JP2012135939A - タイヤの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高品質なタイヤを安定に生産しうる製造方法の提供。
【解決手段】この製造方法は、(1)JIS K 6300−2に準拠して得られる誘導時間tc(10)が2.0分以上4.5分以下であるゴム組成物を用いて、部材を準備する工程、(2)この部材と他の部材とを組み合わせて、ローカバーを得る工程、(3)ローカバーをモールドに投入する工程、(4)ローカバーの内側に位置するブラダーに加熱媒体を充填してローカバーを加熱する工程及び(5)ブラダーに加圧媒体をさらに充填してローカバーを加圧する工程を含む。上記加熱工程における、ブラダーの内圧の上昇速度は0.1MPa/分以上1.0MPa/分以下である。この加熱媒体の充填を開始してから時刻t1までの圧力上昇時間は、0.5分以上5.0分以下である。
【選択図】図6

Description

本発明は、タイヤの製造方法に関する。
タイヤは、モールドとブラダーとに囲まれたキャビティにおいてローカバー(未架橋タイヤとも称される)を加圧及び加熱することにより得られる。
モールドとして、割モールドが用いられることがある。このモールドは、円弧状のトレッドセグメントを備えている。このモールドでは、複数のセグメントが並べられることで、リング状のキャビティ面が形成される。
このタイヤの製造方法には、(1)ブラダーに加熱媒体を充填し、ローカバーを加熱する工程、(2)ブラダーに加圧媒体をさらに充填し、ローカバーを加熱しつつ加圧する工程及び(3)ブラダーから加熱媒体及び加圧媒体を排出する工程が含まれている。
図9には、従来の製造方法における、加熱工程が開始されてから排出工程が完了するまでのブラダーの内圧の経時変化が示されている。横軸は時刻、縦軸は圧力を表している。この図9では、加熱工程の開始時刻がt0、その時刻t0におけるブラダーの内圧が基準圧P0(通常は、0kPa)として示されている。図9中、両矢印S1は加熱工程を、両矢印S2は加圧工程をそして両矢印S3は排出工程を表している。
加熱工程S1では、加熱媒体の充填により、ブラダーの内圧が時刻t1において一次圧P1に到達する。この加熱工程S1では、ブラダーの内圧は時刻t2までこの一次圧P1で保持される。通常、この加熱媒体には、その温度が180℃から200℃に調整されたスチームが用いられる。
時刻t2において、加圧工程S2が開始される。加圧工程S2では、ブラダーに加圧媒体が充填される。この充填により、ブラダーの内圧は時刻t3において二次圧P2に到達する。この加圧工程S2では、ブラダーの内圧は時刻t4までこの二次圧P2で保持される。通常、この加圧媒体には、常温の窒素ガスが用いられる。
時刻t4において、排出工程S3が開始される。この排出工程S3では、ブラダーから加熱媒体及び加圧媒体が排出される。この排出により、ブラダーの内圧は低下していく。この排出は、時刻t5において完了する。その後、モールドからタイヤが取り出される。
高品質なタイヤを安定に生産するために、タイヤの製造方法について様々な検討がなされている。この検討の例が、特開平9−300356号公報及び特開2002−36245公報に開示されている。
特開平9−300356号公報 特開2002−36245公報
前述した加熱工程S1においては、その開始と同時に、加熱媒体の配管に設けられたバルブが開けられる。これにより、ブラダーの内圧は一次圧P1まで一気に昇圧させられる。この製造方法では、ブラダーの内圧の上昇速度は制御されていない。
この製造方法では、ブラダーの内圧の上昇により、ローカバーは加熱されたモールドのキャビティ面に当接していく。ローカバーにおいては、その表面から、ゴム組成物の架橋反応が進行していく。
この製造方法では、架橋によりゴム組成物の流動性が低下し、このゴム組成物がキャビティ面の細部にまで行きわたらないことがある。この場合、タイヤの表面に欠けが発生してしまう。
流動性の高いゴム組成物が用いられた場合においては、モールドを構成する一のセグメントとこの一のセグメントの隣に位置する他のセグメントとの間に形成された隙間に、このゴム組成物が入り込むことがある。この場合、タイヤの表面にバリが形成されてしまう。この製造方法には、タイヤの外観に不具合が発生しやすいという問題がある。
タイヤの外観に不具合が発生すると、補修可能なタイヤには補修がなされる。しかし、この補修作業は手間である。この補修作業は、生産コストを上昇させてしまう。一方、補修不能なタイヤは廃棄される。この廃棄も、生産コストを上昇させてしまう。
本発明の目的は、高品質なタイヤを安定に生産しうる製造方法の提供にある。
本発明に係るタイヤの製造方法は、
(1)JIS K 6300−2に準拠して得られる誘導時間tc(10)が2.0分以上4.5分以下であるゴム組成物を用いて、部材を準備する工程、
(2)この部材と他の部材とを組み合わせて、ローカバーを得る工程、
(3)このローカバーをモールドに投入する工程、
(4)このローカバーの内側に位置するブラダーに加熱媒体を充填してこのローカバーを加熱する工程
及び
(5)このブラダーに加圧媒体をさらに充填してこのローカバーを加圧する工程
を含む。上記加熱工程において、上記加熱媒体の充填を開始してから時刻t1までの上記ブラダーの内圧の上昇速度は0.1MPa/分以上1.0MPa/分以下である。この加熱媒体の充填を開始してから時刻t1までの圧力上昇時間は、0.5分以上5.0分以下である。
