JP7051415B2 - 徐放性農薬製剤 - Google Patents

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Description

本発明は、作物害虫防除のための農薬活性成分を簡便に施用できる粒状の徐放性農薬製剤、粒状担体、並びに当該徐放性農薬製剤及び当該粒状担体の製造方法に関する。
近年、農業分野においては、低コスト化及び省力化を指向した農薬製剤の開発が求められている。低コスト化に関しては、優れた性能を持つ製剤を高い生産性で製造することが求められている。また省力化に関しては、農薬の施用量及び施用回数を削減するような製剤が望まれている。かかる状況下、水稲用農薬としては田植え前の育苗箱に農薬を処理する育苗箱施用法の普及が進んできている。このような施用法では、これまで環境中に流亡する等して有効に植物体へ吸収されなかった農薬活性成分を効率よく植物体へ吸収させることができ、少量の有効成分で長期間の植物体内濃度の維持が可能となり、低コスト化及び環境負荷の低減につながる。更には、従来行っていたような、水田中に作業者が踏み入り、かつ重い散布機等を背負って農薬を散布する必要がなく省力的であり、理想的な施用方法と言える。
しかし、このような施用方法においては、農薬活性成分が短期間に放出するような製剤では、効力の持続期間が短くなったり、薬害が発生したりする等、問題となる場合があった。一般的に水田の病害虫は田植え後から長期間発生するため、農薬製剤からの農薬活性成分の放出を長期的にわたって制御する必要がある。
このため、農薬活性成分を徐々に溶出させる徐放化に関する製剤又はその製造方法に関しては、これまでに種々の試みが検討され、特に農薬活性成分と熱可塑性材料を含有する農薬組成物が多数開発されている。
例えば、農薬活性成分、酸化ワックス、エステル系ワックス及び無機系希釈担体を含有することを特徴とする農薬組成物(特許文献1)が挙げられる。
特許文献1には、農薬活性成分、酸化ワックス、エステル系ワックス及び無機系希釈担体を加熱しながら混合し、造粒することにより製造された徐放性製剤が開示されており、具体的には、20℃における水溶解度が100ppm以上の農薬活性成分を0.1~30重量%、融点が60℃以上で酸価が0~50mgKOH/gである酸化ポリエチレン及び融点が60℃以上で酸価が0~50mgKOH/gであるポリグリセリン脂肪酸エステルを1:9~9:1(重量比)で含む混合物を5~25重量%及び無機系希釈担体を50~94.9重量%を加熱しながら混合し、造粒することにより、当該徐放性農薬製剤が製造されている。
一方、農薬活性成分を含まない粒状担体を内核とし、その表面に農薬活性成分を吸着又は被覆した農薬組成物として、水20℃における水溶解度が10ppm以下の農薬活性成分を含有する農業用粒剤(特許文献2)が挙げられる。
特許第6178233号公報 特開2013-35761号公報
しかしながら、特許文献1に記載の徐放性農薬製剤は、徐放化を必要とする農薬活性成分が粒剤全体に均一に分散しているため、農薬活性成分の過度な放出抑制が起こり、農薬活性成分の徐放性及び長期間の効力持続性の面で、必ずしも満足ではないことがあった。
また、特許文献1の粒剤は、造粒性が十分ではなく、成形性及び生産性の点で問題を有している。
また、特許文献2に記載の農業用粒剤の発明は、20℃における水溶解度が10ppm以下の水に溶解しにくい農薬活性成分の放出促進を企図するであり、10ppm以上の水溶解度を有する農薬活性成分の徐放化の制御は、当業者において、困難であろうと推察されるものである。
本発明の課題は、農薬活性成分が徐々に且つ良好な溶出率で放出され、長期間に渡ってその効力を十分に持続させることができる農薬製剤を提供することにある。本願発明の他の課題は、成形性及び生産性に優れた粒状担体の提供、及び農薬活性成分の剥離等による農薬活性成分を含有する粉塵の発生を抑制した農薬製剤の提供にある。
発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、粒状担体中に酸化ワックスとエステル系ワックスとを添加することにより、成形性及び生産性に優れた粒状担体が得られることを見出した。また、当該粒状担体に、農薬活性成分や水に難溶性である熱可塑性樹脂を添加した被覆層を形成することにより、農薬活性成分の溶出を高度に制御しつつ農薬活性成分の剥離等が抑制された徐放性農薬製剤が得られることを見出した。
すなわち本発明は以下の通りである。
[1](A)酸化ワックス、(B)エステル系ワックス及び(C)無機系希釈担体を含み、農薬活性成分を含まない粒状担体である内核と、該内核を被覆した、(D)一種類以上の農薬活性成分、(E)水に難溶性である熱可塑性材料及び(F)無機系希釈担体を含有する被覆層とを含む粒状の徐放性農薬製剤。
[2]農薬活性成分の20℃における水溶解度が10ppmを超え、500ppm以下であることを特徴とする上記[1]に記載の徐放性農薬製剤。
[3]酸化ワックス及びエステル系ワックスの融点が60℃以上であることを特徴とする上記[1]又は[2]に記載の徐放性農薬製剤。
[4]酸化ワックスが酸化ポリエチレンであり、エステル系ワックスがポリグリセリン脂肪酸エステルであることを特徴とする上記[1]乃至[3]のいずれか1項に記載の徐放性農薬製剤。
[5]酸化ワックス及びエステル系ワックスの酸価が0~50mgKOH/gであることを特徴とする上記[1]乃至[4]のいずれか1項に記載の徐放性農薬製剤。
