JP2012166976A - 誘電体磁器組成物およびセラミック電子部品 - Google Patents

誘電体磁器組成物およびセラミック電子部品 Download PDF

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雅和 細野
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Abstract

【課題】高い電界強度下においても良好な特性を示す誘電体磁器組成物、および該誘電体磁器組成物が誘電体層に適用されたセラミック電子部品を提供すること。
【解決手段】チタン酸バリウムを、主成分として含有し、チタン酸バリウム100モルに対して、副成分を5.0モル以上含む誘電体磁器組成物である。副成分は希土類元素の酸化物を有している。誘電体磁器組成物には、誘電体粒子として、コア21aと、コアの周囲に存在し、R元素が固溶しているシェル21bと、からなるコアシェル構造を有するコアシェル構造粒子21と、R元素が誘電体粒子全体に固溶している全固溶粒子22と、が存在しており、誘電体粒子の個数100%に対して、全固溶粒子22の個数割合をx(%)としたとき、x≧10である。
【選択図】図2

Description

本発明は、誘電体磁器組成物および該誘電体磁器組成物が誘電体層に適用されたセラミック電子部品に関する。さらに詳しくは、構造の異なる粒子を特定の比率で存在させることで特性を向上できる誘電体磁器組成物、および該誘電体磁器組成物が適用されたセラミック電子部品に関する。
近年、電子回路の高密度化に伴う電子部品の小型化に対する要求は高い。たとえば、電子部品の一例である積層セラミックコンデンサの小型・大容量化が急速に進んでおり、これに伴い用途も拡大している。その結果、このようなコンデンサには様々な特性が要求される。
たとえば、高い定格電圧(たとえば、100V以上)で使用される中高圧用コンデンサは、ECM(エンジンエレクトリックコンピュータモジュール)、燃料噴射装置、電子制御スロットル、インバータ、コンバータ、HIDヘッドランプユニット、ハイブリッドエンジンのバッテリコントロールユニット、デジタルスチールカメラ等の機器に好適に用いられる。
上記のような高い定格電圧で使用される場合、高い電界強度下において使用されることとなるが、電界強度が高くなると、絶縁抵抗が低下してしまう傾向にある。その結果、使用環境における信頼性が低下してしまうという問題があった。
たとえば、特許文献1には、コアシェル構造を有するコアシェル結晶粒子と、均一系の構造を有する均一系結晶粒子との面積比率を、91:9〜99:1の範囲とした誘電体セラミックを備えた積層セラミックコンデンサが開示されている。この積層セラミックコンデンサは寿命特性および絶縁破壊電圧を向上できることが記載されている。
しかしながら、特許文献1に記載された積層セラミックコンデンサでは、直流電圧印加等の高い電界強度下における特性が不十分であり、さらなる特性の向上が求められていた。
特開2010−173901号公報
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、高い電界強度下においても良好な特性を示す誘電体磁器組成物、および該誘電体磁器組成物が誘電体層に適用されたセラミック電子部品を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る誘電体磁器組成物は、
チタン酸バリウムを、主成分として含有し、
前記チタン酸バリウム100モルに対して、副成分を5.0モル以上含む誘電体磁器組成物であって、
前記副成分が、R元素の酸化物(R元素は、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLuからなる群から選ばれる少なくとも1つである)を有しており、
前記誘電体磁器組成物が、誘電体粒子として、コアと、前記コアの周囲に存在し、前記R元素が固溶しているシェルと、からなるコアシェル構造を有するコアシェル構造粒子と、前記Rが誘電体粒子全体に固溶している全固溶粒子と、を有しており、
前記誘電体粒子の個数100%に対して、前記全固溶粒子の個数割合をx(%)としたとき、x≧10であることを特徴とする。
本発明では、誘電体磁器組成物中に、主成分から構成される粒子に希土類元素が部分的に固溶した粒子(コアシェル構造粒子)と、主成分から構成される粒子に希土類元素がほぼ全体に固溶した粒子(全固溶粒子)と、が存在している。そして、全固溶粒子の個数の比率を上記の範囲に制御している。このようにすることで、特性が向上した誘電体磁器組成物を得ることができる。
