JP2019219050A - 車両のエネルギー吸収部材、その製造方法及びエネルギー吸収アセンブリ - Google Patents

車両のエネルギー吸収部材、その製造方法及びエネルギー吸収アセンブリ Download PDF

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Abstract

【課題】衝突初期の最大荷重を低減するとともにそれ以降の荷重変動を抑制することができるエネルギー吸収部材、その製造方法及びエネルギー吸収アセンブリを提供する。【解決手段】エネルギー吸収部材1は、その横断面において内部空間を囲む閉断面を構成するとともに前記閉断面が先端部3から基端部2まで連続する外部壁10と、前記横断面において長手方向に直交する直交方向に延びかつ前記直交方向の両端が外部壁10にそれぞれつながって前記内部空間を仕切る少なくとも一つの内部壁とを備える。先端部3における内部壁の先端縁23は、先端部3における外部壁10の周縁15よりも長手方向の基端部2側に位置するように周縁15に対して基端部2側に後退した後退部分24を含む。内部壁は、後退部分24よりも基端部2側においては、長手方向に連続している。【選択図】図4

Description

本発明は、自動車等の車両において、当該車両の前後方向に略平行に配置されるエネルギー吸収部材及びその製造方法に関する。
自動車等の車両は、例えばバンパステイ、サイドシル、クラッシュボックスなどのように車両の前後方向に略平行に配置されるエネルギー吸収部材を備えている。これらのエネルギー吸収部材は、前方や後方からの衝突時のエネルギーを吸収する機能が必要とされている。このような衝突方向に略平行に配置される縦圧壊型のエネルギー吸収部材については、これまでに様々な断面形状のものが提案されている。
特許文献1は、衝撃吸収部材としてのクラッシュボックスを開示している。このクラッシュボックスは、略四角筒状に形成されており、その内部には、互いに直交する態様で軸線に沿って伸びる第1隔壁及び第2隔壁が設けられている。このクラッシュボックスでは、長手方向の先端部において、略四角筒状の外部壁の周縁と第1,第2隔壁の先端縁とは同一平面上にある。また、特許文献1のクラッシュボックスは、十分な衝撃エネルギーの吸収を目的として前後方向に伸びる軸線の一側から他側に向かって突出量が漸増するフランジを備えている。
特開2002−155981号公報
ところで、エネルギー吸収部材のエネルギー吸収効率を高めるためには、衝突初期の最大荷重を低減することと、それ以降の荷重変動を抑制することが必要である。
しかし、特許文献1のクラッシュボックスの構造では、衝突初期に座屈の起点になるような部位が設定されておらず、衝突初期の最大荷重は比較的高くなる。さらに、特許文献1のクラッシュボックスはその軸線に沿って一側から他側に向かって荷重を受けて変形する領域が広くなることで軸圧縮荷重に対する変形強度が漸増するので、塑性変形の進行に伴い対応する軸圧縮荷重が漸増する。したがって、特許文献1のクラッシュボックスの場合、衝突初期の最大荷重は比較的高く、最大荷重発生後の衝突前半の変形荷重に比べて、衝突後半の荷重は徐々に高くなるため、衝突に伴う荷重変動が大きく、エネルギー吸収効率が比較的低いことになる。
本発明は、衝突初期の最大荷重を低減するとともにそれ以降の荷重変動を抑制することができるエネルギー吸収部材、その製造方法及びエネルギー吸収アセンブリを提供することを目的とする。
(1)本発明は、車両の前後方向に延びる姿勢で当該車両に設けられ、衝突側の端部である先端部と前記先端部とは前記前後方向の反対側に位置する基端部とを有するエネルギー吸収部材である。前記エネルギー吸収部材は、前記エネルギー吸収部材の長手方向に直交する横断面において内部空間を囲む閉断面を構成するとともに前記閉断面が前記先端部から前記基端部まで連続する外部壁と、前記横断面において前記長手方向に直交する直交方向に延びかつ前記直交方向の両端が前記外部壁にそれぞれつながって前記内部空間を仕切る少なくとも一つの内部壁と、を備える。前記先端部における前記内部壁の先端縁は、前記先端部における前記外部壁の周縁よりも前記長手方向の前記基端部側に位置するように前記周縁に対して前記基端部側に後退した後退部分を含む。前記内部壁は、前記後退部分よりも前記基端部側においては、前記長手方向に連続している。
本発明のエネルギー吸収部材では、衝突側の端部である先端部において、内部壁の先端縁が後退部分を含むため、当該先端部における衝突時の受圧面積が小さくなる。これにより、衝突初期の変形荷重を低減することができ、その結果、衝突初期の最大荷重を低減することができる。そして、変形荷重が低減された衝突側の先端部が比較的容易に圧壊し、この圧壊した先端部が起点になることにより、当該先端部よりも基端部側の部分をスムーズに圧壊させることができる。しかも、内部壁の後退部分よりも基端部側においては、外部壁だけでなく内部壁も長手方向に連続しているので、圧壊変形時の座屈波長が短くなり、荷重変動が抑制される。よって、本発明では、衝突初期の最大荷重を低減するとともに、それ以降の荷重変動を抑制することができる。
(2)前記エネルギー吸収部材において、前記少なくとも一つの内部壁は、前記横断面において前記長手方向に直交する第1の方向に延びかつ前記第1の方向の両端が前記外部壁にそれぞれつながる第1の内部壁と、前記横断面において前記長手方向に直交するとともに前記第1の方向に交わる第2の方向に延びかつ前記第2の方向の両端が前記第1の内部壁とは異なる部位において前記外部壁にそれぞれつながる第2の内部壁であって前記内部空間において前記第1の内部壁と交差するものと、を含み、前記第1の内部壁と前記第2の内部壁とが交差する部分において、前記第1の内部壁及び前記第2の内部壁のそれぞれに前記後退部分が設けられていてもよい。