好ましくは、このタイヤの製造方法では、上記部材はトレッド又はサイドウォールである。
本発明に係る製造方法によれば、外観不具合の発生が防止されうる。この製造方法では、高品質なタイヤが安定に生産されうる。
図1は、本発明の一実施形態に係る製造方法で製造されたタイヤの一部が示された断面図である。 図2は、図1のタイヤの製造に用いられる加硫装置の一部が示された平面図である。 図3は、図2のIII−III線に沿った断面図である。 図4は、図2の加硫装置を構成するモールドのセグメントが示された斜視図である。 図5は、タイヤの製造方法が示されたフロー図である。 図6は、ブラダーの内圧の経時変化を表したグラフである。 図7は、本発明の他の実施形態に係るタイヤの製造方法が示されたフロー図である。 図8は、ブラダーの内圧の経時変化を表したグラフである。 図9は、従来のタイヤの製造方法におけるブラダーの内圧の経時変化を表したグラフである。
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
図1に示されたタイヤ2は、トレッド4、サイドウォール6、ビード8、カーカス10、ベルト12、バンド14、インナーライナー16及びチェーファー18を備えている。このタイヤ2は、チューブレスタイプである。このタイヤ2は、乗用車に装着される。この図1において、上下方向が半径方向であり、左右方向が軸方向であり、紙面との垂直方向が周方向である。このタイヤ2は、図1中の一点鎖線CLを中心としたほぼ左右対称の形状を呈する。この一点鎖線CLは、タイヤ2の赤道面を表す。
トレッド4は、耐摩耗性に優れた架橋ゴムからなる。トレッド4は、半径方向外向きに凸な形状を呈している。トレッド4は、トレッド面20を備えている。このトレッド面20は、路面と接地する。トレッド面20には、溝22が刻まれている。この溝22により、トレッドパターンが形成されている。
サイドウォール6は、トレッド4の端から半径方向略内向きに延びている。このサイドウォール6は、架橋ゴムからなる。
ビード8は、サイドウォール6よりも半径方向略内側に位置している。ビード8は、コア24と、このコア24から半径方向外向きに延びるエイペックス26とを備えている。コア24は、リング状である。コア24は、非伸縮性ワイヤーが巻かれてなる。エイペックス26は、半径方向外向きに先細りである。エイペックス26は、高硬度な架橋ゴムからなる。
カーカス10は、カーカスプライ28からなる。カーカスプライ28は、両側のビード8の間に架け渡されており、トレッド4及びサイドウォール6の内側に沿っている。カーカスプライ28は、コア24の周りを、軸方向内側から外側に向かって折り返されている。
図示されていないが、カーカスプライ28は、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。各コードが赤道面に対してなす角度の絶対値は、通常は70°から90°である。コードは、通常は有機繊維からなる。好ましい有機繊維としては、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。バイアス構造のカーカスが採用されてもよい。
ベルト12は、カーカス10の半径方向外側に位置している。ベルト12は、カーカス10と積層されている。ベルト12は、カーカス10を補強する。ベルト12は、内側層30及び外側層32からなる。図示されていないが、内側層30及び外側層32のそれぞれは、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。各コードは、赤道面に対して傾斜している。傾斜角度の絶対値は、10°以上35°以下である。内側層30のコードの傾斜方向は、外側層32のコードの傾斜方向とは逆である。コードの好ましい材質は、スチールである。コードに、有機繊維が用いられてもよい。
バンド14は、ベルト12を覆っている。図示されていないが、このバンド14は、コードとトッピングゴムとからなる。コードは実質的に周方向に延びており、螺旋状に巻かれている。コードは、通常は有機繊維からなる。好ましい有機繊維としては、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。
インナーライナー16は、カーカス10の内周面に接合されている。インナーライナー16は、架橋ゴムからなる。
チェーファー18は、ビード8の近傍に位置している。タイヤ2がリムに組み込まれると、このチェーファー18がリムと当接する。チェーファー18は、通常は布とこの布に含浸したゴムとからなる。ゴム単体からなるチェーファー18が用いられてもよい。
図2及び図3には、図1のタイヤ2の製造に用いられる加硫装置34が示されている。この加硫装置34は、ブラダー36及びモールド38を備えている。図3中、符号Rで示されているのはローカバー(未架橋タイヤとも称される。)である。この加硫装置34では、ブラダー36とモールド38とに囲まれたキャビティ40においてローカバーRが加圧及び加熱される。この加圧及び加熱により、タイヤ2が得られる。なお、図2において両矢印Aで示されている方向が周方向であり、この紙面に対して垂直な方向が軸方向である。図3においては、左右方向が半径方向であり、上下方向が軸方向である。
ブラダー36は、架橋ゴムからなる。図3に示されているように、ブラダー36は半径方向においてローカバーRの内側に位置している。ブラダー36は、略円筒状を呈している。