好ましくは、前記xが13≦x≦25である関係を満足する。
好ましくは、前記副成分が、Mgの酸化物と、Mnの酸化物と、Siを含む酸化物と、をさらに有しており、前記チタン酸バリウム100モルに対する各酸化物の比率が、前記Rの酸化物をR換算で1.5〜5.0モル、前記Mgの酸化物をMgO換算で1.0〜3.0モル、前記Mnの酸化物をMnO換算で0.05〜1.0モル、前記Siを含む酸化物をSiO換算で2.0〜12.0モルである。
上記のように、個数割合あるいは副成分の含有量を制御することで、本発明の効果をより高めることができる。
また、本発明に係るセラミック電子部品は、上記のいずれかに記載の誘電体磁器組成物から構成される誘電体層と、電極と、を有している。セラミック電子部品としては、特に限定されないが、高い定格電圧で使用される中高圧用の電子部品が好ましい。このような電子部品としては、積層セラミックコンデンサ、圧電素子、チップインダクタ、チップバリスタ、チップサーミスタ、チップ抵抗、その他の表面実装(SMD)チップ型電子部品が例示される。
図1は、本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサの断面図である。 図2は、図1に示す誘電体層2の要部拡大断面図である。 図3は、本発明の実験例に係る試料に含まれる誘電体粒子におけるR元素の分布を示すマッピング図である。 図4は、本発明の実験例に係る試料におけるシェル率の分布を示すグラフである。 図5は、本願の実験例に係る試料について、全固溶粒子の個数割合と、高温加速寿命と、の関係を示すグラフである。 図6は、本願の実験例に係る試料について、全固溶粒子の個数割合と、125℃における容量温度変化率と、の関係を示すグラフである。
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
(積層セラミックコンデンサ1)
図1に示すように、積層セラミックコンデンサ1は、誘電体層2と内部電極層3とが交互に積層された構成のコンデンサ素子本体10を有する。このコンデンサ素子本体10の両端部には、素子本体10の内部で交互に配置された内部電極層3と各々導通する一対の外部電極4が形成してある。コンデンサ素子本体10の形状に特に制限はないが、通常、直方体状とされる。また、その寸法にも特に制限はなく、用途に応じて適当な寸法とすればよい。
(誘電体層2)
誘電体層2は、本実施形態に係る誘電体磁器組成物から構成されている。該誘電体磁器組成物は、主成分として、チタン酸バリウムを含有し、副成分として、少なくともR元素の酸化物を含有している。
チタン酸バリウム(BaTiO)において、Aサイト原子とBサイト原子との比を示すA/B比は、化学量論組成から若干偏倚してもよい。また、酸素(O)量も化学量論組成から若干偏倚してもよい。
副成分は、チタン酸バリウム100モルに対して、5.0モル以上含有されている。副成分は、R元素の酸化物以外の成分を含有していてもよく、本実施形態では、R元素の酸化物以外に、Mgの酸化物、Mnの酸化物およびSiを含む酸化物を有していることが好ましい。
R元素の酸化物の含有量は、チタン酸バリウム100モルに対して、R換算で、好ましくは1.5〜5.0モル、より好ましくは2.0〜3.0モルである。R元素の酸化物の含有量を上記の範囲内とすることで、高温加速寿命を向上できるという利点がある。なお、R元素は、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLuから選ばれる少なくとも1つであり、Y、Gd、Tb、Sm、Euから選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。
Mgの酸化物の含有量は、チタン酸バリウム100モルに対して、MgO換算で、1.0〜3.0モル、好ましくは2.0〜2.5モルである。Mgの酸化物の含有量を上記の範囲内とすることで、焼成安定性に優れるという利点がある。
Mnの酸化物の含有量は、チタン酸バリウム100モルに対して、MnO換算で、0.05〜1.0モル、好ましくは0.07〜0.09モルである。Mnの酸化物の含有量を上記の範囲内とすることで、高温加速寿命を向上できるという利点がある。
Siを含む酸化物の含有量は、チタン酸バリウム100モルに対して、SiO換算で、2.0〜12.0モル、好ましくは4.0〜10.0モルである。Siを含む酸化物は焼結助剤として働く。
