JP2012125791A - 金属フィラー及びこれを含む鉛フリーはんだ - Google Patents

金属フィラー及びこれを含む鉛フリーはんだ Download PDF

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Abstract

【課題】Sn−37Pb共晶はんだのリフロー熱処理条件よりも低い温度で溶融接合でき、接合後は耐熱性に優れ、かつ室温で良好な接合強度を与える金属フィラーの提供。
【解決手段】Cu系合金粒子(Cu系合金粒子は、Cu、In及びSnを含み、かつCu、In及びSnの中でCuを最高の質量割合で含み、そして該Cu系合金粒子の含有量は30〜45質量%である);並びに複合合金粒子(該複合合金粒子は、Bi系合金粒子とSn粒子又はBi不含有Sn系合金粒子との混合物であり、該Sn粒子又はBi不含有Sn系合金粒子の含有量は25〜250質量部であり、該Bi系合金粒子は、40〜70質量%のBi並びに30〜60質量%のAg、Cu、In及び/又はSnを含み、そして該Bi不含有Sn系合金粒子は、該Bi系合金粒子の固相線温度以上の固相線温度を有する)を含む金属フィラー。
【選択図】なし

Description

本発明は、各種電子部品の接続及びビア充填等に使用される金属フィラー、及び該金属フィラーを含む鉛フリーはんだ、特に低温〜中温接続用の鉛フリーはんだに関する。また、本発明の金属フィラーは、原理上導電性接着剤等にも使用されることができる。また、本発明は、本発明の鉛フリーはんだを用いて得られる接続構造体、並びに基板及び該基板上に搭載された該接続構造体を含む部品搭載基板に関する。
従来、リフロー熱処理において使用されるはんだ材料として、一般的に183℃の融点を有するスズ(Sn)−37鉛(Pb)共晶はんだが用いられてきた。また、高耐熱性が要求される電子部品の内部等で使用される高温はんだとしては、270℃の固相線温度及び305℃の液相線温度を有するSn−90Pb高温はんだが広く用いられてきた。
しかしながら、近年、WEEE(Waste Electrical and Electronic Equipmen)指令、RoHS(Restriction of Hazardous Substances)指令等のEUの環境規制が示すように、鉛(Pb)の有害性が問題となっている。よって、環境汚染を防止する観点から、はんだの鉛フリー化(すなわち、実質的に鉛を含まないはんだの形成)が急速に進んでいる。このような状況の中で、現在、Sn−37Pb共晶はんだの代替物としては、約220℃の融点を有するSn−3.0銀(Ag)−0.5銅(Cu)から成る鉛フリーはんだが代表的である。該鉛フリーはんだのリフロー熱処理条件としては、ピーク温度が約240℃〜260℃である温度範囲が一般的となりつつある。
上記Sn−3.0Ag−0.5Cuから成る鉛フリーはんだは、Sn−37Pb共晶はんだに比べ、合金の融点が高いことから、そのリフロー熱処理条件もより高温になる。昨今、化石燃料の枯渇、地球温暖化等の問題が危惧されているので、リフロー熱処理温度を低温化することによって、省エネルギープロセス、及び低二酸化炭素排出プロセスを確立することが切望されている。また、このようなリフロー熱処理温度の低温化は、電気・電子機器及び基板材料の熱損傷を抑制することを可能にし、そして使用できる基板材料の選択の幅を広げるので期待されている。現在、低温で溶融接合できるPbフリーはんだ材料の代表的な例としては、Sn−58ビスマス(Bi)共晶はんだ(融点138℃)、インジウム(In)(融点157℃)、Sn−52In合金はんだ(融点118℃)等が挙げられる(特許文献1及び2参照)。しかし、これらのはんだ材料はいずれも融点が低く、はんだ接合後に、再度融点以上の温度になれば再溶融してしまうという課題を抱えている。
ところで、携帯電話に代表されるように、電子機器の小型化、軽量化及び高機能化の流れは目覚しく、これに追従して、高密度実装技術も急速な進歩を続けている。例えば、部品を基板中に内蔵するか、又は複数のLSIを単一パッケージ化する手法のように、限られた容積を有効に利用するための多様な実装技術が開発されている。一方で、このような高密度化が進むほど、基板内部又はパッケージ内部に組み込まれた部品のはんだ接続部が、後工程で熱処理を受ける回数が増加する。これにより、後工程ではんだが再溶融して、そして部品と封止樹脂との隙間からはんだが流れ出すために、部品電極間等でショートが発生するという問題が顕在化している。したがって、基板内部又はパッケージ内部に組み込まれた部品の接続において、後工程で複数回の熱処理を受けても溶融流動しない鉛フリーはんだ材料の開発が望まれている。
また、上述のように部品を基板に内蔵する場合、一般的には部品を基板に実装した後に、プリプレグ及び内層配線基板等を介して約150℃〜200℃の熱処理を加えながら積層プレスが行われる。その際、一般的なSn−58Biはんだ(融点138℃)等の低温はんだで部品を実装した場合には、積層熱プレス等の温度のためにはんだが再溶融し、そしてプリプレグの樹脂流動圧力により、はんだ部及び部品自体が流動する。すなわち、低温はんだを用いる場合、現状では積層熱プレスをして部品を内蔵することが極めて困難である。このような背景から、低温での実装が可能であり、かつ耐熱性に優れた金属フィラー、及び該金属フィラーを含む鉛フリーはんだが望まれている。