この加硫装置34では、ブラダー36の内部には気体が充填される。この充填により、ブラダー36は膨張する。この内部から気体が排出されると、ブラダー36は収縮する。
モールド38は、多数のトレッドセグメント42と、上下一対のサイドプレート44と、上下一対のビードリング46とを備えている。セグメント42の平面形状は、実質的に円弧状である。このモールド38では、多数のセグメント42がリング状に配置されている。セグメント42の数は、通常3以上20以下である。このモールド38では、サイドプレート44及びビードリング46は、実質的にリング状である。このモールド38は、いわゆる「割モールド」である。このモールド38では、セグメント42、サイドプレート44及びビードリング46が組み合わされることにより、キャビティ面48が構成される。このキャビティ面48が、タイヤ2の外面を形作る。
図4には、セグメント42が示されている。この図4において、矢印Xで示された方向が半径方向であり、矢印Yで示された方向が軸方向である。
このモールド38では、セグメント42はホルダー50とブロック52とからなる。ホルダー50は、鋼又はアルミニウム合金からなる。ブロック52は、ホルダー50に装着されている。
ブロック52は、成形面54を備えている。成形面54は、キャビティ面48の一部をなしている。この成形面54は、凸部56と凹部58とを備えている。この凸部56は、タイヤ2のトレッド4の溝22に対応する。この凸部56及び凹部58により、タイヤ2にトレッドパターンが形成される。なお図3では、凸部56及び凹部58の図示が省略されている。このブロック52は、金属材料からなる。典型的な金属材料は、アルミニウム合金である。
このモールド38では、セグメント42の、隣接するセグメント42に当接する面60は、分割面と称されている。分割面60と、この分割面60に隣接する他の分割面60との間には、微小な隙間が生じる。このモールド38では、この隙間を通じてエアが排出される。
図5は、タイヤ2の製造方法が示されたフロー図である。この製造方法は、準備工程(STEP1)、予備成形工程(STEP2)、投入工程(STEP3)、第一加熱工程(STEP4)、第二加熱工程(STEP5)、加圧工程(STEP6)及び排出工程(STEP7)を含んでいる。
準備工程(STEP1)では、ゴム組成物を用いて、トレッド4、サイドウォール6、ビード8等の部材が準備される。これら部材は、フォーマー(図示されず)に供給される。
予備成形工程(STEP2)では、フォーマーにおいて、準備された部材が組み合わされる。この組み合わせにより、ローカバーRが得られる。
投入工程(STEP3)では、ローカバーRは開かれたモールド38に投入される。投入のとき、モールド38は加熱されている。ブラダー36は、このモールド38の内側において収縮している。投入後、モールド38は閉じられ、第一加熱工程(STEP4)が開始される。
第一加熱工程(STEP4)では、ブラダー36に第一加熱媒体が充填される。この充填により、ブラダー36は膨張する。ブラダー36は、ローカバーRに当接する。このブラダー36は、ローカバーRを押し広げる。ローカバーRは、モールド38のキャビティ面48に当接していく。
この製造方法では、第一加熱媒体は、その温度が180℃から200℃に調整されたスチームである。第一加熱媒体は、高温である。しかも、この第一加熱媒体の熱容量は大きい。この第一加熱媒体は、ローカバーRに十分な熱量を供給しうる。第一加熱媒体は、ローカバーRを加熱しうる。前述したように、モールド38は加熱されている。このため、ローカバーRはその外側及び内側から加熱される。
図6に示されているのは、第一加熱工程(STEP4)が開始されてから排出工程(STEP7)が完了するまでのブラダー36の内圧の経時変化である。この図6において、横軸が時刻、縦軸が圧力を表している。第一加熱工程の開始時刻がt0、その時刻t0におけるブラダー36の内圧が基準圧P0として示されている。なお、この製造方法では、基準圧P0は0kPaである。
図示されているように、第一加熱工程(STEP4)では、第一加熱媒体の充填により、ブラダー36の内圧は徐々に上昇していく。ブラダー36の内圧は、時刻t1において一次圧P1に到達する。この第一加熱工程では、ブラダー36に第一加熱媒体が充填され、ブラダー36の内圧は時間をかけて一次圧P1に到達させられる。ローカバーRは、加圧及び加熱される。加圧及び加熱により、ローカバーRは流動しつつ、その表面からゴム組成物の架橋反応が進展していく。
第二加熱工程(STEP5)では、ブラダー36に第二加熱媒体がさらに充填される。この充填により、ブラダー36はさらに膨張する。ブラダー36は、ローカバーRと十分に当接する。ブラダー36は、ローカバーRをさらに押し広げる。ブラダー36は、ローカバーRの形状を整える。
この製造方法では、第二加熱媒体には、前述の第一加熱媒体と同じ、その温度が180℃から200℃に調整されたスチームが用いられる。したがって、この第二加熱媒体も、ローカバーRに十分な熱量を供給しうる。ローカバーRは、第二加熱媒体によりさらに加熱される。なお、この製造方法では、第一加熱工程から第二加熱工程までの一連の工程が加熱工程とも称される。
図6に示されているように、第二加熱工程(STEP5)は時刻t1において開始される。この製造方法では、ブラダー36の内圧が一次圧P1に到達後直ぐに、第二加熱工程が開始される。この第二加熱工程では、第二加熱媒体の充填により、ブラダー36の内圧は一気に昇圧させられる。ブラダー36の内圧は、時刻t2において二次圧P2に到達する。そして、このブラダー36の内圧は、時刻t3までこの二次圧P2で保持される。この二次圧P2は、加熱工程における最高到達圧力である。この二次圧P2は、一次圧P1よりも高い。この製造方法では、この二次圧P2は1.0MPaから1.5MPaに調整される。