また、Siを含む酸化物としては、特に制限されず、SiO等の酸化物であってもよいし、Siと、他の元素たとえばアルカリ金属元素やアルカリ土類金属元素と、の複合酸化物であってもよい。本実施形態では、Siを含む酸化物としては、SiOが好ましい。
本実施形態に係る誘電体磁器組成物は、さらに、所望の特性に応じて、その他の成分を含有してもよい。
(誘電体粒子の構造)
本実施形態では、上記の誘電体層2を構成する誘電体磁器組成物は、誘電体粒子を有している。該誘電体粒子は、主成分粒子(BaTiO粒子)内にR元素が固溶(拡散)した粒子である。なお、R元素以外の副成分元素が主成分粒子に固溶していてもよい。また、誘電体粒子には、偏析粒子は含まれない。
図2に示すように、R元素が主成分粒子の一部(周辺部)のみに存在している場合には、実質的に主成分(BaTiO)からなるコア21aと、コア21aの周囲に存在し、R元素が主成分に拡散しているシェル21bと、から構成されるコアシェル構造を有する結晶粒子(コアシェル構造粒子21)となる。コア21aは、実質的に主成分からなっており、シェル21bは、Rが固溶した主成分からなっている。
また、シェルの面積が大きくなり、コアがほとんど存在しない場合には、R元素が主成分粒子の全体に存在している結晶粒子となる。このような結晶粒子は、全固溶粒子22である。
本実施形態では、誘電体層2において、コアシェル構造粒子21の個数と全固溶粒子22の個数との合計を100%とすると、全固溶粒子22の個数割合(x)が、10%以上、好ましくは13%以上である。
このようにすることで、高い電界強度下においても、絶縁抵抗の寿命特性に優れた積層セラミックコンデンサを得ることができる。
また、xを好ましくは25%以下とすることで、容量温度変化率を特定の範囲内とすることができ、たとえばX7S特性を満足させることができる。
したがって、好ましくはxを10≦x≦25の範囲とすることで、高い電界強度下における絶縁抵抗の寿命特性を向上させつつ、しかも良好な容量温度特性を実現することができる。
R元素の酸化物の含有量、仮焼・焼成条件、副成分の合計の含有量等を変化させることにより、xを制御できる。
コアシェル構造粒子と全固溶粒子とを区別する方法としては、特に制限されず、たとえば、電子顕微鏡による誘電体粒子の明視野像や粒子内におけるR元素の分布を示すマッピング画像などから目視により区別してもよい。本実施形態では、誘電体粒子に占めるシェルの面積に基づき区別する。
具体的には、誘電体層2の断面において、透過型電子顕微鏡(TEM)に付属のエネルギー分散型X線分光装置(EDS)を用いて、R元素について面分析を行う。この面分析は、150個以上の誘電体粒子について行うことが好ましい。本実施形態では、誘電体粒子が30個程度存在する領域(視野)を、5視野以上測定する。そして、分析により得られた特性X線を解析して、R元素の分布を示すマッピング画像を得る。
得られたマッピング画像をソフト等により処理し、誘電体粒子において、R元素が存在している領域(シェル)と、存在しない領域(コア)とを判別し、その面積を算出する。さらに得られたシェルの面積と、該粒子全体の面積と、から、誘電体粒子の面積に占めるシェルの面積割合(シェル率)を、下記の式により算出する。
シェル率(%)=100×(シェルの面積/誘電体粒子の面積)
そして、シェル率が97%以上である誘電体粒子を、全固溶粒子22とし、シェル率が97%未満である誘電体粒子を、コアシェル構造粒子21とする。
本実施形態では、誘電体粒子の結晶粒子径は、たとえば以下のようにして測定すればよい。まず、コンデンサ素子本体10を誘電体層2および内部電極層3の積層方向に平行な面で切断する。そして、その断面において誘電体粒子の平均面積を測定し、円相当径として直径を算出し1.5倍した値を結晶粒子径とする。
得られた結晶粒子径から平均結晶粒子径を算出する方法としては特に制限されないが、たとえば、結晶粒子径を200個以上の誘電体粒子について測定し、得られた結晶粒子径の累積度数分布から累積が50%となる値を平均結晶粒子径とすればよい。本実施形態では、平均結晶粒子径は、150〜180nmであることが好ましい。
誘電体層2の厚みは、特に制限されないが、一層あたり0.5〜10μm程度であることが好ましい。
誘電体層2の積層数は、特に限定されないが、20以上であることが好ましく、より好ましくは50以上、特に好ましくは、100以上である。積層数の上限は、特に限定されないが、たとえば2000程度である。
(内部電極層3)
