JP2012171150A - ステッチング装置及び生タイヤの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明のステッチング装置は、少なくとも1つの押圧用ローラと、表面に凹凸を有する少なくとも1つの凹凸付加用ローラとを備え、押圧用ローラと凹凸付加用ローラは、ローラ回転時において相対位置が一定であり、さらに、ローラ回転時において、凹凸付加用ローラの周速度は、押圧用ローラの周速度より速いことを特徴とする。
【選択図】図1
Description
すなわち、タイヤの構成部材間にエアが残留していると、加硫後のタイヤの内部にエア溜まり等の欠陥が生じる場合があり、また、生タイヤと加硫金型との間にエアが残留していると、ベアと呼ばれる欠陥がタイヤの表面に生じ、タイヤの商品価値を低下させてしまう場合があった。
まず、タイヤ構成部材間のエア抜きの方法として、タイヤ構成部材を貼り付ける際に、ステッチングロールによる押圧で部材間のエアを押し出す方法が知られている(例えば特許文献1)。
さらに、生タイヤと加硫金型との間のエアの排出方法として、例えば、特許文献2には、タイヤ表面側となる構成部材の表面に所定のピッチで所定の寸法のタイヤ径方向に延びる、エア排出用の凹凸(溝)を設ける方法が記載されている。
また、特許文献1、2に記載の方法は、共にエア残留対策用の工程でありながら、別工程で行われるため、工程増により、労力やコストがかかってしまうという問題がある。
そこで、ベアの発生を十分に抑えることのできる、生タイヤの構成部材の表面処理を行い、且つ該表面処理を上記のステッチングと同一の工程で行うことが望まれる。
その結果、ステッチング用のローラを少なくとも1つ備え、さらに、該ステッチングローラとローラ回転時の相対位置が一定であり、ローラ回転時の周速度に差をもたせた、表面に凹凸を有する少なくとも1つの凹凸付加用ローラを備えたステッチング装置を用いることで、ステッチングと同時の工程で、生タイヤ表面に残留エアを排出するのに十分な粗さの凹凸を付加することができることの新規知見を得た。
(1)少なくとも1つの押圧用ローラと、表面に凹凸を有する少なくとも1つの凹凸付加用ローラとを備えたステッチング装置であって、
前記押圧用ローラと前記凹凸付加用ローラは、ローラ回転時において相対位置が一定であり、
ローラ回転時において、前記凹凸付加用ローラの周速度は、前記押圧用ローラの周速度より速いことを特徴とする、ステッチング装置。
前記凹凸付加用ローラの軸の軸径は、前記押圧用ローラの軸の軸径より小さい、上記(1)に記載のステッチング装置。
前記凹凸付加用ローラのローラ径は、前記押圧用ローラのローラ径より小さい、上記(1)又は(2)に記載のステッチング装置。
ローラ回転時における前記押圧用ローラと相対位置を一定とし、該押圧用ローラよりも速い周速度で回転し、表面に凹凸を有する、少なくとも1つの凹凸付加用ローラを用いて、前記タイヤ構成部材の表面に凹凸を付加する工程を含む、生タイヤの製造方法。
前記凹凸付加用ローラの軸の軸径は、前記押圧用ローラの軸の軸径より小さい、上記(5)に記載の生タイヤの製造方法。
前記凹凸付加用ローラのローラ径は、前記押圧用ローラのローラ径より小さい、上記(5)又は(6)に記載の生タイヤの製造方法。
これにより、生タイヤの製造工程数を増加することなしに、高品質のタイヤを製造することができる。
また、図示例では、押圧用ローラ2は軸2aを有し、凹凸付加用ローラ3は軸3aを有しており、これらの押圧用ローラの軸2aと凹凸付加用ローラの軸3aとは、タイミングベルト4で連結されている。
さらに、図示例では、凹凸付加用ローラの軸3aの軸径は、押圧用ローラの軸2aの軸径より小さい。
図示例では、ステッチング装置1は、装置1全体を移動させる手段である支持部材5を備えており、軸2aと軸3aとが支持部材5に固定され、回転のみ可能となっている。
以下、図2を参照して、押圧用ローラの使用例について説明する。
この第2の成型工程における貼り付けは、通常、トレッドゴムやサイドウォールなどタイヤ外側となる構成部材を第1のタイヤ積層部材に載置貼り付けし、押圧用ローラで外側から押し付けることによって行う。
具体的には、図2に示すように、インナーライナー、カーカス、ビードコアなどからなる第1のタイヤ積層部材6をビード部7にて成型ドラム8に固定し、密閉した内部9に圧縮空気を与え、貼り付けしたベルト10に十分な張力を付与して剛性を確保しつつ、成型ドラム8に回転を加えながら、押圧用ローラ2で、貼り付けるべきトレッドゴム11、サイドウォール部12の外側から圧力を加える。
ステッチング装置1は、横移動(図2の矢印Bの方向)させて、トレッドゴム11のセンタ部CLからサイドウォール部12まで押圧を行う。