本発明者等は、これまで上記問題を考慮して、Sn−37Pb共晶はんだのリフロー熱処理の温度よりも低い温度(例えばピーク温度160℃)で溶融接合でき、接合後は耐熱性に優れ、かつ接合後に室温での良好な接合強度を与えることができる金属フィラーを提案してきた(特許文献3参照)。
特開2001−334386号公報 特開平11−239866号公報 国際公開第2010/098357号パンフレット
しかしながら、特許文献3に記載される技術においては、Biを大量に含むSn−Bi系合金粒子を使用していた。通常、このようなSn−Bi系合金粒子を含むSn−Bi系はんだは、PbフリーはんだであるSn−3.5Ag−0.5Cu等に比べて融点が低く、加熱時の流動性の観点で改善の余地がある。また、Biを大量に含むSn−Bi系はんだは、その接続抵抗が高いので、部品接合後の接続特性において改善の余地がある。
したがって、本発明は、Cu系合金粒子、並びにBi系合金粒子及びSn粒子又はBi不含有Sn系合金粒子を含む混合粉体を使用することにより、Sn−37Pb共晶はんだのリフロー熱処理の温度条件よりも低い温度条件(例えば、ピーク温度160℃〜200℃)で溶融接合でき、接合後は耐熱性に優れ、かつ室温で良好な接合強度を与えることができる金属フィラーを提供することを目的とする。また、本発明は、特許文献3の技術に比べてBi使用量を大幅に低減して、接続抵抗等の接続特性を改良することも目的とする。さらに、本発明は、該金属フィラーを含む鉛フリーはんだ又は導電性接着剤、該鉛フリーはんだ又は導電性接着剤を用いて得られる接続構造体、並びに基板及び該接続構造体を含む部品搭載基板を提供することも目的とする。
本発明は下記の通りである:
[1] 以下の:
(1)銅(Cu)系合金粒子
ここで、該Cu系合金粒子は、Cu、インジウム(In)及びスズ(Sn)を含み、かつCu、In及びSnの中でCuを最高の質量割合で含み、そして該Cu系合金粒子の含有量は、該金属フィラーの全質量を基準として30〜45質量%である;並びに
(2)複合合金粒子
ここで、該複合合金粒子は、ビスマス(Bi)系合金粒子とSn粒子又はBi不含有Sn系合金粒子との混合物であり、該Sn粒子又はBi不含有Sn系合金粒子の含有量は、該Bi系合金粒子100質量部に対して25〜250質量部であり、該Bi系合金粒子は、該Bi系合金粒子の全質量を基準として、40〜70質量%のBi並びに30〜60質量%の銀(Ag)、Cu、In及びSnから選ばれる少なくとも1種の金属を含み、そして該Bi不含有Sn系合金粒子は、該Bi系合金粒子の固相線温度以上の固相線温度を有する;
を含む金属フィラー。
[2] 前記Cu系合金粒子はAg又はBiをさらに含む、[1]に記載の金属フィラー。
[3] 前記Bi系合金粒子はSnを含む、[1]又は[2]に記載の金属フィラー。
[4] 前記Bi不含有Sn系合金粒子は、Sn100質量部に対して、4.0質量部以下のAg及び/又はCuを含む、[1]〜[3]のいずれか1項に記載の金属フィラー。
[5] [1]〜[4]のいずれか1項に記載の金属フィラーを含む鉛フリーはんだ。
[6] [1]〜[4]のいずれか1項に記載の金属フィラーを含む導電性接着剤。
[7] 第1の電子部品、第2の電子部品、並びに該第1の電子部品及び該第2の電子部品を接合しているはんだ接合部を含む接続構造体であって、該はんだ接合部は、[5]に記載の鉛フリーはんだを、前記Bi系合金粒子の固相線温度以上であり、かつ前記Sn粒子又はBi不含有Sn系合金粒子の固相線温度以下である温度でリフロー熱処理することにより形成されている接続構造体。
[8] 第1の電子部品、第2の電子部品、並びに該第1の電子部品及び該第2の電子部品を接着している接着部を含む接続構造体であって、該接着部は、[6]に記載の導電性接着剤を、前記Bi系合金粒子の固相線温度以上であり、かつ前記Sn粒子又はBi不含有Sn系合金粒子の固相線温度以下である温度でリフロー熱処理することにより形成されている接続構造体。
[9] 基板及び該基板上に搭載された[7]又は[8]に記載の接続構造体を含む部品搭載基板。
本発明の金属フィラーは、Sn−37Pb共晶はんだよりも低いリフロー熱処理温度(例えば、ピーク温度160℃〜200℃)で溶融接合を可能にし、接合後は耐熱性に優れ、かつ室温で良好な接合強度を与える。また、本発明は、特許文献3の技術に比べてBi使用量を大幅に低減できるから、接続抵抗等の接続特性を改良できる。
<金属フィラー>
一般に、金属フィラーとは、金属を含む充填剤をいう。本発明の金属フィラーは、銅(Cu)系合金粒子(1)及び複合合金粒子(2)を含む。また、本発明の金属フィラーは、Cu系合金粒子(1)と複合合金粒子(2)との混合物でもよい。本発明の金属フィラーは、特定のCu系合金粒子(1)及び複合合金粒子(2)を含むことを特徴とする。
本発明の金属フィラーでは、Cu系合金粒子(1)は、Cu、インジウム(In)及びスズ(Sn)を含み、かつCu、In及びSnの中でCuを最高の質量割合で含む。したがって、Cu系合金粒子(1)は、主成分としてCu元素を含む。また、本発明の金属フィラーでは、金属フィラー中のCu系合金粒子(1)の含有量は、金属フィラーの全質量を基準として30〜45質量%である。
