JP2012167423A - 可視光型光触媒機能を有する壁紙 - Google Patents

可視光型光触媒機能を有する壁紙 Download PDF

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Abstract

【課題】エンボス加工後においても十分な光触媒機能を有する壁紙を提供すること。
【解決手段】発泡樹脂層を含む壁紙基材と、中間層と、可視光型光触媒層とをこの順に有する壁紙であって、該中間層が少なくともシリカ粒子とバインダーを含有し、該シリカ粒子のBET比表面積をSとしたときに、Sが140m2/g以上であり、該シリカ粒子の質量をP、該バインダーの質量をVとしたときに、P/Vが1以下である、壁紙。
【選択図】図1

Description

本発明は、可視光型光触媒機能を有する壁紙、即ち、可視光領域において大気中のアルデヒド等の有機揮発性物質を分解する機能を有する壁紙、に関する。
近年、住宅部材から発生するホルムアルデヒド等の有機ガスによるシックハウスの問題、ペット臭、及び生活臭等の問題への対策として、揮発性有機化合物(VOC)を分解する光触媒機能を有する建築用内装材のニーズが高まってきている。光触媒は紫外光領域で光触媒活性を有するものが多いが、建築用内装材への使用という点を考慮して、室内での可視光にも応答する光活性機能を有する可視光型光触媒、及び該触媒薄膜が注目され、開発が進められている(特許文献1〜3)。
建築用内装材での揮発性有機化合物の分解を検討する場合には、壁材、天井材、床材、そして家具用等の建材に塗布することで光触媒機能を付与させることができるが、内装部材として最も大きな面積を有する壁面に機能を持たせることが有効と考えられており、光触媒層を設けることにより光触媒機能を付与した壁紙が種々提案されている(特許文献4〜6)。
ところで、光触媒が大気中の有機物を分解する性能(初期性能)は光触媒に近接する有機汚染物質を分解してのちに発現することがわかっている。即ち、光触媒に近接する有機汚染物質が多いと十分な初期光触媒活性が得られないことがある。有機汚染物質が近接する要因は種々あるが、その一つとして、壁紙へのエンボス加工が挙げられる。壁紙は、その表面に凹凸模様を設けるためにエンボス加工を施すことがあるが、光触媒層を設けた壁紙にエンボス加工を施すと、光触媒粒子が基材側へ深く押し込まれ(埋没し)、光触媒機能が低下してしまう場合がある。
特開平11−197512号公報 特開2002−146200号公報 特開2004−161573号公報 特開2010−084448号公報 特開平10−180943号公報 特開2009−279813号公報
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みてなされたものであって、エンボス加工後においても十分な光触媒機能を有する壁紙を提供するものである。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、下記の発明により解決できることを見出した。すなわち本発明は、
発泡樹脂層を含む壁紙基材と、中間層と、可視光型光触媒層とをこの順に有する壁紙であって、
該中間層が少なくともシリカ粒子とバインダーを含有し、
該シリカ粒子のBET比表面積をSとしたときに、Sが140m2/g以上であり、
該シリカ粒子の質量をP、該バインダーの質量をVとしたときに、P/Vが1以下である、壁紙
を、提供するものである。
本発明の可視光型光触媒機能を有する壁紙は、可視光型光触媒層の下にシリカ粒子を含有する中間層を設けることでエンボス加工による光触媒粒子の埋没が抑えられ、エンボス加工後においても優れた光触媒機能を有する。また、シリカ粒子を含有する中間層は、その塗膜表面に凹凸が生じるにもかかわらず、壁紙は耐汚染性を維持することができる。
図1は実施例1で作製した壁紙を示す模式図である。
以下、本発明の「可視光型光触媒機能を有する壁紙」について説明する。
本発明の可視光型光触媒機能を有する壁紙(以下、単に「壁紙」と記載することもある)は、発泡樹脂層を含む壁紙基材と、中間層と、可視光型光触媒層とをこの順に有する壁紙である。前記中間層はシリカ粒子とバインダーを含有し、該シリカ粒子のBET比表面積をSとしたときに、Sが140m2/g以上であり、該シリカ粒子の質量をP、該バインダーの質量をVとしたときに、P/Vが1以下である。
(1)壁紙基材
本発明の壁紙は壁紙基材を有する。壁紙基材は少なくとも発泡樹脂層を含み、必要に応じてさらに非発泡樹脂層A、裏打ちシート層及び/又は非発泡樹脂層Bを含んでもよい。
(1−1)発泡樹脂層
本発明の壁紙基材は発泡樹脂層を含む。発泡樹脂層は、発泡剤と樹脂を含有する層(以後、「未発泡樹脂層」と記載する)が発泡することにより形成された層である。
未発泡樹脂層に含まれる樹脂は、発泡剤の作用により発泡するもの(例えば加熱された際に発泡するもの)であれば特に制限されるものではないが、オレフィン系樹脂であることが好ましく、エチレン系樹脂であることがより好ましい。
