JP5951339B2 - 熱硬化性樹脂組成物を用いたはんだペースト - Google Patents
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Description
電子部品が実装される基板電極には、銅電極が多く用いられているが、銅電極表面の酸化が進むと、溶融したはんだとの濡れ性が悪くなり、部品接続信頼性等が悪化するため、銅電極表面にはプリフラックス処理やその他有機皮膜処理等がなされている。
また、最も効果的に電極表面の酸化を抑制する手法として、電極に金めっき(一般的には、ニッケル表面に金めっきされる)を施すことによって、電極表面の酸化を防止する手法が広く普及している。さらに、金電極を有する電子部品も数多く普及している。
前述した、はんだペースト中に高融点金属粒子を添加することによって、はんだ接合時に耐熱性を付与する特許文献1に記載された技術に関しても、これらはんだペーストを用いて金電極基板に部品実装を行った際に、溶融したはんだ粒子が金電極全面に濡れ広がり、耐酸化や耐腐食に優れた金が、濡れ広がったはんだに置換されてしまうという問題があり、溶融したはんだの金電極への濡れ広がりを抑制する技術が望まれている。
かかる状況下、本発明が解決しようとする課題は、金電極へのはんだの濡れ広がりを抑制できるはんだペーストを提供することである。
すなわち、本発明は以下の通りのものである。
本発明におけるはんだペーストは、熱硬化性樹脂組成物中にはんだ粒子が分散したはんだペーストであり、該熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂、有機酸、及び硬化剤を含み、かつ、大気中で30℃から0.185±0.010℃/秒の昇温速度で加熱しながら、周波数2.0Hzにて該熱硬化性樹脂組成物の動的粘弾性測定するとき、該はんだ粒子の融点(℃)より10℃高い温度での該熱硬化性樹脂組成物の貯蔵弾性率(G’+10)が、1.0Pa以上であり、該はんだ粒子の融点より15℃低い温度における熱硬化性樹脂組成物の貯蔵弾性率G’−15が103Pa以下であり、かつ、G’+10/G’−15≧3.0の関係を満たすことを特徴とする。
従来のはんだペーストに使用されるロジン系の熱可塑性樹脂フラックスは、溶融したはんだ粒子同士が効率的に融合できるようにするため、はんだ粒子の融点前後の温度帯においてフラックス流動性が高くなるように樹脂設計がなされている。
すなわち、はんだ粒子の融点付近の温度帯で、熱硬化性樹脂の硬化反応を意図的に進行させて、熱硬化性樹脂組成物の流動性を意図的に低くすることで、はんだが金電極へ濡れ広がることを抑制する効果を有する。
はんだ粒子の融点より僅かに高温領域(はんだ粒子が実際に溶融流動する温度領域)において、熱硬化性樹脂組成物の流動性を意図的に低くし、金電極へのはんだの濡れ広がりを熱硬化性樹脂組成物にて抑制する観点から、G’+10が、1.0Pa以上であることが好ましく、より好ましくは3.0Pa以上である。より効果的に金電極へのはんだの濡れ広がりを抑制する観点から、G’+10が5.0Pa以上であることが好ましく、より好ましくは102以上であり、さらに好ましくは104以上であり、最も好ましくは105以上である。
さらに、本発明における熱硬化性樹脂組成物の特性を発現する範囲で、チクソ剤、消泡剤、酸化防止剤、溶剤(例えば、グリコールエーテル系の溶剤)、ハロゲン化合物の活性剤、無機フィラー等、従来のクリームはんだに使用される公知のものを添加することができる。
熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シアン酸エステル樹脂、メラミン樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミド樹脂、尿素樹脂、アルキド樹脂、ビニルエステル樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂等を使用することができるが、低温での樹脂硬化特性と密着性の観点から、好ましくはエポキシ樹脂である。エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ヒンダート型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂及びこれらをハロゲン化したエポキシ樹脂、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール等のジグリシジルエーテル等を用いることができる。さらに、分子内にエポキシ基を3個以上有する多官能エポキシ樹脂から選ぶ場合、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ビスAノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン/フェノールエポキシ樹脂、脂環式アミンエポキシ樹脂、脂肪族アミンエポキシ樹脂などが挙げられる。中でも、ペースト化の観点から、比較的低粘度のビスフェノールA型エポキシ樹脂又はビスフェノールF型エポキシ樹脂が好ましい。
