本発明は、2箇所綴じの綴じ位置間隔をシートサイズ別に、あるいは、ユーザの好みに応じて自由に変更する場合、その綴じ手段の移動時間を含む綴じ処理時間に応じたプレスタック枚数の設定を最適にして生産性を向上させるものである。
例えば、ひとつのスティプラで2箇所綴じを行う場合、1箇所目を綴じてから2箇所目の綴じをするための移動時間がA(sec)かかるとする。それが、2箇所綴じの間隔を広げることによりA+B(sec)になった場合、+B(sec)分の綴じ処理にかかる時間が増加することになる。すなわち、綴じ処理が完了して次のジョブのシートが綴じ処理ユニットに搬送可能な状態になるまでの時間が+B(sec)分、余分に必要となる。そこで、その分、綴じ処理ユニットの上流で待機させるシート枚数を増やさないと、画像形成装置側でジョブ間時間をあけて対応しなければならなくなる。
また、逆に2箇所綴じの間隔を狭くすることでA−B(sec)になった場合、−B(sec)分の綴じ処理にかかる時間が減少することになる。すなわち、綴じ処理が完了して次のジョブのシートが綴じ処理ユニットに搬送可能な状態になるまでの時間が−B(sec)分、減少する(不要となる)ことになる。その分、綴じ処理ユニットの上流で待機させるシート枚数を減らさないと、必要のないシートを待機させることになり、そのシートを重ねて排出した時のシート束の揃えを悪化させる可能性が高くなる。綴じの揃え精度を向上させるには、重ね枚数は極力増やさない方がよい。
このようなことから、ユーザ側でデフォルトの綴じ位置間隔を狭くし、あるいは広くした場合、その綴じ処理時間に応じてプレスタック枚数を最適に設定すれば、効率良く処理することが可能であることが分かる。
図1は本実施形態に係るシート処理装置としてのシート後処理装置PDと画像形成装置PRとからなるシステムを示すシステム構成図である。
図1において、画像形成装置PRは、入力された画像データを印字可能な画像データに変換する画像処理回路、画像処理回路から出力される画像信号に基づいて感光体に光書き込みを行う光書き込み装置、光書き込みにより感光体に形成された潜像をトナー現像する現像装置、現像装置によって顕像化されたトナー像をシートに転写する転写装置、及びシート転写されたトナー像を定着する定着装置を少なくとも備え、トナー画像が定着されたシートをシート後処理装置PDに送り出し、シート後処理装置PDによって所望の後処理が行われる。画像形成装置PRはここでは前述のように電子写真方式のものであるが、インクジェット方式、熱転写方式などの公知の画像形成装置が全て使用できる。なお、この実施形態では、前記画像処理回路、光書き込み装置、現像装置、転写装置、及び定着装置が画像形成手段を構成している。
シート後処理装置PDは、画像形成装置PRの側部に取り付けられており、画像形成装置PRから排出されたシートはシート後処理装置PDに導かれる。シート後処理装置PDは、搬送路A、搬送路B、搬送路C、搬送路D及び搬送路Hを備え、前記シートは、1枚のシートに後処理を施す後処理手段(この実施形態では穿孔手段としてのパンチユニット100)を有する搬送路Aへまず搬送される。
搬送路Bは搬送路Aを通り、上トレイ201へ導く搬送路であり、搬送路Cはシフトトレイ202へ導く搬送路である。搬送路Dは整合及びスティプル綴じ等を行う処理トレイF(以下「端面綴じ処理トレイ」とも称する)に導く搬送路である。搬送路Aから搬送路B,C,Dへは、それぞれ分岐爪15及び分岐爪16によって振り分けられるように構成されている。
このシート後処理装置では、シートに対して、穴明け(パンチユニット100)、シート揃え+端部綴じ(ジョガーフェンス53、端面綴じスティプラS1)、シート揃え+中綴じ(中綴じ上ジョガーフェンス250a、中綴じ下ジョガーフェンス250b、中綴じスティプラS2)、シートの仕分け(シフトトレイ202)、中折り(折りプレート74、折りローラ81)などの各処理を行うことができる。そのため各処理に応じて搬送路Aと、これに続く搬送路B、搬送路C及び搬送路Dが選択される。また、搬送路Dはシート収容部Eを含み、搬送路Dの下流側には端面綴じ処理トレイF、中綴じ中折り処理トレイG、排紙搬送路Hが設けられている。シート収容部Eは後述のプレスタック経路に相当する。