エチレン系樹脂としては例えば、エチレン単独重合体樹脂(PE)、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)、エチレン−メチルアクリレート共重合体樹脂(EMA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体樹脂(EEA)、炭素原子数3〜5のエチレン−アルキルアクリレート共重合体樹脂、エチレン−メチルメタクリレート共重合体樹脂(EMMA)、エチレン−メタクリル酸共重合体樹脂(EMAA)等のエチレン系共重合体樹脂、これらの樹脂の混合物等が挙げられる。これらの樹脂は、電離放射線を照射することにより、容易に樹脂架橋させることできる。これらの樹脂中では、EVA樹脂及びEMAA樹脂が好ましい。なお、ここで言う電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋しうるエネルギー量子を有するものを意味し、通常紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線などの電磁波、α線、イオン線などの荷電粒子線も含むものである。これらの中でも電子線を用いることが好ましい。電子線を用いた場合、光重合用開始剤を必要とせず、安定な硬化特性が得られるからである。
エチレン系樹脂以外のオレフィン系樹脂としては、例えば、プロピレン系樹脂、ブテン系樹脂、ペンテン系樹脂、などが挙げられる。
樹脂成分としてEVA樹脂を用いる場合、EVA樹脂中の酢酸ビニル単位(共重合比率)は特に限定されるものではないが、5〜30質量%程度であることが好ましく、10〜20質量%程度がより好ましい。樹脂成分のメルトフローレート値(MFR)は特に限定されないが、5〜75g/10分程度が好ましく、40〜70g/10分程度がより好ましい。なお、本明細書においてMFRは、JIS K 7210(熱可塑性プラスチックの流れ試験方法)記載の試験方法により測定した値である。試験条件は、JIS K 6760記載の「190℃、21.18N(2.16kgf)」を採用したものである。発泡樹脂層の発泡状態(例えば、発泡セルの大きさ、発泡セル密度等)は特に限定されず、本発明の範囲を損なわない範囲で適宜設計することができる。
また、樹脂成分として、EMAA樹脂を用いる場合は、EMAA樹脂中のメタクリル酸単位(共重合比率)は、4〜20質量%程度であることが好ましい。樹脂成分のメルトフローレート値(JIS K 7210、190℃、2.16kg)は、用いる重合体の種類等によるが、通常は60〜200g/10分とすることが好ましい。特に、100〜200g/10分という高い範囲でも、良好な発泡状態を維持できるという点で有利である。
本発明で使用する発泡剤は、化学発泡剤でも物理発泡剤でもよいが、化学発泡剤の方が好ましく、化学発泡剤の中でも熱分解型発泡剤が好ましい。熱分解型発泡剤としては公知の発泡剤から選択することができる。例えば、アゾジカルボンアミド(ADCA)、アゾビスホルムアミド等のアゾ系;オキシベンゼンスルホニルヒドラジド(OBSH)、パラトルエンスルホニルヒドラジド等のビドラジド系などが挙げられる。熱分解型発泡剤の配合量は、発泡剤の種類、発泡倍率等に応じて適宜設定できる。発泡倍率は、1.5倍以上、好ましくは3〜7倍程度であることから、熱分解型発泡剤の配合量は、樹脂成分100質量部に対して、1〜20質量部程度とすることが好ましい。また、物理発泡剤としては、熱膨張型マイクロカプセルが挙げられ、例えば、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン等の揮発性液体膨張剤を塩化ビニリデン−アクリロニトリル−ジビニルベンゼンコポリマー、メタアクリレート−アクリロニトリル−ジビニルベンゼンコポリマー等の熱可塑性高分子重合体殻中に内包したマイクロカプセルであって、平均直径が1〜100μmの範囲にあるようなものが利用可能である。
未発泡樹脂層は、発泡剤、樹脂に加えて、セル調整剤、無機充填剤、顔料等の添加剤を含んでもよい。
セル調整剤は、例えばステアリン酸亜鉛等の金属石鹸等を使用することができる。セル調整剤の配合量は、樹脂成分100質量部に対して、0.3〜10質量部程度が好ましく、1〜5質量部程度がより好ましい。
無機充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、三酸化アンチモン、ホウ酸亜鉛、モリブデン化合物等が挙げられる。該無機充填剤を含むことにより、目透き抑制効果、表面特性向上効果等が得られる。該無機充填剤の配合量は、樹脂成分100質量部に対して0〜100質量部程度が好ましく、20〜70質量部程度がより好ましい。
顔料については、例えば酸化チタン、亜鉛華、カーボンブラック、黒色酸化鉄、黄色酸化鉄、黄鉛、モリブデートオレンジ、カドミウムイエロー、ニッケルチタンイエロー、クロムチタンイエロー、酸化鉄(弁柄)、カドミウムレッド、群青、紺青、コバルトブルー、酸化クロム、コバルトグリーン、アルミニウム粉、ブロンズ粉、雲母チタン、硫化亜鉛等の無機顔料;例えば、アニリンブラック、ペリレンブラック、アゾ系(アゾレーキ、不溶性アゾ、縮合アゾ)、多環式(イソインドリノン、イソインドリン、キノフタロン、ペリノン、フラバントロン、アントラピリミジン、アントラキノン、キナクリドン、ペリレン、ジケトピロロピロール、ジブロムアンザントロン、ジオキサジン、チオインジゴ、フタロシアニン、インダントロン、ハロゲン化フタロシアニン)等の有機顔料が挙げられる。該顔料の含有量は、樹脂成分100質量部に対して10〜50質量部程度が好ましく、15〜30質量部程度がより好ましい。