[6]エステル系ワックスの酸価が1~10mgKOH/gであることを特徴とする上記[1]乃至[5]のいずれか1項に記載の徐放性農薬製剤。
[7]酸化ワックスとエステル系ワックスの合計量が徐放性農薬製剤に対して5~25重量%であることを特徴とする上記[1]乃至[6]のいずれか1項に記載の徐放性農薬製剤。
[8]熱可塑性材料の融点が、酸化ワックス、エステル系ワックス又はその混合物の融点よりも低い、上記[1]乃至[7]のいずれか1項に記載の徐放性農薬製剤。
[9]熱可塑性材料がパラフィンワックスである[1]乃至[8]のいずれか1項に記載の徐放性農薬製剤。
[10](A)酸化ワックス、(B)エステル系ワックス及び(C)無機系希釈担体を含み、農薬活性成分を含まない粒状担体。
[11](A)酸化ワックス、(B)エステル系ワックス及び(C)無機系希釈担体を加熱しながら混合し、得られた混合物に農薬活性成分を加えることなく造粒することを含む粒状担体の製造方法。
[12](A)酸化ワックス、(B)エステル系ワックス及び(C)無機系希釈担体を含み、農薬活性成分を含まない粒状担体を、(D)一種類以上の農薬活性成分、(E)水に難溶性である熱可塑性材料及び(F)無機系希釈担体で被覆することを含む、
(A)酸化ワックス、(B)エステル系ワックス及び(C)無機系希釈担体を含み、農薬活性成分を含まない粒状担体である内核と、該内核を被覆した、(D)一種類以上の農薬活性成分、(E)水に難溶性である熱可塑性材料及び(F)無機系希釈担体を含有する被覆層とを含む粒状の徐放性農薬製剤の製造方法。
[13]酸化ワックス、エステル系ワックス又はその混合物の融点に達しない温度で被覆することを特徴とする[12]に記載の製造方法。
本発明の粒状の徐放性農薬製剤と上記の先行技術を対比すると、以下のとおりである。
すなわち、本発明の粒状の徐放性農薬製剤と特許文献1の徐放性農薬製剤とを比較すると、両者は、農薬有効成分、複数の疎水性物質を使用し、農薬活性成分の放出を制御するという解決課題を共通とするが、本発明の粒状の徐放性農薬製剤が、農薬活性成分を含まない粒状担体である内核を有する点、該内核を被覆した、(D)一種類以上の農薬活性成分、(E)水に難溶性である熱可塑性材料及び(F)無機系希釈担体を含有する被覆層を有する点で、特許文献1の徐放性農薬製剤は粒剤全体で溶出を制御する点で、両者は相違する。
本発明の粒状の徐放性農薬製剤と特許文献2の農薬用粒剤とを比較すると、両者は、農薬有効成分及び内核を使用し、内核の外層部に農薬成分を含有することを共通とするが、本発明の粒状の徐放性農薬製剤が、農薬活性成分を含まない粒状担体である内核を有する点、該内核を被覆した、(D)一種類以上の農薬活性成分、(E)水に難溶性である熱可塑性材料及び(F)無機系希釈担体を含有する被覆層を有する点並びにその解決課題が農薬活性成分の溶出を制御する点で、特許文献2の農薬用粒剤が農薬活性成分(フルベンジアミド)及びリグニンスルホン酸塩、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、澱粉、デキストリン、ポリアクリル酸塩等のバインダーを包含する点並びにその解決課題が速やかな溶出効果の発現である点で、両者は相違する。
本発明の粒状担体は、高い製品収率及び高い生産能力で得ることができるため、製造コストを低く抑えることが可能である。また、本発明の粒状の徐放性農薬製剤は、種々の農薬活性成分の水中溶出速度を高度に制御でき、作物に対する薬害も無く、長期に渡り薬効を保つことが可能となり、さまざまな作物や地域に適合する農薬製剤を農家に提供することができる。本発明の粒状の徐放性農薬製剤は、農薬活性成分の剥離等も抑制されている。
本発明の粒状担体に使用される酸化ワックスとは、炭化水素を酸化させたワックスをいう。酸化ワックスとしては炭化水素ポリマーの酸化物である酸化ポリマー等が挙げられ、酸化ポリマーとして、ポリエチレン又はポリプロピレンの酸化物である酸化ポリエチレン又は酸化ポリプロピレン等の酸化ポリオレフィンや、パラフィンワックス又はマイクロクリスタリンワックスの酸化物である酸化パラフィンワックス又は酸化マイクロクリスタリンワックスが挙げられるが、酸化ポリエチレンを用いることが好ましい。
酸化ポリエチレンとしては例えば、SUNFOL LE-718(SFC社製、融点98℃、酸価16mgKOH/g)、L-C301E(Lion Chemtech社製、融点100℃、酸価16mgKOH/g)、A-C656A(Honeywell社製、融点98℃、酸価15mgKOH/g)、A-C629A(Honeywell社製、融点101℃、酸価15mgKOH/g)、ハイワックス4202E(三井化学社製、融点107℃、酸価16mgKOH/g)、ハイワックス220MP(三井化学社製、融点107℃、酸価1mgKOH/g)、PED-521(Clariant社製、融点106℃、酸価17mgKOH/g)、PED-522(Clariant社製、融点104℃、酸価25mgKOH/g)等が挙げられる。
また、その他の酸化ポリマーとしては例えば、カーディス36(ベーカー・ペトロライト社製、融点92℃、酸価33mgKOH/g)、カーディス314(ベーカー・ペトロライト社製、融点87℃、酸価18mgKOH/g)、カーディス320(ベーカー・ペトロライト社製、融点91℃、酸価36mgKOH/g)、ペトロナウバC(ベーカー・ペトロライト社製、融点93℃、酸価26mgKOH/g)等が挙げられる。
本発明の粒状担体に使用される酸化ワックスの融点は、性能面から60℃以上のものが好ましい。なお、ここで言う融点とは、固体のワックスを加熱したときに、該ワックスが溶け始める温度をいう。