搬送路B、搬送路C及び搬送路Dの上流で各々に対し共通な搬送路Aには、画像形成装置PRから受け入れるシートを検出する入口センサ301、その下流に入口ローラ1、パンチユニット100、パンチかすホッパ101、搬送ローラ2、第1及び第2の分岐爪15,分岐爪16が順次配置されている。第1及び第2の分岐爪15,16は図示しないバネにより図1の状態に保持されており(初期状態)、図示しない第1及び第2のソレノイドをONすることにより、分岐爪15、16をそれぞれ駆動し、第1及び第2のソレノイドのON/OFFを選択することにより、第1及び第2の分岐爪15,16の分岐方向の組み合わせを変更し、搬送路B、搬送路C、搬送路Dへシートを振り分ける。
搬送路Bへシートを導く場合は図1の状態、すなわち、第1のソレノイドをOFF(第1の分岐爪15は下向きが初期状態)状態のままとする。これにより、シートは搬送ローラ3から排紙ローラ4を経て上トレイ201に排出される。
搬送路Cへシートを導く場合は、図1の状態から第1及び第2のソレノイドをON(第2の分岐爪16は上向きが初期状態)とすることにより、分岐爪15は上方に、分岐爪16は下方にそれぞれ回動した状態となる。これにより、シートは搬送ローラ5及び排紙ローラ対6(6a,6b)を経てシフトトレイ202側に搬送される。この場合には、シートの仕分けが行われる。シートの仕分けは、シフト排紙ローラ対6(6a,6b)と、戻しコロ13と、紙面検知センサ330と、シフトトレイ202と、シフトトレイ202をシート搬送方向に直交する方向に往復動させる図示しないシフト機構と、シフトトレイ202を昇降させるシフトトレイ昇降機構とに行われる。
搬送路Dへシートを導く場合は、第1の分岐爪15を駆動する第1のソレノイドをON、第2の分岐爪を駆動する第2のソレノイドをOFFとすることにより、分岐爪15及び分岐爪16ともに上方に回動した状態となり、シートは搬送ローラ2から搬送ローラ7を経て搬送路D側に導かれる。搬送路Dに導かれたシートは、端面綴じ処理トレイFへ導かれ、この端面綴じ処理トレイFで整合及びスティプル等を施されたシートは、ガイド部材44により、シフトトレイ202へ導く搬送路C、折り等を施す中綴じ・中折り処理トレイG(以下、単に「中綴じ処理トレイ」とも称する)へ振り分けられる。シフトトレイ202に導かれる場合には、シート束は排紙ローラ対6からシフトトレイ202に排紙される。また、中綴じ処理トレイG側に導かれたシート束は、中綴じ処理トレイGで折り及び綴じを施され、排紙搬送路Hを通り排紙ローラ83から下トレイ203へ排紙される。
他方、搬送路D内には分岐爪17が配置され、図示しない低荷重バネにより図の状態に保持されており、搬送ローラ7によって搬送されるシートの後端が前記分岐爪17を通過した後、搬送ローラ9,10、スティプル排紙ローラ11のうち少なくとも搬送ローラ9を逆転させ、シートをターンガイド8に沿って逆行させることができる。これにより、シート後端からシートをシート収容部Eへ導いて滞留(プレスタック)させ、次シートと重ね合せて搬送することが可能なように構成されている。この動作を繰り返すことによって2枚以上のシートを重ね合せて搬送することも可能である。なお、符号304はシートをプレスタックさせる際の逆送タイミングを設定するためのプレスタックセンサである。
搬送路Dに導かれ、シート揃えと端部綴じを行う場合、スティプル排紙ローラ11によって端面綴じ処理トレイFへ導かれたシートは、端面綴じ処理トレイF上に順次積載される。この場合、シート毎に叩きコロ12と後端基準フェンス51で縦方向(シート搬送方向)の整合が行われ、ジョガーフェンス53によって横方向(シート搬送方向と直交する方向−シート幅方向とも称す)の整合が行われる。ジョブの切れ目、すなわち、シート束の最終紙から次のシート束先頭紙までの間で、図示しない制御装置からのスティプル信号により綴じ手段としての端面綴じスティプラS1が駆動され、綴じ処理が行われる。綴じ処理が行われたシート束は、直ちに放出爪52aが突設された放出ベルト52(図2参照)によりシフト排紙ローラ6へ送られ、受け取り位置にセットされているシフトトレイ202に排紙される。
放出ベルト52は図2及び図4に示すようにシート幅方向の中心である整合中心に位置し、プーリ62間に張架され、放出ベルト駆動モータ157により駆動される。また、複数の放出ローラ56が前記放出ベルト52に関して対称に配置され、駆動軸に対して回転自在に設けられ、従動コロとして機能している。