その他にも、安定剤、滑剤等を添加剤として用いることができる。
発泡樹脂層の厚みは特に限定されるものではないが、20〜200μm程度が好ましく、50〜120μm程度がより好ましい。
(1−2)非発泡樹脂層A
本発明の壁紙基材は、発泡樹脂層の中間層側の面に、非発泡樹脂層(以後、後述の非発泡樹脂層Bと区別するため「非発泡樹脂層A」と呼ぶ)を含んでもよい。非発泡樹脂層Aは、主として発泡樹脂層を保護すると共に、発泡樹脂層を形成する際の発泡工程で発泡ガス等の揮発分成分による可視光型光触媒機能の低下(具体的には、酸化チタンなどの可視光型光触媒化合物の粒子への悪影響)を防止する機能を有する。非発泡樹脂層Aを形成する樹脂としては、発泡樹脂層に使用したのと同様のオレフィン系樹脂を使用することができる。尚、非発泡樹脂層Aに使用する樹脂は、発泡樹脂層に使用する樹脂種と同一でも異なってもよいが、非発泡樹脂層Aと発泡樹脂層との間の密着性を向上するために、同種類の樹脂もしくは樹脂組成物を使用することが好ましい。
前記樹脂成分としては、例えばアクリル酸及びメタクリル酸の少なくとも1種のモノマーとエチレンとの組合せにより得られる共重合体を樹脂成分として好適に用いることができる。より具体的には、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体及びアイオノマー樹脂の少なくとも1種を用いることが望ましい。アイオノマー樹脂としては、エチレン−メタクリル酸共重合体及び/又はエチレン−アクリル酸共重合体の分子間をナトリウム、亜鉛等の金属のイオンで分子間結合した構造を有する樹脂が使用できる。このような樹脂成分を用いる場合には、特に樹脂中の水素結合等に起因する強固な層を形成することができるので、優れた耐スクラッチ性、耐摩耗性等を得ることができる。これらは、公知又は市販のものを使用することができる。
前記共重合体におけるアクリル酸又はメタクリル酸の含有量は4〜15質量%程度であることが好ましい。このような樹脂も市販品を使用することができる。前記樹脂組成物には、公知の添加剤を配合することもできる。非発泡樹脂層Aの厚みは特に限定されないが、10〜50μm程度が好ましく、特に10〜20μm程度がより好ましい。また、樹脂組成物中の前記樹脂成分の含有量は限定的ではないが、通常70〜100質量%の範囲内で適宜設定することが好ましい。
前記樹脂成分のメルトフローレート値(MFR)は、用いる樹脂成分の種類等によるが、一般に10g/10分以上の範囲内で適宜設定すればよい。通常は10〜100g/10分、特に10〜95g/10分、さらに20〜80g/10分の範囲にあることが好ましい。このような数値範囲のものを使用することにより、より優れた耐スクラッチ性、耐摩耗性等を得ることができる。尚、メルトフローレート値(MFR)の測定条件は、発泡樹脂層の項に記載したのと同様である。
発泡樹脂層/非発泡樹脂層Aとしての好ましい組合せは、EVA樹脂/EVA樹脂、EMAA樹脂/EVA樹脂、EVA樹脂/EMAA樹脂、EMAA樹脂/EMAA樹脂、PE樹脂/PE樹脂が挙げられ、特にEVA樹脂/EMAA樹脂が好ましい。
(1−3)裏打ちシート層
本発明の壁紙基材は、裏打ちシート層を含んでもよい。裏打ちシート層は、発泡樹脂層の中間層と反対側の面に、又は後述する非発泡樹脂層Bの中間層と反対側の面に設けられる。裏打ちシート層は特に限定されず、例えば、樹脂シート、紙等の繊維質シートなどが一般に使用できるが、紙等の繊維質シートが好ましく、具体的には、難燃紙(パルプ主体のシートをスルファミン酸グアニジン、リン酸グアジニン等の難燃剤で処理したもの);水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の無機添加剤を含む無機質紙;上質紙;薄用紙などが挙げられる。
裏打ちシート層の坪量は特に限定されないが、50〜300g/m2程度が好ましく、50〜80g/m2程度がより好ましい。
(1−4)非発泡樹脂層B
本発明の壁紙基材は、発泡樹脂層の中間層と反対側の面に、非発泡樹脂層(以後、前述の非発泡樹脂層Aと区別するため「非発泡樹脂層B」と呼ぶ)を含んでもよい。壁紙基材が裏打ちシート層を含む場合には、発泡樹脂層と裏打ちシート層との間に非発泡樹脂層Bを含んでよく、非発泡樹脂層Bが接着剤層として機能することにより、優れた密着性を得ることができる。非発泡樹脂層Bとしては、発泡樹脂層に使用したのと同様のオレフィン系樹脂を使用することができるが、密着性の向上という観点からエチレン−酢酸ビニル共重合体を好適に用いることができる。非発泡樹脂層Bは樹脂成分以外に公知の添加剤を含んでもよいが、樹脂成分の含有量が70〜100質量%となるように配合することが好ましい。
非発泡樹脂層Bの厚みは特に限定されないが、10〜50μm程度が好ましく、特に10〜20μm程度がより好ましい。
[壁紙基材の形成方法]
本発明の壁紙基材は、(ア)未発泡樹脂層を含む発泡前壁紙基材を形成する工程、及び(イ)該未発泡樹脂層を発泡させて発泡樹脂層を形成する工程、を経て形成される。
