及び衝撃吸収部材ならびに車両に関する。
輸送機器、特に自動車には、地球環境の保護強化への対応を目的とした省燃費化と、さらなる安全性の向上とを図ることが要請される。例えばフロントサイドメンバーのような、衝突時に衝撃荷重を負荷されると軸方向へ圧壊して変形すること(以下、「軸圧壊変形」という)により衝撃エネルギーを吸収する筒状の本体を備える衝撃吸収部材に対しても、軽量でかつ衝撃エネルギーを効率的に吸収できることが強く望まれる。
衝撃吸収部材の軸圧壊変形の際に生じる荷重は、衝撃吸収部材を構成する筒状の本体の断面積が大きく、また本体を構成する板材の板厚が厚い場合に、高い値を示す。しかし、衝撃吸収部材の断面積は、衝撃吸収部材以外の他の部材との兼ね合いや設計スペース等も勘案して決定される。このため、衝撃吸収部材には、限られた所定の断面積で効率よく衝撃エネルギーを吸収することが、強く求められる。
代表的な衝撃吸収部材であるフロントサイドメンバーを例にとって具体的に説明する。フロントサイドメンバーの後端側は、エンジンコンパートメントとキャビンとの隔壁の一部をなすダッシュロアーに接合される。衝撃エネルギーの吸収量を高めるためにフロントサイドメンバーの座屈荷重を過剰に高めると、フロントサイドメンバーに結合されたダッシュロアーが衝突の際に比較的早期に塑性変形して損傷するおそれがある。ダッシュロアーが早期に損傷すると、フロントサイドメンバーに衝撃荷重を効果的に負荷することができなくなる。このため、フロントサイドメンバーの先端側における蛇腹状の座屈変形の発生が抑制されてフロントサイドメンバーが途中で大きく屈曲変形し、効率よく衝撃エネルギーを吸収することができなくなるおそれがある。
図13は、フロントサイドメンバー1の軸圧壊変形試験を行う状況を示す説明図と、この軸圧壊変形試験におけるフロントサイドメンバーの変位及び荷重の関係とを示すグラフである。この軸圧壊変形試験は、フロントサイドメンバー1を垂直に固定して配置しておき、上方から落錘体を所定の速度で落下させてフロントサイドメンバー1の上端部に衝突させることによってフロントサイドメンバー1を軸圧壊変形させるものである。
フロントサイドメンバー1による衝撃エネルギーの吸収量は図13のグラフと横軸との間の面積により示されるので、衝撃エネルギーの吸収性能を高めるには、図13に示すグラフにおいて実線で示す台形形状の荷重履歴となるように、フロントサイドメンバー1の変形時に発生する荷重を制御することが有効である。しかし、実際にフロントサイドメンバー1が連続的な塑性座屈変形を生じる場合、図13のグラフにおいて破線で示す、(0)→(1)→(2)→(3)の荷重履歴を辿るので、この理由を説明する。
図13のグラフにおける破線の(0)→(1)では、フロントサイドメンバー1に負荷された軸方向への衝撃荷重によって、フロントサイドメンバー1の横断面内で剛性が低い平面部1a(稜線1bの間の平面)には横断面の外方向への弾性撓みを生じるとともに、剛性が高い稜線部1b(円弧部)には軸方向への圧縮ひずみを生じ、荷重が高まる。次に、(1)→(2)では、フロントサイドメンバー1の軸方向への圧壊の進行とともに、稜線部1bの板厚方向で圧縮ひずみの発達挙動に差が生じ、稜線部の面外変形、いわゆる塑性座屈変形(稜線部の折れ曲がり)が生じるので、荷重が急激に低下する。さらに、(2)→(3)では、稜線部1bの座屈の起点から平面部1aにかけてしわが成長することで平面部1aにおいても曲げ変形が生じ、荷重はさらに低下し、その後、平面部1aのしわは、圧壊の進行とともに押し潰されて重なり、他の稜線部1bにおける次の座屈発生へと移行するので、荷重が再び上昇する。
このように、軸圧壊変形時のフロントサイドメンバー1の荷重履歴は、その変形挙動と対応して、塑性座屈変形の発生直前(図13のグラフにおける(1))で極大値を示した後、荷重は急激に低下し(図13のグラフにおける(2))、座屈によって生じたしわを積み重ねる瞬間で極小値を示した後、再び荷重は上昇し(図13のグラフにおける(3))、次の座屈発生へ移行するものとなり、理想とする台形状の荷重履歴とはかなり異なる。
すなわち、実際の荷重履歴は、フロントサイドメンバー1内で発生する塑性座屈変形のピッチ(座屈周期)に相当して極大値及び極小値を繰り返し生じ、極大値及び極小値の荷重の絶対値はその都度変動する。このため、実際の荷重履歴を理想とする荷重履歴に近付けるには、荷重変動を最小限に抑制し、かつ座屈周期を限りなく短くすることが有効である。換言すると、理想の荷重履歴を得るためには、荷重変動を小さくするために同じ座屈荷重で座屈変形が繰り返され、また座屈周期を短くするために数多くの座屈が連続的に発生するように、塑性座屈変形の挙動を制御する必要がある。
