JP2017224602A - 導電材料、接続構造体及び接続構造体の製造方法 - Google Patents

導電材料、接続構造体及び接続構造体の製造方法 Download PDF

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将大 伊藤
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Shujiro Sadanaga
周治郎 定永
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Hideaki Ishizawa
英亮 石澤
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秀文 保井
士輝 宋
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士輝 宋
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Keizo Nishioka
敬三 西岡
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敬士 久保田
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Abstract

【課題】高温における接続部の接続信頼性を高めることができる導電材料を提供する。【解決手段】本発明に係る導電材料は、導電部の外表面部分に、はんだ部を有する第1の導電性粒子と、導電部の外表面部分に、はんだとは異なる金属部を有する第2の導電性粒子と、熱硬化性成分と、フラックスとを含み、前記第2の導電性粒子は、はんだ部と、前記はんだ部の外表面上に前記はんだとは異なる金属部とを有する。【選択図】図1

Description

本発明は、はんだを有する導電性粒子を含む導電材料に関する。また、本発明は、上記導電材料を用いた接続構造体及び接続構造体の製造方法に関する。
異方性導電ペースト及び異方性導電フィルム等の異方性導電材料が広く知られている。上記異方性導電材料では、バインダー樹脂中に導電性粒子が分散されている。
上記異方性導電材料は、各種の接続構造体を得るために使用されている。上記異方性導電材料による接続としては、例えば、フレキシブルプリント基板とガラス基板との接続(FOG(Film on Glass))、半導体チップとフレキシブルプリント基板との接続(COF(Chip on Film))、半導体チップとガラス基板との接続(COG(Chip on Glass))、並びにフレキシブルプリント基板とガラスエポキシ基板との接続(FOB(Film on Board))等が挙げられる。
上記異方性導電材料により、例えば、フレキシブルプリント基板の電極とガラスエポキシ基板の電極とを電気的に接続する際には、ガラスエポキシ基板上に、導電性粒子を含む異方性導電材料を配置する。次に、フレキシブルプリント基板を積層して、加熱及び加圧する。これにより、異方性導電材料を硬化させて、導電性粒子を介して電極間を電気的に接続して、接続構造体を得る。
上記異方性導電材料の一例として、下記の特許文献1には、導電性粒子と、該導電性粒子の融点で硬化が完了しない樹脂成分とを含む異方性導電材料が記載されている。上記導電性粒子としては、具体的には、錫(Sn)、インジウム(In)、ビスマス(Bi)、銀(Ag)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、鉛(Pb)、カドミウム(Cd)、ガリウム(Ga)及びタリウム(Tl)等の金属や、これらの金属の合金が挙げられている。
特許文献1では、上記導電性粒子の融点よりも高く、かつ上記樹脂成分の硬化が完了しない温度に、異方性導電樹脂を加熱する樹脂加熱ステップと、上記樹脂成分を硬化させる樹脂成分硬化ステップとを経て、電極間を電気的に接続することが記載されている。また、特許文献1には、特許文献1の図8に示された温度プロファイルで実装を行うことが記載されている。特許文献1では、異方性導電樹脂が加熱される温度にて硬化が完了しない樹脂成分内で、導電性粒子が溶融する。
また、下記の特許文献2には、樹脂粒子の表面に導電性金属層が形成され、平均粒径が1〜10μmである導電性粒子と、平均粒径が上記導電性粒子の平均粒径の25〜400%であるはんだ粒子と、平均粒径が100nm以下である無機充填材とが接着剤成分に分散されている異方性導電接着剤が記載されている。
特許文献2では、樹脂粒子の表面に導電性金属層が形成された導電性粒子と、はんだ粒子と、無機充填剤とを配合することで、放熱性及び接続信頼性に優れた異方性導電接着剤を得ることができると記載されている。また、上記導電性粒子では、樹脂粒子の表面に導電性金属層が形成されており、はんだ粒子又ははんだを含む導電部の表面に導電性金属層は形成されていない。
特開2004−260131号公報 特開2015−098588号公報
特許文献1,2に記載のような従来の導電材料では、接続される電極間の接続部の接続信頼性を十分に高めることができない場合がある。特に、LED用途では、発光部が100℃を超える高温となるため、発熱に対する接続部の接続信頼性の問題が発生する場合がある。特許文献2には、優れた接続信頼性が得られることが記載されているものの、導電材料は無機充填剤を含むため、線膨張率を低下させることができ、アルミベースのMCPCBに対して優れた接続信頼性を得ることができることが記載されているにすぎない。特許文献2では、導電材料と基板との線膨張率のミスマッチによる接続不良を防止することを目的としているため、発熱に対する接続部の接続信頼性を十分に高めることができない場合がある。
本発明の目的は、高温における接続部の接続信頼性を高めることができる導電材料を提供することである。また、本発明の目的は、上記導電材料を用いた接続構造体及び接続構造体の製造方法を提供することである。
本発明の広い局面によれば、導電部の外表面部分に、はんだ部を有する第1の導電性粒子と、導電部の外表面部分に、はんだとは異なる金属部を有する第2の導電性粒子と、熱硬化性成分と、フラックスとを含み、前記第2の導電性粒子は、はんだ部と、前記はんだ部の外表面上に前記はんだとは異なる金属部とを有する、導電材料が提供される。
本発明に係る導電材料のある特定の局面では、前記第2の導電性粒子における前記はんだとは異なる金属部の厚みが、10nm以上、500nm以下である。
本発明に係る導電材料のある特定の局面では、前記導電材料100重量%中、前記第2の導電性粒子の含有量が、1重量%以上、50重量%以下である。
本発明に係る導電材料のある特定の局面では、前記導電材料100重量%中の前記第1の導電性粒子の含有量の、前記導電材料100重量%中の前記第2の導電性粒子の含有量に対する比が、1以上、99以下である。
本発明に係る導電材料のある特定の局面では、前記第1の導電性粒子が、中心部分及び外表面部分にはんだを有するはんだ粒子である。
本発明に係る導電材料のある特定の局面では、25℃での粘度が、30Pa・s以上、400Pa・s以下である。
本発明に係る導電材料のある特定の局面では、60℃での粘度が、10Pa・s以上、200Pa・s以下である。
本発明に係る導電材料のある特定の局面では、前記導電材料が、前記第1の導電性粒子の表面及び前記第2の導電性粒子の表面のいずれの表面にも付着していない絶縁性粒子を含む。
本発明に係る導電材料のある特定の局面では、前記導電材料が、導電ペーストである。
本発明の広い局面によれば、少なくとも1つの第1の電極を表面に有する第1の接続対象部材と、少なくとも1つの第2の電極を表面に有する第2の接続対象部材と、前記第1の接続対象部材と、前記第2の接続対象部材とを接続している接続部とを備え、前記接続部の材料が、上述した導電材料であり、前記第1の電極と前記第2の電極とが、前記接続部中のはんだ部により電気的に接続されている、接続構造体が提供される。
本発明に係る接続構造体のある特定の局面では、前記第1の電極と前記接続部と前記第2の電極との積層方向に前記第1の電極と前記第2の電極との対向し合う部分をみたときに、前記第1の電極と前記第2の電極との対向し合う部分の面積100%中の50%以上に、前記接続部中のはんだ部が配置されている。
本発明の広い局面によれば、上述した導電材料を用いて、少なくとも1つの第1の電極を表面に有する第1の接続対象部材の表面上に、前記導電材料を配置する工程と、前記導電材料の前記第1の接続対象部材側とは反対の表面上に、少なくとも1つの第2の電極を表面に有する第2の接続対象部材を、前記第1の電極と前記第2の電極とが対向するように配置する工程と、前記導電性粒子におけるはんだの融点以上かつ前記熱硬化性成分の硬化温度以上に前記導電材料を加熱することで、前記第1の接続対象部材と前記第2の接続対象部材とを接続している接続部を、前記導電材料により形成し、かつ、前記第1の電極と前記第2の電極とを、前記接続部中のはんだ部により電気的に接続する工程とを備える、接続構造体の製造方法が提供される。
本発明に係る接続構造体の製造方法のある特定の局面では、前記第1の電極と前記接続部と前記第2の電極との積層方向に前記第1の電極と前記第2の電極との対向し合う部分をみたときに、前記第1の電極と前記第2の電極との対向し合う部分の面積100%中の50%以上に、前記接続部中のはんだ部が配置されている接続構造体を得る。
本発明に係る導電材料は、導電部の外表面部分に、はんだ部を有する第1の導電性粒子と、導電部の外表面部分に、はんだとは異なる金属部を有する第2の導電性粒子と、熱硬化性成分と、フラックスとを含み、上記第2の導電性粒子は、はんだ部と、上記はんだ部の外表面上に上記はんだとは異なる金属部とを有する。本発明に係る導電材料では、上記の構成が備えることで、高温における接続部の接続信頼性を高めることができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る導電材料を用いて得られる接続構造体を模式的に示す断面図である。 図2(a)〜(c)は、本発明の一実施形態に係る導電材料を用いて、接続構造体を製造する方法の一例の各工程を説明するための断面図である。 図3は、接続構造体の変形例を示す断面図である。 図4は、導電材料に使用可能な第1の導電性粒子の第1の例を示す断面図である。 図5は、導電材料に使用可能な第1の導電性粒子の第2の例を示す断面図である。 図6は、導電材料に使用可能な第1の導電性粒子の第3の例を示す断面図である。 図7は、導電材料に使用可能な第2の導電性粒子の第1の例を示す断面図である。 図8は、導電材料に使用可能な第2の導電性粒子の第2の例を示す断面図である。 図9は、導電材料に使用可能な第2の導電性粒子の第3の例を示す断面図である。
以下、本発明の詳細を説明する。
(導電材料)
本発明に係る導電材料は、第1の導電性粒子と、第2の導電性粒子と、熱硬化性成分と、フラックスとを含む。
上記第1の導電性粒子は、導電部の外表面部分に、はんだ部を有する。上記第1の導電性粒子は、導電部を有する。上記第1の導電性粒子は、導電部の外表面部分に、はんだを有する。はんだ部は、導電部に含まれ、導電部の一部又は全部である。
上記第2の導電性粒子は、導電部の外表面部分に、はんだとは異なる金属部を有する。上記第2の導電性粒子は、はんだ部を更に有する。上記第2の導電性粒子では、上記はんだ部の外表面上に、上記はんだとは異なる金属部が配置されている。上記第2の導電性粒子は、導電部を有する。はんだ部、及びはんだとは異なる金属部は、導電部に含まれ、導電部の一部又は全部である。
本発明では、上記の構成が備えられているので、高温における接続部の接続信頼性を高めることができる。本発明では、はんだと金属間での合金化し高融点化することで、高温における接続部の接続信頼性を高めることができる。
上記の効果が発現するのは、接続時に、上記第1の導電性粒子及び上記第2の導電性粒子におけるはんだが溶融する際、上記第2の導電性粒子における上記はんだとは異なる金属部がはんだと合金化するためである。はんだと、はんだとは異なる金属部とが合金化した接続部は、はんだのみの接続部よりも溶融温度を高めることができるので、高温における接続部の接続信頼性を高めることができる。さらに、冷熱サイクルにおける接続部の接続信頼性を高めることができる。
また、本発明では、はんだの電極上への移動速度が速くなり、接続されるべき電極間に、はんだを効率的に配置することができ、導通信頼性及び絶縁信頼性を高めることができる。電極幅又は電極間幅が狭い場合には、電極上にはんだを寄せ集めにくい傾向があるが、本発明では、電極幅又は電極間幅が狭くても、電極上にはんだを十分に寄せ集めることができる。本発明では、電極間を電気的に接続した場合に、はんだが、上下の対向した電極間に集まりやすく、はんだを電極(ライン)上に効率的に配置することができる。また、本発明では、電極がある電極幅が広いと、はんだが電極上により一層効率的に配置される。
また、本発明では、はんだの一部が、電極が形成されていない領域(スペース)に配置され難く、電極が形成されていない領域に配置されるはんだの量をかなり少なくすることができる。本発明では、対向する電極間に位置していないはんだを、対向する電極間に効率的に移動させることができる。従って、電極間の導通信頼性を高めることができる。しかも、接続されてはならない横方向に隣り合う電極間の電気的な接続を防ぐことができ、絶縁信頼性を高めることができる。
更に、本発明では、電極間の位置ずれを防ぐことができる。導電接続時には、導電材料を上面に配置した第1の接続対象部材に、第2の接続対象部材を重ね合わせる。この際に、第1の接続対象部材の電極と第2の接続対象部材の電極とのアライメントがずれた状態で、第1の接続対象部材と第2の接続対象部材とが重ね合わされた場合でも、本発明では、電極間のはんだが移動することで、そのずれを補正できる。結果として、第1の接続対象部材の電極と第2の接続対象部材の電極とを接続させることができる(セルフアライメント効果)。
はんだを電極上により一層効率的に配置する観点からは、上記導電材料の25℃での粘度(η25)は、好ましくは30Pa・s以上、より好ましくは80Pa・s以上であり、好ましくは400Pa・s以下、より好ましくは200Pa・s以下である。上記粘度(η25)は、配合成分の種類及び配合量に適宜調整可能である。
上記粘度(η25)は、例えば、E型粘度計(東機産業社製「TVE22L」)等を用いて、25℃及び5rpmの条件で測定可能である。
はんだを電極上により一層効率的に配置する観点からは、上記導電材料の60℃での粘度(η60)は、好ましくは10Pa・s以上、より好ましくは20Pa・s以上であり、好ましくは200Pa・s以下、より好ましくは150Pa・s以下である。上記粘度(η60)は、配合成分の種類及び配合量に適宜調整可能である。
はんだを電極上により一層効率的に配置する観点からは、上記第1の導電性粒子におけるはんだの融点−10℃での導電材料の粘度(η−10)は好ましくは0.1Pa・s以上、より好ましくは1Pa・s以上、更に好ましくは3Pa・s以上である。はんだを電極上により一層効率的に配置する観点からは、上記第1の導電性粒子におけるはんだの融点−10℃での導電材料の粘度(η−10)は好ましくは20Pa・s以下、より好ましくは15Pa・s以下、更に好ましくは10Pa・s以下である。上記粘度(η−10)は、配合成分の種類及び配合量に適宜調整可能である。