本発明の金属フィラーでは、複合合金粒子(2)は、ビスマス(Bi)合金粒子とSn粒子又はBi不含有Sn系合金粒子との混合物であり、そして複合合金粒子(2)中のSn粒子又はBi不含有Sn系合金粒子の含有量は、Bi系合金粒子100質量部に対して25〜250質量部である。また、本発明の金属フィラーでは、Bi系合金粒子は、Bi系合金粒子の全質量を基準として、40〜70質量%のBi並びに30〜60質量%の銀(Ag)、Cu、In及びSnから選ばれる少なくとも1種の金属も含む。また、本発明の金属フィラーでは、Sn系合金粒子は、Bi系合金粒子の固相線温度以上の固相線温度を有し、かつBiを含まない。なお、本明細書において「特定の元素を含まない」とは、意図的にその元素を添加していないという意味であり、特定の元素が不可避的不純物の濃度で金属フィラーに混入することはあり得る。
本発明の金属フィラーの形態は、限定されるものではないが、液体、固体、粉末などでよい。また、金属フィラーに含まれる成分の幾つかを予備混合するか、又は金属フィラーに含まれる全ての成分を同時に混合することも好ましい。
本発明において、Cu系合金粒子(1)、並びにSn粒子又はBi不含有Sn系合金粒子とBi系合金粒子との混合粉(複合合金粒子(2))に対して、Bi系合金粒子(例えばSn58Bi粒子)の固相線温度以上、かつSn粒子又はBi不含有Sn系合金粒子の固相線温度以下の熱処理温度でリフローした場合、Bi系合金粒子が溶融し、Cu系合金粒子(1)と溶融したBi合金成分との間で熱拡散による合金化反応が進み、そしてBi系合金粒子の融点よりも高い融点を有する安定合金相が形成される。安定合金相の形成と同時に、溶融したBi合金成分は、Sn粒子又はBiを含まないSn系合金粒子に溶融拡散することによって、Bi含有量の少ないSn系合金相が形成される。
本発明の典型的な実施態様では、本発明に係るCu系合金粒子(1)、Sn粒子又はBi不含有Sn系合金粒子は、リフロー熱処理温度において完全溶融しない。これにより、本発明の金属フィラーを含む鉛(Pb)フリーはんだは、低温条件(典型的には、Sn−37Pb共晶はんだのリフロー熱処理条件の温度よりも低い温度の条件)で溶融接合されることができて、溶融接合後には、熱処理で再溶融しないという効果を有する。さらに、本発明の金属フィラーを含む鉛(Pb)フリーはんだにより溶融接合された溶融接合部は、Sn−58Biの共晶組成等に比べてBi含有量の少ないSn系合金相を形成するから、本発明の金属フィラーを含む鉛(Pb)フリーはんだは、接続信頼性に優れる。また、本発明の金属フィラーを含む鉛(Pb)フリーはんだは、低温で溶融接合されることができるから、省エネルギープロセス及び低二酸化炭素排出プロセスで使用されることができるとともに、適用される電気・電子機器及び基板材料等の熱損傷を抑制できる点で有利である。
<Cu系合金粒子(1)、Bi系合金粒子、及びSn粒子又はSn系合金粒子の混合物>
前述の通り、本発明の金属フィラーは、Cu系合金粒子(1)と複合合金粒子(2)との混合物でよい。該混合物である金属フィラー中のCu系合金粒子(1)の含有量は、金属フィラーの全質量を基準として、30〜45質量%の範囲である。Cu系合金粒子(1)の含有量が45質量%以下である場合、金属フィラー中の、リフロー熱処理時に溶融拡散する金属成分の存在割合が多いため、低温での溶融接合が良好に実施されることができるとともに、例えば、はんだとして接合された後に、溶融接合部に良好な物理的強度が付与される。Cu系合金粒子(1)の含有量が40質量%以下である場合、さらに良好な物理的強度が得られるため好ましく、37質量%以下が最も好ましい。Cu系合金粒子(1)の含有量が30質量%以上である場合、溶融したBi合金成分がCu系合金粒子(1)と反応することで形成される、高融点を有する安定合金相の存在割合が多くなるため、耐熱性が得られるようになる。Cu系合金粒子(1)の含有量は、31質量%以上が好ましく、33質量%以上が最も好ましい。また、はんだ接合部の物理的強度及び耐熱性の観点から、該混合物である金属フィラー中のCu系合金粒子(1)の含有量は、30〜45質量%の範囲である。
Cu系合金粒子(1)及び複合合金粒子(2)の粒度分布は、はんだペースト用途に応じて定めることができる。例えば、スクリーン印刷用途では、版抜け性を重視して、粒度分布をブロードにするのが好ましく、ディスペンス用途、及びビア充填用途では、吐出流動性及び穴埋め性を重視して、粒度分布をシャープにするのが好ましい。
Cu系合金粒子(1)及び複合合金粒子(2)の平均粒径は、後述するように、フラックスとの反応性及びペースト特性の観点から、好ましくは、それぞれ2〜30μm、及び5〜40μmの範囲であり、より好ましくは、Cu系合金粒子(1)及び複合合金粒子(2)の平均粒径は、いずれも5〜25μmの範囲である。
本発明の金属フィラーは、後述するように、例えばフラックスと組合わされることによって、ペースト状の鉛フリーはんだを形成できる。このはんだペーストを用いて部品実装を行なう場合、リフロー熱処理によって形成されるはんだ接合部(特にフィレット部分)の表面に、薄いフラックス層が形成される場合がある。金属フィラーの平均粒径が小さいと、該フラックス層中に金属フィラーの微粒子が浮遊した状態(すなわち金属粒子が互いに離れている状態)で同伴されやすく、はんだ接合された部品を後続のフラックス洗浄工程に供する際に、洗浄液中に金属フィラーの粒子が流れ出して部品に付着するという不都合が生じる場合がある。Cu系合金粒子(1)及び複合合金粒子の平均粒径がいずれも5μm以上である場合、部品実装時にフラックス層中に金属フィラーの微粒子が同伴されにくく、フラックス層中の浮遊粒子の発生を抑制できるため、洗浄液中に流れ出す粒子の数を低減できる。一方、Cu系合金粒子(1)及び複合合金粒子の平均粒径がいずれも25μm以下である場合、はんだペーストの粘着力が損なわれ難くなるので好ましい。