以上説明したように、衝突初期の荷重を抑制し、かつ衝撃エネルギーの吸収量を高めるには、図13の破線で示す変位−荷重のグラフにおいて座屈の発生回数を多く、かつ座屈発生時の荷重振幅を小さくすることが重要である。
これまでにも、衝撃吸収部材の衝突性能を向上するために様々な発明が提案されている。
特許文献1には、フロントサイドメンバーの側面に軸方向へ延在するビードを設けることによって、フロントサイドメンバーの面剛性を向上させその座屈強度を高めるとともに、別部品の補強材を用いることなくフロントサイドメンバーの強度バランスの調整を容易とする発明が開示される。
特許文献2には、フロントサイドメンバーの前端部からエンジンマウントブラケット設置部まで、車両前後方向に延びる稜線の数をその他の面の稜線数よりも増加させることにより、前面衝突時に、パワーユニットの下向きの慣性力によりフロントサイドメンバーのエンジンマウントブラケット設置部が折損することを抑制する発明が開示される。
さらに、特許文献3には、衝突端側から長さの前半部を圧壊強度が高い八角形断面等の多角形断面形状としてフロントサイドメンバーの曲げ剛性及び捻じり剛性を向上させるとともに、後半部は隣接する他部材との整合性や接続性を考慮して四角形断面として前半部よりも圧壊強度が低い断面形状とすることにより、専用の補強板を用いることなく前半部をスムーズに軸圧壊変形させることにより、効果的に衝撃エネルギーを吸収する発明が開示される。
また、特許文献4には、筒体の長手方向に延びる溝部を形成し、安定した蛇腹状の座屈を実現して衝撃エネルギーの吸収量を高める発明が開示されている。
特開平8−108863号公報 特開平7−2535号公報 特開平8−26133号公報 WO2005/010398
しかし、特許文献1〜3のいずれにも、図13を参照しながら説明したような、衝撃エネルギーの吸収効率を高めるために必要となる荷重振幅の低減や座屈周期の短縮を図ることができる手段は、その示唆も含めて全く開示されていないばかりか、優れた衝撃吸収性を示す軸圧壊変形の挙動も何ら示唆されていない。
このため、特許文献1〜3により開示された発明に基づいても、年々高まる軽量化の推進と、衝撃エネルギーの吸収量の増加とを両立することはできない。
また、特許文献4に記載された衝撃吸収部材によれば、座屈の間隔が小さくなるので衝撃エネルギーの吸収量を高めることができる。しかしながら、特にその部材の軸方向長さが長い場合、更なる座屈の安定性が要求されている。
特に、筒体の連続的な軸圧壊変形において、周知のように、衝撃吸収部材の軸方向長さが長くなると、すなわち断面寸法に比べ軸方向の長さが相対的に長くなるに伴って、安定した塑性座屈変形挙動は得られ難くなる。このため、例えば全長が250mm未満のクラッシュボックスといった短尺の衝撃吸収部材のみならず、全長が250mm以上の比較的長いクラッシュボックスや全長が400mm以上のフロントサイドメンバーといった長尺の衝撃吸収部材についても、その塑性座屈変形挙動の安定性を向上させることが急務である。
本発明の目的は、短尺の衝撃吸収部材のみならず長尺の衝撃吸収部材においても、軸方向へ負荷される衝撃荷重により安定した塑性座屈変形挙動が生じ、荷重振幅(荷重変動)の低減及び座屈周期の短周期化が図られて、優れた衝撃吸収性を示す塑性座屈変形挙動を得ることができ、これにより、年々高まる軽量化ならびに衝撃エネルギーの吸収量の増加の高次元での両立を、低コストで確実に得られる車体の衝撃エネルギー吸収方法、及び衝撃吸収部材ならびに車両を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、以下に列記する新規な知見(i)〜(iv)を得て、本発明を完成した。
(i)長尺の衝撃吸収部材の塑性座屈変形挙動の安定性は、衝撃吸収部材の本体である筒体の横断面内で剛性が低い平面部における面外変形の影響を強く受ける。
(ii)この平面部に、内部へ向けて突設されるとともに軸方向へ延在する溝部を設けた長尺の筒体を備える衝撃吸収部材の塑性座屈変形挙動の安定性は、その溝部の横断面形状によって相違する。
(iii)溝部の横断面形状を、実質的にV字状とすることにより、長尺の筒体を備える衝撃吸収部材であってもその塑性座屈変形の安定性を著しく高めることができる。
(vi)横断面内で剛性が低い平面部に、内部へ向けて突設されるとともに軸方向へ延在する、実質的にV字状の横断面の溝部を有する筒体を備える衝撃吸収部材は、衝撃荷重を負荷された際の軸圧壊変形時に、横断面内で溝部がその突設方向及び軸方向と略直交する方向(溝幅方向)の一の向きとその反対向きに交互に変形を繰り返しながら軸方向へ圧壊することによって、筒体を蛇腹状に塑性座屈変形させるが、この際に、横断面内で溝部が溝部の突設方向および軸方向と略直交する方向へ変位する量は、溝部の突設方向(溝部の深さ方向)へ変位する量よりも大きい。このため、筒体の平面部の面外変形量が抑制され、塑性座屈変形挙動の安定性が高まる。