はんだの融点−10℃は、第1の導電性粒子の電極上への移動に影響しやすい温度である。
はんだを電極上により一層効率的に配置する観点からは、上記第2の導電性粒子におけるはんだの融点−10℃での導電材料の粘度(η−10)は好ましくは0.1Pa・s以上、より好ましくは1Pa・s以上、更に好ましくは3Pa・s以上である。はんだを電極上により一層効率的に配置する観点からは、上記第2の導電性粒子におけるはんだの融点−10℃での導電材料の粘度(η−10)は好ましくは20Pa・s以下、より好ましくは15Pa・s以下、更に好ましくは10Pa・s以下である。上記粘度(η−10)は、配合成分の種類及び配合量に適宜調整可能である。
はんだの融点−10℃は、第2の導電性粒子の電極上への移動に影響しやすい温度である。
上記粘度(η60及びη−10)は、例えば、STRESSTECH(EOLOGICA社製)等を用いて、歪制御1rad、周波数1Hz、昇温速度20℃/分、測定温度範囲40℃〜はんだの融点の条件で測定可能である。この測定において、60℃及びはんだの融点−10℃での粘度を読み取る。
上記導電材料は、導電ペースト及び導電フィルム等として使用される。上記導電ペーストは、異方性導電ペーストであることが好ましく、上記導電フィルムは、異方性導電フィルムであることが好ましい。はんだを電極上により一層効率的に配置する観点からは、上記導電材料は、導電ペーストであることが好ましい。
上記導電ペーストを作製する方法は特に限定されず、例えば、ホモディスパー、ホモミキサー、万能ミキサー、プラネタリーミキサー、ニーダー、3本ロール等の混合機を用いて、混合する方法等が挙げられる。
上記導電材料は、電極の電気的な接続に好適に用いられる。上記導電材料は、回路接続材料であることが好ましい。
以下、導電材料に含まれる各成分を説明する。
(第1の導電性粒子)
上記第1の導電性粒子は、導電部の外表面部分に、はんだ部を有する。上記第1の導電性粒子は、はんだにより形成されたはんだ粒子であってもよい。上記はんだ粒子は、はんだを導電部の外表面部分に有する。上記はんだ粒子は、中心部分及び導電部の外表面のいずれもがはんだである粒子である。上記はんだ粒子は、コア粒子として、基材粒子を有さない。上記はんだ粒子は、基材粒子と、上記基材粒子の表面上に配置された導電部とを備える導電性粒子とは異なる。上記はんだ粒子は、例えば、はんだを好ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%以上、更に好ましくは95重量%以上で含む。
上記第1の導電性粒子は、基材粒子と、該基材粒子の表面上に配置された導電部とを有していてもよい。この場合に、上記第1の導電性粒子は、導電部の外表面部分に、はんだ部を有する。なお、第1の導電性粒子として、上記はんだ粒子を用いた場合と比べて、はんだにより形成されていない基材粒子と基材粒子の表面上に配置されたはんだ部とを備える導電性粒子を用いた場合には、電極上に第1の導電性粒子が集まりにくくなる。さらに、第1の導電性粒子同士のはんだ接合性が低いために、電極上に移動した第1の導電性粒子が電極外に移動しやすくなる傾向があり、電極間の位置ずれの抑制効果も低くなる傾向がある。従って、上記第1の導電性粒子は、はんだにより形成されたはんだ粒子であることが好ましい。
接続構造体における接続抵抗を効果的に低くし、ボイドの発生を効果的に抑制する観点からは、上記第1の導電性粒子の外表面(はんだの外表面)に、カルボキシル基又はアミノ基が存在することが好ましく、カルボキシル基が存在することが好ましく、アミノ基が存在することが好ましい。上記第1の導電性粒子の外表面(はんだの外表面)に、Si−O結合、エーテル結合、エステル結合又は下記式(X)で表される基を介して、カルボキシル基又はアミノ基を含む基が共有結合していることが好ましい。カルボキシル基又はアミノ基を含む基は、カルボキシル基とアミノ基との双方を含んでいてもよい。なお、下記式(X)において、右端部及び左端部は結合部位を表す。
Figure 2017224602
はんだの表面に水酸基が存在する。この水酸基とカルボキシル基を含む基とを共有結合させることにより、他の配位結合(キレート配位)等にて結合させる場合よりも強い結合を形成できるため、電極間の接続抵抗を低くし、かつボイドの発生を抑えることが可能な第1の導電性粒子が得られる。
上記第1の導電性粒子では、はんだの表面と、カルボキシル基を含む基との結合形態に、配位結合が含まれていなくてもよく、キレート配位による結合が含まれていなくてもよい。
接続構造体における接続抵抗を効果的に低くする観点からは、上記第1の導電性粒子は、水酸基と反応可能な官能基とカルボキシル基又はアミノ基とを有する化合物(以下、化合物Xと記載することがある)を用いて、はんだの表面の水酸基に、上記水酸基と反応可能な官能基を反応させることにより得られることが好ましい。上記反応により得られた第1の導電性粒子は、ボイドの発生を効果的に抑制することができる。上記反応では、共有結合を形成させる。はんだの表面の水酸基と上記化合物Xにおける上記水酸基と反応可能な官能基とを反応させることで、はんだの表面にカルボキシル基又はアミノ基を含む基が共有結合している第1の導電性粒子を容易に得ることができる。また、はんだの表面にエーテル結合又はエステル結合を介してカルボキシル基又はアミノ基を含む基が共有結合している第1の導電性粒子を得ることもできる。上記はんだの表面の水酸基に上記水酸基と反応可能な官能基を反応させることで、はんだの表面に、上記化合物Xを共有結合の形態で化学結合させることができる。
上記水酸基と反応可能な官能基としては、水酸基、カルボキシル基、エステル基及びカルボニル基等が挙げられる。水酸基又はカルボキシル基が好ましい。上記水酸基と反応可能な官能基は、水酸基であってもよく、カルボキシル基であってもよい。
水酸基と反応可能な官能基を有する化合物としては、レブリン酸、グルタル酸、グリコール酸、コハク酸、リンゴ酸、シュウ酸、マロン酸、アジピン酸、5−ケトヘキサン酸、3−ヒドロキシプロピオン酸、4−アミノ酪酸、3−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトイソブチル酸、3−メチルチオプロピオン酸、3−フェニルプロピオン酸、3−フェニルイソブチル酸、4−フェニル酪酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、9−ヘキサデセン酸、ヘプタデカン酸、ステアリン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、(9,12,15)−リノレン酸、ノナデカン酸、アラキジン酸、デカン二酸及びドデカン二酸等が挙げられる。グルタル酸又はグリコール酸が好ましい。上記水酸基と反応可能な官能基を有する化合物は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。上記水酸基と反応可能な官能基を有する化合物は、カルボキシル基を少なくとも1つ有する化合物であることが好ましい。
上記化合物Xは、フラックス作用を有することが好ましく、上記化合物Xは、はんだの表面に結合した状態でフラックス作用を有することが好ましい。フラックス作用を有する化合物は、はんだの表面の酸化膜及び電極の表面の酸化膜を除去可能である。カルボキシル基はフラックス作用を有する。
フラックス作用を有する化合物としては、レブリン酸、グルタル酸、コハク酸、5−ケトヘキサン酸、3−ヒドロキシプロピオン酸、4−アミノ酪酸、3−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトイソブチル酸、3−メチルチオプロピオン酸、3−フェニルプロピオン酸、3−フェニルイソブチル酸、グリコール酸及び4−フェニル酪酸等が挙げられる。グルタル酸又はグリコール酸が好ましい。上記フラックス作用を有する化合物は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
接続構造体における接続抵抗を効果的に低くし、ボイドの発生を効果的に抑制する観点からは、上記化合物Xにおける上記水酸基と反応可能な官能基が、水酸基又はカルボキシル基であることが好ましい。上記化合物Xにおける上記水酸基と反応可能な官能基は、水酸基であってもよく、カルボキシル基であってもよい。上記水酸基と反応可能な官能基がカルボキシル基である場合には、上記化合物Xは、カルボキシル基を少なくとも2個有することが好ましい。カルボキシル基を少なくとも2個有する化合物の一部のカルボキシル基を、はんだの表面の水酸基に反応させることで、はんだの表面にカルボキシル基を含む基が共有結合している第1の導電性粒子が得られる。
上記第1の導電性粒子の製造方法は、例えば、第1の導電性粒子を用いて、該第1の導電性粒子、水酸基と反応可能な官能基とカルボキシル基とを有する化合物、触媒及び溶媒を混合する工程を備える。上記第1の導電性粒子の製造方法では、上記混合工程により、はんだの表面に、カルボキシル基を含む基が共有結合している第1の導電性粒子を容易に得ることができる。
また、上記第1の導電性粒子の製造方法では、例えば、第1の導電性粒子を用いて、該第1の導電性粒子、上記水酸基と反応可能な官能基とカルボキシル基とを有する化合物、上記触媒及び上記溶媒を混合し、加熱することが好ましい。混合及び加熱工程により、はんだの表面に、カルボキシル基を含む基が共有結合している第1の導電性粒子をより一層容易に得ることができる。
上記溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール溶媒や、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、トルエン及びキシレン等が挙げられる。上記溶媒は有機溶媒であることが好ましく、トルエンであることがより好ましい。上記溶媒は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記触媒としては、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸及び10−カンファースルホン酸等が挙げられる。上記触媒は、p−トルエンスルホン酸であることが好ましい。上記触媒は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記混合時に加熱することが好ましい。加熱温度は好ましくは90℃以上、より好ましくは100℃以上であり、好ましくは130℃以下、より好ましくは110℃以下である。
接続構造体における接続抵抗を効果的に低くし、ボイドの発生を効果的に抑制する観点からは、上記第1の導電性粒子は、イソシアネート化合物を用いて、はんだの表面の水酸基に、上記イソシアネート化合物を反応させる工程を経て得られることが好ましい。上記反応では、共有結合を形成させる。はんだの表面の水酸基と上記イソシアネート化合物とを反応させることで、はんだの表面に、イソシアネート基に由来する基の窒素原子が共有結合している第1の導電性粒子を容易に得ることができる。上記はんだの表面の水酸基に上記イソシアネート化合物を反応させることで、はんだの表面に、イソシアネート基に由来する基を共有結合の形態で化学結合させることができる。
上記イソシアネート化合物としては、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トルエンジイソシアネート(TDI)及びイソホロンジイソシアネート(IPDI)等が挙げられる。これら以外のイソシアネート化合物を用いてもよい。この化合物をはんだの表面に反応させた後、残イソシアネート基と、その残イソシアネート基と反応性を有し、かつカルボキシル基を有する化合物を反応させることで、はんだの表面に上述した式(X)で表される基を介して、カルボキシル基を導入することができる。
また、上記イソシアネート化合物としては、不飽和二重結合を有し、かつイソシアネート基を有する化合物を用いてもよい。例えば、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート及び2−イソシアナトエチルメタクリレートが挙げられる。この化合物のイソシアネート基をはんだの表面に反応させた後、残存している不飽和二重結合に対し反応性を有する官能基を有し、かつカルボキシル基を有する化合物を反応させることで、はんだの表面に上記式(X)で表される基を介して、カルボキシル基を導入することができる。
また、上記イソシアネート化合物としては、イソシアネート基を有するシランカップリング剤を用いてもよい。該シランカップリング剤のイソシアネート基をはんだの表面に反応させた後、残存する基と反応性を有し、かつカルボキシル基を有する化合物を反応させることで、はんだの表面に上記式(X)で表される基を介して、カルボキシル基を導入することができる。
上記イソシアネート基を有するシランカップリング剤としては、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン(信越シリコーン社製「KBE−9007」)、及び3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン(MOMENTIVE社製「Y−5187」)等が挙げられる。上記シランカップリング剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
また、イソシアネート基は、シランカップリング剤と容易に反応させることができる。上記カルボキシル基が、カルボキシル基を有するシランカップリング剤を用いた反応により導入されているか、又は、イソシアネート基を有するシランカップリング剤を用いた反応の後に、該シランカップリング剤に由来する基にカルボキシル基を少なくとも1つ有する化合物を反応させることで導入されていることが好ましい。この場合には、上記第1の導電性粒子を容易に得ることができる。
上記第1の導電性粒子は、上記イソシアネート化合物を用いて、はんだの表面の水酸基に、上記イソシアネート化合物を反応させた後、カルボキシル基を少なくとも1つ有する化合物を反応させることにより得られることが好ましい。
接続構造体における接続抵抗をより一層低くし、ボイドの発生をより一層抑制する観点からは、上記カルボキシル基を少なくとも1つ有する化合物が、カルボキシル基を複数有することが好ましい。
上記カルボキシル基を少なくとも1つ有する化合物としては、レブリン酸、グルタル酸、グリコール酸、コハク酸、リンゴ酸、シュウ酸、マロン酸、アジピン酸、5−ケトヘキサン酸、3−ヒドロキシプロピオン酸、4−アミノ酪酸、3−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトイソブチル酸、3−メチルチオプロピオン酸、3−フェニルプロピオン酸、3−フェニルイソブチル酸、4−フェニル酪酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、9−ヘキサデセン酸、ヘプタデカン酸、ステアリン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、(9,12,15)−リノレン酸、ノナデカン酸、アラキジン酸、デカン二酸及びドデカン二酸等が挙げられる。グルタル酸、アジピン酸又はグリコール酸が好ましい。上記カルボキシル基を少なくとも1つ有する化合物は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記イソシアネート化合物を用いて、はんだの表面の水酸基に、上記イソシアネート化合物を反応させた後、カルボキシル基を複数有する化合物の一部のカルボキシル基を、はんだの表面の水酸基と反応させることで、カルボキシル基を含む基を残存させることができる。