放出爪52aは、放出ベルトHPセンサ311によりホームポジションが検知されるようになっており、この放出ベルトHPセンサ311は放出ベルト52に設けられた放出爪52aによりオン・オフする。放出ベルト52の外周上には対向する位置に2つの放出爪52aが配置され、端面綴じ処理トレイFに収容されたシート束を交互に移動搬送する。また必要に応じて放出ベルト52を逆回転させ、これからシート束を移動するように待機している放出爪52aと対向側の放出爪52aの背面で端面綴じ処理トレイFに収容されたシート束の搬送方向先端を揃えるようにすることもできる。
なお、図1において、符号110は後端押さえレバーであり、後端基準フェンス51に収容されたシート束SBの後端を押さえることができるように後端基準フェンス51の下端部に位置し、端面綴じ処理トレイFに対してほぼ垂直な方向に往復動する。端面綴じ処理トレイFに排出されたシートは、シート毎に叩きコロ12と後端基準フェンス51とによって縦方向(シート搬送方向)の整合が行われるが、端面綴じ処理トレイFに積載されたシート後端がカールしていたり、腰が弱かったりするとシート自身の重量によって後端が座屈し膨らむ傾向にある。更に、その積載枚数が増えることによって、後端基準フェンス51内の次のシートが入る隙間が小さくなり、縦方向の揃えが悪くなる傾向にある。そこで、シート後端の膨らみを少なくしてシートが後端基準フェンス51に入りやすくするようにしたのが、後端押さえ機構であり、シートを直接押さえるのが後端押さえレバー110である。
また、図1において、符号302,303,304,305,310はそれぞれシート検知センサであり、設けられた位置におけるシートの通過の有無、若しくはシートの積載の有無を検知する。
図2は端面綴じ処理トレイFをトレイの積載面側から見た概略構成図で、図1の右側面側から見た場合に相当する。同図において、上流側の画像形成装置PRより受け入れたシートの幅方向の整合はジョガーフェンス53a及び53bによって実施され、縦方向は後端基準フェンス51a,51b(図1では符号51で示す)に突き当てて整合される。後端基準フェンス51a,51bは、それぞれ内側にシート後端STが当接し、保持されるスタック面51a1,51b1を備え、シート後端STを2点で支持するようになっている。整合動作完了後は、端面綴じスティプラS1により綴じ処理が施され、図4の放出ベルトの動作を示す斜視図から分かるように、放出ベルト52が放出ベルト駆動モータ157によって反時計方向に駆動され、綴じ処理後のシート束は、後端基準フェンス51a,51bによって所定位置まで持ち上げられ、放出ベルト52に取り付けられた放出爪52aによってすくわれ、端面綴じ処理トレイFから放出される。なお、符号64a,64bは前側板及び後側板である。また、本動作は整合処理後に綴じ処理を実施しない未綴じ束においても同様の動作が可能である。
図3は端面綴じ処理トレイF及びその付属機構の概略構成を示す斜視図である。同図に示すように、スティプル排紙ローラ11により端面綴じ処理トレイFへ導かれたシートは順次端面綴じ処理トレイF上に積載される。このとき、端面綴じ処理トレイFに排出されるシートの枚数が1枚の場合、シート毎に叩きコロ12と後端基準フェンス51との間で縦方向(シート搬送方向)の整合が行われ、ジョガーフェンス53a,53bによって幅方向(シート搬送方向と直交するシート幅方向)の整合が行われる。叩きコロ12は支点12aを中心に叩きSOL170によって振り子運動を与えられ、端面綴じ処理トレイFへ送り込まれたシートに間欠的に作用してシート後端STを後端基準フェンス51に突き当てる。なお、叩きコロ12自身は図示反時計回りに回転する。ジョガーフェンス53は、図2及び図3に示すように前後1対(53a,53b)設けられ、正逆転可能なジョガーモータ158によりタイミングベルトを介して駆動され、シート幅方向に対称に近接・離間するように往復移動する。