この態様のように第1の内部壁と第2の内部壁とが交差する場合、閉断面を構成する各辺の長さを大幅に短くすることができるので、圧壊変形時の座屈波長を短くすることができる。座屈波長が短くなると、荷重変動の周期も短くなり、荷重変動の振幅が大きくなるのを抑制できる。これにより、衝突時の荷重変動を効果的に抑制することができる。ここでいう閉断面を構成する各辺の長さとは、部材同士の結合点を結ぶ断面要素の長さのことをいう。このように第1の内部壁と第2の内部壁とが交差する場合、特にこれらが交差する部分における変形抵抗が高くなるため、衝突初期の変形荷重が大きくなるが、交差部分において第1の内部壁及び第2の内部壁のそれぞれに前記後退部分を設けることにより、エネルギー吸収部材の先端部の変形を容易にすることができる。これにより、衝突初期の最大荷重が大きくなるのを抑制しつつ、それ以降の荷重変動を効果的に抑制することができる。
(3)前記エネルギー吸収部材において、前記少なくとも一つの内部壁は、前記横断面において両端が前記外部壁にそれぞれつながる第1の内部壁と、前記横断面において両端が前記第1の内部壁とは異なる部位において前記外部壁にそれぞれつながる第2の内部壁であって前記第1の内部壁に対して前記長手方向に直交する方向に間隔をおいて並ぶものと、を含み、前記第1の内部壁及び前記第2の内部壁のそれぞれに前記後退部分が設けられていてもよい。
この態様のように互いに間隔をおいて並ぶ第1の内部壁と第2の内部壁とが設けられている場合、閉断面を構成する辺の長さを短くして衝突時の荷重変動を抑制する効果を高めることができる。その一方で、上記のような第1の内部壁と第2の内部壁とが設けられている場合には、単一の内部壁のみが設けられている場合に比べて、衝突初期の変形荷重が大きくなる。そこで、この態様では、第1の内部壁及び第2の内部壁のそれぞれに前記後退部分を設けることにより、エネルギー吸収部材の先端部の変形を容易にしている。これにより、衝突初期の最大荷重が大きくなるのを抑制しつつ、それ以降の荷重変動を効果的に抑制することができる。
(4)前記エネルギー吸収部材において、前記内部壁の前記先端縁は、前記外部壁の前記周縁を含む平面内において延びかつ前記周縁に連続する連続部分を含み、前記後退部分は前記連続部分よりも前記長手方向の前記基端部側に位置しているのが好ましい。
この態様では、内部壁の先端縁が後退部分だけでなく前記連続部分を含むことで、衝突初期の荷重が内部壁の連続部分にも部分的に伝わり、内部壁の座屈変形が衝突初期の段階から部分的に開始されやすくなる。これにより、内部壁のうち連続部分よりも基端部側に位置する部分をスムーズに圧壊させることができる。また、この連続部分は外部壁の周縁に連続しているため、外部壁によってある程度拘束されている。したがって、連続部分近傍における内部壁の圧壊がより安定して進むことになる。これらのことから、衝突初期の圧壊及びこれに続く圧壊が安定し、変形荷重がより安定する。これにより、衝突時の荷重変動をより効果的に抑制できる。
(5)前記エネルギー吸収部材において、前記連続部分は、前記長手方向に見たときに前記後退部分の両外側にそれぞれ設けられているのが好ましい。
この態様では、後退部分の両外側において上述した圧壊の安定化及び変形荷重の安定化の効果が得られるので、衝突時の荷重変動をより効果的に抑制できる。
(6)前記エネルギー吸収部材において、前記外部壁の前記周縁から前記内部壁の前記先端縁の前記後退部分までの前記長手方向の距離は、衝突時における最大荷重が発生するストロークに対応する長さを超える値に設定されているのが好ましい。
最大荷重の低減のためには、衝突初期において最大荷重が発生した後に、内部壁の先端縁の後退部分よりも長手方向の基端部側の部分の圧壊変形が始まることが望ましい。前記距離が前記ストロークに対応する長さを超える値に設定されている場合には、衝突初期における最大荷重の発生後に、内部壁の先端縁の後退部分よりも基端部側の部分の圧壊変形が生じるようにすることができ、これにより、衝突初期における最大荷重をより効果的に低減することができる。
(7)前記エネルギー吸収部材は、バンパステイ、クラッシュボックス、フロントサイドメンバ、リアサイドメンバ、サイドシル及びフロントサブフレームの何れかであるのが好ましい。これらの部材は、車両の前後方向に略平行に配置されるエネルギー吸収部材であり、前方や後方からの衝突時のエネルギーを吸収する機能が必要とされている。
(8)前記エネルギー吸収部材は、アルミニウム合金の中でも比較的強度の高い7000系アルミニウム合金からなるのが好ましい。
(9)本発明のエネルギー吸収アセンブリは、上述のエネルギー吸収部材の前記外部壁の前記周縁に当接又は近接する対向面を有する対向部材と、を備え、前記対向面と前記後退部分との間には隙間が形成されている。
この態様では、エネルギー吸収部材における内部壁の後退部分と対向部材の対向面との間に隙間が形成されているので、衝突時に対向部材に入力される圧力がエネルギー吸収部材に伝わる際には、エネルギー吸収部材の先端部における受圧面積を小さくすることができる。これにより、衝突初期の変形荷重を低減することができ、その結果、衝突初期の最大荷重を低減することができる。
(10)本発明の製造方法は、車両の前後方向に延びる姿勢で当該車両に設けられ、衝突側の端部である先端部と前記先端部とは前記前後方向の反対側に位置する基端部とを有するエネルギー吸収部材を製造するための方法である。前記製造方法は、長手方向に直交する横断面において内部空間を囲む閉断面を構成するとともに前記閉断面が前記先端部から前記基端部まで連続する外部壁と、前記横断面において前記長手方向に直交する直交方向に延びかつ前記直交方向の両端が前記外部壁にそれぞれつながって前記内部空間を仕切る少なくとも一つの内部壁と、を備える部材をアルミニウム合金の押出し成形によって成形する工程と、前記先端部における前記内部壁の先端縁の少なくとも一部を含む部分を取り除くことにより、前記先端部における前記外部壁の周縁よりも前記長手方向の前記基端部側に位置するように前記周縁に対して前記基端部側に後退した後退部分を前記内部壁の先端縁の少なくとも一部として形成する工程と、を含む。
本発明の製造方法により、衝突初期の最大荷重を低減するとともに、それ以降の荷重変動を抑制することができ、しかもアルミニウム合金からなる軽量のエネルギー吸収部材を効率よく製造することができる。このエネルギー吸収部材を用いることにより、車両の軽量化を図ることができる。
以上のように、本発明によれば、衝突初期の最大荷重を低減するとともに、それ以降の荷重変動を抑制することができるエネルギー吸収部材、その製造方法及びエネルギー吸収アセンブリを提供することができる。