有機酸は、主にはんだ表面の酸化皮膜の清浄化や再酸化防止の目的で添加する。有機酸として、公知のモノカルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸等を使用することができる。例として、グルタル酸、アジピン酸、安息香酸、ステアリン酸、クエン酸、シュウ酸、コハク酸、セバシン酸、マロン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、シトラコン酸、α−ケトグルタル酸、ジグリコール酸、チオジグリコール酸、ジチオジグリコール酸や、レブリン酸、5−ケトヘキサン酸、3−ヒドロキシプロピオン酸、4−アミノ酪酸、3−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトイソブチル酸、3−メチルチオプロピオン酸、3−フェニルプロピオン酸、3−フェニルイソブチル酸、4−フェニル酪酸、吉草酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、デカン酸、ノナン酸、オレイン酸、リノール酸、アラキドン酸、ウンデシレン酸、2,2−ジメチル酪酸、α―リノレン酸、パルミトレイン酸、ドコサヘキサエン酸、ミリストレイン酸、CO−FA−S(伊藤製油社製)、ロジンおよび変性ロジン等が挙げられる。
はんだ粒子の融点付近において、熱硬化性樹脂の硬化反応をある一定の範囲内で進行させるためには、後述する硬化剤の種類の選定が最も重要であるが、他方で、上記有機酸は熱硬化性樹脂との硬化反応にも関与する。そのため、例えば、有機酸として融点が95℃で熱硬化性樹脂中への分散性が比較的低いグルタル酸を用いた熱硬化性樹脂組成物では、はんだ粒子の融点付近において、熱硬化性樹脂の硬化反応がある一定の範囲内で進行せず、金電極への濡れ広がり抑制効果が得られない場合でも、グルタル酸の代わりに、熱硬化性樹脂との親和性が高く分散性に優れた、オレイン酸やオクタン酸等の液状有機酸(融点25℃以下)を用いることによって、熱硬化性樹脂と有機酸との反応性を高め、はんだ粒子の融点付近において、熱硬化性樹脂の硬化反応をある一定の範囲内で進行させ、金電極への濡れ広がり抑制効果を得ることができる。但し、上述したグルタル酸等のジカルボン酸は、はんだ粒子表面の酸化皮膜清浄化作用に優れており、本発明における熱硬化性樹脂組成物中に添加する有機酸として好ましくないという訳ではなく、グルタル酸等のジカルボン酸を用いる場合には、後述する硬化剤の選定によって、本発明の熱硬化性樹脂組成物の熱流動特性を調整することができる。
硬化剤としては、一般的なアミン化合物、有機酸ジヒドラジド、りん系化合物、フェノール樹脂、酸無水物及びイミダゾール系硬化剤、スルホニウム塩等のカチオン硬化剤、アニオン硬化剤等公知のものが使用できるが、硬化速度や接着力の観点から、イミダゾール系硬化剤やトリアジン系硬化剤が好ましい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物の流動特性を示すものであれば、硬化剤の種類は限定されるものではなく、例えばイミダゾール系硬化剤であれば、四国化成社製の製品名(2MZ、C11Z、C17Z、2E4MZ、2PZ、2P4MZ、1B2MZ、1B2PZ、1.2DMZ、2MZ−A、C11Z−A、2E4MZ−A、2MA−OK、2PZ−OK、2MZ−OK、2PHZ、2P4MHZ、TBZ、2E4MZ・BIS、SFZ)等が挙げられる。
例えば、硬化剤として酸無水物を使用する場合には、熱硬化性樹脂組成物中に含まれる硬化剤の割合が20〜60wt%であることが好ましく、硬化剤としてイミダゾール硬化剤を使用する場合には、熱硬化性樹脂組成物中に含まれる硬化剤の割合が1.0〜20wt%であることが好ましく、より好ましくは2.0〜12wt%である。また、熱硬化性樹脂組成物中に添加するアミン化合物の割合は、熱硬化性樹脂組成物の保存安定性の観点から、20wt%以下が好ましく、短時間硬化性と保存安定性の観点から、より好ましくは0.10〜14wt%であり、さらに好ましくは0.20〜7.0wt%であり、最も好ましくは、0.50〜5.0wt%である。
金電極へのはんだ濡れ広がりを抑制するためには、はんだ粒子の融点付近において、熱硬化性樹脂の硬化反応をある一定の範囲内で進行させる樹脂組成にすることが重要であり、上述した硬化剤の選定が重要である。例えば、硬化剤としてイミダゾール系硬化剤を使用する場合には、上述したような多数ある公知のイミダゾール系硬化剤の中から、使用するはんだ粒子の融点付近の温度帯で、熱硬化性樹脂との反応が進行する硬化剤を選定することが好ましい。本発明においては、はんだ粒子の組成は特定の組成に限定されるものではないが、一例として、はんだ粒子に融点138℃のSn58Bi粒子を用い、熱硬化性樹脂にエポキシ樹脂を用いた場合には、添加するイミダゾール系硬化剤として、上記四国化成社製の2PZ、2MZ、2PZ−OK、2PMZ等の硬化剤の添加が好ましく、融点138℃付近での熱硬化性樹脂の硬化反応をある一定の範囲内で進行させることができる。