図5はスティプラ移動機構を示す側面図であり、スティプラ配設側から見た正面図に相当する。端面綴じスティプラS1は図5に示すように、正逆転可能なスティプラ移動モータ159によりタイミングベルト159aを介して駆動され、シート後端部の所定位置を綴じるためにシート幅方向に移動する。その移動範囲の一側端には、端面綴じスティプラS1のホームポジションを検出するスティプラ移動HPセンサ312が設けられており、シート幅方向の綴じ位置は、前記ホームポジションからの端面綴じスティプラS1の移動量により制御される。端面綴じスティプラS1は、シート後端部で1個所若しくは複数個所(一般には2箇所)綴じることができるように構成され、少なくとも後端基準フェンス51a,51bによって支持されるシート後端STの全幅にわたって移動可能となっている。また、スティプル針の交換のために装置前側には最大限移動できるようになっており、ユーザのスティプル針交換操作の便を図っている。
図1に戻って、端面綴じ処理トレイFのシート搬送方向下流側には、シート束偏向機構が設けられている。端面綴じ処理トレイFから中綴じ処理トレイGへ、また端面綴じ処理トレイFからシフトトレイ202へシート束SBを送る搬送路、及びシート束SBを搬送する搬送手段は、シート束SBに搬送力を与える搬送機構35、シート束SBをターンさせる放出ローラ56、シート束SBをターンさせるためのガイドを行うガイド部材44とから構成されている。
各々の詳細な構成を説明すると、搬送機構35のローラ36には駆動軸37の駆動力がタイミングベルトによって伝達される構成となっており、ローラ36と駆動軸37はアームによって連結支持され、駆動軸37を回転支点として揺動可能となっている。搬送機構35のローラ36の揺動駆動はカム40によって行われ、カム40は回転軸を中心に回転し、図示しないモータによって駆動される。搬送機構35では、ローラ36の対向する位置には従動ローラ42が配置され、従動ローラ42とローラ36によってシート束を挟み、弾性材によって加圧し、搬送力を与えている。
端面綴じ処理トレイFから中綴じ処理トレイGへシート束をターンさせる搬送路は、放出ローラ56と放出ローラ56に対向する側のガイド部材44の内面との間に形成される。ガイド部材44は支点を中心に回動し、その駆動は束分岐駆動モータ161(図2参照)から伝達される。端面綴じ処理トレイFからシフトトレイ202へシート束を搬送する場合には、ガイド部材44が支点を中心に図示時計方向に回動し、ガイド部材44の外面(放出ローラ56と対向しない側の面)とその外側のガイド板間の空間が搬送路として機能する。端面綴じ処理トレイFから中綴じ処理トレイGへシート束Pを送る場合、端面綴じ処理トレイFで整合されたシート束SBの後端を放出爪52aで押し上げ、搬送機構35のローラ36と、これに対向する対向する従動ローラ42との間でシート束を挟み、搬送力を与える。このとき搬送機構35のローラ36は、シート束SB先端にぶつからないような位置で待機している。次に、シート束SB先端が通過してからシート表面に搬送機構35のローラ36を接触させ、搬送力を与える。このときガイド部材44と放出ローラ56とでターン搬送路のガイドを形成し、シート束SBを下流の中綴じ処理トレイGへと搬送する。
中綴じ処理トレイGは、図1に示すように搬送機構35、ガイド部材44及び放出ローラ56からなるシート束偏向機構の下流側に設けられている。中綴じ処理トレイGは、前記シート束偏向機構の下流側にほぼ垂直に設けられており、中央部に中折り機構が、その上方に束搬送ガイド板上92が、また、下方に束搬送ガイド板下91が配置されている。
また、束搬送ガイド板上92の上部には束搬送ローラ上71が、下部には束搬送ローラ下72がそれぞれ設けられているとともに、両ローラ71,72間を跨ぐように束搬送ガイド板上92の側面に沿って両側に中綴じ上ジョガーフェンス250aが配置されている。同様に束搬送ガイド板下91の側面に沿って両側に中綴じ下ジョガーフェンス250bが設けられ、この中綴じ下ジョガーフェンス250bが設置されている個所に中綴じスティプラS2が配置されている。中綴じ上ジョガーフェンス250a及び中綴じ下ジョガーフェンス250bは図示しない駆動機構により駆動され、シート搬送方向に直交する方向(シートの幅方向)の整合動作を行う。中綴じスティプラS2は、クリンチャ部とドライバ部とが対となったもので、シートの幅方向に所定の間隔をおいて2対設けられている。