本発明のそれぞれの実施形態に係るエネルギー吸収部材が適用可能な部材の例を示す斜視図である。 本発明のそれぞれの実施形態に係るエネルギー吸収部材が適用可能な部材の例を示す側面図である。 本発明のそれぞれの実施形態に係るエネルギー吸収部材の概略構造を示す側面図である。 本発明の第1実施形態に係るエネルギー吸収部材の先端部付近の構造を示す斜視図である。 第1実施形態に係るエネルギー吸収部材の図3のV−V線における横断面を示す図である。 第1実施形態に係るエネルギー吸収部材の図3のVI−VI線における横断面を示す図である。 第1実施形態に係るエネルギー吸収部材の図4のVII−VII線における断面を示す図である。 衝突時の変位と荷重との関係を模式的に示すグラフである。 本発明の実施形態に係るエネルギー吸収アセンブリを示す断面図である。 本発明の第2実施形態に係るエネルギー吸収部材の先端部付近の構造を示す斜視図である。 本発明の第3実施形態に係るエネルギー吸収部材の先端部付近の構造を示す斜視図である。 本発明の第4実施形態に係るエネルギー吸収部材の先端部付近の構造を示す斜視図である。 本発明の実施形態に係るエネルギー吸収アセンブリを示す平面図である。
本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明のそれぞれの実施形態に係るエネルギー吸収部材が適用可能な部材の例を示す斜視図である。図2は、本発明のそれぞれの実施形態に係るエネルギー吸収部材が適用可能な部材の例を示す側面図である。
実施形態に係るエネルギー吸収部材は、自動車などの車両の前後方向に延びる姿勢で当該車両に設けられ、衝突時のエネルギーを吸収するための部材である。図1及び図2に示すように、エネルギー吸収部材は、例えばサイドシル1A、フロントサイドメンバ1B、クラッシュボックス1C(フロントバンパステイ1C)、フロントサブフレーム1D、ロアクラッシュボックス1E、リアサイドメンバ1F、リアバンパステイ1Gなどに適用することが可能である。
サイドシル1Aは、自動車の側面開口部を構成する強度メンバーのうちの一つであり、ドア下に位置する部材である。フロントサイドメンバ1Bは、バンパ補強材101からクラッシュボックス1Cを介して伝わる衝突荷重を車体に伝えるとともに、自らも圧壊することでエネルギーを吸収する部材である。クラッシュボックス1C及びロアクラッシュボックス1Eは、バンパ補強材101あるいはその下側に設けられたバンパ補強材の衝突背面側に設けられたエネルギー吸収部材である。フロントサブフレーム1Dは、エンジン、フロントサスペンション、ステアリングなどをボディに組み付けるための骨格をなす部材である。リアサイドメンバ1Fは、トランクフロア下面の両サイドに取り付けられ、バンパ補強材102からリアバンパステイ1Gを介して伝わる衝突荷重を車体に伝えるとともに、自らも圧壊することでエネルギーを吸収する部材である。リアバンパステイ1Gは、バンパ補強材102の衝突背面側に設けられたエネルギー吸収部材である。
図3は、本発明のそれぞれの実施形態に係るエネルギー吸収部材1の概略構造を示す側面図である。図3に示すように、エネルギー吸収部材1は、衝突側の端部である先端部3と前記先端部3とは前後方向の反対側に位置する基端部2とを有する。
先端部3は、想定される衝突によって軸方向に荷重を受ける端部であり、エネルギー吸収部材1が配置される場所によって特定される。正面衝突が想定される部材の場合、例えばサイドシル1A、フロントサイドメンバ1B、クラッシュボックス1C、フロントサブフレーム1D、ロアクラッシュボックス1Eなどの部材の場合には、エネルギー吸収部材1は、その先端部3が基端部2よりも前方に位置するように自動車用フレーム100に取り付けられる。そして、正面衝突時には、図3に矢印Fで示されるように、エネルギー吸収部材1の先端部3には後向きの大きな軸圧縮荷重が加わる。
一方、後面衝突(例えば追突など)が想定される部材の場合、例えばリアサイドメンバ1F、リアバンパステイ1Gなどの部材の場合には、エネルギー吸収部材1は、その先端部3が基端部2よりも後方に位置するように自動車用フレーム100に取り付けられる。そして、後面衝突時には、図3に矢印Fで示されるように、エネルギー吸収部材1の先端部3には前向きの大きな軸圧縮荷重が加わる。
[第1実施形態]
図4は、本発明の第1実施形態に係るエネルギー吸収部材1の先端部3付近の構造を示す斜視図である。図5は、第1実施形態に係るエネルギー吸収部材1の図3のV−V線における横断面を示す図である。図6は、第1実施形態に係るエネルギー吸収部材1の図3のVI−VI線における横断面を示す図である。図7は、第1実施形態に係るエネルギー吸収部材1の図4のVII−VII線における断面を示す図である。図5及び図6に示す横断面は、エネルギー吸収部材1の長手方向と直交する断面、換言すれば、当該エネルギー吸収部材1を当該長手方向に沿って見た断面である。
図3〜図7に示すように、第1実施形態に係るエネルギー吸収部材1は、先端部3を除いて前記横断面がエネルギー吸収部材1の長手方向にほぼ均一な部材であり、外部壁10と、複数の内部壁とを備える。外部壁10は前記長手方向に延びる形状を有する。前記複数の内部壁のそれぞれは前記長手方向に延びる形状を有する。
外部壁10は、第1縦壁11と、第2縦壁12と、第1横壁13と、第2横壁14とを含む。第1縦壁11、第2縦壁12、第1横壁13及び第2横壁14は、長手方向に直交する横断面において矩形状の内部空間を囲む閉断面を構成する。外部壁10によって構成される前記閉断面は先端部3から基端部2まで連続している。
第1縦壁11は、前記横断面において上下方向に延び、第2縦壁12は、前記横断面において前記第1縦壁11から前記車両の車幅方向(左右方向)に離れた位置で上下方向に延びる。第1横壁13は、前記横断面において前記車幅方向に延びかつ第1縦壁11の上端部と第2縦壁12の上端部とにつながる。第2横壁14は、前記横断面において第1横壁13から上下方向に離れた位置で前記車幅方向に延びかつ第1縦壁11の下端部と第2縦壁12の下端部とにつながる。
複数の内部壁は、内部縦壁21(第1の内部壁)と、内部横壁22(第2の内部壁)とを含む。
