JP4189085B2 - モンタンロウ誘導体混合物を含む徐放性農薬製剤及びその製造方法 - Google Patents

モンタンロウ誘導体混合物を含む徐放性農薬製剤及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、作物害虫の防除の為の農薬活性成分を簡便に使用できる徐放性農薬粒剤に関し、詳しくは、農薬活性成分とモンタン酸ワックスとモンタン酸エステルワックスより成るモンタンロウ誘導体混合物を含有する徐放性農薬粒剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、稲作の低コスト化を指向して急速に水田の大規模化や機械化が進められている。それに対応するように農薬の散布方法に関する技術革新が進み、各種省力型製剤及び散布方法が開発されるようになった。
ところで、殺虫剤等の各種の水田用の農薬としては粉剤、粒剤、乳剤、水和剤、フロアブル剤等の各種の剤型が用いられている。これらの製剤を水田に施用する方法としては直接散布法が一般的である。多くの場合、直接散布法では、水田中に作業者が踏み入り、且つ作業者は重い散布機械等を背負い作業をする。そのため、上記方法は高年齢農業従事者には大変な作業であり、近年我が国においては農業従事者に占める高年齢者の割合が増加していることに鑑みれば、かかる状況は好ましいものではない。そのため、更に省力的な製剤処方と施用法の解決が望まれる。
【0003】
一方、直接散布法に対し、近年田植え前の水稲育苗箱に農薬組成物を施用する育苗箱処理法の開発が進められている。育苗箱処理法の最大の利点は、直接散布法における様な水田中での農薬散布の必要がなく、既に処理された水稲苗を水田に移植することである。そのため苗箱処理法は理想的な省力施用方法である。
一般に水田の害虫は、田植え後から出穂後まで長期的に発生するため、苗箱処理剤には長期に渡る安定的な農薬活性成分の効力が必要とされる。長期に渡って農薬活性成分の効力を持続させるための製剤が知られている。これらは、農薬活性成分を炭化水素系ワックスを配合し鉱物等に希釈あるいは担持させて疎水化したものである。このような従来製剤は主にワックスの撥水性を利用して農薬活性成分の放出を制御するため、農薬活性成分の放出を高度に制御することは不可能であった。
【0004】
WO95/09532号公報にはそのようなワックスを用いたマトリックス化により農薬活性成分を徐放化する方法が開示されている。当該公報においては、農薬活性成分、融点50℃以上の疎水性物質および吸油能を有する物質を含有する農薬組成物が農薬活性成分の放出を制御するための化合物(放出制御剤)を含有している。とはいえ、該公報記載の発明を追試した本発明者らの検討によれば、ワックスの撥水性を利用しただけでは満足する溶出制御は達成されなかった。また、放出制御剤を含有する徐放性農薬組成物は徐放化はするものの、組成物中の農薬活性成分を100%近く放出させることは困難であり、大量の農薬活性成分が放出されないまま組成物中に残ることがわかった。
【0005】
農薬活性成分が放出されないまま大量に組成物中に残ってしまう原因としては、使用されている放出制御剤が疎水性のワックスとの相溶性に乏しいため、組成物中で均一なマトリックスが形成されないことが考えられる。実際、本発明者らがWO95/09532号公報の実施例を追試では、基本的な溶出パターンは放物線カーブを描き、初期の農薬活性成分の放出が多く、放出が途中で止まってしまい、初期溶出を抑えながら後期まで農薬活性成分の放出を持続させることは不可能であることがわかった。即ち、係る方法は徐放性農薬製剤としては好適なものとはいえない。
【0006】