一方、例えば硬化剤として2MA−OKを用いた場合には、エポキシ樹脂との硬化開始温度がはんだ粒子の融点に対して高いため、このような硬化剤を添加する場合には、その他の硬化剤として、より硬化開始温度が低く、はんだ粒子の融点付近の温度帯で熱硬化性樹脂の硬化反応を進行させる樹脂組成に設計する必要がある。アミン化合物に関しても同様であり、公知のアミン化合物の中から、使用するはんだ粒子の融点付近で硬化反応を進行させるアミン化合物を選定して、熱硬化性樹脂組成物の組成設計をすることが好ましい。また、はんだ粒子として融点222℃のSn−3Ag−0.5Cu粒子や、融点232℃のSn粒子を用いる場合には、熱硬化性樹脂組成物がこれら融点付近の温度帯で硬化反応を進行させるために、例えば、前記2PZ等の硬化剤よりも硬化開始温度が高い硬化剤を選定することが好ましい。
チクソ剤としては、従来からクリームはんだの熱硬化性樹脂組成物に使用されているチクソ剤を使用することができ、例えば、ヒマシ油、水添ヒマシ油、ソルビトール系のチクソ剤が挙げられる。熱硬化性樹脂組成物中に含まれるチクソ剤の割合は、0.10〜10wt%が好ましく、より好ましくは0.20〜8.0wt%であり、さらに好ましくは0.50〜5.0wt%である。
本発明の効果を損なわない範囲で、熱硬化性樹脂組成物中に無機フィラーを添加してもよい。無機フィラーとしては、シリカ粒子等のセラミック粒子が挙げられる。無機フィラーを添加することによって、リフロー後の熱硬化性樹脂組成物硬化部の線膨張係数を下げることができるため、電子部品と接合部の間の線膨張係数の差異を低くすることができる。
本発明のはんだペーストに含まれる金属粒子の含有率は、40〜95質量%の範囲が好ましく、60〜94質量%の含有率がより好ましく、さらに好ましくは80〜93質量%である。金属粒子の含有率が95質量%以下であると、ペーストの粘度が最適化され、スクリーン印刷等での印刷性が良好となる。金属粒子の含有率が40質量%以上であると、金属粒子の沈降を抑制できる。尚、金属粒子とは、以下に説明するはんだ粒子と高融点金属粒子を含む。
本明細書で規定する、金属元素組成は、例えば、誘導結合プラズマ(ICP)発光分析等で確認することができる。また、粒子断面の元素組成に関しては、SEM−EDX(特性X線分析装置)を用いることによって解析することができる。また、本明細書中の金属組成に関して、不可避的不純物が含有されてもよい。
また、本明細書で規定する、はんだ粒子の融点は、示差走査熱量測定で測定される最低の融点である。
本発明におけるはんだペーストには、融点の高い高融点金属粒子を1種以上加えてもよい。ロジン系の熱可塑性樹脂フラックスを用いた、従来のはんだペーストに高融点金属粒子を加えることで、リフロー時にはんだ接合部に高融点の金属間化合物を形成させ、耐熱性を付与できるが、後に比較例で示す金電極への濡れ広がりに関する検証実験では、溶融したはんだ粒子は金電極全面へ濡れ広がる結果となった。一方で、本発明における熱硬化性樹脂組成物を用いれば、高融点金属粒子を加えたはんだペーストにおいても、はんだの金電極への濡れ広がりを抑制できる。
該高融点金属粒子は、本発明におけるはんだ粒子より融点が高い金属粒子である。中でも、Ag、Bi、Cu、Ge、In、Sn、Sb、Ni、Zn、Pb、及びAuからなる群から選ばれる金属の内の少なくとも1種を含み、融点が300℃以上であることが好ましい。溶融したはんだ粒子と高融点金属粒子との金属拡散性の観点から、高融点金属粒子としては、Cu粒子、Cu合金粒子、Ag粒子、又はAg合金粒子がより好ましい。
本発明のはんだペーストに使用される金属粒子(はんだ粒子と高融点金属粒子との和)のうち、高融点金属粒子は、溶融したはんだと高融点金属粒子との界面で、融点の高い金属間化合物を接合部に形成するが、一方で、はんだ粒子に対する高融点金属粒子の割合が多すぎると、接合部が殆ど高融点金属粒子の点接触により導通を得なければならないため、接続抵抗が上昇する。これらのことから、本発明のはんだペーストに使用される金属粒子(はんだ粒子と高融点金属粒子との和)のうち、高融点金属粒子の割合は、90wt%以下が好ましく、さらに好ましくは75wt%以下が好ましく、より好ましくは65wt%以下である。より接続抵抗を下げる観点から、高融点金属粒子の割合は、55wt%以下であることが好ましく、より好ましくは45wt%以下であり、さらに好ましくは、35wt%以下である。さらに、従来のはんだペーストのような、接合部表面の凹凸の少ないはんだ光沢に優れた接合部を形成するためには、高融点金属粒子の割合は、25wt%以下であることが好ましく、より好ましくは15wt%以下であることが好ましく、さらに好ましくは5.0wt%以下である。本発明の熱硬化性樹脂組成物は、はんだ粒子が溶融した際に金電極への濡れ広がりを抑制する効果を有することから、上記金属粒子の組成においても、溶融したはんだの金電極への濡れ広がりを抑制することが可能となる。