内部電極層3に含有される導電材は特に限定されず、たとえばNiまたはNi合金など公知の導電材を用いればよい。内部電極層3の厚さは用途等に応じて適宜決定すればよいが、通常、0.1〜3μm程度であることが好ましい。
(外部電極4)
外部電極4に含有される導電材は特に限定されず、たとえばNi,Cuや、これらの合金など公知の導電材を用いればよい。外部電極4の厚さは用途等に応じて適宜決定すればよいが、通常、10〜50μm程度であることが好ましい。
(積層セラミックコンデンサ1の製造方法)
本実施形態の積層セラミックコンデンサ1は、公知の方法により製造すればよい。本実施形態では、ペーストを用いてグリーンチップを作製し、これを焼成することで、積層セラミックコンデンサを製造する。以下、製造方法について具体的に説明する。
まず、誘電体層を形成するための誘電体原料を準備し、これを塗料化して、誘電体層用ペーストを調製する。
誘電体原料として、まずチタン酸バリウムの原料と副成分の原料とを準備する。副成分の原料には、少なくともR元素の酸化物の原料が含まれる。本実施形態では、副成分の原料には、Mgの酸化物の原料と、Mnの酸化物の原料と、Siを含む酸化物の原料と、がさらに含まれていることが好ましい。
これらの原料としては、酸化物やその混合物、複合酸化物を用いることができる。また、焼成により上記した酸化物や複合酸化物となる各種化合物を用いてもよい。なお、原料として粉末を用いる場合、粉末の平均粒子径は、150nm以下であることが好ましい。
本実施形態では、誘電体原料を調製するために、まず、チタン酸バリウムの原料と、R元素の酸化物の原料と、を反応させて、チタン酸バリウム粒子にR元素が固溶した粒子を含む反応後原料を得ることが好ましい。このような反応後原料を得ることで、コアシェル構造粒子と全固溶粒子との個数割合を上記の割合とすることが容易となる。
反応後原料を得る方法としては特に制限されないが、本実施形態では、チタン酸バリウムの原料とR元素の酸化物の原料とを仮焼することで反応後原料を得る。このとき、R元素の酸化物の原料以外の副成分の原料と共に仮焼してもよいが、チタン酸バリウムの原料とR元素の酸化物の原料とを仮焼することが好ましい。
仮焼温度は好ましくは700〜1000℃、保持時間は好ましくは2〜10時間である。また、仮焼時の雰囲気は大気中とすることが好ましい。
得られた反応後原料は、必要に応じて粉砕され、残りの原料(仮焼していない副成分の原料)と混合され、誘電体原料とされる。なお、誘電体原料中の各成分の含有量は、焼成後に所望の組成となるように決定すればよい。
誘電体層用ペーストは、上記で得られる誘電体原料と、バインダと、溶剤と、を混練して得られる。バインダおよび溶剤は、公知のものを用いればよい。該ペーストは、必要に応じて、可塑剤等の添加物を含んでもよい。
内部電極層用ペーストは、上述した導電材と、バインダと、溶剤と、を混練して得られる。バインダおよび溶剤は、公知のものを用いればよい。該ペーストは、必要に応じて、共材や可塑剤等の添加物を含んでもよい。
外部電極用ペーストは、内部電極層用ペーストと同様にして調製すればよい。
得られたペーストを用いて、グリーンシートや内部電極パターンを形成し、積層してグリーンチップを得る。
得られたグリーンチップに脱バインダ処理を行う。脱バインダ処理条件は、公知の条件とすればよく、たとえば、保持温度を好ましくは180〜400℃とする。
脱バインダ処理後、グリーンチップの焼成を行い、焼結体としてのコンデンサ素子本体を得る。焼成条件は、公知の条件とすればよく、たとえば、還元性雰囲気において、保持温度を1300℃以下とすることが好ましい。
得られたコンデンサ素子本体に再酸化処理(アニール)を行うことが好ましい。アニール条件は、公知の条件とすればよく、たとえば、アニール時の酸素分圧を焼成時の酸素分圧よりも高い酸素分圧とし、保持温度を1100℃以下とすることが好ましい。
上記のようにして得られたコンデンサ素子本体に端面研磨を施し、外部電極用ペーストを塗布して焼き付けし、外部電極4を形成する。そして、必要に応じ、外部電極4の表面に、めっき等により被覆層を形成する。
このようにして製造された本実施形態の積層セラミックコンデンサは、ハンダ付等によりプリント基板上などに実装され、各種電子機器等に使用される。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は、上述した実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々に改変することができる。