未発泡樹脂層は工程(イ)にて発泡して発泡樹脂層を形成することから、未発泡樹脂層を含む発泡前壁紙基材は工程(イ)にて発泡樹脂層を含む壁紙基材へと変化する。つまり、「発泡前壁紙基材」と「壁紙基材」は、発泡前の名称と発泡後の名称を便宜上区別したものである。
(ア)未発泡樹脂層を含む発泡前壁紙基材を形成する工程
発泡前壁紙基材の形成方法は特に限定されないが、例えば、Tダイ押出し機によって形成することができる。未発泡樹脂層だけでなく非発泡樹脂層Aを含む発泡前壁紙基材を形成する場合には、2つの層に対応する溶融樹脂を同時に押出すことにより2層の同時成膜が可能なマルチマニホールドタイプのTダイを用いることができる。この場合、未発泡樹脂層を形成するための樹脂組成物及び非発泡樹脂層Aを形成するための樹脂組成物をそれぞれ別個のシリンダー中に入れ、2種2層を同時に押出し成膜・積層すればよい。同様に、未発泡樹脂層、非発泡樹脂層A及び非発泡樹脂層Bを含む発泡前壁紙基材を形成する場合には、未発泡樹脂層を形成するための樹脂組成物、非発泡樹脂層Aを形成するための樹脂組成物、及び非発泡樹脂層Bを形成するための樹脂組成物をそれぞれ別個のシリンダー中に入れ、3種3層を同時に押出し成膜・積層すればよい。
裏打ちシート層を含む発泡前壁紙基材を形成するには、上記の方法で同時押出した積層体を、裏打ちシート層上に同時積層(成膜)すればよい。裏打ちシート層上に押出しと同時に積層された樹脂層は、熱溶融により接着性を有するため裏打ちシート層と接着される。あるいは、予め同時成膜した積層体を用意して、それを裏打ちシート層上に載せて、熱ラミネートすることで接着させてもよい。
未発泡樹脂層を形成する樹脂組成物が無機充填剤を含有するときに、未発泡樹脂層を押出し成形により形成する場合には、押出し成形機の押出し口(いわゆるダイス)に無機充填剤の残渣(いわゆる目やに)が発生し易く、これがシート表面の異物となり易い。そのため、未発泡樹脂層に無機充填剤が含まれる場合には、上記非発泡樹脂層A及び非発泡樹脂層Bをそれぞれ形成する樹脂組成物を、未発泡樹脂層を形成する樹脂組成物と共に同時押出し成形することが好ましい。同時押出し成形は、例えば、マルチマニホールドタイプのTダイを用いることにより行える。このように未発泡樹脂層を2つの非発泡樹脂層(非発泡樹脂層A及び非発泡樹脂層B)によって挟み込んだ態様で同時押出し成形することにより、前記目やにの発生を抑制することができる。
発泡前壁紙基材に、電離放射線を照射してもよく、特に電子線を照射することが好ましい。これにより樹脂成分を架橋できるため、壁紙基材の表面強度、発泡程度等を制御することができる。電子線のエネルギーは、150〜250kV程度が好ましい。照射量は、1〜7Mrad程度が好ましい。電子線源としては、公知の電子線照射装置が使用できる。なお、架橋は、化学架橋剤(架橋剤又は架橋助剤ともいう)を用いて実施することもできる。
電子線照射を行う場合には、樹脂組成物中に架橋剤を含有してもよい。架橋剤としては、電子線照射による架橋を促進するものであればよい。例えば、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート等の多官能性モノマー、オリゴマーなどが挙げられる。架橋剤は、樹脂成分100質量部に対して0〜10質量部程度とすることが好ましく、特に1〜4質量部とすることがより好ましい。
(イ)該未発泡樹脂層を発泡させて発泡樹脂層を形成する工程
未発泡樹脂層を発泡させる方法は、発泡剤の種類に応じて公知の方法から適宜選択されるものであり、特に限定されない。発泡剤として熱分解型発泡剤を用いた場合、加熱条件は熱分解型発泡剤の分解により発泡樹脂層が形成される条件ならば限定されないが、加熱温度は210〜240℃程度が好ましく、加熱時間は20〜80秒程度が好ましい。
なお、工程(イ)は、可視光型光触媒層形成用の分散液を塗布した後に行うことが好ましい。可視光型光触媒層を形成するために行う分散液の乾燥と、未発泡樹脂層の発泡とを同時に行なえることで製造工程が少なくなり、コストを低減できる。また、発泡後に、絵柄模様層、中間層、可視光型光触媒層を形成した場合、発泡樹脂層の凹凸の影響により、前記層を綺麗に塗付することが難しいが、発泡前に前記層を形成することで綺麗に塗付することが可能となる。
(2)中間層
本発明の壁紙は中間層を有する。中間層は少なくともシリカ粒子とバインダーを含有する。
本発明の中間層は、エンボス加工による光触媒機能の低下を抑制する機能を有する。中間層を設けなかった場合、可視光型光触媒機能を発揮する酸化チタンなどの光触媒粒子がエンボス加工によって可視光型光触媒層の下に位置する絵柄模様層や壁紙基材に埋没し、それらの層に存在する有機物の分解に光触媒粒子の光触媒機能が消費されることがある。しかし、本発明においては、シリカ粒子を含有する中間層を設けるため、バインダーから突出したシリカ表面上の光触媒粒子は、シリカ粒子の存在によりエンボス加工による埋没が抑えられ、これにより光触媒機能の低下を抑制することができる。本発明においては、中間層がバインダーから突出したシリカを含み、表面に凹凸が生じるにもかかわらず、シリカを含まない場合と比較しても、壁紙は十分な耐汚染性(汚染物質の拭取り容易性)を維持できる。