加圧工程(STEP6)では、ブラダー36に加圧媒体がさらに充填される。この充填により、ブラダー36はさらに膨張していく。ブラダー36は、ローカバーRをモールド38のキャビティ面48に押し付ける。この押し付けにより、ローカバーRはさらに加圧される。
図6に示されているように、加圧工程(STEP6)は時刻t3において開始される。この加圧工程では、加圧媒体の充填により、ブラダー36の内圧はさらに上昇していく。ブラダー36の内圧は、時刻t4において三次圧P3に到達する。そして、このブラダー36の内圧は、時刻t5までこの三次圧P3で保持される。この三次圧P3は、加圧工程における最高到達圧力である。この製造方法では、この三次圧P3は2.1MPaから2.4MPaに調整される。
この製造方法では、加圧媒体の充填を開始してからブラダー36の内圧が三次圧P3に到達するまでの時間(以下、加圧時間Tb(=t4−t3))は、0.5分以下に設定される。ブラダー36の内圧が三次圧P3に到達してから加熱媒体及び加圧媒体の排出が開始されるまでの時間(以下、加圧保持時間Tc(=t5−t4))は、3分以上15分以下に設定される。
この加圧工程(STEP6)では、ブラダー36には、加圧媒体以外に、第一加熱媒体及び第二加熱媒体が充填されている。このため、この加圧工程では、ローカバーRは加圧及び加熱される。ゴムの架橋反応が進展し、タイヤ2が得られる。
この製造方法では、加圧媒体には、常温の窒素ガスが用いられる。この加圧媒体は、第一加熱媒体及び第二加熱媒体よりも低温である。この加圧媒体の熱容量は、第一加熱媒体及び第二加熱媒体のそれよりも小さい。このため、この加圧媒体は、断熱圧縮による温度上昇を防止しうる。この加圧工程(STEP6)では、ローカバーRを加熱する温度が適切に維持されるので、適正に加硫されたタイヤ2が得られる。この加圧媒体は、高品質なタイヤ2の生産に寄与しうる。しかも、前述したように、この加圧媒体は窒素ガスである。このため、この加圧媒体はブラダー36の耐久性向上にも寄与しうる。
図6に示されているように、排出工程(STEP7)は時刻t5において開始される。排出工程では、ブラダー36から加熱媒体及び加圧媒体が排出される。加熱媒体及び加圧媒体の排出により、ブラダー36の内圧は低下していく。この排出は、時刻t6において完了する。その後、モールド38からタイヤ2が取り出される。
前述したように、この製造方法では、第一加熱工程(STEP4)では、第一加熱媒体の充填により、ブラダー36の内圧は徐々に上昇していく。このため、ローカバーRのゴム組成物はその流動性を失う前にキャビティ面48の細部にまで到達しうる。ゴム組成物がキャビティ面48の細部にまで行きわたった後に第二加熱工程(STEP5)及び加圧工程(STEP6)が開始されるので、タイヤ2の外観が設計した通りに形成される。この製造方法は、欠け等の不具合の発生を効果的に防止しうる。この製造方法では、高品質なタイヤ2が安定に生産されうる。
この製造方法では、第一加熱工程(STEP4)において、ブラダー36の内圧は一気に昇圧されない。このため、この製造方法では、モールド38の分割面60と、この分割面60に隣接する他の分割面60との間に生じた隙間へのゴム組成物の浸入が抑制されている。この製造方法では、バリの形成が抑えられたタイヤ2が得られうる。この製造方法では、高品質なタイヤ2が安定に生産されうる。
このように、この製造方法によれば、生産されたタイヤ2の外観不具合の発生が効果的に防止されうる。この製造方法では、タイヤ2の補修の頻度及び補修不能なために廃棄されるタイヤ2の本数が低減されうる。この製造方法は、タイヤ2の生産コストの低減に寄与しうる。
前述したように、図6中、時刻t0は第一加熱工程を開始した時刻である。圧力P0は、この時刻t0におけるブラダー36の内圧である。時刻t1は、第一加熱工程を終了した時刻である。圧力P1は、この時刻t1におけるブラダー36の内圧である。この製造方法では、時刻t0から時刻t1までのブラダー36の内圧の上昇速度は、圧力P1と圧力P0との差(P1−P0)の、時刻t1と時刻t0との差(t1−t0)に対する比((P1−P0)/(t1−t0))で表される。そして、この時刻t1と時刻t0との差(t1−t0)が、第一加熱媒体の充填を開始してから時刻t1までの圧力上昇時間である。図6中、この圧力上昇時間が両矢印Taで示されている。
この製造方法では、第一加熱工程(STEP4)における、ブラダー36の内圧の上昇速度は0.1MPa/分以上1.0MPa/分以下である。この上昇速度が0.1MPa/分以上に設定されることにより、ブラダー36の内圧がゴム組成物の流動性に効果的に寄与しうる。この製造方法では、ローカバーRのゴム組成物はその流動性を失う前にキャビティ面48の細部にまで到達しうる。ゴム組成物がキャビティ面48の細部にまで行きわたった後に第二加熱工程(STEP5)及び加圧工程(STEP6)が開始されるので、タイヤ2の外観に欠け等の不具合の発生が効果的に防止されている。この製造方法では、高品質なタイヤ2が安定に生産されうる。この観点から、この上昇速度は0.2MPa/分以上が好ましい。この上昇速度が1.0MPa/分以下に設定されることにより、ゴム組成物の過剰な流動が防止されている。この製造方法では、モールド38の分割面60と、この分割面60に隣接する他の分割面60との間に生じた隙間へのゴム組成物の浸入が抑制されている。この製造方法では、バリの形成が抑えられたタイヤ2が得られうる。この製造方法では、高品質なタイヤ2が安定に生産されうる。この観点から、この上昇速度は0.5MPa/分以下が好ましい。