ところで、特開平7−179448号公報には化学名N−メチル−N'−ニトロ−N”−[(テトラヒドロ−3−フラニル)メチルグアニジンである化合物が開示されている。この化合物は高い殺虫力を有し、広い殺虫スペクトルを有する。この化合物は水溶性が極めて高いという特徴を有している。そのため、水稲苗箱施用にこの化合物を利用するに際しては殺虫効果を長期間持続させるために、高度な溶出制御技術の確立が必要であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、農薬活性成分が徐々に放出され、長期間に渡ってその効力を持続させ得る農薬活性成分との相溶性に優れたモンタンロウ誘導体混合物およびそれを用いた農薬製剤を提供することにある。
本発明の他の課題は、農薬活性成分が徐々に且つほぼ完全に放出され、長期間に渡ってその効力を十分に持続させ得る農薬活性成分との相溶性に優れたモンタンロウ誘導体混合物およびそれを用いた農薬製剤を提供することにある。
【0008】
よって、本発明の目的は1)特定の融点、酸価を有するモンタン酸ワックスと特定の融点、酸価を有するモンタン酸エステルワックスとから成る特定の酸価を有するモンタンロウ誘導体混合物、2)農薬活性成分、特定の融点、酸価を有するモンタン酸ワックスと特定の融点、酸価を有するモンタン酸エステルワックスとから成る特定の酸価を有するモンタンロウ誘導体混合物、農薬活性成分及び無機系希釈担体を含有する徐放性農薬製剤、およびそれらの製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、農薬製剤中に特定の量の遊離脂肪酸を含有する、則ち一定範囲の酸価のモンタンロウ誘導体の混合物を添加することにより、農薬製剤中の農薬活性成分を高度に溶出制御できることを見出した。本発明は本知見に基づき成されたものである。
【0010】
即ち、本発明は以下のとおりである。
[1] 水溶解度が100ppm以上の農薬活性成分としてN−メチル−N’−ニトロ−N”−[(テトラヒドロ−3−フラニル)メチル]グアニジン、モンタン酸ワックスとモンタン酸エステルワックスより成る酸価が25−100mgKOH/gであるモンタンロウ誘導体混合物の5〜20重量%、及び無機系希釈担体を含有することを特徴とする徐放性農薬製剤。
[2] モンタン酸ワックスの融点が60℃以上であり酸価が100mgKOH/g以上であり、モンタン酸エステルワックスの融点が60℃以上であり酸価が25mgKOH/g以下である上記[1]の徐放性農薬製剤。
[ ] 水溶解度が100ppm以上の農薬活性成分としてN−メチル−N’−ニトロ−N”−[(テトラヒドロ−3−フラニル)メチル]グアニジン、モンタン酸ワックスとモンタン酸エステルワックスより成る酸価が25−100mgKOH/gであるモンタンロウ誘導体混合物の5〜20重量%、及び無機系希釈担体を加熱しながら混合し、造粒した後、粉砕することにより徐放性農薬製剤を得ることを特徴とする徐放性農薬製剤の製造方法。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明において、農薬活性成分とは、殺生物活性を有し農園芸用に使用される化合物を指している。特に、本発明に係わる農薬活性成分としては、水溶解度が100ppm以上且つ融点が100℃以上の農薬活性成分が好ましい。農薬活性成分として更に好ましくは、水溶解度が5,000ppm以上の農薬活性成分である。本発明に係わる農薬活性成分としては具体的にはN−メチル−N'−ニトロ−N”−[(テトラヒドロ−3−フラニル)メチルグアニジンが用いられる。本発明の徐放性農薬粒剤中の農薬活性成分の含有量は、活性成分の物性、適用場面によって決まるが、通常0.01重量%から50重量%であり、好ましくは0.5重量%から20重量%の範囲である。
【0012】
本発明において、モンタンロウ誘導体とはモンタンロウに酸化、エステル化等の化学反応を施したモンタン酸ワックス、モンタン酸エステルワックス等の変性ワックスをいう。
本発明において、モンタンロウとはアスファルト質のカッ炭、リグナイトを高温で蒸留または溶剤で抽出して得られる硬ロウであり、酸価70−100mgKOH/g程度のものである。