本発明のシリカ粒子のBET比表面積をSとしたときに、Sは140m2/g以上である。Sが大きいほどシリカ表面上に存在する光触媒粒子の量が増えるために好ましく、Sが140m2/g以上であればエンボス加工による光触媒機能の低下を十分に抑制し、高い光触媒機能を発揮する。Sの上限については特に限定されないが、Sが500m2/g以下であれば入手が容易である。また、Sが500m2/g以下であれば、Sの増大に起因する増粘やチキソ性上昇の影響は小さいためP/V(ここで、P:シリカ粒子の質量、V:バインダーの質量)が1以下の任意の割合でシリカ粒子を添加できる。なお、上記のBET比表面積は、JIS R 1626に記載されるBET多点法の定容法に準じ、比圧が0.05から0.35以下の吸着枝側窒素吸着等温線から解析した値である。
本発明のシリカ粒子の粒径は、Sが140m2/g以上を満たす限り特に限定されないが、好ましくは平均粒子径が1μm〜7μmであり、より好ましくは2.5μm〜5μmである。なお、ここで言う平均粒子径はレーザー法で測定したものである。平均粒子径が1μm以上であれば、中間層中にシリカが埋もれずに、シリカの表面積効果を生かすことができる。平均粒子径が7μm以下であれば、シリカが中間層から脱落せずにその機能を発揮することが出来る。
本発明において、シリカ粒子の質量をP、バインダーの質量をVとしたときに、P/Vは1以下である。シリカ粒子の添加量は、P/Vが1以下であれば、バインダーに対して過剰にならず、中間層の塗膜形成(印刷性)に優れる。
本発明において、中間層は下記式(1)を満たすことが好ましく、式(2)を満たすことがより好ましい。
S/(1+V/P)≧30m2/g ・・・式(1)
S/(1+V/P)≧45m2/g ・・・式(2)
ここで、式(1)及び(2)の左辺は単位質量の中間層に含まれるシリカ粒子の表面積の総和を意味する。式(1)を満たすとき、エンボス加工による光触媒機能の低下をシリカ粒子が十分に抑制し、高い光触媒機能を発揮することができ、式(2)を満たすとき、より高い光触媒機能を発揮することができる。
式(1)及び(2)を変形すると、それぞれ
P/V≧(30m2/g)/(S−30m2/g) ・・・式(3)
P/V≧(45m2/g)/(S−45m2/g) ・・・式(4)
となることから、P/Vは式(3)の右辺以上であることが好ましく、式(4)の右辺以上であることがより好ましい。
本発明に含まれるバインダーは、壁紙製膜における200℃以上の高温への耐熱性を有し、壁紙基材、及び光触媒層との密着性が得られるものであれば、特に限定されず、公知の有機バインダー、無機バインダーを用いることができる。密着性の観点からは有機バインダーが好ましい。具体例としては、特開2009−84446に記載のカルボキシル基含有樹脂やオキサゾリン基含有樹脂が挙げられる。また、特開2002−248715[0028]に記載の高弾性のポリエステル樹脂と不飽和ポリエステル樹脂の混合物、高弾性のアクリル樹脂、高弾性のウレタン樹脂等が挙げられる。
中間層の塗布量としては、壁紙基材を被覆し、かつ、シリカ微粒子が中間層の塗膜表面上に突出しつつ保持されていれば特に限定されないが、好ましくは0.2〜5g/m2、より好ましくは0.5〜2g/m2である。なお、本明細書において「塗布量」とは、特に断りの無い限り、乾燥後の質量を指す。
[中間層の形成方法]
本発明の中間層は、発泡前壁紙基材上に、中間層コーティング液を塗布した後、乾燥させることにより形成することができる。壁紙基材上に中間層コーティング液を塗布(すなわち、発泡後に中間層コーティング液を塗布)してもよいが、発泡樹脂層の凹凸の影響により中間層を綺麗に塗付することが難しくなるため、発泡前壁紙基材上に中間層コーティング液を塗布(すなわち、発泡前に中間層コーティング液を塗布)する方が好ましい。
中間層コーティング液は、上述したシリカ粒子とバインダーに加えて、溶媒を含む。前記溶媒は、特に限定されず、例えば、水;エタノール、メタノール、2−プロパノール、ブタノール等のアルコール類と水との混合溶媒のような水性媒体;などが挙げられる。これらの中でも特に、水が好ましい。
本発明の中間層コーティング液を用いて中間層を形成するに際しては、例えば、スピンコート、ディップコート、ドクターブレード、スプレーまたはハケ塗りなど従来公知の方法により中間層コーティング液を塗布し、その後、中間層コーティング液中の溶媒を除去しうる温度で加熱すればよい。
(3)可視光型光触媒層
本発明の壁紙は、可視光型光触媒層を有する。可視光型光触媒層は、少なくとも可視光型光触媒化合物と、バインダーとを含有する。
可視光型光触媒層の塗布量は特に限定されないが、目的、用途に応じて0.2〜5g/m2程度の範囲で任意に選択して使用することが出来る。
(3−1)可視光型光触媒化合物
本発明の可視光型光触媒層は可視光型光触媒化合物(以後、単に「光触媒化合物」と呼ぶこともある)を含有する。光触媒化合物としては、可視光線により光触媒作用を奏する化合物であれば特に制限ないが、蛍光灯による光照射に対して光触媒活性を示す化合物であることが好ましい。詳しくは、波長約430nm〜約830nmの光照射に対して光触媒活性を示す化合物が好ましい。