内部縦壁21は、前記横断面において上下方向(前記長手方向に直交する第1の方向)に延びかつ上端が第1横壁13につながり、下端が第2横壁14につながる。内部横壁22は、前記横断面において車幅方向(前記長手方向に直交するとともに前記第1の方向に交わる第2の方向)に延びかつ前記車幅方向の一端が第1縦壁11につながり、前記車幅方向の他端が第2縦壁12につながる。内部縦壁21と内部横壁22は、外部壁10によって囲まれる内部空間において、互いに交差する交差部分Cを有する。当該交差部分Cは、2つの内部壁(内部縦壁21と内部横壁22)が共有している部分である。当該交差部分Cは、長手方向に連続している。
図5及び図7に示すように、内部縦壁21は、本体部26と、一対の突出部27,27とを有する。本体部26は、内部縦壁21のうち後述する後退部分24を含む横断面の部位から基端部2までの部分である。エネルギー吸収部材1の長手方向に直交して内部縦壁21に平行な方向を内部縦壁21の幅方向とするとき、一対の突出部27,27は、互いに前記幅方向に間隔をおいて、本体部26における長手方向の端部(先端部3側の端部)から一対の連続部分25まで長手方向にそれぞれ突出している。
図4、図5及び図7に示すように、エネルギー吸収部材1の先端部3において、内部縦壁21の先端縁23は、後退部分24と、上下一対の連続部分25,25と、上下一対の接続部分28,28と、を含む。当該先端縁23は、一対の突出部27の縁と、これらの縁の間をつなぐ本体部26の縁とによって構成されている。
内部縦壁21の後退部分24は、外部壁10の周縁15よりも長手方向の基端部2側に位置するように周縁15に対して基端部2側に後退した部分であり、上下方向に延びている。内部縦壁21のうち後退部分24を含む横断面の部位から基端部2までの部分、すなわち本体部26は、前記長手方向に連続している。内部縦壁21の後退部分24は、前記横断面において、交差部分Cから前記長手方向に直交する方向(上下方向)の両側に延びている。エネルギー吸収部材1を長手方向に見たときに、後退部分24は、一対の突出部27,27の間に位置している。
内部縦壁21の一対の連続部分25のそれぞれは、外部壁10の周縁15を含む平面内において延びかつ前記周縁15に連続する部分であり、上下方向に延びている。上側の連続部分25は、長手方向に見たときに後退部分24に対して上側に位置し、下側の連続部分25は、長手方向に見たときに後退部分24に対して下側に位置している。
内部縦壁21の一対の接続部分28のそれぞれは、後退部分24と対応する連続部分25とを接続する部分であり、エネルギー吸収部材1の長手方向に延びている。具体的に、上側の接続部分28は、後退部分24の上端と、上側の連続部分25の下端とをつないでいる。下側の接続部分28は、後退部分24の下端と、下側の連続部分25の上端とをつないでいる。第1実施形態では、後退部分24及び一対の接続部分28,28は、一対の連続部分25,25よりも前記長手方向の前記基端部2側に位置している。
図5及び図7に示すように、内部横壁22は、内部縦壁21と同様に、本体部26と、一対の突出部27,27とを有する。本体部26は、内部横壁22のうち後退部分24を含む横断面の部位から基端部2までの部分である。エネルギー吸収部材1の長手方向に直交して内部横壁22に平行な方向を内部横壁22の幅方向とするとき、一対の突出部27,27は、互いに前記幅方向に間隔をおいて、本体部26における長手方向の端部(先端部3側の端部)から一対の連続部分25まで長手方向にそれぞれ突出している。
エネルギー吸収部材1の先端部3において、内部横壁22の先端縁23は、後退部分24と、左右一対の連続部分25,25と、左右一対の接続部分28,28と、を含む。当該先端縁23は、一対の突出部27の縁と、これらの縁の間をつなぐ本体部26の縁とによって構成されている。
内部横壁22の後退部分24は、外部壁10の周縁15よりも長手方向の基端部2側に位置するように周縁15に対して基端部2側に後退した部分であり、車幅方向(左右方向)に延びている。内部横壁22のうち後退部分24を含む横断面の部位から基端部2までの部分、すなわち本体部26は、前記長手方向に連続している。内部横壁22の後退部分24は、前記横断面において、交差部分Cから前記長手方向に直交する方向(車幅方向)の両側に延びている。エネルギー吸収部材1を長手方向に見たときに、後退部分24は、一対の突出部27,27の間に位置している。
内部横壁22の一対の連続部分25のそれぞれは、外部壁10の周縁15を含む平面内において延びかつ前記周縁15に連続する部分であり、車幅方向に延びている。右側の連続部分25は、長手方向に見たときに後退部分24に対して右側に位置し、左側の連続部分25は、長手方向に見たときに後退部分24に対して左側に位置している。
内部横壁22の一対の接続部分28のそれぞれは、後退部分24と対応する連続部分25とを接続する部分であり、エネルギー吸収部材1の長手方向に延びている。具体的に、右側の接続部分28は、後退部分24の右端と、右側の連続部分25の左端とをつないでいる。左側の接続部分28は、後退部分24の左端と、左側の連続部分25の右端とをつないでいる。第1実施形態では、後退部分24及び一対の接続部分28,28は、一対の連続部分25,25よりも前記長手方向の前記基端部2側に位置している。
図7に示すように、第1実施形態では、外部壁10の周縁15から内部縦壁21の後退部分24までの前記長手方向の距離Dは、外部壁10の周縁15から内部横壁22の後退部分24までの前記長手方向の距離Dと同じである。当該距離Dは、衝突時における最大荷重が発生するストロークに対応する長さを超える値に設定されている。ただし、周縁15から内部縦壁21の後退部分24までの前記距離Dは、周縁15から内部横壁22の後退部分24までの前記距離Dと異なっていてもよい。
衝突時の最大荷重の低減のためには、衝突初期において最大荷重が発生した後に、内部壁21,22の本体部26(内部壁21,22の後退部分24よりも長手方向の基端部2側の部分)の圧壊変形が始まることが望ましい。前記距離Dが前記ストロークに対応する長さを超える値に設定されている場合には、衝突初期における最大荷重の発生後に、内部壁21,22の本体部26の圧壊変形が生じるようにすることができ、これにより、衝突初期における最大荷重をより効果的に低減することができる。
