JP2012184170A - 溶出制御型農薬粒剤組成物、及び農薬粒剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】20℃における水溶解度が100ppm以上の農薬活性成分(A)、C8〜C40アルキル鎖カルボン酸及びその誘導体の中から選ばれる1種又は2種以上の混合物(B)、無機物質(C)、常温液体かつ常圧で200℃以上の沸点を有する石油留分(D)を含有する農薬粒剤組成物が、これを造粒して成る農薬粒剤において、良好な造粒効率が得られると共に、水溶解度の高い農薬活性成分を長期間に亘り溶出を制御できることを見出した。
【選択図】なし
Description
例えば特許文献1には、20℃における水溶解度が50ppm以上の殺虫活性成分、炭素数が10〜18の高級脂肪酸の炭素数1〜6のアルキルエステル、吸油性粒状担体からなる農薬粒剤が開示されている。また特許文献2には、アルコール型ワックスを含有することを特徴とする農薬粒剤が開示されている。さらに特許文献3では、モンタンロウ誘導体混合物を含有することを特徴とする農薬粒剤が開示されている。特許文献4では、脂肪酸及び/又は脂肪酸誘導体、水難溶性多糖類、無機物質を含有することを特徴とする農薬粒剤が開示されている。
また、特許文献3の農薬粒剤の製造方法は、基材であるモンタンロウ誘導体と農薬活性成分を加熱溶融して混合した後に、冷却固化したものを破砕造粒することによって得られる。このため、熱に不安定な農薬活性成分には、高温かつ長時間の加熱溶融工程を含む製造方法に適用することができない。また、モンタンロウ誘導体などの脂肪酸誘導体と農薬活性成分を固体のまま直接混合し、加熱工程を経ずに押出造粒を行うと、得られる粒の硬度が低く、保存や輸送時に粒が割れたり欠けたりすることで、粒剤の総表面積が大きくなり望む溶出速度が得られなくなるおそれがある。
一方、特許文献4の農薬粒剤は、組成物の混合において水の添加や加熱溶融工程が不要であり、前述したような農薬粒剤組成物を均一に混合する工程に問題は見られない。しかしながら特許文献4の粒剤は、押し出し造粒の工程において過大な摩擦がかかるため、造粒機から原料が粒形に成形されて出てくるまでに時間を要し、造粒効率の低下が問題となる。
(1)20℃における水溶解度が100ppm以上の農薬活性成分(A)、C8〜C40アルキル鎖カルボン酸及びその誘導体の中から選ばれる1種以上の脂肪酸及び/又は脂肪酸誘導体(B)、無機物質(C)、常温液体で常圧で200℃以上の沸点を有する石油留分(D)を含むことを特徴とする農薬粒剤組成物
(2)前記無機物質(C)がクレー、タルク、白土、珪藻土、ゼオライト、硫酸バリウム、二酸化チタン、非晶質二酸化珪素(ホワイトカーボン)からなる群から選ばれる1種以上である上記(1)に記載の農薬粒剤組成物、
(3)前記常温液体で常圧で200℃以上の沸点を有する石油溜分(D)が流動パラフィン又はマシン油である上記(1)又は(2)に記載の農薬粒剤組成物、
(4)前記農薬活性成分(A)を3〜25質量%、前記脂肪酸及び/又は脂肪酸誘導体(B)を10〜80質量%、前記無機物質(C)を10〜60質量%、前記常温液体で常圧で沸点が200℃以上の石油留分(D)を1〜30質量%、を含有する上記(1)〜(3)のいずれか一項の農薬粒剤組成物、
(5)前記農薬活性成分(A)がネライストキシン系農薬活性成分である上記(1)〜(4)のいずれか一項に記載の農薬粒剤組成物、
(6)界面活性剤(E)を0.1〜10質量%含有する上記(1)〜(5)のいずれか一項に記載の農薬粒剤組成物、
(7)上記(1)〜(6)のいずれか一項に記載の農薬粒剤組成物を粒径2〜10mmに粒状成形してなる農薬粒剤、
(8)界面活性剤(E')を表面コーティングした上記(7)に記載の農薬粒剤、
(9)上記(1)〜(6)のいずれか一項に記載の農薬粒剤組成物を混合する混合工程、前記混合工程により得られる混合物を造粒して粒状成形体を調製する造粒工程、前記造粒工程により得られる粒状成形体を加熱処理する加熱工程、を含む農薬粒剤の製造方法、
(10)前記造粒工程が縦型押出造粒機によって行われる上記(9)に記載の農薬粒剤の製造方法、