本発明は、扁平な略多角形の横断面形状を有し、かつこの扁平な略多角形の長辺を含む広幅面に、内部へ向けて突設されるとともに軸方向と略平行な方向へ延在する溝部を少なくとも軸方向の一部に有する筒状の本体を備える衝撃吸収部材を、この軸方向が車体の前後方向と略一致するように、車体の所定の位置に装着し、この車体の衝突時に本体に軸方向の一方の端部からこの軸方向へ負荷される衝撃荷重により、この本体を蛇腹状に座屈変形させることにより、衝撃エネルギーを吸収する方法であって、溝部が、蛇腹状の座屈変形時に、下記(1)式に示す条件を満足することを特徴とする車体の衝撃エネルギー吸収方法である。
Dy/Dz≧1.0 ・・・・・・・(1)
ただし、(1)式において、Dyは溝部の底部のY方向への変位を示し、Dzは溝部の底部のZ方向への変位を示す。ここで、Y方向とは、本体の軸方向と直交する面における、溝部の深さ方向に対して直交する方向を意味し、Z方向とは、本体の軸方向と直交する面における、溝部の深さ方向を意味する。
別の観点からは、本発明は、軸方向の一方の端部からこの軸方向へ負荷される衝撃荷重により蛇腹状に座屈変形することにより衝撃エネルギーを吸収するための筒状の本体を備え、この筒状の本体が、扁平な略多角形の横断面形状を有し、かつこの扁平な略多角形の長辺を含む広幅面に、内部へ向けて突設されるとともに軸方向と略平行な方向へ延在する溝部を少なくとも軸方向の一部に1又は2以上有し、かつ、溝部が、蛇腹状の座屈変形時に、上記(1)式に示す条件を満足することを特徴とする衝撃吸収部材である。
これらの本発明では、溝部が実質的にV字状の横断面形状を有することが望ましい。
これらの発明では、Dy/Dz≧2.0とするのが望ましい。
これらの本発明では、筒体が、扁平な略多角形の外側又は内側へ向けたフランジを具備しないことが望ましい。
さらに別の観点からは、本発明は、上述した本発明に係る衝撃吸収部材を所定の位置に装着された車体を備えることを特徴とする車両である。
本発明に係る車体の衝撃エネルギー吸収方法、及び衝撃吸収部材ならびに車両によれば、短尺の衝撃吸収部材のみならず長尺の衝撃吸収部材においても、軸方向へ負荷される衝撃荷重により発生する面外変形が抑制されるため、安定して塑性座屈変形を生じることにより、優れた衝撃吸収性を示す塑性座屈変形挙動が得られ、これにより年々高まる軽量化ならびに衝撃エネルギーの吸収量の増加の高次元での両立を、低コストで確実に得ることができる。
したがって、本発明は、自動車等の車両の衝突安全性の向上、ならびに車体重量の軽減に貢献でき、工業上価値の高い発明である。
以下、本発明に係る車体の衝撃エネルギーの吸収方法、及び衝撃吸収部材ならびに車両を実施するための最良の形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本実施の形態の衝撃吸収部材を示す説明図であり、図1(a)は軸方向の全長が250mm以上である筒状の本体を備えるクラッシュボックス2に適用した場合を示し、図1(b)は軸方向の全長が400mm以上のフロントサイドメンバー3に適用した場合を示し、図1(c)は図1(b)の横断面の拡大図である。以降の説明は、本発明を、自動車車体の衝撃吸収部材の代表例であるフロントサイドメンバー3に適用した場合を例にとって説明するが、クラッシュボックス2に適用した場合も事情は同じである。
図1(b)に示すように、本実施の形態の衝撃吸収部材であるサイドメンバー3は、筒状の本体4を備える。この本体4は、例えば普通鋼又は高張力鋼からなる鋼板といった金属板により構成される。本実施の形態では、本体4は、普通鋼からなる二枚の鋼板4a、4bにプレス加工を行って所望の形状に成形した後に、図1(c)に示すように、それぞれの一部を重ね合わせて、例えばスポット溶接又はレーザー溶接等の溶接を行うことにより、筒状に組み立てられる。
このように、本実施の形態の本体4は、外側又は内側へ向けたフランジを具備しないものであり、これにより、本体4が蛇腹状に塑性座屈変形する際の軸圧壊変形挙動を安定させ、確実に蛇腹状に塑性変形することができる。
本体4は、その軸方向(図1(b)の両矢示方向)の一方の端部5aからこの軸方向へ負荷される衝撃荷重により蛇腹状に塑性座屈変形することにより衝撃エネルギーを吸収するためのものである。
本体4は、図1(c)に示すように、長さL>長さLである扁平な略8角形(頂点A−B−C−D−I−J−K−L−Aを結んで得られる8角形)の横断面形状を、軸方向の少なくとも一部(本実施の形態では軸方向の全域)に有する。