この製造方法では、タイヤ2の生産時間が適切に維持されうるという観点から、圧力上昇時間Taは5.0分以下に設定される。上昇速度の制御の観点から、この圧力上昇時間は0.5分以上に設定される。
この製造方法では、ローカバーRのゴム組成物の誘導時間tc(10)は、2.0以上4.5分以下である。誘導時間tc(10)が2.0分以上に設定されることにより、ゴム組成物の流動性の急激な低下が防止されている。この製造方法では、ローカバーRのゴム組成物はその流動性を失う前にキャビティ面48の細部にまで到達しうる。ゴム組成物がキャビティ面48の細部にまで行きわたった後に第二加熱工程(STEP5)及び加圧工程(STEP6)が開始されるので、タイヤ2の外観に欠け等の不具合の発生が効果的に防止されている。この製造方法では、高品質なタイヤ2が安定に生産されうる。この観点から、この誘導時間tc(10)は2.5分以上が好ましい。この誘導時間tc(10)が4.5分以下に設定されることにより、ゴム組成物の過剰な流動が防止される。この製造方法では、モールド38の分割面60と、この分割面60に隣接する他の分割面60との間に生じた隙間へのゴム組成物の浸入が抑制されている。この製造方法では、バリの形成が抑えられたタイヤ2が得られうる。この製造方法では、高品質なタイヤ2が安定に生産されうる。この観点から、この誘導時間tc(10)は3.6分以下が好ましい。なお、この誘導時間tc(10)は、JIS K 6300−2に準拠して、JSR製の商品名「キュラストメーター(レオメーター)」を用いて、下記の測定条件で測定された時間−応力曲線から読み取った10%加硫度に達するまでの時間である。
測定温度:160℃
振幅角:±3°
図1に示されているように、タイヤ2の外面はトレッド4及びサイドウォール6で構成されている。このため、ブラダー36の内圧の上昇により、モールド38のキャビティ面48に当接するのは、ローカバーRのトレッド4及びサイドウォール6である。したがって、この製造方法では、高品質なタイヤ2が安定に生産されうるという観点から、このトレッド4が、JIS K 6300−2に準拠して得られる誘導時間tc(10)が2.0分以上4.5分以下であるゴム組成物を用いて構成されるのが好ましい。このサイドウォール6が、JIS K 6300−2に準拠して得られる誘導時間tc(10)が2.0分以上4.5分以下であるゴム組成物を用いて構成されるのが好ましい。
このように、この製造方法では、第一加熱工程におけるブラダー36の内圧の上昇速度、圧力上昇時間Ta及びゴム組成物の誘導時間tc(10)がそれぞれ適切に調整されている。この製造方法では、ローカバーRのゴム組成物はその流動性を失う前にキャビティ面48の細部にまで確実に到達しうる。ゴム組成物がキャビティ面48の細部にまで行きわたった後に第二加熱工程(STEP5)及び加圧工程(STEP6)が開始されるので、タイヤ2の外観に欠け等の不具合の発生が効果的に防止されている。しかも、この製造方法では、ゴム組成物の過剰な流動が防止されている。モールド38の分割面60と、この分割面60に隣接する他の分割面60との間に生じた隙間へのゴム組成物の浸入が抑制されているので、バリの形成が抑えられたタイヤ2が得られうる。この製造方法では、高品質なタイヤ2が安定に生産されうる。
図7に示されているのは、本発明の他の実施形態に係るタイヤ2の製造方法が示されたフロー図である。この製造方法は、準備工程(STEP1)、予備成形工程(STEP2)、投入工程(STEP3)、加熱工程(STEP4)、加圧工程(STEP5)及び排出工程(STEP6)を含んでいる。この製造方法においても、図2から図4に示された加硫装置34が用いられ、図1に示されたタイヤ2が得られる。
準備工程(STEP1)では、ゴム組成物を用いて、トレッド4、サイドウォール6、ビード8等の部材が準備される。これら部材は、フォーマー(図示されず)に供給される。
予備成形工程(STEP2)では、フォーマーにおいて、準備された部材が組み合わされる。この組み合わせにより、ローカバーRが得られる。
投入工程(STEP3)では、ローカバーRは開かれたモールド38に投入される。投入のとき、モールド38は加熱されている。ブラダー36は、このモールド38の内側において収縮している。投入後、モールド38は閉じられ、第一加熱工程(STEP4)が開始される。
加熱工程(STEP4)では、ブラダー36に加熱媒体が充填される。この充填により、ブラダー36は膨張する。ブラダー36は、ローカバーRに当接する。このブラダー36は、ローカバーRを押し広げる。ブラダー36は、ローカバーRの形状を整える。ローカバーRは、モールド38のキャビティ面48に当接していく。
この製造方法では、加熱媒体は、その温度が180℃から200℃に調整されたスチームである。この加熱媒体は、高温である。しかも、この加熱媒体の熱容量は大きい。加熱媒体は、ローカバーRを加熱しうる。前述したように、モールド38は加熱されている。このため、ローカバーRはその外側及び内側から加熱される。