本発明の粒状担体に使用される酸化ワックスの酸価は好ましくは0~100mgKOH/g、特に好ましくは0~50mgKOH/gである。なお、ここで言うワックスの酸価とは、ワックス1gに含まれる遊離カルボン酸を中和するために必要な水酸化カリウムの量をいう。
本発明の粒状担体に使用されるエステル系ワックスとは分子内にエステル結合を有するワックスである。エステル系ワックスとして、例えば、多価アルコール脂肪酸エステル、モンタン酸エステルワックス、一価高級脂肪族アルコールの高級脂肪酸エステル等が挙げられ、多価アルコール脂肪酸エステル、中でも特にポリグリセリン脂肪酸エステルを用いることが好ましい。
前記ポリグリセリン脂肪酸エステルとは、グリセリンを重合したポリグリセリンと脂肪酸のエステル化生成物であり、モノエステル、ジエステル又はポリエステルのいずれであってもよい。
前記ポリグリセリンは、例えば下記式
Figure 0007051415000001

(式中、nは重合度を示し、2以上の整数である)で表される化合物等が使用できる。nは、通常、2~50、好ましくは2~20、更に好ましくは2~10である。なお、ポリグリセリンは、直鎖状に限らず、分岐していてもよい。
このようなポリグリセリンの具体例としては、例えば、ジグリセリン、テトラグリセリン、ヘキサグリセリン、デカグリセリン等が挙げられる。
また、前記ポリグリセリンとエステル化生成物を生成する脂肪酸には、例えば、炭素数8~40、好ましくは12~22の飽和又は不飽和高級脂肪酸等が含まれる。このような脂肪酸としては、例えば、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、リシノール酸、カプリル酸、カプリン酸、ベヘン酸等が挙げられる。
ポリグリセリン脂肪酸エステルの具体例としては、ジグリセリン、テトラグリセリン、ヘキサグリセリン又はデカグリセリンのステアリン酸又はベヘン酸とのモノ~デカエステルがあり、例えば、ジグリセリンテトラベヘネート、テトラグリセリンモノステアレート、テトラグリセリントリステアレート、テトラグリセリンペンタステアレート、ヘキサグリセリンモノステアレート、ヘキサグリセリントリステアレート、ヘキサグリセリンペンタステアレート、デカグリセリンヘプタベヘネート、デカグリセリンデカステアレート等が挙げられる。好ましくはジグリセリンテトラベヘネートである。これらのポリグリセリン脂肪酸エステルは、1種又は2種以上の混合物として用いられる。
前記ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、例えば、理研ビタミン社からリケマールB-74、リケマールTB-75等の名称で各種のポリグリセリン脂肪酸エステルが市販されている。
前記ポリグリセリン脂肪酸エステル以外の多価アルコール脂肪酸エステルとしては例えば、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール又はトリペンタエリスリトールのステアリン酸又はベヘン酸等の高級脂肪酸とのモノ、ジ又はポリエステルが挙げられ、具体的には、ジペンタエリスリトールヘキサベヘネート(融点85℃、酸価1.5mgKOH/g)、ペンタエリスリトールテトラベヘネート(融点86℃、酸価2mgKOH/g)等が挙げられる。
前記モンタン酸エステルワックスとしては例えば、LUWAX E(BASF社製、融点76℃、酸価21mgKOH/g)、LUWAX OP(BASF社製、融点84℃、酸価11mgKOH/g)等が挙げられる。
前記一価高級脂肪族アルコールの高級脂肪酸エステルとしては、カルナバワックス(融点83℃、酸価9mgKOH/g)等が挙げられる。
本発明の粒状担体に使用されるエステル系ワックスの融点は、性能面から60℃以上のものが好ましい。なお、ここで言う融点とは、固体のワックスを加熱したときに、該ワックスが溶け始める温度をいう。
本発明の粒状担体に使用されるエステル系ワックスの酸価は、好ましくは0~100mgKOH/g、より好ましくは0~50mgKOH/g、更に好ましくは1~10mgKOH/gである。なお、ここで言うワックスの酸価とは、ワックス1gに含まれる遊離カルボン酸を中和するために必要な水酸化カリウムの量をいう。
本発明の粒状担体においては、無機系希釈担体に、酸化ワックスとエステル系ワックスとをそれぞれ単独で添加し用いてもよいし、無機系希釈担体に、酸化ワックスとエステル系ワックスとを混合後融点以上の温度で加熱溶融させて冷却することにより製造した溶融混合品を添加し用いても良い。
酸化ワックスとエステル系ワックスの溶融混合品としては、例えばリケマールNY-970(理研ビタミン社製;酸化ポリエチレンとリケマールB-74が40:60の比率で混合されたワックス)が挙げられる。
本発明の粒状担体に使用される酸化ワックスとエステル系ワックスの合計の含有量は、無機系希釈担体の物性、粒状担体及び農薬製剤の製造性によって決まるが、粒状担体に対して、通常5重量%以上、好ましくは10重量%以上である。含有量の上限は、好ましくは経済的な面から25重量%であり、徐放性農薬製剤に対しては、好ましくは5~25重量%である。
本発明の粒状担体において、酸化ワックスとエステル系ワックスの重量比は特に制限はないが、粒状担体及び農薬製剤の製造性から、好ましくは1:9~9:1、更に好ましくは2:8~8:2の範囲である。