また、束搬送ガイド板下91を横切るように可動後端基準フェンス73が配置され、タイミングベルトとその駆動機構とを備えた移動機構によりシート搬送方向(図において上下方向)に移動可能となっている。駆動機構は図1に示すように前記タイミングベルトが掛け渡された駆動プーリと従動プーリと、駆動プーリを駆動するステッピングモータとにより構成されている。同様に束搬送ガイド板上92の上端側には、後端叩き爪251と、その駆動機構が設けられている。後端叩き爪251はタイミングベルト252と図示しない駆動機構とによって前記シート束偏向機構から離れる方向とシート束の後端(シート束導入時に後端に当たる側)を押す方向とに往復移動可能となっている。
中折り機構は、中綴じ処理トレイGのほぼ中央部に設けられ、折りプレート74と折りローラ81と、折られたシート束を搬送する搬送路Hとからなっている。なお、図1において、符号326は後端叩き爪251のホームポジションを検出するためのホームポジションセンサ、符号323は中折りされたシートを検出するための折り部通過センサ、符号321はシート束が中折り位置に到達したことを検知する束検出センサ、符号322は可動後端基準フェンス73のホームポジションを検出する可動後端基準フェンスホームポジションセンサである。
また、この実施形態では、下トレイ203に中折りされたシート束SBの積層高さを検出する検出レバー501が支点501aによって揺動自在に設けられ、この検出レバー501の角度を紙面センサ505によって検出し、下トレイ203の昇降動作及びオーバーフロー検出を行っている。
図6は後端基準フェンスのシート搬送方向と直交する方向の移動機構(以下、幅方向移動機構と称す。)50を示す斜視図、図7はその側面図、図8は後端基準フェンス51のシート搬送方向の移動機構(以下、長さ方向移動機構と称す。)55及びその動作を示す説明図である。
これらの図において、後端基準フェンスの幅方向移動機構50は、ベース50b、スライド軸50c、タイミングベルト50e及びフェンス駆動モータ50d3からなる。ベース50bの両側には側板50aが立設され、スライド軸50cは、両側板50a間に支持固定され、後端基準フェンス51a,51bの支持部材51a2,51b2をスライド移動可能に支持する。タイミングベルト50eはスライド軸50cと平行に駆動側及び従動側のタイミングプーリ50d1,50d2間に張設され、フェンス駆動モータ50d3により駆動側のタイミングベルト50d4を介して駆動側のタイミングプーリ50d1を駆動することにより回転駆動される。
この幅方向移動機構50では、後端基準フェンス51aの支持部材51a2は平行なタイミングベルト50eの一方の側50e1に、後端基準フェンス51bの支持部材51b2は前記タイミングベルト50eの他方の側50e2に、幅方向中央の支持部材50d5に関して対称にそれぞれ取り付けられている。これより、例えばタイミングベルト50eが右回転すると、互いに前記幅方向中央の支持部材50d5に対して対称に近接し(矢印50d6方向)、右回転すると、前記支持部材50d5から対称に離間する(矢印50d7方向)。その結果、スタック面51a1,51b1の位置と両者間の距離をフェンス駆動モータ50d3の回転量によって設定することができる。そのため、制御の容易性と精度を勘案してフェンス駆動モータ50d3には、例えばステッピングモータが使用される。
後端基準フェンス51の長さ方向移動機構55は、スライド溝50f、ピン64c、ラック50g、ピニオン50h、駆動モータ50i、及びタイミングベルト50jからなる。スライド溝50fは前記ベース50bに立設された一対の側板50aに、端面綴じ処理トレイFの底板と平行に形成されている。ピン64cは前側板64aと後側板64bから立設され、前記スライド溝50fに遊嵌されて前記側板50aの移動位置を規制し、端面綴じ処理トレイFの底板と平行な方向の移動のみ許容する。この移動はタイミングベルト50jを介して前記駆動モータ50iの駆動力が伝達されるピニオン50hと、これに噛み合う一方の側の前記側板50aの端面に設けられたラック50gとにより行われる。本実施形態の場合、図8(b)に示す初期位置(最も下の位置)から図8(c)に示す最大駆動位置(最も上の位置)の間の任意に位置に、駆動モータ50iの回転量によって設定することができる。なお、最大駆動位置若しくは最大駆動位置に至る間で、放出爪52aに対してシート束の受け渡しが行われる。また、この駆動モータ50iも本実施形態では、制御の容易性と位置精度から例えばステッピングモータが使用される。