(11)前記縦型押出造粒機に使用するダイスの厚さが10mm以上である上記(10)に記載の農薬粒剤の製造方法、
(12)前記加熱処理が50〜80℃かつ1〜30分の範囲で行われる上記(9)〜(11)のいずれか一項に記載の農薬粒剤の製造方法、
に関する。
さらに、基材に用いるC8〜C40アルキル鎖カルボン酸及びその誘導体の種類や組合せ組成、並びに無機物質、及び常温液体かつ常圧で200℃以上の沸点を有する石油留分の種類や含有量を適宜調整することによって、所望の農薬活性成分の溶出速度に制御することができる。これにより用いる農薬活性成分の至適濃度、対象とする病害虫、散布時期、作用期間に応じた製剤をデザインすることができ、その結果、用いる農薬活性成分の効力が十分に発揮される。
本発明の農薬粒剤に使用される農薬活性成分(A)は、農薬殺虫活性成分又は農薬殺菌活性成分を指し、一般に農園芸に施用されている、水溶解度が20℃において0.01〜50質量%である殺虫剤、殺菌剤が使用でき、る。農薬活性成分(A)としては、具体的には例えば次のようなものが挙げられるがこれに限定されるものではない。
殺菌活性成分としては、IBP(O,O‐ジイソプロピル‐S‐ベンジルチオホスフェート)、トリシクラゾール(5‐メチル‐1,2,4−トリアゾロ〔3,4−b〕ベンゾチアゾール)、フサライド(4,5,6,7‐テトラクロロフタリド)、バリダマイシン、プロベナゾール(3‐アリルオキシ‐1,2‐ベンゾイソチアゾール‐1,1‐ジオキシド)、フェリムゾン((Z)‐2'‐メチルアセトフェノン=4,6‐ジメチルピリミジン‐2‐イルヒドラジン)、フルトラニル(α,α,α‐トリフルオロ‐3'‐イソプロポキシ‐O‐トルアニリド)、フラメトピル((RS)‐5‐クロロ‐N‐(1,3‐ジヒドロ‐1,1,3‐トリメチルイソベンゾフラン‐4‐イル)‐1,3‐ジメチルピラゾール‐4‐カルボキサミド、ペンシクロン(1‐(4‐クロロベンジル)‐1‐シクロペンチル‐3‐フェニル尿素、ジクロメジン(6‐(3,5‐ジクロロ‐4‐メチルフェニル)‐3(2H)‐ピリダジノン)、カスガマイシン一塩酸塩などが挙げられる。
該カルボン酸誘導体としては、前記カルボン酸が水酸基等の置換基を有する化合物等が挙げられ、例えば12‐ヒドロキシステアリン酸等が挙げられる。さらに、牛硬化油、ヒマシ硬化油、大豆硬化油、パーム硬化油、菜種硬化油といった動物性油脂、若しくは植物性油脂等の脂肪酸エステルを水素添加して得られたワックス状物質なども含まれる。(B)成分は、例えば上記物質の中から選ばれる1種又は2種以上の混合物で、これらは任意に組み合わせて使用することができるが、ヒマシ硬化油の単独使用、牛硬化油とステアリン酸の組合せ、ヒマシ硬化油とステアリン酸の組合せが農薬活性成分の良好な溶出性を示すことから好ましい。
無機物質(C)は、クレー、珪石、タルク、白土、珪藻土、ゼオライト、アッシュメント、非晶質二酸化珪素(通称:ホワイトカーボン)、硫酸バリウム、二酸化チタン、塩化ナトリウム、塩化カリウムなどから選ばれる1種又は2種以上の組合せで用いられるが、農薬活性成分の安定性を損なうものでなければ、これに限るものではない。無機物質(C)の粒径は、農薬粒剤の所望の性能に応じ、任意に選択され使用できる。その中でも20〜200μmのものが、製造上及び/又は農薬活性成分の溶出を促す作用を導き出すのに好ましい。
無機物質(C)は、本発明の農薬粒剤組成物中に10〜60質量%の割合で含有させることができる。好ましくは20〜60質量%である。10質量%未満では農薬活性成分の溶出性調整や農薬粒剤の比重調整の効果が期待できない。60質量%を超えると農薬活性成分の溶出制御が困難となるばかりでなく、農薬粒剤としての形状に成形することが難しくなる。
石油留分(D)は、本発明の農薬粒剤組成物中に1〜30質量%の割合で含有させることができる。好ましくは5〜20質量%である。1質量%未満では結合剤及び滑剤としての効果が期待できず、造粒工程における生産効率が著しく低下するだけでなく、農薬粒剤としての形状に成形することが困難になる。また、30質量%を超えると農薬活性成分の溶出制御が困難となるばかりでなく、農薬粒剤としての形状に成形することが難しくなる。
ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンフェニルエーテルポリマー、ポリオキシエチレンアルキレンアリールフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレン化ヒマシ油、ポリオキシエチレン化硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、グリセリルモノステアレート、グリセリルジステアレート、等が挙げられる。
アニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテルサルフェート、リグニンスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジオクチルスルホコハク酸塩、等が挙げられる。
界面活性剤(E')を農薬粒剤表面にコーティングする方法としては、農薬粒剤に、界面活性剤(E')を添加してミキサー等により転動させて、直接コーティングする方法、農薬粒剤の表面にバインダーとなる液体を塗布した後に、当該界面活性剤(E')をホワイトカーボンなどに吸着させた粉体をコーティングする方法等が挙げられる。
界面活性剤(E)または(E')は、本発明の農薬粒剤組成物中に0.1〜30質量%の割合で含有させることができる。より好ましくは0.1%〜10質量%である。0.1質量%未満では当該農薬粒剤を水中に沈降させるには足りず、30質量%を超えると良好な水中沈降性は得られるものの、界面活性剤によって農薬活性成分の水中溶出速度が大幅に促進されるため、溶出制御が困難になる。
加えて、当該農薬粒剤組成物には前記界面活性剤(E)または(E')を0.1〜10質量%の割合で添加することができ、当該農薬粒剤の水中沈降性ならびに農薬活性成分の水中溶出速度を適宜調整することができる。2種以上の農薬活性成分を本発明の農薬粒剤に含有させる場合には、農薬活性成分の種類によっては農薬活性成分(A)が製剤基材である脂肪酸及び/又は脂肪酸誘導体(B)の内部構造を粗くする作用が生じる場合があり、この場合、農薬活性成分が水中溶出を促進する効果を発揮する。そのため所望の溶出制御を発現させるには用いる農薬活性成分及びその含有量に応じて調整することが好ましい。
常温液体の植物性脂肪酸及び/又はその誘導体は、前記のC8〜C40アルキル鎖カルボン酸及びその誘導体である脂肪酸及び/又は脂肪酸誘導体(B)と共に用いるものであり、農薬製剤基材を軟化させて当該農薬粒剤の造粒性が向上する効果を奏する。用いることができる常温液体の植物性脂肪酸及び/又はその誘導体としては、ヒマシ油、菜種油、パーム油、大豆油、綿実油、亜麻仁油等を挙げることができる。当該常温液体の植物性脂肪酸及び/又はその誘導体の混用は、当該粒剤硬度を低下させる懸念もあることから、これを添加する場合は、粒剤中に0.05〜10質量%の範囲において用いられるものである。当該粒剤の造粒性向上と粒硬度の両立の観点から、当該農薬粒剤組成物中で0.1〜5質量%の適用がより好ましい。
本発明の農薬粒剤に用いられる水難溶性多糖類としては結晶セルロース、水不溶性ペクチン、キチン・キトサン等が挙げられる。押出造粒による造粒性を向上し得るもので、当該農薬粒剤中の農薬活性成分の安定性を損なうものでなければこれに限るものではない。
水難溶性多糖類の平均粒子径は1〜45μmのものを用いることができる。好ましくは平均粒径5〜20μmである。農薬粒剤に水難溶性多糖類を用いる場合、0.5〜20質量%用いることで十分な硬度を与えることができる。0.5質量%未満では水難溶性多糖類による圧縮形成性と硬度を与えることができない。また、20質量%を超えると農薬粒剤としての形状に成形することが難しくなる。
均一な粒状成形体を調製するために造粒機を用いることが望ましい。特に縦型押出造粒機による造粒方法が好ましい。縦型押出造粒機は、一般に被造粒組成物に圧力をかけて、水平に設置されたダイスから押出して造粒する機器の一般名称で、具体的にはディスクペレッター(不二パウダル社製)等が挙げられる。実際の造粒工程としては、原材料をよく混合した後に、当該造粒機に投入して造粒する。このとき、造粒機のダイスの厚さが10mm以上の用いることが、粒剤粒径が2〜10mmの粒剤を製造する上で重要になる。ダイスの厚さが10mmに満たない場合、原材料にかかる圧力が足りず粒剤としての形に成形することが困難となる。また、粒径が2〜10mmの範囲外の場合、やはり原材料にかかる圧力が足りず粒剤として成形することが難しくなる。