本発明の粒状担体及び被覆層に使用される無機系希釈担体は、特に限定されるものではなく、例えば、クレー、珪石、タルク、ベントナイト、炭酸カルシウム、軽石、ケイソウ土、バーミキュライト、パーライト、アタパルジャイト及び非晶質二酸化珪素、通称ホワイトカーボン等が挙げられ、通常農薬粉剤や粒剤に利用される、いわゆる増量剤や担体が1種又は2種以上を併用できる。
また、本発明の徐放性農薬製剤は、本発明の粒状担体及び被覆層以外に、上記の無機系希釈担体、すなわち通常農薬粉剤や粒剤に利用される増量剤や担体を1種又は2種以上を含んでいてもよい。
なお、粒状担体に使用される無機系希釈担体、被覆層に使用される無機系希釈担体、並びに粒状担体及び被覆層以外に使用される無機系希釈担体は、それぞれ、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
本発明の徐放性農薬製剤中の無機系希釈担体の含有量は、農薬活性成分の物性、粒状担体及び農薬製剤の製造性等によって決まるが、徐放性農薬製剤に対して、通常30~90重量%であり、好ましくは50重量%~80重量%の範囲である。
また、本発明の粒状担体には、本発明の目的と効果を損なわない範囲で、帯電防止剤を用いることもできる。該帯電防止剤としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム等の無機化合物、リン酸カルシウム系化合物等が挙げられる。また、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル等のリン酸エステル系界面活性剤も帯電防止剤として使用することができる。尚、該帯電防止剤は必要に応じて使用すればよく、その配合量も本発明の目的と効果を損なわない範囲で、帯電防止効果が認められる量とすればよい。
本発明の被覆層に使用される農薬活性成分は、殺生物活性を有し、農園芸用に使用される任意の化合物である。農薬活性成分として好ましいのは、20℃における水溶解度が10ppmを超え、500ppm以下のものである。本発明に使用できる農薬活性成分として、次に示すものが挙げられる。殺虫剤では、例えば、DMTP、ジメチルビンホス、BPMC、イミダクロプリド、チアクロプリド、シアントラニリプロール、NAC、クロチアニジン、ピメトロジン等、好ましくは、チアクロプリド、シアントラニリプロール等、特に好ましくはシアントラニリプロール等が挙げられる。殺菌剤では、例えば、プロベナゾール、シメコナゾール、トルプロカルブ、フェリムゾン、フラメトピル等、好ましくは、プロベナゾール、シメコナゾール、トルプロカルブ等、特に好ましくはシメコナゾール、トルプロカルブ等が挙げられる。除草剤では、例えば、プロパニル、アラクロール、メトラクロール、アジムスルフロン、シメトリン、シアナジン、ベンフレセート、メソトリオン等、好ましくは、アジムスルフロン、メソトリオン等、特に好ましくはメソトリオン等が挙げられる。農薬活性成分は通常、1種に限定されることはなく、これらを組み合わせて使用してもよい。農薬活性成分として更に好ましくは、20℃における水溶解度が10ppmを超え、100ppm以下の農薬活性成分である。本発明に係わる農薬活性成分としては具体的にはトルプロカルブが好ましく例示できる。本発明の徐放性農薬製剤中の農薬活性成分の含有量は、活性成分の物性、適用場面によって決まるが、徐放性農薬製剤に対して、通常0.01重量%から50重量%であり、好ましくは0.1重量%から30重量%の範囲である。
本発明の被覆層に使用される水に難溶性の熱可塑性材料の好ましいものは、粒状担体に用いられる酸化ワックス、エステル系ワックス又はその混合物よりもその融点が低いものである。前記の条件を満たす熱可塑性樹脂としてはキャンデリラワックス、木ロウ等の植物系ワックス、蜜ロウ、ラウリン、鯨ロウ、牛脂等の動物系ワックス、パラフィンワックス、ペトロラタム等の石油系ワックス、フィッシャートロプシュワックス等の合成炭化水素、パラフィンワックス誘導体等の変性ワックス等が挙げられるが、特にパラフィンワックスを用いることが好ましい。パラフィンワックスとしては例えば、パラフィンワックス120(日本精蝋社製、融点50℃)、パラフィンワックス130(日本精蝋社製、融点55℃)、パラフィンワックス140(日本精蝋社製、融点61℃)、パラフィンワックス150(日本精蝋社製、融点66℃)、SP-0145(日本精蝋社製、融点62℃)等が挙げられる。本発明の被覆層に使用される水に難溶性の熱可塑性材料の含有量は、被覆層に含有される農薬活性成分の量、無機系希釈担体の物性によって決まるが、被覆層に対して、通常1重量%から30重量%であり、好ましくは5重量%から20重量%の範囲である。
また、本発明の被覆層には、本発明の目的と効果を損なわない範囲で、酸化防止剤や紫外線吸収剤、帯電防止剤等の各種添加剤を用いることもできる。
該酸化防止剤としてはヒンダードフェノール系酸化防止剤や、イオウ系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、ラクトン系酸化防止剤、ビタミンE系酸化防止剤等が挙げられる。
該紫外線吸収剤としては、二酸化チタン等の無機化合物系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾールやベンゾフェノン、トリアジン、ベンゾエート、サリシレート等の有機化合物系紫外線吸収剤等が挙げられる。
これら酸化防止剤や紫外線吸収剤は農薬活性成分の物理化学的性質によって選択すればよく、またその効果が認められる量を配合すればよい。