なお、本明細書で規定するCu系合金粒子(1)及び複合合金粒子(2)の元素組成は、例えば、誘導結合プラズマ(ICP)発光分析等で確認されることができる。また、粒子断面の元素組成は、SEM−EDX(特性X線分析装置)を用いることによって解析されることができる。
なお、本明細書における「平均粒径」とは、レーザー回折式粒子径分布測定装置で測定される値をいう。
<Cu系合金粒子(1)>
Cu系合金粒子(1)とは、Cu、In及びSnを含み、かつCu、In及びSnの中でCuを最高の質量割合で含む粒子をいう。さらに、Cu系合金粒子(1)は、Ag又はBiの金属を含むことが好ましい。これにより、Cu系合金粒子(1)は準安定合金相を形成できる。該準安定合金相の形成は、主に熱処理時のCu系合金粒子(1)とBi系合金粒子との合金化の促進に寄与し、従って、低温での溶融接合時の良好な接合強度の付与に寄与する。
好ましい態様において、Cu系合金粒子(1)は、Ag5〜15質量%、Bi2〜8質量%、Cu49〜81質量%、Sn10〜20質量%及びIn2〜8質量%から成る。なお、この場合、不可避的不純物がCu系合金粒子(1)に含まれてもよい。さらに好ましくは、Cu系合金粒子(1)は、Ag8〜12質量%、Bi3〜7質量%、Cu60〜70質量%、Sn13〜17質量%及びIn3〜7質量%から成る。
Cu系合金粒子(1)の平均粒径は、2〜30μmの範囲であることが好ましい。Cu系合金粒子(1)の平均粒径が2μm以上である場合、粒子の比表面積が小さくなる。そのため、例えば、後述するフラックスを用いて、本発明の金属フィラーからはんだペーストを形成するときに、Cu系合金粒子(1)とフラックスとの接触面積が少なくなり、そしてはんだペーストの寿命が長くなるという利点が得られる。さらに、Cu系合金粒子(1)の平均粒径が2μm以上である場合には、リフロー熱処理において、フラックスによる金属フィラーの還元反応(すなわち、金属フィラー粒子の酸化膜除去)で発生するアウトガスを少なくすることができるので、はんだ接続内部に発生するボイドを低減させることができる。また、Cu系合金粒子(1)の平均粒径は、はんだペーストの粘着力の観点から30μm以下が好ましい。粒子サイズが大きくなりすぎると、粒子間の隙間が大きくなるので、はんだペーストの粘着力が損なわれ易くなり、そしてはんだ接合される部品の搭載からリフロー熱処理が終わるまでの工程間で該部品が外れ易くなる。より好ましくは、Cu系合金粒子(1)の平均粒径は、5〜25μmの範囲である。
前述の通り、金属フィラー中のCu系合金粒子(1)の含有量は、金属フィラーの全質量を基準として、30〜45質量%の範囲、好ましくは、31〜40質量%の範囲、より好ましくは、33〜37質量%の範囲である。
<複合合金粒子(2)>
複合合金粒子(2)とは、Bi系合金粒子とSn粒子又はBi不含有Sn系合金粒子との混合物をいう。Sn粒子又はBi不含有Sn系合金粒子の固相線温度は、Bi系合金粒子の固相線温度以上である。低温溶融接合性を考慮すると、複合合金粒子(2)中のSn粒子又はBi不含有Sn系合金粒子の含有量は、Bi系合金粒子100質量部に対して25〜250質量部の範囲である。Bi系合金粒子100質量部に対して、前記Sn粒子又はBi不含有Sn系合金粒子の含有量が25質量部以上である場合には、複合合金粒子(2)中のBi含有量が相対的に少なくなるため接続信頼性の観点で有利である。Sn粒子又はBi不含有Sn系合金粒子の含有量は、Bi系合金粒子100質量部に対して、30質量部以上であることが好ましく、50質量部以上であることがより好ましい。また、Bi系合金粒子100質量部に対して、前記Sn粒子又はBi不含有Sn系合金粒子の含有量が250質量部以下である場合には、Bi系合金粒子による低温接合性が確保できる。Sn粒子又はBi不含有Sn系合金粒子の含有量は、Bi系合金粒子100質量部に対して、230質量%以下であることが好ましく、210質量%以下であることがより好ましい。
Bi系合金粒子の固相線温度は、好ましくは80〜160℃の範囲であり、より好ましくは100〜150℃の範囲である。また、Sn粒子及びBiを含まないSn系合金粒子の固相線温度は、耐熱性の観点からBi系合金粒子の固相線温度よりも、20℃以上高いことが好ましく、50℃以上高いことがより好ましい。本発明の典型的な実施態様では、本発明の鉛フリーはんだを用いるときのリフロー熱処理温度でBi系合金粒子は溶融し、Sn粒子又はBiを含まないSn系合金粒子は完全溶融しない。
<Bi系合金粒子>