上記第1の導電性粒子の製造方法では、第1の導電性粒子を用いて、かつ、イソシアネート化合物を用いて、はんだの表面の水酸基に、上記イソシアネート化合物を反応させる。その後、カルボキシル基を少なくとも1つ有する化合物を反応させて、はんだの表面に、上記式(X)で表される基を介して、カルボキシル基を含む基が結合している第1の導電性粒子を得る。上記第1の導電性粒子の製造方法では、上記の反応により、はんだの表面に、カルボキシル基を含む基が導入された第1の導電性粒子を容易に得ることができる。
上記第1の導電性粒子の具体的な製造方法としては、以下の方法が挙げられる。有機溶媒に第1の導電性粒子を分散させ、イソシアネート基を有するシランカップリング剤を添加する。その後、第1の導電性粒子のはんだの表面の水酸基とイソシアネート基との反応触媒を用い、はんだの表面にシランカップリング剤を共有結合させる。次に、シランカップリング剤の珪素原子に結合しているアルコキシ基を加水分解することで、水酸基を生成させる。生成した水酸基に、カルボキシル基を少なくとも1つ有する化合物のカルボキシル基を反応させる。
また、上記第1の導電性粒子の具体的な製造方法としては、以下の方法が挙げられる。有機溶媒に第1の導電性粒子を分散させ、イソシアネート基と不飽和二重結合を有する化合物を添加する。その後、第1の導電性粒子のはんだの表面の水酸基とイソシアネート基との反応触媒を用い、共有結合を形成させる。その後、導入された不飽和二重結合に対して、不飽和二重結合、及びカルボキシル基を有する化合物を反応させる。
第1の導電性粒子のはんだの表面の水酸基とイソシアネート基との反応触媒としては、錫系触媒(ジブチル錫ジラウレート等)、アミン系触媒(トリエチレンジアミン等)、カルボキシレート触媒(ナフテン酸鉛、酢酸カリウム等)、及びトリアルキルホスフィン触媒(トリエチルホスフィン等)等が挙げられる。
接続構造体における接続抵抗を効果的に低くし、ボイドの発生を効果的に抑制する観点からは、上記カルボキシル基を少なくとも1つ有する化合物は、下記式(1)で表される化合物であることが好ましい。下記式(1)で表される化合物は、フラックス作用を有する。また、下記式(1)で表される化合物は、はんだの表面に導入された状態でフラックス作用を有する。
Figure 2017224602
上記式(1)中、Xは、水酸基と反応可能な官能基を表し、Rは、炭素数1〜5の2価の有機基を表す。該有機基は、炭素原子と水素原子と酸素原子とを含んでいてもよい。該有機基は炭素数1〜5の2価の炭化水素基であってもよい。上記有機基の主鎖は2価の炭化水素基であることが好ましい。該有機基では、2価の炭化水素基にカルボキシル基や水酸基が結合していてもよい。上記式(1)で表される化合物には、例えばクエン酸が含まれる。
上記カルボキシル基を少なくとも1つ有する化合物は、下記式(1A)又は下記式(1B)で表される化合物であることが好ましい。上記カルボキシル基を少なくとも1つ有する化合物は、下記式(1A)で表される化合物であることが好ましく、下記式(1B)で表される化合物であることがより好ましい。
Figure 2017224602
上記式(1A)中、Rは、炭素数1〜5の2価の有機基を表す。上記式(1A)中のRは上記式(1)中のRと同様である。
Figure 2017224602
上記式(1B)中、Rは、炭素数1〜5の2価の有機基を表す。上記式(1B)中のRは上記式(1)中のRと同様である。
はんだの表面に、下記式(2A)又は下記式(2B)で表される基が結合していることが好ましい。はんだの表面に、下記式(2A)で表される基が結合していることが好ましく、下記式(2B)で表される基が結合していることがより好ましい。なお、下記式(2A)において、左端部は結合部位を表す。
Figure 2017224602
上記式(2A)中、Rは、炭素数1〜5の2価の有機基を表す。上記式(2A)中のRは上記式(1)中のRと同様である。なお、下記式(2B)において、左端部は結合部位を表す。
Figure 2017224602
上記式(2B)中、Rは、炭素数1〜5の2価の有機基を表す。上記式(2B)中のRは上記式(1)中のRと同様である。
はんだの表面の濡れ性を高める観点からは、上記カルボキシル基を少なくとも1つ有する化合物の分子量は、好ましくは10000以下、より好ましくは1000以下、更に好ましくは500以下である。
上記分子量は、上記カルボキシル基を少なくとも1つ有する化合物が重合体ではない場合、及び上記カルボキシル基を少なくとも1つ有する化合物の構造式が特定できる場合は、当該構造式から算出できる分子量を意味する。また、上記カルボキシル基を少なくとも1つ有する化合物が重合体である場合は、重量平均分子量を意味する。
はんだを電極上により一層効率的に配置する観点からは、上記第1の導電性粒子は、第1の導電性粒子本体と、上記第1の導電性粒子本体の表面上に配置されたアニオンポリマーとを有することが好ましい。上記第1の導電性粒子は、第1の導電性粒子本体をアニオンポリマー又はアニオンポリマーとなる化合物で表面処理することにより得られることが好ましい。上記第1の導電性粒子は、アニオンポリマー又はアニオンポリマーとなる化合物による表面処理物であることが好ましい。上記アニオンポリマー及び上記アニオンポリマーとなる化合物はそれぞれ、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。上記アニオンポリマーは、酸性基を有するポリマーである。
第1の導電性粒子本体をアニオンポリマーで表面処理する方法としては、アニオンポリマーを用いて、アニオンポリマーのカルボキシル基と、第1の導電性粒子本体の表面の水酸基とを反応させる方法が挙げられる。上記アニオンポリマーとしては、例えば(メタ)アクリル酸を共重合した(メタ)アクリルポリマー、ジカルボン酸とジオールとから合成されかつ両末端にカルボキシル基を有するポリエステルポリマー、ジカルボン酸の分子間脱水縮合反応により得られかつ両末端にカルボキシル基を有するポリマー、ジカルボン酸とジアミンとから合成されかつ両末端にカルボキシル基を有するポリエステルポリマー、並びにカルボキシル基を有する変性ポバール(日本合成化学社製「ゴーセネックスT」)等が挙げられる。
上記アニオンポリマーのアニオン部分としては、上記カルボキシル基が挙げられ、それ以外には、トシル基(p−HCCS(=O)−)、スルホン酸イオン基(−SO )、及びリン酸イオン基(−PO )等が挙げられる。
また、表面処理の他の方法としては、第1の導電性粒子本体の表面の水酸基と反応する官能基を有し、更に、付加、縮合反応により重合可能な官能基を有する化合物を用いて、この化合物を第1の導電性粒子本体の表面上にてポリマー化する方法が挙げられる。第1の導電性粒子本体の表面の水酸基と反応する官能基としては、カルボキシル基、及びイソシアネート基等が挙げられ、付加、縮合反応により重合する官能基としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、及び(メタ)アクリロイル基が挙げられる。
上記アニオンポリマーの重量平均分子量は好ましくは2000以上、より好ましくは3000以上であり、好ましくは10000以下、より好ましくは8000以下である。上記重量平均分子量が上記下限以上及び上記上限以下であると、第1の導電性粒子の表面に十分な量の電荷、及びフラックス性を導入することができる。これにより、導電接続時に第1の導電性粒子の凝集性を効果的に高めることができ、かつ、接続対象部材の接続時に、電極の表面の酸化膜を効果的に除去することができる。
上記重量平均分子量が上記下限以上及び上記上限以下であると、第1の導電性粒子本体の表面上にアニオンポリマーを配置することが容易であり、導電接続時に第1の導電性粒子の凝集性を効果的に高めることができ、電極上に第1の導電性粒子をより一層効率的に配置することができる。
上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されたポリスチレン換算での重量平均分子量を示す。
第1の導電性粒子本体をアニオンポリマーとなる化合物で表面処理することにより得られたポリマーの重量平均分子量は、第1の導電性粒子中のはんだを溶解し、ポリマーの分解を起こさない希塩酸等により、第1の導電性粒子を除去した後、残存しているポリマーの重量平均分子量を測定することで求めることができる。
アニオンポリマーの第1の導電性粒子の表面における導入量に関しては、第1の導電性粒子1gあたりの酸価が、好ましくは1mgKOH以上、より好ましくは2mgKOH以上であり、好ましくは10mgKOH以下、より好ましくは6mgKOH以下である。上記酸価が上記下限以上及び上記上限以下であると、硬化物の耐熱性がより一層高くなり、硬化物の変色がより一層抑えられる。
上記酸価は以下のようにして測定される。
酸価の測定方法:
第1の導電性粒子1gを、アセトン36gに添加し、超音波にて1分間分散させる。その後、指示薬として、フェノールフタレインを用い、0.1mol/Lの水酸化カリウムエタノール溶液にて滴定することができる。
次に、図面を参照しつつ、第1の導電性粒子の具体例を説明する。
図4は、導電材料に使用可能な第1の導電性粒子の第1の例を示す断面図である。
図4に示す第1の導電性粒子21は、はんだ粒子である。第1の導電性粒子21は、全体がはんだにより形成されている。第1の導電性粒子21は、基材粒子をコアに有さず、コア−シェル粒子ではない。第1の導電性粒子21は、中心部分及び導電部の外表面部分のいずれもがはんだにより形成されている。
図5は、導電材料に使用可能な第1の導電性粒子の第2の例を示す断面図である。
図5に示す第1の導電性粒子31は、基材粒子32と、基材粒子32の表面上に配置された導電部33とを備える。導電部33は、基材粒子32の表面を被覆している。第1の導電性粒子31は、基材粒子32の表面が導電部33により被覆された被覆粒子である。
導電部33は、第2の導電部33Aと、はんだ部33B(第1の導電部)とを有する。第1の導電性粒子31は、基材粒子32と、はんだ部33Bとの間に、第2の導電部33Aを備える。従って、第1の導電性粒子31は、基材粒子32と、基材粒子32の表面上に配置された第2の導電部33Aと、第2の導電部33Aの外表面上に配置されたはんだ部33Bとを備える。
図6は、導電材料に使用可能な第1の導電性粒子の第3の例を示す断面図である。
上記のように、第1の導電性粒子31における導電部33は2層構造を有する。図6に示す第1の導電性粒子41は、単層の導電部として、はんだ部42を有する。第1の導電性粒子41は、基材粒子32と、基材粒子32の表面上に配置されたはんだ部42とを備える。
上記基材粒子としては、樹脂粒子、金属粒子を除く無機粒子、有機無機ハイブリッド粒子及び金属粒子等が挙げられる。上記基材粒子は、金属粒子を除く基材粒子であることが好ましく、樹脂粒子、金属粒子を除く無機粒子又は有機無機ハイブリッド粒子であることがより好ましい。上記基材粒子は、コアと、該コアの表面上に配置されたシェルとを有していてもよく、コアシェル粒子であってもよい。上記コアが有機コアであってもよく、上記シェルが無機シェルであってもよい。
上記基材粒子は、樹脂粒子又は有機無機ハイブリッド粒子であることが更に好ましく、樹脂粒子であってもよく、有機無機ハイブリッド粒子であってもよい。上記第1の導電性粒子を用いて電極間を接続する際には、上記第1の導電性粒子を電極間に配置した後、圧着することにより上記第1の導電性粒子を圧縮させる。上記基材粒子が樹脂粒子であると、上記圧着の際に上記第1の導電性粒子が変形しやすく、第1の導電性粒子と電極との接触面積が大きくなる。このため、電極間の導通信頼性をより一層高めることができる。
上記樹脂粒子を形成するための樹脂として、種々の有機物が好適に用いられる。上記樹脂粒子を形成するための樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン等のポリオレフィン樹脂;ポリメチルメタクリレート及びポリメチルアクリレート等のアクリル樹脂;ポリカーボネート、ポリアミド、フェノールホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ジビニルベンゼン重合体、並びにジビニルベンゼン系共重合体等が挙げられる。上記ジビニルベンゼン系共重合体等としては、ジビニルベンゼン−スチレン共重合体及びジビニルベンゼン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。上記樹脂粒子の硬度を好適な範囲に容易に制御できるので、上記樹脂粒子を形成するための樹脂は、エチレン性不飽和基を有する重合性単量体を1種又は2種以上重合させた重合体であることが好ましい。
上記樹脂粒子を、エチレン性不飽和基を有する重合性単量体を重合させて得る場合、上記エチレン性不飽和基を有する重合性単量体としては、非架橋性の単量体と架橋性の単量体とが挙げられる。
上記非架橋性の単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系単量体;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等のカルボキシル基含有単量体;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート化合物;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の酸素原子含有(メタ)アクリレート化合物;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル含有単量体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル等のビニルエーテル化合物;酢酸ビニル、酪酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等の酸ビニルエステル化合物;エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン等の不飽和炭化水素;トリフルオロメチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロエチル(メタ)アクリレート、塩化ビニル、フッ化ビニル、クロルスチレン等のハロゲン含有単量体等が挙げられる。
上記架橋性の単量体としては、例えば、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート化合物;トリアリル(イソ)シアヌレート、トリアリルトリメリテート、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、ジアリルアクリルアミド、ジアリルエーテル、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、トリメトキシシリルスチレン、ビニルトリメトキシシラン等のシラン含有単量体等が挙げられる。