たとえば、上述した実施形態では、本発明に係るセラミック電子部品として、積層セラミックコンデンサを例示したが、このようなセラミック電子部品としては、積層セラミックコンデンサに限定されず、上記構成を有する電子部品であれば何でも良い。本発明に係る電子部品は、中高圧用途の電子部品として特に好適である。
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
(実験例1)
まず、主成分の原料としてBaTiO粉末を準備した。副成分の原料は、以下に示す原料を準備した。R元素の酸化物の原料として表1に示す希土類酸化物の粉末を準備した。Mgの酸化物の原料としてMgCO粉末、Mnの酸化物の原料としてMnO粉末、Siを含む酸化物の原料としてSiO粉末を、それぞれ準備した。
次に、R元素の酸化物の原料を、チタン酸バリウム100モルに対して、表1に示す量となるように秤量し、主成分の原料とともに混合した。混合後の原料を、表1に示す温度および時間で仮焼し、仮焼後原料を得た。
次に、R元素の酸化物以外の副成分の原料を、表1に示す量となるように秤量し、得られた仮焼後原料に添加した。この添加後の粉末をボールミルで20時間湿式混合・粉砕し、乾燥して、誘電体原料を得た。なお、MgCOは、焼成後には、MgOとして誘電体磁器組成物中に含有されることとなる。
次いで、得られた誘電体原料100重量部と、ポリビニルブチラール樹脂10重量部と、可塑剤としてのジオクチルフタレート(DOP)5重量部と、溶媒としてのアルコール100重量部とをボールミルで混合してペースト化し、誘電体層用ペーストを得た。
また、Ni粒子44.6重量部と、テルピネオール52重量部と、エチルセルロース3重量部と、ベンゾトリアゾール0.4重量部とを、3本ロールにより混練し、ペースト化して内部電極層用ペーストを作製した。
そして、上記にて作製した誘電体層用ペーストを用いて、PETフィルム上に、乾燥後の厚みが5μmとなるようにグリーンシートを形成した。次いで、この上に内部電極層用ペーストを用いて、電極層を所定パターンで印刷した後、PETフィルムからシートを剥離し、電極層を有するグリーンシートを作製した。次いで、電極層を有するグリーンシートを複数枚積層し、加圧接着することによりグリーン積層体とし、このグリーン積層体を所定サイズに切断することにより、グリーンチップを得た。
次いで、得られたグリーンチップについて、脱バインダ処理、焼成およびアニールを下記条件にて行って、コンデンサ素子本体となる焼結体を得た。
脱バインダ処理条件は、昇温速度を25℃/時間、保持温度を260℃、温度保持時間を8時間、雰囲気を空気中とした。
焼成条件は、昇温速度および降温速度を200℃/時間、保持温度を1200〜1300℃とし、保持時間を2時間とした。雰囲気ガスは、加湿したN+H混合ガス(酸素分圧:10−13MPa)とした。
アニール条件は、昇温速度および降温速度を200℃/時間、保持温度を1050℃、温度保持時間を2時間とした。雰囲気ガスは、加湿したNガス(酸素分圧:10−6MPa)とした。
次いで、得られた焼結体の端面をサンドブラストにて研磨した後、外部電極としてIn−Ga合金を塗布し、図1に示す積層セラミックコンデンサの試料を得た。得られたコンデンサ試料のサイズは、3.2mm×1.6mm×0.6mmであり、誘電体層の厚みが4μm、内部電極層の厚みが1μm、内部電極層に挟まれた誘電体層の数は5であった。
得られたコンデンサ試料について、全固溶粒子の個数割合(x)を算出し、さらに高温加速寿命(HALT)および容量温度特性の測定を、それぞれ下記に示す方法により行った。
(全固溶粒子の個数割合(x))
コンデンサ試料を切断し、その切断面に対し、集束イオンビーム(FIB)装置を用いて表面処理を行った。次に、表面処理した試料の断面に対し、TEMに付属のEDSを用いてマッピング分析を行い、得られたR元素の特性X線を定量分析して、R元素についてのマッピング画像を得た。なお、マッピング分析は、1視野に誘電体粒子が30個以上入るようにして、5視野分の測定を行った。また、試料番号5についてのR元素のマッピング画像を図3に示す。
得られたマッピング画像を処理し、誘電体粒子において、R元素が拡散した領域をシェル、R元素が拡散していない領域をコアとし、その面積を算出した。さらにシェルの面積および誘電体粒子全体の面積から、粒子ごとにシェル率(%)を下記の式を用いて算出した。
シェル率=(100×シェルの面積/誘電体粒子全体の面積)