また、本体4は、この扁平な略8角形の長辺(D−I及びL−A)を含む広幅面6に筒体4の内部へ向けて突設されるとともに軸方向へ延在する溝部8、9を有するとともに、広幅面7に筒体4の内部へ向けて突設されるとともに軸方向へ延在する溝部10、11を有する。
広幅面6に延設される溝部8、9、及び広幅面7に延設される溝部10、11は、いずれも、実質的にV字状の横断面形状を有する。本発明において「実質的にV字状」とは、幾何学的な意味において明瞭な頂点を有するV字形状のみならず、各種成形法により素材である鋼板を成形した際に不可避的に各頂点付近に形成される円弧部分(例えばプレス成形では板厚tの8倍程度以下の曲率半径を有する円弧部分)を有する略V字形状の横断面も含む趣旨である。
なお、本実施の形態では広幅面6、7に溝部をそれぞれ二つずつ設ける場合を示すが、本発明はこれに限定されるものではなく、一つの広幅面に一つ又は三つ以上の溝部を形成するようにしてよい。また、本実施の形態では二つの広幅面6、7のいずれにも溝部を形成した場合を示すが、どちらか一方の広幅面6又は7のいずれかに溝部を設けるようにしてもよい。
本実施の形態では、これらの溝部8、9及び10、11が、本体4の一方の端部から負荷される衝撃荷重によって本体4が蛇腹状に塑性座屈変形する際に、溝部8〜11の突設方向(図1c)の上下方向)及び軸方向(図1(c)の紙面と直交する方向)と略直交する方向、すなわち図1(c)の左右方向へ交互に繰り返して変形する。
このように、本実施の形態のサイドメンバー3では、衝突荷重が負荷された際に、本体4の少なくとも軸方向の一部に形成された実質的にV字状の溝部8〜11が、溝部の突設方向及び軸方向と略直交する方向の一の向きとその反対向きに交互に変形を繰り返しながら軸方向へ塑性座屈変形が進展することにより、本体4の平面部(P−A、D−E、F−G、H−I、L−M、N−O)が、溝部の突設方向と平行な方向で横断面の外側に張り出す、あるいは、内側に絞り込まれる変形(以下、これを面外変形という)を生じることが抑制され、これにより本体4の塑性座屈変形挙動が安定化することが、大きな特徴である。そこで、以下、この理由を説明する。
サイドメンバー3を構成する本体4は、その軸方向へ衝撃荷重が作用すると、本体4に軸圧壊変形である塑性座屈変形を軸方向へ向けて連続的に発生させることにより衝撃エネルギーを吸収する。このような本体4の塑性座屈挙動は、
(i)本体4の構成材料である鋼板4a、4bの特性、
(ii)断面形状因子である稜線部(溝部8〜11の底部付近)の円弧長、及び
(iii)本体4の稜線部間の平面部の幅及び筒体4の全長
の影響を受ける。
また、本体4の一方の端部5に作用した衝撃荷重によって、本体4の軸方向へ弾性波が伝播し、その後、塑性波が伝播する。応力波の伝播速度は、弾性波の場合は物体の密度、ヤング率及びポアソン比で決定され(物体の音速)、塑性波の場合には物体の密度、加工硬化係数及びポアソン比で決定される。衝撃荷重によって発生した圧縮応力波は、本体4のもう一方の端部5bで圧縮応力波が発生し、両者が重なった領域では圧縮応力の大きさは倍になる。
ここで、本体4の軸方向への長さを長くすると、圧縮応力波が本体4の軸方向への全域に伝播する時間ならびに反射波と重なるまでに要する時間が長くなる。すなわち、本体4の軸方向への長さが長い場合は、短い場合に比較して、塑性波伝播開始が遅くなる(すなわち、一方の端部5aが塑性変形を開始しない)とともに、塑性変形開始までに本体4の稜線部に生じる面外変形が大きくなる。この大きな面外変形が生じるので、軸方向への長さが長くなると本体4は安定した塑性座屈挙動を示し難くなる。
これに対し、本実施の形態のように、本体4の少なくとも軸方向の一部にこのV字状の溝部8〜11を形成することにより、上述した大きな面外変形が生じることを抑制できるので、塑性座屈挙動を安定化することが可能になる。以下、FEM解析結果を参照しながらこの作用をさらに詳しく説明する。
図2(a)〜図2(c)は、FEM解析に用いた筒状の本体12〜14の横断面形状を示す説明図である。このFEM解析においてもサイドメンバーを想定し、本体4の設計断面、すなわち図1(c)における寸法L、Lをそれぞれ76mm、150mmと設定するとともに、本体4の軸方向への長さは、横断面形状の相違による衝撃吸収性能の違いをまず確認するために、サイドメンバーの長さには合致しないが簡略化のために200mmと設定した。
図2(a)は、溝なし断面を有する筒状の本体12に係る従来例を示し、設計断面内で扁平な八角形状である。図2(b)は、扁平な八角形状の長辺を含む広幅面に深さが15mmで溝底幅が8mmの実質的に台形形状の溝部Aを2列対向配置された筒状の本体13に係る比較例を示す。さらに、図2(c)は、扁平な八角形状の長辺を含む広幅面に深さが15mmで側壁の傾斜角度が約45度の実質的にV字形状の溝部Bを2列対向配置された筒状の本体14に係る本発明例を示す。