「(メタ)アクリレート」の用語は、アクリレートとメタクリレートとを示す。「(メタ)アクリル」の用語は、アクリルとメタクリルとを示す。「(メタ)アクリロイル」の用語は、アクリロイルとメタクリロイルとを示す。
上記エチレン性不飽和基を有する重合性単量体を、公知の方法により重合させることで、上記樹脂粒子を得ることができる。この方法としては、例えば、ラジカル重合開始剤の存在下で懸濁重合する方法、並びに非架橋の種粒子を用いてラジカル重合開始剤とともに単量体を膨潤させて重合する方法等が挙げられる。
上記基材粒子が金属を除く無機粒子又は有機無機ハイブリッド粒子である場合には、基材粒子を形成するための無機物としては、シリカ、アルミナ、チタン酸バリウム、ジルコニア及びカーボンブラック等が挙げられる。上記無機物は金属ではないことが好ましい。上記シリカにより形成された粒子としては特に限定されないが、例えば、加水分解性のアルコキシシリル基を2つ以上有するケイ素化合物を加水分解して架橋重合体粒子を形成した後に、必要に応じて焼成を行うことにより得られる粒子が挙げられる。上記有機無機ハイブリッド粒子としては、例えば、架橋したアルコキシシリルポリマーとアクリル樹脂とにより形成された有機無機ハイブリッド粒子等が挙げられる。
上記有機無機ハイブリッド粒子は、コアと、該コアの表面上に配置されたシェルとを有するコアシェル型の有機無機ハイブリッド粒子であることが好ましい。上記コアが有機コアであることが好ましい。上記シェルが無機シェルであることが好ましい。電極間の接続抵抗をより一層低くする観点からは、上記基材粒子は、有機コアと上記有機コアの表面上に配置された無機シェルとを有する有機無機ハイブリッド粒子であることが好ましい。
上記有機コアを形成するための材料としては、上述した樹脂粒子を形成するための樹脂等が挙げられる。
上記無機シェルを形成するための材料としては、上述した基材粒子を形成するための無機物が挙げられる。上記無機シェルを形成するための材料は、シリカであることが好ましい。上記無機シェルは、上記コアの表面上で、金属アルコキシドをゾルゲル法によりシェル状物とした後、該シェル状物を焼結させることにより形成されていることが好ましい。上記金属アルコキシドはシランアルコキシドであることが好ましい。上記無機シェルはシランアルコキシドにより形成されていることが好ましい。
上記コアの粒子径は、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上であり、好ましくは500μm以下、より好ましくは100μm以下、更に好ましくは50μm以下、特に好ましくは20μm以下、最も好ましくは10μm以下である。上記コアの粒子径が上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間の電気的な接続により一層適した第1の導電性粒子が得られ、基材粒子を第1の導電性粒子の用途に好適に使用可能になる。例えば、上記コアの粒子径が上記下限以上及び上記上限以下であると、上記第1の導電性粒子を用いて電極間を接続した場合に、第1の導電性粒子と電極との接触面積が十分に大きくなり、かつ基材粒子の表面に導電部を形成する際、凝集した第1の導電性粒子が形成され難くすることができる。また、第1の導電性粒子を介して接続された電極間の間隔が大きくなりすぎず、かつ導電部が基材粒子の表面から剥離し難くすることができる。
上記コアの粒子径は、上記コアが真球状である場合には直径を意味し、上記コアが真球状以外の形状である場合には、最大径を意味する。また、コアの粒子径は、コアを任意の粒子径測定装置により測定した平均粒子径を意味する。例えば、レーザー光散乱、電気抵抗値変化、撮像後の画像解析等の原理を用いた粒度分布測定装置が利用できる。
上記シェルの厚みは、好ましくは100nm以上、より好ましくは200nm以上であり、好ましくは5μm以下、より好ましくは3μm以下である。上記シェルの厚みが上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間の電気的な接続により一層適した第1の導電性粒子が得られ、基材粒子を第1の導電性粒子の用途に好適に使用可能になる。上記シェルの厚みは、基材粒子1個あたりの平均厚みである。ゾルゲル法の制御によって、上記シェルの厚みを制御可能である。
上記基材粒子が金属粒子である場合に、該金属粒子を形成するための金属としては、銀、銅、ニッケル、ケイ素、金及びチタン等が挙げられる。上記基材粒子が金属粒子である場合には、該金属粒子は銅粒子であることが好ましい。但し、上記基材粒子は金属粒子ではないことが好ましい。
上記基材粒子の粒子径は、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは1μm以上、更に好ましくは1.5μm以上、特に好ましくは2μm以上である。上記基材粒子の粒子径は、好ましくは1000μm以下、より好ましくは500μm以下、より一層好ましくは300μm以下、更に好ましくは50μm以下、更に一層好ましくは30μm以下、特に好ましくは5μm以下、最も好ましくは3μm以下である。上記基材粒子の粒子径が上記下限以上であると、第1の導電性粒子と電極との接触面積が大きくなるため、電極間の導通信頼性をより一層高めることができ、第1の導電性粒子を介して接続された電極間の接続抵抗をより一層低くすることができる。上記基材粒子の粒子径が上記上限以下であると、第1の導電性粒子が十分に圧縮されやすく、電極間の接続抵抗をより一層低くすることができ、更に電極間の間隔をより小さくすることができる。
上記基材粒子の粒子径は、基材粒子が真球状である場合には、直径を示し、基材粒子が真球状ではない場合には、最大径を示す。
上記基材粒子の粒子径は、2μm以上、5μm以下であることが特に好ましい。上記基材粒子の粒子径が2μm以上、5μm以下の範囲内であると、電極間の間隔をより小さくすることができ、かつ導電層の厚みを厚くしても、小さい第1の導電性粒子を得ることができる。
上記基材粒子の表面上に導電部を形成する方法、並びに上記基材粒子の表面上又は上記第2の導電部の表面上にはんだ部を形成する方法は特に限定されない。上記導電部及び上記はんだ部を形成する方法としては、例えば、無電解めっきによる方法、電気めっきによる方法、物理的な衝突による方法、メカノケミカル反応による方法、物理的蒸着又は物理的吸着による方法、並びに金属粉末もしくは金属粉末とバインダーとを含むペーストを基材粒子の表面にコーティングする方法等が挙げられる。無電解めっき、電気めっき又は物理的な衝突による方法が好適である。上記物理的蒸着による方法としては、真空蒸着、イオンプレーティング及びイオンスパッタリング等の方法が挙げられる。また、上記物理的な衝突による方法では、例えば、シーターコンポーザ(徳寿工作所社製)等が用いられる。
上記基材粒子の融点は、上記導電部の融点よりも高いことが好ましい。上記基材粒子の融点は、好ましくは160℃を超え、より好ましくは300℃を超え、更に好ましくは400℃を超え、特に好ましくは450℃を超える。なお、上記基材粒子の融点は、400℃未満であってもよい。上記基材粒子の融点は、160℃以下であってもよい。上記基材粒子の軟化点は260℃以上であることが好ましい。上記基材粒子の軟化点は260℃未満であってもよい。
上記第1の導電性粒子は、単層のはんだ部を有していてもよい。上記第1の導電性粒子は、複数の層の導電部(はんだ部,第2の導電部)を有していてもよい。すなわち、上記第1の導電性粒子では、導電部を2層以上積層してもよい。上記導電部が2層以上の場合、上記第1の導電性粒子は、導電部の外表面部分にはんだ部を有することが好ましい。
上記はんだは、融点が450℃以下である金属(低融点金属)であることが好ましい。上記はんだ部は、融点が450℃以下である金属層(低融点金属層)であることが好ましい。上記低融点金属層は、低融点金属を含む層である。上記第1の導電性粒子におけるはんだは、融点が450℃以下である金属粒子(低融点金属粒子)であることが好ましい。上記低融点金属粒子は、低融点金属を含む粒子である。該低融点金属とは、融点が450℃以下の金属を示す。低融点金属の融点は好ましくは300℃以下、より好ましくは160℃以下である。
また、上記第1の導電性粒子におけるはんだは錫を含むことが好ましい。上記はんだ部に含まれる金属100重量%中及び上記第1の導電性粒子におけるはんだに含まれる金属100重量%中、錫の含有量は好ましくは30重量%以上、より好ましくは40重量%以上、更に好ましくは70重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。上記第1の導電性粒子におけるはんだ中の錫の含有量が上記下限以上であると、第1の導電性粒子と電極との導通信頼性がより一層高くなる。
なお、上記錫の含有量は、高周波誘導結合プラズマ発光分光分析装置(堀場製作所社製「ICP−AES」)、又は蛍光X線分析装置(島津製作所社製「EDX−800HS」)等を用いて測定可能である。
上記はんだを導電部の外表面部分に有する第1の導電性粒子を用いることで、はんだが溶融して電極に接合し、はんだが電極間を導通させる。例えば、はんだと電極とが点接触ではなく面接触しやすいため、接続抵抗が低くなる。また、はんだを導電部の外表面部分に有する第1の導電性粒子の使用により、はんだと電極との接合強度が高くなる結果、はんだと電極との剥離がより一層生じ難くなり、導通信頼性が効果的に高くなる。
上記はんだ部及び上記はんだ粒子を構成する低融点金属は特に限定されない。該低融点金属は、錫、又は錫を含む合金であることが好ましい。該合金は、錫−銀合金、錫−銅合金、錫−銀−銅合金、錫−ビスマス合金、錫−亜鉛合金、錫−インジウム合金等が挙げられる。電極に対する濡れ性に優れることから、上記低融点金属は、錫、錫−銀合金、錫−銀−銅合金、錫−ビスマス合金、錫−インジウム合金であることが好ましい。上記低融点金属は、錫−ビスマス合金、錫−インジウム合金であることがより好ましい。
上記はんだ(はんだ部)を構成する材料は、JIS Z3001:溶接用語に基づき、液相線が450℃以下である溶加材であることが好ましい。上記はんだの組成としては、例えば亜鉛、金、銀、鉛、銅、錫、ビスマス、インジウム等を含む金属組成が挙げられる。低融点で鉛フリーである錫−インジウム系(117℃共晶)、又は錫−ビスマス系(139℃共晶)が好ましい。すなわち、上記はんだは、鉛を含まないことが好ましく、錫とインジウムとを含むはんだ、又は錫とビスマスとを含むはんだであることが好ましい。
上記はんだと電極との接合強度をより一層高めるために、上記第1の導電性粒子におけるはんだは、ニッケル、銅、アンチモン、アルミニウム、亜鉛、鉄、金、チタン、リン、ゲルマニウム、テルル、コバルト、ビスマス、マンガン、クロム、モリブデン、及びパラジウム等の金属を含んでいてもよい。また、はんだと電極との接合強度を更に一層高める観点からは、上記第1の導電性粒子におけるはんだは、ニッケル、銅、アンチモン、アルミニウム又は亜鉛を含むことが好ましい。はんだ部又は第1の導電性粒子におけるはんだと電極との接合強度をより一層高める観点からは、接合強度を高めるためのこれらの金属の含有量は、上記第1の導電性粒子におけるはんだ100重量%中、好ましくは0.0001重量%以上、好ましくは1重量%以下である。
上記第2の導電部の融点は、上記はんだ部の融点よりも高いことが好ましい。上記第2の導電部の融点は好ましくは160℃を超え、より好ましくは300℃を超え、更に好ましくは400℃を超え、更に一層好ましくは450℃を超え、特に好ましくは500℃を超え、最も好ましくは600℃を超える。上記はんだ部は融点が低いために導電接続時に溶融する。上記第2の導電部は導電接続時に溶融しないことが好ましい。上記第1の導電性粒子は、はんだを溶融させて用いられることが好ましく、上記はんだ部を溶融させて用いられることが好ましく、上記はんだ部を溶融させてかつ上記第2の導電部を溶融させずに用いられることが好ましい。上記第2の導電部の融点が上記はんだ部の融点をよりも高いことによって、導電接続時に、上記第2の導電部を溶融させずに、上記はんだ部のみを溶融させることができる。
上記はんだ部の融点と上記第2の導電部との融点との差の絶対値は、好ましくは0℃を超え、より好ましくは5℃以上、より一層好ましくは10℃以上、更に好ましくは30℃以上、特に好ましくは50℃以上、最も好ましくは100℃以上である。
上記第2の導電部は、金属を含むことが好ましい。上記第2の導電部を構成する金属は、特に限定されない。該金属としては、例えば、金、銀、銅、白金、パラジウム、亜鉛、鉛、アルミニウム、コバルト、インジウム、ニッケル、クロム、チタン、アンチモン、ビスマス、ゲルマニウム及びカドミウム、並びにこれらの合金等が挙げられる。また、上記金属として、錫ドープ酸化インジウム(ITO)を用いてもよい。上記金属は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記第2の導電部は、ニッケル層、パラジウム層、銅層又は金層であることが好ましく、ニッケル層又は金層であることがより好ましく、銅層であることが更に好ましい。第1の導電性粒子は、ニッケル層、パラジウム層、銅層又は金層を有することが好ましく、ニッケル層又は金層を有することがより好ましく、銅層を有することが更に好ましい。これらの好ましい導電部を有する第1の導電性粒子を電極間の接続に用いることにより、電極間の接続抵抗がより一層低くなる。また、これらの好ましい導電部の表面には、はんだ部をより一層容易に形成できる。
上記はんだ部の厚みは、好ましくは0.005μm以上、より好ましくは0.01μm以上であり、好ましくは10μm以下、より好ましくは1μm以下、更に好ましくは0.3μm以下である。はんだ部の厚みが上記下限以上及び上記上限以下であると、十分な導電性が得られ、かつ第1の導電性粒子が硬くなりすぎずに、電極間の接続の際に第1の導電性粒子が十分に変形する。
上記第1の導電性粒子の平均粒子径は、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上、更に好ましくは3μm以上、特に好ましくは5μm以上である。上記第1の導電性粒子の平均粒子径は、好ましくは100μm以下、より好ましくは40μm以下、より一層好ましくは30μm以下、更に好ましくは20μm以下、特に好ましくは15μm以下、最も好ましくは10μm以下である。上記第1の導電性粒子の平均粒子径が、上記下限以上及び上記上限以下であると、第1の導電性粒子におけるはんだを電極上により一層効率的に配置することができる。上記第1の導電性粒子の平均粒子径は、5μm以上、30μm以下であることが特に好ましい。
上記第1の導電性粒子の「平均粒子径」は、数平均粒子径を示す。第1の導電性粒子の平均粒子径は、例えば、任意の第1の導電性粒子50個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、平均値を算出することや、レーザー回折式粒度分布測定を行うことにより求められる。