該帯電防止剤としては、先に述べた粒状担体の帯電防止剤が使用できる。従って、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム等の無機化合物、リン酸カルシウム系化合物等が挙げられる。また、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル等のリン酸エステル系界面活性剤も帯電防止剤として使用することができる。尚、該帯電防止剤は必要に応じて使用すればよく、その配合量も本発明の目的と効果を損なわない範囲で、帯電防止効果が認められる量とすればよい。
更に、本発明の被覆層には本発明の目的と効果を損なわない範囲で、界面活性剤、水溶性高分子を含有させることもできる。これらは農薬製剤中に含まれる農薬活性成分の徐放化速度を微調整するためや、止水効果による農薬活性成分の効果安定化のために使用できる。
本発明の被覆層に使用できる界面活性剤としては、農薬製剤に通常使用される非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤が挙げられる。
例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアリールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェノール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、アルキルグルコシド、ポリオキシエチレンアルキルアミン等の非イオン性界面活性剤、リグニンスルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、アリールスルホン酸塩、アリールスルホン酸塩のホルマリン縮合物、ポリカルボン酸塩、アルキル硫酸塩、メチルタウリン酸塩、ポリオキシエチレンアリールエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアリールエーテルリン酸塩等の陰イオン性界面活性剤、アルキルアミン塩、第四級アンモニウム塩等の陽イオン性界面活性剤及びアルキルベタイン、アミンオキサイド等の両性界面活性剤が挙げられる。これらの界面活性剤は、1種でもよいが、同種のものあるいは異種のものを2種以上併用してもよい。
本発明の被覆層に使用できる水溶性高分子としては、例えばアクリル系高分子、ビニル系高分子、ポリオキシアルキレン等の合成高分子、セルロース誘導体、加工デンプン、リグニン誘導体等の半合成高分子、天然高分子等が挙げられる。アクリル系高分子としてはポリアクリル酸ソーダ、ポリメタクリル酸ソーダ等が、ビニル系高分子としてはポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、酢酸ビニル共重合体等が、またポリオキシアルキレンとしてはポリオキシエチレンやポリオキシプロピレン等が挙げられる。セルロース誘導体としてはカルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストリン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、メチルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられ、加工デンプンとしては変性デンプン、カルボキシメチルデンプン、可溶性デンプン等が、またリグニン誘導体としてはリグニンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。天然高分子としてはアラビアガム、キサンタンガム、トラガントガム、グアーガム、カラギーナン、アルギン酸、アルギン酸ソーダ等の多糖類や、カゼイン、ゼラチン、コラーゲン等のタンパク質類等が挙げられる。これら水溶性高分子の中でも特に、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、キサンタンガムが好ましく、その分子量は通常5000~5000000、好ましくは10000~3000000である。これらの水溶性高分子は、1種でもよいが、同種のものあるいは異種のものを2種以上併用してもよい。
本発明の被膜層には、更に農薬活性成分を溶解したり、製剤の物理性を改良したりするために、溶剤として、1,2-ジメチル-4-エチルベンゼン、メチルナフタレン、1-フェニル-1-キシリルエタン、1-キシリル-1,3-ジフェニルブタン等の芳香族炭化水素、ノルマルパラフィン、イソパラフィン、流動パラフィン等のパラフィン系炭化水素、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジイソデシル、フタル酸ジデシル、フタル酸ジエチルヘキシル、トリメリット酸2-エチルヘキシル、トリメリット酸トリデシル等の多塩基酸アルコールエステル、2-エチルヘキサン酸セチル、ヤシ脂肪酸セチル、ラウリン酸メチル、オレイン酸メチル等の脂肪酸アルコールエステル、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレエート等の多価アルコール脂肪酸エステル、オクチルアルコール、ラウリルアルコール等の高級アルコール等を使用してもよい。
本発明の粒状担体は、慣用の方法で、例えば、酸化ワックス、エステル系ワックス及び無機系希釈担体、並びに必要に応じて帯電防止剤等を加熱しながら混合し、造粒することにより製造できる。混合は、混合ミキサー等の通常の混合装置により、例えば60~90℃の温度で行なうことができる。造粒は、押出し機等の通常の造粒装置により、例えば60~100℃の温度で行なうことができる。