これらの本体12〜14を備えるサイドメンバーについて、FEMによる数値解析を行うことにより塑性座屈変形挙動を比較した。この解析には、板厚1.0mmの590MPa級複合組織型鋼板の材料特性を用い、ひずみ速度依存性はCowper−Symonds則により考慮した。塑性座屈変形時の変形速度は15km/hに設定した。
図3に、本体12〜14を備えるサイドメンバーについて得られた荷重−変位曲線を比較した結果をグラフで示す。なお、図3のグラフの横軸は載荷点変位δ(mm)を示し、縦軸は荷重Fを部材の断面積Ltで除算した単位断面積当たりの荷重F/Lt(kN/mm)を示す。また、図3のグラフでは、溝なし断面の本体12の結果を破線で示し、溝部Aを有する断面の本体13の結果を実線で示し、さらに、溝部Bを有する断面の本体14の結果を点線で示す。
図3のグラフに示すように、本体4の広幅面に軸方向への溝部A又はBを設けることにより、圧壊ストローク全体を通じて荷重レベルが,溝部がない場合の約2倍にまで高くなることがわかる。すなわち、扁平な横断面形状であっても、溝部A、Bを設けることにより、サイドメンバーの衝撃吸収性能が高まる。
図4(a)及び図4(b)は、それぞれ、溝部Aを有する本体13、溝部Bを有する本体14の溝部A、Bの載荷点変位δ=25mmにおける塑性座屈変形挙動の解析結果を示す説明図である。また、図5(a)〜図5(d)は、溝部Bを有する筒体14について載荷点変位δの増大に伴う溝部Bの塑性座屈変形挙動を、変位δ=10、30、45、60mmにおいて示す説明図である。
図4(a)に示すように、台形状の溝部Aは、つねに、台形断面の対称軸に対して左右対称のしわを発生する塑性座屈変形を生じるのに対し、図4(b)に示すように、V字状の溝部Bは、溝部Bを構成する山頂が、溝部Bの突設方向及び軸方向と略直交する方向の一の向きとその反対向きに交互に変形を繰り返しながら(矢印参照)、塑性座屈変形を生じることがわかる。
また、図5(a)〜図5(d)から、V字状の溝部Bは、塑性座屈変形の進行(図5(a)→図5(b)→図5(c)→図5(d))とともに、溝部Bの突設方向及び軸方向と略直交する方向の一の向きとその反対向きに交互に変形を繰り返しながら規則正しく順に折り畳まれていくことがわかる。
本実施の形態のV字状の溝Bを有する本体14がこのような軸圧壊変形挙動を示す理由を以下に説明する。
図6(a)は、台形状の溝部Aを有する本体13を備えるサイドメンバーの横断面形状を示し、図6(b)はV字状の溝Bを有する本体14を備えるサイドメンバーの横断面形状を示す。これらのサイドメンバーに関して、軸方向へ衝撃荷重が作用した場合における塑性座屈変形挙動の差を調べるために溝部A、Bの変形挙動を詳細に調査した。
変形挙動の調査を行った部位は、図6(a)及び図6(b)において破線矢印で示すように、本体13では溝Aの底部の中央であり、本体14では溝Bの溝底を形成する稜線部とした。また、評価は、図6(a)及び図6(b)におけるY方向変位及びZ方向変位を調査することにより、行った。
図7(a)及び図7(b)は評価結果を示すグラフであり、図7(a)はY方向変位(mm)と軸方向位置(mm)との関係を示すグラフであり、図7(b)はZ方向変位(mm)と軸方向位置との関係を示すグラフである。なお、図7(a)及び図7(b)のグラフにおいては、実線が本発明例である溝Bを有する本体14を備えるサイドメンバーを示し、破線が比較例である溝Aを有する本体13を備えるサイドメンバーを示す。
図7(a)及び図7(b)にグラフで示すように、Y方向変位は溝Bを有する本体14のほうが、溝Aを有する本体13よりも大きいとともに、Z方向変位は溝Aを有する本体13のほうが溝Bを有する本体14よりも大きいことがわかる。すなわち、比較例である溝Aを有する本体13の溝部Aは、Y方向へは殆ど変形せずに溝底部がZ方向に大きな振幅で繰り返し変形しながら塑性座屈変形を生じていくのに対し、本発明例である溝Bを有する本体14の溝部Bは、その溝底部はZ方向に生じる変位が比較例に比べ著しく小さく、Y方向へ大きな変形を周期的に発生しながら塑性座屈変形を生じていくことがわかる。
図8は、溝Aを有する本体13と、溝Bを有する本体14とについて、軸方向へ衝撃荷重を負荷された際に、軸方向へ圧壊して塑性座屈変形する際における、溝A、Bの変形状況を示す説明図であって、図8(a)は衝撃荷重を負荷される前を示し、図8(b)は衝撃荷重を負荷されて変形中の状況を示す。図8(a)及び図8(b)においては実線が溝BのV字の頂点の位置を示し、破線が溝Aの溝底の稜線の位置を示すとともに、X方向は軸方向を意味する。