一般に、Bi系合金粒子とは、Biを含む合金粒子をいう。本発明で使用されるBi系合金粒子は、Bi系合金粒子の全質量を基準として、40〜70質量%のBi並びに30〜60質量%のAg、Cu、In及びSnから選ばれる1種以上の金属から選択される少なくとも1種の金属を含む。なお、不可避的不純物がBi系合金粒子に含まれていてもよい。Bi系合金粒子は、上記組成を有することにより、リフロー熱処理において溶融し、そして溶融したBi系合金粒子成分とCu系合金粒子(1)、又は溶融したBi系合金粒子成分とSn粒子若しくはBi不含有Sn系合金粒子の間で、熱拡散による合金化が良好に実現される。
Bi系合金粒子中のBiの含有量は、Bi系合金粒子の全質量を基準として、低温での溶融接合を可能にするとともに接合後に室温での良好な接合強度を得る観点から、40質量%以上70質量%以下であり、好ましくは50〜60質量%である。
Bi系合金粒子中の、Ag、Cu、In及びSnから選ばれる1種以上の金属の含有量は、Cu系合金粒子(1)とBi系合金粒子との合金化を良好に実現する観点から30質量%以上であり、BiをBi系合金粒子中に十分な量で含有させて低温での溶融接合を可能にする観点から60質量%以下である。上記Ag、Cu、In及びSnから選ばれる1種以上の金属の含有量は、好ましくは40〜50質量%である。
特に、金属フィラーの良好な低温溶融性及び接合性、並びに低温での溶融接合における良好な接合強度を提供するために、Bi系合金粒子はSnを含むことが好ましい。Bi系合金粒子中のSnの含有量は、Bi系合金粒子の全質量を基準として、40〜50質量%であることが好ましく、40〜44質量%がより好ましい。また、Bi系合金粒子にInを加えることによって、より低温での溶融接合も可能である。
Bi系合金粒子が、Ag、Cu及びInから選ばれる1種以上の金属を含む場合には、延性の改善、低融点化、機械的強度等の改良が可能である。
また、金属フィラーの低温溶融性及び接合性の観点から、Bi系合金粒子は、好ましくは、Sn−Bi系合金粒子であり、より好ましくは、凝固欠陥及び偏析が生じ難い共晶組成(典型的には、固相線温度139℃のSn−58Bi)を有するSn−Bi系合金粒子である。Sn−Bi系合金粒子は、典型的には、Sn及びBiのみを構成元素とする(但し、不可避的不純物を含有してもよい。)が、延性の改善、低融点化、機械的強度等の改良の目的で、Ag、Cu及びInから選ばれる1種以上の金属を微量添加されることができる。具体例として、固相線温度138℃のSn−57Bi−1Agが挙げられる。
Bi系合金粒子の平均粒径は、Cu系合金粒子(1)の平均粒径と同じ理由、すなわち、フラックスとの反応性及びペーストの粘着力の観点から、好ましくは、5〜40μmの範囲であり、より好ましくは、5〜25μmの範囲である。
<Sn粒子又はBi不含有Sn系合金粒子>
一般に、Sn粒子とは、Snから成る粒子をいう。一般に、Sn粒子の固相線温度は、約232℃である。また、一般に、Bi不含有Sn系合金粒子とは、Biを含まず、かつSnを含む合金粒子をいうが、不可避的不純物としてのBiの混入を除外するものではない。Bi不含有Sn系合金粒子は、前記Bi系合金粒子の固相線温度以上の固相線温度を有する。前述の通り、Bi系合金粒子の固相線温度は、80〜160℃の範囲であり、Sn粒子及びBiを含まないSn系合金粒子の固相線温度は、耐熱性の観点からBi系合金粒子の固相線温度よりも、20℃以上高いことが好ましく、50℃以上高いことがより好ましい。
また、Sn系合金粒子は、好ましくは、Sn100質量部に対して、4.0質量部以下のAg及び/又はCuを含む。本発明に使用されるSn系合金粒子の具体例としては、Sn−3.0Ag−0.5Cu粒子(固相線温度:約217℃)、Sn−3.5Ag粒子(固相線温度:約221℃)、Sn−0.75Cu粒子(固相線温度:約227℃)、Sn−0.3Ag−0.7Cu粒子(固相線温度:約217℃)等が挙げられる。Sn粒子又はBi不含有Sn系合金粒子の平均粒子径は、Cu系合金粒子(1)の平均粒径と同じ理由、すなわちフラックスとの反応性及びペーストの粘着力の観点から、好ましくは、5〜40μmの範囲であり、より好ましくは、5〜25μmの範囲である。
<粒子の製造方法>
Cu系合金粒子(1)、Bi系合金粒子、Sn粒子又はBi不含有Sn系合金粒子を製造する方法としては、微粉末の製造方法として既知の方法を採用できるが、急冷凝固法が好ましい。急冷凝固法による微粉末の製造方法としては、水噴霧法、ガス噴霧法、遠心噴霧法等が挙げられる。これらの中でも、粒子の酸素含有量を抑えることができる点から、ガス噴霧法及び遠心噴霧法がより好ましい。
ガス噴霧法では、通常、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス等の不活性ガスを使用することができる。これらの不活性ガスの中でも、ガス噴霧時の線速を高くして、冷却速度を速くできる点で、比重の軽いヘリウムガスを用いることが好ましい。冷却速度は、500〜5000℃/秒の範囲であることが好ましい。
遠心噴霧法では、回転ディスク上面に均一な溶融膜を形成する観点から、ディスクの材料は、サイアロンであることが好ましく、そしてディスク回転速度は、6万〜12万rpmの範囲であることが好ましい。
<鉛フリーはんだ>
本発明は、上述した本発明の金属フィラーを含む鉛フリーはんだをも提供する。本明細書において、「鉛フリー」とは、EUの環境規制に準じ、鉛の含有量が0.1質量%以下であることを意味する。本発明の鉛フリーはんだは、金属フィラー成分及びフラックス成分を含むはんだペーストであることが好ましい。典型的には、本発明の鉛フリーはんだは、金属フィラー成分及びフラックス成分から成る。金属フィラー成分は、上述した本発明の金属フィラーであるが、本発明の効果を損なわない範囲で、他の金属フィラーを少量含んでもよい。