本発明の粒状担体は、好適には、融点が60℃以上で酸価が0~50mgKOH/gである酸化ポリエチレン及び融点が60℃以上で酸価が0~50mgKOH/gであるポリグリセリン脂肪酸エステルを1:9~9:1(重量比)で含む混合物を5~25重量%及び無機系希釈担体を75~95重量%を加熱しながら混合し、造粒することにより製造できる。
粒状担体を製造する場合は、前述した通り、酸化ワックスとエステル系ワックスとをそれぞれ単独で添加し用いてもよいし、酸化ワックスとエステル系ワックスそれぞれを混合後融点以上の温度に加熱溶融させて冷却することにより製造した溶融混合品を添加し用いても良い。酸化ワックスとエステル系ワックスの溶融混合品としては、例えばリケマールNY-970が挙げられる。
粒状担体の粒径は、特に限定されないが、通常0.3~10mm、好ましくは0.5~3mm、更に好ましくは0.7~2mmの範囲である。
本発明の徐放性農薬製剤の全体に占める粒状担体の割合は、特に限定されないが、通常40~95重量%、好ましくは60~80重量%の範囲である。
本発明の徐放性農薬製剤は、本発明の粒状担体を用いて、慣用の方法で製造することができ、好ましくは、粒状担体に含まれる酸化ワックス、エステル系ワックス又はその混合物の融点に達しない温度で、粒状担体に、一種類以上の農薬活性成分、水に難溶性である熱可塑性材料及び無機系希釈担体等を加えて被覆することにより製造できる。
本発明の被覆層に含まれる、農薬活性成分、水に難溶性である熱可塑性材料及び無機系希釈担体、並びに必要に応じて界面活性剤及び補助剤等は、通常、混合機(例えば、フローティングミキサー)等で混合した後、粒状担体に加える。また、粒状担体に加える前に、各成分の粒度を調整するために、被覆層成分をそれぞれ、あるいはまとめて粉砕機(例えば、ハンマーミル)等で粉砕することもできる。
本発明では、粒状担体を、本発明の被覆層で、直接被覆してもよいが、本発明の効果を損なわない限り、他の層を介して被覆してもよい。また、得られた被覆層を、本発明の効果を損なわない限り、さらに他の層で被覆してもよい。
以下に実施例、比較例及び試験例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。尚ここで示す配合割合はすべて重量部とする。
[実施例1]
酸化ポリエチレン(商品名「SUNFOL (登録商標)LE-718」、SFC社製、融点98℃、酸価16mgKOH/g)12.8部、ジグリセリンテトラベヘネート(融点76℃、酸価4mgKOH/g)3.2部、非晶質二酸化ケイ素(商品名「カープレックス(登録商標)80-D」、エボニックジャパン株式会社製)3.0部、タルク(商品名「Sタルク」、日本滑石製錬株式会社製)10.0部及び炭酸カルシウム(商品名「NS#100」、日東粉化工業株式会社製)71.0部をヘンシェルミキサーに投入して加熱混合し、79℃で得られた混合物を粉体の状態で排出した。この粉体を90℃に保持したスクリュー式押出し機(目開き1.0mmのスクリーン)を用いて押し出し造粒した。得られた造粒物を解砕機で解砕後、850~1700μmの篩で篩別して本発明の粒状担体を得た。
[実施例2]
酸化ポリエチレン(商品名「SUNFOL(登録商標) LE-718」、SFC社製、融点98℃、酸価16mgKOH/g)3.2部、ジグリセリンテトラベヘネート(融点76℃、酸価4mgKOH/g)12.8部、非晶質二酸化ケイ素(商品名「カープレックス(登録商標)80-D」、エボニックジャパン株式会社製)3.0部、タルク(商品名「Sタルク」、日本滑石製錬株式会社製)10.0部及び炭酸カルシウム(商品名「NS#100」、日東粉化工業株式会社製)71.0部を実施例1と同様にして、加熱混合、排出、造粒、解砕、篩別して本発明の粒状担体を得た。
[実施例3]
溶融混合品(酸化ポリエチレン12.8部とジグリセリンテトラベヘネート3.2部の混合物)16.0部、非晶質二酸化ケイ素(商品名「カープレックス(登録商標)80-D」、エボニックジャパン株式会社製)3.0部、タルク(商品名「Sタルク」、日本滑石製錬株式会社製)10.0部及び炭酸カルシウム(商品名「NS#100」、日東粉化工業株式会社製)71.0部を実施例1と同様にして、加熱混合、排出、造粒、解砕、篩別して本発明の粒状担体を得た。
[実施例4]
シメコナゾール原体14.0部(20℃における水溶解度57.5ppm)、非晶質二酸化ケイ素(商品名「カープレックス(登録商標)#101」、エボニックジャパン株式会社製)4.0部、パラフィンワックス(商品名「パラフィンワックス150」、日本精鑞社製、融点66℃、酸価0mgKOH/g)12.0部、クレー(商品名「ワンドークレー」、昭和KDE株式会社製)17.0部及び炭酸カルシウム(商品名「DL炭酸カルO-4410」、旭鉱末株式会社製)53.0部をヘンシェルミキサーに投入して混合し、被覆層プレミックスを得た。この被覆層プレミックス32.5部と実施例1で得た粒状担体67.0部をヘンシェルミキサーに投入して加熱混合し、冷却後に得られた混合物にカープレックス80-D 0.5部を加えてさらに混合し、本発明の徐放性農薬製剤を得た。
[実施例5]
トルプロカルブ原体29.0部(20℃における水溶解度41.2ppm)、パラフィンワックス(商品名「パラフィンワックス150」、日本精鑞社製、融点66℃、酸価0mgKOH/g) 12.0部、クレー(商品名「ワンドークレー(登録商標)」、昭和KDE株式会社製) 17.0部及び炭酸カルシウム(商品名「DL炭酸カルO-4410」、旭鉱末株式会社製) 42.0部をヘンシェルミキサーに投入して混合後、ハンマーミルで粉砕し被覆層プレミックスを得た。この被覆層プレミックス44.5部と実施例2で得た粒状担体55.0部をヘンシェルミキサーに投入して加熱混合し、冷却後に得られた混合物にカープレックス(登録商標)80-D 0.5部を加えてさらに混合し、本発明の徐放性農薬製剤を得た。