このように後端基準フェンス51a,51bのシート幅方向の位置及びシートの長さ方向の位置が前者はフェンス駆動モータ50d3により、後者は駆動モータ50iによりそれぞれ設定される。なお、シートSの幅方向の位置はシートサイズと幅方向のスティプル位置によって変更され、シートSの長さ方向の位置は、シート後端STからの綴じ位置の設定量に応じて変更される。
大略上記のように構成されたシート後処理装置PDでは、端面1個所綴じ、端面2個所綴じ、中綴じなどの綴じ処理が可能であるが、本発明は、シートSに対して端面2個所綴じを行う場合についてのプレスタック制御に関する発明であるので、本実施形態では、端面2個所綴じとプレスタック制御について説明する。
図9は、あるサイズのシート長辺SL側に対して2箇所綴じを行う場合の動作を示す説明図である。端面綴じ処理トレイFに搬送されたシートSあるいはシート束SBの縦と横方向の整合が完了した後、端面綴じスティプラS1により、図9(a)のように1箇所目の綴じ作業が行われる。符号S1cは綴じ針を示す。その後、端面綴じスティプラS1が図9(b)の矢印X方向に移動し、2箇所目の綴じ位置で綴じが行われる。2箇所の綴じが完了すると、図3(c)の矢印Y方向にシート束SBが搬送され、図1のシフトトレイ202に排出される。
ここで、2箇所綴じの綴じ針S1cの針ピッチがP(mm)の場合、その距離をある速度V(mm/sec)で移動すると、それにかかる時間Tは、
T=P/V(sec)
となる。
上記、時間T(スティプラ移動時間)の間に綴じ時間、シート整合のための時間、及びシート束SBを排出するための時間を加算した一連の処理が完了するまでは、次ジョブのシートSを端面綴じ処理トレイFに搬送できない。そのために、次ジョブのシートSを搬送路D及びシート収容部(プレスタック経路)Eに滞留させ、受け入れ準備ができるまで待機させている。このように待機させる動作をプレスタック、その制御をプレスタック制御と称している。なお、ジョブはここでは、綴じ処理する各部の綴じ処理作業を称する用語として使用しており、次ジョブは綴じ処理を行う次の部の1まとめの処理動作を言う。
プレスタック制御は、前にも触れたが、搬送経路の上流側から搬送されてきた次ジョブ1枚目のシート後端が分岐爪17を通過したら一旦停止させ、スイッチバックさせることによってシート収容部Eにシート後端を搬送する。分岐爪17は図1の位置に図示していないスプリングによって常に付勢されており、シート後端が通過するときだけ、作動する。シート収容部Eに搬送されたシートと次に搬送されてくるシートの先端同士が重なりあったら、2枚重ねて搬送し、再び2枚目の後端が分岐爪17を通過したら一旦停止させ、2枚重ねてスイッチバックさせて搬送経路Eに滞留させる。
すなわち、端面綴じ処理トレイF側で受け入れ準備ができるまで、滞留枚数を増加させて準備時間が経過するまでシートSをプレスタック経路(シート収容部E)に退避させる。これにより画像形成装置PR側の動作を停止し、あるいは遅延させる必要がないので、画像形成装置PRの生産性を低下させずに処理できる。
図10はスティプル間隔を大きくして2箇所綴じを行う例である。同図に示したように、端面綴じ処理トレイFへの受け入れ準備ができるまでに、次ジョブのシートSを搬送路D及びシート収容部Eに2枚滞留させなければ生産性がダウンしてしまう場合を考えると、同じプレスタック枚数のまま、図10のようにスティプル針S1cのピッチをP+α(mm)に広げてしてしまうと、端面綴じ処理トレイFでの受け入れ準備ができる前に端面綴じ処理トレイFにシートSを搬送してしまうことになる。実際に搬送してしまうとジャムになるので、受け入れ準備ができるまで時間を設けて待機させなくてはならない。そうすると生産性がダウンしてしまう。
そこで、本実施形態では、針ピッチがPからP+αに広がって、+α広がったことによって端面綴じスティプラS1の移動時間が長くなり、デフォルトの滞留枚数では間に合わない場合は、搬送路D及びシート収容部Eにおける滞留枚数を増加させて、長くなった時間に対応する。これにより、画像形成装置PR側で待機させる必要がなくなるので、生産性の低下は回避できる。