図8(a)及び図8(b)に示すように、比較例である溝Aを有する本体13の溝部Aは、Y方向への変形が小さいのに対し、本発明例である溝Bを有する本体14の溝部Bは、Y方向へ大きな変形を発生しながら塑性座屈変形を生じていく。
このように、本体に形成する溝部の形状によって、軸圧壊変形時の溝部の変形挙動が異なる。本発明では、この変形挙動を定量化することにより、軸圧壊変形の安定性を高めることができる条件を規定する。そこで、この条件を説明する。
図9は、本体の長手方向における位置(部材長手方向位置)と、溝部BのY方向変位又はZ方向変位との関係の一例を示すグラフである。
図9に示すグラフでは、溝部のY方向、Z方向の変形量を、それぞれDy、Dzと定義し、その値Dy(Dz)は、軸方向へ衝撃荷重を負荷されて溝部Bが変形した際の変位の極値の平均値{|P|+|P|+|P|・・・|P|}/nを示す。ただし、|P|は、板厚以上とする。すなわち、この値が大きいほど、溝部の特定変位への変形量が大きいことを意味する。例えば、図8(a)及び図8(b)に示す場合には、溝AについてはDy=1.42mm、Dz=5.23mmとなるとともに、溝BについてはDy=5.66mm、Dz=1.98mmとなる。
つまり、溝A、BについてのDy、Dzを比較することから理解されるように、図7、8により示される、溝部Bの変形の特徴は、y−z面における変形の主体がy方向にあるので、下記(1)式により表される。
Dy/Dz≧1.0 ・・・・・・・(1)
ただし、(1)式において、Dyは溝部の底部のY方向への変位を示し、Dzは溝部の底部のZ方向への変位を示す。ここで、Y方向とは、本体の軸方向と直交する面における、溝部の深さ方向に対して直交する方向を意味し、Z方向とは、本体の軸方向と直交する面における、溝部の深さ方向を意味する。
ただし、この(1)式は、溝部の軸圧壊(塑性座屈)箇所について成り立つものである。
Dy、Dzは、実際には、実際に圧壊された本体4を、側面の溶接部で切断して分解した後、(a)非接触式形状測定機により溝部の形状を測定し、この結果から解析するか、(b)接触式形状測定機により溝部の壁部(Y方向)ならびに底部(Z方向)の形状を測定することによって、求めることができる。
本体の軸方向への長さと、塑性座屈変形挙動の安定性(安定とは、周期的に座屈しわを生成する塑性座屈変形状態をいい、安定性は周期的に座屈しわを生成している長さ/部材長で評価される。)との関係を調べた結果、溝Aを有する本体、溝Bを有する本体ともに、軸方向の長さが増加するに伴って塑性座屈変形挙動の安定性は低下する傾向を示すが、溝Bを有する本体は、溝Aを有する本体よりも,より高い安定性を有することがわかった。
また、図10は、本体の軸方向の長さL(mm)が比(Dy/Dz)に及ぼす影響を示すグラフである。ここで、溝A、溝Bを有する本体の断面形状は、それぞれ図2(b)、図2(c)に示す断面形状である。
図10に示すように、軸方向長さが400〜1200mmの範囲において、溝Aを有する本体の場合の比(Dy/Dz)は、1.0未満で、溝Bを有する本体の場合の比(Dy/Dz)は、1.0以上である。そこで、本発明では、比(Dy/Dz)を1.0以上とする。
溝Aのように溝部のZ方向変位がY方向変位に比べ大きくなると、この変位の影響により、溝部を設けた長辺部の残余の領域には周方向に生じる応力が増大し、これら残余の領域での面外変形が増長する。
したがって、Z方向変位がY方向変位に比べ大きくなる溝部を有する本体を備えるサイドメンバーでは、軸方向の全長が長い場合や、軸方向へ横断面剛性が変化する場合(実際の軸圧壊変形は、両端を他の部材に支持・拘束された状態で発生するので、軸方向の中央部の剛性が両端部の剛性よりも低下している)に、塑性座屈変形の乱れ(不安定)を生じ易いと考えられる。
一方、Z方向変位がY方向変位に比べ小さい溝部を有する本体を備えるサイドメンバーでは、面外変形が抑制され、塑性座屈変形が不安定な長尺の筒体であっても、安定した塑性座屈変形挙動を得ることができる。
次に、図1を再度参照しながら、本体4に横断面がV字状の溝部8〜11を設ける範囲を説明する。本実施の形態では、V字状の溝部8〜11を本体4の軸方向の全長に亘り形成したが、この例に限定されるものではなく本体4の軸方向の一部の範囲に延設するようにしてもよい。また、溝部8〜11は、軸方向に断続的に設けるようにしてもよい。溝部8〜11は、軸方向へ合計で50mm以上の範囲に形成することが望ましい。特に、筒体4の衝突端側である一方の端部5aから軸方向へ50mm以上の長さの範囲に設けることが、効率的に衝撃エネルギーを吸収するためには望ましい。