衝突時におけるエネルギー吸収部材1において弾性座屈が生じないと仮定した場合、衝突初期の最大荷重が発生するストロークは、一般的に素材が耐力に達した時点で発生することが多い。アルミニウム素材の耐力σyを最大500MPa程度、弾性率をE、素材長さをLとすると、衝突初期の最大荷重が発生するストロークSは、S=σy×L/Eとなる。対象とする自動車用部品であるエネルギー吸収部材1の圧縮変形部分の長さLを最大500mm程度とすると、前記ストロークSは、5mm以下となる。具体例を挙げると、アルミニウム素材の耐力σyが500MPaであり、当該アルミニウム素材の弾性率Eが68600N/mmであり、エネルギー吸収部材1の長さLが500mmである場合、前記ストロークSは、3.6mmとなる。最大荷重低減のためには、最大荷重発生後に荷重が低下した段階で、切り欠き部30の設けられていない部分、すなわち本体部26の圧壊変形が発生することが望ましい。したがって、前記距離D(切り欠き深さD)は、3.6mm以上であるのが好ましく、5mm以上であるのがより好ましく、10mm以上であるのがさらに好ましい。また、一般的に、荷重変動は座屈波長に依存し、この座屈波長は、おおむね断面を構成する各辺の平均長さに比例することから、前記距離D(切り欠き深さD)は、2番目以降の座屈変形が始まる断面を構成する各辺の平均長さ以下にすることが望ましい。図8に示す衝突時の変位と荷重との関係の一例を用いて説明すると、2番目以降の座屈変形が始まる時点は、図8において「2番目の座屈変形による荷重増加」を示す矢印が指すとき、すなわち、2番目の荷重のピークの時点である。前記距離Dは、例えば10〜30mmの範囲とすることができる。
図8は、衝突時の変位と荷重との関係を模式的に示すグラフである。図8に示すように、切り欠き部30が設けられていない比較例では、衝突によって生じるエネルギー吸収部材の圧壊による変位量Sが5mm以下の範囲内において大きな最大荷重が発生している。実施形態では、比較例と同様に衝突によって生じるエネルギー吸収部材1の圧壊による変位量Sが5mm以下の範囲内において最大荷重が発生しているが、その最大荷重は、比較例に比べて大きく低減されている。
図7に示すように、エネルギー吸収部材1の先端部3において、内部壁21,22の先端縁23に設けられる切り欠き部30の切り欠き幅Wは、衝突初期の最大荷重の目標値に応じて適宜設定される。切り欠き幅Wを設定する際の目安を例示すると、次の通りである。切り欠き部30を設けない場合の衝突初期の最大荷重L1と、衝突初期の最大荷重の目標値L0との比(L1/L0)が、切り欠き部30を設けていない領域の横断面におけるエネルギー吸収部材1の断面積S1(図6に示す横断面におけるエネルギー吸収部材1の断面積)と、切り欠き部30を設けている領域の横断面におけるエネルギー吸収部材1の断面積S0(図5に示す横断面におけるエネルギー吸収部材1の断面積)との比(S1/S0)になるように、切り欠き幅Wを設定することで、衝突初期の最大荷重をおおむね目標値L0(目標荷重)に近づけることができる。
図9は、本発明の実施形態に係るエネルギー吸収アセンブリを示す断面図である。本実施形態に係るエネルギー吸収アセンブリは、上述のエネルギー吸収部材1と、エネルギー吸収部材1の外部壁10の周縁15に当接又は近接する対向面41を有する対向部材40と、を備える。
対向部材40は、エネルギー吸収部材1における衝突側の端部である先端部3に当接又は近接するように設けられる部材である。例えばエネルギー吸収部材1が図1及び図2に示すクラッシュボックス1C(フロントバンパステイ1C)である場合には、対向部材40は、クラッシュボックス1Cの先端部3に対向して配置されるバンパ補強材101などの部材である。また、エネルギー吸収部材1が図1及び図2に示すリアバンパステイ1Gである場合には、対向部材40は、リアバンパステイ1Gの先端部3に対向して配置されるバンパ補強材102などの部材である。
図9に示すように、対向部材40の対向面41と、エネルギー吸収部材1の内部壁21,22の後退部分24との間には隙間が形成されている。したがって、衝突時に対向部材40に入力される圧力がエネルギー吸収部材1に伝わる際には、エネルギー吸収部材1の先端部3における受圧面積を小さくすることができる。これにより、衝突初期の変形荷重を低減することができ、その結果、衝突初期の最大荷重を低減することができる。
第1実施形態に係るエネルギー吸収部材1は、アルミニウム合金の中でも比較的強度の高い7000系アルミニウム合金からなる。
上記の第1実施形態に係るエネルギー吸収部材1は、例えば次のような製造方法を用いて製造することができる。
当該製造方法は、押し出し成形工程と、後退部分形成工程とを含む。押し出し成形工程は、長手方向に直交する横断面において内部空間を囲む閉断面を構成するとともに前記閉断面が先端部3から基端部2まで連続する外部壁10と、前記横断面において前記長手方向に直交する直交方向に延びかつ前記直交方向の両端が外部壁10にそれぞれつながって前記内部空間を仕切る少なくとも一つの内部壁と、を備える部材をアルミニウム合金の押出し成形によって成形する工程である。
後退部分形成工程は、前記部材のうち前記先端部3における内部壁の先端縁23の少なくとも一部を含む部分を取り除くことにより後退部分24を形成する工程である。後退部分24は、上述のように前記先端部3における外部壁10の周縁15よりも長手方向の基端部2側に位置するように周縁15に対して基端部2側に後退した部分である。後退部分形成工程におけるトリム加工は、シャーなどの切断機械(プレス機械)を用いて行われてもよく、切削などの機械加工によって行われてもよい。
当該製造方法によれば、押し出し成形によって全体が一体となった部材を作製した後に、内部壁の一部を除去するだけで後退部分24を備えたエネルギー吸収部材1を得ることができるので、別の部材を溶接したり、外部壁10の一部を除去したりする必要がない。したがって、エネルギー吸収部材1の剛性が低下するのを抑制でき、また、外部壁10からその内部空間に水などが浸入することを回避できる。また、当該製造方法により、内部壁の先端縁23の少なくとも一部に後退部分24を形成することができるので、衝突初期の最大荷重を低減するとともに、それ以降の荷重変動を抑制することができ、しかもアルミニウム合金からなる軽量のエネルギー吸収部材1を効率よく製造することができる。このエネルギー吸収部材1を用いることにより、車両の軽量化を図ることができる。