この加熱処理は、恒温槽や流動層乾燥機を用いて施される方法を挙げることができるが、これに限るものではない。本明細書で言う加熱温度は、当該農薬粒剤を包囲する雰囲気の温度を指すものとする。従って、恒温槽の場合は目的の温度になったことを確認した後、農薬組成物の造粒物を槽内に所望の時間に亘り加熱する。流動層乾燥機の場合は流動層内に農薬組成物の造粒物を投入し、運転開始後、流動槽内が目的とする温度で一定となってから、適切な時間、流動層内で加熱処理を行う。加熱温度は、粒剤基材として用いる前記脂肪酸及び/又は脂肪酸誘導体(B)の融点以下である必要があり、通常50〜100℃である。好ましくは50℃〜80℃である。100℃以上では表面が溶解し粒同士付着してブロッキング現象を起こしてしまう。また、50℃未満では加熱による当該農薬粒剤の構造改良の効果は期待できない。粒の加熱時間はごく短時間でよく、60分以内が適切である。好ましくは1〜60分であり、より好ましくは1〜30分である。
硬度(%)=500μm通過微粉量(g)/100(g)×100
本発明の農薬粒剤を上記試験方法に供すると、結果として硬度5%以下である。硬度が10%より大きい値の場合、保存及び輸送中に粒が割れたり欠けたりすることで粒剤の総表面積が大きくなり望む溶出速度が得られなくなるおそれがある。
チオシクラムシュウ酸塩9.4重量部、ヒマシ硬化油28.0重量部、シルト#500(商品名、丸中白土社製、白土、平均粒子径:約40μm)49.9重量部、NPファイバー(商品名、日本製紙ケミカル社製、微粉結晶セルロース、平均粒子径:10μm)2.5重量部、モレスコホワイトMT−80(商品名、松村石油化学研究所製、流動パラフィン、沸点250℃以上)10.0重量部をよく混合したものを、ディスクペレッター(商品名、不二パウダル社製、縦型押出造粒機、ダイス厚さ20mm、粒径4.0mm)に投入して造粒した。これを3mm(7メッシュ)の篩で篩別した後、流動層乾燥機(ミゼットドライヤー、MDD−400N型、不二パウダル社製)にて70℃、15分間処理した。これをコンクリートミキサーに投入し、更にレオドールTW−O120V(商品名、花王社製、POEソルビタンモノオレート)0.3重量部を加え、攪拌することにより粒剤コーティングし、チオシクラムシュウ酸塩8.4%の粒剤を得た。
チオシクラムシュウ酸塩9.4重量部、ヒマシ硬化油20.4重量部、ステアリン酸12.4重量部、シルト#500(商品名、丸中白土社製、白土、平均粒子径:約40μm)50.0重量部、NPファイバー(商品名、日本製紙ケミカル社製、微粉結晶セルロース、平均粒子径:10μm)2.5重量部、モレスコホワイトMT−260(商品名、松村石油化学研究所製、流動パラフィン、沸点250℃以上)5.0重量部をよく混合したものを、ディスクペレッター(商品名、不二パウダル社製、縦型押出造粒機、ダイス厚さ20mm、粒径4.0mm)に投入して造粒した。これを3mm(7メッシュ)の篩で篩別した後、流動層乾燥機(ミゼットドライヤー、MDD−400N型、不二パウダル社製)にて70℃、15分間処理した。これをコンクリートミキサーに投入し、更にレオドールTW−O120V(商品名、花王社製、POEソルビタンモノオレート)0.3重量部を加え、攪拌することにより粒剤コーティングし、チオシクラムシュウ酸塩8.4%の粒剤を得た。
チオシクラムシュウ酸塩9.4重量部、ヒマシ硬化油18.1重量部、ステアリン酸9.7重量部、シルト#500(商品名、丸中白土社製、白土、平均粒子径:約40μm)50.0重量部、NPファイバー(商品名、日本製紙ケミカル社製、微粉結晶セルロース、平均粒子径:10μm)2.5重量部、モレスコホワイトMT−40(商品名、松村石油化学研究所製、流動パラフィン、沸点250℃以上)10.0重量部をよく混合したものを、ディスクペレッター(商品名、不二パウダル社製、縦型押出造粒機、ダイス厚さ20mm、粒径4.0mm)に投入して造粒した。これを3mm(7メッシュ)の篩で篩別した後、流動層乾燥機(ミゼットドライヤー、MDD−400N型、不二パウダル社製)にて70℃、15分間処理した。これをコンクリートミキサーに投入し、更にレオドールTW−O120V(商品名、花王社製、POEソルビタンモノオレート)0.3重量部を加え、攪拌することにより粒剤コーティングし、チオシクラムシュウ酸塩8.4%の粒剤を得た。