図8に示されているのは、加熱工程(STEP4)が開始されてから排出工程(STEP6)が完了するまでのブラダー36の内圧の経時変化である。この図8において、横軸が時刻、縦軸が圧力を表している。第一加熱工程の開始時刻がt0、その時刻t0におけるブラダー36の内圧が基準圧P0として示されている。
図示されているように、加熱工程(STEP4)では、加熱媒体の充填により、ブラダー36の内圧は徐々に上昇していく。ブラダー36の内圧は、時刻t1において一次圧P1に到達する。この加熱工程(STEP4)では、ブラダー36に加熱媒体が充填され、ブラダー36の内圧は時間をかけて一次圧P1に到達させられる。ローカバーRは、加圧及び加熱される。加圧及び加熱により、ローカバーRは流動しつつ、その表面からゴム組成物の架橋反応が進展していく。
この製造方法では、この一次圧P1は、加熱工程における最高到達圧力である。この製造方法では、ブラダー36の内圧が一次圧P1に到達すると直ぐに加圧工程(STEP5)が開始される。
加圧工程(STEP5)では、ブラダー36に加圧媒体がさらに充填される。この充填により、ブラダー36はさらに膨張していく。ブラダー36は、ローカバーRをモールド38のキャビティ面48に押し付ける。この押し付けにより、ローカバーRはさらに加圧される。
図8に示されているように、加圧工程(STEP5)は時刻t1において開始される。この加圧工程では、加圧媒体の充填により、ブラダー36の内圧はさらに上昇していく。ブラダー36の内圧は、時刻t2において二次圧P2に到達する。そして、このブラダー36の内圧は、時刻t3までこの二次圧P2で保持される。この二次圧P2は、加圧工程における最高到達圧力である。この製造方法では、この二次圧P2は2.1MPaから2.4MPaに調整される。
この製造方法では、加圧媒体の充填を開始してからブラダー36の内圧が二次圧P2に到達するまでの時間(以下、加圧時間Tb(=t2−t1))は、0.5分以下に設定される。ブラダー36の内圧が二次圧P2に到達してから加熱媒体及び加圧媒体の排出が開始されるまでの時間(以下、加圧保持時間Tc(=t3−t2))は、3分以上15分以下に設定される。
この加圧工程(STEP5)では、ブラダー36には、加圧媒体以外に、加熱媒体が充填されている。このため、この加圧工程では、ローカバーRは加圧及び加熱される。ゴムの架橋反応が進展し、タイヤ2が得られる。
この製造方法では、加圧媒体には、常温の窒素ガスが用いられる。この加圧媒体は、加熱媒体よりも低温である。この加圧媒体の熱容量は、加熱媒体のそれよりも小さい。このため、この加圧媒体は、断熱圧縮による温度上昇を防止しうる。この加圧工程(STEP5)では、ローカバーRを加熱する温度が適切に維持されるので、適正に加硫されたタイヤ2が得られる。この加圧媒体は、高品質なタイヤ2の生産に寄与しうる。
図8に示されているように、排出工程(STEP6)は時刻t3において開始される。排出工程では、ブラダー36から加熱媒体及び加圧媒体が排出される。加熱媒体及び加圧媒体の排出により、ブラダー36の内圧は低下していく。この排出は、時刻t4において完了する。その後、モールド38からタイヤ2が取り出される。
前述したように、この製造方法では、加熱工程(STEP4)では、加熱媒体の充填により、ブラダー36の内圧は徐々に上昇していく。このため、ローカバーRのゴム組成物はその流動性を失う前にキャビティ面48の細部にまで到達しうる。ゴム組成物がキャビティ面48の細部にまで行きわたった後に加圧工程(STEP5)が開始されるので、タイヤ2の外観が設計した通りに形成される。この製造方法は、欠け等の不具合の発生を効果的に防止しうる。この製造方法では、高品質なタイヤ2が安定に生産されうる。
この製造方法では、加熱工程(STEP4)において、ブラダー36の内圧は一気に昇圧されない。このため、この製造方法では、モールド38の分割面60と、この分割面60に隣接する他の分割面60との間に生じた隙間へのゴム組成物の浸入が抑制されている。この製造方法では、バリの形成が抑えられたタイヤ2が得られうる。この製造方法では、高品質なタイヤ2が安定に生産されうる。
このように、この製造方法によれば、生産されたタイヤ2の外観不具合の発生が効果的に防止されうる。この製造方法では、タイヤ2の補修の頻度及び補修不能なために廃棄されるタイヤ2の本数が低減されうる。この製造方法は、タイヤ2の生産コストの低減に寄与しうる。
前述したように、図8中、時刻t0は加熱工程を開始した時刻である。圧力P0は、この時刻t0におけるブラダー36の内圧である。時刻t1は、加熱工程を終了した時刻である。圧力P1は、この時刻t1におけるブラダー36の内圧である。この製造方法では、時刻t0から時刻t1までのブラダー36の内圧の上昇速度は、圧力P1と圧力P0との差(P1−P0)の、時刻t1と時刻t0との差(t1−t0)に対する比((P1−P0)/(t1−t0))で表される。そして、この時刻t1と時刻t0との差(t1−t0)が、加熱媒体の充填を開始してから時刻t1までの圧力上昇時間である。図8中、この圧力上昇時間が両矢印Taで示されている。