以上説明したように、第1実施形態に係るエネルギー吸収部材1では、衝突側の端部である先端部3において、内部壁21,22の先端縁23が後退部分24を含むため、当該先端部3における衝突時の受圧面積が小さくなる。これにより、衝突初期の変形荷重を低減することができ、その結果、衝突初期の最大荷重を低減することができる。そして、変形荷重が低減された衝突側の先端部3が比較的容易に圧壊し、この圧壊した先端部3が起点になることにより、当該先端部3よりも基端部2側の部分をスムーズに圧壊させることができる。しかも、内部壁21,22の後退部分24よりも基端部2側においては、外部壁10だけでなく内部壁21,22も長手方向に連続しているので、圧壊変形時の座屈波長が短くなり、荷重変動が抑制される。
また、第1実施形態では、内部壁としての内部縦壁21と内部横壁22とが交差するので、閉断面を構成する各辺の長さを大幅に短くすることができる。これにより、圧壊変形時の座屈波長を短くすることができる。座屈波長が短くなると、荷重変動の周期も短くなり、荷重変動の振幅が大きくなるのを抑制できる。これにより、衝突時の荷重変動を効果的に抑制することができる。このように内部縦壁21と内部横壁22とが交差する場合、特にこれらが交差する部分Cにおける変形抵抗が高くなるため、衝突初期の変形荷重が大きくなるが、第1実施形態では、交差部分Cにおいて内部縦壁21及び内部横壁22のそれぞれに前記後退部分24を設けることにより、エネルギー吸収部材1の先端部3の変形を容易にすることができる。これにより、衝突初期の最大荷重が大きくなるのを抑制しつつ、それ以降の荷重変動を効果的に抑制することができる。
第1実施形態では、内部壁21,22の先端縁23が後退部分24だけでなく連続部分25を含むことで、衝突初期の荷重が内部壁21,22の連続部分25にも部分的に伝わり、内部壁21,22の座屈変形が衝突初期の段階から部分的に開始されやすくなる。これにより、内部壁21,22のうち連続部分25よりも基端部2側に位置する部分をスムーズに圧壊させることができる。また、この連続部分25は外部壁10の周縁15に連続しているため、外部壁10によってある程度拘束されている。したがって、連続部分25近傍における内部壁21,22の圧壊がより安定して進むことになる。これらのことから、衝突初期の圧壊及びこれに続く圧壊が安定し、変形荷重がより安定する。これにより、衝突時の荷重変動をより効果的に抑制できる。しかも、第1実施形態では、前記連続部分25は、前記長手方向に見たときに後退部分24の両サイドにそれぞれ設けられている。したがって、後退部分24の両サイドにおいて上述した圧壊の安定化及び変形荷重の安定化の効果が得られるので、衝突時の荷重変動をより効果的に抑制できる。
また、第1実施形態では、外部壁10を部分的に切除することなく、内部壁21,22の一部を切除して後退部分24を形成することによってエネルギー吸収効率を高めている。このため、外部壁10に孔などが形成されることがないので、外部壁10の曲げ剛性などの剛性が低下するのを抑制でき、また、外部壁10からその内部空間に水などが浸入することを回避できる。
エネルギー吸収部材1は、平坦面を有する外形を備えていることが好ましい。エネルギー吸収部材1は、他部品に取り付けたり、他部品が取り付けられたりすることがある。この点を考慮すると、外部壁10の外表面にある程度の面積を有する平坦面が必要になることがある。このような平坦面が確保できるように、外部壁10の前記横断面において外部壁10の外形は、矩形状であるのが好ましい。第1実施形態では、外部壁10は、前記横断面において略矩形状の閉断面を構成しており、外部壁10の外表面に平坦面を有する。
また、内部壁は、軽量化を考慮すると、前記横断面において内部壁の長さが小さくなるのが好ましい。この点を考慮すると、前記横断面において、外部壁10のうち互いに平行な方向に延びる部分(例えば第1縦壁11と第2縦壁12)がこれに直交する方向に延びる内部壁によって接続されるのが好ましい。
また、エネルギー吸収部材1は上述した製造方法によって容易に得られる。したがって、長尺部材であるサイドメンバ、サイドシルなどのエネルギー吸収部材1を製造する際においても、押し出し成形後に、内部壁の先端縁23の少なくとも一部を含む部分を取り除くだけでよい。このため、最大荷重の低減を目的に、プレス成形などにより外部壁10の一部に凹凸を形成する場合に比べて、部材の破断や周辺部品の変形などの問題が生じず、比較的安定した生産性が得られる。
[第2実施形態]
図10は、本発明の第2実施形態に係るエネルギー吸収部材1の先端部3付近の構造を示す斜視図である。第2実施形態に係るエネルギー吸収部材1は、内部壁の構成が第1実施形態と異なっており、それ以外の構成については第1実施形態と同様である。したがって、以下では第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
第2実施形態に係るエネルギー吸収部材1では、第1の内部壁21(内部横壁21)と第2の内部壁22(内部横壁22)とは、エネルギー吸収部材1の長手方向に直交する上下方向に間隔をおいて互いに平行な姿勢で並んでいる。第1の内部壁21は、前記横断面において車幅方向に延びかつ車幅方向の一端が第1縦壁11につながり、車幅方向の他端が第2縦壁12につながる。第2の内部壁22は、前記横断面において車幅方向に延びかつ前記車幅方向の一端が第1縦壁11につながり、前記車幅方向の他端が第2縦壁12につながる。これらの第1の内部壁21及び第2の内部壁22のそれぞれには前記後退部分24が設けられている。