本発明において、モンタン酸ワックスとは脱樹脂したモンタンロウを酸化したモンタンロウ誘導体(変性ワックス)であり、モンタンロウの酸価以上の酸価(約100mgKOH/g)をもつものであり、具体的な商品名としてはLUWAX S(BASF社製、酸価143)があげられる。
本発明においてモンタン酸エステルワックスとは、モンタン酸ワックスを種々のアルコールでエステル化したモンタンロウ誘導体(変性ワックス)であり、具体的な商品名としてはLUWAX E( BASF社製、融点;76℃、酸価;21mgKOH/g)、LUWAX OP( BASF社製、融点;84℃、酸価;11mgKOH/g)、LUWAX LEG( BASF社製、融点;76℃、酸価;25mgKOH/g)があげられ、アルコールの違いにもよるが酸価は10−25mgKOH/g程度のものである。
モンタン酸ワックスとモンタン酸エステルワックスの混合物の酸価は従って通常25−100mgKOH/gの範囲であり、蜜ロウ(協会規格酸価17−22mgKOH/g)、キャンデリラワックス(12−20mgKOH/g),木ロウ(25mgKOH/g以下)、カルナバワックス(10mgKOH/g以下)、ライスワックス(10mgKOH/g以下)などの他の天然ワックスでは得られない範囲の遊離脂肪酸を含むものである。
遊離脂肪酸とは、高級脂肪酸と1価以上のアルコールからなるエステル化合物を主成分とするモンタンワックス等の天然由来の油脂(ワックス)に含まれる成分の一つである。
脂肪酸は、親水基であるカルボン酸と疎水基である炭化水素を構造要素に併せ持つ両親媒性の化合物であり、ワックスのような疎水性物質に対して相溶性を持ちながら水溶性或いは親水性の性質も示す。従って、脂肪酸を含有する油脂を用いて農薬活性成分などを混合してなる混合物は、均一なマトリックスを形成することができ、活性成分を高度に溶出制御することができると考えられる。徐放性農薬粒剤を製造する場合は、農薬活性成分および不活性担体にそれぞれ単独を添加、それぞれの融点以上農薬活性成分の融点以下に加熱して、造粒組成物として溶融混合しても良い。
【0013】
本発明で用いられるモンタン酸ワックスとモンタン酸エステルワックスの混合物は、それぞれをそれぞれの融点の高い方以上の温度に加熱、溶融させて混合、冷却することにより容易に製造することができる。徐放性農薬粒剤を製造する場合は、農薬活性成分および不活性担体にそれぞれ単独を添加、それぞれの融点以上かつ農薬活性成分の融点以下の温度に加熱して、造粒組成物として溶融混合しても良い。本発明の徐放性農薬粒剤へのモンタン酸ワックスとモンタン酸エステルワックスの混合物の添加量は、添加される農薬活性成分の濃度、得られる農薬粒剤の施用場面、希釈担体の物性によって決まるが、通常5重量%以上、好ましくは10重量%以上である。添加量の上限は希釈担体の総給油能以下に設定される。これにより、溶融混合時に混合物が餅状になることなく粉状で排出することが可能になり、また造粒時に粒同士の付着を抑えることが可能となる。好ましくは、経済的な面から添加量の上限は20重量%である。
【0014】
モンタン酸ワックスとモンタン酸エステルワックスの混合比は、要望される活性成分の溶出期間によって決定される。モンタン酸ワックスの配合比が多い方が混合後の酸価が高く、溶出期間は短くなる。逆にモンタン酸エステルワックスの配合比が多いと混合後の酸価が小さく、溶出期間は長くなる。モンタン酸ワックスとモンタン酸エステルワックスの混合比は混合後の酸価が25−100mgKOH/gになるように選ぶのが好ましく、酸価143mgKOH/gのモンタン酸ワックスと酸価21mgKOH/gのモンタン酸エステルワックスの場合の混合比は1:25〜1:0.5の範囲である。要望される溶出期間はその気候に応じ東日本、西日本とで異なるが、30日間〜60日間の範囲が一般的である。東日本における稲の苗箱処理のように30日間程度の溶出期間が求められるときは、混合後の酸価が50mgKOH/g程度となるような混合比をえらぶことができ、酸価143mgKOH/gのモンタン酸ワックスと燦21mgKOH/gであるモンタン酸エステルの場合1:3の混合比である。ワックスの混合比すなわち混合後の酸価を調節することにより、溶出期間を調整することができる。