光触媒化合物の具体例としては、特開2007−268523号公報に開示されているように、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Tc、Re、Fe、Co、Ni、Ru、Rh,Pd、Os、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Ga、In、Tl、Ge、Sn、Pb、Bi、La、Ceのような金属元素の1種又は2種以上の酸化物、窒化物、硫化物、酸窒化物、酸硫化物、窒弗化物、酸弗化物、酸窒弗化物などを挙げることができる。これらの中でもアナターゼ型又はルチル型の酸化チタンが好ましく、可視光線ないし蛍光灯の照射で触媒活性を示すものとしてアナターゼ型酸化チタンが好ましい。
可視光応答性を有する酸化チタン粒子の製造法としては、特開2001−278625号公報、特開2001−302241号公報、特開2003−275600号公報等に開示されている製造方法を使用することができる。
本発明の可視光型光触媒層中における光触媒化合物の含有量は5〜95質量%が好ましく、10〜60質量%がより好ましい。
(3−2)バインダー
本発明の可視光型光触媒層はバインダーを含有する。可視光型光触媒層のバインダーとして樹脂組成物(有機バインダー)を使用すると、可視光型光触媒化合物は樹脂組成物中に分散するか、樹脂によりコートされた状態で存在するので、可視光型光触媒化合物が十分に露出しておらず、可視光型光触媒機能が十分に発現しないおそれがある。従って、本発明においては、可視光型光触媒層のバインダーとして有機バインダーを使用するよりは無機バインダーを使用して、多孔質層として、光触媒化合物を可視光型光触媒層の表面に多く露出させることが望ましい。
無機バインダーの具体例としては、アルコキシシラン類の縮合物、オルガノポリシロキサン、有機ポリシロキサン化合物の重縮合物、加水分解物、シリコンワニス等のシリカ化合物;リン酸亜鉛、重リン酸塩、リン酸アルミニウムなどのリン酸塩;シリカ、コロイダルシリカ、水ガラス、セメント、石灰、セッコウ、ほうろう用フリット、グラスライニング用うわぐすり、プラスターなどの無機系バインダーを挙げることができる。
本発明の可視光型光触媒層中におけるバインダーの含有量は1〜70質量%が好ましく、5〜50質量%がより好ましい。
(3−3)添加剤
また、可視光型光触媒層には、必要に応じて、各種添加剤を分散体として含有させてもよい。
このような添加剤としては、例えば、非晶質シリカ、シリカゾルのような珪素酸化物、非晶質アルミナ、アルミナゾルのようなアルミニウムの酸化物や水酸化物、ゼオライト、カオリナイトのようなアルミノ珪酸塩、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウムのようなアルカリ土類金属の酸化物や水酸化物、リン酸カルシウム、モレキュラーシーブ、活性炭、ならびにTi、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Tc、Re、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Ga、In、Tl、Ge、Sn、Pb、Bi、La、Ceのような金属元素の水酸化物およびこれらの金属元素の非晶質酸化物などが挙げられる。
これら添加物は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
[可視光型光触媒層の形成方法]
本発明の可視光型光触媒層は、例えば、可視光型光触媒化合物、バインダーを溶媒に分散させた分散液(以後、「可視光型光触媒分散液」とも呼ぶ)を、グラビアコート、スプレーコート、ディップコート、又はハケ塗りなどの方法により中間層上に塗布し、その後、分散液中の溶媒を除去しうる温度で加熱する方法が挙げられるが本発明は該方法に限定されるものではない。
可視光型光触媒分散液は、中間層上に直接塗布してもよいが、光触媒層転写フィルムを作製して転写法によって転写することも可能である。塗布する手段は、例えば、前述した通りのグラビアコート、スプレーコート、ディップコート等、各種の塗布方法を選択しうる。コート液の塗布は、一回のみならず、複数回行ってもよい。
その後、溶媒を除去しうる程度の温度で加熱乾燥して溶媒を除去する。乾燥が完了した後、30〜60℃程度の温度で所要時間エージングを行うこともできる。これにより、コーティングした可視光型光触媒層の剥離強度を向上させることができる。
本発明の可視光型光触媒分散液中に存在する光触媒化合物は、粒子状でも繊維状でもよい。粒子状の場合の平均一次粒子径は好ましくは500nm以下、より好ましくは200nm以下、さらに好ましくは180nm以下であり、また、その平均二次粒子径は好ましくは15μm以下である。
本発明の可視光型光触媒分散液中に占める光触媒化合物の含有量は、用途に応じて適宜設定すればよく特に制限されないが、通常、下限は0.1質量%以上、好ましくは1質量%以上、上限は30質量%以下になるように設定される。なお、光触媒化合物の含有量(すなわち分散液中の粉末の量)が多くなるほど、後述する混合(特に初期混合)を効率的に行うことができる。このことを考慮して、仕込み時には光触媒化合物の含有量が所定量よりも多くなるような設定にしておき、後工程で溶媒を添加して希釈することにより所望の含有量となるようにすることもできる。
本発明における水系溶媒は、水を主成分とし、例えば、水;エタノール、メタノール、2−プロパノール、ブタノール等のアルコール類と水との混合溶媒のような水性媒体;などが挙げられる。これらの中でも特に、水が好ましい。