上記第1の導電性粒子の粒子径の変動係数は、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上、好ましくは40%以下、より好ましくは30%以下である。上記粒子径の変動係数が、上記下限以上及び上記上限以下であると、電極上に第1の導電性粒子におけるはんだをより一層効率的に配置することができる。但し、上記第1の導電性粒子の粒子径の変動係数は、5%未満であってもよい。
上記変動係数(CV値)は、以下のようにして測定できる。
CV値(%)=(ρ/Dn)×100
ρ:第1の導電性粒子の粒子径の標準偏差
Dn:第1の導電性粒子の粒子径の平均値
上記第1の導電性粒子の形状は特に限定されない。上記第1の導電性粒子の形状は、球状であってもよく、扁平状等の球形状以外の形状であってもよい。
上記導電材料100重量%中、上記第1の導電性粒子の含有量は好ましくは1重量%以上、より好ましくは2重量%以上、更に好ましくは10重量%以上、特に好ましくは20重量%以上、最も好ましくは30重量%以上である。上記導電材料100重量%中、上記第1の導電性粒子の含有量は好ましくは90重量%以下、より好ましくは80重量%以下、更に好ましくは60重量%以下、特に好ましくは50重量%以下である。上記第1の導電性粒子の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、電極上に第1の導電性粒子におけるはんだをより一層効率的に配置することができ、電極間に第1の導電性粒子におけるはんだを多く配置することが容易であり、導通信頼性がより一層高くなる。導通信頼性をより一層高める観点からは、上記第1の導電性粒子の含有量は多い方が好ましい。
(第2の導電性粒子)
上記第2の導電性粒子は、はんだ部の外表面上に、はんだとは異なる金属部を有する。上記はんだとは異なる金属部は、上記はんだ部を被覆していることが好ましい。上記はんだとは異なる金属部に含まれる金属は特に限定されず、例えば、金、銀、銅、ニッケル、パラジウム、及びチタン等が挙げられる。高温における接続部の接続信頼性をより一層効果的に高める観点からは、上記はんだとは異なる金属部に含まれる金属は、金、銀、銅、又はニッケルであることが好ましい。高温における接続部の接続信頼性をより一層効果的に高める観点からは、上記はんだとは異なる金属部は、金、銀、銅、又はニッケルを含むことが好ましい。
また、上記第2の導電性粒子における上記はんだとは異なる金属部の内側に配置される粒子部分の構成として、第1の導電性粒子と同様の構成を採用することができる。第2の導電性粒子における上記はんだとは異なる金属部の内側に配置される粒子部分の好ましい構成は、第1の導電性粒子における好ましい構成と同様である。
次に、図面を参照しつつ、第2の導電性粒子の具体例を説明する。
図7は、導電材料に使用可能な第2の導電性粒子の第1の例を示す断面図である。
図7に示す第2の導電性粒子21Xは、図4に示す第1の導電性粒子21に対して、はんだとは異なる金属部22Xを更に形成した構成を有する。この点で、第1の導電性粒子21と、第2の導電性粒子21Xとは異なる。はんだとは異なる金属部22Xは、第1の導電性粒子21の外表面上に配置されている。はんだとは異なる金属部22Xは、第1の導電性粒子21の表面を被覆しており、金属層である。
図8は、導電材料に使用可能な第2の導電性粒子の第2の例を示す断面図である。
図8に示す第2の導電性粒子31Xは、図5に示す第1の導電性粒子31に対して、はんだとは異なる金属部34Xを更に形成した構成に有する。この点で、第1の導電性粒子31とは、第2の導電性粒子31Xとは異なる。
図9は、導電材料に使用可能な第2の導電性粒子の第3の例を示す断面図である。
図9に示す第2の導電性粒子41Xは、図6に示す第1の導電性粒子41に対して、はんだとは異なる金属部43Xを更に形成した構成に有する。この点で、第1の導電性粒子41と、第2の導電性粒子41Xとは異なる。
第2の導電性粒子は、図7〜9に示すように第1の導電性粒子の表面上に単層のはんだとは異なる金属部を有していてもよい。第2の導電性粒子は、2層以上(多層)のはんだとは異なる金属部を有していてもよい。第2の導電性粒子は、3層以上のはんだとは異なる金属部を有していてもよい。
上記第2の導電性粒子における上記はんだとは異なる金属部の内側に配置される粒子部分の表面上にはんだとは異なる金属部を形成する方法、並びに、上記第1の導電性粒子の表面上にはんだとは異なる金属部を形成する方法は特に限定されない。上記はんだとは異なる金属部を形成する方法としては、例えば、無電解めっきによる方法、電気めっきによる方法、物理的な衝突による方法、メカノケミカル反応による方法、物理的蒸着又は物理的吸着による方法、並びに金属粉末もしくは金属粉末とバインダーとを含むペーストを基材粒子の表面にコーティングする方法等が挙げられる。無電解めっき、電気めっき又は物理的な衝突による方法が好適である。上記物理的蒸着による方法としては、真空蒸着、イオンプレーティング及びイオンスパッタリング等の方法が挙げられる。また、上記物理的な衝突による方法では、例えば、シーターコンポーザ(徳寿工作所社製)等が用いられる。
高温における接続部の接続信頼性をより一層高める観点からは、上記第2の導電性粒子における上記はんだとは異なる金属部の厚みは、好ましくは10nm以上、より好ましくは30nmであり、好ましくは500nm以下、より好ましくは200nm以下である。
上記第2の導電性粒子の平均粒子径は、好ましくは1μm以上、より好ましくは3μm以上であり、好ましくは30μm以下、より好ましくは20μm以下である。上記第2の導電性粒子の平均粒子径が、上記下限以上及び上記上限以下であると、高温における接続部の接続信頼性をより一層高めることができる。
上記第2の導電性粒子の「平均粒子径」は、数平均粒子径を示す。第2の導電性粒子の平均粒子径は、例えば、任意の第2の導電性粒子50個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、平均値を算出することや、レーザー回折式粒度分布測定を行うことにより求められる。
上記第2の導電性粒子の形状は特に限定されない。上記第2の導電性粒子の形状は、球状であってもよく、扁平状等の球形状以外の形状であってもよい。
上記第1の導電性粒子の平均粒子径の上記第2の導電性粒子の平均粒子径に対する比(第1の導電性粒子の平均粒子径/第2の導電性粒子の平均粒子径)は、好ましくは0.2以上、より好ましくは0.5以上であり、好ましくは5以下、より好ましくは3以下である。上記比(第1の導電性粒子の平均粒子径/第2の導電性粒子の平均粒子径)が上記下限以上及び上記上限以下であると、接続部の接続信頼性をより一層高めることができる。
高温における接続部の接続信頼性をより一層高める観点からは、上記導電材料100重量%中、上記第2の導電性粒子の含有量は、好ましくは1重量%以上、より好ましくは3重量%以上であり、好ましくは50重量%以下、より好ましくは30重量%以下である。
上記導電材料100重量%中の上記第1の導電性粒子の含有量の、上記導電材料100重量%中の上記第2の導電性粒子の含有量に対する比を、比(導電材料100重量%中の第1の導電性粒子の含有量/導電材料100重量%中の第2の導電性粒子の含有量)と記載する。上記比(導電材料100重量%中の第1の導電性粒子の含有量/導電材料100重量%中の第2の導電性粒子の含有量)は、好ましくは1以上、より好ましくは10以上、更に好ましくは15以上であり、好ましくは99以下、より好ましくは50以下、更に好ましくは25以下である。上記比(導電材料100重量%中の第1の導電性粒子の含有量/導電材料100重量%中の第2の導電性粒子の含有量)が、上記下限以上及び上記上限以下であると、高温における接続部の接続信頼性をより一層高めることができる。
(熱硬化性成分)
上記熱硬化性成分は、加熱により硬化可能な熱硬化性化合物と、硬化剤とを含んでいてもよい。上記熱硬化性化合物としては、オキセタン化合物、エポキシ化合物、エピスルフィド化合物、(メタ)アクリル化合物、フェノール化合物、アミノ化合物、不飽和ポリエステル化合物、ポリウレタン化合物、シリコーン化合物及びポリイミド化合物等が挙げられる。導電材料の硬化性及び粘度をより一層良好にし、導通信頼性をより一層高める観点からは、エポキシ化合物又はエピスルフィド化合物が好ましく、エポキシ化合物がより好ましい。上記熱硬化性成分は、エポキシ化合物を含むことが好ましい。上記熱硬化性成分は、エポキシ化合物と、硬化剤とを含むことが好ましい。上記熱硬化性成分は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
硬化物の耐熱性をより一層高める観点からは、上記熱硬化性化合物は、イソシアヌル骨格を有する熱硬化性化合物を含むことが好ましい。
上記イソシアヌル骨格を有する熱硬化性化合物としてはトリイソシアヌレート型エポキシ化合物等が挙げられ、日産化学工業社製TEPICシリーズ(TEPIC−G、TEPIC−S、TEPIC−SS、TEPIC−HP、TEPIC−L、TEPIC−PAS、TEPIC−VL、TEPIC−UC)等が挙げられる。
上記エポキシ化合物としては、芳香族エポキシ化合物が挙げられる。レゾルシノール型エポキシ化合物、ナフタレン型エポキシ化合物、ビフェニル型エポキシ化合物、ベンゾフェノン型エポキシ化合物等の結晶性エポキシ化合物が好ましい。常温(23℃)で固体であり、かつ溶融温度がはんだの融点以下であるエポキシ化合物が好ましい。溶融温度は好ましくは100℃以下、より好ましくは80℃以下であり、好ましくは40℃以上である。上記の好ましいエポキシ化合物を用いることで、接続対象部材を貼り合わせた段階では、粘度が高く、搬送等の衝撃により加速度が付与された際に、第1の接続対象部材と、第2の接続対象部材との位置ずれを抑制することができる。さらに、硬化時の熱により、導電材料の粘度を大きく低下させることができ、はんだ粒子の凝集を効率よく進行させることができる。
上記導電材料100重量%中、上記熱硬化性化合物の含有量は、好ましくは20重量%以上、より好ましくは40重量%以上、更に好ましくは50重量%以上であり、好ましくは99重量%以下、より好ましくは98重量%以下、更に好ましくは90重量%以下、特に好ましくは80重量%以下である。上記熱硬化性化合物の含有量が、上記下限以上及び上記上限以下であると、はんだを電極上により一層効率的に配置し、電極間の位置ずれをより一層抑制し、電極間の導通信頼性をより一層高めることができる。耐衝撃性をより一層高める観点からは、上記熱硬化性化合物の含有量は多い方が好ましい。
上記導電材料100重量%中、上記エポキシ化合物の含有量は、好ましくは20重量%以上、より好ましくは40重量%以上、更に好ましくは50重量%以上であり、好ましくは99重量%以下、より好ましくは98重量%以下、更に好ましくは90重量%以下、特に好ましくは80重量%以下である。上記エポキシ化合物の含有量が、上記下限以上及び上記上限以下であると、はんだを電極上により一層効率的に配置し、電極間の位置ずれをより一層抑制し、電極間の導通信頼性をより一層高めることができる。耐衝撃性をより一層高める観点からは、上記エポキシ化合物の含有量は多い方が好ましい。
上記硬化剤は、上記熱硬化性化合物を熱硬化させる熱硬化剤であることが好ましい。上記熱硬化剤としては、イミダゾール硬化剤、アミン硬化剤、フェノール硬化剤、ポリチオール硬化剤等のチオール硬化剤、ホスホニウム塩、酸無水物、熱カチオン開始剤(熱カチオン硬化剤)及び熱ラジカル発生剤等が挙げられる。上記熱硬化剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
導電材料を低温でより一層速やかに硬化可能とする観点からは、上記熱硬化剤は、イミダゾール硬化剤、チオール硬化剤、又はアミン硬化剤であることが好ましい。また、上記熱硬化性化合物と上記熱硬化剤とを混合したときの保存安定性を高める観点からは、上記熱硬化剤は、潜在性の硬化剤であることが好ましい。潜在性の硬化剤は、潜在性イミダゾール硬化剤、潜在性チオール硬化剤又は潜在性アミン硬化剤であることが好ましい。なお、上記熱硬化剤は、ポリウレタン樹脂又はポリエステル樹脂等の高分子物質で被覆されていてもよい。
上記イミダゾール硬化剤としては、特に限定されず、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン及び2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−ベンジル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−パラトルイル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−メタトルイル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−メタトルイル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−パラトルイル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール等における1H−イミダゾールの5位の水素をヒドロキシメチル基で、かつ、2位の水素をフェニル基またはトルイル基で置換したイミダゾール化合物等が挙げられる。上記イミダゾール化合物は、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−パラトルイル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−メタトルイル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−メタトルイル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−パラトルイル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾールであることが好ましい。この場合には、導電材料を低温でより一層速やかに硬化可能である。
上記チオール硬化剤としては、特に限定されず、トリメチロールプロパントリス−3−メルカプトプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス−3−メルカプトプロピオネート及びジペンタエリスリトールヘキサ−3−メルカプトプロピオネート等が挙げられる。
上記アミン硬化剤としては、特に限定されず、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラスピロ[5.5]ウンデカン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、メタフェニレンジアミン及びジアミノジフェニルスルホン等が挙げられる。
上記ホスホニウム塩としては、テトラノルマルブチルホスホニウムブロマイド、テトラノルマルブチルホスホニウムO−Oジエチルジチオリン酸、メチルトリブチルホスホニウムジメチルリン酸塩、テトラノルマルブチルホスホニウムベンゾトリアゾール、テトラノルマルブチルホスホニウムテトラフルオロボレート、及びテトラノルマルブチルホスホニウムテトラフェニルボレート等が挙げられる。