図11はシート後処理装置PDと画像形成装置PRからなる画像形成システムの制御構成を示すブロック図である。シート後処理装置PDはCPU_PD1、I/OインターフェイスPD2等を有するマイクロコンピュータを搭載した制御回路を備え、CPU_PD1には、画像形成装置PRのCPUあるいは操作パネルPR1の入力信号、各スイッチ等及び図示しない各センサからの信号が通信インターフェイスPD3を介して入力され、CPU_PD1は入力された信号に基づいて所定の制御を実行する。更に、CPU_PD1は、ドライバ、モータドライバを介してソレノイド及びモータを駆動制御し、インターフェイスから装置内のセンサ情報を取得する。また、制御対象やセンサに応じてI/0インターフェイスPD2を介してモータドライバによってモータの駆動制御を行い、センサからセンサ情報を取得する。なお、前記制御は、図示しないROMに格納されたプログラムコードをCPU_PD1が読み込んで図示しないRAMに展開し、当該RAMをワークエリア及びデータバッファとして使用しながら前記プログラムコードで定義されたプログラムに基づいて実行される。
また、図11におけるシート後処理装置PDの制御は画像形成装置PRのCPUからの指示若しくは情報に基づいて実行される。ユーザの操作指示は画像形成装置PRの操作パネルPR1から行われ、画像形成装置PRと操作パネルPR1は通信インターフェイスPD3を介して相互に接続されている。これにより、画像形成装置PRからはシート後処理装置PDへ操作パネルPR1からの操作信号が送信され、また、シート後処理装置PDの処理状態や機能が操作パネルPR1を介してユーザ又は作業者に通知される。
図12は、2箇所綴じピッチ変更に伴う滞留枚数の変更制御の制御手順を示すフローチャートであり、前記シート後処理装置PDのCPU_PD1によって実行される。
この処理手順では、2箇所綴じの綴じピッチ変更が指示されたとき、処理開始時に、まず、プレスタック機構を装備している機器か否か確認する(ステップS1)。装備していなければ、そのままジョブスタートする。装備していれば、2箇所綴じモードでのデフォルト滞留枚数を認識し(ステップS2)、そのジョブが滞留可能なジョブか判断し(ステップS3)、滞留可能なジョブでなければ、そのままジョブスタートする。滞留可能なジョブであれば、外部入力された2箇所綴じモードでの綴じピッチを確認する(ステップS4)。
綴じピッチが変更されたことにより、端面綴じスティプラS1の移動時間が長くなって、デフォルトの滞留枚数では対応できなければ、その滞留枚数を増加させ、スティプラS1の移動時間が短くなって、デフォルトの滞留枚数が生産性を維持する上で必要なくなれば、滞留枚数を減少させ(S5、S6、S7)、ジョブスタートさせる。
そこで、ステップS5では、2箇所綴じの予め設定されたデフォルトの滞留枚数が、綴じピッチ変更によるスティプル処理時間に対して過不足のない滞留枚数か否かを算出し、ステップS6でデフォルトの滞留枚数で過不足があるかどうかを判定する。過不足がなければ、そのままジョブスタートさせ、過不足があると判定されると、ステップS7で、不足の場合は滞留枚数を増加させ、過度の場合は滞留枚数を減少させるという処理を行い、ステップS8で滞留枚数を確定させ、ジョブをスタートする。なお、滞留の増加枚数及び減少枚数はステップS5の算出枚数と比較して確定する。
以上のように、本実施形態によれば、PP(プロダクトプリンティング)市場に納品されるマシンにおいて、ユーザの好みに応じて2箇所綴じの針ピッチを変更する場合に、2箇所綴じの針ピッチを広くしてスティプル処理時間が長くなり、デフォルトの滞留枚数では間に合わなくなった場合には自動的に滞留枚数を増加させ、生産性の低下を防止する。これに対し、2箇所綴じの針ピッチを狭くして、スティプル処理時間が短くなった場合は、滞留枚数を減少させ、生産性の低下を防止する。なお、滞留枚数は極力減少させた方が、端面綴じ処理トレイFに排出される重ね枚数が減少するため、揃えには有利に作用し、揃え精度が向上することになる。
なお、本発明は前述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。前記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者ならば、本明細書に開示の内容から、各種の代替例、修正例、変形例あるいは改良例を実現することができ、これらは添付の特許請求の範囲により規定される範囲に含まれる。