本発明の可視光型光触媒分散液を得るに際しては、前記混合で得られた混合物に、さらに必要に応じて、粗大粒子の除去、光触媒化合物含有量の調整(希釈等)、pH調整などの操作を施すことができる。これら操作の具体的手法としては、特に制限はなく、従来公知の方法を採用すればよい。
本発明の可視光型光触媒分散液を保管する際には、光が当たらない条件下で保管することが好ましく、例えば、暗室内に保管するか、もしくは、紫外線および可視光線の透過率が各々10%以下の遮光性容器に入れて保管することが好ましい。
(4)絵柄模様層
本発明の壁紙は、前記壁紙基材と前記中間層との間に、更に絵柄模様層を有してもよい。絵柄模様層は、壁紙に意匠性を付与することができる。絵柄模様層の絵柄模様としては、例えば木目模様、石目模様、砂目模様、タイル貼模様、煉瓦積模様、布目模様、皮絞模様、幾何学図形、文字、記号、抽象模様等が挙げられる。該絵柄模様は、本発明の壁紙の種類に応じて選択できる。絵柄模様層は、例えば、壁紙基材の表面に絵柄模様を印刷することで形成できる。なお、絵柄模様層を形成する際には、必要に応じてあらかじめプライマー層を形成してもよい。印刷手法としては、例えば、グラビア印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷、オフセット印刷等が挙げられる。印刷インキとしては、着色剤、結着材樹脂、溶剤(又は分散媒)を含む印刷インキが使用できる。これらのインキは公知又は市販のものを使用してもよい。
前記着色剤としては、例えば、前記の未発泡樹脂層で使用されるような顔料を適宜使用することができる。バインダー樹脂は、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、塩素化ポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アルキド系樹脂、石油系樹脂、ケトン樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、繊維素誘導体、ゴム系樹脂等が挙げられる。
前記溶剤(又は分散媒)としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の石油系有機溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸−2−メトキシエチル、酢酸−2−エトキシエチル等のエステル系有機溶剤;メチルアルコール、エチルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール系有機溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系有機溶剤;ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系有機溶剤、;ジクロロメタン、四塩化炭素、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等の塩素系有機溶剤;水などが挙げられる。絵柄模様層の厚みは、絵柄模様の種類より異なるが、一般には0.1〜10μm程度とすることが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。尚、本発明は以下に記載する方法になんら限定されるものではない。
(1)壁紙の作成
[実施例1]
図1に模式的に示した可視光型光触媒機能を有する壁紙を以下に記載する方法で作製した。
公知のTダイ押出機を用いて、非発泡樹脂層A/未発泡樹脂層/非発泡樹脂層Bの順に、各層の厚みが15μm/100μm/10μmになるように製膜して3層から成る積層体Aを得た。
非発泡樹脂層A及び非発泡樹脂層Bに用いた樹脂と、未発泡樹脂層に用いた樹脂組成物は以下の通りである。
(a)非発泡樹脂層A及び非発泡樹脂層Bに用いた樹脂:
・エチレン−酢酸ビニル系共重合体(住友化学(株)製、商品名:エバテートCV5053)、100質量部
(b)未発泡樹脂層に用いた樹脂組成物:
・エチレン−酢酸ビニル系共重合体(住友化学(株)製、商品名:エバテートCV5053)、100質量部
・発泡剤(永和化成製、商品名:ADCA#3)、4質量部
・炭酸カルシウム(白石工業製、商品名:ホワイトンH)、30質量部
・二酸化チタン(顔料)(デュポン製、商品名:タイピュアR−108)、20質量部
・光安定剤((株)ADEKA製、商品名:OF−101)、1質量部
・架橋剤(JSR(株)製、商品名:オブスターJVA−702)、1質量部
次に、前記積層体Aの非発泡層樹脂Bに裏打ちシート層(米秤量60g/m2、興人(株)製、WK−FKKD)を積層して積層体B(発泡前壁紙基材)を得た。その後、積層体Aの表面強度の向上を図る目的で、積層体Bに対して200kV、5Mradにて電子線照射を行なった。
次いで、グラビア印刷により、積層体Bの非発泡樹脂層A面に水性インキ(大日精化工業(株)製、商品名:ハイドリック)を用いて布目模様(絵柄模様層)を印刷し、その上に中間層コーティング液を乾燥後の質量が1g/m2となるように塗布した。さらにその上に可視光型酸化チタン光触媒コーティング剤(住友化学(株)製、商品名:TC−S4115、N.V.5wt%、酸化チタン粒径100nm)を乾燥後の質量が1g/m2となるように塗布して積層体Cを得た。