本発明は、基板電極と電子部品電極、又は電子部品電極と電子部品電極、又は基板電極と基板電極を接合するはんだ接合部を有し、該はんだ接合部が本発明のはんだペーストを熱処理することによって形成される接続構造体にも関する。例えば、基板電極と受動部品電極との接合では、図1(a)、(b)に示すように、本発明のはんだペーストを基板電極にスクリーン印刷し、(c)その後電子部品を搭載し、(d)はんだ粒子の融点以上の温度で熱処理をすることによって、はんだと熱硬化性樹脂組成物硬化部から成る接合部が1度の熱処理で得られる。また、図2に示すように、PoP(パッケージ・オン・パッケージ)のように、電子部品と電子部品との電極間の接合に本発明のはんだペーストを使用することも可能である。さらに図3に示すように、同一基板面上にはない、異なる基板の電極間の接合に本発明のはんだペーストを用いる場合、(a)少なくとも一方の基板電極上に本発明のはんだペーストを印刷し、(b)、(c)接合させたいもう一方の基板電極を位置合わして接触させ、(d)熱処理する方法や、基板やプリプレグ等にレーザー等でビアを開けておき、ビア充填用のはんだペーストとしてビアに埋めて熱処理する利用方法等がある。尚、充填方法としては、例えば印刷機が例示でき、より好ましくは、真空印刷機である。ビア充填用に用いる場合、はんだペースと中に前期高融点金属を添加して、はんだ粒子の溶融時の表面張力を抑制することが好ましく、またその際、はんだペースト中に含まれる金属粒子の平均粒子径は、前記ビア径の1/3以下であることが好ましい。
本発明のはんだペーストの塗布方法としては、スクリーン印刷、ディスペンス、転写等の一般的な公知の技術を用いることができる。
本発明は、電子部品が実装される実装基板を有する電子機器であって、該電子部品又は該実装基板の電極のうち、少なくともいずれか一方は金電極であり、さらに、該電子部品の電極と該実装基板の電極は、本発明のはんだペーストを用いて接続される電子機器にも関する。前記電子部品としては、半導体部品や受動部品(抵抗、コンデンサ、コイル等)が例示できる。実装基板としては、ガラスエポキシ基板、セラミック基板、ポリイミド等のフレキシブル基板、紙フェノール樹脂基板等公知のものが使用できる。また、一般的な金電極は、ニッケル下地に金めっきを施した電極が一般的に用いられる。
例えば、抵抗部品を金電極や金配線を有するプリント配線基板上に、従来のはんだペーストを用いて電子部品を実装しようとした場合、リフロー中に溶融したはんだが、金電極全面に薄く濡れ広がってしまい、部品接合部のフィレット形成に必要なはんだ量が相対的に少なくなり部品接合強度が弱くなる。さらに、場合によっては基板の金配線まで、溶融したはんだが濡れ広がってしまい、金配線が薄いはんだ層(主に錫成分)に置き換わってしまうため、導通配線の酸化や腐食に対する耐性が低くなる。これらの理由から、金電極を使用する場合には、はんだの濡れ広がりを考慮した基板を使用する必要があり、基板設計において制限を受けている。しかしながら、本発明におけるはんだペーストを用いた場合、金電極へのはんだ濡れ広がりを抑制することが可能であるため、基板設計等の自由度が増す。
さらに、半導体部品が実装されるリードフレームを有する電子機器であって、該半導体部品電極又は該リードフレームの接合面の内少なくとも一方が金めっきされており、さらに、該半導体部品の電極と該リードフレーム接合面が、本発明のはんだペーストを用いて接続されている電子機器にも関する。該電子機器に関しても、本発明におけるはんだペーストを用いることによって金面上への濡れ広がりを抑制することが可能であるため、上述した通り、基板設計等の自由度が増す。
本発明は、金面上に、本発明のはんだペーストを塗布する工程、次いで、該はんだペーストに含まれるはんだ粒子の融点以上の温度で熱処理する工程を含む、金面上へのはんだバンプ形成方法にも関する。本発明のはんだペーストは金電極へのはんだ濡れ広がりを抑制することができるため、厚みのあるはんだバンプを金面上に形成することができる。本手法を用いてバンプを作製した、はんだバンプ付き基板、又ははんだバンプ付き電子部品の提供も可能となる。
本発明は、同一基板面上にはない、異なる基板間の電極がはんだ接合されており、該電極間の少なくとも一方が金電極であり、かつ該はんだ接合部は、本発明のはんだペーストを用いて接続される積層基板にも関する。
尚、各金属粒子の平均粒径は、Sympatec社(ドイツ)製レーザー回折式粒子径分布測定装置「HELOS&RODOS」により体積積算平均値を測定し、平均粒径値として求めた。
はんだ粒子の融点は、島津製作所株式会社製「DSC−60」を用い、窒素雰囲気下、昇温10℃/分の条件で、測定温度範囲30〜600℃で測定し、最低温の吸熱ピークについてJIS Z3198−1に従って求められる融点とした。尚、吸熱量を定量した際、1.5J/g以上あるものを測定対象物由来のピークとし、それ未満のピークは分析精度の観点から、除外した。
[実施例1]
(1)はんだ粒子