【0015】
本発明において、無機系希釈担体とは、本発明の農薬粒剤中の農薬活性成分の有効濃度を調整するために添加される無機の希釈担体である。無機系希釈担体としては一般的に農薬組成物に用いられる疎水性無機物であれば使用可能であるが、コスト面及び調製面から炭酸カルシウムが好ましい。炭酸カルシウムには、重質タイプと軽質タイプの2種類があるが、モンタン酸ワックスとモンタン酸エステルワックスの混合物の吸油能を考慮し、どちらか単品或いは配合して使用する。
更に、炭酸カルシウム単独では吸油能が不足する場合、無機系希釈担体としてタルクまたはホワイトカーボン等を添加することも可能である。タルクとは滑石を粉砕したものであり、ホワイトカーボンとは二酸化珪素を主成分とする、農薬の担体 希釈剤として市販されているものである。
本発明の徐放性農薬粒剤への無機希釈担体の添加量としてはモンタン酸ワックスとモンタン酸エステルワックスの混合物を吸油するに足る能力を有しておれば良く、モンタン酸ワックスとモンタン酸エステルワックスの混合物と農薬活性成分の最大添加量及び炭酸カルシウムの吸油能から算出される。
【0016】
本発明の徐放性農薬粒剤の製造方法は以下のとおりである。即ち、前記農薬活性成分、モンタン酸ワックスとモンタン酸エステルワックスの混合物、及び無機系希釈担体を加熱装置を装備した混合機(例えば、フローティングミキサー)等により加熱混合する。その際、加熱温度はモンタン酸ワックスとモンタン酸エステルワックスの混合物の溶融温度以上で且つ農薬活性成分の融点未満が好ましい。何故なら、加熱温度がモンタン酸ワックスとモンタン酸エステルワックスの混合物の溶融温度未満の場合は混合物が均一になり得ず、加熱造粒時の造粒性が不良となるだけでなく期待する徐放化ができない場合があるからである。また、加熱温度を農薬活性成分の融点以上に設定すると、活性成分とモンタン酸ワックスとモンタン酸エステルワックスの混合物とが液体状態で均一に混合しないか、または凝固する際に活性成分が局在化し、期待する徐放化が達成できない場合がある。加熱混合の後、選られた混合物を造粒するが、用いる造粒機は加熱装置を備えたものであれば特に制限はないが、具体的には、円柱状の成型物を得る場合は目的の粒径に合ったスクリーンを備えた押し出し造粒機、球状の成型物を得る場合は転動造粒機等が例示される。造粒する際の温度は、用いるモンタン酸ワックスとモンタン酸エステルワックスの混合物が溶融する温度以上に設定する。更に、得られた造粒物を解砕、篩別し、目的とする徐放化農薬粒剤を得る。
【0017】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、粒剤の調製法及び得られる製剤処方はこれらに何ら限定されるものではない。尚、各成分の配合量である部はすべて重量部である。
[実施例1]
モンタン酸ワックス(商品名LUWAX S、BASF社製、融点;75℃、酸価;143mgKOH/g) 37.5部、モンタン酸エステルワックス(商品名LUWAX E、BASF社製、融点;76℃、酸価;21mgKOH/g)112.5部をステンレス製ビーカーに装入し、80℃まで加熱したのち同温度で均一な流体混合物となるまで撹拌した。 室温まで冷却した後、固形化した均一な混合物をとりだしてモンタンロウ誘導体混合物150.0部を得た。得られたモンタンロウ誘導体混合物の酸価は51.5mgKOH/gである。
【0018】
[実施例2]
実施例1で得られたモンタンロウ誘導体混合物150.0部、農薬活性成分としてN−メチル−N'−ニトロ−N”−[(テトラヒドロ−3−フラニル)メチルグアニジン(以下「化合物1」と略称する)を20部、キャリヤーとして炭酸カルシウム(重質タイプ)730部、Sタルク100部、一括してフローティングミキサーに入れ80℃まで加熱し混練りした。この状態で得られる混合物は粉状であった。この混合物を90℃に保持した横形造粒機(目開き1.0mmのスクリーン)を用いて押し出し造粒した。得られた造粒成型物を解砕後、14メッシュから28メッシュに篩別し粒剤を得た。