上記はんだペースト中の金属フィラー成分の含有量は、ペースト特性の観点から、はんだペーストの全質量(すなわち、100質量%)を基準として、84〜94質量%の範囲であることが好ましい。はんだペースト中の金属フィラー成分の含有量のより好ましい範囲は、ペーストの用途に応じて定めることができる。例えば、スクリーン印刷用途では、版抜け性が重視されるので、はんだペースト中の金属フィラー成分の含有量は、はんだペーストの全質量を基準として、好ましくは、87〜92質量%の範囲であり、より好ましくは、88〜91質量%の範囲である。例えば、ディスペンス用途では、吐出流動性が重視されるので、はんだペースト中の金属フィラー成分の含有量は、はんだペーストの全質量を基準として、好ましくは、80〜89質量%の範囲であり、より好ましくは、86〜88質量%の範囲である。
一般に、フラックスとは、はんだより速く溶融して、金属表面を洗浄する材料をいう。本発明で使用されるフラックス成分は、ロジン、溶剤、活性剤及びチクソ剤を含むことが好ましい。そのようなフラックス成分は、金属フィラーの表面処理に好適である。すなわち、フラックス成分は、リフロー熱処理時にはんだペースト中の金属フィラー成分の酸化膜を除去し、再酸化を抑制することで、金属の溶融及び熱拡散による合金化を促進する。フラックス成分としては、既知の材料を使用することができる。
<導電性接着剤>
本発明は、上述した本発明の金属フィラーを含む導電性接着剤も提供する。一般に、導電性接着剤とは、銀、銅、カーボンファイバー等の導電性の良い材料を含む接着剤をいう。一般に、導電性接着剤は、鉛フリー、揮発性有機化合物(VOC)フリー、フラックスレス、容易な低温実装等の特徴を有するので、本発明の導電性接着剤は、電気接続したいがはんだ付けできない部品(例えば、半導体チップ、液晶、有機EL、LED等に関連するデバイス)に適する。また、本発明の導電性接着剤は、上記鉛フリーはんだと同じ組成を有することができる。ただし、本発明の導電性接着剤は、フラックス成分を含んでもよいし、含まなくてもよい。
<接続構造体>
本発明は、第1の電子部品、第2の電子部品、並びに該第1の電子部品及び該第2の電子部品を接合しているはんだ接合部又は該第1の電子部品及び該第2の電子部品を接着している接着部を含む接続構造体も提供する。また、本発明の接続構造体では、前記はんだ接合部は、本発明の鉛フリーはんだを、前記Bi系合金粒子の固相線温度以上であり、かつ前記Sn粒子又はSn系合金粒子の固相線温度以下である温度でリフロー熱処理することにより形成されている。また、本発明の接続構造体では、前記接着部は、本発明の導電性接着剤を、前記Bi系合金粒子の固相線温度以上であり、かつ前記Sn粒子又はSn系合金粒子の固相線温度以下である温度でリフロー熱処理することにより形成されている。
第1の電子部品及び第2の電子部品の組合せとしては、基板電極と搭載部品電極との組み合わせ等が挙げられる。本発明の接続構造体を形成するための第1の電子部品と第2の電子部品との接合方法としては、基板電極にはんだペーストを塗布した後に搭載部品電極を載せてリフロー熱処理により接合する方法、搭載部品電極又は基板電極にはんだペーストを塗布し、リフロー熱処理によるバンプ形成後、搭載部品電極と基板電極とを重ね合せて再度リフロー熱処理で接合する方法等が挙げられる。上記の場合、電極間のはんだ接合により該電極間を接続できる。
リフロー時の熱処理ピーク温度は、好ましくは、100〜210℃の範囲であり、より好ましくは160〜200℃の範囲である。この熱処理時のピーク温度は、典型的には、Cu系合金粒子(1)の融点未満かつBi系合金粒子の融点以上に設定される。本発明に係る鉛フリーはんだを用いて、電子デバイス等の搭載部品電極と基板電極とを接続する場合、Bi系合金粒子の融点以上の熱履歴が与えられるとBi系合金粒子は溶融し、Cu系合金粒子(1)と溶融したBi合金成分との間で熱拡散による合金化反応が進み、Bi系合金粒子の融点よりも高い融点を有する安定合金相が形成される。この新たな安定合金相の融点は、Sn−3.0Ag−0.5Cuから成る鉛フリーはんだのリフロー熱処理温度(例えば260℃程度)より高く、後工程で複数回の熱処理を受けてもはんだが溶融しない。したがって、本発明によれば、はんだの再溶融によって部品電極間で発生するショートを防止できる。
また、溶融したBi合金成分はSn粒子又はBiを含まないSn系合金粒子に対して溶融拡散することで、Bi組成の少ないSn系合金相を形成する。典型的な実施態様では、本発明の鉛フリーはんだ又は導電性接着剤を用いるときのリフロー熱処理温度においてCu系合金粒子(1)は完全溶融しない。これにより、本発明の金属フィラーを含む鉛フリーはんだは、低温条件(典型的には、Sn−37Pb共晶はんだのリフロー熱処理条件よりも低い温度の条件)で溶融接合されることができるとともに、溶融接合後には、熱処理で再溶融しないという効果を有し、そして溶融接合部は、Sn−58Biの共晶組成等に比べてBi含有量の少ないSn系合金相を形成するので、接続抵抗が下がる等の特性に優れる。
<部品搭載基板>