はんだ粒子には、山石金属(株)社製の粒度25μm〜45μmのはんだ粉末Bi−42Sn(元素組成は、Bi:58質量%、Sn:42質量%)を用いた。以下、これを、金属粒子Aと表記する。該はんだ粒子の平均粒子径をレーザー回折式粒子径分布測定装置(HELOS&RODOS)で測定したところ平均粒径は35μmであった。また、上記はんだ粒子を、示差走査熱量計(島津製作所:DSC−50)で、窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分の条件で、30〜600℃の範囲において測定したところ、138℃に融点が検出された。
熱硬化性樹脂組成物として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂である旭化成エポキシ社製のエポキシ樹脂(AER260)と、ビスフェノールF型エポキシ樹脂である三菱化学社製エポキシ樹脂(YL983U)を、硬化剤として四国化成社製のイミダゾール系硬化剤である2−フェニルイミダゾール イソシアヌル酸付加物(2PZ−OK)と、n−ブチルアミンを、有機酸としてアジピン酸を、チクソ剤としてゲルオールD(新日本理科社製)を、以下の表1に示す混合比で配合し、自転・公転ミキサー(THINKY社製 あわとり練太郎)を用いて室温(25℃)で5分混練した後3分間脱泡し、熱硬化性樹脂組成物を作製した。本明細書中のアジピン酸として、平均粒子径3.4μmのものを使用した。
(1)に前記した金属粒子Aを85質量部と、(2)で作製した熱硬化性樹脂組成物15質量部とを、ソルダーソフナー(マルコム:SPS−1)にて室温(25℃)にて15分間混練し、脱泡混練機(松尾産業:SNB−350)に3分間かけて、はんだペーストを作製した。
HAAKE社製の動的粘弾性測定装置(Rheo Stress 600)を用いて(2)にて作製した熱硬化性樹脂組成物の貯蔵弾性率G’(Pa)を作成後5時間以内に測定した。測定は、ディスポーザブルセンサーシステム(直径20mmΦのセンサーを使用)を用いて、オシレーションモード(Tau:30Pa、周波数:2.0Hz)で、上記熱硬化性樹脂組成物をギャップ0.300mmのセンサープレート間に介在させ、大気中で30℃から260℃まで、0.185±0.010℃/秒で昇温させ、各温度における熱硬化性樹脂組成物の貯蔵弾性率G’(Pa)を測定した。使用するはんだ粒子の融点より15℃低い温度における熱硬化性樹脂組成物の貯蔵弾性率(G’−15)と、該はんだ粒子の融点(℃)より10℃高い温度における熱硬化性樹脂組成物の貯蔵弾性率(G’+10)を測定したところ、G’−15が1.9×10−1Paであり、G’+10が4.7×105Paであった。結果を、以下の表1に示す。
高耐熱エポキシ樹脂ガラス布からなるプリント基板(ソルダーレジスト有り)の金電極上(電極サイズ:1.0mm×1.0mm)に、前記(3)で作製したはんだペーストを、室温(25℃)にて5時間以内に印刷塗布し、N2リフロー(O2濃度:1000ppm以下)して評価サンプルを得た。熱処理装置は、リフローシミュレータ(マルコム:SRS−1C)を使用した。温度プロファイルは、熱処理開始(常温)から160℃までを2.0℃/秒で昇温し、160℃で360秒間保持した。ペースト印刷パターン形成には、スクリーン印刷機(マイクロテック:MT−320TV)を用いた。印刷マスク及びスキージはメタル製のものを採用した。印刷マスクは、開口サイズ1.0mm×0.60mm、厚み0.08mm(基板電極の中心と印刷開口の中心位置は同じ)である。印刷条件は、速度10mm/秒、印圧0.1MPa、スキージ圧0.2MPa、背圧0.1MPa、アタック角度20°、クリアランス0mm、印刷回数1回とした。リフロー後、異なる電極10箇所を、光学顕微鏡で観察して、はんだ粒子が良好に溶融しているかを確認したところ、はんだ粒子は全て良好に溶融していた。尚、本明細書において、はんだ粒子溶融特性が良好とは、リフロー中にはんだ粒子が全て溶融し、リフロー後に未溶融のはんだ粒子が観察されないこととする。結果を以下の表1に示す。
高耐熱エポキシ樹脂ガラス布からなるプリント基板(ソルダーレジスト有り)のAuメッキ電極上(電極サイズ:1.2mm×1.2mm)に、前記(3)で作製したはんだペーストを室温(25℃)にて作製後5時間以内に印刷塗布し、N2リフロー(O2濃度:1000ppm以下)して評価サンプルを得た。熱処理装置は、リフローシミュレータ(マルコム:SRS−1C)を使用した。温度プロファイルは、熱処理開始(常温)から160℃までを2.0℃/秒で昇温し、160℃で360秒間保持した。ペースト印刷パターン形成には、スクリーン印刷機(マイクロテック:MT−320TV)を用いた。印刷マスク及びスキージはメタル製のものを採用した。印刷マスクは、開口サイズ1.2mm×0.72mm、厚み0.08mm(基板電極の中心と印刷開口の中心位置は同じ)である。印刷条件は、速度10mm/秒、印圧0.1MPa、スキージ圧0.2MPa、背圧0.1MPa、アタック角度20°、クリアランス0mm、印刷回数1回とした。本評価は、金電極のサイズ(1.2mm×1.2mm)に対して、印刷マスク開口(1.2mm×0.72mm)を意図的に小さくしており、リフロー後に溶融したはんだが、金電極全面に広がっているかを、KEYENCE社製デジタルマイクロスコープ(VHX−500)で、異なる10箇所の金電極を基板上面から観察した。