この製造方法では、加熱工程(STEP4)における、ブラダー36の内圧の上昇速度は0.1MPa/分以上1.0MPa/分以下である。この上昇速度が0.1MPa/分以上に設定されることにより、ブラダー36の内圧がゴム組成物の流動性に効果的に寄与しうる。この製造方法では、ローカバーRのゴム組成物はその流動性を失う前にキャビティ面48の細部にまで到達しうる。ゴム組成物がキャビティ面48の細部にまで行きわたった後に加圧工程(STEP5)が開始されるので、タイヤ2の外観に欠け等の不具合の発生が効果的に防止されている。この製造方法では、高品質なタイヤ2が安定に生産されうる。この観点から、この上昇速度は0.2MPa/分以上が好ましい。この上昇速度が1.0MPa/分以下に設定されることにより、ゴム組成物の過剰な流動が防止されている。この製造方法では、モールド38の分割面60と、この分割面60に隣接する他の分割面60との間に生じた隙間へのゴム組成物の浸入が抑制されている。この製造方法では、バリの形成が抑えられたタイヤ2が得られうる。この製造方法では、高品質なタイヤ2が安定に生産されうる。この観点から、この上昇速度は0.5MPa/分以下が好ましい。
この製造方法では、タイヤ2の生産時間が適切に維持されうるという観点から、圧力上昇時間Taは5.0分以下に設定される。上昇速度の制御の観点から、この圧力上昇時間は0.5分以上に設定される。
この製造方法では、ローカバーRのゴム組成物の誘導時間tc(10)は、2.0以上4.5分以下である。誘導時間tc(10)が2.0分以上に設定されることにより、ゴム組成物の流動性の急激な低下が防止されている。この製造方法では、ローカバーRのゴム組成物はその流動性を失う前にキャビティ面48の細部にまで到達しうる。ゴム組成物がキャビティ面48の細部にまで行きわたった後に第二加熱工程(STEP5)が開始されるので、タイヤ2の外観に欠け等の不具合の発生が効果的に防止されている。この製造方法では、高品質なタイヤ2が安定に生産されうる。この観点から、この誘導時間tc(10)は2.5分以上が好ましい。この誘導時間tc(10)が4.5分以下に設定されることにより、ゴム組成物の過剰な流動が防止される。この製造方法では、モールド38の分割面60と、この分割面60に隣接する他の分割面60との間に生じた隙間へのゴム組成物の浸入が抑制されている。この製造方法では、バリの形成が抑えられたタイヤ2が得られうる。この製造方法では、高品質なタイヤ2が安定に生産されうる。この観点から、この誘導時間tc(10)は3.6分以下が好ましい。なお、前述したように、この誘導時間tc(10)は、JIS K 6300−2に準拠して、JSR製の商品名「キュラストメーター(レオメーター)」を用いて、下記の測定条件で測定された時間−応力曲線から読み取った10%加硫度に達するまでの時間である。
測定温度:160℃
振幅角:±3°
図示されていないが、タイヤ2の外面はトレッド4及びサイドウォール6で構成されている。このため、ブラダー36の内圧の上昇により、モールド38のキャビティ面48に当接するのは、ローカバーRのトレッド4及びサイドウォール6である。したがって、この製造方法では、高品質なタイヤ2が安定に生産されうるという観点から、このトレッド4が、JIS K 6300−2に準拠して得られる誘導時間tc(10)が2.0分以上4.5分以下であるゴム組成物を用いて構成されるのが好ましい。このサイドウォール6が、JIS K 6300−2に準拠して得られる誘導時間tc(10)が2.0分以上4.5分以下であるゴム組成物を用いて構成されるのが好ましい。
このように、この製造方法では、加熱工程におけるブラダー36の内圧の上昇速度、圧力上昇時間Ta及びゴム組成物の誘導時間tc(10)がそれぞれ適切に調整されている。この製造方法では、ローカバーRのゴム組成物はその流動性を失う前にキャビティ面48の細部にまで確実に到達しうる。ゴム組成物がキャビティ面48の細部にまで行きわたった後に加圧工程(STEP5)が開始されるので、タイヤ2の外観に欠け等の不具合の発生が効果的に防止されている。しかも、この製造方法では、ゴム組成物の過剰な流動が防止されている。モールド38の分割面60と、この分割面60に隣接する他の分割面60との間に生じた隙間へのゴム組成物の浸入が抑制されているので、バリの形成が抑えられたタイヤ2が得られうる。この製造方法では、高品質なタイヤ2が安定に生産されうる。
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
[実施例1]
予備成形で得られたローカバーを、図2から図4に示されたモールドに投入し、図6に示された内圧のシーケンスに基づいて、タイヤを製造した。タイヤのサイズは、195/65R14である。このタイヤのトレッドには、JIS K 6300−2に準拠して得られる誘導時間tc(10)が3.6分とされたゴム組成物が用いられている。第一加熱工程では、内圧が0kPa(基準圧P0)のブラダーに、その温度が190℃に調整されたスチームが充填された。この充填によりローカバーを加熱しつつ、時間をかけてブラダーの内圧を0.5MPa(一次圧P1)に到達させた。内圧の上昇速度は、0.5MPa/分とされた。圧力上昇時間Taは、1.0分とされた。第二加熱工程において、このスチームをさらにブラダーに充填してローカバーをさらに加熱しつつ、一気にこのブラダーの内圧を1.5MPa(二次圧P2)に到達させた。ブラダーの内圧は、この二次圧P2で保持された。第一加熱工程及び第二加熱工程における加熱時間(図6中の、両矢印Tt)は、3.5分とされた。加圧工程では、常温の窒素ガスがブラダーにさらに充填された。この充填により、ブラダーの内圧は2MPa(三次圧P3)に一気に到達された。ブラダーの内圧は、この三次圧P3で保持された。加熱を開始してから加圧が終了するまでの時間(加硫時間;図6中の両矢印Tv)は、10.0分とされた。排出工程において、スチーム及び窒素ガスが排出され、モールドからタイヤが取り出された。この実施例1では、このサイクルが繰り返され、タイヤが500本製造された。