溝部8〜11の横断面形状は、衝撃荷重を負荷されることにより、溝部8〜11の突設方向及び軸方向と略直交する方向の一の向きとその反対向きに交互に曲げ変形することが可能なV字状であれば特に限定を要さない。ここで、V字状溝とは、側壁の交差角の半角が30度以上70度以下とすることができる。また、溝の先端は、溝深さの20%以下の平坦部を有する台形状であってもよい。好ましくは、溝深さの10%以下である。
図11は、溝部8〜11の深さd(mm)と、エネルギー吸収性能LoadFave/Lt(kN/mm)との関係を示すグラフである。同図にグラフで示すように、溝部8〜11の深さが10mm以下であると面外変形を抑制することが難しくなり、エネルギー吸収性能の向上代が小さくなる。そこで、溝部8〜11の深さは10mm超であることが望ましい。溝部8〜11の深さは15mm以上であることがさらに望ましい。なお、LoadFaveは、0〜140mmまでの荷重の平均値であり、Ltは部材の断面積である。
このようにして、本実施の形態のサイドメンバー3を構成する本体4は、その軸方向の一方の端部5aから軸方向に負荷される衝撃荷重により蛇腹状に塑性座屈変形することにより衝撃エネルギーを吸収する。
本実施の形態によれば、サイドメンバー3を構成する本体4の広幅面に軸方向へ延設されるV字状の横断面形状の溝部8〜11を形成することによって、サイドメンバー3の衝撃エネルギーの吸収量を高めることができる。
本実施の形態によれば、軸方向の全長が250mm以上の衝撃吸収部材、例えば全長が250mm以上のクラッシュボックスに適用して、このクラッシュボックスの衝突端側の平面部に軸方向へ延設されるV字状の溝部を形成することにより、安定した塑性座屈変形挙動が得られ、衝撃エネルギーを効果的に吸収することができる。クラッシュボックスの全長は、軸方向への蛇腹状の塑性座屈変形を長い範囲にわたって維持できることが本発明の効果であることから、300mm以上であることが望ましく、350mm以上であることがより望ましい。
本実施の形態では、このサイドメンバーを、サイドメンバーを構成する筒体の軸方向が車体の前後方向と略一致するように、車体の所定の位置(サイドメンバーではエンジンコンパートメント内)に装着して車両を構成する。
これにより、車体の衝突時に軸方向の一方の端部から軸方向へ負荷される衝撃荷重により、サイドメンバーを構成する本体に設けた横断面形状がV字状の溝部を、蛇腹状の座屈変形時に、上記(1)式に示す条件を満足するように変形させながら、筒体を軸方向に圧壊し、本体を蛇腹状に安定して塑性座屈変形させ、これにより、衝撃エネルギーを吸収する。
したがって、本実施の形態によれば、長尺のサイドメンバーにおいても、軸方向に負荷される衝撃荷重により安定した塑性座屈変形が生じ、荷重振幅(荷重変動)の低減及び座屈周期の短周期化が図られて、優れた衝撃吸収性を示す塑性座屈変形挙動が得られる。
したがって、本実施の形態によれば、年々高まる軽量化ならびに衝撃エネルギーの吸収量の増加の高次元での両立を、低コストで得ることができ、これにより、自動車等の車両の衝突安全性の向上、ならびに車体重量の軽減を推進することができる。
さらに、本発明を、実施例を参照しながらより具体的に説明する。
部材長増大に伴う塑性座屈挙動の安定性の評価と、安定性の変化の検証とを行うために、上述した、図2(a),(b),(c)の断面形状を有する、溝なし部材、溝A部材及び溝B部材で部材長を400mm、800mm、1200mmとした解析モデルを作成し、同様のFEM解析を行った。変形速度は64km/hであり、変形量は部材長の80%である。
図12に、部材長の増大に伴う塑性座屈挙動の安定性を比較した結果をグラフで示す。図12のグラフでは、黒丸印が溝B部材(本発明例)を示し、白丸印が溝A部材(比較例)を示し、さらに、三角印が溝なし(従来例)を示す。なお、図12のグラフの横軸は部材長を示し、縦軸は軸と直交する方向に折れ曲がる変形もなく安定して軸方向に塑性座屈変形を示した長さを部材全長で除算した塑性座屈挙動の安定性A(安定な塑性座屈変形が生じた長さ/部材長)として規定される指標である。
図12に示すグラフから、溝A部材及び溝B部材ともに部材長の増大に伴い塑性座屈変形の安定性は低下する傾向を示すものの、V字形状の溝B部材は、台形状の溝A部材に比較して、より高い安定性を有することがわかる。
したがって、V字状の横断面形状を有する溝部は、主に溝の突設方向に対して直交する方向に変形するので、長尺のサイドメンバーにおいても安定した塑性座屈挙動を有することがわかる。すなわち、本発明の骨子である、溝部が上記方向の一の向きとその反対の向きに交互に曲げ変形を連続的に発生するサイドメンバーは、安定した塑性座屈挙動を示すことが確認できた。