チオシクラムシュウ酸塩11.5重量部、ステアリン酸12.3重量部、ヒマシ硬化油23.3重量部、シルト#500(商品名、丸中白土社製、白土、平均粒子径:約40μm)50.0重量部、ヒマシ油0.35重量部、NPファイバー(商品名、日本製紙ケミカル社製、微粉結晶セルロース、平均粒子径:10μm)2.5重量部をよく混合したものを、ディスクペレッター(商品名、不二パウダル社製、縦型押出造粒機、ダイス厚さ10mm、粒径4.0mm)に投入して造粒した。これを3mm(7メッシュ)の篩で篩別した後、流動層乾燥機(ミゼットドライヤー、MDD−400N型、不二パウダル社製)にて70℃、15分間処理した。これをコンクリートミキサーに投入し、更にペグノールST−9(商品名、東邦化学工業社製、POEアルキルエーテル、HLB:13.3)0.3重量部を加え、攪拌することにより粒剤コーティングし、チオシクラムシュウ酸塩10.3%の粒剤を得た。
チオシクラムシュウ酸塩9.4重量部、ヒマシ硬化油23.6重量部、ステアリン酸12.4重量部、シルト#500(商品名、丸中白土社製、白土、平均粒子径:約40μm)50.0重量部、ヒマシ油0.35重量部、リン酸1.5重量部、NPファイバー(商品名、日本製紙ケミカル社製、微粉結晶セルロース、平均粒子径:10μm)2.5重量部、水10重量部をよく混合したものを、ディスクペレッター(商品名、不二パウダル社製、縦型押出造粒機、ダイス厚さ20mm、粒径4.0mm)に投入して造粒した。これを3mm(7メッシュ)の篩で篩別したものを、流動層乾燥機(ミゼットドライヤー、MDD−400N型、不二パウダル社製)にて70℃、15分間処理した。これをコンクリートミキサーに投入し、レオドールTW−O120V(商品名、花王社製、POEソルビタンモノオレート)0.3重量部を加え、攪拌することにより粒剤コーティングし、チオシクラムシュウ酸塩8.4%の粒剤を得た。
実施例及び比較例の粒剤を各0.5g測り取り、100mL共栓付き三角フラスコに入れ、100mLの蒸留水を静かに注いだ。これを25℃恒温槽に一昼夜静置後、水中に溶出したチオシクラムシュウ酸塩の量をHPLCにより測定した。その後、フラスコから全ての水を除き、改めて100mLの蒸留水を静かに注ぎ、25℃恒温槽に一昼夜静置した。この操作を繰り返してチオシクラムシュウ酸塩の24時間毎の溶出量を経時的に測定した。試験例1の結果を、チオシクラムシュウ酸塩の経時的溶出率としてまとめ、表1に記載した。
実施例1 実施例2 実施例3 比較例1 比較例2
1日後 23 24 41 21 60
3日後 30 39 62 38 100
5日後 38 49 70 46 −
10日後 50 60 88 60 −
実施例及び比較例の粒剤調製工程における造粒工程で、一定量の各農薬粒剤組成物を用いて造粒した場合における造粒時間を計測し、単位時間当たりに粒剤として得られる重量を算出した。製造効率試験の結果を、表2にまとめた。
実施例及び比較例の農薬粒剤の粒剤硬度測定を、全農が制定した「農薬製剤の製品規格および規格試験法」(昭和62年12月改定)に従い測定した。すなわち、供試農薬粒剤を100g測り取り、ボールミル用磁製ポット(内径100×内深100mm)に入れた。次に磁製玉(直径30±2mm、重量35g±3g)を任意に3個取り、3個分の全重量が105gとし、ポットに入れる。ふたをし、予め回転を調整(75rpm)しておいた可変ローラーの上にポットを置き、正しく15分間回転させる。回転が終了したら中身を取り出し、標準篩500μmで篩い、通過した微粉を上皿天秤で量る。硬度は次の式で表され、値の小さいものほど硬度が高いと言うことができる。農薬粒剤硬度試験結果を表2にまとめた。