この第2実施形態では、閉断面を構成する辺の長さを短くして衝突時の荷重変動を抑制する効果を高めることができる。その一方で、上記のような第1の内部壁21と第2の内部壁22とが設けられている場合には、単一の内部壁のみが設けられている場合に比べて、衝突初期の変形荷重が大きくなる。そこで、この態様では、第1の内部壁21及び第2の内部壁22のそれぞれに前記後退部分24を設けることにより、エネルギー吸収部材1の先端部3の変形を容易にしている。これにより、衝突初期の最大荷重が大きくなるのを抑制しつつ、それ以降の荷重変動を効果的に抑制することができる。
[第3実施形態]
図11は、本発明の第3実施形態に係るエネルギー吸収部材1の先端部3付近の構造を示す斜視図である。第3実施形態に係るエネルギー吸収部材1は、内部壁の構成が第1実施形態と異なっており、それ以外について第1実施形態と同様であるので、以下では第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
第3実施形態に係るエネルギー吸収部材1では、単一の内部壁20のみが設けられていることと、一対の接続部分28,28の構成とが第1実施形態と異なっている。図11に示すように、一対の接続部分28,28は、前記長手方向の基端部2側にむかうにつれて互いの距離が近づくように前記長手方向に対して傾斜している。すなわち、切り欠き部30の形状は、第1実施形態のように略矩形状でなくてもよく、図11に示すような台形状であってもよく、他の形状であってもよい。
[第4実施形態]
図12は、本発明の第4実施形態に係るエネルギー吸収部材の先端部3付近の構造を示す斜視図である。図13は、本発明の実施形態に係るエネルギー吸収アセンブリを示す平面図である。
図12に示す第4実施形態では、単一の内部壁20のみが設けられていることと、エネルギー吸収部材の先端部3における外部壁10及び内部壁20の形状とが第1実施形態と異なっており、それ以外について第1実施形態と同様であるので、以下では第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
図12に示す第4実施形態では、エネルギー吸収部材をフロントバンパステイ1Cに適用している。図12は、車両の前部左側に装着されるバンパステイ1Cを示している。図13は、車両の前部右側の部位を示している。図13に示すように、バンパステイ1Cの先端部3に当接又は近接する対向面41を有する対向部材40としては、例えばバンパ補強材101が挙げられる。図13に示すバンパ補強材101は、バンパステイ1Cの基端部2から先端部3に向かう方向(長手方向)に対して直交する水平方向ではなく前記長手方向に対して傾斜した水平方向に延びる傾斜部分を有する。当該傾斜部分は、バンパステイ1Cの先端部3に当接又は近接している。したがって、バンパステイ1Cの先端部3は、バンパ補強材101の傾斜部分に沿うようにバンパステイ1Cの長手方向に直交する水平方向に対して傾斜している。バンパステイ1Cの基端部2は、別の部材42に接している。
具体的には、バンパステイ1Cは、外部壁10と、内部壁20とを備える。外部壁10は、外側縦壁11と、内側縦壁12と、上側横壁13と、下側横壁14とを含む。外側縦壁11は、前記横断面において上下方向に延び、内側縦壁12は、前記横断面において前記外側縦壁11から前記車幅方向内側に離れた位置で上下方向に延びる。上側横壁13は、前記横断面において前記車幅方向に延びかつ外側縦壁11の上端部と内側縦壁12の上端部とにつながる。下側横壁14は、前記横断面において上側横壁13から下方に離れた位置で前記車幅方向に延びかつ外側縦壁11の下端部と内側縦壁12の下端部とにつながる。内部壁20は、前記横断面において車幅方向に延びかつ前記車幅方向の一端が外側縦壁11につながり、前記車幅方向の他端が内側縦壁12につながる。
外部壁10の周縁15のうち内側縦壁12の先端縁に相当する部分は、外部壁10の周縁15のうち外側縦壁11の先端縁に相当する部分よりも前方に位置している。そして、上側横壁13の先端縁は、内側縦壁12の先端縁の上端と、外側縦壁11の先端縁の上端とをつなぐ。下側横壁14の先端縁は、内側縦壁12の先端縁の下端と、外側縦壁11の先端縁の下端とをつなぐ。これにより、外部壁10の周縁15を含む平面は、バンパステイ1Cの長手方向に直交する平面に対して傾斜している。
図12及び図13に示すように、バンパステイ1Cの先端部3において、内部壁20の先端縁23は、後退部分24と、左右一対の連続部分25,25と、左右一対の接続部分28,28と、を含む。
後退部分24は、外部壁10の周縁15よりも長手方向の基端部2側に位置するように周縁15に対して基端部2側に後退した部分であり、左右方向に延びている。一対の連続部分25のそれぞれは、外部壁10の周縁15を含む平面内において延びかつ前記周縁15に連続する部分であり、左右方向に対して傾斜した方向に延びている。一対の接続部分28のそれぞれは、後退部分24と対応する連続部分25とを接続する部分であり、エネルギー吸収部材1の長手方向に延びている。
第4実施形態では、後退部分24は、衝突方向に対して直交する方向に延びている。このような構造の場合、前後方向に平行な方向への衝突が発生したときに、バンパ補強材101の変形が開始され、バンパ補強材101の前記傾斜部分が変形して当該傾斜部分が衝突方向に略平行な形状になる。すなわち、バンパ補強材101の前記傾斜部分がバンパステイ1Cの後退部分24と略平行な形状に変形した後には、バンパステイ1Cを安定して圧壊させることが可能になる。
[変形例]
本発明は、以上説明した実施形態に限定されない。本発明は、例えば次のような形態を含む。
第1実施形態では、第1の内部壁21が前記横断面において上下方向に延び、第2の内部壁22が前記横断面において車幅方向(左右方向)に延び、これらの内部壁21,22が交差部分Cにおいて交差する場合を例示したが、これに限られない。第1の内部壁21及び第2の内部壁22の少なくとも一方が前記横断面において上下方向及び左右方向に対して傾斜する方向に延びてこれらの内部壁21,22が交差部分Cにおいて交差していてもよい。
第2実施形態では、第1の内部壁21と第2の内部壁22は、横断面において車幅方向(左右方向)に延びるとともに互いに平行な姿勢で配置されていたが、これに限られない。第1の内部壁21と第2の内部壁22は、横断面において車幅方向に対して傾斜した方向に延びていてもよく、また、上下方向に延びていてもよい。また、第1の内部壁21と第2の内部壁22は、横断面において互いに平行でなくてもよい。