図4に、リフロー後の金電極表面を観察した結果として(a)参考写真と、(b)模式図を示す。溶融したはんだ粒子同士は良好に融合しているにも関わらず、金めっき電極全面に溶融したはんだが濡れ広がらず、はんだペースト印刷時の長方形の形状を維持しており、金電極への濡れ広がり抑制効果を有することが確認された。また、図5に、図4(a)の点線部の断面図を示す。尚、本明細書において、金電極への濡れ広がり抑制効果を有するとは、リフロー後に異なる10個の金電極を上記手法にて観察し、全ての電極に関して、溶融したはんだが金電極全面に濡れ広がらず、金電極の金色光沢がリフロー後も電極端部に観察されることとする。本評価方法は、正方形の金電極に対して、該電極サイズより小さい開口にて長方形にはんだペーストを印刷し、リフローした際のはんだ濡れ広がりを観察する手法である。はんだ濡れ広がり抑制効果のない熱硬化性樹脂組成物の場合、リフロー後に金電極全面へはんだが濡れ広がる結果となる。結果を以下の表1に示す。
前記(3)で作製したはんだペーストを、前記(5)と同様に、室温(25℃)で5時間以内にプリント基板上にスクリーン印刷した際に、該はんだペーストが、金電極上に転写されているかを、光学顕微鏡で10箇所の電極確認したところ、使用した印刷マスク開口に対応する長方形の形状で、はんだペーストが良好に印刷されていた。結果を以下の表1に示す。尚、本評価においては、はんだペーストが印刷マスク開口形である長方形の形状で印刷された場合、表1に、印刷特性を「良好」と記載し、他方、はんだペーストがペースト作製後に短時間で増粘し、印刷特性(特に、版抜け性)が悪く、印刷マスク開口形に対応する長方形の形状で、はんだペーストが基板に転写されなかった場合、印刷特性が「悪い」と記載した。
高耐熱エポキシ樹脂ガラス布からなるプリント基板(ソルダーレジスト有り)の金電極上(電極サイズ:1mm×1mm)に、前記(3)で作製したはんだペーストを印刷塗布し、その後、1005(1mm×0.5mm)サイズの0Ω抵抗部品(以後、1005Rと表記する)を直列に45個搭載し、N2リフロー(O2濃度:1000ppm以下)して評価サンプルを得た。熱処理装置は、リフローシミュレータ(マルコム:SRS−1C)を使用した。温度プロファイルは、熱処理開始(常温)から160℃までを2.0℃/秒で昇温し、160℃で360秒間保持した。ペースト印刷パターン形成には、スクリーン印刷機(マイクロテック:MT−320TV)を用いた。印刷マスク及びスキージはメタル製のものを採用した。印刷マスクは、開口サイズ1.0mm×0.60mm、厚み0.08mmである。印刷条件は、速度10mm/秒、印圧0.1MPa、スキージ圧0.2MPa、背圧0.1MPa、アタック角度20°、クリアランス0mm、印刷回数1回とした。リフロー後、0Ω抵抗45個が直列で接合されたデイジーチェーンの接続抵抗を測定したところ、1155mΩであった。
前記(4)における、熱硬化性樹脂組成物の貯蔵弾性率測定結果では、G’−15が1.9×10−1Paであり、G’+10が4.7×105Paであった。G’+10が、1.0Pa以上であることから、はんだ粒子が濡れ広がる温度帯において熱硬化性樹脂組成物の熱流動が抑制され、溶融したはんだの金電極への濡れ広がりが抑制される結果が得られている。また、G’−15と、前記G’+10が、G’+10/G’−15が2.5×106であることから、はんだ粒子の融点より僅かに低い温度から、はんだ粒子の融点より僅かに高い温度にかけて、熱硬化性樹脂組成物中の熱硬化性樹脂が急激に硬化し、溶融したはんだ粒子が金電極に濡れ広がるのを抑制する効果を高めている。さらにG’−15が103Pa以下であることから、はんだ粒子の融点より低温領域での熱硬化性樹脂と硬化剤との反応は穏やかに進行し、はんだペーストの印刷特性が優れる結果が得られている。
実施例1の(2)と同様に、表1に示す組成比で各種熱硬化性樹脂組成物を作製した。実施例1に使用していない添加剤としては、硬化剤として、四国化成社製イミダゾール系硬化剤の2−フェニルイミダゾール(製品名:2PZ)、2−メチルイミダゾール(製品名:2MZ)、2,4−ジアミノ−6−〔2’−メチルイミダゾリル−(1’)〕−エチル−s−トリアジン(製品名:2MZ−A)、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール(製品名:2P4MHZ)、2,4−ジアミノ−6−〔2’−メチルイミダゾリル−(1’)〕−エチル−s−トリアジン イソシアヌル酸付加物 2水和物(製品名:2MA−OK)、2−フェニル−4−メチルイミダゾール(製品名:2P4MZ)や、トリエタノールアミンを用いた。また、有機酸としてグルタル酸、オレイン酸、リノール酸、オクタン酸、チクソ剤としてゲルオールMD(新日本理科社製)を使用した。尚、グルタル酸を使用する場合は、熱硬化性樹脂組成物を混練する前に、YL983Uに添加し150℃で加熱融解させて冷却した後に、実施例1の(2)と同様に熱硬化性樹脂組成物を作製した。