【0019】
[実施例3]
農薬活性成分(化合物1)を20部、キャリヤーとして炭酸カルシウム(重質タイプ)730部、Sタルク100部、モンタン酸ワックス(商品名LUWAXS、BASF社製、融点;75℃、酸価;143mgKOH/g)、モンタン酸エステルワックス(商品名LUWAX E、BASF社製、融点;76℃、酸価;21mgKOH/g)112.5部を一括してフローティングミキサーに入れ80℃まで加熱し混練りした。この状態で得られる混合物は粉状であった。この混合物を90℃に保持した横形造粒機(目開き1.0mmのスクリーン)を用いて押し出し造粒した。得られた造粒成型物を解砕後、14メッシュから28メッシュに篩別し粒剤を得た。
【0020】
[実施例4]
農薬活性成分(化合物1)を20部、キャリヤーとして炭酸カルシウム(重質タイプ)820部、ホワイトカーボン(WC−80D;塩野義製薬)20部、モンタン酸ワックス(商品名LUWAX S、BASF社製、融点;75℃、酸価;143mgKOH/g)37.5部、モンタン酸エステルワックス(商品名LUWAX E、BASF社製、融点;76℃、酸価;21mgKOH/g)102.5部を一括してフローティングミキサーに入れ80℃まで加熱し混練りした。この状態で得られる混合物は粉状であった。この混合物を90℃に保持した横形造粒機(目開き1.0mmのスクリーン)を用いて押し出し造粒した。得られた造粒成型物を解砕後、14メッシュから28メッシュに篩別し粒剤を得た。
【0021】
[実施例5]
農薬活性成分(化合物番号1)を20部、キャリヤーとして炭酸カルシウム(重質タイプ)730部、Sタルク100部ホワイトカーボン(WC−80D;塩野義製薬)20部、モンタン酸ワックス(商品名LUWAX S、BASF社製、融点;75℃、酸価;143mgKOH/g)70.0部、モンタン酸エステルワックス(商品名LUWAX E、BASF社製、融点;76℃、酸価;21mgKOH/g)70.0部を一括してフローティングミキサーに入れ80℃まで加熱し混練りした。このときのモンタンロウ誘導体混合物としての酸価は82mgKOH/gであった。この状態で得られる混合物は粉状であった。この混合物を90℃に保持した横形造粒機(目開き1.0mmのスクリーン)を用いて押し出し造粒した。得られた造粒成型物を解砕後、14メッシュから28メッシュに篩別し粒剤を得た。
【0022】
[比較例1]
農薬活性成分(化合物1)を20部、キャリヤーとして炭酸カルシウム(重質タイプ)730部、Sタルク100部、モンタン酸ワックス(商品名LUWAX S、BASF社製、融点;75℃、酸価;143mgKOH/g)150.0部を一括してフローティングミキサーに入れ80℃まで加熱し混練りした。この状態で得られる混合物は粉状であった。この混合物を90℃に保持した横形造粒機(目開き1.0mmのスクリーン)を用いて押し出し造粒した。得られた造粒成型物を解砕後、14メッシュから28メッシュに篩別し粒剤を得た。
【0023】
[比較例2]
農薬活性成分(化合物1)を20部、キャリヤーとして炭酸カルシウム(重質タイプ)730部、Sタルク100部、モンタン酸エステルワックス商品名(商品名LUWAX E、BASF社製、融点;76℃、酸価;21mgKOH/g)150.0部を一括してフローティングミキサーに入れ80℃まで加熱し混練りした。この状態で得られる混合物は粉状であった。この混合物を90℃に保持した横形造粒機(目開き1.0mmのスクリーン)を用いて押し出し造粒した。得られた造粒成型物を解砕後、14メッシュから28メッシュに篩別し粒剤を得た。
【0024】
[比較例3]