本発明は、基板及び該基板上に搭載された本発明の接続構造体を含む部品搭載基板をも提供する。また、本発明の部品搭載基板は、好ましくは、電子部品が搭載されている基板であり、そして各種の電子機器の製造に使用されることができる。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1>
(1)Cu系合金粒子(1)の製造
Cu6.5kg(純度99質量%以上)、Sn1.5kg(純度99質量%以上)、Ag1.0kg(純度99質量%以上)、Bi0.5kg(純度99質量%以上)、及びIn0.5kg(純度99質量%以上)(すなわち、目標元素組成が、Cu:65質量%、Sn:15質量%、Ag:10質量%、Bi:5質量%、及びIn:5質量%である。)を黒鉛坩堝に入れ、99体積%以上のヘリウム雰囲気で、高周波誘導加熱装置により1400℃まで加熱、融解した。次に、この溶融金属を、坩堝の先端より、ヘリウムガス雰囲気の噴霧槽内に導入した後、坩堝先端付近に設けられたガスノズルから、ヘリウムガス(純度99体積%以上、酸素濃度0.1体積%未満、圧力2.5MPa)を噴出してアトマイズを行い、そして2600℃/秒の冷却速度で溶融金属を冷却することにより、Cu系合金粒子(1)を作製した。
このCu系合金粒子(1)を気流式分級機(日清エンジニアリング:TC−15N)を用いて、20μm設定で分級し、大粒子側を回収後、もう一度30μm設定で分級し、小粒子側を回収した。回収した合金粒子をレーザー回折式粒子径分布測定装置(HELOS&RODOS)で測定したところ、平均粒径は、15.1μmであった。このCu系合金粒子(1)を示差走査熱量計(島津製作所:DSC−50)を用いて、窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分の条件で、40〜580℃の範囲において測定したところ、502℃及び521℃に吸熱ピークが検出され、これらによって示される複数の融点から、複数の合金相の存在を確認することができた。また、258℃及び282℃には発熱ピークが検出され、準安定合金相の存在を確認することができた。
(2)Bi系合金粒子
Bi系合金粒子には、山石金属(株)社製の粒度10μm〜25μmのはんだ粉末Sn−58Bi(元素組成は、Bi:58質量%、Sn:42質量%であり、固相線温度は139℃である)を用いた。示差走査熱量計(島津製作所:DSC−50)によって、前記Cu系合金粒子(1)の測定と同じ測定条件で測定される融点は、138℃であった。また、Bi系合金粒子をレーザー回折式粒子径分布測定装置(HELOS&RODOS)で測定したところ平均粒径は20.4μmであった。
(3)Sn粒子
Sn粒子としては、山石金属(株)社製の粒度10μm〜25μmのSn粒子を用いた。該Sn粒子をレーザー回折式粒子径分布測定装置(HELOS&RODOS)で測定したところ平均粒径は21.8μmであった。なお、Sn粒子の固相線温度は、232℃である。
(4)鉛フリーはんだペーストの作製
上記のCu系合金粒子(1)、並びにBi系合金粒子及びSn粒子の混合粉(複合合金粒子(2))を、質量比35:65で混合し、金属フィラー成分を調製した。このとき、Bi系合金粒子100質量部に対して、Sn粒子が200質量部となるように複合合金粒子(2)を調製した。次に、90質量%の金属フィラー成分及び10質量%のロジン系フラックスを混合し、ソルダーソフナー(マルコム:SPS−1)、及び脱泡混練機(松尾産業:SNB−350)に順次に供して、はんだペーストを作製した。
(5)部品接合強度の測定
上記はんだペーストを用いて1005サイズの0Ω抵抗部品(1005R)を実装し、その後、N雰囲気で、ピーク温度170℃のリフロー条件で熱処理に供して、1005R、45個のデイジーチェーンを作製した。熱処理装置は、リフローシミュレータ(マルコム:SRS−1C)を使用した。温度プロファイルは、熱処理開始(常温)から100℃までを1.5℃/秒で昇温し、100℃から130℃までを90秒かけて徐々に昇温した後、2.0℃/秒で昇温し、ピーク温度170℃で45秒間保持する条件を採用した。印刷パターン形成には、スクリーン印刷機(マイクロテック:MT−320TV)を用いた。印刷マスクはメタル製であり、そしてスキージはウレタン製である。マスクは、開口サイズ2mm×3.5mm、厚み0.1mmである。印刷条件は、速度50mm/秒、印圧0.1MPa、スキージ圧0.2MPa、背圧0.1MPa、アタック角度20°、クリアランス0mm、及び印刷回数1回とした。その後、部品の長手方向より荷重を掛けて接合強度を測定したところ、部品接合強度の平均値は、4.2Nであった。なお、実施例1の(5)以降の評価結果を表1に示す。
(6)部品接続抵抗
上記1005R、45個のデイジーチェーンの抵抗値を測定したところ、988mΩであった。
(7)加熱時溶融流動特性
上記はんだペーストを、アルミナ基板上にスクリーン印刷機(マイクロテック:MT−320TV)を用いて印刷し(印刷厚み:200μm、印刷開口:6mmΦ)、ピーク温度170℃のリフロー条件((5)同様)で熱処理を行った。リフロー前後での、はんだの面積変化を測定したところ、リフロー後は、リフロー前に対して92.1%の面積に変化した。該面積変化を、表1の加熱時溶融流動特性に示した。
<実施例2及び3並びに比較例1及び2>