実施の形態の衝撃吸収部材を示す説明図であり、図1(a)は軸方向の全長が250mm以上である筒状の本体を備えるクラッシュボックスに適用した場合を示し、図1(b)は軸方向の全長が400mm以上のフロントサイドメンバーに適用した場合を示し、図1(c)は図1(b)の横断面の拡大図である。 図2(a)〜図2(c)は、FEM解析に用いた筒状の本体の横断面形状を示す説明図である。 本体を備えるサイドメンバーについて得られた荷重−変位曲線を比較した結果を示すグラフである。 図4(a)及び図4(b)は、それぞれ、溝部Aを有する本体、溝部Bを有する本体の溝部A、Bの載荷点変位δ=25mmにおける塑性座屈変形挙動の解析結果を示す説明図である。 図5(a)〜図5(d)は、溝部Bを有する筒体について載荷点変位δの増大に伴う溝部Bの塑性座屈変形挙動を、変位δ=10、30、45、60mmにおいて示す説明図である。 図6(a)は、台形状の溝部を有する本体を備えるサイドメンバーを示し、図6(b)はV字状の溝を有する本体を備えるサイドメンバーを示す説明図である。 図7(a)及び図7(b)は評価結果を示すグラフであり、特に、図7(a)はY方向変位(mm)と軸方向位置(mm)との関係を示すグラフであり、図7(b)はZ方向変位(mm)と軸方向位置との関係を示すグラフである。 溝Aを有する本体と、溝Bを有する本体とについて、軸方向へ衝撃荷重を負荷された際に、軸方向へ圧壊して塑性座屈変形する際における、溝A、Bの変形状況を示す説明図であって、図8(a)は衝撃荷重を負荷される前を示し、図8(b)は衝撃荷重を負荷されて変形中の状況を示す。 本体の長手方向における位置(部材長手方向位置)と、溝部BのY方向変位又はZ方向変位との関係の一例を示すグラフである。 本体の軸方向への長さL(mm)が比(Dy/Dz)に及ぼす影響を示すグラフである。 溝部の深さd(mm)と、エネルギー吸収性能LoadFave/Lt(kN/mm)との関係を示すグラフである。 部材長の増大に伴う塑性座屈挙動の安定性を比較した結果を示すグラフである。 フロントサイドメンバーの軸圧壊変形試験を行う状況を示す説明図と、この軸圧壊変形試験におけるフロントサイドメンバーの変位及び荷重の関係とを示すグラフである。
符号の説明
2 クラッシュボックス
3 フロントサイドメンバー
4 本体
4a、4b 鋼板
5a 一方の端部
5b もう一方の端部
6、7 広幅面
8〜11 溝部
12〜14 本体
15 底部

Claims (5)

  1. 扁平な略多角形の横断面形状を有し、かつ該扁平な略多角形の長辺を含む広幅面に、内部へ向けて突設されるとともに軸方向と略平行な方向へ延在する溝部を少なくとも軸方向の一部に有する筒状の本体を備える衝撃吸収部材を、前記軸方向が車体の前後方向と略一致するように、車体の所定の位置に装着し、該車体の衝突時に前記本体に前記軸方向の一方の端部から該軸方向へ負荷される衝撃荷重により、該本体を蛇腹状に座屈変形させることにより、衝撃エネルギーを吸収する方法であって、
    前記溝部は、前記蛇腹状の座屈変形時に、下記(1)式に示す条件を満足すること
    を特徴とする車体の衝撃エネルギー吸収方法。
    Dy/Dz≧1.0 ・・・・・・・(1)
    Dy:溝部の底部のY方向への変位
    Dz:溝部の底部のZ方向への変位
    Y方向:本体の軸方向と直交する面における、溝部の深さ方向に対して直交する方向
    Z方向:本体の軸方向と直交する面における、溝部の深さ方向
  2. 前記溝部は実質的にV字状の横断面形状を有する請求項1に記載された車体の衝撃エネルギー吸収方法。
  3. 軸方向の一方の端部から該軸方向へ負荷される衝撃荷重により蛇腹状に座屈変形することにより衝撃エネルギーを吸収するための筒状の本体を備え、
    該筒状の本体は、扁平な略多角形の横断面形状を有し、かつ該扁平な略多角形の長辺を含む広幅面に、内部へ向けて突設されるとともに軸方向と略平行な方向へ延在する溝部を少なくとも軸方向の一部に1又は2以上有し、かつ
    前記溝部は、前記蛇腹状の座屈変形時に、下記(1)式に示す条件を満足すること
    を特徴とする衝撃吸収部材。
    Dy/Dz≧1.0 ・・・・・・・(1)
    Dy:溝部の底部のY方向への変位
    Dz:溝部の底部のZ方向への変位
    Y方向:本体の軸方向と直交する面における、溝部の深さ方向に対して直交する方向
    Z方向:本体の軸方向と直交する面における、溝部の深さ方向
  4. 前記溝部は実質的にV字状の横断面形状を有する請求項3に記載された衝撃吸収部材。
  5. 請求項3又は請求項4に記載された衝撃吸収部材を所定の位置に装着された車体を備えることを特徴とする車両。
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