上記熱カチオン開始剤としては、特に限定されず、ヨードニウム系カチオン硬化剤、オキソニウム系カチオン硬化剤及びスルホニウム系カチオン硬化剤等が挙げられる。上記ヨードニウム系カチオン硬化剤としては、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスファート等が挙げられる。上記オキソニウム系カチオン硬化剤としては、トリメチルオキソニウムテトラフルオロボラート等が挙げられる。上記スルホニウム系カチオン硬化剤としては、トリ−p−トリルスルホニウムヘキサフルオロホスファート等が挙げられる。
上記熱ラジカル発生剤としては、特に限定されず、アゾ化合物及び有機過酸化物等が挙げられる。上記アゾ化合物としては、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)等が挙げられる。上記有機過酸化物としては、ジ−tert−ブチルペルオキシド及びメチルエチルケトンペルオキシド等が挙げられる。
上記熱硬化剤の反応開始温度は、好ましくは50℃以上、より好ましくは70℃以上、更に好ましくは80℃以上であり、好ましくは250℃以下、より好ましくは200℃以下、更に好ましくは150℃以下、特に好ましくは140℃以下である。上記熱硬化剤の反応開始温度が上記下限以上及び上記上限以下であると、はんだが電極上により一層効率的に配置される。上記熱硬化剤の反応開始温度は80℃以上、140℃以下であることが特に好ましい。
はんだを電極上により一層効率的に配置する観点からは、上記熱硬化剤の反応開始温度は、上記第1の導電性粒子におけるはんだの融点よりも、高いことが好ましく、5℃以上高いことがより好ましく、10℃以上高いことが更に好ましい。
上記熱硬化剤の反応開始温度は、DSCでの発熱ピークの立ち上がり開始の温度を意味する。
上記熱硬化剤の含有量は特に限定されない。上記熱硬化性化合物100重量部に対して、上記熱硬化剤の含有量は、好ましくは0.01重量部以上、より好ましくは1重量部以上であり、好ましくは200重量部以下、より好ましくは100重量部以下、更に好ましくは75重量部以下である。熱硬化剤の含有量が上記下限以上であると、導電材料を十分に硬化させることが容易である。熱硬化剤の含有量が上記上限以下であると、硬化後に硬化に関与しなかった余剰の熱硬化剤が残存し難くなり、かつ硬化物の耐熱性がより一層高くなる。
(フラックス)
上記導電材料は、フラックスを含む。フラックスの使用により、はんだを電極上により一層効果的に配置することができる。該フラックスは特に限定されない。フラックスとして、はんだ接合等に一般的に用いられているフラックスを使用できる。
上記フラックスとしては、例えば、塩化亜鉛、塩化亜鉛と無機ハロゲン化物との混合物、塩化亜鉛と無機酸との混合物、溶融塩、リン酸、リン酸の誘導体、有機ハロゲン化物、ヒドラジン、アミン化合物、有機酸及び松脂等が挙げられる。上記フラックスは1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記溶融塩としては、塩化アンモニウム等が挙げられる。上記有機酸としては、乳酸、クエン酸、ステアリン酸、グルタミン酸及びグルタル酸等が挙げられる。上記松脂としては、活性化松脂及び非活性化松脂等が挙げられる。上記フラックスは、カルボキシル基を2個以上有する有機酸、又は松脂であることが好ましい。上記フラックスは、カルボキシル基を2個以上有する有機酸であってもよく、松脂であってもよい。カルボキシル基を2個以上有する有機酸、松脂の使用により、電極間の導通信頼性がより一層高くなる。
上記カルボキシル基を2個以上有する有機酸としては、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、及びセバシン酸等が挙げられる。
上記アミン化合物としては、例えば、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、ベンズヒドリルアミン、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、フェニルイミダゾール、カルボキシベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、及びカルボキシベンゾトリアゾール等が挙げられる。
上記松脂はアビエチン酸を主成分とするロジン類である。上記ロジン類としては、例えば、アビエチン酸、及びアクリル変性ロジン等が挙げられる。フラックスはロジン類であることが好ましく、アビエチン酸であることがより好ましい。この好ましいフラックスの使用により、電極間の導通信頼性がより一層高くなる。
上記フラックスの活性温度(融点)は、好ましくは50℃以上、より好ましくは70℃以上、更に好ましくは80℃以上であり、好ましくは200℃以下、より好ましくは190℃以下、より一層好ましくは160℃以下、更に好ましくは150℃以下、更に一層好ましくは140℃以下である。上記フラックスの活性温度が上記下限以上及び上記上限以下であると、フラックス効果がより一層効果的に発揮され、第1の導電性粒子が電極上により一層効率的に配置される。上記フラックスの活性温度(融点)は80℃以上、190℃以下であることが好ましい。上記フラックスの活性温度(融点)は80℃以上、140℃以下であることが特に好ましい。
活性温度(融点)が80℃以上、190℃以下である上記フラックスとしては、コハク酸(融点186℃)、グルタル酸(融点96℃)、アジピン酸(融点152℃)、ピメリン酸(融点104℃)、スベリン酸(融点142℃)等のジカルボン酸、安息香酸(融点122℃)、及びリンゴ酸(融点130℃)等が挙げられる。
また、上記フラックスの沸点は200℃以下であることが好ましい。
はんだを電極上により一層効率的に配置する観点からは、上記フラックスの融点は、上記第1の導電性粒子におけるはんだの融点よりも、高いことが好ましく、5℃以上高いことがより好ましく、10℃以上高いことが更に好ましい。
はんだを電極上により一層効率的に配置する観点からは、上記フラックスの融点は、上記熱硬化剤の反応開始温度よりも、高いことが好ましく、5℃以上高いことがより好ましく、10℃以上高いことが更に好ましい。
上記フラックスは、導電材料中に分散されていてもよく、第1の導電性粒子の表面上に付着していてもよい。
フラックスの融点が、第1の導電性粒子におけるはんだの融点より高いことにより、電極部分に第1の導電性粒子を効率的に凝集させることができる。これは、接合時に熱を付与した場合、接続対象部材上に形成された電極と、電極周辺の接続対象部材の部分とを比較すると、電極部分の熱伝導率が電極周辺の接続対象部材部分の熱伝導率よりも高いことにより、電極部分の昇温が速いことに起因する。第1の導電性粒子におけるはんだの融点を超えた段階では、第1の導電性粒子におけるはんだの内部は溶解するが、表面に形成された酸化被膜は、フラックスの融点(活性温度)に達していないので、除去されない。この状態で、電極部分の温度が先に、フラックスの融点(活性温度)に達するため、優先的に電極上に来た第1の導電性粒子におけるはんだの表面の酸化被膜が除去され、第1の導電性粒子におけるはんだが電極の表面上に濡れ拡がることができる。これにより、電極上に効率的に第1の導電性粒子を凝集させることができる。
上記フラックスは、加熱によりカチオンを放出するフラックスであることが好ましい。加熱によりカチオンを放出するフラックスの使用により、第1の導電性粒子を電極上により一層効率的に配置することができる。
上記加熱によりカチオンを放出するフラックスとしては、上記熱カチオン開始剤(熱カチオン硬化剤)が挙げられる。
上記導電材料100重量%中、上記フラックスの含有量は好ましくは0.5重量%以上であり、好ましくは30重量%以下、より好ましくは25重量%以下である。上記導電材料は、フラックスを含んでいなくてもよい。フラックスの含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、はんだ及び電極の表面に酸化被膜がより一層形成され難くなり、更に、はんだ及び電極の表面に形成された酸化被膜をより一層効果的に除去できる。
(絶縁性粒子)
上記導電材料は、絶縁性粒子を含むことが好ましい。上記導電材料において、上記絶縁性粒子は、上記第1の導電性粒子の表面及び上記第2の導電性粒子の表面のいずれの表面にも付着していなくてもよい。上記導電材料中で、上記絶縁性粒子は上記第1の導電性粒子と離れて存在することが好ましく、上記絶縁性粒子は上記第2の導電性粒子と離れて存在することが好ましい。上記絶縁性粒子を含むことで、導電材料の硬化物により接続される接続対象部材間の間隔、並びに第1の導電性粒子におけるはんだにより接続される接続対象部材間の間隔を高精度に制御することができる。
上記絶縁性粒子の平均粒子径は、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上、更に好ましくは25μm以上であり、好ましくは100μm以下、より好ましくは75μm以下、更に好ましくは50μm以下である。上記絶縁性粒子の平均粒子径が上記下限以上及び上記上限以下であると、導電材料の硬化物により接続される接続対象部材間の間隔、並びに第1の導電性粒子におけるはんだにより接続される接続対象部材間の間隔がより一層適度になる。
上記絶縁性粒子の材料としては、絶縁性の樹脂、及び絶縁性の無機物等が挙げられる。
上記絶縁性粒子の材料である絶縁性樹脂の具体例としては、ポリオレフィン類、(メタ)アクリレート重合体、(メタ)アクリレート共重合体、ブロックポリマー、熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂の架橋物、熱硬化性樹脂及び水溶性樹脂等が挙げられる。
上記ポリオレフィン類としては、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びエチレン−アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。上記(メタ)アクリレート重合体としては、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート及びポリブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。上記ブロックポリマーとしては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、SB型スチレン−ブタジエンブロック共重合体、及びSBS型スチレン−ブタジエンブロック共重合体、並びにこれらの水素添加物等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂としては、ビニル重合体及びビニル共重合体等が挙げられる。上記熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂及びメラミン樹脂等が挙げられる。上記水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド及びメチルセルロース等が挙げられる。水溶性樹脂が好ましく、ポリビニルアルコールがより好ましい。
上記絶縁性粒子の材料である絶縁性無機物の具体例としては、シリカ及び有機無機ハイブリッド粒子等が挙げられる。上記シリカにより形成された粒子としては特に限定されないが、例えば、加水分解性のアルコキシシリル基を2つ以上有するケイ素化合物を加水分解して架橋重合体粒子を形成した後に、必要に応じて焼成を行うことにより得られる粒子が挙げられる。上記有機無機ハイブリッド粒子としては、例えば、架橋したアルコキシシリルポリマーとアクリル樹脂とにより形成された有機無機ハイブリッド粒子等が挙げられる。
上記導電材料100重量%中、上記絶縁性粒子の含有量は好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.5重量%以上であり、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下である。上記導電材料は、絶縁性粒子を含んでいなくてもよい。絶縁性粒子の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、導電材料の硬化物により接続される接続対象部材間の間隔、並びにはんだにより接続される接続対象部材間の間隔がより一層適度になる。
(他の成分)
上記導電材料は、必要に応じて、例えば、カップリング剤、遮光剤、反応性希釈剤、消泡剤、レベリング剤、充填剤、増量剤、軟化剤、可塑剤、重合触媒、硬化触媒、着色剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤及び難燃剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
(接続構造体及び接続構造体の製造方法)
本発明に係る接続構造体は、少なくとも1つの第1の電極を表面に有する第1の接続対象部材と、少なくとも1つの第2の電極を表面に有する第2の接続対象部材と、上記第1の接続対象部材と、上記第2の接続対象部材とを接続している接続部とを備える。本発明に係る接続構造体では、上記接続部の材料が、上述した導電材料である。上記接続部が、上述した導電材料の硬化物である。上記接続部が、上述した導電材料により形成されている。本発明に係る接続構造体では、上記第1の電極と上記第2の電極とが、上記接続部中のはんだ部により電気的に接続されている。
本発明に係る接続構造体の製造方法は、以下の工程(1)〜(3)を備えることが好ましい。(1)上述した導電材料を用いて、少なくとも1つの第1の電極を表面に有する第1の接続対象部材の表面上に、上記導電材料を配置する工程。(2)上記導電材料の上記第1の接続対象部材側とは反対の表面上に、少なくとも1つの第2の電極を表面に有する第2の接続対象部材を、上記第1の電極と上記第2の電極とが対向するように配置する工程。(3)上記導電性粒子におけるはんだの融点以上かつ上記熱硬化性成分の硬化温度以上に上記導電材料を加熱することで、上記第1の接続対象部材と上記第2の接続対象部材とを接続している接続部を、上記導電材料により形成し、かつ、上記第1の電極と上記第2の電極とを、上記接続部中のはんだ部により電気的に接続する工程。上記導電材料を加熱時に、熱硬化性成分の硬化温度以上に加熱することが好ましい。
本発明に係る接続構造体及び上記接続構造体の製造方法では、特定の導電材料を用いているので、導電性粒子が第1の電極と第2の電極との間に集まりやすく、はんだを電極(ライン)上に効率的に配置することができる。また、はんだの一部が、電極が形成されていない領域(スペース)に配置され難く、電極が形成されていない領域に配置されるはんだの量をかなり少なくすることができる。したがって、第1の電極と第2の電極との間の導通信頼性を高めることができる。しかも、接続されてはならない横方向に隣接する電極間の電気的な接続を防ぐことができ、絶縁信頼性を高めることができる。
また、はんだを電極上に効率的に配置し、かつ電極が形成されていない領域に配置されるはんだの量をかなり少なくするためには、上記導電材料は、導電フィルムではなく、導電ペーストを用いることが好ましい。