実施例2〜5に関しては、いずれも熱硬化性樹脂組成物の貯蔵弾性率特性として、G’+10が、1.0Pa以上であることから、はんだ粒子が濡れ広がる温度帯において熱硬化性樹脂組成物の熱流動が抑制され、溶融したはんだの金電極への濡れ広がりが抑制される結果が得られている。また、実施例2〜5に関しては、いずれもG’+10/G’−15≧3.0であることから、はんだ粒子の融点より僅かに低い温度から、はんだ粒子の融点より僅かに高い温度にかけて、熱硬化性樹脂組成物中の熱硬化性樹脂が急激に硬化し、溶融したはんだ粒子が金電極に濡れ広がるのを抑制する効果を高めている。さらに、G’−15が103Pa以下であることから、はんだ粒子の融点より低温領域での熱硬化性樹脂と硬化剤との反応性は低く、はんだペーストの印刷特性が良好であった。
比較例1〜3に関しては、いずれも熱硬化性樹脂組成物の貯蔵弾性率特性として、G’+10が、1.0Pa未満であることから、はんだ粒子が濡れ広がる温度帯において熱硬化性樹脂組成物の熱流動が非常に高く、溶融したはんだの金電極への濡れ広がりが抑制する効果が得られていない。また、比較例1〜3は、いずれもG’+10/G’−15<3.0であることから、はんだ粒子の融点より僅かに低い温度から、はんだ粒子の融点より僅かに高い温度にかけて、熱硬化性樹脂組成物中の熱硬化性樹脂の硬化反応は殆ど進行しておらず、溶融したはんだ粒子が金電極に濡れ広がるのを抑制する効果が得られていない。但し、G’−15はいずれも103Pa以下であることから、はんだペーストの印刷特性が良好であった。比較例1の金電極上でのはんだ濡れ広がり試験後の電極基板上面から、デジタルマイクロスコープにて観察した参考写真とその模式図をそれぞれ図6の(a)と(b)に示す。また、図7に、図6の(a)の点線部の断面図を示す。図6により金電極全面に溶融したはんだが濡れ広がっていることが分かる。
比較例4に関しては、G’−15が4.3×105Paであり、はんだ粒子の融点より低温領域での熱硬化性樹脂と硬化剤との反応性が極めて高く、はんだペースト作製後、室温(25℃)放置3時間後には急激に増粘しており、はんだペーストの印刷特性(版抜け性)が悪く、実施例1の(5)〜(8)のペースト印刷方法が適用できなかった。尚、その他の実施例及び比較例においては、このような短時間の増粘傾向は観察されなかった。
実施例1で用いたはんだペーストに添加する金属粒子Aを、以下に説明する金属粒子Bに代えて、実施例1の(1)〜(4)、及び(6)〜(8)と同様の評価を実施した。金属粒子Bは、金属粒子Aを95質量部と、高融点金属粒子Aを5質量部混合して作製した。
上記、高融点金属粒子Aの製造方法は次に示す通りである。Cu6.5kg(純度99質量%以上)、Sn1.5kg(純度99質量%以上)、Ag1.0kg(純度99質量%以上)、Bi0.5kg(純度99質量%以上)、及びIn0.5kg(純度99質量%以上)(すなわち目標元素組成が、Cu:65質量%、Sn:15質量%、Ag:10質量%、Bi:5質量%、及びIn:5質量%)を黒鉛坩堝に入れ、99体積%以上のヘリウム雰囲気で、高周波誘導加熱装置により1400℃まで加熱、融解した。次に、この溶融金属を、坩堝の先端より、ヘリウムガス雰囲気の噴霧槽内に導入した後、坩堝先端付近に設けられたガスノズルから、ヘリウムガス(純度99体積%以上、酸素濃度0.1体積%未満、圧力2.5MPa)を噴出してアトマイズ(冷却速度は2600℃/秒)を行い、得られた粉体を気流式分級機(日清エンジニアリング:TC−15N)を用いて、20μm設定で分級し、大粒子側を回収後、もう一度30μm設定で分級し、小粒子側を回収して高融点金属粒子Aを得た。回収した合金粒子をレーザー回折式粒子径分布測定装置(HELOS&RODOS)で測定したところ、平均粒径は、15.1μmであった。この高融点金属粒子Aを示差走査熱量計(島津製作所:DSC−50)で、窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分の条件で、40〜580℃の範囲において測定したところ、502℃、及び521℃に吸熱ピークが検出された。
実施例1で用いたはんだペーストに添加する金属粒子Aを、以下に説明する金属粒子Cに代えて、実施例1の(1)〜(4)、及び(6)〜(8)と同様の評価を実施した。金属粒子Cは、金属粒子Aを95質量部と、高融点金属粒子Bを5質量部混合して作製した。高融点金属粒子Bとしては、Cu粉(福田金属箔粉工業社製、Cu−HWQ 平均粒径15μm)を使用した。
実施例6、7に使用した熱硬化性樹脂組成物は、実施例1において金電極への濡れ広がりを抑制する効果を有する熱硬化性樹脂組成物であり、はんだペースト中に高融点金属粒子が加わった場合においても、はんだの金電極への濡れ広がり抑制効果を確認できた。
比較例5として、実施例1の(1)に記載のはんだ粒子85質量部に対して、一般クリームはんだに使用されるロジン系の熱可塑性フラックス15質量部を、実施例1の(4)と同様にペースト化し、実施例1の(6)と同様の試験を実施したところ、金電極全面に溶融したはんだが濡れ広がる結果となった。