各実施形態では、3つ以上の内部壁が設けられていてもよい。
各実施形態では、内部壁の先端縁23は、後退部分24のみによって構成され、連続部分25を含んでいなくてもよい。また、内部壁の先端縁23は、後退部分24と、単一の連続部分25と、これらを接続する単一の接続部分28とからなるものであってもよい。また、内部壁の先端縁23は、前記横断面において互いに間隔をおいて設けられる複数の後退部分24を含んでいてもよい。
1(1A〜1G) エネルギー吸収部材
1A サイドシル
1B フロントサイドメンバ
1C クラッシュボックス(フロントバンパステイ)
1D フロントサブフレーム
1E ロアクラッシュボックス
1F リアサイドメンバ
1G リアバンパステイ
2 エネルギー吸収部材の基端部
3 エネルギー吸収部材の先端部
10 外部壁
11,12 外部壁の縦壁
13,14 外部壁の横壁
15 外部壁の周縁
20 内部壁
21 第1の内部壁
22 第2の内部壁
23 内部壁の先端縁
24 内部壁の先端縁における後退部分
25 内部壁の先端縁における連続部分
30 後退部分
40 対向部材
41 対向面
D 外部壁の周縁から内部壁の後退部分までの長手方向の距離(切り欠き部の深さ)

Claims (10)

  1. 車両の前後方向に延びる姿勢で当該車両に設けられ、衝突側の端部である先端部と前記先端部とは前記前後方向の反対側に位置する基端部とを有するエネルギー吸収部材であって、
    前記エネルギー吸収部材の長手方向に直交する横断面において内部空間を囲む閉断面を構成するとともに前記閉断面が前記先端部から前記基端部まで連続する外部壁と、
    前記横断面において前記長手方向に直交する直交方向に延びかつ前記直交方向の両端が前記外部壁にそれぞれつながって前記内部空間を仕切る少なくとも一つの内部壁と、を備え、
    前記先端部における前記内部壁の先端縁は、前記先端部における前記外部壁の周縁よりも前記長手方向の前記基端部側に位置するように前記周縁に対して前記基端部側に後退した後退部分を含み、
    前記内部壁は、前記後退部分よりも前記基端部側においては、前記長手方向に連続している、エネルギー吸収部材。
  2. 請求項1に記載のエネルギー吸収部材であって、
    前記少なくとも一つの内部壁は、
    前記横断面において前記長手方向に直交する第1の方向に延びかつ前記第1の方向の両端が前記外部壁にそれぞれつながる第1の内部壁と、
    前記横断面において前記長手方向に直交するとともに前記第1の方向に交わる第2の方向に延びかつ前記第2の方向の両端が前記第1の内部壁とは異なる部位において前記外部壁にそれぞれつながる第2の内部壁であって前記内部空間において前記第1の内部壁と交差するものと、を含み、
    前記第1の内部壁と前記第2の内部壁とが交差する部分において、前記第1の内部壁及び前記第2の内部壁のそれぞれに前記後退部分が設けられている、エネルギー吸収部材。
  3. 請求項1に記載のエネルギー吸収部材であって、
    前記少なくとも一つの内部壁は、
    前記横断面において両端が前記外部壁にそれぞれつながる第1の内部壁と、
    前記横断面において両端が前記第1の内部壁とは異なる部位において前記外部壁にそれぞれつながる第2の内部壁であって前記第1の内部壁に対して前記長手方向に直交する方向に間隔をおいて並ぶものと、を含み、
    前記第1の内部壁及び前記第2の内部壁のそれぞれに前記後退部分が設けられている、エネルギー吸収部材。
  4. 請求項1〜3の何れか1項に記載のエネルギー吸収部材であって、前記内部壁の前記先端縁は、前記外部壁の前記周縁を含む平面内において延びかつ前記周縁に連続する連続部分を含み、前記後退部分は前記連続部分よりも前記長手方向の前記基端部側に位置している、エネルギー吸収部材。
  5. 請求項4に記載のエネルギー吸収部材であって、前記連続部分は、前記長手方向に見たときに前記後退部分の両外側にそれぞれ設けられている、エネルギー吸収部材。
  6. 請求項1〜5の何れか1項に記載のエネルギー吸収部材であって、前記外部壁の前記周縁から前記内部壁の前記先端縁の前記後退部分までの前記長手方向の距離は、衝突時における最大荷重が発生するストロークに対応する長さを超える値に設定されている、エネルギー吸収部材。
  7. 請求項1〜6の何れか1項に記載のエネルギー吸収部材であって、バンパステイ、クラッシュボックス、フロントサイドメンバ、リアサイドメンバ、サイドシル及びフロントサブフレームの何れかである、エネルギー吸収部材。
  8. 請求項1〜7の何れか1項に記載のエネルギー吸収部材であって、7000系アルミニウム合金からなる、エネルギー吸収部材。
  9. 請求項1〜8の何れか1項に記載のエネルギー吸収部材と、
    前記エネルギー吸収部材の前記外部壁の前記周縁に当接又は近接する対向面を有する対向部材と、を備え、
    前記対向面と前記後退部分との間には隙間が形成されている、エネルギー吸収アセンブリ。
  10. 車両の前後方向に延びる姿勢で当該車両に設けられ、衝突側の端部である先端部と前記先端部とは前記前後方向の反対側に位置する基端部とを有するエネルギー吸収部材を製造するための方法であって、
    長手方向に直交する横断面において内部空間を囲む閉断面を構成するとともに前記閉断面が前記先端部から前記基端部まで連続する外部壁と、前記横断面において前記長手方向に直交する直交方向に延びかつ前記直交方向の両端が前記外部壁にそれぞれつながって前記内部空間を仕切る少なくとも一つの内部壁と、を備える部材をアルミニウム合金の押出し成形によって成形する工程と、
    前記先端部における前記内部壁の先端縁の少なくとも一部を含む部分を取り除くことにより、前記先端部における前記外部壁の周縁よりも前記長手方向の前記基端部側に位置するように前記周縁に対して前記基端部側に後退した後退部分を前記内部壁の先端縁の少なくとも一部として形成する工程と、を含む、エネルギー吸収部材の製造方法。
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