電極間でのはんだ部の厚みは、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上であり、好ましくは100μm以下、より好ましくは80μm以下である。電極の表面上のはんだ濡れ面積(電極の露出した面積100%中のはんだが接している面積)は、好ましくは50%以上、より好ましくは60%以上、更に好ましくは70%以上であり、好ましくは100%以下である。
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る導電材料を用いて得られる接続構造体を模式的に示す断面図である。
図1に示す接続構造体1は、第1の接続対象部材2と、第2の接続対象部材3と、第1の接続対象部材2と第2の接続対象部材3とを接続している接続部4とを備える。接続部4は、上述した導電材料により形成されている。本実施形態では、導電材料として、導電ペーストが用いられている。本実施形態では、第1の導電性粒子として、はんだ粒子が用いられている。
接続部4は、複数のはんだ粒子が集まり互いに接合したはんだ部4Aと、熱硬化性成分が熱硬化された硬化物部4Bとを有する。
第1の接続対象部材2は表面(上面)に、複数の第1の電極2aを有する。第2の接続対象部材3は表面(下面)に、複数の第2の電極3aを有する。第1の電極2aと第2の電極3aとが、はんだ部4Aにより電気的に接続されている。従って、第1の接続対象部材2と第2の接続対象部材3とが、はんだ部4Aにより電気的に接続されている。なお、接続部4において、第1の電極2aと第2の電極3aとの間に集まったはんだ部4Aとは異なる領域(硬化物部4B部分)では、はんだ粒子は存在しない。はんだ部4Aとは異なる領域(硬化物部4B部分)では、はんだ部4Aと離れたはんだ粒子は存在しない。なお、少量であれば、第1の電極2aと第2の電極3aとの間に集まったはんだ部4Aとは異なる領域(硬化物部4B部分)に、はんだ粒子が存在していてもよい。
図1に示すように、接続構造体1では、第1の電極2aと第2の電極3aとの間に、複数のはんだ粒子が集まり、複数のはんだ粒子が溶融した後、はんだ粒子の溶融物が電極の表面を濡れ拡がった後に固化して、はんだ部4Aが形成されている。このため、はんだ部4Aと第1の電極2a、並びにはんだ部4Aと第2の電極3aとの接続面積が大きくなる。このため、接続構造体1における導通信頼性及び接続信頼性が高くなる。なお、導電材料にフラックスが含まれる場合に、フラックスは、一般的に、加熱により次第に失活する。
なお、図1に示す接続構造体1では、はんだ部4Aの全てが、第1,第2の電極2a,3a間の対向している領域に位置している。図3に示す変形例の接続構造体1Xは、接続部4Xのみが、図1に示す接続構造体1と異なる。接続部4Xは、はんだ部4XAと硬化物部4XBとを有する。接続構造体1Xのように、はんだ部4XAの多くが、第1,第2の電極2a,3aの対向している領域に位置しており、はんだ部4XAの一部が第1,第2の電極2a,3aの対向している領域から側方にはみ出していてもよい。第1,第2の電極2a,3aの対向している領域から側方にはみ出しているはんだ部4XAは、はんだ部4XAの一部であり、はんだ部4XAから離れたはんだではない。なお、本実施形態では、はんだ部から離れたはんだの量を少なくすることができるが、はんだ部から離れたはんだが硬化物部中に存在していてもよい。
はんだ粒子の使用量を少なくすれば、接続構造体1を得ることが容易になる。はんだ粒子の使用量を多くすれば、接続構造体1Xを得ることが容易になる。
上記第1の電極と上記接続部と上記第2の電極との積層方向に上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分をみる。この場合に、導通信頼性をより一層高める観点からは、上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分の面積100%中の50%以上(より好ましくは60%以上、更に好ましくは70%以上、特に好ましくは80%以上、最も好ましくは90%以上)に、上記接続部中のはんだ部が配置されていることが好ましい。
次に、本発明の一実施形態に係る導電材料を用いて、接続構造体1を製造する方法の一例を説明する。
先ず、第1の電極2aを表面(上面)に有する第1の接続対象部材2を用意する。次に、図2(a)に示すように、第1の接続対象部材2の表面上に、熱硬化性成分11Bと、第1の導電性粒子である複数のはんだ粒子11Aと、はんだ粒子11Aの表面上にはんだとは異なる金属部を有する複数の第2の導電性粒子11Cを含む導電ペースト11を配置する(第1の工程)。用いた導電材料は、熱硬化性成分11Bとして、熱硬化性化合物と熱硬化剤とを含む。
第1の接続対象部材2の第1の電極2aが設けられた表面上に、導電ペースト11を配置する。導電ペースト11の配置の後に、はんだ粒子11A及び第2の導電性粒子11Cは、第1の電極2a(ライン)上と、第1の電極2aが形成されていない領域(スペース)上との双方に配置されている。
導電ペースト11の配置方法としては、特に限定されないが、ディスペンサーによる塗布、スクリーン印刷、及びインクジェット装置による吐出等が挙げられる。
また、第2の電極3aを表面(下面)に有する第2の接続対象部材3を用意する。次に、図2(b)に示すように、第1の接続対象部材2の表面上の導電ペースト11において、導電ペースト11の第1の接続対象部材2側とは反対側の表面上に、第2の接続対象部材3を配置する(第2の工程)。導電ペースト11の表面上に、第2の電極3a側から、第2の接続対象部材3を配置する。このとき、第1の電極2aと第2の電極3aとを対向させる。
次に、はんだ粒子11Aの融点以上に導電ペースト11を加熱する(第3の工程)。好ましくは、熱硬化性成分11B(熱硬化性化合物)の硬化温度以上に導電ペースト11を加熱する。この加熱時には、電極が形成されていない領域に存在していたはんだ粒子11A及び第2の導電性粒子11Cは、第1の電極2aと第2の電極3aとの間に集まる(自己凝集効果)。導電フィルムではなく、導電ペーストを用いた場合には、はんだ粒子11A及び第2の導電性粒子11Cが、第1の電極2aと第2の電極3aとの間に効果的に集まる。また、はんだ粒子11A及び第2の導電性粒子11Cは溶融し、互いに接合する。また、熱硬化性成分11Bは熱硬化する。この結果、図2(c)に示すように、第1の接続対象部材2と第2の接続対象部材3とを接続している接続部4を、導電ペースト11により形成する。導電ペースト11により接続部4が形成され、複数のはんだ粒子11Aと複数の第2の導電性粒子11Cとが接合することによってはんだ部4Aが形成され、熱硬化性成分11Bが熱硬化することによって硬化物部4Bが形成される。はんだ粒子11A及び第2の導電性粒子11Cが十分に移動すれば、第1の電極2aと第2の電極3aとの間に位置していないはんだ粒子11A及び第2の導電性粒子11Cの移動が開始してから、第1の電極2aと第2の電極3aとの間にはんだ粒子11A及び第2の導電性粒子11Cの移動が完了するまでに、温度を一定に保持しなくてもよい。
本発明では、導電ペースト11が上述した構成、特に、はんだ粒子11A(第1の導電性粒子)と、はんだ粒子11A(第1の導電性粒子)の表面上にはんだとは異なる金属部を有する第2の導電性粒子11Cを含むという構成を有する。本実施形態では、上記第3の工程において、はんだ粒子11A(第1の導電性粒子)が溶融して接合する際に、第2の導電性粒子11Cも溶融し、はんだ粒子11A(第1の導電性粒子)とともに接続部4を形成する。接続部4は、はんだと、はんだとは異なる金属部の合金による接続部であり、はんだのみの接続部よりも溶融温度が高温となる。このため、高温での接続部の接続信頼性を高めることができる。
本実施形態では、上記第2の工程及び上記第3の工程において、加圧を行わない方が好ましい。この場合には、導電ペースト11には、第2の接続対象部材3の重量が加わる。このため、接続部4の形成時に、はんだ粒子11A及び第2の導電性粒子11Cが、第1の電極2aと第2の電極3aとの間に効果的に集まる。なお、上記第2の工程及び上記第3の工程の内の少なくとも一方において、加圧を行えば、はんだ粒子11A及び第2の導電性粒子11Cが第1の電極2aと第2の電極3aとの間に集まろうとする作用が阻害される傾向が高くなる。このことは、本発明者らによって見出された。
また、導電ペーストを塗布した第1の接続対象部材に、第2の接続対象部材を重ね合わせた際に、第1の接続対象部材の電極と第2の接続対象部材の電極のアライメントがずれた状態で、第1の接続対象部材と第2の接続対象部材とが重ね合わされる場合がある。本実施形態では、加圧を行っていないため、そのずれを補正して、第1の接続対象部材の電極と第2の接続対象部材との電極を接続させることができる(セルフアライメント効果)。これは、第1の接続対象部材の電極と第2の接続対象部材の電極との間に自己凝集した溶融したはんだが、第1の接続対象部材の電極と第2の接続対象部材の電極との間のはんだと導電材料のその他の成分とが接する面積が最小となる方がエネルギー的に安定になるためである。そして、その最小の面積となる接続構造であるアライメントのあった接続構造にする力が働くためである。この際、導電ペーストが硬化していないこと、及び、その温度、時間にて、導電ペーストの導電性粒子以外の成分の粘度が十分低いことが望ましい。
このようにして、図1に示す接続構造体1が得られる。なお、上記第2の工程と上記第3の工程とは連続して行われてもよい。また、上記第2の工程を行った後に、得られる第1の接続対象部材2と導電ペースト11と第2の接続対象部材3との積層体を、加熱部に移動させて、上記第3の工程を行ってもよい。上記加熱を行うために、加熱部材上に上記積層体を配置してもよく、加熱された空間内に上記積層体を配置してもよい。
上記第3の工程における上記加熱温度は、好ましくは140℃以上、より好ましくは160℃以上であり、好ましくは450℃以下、より好ましくは250℃以下、更に好ましくは200℃以下である。
上記第3の工程における加熱方法としては、はんだの融点以上及び熱硬化性化合物の硬化温度以上に、接続構造体全体を、リフロー炉を用いて又はオーブンを用いて加熱する方法や、接続構造体の接続部のみを局所的に加熱する方法が挙げられる。
上記第1,第2の接続対象部材は、特に限定されない。上記第1,第2の接続対象部材としては、具体的には、半導体チップ、半導体パッケージ、LEDチップ、LEDパッケージ、コンデンサ及びダイオード等の電子部品、並びに樹脂フィルム、プリント基板、フレキシブルプリント基板、フレキシブルフラットケーブル、リジッドフレキシブル基板、ガラスエポキシ基板及びガラス基板等の回路基板等の電子部品等が挙げられる。上記第1,第2の接続対象部材は、電子部品であることが好ましい。
上記第1の接続対象部材及び上記第2の接続対象部材の内の少なくとも一方が、樹脂フィルム、フレキシブルプリント基板、フレキシブルフラットケーブル又はリジッドフレキシブル基板であることが好ましい。上記第1の接続対象部材及び上記第2の接続対象部材の内の少なくとも一方が、樹脂フィルム、フレキシブルプリント基板、フレキシブルフラットケーブル又はリジッドフレキシブル基板であることが好ましい。樹脂フィルム、フレキシブルプリント基板、フレキシブルフラットケーブル及びリジッドフレキシブル基板は、柔軟性が高く、比較的軽量であるという性質を有する。このような接続対象部材の接続に導電フィルムを用いた場合には、はんだが電極上に集まりにくい傾向がある。これに対して、導電ペーストを用いることで、樹脂フィルム、フレキシブルプリント基板、フレキシブルフラットケーブル又はリジッドフレキシブル基板を用いたとしても、はんだを電極上に効率的に集めることで、電極間の導通信頼性を充分に高めることができる。樹脂フィルム、フレキシブルプリント基板、フレキシブルフラットケーブル又はリジッドフレキシブル基板を用いる場合に、半導体チップ等の他の接続対象部材を用いた場合と比べて、加圧を行わないことによる電極間の導通信頼性の向上効果がより一層効果的に得られる。
上記接続対象部材に設けられている電極としては、金電極、ニッケル電極、錫電極、アルミニウム電極、銅電極、モリブデン電極、銀電極、SUS電極、及びタングステン電極等の金属電極が挙げられる。上記接続対象部材がフレキシブルプリント基板である場合には、上記電極は金電極、ニッケル電極、錫電極、銀電極又は銅電極であることが好ましい。上記接続対象部材がガラス基板である場合には、上記電極はアルミニウム電極、銅電極、モリブデン電極、銀電極又はタングステン電極であることが好ましい。なお、上記電極がアルミニウム電極である場合には、アルミニウムのみで形成された電極であってもよく、金属酸化物層の表面にアルミニウム層が積層された電極であってもよい。上記金属酸化物層の材料としては、3価の金属元素がドープされた酸化インジウム及び3価の金属元素がドープされた酸化亜鉛等が挙げられる。上記3価の金属元素としては、Sn、Al及びGa等が挙げられる。
上記第1の電極及び上記第2の電極が、エリアアレイ又はペリフェラルにて配置されていることが好ましい。電極が、エリアアレイ、ペリフェラルにて面にて配置されている場合にて、本発明の効果が一層効果的に発揮される。エリアアレイとは、接続対象部材の電極が配置されている面にて、格子状に電極が配置されている構造のことである。ペリフェラルとは、接続対象部材の外周部に電極が配置されている構造のことである。電極が櫛型に並んでいる構造の場合は、櫛に垂直な方向に沿ってはんだ粒子が凝集すればよいのに対して、上記構造では電極が配置されている面において、全面にて均一にはんだ粒子が凝集する必要があるため、従来の方法では、はんだ量が不均一になりやすいのに対して、本発明の方法では、本発明の効果が一層効果的に発揮される。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
熱硬化性成分(エポキシ化合物):
三菱化学社製「YL980」、ビスフェノールA型エポキシ樹脂
DIC社製「HP−4032D」、ナフタレン型エポキシ樹脂
DIC社製「HP−7200H」、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂
日産化学工業社製「TEPIC−HP」、トリイソシアヌレート型エポキシ樹脂
熱硬化性成分(硬化剤):
旭化成ケミカルズ社製「HXA3922HP」、マイクロカプセル型潜在性硬化剤
四国化成工業社製「2MA−OK」、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物
フラックス:
和光純薬工業社製「グルタル酸」
第1の導電性粒子:
はんだ粒子1(SnBiはんだ粒子、融点139℃、三井金属社製「Sn42Bi58」を選別したはんだ粒子、平均粒子径:30μm、CV値:25%)
はんだ粒子2(SnBiはんだ粒子、融点139℃、三井金属社製「Sn42Bi58」を選別したはんだ粒子、平均粒子径:10μm、CV値:20%)
はんだ粒子3(SnBiはんだ粒子、融点139℃、三井金属社製「Sn42Bi58」を選別したはんだ粒子、平均粒子径:5μm、CV値:13%)
はんだ粒子4(SnBiはんだ粒子、融点139℃、三井金属社製「Sn42Bi58」を選別したはんだ粒子、平均粒子径:2μm、CV値:10%)