実施例6で用いた熱硬化性樹脂組成物を、一般クリームはんだに使用されるロジン系の熱可塑性フラックスに変更して、実施例1(6)同様の試験を実施したところ、金電極全面に溶融したはんだが濡れ広がる結果となった。
Claims (19)
- 熱硬化性樹脂組成物中にはんだ粒子が分散したはんだペーストであり、該熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂、有機酸、及び硬化剤を含み、かつ、大気中で30℃から0.185±0.010℃/秒の昇温速度で加熱しながら、周波数2.0Hzにて該熱硬化性樹脂組成物の動的粘弾性測定するとき、該はんだ粒子の融点(℃)より10℃高い温度での該熱硬化性樹脂組成物の貯蔵弾性率(G’+10)が、1.0Pa以上であり、該はんだ粒子の融点より15℃低い温度における熱硬化性樹脂組成物の貯蔵弾性率G’−15が103Pa以下であり、かつ、G’+10/G’−15≧3.0の関係を満たすことを特徴とするはんだペースト。
- 前記熱硬化性樹脂組成物中に占める硬化剤の割合は、0.10〜60wt%である、請求項1に記載のはんだペースト。
- 前記熱硬化性樹脂組成物中に占める有機酸の割合は、0.50〜20wt%である、請求項1又は2に記載のはんだペースト。
- 前記硬化剤として、イミダゾール系硬化剤を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のはんだペースト。
- 前記硬化剤として、アミン化合物を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載のはんだペースト。
- 前記熱硬化性樹脂組成物は、チクソ剤をさらに含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載のはんだペースト。
- 前記熱硬化性樹脂として、エポキシ樹脂を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載のはんだペースト。
- 前記はんだ粒子は、Sn粒子、又はAg、Bi、Cu、Ge、In、Sb、Ni、Zn、Pb、及びAuからなる群から選ばれる金属の内の少なくとも1種の金属を含むSn合金粒子である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のはんだペースト。
- 前記はんだ粒子は、Sn、及びBi又はIn又はZnのいずれかを含む融点200℃以下のSn合金粒子である、請求項1〜8のいずれか1項に記載のはんだペースト。
- 前記はんだペーストは、前記はんだ粒子よりも融点の高い高融点金属粒子を少なくとも1種以上さらに含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載のはんだペースト。
- 前記高融点金属粒子は、Ag、Bi、Cu、Ge、In、Sn、Sb、Ni、Zn、Pb、及びAuからなる群から選ばれる金属を少なくとも1種含み、かつ融点300℃以上である、請求項10に記載のはんだペースト。
- 請求項1〜11のいずれか1項に記載のはんだペーストを熱処理することによって、基板電極と電子部品電極、又は電子部品電極と電子部品電極、又は基板電極と基板電極の間に接合部を形成する工程を含む接続構造体の製造方法。
- 前記基板電極と電子部品電極、又は電子部品電極と電子部品電極、又は基板電極と基板電極の少なくともいずれか一方の電極表面が、めっき処理されている、請求項12に記載の方法。
- 前記いずれか一方の電極は、金電極である、請求項13に記載の方法。
- 電子部品が実装基板上に実装された電子機器であって、該電子部品又は該実装基板の電極の内、少なくともいずれか一方は金電極であり、該電子部品の電極と該実装基板の電極は、請求項1〜11のいずれか1項に記載のはんだペーストを用いて接続されている電子機器。
- 同一基板面上には無い、異なる基板間の電極がはんだ接合されて形成された積層基板であって、該はんだ接合される2つの電極の内少なくとも1つは金電極であり、かつ、該はんだ接合は、請求項1〜11のいずれか1項に記載のはんだペーストを用いてなされたものである積層基板。
- 金属ケースが実装基板上に実装された電子機器であって、該金属ケースの接合面又は該実装基板の接合面の内少なくとも一方は金めっきされており、かつ、該金属ケースの接合面と該実装基板の接合面は、請求項1〜11のいずれか1項に記載のはんだペーストを用いて接続されたものである電子機器。
- 金面上に、請求項1〜11のいずれか1項に記載のはんだペーストを塗布する工程、次いで、該はんだペーストに含まれるはんだ粒子の融点以上の温度で熱処理する工程を含む、金面上へのはんだバンプ形成方法。
- 半導体部品がリードフレーム上に実装された電子機器であって、該半導体部品電極又は該リードフレーム接合面の内少なくとも一方は金めっきされており、かつ、該半導体部品の電極と該リードフレーム接合面が、請求項1〜11のいずれか1項に記載のはんだペーストを用いて接続されたものである電子機器。
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