前記中間層コーティング液の組成は以下の通りである。
バインダー成分 固形分15質量部
・カルボキシル基含有アクリルエマルジョン(酸化20mg/g、固形分44%)成分内固形分比率10
・エポクロスWS700、日本触媒製(オキサゾリン基含有アクリル樹脂、固形分25%)成分内固形分比率1
シリカ 5質量部
・シリカ1:ミズカシルP−705、水澤化学社製(比表面積300m2/g、粒子径3.0μm)
溶媒: IPA/水=1/1(質量比)
なお、シリカの比表面積は、Micromeritics社製TriStar 3000を用いての窒素吸着法により測定された値である。
その後、積層体Cを230℃の加熱発熱炉内で、発泡剤が含有されている未発泡樹脂層を発泡させ発泡樹脂層を形成し、次にエンボス加工を施して、布目模様パターンを賦型し、壁紙を得た。
[実施例2]
シリカをシリカ2:ミズカシルP−707、水澤化学社製(比表面積300m2/g、粒子径4.0μm)とした以外は、実施例1と同様の方法で壁紙を得た。
[実施例3]
バインダー成分固形分を12.5質量部、シリカを7.5質量部とした以外は、実施例2と同様の方法で壁紙を得た。
[実施例4]
シリカをシリカ3:ミズカシルP−803、水澤化学社製(比表面積180m2/g、粒子径5.0μm)とした以外は、実施例3と同様の方法で壁紙を得た。
[実施例5]
バインダー成分固形分を10質量部、シリカを10質量部とした以外は、実施例4と同様の方法で壁紙を得た。
[実施例6]
シリカをシリカ4:ミズカシルP−526N、水澤化学社製(比表面積140m2/g、粒子径3.3μm)とした以外は、実施例3と同様の方法で壁紙を得た。
[実施例7]
バインダー成分固形分15質量部、シリカを5質量部とした以外は、実施例6と同様の方法で壁紙を得た。
[比較例1](比表面積<140m2/g)
シリカをシリカ5:ミズカシルP−603、水澤化学社製(比表面積40m2/g、粒子径3.0μm)とした以外は、実施例3と同様の方法で壁紙を得た。
[比較例2](PV比>1)
バインダー成分固形分9質量部、シリカを11質量部とした以外は、実施例4と同様の方法で壁紙を得た。
[比較例3](シリカ無し)
中間層コーティング液にシリカを添加しなかった以外は、実施例1と同様の方法で壁紙を得た。
施例1と同様の方法で壁紙を得た。
[比較例4](中間層無し)
中間層を設けなかった以外は、実施例1と同様の方法で壁紙を得た。
(2)壁紙の評価
(i)初期光触媒活性
各壁紙について、以下の通り、初期光触媒活性を測定した。
壁紙試験片(10cm×10cm)をブラックライト1.5mW/cm2で8時間初期化処理を施した後、内容量5リットル(L)のテドラーバック内に挿入した。99.5%アセトアルデヒド液と合成空気〔(窒素:酸素)容積比:4/1、RH50%〕を用いてアセトアルデヒド濃度20ppmのガスを調製し、テドラーバッグ内に1リットル(L)送り込んだ。
その後、蛍光灯6000lxを照射して、アセトアルデヒドの分解試験を実施した。テドラーバック内のアセトアルデヒド濃度の経時変化はガスクロマトグラフィーにより測定した。評価は、6hrの時点で濃度が5ppm以下で「4」、10ppm以下なら「3」、15ppm以下なら「2」、15ppmを超える場合は「1」とし、2以上を光触媒活性ありとした。
(ii)耐汚染性
汚染物質(中性洗剤、醤油、コーヒー、クレヨン、水性ペン)をサンプル上に乗せたガーゼに各々滴下、または直に線を描き、24時間後に水及び中性洗剤を用いて拭取った。目視評価にて、拭取り不可のものがある場合は「×」、拭取り可能であれば「○」とした。
実施例1〜7と比較例1〜4の評価結果を以下の表1に示す。
Figure 2012167423
Figure 2012167423
1 壁紙
2 裏打ちシート層
3 非発泡樹脂層B
4 発泡樹脂層
5 非発泡樹脂層A
6 壁紙基材
7 絵柄模様層
8 中間層
9 可視光型光触媒層

Claims (6)

  1. 発泡樹脂層を含む壁紙基材と、中間層と、可視光型光触媒層とをこの順に有する壁紙であって、
    該中間層が少なくともシリカ粒子とバインダーを含有し、
    該シリカ粒子のBET比表面積をSとしたときに、Sが140m2/g以上であり、
    該シリカ粒子の質量をP、該バインダーの質量をVとしたときに、P/Vが1以下である、壁紙。
  2. 下記式(1)を満たす、請求項1に記載の壁紙。
    S/(1+V/P)≧30m2/g ・・・式(1)
  3. 前記壁紙基材が、前記発泡樹脂層の前記中間層側の面に、更に非発泡樹脂層Aを含む、請求項1又は2に記載の壁紙。
  4. 前記壁紙基材が、前記発泡樹脂層の前記中間層と反対側の面に、更に非発泡樹脂層Bを含む、請求項1〜3のいずれかに記載の壁紙。
  5. 前記発泡樹脂層に含まれる樹脂がオレフィン系樹脂である、請求項1〜4のいずれかに記載の壁紙。
  6. 前記発泡樹脂層に含まれる樹脂が電離放射線にて架橋されている、請求項1〜5のいずれかに記載の壁紙。
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