このシェル率が97%以上である誘電体粒子を全固溶粒子とし、シェル率が97%未満である誘電体粒子をコアシェル構造粒子とした。そして、これらの粒子の個数の合計を100%とした場合に、全固溶粒子の個数割合(x)を算出した。結果を表2に示す。また、試料番号2および5についてのシェル率の分布を図4に示す。
(高温加速寿命(HALT))
コンデンサ試料に対し、200℃にて、200Vの電界下で直流電圧の印加状態に保持し、寿命時間を測定することにより、高温加速寿命を評価した。本実施例においては、印加開始から絶縁抵抗が一桁落ちるまでの時間を故障時間とし、これをワイブル解析することにより算出した平均故障時間(MTTF)を寿命と定義した。また、本実施例では、上記の評価を20個のコンデンサ試料について行い、その平均値を高温加速寿命とした。本実施例では15時間以上を良好とした。結果を表2に示す。
(静電容量の温度特性)
まず、コンデンサ試料に対し150℃−1hの条件で熱処理を行い、室温で24h放置した。次に、コンデンサ試料を恒温槽にセットし、−55〜125℃における静電容量を1kHz−1Vの条件で測定し、25℃における静電容量に対する変化率ΔCを算出し、EIA規格のX7S特性を満足するか否かについて評価した。すなわち、上記温度域における変化率ΔCが、±22%以内であるか否かを評価した。結果を表2に示す。表2には、変化率ΔCが最大となる125℃における変化率を示した。
Figure 2012166976
Figure 2012166976
表2より、全固溶粒子の個数割合(x)が上述した範囲外である場合(試料番号1および2)あるいは副成分合計の含有量が上述した範囲外である場合(試料番号9)には、高温加速寿命が劣っていることが確認できた。すなわち、高い電界強度下では、信頼性に劣ることになる。
一方、xが、上述した範囲内である場合には(試料番号3〜8)、高温加速寿命が良好であることが確認できた。また、図5より、xを上述した範囲内とすることで、高温加速寿命が急激に向上することが確認できた。
さらに、xを25%以下とすることで、良好な高温加速寿命が得られ、しかも、X7S特性を満足することが確認できた。
また、表1および2より、xを上述した範囲内とするためには、チタン酸バリウムとR元素の酸化物との仮焼条件を制御することが有効であることが確認できた。
1… 積層セラミックコンデンサ
10… コンデンサ素子本体
2… 誘電体層
21… コアシェル構造粒子
22… 全固溶粒子
3… 内部電極層
4… 外部電極

Claims (4)

  1. チタン酸バリウムを、主成分として含有し、
    前記チタン酸バリウム100モルに対して、副成分を5.0モル以上含む誘電体磁器組成物であって、
    前記副成分が、R元素の酸化物(R元素は、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLuからなる群から選ばれる少なくとも1つである)を有しており、
    前記誘電体磁器組成物が、誘電体粒子として、コアと、前記コアの周囲に存在し、前記R元素が固溶しているシェルと、からなるコアシェル構造を有するコアシェル構造粒子と、前記Rが誘電体粒子全体に固溶している全固溶粒子と、を有しており、
    前記誘電体粒子の個数100%に対して、前記全固溶粒子の個数割合をx(%)としたとき、x≧10であることを特徴とする誘電体磁器組成物。
  2. 前記xが13≦x≦25である関係を満足する請求項1に記載の誘電体磁器組成物。
  3. 前記副成分が、Mgの酸化物と、Mnの酸化物と、Siを含む酸化物と、をさらに有しており、
    前記チタン酸バリウム100モルに対する各酸化物の比率が、
    前記Rの酸化物をR換算で1.5〜5.0モル、
    前記Mgの酸化物をMgO換算で1.0〜3.0モル、
    前記Mnの酸化物をMnO換算で0.05〜1.0モル、
    前記Siを含む酸化物をSiO換算で2.0〜12.0モルである請求項1または2に記載の誘電体磁器組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の誘電体磁器組成物から構成される誘電体層と、電極と、を有するセラミック電子部品。
JP2011028833A 2011-02-14 2011-02-14 誘電体磁器組成物およびセラミック電子部品 Pending JP2012166976A (ja)

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