第1の導電性粒子1(SnBiはんだ粒子、融点139℃、三井金属社製「Sn42Bi58」を選別したはんだ粒子2本体を用い、表面処理を行ったアニオンポリマー1を有するはんだ粒子、平均粒子径:10μm、CV値:Sn42Bi58%、ポリマー分子量:Mw=5000)
第2の導電性粒子:
第2の導電性粒子1(はんだ粒子2の表面上に銀層(厚み:10nm)が配置されている導電性粒子)
第2の導電性粒子2(はんだ粒子2の表面上に銀層(厚み:100nm)が配置されている導電性粒子)
第2の導電性粒子3(はんだ粒子2の表面上に銀層(厚み:500nm)が配置されている導電性粒子)
第2の導電性粒子4(はんだ粒子3の表面上に銀層(厚み:100nm)が配置されている導電性粒子)
第2の導電性粒子5(はんだ粒子4の表面上に銀層(厚み:100nm)が配置されている導電性粒子)
第2の導電性粒子6(はんだ粒子1の表面上に銀層(厚み:100nm)が配置されている導電性粒子)
第2の導電性粒子7(はんだ粒子2の表面上に金層(厚み:100nm)が配置されている導電性粒子)
第2の導電性粒子8(はんだ粒子2の表面上にパラジウム層(厚み:100nm)が配置されている導電性粒子)
第2の導電性粒子9(はんだ粒子2の表面上に銅層(厚み:100nm)が配置されている導電性粒子)
第2の導電性粒子10(はんだ粒子2の表面上にニッケル層(厚み:100nm)が配置されている導電性粒子)
(第1の導電性粒子1の作製方法)
アニオンポリマー1を有する第1の導電性粒子1:
はんだ粒子2本体200gと、グルタル酸40gと、アセトン70gとを3つ口フラスコに秤量し、次にはんだ粒子本体の表面の水酸基とアジピン酸のカルボキシル基との脱水縮合触媒であるジブチル錫オキサイド0.3gを添加し、60℃で4時間反応させた。その後、はんだ粒子をろ過することで回収した。
回収したはんだ粒子と、アジピン酸50gと、トルエン200gと、パラトルエンスルホン酸0.3gとを3つ口フラスコに秤量し、真空引き、及び還流を行いながら、120℃で、3時間反応させた。この際、ディーンスターク抽出装置を用いて、脱水縮合により生成した水を除去しながら反応させた。
その後、ろ過によりはんだ粒子を回収し、ヘキサンにて洗浄し、乾燥した。その後、得られた第1の導電性粒子をボールミルで解砕した後、所定のCV値となるように篩にかけた。
アニオンポリマー1の重量平均分子量:
第1の導電性粒子1の表面のアニオンポリマー1の重量平均分子量は、0.1Nの塩酸を用い、はんだを溶解した後、ポリマーをろ過により回収し、GPCにより求めた。
第1の導電性粒子1の粒子径のCV値:
CV値を、レーザー回折式粒度分布測定装置(堀場製作所社製「LA−920」)にて、測定した。
(第2の導電性粒子1〜10の作製方法)
はんだ粒子1〜4を無電解ニッケルめっきし、はんだ粒子の表面上に厚さ500nmの下地ニッケルめっき層を形成した。次に、下地ニッケルめっき層を有するはんだ粒子に対して、所定の厚みになるまで銀、金、パラジウム、銅及びニッケルめっきすることで、第2の導電性粒子1〜10を得た。
(実施例1〜32及び比較例1)
(1)異方性導電ペーストの作製
下記の表1〜3に示す成分を下記の表1〜3に示す配合量で配合して、遊星式撹拌装置で混合及び脱泡することにより異方性導電ペーストを得た。
(2)第1の接続構造体(エリアアレイ基板)の作製
第1の接続対象部材として、半導体チップ本体(サイズ5×5mm、厚み0.4mm)の表面に、400μmピッチで250μmの銅電極が、エリアアレイにて配置されており、最表面にパッシベーション膜(ポリイミド、厚み5μm、電極部の開口径200μm)が形成されている半導体チップを準備した。銅電極の数は、半導体チップ1個当たり、10個×10個の合計100個である。
第2の接続対象部材として、ガラスエポキシ基板本体(サイズ20×20mm、厚み1.2mm、材質FR−4)の表面に、第1の接続対象部材の電極に対して、同じパターンとなるように、銅電極が配置されており、銅電極が配置されていない領域にソルダーレジスト膜が形成されているガラスエポキシ基板を準備した。銅電極の表面とソルダーレジスト膜の表面との段差は、15μmであり、ソルダーレジスト膜は銅電極よりも突出している。
上記ガラスエポキシ基板の上面に、作製直後の異方性導電ペーストを厚さ100μmとなるように塗工し、異方性導電ペースト層を形成した。次に、異方性導電ペースト層の上面に半導体チップを電極同士が対向するように積層した。異方性導電ペースト層には、上記半導体チップの重量は加わる。その状態から、異方性導電ペースト層の温度が、昇温開始から5秒後に139℃(はんだの融点)となるように加熱した。更に、昇温開始から15秒後に、異方性導電ペースト層の温度が160℃となるように加熱し、異方性導電ペーストを硬化させ、第1の接続構造体を得た。加熱時には、加圧を行わなかった。
(3)第2の接続構造体(ペリフェラル基板)の作製
第1の接続対象部材として、半導体チップ本体(サイズ5×5mm、厚み0.4mm)の表面に、400μmピッチで250μmの銅電極が、チップ外周部に配置(ペリフェラル)されており、最表面にパッシベーション膜(ポリイミド、厚み5μm、電極部の開口径200μm)が形成されている半導体チップを準備した。銅電極の数は、半導体チップ1個当たり、10個×4辺の合計36個である。
第2の接続対象部材として、ガラスエポキシ基板本体(サイズ20×20mm、厚み1.2mm、材質FR−4)の表面に、第1の接続対象部材の電極に対して、同じパターンとなるように、銅電極が配置されており、銅電極が配置されていない領域にソルダーレジスト膜が形成されているガラスエポキシ基板を準備した。銅電極の表面とソルダーレジスト膜の表面との段差は、15μmであり、ソルダーレジスト膜は銅電極よりも突出している。
上記ガラスエポキシ基板の上面のペリフェラル部分に、作製直後の異方性導電ペーストを厚さ100μmとなるように塗工し、異方性導電ペースト層を形成した。次に、異方性導電ペースト層の上面に半導体チップを電極同士が対向するように積層した。異方性導電ペースト層には、上記半導体チップの重量は加わる。その状態から、異方性導電ペースト層の温度が、昇温開始から5秒後に139℃(はんだの融点)となるように加熱した。更に、昇温開始から15秒後に、異方性導電ペースト層の温度が160℃となるように加熱し、異方性導電ペーストを硬化させ、第2の接続構造体を得た。加熱時には、加圧を行わなかった。
(評価)
(1)25℃における粘度(η25)
作製直後の異方性導電ペーストの25℃での粘度(η25)を、E型粘度計(東機産業社製「TVE22L」)を用いて、25℃及び5rpmの条件で測定した。
(2)60℃における粘度(η60)
作製直後の異方性導電ペーストの粘度を、STRESSTECH(EOLOGICA社製)を用いて、歪制御1rad、周波数1Hz、昇温速度20℃/分、測定温度範囲40℃〜はんだ粒子の融点の条件で測定した。この測定において、60℃での粘度を読み取り、60℃における異方性導電ペーストの粘度とした。
(3)はんだ粒子の融点−10℃における粘度(η−10)
作製直後の異方性導電ペーストの粘度を、STRESSTECH(EOLOGICA社製)を用いて、歪制御1rad、周波数1Hz、昇温速度20℃/分、測定温度範囲40℃〜はんだ粒子の融点の条件で測定した。この測定において、はんだ粒子の融点−10℃での粘度を読み取り、はんだ粒子の融点−10℃における異方性導電ペーストの粘度とした。
(4)電極上のはんだの配置精度
得られた第1,第2の接続構造体において、第1の電極と接続部と第2の電極との積層方向に第1の電極と第2の電極との対向し合う部分をみたときに、第1の電極と第2の電極との対向し合う部分の面積100%中の、接続部中のはんだ部が配置されている面積の割合Xを評価した。電極上のはんだの配置精度を下記の基準で判定した。
[電極上のはんだの配置精度の判定基準]
○○:割合Xが70%以上
○:割合Xが60%以上、70%未満
△:割合Xが50%以上、60%未満
×:割合Xが50%未満
(5)上下の電極間の導通信頼性
得られた第1,第2の接続構造体(n=15個)において、上下の電極間の接続抵抗をそれぞれ、4端子法により測定した。接続抵抗の平均値を算出した。なお、電圧=電流×抵抗の関係から、一定の電流を流した時の電圧を測定することにより接続抵抗を求めることができる。導通信頼性を下記の基準で判定した。
[導通信頼性の判定基準]
○○:接続抵抗の平均値が8.0Ω以下
○:接続抵抗の平均値が8.0Ωを超え、10.0Ω以下
△:接続抵抗の平均値が10.0Ωを超え、15.0Ω以下
×:接続抵抗の平均値が15.0Ωを超える
(6)隣接する電極間の絶縁信頼性
得られた第1,第2の接続構造体(n=15個)において、温度85℃、及び湿度85%の雰囲気中に100時間放置後、隣接する電極間に、5Vを印加し、抵抗値を25箇所で測定した。絶縁信頼性を下記の基準で判定した。
[絶縁信頼性の判定基準]
○○:接続抵抗の平均値が10Ω以上
○:接続抵抗の平均値が10Ω以上、10Ω未満
△:接続抵抗の平均値が10Ω以上、10Ω未満
×:接続抵抗の平均値が10Ω未満
(7)長期信頼性(耐冷熱サイクル特性)
得られた第1,第2の接続構造体を用いて、液槽式熱衝撃試験機(ESPEC社製「TSB−51」)を用いて、−40℃で30分間保持した後、120℃まで昇温し、120℃で30分間保持した後−40℃まで降温する過程を1サイクルとする冷熱サイクル試験を実施した。1000サイクル後にサンプルを取り出し、実体顕微鏡(ニコン社製「SMZ−10」)にてサンプルを観察した。電極上のはんだにクラックが生じているか否か、及び半導体チップが基板から剥離しているか否かを観察した。耐冷熱サイクル特性を下記の基準で判定した。
[耐冷熱サイクル特性の判定基準]
○○:はんだにクラックが生じておらず、半導体チップが基板から剥離していない
○:はんだにわずかなクラックが生じているが、半導体チップが基板から剥離しておらず、使用上問題がない
△:はんだにわずかなクラックが生じており、半導体チップが基板からわずかに剥離しているが、使用上問題がない。
×:はんだに大きなクラックが生じており、半導体チップが基板から大きく剥離しており、使用上問題がある
結果を下記の表1〜3に示す。
Figure 2017224602
Figure 2017224602
Figure 2017224602
フレキシブルプリント基板、樹脂フィルム、フレキシブルフラットケーブル及びリジッドフレキシブル基板を用いた場合でも、同様の傾向が見られた。
1,1X…接続構造体
2…第1の接続対象部材
2a…第1の電極
3…第2の接続対象部材
3a…第2の電極
4,4X…接続部
4A,4XA…はんだ部
4B,4XB…硬化物部
11…導電ペースト
11A…はんだ粒子
11B…熱硬化性成分
11C…第2の導電性粒子
21…第1の導電性粒子(はんだ粒子)
21X…第2の導電性粒子
22X…はんだとは異なる金属部
31…第1の導電性粒子
31X…第2の導電性粒子
32…基材粒子
33…導電部(はんだを有する導電部)
33A…第2の導電部
33B…はんだ部(第1の導電部)
34X…はんだとは異なる金属部
41…第1の導電性粒子
41X…第2の導電性粒子
42…はんだ部
43X…はんだとは異なる金属部

Claims (13)

  1. 導電部の外表面部分に、はんだ部を有する第1の導電性粒子と、
    導電部の外表面部分に、はんだとは異なる金属部を有する第2の導電性粒子と、
    熱硬化性成分と、
    フラックスとを含み、
    前記第2の導電性粒子は、はんだ部と、前記はんだ部の外表面上に前記はんだとは異なる金属部とを有する、導電材料。
  2. 前記第2の導電性粒子における前記はんだとは異なる金属部の厚みが、10nm以上、500nm以下である、請求項1に記載の導電材料。
  3. 前記導電材料100重量%中、前記第2の導電性粒子の含有量が、1重量%以上、50重量%以下である、請求項1又は2に記載の導電材料。
  4. 前記導電材料100重量%中の前記第1の導電性粒子の含有量の、前記導電材料100重量%中の前記第2の導電性粒子の含有量に対する比が、1以上、99以下である、請求項3に記載の導電材料。
  5. 前記第1の導電性粒子が、中心部分及び外表面部分にはんだを有するはんだ粒子である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の導電材料。
  6. 25℃での粘度が、30Pa・s以上、400Pa・s以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の導電材料。
  7. 60℃での粘度が、10Pa・s以上、200Pa・s以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の導電材料。
  8. 前記第1の導電性粒子の表面及び前記第2の導電性粒子の表面のいずれの表面にも付着していない絶縁性粒子を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の導電材料。
  9. 導電ペーストである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の導電材料。
  10. 少なくとも1つの第1の電極を表面に有する第1の接続対象部材と、
    少なくとも1つの第2の電極を表面に有する第2の接続対象部材と、
    前記第1の接続対象部材と、前記第2の接続対象部材とを接続している接続部とを備え、
    前記接続部の材料が、請求項1〜9のいずれか1項に記載の導電材料であり、
    前記第1の電極と前記第2の電極とが、前記接続部中のはんだ部により電気的に接続されている、接続構造体。
  11. 前記第1の電極と前記接続部と前記第2の電極との積層方向に前記第1の電極と前記第2の電極との対向し合う部分をみたときに、前記第1の電極と前記第2の電極との対向し合う部分の面積100%中の50%以上に、前記接続部中のはんだ部が配置されている、請求項10に記載の接続構造体。
  12. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の導電材料を用いて、少なくとも1つの第1の電極を表面に有する第1の接続対象部材の表面上に、前記導電材料を配置する工程と、
    前記導電材料の前記第1の接続対象部材側とは反対の表面上に、少なくとも1つの第2の電極を表面に有する第2の接続対象部材を、前記第1の電極と前記第2の電極とが対向するように配置する工程と、
    前記導電性粒子におけるはんだの融点以上かつ前記熱硬化性成分の硬化温度以上に前記導電材料を加熱することで、前記第1の接続対象部材と前記第2の接続対象部材とを接続している接続部を、前記導電材料により形成し、かつ、前記第1の電極と前記第2の電極とを、前記接続部中のはんだ部により電気的に接続する工程とを備える、接続構造体の製造方法。
  13. 前記第1の電極と前記接続部と前記第2の電極との積層方向に前記第1の電極と前記第2の電極との対向し合う部分をみたときに、前記第1の電極と前記第2の電極との対向し合う部分の面積100%中の50%以上に、前記接続部中のはんだ部が配置されている接続構造体を得る、請求項12に記載の接続構造体の製造方法。
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