[実施例2−5及び比較例1−4]
上昇速度、圧力上昇時間Ta、誘導時間tc(10)、加熱時間Tt、加硫時間Tv及び一次圧P1を下記の表1及び表2の通りとした他は実施例1と同様にして、タイヤを製造した。
[比較例5]
比較例5は、従来の製造方法である。予備成形で得られたローカバーを、図2から図4に示されたモールドに投入し、図9に示された内圧のシーケンスに基づいて、タイヤを製造した。タイヤのサイズは、195/65R14である。このタイヤのトレッドには、JIS K 6300−2に準拠して得られる誘導時間tc(10)が3.0分とされたゴム組成物が用いられている。加熱工程では、内圧が0kPa(基準圧P0)のブラダーに、その温度が190℃に調整されたスチームが一気に充填された。この充填により、ローカバーを加熱しつつ、ブラダーの内圧を1.5MPa(一次圧P1)に到達させた。内圧の上昇速度は、3.0MPa/分とされた。圧力上昇時間Taは、0.5分とされた。ブラダーの内圧は、この一次圧P1で保持された。この加熱工程における加熱時間(図9中の、両矢印Tt)は、3.0分とされた。加圧工程では、常温の窒素ガスがブラダーにさらに充填された。この充填により、ブラダーの内圧は2MPa(二次圧P2)に一気に到達された。ブラダーの内圧は、この二次圧P2で保持された。加熱を開始してから加圧が終了するまでの時間(加硫時間;図9中の両矢印Tv)は、10.0分とされた。排出工程において、スチーム及び窒素ガスが排出され、モールドからタイヤが取り出された。この比較例5では、このサイクルが繰り返され、タイヤが500本製造された。
[実施例6]
予備成形で得られたローカバーを、図2から図4に示されたモールドに投入し、図8に示された内圧のシーケンスに基づいて、タイヤを製造した。タイヤのサイズは、195/65R14である。このタイヤのトレッドには、JIS K 6300−2に準拠して得られる誘導時間tc(10)が2.5分とされたゴム組成物が用いられている。加熱工程では、内圧が0kPa(基準圧P0)のブラダーに、その温度が190℃に調整されたスチームが充填された。この充填によりローカバーを加熱しつつ、時間をかけてブラダーの内圧を0.5MPa(一次圧P1)に到達させた。内圧の上昇速度は、0.1MPa/分とされた。圧力上昇時間Taは、5.0分とされた。一次圧P1に到達後直ぐに、加圧工程が開始された。したがって、加熱工程における加熱時間Ttは、圧力上昇時間Taと同等である。加圧工程では、常温の窒素ガスがブラダーにさらに充填された。この充填により、ブラダーの内圧は2MPa(二次圧P2)に一気に到達された。ブラダーの内圧は、この二次圧P2で保持された。加熱を開始してから加圧が終了するまでの時間(加硫時間;図8中の両矢印Tv)は、12.5分とされた。排出工程において、スチーム及び窒素ガスが排出され、モールドからタイヤが取り出された。この実施例6では、このサイクルが繰り返され、タイヤが500本製造された。
[実施例7−8及び比較例6−7]
上昇速度、圧力上昇時間Ta、誘導時間tc(10)、加熱時間Tt、加硫時間Tv及び一次圧P1を下記の表3の通りとした他は実施例6と同様にして、タイヤを製造した。
[不具合発生率の測定]
製造したタイヤの外観を観察し、外観不具合の発生状況を確認した。製造したタイヤ500本に対する、外観不具合の発生が確認されたタイヤの本数の比率が、不具合発生率として、下記の表1、表2及び表3に示されている。この数値が小さいほど、良好であること(外観不具合の発生が抑制されていること)を表している。
Figure 2012135939
Figure 2012135939
Figure 2012135939
表1、表2及び表3に示されるように、実施例の製造方法では、比較例の製造方法に比べて評価が高い。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
以上説明された方法は、様々なタイヤの製造に適用されうる。
2・・・タイヤ
4・・・トレッド
6・・・サイドウォール
20・・・トレッド面
22・・・溝
34・・・加硫装置
36・・・ブラダー
38・・・モールド
40・・・キャビティ
42・・・セグメント
44・・・サイドプレート
46・・・ビードリング
48・・・キャビティ面

Claims (2)

  1. JIS K 6300−2に準拠して得られる誘導時間tc(10)が、2.0分以上4.5分以下であるゴム組成物を用いて、部材を準備する工程と、
    この部材と他の部材とを組み合わせて、ローカバーを得る工程と、
    このローカバーをモールドに投入する工程と、
    このローカバーの内側に位置するブラダーに加熱媒体を充填してこのローカバーを加熱する工程と、
    このブラダーに加圧媒体をさらに充填してこのローカバーを加圧する工程とを含んでおり、
    上記加熱媒体の充填を開始してから時刻t1までの上記ブラダーの内圧の上昇速度が、0.1MPa/分以上1.0MPa/分以下であり、
    この加熱媒体の充填を開始してから時刻t1までの圧力上昇時間が、0.5分以上5.0分以下である、タイヤの製造方法。
  2. 上記部材が、トレッド又はサイドウォールである請求項1に記載のタイヤの製造方法。
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