[実施例6]
トルプロカルブ原体13.0部、シメコナゾール原体14.0部、パラフィンワックス(製品名「SP-0145」、日本精鑞社製、融点62℃、酸価0mgKOH/g)13.0部、非晶質二酸化ケイ素(製品名「Sipernat22S」、エボニックジャパン株式会社製)2.0部、クレー(商品名「ワンドークレー」、昭和KDE株式会社製)17.0部及び炭酸カルシウム(商品名「DL炭酸カルO-4410」、旭鉱末株式会社製)40.0部をヘンシェルミキサーに投入して混合後、ハンマーミルで粉砕し被覆層プレミックスを得た。この被覆層プレミックス24.5部と実施例3で得た粒状担体75.0部をヘンシェルミキサーに投入して加熱混合し、冷却後に得られた混合物にカープレックス(登録商標)80-D 0.5部を加えてさらに混合し、本発明の徐放性農薬製剤を得た。
[比較例1]
パラフィンワックス(商品名「パラフィンワックス150」、日本精鑞社製、融点66℃、酸価0mgKOH/g) 16.0部、非晶質二酸化ケイ素(カープレックス(登録商標)80-D、エボニックジャパン株式会社製)3.0部、タルク(商品名「Sタルク」、日本滑石製錬株式会社製)10.0部及び炭酸カルシウム(商品名「NS#100」、日東粉化工業株式会社製)71.0部をヘンシェルミキサーに投入して加熱混合し、得られた混合物を66℃で粉体の状態で排出した。この粉体を80℃に保持したスクリュー式押出し機(目開き1.0mmのスクリーン)を用いて押し出し造粒したが、押し出し機への負荷が高く、製造が困難であった。
[比較例2]
モンタン酸エステルワックス(商品名「Luwax(登録商標) E」、BASF社製、融点76℃、酸価21mgKOH/g)16.0部、非晶質二酸化ケイ素(カープレックス(登録商標)80-D、エボニックジャパン株式会社製)3.0部、タルク(商品名「Sタルク」、日本滑石製錬株式会社製)10.0部及び炭酸カルシウム(商品名「NS#100」、日東粉化工業株式会社製)71.0部をヘンシェルミキサーに投入して加熱混合し、得られた混合物を79℃で粉体の状態で排出した。この粉体を90℃に保持したスクリュー式押出し機(目開き1.0mmのスクリーン)を用いて押し出し造粒したが、造粒物がきれいな円柱とはならず、円柱の一部あるいは大部分が欠けた状態の粒を多く含む状態であった。
[比較例3]
シメコナゾール原体6.8部、溶融混合品(酸化ポリエチレン12.8部とジグリセリンテトラベヘネート3.2部の混合物)16.0部、非晶質二酸化ケイ素(カープレックス(登録商標)80-D、エボニックジャパン株式会社製)3.0部、タルク(商品名「Sタルク」、日本滑石製錬株式会社製)10.0部及び炭酸カルシウム(商品名「NS#100」、日東粉化工業株式会社製)64.2部をヘンシェルミキサーに投入して加熱混合し、得られた混合物を75℃で粉体の状態で排出した。この粉体を80℃に保持したスクリュー式押出し機(目開き1.0mmのスクリーン)を用いて押し出し造粒した。得られた造粒物を解砕機で解砕後、850~1700μmの篩で篩別して粒状担体を得た。また、非晶質二酸化ケイ素(商品名「カープレックス(登録商標)#101」、エボニックジャパン株式会社製)4.0部、パラフィンワックス(商品名「パラフィンワックス150、日本精鑞社製、融点66℃、酸価0mgKOH/g)12.0部、クレー(商品名「ワンドークレー」、昭和KDE株式会社製)22.0部及び炭酸カルシウム(商品名「DL炭酸カルO-4410」、旭鉱末株式会社製)60.0部をヘンシェルミキサーに投入して混合し、被覆層プレミックスを得た。この被覆層プレミックス32.5部と得られた粒状担体67.0部をヘンシェルミキサーに投入して加熱混合し、冷却後にカープレックス(登録商標)80-D 0.5部を加えて混合し、比較例3の徐放性農薬製剤を得た。
[比較例4]
特開2013-35761号公報の実施例1の記載の処方にしたがって、パラフィンワックス(商品名「パラフィンワックス150」、日本精鑞社製、融点66℃、酸価0mgKOH/g)5.0部、非晶質二酸化ケイ素(商品名「カープレックス(登録商標)80-D、エボニックジャパン株式会社製)3.0部及び炭酸カルシウム(商品名「NS#100」、日東粉化工業株式会社製)91.13部をヘンシェルミキサーに投入して加熱混合し、得られた混合物を66℃で粉体の状態で排出した。この粉体を80℃に保持したスクリュー式押出し機(目開き1.0mmのスクリーン)を用いて押し出し造粒を試みたが、造粒物がきれいな円柱とはならず、大部分が欠けた状態の粒を多く含む状態であった。
実施例1~3及び比較例1~2、4の粒状担体の製造状態についての結果を表1にまとめた。造粒性に関しては、押し出された粒の形状が円柱状であり、造粒機の負荷も低く、かつ造粒能力も高いものを○とし、粒の形状が円柱でないものや造粒機の負荷が高いもの、造粒性が低いものを×とした。実施例はいずれも、造粒時の造粒機負荷は低く、造粒能力も高いものであった。また、実施例で得られた造粒物はいずれもきれいな円柱であり、収率も良好であった。一方比較例では造粒機の負荷が高く造粒不能であったり、造粒機からの排出が極めて遅く造粒能力が低い、又は造粒物が一部若しくは大部分が欠けていたり造粒物同士が融着(ベタツキ)したりして収率が低いものであった。