農薬活性成分(化合物番号1)を20部、キャリヤーとして炭酸カルシウム(重質タイプ)670部、ホワイトカーボン(WC−80D、塩野義製薬製)50部、ポリビニルアルコール20部、カルナバワックス(融点;83℃、酸価;9mgKOH/g)240部を一括してフローティングミキサーに入れ85℃まで加熱し混練りした。この状態で得られる混合物は餅状で、冷却するとブロック状に固まった。混合物を95℃に保持した横形造粒機(目開き1.0mmのスクリーン)を用いて押し出し造粒したとこる、一部造粒物同士がくっついた。得られた造粒成型物を解粉機で解砕後、14メッシュから28メッシュに篩別し粒剤を得た。
【0025】
[試験例1]
実施例及び比較例で得られた粒剤から放出される農薬活性成分の溶出率、及び害虫防除率を測定、調査した。
(1)溶出率
水中における農薬活性成分の溶出率は以下の方法で測定した。即ち、標準3度硬水25mlを入れた50mlの密栓付きサンプル管に、実施例及び比較例で調製した粒剤をそれぞれ250mg装入して水中に沈め、25℃下所定時間静置後、全量を濾別し、濾液中の溶出活性成分をHPLCにて測定した。測定値より下記式に基づき溶出率を計算し、結果を表1にまとめた。
【0026】
溶出率=(濾液中の活性成分量/粒剤中の活性成分量)×100
表1より明らかなように、本発明の粒剤は約1ヶ月間ほぼ一定の農薬活性成分を放出させることが可能である。しかも、農薬活性成分は約1ヶ月間でほぼ完全に水中に溶出された。
【0027】
【表1】
Figure 0004189085
【0028】
(2)死虫率
害虫の防除率は以下の方法により調査した。即ち、実施例及び比較例で調製した粒剤を水稲(品種:コシヒカリ)の育苗箱に各50gずつ施用し、翌日にワグネルポット(1/5,000アール)に稲苗5株を定植した。試験は各画分3連で行った。定植後10、20、30日後に水稲を金網円筒で覆い、円筒内部へトビイロウンカ雌成虫10頭ずつを放って、48時間後に死虫率を測定した。死虫率は供試した虫の数に対する死亡した虫の割合を%表示した値である。結果を表2に示した。表2より明らかなように、本発明の粒剤は約1か月後においても80%以上の死虫率を発揮した。
【0029】
【表2】
Figure 0004189085
【0030】
【発明の効果】
本発明により徐放性農薬粒剤における農薬活性成分の最適な溶出制御が可能となった。本発明の徐放性農薬粒剤は、農薬活性成分が徐々に放出され、しかもほぼ完全に放出される。そのため、本願発明の農薬粒剤は、稲の苗箱処理に適し、省力処理粒剤として優れている。本発明の徐放性農薬粒剤は、従来の徐放性農薬よりも格段に放出性が向上しているのでコスト的に有利である。また、本発明の農薬粒剤は、簡便な製法により調製することが可能である。

Claims (3)

  1. 水溶解度が100ppm以上の農薬活性成分としてN−メチル−N’−ニトロ−N”−[(テトラヒドロ−3−フラニル)メチル]グアニジン、モンタン酸ワックスとモンタン酸エステルワックスより成る酸価が25〜100mgKOH/gであるモンタンロウ誘導体混合物の5〜20重量%、及び無機系希釈担体を含有することを特徴とする徐放性農薬製剤。
  2. モンタン酸ワックスの融点が60℃以上であり酸価が100mgKOH/g以上であり、モンタン酸エステルワックスの融点が60℃以上であり酸価が25mgKOH/g以下である請求項1記載の徐放性農薬製剤。
  3. 水溶解度が100ppm以上の農薬活性成分としてN−メチル−N’−ニトロ−N”−[(テトラヒドロ−3−フラニル)メチル]グアニジン、モンタン酸ワックスとモンタン酸エステルワックスより成る酸価が25〜100mgKOH/gであるモンタンロウ誘導体混合物の5〜20重量%、及び無機系希釈担体を加熱しながら混合し、造粒した後、粉砕することにより徐放性農薬製剤を得ることを特徴とする徐放性農薬製剤の製造方法。
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