Bi系合金粒子とSn粒子の混合質量比を表1に示した混合比に変えて、その他条件は実施例1と同様の条件で各評価を実施した。
<部品接合強度>
表1の実施例1〜3及び比較例1より、Bi系合金粒子100質量部に対して、Sn粒子が0〜200質量部の複合合金粒子(2)を用いた場合には、1005Rで4N以上の部品接合強度が得られている。一方、Bi系合金粒子100質量部に対して、Sn粒子が600質量部である場合には、1005Rの部品接合強度が0 Nであった(比較例2)。これは複合合金粒子(2)中のBi系合金粒子の混合比が少なくなりすぎると、170℃のリフローにて溶融する粒子が少なくなるため(Sn粒子の融点:232℃)良好な金属接合が得られないことを意味する。逆に、実施例1ではBi系合金粒子100質量部に対して、Sn粒子が200質量部であるにもかかわらず、ピーク温度170℃のリフローによって、Sn粒子を含有しない比較例1と同等の部品接合強度がえられた。
<部品接続抵抗>
表1の実施例1〜3及び比較例1より、複合合金粒子(2)中のBi系合金粒子の混合比を減らすことによって、部品接続抵抗値を下げることが可能であり、部品接続特性を改善できることがわかる。
<加熱時溶融流動特性>
比較例1では、印刷したはんだを170℃で熱処理を行うことで、該はんだの面積が63%に変化する。これは、リフロー時に、溶融した金属成分に表面張力が働いて、溶融流動していることを意味する。一方、実施例1〜3では、所定量のSn粒子が複合合金粒子(2)中に加わったことによって、上記熱処理後のはんだ面積は、いずれも70%以上であった。すなわち、実施例1〜3の金属フィラー組成では、加熱時の溶融流動が少ないため、比較例1の金属フィラー組成に比べてより耐熱性に優れているといえる。
Figure 2012125791
<実施例4〜6>
実施例1のSn粒子の代わりに、Sn系合金粒子である、粒度10〜25μmのSn−3.0Ag−0.5Cu粒子(実施例4)、粒度10〜25μmのSn−3.5Ag粒子(実施例5)、及び粒度25〜38μmのSn−0.3Ag−0.7Cu粒子(実施例6)を用いて、実施例1と同様の評価を行った結果を表2に示す。部品接合強度、部品接続抵抗値、加熱時溶融流動特性はいずれも、実施例1に近い値が得られた。
Figure 2012125791
本発明の金属フィラー及びこれを含む鉛フリーはんだ又は導電性接着剤は、後工程で複数回の熱処理を受ける接続構造体の用途(例えば、部品内蔵基板、パッケージ等の電子デバイスの用途)に適用されることができ、かつ低温実装を実現できる。

Claims (9)

  1. 以下の:
    (1)銅(Cu)系合金粒子
    ここで、該Cu系合金粒子は、Cu、インジウム(In)及びスズ(Sn)を含み、かつCu、In及びSnの中でCuを最高の質量割合で含み、そして該Cu系合金粒子の含有量は、該金属フィラーの全質量を基準として30〜45質量%である;並びに
    (2)複合合金粒子
    ここで、該複合合金粒子は、ビスマス(Bi)系合金粒子とSn粒子又はBi不含有Sn系合金粒子との混合物であり、該Sn粒子又はBi不含有Sn系合金粒子の含有量は、該Bi系合金粒子100質量部に対して25〜250質量部であり、該Bi系合金粒子は、該Bi系合金粒子の全質量を基準として、40〜70質量%のBi並びに30〜60質量%の銀(Ag)、Cu、In及びSnから選ばれる少なくとも1種の金属を含み、そして該Bi不含有Sn系合金粒子は、該Bi系合金粒子の固相線温度以上の固相線温度を有する;
    を含む金属フィラー。
  2. 前記Cu系合金粒子はAg又はBiをさらに含む、請求項1に記載の金属フィラー。
  3. 前記Bi系合金粒子はSnを含む、請求項1又は2に記載の金属フィラー。
  4. 前記Bi不含有Sn系合金粒子は、Sn100質量部に対して、4.0質量部以下のAg及び/又はCuを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の金属フィラー。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の金属フィラーを含む鉛フリーはんだ。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の金属フィラーを含む導電性接着剤。
  7. 第1の電子部品、第2の電子部品、並びに該第1の電子部品及び該第2の電子部品を接合しているはんだ接合部を含む接続構造体であって、該はんだ接合部は、請求項5に記載の鉛フリーはんだを、前記Bi系合金粒子の固相線温度以上であり、かつ前記Sn粒子又はBi不含有Sn系合金粒子の固相線温度以下である温度でリフロー熱処理することにより形成されている接続構造体。
  8. 第1の電子部品、第2の電子部品、並びに該第1の電子部品及び該第2の電子部品を接着している接着部を含む接続構造体であって、該接着部は、請求項6に記載の導電性接着剤を、前記Bi系合金粒子の固相線温度以上であり、かつ前記Sn粒子又はBi不含有Sn系合金粒子の固相線温度以下である温度でリフロー熱処理することにより形成されている接続構造体。
  9. 基板及び該基板上に搭載された請求項7又は8に記載の接続構造体を含む部品搭載基板。
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