硬度(%)=500μm通過微粉量(g)/100(g)×100
試験例2:造粒効率(kg/hr) 試験例3:硬度(%)
実施例1 93 1.0
実施例2 97 1.2
実施例3 120 1.3
比較例1 30 4.9
比較例2 122 1.0
また、表2に示したように、本発明の農薬粒剤は(D)成分を含むことによって、単位時間当たりに十分な量の農薬粒剤を得ることができた。一方で造粒時に潤滑剤として何も加えずに造粒を行った比較例1は、ダイスへの原料の充填、及び排出の段階で過大な摩擦が生じ、造粒効率が著しく低下する結果となった。
粒剤硬度の点でも、本発明の農薬粒剤は(D)成分と(B)成分が溶融後固化することで、粒内にネットワークを形成し、結果として粒剤硬度が上がった。一方、結合剤・滑剤に相当する成分を含まない比較例1は、得られた粒剤の硬度が本発明の農薬粒剤と比較して低い硬度を示した。
これらの結果から、農薬粒剤の調製において、結合剤・滑剤に相当する成分は製造効率を高めると共に、粒剤硬度を増強させる機能を担い、農薬粒剤組成物として添加する事が好ましいと言える。一方、農薬活性成分の溶出制御の観点では、これら結合剤・滑剤成分は不利に働く側面がある。本発明に係る農薬粒剤組成物は、結合剤・滑剤成分として、(D)成分を適用することで、粒剤製造効率、粒剤硬度、農薬活性成分の溶出制御の面を両立させ、優れた性能の溶出制御型農薬粒剤を提供できることが明らかとなった。
Claims (12)
- 20℃における水溶解度が100ppm以上の農薬活性成分(A)、C8〜C40アルキル鎖カルボン酸及びその誘導体の中から選ばれる1種以上の脂肪酸及び/又は脂肪酸誘導体(B)、無機物質(C)、常温液体で常圧で200℃以上の沸点を有する石油留分(D)を含むことを特徴とする農薬粒剤組成物。
- 前記無機物質(C)がクレー、タルク、白土、珪藻土、ゼオライト、硫酸バリウム、二酸化チタン、非晶質二酸化珪素(ホワイトカーボン)からなる群から選ばれる1種以上である請求項1に記載の農薬粒剤組成物。
- 前記常温液体で常圧で200℃以上の沸点を有する石油溜分(D)が流動パラフィン又はマシン油である請求項1又は2に記載の農薬粒剤組成物。
- 前記農薬活性成分(A)を3〜25質量%、前記脂肪酸及び/又は脂肪酸誘導体(B)を10〜80質量%、前記無機物質(C)を10〜60質量%、前記常温液体で常圧で沸点が200℃以上の石油留分(D)を1〜30質量%、を含有する請求項1〜3のいずれか一項の農薬粒剤組成物。
- 前記農薬活性成分(A)がネライストキシン系農薬活性成分である請求項1〜4のいずれか一項に記載の農薬粒剤組成物。
- 界面活性剤(E)を0.1〜10質量%含有する請求項1〜5のいずれか一項に記載の農薬粒剤組成物。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の農薬粒剤組成物を粒径2〜10mmに粒状成形してなる農薬粒剤。
- 界面活性剤(E')を表面コーティングした請求項7に記載の農薬粒剤。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の農薬粒剤組成物を混合する混合工程、前記混合工程により得られる混合物を造粒して粒状成形体を調製する造粒工程、前記造粒工程により得られる粒状成形体を加熱処理する加熱工程、を含む農薬粒剤の製造方法。
- 前記造粒工程が縦型押出造粒機によって行われる請求項9に記載の農薬粒剤の製造方法。
- 前記縦型押出造粒機に使用するダイスの厚さが10mm以上である請求項10に記載の農薬粒剤の製造方法。
- 前記加熱処理が50〜80℃かつ1〜30分の範囲で行われる請求項9〜11のいずれか一項に記載の農薬粒剤の製造方法。
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JP2011046327A JP5631778B2 (ja) | 2011-03-03 | 2011-03-03 | 溶出制御型農薬粒剤組成物、及び農薬粒剤 |
Applications Claiming Priority (1)
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