Figure 0007051415000002
[試験例1](農薬製剤の溶出試験)
実施例4及び比較例3で得られた農薬製剤を、標準3度硬水1000mLを入れたサンプル瓶に、農薬活性成分として8ppm相当の量を投入して水中に沈め、25℃下所定時間静置後、サンプル瓶を3回転倒後、サンプル瓶中央部から1mL試験液を採取し、試験液中の農薬活性成分量をHPLCにて測定した。測定より下記式に基づき溶出率を計算した。
溶出率=(試験中の農薬活性成分量/農薬製剤中の農薬活性成分量)×100
結果を表2に示した。
Figure 0007051415000003
表2の結果から明らかなように、実施例は有効成分の処理直後の溶出は抑制され、二ヶ月以上かけて徐々に溶出させることが可能であった。一方比較例では溶出が極端に抑制され、徐放性が不十分であった。
本発明によれば、種々の農薬活性成分の水中溶出速度を制御でき、作物に対する薬害も無く、長期に渡り薬効を保つことが可能となることから、さまざまな作物や地域に適合する農薬製剤において有用である。また、粒状担体が高い製品収率及び高い生産能力で得ることができるため、製造コストを低く抑えることが可能である。

Claims (14)

  1. 融点が60℃以上である(A)酸化ワックス及び(B)エステル系ワックス、並びに(C)無機系希釈担体を含み、農薬活性成分を含まない粒状担体である内核と、該内核を被覆した、(D)20℃における水溶解度が10ppmを超え、500ppm以下である一種類以上の農薬活性成分、(E)融点が、酸化ワックス、エステル系ワックス又はその混合物の融点よりも低く、動物系ワックス、石油系ワックス、合成炭化水素及び変性ワックスからなる群より選択される熱可塑性材料及び(F)無機系希釈担体を含有する被覆層とを含む粒状の徐放性農薬製剤。
  2. 酸化ワックスが酸化ポリエチレンであり、エステル系ワックスがポリグリセリン脂肪酸エステルであることを特徴とする請求項1に記載の徐放性農薬製剤。
  3. 酸化ワックス及びエステル系ワックスの酸価が0~50mgKOH/gであることを特徴とする請求項1又は2に記載の徐放性農薬製剤。
  4. エステル系ワックスの酸価が1~10mgKOH/gであることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の徐放性農薬製剤。
  5. 酸化ワックスとエステル系ワックスの合計量が徐放性農薬製剤に対して5~25重量%であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の徐放性農薬製剤。
  6. 熱可塑性材料がパラフィンワックスである請求項1乃至のいずれか1項に記載の徐放性農薬製剤。
  7. 農薬活性成分が、DMTP、ジメチルビンホス、BPMC、イミダクロプリド、チアクロプリド、シアントラニリプロール、NAC、クロチアニジン及びピメトロジンからなる群より選択される殺虫剤;プロベナゾール、シメコナゾール、トルプロカルブ、フェリムゾン及びフラメトピルからなる群より選択される殺菌剤;並びにプロパニル、アラクロール、メトラクロール、アジムスルフロン、シメトリン、シアナジン、ベンフレセート及びメソトリオンからなる群より選択される除草剤;からなる群より選択される化合物である請求項1乃至6のいずれか1項に記載の徐放性農薬製剤。
  8. 農薬活性成分が、チアクロプリド、シアントラニリプロール、プロベナゾール、シメコナゾール、トルプロカルブ、アジムスルフロン及びメソトリオンからなる群より選択される化合物である請求項1乃至7のいずれか1項に記載の徐放性農薬製剤。
  9. 農薬活性成分が、シアントラニリプロール、シメコナゾール、トルプロカルブ及びメソトリオンからなる群より選択される化合物である請求項1乃至8のいずれか1項に記載の徐放性農薬製剤。
  10. 農薬活性成分がトルプロカルブである請求項1乃至9のいずれか1項に記載の徐放性農薬製剤。
  11. 融点が60℃以上である(A)酸化ワックス及び(B)エステル系ワックス、並びに(C)無機系希釈担体を含み、農薬活性成分を含まない粒状担体。
  12. 融点が60℃以上である(A)酸化ワックス及び(B)エステル系ワックス、並びに(C)無機系希釈担体を加熱しながら混合し、得られた混合物に農薬活性成分を加えることなく造粒することを含む粒状担体の製造方法。
  13. 融点が60℃以上である(A)酸化ワックス及び(B)エステル系ワックス、並びに(C)無機系希釈担体を含み、農薬活性成分を含まない粒状担体を、(D)20℃における水溶解度が10ppmを超え、500ppm以下である一種類以上の農薬活性成分、(E)融点が、酸化ワックス、エステル系ワックス又はその混合物の融点よりも低く、動物系ワックス、石油系ワックス、合成炭化水素及び変性ワックスからなる群より選択される熱可塑性材料及び(F)無機系希釈担体で被覆することを含む、
    前記(A)酸化ワックス、前記(B)エステル系ワックス及び前記(C)無機系希釈担体を含み、農薬活性成分を含まない粒状担体である内核と、該内核を被覆した、前記(D)一種類以上の農薬活性成分、前記(E)熱可塑性材料及び前記(F)無機系希釈担体を含有する被覆層とを含む粒状の徐放性農薬製剤の製造方法。
  14. 酸化ワックス、エステル系ワックス又はその混合物の融点に達しない温度で被覆することを特徴とする請求項13に記載の製造方法。
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