ここで、凹凸付加用ローラの軸3aの軸径は、押圧用ローラの軸2aの軸径より小さいため、単位時間において、押圧用ローラ2の軸2aの回転数より凹凸付加用ローラ3の軸3aの回転数のほうが大きくなる。これにより、凹凸付加用ローラの周速度を押圧用ローラより速くすることができる。
「相対位置が一定である」とは、凹凸付加用ローラの周速度と押圧用ローラの周速度が異なる場合であっても、凹凸付加用ローラと押圧用ローラとが同方向に移動し、且つ表面処理を行うタイヤ構成部材に対する単位時間当たりの移動距離が等しいことをいう。
この生タイヤの表面の凹凸は、加硫時において、生タイヤと加硫金型との間の残留エアの排出経路となる。
上記のようにタイミングベルトでローラ軸同士を連結させる方法によると、モータなどの部品が必要ないという利点がある。
最初に凹凸付加用ローラによる表面処理を行っても、その後で該表面処理箇所を押圧用ローラでステッチングすると凹凸用ローラで付加した凹凸が消失するおそれがあるからである。
例えば、図1(b)に示すように、凹凸付加用ローラ3の位置を矢印Aの方向に可動なものとすることで押圧力を調整することができる。
なぜなら、より十分な粗さの凹凸を生タイヤの表面に付加することができるからである。
また、本発明のステッチング装置は、凹凸付加用ローラを複数有していても良い。凹凸を付加効果や処理効率を向上させることができるからである。
なお、上述のとおり凹凸付加用ローラによる処理は押圧用ローラによる処理の後に行う必要があるため、例えば、図1(a)(b)に示す型のステッチング装置の場合には、支持部材5を境界として片側に全ての押圧用ローラを配置し、他方の側に全ての凹凸付加用ローラを配置することが好ましい。
また、比較例のステッチング装置として、図3(a)(b)に示す、表面に凹凸を有する押圧用ローラを有するステッチング装置を試作した。
次に、各生タイヤを加硫金型にはめ込んで、加硫を行い、加硫後の完成タイヤの表面のベアの発生率を評価した。
試験結果を以下の表1に示す。
このことから、本発明のステッチング装置を用いた場合、ステッチング工程と同時に、生タイヤの表面にエア抜きに十分な凹凸を付加することができ、完成タイヤのベアの発生を抑制することができることがわかる。
2 押圧用ローラ
2a 押圧用ローラの軸
3 凹凸付加用ローラ
3a 凹凸付加用ローラの軸
4 タイミングベルト
5 支持部材
6 第1のタイヤ積層部材
7 ビード部
8 成型ドラム
9 密閉内部
10 ベルト
11 トレッドゴム
12 サイドウォール
13 ステッチングローラ
A 凹凸付加用ローラの位置調整可能な方向
B ステッチング装置の横移動方向
CL タイヤ赤道
Claims (8)
- 少なくとも1つの押圧用ローラと、表面に凹凸を有する少なくとも1つの凹凸付加用ローラとを備えたステッチング装置であって、
前記押圧用ローラと前記凹凸付加用ローラは、ローラ回転時において相対位置が一定であり、
ローラ回転時において、前記凹凸付加用ローラの周速度は、前記押圧用ローラの周速度より速いことを特徴とする、ステッチング装置。 - 前記凹凸付加用ローラの軸と前記押圧用ローラの軸とがタイミングベルトで連結され、
前記凹凸付加用ローラの軸の軸径は、前記押圧用ローラの軸の軸径より小さい、請求項1に記載のステッチング装置。 - 前記凹凸付加用ローラの軸と前記押圧用ローラの軸とがタイミングベルトで連結され、
前記凹凸付加用ローラのローラ径は、前記押圧用ローラのローラ径より小さい、請求項1又は2に記載のステッチング装置。 - 前記押圧用ローラが表面に凹凸を有し、前記凹凸付加用ローラの表面の凹凸の密度は、前記押圧用ローラの表面の凹凸の密度より大きい、請求項1〜3のいずれか一項に記載のステッチング装置。
- 少なくとも1つの押圧用ローラを用いて、タイヤ構成部材を貼り合わせて生タイヤを製造するに当たり、
ローラ回転時における前記押圧用ローラと相対位置を一定とし、該押圧用ローラよりも速い周速度で回転し、表面に凹凸を有する、少なくとも1つの凹凸付加用ローラを用いて、前記タイヤ構成部材の表面に凹凸を付加する工程を含む、生タイヤの製造方法。 - 前記凹凸付加用ローラの軸と前記押圧用ローラの軸とがタイミングベルトで連結され、
前記凹凸付加用ローラの軸の軸径は、前記押圧用ローラの軸の軸径より小さい、請求項5に記載の生タイヤの製造方法。 - 前記凹凸付加用ローラの軸と前記押圧用ローラの軸とがタイミングベルトで連結され、
前記凹凸付加用ローラのローラ径は、前記押圧用ローラのローラ径より小さい、請求項5又は6に記載の生タイヤの製造方法。 - 前記押圧用ローラが表面に凹凸を有し、前記凹凸付加用ローラの表面の凹凸の密度は、前記押圧用ローラの表面の凹凸の密度より大きい、請求項5〜7のいずれか一項に記載の生タイヤの製造方法。
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